説明

化学的方法

インスリン抵抗性およびその他の代謝症候群の兆候に関連するかどうかにかかわらず、脂肪疾患(異常脂質血症)などの臨床症状の治療に有用である特定の3−フェニル−2−アリールアルキルチオプロピオン酸誘導体の酵素的および化学的製造方法が説明されており、さらに、これらの方法で用いられる特定の新規の中間体も説明されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、インスリン抵抗性およびその他の代謝症候群の兆候に関連するかどうかにかかわらず、脂肪疾患(異常脂質血症)などの臨床症状の治療に有用である特定の3−フェニル−2−アリールアルキルチオプロピオン酸誘導体の製造方法に関する。また本発明は、この方法で用いられる特定の新規の中間体に関する。
【0002】
WO03/051826は、式A:
【0003】
【化1】

【0004】
(式中、Rは、クロロ、フルオロまたはヒドロキシを示す)で示される化合物、加えて、それらの光学異性体、および、ラセミ化合物、加えて、それらの製薬上許容できる塩、プロドラッグ、溶媒化合物、および、結晶性形状を開示しており、これらは、選択的なPPARαモジュレーターである。これらの化合物は、インスリン抵抗性およびその他の代謝症候群の兆候に関連するかどうかにかかわらず、脂肪疾患(異常脂質血症)などの臨床症状を治療することにおいて有用である。この文献には、式Aで示される化合物の特定の製造方法が開示されている。現在、式Aで示される化合物の改善された製造方法が見出されている。関連化合物が、同時係属中の出願WO2004/113282、WO2004/113283、および、WO2004/113284で開示されている。ラセミ化法が、同時係属中の出願WO2004/113285で開示されている。
【0005】
選択的なリゾプス・デレマー(Rhizopus delemar)由来のリパーゼで触媒された、メチル3−[4−[2−[N−(2−ベンゾキサゾリル)−N−メチルアミノ]エトキシ]フェニル]−2−メトキシプロパノアートのエステル加水分解(それにより、分解された酸を生産する)が、Bioorganic and Medicinal Chemistry 7(1999)821〜830で開示されている。
【0006】
2−アルコキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン酸エステルの選択的な酵素加水分解が、WO01/11072、および、WO01/11073で説明されている。
酵素での分解による光学的に純粋な(S)−2−アセチルチオ−3−ベンゼンプロパン酸の合成が、Tetrahedron Letters 43(42)7585〜7587,2002で開示されている。
【0007】
しかしながら、酵素が特定のエステル基質の選択的な加水分解を起こすかどうかを前もって予想することはできない。これは特に、α炭素において高度にカルボキシル基に分岐した基質に当てはまる。驚くべきことに、WO03/051826で開示された化合物を製造するためのエステルの加水分解に、ある種の酵素が、エナンチオマーの富化に有用であることが見出された。
【0008】
本発明は、式I:
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、Rは、クロロ、フルオロまたはヒドロキシを示す)
で示されるエナンチオマー的に富化された化合物、および、それらの製薬上許容できる塩の製造方法を提供し、本方法は、式II:
【0011】
【化3】

【0012】
(式中、Rは、最初に定義された通りであり、Xは、OまたはSであり、Rは、C1〜10アルキル基、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル基、アリール、アリールC1〜6アルキレン基であり、追加のヘテロ置換を含んでもよいし、または、含まなくてもよい)
で示される化合物を、a)XがOの場合、ムコール・ミーヘイ(Mucor miehei)由来のリパーゼ、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)由来のリパーゼ、カンジダ・シリンドラシア(Candida cylindracia)由来のリパーゼ、サーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginose)由来のリパーゼ、ムコール・ジャバニカス(Mucor javanicus)由来のリパーゼ、および、リゾプス・デレマー由来のリパーゼから選択される酵素で、または、b)XがSの場合、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)由来のリパーゼで、反応媒体の存在下で、10〜60℃の範囲の温度で、好ましくは20〜40℃の範囲で加水分解することを含む。
【0013】
追加のヘテロ置換を含む、という用語は、R中のアルキルおよびアルキレン基に窒素または酸素が割り込むことによって、R中にアミノおよびエーテル結合が提供されることことを意味する。一実施形態において、Rは、C1〜10アルキル基、C1〜6ハロアルキル、アリール、アリールC1〜6アルキレン基であり、追加のヘテロ置換を含んでもよいし、または、含まなくてもよい。その他の実施形態において、Rは、C1〜10アルキル基、C1〜6ハロアルキル、アリール、または、アリールC1〜6アルキレン基である。
【0014】
さらなる形態において、本発明は、式I:
【0015】
【化4】

【0016】
(式中、Rは、クロロ、フルオロまたはヒドロキシを示す)
で示されるエナンチオマー的に富化された化合物、および、それらの製薬上許容できる塩の製造方法を提供し、本方法は、式II:
【0017】
【化5】

【0018】
(式中、Rは、最初に定義された通りであり、Xは、Oであり、Rは、C1〜10アルキル基である)
で示される化合物を、XがOの場合、ムコール・ミーヘイ由来のリパーゼ、カンジダ・ルゴサ由来のリパーゼ、カンジダ・シリンドラシア由来のリパーゼ、サーモマイセス・ラヌギノーサ由来のリパーゼ、ムコール・ジャバニカス由来のリパーゼ、および、リゾプス・デレマー由来のリパーゼから選択される酵素で、反応媒体の存在下で加水分解することを含む。
【0019】
さらにその他の形態において、本発明は、式I:
【0020】
【化6】

【0021】
(式中、Rは、クロロ、フルオロまたはヒドロキシを示す)
で示されるエナンチオマー的に富化された化合物、または、それらの製薬上許容できる塩の製造方法を提供し、本方法は、式II:
【0022】
【化7】

【0023】
(式中、Rは、最初に定義された通りであり、XはSであり、Rは、C1〜10アルキル基である)
で示される化合物を、シュードモナス・セパシア由来のリパーゼで、反応媒体の存在下で加水分解することを含む。
【0024】
その他の形態において、本発明は、式III:
【0025】
【化8】

【0026】
で示される化合物、または、それらの製薬上許容できる塩の製造方法を提供し、本方法は、式IV:
【0027】
【化9】

【0028】
(式中、Rは、最初に定義された通りである)
で示される化合物を、ムコール・ミーヘイ由来のリパーゼ、カンジダ・ルゴサ由来のリパーゼ、カンジダ・シリンドラシア由来のリパーゼ、サーモマイセス・ラヌギノーサ由来のリパーゼ、ムコール・ジャバニカス由来のリパーゼ、および、リゾプス・デレマー由来のリパーゼから選択されるリポザイムと、反応媒体中で反応させることを含む。
【0029】
その他の形態において、本発明は、式III:
【0030】
【化10】

【0031】
で示される化合物、または、それらの製薬上許容できる塩の製造方法を提供し、本方法は、式V:
【0032】
【化11】

【0033】
(式中、Rは、最初に定義された通りである)
で示される化合物を、シュードモナス・セパシア由来のリパーゼと、反応媒体中で反応させることを含む。
【0034】
式Iで示されるエステルは、適切な加水分解酵素で処理された場合、(S)−アイソマーの反応を優先的に受け、それに対応する(S)−酸または新たな(S)−エステルが生産されることによって、(S)−エナンチオマーの効率的な分離が起こる。未反応の(R)−エステルは、回収してラセミ化することによって、再利用が可能である。場合によっては、動的速度論的分割が可能であり、この場合、(R)−エステルがラセミ化され、「その場で」再利用される。
【0035】
上記酵素は、エナンチオ選択的に加水分解することができるタンパク質であり、例えば、リパーゼ、エステラーゼ、アミダーゼ、または、プロテアーゼである。上記酵素は、純粋な液体または固体として用いて、不活性キャリアーで希釈し、不活性マトリックス(例えば、マクロ孔質ポリマー、イオン交換樹脂、セライト(Celite(R))、セラミック)で支持することもでき、または、カプセル封入された配合物として、または、膜に結合した、または、膜内の、不活性な不溶性調製物(例えば、架橋化酵素結晶(Cross−linked enzyme crystal;CLEC)、または、架橋化酵素集合体(Cross−linked enzyme aggregate;CLEA))として用いることもできる。
【0036】
反応媒体としては、水、水−溶媒混合物、緩衝塩を含むか、または塩基が添加された単相または二相性のいずれかの溶媒−溶媒混合物、または、より特殊化した媒体、例えばイオン液体または超臨界二酸化炭素(SC−CO)が可能である。適切な溶媒の例としては、C1〜6アルカノール(例えば、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、アミルアルコール、または、イソアミルアルコール)、アセトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、または、アセトニトリルが挙げられる。
【0037】
好ましい反応媒体は、溶解性を促進し、上記酵素のエナンチオ選択性を高める有機溶媒と水の混合物である。
一形態において、シュードモナス・セパシア由来のリパーゼは、CLEC(架橋化酵素結晶)である。
【0038】
本発明はまた、式II:
【0039】
【化12】

【0040】
(式中、Rは、クロロ、フルオロまたはヒドロキシを示し、Xは、OまたはSを示し、Rは、C1〜6アルキル基、C2〜6アルケニル基、または、フェニルC1〜6アルキル基、例えばn−ブチル、n−プロピル、n−オクチル、アリル、または、ベンジルから選択される基を示す)
で示されるエナンチオマー的に富化された化合物の製造方法を提供し、本方法は、式II:
【0041】
【化13】

【0042】
(式中、Rは、最初に定義された通りであり、Xは、OまたはSであり、Rは、C1〜6アルキル、または、ハロアルキルであり、アルケン不飽和を含んでもよいし、または、含まなくてもよい)
で示される化合物を、a)XがOの場合、ムコール・ミーヘイ由来のリパーゼ、カンジダ・ルゴサ由来のリパーゼ、サーモマイセス・ラヌギノーサ由来のリパーゼ、ムコール・ジャバニカス由来のリパーゼ、および、リゾプス・デレマー由来のリパーゼから選択される酵素で、または、b)XがSの場合、シュードモナス・セパシア由来のリパーゼで、それぞれC1〜6アルカノール、C2〜6アルケノール、または、フェニルC1〜6アルカノール、例えばそれぞれn−ブタノール、n−プロパノール、n−オクタノール、プロパ−2−エン−1−オール、または、ベンジルアルコールの存在下で、任意に反応媒体の存在下で、10〜50℃の範囲の温度で、好ましくは20〜40℃の範囲でトランスエステル化することを含む。
【0043】
その他の形態において、本発明は、式IVa:
【0044】
【化14】

【0045】
(式中、Xは、OまたはSであり、Rは、C1〜6アルキル、または、ハロアルキルを示し、アルケン不飽和のn−ブチルを含んでもよいし、または、含まなくてもよい)
で示されるエナンチオマー的に富化された化合物の製造方法を提供し、本方法は、式IVb:
【0046】
【化15】

【0047】
(式中、Rは、C1〜2アルキル基である)
で示される化合物を、CLECシュードモナス・セパシア由来のリパーゼで、n−ブタノールの存在下で、塩基、例えばトリオクチルアミン、または、類似のpKaを有するその他の第三アミン、例えばトリエチルアミンまたはトリブチルアミンの存在下で(これら塩基は、液体、または、固体で支持された形態のいずれかとして)、任意に反応媒体の存在下で、10〜50℃の範囲の温度で、好ましくは20〜40℃の範囲でトランスエステル化することを含む。
【0048】
式IIおよびIVaで示されるエナンチオマー的に富化された化合物は、式Iで示されるエナンチオマー的に富化された化合物に変換してもよく、この変換は、例えば、キラル中心がラセミ化しない条件を用いた加水分解、例えば酸または中塩基の加水分解、適切な加水分解酵素での加水分解、ルイス酸での切断、または、エステルの穏やかな切断に関して報告されているその他の方法(例えばアリルエステルの場合はPd、ベンジルエステルの場合は水素添加)によってなされる。
【0049】
代替的アプローチは、加水分解酵素を逆に作用させて利用し、ラセミ酸を、適切なアルコール(例えばメタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、プロパ−2−エン−1−オール、または、ベンジルアルコール)でキラル体にエステル化することである。このキラル酸とエステルとは分離が可能であり、さらにエステルを上述のように切断してもよい。
【0050】
一形態において、本発明は、以下の工程を含む式Iで示される化合物の製造方法を提供する:
a)式VI:
【0051】
【化16】

【0052】
で示される化合物と、式VII:
【0053】
【化17】

【0054】
(式中、Rは、C1〜6アルキル基を示す、および、Rは、p−トリルを示す)
で示される化合物とを、不活性溶媒(例えばアセトニトリル、および/または、トルエン)中で、塩基(例えば炭酸カリウム、または、炭酸ナトリウム)の存在下で、0℃〜150℃の範囲の温度で反応させ、式VIII:
【0055】
【化18】

【0056】
(式中、Rは、最初に定義された通りである)
で示される化合物を得る工程、
b)式VIIIで示される化合物と、酸HAとを反応させ(ここで、HAは、HCl、HBr、または、トリフルオロ酢酸を示す)、式IX:
【0057】
【化19】

【0058】
(式中、HAは、最初に定義された通りである)
で示される塩を得る工程、
c)塩酸の存在下で式IXで示される化合物をジアゾ化して、−5℃〜10℃の範囲の温度でジアゾニウム塩溶液を得て、このジアゾニウム塩溶液と、アクリル酸とを、水性反応媒体中で、任意に、銅(I)の塩(例えば、ヨウ化銅(I))のような触媒の存在下で反応させ、得られた生成物とアンモニアとを反応させ、式X:
【0059】
【化20】

【0060】
で示される化合物を得る工程、
d)式Xで示される化合物を、酸、続いて式ROHで示されるアルコールと、任意に水を捕獲する系(例えば濃硫酸、または、オルトエステル、例えばオルトギ酸トリメチル、もしくは、オルトギ酸トリエチル)の存在下で、または、共沸蒸留しながら反応させ、式XI:
【0061】
【化21】

【0062】
(式中、Rは、最初に定義された通りである)
で示される化合物を得る工程、
e)式XIで示されるエステルと、式XII:
【0063】
【化22】

【0064】
(式中、Rは、最初に定義された通りであり、Rは、メチルまたはフェニルである)
で示される化合物とを、塩基(例えばナトリウムメトキシド)の存在下で反応させ、式XIII:
【0065】
【化23】

【0066】
(式中、R、RおよびXは、最初に定義された通りである)
で示される化合物を得る工程、および、
f)式XIIIで示される化合物を、a)XがOの場合、ムコール・ミーヘイ由来のリパーゼ、カンジダ・ルゴサ由来のリパーゼ、カンジダ・シリンドラシア由来のリパーゼ、サーモマイセス・ラヌギノーサ由来のリパーゼ、ムコール・ジャバニカス由来のリパーゼ、および、リゾプス・デレマー由来のリパーゼから選択される酵素で、または、b)XがSの場合、シュードモナス・セパシア由来のリパーゼで、適切な反応媒体中で、10〜50℃の範囲の温度で、好ましくは20〜40℃の範囲で反応させて、式I:
【0067】
【化24】

【0068】
で示されるエナンチオマー的に富化された化合物を得る工程、ならびに、
g)任意に、式Iで示される化合物と、tert−ブチルアミンとを、適切な反応媒体中で反応させ、式Iで示される化合物のtert−ブチルアンモニウム塩を得る工程。
【0069】
その他の形態において、本発明は、以下の工程を含む式IIIで示される化合物の製造方法を提供する:
a)式VI:
【0070】
【化25】

【0071】
で示される化合物と、式VII:
【0072】
【化26】

【0073】
(式中、Rは、C1〜6アルキル基を示す、および、Rは、p−トリルを示す)
で示される化合物とを、不活性溶媒(例えばアセトニトリル、および/または、トルエン)中で、塩基(例えば炭酸カリウム、または、炭酸ナトリウム)の存在下で、20℃〜150℃の範囲の温度で反応させて、式VIII:
【0074】
【化27】

【0075】
(式中、Rは、最初に定義された通りである)
で示される化合物を得る工程、
b)式VIIIで示される化合物と、トリフルオロ酢酸(TFA)とを反応させ、式IX:
【0076】
【化28】

【0077】
で示される塩を得る工程、
c)塩酸の存在下で式IXで示される化合物をジアゾ化して、−5℃〜10℃の範囲の温度でジアゾニウム塩溶液を得て、このジアゾニウム塩溶液と、アクリル酸とを、水性反応媒体中で、任意に、銅(I)塩(例えばヨウ化銅(I))のような触媒の存在下で反応させ、得られた生成物とアンモニアとを反応させ、式X:
【0078】
【化29】

【0079】
で示される化合物を得る工程、
d)式Xで示される化合物を、酸、続いて式RXHで示されるアルコールと、任意に水を捕獲する系、例えば濃硫酸、または、オルトエステル、例えばオルトギ酸トリメチルの存在下で、または、共沸蒸留しながら反応させ、式XI:
【0080】
【化30】

【0081】
(式中、Rは、最初に定義された通りである)
で示される化合物を得る工程、
e)式XIで示されるエステルと、式XIIa:
【0082】
【化31】

【0083】
(式中、Rは、最初に定義された通りであり、Rは、メチルまたはフェニルである)
で示される化合物とを、塩基(例えばナトリウムメトキシド)の存在下で反応させ、式XIIIa:
【0084】
【化32】

【0085】
(式中、Rは、最初に定義された通りである)
で示される化合物を得る工程、および、
f)式XIIIで示される化合物を、a)ムコール・ミーヘイ由来のリパーゼ、カンジダ・ルゴサ由来のリパーゼ、カンジダ・シリンドラシア由来のリパーゼ、サーモマイセス・ラヌギノーサ由来のリパーゼ、ムコール・ジャバニカス由来のリパーゼ、および、リゾプス・デレマー由来のリパーゼと反応させ、式III:
【0086】
【化33】

【0087】
で示される化合物を得る工程、ならびに、
g)任意に、式IIIで示される化合物と、tert−ブチルアミンとを、適切な反応媒体中で、例えば不活性溶媒の存在下で反応させ、式IIIで示される化合物のtert−ブチルアンモニウム塩を得る工程。
【0088】
その他の形態において、本発明は、以下の工程を含む短縮された方法を提供する:
a)式X:
【0089】
【化34】

【0090】
で示される化合物を、酸、続いて式ROHで示されるアルコールと、任意に水を捕獲する系(例えば濃硫酸、または、オルトエステル、例えばオルトギ酸トリメチル、もしくは、オルトギ酸トリエチル)の存在下で、または、共沸蒸留しながら反応させ、式XI:
【0091】
【化35】

【0092】
(式中、Rは、最初に定義された通りである)
で示される化合物を得る工程、
b)式XIで示されるエステルと、式XII:
【0093】
【化36】

【0094】
(式中、Rは、最初に定義された通りであり、Rは、メチルまたはフェニルである)
で示される化合物とを、塩基(例えばナトリウムメトキシド)の存在下で反応させ、式XIII:
【0095】
【化37】

【0096】
(式中、R、RおよびXは、最初に定義された通りである)
で示される化合物を得る工程、および、
c)式XIIIで示される化合物を、a)XがOの場合、ムコール・ミーヘイ由来のリパーゼ、カンジダ・ルゴサ由来のリパーゼ、カンジダ・シリンドラシア由来のリパーゼ、サーモマイセス・ラヌギノーサ由来のリパーゼ、ムコール・ジャバニカス由来のリパーゼ、および、リゾプス・デレマー由来のリパーゼから選択される酵素で、または、b)XがSの場合、シュードモナス・セパシア由来のリパーゼで、適切な反応媒体中で、10〜50℃の範囲の温度で、好ましくは20〜40℃の範囲で反応させて、式I:
【0097】
【化38】

【0098】
で示されるエナンチオマー的に富化された化合物を得る工程、ならびに、
d)任意に、式Iで示される化合物と、tert−ブチルアミンとを、適切な反応媒体中で反応させ、式Iで示される化合物のtert−ブチルアンモニウム塩を得る工程。
【0099】
その他の形態において、本発明は、以下の工程を含む短縮された方法を提供する:
a)式X:
【0100】
【化39】

【0101】
で示される化合物を反応させる工程、
b)式Xで示される化合物を、酸、続いて式ROHで示されるアルコールと、任意に水を捕獲する系(例えば濃硫酸、または、オルトエステル、例えばオルトギ酸トリメチル、もしくは、オルトギ酸トリエチル)の存在下で、または、共沸蒸留しながら反応させ、式XI:
【0102】
【化40】

【0103】
(式中、Rは、最初に定義された通りである)
で示される化合物を得る工程、
c)式XIで示されるエステルと、式XIIa:
【0104】
【化41】

【0105】
(式中、Rは、最初に定義された通りであり、Rは、メチルまたはフェニルである)
で示される化合物とを、塩基(例えばナトリウムメトキシド)の存在下で反応させ、式XIIIa:
【0106】
【化42】

【0107】
(式中、Rは、最初に定義された通りである)
で示される化合物を得る工程、および、
d)式XIIIで示される化合物を、a)ムコール・ミーヘイ由来のリパーゼ、カンジダ・ルゴサ由来のリパーゼ、カンジダ・シリンドラシア由来のリパーゼ、サーモマイセス・ラヌギノーサ由来のリパーゼ、ムコール・ジャバニカス由来のリパーゼ、および、リゾプス・デレマー由来のリパーゼから選択される酵素と反応させ、式III:
【0108】
【化43】

【0109】
で示される化合物を得る工程、ならびに、
e)任意に、式IIIで示される化合物と、tert−ブチルアミンとを、適切な反応媒体中で、例えば不活性溶媒の存在下で反応させ、式IIIで示される化合物のtert−ブチルアンモニウム塩を得る工程。
【0110】
短縮された(telescoped)という用語は、数種の処理工程が、中間体を単離しないで開始されるため、材料の移動によって生じる消耗を減少させることを示すために用いられる。好ましくは、短縮された方法は、ワンポット法として行われる。
【0111】
その他の形態において、本発明は、実質的にラセミ体の、2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}−エチル)フェニル]プロパン酸のC1〜8アルキルエステルの製造方法を提供し、本方法は、一方のエナンチオマーに高濃度化されたC1〜8アルキルエステルの2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]−フェノキシ}−エチル)−フェニル]プロパン酸と、不活性マトリックス(不活性溶媒、例えばトルエン)で支持されたDBUもしくはテトラメチルグアニジン、または類似の塩基とを、15〜150℃の範囲の温度で反応させることを含む。任意に、上記ラセミ体のエステルは、加水分解、例えば塩基の加水分解、または、酸の加水分解によってそれに対応する酸に変換してもよく、続いて、任意に、この酸をアンモニアと反応させ、ラセミ体のアンモニウム塩を得てもよく、これを続いて、望ましい化合物を得る方法でさらに反応させてもよい。このラセミ化および再利用方法は、材料の浪費を回避することによって処理効率を改善する。
【0112】
以下の式で示される特定の化合物は新規であると考えられ、ここでは、本発明のさらなる形態としてそれらを特許請求する。
式IIa:
【0113】
【化44】

【0114】
で示される化合物であって、式中、
i)XがOであり、Rがエチルである場合、
ii)XがOであり、Rがn−プロピルである場合、
iii)XがOであり、Rがn−ブチルである場合、
iv)XがSであり、Rがメチルである場合、
v)XがSであり、Rがエチルである場合、
vi)XがSであり、Rがn−プロピルである場合、または、
vii)XがSであり、Rがn−ブチルである場合、
viii)XがSであり、Rがn−ヘキシルである場合、
ix)XがSであり、Rがn−オクチルである場合;
は、それぞれの化合物の(R)エナンチオマーおよび(S)エナンチオマー、ならびに、(R)エナンチオマーおよび(S)エナンチオマーのあらゆる混合物を含み、例えばラセミ体の形態の化合物を含み、
x)XがOであり、R2はメチルである場合、(S)型および(R)型を含む。
【0115】
式VIII:
【0116】
【化45】

【0117】
(式中、Rは、最初に定義された通りである)
で示される化合物。
式IX:
【0118】
【化46】

【0119】
で示される化合物、および、それらの塩、特に塩酸塩、臭化水素酸塩、または、トリフルオロ酢酸塩。
式X:
【0120】
【化47】

【0121】
で示される化合物。
式XI:
【0122】
【化48】

【0123】
(式中、Rは、エチル、n−プロピル、または、n−ブチルである)
で示される化合物。
式XII:
【0124】
【化49】

【0125】
(式中、Rは、最初に定義された通りである)
で示される化合物。
式XIII:
【0126】
【化50】

【0127】
(式中、R、RおよびXは、最初に定義された通りである)
で示される化合物。
式XIVで示される化合物。
【0128】
【化51】

【0129】
これらの新規の化合物は、固体であるために、プロセス中の適切な時点でろ過が可能であるという利点を有し、これは、プロセス中に不要な不純物を除去することにおいて極めて有益である。また、これらの固体は、操作が簡単であり、さらに、一方の容器から他方の容器への移動が簡単である。
【0130】
当然ながら、上記で列挙したそれぞれのプロセススキームの一つ一つ個々の工程は、本発明のその他の形態として以下で特許請求される。
エナンチオマー的に富化された化合物という用語は、一方のエナンチオマーが他方に比べて優勢であること、さらに、その化合物は光学回転を有することを意味する。例えば、本化合物は、一方のエナンチオマーを60%より多く含む可能性があり、例えば、一方のエナンチオマーを70〜99.9%、特に80〜99.9%、例えば85〜99.9%、90〜99.9%、または、95〜99.9%を含む。一実施形態において、優勢のエナンチオマーは、Sエナンチオマーである。
【0131】
適切な溶媒の例としては、C1〜6アルカノール(例えば、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、アミルアルコール)、イソアミルアルコール、ケトン(例えば、アセトン、および、メチルイソブチルケトン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、および、メチルtert−ブチルエーテル)、炭化水素(例えば、トルエン)、または、ニトリル(例えば、アセトニトリル、または、ブチロニトリル)が挙げられる。
【0132】
実施例
一般的な方法
HPLC条件。反応混合物と生成物を、逆相HPLCで、ヒューレット・パッカード1100(Hewlett Packard 1100)装置で以下の条件に従って解析した。アキラルの場合の方法:カラム、ジェネシスC−18(Genesis C−18)、直径100mm×3.0mm;溶出液A、95:5の水:アセトニトリル(0.1%v/vギ酸を含む);溶出液B、95:5のアセトニトリル:水(0.1%v/vギ酸を含む);タイムテーブル、(溶出液A100%を0分間;溶出液B100%を13分間;溶出液B100%を15分間;その後の泳動5分);流速0.75mL/分.;波長220nm;注入体積5μL;カラム温度35℃;泳動時間15分間。キラルの場合の方法:カラム、キラルパックAD−H(ChiralPak AD−H)、直径250mm×4.6mm;溶出液、0.1%v/vギ酸を含むメタノール;流速1.0mL/分.;波長225nm;注入体積5μL;カラム温度45℃;泳動時間18分間。典型的な保持時間は以下の通り:(S)−酸、7.8;(S)−エステル、12.4;(R)−酸、13.7;(R)−エステル15.6分間。
【0133】
一般的な条件。グリフィン(Griffin)の融点測定装置(アルミニウム製の加熱ブロック)を用いて融点を決定した(未修正)。Hおよび13CNMRスペクトルは、バリアン(Varian)のイノーバ400(Inova 400)スペクトロメーターをそれぞれ400および100.6MHzで用いて、化学シフトをδ=0でのTMSに対するppmで示して記録した。エレクトロスプレー(ES)マススペクトルは、マイクロマス(Micromass)のプラットフォームLCで決定した。
【0134】
本明細書で用いられるe.e.は、エナンチオマー過剰率を意味し、これは、以下のように計算される:
e.e.=[(S)−(R)]/[(S)+(R)]×100(%)(または、R−エナンチオマーの場合はR−S);ここで、(S)+(R)は常に100である。すなわち、例えば91%e.e.とは、95.5%の(S)−エナンチオマー、および、4.5%の(R)−エナンチオマーのことであり;93%e.e.とは、96.5%の(S)−エナンチオマー、および、3.5%の(R)−エナンチオマーのことである。あるいは、これらの例において(S)−エナンチオマーのキラル体の純度を用いてもよく、その場合、それぞれ95.5、および、96.5%となる。
【0135】
実施例1
a)4−{2−[4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル]エトキシ}フェニルメタンスルホン酸塩
4−ヒドロキシフェニルメタンスルホン酸塩(82%濃度のものを7.04g,30.6mmol,(キノールのメタンスルホニル化によって製造された))をアセトニトリル(72mL)に溶解させた溶液を、2−[4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル]−エチル4−メチルベンゼンスルホナート(WO99/62871で説明されているように製造された)(12.0g,30.6mmol)、および、炭酸カリウム(325メッシュのものを6.42g,46.0mmol)の混合物に窒素下で添加し、得られた混合物を穏やかに撹拌した。アセトニトリル(36mL)と水(12mL)を添加し、撹拌速度を高め、この反応混合物を還流下で(80℃)11〜24時間沸騰させた。冷却して60℃に戻した後、溶媒の体積を、減圧下で蒸留して6割(〜72mL)に減少させた。トルエン(108mL)と水(24mL)を添加し、この混合物を60℃で5分間撹拌した。この溶液を、セライトTM(および/または、5%w/wチャコール)でろ過し、60℃で反応容器に戻した。相を分離させ、下部の水相を排出させ、捨てた。希水酸化ナトリウム水溶液(2.5%のものを10.2mL,0.625M)を添加し、この混合物を60℃で5分間撹拌した。相を分離させ、下部の水相を排出させ、捨てた。水(24mL)を添加し、60℃で5分間撹拌し、その後、相を分離させ、下部の水相を排出させ、捨てた。流れのない頭頂部の温度が〜110℃に達するまで大気圧で蒸留して、溶媒の体積を減少させた。新しいトルエンを添加して、総体積を8割(96mL)にした。この溶液を60℃に冷却し、ろ過し、45℃に冷却した。イソヘキサン(143mL)を、1時間かけて一滴ずつ添加した、温度を45℃に維持し、この溶液を1℃/分で20℃に冷却した。得られた固体をろ過によって単離し、イソヘキサン(29mL)で置き換えることによって洗浄し、真空オーブン中で50℃〜に乾燥させ、表題の化合物を淡黄色の固体として得た(9.9g,79%)。HPLC(実行時間は10.9分);融点117〜118℃;1H NMR (400 MHz, d6-DMSO)d 9.22 (〜1H, s), 7.36 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.23 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.17 (2H, d, J = 8.4 Hz), 6.98 (2H, d, J = 9.2 Hz), 4.13 (2H, t, J = 6.6 Hz), 3.29 (3H, s), 2.93 (2H, t, J = 6.6 Hz), 1.44 (9H, s);13C NMR (100.6 MHz, d6-DMSO)d 157.18, 152.77, 142.44, 137.80, 131.62, 129.04, 124.01, 123.28, 118.15, 115.45, 78.83, 68.69, 36.89, 34.14および28.10;MS (ES+)425 (M+NH4+, 5%), 308 (10%), 120 (100%)。
【0136】
b)4−[2−(4−アミノフェニル)エトキシ]フェニルメタンスルホン酸塩
トリフルオロ酢酸(7.95mL、11.8g,102mmol)を、トルエン(176mL)中の4−{2−[4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル]エトキシ}フェニルメタンスルホン酸塩(95%のものを17.6g,40.8mmol)のスラリーに5分間かけて20℃で添加し、60℃〜に加熱し、暗褐色の溶液を形成した。純粋な生成物のシード(0.05重量%)を添加し、この反応混合物を60℃で17時間加熱し、その期間中に高密度の固体が結晶化した。この反応混合物を20℃に冷却し、ろ過によって固体を単離し、トルエン(26mL)で置き換えることによって洗浄し、真空オーブン中で40℃〜に乾燥させ、表題の化合物を高密度の淡黄色の固体として得た(16.1g,94%)。HPLC(実行時間は6.0分);融点131〜133℃;1H NMR (400 MHz, d6-DMSO)d 7.35 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.26 (2H, dt, J = 10.8, 3.0 Hz), 7.13 (2H, d, 8.0 Hz), 7.05 (2H, dt, J = 10.8, 3.0 Hz), 4.19 (2H, t, J = 6.6 Hz), 3.31 (3H, s), 3.02 (2H, t, J = 6.6 Hz), 2.9-4.7 (br);13C NMR (100.6 MHz, d6-DMSO)d 157.12, 142.46, 135.56, 133.65, 130.04, 123.31, 121.02, 115.45, 68.43, 36.92および34.14;MS (ES+)308 (M+H+, 100%)。
【0137】
実施例2
アンモニウム2−クロロ−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]−プロパノアート
4−[2−(4−アミノフェニル)エトキシ]フェニルメタンスルホン酸塩(15.9g,37.7mmol)を、窒素下で、適切に準備された反応容器に添加し、それに続いてヨウ化銅(I)(0.36g,1.9mmol)、アセトン(103mL)、および、水(2.5mL)を添加し、撹拌して、流動性のスラリーを形成した。濃塩酸(37%w/wのものを9.3mL,113mmol)を一部ずつ添加して、茶色の溶液を形成し、それに続いてアクリル酸(19.4mL、283mmol)を一部ずつ添加し、得られた溶液を3℃に冷却した。この反応混合物に、亜硝酸ナトリウム(2.95g,41.5mmol)を水(6.3mL)に溶解させた溶液を、少なくとも10時間かけて、反応温度を3℃に維持してスムーズに添加した。水(1.0mL)を、少なくとも1.5時間かけて添加し(ライン洗浄として)、次にこの反応混合物を3℃で3時間撹拌し、その後、10時間かけて20℃に温めた。全てのジアゾニウム塩化物が消費されたら(HPLCによる測定で0.1%未満)、尿素の水溶液(20%w/wの水溶液を2.0mL)を添加し、この反応混合物を30分間撹拌した。この反応混合物に、酢酸エチル(32mL)、トルエン(63mL)、ブライン(63mL)、および、水(32mL)を添加し、これを20分間撹拌し、沈殿させ、下部の緑色の水層を分離し、捨てた。残存した有機相に、ブライン(63mL)、および、水(32mL)を添加した。この混合物を20分間撹拌し、沈殿させ、下部の無色の水層を分離し、捨てた。水/ブラインでの洗浄を繰り返した。有機相に水(63mL)を添加し、20分間撹拌し、沈殿させ、下部の無色の水層を分離し、捨てた。水での洗浄を4回繰り返した。水(127mL)、続いて炭酸ナトリウム水溶液(10%w/w水溶液を59mL)を慎重に一部ずつ添加し、撹拌し、相を分離させた(分離を促進するために、この溶液を短時間で40℃〜に加熱してもよい)。上部の有機相を除去し、捨て、下部の水相を容器に戻した。酢酸エチル(127mL)、続いて濃塩酸(37%w/w溶液を8.8mL,107mmol)を一部ずつ添加し、この溶液を酸性化した(COが発生する可能性がある)。20分間撹拌した後、相を分離し、下部の水相を捨てた(分離を促進するために、この溶液を短時間で40℃〜に加熱してもよい)。有機相を、上述のように水(63mL)で洗浄し、大気圧での共沸蒸留によって乾燥させ、水を除去した(このスケールで、106mLの蒸留物が回収された;酢酸エチル溶液の残留した含水量は0.5%w/wであった)。この溶液を20℃に冷却し、アンモニアのジオキサン溶液(0.5M溶液を85mL,42.7mmol)を22℃で90分間かけてスムーズに添加し、その期間中に流動性のスラリーが形成された。22℃で最低でも4時間後、この反応混合物を0℃に75分間冷却し、窒素床下でろ過によって固体を単離した。生成物を冷却し(0℃)、酢酸エチル(30mL)で置き換えることによって洗浄し、真空オーブン中で40℃〜に乾燥させ、表題の化合物を淡黄色の固体として得た(9.2g,濃度に応じて修正,58.9%)。HPLC(実行時間は9.5分);融点148〜150℃;1H NMR (400 MHz, d6-DMSO)d 6.9-7.8 (〜3H, vbs), 7.25 (2H, d, J = 9.2 Hz), 7.22 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.17 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.02 (2H, d, J = 9.2 Hz), 4.16-4.22 (3H, m), 3.31 (3H, s), 3.26 (1H, dd, J = 14.0, 5.6 Hz), 3.00 (2H, t, J = 7.0 Hz), 2.88 (1H, dd, J = 14.0, 8.8 Hz);13C NMR (100.6 MHz, d6-DMSO)d 170.54, 157.15, 142.45, 136.66, 135.89, 129.20, 128.58, 123.28, 115.48, 68.56, 63.91, 41.37, 36.89および34.44;MS (ES+)416 (M+NH4+, 60%)。
【0138】
実施例2b
2−クロロ−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]−プロパン酸
別の方法で、上記遊離酸を以下のように単離してもよい。実施例2aからの酢酸エチル抽出物を、MgSO上で乾燥させ、油になるまで濃縮した。これを、熱いトルエン(64mL)と酢酸エチル(32mL)に溶解させ、酢酸エチルを蒸留で除去し、この溶液を冷却するか、または還流してトルエン(32mL)に溶解させ、22℃に冷却し、イソヘキサン(32mL)を添加するか、または熱いアニソール(159mL)から結晶化した;いずれの場合も表題の化合物をオフホワイト色の固体として得た。HPLC(実行時間は9.5分);融点88〜89℃;1H NMR (400 MHz, d6-DMSO)d 7.21-7.28 (6H, m), 7.01 (2H, d, J = 8.8 Hz), 4.67 (1H, t, J = 7.4 Hz), 4.19 (2H, t, J = 7.0 Hz), 3.31 (3H, s), 3.27 (1H, dd, J = 14.0, 6.8 Hz), 3.05 (1H, dd, J = 14.0, 8.0 Hz), 3.01 (2H, t, J = 6.6 Hz);13C NMR (100.6 MHz, d6-DMSO)d 170.05, 157.15, 142.45, 136.79, 134.38, 129.31, 128.87, 123.31, 115.48, 68.48, 58.09, 39.08〜40.11 (DMSOシグナルで), 36.92および34.44。
【0139】
実施例3
2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルチオベンゾアート
塩化チオニル(5.5mL、75.5mmol)を、4−ヒドロキシフェニルエタノール(10.0g,70.9mmol)、および、トリエチルアミン(10.5mL、74.5mmol)をトルエン(37.2mL)、および、アセトニトリル(10.0mL)に溶解させた透明な溶液に、60℃で、または、それ未満で1時間かけてスムーズに添加し、続いてトルエン(1.4mL)でライン洗浄した。淡黄色から淡褐色の溶液が得られ、これを60℃で2時間維持し、その期間に、多少のSOが発生した。炭酸水素ナトリウム(20mL)の飽和溶液を60℃で慎重に添加し、15分間撹拌し、沈殿させ、下部の水相を除去し、捨てた。この炭酸水素塩の洗浄を繰り返し、続いて水(20mL)で洗浄した。有機相を、ディーン・スターク条件下で、トルエンで還流して一定の頭頂温度に加熱し、残留した溶解ガスと水を除去した。全ての蒸留物を測定し、それと入れ替えるために新しいトルエンを添加した(このスケールで30mL)。この反応混合物を冷却して80℃に戻し、チオ安息香酸(10.5g,74.5mmol)を温めた測定容器からゆっくり添加した(あるいは、チオ安息香酸は、所定体積にするのに必要な新しいトルエンに溶解させてもよい)。トリエチルアミン(10.5mL、74.5mmol)を30分間かけてスムーズに添加し、続いてトルエンでライン洗浄(11.4mL)し、この反応混合物を80℃で8時間撹拌した。希塩酸水溶液(0.5Mのものを20mL)を添加し、徹底的に15分間撹拌し、沈殿させ、下部の水相を除去し、捨てた。この手順を水(20mL)で繰り返した。有機相を60℃に冷却し、二回目の水での洗浄を行った。トルエン相に、イソヘキサン(65mL)を1時間かけて添加し、得られた溶液をよく撹拌しながらスムーズに4時間かけて0℃に冷却した。生成物を〜33℃で結晶化した。得られたスラリーを0℃で少なくとも1時間冷却し、その後、ろ過によって単離し、再利用された母液(容器のリンスとして)、続いて新しいイソヘキサン(20mL)で置き換えることによって洗浄して、表題の化合物を明るい淡黄色の固体として得た(14.7g,77%)。HPLC(実行時間は10.1分);融点90〜91℃;1H NMR (400 MHz, CDCl3)d 7.96 (2H, d, J = 7.2 Hz), 7.57 (1H, t, J = 7.4 Hz), 7.44 (2H, t, J = 7.8 Hz), 7.13 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.79 (2H, d, J = 8.4 Hz), 5.0 (1H, bs), 3.28 (2H, t, J = 7.6 Hz), 2.90 (2H, t, J = 7.8 Hz);13C NMR (100.6 MHz, CDCl3)d 192.26, 154.23, 137.09, 133.51, 132.23, 129.78, 128.59, 127.19, 115.35, 34.99, 30.71;MS (ES+)259 (M+H+, 100%), 182 ( (M+H-Ph)+, 60%)。
【0140】
実施例4
メチル2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]−フェノキシ}エチル)フェニル]プロパノアート
濃硫酸(2.2mL、60.0mmol)を、アンモニウム2−クロロ−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]−プロパノアート(91.4%濃度のものを15.0g,33.0mmol)のメタノール(60mL)、および、オルトギ酸トリメチル(10.9mL、39.6mmol)中のスラリーに30分間かけてスムーズに添加し、続いてメタノール(7.5mL)でライン洗浄した。この反応混合物を60℃で2時間加熱し、暗い色の溶液を形成し、次に、50℃に冷却して戻した。2−(4−ヒドロキシフェニル)−エチルチオベンゾアート(97.9%のものを10.4g,39.6mmol)を一部ずつ添加し、反応容器を窒素でパージした。ナトリウムメトキシド(25%濃度のメタノール溶液を19.0mL,82.4mmol)を30分間かけてスムーズに添加した、続いて、メタノール(7.5mL)でライン洗浄し、この反応液を50℃で5時間撹拌し、その期間中に、わずかに曇った沈殿が形成された。この反応混合物を35℃に冷却し、水(98mL)、続いて、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(98mL)を力強く撹拌しながら添加し、この混合物を15分間撹拌し、沈殿させ、下部の水相を除去し、捨てた。残存したMTBE相を、希塩酸水溶液(水49mL中の32%w/wの溶液のうち0.03mL)、続いて水(49mL)で、いずれも35℃で洗浄した。MTBE溶液中の生成エステルの量をLCで分析し、それ以上精製しないで次の段階に用いた。HPLC(実行時間は10.9分);融点 油;1H NMR (400 MHz, d6-DMSO)d 9.20 (1H, s), 7.15-7.24 (6H, m), 7.00 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.97 (2H, d, J = 8.4 Hz), 6.66 (2H, d, J = 8.4 Hz), 4.18 (2H, t, J = 7.0 Hz), 3.66 (1H, dd, J = 9.2, 6.4 Hz), 3.58 (3H, s), 3.31 (3H, s), 3.05 (1H, dd, J = 14.0, 8.8 Hz)3.00 (2H, t, J = 6.8 Hz), 2.85 (1H, dd, J = 14.0, 6.8 Hz), 2.77 (2H, t, J = 7.2 Hz), 2.61-2.71 (2H, m);13C NMR (100.6 MHz, d6-DMSO)d 172.07, 157.14, 155.71, 142.45, 136.37, 135.93, 130.19, 129.35, 128.89, 128.81, 123.29, 115.47, 115.02, 68.48, 51.87, 46.99, 36.90, 36.79, 34.40, 34.35および32.68;MS (ES+)548 (M+NH4+, 70%), 531 (M+H+, 90%), 471 (M-CO2Me+, 100%)。
【0141】
実施例5
S)−(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}−エチル)−フェニル]−プロパン酸
メチル2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}エチル)フェニル]プロパノアートの溶液(0.17mg/mLのMTBE溶液を93mL,15.8g,29.8mmol)の体積を、蒸留によって〜3割(この場合47mL)に減少させた。tert−ブタノール/水の溶液(9:1の溶液を95mL,6体積部)を添加し、蒸留を続けて、さらに4体積部(この場合〜63mL)の蒸留物を除去し、その後、25℃に冷却した。さらに1体積のtert−ブタノール/水(9:1の溶液を16mL)、続いて、リポザイムRMIM(固定化酵素を1.6g,開始のエステルに対して10%w/w)を添加した。この反応混合物を35℃に加熱し、〜30〜35%が変換されるまで16時間超、穏やかに撹拌した。上記酵素をろ過によって除去し、固体をtert−ブタノール/水(9:1の溶液を16mL)で洗浄した。tert−ブタノール/水の溶液中の(S)−酸生成物の量をLCで分析し、それ以上精製しないで次の段階に用いた(HPLC分析で5.3g,開始のエステルに基づいて35%)。HPLC(実行時間は9.8分);キラルHPLC(典型的には、溶液中、91〜93%e.e.)。
【0142】
実施例6
tert−ブチルアンモニウム(S)−(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}エチル)フェニル]プロパノアート
(S)−(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]−フェノキシ}−−エチル)−フェニル]−プロパン酸の溶液(9:1のtert−ブタノール/水中の0.053g/mL溶液を100mL,5.3g,10.3mmol)の体積を、常圧蒸留によって半分の体積(この場合50mL)に減少させた。トルエン(100mL)を添加し、流れのない頭頂部の温度が109℃になるまで蒸留を続けた(この場合、さらに蒸留物80mLを回収した)。この溶液を60℃に冷却し、新しいトルエン(80mL)、および、水(50mL)、続いて、炭酸ナトリウム(10%w/wの水溶液を18mL)の溶液を添加した。この溶液を60℃で10分間撹拌し、沈殿させ、下部の水層を除去し、保持した;(R)−メチル2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}エチル)フェニル]プロパノアートを含む上部の有機相を除去した。水相を容器に戻し、続いて、ブチロニトリル(20mL)、および、徹底的に20分間撹拌した。相を分離させ、強く着色した上部の有機相を除去し、捨てた。ブチロニトリル(100mL)、続いて、塩酸水溶液(1.0M溶液を35mL)を10分間かけてスムーズによく撹拌しながら50℃で添加し、その後沈殿させ、下部の水相を除去し、捨てた。水(25mL)を50℃で添加した、徹底的に5分間撹拌し、沈殿させ、下部の水相を除去し、捨てた。次に、このブチロニトリル溶液を大気圧での共沸蒸留により乾燥させ、水を除去し(このスケールで、5.5mLが回収された;ブチロニトリル溶液の残留した含水量を0.1%で測定した)、その後20℃に冷却した。tert−ブチルアミン(0.83g,1.19mL、11.3mmol)を添加し、この溶液を45℃に温め、シード(6mg、0.1%w/w)を添加した。この溶液を45℃で86時間撹拌し、次に、スムーズに0.1℃/時間で20℃に冷却し、その期間中に固体を結晶化した。固体をろ過によって単離し、ブチロニトリル(10.6mL)、および、MTBE(10.6mL)で置き換えることによって連続的に洗浄し、真空オーブン中で50℃〜に乾燥させ、表題の化合物を白色の固体として得た(開始の(S)−酸に基づいて4.7g,88%)。HPLC(実行時間は9.8分);キラルHPLC(典型的には、95%e.e.);融点132〜134℃;1H NMR (400 MHz, d6-DMSO)d 7.19 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.21 (2H, d, J = 9.2 Hz), 7.10 (2H, d, J = 9.2 Hz), 6.95 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.88 (2H, d, J = 8.0 Hz), 6.59 (2H, d, J = 8.4 Hz), 4.10 (2H, t, J = 6.8 Hz), 3.25 (3H, s), 3.20 (1H, dd, J = 8.4, 6.0 Hz), 3.02 (1H, dd, J = 13.6, 8.8 Hz), 2.92 (2H, t, J = 6.8 Hz), 2.44-2.72 (5H, m), 1.13 (9H, s);13C NMR (100.6 MHz, d6-DMSO)d 173.86, 157.15, 155.71, 142.44, 138.39, 135.39, 130.84, 129.18, 128.95,128.45, 123.27, 115.45, 114.96, 68.63, 51.21, 49.93, 36.88, 34.80, 34.45, 32.65, 27.65;MS (ES+)534 (M+NH4+, 40%), 517 (M+H+, 27%), 471 (M-CO2H+, 100%)。
【0143】
実施例7
tert−ブチルアンモニウム(S)−(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}エチル)フェニル]プロパノアート
濃硫酸(2.2mL、60.0mmol)を、メタノール(60mL)、および、オルトギ酸トリメチル(10.9mL、39.6mmol)中のアンモニウム2−クロロ−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]−プロパノアート(91.4%濃度のものを15.0g,33.0mmol)のスラリーに、スムーズに30分間かけて添加し、続いて、メタノール(7.5mL)でライン洗浄した。この反応混合物を、60℃に2時間加熱し、暗い色の溶液を形成し、次に、冷却して50℃に戻した。2−(4−ヒドロキシフェニル)−エチルチオベンゾアート(97.9%のものを10.4g,39.6mmol)を一部ずつ添加し、反応容器を窒素で徹底的にパージした。ナトリウムメトキシド(25%濃度のメタノール溶液を19.0mL,82.4mmol)をスムーズに30分間かけて添加し、続いて、メタノール(7.5mL)でライン洗浄し、この反応液を50℃で5時間撹拌し、その期間中に、わずかに曇った沈殿が形成された。この反応混合物を35℃に冷却し、水(98mL)、続いてMTBE(98mL)を力強く撹拌しながら添加し、この混合物を15分間撹拌し、沈殿させ、下部の水相を除去し、捨てた。残存したMTBE相を、希塩酸水溶液(水49mL中の32%w/wの溶液のうち0.03mL)、続いて水(49mL)で、いずれも35℃で洗浄した。MTBE溶液の体積を、蒸留によって〜3割(この場合47mL)に減少させた。tert−ブタノール/水(9:1の溶液を95mL,6体積部)の溶液を添加し、蒸留を続けて、さらに4体積部(この場合〜63mL)の蒸留物を除去し、その後25℃に冷却した。さらに1体積部のtert−ブタノール/水(9:1の溶液を16mL)を添加し、続いて、リポザイムRMIM(固定化酵素を1.6g,開始のエステルに関して10%w/w)。この反応混合物を、35℃に加熱し、〜30〜35%が変換されるまで16時間超、穏やかに撹拌した。上記酵素をろ過によって除去し、固体をtert−ブタノール/水(9:1の溶液を16mL)で洗浄した。生成物の(S)−酸溶液のキラルHPLCは、典型的には91〜93%e.e.であった。生成物の(S)−酸溶液の体積を、常圧蒸留によって半分の体積(この場合50mL)に減少させた。トルエン(100mL)を添加し、流れのない頭頂部の温度が109℃になるまで蒸留を続けた(この場合、さらに蒸留物80mLを回収した)。この溶液を60℃に冷却し、新しいトルエン(80mL)、および、水(50mL)、続いて、炭酸ナトリウム(10%w/wの水溶液を18mL)の溶液を添加した。この溶液を60℃で10分間撹拌し、沈殿させ、下部の水層を除去し、保持した;(R)−エステルを含む上部の有機相を除去した。水相を容器に戻し、続いて、ブチロニトリル(20mL)、および、徹底的に20分間撹拌した。相を分離させ、強く着色した上部の有機相を除去し、捨てた。ブチロニトリル(100mL)、続いて、塩酸水溶液(1.0M溶液を35mL)を、スムーズに10分間かけてよく撹拌しながら50℃で添加し、その後沈殿させ、下部の水相を除去し、捨てた。水(25mL)を50℃で添加し、徹底的に5分間撹拌し、沈殿させ、下部の水相を除去し、捨てた。次に、このブチロニトリル溶液を大気圧での共沸蒸留により乾燥させ、水を除去し(このスケールで、5.5mLが回収された;ブチロニトリル溶液の残留した含水量を0.1%で測定した)、その後20℃に冷却した。tert−ブチルアミン(0.83g,1.19mL、11.3mmol)を添加し、この溶液を45℃に温め、生成物のシード(6mg、0.1%w/w)を添加した。この溶液を45℃で86時間撹拌し、次に、スムーズに0.1℃/時間で20℃に冷却し、その期間中に固体を結晶化した。固体をろ過によって単離し、ブチロニトリル(10.6mL)、および、MTBE(10.6mL)で置き換えることによって連続的に洗浄し、真空オーブン中で50℃〜に乾燥させ、表題の化合物を白色の固体として得た(開始の塩に基づいて4.7g,24%)。HPLC(実行時間は9.8分);キラルHPLC(典型的には、95%e.e.);融点132〜134℃;1H NMR (400 MHz, d6-DMSO)d 7.19 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.21 (2H, d, J = 9.2 Hz), 7.10 (2H, d, J = 9.2 Hz), 6.95 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.88 (2H, d, J = 8.0 Hz), 6.59 (2H, d, J = 8.4 Hz), 4.10 (2H, t, J = 6.8 Hz), 3.25 (3H, s), 3.20 (1H, dd, J = 8.4, 6.0 Hz), 3.02 (1H, dd, J = 13.6, 8.8 Hz), 2.92 (2H, t, J = 6.8 Hz), 2.44-2.72 (5H, m), 1.13 (9H, s);13C NMR (100.6 MHz, d6-DMSO)d 173.86, 157.15, 155.71, 142.44, 138.39, 135.39, 130.84, 129.18, 128.95,128.45, 123.27, 115.45, 114.96, 68.63, 51.21, 49.93, 36.88, 34.80, 34.45, 32.65, 27.65;MS (ES+)534 (M+NH4+, 40%), 517 (M+H+, 27%), 471 (M-CO2H+, 100%)。
【0144】
実施例8
tert−ブチルアンモニウム(S)−(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)-オキシ]−フェノキシ}エチル)フェニル]プロパノアート
未精製のtert−ブチルアンモニウム2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)-オキシ]−フェノキシ}エチル)フェニル]プロパノアート(11.7g,19.8mmol)を、温かい無水エタノール(53.8mL)中で71℃〜で撹拌し、完全に溶解させた。得られた溶液を、1μmフィルターを通過させて第二の容器にスクリーニングし、続いて、温かいエタノール(4.7mL)でライン洗浄し、この溶液を60℃に冷却した。種結晶(60mg,0.5%w/w)をエタノール中の(0.5mL)スラリーとして添加し、この溶液を60℃で30分間保持し、その後0.1℃/分で51℃に冷却した。この溶液を51℃で3時間保持し、その期間にさらなる種結晶が形成された。このスラリーを0.1℃/分で46℃に冷却し、3時間保持した;次に、0.1℃/分で41℃に冷却し、3時間保持した;次に、0.1℃/分で31℃に冷却し、2時間保持した;次に、0.17℃/分で17℃に冷却し、少なくとも5〜6時間保持した。固体をろ過によって単離し、無水エタノール(11.7mL)で置き換えることによって洗浄し、真空オーブン中で50℃〜に乾燥させ、表題の化合物を白色の固体として得た(10.2g,87%)。HPLC(実行時間は9.8分);キラルHPLC(典型的には、98%e.e.);融点137〜139℃;MS (ES+)534 (M+NH4+, 20%), 517 (M+H+, 30%), 471 (M-CO2H+, 100%)。他のデータは上記の未精製の段階に関して記した通りである。
【0145】
実施例9
S)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}−エチル)−フェニル]−プロパン酸、および、そのtert−ブチルアンモニウム塩を得るためのラセミ化/再利用方法
(R)−メチル2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}エチル)フェニル]プロパノアートを、ラセミ化、加水分解および塩結晶化法で再利用し、さらなる2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}−エチル)−フェニル]−プロパン酸を以下のように提供した:
1,8ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)(1.5mL、10.2mmol)を、(R)−メチル2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}エチル)フェニル]プロパノアート(10.8g,20.4mmol)のトルエン(200mL)溶液に添加し、50℃で17時間撹拌した。この期間の後のキラルHPLC分析では、0%(±2)であった。水(22mL)を添加し、この溶液を40℃に冷却した。水酸化ナトリウム水溶液(32%w/wのものを2.9mL,30.5mmol)を添加し、この溶液を40℃で2時間撹拌した。水酸化ナトリウム溶液(1.0mL、10.2mmol)の第二の添加量を添加し、この溶液を40℃で1時間撹拌した。水酸化ナトリウム溶液(1.0mL、10.2mmol)の第三の添加量を添加し、この溶液を40℃で17時間撹拌し、その後20℃に冷却した。下部の水相を分離し、保持した;上部のトルエン相を捨てた。水相にMTBE(108mL)、続いて、硫酸水溶液(10%w/wのものを40mL,40.7mmol)を10分間撹拌しながら添加した。下部の水相を分離し、捨てた;上部の有機相を、水(39mL)で洗浄し、分離し、次に、大気圧での共沸蒸留により乾燥させ、残留した水を除去した(このスケールで、2.4mLが回収された)。乾燥させたMTBE溶液に、メタノール(19mL)、オルソギ酸トリメチル(6.7mL、61.1mmol)、および、濃硫酸(0.45mL、0.4mmol)を連続的に添加し、次に、17時間還流して加熱し、その後25℃に冷却した。水(22mL)、および、炭酸ナトリウム水溶液(10%w/wのものを21mL、20.4mmol)を添加し、5分間撹拌し、下部の水相を分離し、捨てた。有機相に水(39mL)を添加し、5分間撹拌し、沈殿させ、下部の水相を分離し、捨てた。この水での洗浄を繰り返した。ラセミ体のメチル2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}エチル)フェニル]−プロパノアートのMTBE溶液の体積を、蒸留によって〜5割に減少させた(すなわち54mL;この場合、蒸留物54mLを回収した)。tert−ブタノール/水(9:1の溶液を66mL、6.1体積部)の溶液を添加し、蒸留を続けて、さらに4体積部の蒸留物を除去し(この場合〜45mL)、その後20℃に冷却した。さらに1体積部のtert−ブタノール/水(9:1の溶液を11mL)、続いて、リポザイムRMIM(固定化酵素を1.08g,ラセミ体のエステルに対して10%w/w)を添加した。この反応混合物を、35℃に加熱し、〜30〜35%が変換されるまで16時間超、穏やかに撹拌した。上記酵素をろ過によって除去し、固体をtert−ブタノール/水(9:1の溶液を5mL)で洗浄した。tert−ブタノール/水の溶液中の(S)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}−エチル)−フェニル]−プロパン酸((S)−酸)の量をLCで分析し、それ以上精製しないで次の段階に用いた(LC分析により、溶液49mL中に(S)−酸が2.8g)。この酸を、実施例6で説明されているようにして、tert−ブチルアンモニウム(S)−(−)−2−{[2−(4−ヒドロキシ−フェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}エチル)−フェニル]プロパノアートに変換した。
収率(このスケールで21%のものが2.5g)。
キラルHPLC(典型的には95%e.e.)。
【0146】
実施例10
tert−ブチルアンモニウム2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}エチル)フェニル]プロパノアート(ラセミ体)
アンモニウム2−クロロ−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]フェノキシ}エチル)フェニル]−プロパノアート(90%,1.55g,25.0mmol)、および、2−(4−ヒドロキシフェニル)−エチルチオベンゾアート(98%,8.57g,32.5mmol,1.3当量)を、窒素下で反応容器に入れた。テトラヒドロフラン(THF)(60mL,5体積部)を添加し、この混合物を30℃に温めた。得られた懸濁液に、ナトリウムメトキシド(25%質量/体積,メタノール中)(17mL、74mmol,3当量)の溶液を0.25mL/分の速度で添加した。得られた灰色の懸濁液を、40℃に2時間加熱し、周囲温度で撹拌しないで一晩静置した。この混合物を40℃に再加熱し、反応の進行をHPLCによってモニターした。4時間後、97%が変換され、この混合物にトルエン(50mL,5体積部)と水(10mL,1体積部)を添加して反応を止め、この混合物の全てが2つの透明な相になるまで徹底的に撹拌した。下部の水相のpHを、塩酸(6Nのものを〜4mL)の添加によって〜12から〜10.0に調節し、この混合物を沈殿させた。下部の水相を分離し、保持した;トルエン相を水(10mL)で再抽出した。合わせた水相をトルエン(2回,10mL)で洗浄した(これにより、沈殿させた際に、3相:生成物を含む下部の油相、透明な中央の水相、上部のトルエン相が生じた)。下部の相を回収し、中央と上部の相を捨て、これを一晩静置した(HPLCで判断したところ分解は観察されなかった)。水相を6N塩酸の添加によってpH〜1.0に酸性化し、生成物をブチロニトリル(2×30mL,1×20mL)に抽出した。ブチロニトリル溶液を減圧下で共沸蒸留して(45℃,60mbar)乾燥させた。得られた透明な茶色の溶液(75mL,7.5体積部)を45℃で保持し、tert−ブチルアミン(2.9mL,27.5mmol,1.1当量)を添加し、その後、表題の材料の本物のサンプル(100mg)をシーディングした。得られた懸濁液が増粘したら、酢酸イソブチル(40mL)を入れ、この混合物を一晩沈殿させた。ろ過した後、ケークを、酢酸イソブチル(2×10mL)、1:1のイソヘキサン/酢酸イソブチル(20mL)、および、イソヘキサン(25mL)で洗浄した。生成物を真空中で40℃で乾燥させ、表題の化合物をオフホワイト色の固体として得た(13.41g,91%)。HPLC(実行時間は9.8分);融点125〜129℃。その他の物理的なデータおよびスペクトルデータは、上記で報告されているデータと一致した。
【0147】
実施例11
S−エチル2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}−エチル)−フェニル]−プロパンチオアート
ラセミ体の2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}−エチル)−フェニル]−プロパン酸(80%濃度のものを45g,8%wt/wt安息香酸を含む,70mmol)の酢酸エチル(225mL、5vol)の溶液を0〜5℃に冷却した。固体クロロメチレン−ジメチルアンモニウム塩化物(ビルスマイヤー試薬,95%濃度,20.6g,161mmol,2.3当量)を等量の4部にわけて1.5時間かけて添加し、0〜5℃の温度を維持した。得られた濁った混合物を同じ温度で2.5時間撹拌し、その後、水性リン酸緩衝液(pH7,200mL)中のエタンチオール(7.8mL,105mmol,1.5eq.)の氷冷した徹底的に撹拌した溶液を一滴ずつ添加した。pHを絶えずモニターし、32%NaOH溶液を同時に添加することによって6〜7.5に維持した。低温で30分間後、周囲温度で一晩バッチを温めた。有機相を分離し、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮し、粗生成物を茶色の油として得た(43.82g,114%)。未精製化合物をフラッシュクロマトグラフィー(20:80〜50:50のEtOAc:イソヘキサン;シリカ)で精製し、表題の化合物を薄い黄色の油として得た(31.5g,81%)。HPLC(実行時間は11.6分);融点 油;1H NMR (400 MHz, d6-DMSO)d 9.19 (1H, s), 7.18-7.28 (4H, m), 7.14 (2H, d, J = 8.1 Hz), 7.00-6.94 (4H, m), 6.65 (2H, d, J = 8.4 Hz), 4.15 (2H, t, J = 6.8 Hz), 3.87-3.83 (1H, m), 3.29 (3H, s), 3.08 (1H, dd, J = 14.0, 8.4 Hz)2.98 (2H, t, J = 6.8 Hz), 2.87 (1H, dd, J = 14.0, 7.0 Hz), 2.80-2.67 (4H, m), 2.66-2.60 (2H, m), 1.08 (3H, t, J = 7.2 Hz);13C NMR (100.6 MHz, d6-DMSO)d 198.14, 157.15, 155.73, 142.45, 136.37, 135.52, 130.14, 129.34, 129.22, 129.07, 123.28, 115.39, 115.04, 68.51, 55.29, 37.14, 36.88, 34.41, 34.34, 32.78, 22.98および14.53。
【0148】
以下の類似のチオールエステルを、上述の方法を用いて、または、多少改変して用いて製造した:
【0149】
【表1】

【0150】
実施例12
メチル2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]−フェノキシ}エチル)フェニル]プロパノアートの分解
ラセミ体のメチル2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]−フェノキシ}エチル)フェニル]プロパノアート(0.4g)を、9:1のt−BuOH−水(70mL)に溶解させた。このストック溶液をスクリーニング反応のために1mLのアリコートに分けた。5〜10mgの生体触媒を添加し、この反応液を40℃に温度調節し、300rpmの環状の振盪機で温めた。反応の経過を逆相HPLCで追って、実験し得る変換率を示したら、キラルHPLCでさらに解析した。有望な変換を示した生体触媒を以下に列挙する。加水分解を触媒した酵素はいずれも(S)選択的であった。
【0151】
【表2】

【0152】
(S)−酸は、(S)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}−エチル)−フェニル]−プロパン酸のことである。
【0153】
実施例13
メチル2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]−フェノキシ}エチル)フェニル]プロパノアートのエステル交換反応
ラセミ体のメチル2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]−フェノキシ}エチル)フェニル]プロパノアート(0.1g)を、1:1のt−ブチルメチルエーテル(TBME)−n−BuOH(3%v/vの水を含む)に溶解させた。この溶液に、ムコール・ミーヘイ由来のリパーゼ触媒(ロシュ(Roche)L9C−2;5mg)を添加し、この混合物を40℃に温めた。2日後、HPLCにより、45%のn−ブチル(S)−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}−エチル)−フェニル]−プロパノアートへの変換が示された。
【0154】
実施例14
2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)オキシ]−フェノキシ}エチル)フェニル]プロパノアートの加水分解のラセミ体のチオエステル
ラセミ体のS−エチル2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}−エチル)−フェニル]−プロパンチオアートの溶液を、9:1のt−BuOH−水中、〜20mg/mlの濃度で製造した。このストック溶液を1mLのアリコートに分け、5〜10mgの生体触媒を添加し、40℃に温度調節し、300rpmの環状の振盪機で反応液を温めた。この反応液を逆相HPLCで処理し、許容できる程度の変換を示した反応を100mg/mlの濃度で繰り返した。有望な活性を示した生体触媒を以下に列挙する。加水分解を触媒した酵素はいずれも(S)選択的であった。
【0155】
【表3】

【0156】
実施例15
シュードモナス・セパシア由来のリパーゼPS−Sを用いたラセミ体のエチルチオエステルの分解
ラセミ体のS−エチル2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}−エチル)−フェニル]−プロパンチオアート(20mg)を、9:1のtert−ブタノール(t−BuOH)−水に溶解させ、リパーゼPS−S(4mg)を添加した。この反応液を、300rpmの環状の振盪機で40℃に温めた。この反応液を、逆相およびキラルHPLCによってモニターした。18時間後に、エステルの酸への変換率は29%であり、酸は100:0の(S)−(R)比率を示した。トリオクチルアミンのアリコート(15μL)を添加して、残留したエステルをラセミ化し、この反応液のモニターを続けた。さらに48時間後、エステルの酸への変換率は72%であり、ここでも酸は100:0の(S):(R)比率を示した。追加量のトリオクチルアミン(15μL)を添加した。さらに18時間後に、エステルの酸への変換率は〜80%であり、酸は100:0の(S):(R)比率を示した。
【0157】
実施例16a
セラミック上でシュードモナス・セパシアCLEC、および、シュードモナス・セパシアを用いた、ラセミ体のS−エチル2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}−エチル)−フェニル]−プロパンチオアートの脱ラセミ化
ラセミ体のS−エチル2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}−エチル)−フェニル]−プロパンチオアート(200mg)を、9:1のt−BuOH−水(4mL)に溶解させた。この溶液に、トリオクチルアミン(48.3μL)を添加した。この溶液を1mLのアリコートに分けた。
【0158】
一方の容器に、シュードモナス・セパシアCLEC(11mg)を添加し;第二の容器に、セラミック粒子(アマノPS−C(Amano PS−C))上でシュードモナス・セパシア(40mg)を添加した。バックグラウンドの加水分解速度を評価するために、コントロールとして第三の容器を生体触媒を添加しないで維持した。この反応液を38℃に温度調節し、300rpmの環状の振盪機に置いた。6日目に、各反応液に追加量のトリオクチルアミン(15μL)を添加した。この反応液を、逆相およびキラルHPLCによってモニターした。
【0159】
【表4】

【0160】
実施例16b
シュードモナス・セパシア粉末を用いた、ラセミ体のS−エチル−2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}−エチル)−フェニル]−プロパンチオアートの脱ラセミ化
ラセミ体のS−エチル2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}−エチル)−フェニル]−プロパンチオアート(20mg)を、9:1のt−BuOH−水(1mL)に溶解させた。この溶液に、シュードモナス・セパシア由来のリパーゼ粉末(5mg,アマノPS−S)を添加した。この反応液を38℃に温度調節し、300rpmの環状の振盪機に置いた。18時間後に、トリオクチルアミン(15μL、34.2μmol)を添加した。3日後に、追加量のトリオクチルアミンを添加し;さらに、6日目に再度添加した。この反応液を、逆相およびキラルHPLCによってモニターした。
【0161】
【表5】

【0162】
実施例17
ラセミ体のS−エチル2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}−エチル)−フェニル]−プロパンチオアートのエステル交換反応
ラセミ体のS−エチル2−{[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]チオ}−3−[4−(2−{4−[(メチルスルホニル)−オキシ]−フェノキシ}−エチル)−フェニル]−プロパンチオアート(20mg)を、1:1のtert−ブチルメチルエーテル:n−ブタノール(1mL;+3%水、+触媒性のトリオクチルアミン)に溶解させた。この溶液に、セラミック粒子(アマノPS−C)上でシュードモナス・セパシアCLEC、または、シュードモナス・セパシアのいずれかを添加した。この反応液を38℃に温度調節し、300rpmの環状の振盪機に置いた。この反応液を、逆相およびキラルHPLCによってモニターした。14日間後、それに対応するブチルオキソエステルが、それぞれ76%および60%の変換率、95:5を超えるe.r.で生成した;いくつかの酸もまた、〜10%収率、100:0のe.r.で生成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、Rは、クロロ、フルオロまたはヒドロキシを示す)
で示されるエナンチオマー的に富化された化合物、および、それらの製薬上許容できる塩の製造方法であって、式II:
【化2】

(式中、Rは、最初に定義された通りであり、Xは、OまたはSであり、Rは、C1〜10アルキル基、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル基、アリール、アリールC1〜6アルキレン基であり、追加のヘテロ置換を含んでもよいし、または、含まなくてもよい)
で示される化合物を、a)XがOの場合、ムコール・ミーヘイ(Mucor miehei)由来のリパーゼ、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)由来のリパーゼ、カンジダ・シリンドラシア(Candida cylindracia)由来のリパーゼ、サーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginose)由来のリパーゼ、ムコール・ジャバニカス(Mucor javanicus)由来のリパーゼ、および、リゾプス・デレマー(Rhizopus delemar)由来のリパーゼから選択される酵素で、または、b)XがSの場合、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)由来のリパーゼで、反応媒体の存在下で、10〜60℃の範囲の温度で加水分解することを含む、上記方法。
【請求項2】
式I:
【化3】

(式中、Rは、クロロ、フルオロまたはヒドロキシを示す)
で示されるエナンチオマー的に富化された化合物、および、それらの製薬上許容できる塩の製造方法であって、式II:
【化4】

(式中、Rは、最初に定義された通りであり、Xは、Oであり、Rは、C1〜10アルキル基である)
で示される化合物を、XがOの場合、ムコール・ミーヘイ由来のリパーゼ、カンジダ・ルゴサ由来のリパーゼ、カンジダ・シリンドラシア由来のリパーゼ、サーモマイセス・ラヌギノーサ由来のリパーゼ、ムコール・ジャバニカス由来のリパーゼ、および、リゾプス・デレマー由来のリパーゼから選択される酵素で、反応媒体の存在下で加水分解することを含む、上記方法。
【請求項3】
式I:
【化5】

(式中、Rは、クロロ、フルオロまたはヒドロキシを示す)
で示されるエナンチオマー的に富化された化合物、または、それらの製薬上許容できる塩の製造方法であって、式II:
【化6】

(式中、Rは、最初に定義された通りであり、XはSであり、Rは、C1〜10アルキル基である)
で示される化合物を、シュードモナス・セパシア由来のリパーゼで、反応媒体の存在下で加水分解することを含む、上記方法。
【請求項4】
式III:
【化7】

で示される化合物、または、それらの製薬上許容できる塩の製造方法であって、式IV:
【化8】

(式中、Rは、請求項1で定義された通りである)
で示される化合物を、ムコール・ミーヘイ由来のリパーゼ、カンジダ・ルゴサ由来のリパーゼ、カンジダ・シリンドラシア由来のリパーゼ、サーモマイセス・ラヌギノーサ由来のリパーゼ、ムコール・ジャバニカス由来のリパーゼ、および、リゾプス・デレマー由来のリパーゼから選択されるリポザイムと、反応媒体中で反応させることを含む、上記方法。
【請求項5】
式III:
【化9】

で示される化合物、または、それらの製薬上許容できる塩の製造方法であって、式V:
【化10】

(式中、Rは、請求項1で定義された通りである)
で示される化合物を、シュードモナス・セパシア由来のリパーゼと、反応媒体中で反応させることを含む、上記方法。
【請求項6】
式II:
【化11】

(式中、Rは、クロロ、フルオロまたはヒドロキシを示し、Xは、OまたはSを示し、Rは、C1〜6アルキル基、C2〜6アルケニル基、または、フェニルC1〜6アルキル基を示す)
で示されるエナンチオマー的に富化された化合物の製造方法であって、式II:
【化12】

(式中、Rは、最初に定義された通りであり、Xは、OまたはSであり、Rは、C1〜6アルキル、または、ハロアルキルであり、アルケン不飽和を含んでもよいし、または、含まなくてもよい)
で示される化合物を、a)XがOの場合、ムコール・ミーヘイ由来のリパーゼ、カンジダ・ルゴサ由来のリパーゼ、サーモマイセス・ラヌギノーサ由来のリパーゼ、ムコール・ジャバニカス由来のリパーゼ、および、リゾプス・デレマー由来のリパーゼから選択される酵素で、または、b)XがSの場合、シュードモナス・セパシア由来のリパーゼで、C1〜6アルカノール基、C2〜6アルケノール基、または、フェニルC1〜6アルカノール基それぞれの存在下で、任意に反応媒体の存在下で、10〜50℃の範囲の温度でトランスエステル化することを含む、上記方法。
【請求項7】
式IVa:
【化13】

(式中、Xは、OまたはSであり、Rは、C1〜6アルキル、または、ハロアルキルを示し、アルケン不飽和を含んでもよいし、または、含まなくてもよい)
で示されるエナンチオマー的に富化された化合物の製造方法であって、式IVb:
【化14】

(式中、Rは、C1〜2アルキル基である)
で示される化合物を、CLECシュードモナス・セパシア由来のリパーゼで、n−ブタノールの存在下で、塩基の存在下で(該塩基は、液体、または、固体で支持された形態のいずれかとして)、任意に反応媒体の存在下で、10〜50℃の範囲の温度でトランスエステル化することを含む、上記方法。
【請求項8】
式Iで示される化合物の製造方法であって、
a)式VI:
【化15】

で示される化合物と、式VII:
【化16】

(式中、Rは、C1〜6アルキル基を示し、Rは、p−トリルを示す)
で示される化合物とを、不活性溶媒中で、塩基の存在下で、0℃〜150℃の範囲の温度で反応させて、式VIII:
【化17】

(式中、Rは、最初に定義された通りである)
で示される化合物を得る工程、
b)式VIIIで示される化合物と、酸HAとを反応させ(ここで、HAは、HCl、HBr、または、トリフルオロ酢酸を示す)、式IX:
【化18】

(式中、HAは、最初に定義された通りである)
で示される塩を得る工程、
c)塩酸の存在下で式IXで示される化合物をジアゾ化して、−5℃〜10℃の範囲の温度でジアゾニウム塩溶液を得て、このジアゾニウム塩溶液と、アクリル酸とを、水性反応媒体中で、任意に触媒の存在下で反応させ、得られた生成物とアンモニアとを反応させ、式X:
【化19】

で示される化合物を得る工程、
d)式Xで示される化合物を、酸、続いて式ROHで示されるアルコールと、任意に水を捕獲する系の存在下で反応させ、式XI:
【化20】

(式中、Rは、請求項1で定義された通りである)
で示される化合物を得る工程、
e)式XIで示されるエステルと、式XII:
【化21】

(式中、Rは、請求項1で定義された通りであり、Rは、メチルまたはフェニルである)
で示される化合物とを、塩基の存在下で反応させ、式XIII:
【化22】

(式中、R、RおよびXは、請求項1で定義された通りである)
で示される化合物を得る工程、および、
f)式XIIIで示される化合物を、a)XがOの場合、ムコール・ミーヘイ由来のリパーゼ、カンジダ・ルゴサ由来のリパーゼ、カンジダ・シリンドラシア由来のリパーゼ、サーモマイセス・ラヌギノーサ由来のリパーゼ、ムコール・ジャバニカス由来のリパーゼ、および、リゾプス・デレマー由来のリパーゼから選択される酵素と、または、b)XがSの場合、シュードモナス・セパシア由来のリパーゼと、適切な反応媒体中で、10〜50℃の範囲の温度反応させ、式I:
【化23】

で示されるエナンチオマー的に富化された化合物を得る工程、ならびに、
g)任意に、式Iで示される化合物と、tert−ブチルアミンとを、適切な反応媒体中で反応させ、式Iで示される化合物のtert−ブチルアンモニウム塩を得る工程、
を含む、上記方法。
【請求項9】
短縮された方法であって、
a)式X:
【化24】

で示される化合物を、酸、続いて式ROHで示されるアルコールと、任意に水を捕獲する系の存在下で反応させ、式XI:
【化25】

(式中、Rは、請求項1で定義された通りである)
で示される化合物を得る工程、
b)式XIで示されるエステルと、式XII:
【化26】

(式中、Rは、請求項1で定義された通りであり、Rは、メチルまたはフェニルである)
で示される化合物とを、塩基(例えばナトリウムメトキシド)の存在下で反応させ、式XIII:
【化27】

(式中、R、RおよびXは、請求項1で定義された通りである)
で示される化合物を得る工程、および、
c)式XIIIで示される化合物を、a)XがOの場合、ムコール・ミーヘイ由来のリパーゼ、カンジダ・ルゴサ由来のリパーゼ、カンジダ・シリンドラシア由来のリパーゼ、サーモマイセス・ラヌギノーサ由来のリパーゼ、ムコール・ジャバニカス由来のリパーゼ、および、リゾプス・デレマー由来のリパーゼから選択される酵素と、または、b)XがSの場合、シュードモナス・セパシア由来のリパーゼと、適切な反応媒体中で、10〜50℃の範囲の温度反応させ、式I:
【化28】

で示されるエナンチオマー的に富化された化合物を得る工程、ならびに、
d)任意に、式Iで示される化合物と、tert−ブチルアミンとを、適切な反応媒体中で反応させ、式Iで示される化合物のtert−ブチルアンモニウム塩を得る工程、
を含む、上記方法。
【請求項10】
式IIa:
【化29】

で示される化合物であって、式中、
i)XがOであり、Rがエチルである場合、
ii)XがOであり、Rがn−プロピルである場合、
iii)XがOであり、Rがn−ブチルである場合、
iv)XがSであり、Rがメチルである場合、
v)XがSであり、Rがエチルである場合、
vi)XがSであり、Rがn−プロピルである場合、または、
vii)XがSであり、Rがn−ブチルである場合、
viii)XがSであり、Rがn−ヘキシルである場合、
ix)XがSであり、Rがn−オクチルである場合;
は、それぞれの化合物の(R)エナンチオマーおよび(S)エナンチオマー、ならびに、(R)エナンチオマーおよび(S)エナンチオマーのあらゆる混合物を含み、例えばラセミ体の形態の化合物を含み、
x)XがOであり、Rはメチルである場合、(S)型および(R)型を含む、上記化合物。
【請求項11】
式VIII:
【化30】

(式中、Rは、C1〜6アルキル基を示す)
で示される化合物。
【請求項12】
式IX:
【化31】

で示される化合物、および、それらの塩。
【請求項13】
式X:
【化32】

で示される化合物
【請求項14】
式XI:
【化33】

(式中、Rは、エチル、n−プロピル、または、n−ブチルである)
で示される化合物。
【請求項15】
式XII:
【化34】

(式中、Rは、請求項1で定義された通りである)
で示される化合物。
【請求項16】
式XIII:
【化35】

(式中、R、RおよびXは、請求項1で定義された通りである)
で示される化合物。
【請求項17】
式XIV:
【化36】

で示される化合物。

【公表番号】特表2008−523797(P2008−523797A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546171(P2007−546171)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004800
【国際公開番号】WO2006/064213
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】