説明

化粧料

【課題】
本発明は、乳化安定化に優れ、使用感触を向上し、マット感を付与する効果に優れる化粧料を提供する。
【解決手段】
(a)球状ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate)に、アクリル酸塩(Sodium acrylate)と(b)アクリロイルジメチルタウリン塩(Sodium acryloyl dimethyl taurate)との共重合体を付加させたポリマーを含有する化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料に関し、更に詳しくは乳化安定化に優れ、使用感触が良く、マット感を付与する効果に優れる化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポリメタクリル酸メチルやナイロン、オルガノポリシロキサンなどの球状ポリマーを配合することによって、のびが軽く、さっぱりとした感触の化粧料が開発されている(特許文献1、2)。しかしながらこの方法では、上記の粒子は疎水性であることから油相にしか分散できない為、用途が限られるという問題点があった。
【0003】
【特許文献1】特開平6−279235号公報
【特許文献2】特開平8−310915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、乳化安定化に優れ、水相にも分散可能であり、使用感触を向上し、マット感を付与する効果に優れる化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、(a)球状ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate)に、(b)アクリル酸塩(Sodium acrylate)とアクリロイルジメチルタウリン塩(Sodium acryloyl dimethyl taurate)との共重合体を付加させたポリマーを配合することで、化粧料の乳化を安定化し、使用感触を向上させ、マット感を付与することが出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、
(a)球状ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate)に、(b)アクリル酸塩(Sodium acrylate)とアクリロイルジメチルタウリン塩(Sodium acryloyl dimethyl taurate)との共重合体を付加させたポリマーを含有することを特徴とする化粧料である。
また、本発明は、成分(a)球状ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate)の平均粒子径が1μm〜500μmである、前記化粧料である。
また、本発明は、成分(b)アクリル酸塩(Sodium acrylate)とアクリロイルジメチルタウリン塩(Sodium acryloyl dimethyl taurate)との共重合体を付加させたポリマーにおいて、アクリル酸塩とアクリロイルジメチルタウリン塩の組成比がモル比で1:99〜99:1、平均分子量が1000〜1000000である前記化粧料である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の化粧料は、乳化安定化に優れ、使用感触を向上し、マット感を付与する効果優れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明について詳述する。
本発明に用いられるポリマーは、(a)球状ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate)に、(b)アクリル酸塩(Sodium acrylate)とアクリロイルジメチルタウリン塩(Sodium acryloyl dimethyl taurate)との共重合体を付加させたものである。
【0009】
本発明に用いられる成分(a)球状ポリメチルメタクリレートは、メチルメタクリレートを重合させて球状に調整したものである。平均粒子径は、1μm〜500μmであることが好ましい。PMMA粉末の市販品としては、例えばマイクロスフェアーM、マイクロスフェアーM−100、マイクロスフェアーM−306(いずれも松本油脂製薬株式会社製)等がある。
【0010】
成分(a)は、本発明のポリマー全量中に5〜90質量%含有されることが好ましい。
【0011】
本発明に用いられる成分(b)アクリル酸塩(Sodium acrylate)とアクリロイルジメチルタウリン塩(Sodium acryloyl dimethyl taurate)との共重合体は、アクリル酸塩とアクリロイルジメチルタウリンのモル比が1:95〜95:1、平均分子量が1000〜1000000であることが好ましい。
市販品としては、例えば、SIMULGEL EG(セピック社製)等がある。
【0012】
成分(a)は、本発明のポリマー全量中に5〜95質量%含有されることが好ましい。
【0013】
(a)球状ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate)に、(b)アクリル酸塩(Sodium acrylate)とアクリロイルジメチルタウリン塩(Sodium acryloyl dimethyl taurate)との共重合体を付加させたポリマーとして、例えば、市販品としては、SEPISOFT SP(セピック社)等が挙げられる。
該ポリマーの配合量は、本発明の化粧料全量中に0.01〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%であり、最も好ましくは0.5〜5質量%である。0.01質量%未満では、効果が十分出ない場合があり、50質量%を超えて配合しても本発明の効果がさらに向上するものではない。
【0014】
本発明に用いられるポリマーは両親媒性を有し、乳化化粧料を安定化する効果に優れる。また、光の散乱効果により、皮膚や毛髪等に本発明の化粧料を塗布すると、マット感が得られる。また、球状の形体によってさらさら感等の使用感触が向上する。
【0015】
本発明の化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、前記必須成分のほかに、通常化粧料に基剤として配合される水、油分、顔料、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、美白剤、抗炎症剤、各種抽出物や、化粧料を修飾する成分として防腐剤、香料、キレート剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を配合することができる。
【0016】
本発明の化粧料としては、例えば、クリーム、乳液、化粧水、ジェル、パック、マスク等のスキンケア製品、パーマ剤、染毛剤、ブリーチ、セット剤、育毛剤等のヘアケア製品、アイライナー、マスカラ、アイブロー、リップライナー、ファンデーション、化粧下地等のメーキャップ製品、シャンプー、リンス、ボディーソープ、洗顔料等の洗浄用製品、制汗剤等が挙げられる。これらの化粧料は常法に従って製造することができる。
【実施例】
【0017】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによってなんら限定されるものではない。なお、配合量は特記しない限りすべて質量%である。まず初めに、本実施例で用いた試験方法、評価方法について説明する。
【0018】
(1)乳化安定性
後に示す処方に基づいて試験品を調整し、25℃において、乳化の状態を目視により評価した。
◎:乳化直後も1週間後も、分離が見られず安定だった。
○:乳化直後は安定だが、1週間後に分離が見られた。
△:乳化直後から、分離が起こった。
×:乳化しなかった。
【0019】
(2)使用感触(さらさら感)
肌のさらさら感の有無を専門パネラー10名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
◎…専門パネラー8名以上が、さらさら感があると認めた。
○…専門パネラー6名以上8名未満が、さらさら感があると認めた。
△…専門パネラー3名以上6名未満が、さらさら感があると認めた。
×…専門パネラー3名未満が、さらさら感があると認めた。
【0020】
(3)マット感
マット感の有無を専門パネラー10名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
◎…専門パネラー8名以上が、マット感があると認めた。
○…専門パネラー6名以上8名未満が、マット感があると認めた。
△…専門パネラー3名以上6名未満が、マット感があると認めた。
×…専門パネラー3名未満が、マット感があると認めた。
【0021】
【表1】

【0022】
結果から分かるように、試験例1、2では乳化安定性、さらさら感が良好で、さらにマット感を付与する化粧料を得ることが出来た。一方、試験例3〜6は乳化安定性が悪くなり、且つ試験例5ではさらさら感、及びマット感に劣り、試験例6ではマット感に劣る結果となった。
【0023】
以下、さらに本発明の処方例を示す。なお、配合量は特記しない限りすべて質量%である。
【0024】
処方例1 O/W型乳液
ジメチルポリシロキサン 2.0
ベヘニルアルコール 1.0
バチルアルコール 0.5
グリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 7.0
エリスリトール 2.0
硬化油 3.0
スクワラン 6.0
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 2.0
イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 1.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 1.0
水酸化カリウム 適量
ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
フェノキシエタノール 適量
SEPISOFT SP(セピック社) 3.0
精製水 残余
【0025】
処方例2 おしろい
アルキル変性シリコン樹脂被覆雲母チタン 25.0
アルキル変性シリコン樹脂被覆タルク 残余
アルキル変性シリコン樹脂被覆セリサイト 30.0
雲母チタン 15.0
ムクロジエキス 0.01
麻セルロース末 0.1
SEPISOFT SP(セピック社) 5.0
【0026】
処方例3 ボディーソープ
ラウリル硫酸ナトリウム 3.0
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 10.0
グリセリン 2.0
ポリオキシエチレン(25)ポリオキシプロピレングリコール(30) 0.5
ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 2.0
クエン酸 0.1
ヨモギエキス 0.1
シャクヤクエキス 0.1
人参エキス 0.1
クチナシエキス 0.1
安息香酸ナトリウム 適量
エデト酸3ナトリウム 適量
SEPISOFT SP(セピック社) 0.5
精製水 残余
香料 適量
【0027】
処方例4 サンスクリーン
デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
エタノール 5.0
イソステアリルアルコール 2.0
ジプロピレングリコール 3.0
イソステアリン酸 2.0
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5.0
2−エチルヘキサン酸セチル 2.0
デキストリン脂肪酸エステル被覆微粒子酸化チタン(40nm) 2.0
塩化ナトリウム 2.0
エデト酸3ナトリウム 適量
ユビナールT−150(BASF社製) 1.0
4−t−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン 1.0
パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 7.5
カルボキシメチルセルロースNa 0.5
エチルセルロ−ス 1.0
SEPISOFT SP(セピック社) 5.0
精製水 残余
香料 適量
【0028】
処方例5 ジェル
グリセリン 2.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
水酸化カリウム 0.1
魚類コラーゲン 20.0
エデト酸−3Na 0.05
カルボキシビニルポリマー 0.25
パラオキシ安息香酸エステル 適量
SEPISOFT SP(セピック社) 1.0
精製水 残余
【0029】
処方例6 化粧水
グリセリン 2.0
1,3−ブチレングリコール 4.0
エリスリトール 1.0
ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
クエン酸 0.02
クエン酸ナトリウム 0.08
フェノキシエタノール 適量
N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸 0.1
SEPISOFT SP(セピック社) 0.5
精製水 残余
【0030】
処方例7 アイシャドー
ベンガラ被覆雲母チタン 30.0
タルク 残余
マイカ 15.0
δ−トコフェロール 0.02
パラオキシ安息香酸エステル 適量
色素 適量
ケイ酸アルミニウムマグネシウム 3.0
香料 適量
架橋型シリコーン末 5.0
ポリアクリル酸アルキル 10.0
金属石けん処理タルク 10.0
SEPISOFT SP(セピック社) 5.0
【0031】
処方例8 ファンデーション(固形)
ジメチルポリシロキサン 5.0
イソステアリン酸 0.5
リンゴ酸ジイソステアリル 3.0
トリ2−エチルヘキサンサングリセリル 1.0
セスキイソステアリン酸ソルビタン 1.0
球状PMMA被覆雲母 6.0
プリズムトーンパウダーYR 1.0
微粒子酸化亜鉛 0.5
微粒子酸化チタン 2.0
合成金雲母 2.0
金属石鹸処理タルク 8.0
球状シリカ 5.0
ビタミンEアセテート 0.1
δートコフェロール 0.1
エチルパラベン 適量
トリメトキシ桂皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル 1.0
パラメトキシ桂皮酸2−エチルへキシル 3.0
球状ポリアクリル酸アルキル粉末 3.0
SEPISOFT SP(セピック社) 3.0
メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆タルク 残余
メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆セリサイト 20.0
メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆酸化チタン 15.0
メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆顔料(色剤) 5.0
【0032】
処方例9 マスカラ
メチルポリシロキサンエマルション 適量
エタノール 5.0
イソプロパノール 3.0
グリセリン 3.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
無水ケイ酸 1.0
ベンガラ被覆雲母チタン(パール剤) 9.0
強アンモニア水 0.1
メタリン酸ナトリウム 0.1
加水分解コムギタンパク 0.1
パラオキシ安息香酸エステル 適量
デヒドロ酢酸ナトリウム 適量
黒酸化鉄(顔料) 1.0
キサンタンガム 1.0
ケイ酸アルミニウムマグネシウム 2.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0
アクリル酸アルキル共重合体エマルション 9.0
SEPISOFT SP(セピック社) 1.0
精製水 残量
【0033】
処方例10 シャンプー
ジメチルポリシロキサン 1.5
ジプロピレングリコール 3.0
ジステアリン酸エチレングリコール 2.0
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 2.0
ラウロイルメチルタウリンナトリウム 0.1
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム 7.5
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン 3.5
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 3.5
マーコート550(カルゴン社製) 7.0
SEPISOFT SP(セピック社) 0.5
クエン酸 0.01
L−グルタミン酸 0.2
塩化ナトリウム 1.0
安息香酸ナトリウム 適量
エデト酸2ナトリウム 適量
水酸化ナトリウム 0.01
精製水 残余
香料 適量
【0034】
処方例11 洗顔料
D−マンニット 残余
ヤシ油脂肪酸エチルエステルスルホンサンナトリウム 10.0
ラウロイルメチルタウリンナトリウム 1.0
N−ミリストイル−L−グルタミン酸カリウム 9.8
N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 20.0
ポリマーJR−400(ユニオンカーバイド社製) 0.2
タルク 10.0
SEPISOFT SP(セピック社) 0.2
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.2
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
トリメチルグリシン 0.1
クララエキス 適量
ユキノシタエキス 適量
シソエキス 適量
【0035】
処方例12 セルフタンニング剤
ジメチルポリシロキサン 5.0
C12 - C15アルキルベンゾエート 10.0
グリセリン 3.0
プロピレングリコール 2.0
ジヒドロキシアセトン 5.0
SEPISOFT SP(セピック社) 1.0
クエン酸 適量
水 74%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)球状ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate)に、(b)アクリル酸塩(Sodium acrylate)とアクリロイルジメチルタウリン塩(Sodium acryloyl dimethyl taurate)との共重合体を付加させたポリマーを含有することを特徴とする化粧料。
【請求項2】
成分(a)球状ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate)の平均粒子径が、1μm〜500μmである、請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
成分(b)アクリル酸塩(Sodium acrylate)とアクリロイルジメチルタウリン塩(Sodium acryloyl dimethyl taurate)との共重合体を付加させたポリマーにおいて、アクリル酸塩とアクリロイルジメチルタウリン塩の組成比がモル比で1:99〜99:1、平均分子量が1000〜1000000である、請求項1記載の化粧料。

【公開番号】特開2010−132567(P2010−132567A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307294(P2008−307294)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】