説明

化粧料

【課題】フラーレン(ラジカルスポンジ)、ダーマキシル、マトキシル(パルミトイルペンタペプチド−3)、アルジルリン(アセチルヘキサペプチド−8)、ヒアルロン酸等の高価な新化粧料素材の使用量を抑えながらも、それら新素材の特性を生かしつつ、かつ、それら新素材を単独使用した場合と同等以上効果を発揮する化粧料を提供することである。
【解決手段】これら新化粧料素材とともに、ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ヨクイニンエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス、マンゴー果実エキス及びシラカバ樹皮エキスから選ばれる3種以上の特定の生薬類エキスを配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラーレン(ラジカルスポンジ)、ダーマキシル、マトキシル(パルミトイルペンタペプチド−3)、アルジルリン(アセチルヘキサペプチド−8)及びヒアルロン酸からなる群から選ばれる1種以上の有効成分を含有する化粧料において、さらに、ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ヨクイニンエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス、マンゴー果実エキス及びシラカバ樹皮エキスから選ばれる3種類以上の生薬類エキスを配合してなる化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
肌の保湿、美白、潤い、ハリ、シワの改善等を目的として化粧料に生薬類エキスを配合することは知られている。しかしながら、生物学的乃至ヒト肌をもって実験をおこなったデータを根拠としてその効果を実証した発表は少ない。特に、学会における論文や製造会社による知見データは、その大半が、原料単体を用いて得られたものであって、複数の生薬類エキスを配合したことによる効果を実験的に確認したデータの発表は少ない。
【0003】
化粧料には、周知のとおり、乳化成分(活面活性剤)、安定化成分、保湿成分、美白成分、収斂成分、角質柔軟成分、紫外線防御成分、防腐・殺菌成分、消炎成分等、その目的用途に応じて様々な成分・素材が用いられている。また、その使用目的に応じて、基礎化粧品(スキンケア)、化粧水、乳液、洗顔料、クリーム、仕上げ化粧品(メイキップ)、ファンデーション、眉墨(アイブロー)、マスカラ、アイシャドウ、アイライン、口紅、グロス、頬紅(チーク)、白粉、マニキュアなど様々な化粧料が知られている。
【0004】
さらに、近年は化粧料成分としての新素材の開発も盛んであり、フラーレン(ラジカルスポンジ)、ダーマキシル、マトキシル(パルミトイルペンタペプチド−3)、アルジルリン(アセチルヘキサペプチド−8)、ヒアルロン酸等の新化粧料素材を配合した化粧品が知られるようになった。
【0005】
このうち、フラーレンは、炭素原子が球状のネットワーク構造を成している化合物であり、C60が代表的である。フラーレンは、ビタミンCの125倍の抗酸化力を有することから肌の老化抑制作用や肌の細胞死抑制作用があることから、しわの予防、肌の老化防止の効果が期待され、メラニンの抑制効果もあることから、美白効果も期待される。また、化粧料の配合剤として、肌の乾燥の防止、毛穴の引き締め、メラニンの抑制、肌に対してつや・ハリ等の効果があるとの報告もなされている。
【0006】
ダーマキシルは、バルミトイルオリゴペプチドでありエラスチンの産生を促進する作用を有する。したがって、ダーマキシルは、角質層のバリアを補強することで皮膚の保湿を促し、真皮の細胞間質を活性化することでシワを目立たなくする働きがある。
【0007】
マトキシルは、リジン、スレオニン、セリンのアミノ酸からなるパルミトイルペンタペプチド-3であって、皮膚の真皮に浸透し線維芽細胞を刺激してコラーゲンやヒアルロン酸の合成を促進させ、皮膚細胞間物質の合成を促進して皮膚の再生を促す効果が期待される。
【0008】
アルジルリンは、アセチルヘキサペプチド−8であり、筋肉を収縮させる神経伝達物質カテコールアミンの放出を押さえることでシワを消す作用を有するといわれている。したがって、アルジルリンは、目じりの笑いジワ・眉間のしわ・額の横ジワ等の表情ジワの原因となる表情筋の動き・緊張を緩和することで、表情ジワの改善を図るといわれている。また、アルジルリンは、分子量が小さいので容易に経皮に吸収され、神経組織の先端部にあるシナプス内に取り込まれ、神経伝達物質の量を抑えることができる。
【0009】
ヒアルロン酸は、真皮に多く含まれ、水分を保持する機能を有する。ヒアルロン酸を多く含む肌は、みずみずしく張りがある。
【0010】
これら新化粧料素材は、いずれも、肌の保湿、美白、潤い、ハリ・シワ等の改善機能を有するものであり、それぞれの素材を単品で用いたデータ等は多く報告されているが、これら新化粧料素材と特定の生薬類エキスとの共配合による効果を実証するようなデータの報告は見受けられない。更には、これら新規素材は高価であることから、期待される効果を発揮するのに十分な量の新規素材を用いた場合、非常に高価な化粧料となり問題があった。
【0011】
一部のこれら新化粧料素材、例えば、ヒアルロン酸については生薬類エキスとの併用が知られている。しかしながら、これらは下記(1)や(2)に記載するとおり2種類の生薬類エキスとの併用であったり、あるいは汎用性の一般的なエキスとの併用であって、ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ヨクイニンエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス、マンゴー果実エキス又はシラカバ樹皮エキスから選ばれる3種類以上のエキスの組合せを示唆するような報告はない。
(1)ヒアルロン酸とセンブリエキスまたは朝鮮ニンジンエキスを含有することを特徴とする養毛化粧料。(特許文献1参照)
(2)水分と洗浄成分とリンス成分又は水分とリンス成分とトリートメント成分を除いた毛髪化粧料成分として、キチンを85〜95%脱アセチル化したキトサン0.3〜1.0重量%と、エラスチン0.3〜1.0重量%と、プラセンタエキス1〜10重量%と、ヒアルロン酸1〜10重量%と、コラーゲン1〜10重量%と、甘草エキス10〜60重量%と、アラントイン0.3〜1.0重量%と、ピロリドンカルボン酸ナトリウム10〜30重量%と、混合植物エキス7〜25重量%を含むことを特徴とする毛髪化粧料。ただし、ここで言う混合植物エキスは、アルニカ、キューカンバー、セイヨウキズタ、セイヨウニワトコ、ゼニアオイ、パリエタリア、オランダカラシ、サボンソウ、ゴボウ、セージ、レモン、オトリギソウ、ハマメリス、ブドウ葉、マロニエ、オドリコソウ、ニンニク、マツ、ローズマリー又はローマカミツレである。(特許文献2参照)
【0012】
また、化粧水のような化粧料を例にとれば、好ましい機能として保湿効果、美白効果、抗しわ効果、柔軟効果、皮脂分分泌効果、血行促進効果、抗肌荒れ効果、抗炎症効果、抗アレルギー効果等を挙げることができるが、このような機能の全てを併せ持つ有効成分は知られていない。
【0013】
したがって、これら効果を期待するためには、このうちの1つ乃至複数の機能有する有効成分を複数種配合したり、あるいは異なるいくつかの化粧品、例えば化粧水とクリームを併用する必要があった。
【0014】
しかし、前者においては、どのような有効成分をどのような配合割合で、どのように組み合わせて配合するかという問題があり、必ずしも容易なことではなかった。
【0015】
また、後者の場合でも、化粧水を例にとれば、化粧水の主たる目的は角質層に水分を供給して肌の潤いを保つことであり、このため通常、化粧水には保湿成分が配合される。しかしながら、例えば洗顔後の皮膚は皮脂膜が失われており、化粧水だけでは皮膚の生理作用を整えることは必ずしも十分とは言えず、皮膚に油分を補う目的で更に乳液やクリームを使用する。このため、スキンケアには化粧水やクリームなどいくつもの製品が必要となり、必然的にそれらを使用するため手入れの時間も長くなり、特に朝のような多忙な時には肌の手入れが粗雑になりがちで、不十分なだけでなく、かえって肌に悪影響をもたらすことさえある。従って、ひとつの化粧料で水分を補い、かつ補油効果のある化粧品が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平6−9349号公報
【特許文献2】特開平11−43422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明の目的は、他の原料に比較して非常に高価格であるフラーレン(ラジカルスポンジ)、ダーマキシル、マトキシル(パルミトイルペンタペプチド−3)、アルジルリン(アセチルヘキサペプチド−8)、ヒアルロン酸等の新化粧料素材の使用量を抑えながらも、それら新素材の特性を生かしつつ、かつ、それら新素材を単独使用した場合と同等以上効果を発揮する化粧料を提供することである。
【0018】
また、化粧料として期待される多くの機能、具体的には保湿効果、美白効果、抗しわ効果、柔軟効果、皮脂分分泌効果、血行促進効果、抗肌荒れ効果、抗炎症効果、抗アレルギー効果等を同時に併せ持つ化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、これら問題点を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、これらフラーレン(ラジカルスポンジ)、ダーマキシル、マトキシル(パルミトイルペンタペプチド−3)、アルジルリン(アセチルヘキサペプチド−8)、ヒアルロン酸等の新化粧料素材に特定の生薬、即ちダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ヨクイニンエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス、マンゴー果実エキス又はシラカバ樹皮エキスから選ばれる複数の生薬類エキスを組み合わせて配合することにより、これら高価な新化粧料素材の使用量を抑制し、かつ、化粧料に要求される様々な効果、即ち保湿効果、美白効果、抗しわ効果、柔軟効果、皮脂分分泌効果、血行促進効果、抗肌荒れ効果、抗炎症効果、抗アレルギー効果等を十分に発揮できることを見出して本発明を完成した。
【0020】
より具体的には、本発明は、以下のとおりである。
【0021】
1.フラーレン(ラジカルスポンジ)、ダーマキシル、マトキシル(パルミトイルペンタペプチド−3)、アルジルリン(アセチルヘキサペプチド−8)及びヒアルロン酸からなる群から選ばれる1種以上の有効成分を含有する化粧料において、さらに、ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ヨクイニンエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス、マンゴー果実エキス及びシラカバ樹皮エキスから選ばれる3種類以上の生薬類エキスを配合してなる化粧料。
【0022】
2.生薬類エキスが、ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ヨクイニンエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス、マンゴー果実エキス及びシラカバ樹皮エキスからなる群から選ばれる6種類以上のエキスである上記1に記載の化粧料。
【0023】
3.6種以上のエキスが下記AからJのグループから選ばれるエキス混合物である上記2に記載の化粧料。
A.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス及びオトギリソウエキス;
B.アルテア根エキス、マンゴー果実エキス、シラカバ樹皮エキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス及びオトギリソウエキス;
C.ダイズ発酵エキス、シャクヤクエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
D.シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
E.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、アルテア根エキス、マンゴー果実エキス及びシラカバ樹皮エキス;
F.シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
G.シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
H.オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
I.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、ヨクイニンエキス、シャクヤクエキス、ソウハクヒエキス、ボタンピエキス、真珠エキス及びオトギリソウエキス;及び
J.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ヨクイニンエキス及びローズマリーエキス;
【0024】
4.生薬類エキスが、下記AからFのグループから選ばれるからなる群から選ばれる7種類以上のエキスである上記1に記載の化粧料。
A.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、アルテア根エキス、マンゴー果実エキス及びシラカバ樹皮エキス;
B.シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
C.シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
D.オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
E.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、ヨクイニンエキス、シャクヤクエキス、ソウハクヒエキス、ボタンピエキス、真珠エキス及びオトギリソウエキス;及び
F.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ヨクイニンエキス及びローズマリーエキス;
【0025】
5.有効成分として、ヒアルロン酸及びフラーレン、又はヒアルロン酸及びマトキシルを含有する上記1から4のいずれかに記載の化粧料。
【0026】
6.各生薬類エキスの配合量が0.001重量%乃至1.0重量%である上記1から5のいずれかに記載の化粧料。
【0027】
7.化粧料が、基礎化粧品(スキンケア)、化粧水、乳液、洗顔料(クレンジング剤)、クリーム、化粧石鹸、パック剤、ピーリング剤、下地、ファンデーション、チーク、アイシャドウ又は口紅である上記1から6のいずれかに記載の化粧料。
【発明の効果】
【0028】
本発明の化粧料は、フラーレン(ラジカルスポンジ)、ダーマキシル、マトキシル(パルミトイルペンタペプチド−3)、アルジルリン(アセチルヘキサペプチド−8)、ヒアルロン酸等の新化粧料素材に、ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ヨクイニンエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス、マンゴー果実エキス及びシラカバ樹皮エキスから選ばれる3種以上の特定の生薬類エキスを配合したものであり、これら高価な新化粧料素材の使用量を抑制することが可能となったばかりでなく、従来の化粧料に比べて格段に優れた効果を有し、また、これら新化粧料素材が有する肌の保湿効果、皮脂量の増強、過酸化脂重量の低減、美白効果、しわの改善を顕著に増強させること可能となった。このように、本発明の化粧料は、化粧料に要求される様々な効果、即ち保湿効果、美白効果、抗しわ効果、柔軟効果、皮脂分分泌効果、血行促進効果、抗肌荒れ効果、抗炎症効果、抗アレルギー効果等をバランスよくかつ十二分に発揮する。また、化粧料としての効果が卓越しているので、従来のように化粧水とクリームを併用することなく、クリームだけを使用した場合においても、その効果を期待することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】複数種の生薬類エキスを配合した場合の保湿性改善効果を試験した結果を示す(実施例6)。
【図2】複数種の生薬類エキスを配合した場合の皮脂分泌促進効果を試験した結果を示す(実施例6)。
【図3】複数種の生薬類エキスを配合した場合の過酸化脂質低下効果を試験した結果を示す(実施例6)。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、上記のとおり、フラーレン(ラジカルスポンジ)、ダーマキシル、マトキシル(パルミトイルペンタペプチド−3)、アルジルリン(アセチルヘキサペプチド−8)、ヒアルロン酸等の新化粧料素材からなる1種以上の有効成分に特定の生薬から選ばれる複数の生薬類エキスを組み合わせて配合することを特徴とするものである。ヒアルロン酸は、ヒアルロン酸塩であってもよい。有効成分は1種類であってもよいし、2種類以上を混合してもよい。好ましくは、ヒアルロン酸及びフラーレン、又はヒアルロン酸及びマトキシルの組み合せである。
【0031】
特定の生薬類エキスとは、ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ヨクイニンエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス、マンゴー果実エキス及びシラカバ樹皮エキスである。
【0032】
これらの生薬類エキスは、通常の生薬の抽出方法に従って、原料となる生薬を水、エタノール、あるいはブチレングリコール溶液に浸して抽出し、これを濃縮した後ろ過することによって得ることができる。例えば、原料となる生薬類1重量部に対して水49.5重量部とBG(1,3−ブチレングリコール)49.5重量部を加えて25℃乃至100℃で2時間から30時間抽出し、これをろ過した後、必要に応じて濃縮し、乾燥粉末化することができる。エキスは抽出液を濃縮したものであっても、あるいはそれを乾燥して粉末化したものであってもよいが、好ましくは粉末または抽出液である。また市販のエキスを使用してもよい。
【0033】
本発明において、「化粧料」とは、基礎化粧品(スキンケア)、化粧水、乳液、洗顔料(クレンジング剤)、クリーム、化粧石鹸、パック剤、ピーリング剤、下地、ファンデーション、チーク、アイシャドウ、口紅を意味し、好ましくは基礎化粧品(スキンケア)、化粧水、乳液、洗顔料、クリームであり、特に好ましくは化粧水又はクリームである。
【0034】
ここで、「化粧水」とは、皮膚を保湿し、整え、滑らかにする液状の化粧品を意味し。ローション、トナー、トニック等と呼ばれることもある。これら化粧水は、潤いを与えて肌荒れを防ぐために、主に洗顔後の肌に使用するものであり、通常、80%程度の水、10%程度のアルコール類に、グリセリンなどの保湿成分を数%、乳化剤、香料、防腐剤などを配合して製造することができる。保湿剤、整肌剤としては、ヒアルロン酸、コラーゲン、セラミド、ローヤルゼリー、アミノ酸、ハマメリス、ビタミンなどを使用すればよい。アルコールに敏感な肌のため、それを使用しないノンアルコール化粧水、例えばBGを用いた化粧水であってもよい。
【0035】
また、ここで「化粧水」は、肌に水分を与えるとともに、しみ、そばかす、あるいは日焼けを防ぐ作用を持たせた所謂美白化粧水であってもよい。
【0036】
また、「クリーム」とは、化粧水か乳液の後など、肌の手入れの最後に使用する、皮膚を保護し、潤いを与えるための凝乳状の基礎化粧品を意味する。ミネラルオイル(鉱物油)、ワセリン、オリーブ油などの油分と水を混ぜ合わせるための乳化剤、保湿剤、防腐剤、香料を適宜配合して製造することができる。これら「クリーム」は、コールドクリーム、ナリシングクリーム、バニシングクリーム、ナイトクリームであってもよい。
【0037】
本発明において、生薬配合剤に用い得る生薬類エキスは、上記のとおり、ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ヨクイニンエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス、マンゴー果実エキス又はシラカバ樹皮エキスである。
【0038】
ダイズ発酵エキスは、発酵大豆を原料にしたバイオ成分であり、多くのイソフラボン(女性ホルモン)を含む。
【0039】
オウレンエキスは、キンポウゲ科植物のオウレンの根茎からアルコールや1,3BG(1,3−ブチレングリコール)などで抽出することによって得ることができる。
【0040】
シャクヤクエキスは、ボタン科の多年草シャクヤクの根から抽出精製することによって得ることができる。
【0041】
ボタンピエキスは、牡丹の根皮から抽出精製することによって得ることができ、モノテルペン配糖体、フェノール類、タンニンなどが含まれる。
【0042】
真珠エキスは、パールエキスとも呼ばれ、コンキオリンアミノ酸や一種のコラーゲン繊維を含んでいる。市販品を使用することができる。
【0043】
ソウハクヒエキスは、マグワ(真桑)の根皮からアルコールや1,3BG(1,3−ブチレングリコール)などで抽出して得ることができる。
【0044】
オトギリソウエキスは、オトギリソウ科の多年草「セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)」の地上部を抽出することによって得ることができる。成分には、精油、フェノール酸、フラボノイド、ジアンスロン、アンスラノール、カテキン、グリセライド、フィトステロール、C21−C31飽和炭化水素、C24−C28飽和アルコール、カロテン、ビタミンC、ビタミンP、ペクチン、イナミン、タンニン、サポニン、コリン、マンニトールが含まれている。
【0045】
ヨクイニンエキスは、ハトムギの種皮を除いた種子を1,3−BGを用いて抽出することによって得ることができる。
【0046】
ローズマリーエキスは、シソ科のローズマリーの葉または花から抽出することによって得ることができる。
【0047】
アルテア根エキスは、東ヨーロッパの湿地に自生するアオイ科の植物「ビロウドアオイ」の根から抽出することによって得ることができる。
【0048】
メマツヨイグサエキスは、アカバナ科のメマツヨイグサ(月見草)の種子から抽出することによって得ることができる。
【0049】
マンゴー果実エキスは、マンゴーの果実から抽出することによって得ることができる。
【0050】
シラカバ樹皮エキスは、シラカバの樹皮からとった樹皮液でベチュリン酸を含む。
【0051】
本発明は、これらダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ヨクイニンエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス、マンゴー果実エキス及びシラカバ樹皮エキスからなる群から選ばれる生薬類エキスを少なくとも3種類、好ましくは4乃至5種類、更に好ましくは6種類、最も好ましくは7種類以上、具体的には7種類乃至9種類を共配合する点に特徴を有する。本発明者らが実施例をもって確認したその好ましい共配合の組合せは以下のとおりである。
【0052】
1.好ましい3種類の生薬類エキスの組み合わせ:
A.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス及びシャクヤクエキス;
B.ボタンピエキス、ソウハクヒエキス及びオトギリソウエキス;
C.アルテア根エキス、マンゴー果実エキス及びシラカバ樹皮エキス;
D.シャクヤクエキス、ソウハクヒエキス及びローズマリーエキス;
E.ダイズ発酵エキス、シャクヤクエキス及び真珠エキス;
【0053】
2.好ましい4種類乃至5種類の生薬類エキスの組み合わせ:
A.ダイズ発酵エキス、シャクヤクエキス、真珠エキス及びソウハクヒエキス;
B.ダイズ発酵エキス、シャクヤクエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス及びメマツヨイグサエキス;
C.ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
D.ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス及びメマツヨイグサエキス、シラカバ樹皮エキス;
【0054】
3.好ましい6種類の生薬類エキスの組み合わせ:
A.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス及びオトギリソウエキス;
B.アルテア根エキス、マンゴー果実エキス、シラカバ樹皮エキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス及びオトギリソウエキス;
C.ダイズ発酵エキス、シャクヤクエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
D.シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
【0055】
4.好ましい7種類乃至9種類の生薬類エキスの組み合わせ:
A.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、アルテア根エキス、マンゴー果実エキス及びシラカバ樹皮エキス;
B.シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
C.シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
D.オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
E.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、ヨクイニンエキス、シャクヤクエキス、ソウハクヒエキス、ボタンピエキス、真珠エキス及びオトギリソウエキス;
F.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ヨクイニンエキス及びローズマリーエキス;
【0056】
各生薬類エキスの配合量は、乾燥重量として、化粧料全量あたり、0.001〜1.0重量%、好ましくは0.05〜1.00重量%である。0.001重量%未満である場合、目的を十分に達成することができない場合があり、1重量%を超える場合、溶解性や分散性の点で化粧料の調製が困難になる恐れがある。
【0057】
本発明の化粧料には、上記記載の原料の他に、通常の化粧料に配合される色素、香料、防腐剤、界面活性剤、顔料、抗酸化剤、保湿剤、紫外線吸収剤などを、本発明の目的を阻害しない範囲内で適宜配合することができる。
【0058】
以下、実施例を持って具体的に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことは勿論である。
【実施例1】
【0059】
それぞれの生薬粉末(36MeshPASS)の乾燥固形物1gに対して、水49.5gとBG(1,3−ブチレングリコール)49.5gを加えて、50〜60℃で24時間浸透抽出して、これを室温まで冷却後ろ過して、ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ヨクイニンエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス、マンゴー果実エキス、シラカバ樹皮エキスとした。38歳から50歳の女性20名を被験者として、各エキス1mlを1ヶ月間化粧水と一緒に、朝と夕方に塗布してその効果を確認した。その結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

【実施例2】
【0061】
保湿作用の増強効果を確認するために、実施例1と同様にして得られたダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、アルテア根エキス、マンゴー果実エキス、シラカバ樹皮エキスを3種類乃至9種類組み合わせて得られる混合生薬類エキスを用いて保湿効果を確認した。試験は、38歳から50歳の女性24名(4名・6グループ/初期値の平均で振り分け)を被験者として各エキス1mlを1週間化粧水と一緒に朝と夕方に塗布してその効果を確認した。
【0062】
保湿効果の判定は、油水分計ビューティークロク8095((株)デザインファクトリー社製)で測定した12段階で判定した。結果を表2に示す。
【0063】
【表2】

【0064】
表2から明らかなとおり、3種類の混合生薬類エキスでも十分に効果が認められたが、6種以上の混合生薬類エキスは、いずれも初期値に比べて2倍以上の効果が観察された。
【実施例3】
【0065】
皮脂分泌促進作用の増強効果を確認するために、実施例1と同様にして得られたシャクヤクエキス、ソウハクヒエキス、ローズマリーエキスの2種類又は3種類を組み合わせた混合生薬類エキスによりその皮脂分泌促進効果を確認した。試験は、38歳から50歳の女性12名(4名・3グループ/初期値の平均で振り分け)を被験者として各エキス1mlを1週間化粧水と一緒に朝と夕方に塗布してその効果を確認した。
【0066】
皮脂分泌促進効果の判定は、油水分計ビューティークロク8095(株式会社デザインファクトリー製)で測定した12段階で判定した。結果を表3に示す。
【0067】
【表3】

【0068】
表3から明らかなとおり、塗布量がいずれも11ミリリットルであるにもかかわらず、3種類の混合生薬類エキスは、2種類の混合生薬類エキスの場合に比べて明らかにその効果が増強されていた。
【実施例4】
【0069】
肌つや・肌柔軟性作用の増強効果を確認するために、実施例1と同様にして得られたダイズ発酵エキス、シャクヤクエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、メマツヨイグサエキス、シラカバ樹皮エキスを2種類乃至6種類組み合わせて得られる混合生薬類エキスを用いてその効果を確認した。試験は、38歳から50歳の女性20名(4名・5グループ/初期値の平均で振り分け)を被験者として各エキス1mlを1週間化粧水と一緒に朝と夕方に塗布してその効果を確認した。
【0070】
判定は、油水分計ビューティークロク8095(株式会社デザインファクトリー製)で測定した12段階で判定した。結果を表4に示す。
【0071】
【表4】

【0072】
表4から明らかなとおり、3種類、4種類と、その混合比を上げるに従って、塗布後の効果が顕著に増加した。
【実施例5】
【0073】
炎症・アレルギー作用の改善効果を確認するために、実施例1と同様にして得られたオウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス、シラカバ樹皮エキスを4種類乃至9種類組み合わせて得られる混合生薬類エキスを用いてその効果を確認した。試験は、炎症・アレルギー症状の12歳から44歳の女性24名(4名・6グループ/症状により均一に振り分けた)を被験者として各エキス1mlを1週間化粧水と一緒に朝と夕方に塗布してその効果(各人の自己判定にとる)を確認した。その結果を表5に示す。
【0074】
【表5】

【0075】
表5から明らかなとおり、4種類、6種類と、その混合比を上げるに従って、塗布後の効果が顕著に増加した。
【実施例6】
【0076】
実際に新化粧料素材を含有するローション(化粧水)とクリームに更に複数種の生薬類エキスを配合して保湿性、皮脂分泌促進効果、過酸化脂質低下効果について試験を行った。ローションとクリームの成分等は以下のとおりである。
【0077】
A.本発明ローションとコントロール用ローション;
水、ペンチレングリコール、グリセリン、ラフィノース、PCA−Na、ベタイン、ヒアルロン酸Na、セリシン、アルジルリン(アセチルヘキサペプチド−8)、フラーレン、マトキシル(パルミトイルペンタペプチド−3)を通常の配合比で配合し、更に、実施例1で得られた8種類の生薬類エキス(ヨクイニンエキス、シャクヤクエキス、ソウハクヒエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、オトギリソウエキス、オウレンエキス、ダイズ発酵エキス)を各0.2ml/100ml加えて本発明ローションとした。なお、コントロール用のローションは、これら8種類の生薬類エキスを含まない以外は本発明ローションと同じ組成である。各成分の配合比は、表6のとおりである。ここで、BG、エタノールは生薬エキスの溶剤由来のものである。
【0078】
【表6】

【0079】
B.本発明クリームとコントロール用クリーム;
水、水添ナタネ油アルコール、ペンチレングリコール、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸、ラフィノース、パルミチン酸セチル、ステアリン酸グリセリル(SE)、グリセリン、アルギニン、ジメチコン、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、グリコシルトレハロース、加水分解水添デンプン、スクワラン、ステアリン酸ポリグリセリル−5、トコフェロール、ファルネソール、ヒアルロン酸Na、セリシン、ダーマキシル、アルジルリン(アセチルヘキサペプチド−8)、フラーレン、マトキシル(パルミトイルペンタペプチド−3)を通常の配合比で配合し、更に、実施例1で得られた9種類の生薬類エキス(ローズマリーエキス、ヨクイニンエキス、シャクヤクエキス、ソウハクヒエキス、ボタンエキス、真珠エキス、オトギリソウエキス、オウレンエキス、ダイズ発酵エキス)を各0.2ml/100ml加えて本発明クリームとした。なお、コントロール用のクリームは、これら9種類の生薬類エキスを含まない以外は本発明クリームと同じ組成である。各成分の配合比は、表7のとおりである。ここで、BG、エタノールは生薬エキスの溶剤由来のものである。
【0080】
【表7】

【0081】
C.試験方法;
試験は、以下のごとく、コントロール、対象1、対象2に分けて、乾燥肌の38歳から56歳の女性20名を被験者として、毎日、朝の洗顔後と就寝前の2回、4週間塗布してその効果を確認した。図1から3は、それぞれ保湿性改善効果、皮脂分泌促進効果及び過酸化脂質低下効果に関する試験結果を示している。
コントロール;コントロール用ローションとコントロール用クリーム(新化粧料素材を配合。生薬類エキスは未配合。)
対象1;本発明クリームのみ(新化粧料素材とともに複数種の生薬類エキスを配合。)
対象2;本発明ローションと本発明クリームの併用(新化粧料素材とともに複数種の生薬類エキスを配合。)
【0082】
コントロール用ローションは新化粧料素材であるヒアルロン酸とフラーレンを含み、また、コントロール用クリームは同じく新化粧料素材であるヒアルロン酸とパルミトイルペンタペプチド−3を含む。これらコントロールの試験結果から新化粧料素材を含むローションとクリームを併用した場合には、新化粧料素材配合による保湿性及び皮脂分泌促進効果の改善が確認された。
【0083】
一方、対象1はクリーム(更に複数種の生薬類エキス配合)を使用したのみであるにもかかわらず、保湿性、皮脂分泌促進、過酸化脂質低下作用において顕著な改善効果が見られた。
【0084】
さらに、対象2によれば、本発明のクリームとローション(コントロール化粧料に更に複数種の生薬類エキスを配合。)を併用した場合には、保湿性、皮脂分泌促進、過酸化脂質低下作用において格別に顕著な改善効果が見られた。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の化粧料は、フラーレンやヒアルロン酸等の高価な新化粧料素材の使用量を抑制することが可能であるばかりでなく、従来の化粧料に比べて格段に優れた効果を有し、また、これら新化粧料素材が有する肌の保湿効果、皮脂量の増強、過酸化脂重量の低減、美白効果、しわの改善を顕著に増強させること可能である。
【0086】
このように、本発明の化粧料は、これら高価な新化粧料素材の使用量が少ないにもかかわらず化粧料に要求されるこれら様々な効果をバランスかつ十二分に発揮し、化粧料としての卓越した効果を有するので、従来のように化粧水とクリームを併用することなく、クリームだけを使用した場合においても、その効果を期待することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラーレン(ラジカルスポンジ)、ダーマキシル、マトキシル(パルミトイルペンタペプチド−3)、アルジルリン(アセチルヘキサペプチド−8)及びヒアルロン酸からなる群から選ばれる1種以上の有効成分を含有する化粧料において、さらに、ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ヨクイニンエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス、マンゴー果実エキス及びシラカバ樹皮エキスから選ばれる3種類以上の生薬類エキスを配合してなる化粧料。
【請求項2】
生薬類エキスが、ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ヨクイニンエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス、マンゴー果実エキス及びシラカバ樹皮エキスからなる群から選ばれる6種類以上のエキスである請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
6種以上のエキスが下記AからJのグループから選ばれるエキス混合物である請求項2に記載の化粧料。
A.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス及びオトギリソウエキス;
B.アルテア根エキス、マンゴー果実エキス、シラカバ樹皮エキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス及びオトギリソウエキス;
C.ダイズ発酵エキス、シャクヤクエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
D.シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
E.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、アルテア根エキス、マンゴー果実エキス及びシラカバ樹皮エキス;
F.シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
G.シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
H.オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
I.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、ヨクイニンエキス、シャクヤクエキス、ソウハクヒエキス、ボタンピエキス、真珠エキス及びオトギリソウエキス;及び
J.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ヨクイニンエキス及びローズマリーエキス;
【請求項4】
生薬類エキスが、下記AからFのグループから選ばれるからなる群から選ばれる7種類以上のエキスである請求項1に記載の化粧料。
A.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、アルテア根エキス、マンゴー果実エキス及びシラカバ樹皮エキス;
B.シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
C.シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
D.オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ローズマリーエキス、アルテア根エキス、メマツヨイグサエキス及びシラカバ樹皮エキス;
E.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、ヨクイニンエキス、シャクヤクエキス、ソウハクヒエキス、ボタンピエキス、真珠エキス及びオトギリソウエキス;及び
F.ダイズ発酵エキス、オウレンエキス、シャクヤクエキス、ボタンピエキス、真珠エキス、ソウハクヒエキス、オトギリソウエキス、ヨクイニンエキス及びローズマリーエキス;
【請求項5】
有効成分として、ヒアルロン酸及びフラーレン、又はヒアルロン酸及びマトキシルを含有する請求項1から4のいずれかに記載の化粧料。
【請求項6】
各生薬類エキスの配合量が0.001重量%〜1.0重量%である請求項1から5のいずれかに記載の化粧料。
【請求項7】
化粧料が、基礎化粧品(スキンケア)、化粧水、乳液、洗顔料(クレンジング剤)、クリーム、化粧石鹸、パック剤、ピーリング剤、下地、ファンデーション、チーク、アイシャドウ又は口紅である請求項1から6のいずれかに記載の化粧料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−241762(P2010−241762A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94825(P2009−94825)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(502282560)香林製薬株式会社 (1)
【Fターム(参考)】