説明

化粧板

【課題】表面硬度や強度などの物性を高次元で備え、床材として好適に使用できる化粧板を提供する。
【解決手段】木質基材11の表面に木質繊維板12が積層され該木質繊維板の表面に表面化粧材13が貼着されてなる化粧板10Aにおいて、該木質繊維板の平均密度が0.65〜1.00g/cmであって且つその密度差が0.05g/cm以下であり、高密度で均一であって密度傾斜を持たないので、これを床材として使用した場合においてキャスターなどの荷重を受けても層間剥離を生じさせることがなく、床材としての所要の強度や硬度を確保できる共に、表面の耐傷性や外観も良好となる。溝14は木質繊維板の厚さ範囲内に形成されるので、溝によって木質繊維板が分断されず、化粧板の溝部分の曲げ強度を大きく低下させることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用の床材、内装材、家具材などに使用される化粧板に関し、特に、木質基材の表面に木質繊維板が積層され該木質繊維板の表面に表面化粧材が貼着されてなる化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
このような化粧板の従来技術として、特許文献1,2に記載されるようなものがある。
【0003】
特許文献1には、中密度繊維板(MDF)を半割りして得たものを割り面側を合板などの基材に接合一体化し、割り面と反対側の面に化粧単板を貼着して床材などに使用することが記載されている。常法により製造される中密度繊維板は表裏面側が相対的に高密度に、内部が相対的に低密度に形成されるので、半割り中密度繊維板は割り面側が低密度、割り面と反対側の面が高密度となる。この半割り中密度繊維板を用いることにより、厚みを半分程度に薄くできると共に、低密度である割り面側を基材に接合一体化することにより反りが生じにくくなり、且つ、高密度である反対面側が化粧板の表面側となるので大きな表面硬度により耐傷性や耐クラック性に優れたものとなる。
【0004】
特許文献2には、高密度層からなる木質繊維板を木質基板の表面に層着すると共に、表面化粧層を設けて、建築用床材などに使用される化粧板とすることが記載されている。高密度層からなる木質繊維板は、表裏に高密度層を有すると共に内部が低密度に形成される中比重木質繊維板(MDF)を厚さ方向に2分割することにより一面側が高密度で他面側が低密度に形成される密度傾斜を有する薄肉中比重木質繊維板とした後、その低密度層を研削除去することによって得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3271894号公報
【特許文献2】特許第4156048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、木質繊維板は、乾燥させた木質繊維に接着剤を混合させた状態にしてフォーミング装置により繊維マット層を形成し、これを必要に応じてプリプレス装置で仮圧締した後、ホットプレス装置の上下熱盤間で熱圧成形することにより製造されるものであり、このようにして製造される木質繊維板においては、上下熱盤に接する表裏近傍から内部に向けて徐々に密度が低くなる密度傾斜を有するものとなり、表裏近傍に高密度層、中心層に低密度層が形成されることが知られている。
【0007】
特許文献1記載の化粧板において基板上に積層される木質繊維板は、上記のようにして製造される木質繊維板(MDF)を厚さ方向に2分割して得られるものであり、該分割後の木質繊維板にあっては基板との積層面となる裏面側に低密度層が残される。このため、床材として使用した場合にキャスターなどの荷重を受けると低密度層において層間剥離が生じやすくなり、強度が低下すると共に表面の外観が損なわれる。
【0008】
また、特許文献2記載の化粧板において基板上に積層される木質繊維板は、上記のようにして製造される木質繊維板(MDF)を厚さ方向に2分割した後にさらにその低密度側を研削除去して得られるものであるが、研削に伴う作業手間やコストが嵩むと共に材の無駄が生ずる。また、研削除去量(厚さ)が少ないと低密度の部分が残ってしまうので上記と同様に該低密度部分で層間剥離が生じやすくなって強度が低下すると共に表面の外観が損なわれ、研削除去量を大きくすると研削に伴う上記問題がさらに顕在化するだけでなく、基板に積層する木質繊維板が薄くなって必要とする表面硬度が得られなくなる。また、前述のように常法により製造される木質繊維板は表裏面から内部に向けて徐々に密度が低くなる密度傾斜を有しており、これを2分割して得られる木質繊維板においても特許文献2にも記載されるように一面から他面に向けた密度傾斜を有するものであるから、その低密度側を研削除去して高密度層のみからなる木質繊維板を得たとしても、該高密度層の中でも密度傾斜を有しており、その厚さ方向の全般に亘って均一な密度を有するものではない。
【0009】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、木質基材の表面に木質繊維板が積層され該木質繊維板の表面に表面化粧材が貼着されてなる化粧板において従来技術が抱えていた不利欠点を解消し、特に床材として要求される表面硬度や強度などの物性を高次元で備えた化粧板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するため、請求項1に係る本発明は、木質基材の表面に木質繊維板が積層され該木質繊維板の表面に表面化粧材が貼着されてなる化粧板において、該木質繊維板の平均密度が0.65〜1.00g/cmであって且つその密度差が0.05g/cm以下であることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る本発明は、請求項1記載の化粧板において、その表面から木質繊維板の厚さ範囲内に形成される溝を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、木質基材の表面に木質繊維板が積層され該木質繊維板の表面に表面化粧材が貼着されてなる化粧板において、該木質繊維板の平均密度が0.65〜1.00g/cmであって且つその密度差が0.05g/cm以下であることを特徴としており、該木質繊維板は高密度で均一であって密度傾斜を持たない。したがって、これを床材として使用した場合においてキャスターなどの荷重を受けても層間剥離を生じさせることがなく、床材としての所要の強度や硬度を確保できる共に、表面の耐傷性や外観も良好となる。また、特許文献2記載の従来技術のように低密度部分を研削除去する必要がなく、作業性が向上すると共に材の無駄やコストアップを解消させることができる。
【0013】
この化粧板において表面に溝を形成する際に、木質繊維板の厚さ範囲内に形成すると、溝によって木質繊維板が分断されず、化粧板の溝部分の曲げ強度を低下させないので、荷重が作用しても破損しにくいものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による化粧板の断面図である。
【図2】表面に溝が形成された本発明の他の実施形態による化粧板の断面図である。
【図3】本発明の化粧板に用いる木質繊維板の製造工程を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、図1に示すように、木質基材11の表面に木質繊維板12が積層され該木質繊維板12の表面に表面化粧材13が貼着されてなる化粧板10である。この化粧板10は、建築用の床材、内装材、家具材などに使用される。床材として使用される場合は、その長手方向および/または短手方向に延長する一対の対向木口面に雄実および雌実が形成される。木質基材11には、合板、集成材、LVL、パーティクルボード、木質繊維板などが使用される。表面化粧材13には、化粧紙、化粧シート、突板などが使用される。
【0016】
本発明の化粧板10に用いられる木質繊維板12は、平均密度が0.65〜1.00g/cmであって且つその密度差が0.05g/cm以下である。すなわち、密度分布が均一であって低密度層がなく高密度層のみからなるので、剥離強度および表面強度が大きい。剥離強度が大きい木質繊維板が用いられるので、この化粧板を床材として使用した場合においてキャスターなどの荷重を受けても層間剥離を生じさせることがない。また、表面強度が大きい木質繊維板が用いられるので、キャスターなどの荷重を受けても表面に凹みなどの損傷を受けにくいものとなる。
【0017】
このような木質繊維板12は次のようにして得ることができる。まず、広葉樹・針葉樹などの木材チップをリファイナー(解繊装置)に投入して解繊して木質繊維を得る。木材チップをリファイナーに投入する前に蒸煮処理すると繊維間結合が弱められるので解繊を効率的に行うことができる。リファイナーとしては、高温高圧蒸気(たとえば10kgf/cm)の蒸煮装置から取り出された木材チップを解繊するものや、蒸煮装置と直結された高温高圧下にあるものなどが用いられる。広葉樹・針葉樹などの木質繊維のほか、竹・笹・稲葉・バカス・パルプ工場から大量に副生されるノット粕などの植物性繊維を使用しても良い。
【0018】
リファイナーから排出された木質繊維は多量の水分を有するので、これを熱風ダクトに投入して風送しながら乾燥する。一般に風送速度は10〜30m/sec、風送雰囲気温度30〜120℃前後であるが、木質繊維の密度・送り量・前後工程の処理能力などに応じて調整する。この熱風による風送で木質繊維の含水率を好ましくは10〜15%まで乾燥する。
【0019】
乾燥された木質繊維に接着剤を塗布して接着剤塗布木質繊維とする。接着剤の塗布は、ブレンダー(塗布装置)に木質繊維と接着剤を投入して行っても良いし、木質繊維の熱風ダクト内に接着剤を噴霧することにより木質繊維が風送される過程で行っても良い。あるいは、解繊と同時に接着剤を混合・塗布しても良い。このようにして得られた接着剤塗布木質繊維を常法によりフォーミングして第一の繊維マット層を形成する。この第一の繊維マット層は、熱圧成形後に得られる木質繊維板において第一の繊維層となるものである。
【0020】
次いで、第一の繊維マット層の上に、サンダーダストを主体とする材料を接着剤を混合・塗布することなく常法によりフォーミングしてサンダーダストマット層を形成する。サンダーダストマット層は木質繊維や木粉を含んでも良いが、サンダーダストを90重量%以上含んで形成されることが好ましい。また、サンダーダストは、第一(および第二)の繊維マット層の形成に用いる木質繊維の含水率よりも低い含水率まで乾燥してサンダーダストマット層の形成に用いることが好ましく、たとえば上述のように第一(および第二)の繊維マット層において木質繊維の含水率を10〜15%にして用いる場合には、サンダーダストマット層に用いるサンダーダストの含水率を4〜10%にして用いることが好ましい。サンダーダストマット層はサンダーダスト100重量%で形成しても良いが、木質繊維や木粉などを合計で10重量%以下含んでも良い。このサンダーダストマット層は、熱圧成形後の木質繊維板において分割層となるものである。
【0021】
サンダーダストとは、木質繊維板および/またはパーティクルボードの製造過程、特に熱圧成形による成板後の仕上げ工程において研削ないし切削する際に生ずるものであり、具体的には、ドラムサンダーやワイドベルトサンダーなどで表面研削する際に生ずるもの(狭義のサンダーダスト)の他、ダブルカットソーなどで板の幅および長さを裁断して規定寸法に切り揃える際に生ずるソーダストなどをも含む。このようなサンダーダストは、木質繊維および/または木粉に接着剤を塗布して熱圧成形して得られた木質繊維板および/またはパーティクルボードを研削ないし切削したときに生ずるものであるから、熱圧によって既に硬化している接着剤が付着しており、これを再度熱圧しても、柔らかい繊維間に微細空間が形成されている木質繊維や木粉に比べて圧縮変形量がはるかに小さいという物性を有する。
【0022】
次いで、サンダーダストマット層の上に、第一の繊維マット層と同様にして接着剤塗布木質繊維を常法によりフォーミングして第二の繊維マット層を形成する。この第二の繊維マット層は、熱圧成形後の木質繊維板において第二の繊維層となるものである。なお、第一および第二の繊維マット層を形成するに当たり、微量の木粉やサンダーダストを添加混合して用いても良い。
【0023】
こうして得られた3層のマット層の積層体をホットプレスにより熱圧成形して木質繊維板を製造する。この木質繊維板は図3(A)に示す積層構成を有しており、前述のように、第一の繊維マット層の熱圧硬化による第一の繊維層1と、サンダーダストマット層の熱圧による分割層2と、第二の繊維マット層の熱圧硬化による第二の繊維層3とが順次に積層されてなるものであるが、ホットプレスの熱盤に接する表裏部分には第一および第二の繊維マット層に含まれる接着剤が硬化してプレキュア層4,4が形成されている。
【0024】
このときの熱圧条件は、たとえば温度160〜210℃、圧力20〜40kg/cm、時間13〜40秒に設定する。既述したようにサンダーダストは木質繊維などと比べて圧縮変形量が小さいという物性を有するので、マット層の積層体をホットプレスの上下熱盤間に挟んで熱圧成形すると、第一および第二の繊維マット層の片面(上下熱盤に接する面)がまず圧縮されて硬化した後、これらマット層の積層体の全体が圧縮されていくが、圧縮量の小さい(圧縮される度合いが小さい)サンダーダストを主体とするサンダーダストマット層は先に圧縮が完了して分割層を形成し、以降は、第一および第二の繊維マット層が分割層側からの反力を受けることになり、既に硬化している熱盤接触面側との両面側から圧縮されていく。このため、第一および第二の繊維マット層は表裏両面から圧縮を受けることとなって、分割層側の密度も高くなって全体の密度差が小さくなる。これにより、第一および第二の繊維マット層が熱圧されて形成される第一の繊維層1および第二の繊維層3はいずれも0.65〜1.00g/cmの範囲内において密度差が0.05g/cm以下と小さなものとなる。
【0025】
さらに、マット層の水分量が小さいほど圧縮変形量をより小さく抑えることができるので、サンダーダストマット層におけるサンダーダストの含水率を、第一および第二の繊維マット層における木質繊維の含水率より小さくすることにより、サンダーダストマット層の圧縮変形量をより小さくして、上述の効果をより一層顕著に発揮させることができる。
【0026】
次いで、サンディングにより表裏のプレキュア層4,4を除去して、第一の繊維層1および第二の繊維層3を表裏に平滑面として現出させて、図3(B)の木質繊維板を得る。すなわち、この木質繊維板は、層内の平均密度が0.65〜1.00g/cmであって且つ層内での密度差が0.05g/cm以下である主として木質繊維からなる第一の繊維層1と、層内の平均密度が0.65〜1.00g/cmであって且つ層内での密度差が0.05g/cm以下である主として木質繊維からなる第二の繊維層3とが、繊維板および/またはパーティクルボードの製造過程で生成されるサンダーダストを90重量%以上含んで形成される分割層2を挟んで積層されてなる。この木質繊維板の全体厚は1.4〜18mmであり、第一の繊維層1および第二の繊維層3の層厚は0.65〜8.75mmであり、分割層2の厚さは全体厚の10%以下、好ましくは2%以下である。
【0027】
次いで、この木質繊維板を分割層2で厚さ方向に2分割して、第一の繊維層1からなる第一の木質繊維板と第二の繊維層3からなる第二の木質繊維板の2枚の木質繊維板を得る。図3(B)において符号Xは分割面を示す。分割層2は、接着剤を含まないサンダーダストマット層を熱圧して得られるものであるので、第一の繊維層1と第二の繊維層3とは分割層2を介して互いに接着することなく単に圧接された状態で積層されているに過ぎず、分割層2で容易に分割することができる。分割の手法は特に限定的ではなく、公知の板材分割装置などを使用することができる他、手で引き剥がすことも可能である。図3(C)はこのようにして得られる2枚の木質繊維板のうち第一の繊維層1からなる木質繊維板を示している。
【0028】
図3(C)に示されるように、分割後に得られる木質繊維板においてはその分割面に分割層2の一部が残存していることがあるので、この場合にはサンディングにより残存分割層2’を除去して、第一の繊維層1単独による木質繊維板を得る(図3(D))。この場合であっても、分割層2の厚さは木質繊維板(図3(B))の全体厚の10%以下であるので、残存分割層2’はごく薄いものであり、少ない研削量で容易に除去することができる。第二のマット層に前記無機質繊維や無機質粉体などの接着阻害物質を混入した場合であっても、残存分割層2’を研削除去することにより、該接着阻害物質も同時に除去される。同様にして、第二の繊維層3単独による木質繊維板が得られる。
【0029】
このようにして得られた第一の繊維層1単独による木質繊維板または第二の繊維層3単独による木質繊維板は、前述のように0.65〜1.00g/cmの範囲内において密度差が0.05g/cm以下と小さなものとなっており、本発明の化粧板10における木質繊維板12に用いることができる。必要に応じて、上記のようにして得られた木質繊維板を乾燥または湿潤させて含水率調整を行った上で、本発明の化粧板10における木質繊維板12に用いても良い。
【0030】
木質繊維板12の厚さは0.65〜8.75mm程度とする。この厚さが0.65mm未満では表面強度が十分に得られず、厚さが8.75mmを越えると乾燥や湿潤などの含水率変化による寸法変化が大きくなり、木質基材11との寸法変化の差が大きくなって化粧板10に反りを生じさせる恐れがある。また、後述のように化粧板10の表面に溝14(図2)を形成する場合、溝14の深さより大きい厚さ寸法を有する必要がある。
【0031】
この化粧板10の製造方法について説明すると、まず、上記のようにして得られた木質繊維板12を木質基材11の表面に積層一体化する。木質繊維板12は均一な密度分布を有するので、分割層2で分割して得られる木質繊維板12の分割面と、反対側の面(熱圧プレスされた面)のいずれを木質基材11との積層面としても良いが、一般にプレス面の方が平滑であるので、分割面を木質基材11との積層面として積層させると、プレス面が表面側となり、表面化粧材13を貼着した後の化粧板10の表面をより平滑にすることができるので好ましい。
【0032】
木質繊維板12を木質基材11の表面に積層一体化するには、木質基材11の表面および/または木質繊維板12の裏面に接着剤を塗布して積層し、熱圧または冷圧によって接着一体化する。熱圧すると反りを生じる場合があるので、冷圧が好ましい。接着剤としては、ホルムアルデヒドの発散が少ない熱硬化性接着剤を用いることが好ましく、たとえば尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂またはそれらの変性樹脂接着剤、イソシアネート系接着剤、合成ゴム系接着剤などから任意選択される一種または複数種からなら接着剤を用いることができる。あるいは、水性ビニルウレタン、エチレン酢酸ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂接着剤を使用しても良い。
【0033】
なお、上記のようにして得られた木質繊維板12を乾燥または湿潤させることにより含水率調整を行った上で木質基材11の表面に接着することが好ましい。木質繊維板12の含水率が高すぎると木質基材11の表面に接着した後に収縮し、含水率が高すぎると膨張して、化粧板10に反りが生じる。
【0034】
木質基材11の表面に木質繊維板12が積層一体化された積層体を得た後、木質繊維板12の表面に接着剤を塗布して表面化粧材13を貼着して、本発明の化粧板10を得る。このときの接着剤としては、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート樹脂などの熱硬化性または熱可塑性樹脂接着剤から任意選択される一種または複数種からなら接着剤を用いることができる。
【0035】
図2は、表面に溝14が形成された本発明の他の実施形態による化粧板10Aを示す。溝14は表面化粧材13を貫通して、木質繊維板12の厚さ範囲に止まるように形成されている。木質繊維板12が溝14で分断されないので、溝14形成部分における曲げ強度を大きく低下させることを防止し、荷重が作用したときであっても破損しにくいものとすることができる。溝14の形状、本数、間隔、方向(長手方向および/または短手方向)は任意である。
【0036】
溝14を形成する場合は、木質基材11の表面に木質繊維板12を積層一体化し、その木質繊維板12の表面に接着剤を塗布して表面化粧材13を貼着した後に、表面側からルーターなどで切削加工する。溝14は均質な木質繊維板12の厚さ範囲内に形成されるので、切削加工によってもバリが生ずることがなく、また、溝の色もばらつかずに統一されるので、良好な外観に仕上げることができる。
【0037】
以上に本発明の実施例について説明したが、本発明はこの実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内において種々多様な実施形態を取り得るものである。
【符号の説明】
【0038】
1 第一の繊維層
2 分割層
2’ 残存分割層
3 第二の繊維層
4 プレキュア層
10,10A 化粧板
11 木質基材
12 木質繊維板
13 表面化粧材
14 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質基材の表面に木質繊維板が積層され該木質繊維板の表面に表面化粧材が貼着されてなる化粧板において、該木質繊維板の平均密度が0.65〜1.00g/cmであって且つその密度差が0.05g/cm以下であることを特徴とする化粧板。
【請求項2】
その表面から木質繊維板の厚さ範囲内に形成される溝を有することを特徴とする請求項1記載の化粧板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−31463(P2011−31463A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179328(P2009−179328)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(390030340)株式会社ノダ (146)
【Fターム(参考)】