説明

化粧柱

【目的】 本発明は、ビル,住宅等の建造物の玄関に設置するものであり、表面に化粧を施したものであって、且つ種々の形状及び化粧模様にすることができるとともに、特に、組立施工が簡単にできると共に、建築現場に運搬する際に損傷しにくいものにすること。
【構成】 断面略方形状の芯部材1と、該芯部材1の4面にそれぞれ固着される断面凸形の取付具2と、前記4面にそれぞれ対応して取り付けられる断面コ字形の側面化粧材3と、隣接する該側面化粧材3,3間にそれぞれ挿入されつつ取り付けられる断面C字形の出隅化粧材4とからなること。前記取付具2に設けた入隅スリット2dに、前記側面化粧材3及び前記出隅化粧材4のそれぞれの係合用溝3d,4dが互いに係合されてなること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル,住宅等の建造物の玄関に設置するものであり、表面に化粧を施したものであって、且つ種々の形状及び化粧模様にすることができるとともに、特に、組立施工が簡単にできると共に、建築現場に運搬する際に損傷しにくいものにできる化粧柱に関する。
【背景技術】
【0002】
柱の外装主材に比較的肉厚の厚い化粧板が装着されたものが特許文献1(特開平6−193194号)に開示されている。その化粧板は、強度等に優れたものが使用されることもあるが、材質によっては肉厚の場合、脆いこともあり、現場に搬送する間にトラックの衝撃等によって、化粧板が割れる等の破損が発生することがあり、この場合に、化粧板の破損を簡単に修復することができないという欠点を、特許文献2(特開2005−36610)にて解消したものである。しかるに、現場での組立などが面倒な点が生じていた。
【特許文献1】特開平6−193194号公報
【特許文献2】特開2005−36610
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明が解決しようとする課題(技術的課題又は目的等)は、柱を適宜に種々の形状及び化粧模様にするとともに、組立性を簡易にすると共に、建築現場に運搬する際に損傷しにくく、強固且つ耐久性のあるものにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、断面略方形状の芯部材と、該芯部材の4面にそれぞれ固着される断面凸形の取付具と、前記4面にそれぞれ対応して取り付けられる断面コ字形の側面化粧材と、隣接する前記側面化粧材間にそれぞれ挿入されつつ取り付けられる断面C字形の出隅化粧材とからなり、前記取付具に設けた入隅スリットに、前記側面化粧材及び前記出隅化粧材のそれぞれの係合用溝が互いに係合されてなることを特徴とする化粧柱としたことにより、前記課題を解決した。
【0005】
請求項2の発明においては、前述の構成において、前記側面化粧材及び前記出隅化粧材のそれぞれの係合用溝は、前記取付具を略覆う形状としたそれぞれの凹部に連続して形成されてなることを特徴とする化粧柱としたことにより、前記課題を解決した。請求項3の発明においては、前述の構成において、前記取付具の両側の入隅スリットの幅方向間隔は、前記側面化粧材と前記出隅化粧材との板厚と同等とすると共に、入り口箇所に切り欠きが形成されてなることを特徴とする化粧柱としたことにより、前記課題を解決した。
【0006】
請求項4の発明においては、前述の構成において、前記側面化粧材及び前記出隅化粧材のそれぞれの係合用溝の入り口箇所に切り欠きが形成されてなることを特徴とする化粧柱としたことにより、前記課題を解決した。また、請求項5の発明においては、前述の構成において、前記芯部材は中空管状としてなることを特徴とする化粧柱としたことにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、芯部材に対して複数の側面化粧材を固着し、該側面化粧材間に出隅化粧材を係合固定することで化粧面として被覆された柱を簡易且つ迅速に構成することができる。特に、係合固定にて簡単に取付ができる。また、側面化粧材及び出隅化粧材は、金属板材から形成されたものであり、建築現場への搬入においても、途中で損傷するおそれが殆どなく行うことができる。また、出隅化粧材及び側面化粧材の表面は、種々の形状,模様等を彫刻又は印刷等することにより、化粧柱の外観のデザインを種々選択することができるものであり、特に住宅の玄関に設置するものとしては、極めて好適なものといえる。
【0008】
請求項2の発明においては、請求項1と同様の効果を奏する。請求項3の発明によれば、隣接する側面化粧材と、出隅化粧材とを整然と施工できる。請求項4の発明では、極めて係合しやすくでき、迅速に施工できる。次に請求項5の発明によれば、柱芯部材の軽量化ができ、ひいては、施工を行いやすくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明すると、図1乃至図2は基本図面である。まず、芯部材1は、図1(B),図2(A)等に示すように、断面略方形状に形成されたものであり、さらに具体的には、断面が正方形に形成されたものであって、中空状であり、実際には、鋼管,形鋼等が使用される。その角部は、小半径の円弧状に形成されることが多い。その芯部材1は、建物の柱の芯材として使用されるものであり、その長さは使用される建造物の種類により適宜に設定される。芯部材1を中空状とすることにより、後述する取付具2と側面化粧材3及び出隅化粧材4等をリベット,ドリルビス等の固着具10にて固着しやすいものとなる。また、芯部材1が中空状であることにより、軽量化を図ることができる。
【0010】
前記芯部材1は、通常の建造物に合わせたものとしては、長さが略2.5メートルから3メートルの範囲で使用されることが多い。本発明の実施形態では、特に2.7m程度のものが使用されている。また、断面は100mm×100mmでその厚さが2.3mmの鋼管が使用されることが多い。その芯部材1の4面は、それぞれ側面1aと、4箇所の角部は、それぞれ出隅部1bと称する〔図1(B),図2(A)等参照〕。なお、芯部材1の断面は略方形状であるとしているが、長方形状とすることもある。なお、その芯部材1の断面形状は、六角形、八角形等も存在しうる。
【0011】
取付具2は、前記芯部材1に対して、後述する側面化粧材3及び出隅化粧材4を係合取付けするための部材である。具体的には、断面門形の門形部2aに対して、該両側にL形部枠2b,2bが、更に、この外側に取付片2c,2cが一体固着されている。また、前記取付具2の前記門形部2aと前記L形部枠2bとの間に入隅スリット2dが設けられている。該入隅スリット2dの入口箇所に切り欠き2eが形成されている。
【0012】
側面化粧材3は、断面コ字形をなし、長手方向の長さは、前記芯部材1と同等長さを有し、前記芯部材1の側面1aに装着されるものである。また、前記側面化粧材3は、水平状又は弧状なる表面部3aと、該表面部3aの両側より略直角に屈曲する側部3b,3bが一体形成されている。さらに、該側部3b,3bの長手方向において適宜な間隔を有して、前記取付具2を略覆う形状とした凹部3c,3cが、前記側部3b,3bに左右対称に形成されている。さらに、前記凹部3c,3cに連続した両側の係合用溝3d,3dの入り口箇所に、面取り構造として切り欠き3e,3eが形成されている。
【0013】
出隅化粧材4は、断面C字形をなし、長手方向の長さは、前記芯部材1と同等長さを有している。前記出隅化粧材4は、多角面或いは湾曲状に屈曲して屈曲表面部4aと、該屈曲表面部4aの両側より略直角に屈曲する側部4b,4bが一体形成されている。そして、両側部4b,4bは互いに直交するように構成されている。さらに、該側部4b,4bの長手方向において適宜な間隔を有して、前記取付具2を略覆う形状とした凹部4c,4cが、前記側部4b,4bに左右対称に形成されている。さらに、前記凹部4c,4cに連続した両側の係合用溝4d,4dの入り口箇所に、面取り構造として切り欠き4e,4eが形成されている。
【0014】
また、前記側面化粧材3の表面部3a及び前記出隅化粧材4の屈曲表面部4aを種々の形状に形成されることにより、化粧柱の外形に種々のバリエーションを与えることができる。たとえば、図1(B)及び図2(B)実線に示すように、前記側面化粧材3の表面部3aを水平状とし、前記出隅化粧材4の屈曲表面部4aを台形状山形に形成することで、断面八角形の化粧柱にできる。また、図2(B)点線に示すように、前記側面化粧材3の表面部3aを水平状とし、前記出隅化粧材4の屈曲表面部4aをほぼ直角に屈曲形成することで、断面略正方形状の化粧柱にできる。さらに、図2(B)二点鎖線に示すように、前記側面化粧材3の表面部3aを弧状とし、前記出隅化粧材4の屈曲表面部4aを円弧状に屈曲形成することで断面円形状の柱を形成することができる。
【0015】
その側面化粧材3及び出隅化粧材4とは、その表面側、すなわち、表面部3a及び屈曲表面部4aが化粧表面mとして形成されたものである。該化粧表面mの模様としては、種々のタイプのものが存在し、陶磁器,木目等があり、耐火性材等の合成樹脂等により成形されている。この化粧表面mは具体的には、シート状であり、その裏面側は粘着性のある貼着面として形成され、出隅化粧材4及び側面化粧材3の表面に貼着されるものである。或いは、側面化粧材3及び出隅化粧材4の表面がアルミ,ステンレスのヘアライン仕上げ等の金属表面仕上げとしたものである。このように、前記側面化粧材3及び出隅化粧材4との表面の模様が適宜に設定されることで本発明の化粧柱は種々のデザインを選択することができ、多様性に富むデザインとすることが可能である。
【0016】
前記取付具2の両側の取付片2c,2c間の間隔は、前記芯部材1の側面1aの幅に相当しており、且つ、両側の取付片2c,2cは、全体の高さの半分が交互に位置するように形成されている。このような形状により前記芯部材1の側面1aの4面に配置させると、前記芯部材1の出隅部1b箇所で、上下に取付片2c,2cがセットされてリベットなどの固着具10にて整然と取り付けられている。そして、側面化粧材3が、前記芯部材1の側面1aに配置され、それぞれの凹部3cを前記取付具2に近づかせる[図5(A)参照]。そして前記取付具2の高さ位置にする共に、該取付具2の両側の取付片2c,2cに当接する[図5(B)参照]。次いで、側面化粧材3全体を、押し下げて、前記係合用溝3dを、前記入隅スリット2dに係合して固定する[図5(C)参照]。このようにして、芯部材1の4つ側面1aに側面化粧材3を取り付ける。また、芯部材1の長さが、例えば、2.4m程度の場合には、3箇所に取付具2を設ける場合が想定される。上下端より30cmの箇所と、残り180cmの中央箇所の位置(90cmピッチの中央)の3箇所となることがある。
【0017】
次いで、隣接する前記側面化粧材3,3間に、出隅化粧材4に配置され、それぞれの凹部4cを前記取付具2に近づかせ、前記取付具2の高さ位置にする共に、該取付具2の両側の取付片2c,2cに当接させ、同時に、前記出隅化粧材4の側部4b,4bを、隣接する前記側面化粧材3,3の両側部3b,3bに当接させる。そして、前記出隅化粧材4全体を、押し下げて、前記係合用溝4dを、前記入隅スリット2dに係合して固定する。このようにして、芯部材1の4つの出隅部1bに出隅化粧材4を取り付ける。このように係合することで、平面的にみて側面化粧材3と前記出隅化粧材4の両板厚と、前記入隅スリット2dの幅方向間隔が同等であることから、ぐらつきなどがなく整然とした係合取付ができる。また、切り欠き3e,4eにて係合しやすくできる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明における化粧柱は、住宅の玄関に装着するものだけでなく、大型又は小型の店舗入り口,ビルの玄関等にも十分に使用可能である。また、特に人の出入りの多いスーパーマーケット等の店舗では、荷物を積んだ自転車,或いは商品を運ぶ台車等も多く見られ、これらが柱等に衝突すると、傷が付いてしまうことが多いものであるが、本発明のように、芯部材1に側面化粧材3及び出隅化粧材4を被覆するようにして装着することで、補修用の化粧材を常時ストックしておけば、迅速に修繕ができ、優美且つ比較的格安の化粧柱を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(A)は本発明の柱の使用状態を示す一部切除した斜視図、(B)は(A)の要部拡大斜視図である。
【図2】(A)は取付具付き芯部材の横断拡大平面図、(B)は本発明の横断拡大平面図である。
【図3】(A)は取付具付き芯部材の一部切除した斜視図、(B)は側面化粧材の一部切除した斜視図、(C)は出隅化粧材の一部切除した斜視図である。
【図4】(A)は取付具付き芯部材の要部拡大斜視図、(B)は裏面側から見た取付具の斜視図、(C)は正面側から見た取付具の斜視図、(D)は(A)の正面図である。
【図5】(A)は側面化粧材を取付具に装着せんとする一部断面とした状態図、(B)は側面化粧材の凹部で取付具を覆うようにした一部断面とした状態図、(C)は側面化粧材の係合用溝を取付具の入隅スリットに係合固定した一部断面とした側面図である。
【図6】(A)は取付具の一部拡大平面図、(B)は取付具に側面化粧材を係合した状態の一部拡大平面図、(C)は(B)において、さらに出隅化粧材を取付具に係合した一部拡大平面図である。
【図7】(A)は側面化粧材の係合用溝を取付具の入隅スリットに係合せんとする要部拡大斜視図、(B)はさらに出隅化粧材の係合用溝を取付具の入隅スリットに係合した要部拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1…芯部材、1a…側面、2…取付具、2d…入隅スリット、
2e,3e,4e…切り欠き、3…側面化粧材、3c,4c…凹部、
3d,4d…係合用溝、4…出隅化粧材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面略方形状の芯部材と、該芯部材の4面にそれぞれ固着される断面凸形の取付具と、前記4面にそれぞれ対応して取り付けられる断面コ字形の側面化粧材と、隣接する前記側面化粧材間にそれぞれ挿入されつつ取り付けられる断面C字形の出隅化粧材とからなり、前記取付具に設けた入隅スリットに、前記側面化粧材及び前記出隅化粧材のそれぞれの係合用溝が互いに係合されてなることを特徴とする化粧柱。
【請求項2】
請求項1において、前記側面化粧材及び前記出隅化粧材のそれぞれの係合用溝は、前記取付具を略覆う形状としたそれぞれの凹部に連続して形成されてなることを特徴とする化粧柱。
【請求項3】
請求項1において、前記取付具の両側の入隅スリットの幅方向間隔は、前記側面化粧材と前記出隅化粧材との板厚と同等とすると共に、入り口箇所に切り欠きが形成されてなることを特徴とする化粧柱。
【請求項4】
請求項1,2又は3において、前記側面化粧材及び前記出隅化粧材のそれぞれの係合用溝の入り口箇所に切り欠きが形成されてなることを特徴とする化粧柱。
【請求項5】
請求項1において、前記芯部材は中空管状としてなることを特徴とする化粧柱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−7792(P2009−7792A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168614(P2007−168614)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000175973)三晃金属工業株式会社 (85)
【Fターム(参考)】