説明

医用マルチディスプレイ装置

【課題】被検体の体内の3次元構造を容易に視認可能にする。
【解決手段】第2FPD(21)の上辺と辺を接して直角な姿勢・位置に第1FPD(11)を支持すると共に、第2FPD(21)の右辺と辺を接して直角な姿勢・位置に第3FPD(31)を支持すると、第1FPD(11)と第2FPD(21)と第3FPD(31)とが立方体の隣接する三面の配置となる。これらに被検体の体内の3次元構造の正面画像、上面画像および側面画像を表示する。
【効果】実空間と同じ感覚で被検体の体内の3次元構造を視認可能となるので、医師の負担を軽減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用マルチディスプレイ装置に関し、さらに詳しくは、被検体の体内の3次元構造を容易に視認可能とした医用マルチディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数(例えば8台)の画像表示器を備え、各画像表示器に医用画像をそれぞれ表示しうるマルチ画像表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平05−127856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
超音波診断装置やX線CT(Computer Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などの画像診断装置により被検体を3次元的に撮影して得たボリュームデータを基に、被検体の体内の正面画像,上面画像,側面画像などを生成することが出来る。そして、生成した正面画像,上面画像,側面画像などを複数の画像表示器にそれぞれ同時に表示すれば、それらを医師が比較観察することが出来る。
しかし、従来装置では、複数の画像表示器を平面的に並べてパネル状に配置したものであったため、どれが正面画像で、どれが上面画像で、どれが側面画像であるかを医師が認識して比較観察する必要があった。また、頭の中で組み立てて、被検体の体内の3次元構造を想像する必要があり、医師に負担がかかる問題点があった。
そこで、本発明の目的は、医師の負担を軽減でき、被検体の体内の3次元構造を容易に視認可能とした医用マルチディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の観点では、本発明は、第1平面型画像表示器と、前記第1平面型画像表示器を支持する第1平面型画像表示器支持機構と、第2平面型画像表示器と、前記第2平面型画像表示器を支持する第2平面型画像表示器支持機構と、第3平面型画像表示器と、前記第3平面型画像表示器を支持する第3平面型画像表示器支持機構とを具備し、前記第1平面型画像表示器支持機構は前記第2平面型画像表示器の第1の辺と辺を接して直角な姿勢・位置および前記第1の辺と辺を接して平行な姿勢・位置のいずれにも変更可能に前記第1平面型画像表示器を支持し、前記第3平面型画像表示器支持機構は前記第2平面型画像表示器の前記第1の辺に直交する第2の辺と辺を接して直角な姿勢・位置および前記第2の辺と辺を接して平行な姿勢・位置のいずれにも変更可能に前記第3平面型画像表示器を支持することを特徴とする医用マルチディスプレイ装置を提供する。
【0005】
上記第1の観点による医用マルチディスプレイ装置では、第2平面型画像表示器の第1の辺と辺を接して直角な姿勢・位置に第1平面型画像表示器を支持すると共に、第2平面型画像表示器の第1の辺に直交する第2の辺と辺を接して直角な姿勢・位置に第3平面型画像表示器を支持すると、第1平面型画像表示器と第2平面型画像表示器と第3平面型画像表示器とが立方体の隣接する三面の配置となる。従って、これらに正面画像,上面画像,側面画像をそれぞれ表示すれば、実空間と同じ感覚で被検体の体内の3次元構造を視認可能となり、医師の負担を軽減できる。
【0006】
また、第2平面型画像表示器の第1の辺と辺を接して平行な姿勢・位置に第1平面型画像表示器を支持すると共に、第2平面型画像表示器の第1の辺に直交する第2の辺と辺を接して平行な姿勢・位置に第3平面型画像表示器を支持すると、正面画像の上に上面画像が在り、正面画像の右に右測面画像が在るので、立方体の隣接する三面の配置よりは劣るが、被検体の体内の3次元構造を想像し易くなり、視線を大きく動かさなくても3面を見られる点では立方体の隣接する三面の配置より優れた配置となる。また、複数の平面型画像表示器を大きな一つの画像表示器として使うことも可能となる。
【0007】
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点による医用マルチディスプレイ装置において、前記第1平面型画像表示器支持機構は、前記第1平面型画像表示器に設置された第1平面型画像表示器側関節部材と、固定台側に設置された第1固定側関節部材と、前記第1平面型画像表示器側関節部材と前記第1固定側関節部材とを伸縮可能に結合する第1連結部材とからなることを特徴とする医用マルチディスプレイ装置を提供する。
上記第2の観点による医用マルチディスプレイ装置では、画像表示器側関節部材と固定台側関節部材と伸縮可能な連結部材とにより、姿勢・位置を変更可能に第1平面型画像表示器を支持することが出来る。
【0008】
第3の観点では、本発明は、前記第2の観点による医用マルチディスプレイ装置において、前記関節部材はボールジョイントであり、前記連結部材はシリンダロッドであることを特徴とする医用マルチディスプレイ装置を提供する。
上記第3の観点による医用マルチディスプレイ装置では、画像表示器側ボールジョイントと固定台側ボールジョイントとシリンダロッドとにより、姿勢・位置を変更可能に第1平面型画像表示器を支持することが出来る。
【0009】
第4の観点では、本発明は、前記第1から前記第3のいずれかの観点による医用マルチディスプレイ装置において、前記第3平面型画像表示器支持機構は、前記第3平面型画像表示器に設置された第3平面型画像表示器側関節部材と、固定台側に設置された第3固定側関節部材と、前記第3平面型画像表示器側関節部材と前記第3固定側関節部材とを伸縮可能に結合する第3連結部材とからなることを特徴とする医用マルチディスプレイ装置を提供する。
上記第4の観点による医用マルチディスプレイ装置では、画像表示器側関節部材と固定台側関節部材と伸縮可能な連結部材とにより、姿勢・位置を変更可能に第3平面型画像表示器を支持することが出来る。
【0010】
第5の観点では、本発明は、前記第4の観点による医用マルチディスプレイ装置において、前記関節部材はボールジョイントであり、前記連結部材はシリンダロッドであることを特徴とする医用マルチディスプレイ装置を提供する。
上記第5の観点による医用マルチディスプレイ装置では、画像表示器側ボールジョイントと固定台側ボールジョイントとシリンダロッドとにより、姿勢・位置を変更可能に第3平面型画像表示器を支持することが出来る。
【0011】
第6の観点では、本発明は、前記第1から前記第5のいずれかの観点による医用マルチディスプレイ装置において、前記第2平面型画像表示器支持機構は、前記第2平面型画像表示器の姿勢・位置を変更可能に前記第2平面型画像表示器を支持することを特徴とする医用マルチディスプレイ装置を提供する。
上記第6の観点による医用マルチディスプレイ装置では、第2平面型画像表示器の姿勢・位置をも変更可能になるので、位置・姿勢の自由度を向上できる。
【0012】
第7の観点では、本発明は、前記第6の観点による医用マルチディスプレイ装置において、前記第2平面型画像表示器支持機構は、前記第2平面型画像表示器に設置された第2平面型画像表示器側関節部材と、固定台側に設置された第2固定側関節部材と、前記第2平面型画像表示器側関節部材と前記第2固定側関節部材とを伸縮可能に結合する第2連結部材とからなることを特徴とする医用マルチディスプレイ装置を提供する。
上記第7の観点による医用マルチディスプレイ装置では、画像表示器側関節部材と固定台側関節部材と伸縮可能な連結部材とにより、姿勢・位置を変更可能に第2平面型画像表示器を支持することが出来る。
【0013】
第8の観点では、本発明は、前記第7の観点による医用マルチディスプレイ装置において、前記関節部材はボールジョイントであり、前記連結部材はシリンダロッドであることを特徴とする医用マルチディスプレイ装置を提供する。
上記第8の観点による医用マルチディスプレイ装置では、画像表示器側ボールジョイントと固定台側ボールジョイントとシリンダロッドとにより、姿勢・位置を変更可能に第2平面型画像表示器を支持することが出来る。
【発明の効果】
【0014】
本発明の医用マルチディスプレイ装置によれば、実空間と同じ感覚で被検体の体内の3次元構造を視認可能となり、医師の負担を軽減できる。また、正面画像の上に上面画像、正面画像の横に側面画像を配置できるので、被検体の体内の3次元構造を想像し易くなり、医師の負担を軽減できる。さらに、複数の平面型画像表示器を大きな一つの画像表示器として使うことも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0016】
図1は、実施例1に係る医用マルチディスプレイ装置100を示す構成説明図である。
この医用マルチディスプレイ装置100は、第1FPD(Flat Panel Display)11と、第1FPD11の背面に設置された第1FPD側関節部材12と、固定台(図示省略)に設置された第1固定側関節部材13と、第1FPD側関節部材12と第1固定側関節部材13とを結合し伸縮可能な第1連結部材14とを具備している。
【0017】
また、医用マルチディスプレイ装置100は、第2FPD21と、第2FPD21の背面に設置された第2FPD側関節部材22と、固定台(図示省略)に設置された第2固定側関節部材23と、第2FPD側関節部材22と第2固定側関節部材23とを結合し伸縮可能な第2連結部材24とを具備している。
【0018】
また、医用マルチディスプレイ装置100は、第3FPD31と、第3FPD31の背面に設置された第3FPD側関節部材32と、固定台(図示省略)に設置された第3固定側関節部材33と、第3FPD側関節部材32と第3固定側関節部材33とを結合し伸縮可能な第3連結部材34とを具備している。
【0019】
第1FPD側関節部材12,第1固定側関節部材13,第2FPD側関節部材22,第2固定側関節部材23,第3FPD側関節部材32および第3固定側関節部材33は、ユニバーサルジョイント(univarsal joints:自在継手)である。例えばボールジョイントである。
【0020】
第1連結部材14,第2連結部材24および第3連結部材34は、例えばシリンダロッドである。屈曲アームを用いてもよいが、シリンダロッドの方が相互の干渉が少ないため好ましい。
【0021】
図1に示すように、第2FPD21の上辺と辺を接して直角な姿勢・位置に第1FPD11を支持すると共に、第2FPD21の右辺と辺を接して直角な姿勢・位置に第3FPD31を支持すると、第1FPD11と第2FPD21と第3FPD31とが立方体の隣接する三面の配置となる。
【0022】
超音波診断装置やX線CT装置やMRI装置などの画像診断装置により被検体を3次元的に撮影して得たボリュームデータを基に被検体の体内の正面画像,上面画像,右側面画像を生成し、図2に示すように、第1FPD11に上面画像を表示し、第2FPD21に正面画像を表示し、第3FPD31に右側面画像を表示すれば、実空間と同じ感覚で被検体の体内の3次元構造を視認可能となる。よって、医師の負担を軽減できる。
【0023】
なお、図2では、理解し易くするため、見分け易い正面画像,上面画像,右側面画像を用いて説明した。
しかし、実際の正面画像,上面画像,右側面画像(例えば腎臓や肝臓の正面画像,上面画像,右側面画像)は、どれがどれか見分け難いため、平面上に並べて表示したのでは混乱しやすい。
これに対して、図2のようなFPD11,21,31の配置で表示すると、混乱なく、3次元構造を視認できるようになる。
【0024】
図3に示すように、第2FPD21の上辺と下辺を接して平行な姿勢・位置に第1FPD11を支持すると共に、第2FPD21の右辺と左辺を接して平行な姿勢・位置に第3FPD31を支持すると、正面画像の上に上面画像が在り、正面画像の右に右測面画像が在るので、図2の配置よりは劣るが、被検体の体内の3次元構造を想像し易くなる。なお、視線を大きく動かさなくても3面を見られる点では、図2の配置より優れている。また、大きな画面の1つの画像表示器として使うことも出来る。
【0025】
さらに、ボリュームデータを基に被検体の体内の正面画像,左側面画像,右側面画像を生成し、図4に示すように、第2FPD21の左辺と右辺を接して平行な姿勢・位置に第1FPD11を支持すると共に、第2FPD21の右辺と左辺を接して平行な姿勢・位置に第3FPD31を支持し、第1FPD11に左側面画像を表示し、第2FPD21に正面画像を表示し、第3FPD31に右側面画像を表示すれば、正面画像の左に左側面画像が在り、正面画像の右に右測面画像が在るので、被検体の体内の3次元構造を想像し易くなる。また、大きな画面の1つの画像表示器として使うことも出来る。
【0026】
図5のように配置し、第1FPD11に左側面画像を表示し、第2FPD21に正面画像を表示し、第3FPD31に右側面画像を表示すれば、実空間と同じ感覚で被検体の体内の3次元構造を視認可能となる。
【0027】
実施例1の医用マルチディスプレイ装置100によれば、実空間と同じ感覚で被検体の体内の3次元構造を視認可能となり、医師の負担を軽減できる。また、実空間と類似した配置に画像を配置できるので、被検体の体内の3次元構造を想像し易くなり、医師の負担を軽減できる。さらに、複数の平面型画像表示器を大きな一つの画像表示器として使うことも可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の医用マルチディスプレイ装置は、超音波診断装置やX線CT装置やMRI装置などの画像診断装置により被検体を3次元的に撮影して得たボリュームデータを基に被検体の体内の正面画像,上面画像,右側面画像を生成し、これらを同時表示するのに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1に係る医用マルチディスプレイ装置(立方体の三面配置)を示す斜視図である。
【図2】立方体の三面配置での表示画像を示す斜視である。
【図3】実施例1に係る医用マルチディスプレイ装置(実空間と類似した配置)を示す斜視図である。
【図4】実施例1に係る医用マルチディスプレイ装置(一列配置)を示す斜視図である。
【図5】実施例1に係る医用マルチディスプレイ装置(立方体の横三面配置)を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
11 第1FPD(Flat Panel Display)
12 第1FPD側関節部材
13 第1固定側関節部材
14 第1連結部材
21 第2FPD
22 第2FPD側関節部材
23 第2固定側関節部材
24 第2連結部材
31 第3FPD
32 第3FPD側関節部材
33 第3固定側関節部材
34 第3連結部材
100 医用マルチディスプレイ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1平面型画像表示器と、前記第1平面型画像表示器を支持する第1平面型画像表示器支持機構と、第2平面型画像表示器と、前記第2平面型画像表示器を支持する第2平面型画像表示器支持機構と、第3平面型画像表示器と、前記第3平面型画像表示器を支持する第3平面型画像表示器支持機構とを具備し、前記第1平面型画像表示器支持機構は前記第2平面型画像表示器の第1の辺と辺を接して直角な姿勢・位置および前記第1の辺と辺を接して平行な姿勢・位置のいずれにも変更可能に前記第1平面型画像表示器を支持し、前記第3平面型画像表示器支持機構は前記第2平面型画像表示器の前記第1の辺に直交する第2の辺と辺を接して直角な姿勢・位置および前記第2の辺と辺を接して平行な姿勢・位置のいずれにも変更可能に前記第3平面型画像表示器を支持することを特徴とする医用マルチディスプレイ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の医用マルチディスプレイ装置において、前記第1平面型画像表示器支持機構は、前記第1平面型画像表示器に設置された第1平面型画像表示器側自在継手と、固定台側に設置された第1固定側自在継手と、前記第1平面型画像表示器側自在継手と前記第1固定側自在継手とを伸縮可能に結合する第1連結部材とからなることを特徴とする医用マルチディスプレイ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の医用マルチディスプレイ装置において、前記自在継手はボールジョイントであり、前記連結部材はシリンダロッドであることを特徴とする医用マルチディスプレイ装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の医用マルチディスプレイ装置において、前記第3平面型画像表示器支持機構は、前記第3平面型画像表示器に設置された第3平面型画像表示器側自在継手と、固定台側に設置された第3固定側自在継手と、前記第3平面型画像表示器側自在継手と前記第3固定側自在継手とを伸縮可能に結合する第3連結部材とからなることを特徴とする医用マルチディスプレイ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の医用マルチディスプレイ装置において、前記自在継手はボールジョイントであり、前記連結部材はシリンダロッドであることを特徴とする医用マルチディスプレイ装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の医用マルチディスプレイ装置において、前記第2平面型画像表示器支持機構は、前記第2平面型画像表示器の姿勢・位置を変更可能に前記第2平面型画像表示器を支持することを特徴とする医用マルチディスプレイ装置。
【請求項7】
請求項6に記載の医用マルチディスプレイ装置において、前記第2平面型画像表示器支持機構は、前記第2平面型画像表示器に設置された第2平面型画像表示器側自在継手と、固定台側に設置された第2固定側自在継手と、前記第2平面型画像表示器側自在継手と前記第2固定側自在継手とを伸縮可能に結合する第2連結部材とからなることを特徴とする医用マルチディスプレイ装置。
【請求項8】
請求項7に記載の医用マルチディスプレイ装置において、前記自在継手はボールジョイントであり、前記連結部材はシリンダロッドであることを特徴とする医用マルチディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−257082(P2008−257082A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−101270(P2007−101270)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】