説明

医用画像処理装置

【課題】医用画像の画像データの付帯情報の修正を自動的に行なえる医用画像処理装置を提供する。
【解決手段】医用画像処理装置1は、情報記憶部11に医療知識データベース111や統計情報データベース112などの参照情報を記憶している。通信部16がモダリティ2000からの医用画像の画像データ及びその付帯情報を受け付けると、情報変更部12は、情報記憶部11に記憶された参照情報と、受け付けられた付帯情報とを比較して、この付帯情報の内容を変更する。情報更新部13は、付帯情報の変更結果に基づいて、統計情報データベース112などを更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医用画像の画像データやそれに関わる情報を処理する医用画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年における情報技術の発展に伴い、医療分野においてもデータ管理のデジタル化が進行している。医用画像分野においては、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)と呼ばれる規格を使用して医用画像の画像データやその付帯情報を取り扱うように技術の標準化が進んでいる。
【0003】
DICOMに準拠したシステムでは、画像データの付帯情報の項目(DICOM tag)があらかじめ設定されている。オーダ(order)が発行されると、そのオーダに含まれる情報が付帯情報の所定の項目にそれぞれ書き込まれて付帯情報が生成される。なお、DICOM tagとして設定されていない情報をオーダが含んでいる場合、新たなDICOM tagを追加作成して書き込むようになっている。
【0004】
特許文献1には、このような技術の一例が開示されている。同文献に記載の技術は、外部から入力された検査(X線撮影)に関する情報(付帯情報)が適正か否かを判断し、適正でないと判断されたときに、その修正を促したり注意を促したりするものである。
【0005】
【特許文献1】特開2004−171386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、修正を促す情報や注意を促す情報を認識したユーザが手入力で修正作業を行う必要がある。そのため、修正作業が煩わしく、また修正内容を誤入力するおそれもある。
【0007】
また、オーダ情報についても、従来はその修正を手作業で行っていたために、修正作業が煩雑であり、また誤って修正してしまうおそれがあった。
【0008】
この発明は、以上のような問題を解決するためになされたもので、医用画像の画像データの付帯情報の修正を自動的に行うことが可能な医用画像処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、この発明は、医用画像の撮影を行うためのオーダ情報の修正を自動的に行うことが可能な医用画像処理装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、医用画像の画像データ及びその付帯情報を受け付ける受付手段と、前記受け付けられた付帯情報と所定の参照情報とを比較して前記付帯情報を変更する変更手段と、を備えることを特徴とする医用画像処理装置である。
【0011】
また、請求項21に記載の発明は、医用画像を撮影するためのオーダ情報を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けられたオーダ情報を記憶する記憶手段と、前記受付手段により新たなオーダ情報が受け付けられたときに、当該新たなオーダ情報と前記記憶手段に記憶された過去のオーダ情報とを比較して当該新たなオーダ情報を変更する変更手段と、を備えることを特徴とする医用画像処理装置である。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る医用画像処理装置は、医用画像の画像データ及びその付帯情報を受け付け、この受け付けられた付帯情報と所定の参照情報とを比較して付帯情報を変更するように作用するものである。したがって、医用画像の画像データの付帯情報を自動的に修正することが可能である。
【0013】
また、この発明に係る医用画像処理装置は、医用画像を撮影するためのオーダ情報を受け付けて記憶手段に記憶するとともに、新たなオーダ情報が受け付けられたときに、この新たなオーダ情報と記憶手段に記憶された過去のオーダ情報とを比較して、この新たなオーダ情報を変更するように作用するものである。したがって、医用画像を撮影するためのオーダ情報を自動的に修正することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施の形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
〈第1の実施形態〉
この発明に係る医用画像処理装置の第1の実施形態を説明する。図1は、当該実施形態に係る医用画像処理装置を含んで運用される医用システムの構成の一例を表している。この医用システムは、医用画像処理装置1、HIS/RIS1000、モダリティ2000、アーカイブ装置3000、サーバ4000、電子カルテ端末5000及び読影端末6000を含んで構成される。これらの装置は、LAN(Local Area Network)や専用線等の通信回線を介して接続されている。
【0016】
以下、従来と同様の構成を有するHIS/RIS1000、モダリティ2000、アーカイブ装置3000、サーバ4000、電子カルテ端末5000及び読影端末6000についてそれぞれ簡単に説明し、その後、この発明に係る医用画像処理装置1について説明する。
【0017】
[HIS/RIS]
HIS/RIS1000は、HIS(Hospital Information System;病院情報システム)と、RIS(Radiology Information System;放射線部門情報管理システム)とを統合した情報システムである。
【0018】
HISは、医療機関内の業務を効率的に行うためのコンピュータシステムである。HISは、一般に、オーダを発生するためのオーダリングシステム、医事会計システム、薬剤システム、病棟管理システムなどの各種のコンピュータシステムを含んで構成される。
【0019】
RISは、医療機関における放射線部門の業務を効率的に行うためのコンピュータシステムである。RISは、一般に、オーダの参照処理、検査実施情報や会計情報の記録処理や転送処理、各種統計処理などを行う。
【0020】
HIS/RIS1000は、発生されたオーダに関するオーダ情報を、医用画像処理装置1とモダリティ2000にそれぞれ送信する。
【0021】
[モダリティ]
モダリティ(modality)2000は、医用画像診断装置などとも呼ばれ、被検体の内部形態を反映したデータを検出し、その検出データに基づいて医用画像の画像データを形成する装置である。
【0022】
また、モダリティ2000は、HIS/RIS1000から受けたオーダ情報に基づいて(DICOM形式の)付帯情報を生成する。そして、この付帯情報を医用画像の画像データに付帯して医用画像処理装置1に送信する。
【0023】
モダリティ2000の種別としては、X線診断装置(CR(Computed Radiography)装置)、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron Emission Computed Tomography)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、超音波診断装置などの任意の医用画像診断装置を適用することができる。
【0024】
図1においては、モダリティ2000が一つしか記載されていないが、一般に複数のモダリティが用いられる。ここで、同じ種別のモダリティを複数用いることもできるし(たとえばX線診断装置を2台用いる場合)、異なる種別のモダリティを用いることもできる(たとえばX線診断装置とX線CT装置を用いる場合)。複数のモダリティを用いる場合、HIS/RIS1000や医用画像処理装置1は、各モダリティと通信可能に接続されることになる。
【0025】
なお、この発明においては、医用画像の画像データや付帯情報を医用画像処理装置1に入力する装置はモダリティに限定されるものではない。たとえば、外部のサーバなどから画像データ等を入力するようなシステム構成を採用することも可能である。
【0026】
[アーカイブ装置]
アーカイブ(archive)装置3000は、医用画像の画像データ、付帯情報、電子カルテデータなどの各種の医用情報を保管する装置である。このアーカイブ装置3000としては、医用画像や付帯情報を保管するPACS(Picture Archiving and Communication System)や、電子カルテデータベースなどがある。アーカイブ装置3000は、医用画像処理装置1を介して医用画像の画像データや付帯情報を取得する。
【0027】
[サーバ]
サーバ4000は、医用画像の画像データ、付帯情報、電子カルテデータなどの各種の医用情報を配信する装置である。配信される情報としては、医用画像処理装置1から入力される医用画像の画像データや付帯情報、アーカイブ装置3000に保管された医用画像の画像データ、付帯情報、電子カルテデータなどがある。
【0028】
[電子カルテ端末]
電子カルテ端末5000は、電子カルテの閲覧や修正作業に使用される端末装置である。閲覧者等は、電子カルテ端末5000を操作して、所望の患者の電子カルテを配信するようにサーバ4000に要求する。サーバ4000は、この要求を受けて、閲覧者等が指定した電子カルテのデータを電子カルテ端末5000に配信する。電子カルテ端末5000は、受信したデータに基づいて電子カルテを表示する。
【0029】
[読影端末]
読影端末6000は、医用画像の読影作業に使用される端末装置であり、画像ビューア(Viewer)などとも呼ばれる。読影医は、読影端末6000を操作して、所望の医用画像の画像データや付帯情報を配信するようにサーバ4000に要求する。サーバ4000は、この要求を受けて、読影医が指定した医用画像の画像データや付帯情報を読影端末6000に配信する。読影端末6000は、受信した情報に基づいて医用画像や付帯情報を表示する。
【0030】
[医用画像処理装置]
医用画像処理装置1は、モダリティ2000によって生成された医用画像の画像データや付帯情報に対して後述の処理を施すコンピュータである。
【0031】
医用画像処理装置1は、通常のコンピュータと同様のハードウェア構成を有し、たとえば次のような構成要素を含んで構成される:(1)各種の制御処理や演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)等のマイクロプロセッサ;(2)RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置;(3)ROM(Read Only Memory)やハードディスクドライブ等の外部記憶装置;(4)LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等の表示デバイス;(5)キーボード、マウス、ジョイスティック、トラックボール、コントロールパネル等の操作デバイスや入力デバイス;(6)LANカード等の通信インターフェイス。これら装置(1)〜(6)は、バスやケーブルを介して接続されている。
【0032】
上記(3)の外部記憶装置には、医用画像処理装置1に後述の処理を実行させるためのアプリケーションプログラムやOS(Operating System)等のコンピュータプログラムがあらかじめ記憶されている。上記(1)のマイクロプロセッサは、このコンピュータプログラムを上記(2)の主記憶装置に展開することにより目的の処理を実行する。
【0033】
なお、上記のハードウェア構成例では、(4)の表示デバイスと(5)の操作デバイスや入力デバイスとをそれぞれ別々に構成しているが、これらを一体化したペンタブレットやタッチパネル方式のLCDなどを用いることも可能である。
【0034】
[医用画像処理装置の機能的構成]
以上のようなハードウェア構成を有する医用画像処理装置1の機能的構成について説明する。図2に示すブロック図は、医用画像処理装置1の機能的構成の一例を表している。
【0035】
医用画像処理装置1は、制御部10、情報記憶部11、情報変更部12、情報更新部13、表示部14、操作部15及び通信部16を含んで構成される。以下、これら各部10〜16についてそれぞれ詳細に説明する。
【0036】
〔制御部〕
制御部10は、医用画像処理装置1の各部を制御する。制御部10が実行する制御処理の具体的内容については、以下において適宜に説明する。この制御部10は、上記のハードウェア構成例における(1)マイクロプロセッサ、(2)主記憶装置、(3)外部記憶装置を含んで構成されている。
【0037】
〔情報記憶部〕
情報記憶部11は、医用画像処理装置1が実行する処理に供される各種の情報を記憶する。情報記憶部11には、たとえば、モダリティ2000により生成された医用画像(の画像データ)Gやその付帯情報A、更には、HIS/RIS1000から入力されたオーダ情報ORなどが記憶される。情報記憶部11は、上記のハードウェア構成例における(2)主記憶装置、(3)外部記憶装置を含んで構成される。
【0038】
また、情報記憶部11には、次のような情報があらかじめ記憶されている:医療知識データベース(医療知識DB)111、統計情報データベース(DB)112、データ階層情報113、シェーマ・テンプレート114、人体アトラス情報115、画像解析情報116、確度指定情報117。以下、これらの情報111〜117についてそれぞれ説明する。
【0039】
(医療知識データベース)
医療知識データベース111は、医療分野の用語や体系知識などを記憶したデータベースである。特に、この医療知識データベース111には、多数の医療用語の意味が記憶されている。
【0040】
ここで、医療知識データベース111は、医療用語の辞書のように医療用語毎の意味を検索可能に記憶したものであってもよいし、医療分野の専門書のように体系知識として記載された文章等に含まれる医療用語の意味を検索可能に記憶したものであってもよい。
【0041】
更に、医療知識データベース111は、研究や教育に用いられる典型的な症例や特異な症例などの情報(ティーチングファイル)を検索可能に記憶したものであってもよい。
【0042】
また、医療知識データベース111には、医用画像撮影の特徴を表す医療用語の意味や文章などの情報が含まれていてもよい。この情報は、経験的に得られた情報であってもよいし、理論的に得られた情報であってもよい。
【0043】
(統計情報データベース)
統計情報データベース112は、各種の医療情報に関する統計情報を記憶したデータベースである。このデータベースは、たとえば当該医療機関における臨床データを蓄積して作成することができる。
【0044】
統計情報データベース112に含まれる情報は、この発明の「関連情報」の一例として用いられる。関連情報は、付帯情報に含まれる医療情報の間の関連を定義する情報であり、特に、後述の高確度情報と低確度情報とを関連付けている。統計情報データベース112には、たとえば図3〜図5に示すような統計情報が含まれている。
【0045】
図3に示す検査種別統計情報T1は、モダリティ種別と検査種別とを関連付ける検査種別統計情報の一例である。この検査種別統計情報は、当該医療機関に設置されているモダリティの種別について、そのモダリティがどのような検査に用いられるか(つまり、どのような画像の撮影に用いられるか)を対応付ける情報である。検査種別統計情報は、当該医療機関に設置された各モダリティについて、そのモダリティが実際にどのような検査に用いられたかを記録することによって作成することができる。
【0046】
図3の検査種別統計情報T1においては、モダリティ種別として「CR(X線診断装置)」と「CT(X線CT装置)」が含まれている。そして、モダリティ種別「CR」に対して、検査種別「単純X線(造影剤を使用しないX線撮影)」と「造影X線(造影剤を使用するX線撮影)」が対応付けられている。一方、モダリティ種別「CT」に対して、検査種別「単純CT(造影剤を使用しないCT撮影)」と「造影CT(造影剤を使用するCT撮影)」が対応付けられている。このようにして対応付けられたモダリティ種別と検査種別は、医用画像処理装置1による処理において同一視することができる。
【0047】
図4に示す撮影枚数統計情報T2は、オーダ情報における医用画像の撮影種別を示す撮影種別情報と、医用画像の撮影枚数を示す統計情報とを関連付ける撮影枚数統計情報の一例である。
【0048】
ここで、撮影種別情報は、X線単純撮影や造影CT撮影等の検査方法(撮影方法)を示す検査種別やモダリティ種別や撮影部位など、医用画像の撮影形態の種別(撮影種別)を表す情報である。なお、検査種別とモダリティ種別は、前述のように検査種別統計情報T1により対応付けられている。
【0049】
この撮影枚数統計情報は、実際に実施された撮影について、そのオーダ情報の撮影種別情報と撮影枚数情報とを対応付けることによって作成することができる。このとき、同じ内容のオーダ情報をグルーピングし(全内容が同じである必要はなく、所定の内容が同じであるものをグルーピングすれば十分である)、各グループについての撮影枚数の統計情報を作成する。
【0050】
図4の撮影枚数統計情報T2においては、オーダ情報の内容として「種別(撮影種別)」、「大分類部位(撮影部位の大分類)」、「小分類部位(撮影部位の小分類)」の組合せを考慮している。そして、各組合せについて、撮影枚数の統計情報「平均値」、「偏差(標準偏差)」、「最小(最も少ない枚数)」、「最大(最も多い枚数)」が対応付けられている。
【0051】
たとえば、オーダ情報の内容が「X線(単純X線、造影X線の双方)」、「胸部」、「概観」の場合、すなわちX線診断装置を用いて胸部の概観を撮影する場合、撮影枚数の平均値は2.3枚、標準偏差は0.5、最も少ない撮影枚数は2枚、最も多い撮影枚数は4枚となっている。
【0052】
図5に示す撮影室統計情報T3は、医用画像の撮影種別を示す撮影種別情報と、医用画像の撮影を行う撮影室の使用頻度を示す統計情報とを関連付ける撮影室統計情報の一例である。すなわち、撮影室統計情報は、各撮影種別に係る撮影について、どの撮影室でどの程度の頻度で実施されるかを表す情報である。
【0053】
撮影室統計情報は、たとえば、実際に実施された撮影について、そのオーダ情報の内容から得られる撮影種別と撮影室(撮影室の識別情報)とを対応付けることにより作成することができる。このとき、同じ撮影種別のオーダ情報をグルーピングし、各グループについての撮影室の使用頻度の統計情報を作成する。
【0054】
図5に示す撮影室統計情報T3は、X線撮影に関する撮影室統計情報(の一部)である。この撮影室統計情報T3には、「撮影室」欄、「設置機器」欄、「検査・部位」欄、「利用率」欄が設けられている。「撮影室」欄には、当該医療機関内の撮影室の識別情報が記録される。「設置機器」欄には、その撮影室に設置してあるモダリティ(X線診断装置)のタイプが記録される。「検査・部位」欄には、撮影部位と検査種別(単純撮影、造影撮影の別)が記録される。「利用率」欄には、「設置機器」欄及び「検査・部位」欄の記録内容により特定される撮影種別について、各撮影室の利用率が記録されている。
【0055】
たとえば、撮影種別「X線撮影(単純、造影の双方)、胸部」について、撮影室「5」の利用率は73%であり、撮影室「7」の利用率は13%になっている。すなわち、この撮影種別については、撮影室「7」よりも撮影室「5」で実施する場合の方が格段に頻度が高いことが分かる。なお、撮影種別における「X線撮影」は、「設置機器」の欄の記録内容「ブッキーテーブルX線」や「RFテーブルX線」から取得することができる。
【0056】
(データ階層情報)
データ階層情報113は、医用画像処理装置1により処理されるデータの階層構造が記憶される。データ階層情報113は、あらかじめ設定されたデータの階層構造を記憶している。この階層構造においては、下位の階層は、上位の階層に応じて少なくとも1つが決定されるようになっている。したがって、或る階層の情報が決定すれば、それ以下の階層に登場可能な情報を特定することができる。換言すると、或る階層の情報が決定すれば、それ以下の階層に登場できない情報を特定することも可能である。データ階層情報113には、たとえば図6に示すオーダ階層情報R1や図7に示す読影階層情報R2が含まれている。
【0057】
オーダ階層情報R1は、オーダ情報に含まれるデータの階層構造の一例を表すもので、オーダを発生する作業の円滑化を図るなどの目的で設定された階層構造を定義している。このオーダ階層情報R1に含まれるデータは、以下の8つの階層からなる構造を有している:(1)最上位の階層(階層1)=「大分類部位(撮影部位の大分類)」。たとえば胸部、腹部、四肢など;(2)第2階層(階層2)=「中分類部位(撮影部位の中分類)」。たとえば臓器、臓器及びその周辺、複数の臓器など;(3)第3階層(階層3)=「種別(モダリティ種別若しくは検査種別)」。モダリティ種別としては、たとえばX線診断装置、X線CT装置など。検査種別としては、たとえば単純X線、造影CTなど;(4)第4階層(階層4)=「撮影室(撮影室の識別情報)」;(5)第5階層(階層5)=「小分類部位(撮影部位の小分類)」。たとえば臓器、臓器の部分など;(6)第6階層=「方向(撮影方向)」。たとえば正面、側方、上方など;(7)第7階層(階層7)=「撮影方法」。たとえばステンバース氏法など;(8)第8階層(階層8)=「手技」。たとえばカテーテルなど。
【0058】
読影階層情報R2は、医用画像の読影に供されるデータの階層構造の一例を表すもので、読影作業の円滑化を図るなどの目的で設定された階層構造を定義している。この読影階層情報R2に含まれるデータは、以下の8つの階層からなる構造を有している:(1)最上位の階層(階層1)=「種別」;(2)第2階層(階層2)=「撮影室」;(3)第3階層(階層3)=「大分類部位」;(4)第4階層(階層4)=「中分類部位」;(5)第5階層(階層5)=「小分類部位」;(6)第6階層=「方向」;(7)第7階層(階層7)=「撮影方法」;(8)第8階層(階層8)=「手技」。
【0059】
このようなオーダ階層情報R1、読影階層情報R2を参照すると、たとえばオーダ情報等の大分類部位に「胸部」が記録され、その下位の中分類部位(又は小分類部位)に「胃」が記録されている場合、後者は誤りであることが分かる(すなわち、「胃」は、「胸部」の下位に登場することはなく、「腹部」の下位に登場すべきであるから)。
【0060】
(シェーマ・テンプレート)
シェーマ・テンプレート114は、患部を特定する図形等の画像情報を記入するためのシェーマ図(shema:ポンチ絵などとも呼ばれる。)に用いられる人体の一部の概略図のテンプレート(画像)である。このシェーマ・テンプレート114としては、オーダ発生時や電子カルテ作成時に使用されるシェーマ図のテンプレート画像を用いることができる。
【0061】
シェーマ・テンプレート114には、たとえば図8に示す肺領域シェーマ・テンプレート114aや、図9に示す上体領域シェーマ・テンプレート114bなどが含まれている。肺領域シェーマ・テンプレート114aは、人体の肺を正面(又は背面)側から見た概略図のテンプレート画像である。また、上体領域シェーマ・テンプレート114bは、人体の上体部分を正面(又は背面)側から見た概略図のテンプレート画面である。
【0062】
(人体アトラス情報)
人体アトラス情報115は、人体の解剖図の画像データである。この人体アトラス情報115は、たとえばアーカイブ装置3000内の電子カルテ情報から取得することができる。この人体アトラス情報115に基づく解剖図は、人体全体の解剖図であり、臓器等の部位の形態が描写された画像である。
【0063】
(画像解析情報)
画像解析情報116は、画像解析に関する各種の情報を含んでいる。たとえば、画像解析情報116には、医用画像の画像データの解析処理に供される情報が含まれている。
【0064】
この医用画像解析処理用の情報としては、たとえば次のようなものが含まれている:(1)医用画像の左右方向を示すL−Rマークの形態(形状やサイズ等)を表すL−Rマーク形態情報;(2)医用画像の基準位置や注目位置等を示すマーカの形態を表すマーカ形態情報;(3)医用画像の素抜け領域(X線撮影においてX線がそのまま透過した領域に相当する画像領域)を抽出するための画素値の閾値情報;(4)医用画像を構成する画素の画素値毎の頻度を表す画素値ヒストグラム(後述)の形態に対して人体部位(及びその撮影方向)を関連付けるヒストグラム関連情報;(5)人体部位の撮影画像の形状を表す人体部位テンプレート。
【0065】
ここで、(1)L−Rマークや(2)マーカの形態は、当該医療機関において統一的に使用されるのが一般的である。なお、L−Rマークは、文字「L」や「R」を医用画像中に埋め込むのが一般的である。
【0066】
また、(4)における画素値ヒストグラムは、各画素値について、当該画素値を有する画素の個数を求めてヒストグラム化したものであり、一般に横軸に画素値を取り、縦軸に画素数を取ったヒストグラムである。この画素値ヒストグラムは、人体部位(撮影部位)や撮影方向を反映した特徴的な形態を有することが知られている。ヒストグラム関連情報は、この既知の関係性を利用して、画素値ヒストグラムの形態と、撮影部位や撮影方向との関連付けを定義したものである。
【0067】
また、(5)人体部位テンプレートは、たとえば肺、胃、胸部、腹部などの人体部位を撮影して得られる医用画像における当該人体部位に相当する画像領域の一般的な形状を有する画像情報である。
【0068】
また、画像解析情報116には、画像解析の各種手法を適用するための数式やパラメータ等の情報が含まれている。たとえば、KL(Karhumen−Lo’eve)変換、クラシフィケーション(classification)、AI(Artificial Intelligence)、テクステュア(texture)解析などの画像解析手法に関する情報が画像解析情報116に含まれる。
【0069】
(確度指定情報)
確度指定情報117は、医用画像の画像データに付帯される付帯情報に含まれる各種の医療情報の確度を定義する情報である。医療情報の確度は、当該医用システムの運用形態、HIS/RIS1000やモダリティ2000等の装置の動作形態などに基づいてあらかじめ指定される。
【0070】
たとえば、モダリティ2000の動作形態を鑑みると、医用画像の撮影枚数を間違えて付帯情報に記録する可能性は比較的小さく、したがって、付帯情報における撮影枚数情報の確度は比較的高い。また、モダリティ種別を間違える可能性は比較的小さく、付帯情報におけるモダリティ種別情報の確度は比較的高い。また、付帯情報における撮影部位情報や撮影方法情報については確度が比較的低くなる。
【0071】
確度指定情報117は、このような観点から、付帯情報に含まれる医療情報の確度を指定する情報である。一例として、モダリティ種別、撮影部位、撮影方法、撮影枚数、撮影機器、撮影室などの情報が付帯情報に含まれている場合においては、モダリティ種別や検査種別や撮影枚数や撮影機器や撮影室などの情報は高確度情報として指定され、撮影部位や撮影方法などについては低確度情報として指定される。
【0072】
〔情報変更部〕
情報変更部12は、医用画像の画像データに付帯される付帯情報を変更する処理を行う。情報変更部12は、この発明の「変更手段」の一例として機能するものである。この情報変更部12は、上記のハードウェア構成例における(1)マイクロプロセッサ、(2)主記憶装置、(3)外部記憶装置を含んで構成される。
【0073】
情報変更部12には、適合判断部121、コメント情報解析部122及び医用画像解析部127が設けられている。以下、これら各部についてそれぞれ説明する。
【0074】
(適合判断部)
適合判断部121は、付帯情報に含まれる医療情報が統計情報データベース112の統計情報(関連情報)に適合しているか否かを判断する処理を行う。適合判断部121は、この発明の「判断手段」の一例として機能するものである。以下、この適合判断部121による判断処理の具体例を説明する。
【0075】
第1の具体例として、統計情報データベース112の撮影枚数統計情報T2(図4参照)に対する適合/不適合の判断処理を説明する。撮影枚数統計情報T2は、前述のように、オーダ情報における撮影種別情報(検査種別や撮影部位等)と撮影枚数の統計情報とを関連付ける情報である。
【0076】
付帯情報から特定される検査種別が「X線」であり、撮影部位が「胸部、概観」である場合を考える。更に、付帯情報から特定される撮影枚数がたとえば「3」である場合、適合判断部121は、撮影枚数統計情報T2の「X線」、「胸部、概観」に対応する撮影枚数の統計情報を参照する。この統計情報には、平均値「2.3」、偏差「0.5」、最小「2」、最大「4」が記録されている。
【0077】
適合判断部121は、付帯情報の撮影枚数「3」と当該統計情報とを比較して適合性を判断する。たとえば、付帯情報の撮影枚数「3」が統計情報の最小「2」と最大「4」の間に含まれるかを判定し(この場合は「含まれる」)、「適合する」と判断する。
【0078】
また、付帯情報の撮影枚数がたとえば「20」である場合には、統計情報の最小と最大との間に含まれていないと判定される。更に、適合判断部121は、統計情報の平均値及び偏差に基づいて、撮影枚数が「20」になる確率を算出し、この確率が所定値(たとえば10%)以下であるか否か判定する。そして、適合判断部121は、この確率が所定値以下と判定されたときに「適合しない」と判断する。撮影枚数=20であれば、「適合しない」と判断されることになる。一方、確率が所定値を超えるときには「適合する」と判断する。
【0079】
次に、第2の具体例として、統計情報データベース112の撮影室統計情報T3(図5参照)に対する適合/不適合の判断処理を説明する。撮影室統計情報T3は、前述のように、オーダ情報における撮影種別情報(検査種別や撮影部位等)と撮影室の使用頻度の統計情報とを関連付ける情報である。
【0080】
付帯情報から特定される検査種別が「X線(単純/造影)」であり、撮影部位が「胸部」である場合を考える。このとき、付帯情報から特定される撮影室(の識別情報)が「5」であった場合、適合判断部121は、撮影室統計情報T3を参照し、当該撮影種別に対応する当該撮影室の利用率「73%」を取得する。更に、適合判断部121は、この利用率が所定値(たとえば60%)を超えるか否か判定する。適合判断部121は、所定値を超えるときに「適合する」と判断し、所定値以下であるときに「適合しない」と判断する。
【0081】
一方、付帯情報から特定される撮影室が「7」であった場合、適合判断部121は、対応する利用率「13%」を取得し、「適合しない」と判断することになる。
【0082】
なお、付帯情報から特定される撮影種別に該当する撮影室が複数存在する場合、これら複数の撮影室の利用率を比較して適合性を判断するようにしてもよい。たとえば、該当する複数の撮影室のうち利用率が最大の撮影室のみを「適合する」と判断するように構成することができる。
【0083】
(コメント情報解析部)
コメント情報解析部122は、オーダ情報にコメント情報が含まれているか判断するとともに、コメント情報が含まれていると判断されたときにそのコメント情報を解析する。コメント情報解析部122は、この発明の「コメント情報解析手段」の一例として機能するものである。
【0084】
ここで、コメント情報とは、オーダを発生するときに入力された各種のコメントを意味し、たとえば主訴や注目部位を記載した文字列情報(文字列コメント)や、シェーマ図等の画像情報(画像コメント)などがある。文字列コメントとしては、「交通事故で左肩の痛みを訴えているため、左肩を重点的に撮影」等の記載がなされる。
【0085】
また、図10、図11は、コメント情報としてのシェーマ図(画像コメント)の一例を表している。図10に示すシェーマ図C1は、図8の肺領域シェーマ・テンプレート114a上に図形等の画像情報c1を記入したものである。また、図11に示すシェーマ図C2は、図9の上体領域シェーマ・テンプレート114b上に画像情報c2を記入したものである。
【0086】
以上のようなコメント情報をオーダ発生時に入力すると、HIS/RIS1000は、入力されたコメント情報を含むオーダ情報を作成してモダリティ2000や医用画像処理装置1に送信するようになっている。
【0087】
コメント情報解析部122には、連動して動作する文字列情報抽出部123及び医療用語検索部124と、コメント画像解析部125と、シェーマ領域決定部126とが設けられている。以下、これら各部についてそれぞれ説明する。
【0088】
(文字列情報抽出部)
文字列情報抽出部123は、オーダ情報に含まれる文字列コメントから所定の文字列を抽出する処理を行う。特に、文字列情報抽出部123は、医療知識データベース111に記憶されている各種の医療用語に相当する文字列を文字列コメントから抽出する。
【0089】
たとえば、前述の文字列コメント「交通事故で左肩の痛みを訴えているため、左肩を重点的に撮影」について、文字列情報抽出部123は、「左肩」、「痛み」、「撮影」などの文字列(用語)を抽出する。
【0090】
このような文字列抽出処理は、公知の任意の文字列照合技術を適宜に用いて実行することができる。
【0091】
(医療用語検索部)
医療用語検索部124は、文字列情報抽出部123と連動して動作し、文字列コメントから抽出された文字列(特に医療用語)の意味を医療知識データベース111から検索する。なお、医療知識データベース111には、前述のように医療用語の意味が検索可能に記憶されている。このような検索処理は、公知の任意の情報検索技術を適宜に用いて実行することができる。
【0092】
また、医療用語検索部124は、医療知識データベース111に記憶された医用画像撮影の特徴を表す情報(経験的、理論的な情報)等に基づいて、当該オーダ情報に基づく画像撮影の特徴的な情報などを取得することができる。たとえば、上記文字列コメントの「左肩を重点的に撮影」の部分から、撮影枚数が多数になること(たとえば数十枚程度となること)を取得することができる。
【0093】
また、医療用語検索部124は、文字列情報抽出部123により撮影部位や撮影方法等が抽出された場合に、その撮影部位や撮影方法における経験的な撮影枚数の範囲を表す情報や撮影機器の情報などを取得することもできる。
【0094】
(コメント画像解析部)
コメント画像解析部125は、オーダ情報に含まれるシェーマ図(画像情報)に対して画像解析を施す。特に、コメント画像解析部125は、情報記憶部11に記憶されたシェーマ・テンプレート114を読み出し、このシェーマ・テンプレート114とオーダ情報のシェーマ図との差分画像を求める処理を行う。
【0095】
このとき、コメント画像解析部125は、オーダ情報のたとえば検査種別や撮影部位(大分類部位、中分類部位、小分類部位の少なくともいずれか一つ)や撮影方法の記載内容に基づいて、シェーマ図の種別(部位や方向等)を特定する。シェーマ・テンプレート114から適当なテンプレートを検索する。
【0096】
コメント画像解析部125による処理の具体例を説明する。図10に示すシェーマ図C1がオーダ情報に含まれている場合、コメント画像解析部125は、このオーダ情報の記載内容に基づいて、シェーマ図C1が肺領域(胸部)を正面から見たときのシェーマ図であることを特定する。
【0097】
次に、コメント画像解析部125は、この特定されたシェーマ図の種別に適合するテンプレート(すなわち図8に示す肺領域シェーマ・テンプレート114a)をシェーマ・テンプレート114から検索する。
【0098】
更に、コメント画像解析部125は、シェーマ図C1と肺領域シェーマ・テンプレート114aとの差分画像を求める。それにより、シェーマ図C1に記入された画像情報c1が抽出される。
【0099】
ここで、シェーマ図C1と肺領域シェーマ・テンプレート114aはそれぞれ2値画像であるので、(必要に応じて画像サイズを一致させた後に)そのまま差分を演算すれば画像情報c1が得られる。なお、一方又は双方が2値画像でない場合には、公知の任意の2値化処理を施してから差分を演算すればよい。
【0100】
また、図11に示すシェーマ図C2がオーダ情報に含まれている場合についても同様に、コメント画像解析部125は、上体領域シェーマ・テンプレート114b(図9参照)を検索し、シェーマ図C2と上体領域シェーマ・テンプレート114bとの差分画像を求めて画像情報c2を抽出する。
【0101】
なお、シェーマ図に記入される画像情報は、上記画像情報c1、c2のような図形である場合のほか、記入者が手入力した文字列を含んでいてもよい。その場合、コメント画像解析部125は、差分画像を生成することにより当該文字列を抽出するとともに、公知のパターン認識技術を用いて当該文字列を認識する。
【0102】
更に、コメント画像解析部125は、医療用語検索部124と同様にして文字列(特に医療用語)の意味を医療知識データベース111から検索する。このようにして検索された情報は、医療用語検索部124により検索された情報と同様に扱うことができる。
【0103】
(シェーマ領域決定部)
シェーマ領域決定部126は、オーダ情報のシェーマ図に相当する人体解剖図上の領域を決定する処理を行う。
【0104】
より具体的に説明すると、シェーマ領域決定部126は、まず、情報記憶部11から人体アトラス情報115を読み出す。次に、シェーマ領域決定部126は、オーダ情報のたとえば検査種別や撮影部位や撮影方法の記載内容に基づいて、シェーマ図の部位や方向等を特定する。なお、シェーマ図の部位や方向等を表す情報をオーダ情報に記録し、この情報に基づいてシェーマ図の部位や情報等を特定するように構成してもよい。
【0105】
更に、シェーマ領域決定部126は、特定された領域に対応する人体解剖図上の領域を特定する。そして、必要に応じて画像位置合わせ処理を行うなどして、人体解剖図上においてシェーマ図に相当する領域を決定する。
【0106】
このとき、制御部10が人体解剖図とシェーマ図とを表示部14に重畳表示させ、ユーザが操作部15を操作して、人体解剖図上にてシェーマ図を移動させて位置合わせを行うように構成することもできる。
【0107】
(医用画像解析部)
医用画像解析部127は、医用画像の画像データを解析して所定の参照情報を生成する処理を行う。医用画像解析部127は、この発明の「画像解析手段」の一例として機能するものである。
【0108】
医用画像解析部127には、マーカ抽出部128、素抜け領域抽出部129、ヒストグラム生成部130及びパターン抽出部131が設けられている。以下、これらの各部についてそれぞれ説明する。
【0109】
(マーカ抽出部)
マーカ抽出部128は、医用画像の画像データを解析して、この医用画像中のマーカ画像を抽出する。抽出対象となるマーカ画像としては、画像の左右方向を示すL−Rマークや、画像中の基準位置や注目位置等を示す各種マーカがある。抽出されたマーカ画像は、上記の参照情報として用いられる。
【0110】
このマーカ抽出部128による処理の具体例を説明する。なお、情報記憶部11に記憶された画像解析情報116には、前述したように、L−Rマークの形態を表すL−Rマーク形態情報や、マーカの形態を表すマーカ形態情報が含まれている。
【0111】
まず、マーカ抽出部128は、L−Rマーク形態情報やマーカ形態情報(まとめて形態情報と呼ぶ。)を画像解析情報116から取得する。次に、マーカ抽出部128は、各形態情報について、医用画像の画像データを解析し、その形態情報に適合するマーカ画像を探索する。それにより、医用画像中のマーカ画像が抽出される。
【0112】
なお、マーカ画像が医用画像中の(ほぼ)同じ位置に埋め込まれることが多い場合などには、その埋込位置の近傍領域からマーカ画像を探索するようにして処理時間の短縮を図ることが望ましい。
【0113】
また、マーカ画像は、医用画像の撮影時や表示時における倍率の拡大/縮小などにより、形態情報と異なるサイズであることが一般的である。マーカ抽出部128は、この倍率に基づいてマーカ画像と形態情報とのサイズを一致させる。
【0114】
また、マーカ画像が形態情報と異なる向きで医用画像に埋め込まれている場合もある。このような場合に対処するために、マーカ抽出部128は、形態情報又はマーカ画像の向きを変更(回転)させることにより目的のマーカ画像を抽出する。
【0115】
同様に、マーカ画像が反転した状態で医用画像に埋め込まれている場合もある。この場合に対処するために、マーカ抽出部128は、形態情報又はマーカ画像を反転させることにより目的のマーカ画像の抽出を行う。
【0116】
以上のようなマーカ画像抽出処理は、たとえば相関係数を用いた画像の位置合わせ処理などを用いることにより実現することができる。
【0117】
(素抜け領域抽出部)
素抜け領域抽出部129は、医用画像の画像データを解析して、この医用画像における素抜け領域を抽出する。素抜け領域は、X線撮影により得られた医用画像において、X線がそのまま透過した領域、つまり人体を透過せずX線が検出された領域に相当する画像領域である。抽出された素抜け領域は、参照情報として用いられる。
【0118】
素抜け領域抽出部129による処理の具体例を説明する。素抜け領域抽出部129は、まず、情報記憶部11に記憶された画像解析情報116から画素値の閾値情報を取得する。次に、素抜け領域抽出部129は、医用画像を構成する各画素の画素値と閾値情報に示す閾値とを比較し、この閾値以上の画素値を有する画素を抽出する。これにより抽出された画素が素抜け領域を構成する画素である。
【0119】
なお、医用画像の中心位置に撮影関心領域が配置されることが多々あることを考慮して、この中心位置の画素の画素値と大きく異なる画素値を有する画素を抽出することにより素抜け領域を抽出することも可能である。
【0120】
また、後述の画素値ヒストグラムにおいて、画素値が所定値以上である画素は素抜け領域に対応していることを利用することにより、画素値ヒストグラムから素抜け領域を抽出するようにしてもよい。
【0121】
(ヒストグラム生成部)
ヒストグラム生成部130は、医用画像の画像データを解析して、この医用画像における画素値毎の頻度を表す画素値ヒストグラムを生成する処理を行う。生成された画素値ヒストグラムは参照情報として用いられる。
【0122】
ヒストグラム生成部130による処理の具体例を説明する。ヒストグラム生成部130は、医用画像を構成する各画素の画素値を取得するとともに、画素値毎に画素の個数をカウントする。そして、横軸に画素値を取り、縦軸に画素数(頻度)を取った2次元座標平面上に、画素値毎の画素数のカウント結果をプロットし、プロット結果から折れ線グラフや曲線グラフや柱状グラフを形成することにより、目的の画素値ヒストグラムを生成する。
【0123】
図12は、ヒストグラム生成部130によって生成される画素値ヒストグラムの一例を表している。同図に示す画素値ヒストグラムHは、被検体の胸部を正面から撮影して得られた医用画像の画像データから得られる画素値ヒストグラムの例である。なお、この画素値ヒストグラムHにおける画素値の大きい部分のピークは、医用画像の素抜け領域に相当している。
【0124】
(パターン抽出部)
パターン抽出部131は、医用画像の画像データを解析して、この医用画像における人体の一部に相当する領域を抽出する処理を行う。抽出された画像領域は参照情報として用いられる。
【0125】
パターン抽出部131による処理の具体例を説明する。まず、パターン抽出部131は、情報記憶部11に記憶された画像解析情報116から、前述の人体部位テンプレートを取得する。この人体部位テンプレートは、人体部位を撮影画像の一般的形状を表す画像情報である。たとえば肺の人体部位テンプレートは、図8に示す肺領域シェーマ・テンプレート114aと同様の形状を有する画像情報である。
【0126】
人体部位テンプレートを取得すると、パターン抽出部131は、この人体部位テンプレートに示す形状に合致するような画像領域を医用画像中から抽出する。このとき、抽出対象の画像領域は、一般に人体部位テンプレートと異なる形状を有しているが、人体部位テンプレートが示す特徴的形状に合致している。たとえば、胸部正面の医用画像における肺に相当する画像領域は、肺の人体部位テンプレートと異なる形状を有しているが、左右の肺の形状や、左右ほぼ対称の形状になっていることなどの特徴的な形状は合致する。パターン抽出部131は、たとえば相関係数を用いた画像の位置合わせ処理を適用するなどして、目的の画像領域を抽出する。
【0127】
なお、パターン抽出部131は、画像解析情報116に含まれる各人体部位テンプレートについて、上記のような画像領域抽出処理を行う。そうすると、対応する画像領域が抽出される人体部位テンプレートと、抽出されない人体部位テンプレートとに分かれる(全てについて抽出される場合や抽出されない場合もあり得る。)。
【0128】
たとえば、胸部を正面から撮影した医用画像については、肺に対応する画像領域は抽出されるが、胃に対応する画像領域は抽出されない。また、上体を正面から撮影した医用画像については、肺に対応する画像領域と胃に対応する画像領域の双方が抽出されることになる。
【0129】
〔情報更新部〕
情報更新部13は、情報変更部12により付帯情報の内容が変更されたときに、この変更処理の結果に基づいて統計情報データベース112の統計情報を更新する処理を行う。情報更新部13は、この発明の「更新手段」の一例として機能するものである。
【0130】
情報更新部13による処理の具体例を説明する。まず、検査種別統計情報T1の更新処理について説明する。情報変更部12が付帯情報の検査種別及び/又はモダリティ種別の内容を変更すると、情報更新部13は、変更後のモダリティ種別と検査種別の情報を取得するとともに、情報記憶部11から検査種別統計情報T1を取得する。
【0131】
次に、情報更新部13は、更新後のモダリティ種別と検査種別との対応関係が、この検査種別統計情報T1に含まれているか否かを判断する。含まれていると判断された場合、情報更新部13は、検査種別統計情報T1を更新せずに情報記憶部11に記憶させる。一方、含まれていないと判断された場合、情報更新部13は、この変更後の対応関係を検査種別統計情報T1に追加して情報更新を行い、この更新後の検査種別統計情報T1を情報記憶部11に記憶させる。
【0132】
撮影枚数統計情報T2の更新処理について説明する。情報変更部12が付帯情報の検査種別や撮影部位の内容を変更すると、情報更新部13は、その変更内容とともに、当該付帯情報の撮影枚数の情報を取得する。また、情報更新部13は、情報記憶部11から撮影枚数統計情報T2を取得する。
【0133】
続いて、情報更新部13は、撮影枚数統計情報T2における「平均」、「偏差」、「最小」、「最大」の欄の記載内容を、当該変更内容を反映させて更新する。「平均」、「偏差」の欄については、更新前の記載内容の母集団に当該変更内容を加えて平均値、標準偏差を演算し、この演算結果に記載内容を変更する。また、「最小」、「最大」の欄については、当該変更内容を加えた母集団における最小値、最大値をそれぞれ求め、この新たな最小値、最大値が更新前のものと異なるときに記載内容を変更する。なお、変更内容に示す撮影枚数の値と、更新前の「最小」、「最大」の欄に記載された値とを比較して大小関係を求めて記載内容を更新するようにしてもよい。
【0134】
撮影室統計情報T3の更新処理について説明する。情報変更部12が付帯情報の検査種別や撮影部位の内容を変更すると、情報更新部13は、その変更内容と、付帯情報中の撮影室の識別情報とを取得するとともに、情報記憶部11から撮影室統計情報T3を取得する。
【0135】
次に、情報更新部13は、変更内容に対応する撮影種別(「検査・部位」欄の記載内容)を撮影室統計情報T3から探索するとともに、探索された撮影種別に対応する撮影室(の識別情報)を特定する。撮影室が一つしか探索されなかった場合、情報更新部13は、撮影室統計情報T3を更新せずに情報記憶部11に記憶させる。
【0136】
一方、二つ以上の撮影室が探索された場合、情報更新部13は、情報変更部12からの撮影室の識別情報に基づいて、これら撮影室のうちの一つを特定する。そして、この特定された撮影室における検査の実施回数に「1」を足して利用率を演算して、撮影室統計情報T3を更新し、情報記憶部11に記憶させる。
【0137】
二つ以上の撮影室が探索された場合の具体例を説明する。変更内容に対応する撮影種別が「胸部:単純」である場合、撮影室統計情報T3を参照すると、この撮影種別に対応する撮影室が二つ以上存在することが分かる(撮影室「5」、「7」、その他(たとえば「12」とする)。
【0138】
ここで、更新前における当該撮影種別の検査の累積実施回数を100回とすると、撮影室統計情報T3から分かるように、撮影室「5」で実施されたのは73回、撮影室「7」で実施されたのは13回、撮影室「12」で実施されたのは14回となっている。
【0139】
情報更新部13は、情報変更部12からの撮影室の識別情報に基づいて、これらの撮影室のうち、当該検査が実施された撮影室を特定する。特定された撮影室が「5」であったとすると、当該検査の累積実施回数は101回となり、撮影室「5」で実施されたのは73+1=74回、撮影室「7」で実施されたのは13+0=13回、撮影室「12」で実施されたのは14+0=14回となる。
【0140】
情報更新部13は、各撮影室の新たな実施回数を新たな累積実施回数で除算することにより、当該撮影種別における各撮影室の新たな利用率を演算することができる。つまり、撮影室「5」、「7」、「12」の新たな利用率は、それぞれ、74÷101、13÷101、14÷101により演算することができる。情報更新部13は、この新たな利用率の値で撮影室統計情報T3の「利用率」の欄の記載内容を更新する。
【0141】
以上に説明した情報更新部13による処理は、付帯情報の変更処理に対応して実施するようになっているが、たとえばHIS/RIS1000から医用画像処理装置1にオーダ情報が入力されたときに、そのオーダ情報の内容に基づいて上記と同様の更新処理を行うように構成することも可能である。なお、情報変更部12は、付帯情報の内容をオーダ情報の内容に合わせるように変更処理を行うものであるから、どちらの更新処理を適用しても統計情報データベース112は同じように更新されることになる。
【0142】
〔表示部〕
表示部14は、前述のLCDやCRT等の表示デバイスを含んで構成される。この表示部14は、制御部10による制御を受けて表示動作を行う。
【0143】
(操作部)
操作部15は、前述のキーボード、マウス、ジョイスティック、トラックボール、コントロールパネル等の操作デバイスや入力デバイスを含んで構成される。この操作部15が操作されると、その操作内容に対応する信号が制御部10に入力される。制御部10は、この信号に基づいて、医用画像処理装置1に操作内容に応じた動作を実行させる。
【0144】
(通信部)
通信部16は、前述のLANカード等の通信インターフェイスを含んで構成される。通信部16が受信したデータは、制御部10に入力され、医用画像処理装置1による処理に供される。また、通信部16は、制御部10の制御を受けてデータを他の装置に送信する。通信部16は、この発明の「受付手段」の一例として機能するものである。
【0145】
[動作態様]
以上のような構成を有する医用画像処理装置1の各種の動作態様を説明する。図13〜図 に示すフローチャートは、医用画像処理装置1の動作態様の一例を表している。
【0146】
〔第1の動作態様:図13〕
複数の付帯情報が医用画像処理装置1に入力されたときに、撮影枚数統計情報T2を参照して付帯情報を変更する処理について、図13のフローチャートを参照しながら説明する。
【0147】
まず、医用画像処理装置1は、モダリティ2000から複数の医用画像の画像データと付帯情報を受け付ける(S1)。制御部10は、受け付けた医用画像の画像データと付帯情報を情報記憶部11に記憶させる(図2の医用画像G、付帯情報A参照)。
【0148】
この付帯情報の例を図22に示す。同図の付帯情報Aは、第1の付帯情報A1と、第2の付帯情報A2を含んでいる。第1の付帯情報A1は第1の医用画像(の画像データ)G1に付帯され、第2の付帯情報A2は第2の医用画像G2に付帯される。ここで、医用画像G1、G2(図示省略)は、医用画像Gに含まれている。
【0149】
また、医用画像処理装置1は、HIS/RIS1000から複数のオーダ情報を受け付ける(S2)。この複数のオーダ情報には、ステップS1で受け付けた複数の医用画像の撮影オーダが含まれている。制御部10は、受け付けたオーダ情報を情報記憶部11に記憶させる(図2のオーダ情報OR参照)。なお、ステップS1、S2を行う順序は任意である。
【0150】
オーダ情報の例を図23に示す。同図のオーダ情報ORは、第1のオーダ情報OR1、第2のオーダ情報OR2、第3のオーダ情報OR3を含んでいる。これらのうち、第1、第2のオーダ情報OR1、OR2が、それぞれ第1、第2の付帯情報A1、A2に対応しているものと適合判断部121は判断する。つまり、第1の医用画像G1の撮影と第1の付帯情報の生成は第1のオーダ情報OR1に基づいて実行され、第2の医用画像G2の撮影と第2の付帯情報A2の生成は第2のオーダ情報OR2に基づいて実行されたものと適合判断部121は判断する。
【0151】
この判断処理は、たとえば次のようにして行う。まず、適合判断部121は、情報記憶部11から付帯情報A、オーダ情報OR及び検査種別統計情報T1を読み出す。次に、適合判断部121は、第1、第2の付帯情報A1、A2のモダリティ種別「CR」に対応する検査種別が「(単純/造影)X線」であることを認識する。
【0152】
続いて、適合判断部121は、第1、第2のオーダ情報OR1、OR2の検査種別が「(単純/造影)X線」であり、第3のオーダ情報OR3の検査種別が「CT」であることに基づき、第1、第2の付帯情報A1、A2に対応するオーダ情報から第3のオーダ情報OR3を除外する。この処理は、前述のように確度指定情報117においてモダリティ種別や検査種別が高確度情報に指定されていることに基づくものである。
【0153】
更に、適合判断部121は、第1、第2のオーダ情報OR1、OR2の順序と、第1、第2の付帯情報A1、A2の順序とに基づいて、第1のオーダ情報OR1と第1の付帯情報A1とが対応付けられ、かつ、第2のオーダ情報OR2と第2の付帯情報A2とが対応付けられていると判断する。以上で、オーダ情報ORと付帯情報との対応の判断の説明を終わる。
【0154】
オーダ情報ORと付帯情報Aとの対応付けがなされると、適合判断部121は、情報記憶部11から撮影枚数統計情報T2を読み出す。
【0155】
適合判断部121は、第1の付帯情報A1が撮影枚数統計情報T2に適合するか否か判断する(S3)。この判断処理は、たとえば次のようにして実行される。
【0156】
まず、適合判断部121は、第1の付帯情報A1の「モダリティ」欄の内容「CR」、「部位」欄の内容「胸部」、「撮影方法」欄の内容「単純」、「枚数」欄の内容「30」を取得する。同様に、適合判断部121は、第2の付帯情報A2の「モダリティ」欄の内容「CR」、「部位」欄の内容「腹部・胃」、「撮影方法」欄の内容「造影」、「枚数」欄の内容「2」を取得する。これらの情報のうち、「枚数」欄の内容(撮影枚数)が高確度情報である。
【0157】
適合判断部121は、検査種別統計情報T1を参照し、第1の付帯情報A1のモダリティ種別「CR」及び撮影方法「単純」が検査種別「単純X線」に対応していることを認識する。同様に、適合判断部121は、第2の付帯情報A2のモダリティ種別「CR」及び撮影方法「造影」が検査種別「造影X線」に対応していることを認識する。
【0158】
次に、適合判断部121は、撮影枚数統計情報T2から、第1の付帯情報A1について、検査種別「単純X線」及び「部位」欄の内容「胸部」に対応する統計情報を特定する。本例では、検査種別「X線」、大分類部位「胸部」に対応する統計情報、すなわち撮影枚数統計情報T2の第1段目及び第2段目の統計情報が特定されることになる。
【0159】
同様に、適合判断部121は、撮影枚数統計情報T2から、第2の付帯情報A2について、検査種別「造影X線」及び「部位」欄の内容「腹部・胃」に対応する統計情報を特定する。本例では、検査種別「X線」、大分類部位「腹部」、小分類部位「胃」に対応する統計情報、すなわち撮影枚数統計情報T2の第4段目の統計情報が特定されることになる。
【0160】
続いて、適合判断部121は、第1の付帯情報A1の撮影枚数「30」が、特定された統計情報に適合するか否かを判断する。この処理を具体的に説明する。撮影枚数統計情報T2の第1段目の統計情報は、撮影枚数の平均値「2.3」、標準偏差「0.5」、最小値「2」、最大値「4」を提供している。また、第2段目の統計情報は、撮影枚数の平均値「5.0」、標準偏差「1.3」、最小値「3」、最大値「10」を提供している。
【0161】
これに対し、第1の付帯情報A1の撮影枚数は「30」であり、双方の最大値を大きく超えている。また、双方の平均値及び標準偏差に基づいて、撮影枚数「30」となる確率を求めると、この確率は極めて小さく、前述の所定値以下となる。以上により、適合判断部121は、「適合しない」と判断する(S3;N)。なお、「適合する」と判断された場合(S3;Y)、当該動作態様の処理は終了となる。以上で、ステップS3についての説明を終わる。
【0162】
第1の付帯情報A1について「適合しない」と判断されると(S3;N)、適合判断部121は、同様にステップS3と同様にして、第2の付帯情報A1が撮影枚数統計情報T2の第4段目(X線、腹部、胃)の統計情報に適合するか否か判断する(S4)。適合判断部121は、図22に示す第2の付帯情報A2の内容と、図4に示す第4段目の統計情報とに基づき、「適合しない」と判断する(S4;N)。なお、「適合する」と判断された場合(S4;Y)、当該動作態様の処理は終了となる。
【0163】
第1、第2の付帯情報A1、A2の双方について「適合しない」と判断された場合(S4;N)、適合判断部121は、ステップS3と同様にして、第1の付帯情報A1が撮影枚数統計情報T2の第1、第2段目の統計情報に適合するか否かを判断する(S5)。本例においては、「適合する」と判断される(S5;Y)。ここで「適合しない」と判断された場合(S5;N)、当該動作態様の処理は終了となる。
【0164】
更に、適合判断部121は、ステップS3と同様にして、第2の付帯情報A2が撮影枚数統計情報T2の第4段目の統計情報に適合するか否かを判断する(S6)。本例においては、「適合する」と判断される(S6;Y)。ここで「適合しない」と判断された場合(S6;N)、当該動作態様の処理は終了となる。
【0165】
以上により、第1、第2の付帯情報A1、A2の「部位」欄及び「撮影方法」欄がそれぞれ取り違えて入力されていることが分かる。情報変更部12は、第1、第2の付帯情報A1、A2の「部位」欄の内容を相互に置換するとともに、「撮影方法」欄の内容を相互に置換する(S7)。この置換結果を図24に示す。同図に示す付帯情報A′は、図22の付帯情報A1、A2の「部位」欄及び「撮影方法」欄がそれぞれ置換されたものとなっている。
【0166】
ここで、データ階層情報113に示す階層構造において、置換された情報よりも下位の情報が第1、第2の付帯情報A1、A2に含まれている場合、情報変更部12は、その下位の情報についても相互に置換する(以下の動作態様においても同様)。
【0167】
本例では、置換された情報が「大分類部位」であるので、たとえばオーダ階層情報R1において「大分類部位」よりも下位の情報(既に置換されたものは除く)について、第1、第2の付帯情報A1、A2内の情報を全て相互に置換する。それにより、たとえば「撮影機器」欄の内容も置換される(「撮影機器」と「撮影室」とはあらかじめ関連付けられているため)。
【0168】
以上で、医用画像処理装置1の第1の動作態様は終了となる。このようにして修正された付帯情報Aは、医用画像の画像データGに付帯されてサーバ4000やアーカイブ装置3000に送られて、電子カルテ端末5000や読影端末6000に提供されることになる(以下の動作態様においても同様)。
【0169】
なお、この第1の動作態様による付帯情報の変更内容は、情報更新部13に送信され、撮影枚数統計情報T2が更新される(以下の動作態様においても同様)。
【0170】
〔第2の動作態様:図14〕
次に、複数の付帯情報が医用画像処理装置1に入力されたときに、撮影室統計情報T3を参照して付帯情報を変更する処理について、図14のフローチャートを参照しながら説明する。
【0171】
まず、医用画像処理装置1は、モダリティ2000から複数の医用画像の画像データと付帯情報を受け付け(S11)、情報記憶部11に記憶する。この付帯情報は図22の付帯情報Aであるとする。
【0172】
また、医用画像処理装置1は、HIS/RIS1000から複数のオーダ情報を受け付け(S12)、情報記憶部11に記憶する。このオーダ情報は図23のオーダ情報ORであるとする。
【0173】
適合判断部121は、第1の動作態様と同様に、情報記憶部11から付帯情報A、オーダ情報OR及び検査種別統計情報T1を読み出して、第1のオーダ情報OR1と第1の付帯情報A1を対応付けるとともに、第2のオーダ情報OR2と第2の付帯情報A2を対応付ける。
【0174】
オーダ情報ORと付帯情報Aとの対応付けがなされると、適合判断部121は、情報記憶部11から撮影室統計情報T3を読み出す。
【0175】
適合判断部121は、撮影室統計情報T3に示す撮影室のうちから、第1の付帯情報A1に適合する撮影室を特定する(S13)。この特定処理は、たとえば次のようにして実行される。
【0176】
まず、適合判断部121は、付帯情報A1の「モダリティ」欄、「部位」欄及び「撮影方法」欄の内容に対応する撮影室(の識別情報)を特定する。本例では、これらの欄の内容は、それぞれ「CR」(=「X線」;検査種別統計情報T1より)、「胸部」、「単純」であるから、「設置機器」欄が「ブッキーテーブルX線」かつ「検査・部位」欄が「胸部:単純/造影」の撮影室「5」と、「設置機器」欄が「RFテーブルX線」かつ「検査・部位」欄が「胸部:単純/造影」の撮影室「7」とが特定される。ここで、第1、第2の付帯情報の「撮影機器」欄の内容と、撮影室統計情報T3の「設置機器」欄の内容とが逆になっている(以下の処理により、このような間違いが修正される。)。
【0177】
次に、適合判断部121は、特定された二つの撮影室「5」、「7」の利用率73%、13%に基づいて前述の適合/不適合の判断処理を実行することにより、撮影室「7」には適合せず、撮影室「5」に適合すると判断する。それにより、第1の付帯情報A1に適合する撮影室として撮影室「5」が特定される(S13;Y)。なお、適合する撮影室が特定されない場合(S13;N)、この第2の動作態様の処理は終了となる。
【0178】
また、適合判断部121は、撮影室統計情報T3に示す撮影室のうちから、第2の付帯情報A2に適合する撮影室を特定する(S14)。本例では、ステップS13と同様に、付帯情報A1の「モダリティ」欄、「部位」欄、「撮影方法」欄の内容「CR」、「腹部・胃」、「造影」に基づいて、撮影室「7」が特定される(S14;Y)。なお、適合する撮影室が特定されない場合(S14;N)、この第2の動作態様の処理は終了となる。
【0179】
次に、適合判断部121は、第1、第2の付帯情報A1、A2についてそれぞれ特定された撮影室が互いに異なるか判断する(S15)。特定された撮影室が同一である場合(S15;N)、この第2の動作態様の処理は終了となる。
【0180】
一方、特定された撮影室が異なる場合(S15;Y)、適合判断部121は、第1、第2の付帯情報A1、A2の「撮影機器」欄の内容と、撮影室統計情報T3の「設置機器」欄の内容とが適合するか否か判断する(S16)。「適合する」と判断された場合(S16;Y)、この第2の動作態様の処理は終了となる。
【0181】
「適合しない」と判断された場合(S16;N)、情報変更部12は、第1、第2の付帯情報A1、A2の「部位」欄、「撮影方法」欄、「撮影機器」欄の内容をそれぞれ相互に置換する(S17)。以上で、医用画像処理装置1の第2の動作態様は終了となる。
【0182】
〔第3の動作態様:図15〕
次に、オーダ情報に含まれる文字列コメントに基づいて付帯情報を変更する処理について、図15のフローチャートを参照しながら説明する。
【0183】
まず、医用画像処理装置1は、モダリティ2000から医用画像の画像データと付帯情報を受け付け(S21)、情報記憶部11に記憶する。
【0184】
また、医用画像処理装置1は、HIS/RIS1000からオーダ情報を受け付け(S22)、情報記憶部11に記憶する。このオーダ情報には、文字列コメントが含まれているものとする。
【0185】
次に、文字列情報抽出部123は、オーダ情報に含まれる文字列コメントから、医学知識データベース111に記憶されている医療用語に相当する文字列を抽出する(S23)。
【0186】
続いて、医療用語検索部124は、文字列コメントから抽出された文字列の意味や経験的・理論的な情報を医療知識データベース111から検索する(S24)。たとえば、医学用語検索部124は、「腹部を重点的に撮影」といった文字列コメントに基づいて、撮影枚数が数十枚程度になること取得する。
【0187】
情報変更部12は、検索された文字列の意味や経験的・理論的な情報に基づいて、付帯情報の内容を変更する(S25)。たとえば、図22に示す第2の付帯情報A2について撮影枚数(高確度情報;確度指定情報117参照)が数十枚程度になることが得られた場合、第1、第2の付帯情報A1、A2の低確度情報(「部位」、「撮影方法」等)を置換することができる。
【0188】
また、経験的・理論的な情報により、或る高確度情報が決定されたときに、或る低確度情報が一意的に決定される場合などには、付帯情報中の低確度情報をこの一意的な内容に変更するように情報変更部12を構成することが可能である。以上で、第3の動作態様の説明を終了する。
【0189】
〔第4の動作態様:図16〕
次に、オーダ情報に含まれる画像コメントに基づいて付帯情報を変更する処理について、図16のフローチャートを参照しながら説明する。
【0190】
まず、医用画像処理装置1は、モダリティ2000から医用画像の画像データと付帯情報を受け付け(S31)、情報記憶部11に記憶する。
【0191】
また、医用画像処理装置1は、HIS/RIS1000からオーダ情報を受け付け(S32)、情報記憶部11に記憶する。このオーダ情報には、画像コメント(シェーマ図)が含まれているものとする。
【0192】
次に、コメント画像解析部125は、情報記憶部11からシェーマ・テンプレート114(オーダ情報のシェーマ図に対応するもの)を読み出す。そして、コメント画像解析部125は、オーダ情報のシェーマ図とシェーマ・テンプレート114との差分画像を生成し、シェーマ図に記入された画像情報を抽出する(S33)。
【0193】
ステップS33の処理の具体例を説明する。オーダ情報のシェーマ図が図10のシェーマ図C1(肺領域のシェーマ図)である場合、コメント画像解析部125は、肺領域シェーマ・テンプレート114aを読み出すとともに、シェーマ図C1と肺領域シェーマ・テンプレート114aとの差分画像を求めることにより、図10の画像情報c1を抽出する。
【0194】
続いて、情報変更部12は、シェーマ図から抽出された画像情報に基づいて付帯情報の内容を変更する(S34)。
【0195】
ステップS34の処理の具体例を説明する。図10のように図形等の画像情報が抽出された場合、たとえば、シェーマ図(シェーマ・テンプレート114)における抽出された画像情報の位置を特定する。この処理は、差分画像を生成したときのシェーマ図とシェーマ・テンプレート114との位置合わせ結果を用いるなどして容易に行うことができる。
【0196】
情報変更部12は、特定された画像情報の位置に基づいて、当該医用画像が人体のどの部位を重点的に撮影したものであるかを認識することができる。たとえば図10のシェーマ図C1について説明する。情報変更部12は、シェーマ図C1の画像情報c1が左肺の外側寄りの下端領域(注目領域)に記入されていることから、当該医用画像はこの注目領域を重点的に撮影された領域であると認識する。
【0197】
情報変更部12は、この注目領域の位置に基づいて、付帯情報の「部位」欄の内容を修正することができる。また、情報変更部12は、この注目領域の位置に関連する情報を医療知識データベース111から検索し、検索された情報に基づいて付帯情報の「撮影方法」欄の内容を修正することができる。
【0198】
一方、文字列からなる画像情報が抽出された場合、コメント画像解析部125は、前述のように、この文字列の意味等を医療知識データベース111から検索する。情報変更部12は、その検索結果に基づいて付帯情報の内容を修正することができる。
【0199】
〔第5の動作態様〕
更に、オーダ情報に含まれる画像コメントに基づいて付帯情報を変更する処理について、図17のフローチャートを参照しながら説明する。
【0200】
まず、医用画像処理装置1は、モダリティ2000から医用画像の画像データと付帯情報を受け付け(S41)、情報記憶部11に記憶する。
【0201】
また、医用画像処理装置1は、HIS/RIS1000からオーダ情報を受け付け(S42)、情報記憶部11に記憶する。このオーダ情報には、画像コメント(シェーマ図)が含まれているものとする。
【0202】
次に、シェーマ領域決定部126は、情報記憶部11から人体アトラス情報115を読み出し、この人体アトラス情報115に示す人体解剖図上においてシェーマ図に対応する領域を決定する(S43)。
【0203】
続いて、情報変更部12は、この人体解剖図上におけるシェーマ図の領域に基づいて付帯情報の内容を変更する(S44)。
【0204】
ステップS44の処理の具体例を説明する。人体アトラス情報115の人体解剖図の各位置に対して、その位置に相当する人体部位の名称等の人体部位識別情報をあらかじめ対応付けておく。たとえば、人体解剖図上の肺に相当する位置には人体部位「肺」が対応付けられる。情報変更部12は、ステップS43にて決定された領域に相当する人体部位識別情報を取得し、この識別情報により特定される人体部位に基づいて、付帯情報の「部位」欄の内容や「撮影方法」欄の内容などを変更する。
【0205】
〔第6の動作態様〕
医用画像中のマーカ画像に基づいて付帯情報を変更する処理について、図18のフローチャートを参照しながら説明する。
【0206】
まず、医用画像処理装置1は、モダリティ2000から医用画像の画像データと付帯情報を受け付け(S51)、情報記憶部11に記憶する。この医用画像には、L−Rマークや各種マーカ等のマーカ画像が埋め込まれているものとする。
【0207】
マーカ抽出部128は、画像解析情報116のL−Rマーク形態情報やマーカ形態情報を情報記憶部11から読み出す。そして、マーカ抽出部128は、L−Rマーク形態情報やマーカ形態情報に基づいて医用画像の画像データを解析することにより、この医用画像中のマーカ画像を抽出する(S52)。
【0208】
情報変更部12は、抽出されたマーカ画像に基づいて付帯情報の内容を変更する(S53)。
【0209】
ステップS53の処理の具体例を説明する。医用画像に埋め込まれたマーカ画像がL−Rマークである場合、文字「L」や「R」がステップS52にて抽出される。情報変更部12は、抽出された文字に対して公知の文字認識技術等を用いるなどして、当該医用画像における左右方向を特定する。そして、情報変更部12は、特定された左右方向に基づいて、付帯情報の「部位」欄や「撮影方法」欄の内容などを修正する。
【0210】
また、医用画像に埋め込まれたマーカ画像が基準位置や注目位置を示すマーカである場合、ステップS52での抽出結果を基に、当該医用画像中におけるマーカの位置を特定することができる。また、マーカが文字(列)や図形のように所定の意味を持つものである場合、公知の文字認識技術やパターン認識技術を用いるなどして、その意味を特定することができる。そして、特定された意味に基づいて付帯情報の「部位」欄や「撮影方法」欄の内容などを修正することができる。
【0211】
〔第7の動作態様〕
医用画像の素抜け領域に基づいて付帯情報を変更する処理について、図19のフローチャートを参照しながら説明する。
【0212】
まず、医用画像処理装置1は、モダリティ2000から医用画像の画像データと付帯情報を受け付け(S61)、情報記憶部11に記憶する。
【0213】
素抜け領域抽出部129は、画像解析情報116の画素値の閾値情報を情報記憶部11から読み出す。そして、素抜け領域抽出部129は、この画素値の閾値情報に基づいて医用画像の画像データを解析することにより、この医用画像中の素抜け領域を抽出する(S62)。
【0214】
情報変更部12は、抽出された素抜け領域に基づいて付帯情報の内容を変更する(S63)。
【0215】
ステップS63の処理の具体例を説明する。医用画像の素抜け領域は、医用画像の種類を反映した特徴的な形態を有している。情報変更部12は、抽出された素抜け領域の形態に基づいて医用画像の種類を特定し、この特定結果に基づいて付帯情報の「部位」欄や「撮影方法」欄の内容などを修正することができる。
【0216】
医用画像の種類(撮影種別)に対応する素抜け領域の形態の例を図25〜図28に示す。図25に示す医用画像Vは、X線診断装置(CR、DR)を用いて被検体の上体(胸部概観)を正面から撮影したものである。この医用画像Vには、被検体を透過したX線の検出領域に相当する被検体画像領域v1と、被検体を透過しなかったX線の検出領域、すなわち素抜け領域v2とが含まれている。この医用画像Vの素抜け領域v2は、四つの分離した連結成分を有している。
【0217】
情報変更部12は、ステップS62で抽出された素抜け領域の連結成分の個数が四つである場合に(なお、各連結成分が画像の隅に位置していることなどを判断基準に加えてもよい。)、この医用画像の検査種別(モダリティ種別)が「X線」であること、撮影部位が「胸部、概観」であること、撮影方向が「正面」であることなどを特定することができ、この特定結果に基づいて付帯情報を修正することができる。
【0218】
図26に示す医用画像Xは、X線CT装置(又はMRI装置)を用いて撮影された被検体の胸部(肺)の断層画像(アキシャル像)である。この医用画像Wには、被検体画像領域w1と素抜け領域w2とが含まれている。素抜け領域w2は、画像中央の被検体画像領域w1を除いた単一の連結成分からなる形状を有している。
【0219】
情報変更部12は、ステップS62で抽出された素抜け領域が画像中央を除いた単一の連結成分からなる形状である場合に、この医用画像の検査種別(モダリティ種別)が「CT」又は「MR」であることを特定することができる。なお、「CT」と「MR」の区別については、たとえば画素値を解析して画像の画質を求める処理などを施して行うことができる。
【0220】
また、情報変更部12は、被検体画像領域w1内にほぼ左右対称な形状の画像領域(左右の肺に相当する画像領域)が存在することを考慮して、撮影部位が「胸部、概観」であることや、撮影方向(断面方向)が「アキシャル像」であることなどを特定することができる。そして、情報変更部12は、この特定結果に基づいて付帯情報を修正することができる。
【0221】
図27に示す医用画像Xは、X線診断装置を用いて被検体の上体(胸部概観)を側面から撮影したものである。この医用画像Xには、被検体画像領域x1と素抜け領域x2とが含まれている。素抜け領域x2は、画像上の左右方向に分離した二つの連結成分を有している。
【0222】
情報変更部12は、ステップS62で抽出された素抜け領域が、画像上の左右方向に分離した二つの連結成分を有する場合に、この医用画像の検査種別(モダリティ種別)が「X線」であること、撮影部位が「胸部、概観」であること、撮影方向が「側面」であることなどを特定することができ、この特定結果に基づいて付帯情報を修正することができる。
【0223】
図28に示す医用画像Yは、X線診断装置(マンモグラフィ)を用いて被検体の右乳房を(側面から)撮影したものである。この医用画像Yには、被検体画像領域y1と素抜け領域y2とが含まれている。素抜け領域y2は、画像の右端に配置される被検体画像領域y1を除いた単一の連結成分からなる形状を有している。なお、左乳房を撮影した医用画像の素抜け領域は、画像の左端に配置される被検体画像領域を除いた単一の連結成分からなる形状を有する。
【0224】
情報変更部12は、ステップS62で抽出された素抜け領域が、画像の右端を除いた単一の連結成分からなる形状を有する場合に、この医用画像の検査種別(モダリティ種別)が「X線」ないし「マンモグラフィ」であること、撮影部位が「右乳房」であること、撮影方向が「側面(右方向)」であることなどを特定することができ、この特定結果に基づいて付帯情報を修正することができる。
【0225】
〔第8の動作態様〕
医用画像の素抜け領域に基づいて付帯情報を変更する処理について、図20のフローチャートを参照しながら説明する。
【0226】
まず、医用画像処理装置1は、モダリティ2000から医用画像の画像データと付帯情報を受け付け(S71)、情報記憶部11に記憶する。
【0227】
ヒストグラム生成部130は、画像解析情報116のヒストグラム関連情報を情報記憶部11から読み出す。そして、ヒストグラム生成部130は、医用画像の画素値ヒストグラムを生成する(S72)。
【0228】
情報変更部12は、生成された画素値ヒストグラムとヒストグラム関連情報に基づいて、付帯情報の内容を変更する(S73)。
【0229】
ステップS73の処理についてより詳しく説明する。前述のように、画素値ヒストグラムは、医用画像の撮影部位や撮影方向を反映した特徴的な形態を有している。また、ヒストグラム関連情報は、画素値ヒストグラムの形態と、撮影部位や撮影方向との関連付けを定義している。
【0230】
情報変更部12は、ステップS72で生成された画素値ヒストグラムの形態に適合する撮影部位や撮影方向を画素値ヒストグラムから選択する。そして、情報変更部12は、選択された撮影部位や撮影方向の情報に基づいて付帯情報の内容を変更する。
【0231】
〔第9の動作態様〕
医用画像に含まれる人体部位のパターンに基づいて付帯情報を変更する処理について、図21のフローチャートを参照しながら説明する。
【0232】
まず、医用画像処理装置1は、モダリティ2000から医用画像の画像データと付帯情報を受け付け(S81)、情報記憶部11に記憶する。
【0233】
パターン抽出部131は、画像解析情報116の人体部位テンプレートを情報記憶部11から読み出す。そして、パターン抽出部131は、人体部位テンプレートに示す人体部位のパターンに合致する形状の画像領域を医用画像から抽出する(S82)。
【0234】
情報変更部12は、抽出された画像領域に基づいて付帯情報の内容を変更する(S83)。
【0235】
ステップS83の処理についてより詳しく説明する。情報変更部12は、抽出された画像領域について、その画像領域に対応する人体部位テンプレートが表す人体部位に基づいて、当該医用画像の撮影部位や撮影方向を特定し、この特定された情報に基づいて付帯情報の内容を変更する。
【0236】
以上で、医用画像処理装置1の動作態様の説明を終了する。なお、この発明に係る医用画像処理装置は、上記第1〜第9の動作態様のうち、少なくとも一つの動作態様を実行するものであれば十分である。その場合、実行する動作態様に必要な構成部分のみを備えていればよい。たとえば、第1の動作態様と第3の動作態様と第6の動作態様のみを実行可能な医用画像処理装置については、適合判断部121と、文字列情報抽出部123及び医療用語検索部124を備えたコメント情報解析部122と、マーカ抽出部128を備えた医用画像解析部127とが設けられることになる。
【0237】
[作用・効果]
この実施形態に係る医用画像処理装置1の作用及び効果について説明する。
【0238】
医用画像処理装置1は、医用画像の画像データ及びその付帯情報をモダリティ2000等から受け付けるとともに、この付帯情報と所定の参照情報とを比較して付帯情報を変更するように作用するものである。
【0239】
ここで、所定の参照情報としては、医療知識データベース111、投影情報データベース112、データ階層情報113、シェーマ・テンプレート114、人体アトラス情報115、画像解析情報116、確度指定情報117などがある。
【0240】
更に、所定の参照情報としては、医用画像の画像データを解析して得られるマーカ画像、素抜け領域、画素値ヒストグラムないしこれらから特定される各種情報などがある。
【0241】
このように、医用画像処理装置1によれば、これら所定の参照情報を参照することにより、医用画像の画像データの付帯情報を自動的に修正することが可能である。
【0242】
特に、第1、第2の動作態様において説明したように、この医用画像処理装置1によれば、複数の付帯情報の内容が入れ替わってしまっている場合に、その入れ替わった内容を特定して置換することにより修正を行うことができる。
【0243】
それにより、人的ミスやモダリティ2000の動作ミスなどによって複数のオーダ情報の内容を取り違えて複数の付帯情報が作成されてしまった場合であっても、これら複数の付帯情報の内容を自動的に修正することが可能である。
【0244】
この修正処理は、複数の付帯情報のそれぞれに含まれる各種の情報のうち、間違いの起こりうる可能性の低い情報(高確度情報)をベースにして、間違いの起こりうる可能性の高い情報(低確度情報)を修正するものである。このとき、高確度情報と低確度情報との統計的な関係(統計情報データベース112)を利用して低確度情報の間違いを検出するようになっている。したがって、低確度情報の間違いを高い精度で検出して修正することが可能である。
【0245】
なお、オーダ情報の内容の取り違えは、再撮影を行う場合などに特に発生しやすい。また、複数の患者の撮影を立て続けに行う場合に、オペレータの操作ミスにより前後の患者の情報を入力してしまうこともある。また、複数の検査を一度に行う場合には、一つのオーダ情報に複数のサブオーダが含まれることになる(図23参照)。その場合、サブオーダの内容を取り違えて入力してしまうことがある。第1、第2の動作態様は、このようにして発生する付帯情報の作成ミスを修正するものである。
【0246】
また、第3〜第5の動作態様において説明したように、医用画像処理装置1は、オーダ情報に含まれるコメント情報を参照して付帯情報を修正するように作用するものである。コメント情報には、一般に、当該オーダ情報に基づく撮影における注意事項などの重要な情報が含まれている。したがって、付帯情報の間違いを高い精度で検出して修正することが可能になる。
【0247】
また、第6〜9の動作態様において説明したように、医用画像処理装置1は、付帯情報が付帯された医用画像の画像データを解析して所定の参照情報を取得し、この参照情報を用いて付帯情報を修正するように作用するものである。したがって、付帯情報の内容が医用画像に適合していない場合であっても、付帯情報の間違いを検出して修正することが可能である。
【0248】
医用画像処理装置1の以上のような作用効果により、患者情報やオーダ情報の取り違い等のインシデント(incident;潜在的に起こりうる事故など)やアクシデント(accident;実際に発生した事故)を未然に防止することが可能になる。
【0249】
また、前述した所定の参照情報を利用して付帯情報の内容を修正する構成を適用しているので、医療機関内で使用する情報の内容を標準化することができる。それにより、症例検索、経過追跡、統計的な症例対策改善などを効果的にかつ精度良く実施することが可能になる。
【0250】
また、医療機関内で使用する情報の内容を標準化することにより、医用画像の読影作業や電子カルテの閲覧作業などの効率化を図ることも可能である。たとえば、医用画像の比較読影を行うときに、標準化された撮影部位や撮影方法等の情報を検索キーとして入力し、それに応じた画像を検索して表示させることができる。また、たとえば造影剤を用いた撮影などにおいて、撮影のフェーズを示す用語を標準化しておくことにより、同じフェーズの画像を検索して表示させることができる。
【0251】
また、この医用画像処理装置1は、付帯情報が修正されたときに、この修正結果に基づいて情報記憶部11の記憶内容を更新するように作用する。特に、付帯情報のうちの低確度情報が修正されたことに対応して統計情報データベース112を更新するように作用する。それにより、付帯情報の修正処理の精度を時系列とともに向上させることができる(つまり、装置の運用を続けるほどに修正精度の向上が図られる。)。
【0252】
特に、各医療機関の固有の条件、たとえば設置されているモダリティの種別や台数、実施する検査(撮影)の種別や頻度などの条件に応じて、固有の統計情報データベース112を構築していくことができる。したがって、各医療機関毎の条件を反映した統計情報データベース112を利用して、付帯情報の修正精度の向上を図ることが可能である。
【0253】
なお、情報記憶部11の記憶内容の更新処理は、付帯情報が修正されたとき以外のタイミングで適宜に行うことができる。たとえば医療知識データベース111を逐次更新することにより、日々進歩する医療知識を逐次に反映したデータベースを構築できる。それにより、付帯情報の修正精度の向上などを図ることができる。また、医療知識データベース111の内容を確認して体系を見直したりすることもできる。
【0254】
また、この医用画像処理装置1は、データ階層情報113を参照することにより、付帯情報の或る情報が修正されたときに、この情報よりも下位に定義された情報についても修正を施すように作用する。それにより、付帯情報を修正する処理の精度向上や迅速化を図ることができる。
【0255】
〈第2の実施形態〉
この発明に係る医用画像処理装置の第2の実施形態を説明する。図29は、当該実施形態に係る医用画像処理装置を含んで運用される医用システムの構成の一例を表している。この医用システムは、第1の実施形態と同様に、医用画像処理装置100、HIS/RIS1000、モダリティ2000、アーカイブ装置3000、サーバ4000、電子カルテ端末5000及び読影端末6000を含んで構成される。これらの装置は、LAN(Local Area Network)や専用線等の通信回線を介して接続されている。
【0256】
HIS/RIS1000、モダリティ2000、アーカイブ装置3000、サーバ4000、電子カルテ端末5000及び読影端末6000は、第1の実施形態と同様の構成を有している。
【0257】
医用画像処理装置100は、HIS/RIS1000から出力されるオーダ情報を受け付け、このオーダ情報に修正を施した後にモダリティ2000に送信するように動作するようになっている。
【0258】
図30は、この医用画像処理装置100の構成の一例を表している。同図に示す医用画像処理装置100には、制御部101、情報記憶部102、情報変更部103、表示部104、操作部105及び通信部106が設けられている。
【0259】
制御部101は、医用画像処理装置100の各部の動作制御を行う。情報記憶部102は、この発明の「記憶手段」の一例として機能するものであり、オーダ情報データベース(オーダ情報DB)102aを記憶している。このオーダ情報データベース102aは、HIS/RIS1000から医用画像処理装置100に過去に入力されたオーダ情報を蓄積して形成されたデータベースである。
【0260】
オーダ情報データベース102aは、オーダ情報を形成する各種情報によって検索可能にオーダ情報を記憶している。オーダ情報は、たとえば患者識別情報(患者氏名、患者ID)、撮影部位(大分類部位、中分類部位、小分類部位)、検査種別、撮影室(の識別情報)、撮影方向、撮影方法、手技などの情報をキーとして検索できるようになっている。
【0261】
なお、オーダ情報データベース102aは、第1の実施形態のオーダ階層情報R1(図6参照)を含んでいてもよい。このオーダ階層情報R1は、オーダ情報に含まれるデータの階層構造の一例を表すものである。或る階層の情報が決定されたときに、このオーダ階層情報R1を参照することにより、それ以下の階層に登場可能な情報を特定することができる。
【0262】
情報変更部103は、HIS/RIS1000から新規のオーダ情報が入力されたときに(新規オーダ情報ORは情報記憶部102に記憶される)、オーダ情報データベース102aに基づいて新規オーダ情報ORの内容を変更する。この変更処理の具体例については後述する。情報変更部103は、この発明の「変更手段」の一例として機能するものである。
【0263】
表示部104は、第1の実施形態の表示部14と同様の構成を有し、同様に機能する。また、操作部105は、第1の実施形態の操作部15と同様の構成を有し、同様に機能する。また、通信部106は、第1の実施形態の通信部16と同様の構成を有し、同様に機能する。なお、通信部16は、この発明の「受付手段」の一例として機能するものである。
【0264】
このような医用画像処理装置100の動作態様を説明する。図31は、医用画像処理装置100の動作態様の一例を表している。
【0265】
まず、医用画像処理装置100は、HIS/RIS1000からオーダ情報を受け付け(S101)、新規オーダ情報ORとして情報記憶部102に記憶する。
【0266】
次に、情報変更部103は、情報記憶部102からオーダ情報データベース102aと新規オーダ情報ORを読み出す。そして、情報変更部103は、オーダ情報データベース102aに基づいて新規オーダ情報ORの内容を変更する(S102)。
【0267】
制御部101は、通信部106を制御して、ステップS102で内容が変更された新規オーダ情報ORをモダリティ2000に送信する(S103)。
【0268】
ステップS102の処理の具体例を説明する。第1の具体例として、経過観察等の比較読影用のオーダが発行された場合を説明する。まず、情報変更部103は、新規オーダ情報ORの「患者」欄から患者識別情報を取得する。次に、情報変更部103は、この患者識別情報を検索キーとしてオーダ情報データベース102aを検索する。それにより、当該患者の過去のオーダ情報が得られる。情報変更部103は、この過去のオーダ情報の内容と新規オーダ情報ORの内容とを比較して相違を判断する。(「予約日」欄の情報以外に)相違する情報が存在する場合、情報変更部103は、新規オーダ情報ORにおける当該相違する情報を過去のオーダ情報の情報に変更する。それにより、過去と同じオーダ内容の新規オーダ情報ORが得られ、比較読影を好適に行うことができる。
【0269】
第2の具体例として、過去のオーダ情報の統計情報を利用する場合を説明する。この統計情報としては、たとえば図4の撮影枚数統計情報T2や図5の撮影室統計情報T3などを用いることができる。情報変更部103は、新規オーダ情報ORとこの統計情報とを比較して、第1の実施形態と同様の処理(第1、第2の動作態様を参照)を行うことにより、新規オーダ情報ORの内容を変更する。それにより、過去の統計に適合しない情報を変更することができる。
【0270】
情報変更部103は、新規オーダ情報ORの或る情報が変更されたときに、オーダ階層情報R1に基づいて、変更された情報よりも下位の情報を変更することができる。
【0271】
この医用画像処理装置100においても、第1の実施形態と同様に、新規オーダ情報ORの変更内容に基づいてオーダ情報データベース102aの内容を更新する更新手段を設けることが可能である。この更新手段は、第1の実施形態の情報更新部13と同様に機能するものである。
【0272】
以上において詳述した構成や動作態様は、この発明に係る医用画像処理装置を好適に実施するための一例に過ぎないものである。したがって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形を適宜に施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0273】
【図1】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態を含む医用システムの運用形態の一例を表す概略ブロック図である。
【図2】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の機能的構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図3】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態が記憶する検査種別統計情報の形態の一例を表す図である。
【図4】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態が記憶する撮影枚数統計情報の形態の一例を表す図である。
【図5】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態が記憶する撮影室統計情報の形態の一例を表す図である。
【図6】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態が記憶するオーダ階層情報の形態の一例を表す図である。
【図7】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態が記憶する読影階層情報の形態の一例を表す図である。
【図8】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態が記憶する肺領域シェーマ・テンプレートの一例を表す概略図である。
【図9】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態が記憶する上体領域シェーマ・テンプレートの一例を表す概略図である。
【図10】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態に入力されるオーダ情報に含まれるシェーマ図の一例を表す概略図である。
【図11】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態に入力されるオーダ情報に含まれるシェーマ図の一例を表す概略図である。
【図12】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態により生成される画素値ヒストグラムの一例を表す概略図である。
【図13】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図14】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図15】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図16】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図17】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図18】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図19】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図20】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図21】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【図22】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の動作形態による処理に供される付帯情報の形態の一例を表す図である。
【図23】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の動作形態による処理に供されるオーダ情報の形態の一例を表す図である。
【図24】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の動作形態により修正された付帯情報の形態の一例を表す図である。
【図25】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の動作形態による処理に供される医用画像の素抜け領域の形態の一例を表す概略図である。
【図26】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の動作形態による処理に供される医用画像の素抜け領域の形態の一例を表す概略図である。
【図27】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の動作形態による処理に供される医用画像の素抜け領域の形態の一例を表す概略図である。
【図28】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の動作形態による処理に供される医用画像の素抜け領域の形態の一例を表す概略図である。
【図29】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態を含む医用システムの運用形態の一例を表す概略ブロック図である。
【図30】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の機能的構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図31】この発明に係る医用画像処理装置の好適な実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0274】
1 医用画像処理装置
10 制御部
11 情報記憶部
111 医療知識データベース
112 統計情報データベース
T1 検査種別統計情報
T2 撮影枚数統計情報
T3 撮影室統計情報
113 データ階層情報
R1 オーダ階層情報
R2 読影階層情報
114 シェーマ・テンプレート
114a 肺領域シェーマ・テンプレート
114b 上体領域シェーマ・テンプレート
115 人体アトラス情報
116 画像解析情報
117 確度指定情報
G 医用画像(の画像データ)
A、A1、A2、A′ 付帯情報
C1、C2 シェーマ図
OR、OR1、OR2、OR3 オーダ情報
12 情報変更部
121 適合判断部
122 コメント情報解析部
123 文字列情報抽出部
124 医療用語検索部
125 コメント画像解析部
126 シェーマ領域決定部
127 医用画像解析部
128 マーカ抽出部
129 素抜け領域抽出部
130 ヒストグラム生成部
H 画素値ヒストグラム
131 パターン抽出部
13 情報更新部
14 表示部
15 操作部
16 通信部
1000 HIS/RIS
2000 モダリティ
3000 アーカイブ装置
4000 サーバ
5000 電子カルテ端末
6000 読影端末
V、W、X、Y 医用画像
v1、w1、x1、y1 被検体画像領域
v2、w2、x2、y2 素抜け領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像の画像データ及びその付帯情報を受け付ける受付手段と、
前記受け付けられた付帯情報と所定の参照情報とを比較して前記付帯情報を変更する変更手段と、
を備えることを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項2】
前記所定の参照情報は、前記付帯情報に含まれる医療情報の間の関連を示す関連情報とを含み、
前記変更手段は、前記付帯情報における前記医療情報が前記関連情報に示す前記関連に適合するか否か判断する判断手段を備え、該判断手段により前記適合しないと判断されたときに、前記付帯情報における前記医療情報を前記関連情報に適合させるように変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記関連情報は、前記付帯情報に含まれる医療情報のうち確度の高さに基づいてそれぞれあらかじめ指定された高確度情報と低確度情報とを関連付ける情報であり、
前記変更手段による前記変更は、前記低確度情報を変更するものである、
ことを特徴とする請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記受付手段は、複数の前記医用画像の画像データ及び前記付帯情報を受け付け、
前記関連情報は、前記低確度情報としての医用画像の撮影種別を示す撮影種別情報と、前記高確度情報としての医用画像の撮影枚数を示す統計情報とを関連付ける情報であり、
前記判断手段は、前記複数の前記付帯情報のそれぞれについて、撮影種別情報と撮影枚数情報との関連が前記関連情報に適合するか否かを判断し、
前記変更手段は、前記低確度情報を前記変更する処理として、二以上の前記付帯情報のそれぞれについて前記適合しないと前記判断されたときに、前記二以上の付帯情報における撮影種別情報を前記関連情報に適合させるように置換する、
ことを特徴とする請求項3に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記受付手段は、複数の前記医用画像の画像データ及び前記付帯情報を受け付け、
前記関連情報は、前記低確度情報としての医用画像の撮影部位を示す撮影部位情報と、前記高確度情報としての医用画像の撮影枚数を示す統計情報とを関連付ける情報であり、
前記判断手段は、前記複数の前記付帯情報のそれぞれについて、撮影部位情報と撮影枚数情報との関連が前記関連情報に適合するか否かを判断し、
前記変更手段は、前記低確度情報を前記変更する処理として、二以上の前記付帯情報のそれぞれについて前記適合しないと前記判断されたときに、前記二以上の付帯情報における撮影部位情報を前記関連情報に適合させるように置換する、
ことを特徴とする請求項3に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記受付手段は、複数の前記医用画像の画像データ及び前記付帯情報を受け付け、
前記関連情報は、前記低確度情報としての医用画像の撮影種別を示す撮影種別情報と、前記高確度情報としての医用画像の撮影を行う撮影室の使用頻度を示す統計情報とを関連付ける情報であり、
前記判断手段は、前記複数の前記付帯情報のそれぞれについて、撮影種別情報と撮影室との組合せが前記関連情報に適合するか否かを判断し、
前記変更手段は、前記低確度情報を前記変更する処理として、二以上の前記付帯情報のそれぞれについて前記適合しないと前記判断されたときに、前記二以上の付帯情報における撮影種別情報を前記関連情報に適合させるように置換する、
ことを特徴とする請求項3に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記受付手段は、複数の前記医用画像の画像データ及び前記付帯情報を受け付け、
前記関連情報は、前記低確度情報としての医用画像の撮影部位を示す撮影部位情報と、前記高確度情報としての医用画像の撮影を行う撮影室の使用頻度を示す統計情報とを関連付ける情報であり、
前記判断手段は、前記複数の前記付帯情報のそれぞれについて、撮影部位情報と撮影室との組合せが前記関連情報に適合するか否かを判断し、
前記変更手段は、前記低確度情報を前記変更する処理として、二以上の前記付帯情報のそれぞれについて前記適合しないと前記判断されたときに、前記二以上の付帯情報における撮影部位情報を前記関連情報に適合させるように置換する、
ことを特徴とする請求項3に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記変更手段により前記低確度情報を前記変更する処理が行われたときに、当該変更処理の結果に基づいて前記関連情報の前記統計情報を更新する更新手段を備える、
ことを特徴とする請求項4〜請求項7に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記所定の参照情報は、医用画像の撮影を要求するためのオーダ情報として入力される複数の医療情報の階層を示す階層情報を含み、
前記変更手段は、前記付帯情報に含まれる前記階層情報の一の階層の医療情報を変更するときに、当該一の階層よりも下位の階層の医療情報も変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記所定の参照情報は、医用画像の読影を行うときに入力される複数の医療情報の階層を示す階層情報を含み、
前記変更手段は、前記付帯情報に含まれる前記階層情報の一の階層の医療情報を変更するときに、当該一の階層よりも下位の階層の医療情報も変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
前記受付手段は、医用画像の撮影を要求するためのオーダ情報を受け付け、
前記変更手段は、前記受け付けられたオーダ情報にコメント情報が含まれているか判断し、コメント情報が含まれていると前記判断されたときに当該コメント情報を解析するコメント情報解析手段を備え、当該コメント情報の前記解析の結果に基づいて前記付帯情報を変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項12】
前記コメント情報は文字列情報を含み、
前記参照情報は、医療用語の意味を記憶したデータベースを含み、
前記コメント情報解析手段は、前記データベースに含まれる医療用語を前記文字列情報から抽出し、該抽出された医療用語の意味を前記データベースから取得し、
前記変更手段は、前記取得された医療用語の意味に基づいて前記付帯情報を変更する、
ことを特徴とする請求項11に記載の医用画像処理装置。
【請求項13】
前記コメント情報は、人体の一部の概略図に画像情報が記入されたシェーマ図を含み、
前記コメント情報解析手段は、前記シェーマ図の画像解析を行い、
前記変更手段は、前記画像解析の結果に基づいて前記付帯情報を変更する、
ことを特徴とする請求項11に記載の医用画像処理装置。
【請求項14】
前記参照情報は、前記人体の一部の概略図のテンプレートを含み、
前記コメント情報解析手段は、前記受け付けられたオーダ情報のシェーマ図と前記テンプレートとの差分画像を求めることにより、前記記入された画像情報を抽出し、
前記変更手段は、前記抽出された画像情報に基づいて前記付帯情報を変更する、
ことを特徴とする請求項13に記載の医用画像処理装置。
【請求項15】
前記参照情報は、人体の解剖図の画像データを含み、
前記コメント情報解析手段は、前記受け付けられたオーダ情報のシェーマ図と前記人体解剖図とを比較して、前記人体の解剖図における当該シェーマ図に相当する領域を決定し、
前記変更手段は、前記決定された領域に基づいて前記付帯情報を変更する、
ことを特徴とする請求項13に記載の医用画像処理装置。
【請求項16】
前記変更手段は、前記受付手段により受け付けられた医用画像の画像データを解析して前記所定の参照情報を生成する画像解析手段を備え、前記生成された所定の参照情報に基づいて前記付帯情報を変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項17】
前記画像解析手段は、前記医用画像の画像データを解析して、当該医用画像中のマーカ画像を前記所定の参照情報として抽出し、
前記変更手段は、前記抽出されたマーカ画像に基づいて当該医用画像の撮影部位及び/又は撮影方向を決定し、該決定された撮影部位及び/又は撮影方向に基づいて前記付帯情報を変更する、
ことを特徴とする請求項16に記載の医用画像処理装置。
【請求項18】
前記画像解析手段は、前記医用画像の画像データを解析して、当該医用画像における素抜け領域を前記所定の参照情報として抽出し、
前記変更手段は、前記抽出された素抜け領域に基づいて当該医用画像の撮影部位及び/又は撮影方向を決定し、該決定された撮影部位及び/又は撮影方向に基づいて前記付帯情報を変更する、
ことを特徴とする請求項16に記載の医用画像処理装置。
【請求項19】
前記画像解析手段は、前記医用画像の画像データを解析して、当該医用画像における画素値毎の頻度を表す画素値ヒストグラムを前記所定の参照情報として生成し、
前記変更手段は、前記生成された画素値ヒストグラムに基づいて当該医用画像の撮影部位及び/又は撮影方向を決定し、該決定された撮影部位及び/又は撮影方向に基づいて前記付帯情報を変更する、
ことを特徴とする請求項16に記載の医用画像処理装置。
【請求項20】
前記画像解析手段は、前記医用画像の画像データを解析して、当該医用画像における人体の一部に相当する領域を前記所定の参照情報として抽出し、
前記変更手段は、前記抽出された領域に基づいて当該医用画像の撮影部位及び/又は撮影方向を決定し、該決定された撮影部位及び/又は撮影方向に基づいて前記付帯情報を変更する、
ことを特徴とする請求項16に記載の医用画像処理装置。
【請求項21】
医用画像を撮影するためのオーダ情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられたオーダ情報を記憶する記憶手段と、
前記受付手段により新たなオーダ情報が受け付けられたときに、当該新たなオーダ情報と前記記憶手段に記憶された過去のオーダ情報とを比較して当該新たなオーダ情報を変更する変更手段と、
を備えることを特徴とする医用画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2008−59071(P2008−59071A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232412(P2006−232412)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】