医用画像処理装置
【課題】ブルズアイマップの診断能の向上。
【解決手段】記憶部11は、心臓の機能指標に関する3次元の機能画像データを記憶する。心筋領域抽出部15は、3次元の機能画像データから心筋領域を抽出する。正規化部17は、心筋領域の内壁と外壁との間の距離を既定の数値範囲で正規化する。ブルズアイマップ生成部21は、既定の数値範囲内の所定値に対応する心筋領域上の位置の画素値の空間分布を、2次元の極座標で表現するブルズアイマップを生成する。表示部23は、ブルズアイマップを表示する。
【解決手段】記憶部11は、心臓の機能指標に関する3次元の機能画像データを記憶する。心筋領域抽出部15は、3次元の機能画像データから心筋領域を抽出する。正規化部17は、心筋領域の内壁と外壁との間の距離を既定の数値範囲で正規化する。ブルズアイマップ生成部21は、既定の数値範囲内の所定値に対応する心筋領域上の位置の画素値の空間分布を、2次元の極座標で表現するブルズアイマップを生成する。表示部23は、ブルズアイマップを表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
虚血性心疾患の診断において、SPECT装置による心筋SPETCTが利用されている。心筋SPECTにおいてブルズアイマップが活用されている。ブルズアイマップの生成方法は、以下の通りである。まずSPECT装置により収集されたボリュームデータに基づいて複数の短軸断面画像を発生する。各短軸断面画像において心筋領域の中心点から放射状に伸びる複数の直線を設定する。各直線上の心筋領域の内膜と外膜との間(心筋内部)の複数の画素の画素値の中から最大値を特定する。特定された最大値を極座標上の対応位置の画素に割付ける。これによりブルズアイマップが生成される。このように、ブルズアイマップには、心筋内部を貫く直線上の最大値が割付けられている。従って、心筋内部の画素値分布をブルズアイマップで把握することができない。このため、心筋の局所部位に注目した虚血領域の危険度判定は、困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009―18005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の目的は、ブルズアイマップの診断能の向上を可能とする医用画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る医用画像処理装置は、心臓の機能指標に関する3次元の機能画像データを記憶する記憶部と、前記3次元の機能画像データから心筋領域を抽出する抽出部と、前記心筋領域の内壁と外壁との間の距離を既定の数値範囲で正規化する正規化部と、前記既定の数値範囲内の所定値に対応する前記心筋領域上の位置の画素値の空間分布を、2次元の極座標で表現するブルズアイマップを生成する生成部と、前記ブルズアイマップを表示する表示部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図。
【図2】図1の制御部の制御のもとに行われる、第1実施形態に係る心筋SPECTブラウジング表示処理の典型的な流れを示す図。
【図3】図2のステップSA1を説明するための図。
【図4】図2のステップSA3を説明するための図。
【図5】図2のステップSA5を説明するための図。
【図6】図2のステップSA7におけるブルズアイマップの表示例を示す図。
【図7】図2のステップSA8を説明するための図。
【図8】第2実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示す図。
【図9】図8の制御部の制御のもとに行われる、第2実施形態に係る心筋SPECTブラウジング表示処理の典型的な流れを示す図。
【図10】図9のステップSB3を説明するための図。
【図11】図8の表示/非表示判定部と血管領域配置部とにより行われる、冠動脈領域の局所部位の表示/非表示処理を説明するための図。
【図12】第3実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示す図。
【図13】図12の制御部の制御のもとに行われる、第3実施形態に係る心筋SPECTブラウジング表示処理の典型的な流れを示す図。
【図14】図13のステップSC3における、表示曲断面の空間分布を示す曲線が配置されたCT断面画像の表示例を示す図。
【図15】図12の血管配置により行われる、指定値の変更に伴うCT断面画像上の曲線の移動を説明するための図。
【図16】変形例1に係る医用画像処理装置によるマルチフレーム表示処理の流れを模式的に示す図。
【図17】変形例2に係る医用画像処理装置の構成を示す図。
【図18】図17の3次元モデル発生部により行われる3次元ブルズアイマップの発生処理の典型的な流れを模式的に示す図。
【図19】図17の表示部により表示される3次元モデル画像の表示の応用例を示す図。
【図20】変形例3に係る医用画像処理装置の構成を示す図。
【図21】図20の画像処理部による円環画像の発生処理を説明するための図。
【図22】図20の画像処理部により発生される円環画像の一例を示す図。
【図23】図20の画像処理部により発生される3次元円環画像の一例を示す図。
【図24】図20の画像処理部により発生されるカップモデル画像の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる医用画像処理装置を説明する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る医用画像処理装置1の構成を示す図である。図1に示すように、医用画像処理装置1は、記憶部11、断面画像発生部13、心筋領域抽出部15、正規化部17、指定位置特定部19、ブルズアイマップ生成部21、表示部23、操作部25、及び制御部27を有する。
【0009】
記憶部11は、心臓の機能指標に関する3次元の機能画像データを記憶する。3次元の機能画像データとしては、X線コンピュータ断層撮影装置や磁気共鳴イメージング装置、超音波診断装置、SPECT装置、PET装置等の医用画像診断装置により発生されたものが適用可能である。SPECT装置やPET装置により発生されたボリュームデータには、例えば、心筋に集積される放射性同位元素から放出されるガンマ線のカウント値(又はカウント値に基づく心臓の機能指標の指標値)が画素値として割付けられている。また、X線コンピュータ断層撮影装置や磁気共鳴イメージング装置、超音波診断装置により発生されたボリュームデータには、心臓の運動機能に関する機能指標の指標値が割付けられている。例えば、X線コンピュータ断層撮影装置や磁気共鳴イメージング装置における機能指標としては、BP(心筋組織内の単位体積及び単位時間あたりの血流量)、BV(心筋組織内の単位体積あたりの血流量)、MTT(平均通過時間)等が知られていている。超音波診断装置における機能指標としては、例えば、心筋の壁運動情報が知られている。この壁運動情報としては、例えば、壁圧方向への変化に関する情報(radial - strain)、心軸方向への変化に関する情報(longitudinal - strain)、円周方向への変化に関する情報(circumferential - strain)、短軸断面内での面積重心に関する情報(rotation)、異なる短軸断面間の回転の差分である情報(torsion)が知られている。以下、3次元の機能画像は、心筋SPETCTの技術によりSPECT装置により発生されたボリュームデータ(以下、心筋SPECTデータと呼ぶことにする。)であるとする。心筋SPECTデータの画素の画素値を心筋SPECT値と呼ぶことにする。また、記憶部11は、後述する心筋SPECTブラウジング表示処理のための画像処理プログラムを記憶する。
【0010】
断面画像発生部13は、心筋SPECTデータに基づいて、心臓領域や心臓領域の特定部位の心軸に沿って配列された複数の短軸断面にそれぞれ対応する複数の短軸断面画像を発生する。短軸断面は、心軸に直交する断面を意味する。
【0011】
心筋領域抽出部15は、心筋SPECTデータから心臓領域の特定部位を抽出する。特定部位は、心臓領域の如何なる解剖学的部位でも構わない。以下、特定部位は、臨床的に有用な左心室の心筋に関する画素領域(以下、心筋領域と呼ぶことにする。)であるとする。典型的には、心筋領域抽出部15は、複数の短軸断面画像の各々から心筋領域を抽出する。
【0012】
正規化部17は、心筋領域の内壁と外壁との間の距離を既定の数値範囲で正規化する。典型的には、正規化部17は、複数の短軸断面画像の各々について、心筋領域の内壁と外壁との間の距離を既定の数値範囲で正規化する。数値範囲は、ユーザにより操作部25を介して任意に設定可能である。
【0013】
指定位置特定部19は、既定の数値範囲内のユーザ指定の指定値に対応する心筋領域上の位置を特定する。複数の短軸断面画像の各々について、ユーザ指定の指定値に対応する心筋領域上の位置を特定する。指定値は、ユーザにより操作部25を介して、既定の数値範囲内の任意に設定される。
【0014】
ブルズアイマップ生成部21は、指定値に対応する心筋領域上の位置の心筋SPECT値の空間分布を、左心室領域の心軸回りの回転角と心軸上の基準点からの距離とにより規定される2次元の極座標で表現するブルズアイマップを生成する。指定値は、ブルズアイマップの表示断面位置に対応するといえる。なお、ブルズアイマップの表示断面は、直交座標系で規定される心筋SPECTデータにおいては、曲面をなす。従って、ブルズアイマップの表示断面を表示曲断面と呼ぶことにする。
【0015】
表示部23は、生成されたブルズアイマップを表示機器に表示する。表示機器としては、例えばCRTディスプレイや、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等が適宜利用可能である。
【0016】
操作部25は、ユーザからの入力機器を介した指示に従って各種指示や情報を入力する。例えば、操作部25は、ユーザからの入力機器を介した指示に従って、既定の数値範囲内での指定値を指定する。入力機器としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスが適宜利用可能である。
【0017】
制御部27は、医用画像処理装置1の中枢として機能する。制御部27は、記憶部11に記憶された画像処理プログラムを読み出してプログラムに従って各部を制御することにより、心筋SPECTブラウジング表示処理を行う。
【0018】
以下、制御部27の制御のもとに行われる心筋SPECTブラウジング表示処理を詳細に説明する。図2は、制御部27の制御のもとに行われる心筋SPECTブラウジング表示処理の典型的な流れを示す図である。
【0019】
図2に示すように、制御部27は、ユーザにより操作部25を介して心筋SPECTブラウジング表示処理の開始指示がなされることを契機として、断面画像発生部13に短軸断面画像の発生処理を行わせる(ステップSA1)。ステップSA1において断面画像発生部13は、心筋SPECTデータに基づいて、左心室領域の心軸に沿って配列された複数の短軸断面にそれぞれ対応する複数の短軸断面画像を発生する。
【0020】
図3は、ステップSA1を説明するための図である。具体的には、まず断面画像発生部13は、左心室領域を抽出するために心筋SPECTデータMSDに領域拡張法(region growing)を適用する。左心室領域は、心筋が有しうる心筋SPECT値範囲におさまる画素の集合である。まず、断面画像発生部13は、ユーザにより操作部25を介して、又は画像処理により、左心室領域にシード点を設定する。次に断面画像発生部13は、シード点から26近傍にあるボクセルを探索し、統合条件を満たす近傍ボクセルを統合する。統合条件は、左心室が有しうる心筋SPECT値範囲に設定される。これにより統合条件を満たし且つシード点に連結する画素領域、すなわち、左心室領域が抽出される。左心室領域が抽出されると断面画像発生部13は、抽出された左心室領域の形状に従って左心室領域の心尖部PAと心基部PBとを特定する。心尖部PAと心基部PBとを結ぶ軸を、断面画像発生部13は、心軸(短軸)ACに設定する。心軸ACが設定されると断面画像発生部13は、設定された心軸ACに沿って配列された複数の短軸断面SPを設定する。そして断面画像発生部13は、設定された複数の短軸断面SPにそれぞれ対応する複数の断面画像ISを心筋SPECTデータMSDに基づいて発生する。各短軸断面画像ISは、短軸断面SPにおける心筋SPECT値の空間分布を直交座標系で表現している。各短軸断面画像ISは、左心室領域を含んでいる。左心室領域は、心筋領域を含んでいる。ここで短軸断面SPのスライス番号は、例えば、心尖部PAから心基部PBへ向けて1からN(整数)に規定されるとする。Nは、短軸断面SPの数に規定される。Nは、ユーザにより操作部25を介して任意に設定可能である。
【0021】
ステップSA1が行われると制御部27は、心筋領域抽出部15に心筋領域の抽出処理を行わせる(ステップSA2)。ステップSA2において心筋領域抽出部15は、各短軸断面画像から心筋領域を抽出する。具体的には、心筋領域抽出部15は、各短軸断面画像に領域拡張法(region growing)を適用する。心筋領域は、心筋が有しうる心筋SPECT値範囲におさまる画素の集合である。まず、心筋領域抽出部15は、ユーザにより操作部25を介して、又は画像処理により、心筋領域にシード点を設定する。次に心筋領域抽出部15は、シード点から26近傍にあるボクセルを探索し、統合条件を満たす近傍ボクセルを統合する。統合条件は、心筋が有しうる心筋SPECT値範囲に設定される。これにより統合条件を満たし且つシード点に連結する画素領域、すなわち、心筋領域が抽出される。
【0022】
ステップSA2が行われると制御部27は、正規化部17に正規化処理を行わせる(ステップSA3)。ステップSA3において正規化部17は、心筋領域の内壁と外壁との間隔を既定の数値範囲で正規化する。
【0023】
図4は、ステップSA3を説明するための図である。図4は、各短軸断面画像に含まれる心筋領域RMを示している。具体的には、まず正規化部17は、各短軸断面画像から心筋領域RMの内壁WIと外壁WOとを抽出する。より詳細には、正規化部17は、心筋領域RMの内側の境界をトレースすることにより心筋領域の内側の閉曲線(内壁)を抽出し、心筋領域の外側の境界をトレースすることにより心筋領域の外側の閉曲線(外壁)を抽出する。内側の境界は心筋領域RMの両壁のうちの心軸に近い方の境界であり、外側の境界は心筋領域RMの両壁のうちの心軸に遠い方の境界である。内側閉曲線(内壁WI)が抽出されると正規化部17は内側閉曲線の重心を算出し、外側閉曲線が抽出されると正規化部17は外側閉曲線(外壁WO)の重心を算出する。次に正規化部17は、内側閉曲線の重心と外側閉曲線の重心との中心点PCを算出する。算出された中心点PCは、各短軸断面画像における心筋領域RMの中心点として扱われる。正規化部17は、中心点PCから放射状に伸びる複数の直線LIを設定する。ここで、直線LIの識別のために、各直線LIに番号を設定する。正規化部17は、直線LIと内壁WIとの交点PI、直線LIと外壁WOとの交点POを特定する。正規化部17は、特定された交点PI及び交点POの短軸断面画像上における座標を特定する。短軸断面画像上における座標は、直交座標系により規定されている。正規化部17は、各直線LI上の交点PIと交点POとの間の距離を既定の数値範囲で正規化する。例えば、既定の数値範囲は、0〜1に設定される。この場合、正規化部17は、交点PIの位置を0、交点POの位置を1に設定する。交点PIと交点POとの間の直線LI上の各点の位置は、交点PIから交点POに進むにつれて交点PIから各点の位置までの距離が0から1に線形的に変化するように設定される。これにより正規化が行われる。正規化により規定される各点の位置を、正規化位置を呼ぶことにする。
【0024】
ステップSA3が行われると制御部27は、操作部25を介してユーザにより既定の数値範囲内の数値が指定されることを待機する(ステップSA4)。ユーザは、操作部25を介して数値範囲の下限値以上、上限値以下の所望の数値を指定値として指定する。数値範囲が0から1の場合、0以上1以下の所望の数値が指定値として指定される。指定値は、キーボードやタッチパネル等の入力機器を介して直接的に数値が入力されてもよい。また、スライダバーとそのつまみとを利用して指定値を指定してもよい。スライダバーは、数値範囲に対応する。つまみは、指定値に対応する。ユーザは、入力機器を介して、つまみをスライダバー上でスライドさせる。制御部27は、スライダバー上のつまみの位置と指定値とを対応付けたテーブルを保持している。制御部27は、このテーブルを利用してつまみの位置に対応した指定値を算出する。指定値の指定は、ブルズアイマップの表示曲断面位置の指定と同義である。
【0025】
なお、従来においては直線上の最大心筋SPECT値をブルズアイマップにマッピングしていた。このような従来においては、ブルズアイマップの表示曲断面という概念は存在しない。
【0026】
ユーザにより指定値が指定されると制御部27は、指定位置特定部19に指定位置の特定処理を行わせる(ステップSA5)。ステップSA5において指定位置特定部19は、ステップSA4において指定された指定値に対応する心筋領域上の位置を特定する。具体的には、指定位置特定部19は、各短軸断面画像の各直線について、指定値に対応する画素の位置(座標)を特定する。特定された画素の座標は、直交座標系により規定されている。より詳細には、指定位置特定部19は、指定値に対応する画素の座標と画素が属する短軸断面のスライス番号と画素が属する直線の番号とを特定する。なお指定値は、予め定められていてもよい。
【0027】
ステップSA5が行われると制御部27は、ブルズアイマップ生成部21にブルズアイマップの生成処理を行わせる(ステップSA6)。ステップSA6においてブルズアイマップ生成部21は、ステップSA5において特定された位置の心筋SPECT値の空間分布を、心軸回りの回転角と心軸上の基準点からの距離とにより規定される2次元の極座標で表現するブルズアイマップを生成する。基準点としては、典型的には、心尖部が利用される。
【0028】
図5は、ステップSA6を説明するための図である。図5に示すように、各短軸断面画像ISの各直線LIにおいて、指定値PDに対応する画素の座標が特定されたとする。まず、ブルズアイマップ生成部21は、特定された座標の心筋SPECT値を特定する。そしてブルズアイマップ生成部21は、特定された心筋SPECT値をテンプレート上の対応する位置に割付ける(マッピングする)ことによりブルズアイマップを生成する。テンプレートの中心は、左心室領域の心尖部に対応する。テンプレートの外縁は、左心室領域の心基部に対応する。テンプレートの中心点から各画素までの距離は、短軸断面のスライス番号(断面位置)に対応する。テンプレートの中心点回りの角度は、心軸回りの角度に対応する。すなわち、テンプレートの各画素と各直線LIとが一対一で対応する。テンプレートの各画素は、短軸断面のスライス番号と直線LIの番号とにより一意に特定される。テンプレートの各画素には、その画素に対応する直線LI上の画素のうちの指定値PDに対応する画素の心筋SPECT値が割付けられる。
【0029】
すなわち、ブルズアイマップ生成部21は、ステップSA5において特定されたスライス番号と直線LIの番号とに対応するテンプレート上の画素を特定し、特定されたテンプレート上の画素にステップSA5において特定された画素の心筋SPECT値を割付ける。この処理をテンプレート上の全ての画素に行うことにより、ブルズアイマップが生成される。
【0030】
ステップSA6が行われると制御部27は、表示部23に表示処理を行わせる(ステップSA7)。ステップSA7において表示部23は、ステップSA6において表示されたブルズアイマップを表示機器に表示する。
【0031】
図6は、ブルズアイマップBMの表示例を示す図である。図6に示すように、ブルズアイマップBMの各画素は、心筋SPECT値に応じたカラーで表示される。具体的には、表示部23は、心筋SPECT値とカラー値とを対応付けたカラーテーブルを保持している。表示部23は、カラーテーブルを利用してステップSA6において生成されたブルズアイマップの画素毎にカラー値を特定する。そして表示部23は、特定されたカラー値に対応するカラーでブルズアイマップBMの各画素を表示する。
【0032】
なお、表示画面には、指定値をユーザに提示するために表示領域RNや表示領域RSが配置されるとよい。表示領域RNには、指定値の数値が表示される。表示領域RSには、スライダバーが表示される。スライダバー上の指定値に対応する位置には、つまみTUが重ねられている。ユーザは、指定値の数値を見ることにより、あるいは、スライダバー上のつまみTUの位置を見ることにより指定値を把握することができる。なお、表示領域RNと表示領域RSとの何れか一方のみ設けられても良い。
【0033】
ステップSA7が行われると制御部27は、ユーザにより操作部25を介して指定値が変更されることを待機している(ステップSA8)。すなわち、医用画像処理装置1は、ブルズアイマップの表示曲断面を任意に変更可能な機能を有している。
【0034】
図7は、ステップSA8を説明するための図である。図7に示すように、例えば、指定値PDは、入力機器(マウス)の動きに連動して変更されるとよい。具体的には、表示画面(又はアプリケーションウィンドウ)上の特定領域においてマウスが右方向にドラッグされた場合、この右方向へのドラッグ量に応じた数値だけ指定値PDが増加される。また、表示画面(又はアプリケーションウィンドウ)上の特定領域においてマウスが左方向にドラッグされた場合、この右方向へのドラッグ量に応じた数値だけ指定値PDが減少される。特定領域は、例えば、ユーザによる指定値の変更操作の操作性の観点から、ブルズアイマップBMの表示領域に設定されるとよい。制御部27は、ドラッグ量とドラッグ方向とに従って変更後の指定値をリアルタイムに算出する。
【0035】
なお、指定値の変更方法は、上述のような、入力機器の動きに連動させる方法のみに限定されない。例えば、キーボードやタッチパネル等の入力機器を介して直接的に数値を入力したり、スライダバー上のつまみの位置を移動したりすることにより、指定値を変更してもよい。
【0036】
指定値(ブルズアイマップの表示曲断面)が変更されると制御部27は、変更後の指定値に関するブルズアイマップを生成するために、ステップSA5、SA6、及びSA7とを繰り返す。具体的には、ステップSA5において指定位置特定部19は、ステップSA8おいて設定された変更後の指定値に対応する心筋領域上の位置を特定する。ステップSA6においてブルズアイマップ生成部21は、特定された位置の心筋SPECT値に従って、変更後の指定値に関するブルズアイマップを生成する。ステップSA7において表示部23は、変更後の指定値に関するブルズアイマップを表示する。表示部23は、指定値の変更に伴って、変更後の指定値に関するブルズアイマップをリアルタイムに表示する。
【0037】
このように制御部27は、指定値、すなわち、ブルズアイマップの表示曲断面を任意に変更可能にし、変更後の指定値に応じたブルズアイマップをリアルタイムで表示することにより、ブルズアイマップのブラウジング表示を可能にしている。
【0038】
指定値が変更されず、例えば、ユーザにより操作部25を介して心筋SPECTブラウジング表示処理の終了指示がなされたことを契機として(ステップSA8:NO)、制御部27は、心筋SPECTブラウジング表示処理を終了する。
【0039】
医師等のユーザは、心筋領域の厚さ方向における最大値のみに関心があるわけではない。例えば、虚血領域の有無を診断する場合、心筋領域の厚さ方向に沿って心筋SPECT値を観察する必要がある。心筋領域の厚さ(各直線上の内壁と外壁との間の距離)は、同一ではなく、心筋領域中の部位により異なっている。従って、心筋領域の厚さ方向の位置を絶対距離(正規化前の距離)により指定すると、ある部位では内壁に近かったり、他の部位では外壁に近かったりしてしまう。
【0040】
上記構成により医用画像処理装置1は、心筋領域の厚みを既定の数値範囲で正規化し、この数値範囲内での任意の指定値に対応する位置の心筋SPECT値に従ってブルズアイマップを生成している。このように正規化をすることにより、医用画像処理装置1は、内壁付近や外壁付近、心筋内部等の心筋領域の厚み方向に沿う解剖学的に同質な位置を単一の指定値により一括して指定することができる。すなわち、正規化により、指定値をブルズアイマップの表示曲断面の位置として扱うことが可能となる。また、医用画像処理装置1は、指定値をユーザからの指示に従って任意に変更可能にすることにより、ブルズアイマップの表示曲断面を任意に変更可能にしている。これにより医用画像処理装置1は、心筋領域の厚さ方向に沿う任意の位置の心筋SPECT値の空間分布をブルズアイマップでブラウジング表示することができる。ブラウジング表示により、短時間で広範囲の部位の調査が可能になり、例えば、虚血領域の有無等の迅速な診断や虚血領域の早期発見が実現する。
【0041】
かくして第1実施形態に係る医用画像処理装置は、ブルズアイマップの診断能の向上を実現することができる。
【0042】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る医用画像処理装置は、ブルズアイマップに血管領域を重ねて表示する。以下、第2実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。なお以下の説明において、第1実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0043】
図8は、第2実施形態に係る医用画像処理装置2の構成を示す図である。図8に示すように、医用画像処理装置2は、記憶部11、断面画像発生部13、心筋領域抽出部15、正規化部17、指定位置特定部19、ブルズアイマップ生成部21、表示部23、操作部25、制御部27、位置合わせ部29、血管領域抽出部31、及び血管領域配置部33を有する。
【0044】
第2実施形態に係る記憶部11は、さらに、心臓の形態指標に関する3次元の形態画像データを記憶している。3次元の形態画像データとしては、X線コンピュータ断層撮影装置や磁気共鳴イメージング装置、超音波診断装置等の医用画像診断装置により発生されたものが適用可能である。以下、第2実施形態に係る3次元の形態画像データは、マルチスライスCTにより、造影剤が注入された心臓をスキャンすることにより発生されたボリュームデータ(以下、CTボリュームデータを呼ぶことにする。)であるとする。CTボリュームデータには、形態指標の一種であるCT値が割り付けられている。
【0045】
位置合わせ部29は、心筋SPECTデータとCTボリュームデータとを位置合わせする。位置合わせにより、心筋SPECTデータとCTボリュームデータとを位置合わせするための位置合わせ情報が算出される。
【0046】
血管領域抽出部31は、CTボリュームデータから血管に関する画素領域(以下、血管領域と呼ぶことにする。)を抽出する。血管領域は、典型的には、冠動脈に関する画素領域(以下、冠動脈領域と呼ぶことにする。)である。
【0047】
血管領域配置部33は、抽出された血管領域の空間分布が、ブルズアイマップと同一の2次元の極座標系で表現された血管領域をブルズアイマップ上に配置する。具体的には、血管領域配置部33は、ブルズアイマップと同一の2次元の極座標系により規定される冠動脈領域の位置を算出する。血管領域配置部33は、算出されたブルズアイマップ上の冠動脈領域の位置の画素領域に点をプロットする。これによりブルズアイマップ上に冠動脈領域が配置される。
【0048】
第2実施形態に係る表示部23は、冠動脈領域が配置されたブルズアイマップを表示機器に表示する。
【0049】
以下、制御部27の制御のもとに行われる第2実施形態に係る心筋ブラウジング表示処理を詳細に説明する。図9は、制御部27の制御のもとに行われる第2実施形態に係る心筋ブラウジング表示処理の典型的な流れを示す図である。なお、第2実施形態に係る心筋ブラウジング表示処理の開始時点において既にブルズアイマップが第1実施形態を利用して生成されているものとする。
【0050】
図9に示すように、制御部27は、まず、位置合わせ部29に位置合わせ処理を行わせる(ステップSB1)。ステップSB1において位置合わせ部29は、心筋SPECTデータとCTボリュームデータとを位置合わせする。心筋SPECTデータとCTボリュームデータとは、撮像時の心位相(拡張期や収縮期等)が異なる場合がある。従って心筋SPECTデータに含まれる左心室領域とCTボリュームデータに含まれる左心室領域とは、典型的には、大きさが異なる。従って位置合わせ部29は、各データの解剖学的特徴点を抽出し、この解剖学的特徴点を利用して位置合わせを実行する。例えば、解剖学的特徴点として、左心室領域の心尖部と心基部とが抽出される。この場合、位置合わせ部29は、位置合わせ情報として、例えば、CTボリュームデータの心尖部及び心基部から心筋SPECTデータの心尖部及び心基部への座標変換式を算出する。そして位置合わせ部29は、この座標変換式をCTボリュームデータに乗じることにより、心筋SPECTデータとCTボリュームデータとを位置合わせする。
【0051】
ステップSB1が行われると制御部27は、血管領域抽出部31に血管領域抽出処理を行わせる(ステップSB2)。ステップSB2において血管領域抽出部31は、CTボリュームデータから冠動脈領域を抽出する。具体的には、血管領域抽出部31は、冠動脈領域を抽出するためにCTボリュームデータに領域拡張法を適用する。まず、血管領域抽出部31は、ユーザにより操作部25を介して、又は画像処理により、各短軸断面画像の冠動脈領域にシード点を設定する。次に血管領域抽出部31は、シード点から26近傍にあるボクセルを探索し、統合条件を満たす近傍ボクセルを統合する。統合条件は、冠動脈が有しうる心筋SPECT値範囲に設定される。これにより統合条件を満たし且つシード点に連結する画素領域、すなわち、冠動脈領域が抽出される。
【0052】
ステップSB2が行われると制御部27は、血管領域配置部33に配置処理を行わせる(ステップSB3)。ステップSB3において血管領域配置部33は、ブルズアイマップに冠動脈領域を配置する。
【0053】
図10は、ステップSB3を説明するための図である。具体的には、まず血管領域配置部33は、座標変換式を利用して、心筋SPECTデータの各短軸断面画像ISに、CTボリュームデータの冠動脈領域RCAを投影する。そして血管領域配置部33は、各短軸断面画像ISについて、ブルズアイマップと同一の極座標系における冠動脈の位置を算出する。そして血管領域配置部33は、ブルズアイマップ上の算出された位置の画素に冠動脈領域を表す点をプロットする。このプロットされた点の集合が、ブルズアイマップ上の冠動脈領域RCA´となる。より詳細には、血管領域配置部33は、各短軸断面画像ISの各直線LIについて、直線LI上に冠動脈領域RCAが存在するか否かを判定する。直線LI上に冠動脈領域RCAが存在しないと判定した場合、血管領域配置部33は、この直線LIに対応するブルズアイマップの画素に冠動脈領域RCA´を表す点を割付けない。直線LI上に冠動脈領域RCAが存在すると判定した場合、血管領域配置部33は、この直線LIに対応するブルズアイマップの画素に冠動脈領域RCA´を表す点を割付ける。これによりブルズアイマップに冠動脈領域RCA´が配置される。
【0054】
ステップSB3が行われると制御部27は、表示部23に表示処理を行わせる(ステップSB4)。ステップSB4において表示部23は、ステップSB3において生成された、冠動脈領域が配置されたブルズアイマップを表示機器に表示する。ブルズアイマップ上に冠動脈領域が配置されることにより、ユーザは、ブルズアイマップおける解剖学的な位置関係を容易に把握することができる。
【0055】
ステップSB4が行われると制御部27は、第2実施形態に係る心筋SPECTブラウジング表示処理を終了する。
【0056】
なお、ブルズアイマップ上の冠動脈領域の局所部位の表示/非表示を、指定値の変更に伴って切替えてもよい。以下、冠動脈領域の局所部位の表示/非表示処理を説明する。
【0057】
図8に示すように、この冠動脈領域の局所部位の表示/非表示処理のため医用画像処理装置2は、さらに表示/非表示判定部35を備えている。図11は、表示/非表示判定部35と血管領域配置部33とにより行われる、冠動脈領域の局所部位の表示/非表示処理を説明するための図である。図11の(a)は、短軸断面画像(直交座標系)における心筋領域RM及びその周辺を模式的に示す図である。点線L1は、第1の指定値に対応するブルズアイマップの表示曲断面を示す。第1の指定値に対応する表示曲断面は、内壁近傍に設定されている。点線L2は、第1の指定値に対応するブルズアイマップの表示曲断面を示す。第2の指定値に対応する表示曲断面は、外壁近傍に設定されている。心筋領域RMには、虚血部位に関する画素領域RI(以下、虚血領域と呼ぶことにする。)が含まれているとする。虚血部位は、正常部位よりも血液が浸潤されていない心筋部位である。虚血部位は、正常部位よりも放射性同位元素の集積量が少ない。従って、虚血領域は、正常部位に関する心筋領域よりも心筋SPECT値が低い。部位Aにおいては、虚血領域RIが内壁から外壁近傍にわたり、部位Bに比して臨床的に危険度が高い。図11の(b)は、表示曲断面L1に関するブルズアイマップを示す。図11の(b)は、表示曲断面L2に関するブルズアイマップを示す。
【0058】
表示/非表示判定部35は、指定値に対応する表示曲断面に関するブルズアイマップに含まれる複数の画素の各々について、この画素に血管領域を表示するか否かを、この画素の心筋SPECT値に従って判定する。具体的には、表示/非表示判定部35は、ブルズアイマップの複数の画素の各々について、この画素の心筋SPECT値が閾値以上か否かを判定する。閾値は、正常部位に関する心筋領域と虚血領域とを区別可能な心筋SPECT値に設定される。
【0059】
血管領域配置部33は、心筋SPECT値が閾値以下と判定された場合、ブルズアイマップの画素に冠動脈領域RCA´を表す点を配置する。心筋SPECT値が閾値以上と判定された場合、血管領域配置部33は、ブルズアイマップの画素に冠動脈領域RCA´を表す点を配置しない。
【0060】
表示/非表示判定部35と血管領域配置部33とは、ユーザにより操作部25を介して指定値(表示曲断面)が変更される毎に、上述の処理を実行する。このように、表示/非表示判定部35と血管領域配置部33とにより、指定値(ブルズアイマップの表示曲断面位置)が変更されるたびに、ブルズアイマップ上の冠動脈領域を局所部位毎に表示/非表示の切替を行うことができる。すなわち、閾値よりも低心筋SPECT値の画素領域付近に存在する冠動脈領域がブルズアイマップに配置され、閾値よりも高心筋SPECT値の画素領域付近に存在する冠動脈領域がブルズアイマップから消去される。このように、閾値よりも低心筋SPECT値の画素領域付近に存在する冠動脈領域がブルズアイマップに配置されることにより、ユーザは、各部位の臨床的な危険度を評価することができる。
【0061】
かくして第2実施形態に係る医用画像処理装置2は、ブルズアイマップの診断能の向上を実現することができる。
【0062】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る医用画像処理装置は、ブルズアイマップの表示曲断面の空間分布を示す曲線を直交座標系により規定される形態画像に重ねて表示する。以下、第3実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。なお以下の説明において、第1及び第2実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0063】
図12は、第3実施形態に係る医用画像処理装置3の構成を示す図である。図12に示すように、第3実施形態に係る医用画像処理装置3は、記憶部11、断面画像発生部13、心筋領域抽出部15、正規化部17、指定位置特定部19、ブルズアイマップ生成部21、表示部23、操作部25、制御部27、位置合わせ部29、血管領域抽出部31、血管領域配置部33、表示/非表示判定部35、曲線配置部37を有する。
【0064】
第3実施形態に係る断面画像発生部13は、CTボリュームデータに基づいて心筋領域に交差する断面(以下、CT断面と呼ぶことにする。)に関する断面画像(以下、CT断面画像と呼ぶことにする。)を発生する。CT断面は、心筋領域に交差していれば、如何なる位置及び向きを有していても良い。また、CT断面の数は、一つであっても複数であっても良い。
【0065】
曲線配置部37は、指定値に対応するブルズアイマップの表示曲断面のCT断面画像上の位置を算出する。そして曲線配置部37は、算出された位置に曲線を示す点をプロットする。これにより各CT断面画像にブルズアイマップの表示曲断面の空間分布を示す曲線が配置される。
【0066】
図13は、第3実施形態に係る制御部27の制御のもとに行われる心筋SPECTブラウジング表示処理の典型的な流れを示す図である。なお第3実施形態に係る心筋ブラウジング表示処理の開始時点において既にブルズアイマップが第1実施形態を利用して生成されているものとする。
【0067】
図13に示すように、制御部27は、まず断面画像発生部13に断面画像の発生処理を行わせる(ステップSC1)。ステップSC1において断面画像発生部13は、CTボリュームデータに基づいて直交3断面に関する3つのCT断面画像を発生する。具体的には、まず断面画像発生部13は、ステップSA1と同様にして、CTボリュームデータにおいて心軸を設定する。心軸が設定されると断面画像発生部13は、心軸を基準とする断面画像を発生する。心筋SPECTにおいては、臨床的な有用性から、心軸を基準とする直交3断面が頻繁に採用されている。すなわち、この3断面は、心軸に直交する短軸断面、心軸に平行に交わる垂直長軸断面、心軸に平行に交わり且つ垂直長軸断面に直交する水平長軸断面である。この場合、断面画像発生部13は、CTボリュームデータにMPR(multiplanar reconstruction)処理を施し、短軸断面に関するCT断面画像、垂直長軸断面に関するCT断面画像、水平長軸断面に関するCT断面画像を発生する。
【0068】
ステップSC1が行われると制御部27は、曲線配置部37に曲線位置の算出処理を行わせる(ステップSC2)。ステップSC2において曲線配置部37は、各CT断面画像に、指定値に対応するブルズアイマップの表示曲断面の空間分布を示す曲線を配置する。具体的には、曲線配置部37は、まず、ステップSB1において算出された心筋SPECTデータとCTボリュームデータとの位置合わせ情報に基づいて、指定値に対応するブルズアイマップの表示曲断面の各CT断面画像における位置を算出する。より詳細には、まず、曲線配置部37は、指定値に基づいて、表示曲断面を構成する心筋SPECTデータ上の複数の画素を特定する。曲線配置部37は、特定された複数の画素から、位置合わせ情報を利用して、表示曲断面を構成する各CT断面画像の複数の画素を特定する。複数の画素が特定されると曲線配置部37は、特定された複数の画素に、曲線のための点をプロットする。これにより、各CT断面画像上に表示曲断面の空間分布を示す曲線が配置される。なお、点間が連続的ではなく離間している場合、点間を直線や曲線で結んでもよい。
【0069】
ステップSC2が行われると制御部27は、表示部23に表示処理を行わせる(ステップSC3)。ステップSC3において表示部23は、表示曲断面の空間分布を示す曲線が配置されたCT断面画像を表示する。
【0070】
図14は、表示曲断面の空間分布を示す曲線が配置されたCT断面画像ICの表示例を示す図である。図14に示すように、表示画面には、ブルズアイマップBMとともに、ステップSC1において発生された、水平長軸断面に関するCT断面画像IC1,垂直長軸断面に関するCT断面画像IC2,短軸断面に関するCT断面画像IC3が配置される。各断面画像IC1,IC2,IC3には、ステップS2において算出された表示曲断面の空間分布を示す曲線LC1,LC2,LC3がそれぞれ重ねられている。このように、ブルズアイマップの表示曲断面の空間分布を示す曲線が、直交座標系で規定された形態画像の一種であるCT断面画像に配置されている。これにより、ユーザは、ブルズアイマップの表示曲断面の位置を容易に把握することができる。
【0071】
ユーザにより操作部25を介して指定値が変更された場合、曲線配置部37は、変更後の指定値に従ってCT断面画像上で曲線を移動させる。
【0072】
図15は、指定値の変更に伴うCT断面画像IC1,IC2,IC3上の曲線LC1,LC2,LC3の移動を説明するための図である。図15に示すように、例えば、指定値は、入力機器(マウス)の動きに連動して変更されるとよい。血管配置部37は、ドラッグ量とドラッグ方向とに従って変更後の指定値をリアルタイムに算出する。そして血管配置部37は、変更後の指定値に対応するブルズアイマップの表示曲断面の空間分布を示す曲線を各CT断面画像にリアルタイムに配置する。
【0073】
具体的には、表示画面(又はアプリケーションウィンドウ)上の特定領域においてマウスが右方向にドラッグされた場合、この右方向へのドラッグ量に応じた数値だけ曲線LC1,LC2,LC3がCT断面画像IC1,IC2,IC3上において外壁側へ移動される。また、表示画面(又はアプリケーションウィンドウ)上の特定領域においてマウスが左方向にドラッグされた場合、この左方向へのドラッグ量に応じた数値だけ曲線LC1,LC2,LC3がCT断面画像IC1,IC2,IC3上において内壁側へ移動される。特定領域は、例えば、ユーザによる指定値の変更操作の操作性の観点から、ブルズアイマップBMの表示領域に設定されるとよい。
【0074】
なお、指定値の変更方法は、上述のような、入力機器の動きに連動させる方法のみに限定されない。例えば、キーボードやタッチパネル等の入力機器を介して直接的に数値を入力したり、スライダバー上のつまみの位置を移動したりすることにより、指定値を変更してもよい。
【0075】
このように、操作部25を介した指定値、すなわち、ブルズアイマップの表示曲断面の変更に連動して、CT断面画像上の曲線を移動させることができる。
【0076】
かくして第3実施形態に係る医用画像処理装置は、ブルズアイマップの診断能の向上を実現することができる。
【0077】
次に、本実施形態に係る種々の変形例について説明する。
【0078】
(変形例1)
変形例1に係る医用画像処理装置は、複数の表示曲断面に関する複数のブルズアイマップをマルチフレーム形式で表示する。以下、変形例1に係る医用画像処理装置について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0079】
図16は、変形例1に係る医用画像処理装置によるマルチフレーム表示処理の流れを模式的に示す図である。ユーザにより操作部25を介してマルチフレーム表示指示がなされたことを契機として、変形例1に係る制御部27は、マルチフレーム表示処理を開始する。本実施形態と同様に、心筋領域抽出部15により心筋SPECTデータから心筋領域が抽出され、正規化部17により心筋領域の内壁と外壁との間の距離が既定の数値範囲で正規化される。
【0080】
そして、図16(a)に示すように、例えば、指定位置特定部19により、心筋領域MR内に、厚み方向の位置が異なる複数の表示曲断面が設定される。表示曲断面CPは、正規化部17により正規化された心筋領域MRの内壁と外壁との間に一定間隔で設定される。図16(b)に示すように、ブルズアイマップ生成部21は、複数の表示曲断面CPにそれぞれ対応する複数のブルズアイマップBMを、心筋SPECTデータに基づいて生成する。図16(c)に示すように、表示部23は、複数の表示曲断面CPにそれぞれ対応する複数のブルズアイマップBMをマルチフレーム形式で画面に表示する。具体的には、複数のブルズアイマップBMは、内壁側から外壁側に向けて順番に並べて一画面に表示される。換言すれば、異なる表示曲断面に関する複数のブルズアイマップBMが一画面に並べて表示される。
【0081】
このように、複数のブルズアイマップがマルチフレーム形式で表示されることにより、ユーザは、複数のブルズアイマップを一覧で観察することができる。
【0082】
かくして変形例1に係る医用画像処理装置は、ブルズアイマップの診断能の向上を実現することができる。
【0083】
(変形例2)
変形例2に係る医用画像処理装置は、3次元的なブルズアイマップを表示する。以下、変形例2に係る医用画像処理装置について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0084】
図17は、変形例2に係る医用画像処理装置4の構成を示す図である。図17に示すように、医用画像処理装置4は、記憶部11、断面画像発生部13、心筋領域抽出部15、正規化部17、指定位置特定部19、ブルズアイマップ生成部21、表示部23、操作部25、制御部27、及び3次元モデル発生部41を有する。
【0085】
3次元モデル発生部41は、心筋領域内の心筋SPECT値の空間分布を、変形例2に特有の3次元座標で表現する3次元モデル画像を、心筋SPECTデータに基づいて発生する。変形例2に特有の3次元座標は、2次元極座標と、正規化された内壁と外壁との間の高さとで規定される。2次元極座標は、ブルズアイマップと同一の極座標系に規定される。高さは、例えば、ブルズアイマップの表示曲断面の正規化数値や、内壁または外壁のブルズアイマップからの枚数により規定される。以下、この3次元座標で表現される画像処理空間を3次元モデル空間と呼ぶことにする。
【0086】
次に、変形例2に係る3次元モデル発生部41により行われる3次元モデル画像の発生処理の流れについて説明する。
【0087】
図18は、3次元モデル発生部41により行われる3次元ブルズアイマップの発生処理の典型的な流れを模式的に示す図である。図18(a)に示すように、ブルズアイマップ生成部21により、厚み方向の位置が異なる複数のブルズアイマップBMが生成されたとする。3次元モデル発生部41は、複数のブルズアイマップBMの中から可視化対象領域を閾値処理等により抽出する。可視化対象領域は、臨床的な関心を有する如何なる領域でも良いが、以下の説明を具体的に行うため、虚血領域であるとする。この場合、3次元モデル発生部41は、複数のブルズアイマップBMの中から虚血領域IRを閾値処理等により抽出する。
【0088】
典型的には、虚血領域IRは、内壁から外壁に向けて形成される。従って、3次元モデルデータにおいて虚血領域IRの高さは、Transmural Extent(壁厚方向の虚血領域の広がりに関する指標)を表現する。Transmural Extentは、臨床の場において、心筋梗塞の重篤度の指標に利用されている。
【0089】
図18(b)に示すように、3次元モデル発生部41は、虚血領域IRに含まれる各画素の極座標と高さ座標とを特定し、特定された極座標と高さ座標とに対応する3次元モデル空間内のボクセルにボクセル値を割り付ける。割り付けるボクセルは、心筋SPECT値であっても良いし、虚血領域IRであることを表す既定値(例えば、“1”など)でも良い。このようにして、虚血領域IR内の全ての画素の画素値を3次元モデル空間に割り付けることにより3次元モデルデータMDが発生される。Transmural Extentは、3次元モデルデータMDにおいて、内壁から外壁に伸びる棒グラフで表される。
【0090】
なお図18(b)のように、位置関係の把握の容易のため、模式的な外壁MAOと模式的な内壁MAIとが位置整合して3次元モデルデータMDに配置されているとよい。模式的な外壁MAOと模式的な内壁MAIとはそれぞれ、外壁の表示曲断面に関するブルズアイマップBMOと内壁の表示曲断面に関するブルズアイマップBMIとでもよい。また、模式的な外壁MAOと模式的な内壁MAIとは、配置されなくても良い。
【0091】
3次元モデル発生部41は、3次元モデルデータに既存のレンダリング処理を施し、表示用の3次元モデル画像を発生する。レンダリングにおける視点及び視線は、任意の位置及び方向に設定可能である。しかしながら、医師等のユーザが位置関係を容易に把握するため、画面の手前側に隔壁部等が配置されるように視点及び視線が初期的に設定されると良い。発生された3次元モデル画像は、表示部23により表示される。
【0092】
ユーザは、3次元モデルデータに基づく3次元モデル画像を観察することにより、Transmural Extentを画像上で容易に把握することができる。
【0093】
なお、上記の説明において3次元モデル画像は、心筋SPECTデータから複数のブルズアイマップを経由して発生されるとした。しかしながら、変形例2に係る3次元モデル画像は、複数のブルズアイマップを経由せずとも心筋SPECTデータから直接的に3次元モデル画像が発生されても良い。
【0094】
次に、3次元モデル画像の表示の応用例について図19を参照しながら説明する。図19に示すように、表示部23は、現在表示されているブルズアイマップの位置を、3次元モデル画像MIに重ねて表示する。具体的には、表示部23は、変形例1のように、厚み方向の位置が異なる複数のブルズアイマップをマルチフレーム形式で表示する。ユーザは、観察したいブルズアイマップを操作部25を介して選択する。選択されたブルズアイマップBMは、オリジナルのサイズで表示部23により表示される。また、選択されたブルズアイマップBM´の位置が、表示部23により3次元モデル画像MI上に表示される。具体的には、表示部23は、選択されたブルズアイマップBM´の高さ座標を特定し、3次元モデル画像MI上の特定された高さ座標にブルズアイマップBM´のマークMA1を重ねて表示する。
【0095】
3次元モデル画像MIとブルズアイマップBMとの位置関係の把握を容易にするために、3次元モデル画像MIにマークMA2が、ブルズアイマップBMにマークMA3が表示されると良い。マークMA2は、3次元モデル画像MIの基準位置を示す。典型的には、基準位置は、3次元モデル画像MIの正面である。マークMA3は、マークMA2に対応する位置を示す。例えば、マークMA2が3次元モデル画像MIの正面を示している場合、マークMA3は、3次元モデル画像MIの正面に対応するブルズアイマップBM上の位置を示している。なお、基準位置は、3次元モデル画像MIの正面に限定されず、ブルズアイマップの観察において一般的に利用される解剖学的基準点を示しても良い。
【0096】
また、3次元モデル画像の視認性を高めるため、関心領域に限定して虚血領域が表示されても良い。例えば、関心領域は、3次元モデル画像MIの模式的な外壁または模式的な内壁に、操作部25を介してユーザにより設定されると良い。表示部23は、関心領域内の極座標に属さない虚血領域を3次元モデル画像から消去し、関心領域内の極座標に属する虚血領域のみを3次元モデル画像に描写する。これにより、ユーザにより関心のある虚血領域のみを3次元モデル画像に描画することができる。
【0097】
また、第2実施形態と同様に、3次元モデル画像の模式的な外壁または模式的な内壁に、血管領域が重ねられても良い。例えば、表示部23は、Transmural Extent値が閾値より大きい領域の血管領域(例えば、冠動脈の血管領域)を表示すると良い。さらに、血管領域の表示のONとOFFとが操作部25からの指示により切替可能であると良い。これにより、ユーザは、例えば、冠動脈と梗塞心筋との関連を容易に認識することができる。
【0098】
かくして変形例2に係る医用画像処理装置は、ブルズアイマップの診断能の向上を実現することができる。
【0099】
(変形例3次元)
変形例3に係る医用画像処理装置は、ブルズアイマップとは異なる表示態様により、心壁厚方向の情報を可視化する円環画像を表示する。以下、変形例3に係る医用画像処理装置について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0100】
図20は、変形例3に係る医用画像処理装置5の構成を示す図である。図20に示すように、医用画像処理装置4は、記憶部11、断面画像発生部13、心筋領域抽出部15、正規化部17、指定位置特定部19、ブルズアイマップ生成部21、表示部23、操作部25、制御部27、及び画像処理部51を有する。
【0101】
画像処理部51は、心筋SPECTデータに基づいて、心筋領域の画素値分布を模式的な円環形状で表現した画像(円環画像)を発生する。円環画像は、表示部23により表示される。
【0102】
図21は、画像処理部51による円環画像の発生処理を説明するための図である。図21に示すように、画像処理部51は、心軸ACに直交する複数の断面CSnを心筋SPECTデータに設定する。図21においては、一例のため、5つの断面CS1、CS2、CS3、CS4、及びCS5が示されている。各断面CSnにおいて心筋領域MRは、略円環形状を有している。画像処理部51は、各断面CSnにおける心筋領域MRの形状を、予め設定された円環形状に基準化(スケーリング)する。換言すれば、画像処理部51は、各断面CSnにおける心筋領域MRの各画素の画素値を、円環モデル上の対応する画素に割り付ける。円環モデルは、心尖部から距離が遠ざかるにつれて大きい径を有する。各円環モデルを中心が一致するように配置することで、円環画像が発生される。
【0103】
図22は、画像処理部51により発生される円環画像RIの一例を示す図である。図22に示すように、円環画像RIは、複数の断面にそれぞれ対応する複数の円環領域RRnを含んでいる。図22においては、図21に対応するように5つの円環領域RR1、RR2、RR3、RR4、及びRR5が示されている。複数の円環領域RRnは、中心CPを共有する同心円環である。各円環領域RRnは、空間的にオーバラップしないように基準化される。各円環領域RRnは、2次元直交座標系により規定されている。例えば、各円環領域RRnの内縁は、心筋領域の内壁に対応し、各円環領域RRnの外縁は、心筋領域の外壁に対応する。
【0104】
このように円環画像は、心軸に沿って配列された複数の断面上の画素値の空間分布を、基準化された直交座標系で表現することができる。従って、心壁厚方向の心筋SPECT値の分布を容易に把握することができる。また、円環画像において心筋領域の形状は、標準的な円環モデルに基準化されているので、個体差や検査状況等に影響されず容易に解剖学的位置関係を把握することができる。
【0105】
さらに画像処理部51は、心筋SPECTデータに基づいて、心筋領域の画素値分布を模式的な円環形状で3次元的に表現した画像(3次元円環画像)を発生することもできる。3次元円環画像は、表示部23により表示される。
【0106】
図23は、画像処理部51により発生される3次元円環画像RI´の一例を示す図である。3次元円環画像RI´において複数の円環領域RRnは、心軸AC方向に関する位置に従って心軸ACに沿って配列されている。3次元円環画像RI´の視点及び視線は、ユーザによる操作部25を介した指示に従って任意に設定されると良い。例えば、視点及び視線は、図23に示すように、複数の円環領域RRnを斜め上から見下ろし可能に設定されると良い。各円環領域RRnは、心軸方向に関する厚みつきMIPにより発生されても良い。これにより表示部23は、心軸方向に関する心筋SPECT値の空間分布を同時に表示することができる。ユーザは、操作部25を介して視点を心軸AC回りに回転させることにより、全方位の心筋SPECT値の分布を観察することができる。
【0107】
また、画像処理部51は、心筋SPECTデータに基づいてカップモデル画像を発生することができる。図24は、画像処理部51により発生されるカップモデル画像CMIの一例を示す図である。図24に示すように、カップモデル画像CMIは、模式的な心筋形状を有するカップ形状の3次元モデルに内壁及び外壁の心筋SPECT値が割り付けられることにより発生される。カップモデル画像CMIの視点及び視線は、ユーザによる操作部25を介した指示に従って任意に設定されると良い。操作部25を介して視点を心軸AC回りに回転させることにより、ユーザは、全方位の心筋SPECT値の分布を観察することができる。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0109】
1…医用画像処理装置、11…記憶部、13…断面画像発生部、15…心筋領域抽出部、17…正規化部、19…指定位置特定部、21…ブルズアイマップ生成部、23…表示部、25…操作部、27…制御部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
虚血性心疾患の診断において、SPECT装置による心筋SPETCTが利用されている。心筋SPECTにおいてブルズアイマップが活用されている。ブルズアイマップの生成方法は、以下の通りである。まずSPECT装置により収集されたボリュームデータに基づいて複数の短軸断面画像を発生する。各短軸断面画像において心筋領域の中心点から放射状に伸びる複数の直線を設定する。各直線上の心筋領域の内膜と外膜との間(心筋内部)の複数の画素の画素値の中から最大値を特定する。特定された最大値を極座標上の対応位置の画素に割付ける。これによりブルズアイマップが生成される。このように、ブルズアイマップには、心筋内部を貫く直線上の最大値が割付けられている。従って、心筋内部の画素値分布をブルズアイマップで把握することができない。このため、心筋の局所部位に注目した虚血領域の危険度判定は、困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009―18005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の目的は、ブルズアイマップの診断能の向上を可能とする医用画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る医用画像処理装置は、心臓の機能指標に関する3次元の機能画像データを記憶する記憶部と、前記3次元の機能画像データから心筋領域を抽出する抽出部と、前記心筋領域の内壁と外壁との間の距離を既定の数値範囲で正規化する正規化部と、前記既定の数値範囲内の所定値に対応する前記心筋領域上の位置の画素値の空間分布を、2次元の極座標で表現するブルズアイマップを生成する生成部と、前記ブルズアイマップを表示する表示部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1実施形態に係る画像処理装置の構成を示す図。
【図2】図1の制御部の制御のもとに行われる、第1実施形態に係る心筋SPECTブラウジング表示処理の典型的な流れを示す図。
【図3】図2のステップSA1を説明するための図。
【図4】図2のステップSA3を説明するための図。
【図5】図2のステップSA5を説明するための図。
【図6】図2のステップSA7におけるブルズアイマップの表示例を示す図。
【図7】図2のステップSA8を説明するための図。
【図8】第2実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示す図。
【図9】図8の制御部の制御のもとに行われる、第2実施形態に係る心筋SPECTブラウジング表示処理の典型的な流れを示す図。
【図10】図9のステップSB3を説明するための図。
【図11】図8の表示/非表示判定部と血管領域配置部とにより行われる、冠動脈領域の局所部位の表示/非表示処理を説明するための図。
【図12】第3実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示す図。
【図13】図12の制御部の制御のもとに行われる、第3実施形態に係る心筋SPECTブラウジング表示処理の典型的な流れを示す図。
【図14】図13のステップSC3における、表示曲断面の空間分布を示す曲線が配置されたCT断面画像の表示例を示す図。
【図15】図12の血管配置により行われる、指定値の変更に伴うCT断面画像上の曲線の移動を説明するための図。
【図16】変形例1に係る医用画像処理装置によるマルチフレーム表示処理の流れを模式的に示す図。
【図17】変形例2に係る医用画像処理装置の構成を示す図。
【図18】図17の3次元モデル発生部により行われる3次元ブルズアイマップの発生処理の典型的な流れを模式的に示す図。
【図19】図17の表示部により表示される3次元モデル画像の表示の応用例を示す図。
【図20】変形例3に係る医用画像処理装置の構成を示す図。
【図21】図20の画像処理部による円環画像の発生処理を説明するための図。
【図22】図20の画像処理部により発生される円環画像の一例を示す図。
【図23】図20の画像処理部により発生される3次元円環画像の一例を示す図。
【図24】図20の画像処理部により発生されるカップモデル画像の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる医用画像処理装置を説明する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る医用画像処理装置1の構成を示す図である。図1に示すように、医用画像処理装置1は、記憶部11、断面画像発生部13、心筋領域抽出部15、正規化部17、指定位置特定部19、ブルズアイマップ生成部21、表示部23、操作部25、及び制御部27を有する。
【0009】
記憶部11は、心臓の機能指標に関する3次元の機能画像データを記憶する。3次元の機能画像データとしては、X線コンピュータ断層撮影装置や磁気共鳴イメージング装置、超音波診断装置、SPECT装置、PET装置等の医用画像診断装置により発生されたものが適用可能である。SPECT装置やPET装置により発生されたボリュームデータには、例えば、心筋に集積される放射性同位元素から放出されるガンマ線のカウント値(又はカウント値に基づく心臓の機能指標の指標値)が画素値として割付けられている。また、X線コンピュータ断層撮影装置や磁気共鳴イメージング装置、超音波診断装置により発生されたボリュームデータには、心臓の運動機能に関する機能指標の指標値が割付けられている。例えば、X線コンピュータ断層撮影装置や磁気共鳴イメージング装置における機能指標としては、BP(心筋組織内の単位体積及び単位時間あたりの血流量)、BV(心筋組織内の単位体積あたりの血流量)、MTT(平均通過時間)等が知られていている。超音波診断装置における機能指標としては、例えば、心筋の壁運動情報が知られている。この壁運動情報としては、例えば、壁圧方向への変化に関する情報(radial - strain)、心軸方向への変化に関する情報(longitudinal - strain)、円周方向への変化に関する情報(circumferential - strain)、短軸断面内での面積重心に関する情報(rotation)、異なる短軸断面間の回転の差分である情報(torsion)が知られている。以下、3次元の機能画像は、心筋SPETCTの技術によりSPECT装置により発生されたボリュームデータ(以下、心筋SPECTデータと呼ぶことにする。)であるとする。心筋SPECTデータの画素の画素値を心筋SPECT値と呼ぶことにする。また、記憶部11は、後述する心筋SPECTブラウジング表示処理のための画像処理プログラムを記憶する。
【0010】
断面画像発生部13は、心筋SPECTデータに基づいて、心臓領域や心臓領域の特定部位の心軸に沿って配列された複数の短軸断面にそれぞれ対応する複数の短軸断面画像を発生する。短軸断面は、心軸に直交する断面を意味する。
【0011】
心筋領域抽出部15は、心筋SPECTデータから心臓領域の特定部位を抽出する。特定部位は、心臓領域の如何なる解剖学的部位でも構わない。以下、特定部位は、臨床的に有用な左心室の心筋に関する画素領域(以下、心筋領域と呼ぶことにする。)であるとする。典型的には、心筋領域抽出部15は、複数の短軸断面画像の各々から心筋領域を抽出する。
【0012】
正規化部17は、心筋領域の内壁と外壁との間の距離を既定の数値範囲で正規化する。典型的には、正規化部17は、複数の短軸断面画像の各々について、心筋領域の内壁と外壁との間の距離を既定の数値範囲で正規化する。数値範囲は、ユーザにより操作部25を介して任意に設定可能である。
【0013】
指定位置特定部19は、既定の数値範囲内のユーザ指定の指定値に対応する心筋領域上の位置を特定する。複数の短軸断面画像の各々について、ユーザ指定の指定値に対応する心筋領域上の位置を特定する。指定値は、ユーザにより操作部25を介して、既定の数値範囲内の任意に設定される。
【0014】
ブルズアイマップ生成部21は、指定値に対応する心筋領域上の位置の心筋SPECT値の空間分布を、左心室領域の心軸回りの回転角と心軸上の基準点からの距離とにより規定される2次元の極座標で表現するブルズアイマップを生成する。指定値は、ブルズアイマップの表示断面位置に対応するといえる。なお、ブルズアイマップの表示断面は、直交座標系で規定される心筋SPECTデータにおいては、曲面をなす。従って、ブルズアイマップの表示断面を表示曲断面と呼ぶことにする。
【0015】
表示部23は、生成されたブルズアイマップを表示機器に表示する。表示機器としては、例えばCRTディスプレイや、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等が適宜利用可能である。
【0016】
操作部25は、ユーザからの入力機器を介した指示に従って各種指示や情報を入力する。例えば、操作部25は、ユーザからの入力機器を介した指示に従って、既定の数値範囲内での指定値を指定する。入力機器としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスが適宜利用可能である。
【0017】
制御部27は、医用画像処理装置1の中枢として機能する。制御部27は、記憶部11に記憶された画像処理プログラムを読み出してプログラムに従って各部を制御することにより、心筋SPECTブラウジング表示処理を行う。
【0018】
以下、制御部27の制御のもとに行われる心筋SPECTブラウジング表示処理を詳細に説明する。図2は、制御部27の制御のもとに行われる心筋SPECTブラウジング表示処理の典型的な流れを示す図である。
【0019】
図2に示すように、制御部27は、ユーザにより操作部25を介して心筋SPECTブラウジング表示処理の開始指示がなされることを契機として、断面画像発生部13に短軸断面画像の発生処理を行わせる(ステップSA1)。ステップSA1において断面画像発生部13は、心筋SPECTデータに基づいて、左心室領域の心軸に沿って配列された複数の短軸断面にそれぞれ対応する複数の短軸断面画像を発生する。
【0020】
図3は、ステップSA1を説明するための図である。具体的には、まず断面画像発生部13は、左心室領域を抽出するために心筋SPECTデータMSDに領域拡張法(region growing)を適用する。左心室領域は、心筋が有しうる心筋SPECT値範囲におさまる画素の集合である。まず、断面画像発生部13は、ユーザにより操作部25を介して、又は画像処理により、左心室領域にシード点を設定する。次に断面画像発生部13は、シード点から26近傍にあるボクセルを探索し、統合条件を満たす近傍ボクセルを統合する。統合条件は、左心室が有しうる心筋SPECT値範囲に設定される。これにより統合条件を満たし且つシード点に連結する画素領域、すなわち、左心室領域が抽出される。左心室領域が抽出されると断面画像発生部13は、抽出された左心室領域の形状に従って左心室領域の心尖部PAと心基部PBとを特定する。心尖部PAと心基部PBとを結ぶ軸を、断面画像発生部13は、心軸(短軸)ACに設定する。心軸ACが設定されると断面画像発生部13は、設定された心軸ACに沿って配列された複数の短軸断面SPを設定する。そして断面画像発生部13は、設定された複数の短軸断面SPにそれぞれ対応する複数の断面画像ISを心筋SPECTデータMSDに基づいて発生する。各短軸断面画像ISは、短軸断面SPにおける心筋SPECT値の空間分布を直交座標系で表現している。各短軸断面画像ISは、左心室領域を含んでいる。左心室領域は、心筋領域を含んでいる。ここで短軸断面SPのスライス番号は、例えば、心尖部PAから心基部PBへ向けて1からN(整数)に規定されるとする。Nは、短軸断面SPの数に規定される。Nは、ユーザにより操作部25を介して任意に設定可能である。
【0021】
ステップSA1が行われると制御部27は、心筋領域抽出部15に心筋領域の抽出処理を行わせる(ステップSA2)。ステップSA2において心筋領域抽出部15は、各短軸断面画像から心筋領域を抽出する。具体的には、心筋領域抽出部15は、各短軸断面画像に領域拡張法(region growing)を適用する。心筋領域は、心筋が有しうる心筋SPECT値範囲におさまる画素の集合である。まず、心筋領域抽出部15は、ユーザにより操作部25を介して、又は画像処理により、心筋領域にシード点を設定する。次に心筋領域抽出部15は、シード点から26近傍にあるボクセルを探索し、統合条件を満たす近傍ボクセルを統合する。統合条件は、心筋が有しうる心筋SPECT値範囲に設定される。これにより統合条件を満たし且つシード点に連結する画素領域、すなわち、心筋領域が抽出される。
【0022】
ステップSA2が行われると制御部27は、正規化部17に正規化処理を行わせる(ステップSA3)。ステップSA3において正規化部17は、心筋領域の内壁と外壁との間隔を既定の数値範囲で正規化する。
【0023】
図4は、ステップSA3を説明するための図である。図4は、各短軸断面画像に含まれる心筋領域RMを示している。具体的には、まず正規化部17は、各短軸断面画像から心筋領域RMの内壁WIと外壁WOとを抽出する。より詳細には、正規化部17は、心筋領域RMの内側の境界をトレースすることにより心筋領域の内側の閉曲線(内壁)を抽出し、心筋領域の外側の境界をトレースすることにより心筋領域の外側の閉曲線(外壁)を抽出する。内側の境界は心筋領域RMの両壁のうちの心軸に近い方の境界であり、外側の境界は心筋領域RMの両壁のうちの心軸に遠い方の境界である。内側閉曲線(内壁WI)が抽出されると正規化部17は内側閉曲線の重心を算出し、外側閉曲線が抽出されると正規化部17は外側閉曲線(外壁WO)の重心を算出する。次に正規化部17は、内側閉曲線の重心と外側閉曲線の重心との中心点PCを算出する。算出された中心点PCは、各短軸断面画像における心筋領域RMの中心点として扱われる。正規化部17は、中心点PCから放射状に伸びる複数の直線LIを設定する。ここで、直線LIの識別のために、各直線LIに番号を設定する。正規化部17は、直線LIと内壁WIとの交点PI、直線LIと外壁WOとの交点POを特定する。正規化部17は、特定された交点PI及び交点POの短軸断面画像上における座標を特定する。短軸断面画像上における座標は、直交座標系により規定されている。正規化部17は、各直線LI上の交点PIと交点POとの間の距離を既定の数値範囲で正規化する。例えば、既定の数値範囲は、0〜1に設定される。この場合、正規化部17は、交点PIの位置を0、交点POの位置を1に設定する。交点PIと交点POとの間の直線LI上の各点の位置は、交点PIから交点POに進むにつれて交点PIから各点の位置までの距離が0から1に線形的に変化するように設定される。これにより正規化が行われる。正規化により規定される各点の位置を、正規化位置を呼ぶことにする。
【0024】
ステップSA3が行われると制御部27は、操作部25を介してユーザにより既定の数値範囲内の数値が指定されることを待機する(ステップSA4)。ユーザは、操作部25を介して数値範囲の下限値以上、上限値以下の所望の数値を指定値として指定する。数値範囲が0から1の場合、0以上1以下の所望の数値が指定値として指定される。指定値は、キーボードやタッチパネル等の入力機器を介して直接的に数値が入力されてもよい。また、スライダバーとそのつまみとを利用して指定値を指定してもよい。スライダバーは、数値範囲に対応する。つまみは、指定値に対応する。ユーザは、入力機器を介して、つまみをスライダバー上でスライドさせる。制御部27は、スライダバー上のつまみの位置と指定値とを対応付けたテーブルを保持している。制御部27は、このテーブルを利用してつまみの位置に対応した指定値を算出する。指定値の指定は、ブルズアイマップの表示曲断面位置の指定と同義である。
【0025】
なお、従来においては直線上の最大心筋SPECT値をブルズアイマップにマッピングしていた。このような従来においては、ブルズアイマップの表示曲断面という概念は存在しない。
【0026】
ユーザにより指定値が指定されると制御部27は、指定位置特定部19に指定位置の特定処理を行わせる(ステップSA5)。ステップSA5において指定位置特定部19は、ステップSA4において指定された指定値に対応する心筋領域上の位置を特定する。具体的には、指定位置特定部19は、各短軸断面画像の各直線について、指定値に対応する画素の位置(座標)を特定する。特定された画素の座標は、直交座標系により規定されている。より詳細には、指定位置特定部19は、指定値に対応する画素の座標と画素が属する短軸断面のスライス番号と画素が属する直線の番号とを特定する。なお指定値は、予め定められていてもよい。
【0027】
ステップSA5が行われると制御部27は、ブルズアイマップ生成部21にブルズアイマップの生成処理を行わせる(ステップSA6)。ステップSA6においてブルズアイマップ生成部21は、ステップSA5において特定された位置の心筋SPECT値の空間分布を、心軸回りの回転角と心軸上の基準点からの距離とにより規定される2次元の極座標で表現するブルズアイマップを生成する。基準点としては、典型的には、心尖部が利用される。
【0028】
図5は、ステップSA6を説明するための図である。図5に示すように、各短軸断面画像ISの各直線LIにおいて、指定値PDに対応する画素の座標が特定されたとする。まず、ブルズアイマップ生成部21は、特定された座標の心筋SPECT値を特定する。そしてブルズアイマップ生成部21は、特定された心筋SPECT値をテンプレート上の対応する位置に割付ける(マッピングする)ことによりブルズアイマップを生成する。テンプレートの中心は、左心室領域の心尖部に対応する。テンプレートの外縁は、左心室領域の心基部に対応する。テンプレートの中心点から各画素までの距離は、短軸断面のスライス番号(断面位置)に対応する。テンプレートの中心点回りの角度は、心軸回りの角度に対応する。すなわち、テンプレートの各画素と各直線LIとが一対一で対応する。テンプレートの各画素は、短軸断面のスライス番号と直線LIの番号とにより一意に特定される。テンプレートの各画素には、その画素に対応する直線LI上の画素のうちの指定値PDに対応する画素の心筋SPECT値が割付けられる。
【0029】
すなわち、ブルズアイマップ生成部21は、ステップSA5において特定されたスライス番号と直線LIの番号とに対応するテンプレート上の画素を特定し、特定されたテンプレート上の画素にステップSA5において特定された画素の心筋SPECT値を割付ける。この処理をテンプレート上の全ての画素に行うことにより、ブルズアイマップが生成される。
【0030】
ステップSA6が行われると制御部27は、表示部23に表示処理を行わせる(ステップSA7)。ステップSA7において表示部23は、ステップSA6において表示されたブルズアイマップを表示機器に表示する。
【0031】
図6は、ブルズアイマップBMの表示例を示す図である。図6に示すように、ブルズアイマップBMの各画素は、心筋SPECT値に応じたカラーで表示される。具体的には、表示部23は、心筋SPECT値とカラー値とを対応付けたカラーテーブルを保持している。表示部23は、カラーテーブルを利用してステップSA6において生成されたブルズアイマップの画素毎にカラー値を特定する。そして表示部23は、特定されたカラー値に対応するカラーでブルズアイマップBMの各画素を表示する。
【0032】
なお、表示画面には、指定値をユーザに提示するために表示領域RNや表示領域RSが配置されるとよい。表示領域RNには、指定値の数値が表示される。表示領域RSには、スライダバーが表示される。スライダバー上の指定値に対応する位置には、つまみTUが重ねられている。ユーザは、指定値の数値を見ることにより、あるいは、スライダバー上のつまみTUの位置を見ることにより指定値を把握することができる。なお、表示領域RNと表示領域RSとの何れか一方のみ設けられても良い。
【0033】
ステップSA7が行われると制御部27は、ユーザにより操作部25を介して指定値が変更されることを待機している(ステップSA8)。すなわち、医用画像処理装置1は、ブルズアイマップの表示曲断面を任意に変更可能な機能を有している。
【0034】
図7は、ステップSA8を説明するための図である。図7に示すように、例えば、指定値PDは、入力機器(マウス)の動きに連動して変更されるとよい。具体的には、表示画面(又はアプリケーションウィンドウ)上の特定領域においてマウスが右方向にドラッグされた場合、この右方向へのドラッグ量に応じた数値だけ指定値PDが増加される。また、表示画面(又はアプリケーションウィンドウ)上の特定領域においてマウスが左方向にドラッグされた場合、この右方向へのドラッグ量に応じた数値だけ指定値PDが減少される。特定領域は、例えば、ユーザによる指定値の変更操作の操作性の観点から、ブルズアイマップBMの表示領域に設定されるとよい。制御部27は、ドラッグ量とドラッグ方向とに従って変更後の指定値をリアルタイムに算出する。
【0035】
なお、指定値の変更方法は、上述のような、入力機器の動きに連動させる方法のみに限定されない。例えば、キーボードやタッチパネル等の入力機器を介して直接的に数値を入力したり、スライダバー上のつまみの位置を移動したりすることにより、指定値を変更してもよい。
【0036】
指定値(ブルズアイマップの表示曲断面)が変更されると制御部27は、変更後の指定値に関するブルズアイマップを生成するために、ステップSA5、SA6、及びSA7とを繰り返す。具体的には、ステップSA5において指定位置特定部19は、ステップSA8おいて設定された変更後の指定値に対応する心筋領域上の位置を特定する。ステップSA6においてブルズアイマップ生成部21は、特定された位置の心筋SPECT値に従って、変更後の指定値に関するブルズアイマップを生成する。ステップSA7において表示部23は、変更後の指定値に関するブルズアイマップを表示する。表示部23は、指定値の変更に伴って、変更後の指定値に関するブルズアイマップをリアルタイムに表示する。
【0037】
このように制御部27は、指定値、すなわち、ブルズアイマップの表示曲断面を任意に変更可能にし、変更後の指定値に応じたブルズアイマップをリアルタイムで表示することにより、ブルズアイマップのブラウジング表示を可能にしている。
【0038】
指定値が変更されず、例えば、ユーザにより操作部25を介して心筋SPECTブラウジング表示処理の終了指示がなされたことを契機として(ステップSA8:NO)、制御部27は、心筋SPECTブラウジング表示処理を終了する。
【0039】
医師等のユーザは、心筋領域の厚さ方向における最大値のみに関心があるわけではない。例えば、虚血領域の有無を診断する場合、心筋領域の厚さ方向に沿って心筋SPECT値を観察する必要がある。心筋領域の厚さ(各直線上の内壁と外壁との間の距離)は、同一ではなく、心筋領域中の部位により異なっている。従って、心筋領域の厚さ方向の位置を絶対距離(正規化前の距離)により指定すると、ある部位では内壁に近かったり、他の部位では外壁に近かったりしてしまう。
【0040】
上記構成により医用画像処理装置1は、心筋領域の厚みを既定の数値範囲で正規化し、この数値範囲内での任意の指定値に対応する位置の心筋SPECT値に従ってブルズアイマップを生成している。このように正規化をすることにより、医用画像処理装置1は、内壁付近や外壁付近、心筋内部等の心筋領域の厚み方向に沿う解剖学的に同質な位置を単一の指定値により一括して指定することができる。すなわち、正規化により、指定値をブルズアイマップの表示曲断面の位置として扱うことが可能となる。また、医用画像処理装置1は、指定値をユーザからの指示に従って任意に変更可能にすることにより、ブルズアイマップの表示曲断面を任意に変更可能にしている。これにより医用画像処理装置1は、心筋領域の厚さ方向に沿う任意の位置の心筋SPECT値の空間分布をブルズアイマップでブラウジング表示することができる。ブラウジング表示により、短時間で広範囲の部位の調査が可能になり、例えば、虚血領域の有無等の迅速な診断や虚血領域の早期発見が実現する。
【0041】
かくして第1実施形態に係る医用画像処理装置は、ブルズアイマップの診断能の向上を実現することができる。
【0042】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る医用画像処理装置は、ブルズアイマップに血管領域を重ねて表示する。以下、第2実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。なお以下の説明において、第1実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0043】
図8は、第2実施形態に係る医用画像処理装置2の構成を示す図である。図8に示すように、医用画像処理装置2は、記憶部11、断面画像発生部13、心筋領域抽出部15、正規化部17、指定位置特定部19、ブルズアイマップ生成部21、表示部23、操作部25、制御部27、位置合わせ部29、血管領域抽出部31、及び血管領域配置部33を有する。
【0044】
第2実施形態に係る記憶部11は、さらに、心臓の形態指標に関する3次元の形態画像データを記憶している。3次元の形態画像データとしては、X線コンピュータ断層撮影装置や磁気共鳴イメージング装置、超音波診断装置等の医用画像診断装置により発生されたものが適用可能である。以下、第2実施形態に係る3次元の形態画像データは、マルチスライスCTにより、造影剤が注入された心臓をスキャンすることにより発生されたボリュームデータ(以下、CTボリュームデータを呼ぶことにする。)であるとする。CTボリュームデータには、形態指標の一種であるCT値が割り付けられている。
【0045】
位置合わせ部29は、心筋SPECTデータとCTボリュームデータとを位置合わせする。位置合わせにより、心筋SPECTデータとCTボリュームデータとを位置合わせするための位置合わせ情報が算出される。
【0046】
血管領域抽出部31は、CTボリュームデータから血管に関する画素領域(以下、血管領域と呼ぶことにする。)を抽出する。血管領域は、典型的には、冠動脈に関する画素領域(以下、冠動脈領域と呼ぶことにする。)である。
【0047】
血管領域配置部33は、抽出された血管領域の空間分布が、ブルズアイマップと同一の2次元の極座標系で表現された血管領域をブルズアイマップ上に配置する。具体的には、血管領域配置部33は、ブルズアイマップと同一の2次元の極座標系により規定される冠動脈領域の位置を算出する。血管領域配置部33は、算出されたブルズアイマップ上の冠動脈領域の位置の画素領域に点をプロットする。これによりブルズアイマップ上に冠動脈領域が配置される。
【0048】
第2実施形態に係る表示部23は、冠動脈領域が配置されたブルズアイマップを表示機器に表示する。
【0049】
以下、制御部27の制御のもとに行われる第2実施形態に係る心筋ブラウジング表示処理を詳細に説明する。図9は、制御部27の制御のもとに行われる第2実施形態に係る心筋ブラウジング表示処理の典型的な流れを示す図である。なお、第2実施形態に係る心筋ブラウジング表示処理の開始時点において既にブルズアイマップが第1実施形態を利用して生成されているものとする。
【0050】
図9に示すように、制御部27は、まず、位置合わせ部29に位置合わせ処理を行わせる(ステップSB1)。ステップSB1において位置合わせ部29は、心筋SPECTデータとCTボリュームデータとを位置合わせする。心筋SPECTデータとCTボリュームデータとは、撮像時の心位相(拡張期や収縮期等)が異なる場合がある。従って心筋SPECTデータに含まれる左心室領域とCTボリュームデータに含まれる左心室領域とは、典型的には、大きさが異なる。従って位置合わせ部29は、各データの解剖学的特徴点を抽出し、この解剖学的特徴点を利用して位置合わせを実行する。例えば、解剖学的特徴点として、左心室領域の心尖部と心基部とが抽出される。この場合、位置合わせ部29は、位置合わせ情報として、例えば、CTボリュームデータの心尖部及び心基部から心筋SPECTデータの心尖部及び心基部への座標変換式を算出する。そして位置合わせ部29は、この座標変換式をCTボリュームデータに乗じることにより、心筋SPECTデータとCTボリュームデータとを位置合わせする。
【0051】
ステップSB1が行われると制御部27は、血管領域抽出部31に血管領域抽出処理を行わせる(ステップSB2)。ステップSB2において血管領域抽出部31は、CTボリュームデータから冠動脈領域を抽出する。具体的には、血管領域抽出部31は、冠動脈領域を抽出するためにCTボリュームデータに領域拡張法を適用する。まず、血管領域抽出部31は、ユーザにより操作部25を介して、又は画像処理により、各短軸断面画像の冠動脈領域にシード点を設定する。次に血管領域抽出部31は、シード点から26近傍にあるボクセルを探索し、統合条件を満たす近傍ボクセルを統合する。統合条件は、冠動脈が有しうる心筋SPECT値範囲に設定される。これにより統合条件を満たし且つシード点に連結する画素領域、すなわち、冠動脈領域が抽出される。
【0052】
ステップSB2が行われると制御部27は、血管領域配置部33に配置処理を行わせる(ステップSB3)。ステップSB3において血管領域配置部33は、ブルズアイマップに冠動脈領域を配置する。
【0053】
図10は、ステップSB3を説明するための図である。具体的には、まず血管領域配置部33は、座標変換式を利用して、心筋SPECTデータの各短軸断面画像ISに、CTボリュームデータの冠動脈領域RCAを投影する。そして血管領域配置部33は、各短軸断面画像ISについて、ブルズアイマップと同一の極座標系における冠動脈の位置を算出する。そして血管領域配置部33は、ブルズアイマップ上の算出された位置の画素に冠動脈領域を表す点をプロットする。このプロットされた点の集合が、ブルズアイマップ上の冠動脈領域RCA´となる。より詳細には、血管領域配置部33は、各短軸断面画像ISの各直線LIについて、直線LI上に冠動脈領域RCAが存在するか否かを判定する。直線LI上に冠動脈領域RCAが存在しないと判定した場合、血管領域配置部33は、この直線LIに対応するブルズアイマップの画素に冠動脈領域RCA´を表す点を割付けない。直線LI上に冠動脈領域RCAが存在すると判定した場合、血管領域配置部33は、この直線LIに対応するブルズアイマップの画素に冠動脈領域RCA´を表す点を割付ける。これによりブルズアイマップに冠動脈領域RCA´が配置される。
【0054】
ステップSB3が行われると制御部27は、表示部23に表示処理を行わせる(ステップSB4)。ステップSB4において表示部23は、ステップSB3において生成された、冠動脈領域が配置されたブルズアイマップを表示機器に表示する。ブルズアイマップ上に冠動脈領域が配置されることにより、ユーザは、ブルズアイマップおける解剖学的な位置関係を容易に把握することができる。
【0055】
ステップSB4が行われると制御部27は、第2実施形態に係る心筋SPECTブラウジング表示処理を終了する。
【0056】
なお、ブルズアイマップ上の冠動脈領域の局所部位の表示/非表示を、指定値の変更に伴って切替えてもよい。以下、冠動脈領域の局所部位の表示/非表示処理を説明する。
【0057】
図8に示すように、この冠動脈領域の局所部位の表示/非表示処理のため医用画像処理装置2は、さらに表示/非表示判定部35を備えている。図11は、表示/非表示判定部35と血管領域配置部33とにより行われる、冠動脈領域の局所部位の表示/非表示処理を説明するための図である。図11の(a)は、短軸断面画像(直交座標系)における心筋領域RM及びその周辺を模式的に示す図である。点線L1は、第1の指定値に対応するブルズアイマップの表示曲断面を示す。第1の指定値に対応する表示曲断面は、内壁近傍に設定されている。点線L2は、第1の指定値に対応するブルズアイマップの表示曲断面を示す。第2の指定値に対応する表示曲断面は、外壁近傍に設定されている。心筋領域RMには、虚血部位に関する画素領域RI(以下、虚血領域と呼ぶことにする。)が含まれているとする。虚血部位は、正常部位よりも血液が浸潤されていない心筋部位である。虚血部位は、正常部位よりも放射性同位元素の集積量が少ない。従って、虚血領域は、正常部位に関する心筋領域よりも心筋SPECT値が低い。部位Aにおいては、虚血領域RIが内壁から外壁近傍にわたり、部位Bに比して臨床的に危険度が高い。図11の(b)は、表示曲断面L1に関するブルズアイマップを示す。図11の(b)は、表示曲断面L2に関するブルズアイマップを示す。
【0058】
表示/非表示判定部35は、指定値に対応する表示曲断面に関するブルズアイマップに含まれる複数の画素の各々について、この画素に血管領域を表示するか否かを、この画素の心筋SPECT値に従って判定する。具体的には、表示/非表示判定部35は、ブルズアイマップの複数の画素の各々について、この画素の心筋SPECT値が閾値以上か否かを判定する。閾値は、正常部位に関する心筋領域と虚血領域とを区別可能な心筋SPECT値に設定される。
【0059】
血管領域配置部33は、心筋SPECT値が閾値以下と判定された場合、ブルズアイマップの画素に冠動脈領域RCA´を表す点を配置する。心筋SPECT値が閾値以上と判定された場合、血管領域配置部33は、ブルズアイマップの画素に冠動脈領域RCA´を表す点を配置しない。
【0060】
表示/非表示判定部35と血管領域配置部33とは、ユーザにより操作部25を介して指定値(表示曲断面)が変更される毎に、上述の処理を実行する。このように、表示/非表示判定部35と血管領域配置部33とにより、指定値(ブルズアイマップの表示曲断面位置)が変更されるたびに、ブルズアイマップ上の冠動脈領域を局所部位毎に表示/非表示の切替を行うことができる。すなわち、閾値よりも低心筋SPECT値の画素領域付近に存在する冠動脈領域がブルズアイマップに配置され、閾値よりも高心筋SPECT値の画素領域付近に存在する冠動脈領域がブルズアイマップから消去される。このように、閾値よりも低心筋SPECT値の画素領域付近に存在する冠動脈領域がブルズアイマップに配置されることにより、ユーザは、各部位の臨床的な危険度を評価することができる。
【0061】
かくして第2実施形態に係る医用画像処理装置2は、ブルズアイマップの診断能の向上を実現することができる。
【0062】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る医用画像処理装置は、ブルズアイマップの表示曲断面の空間分布を示す曲線を直交座標系により規定される形態画像に重ねて表示する。以下、第3実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。なお以下の説明において、第1及び第2実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0063】
図12は、第3実施形態に係る医用画像処理装置3の構成を示す図である。図12に示すように、第3実施形態に係る医用画像処理装置3は、記憶部11、断面画像発生部13、心筋領域抽出部15、正規化部17、指定位置特定部19、ブルズアイマップ生成部21、表示部23、操作部25、制御部27、位置合わせ部29、血管領域抽出部31、血管領域配置部33、表示/非表示判定部35、曲線配置部37を有する。
【0064】
第3実施形態に係る断面画像発生部13は、CTボリュームデータに基づいて心筋領域に交差する断面(以下、CT断面と呼ぶことにする。)に関する断面画像(以下、CT断面画像と呼ぶことにする。)を発生する。CT断面は、心筋領域に交差していれば、如何なる位置及び向きを有していても良い。また、CT断面の数は、一つであっても複数であっても良い。
【0065】
曲線配置部37は、指定値に対応するブルズアイマップの表示曲断面のCT断面画像上の位置を算出する。そして曲線配置部37は、算出された位置に曲線を示す点をプロットする。これにより各CT断面画像にブルズアイマップの表示曲断面の空間分布を示す曲線が配置される。
【0066】
図13は、第3実施形態に係る制御部27の制御のもとに行われる心筋SPECTブラウジング表示処理の典型的な流れを示す図である。なお第3実施形態に係る心筋ブラウジング表示処理の開始時点において既にブルズアイマップが第1実施形態を利用して生成されているものとする。
【0067】
図13に示すように、制御部27は、まず断面画像発生部13に断面画像の発生処理を行わせる(ステップSC1)。ステップSC1において断面画像発生部13は、CTボリュームデータに基づいて直交3断面に関する3つのCT断面画像を発生する。具体的には、まず断面画像発生部13は、ステップSA1と同様にして、CTボリュームデータにおいて心軸を設定する。心軸が設定されると断面画像発生部13は、心軸を基準とする断面画像を発生する。心筋SPECTにおいては、臨床的な有用性から、心軸を基準とする直交3断面が頻繁に採用されている。すなわち、この3断面は、心軸に直交する短軸断面、心軸に平行に交わる垂直長軸断面、心軸に平行に交わり且つ垂直長軸断面に直交する水平長軸断面である。この場合、断面画像発生部13は、CTボリュームデータにMPR(multiplanar reconstruction)処理を施し、短軸断面に関するCT断面画像、垂直長軸断面に関するCT断面画像、水平長軸断面に関するCT断面画像を発生する。
【0068】
ステップSC1が行われると制御部27は、曲線配置部37に曲線位置の算出処理を行わせる(ステップSC2)。ステップSC2において曲線配置部37は、各CT断面画像に、指定値に対応するブルズアイマップの表示曲断面の空間分布を示す曲線を配置する。具体的には、曲線配置部37は、まず、ステップSB1において算出された心筋SPECTデータとCTボリュームデータとの位置合わせ情報に基づいて、指定値に対応するブルズアイマップの表示曲断面の各CT断面画像における位置を算出する。より詳細には、まず、曲線配置部37は、指定値に基づいて、表示曲断面を構成する心筋SPECTデータ上の複数の画素を特定する。曲線配置部37は、特定された複数の画素から、位置合わせ情報を利用して、表示曲断面を構成する各CT断面画像の複数の画素を特定する。複数の画素が特定されると曲線配置部37は、特定された複数の画素に、曲線のための点をプロットする。これにより、各CT断面画像上に表示曲断面の空間分布を示す曲線が配置される。なお、点間が連続的ではなく離間している場合、点間を直線や曲線で結んでもよい。
【0069】
ステップSC2が行われると制御部27は、表示部23に表示処理を行わせる(ステップSC3)。ステップSC3において表示部23は、表示曲断面の空間分布を示す曲線が配置されたCT断面画像を表示する。
【0070】
図14は、表示曲断面の空間分布を示す曲線が配置されたCT断面画像ICの表示例を示す図である。図14に示すように、表示画面には、ブルズアイマップBMとともに、ステップSC1において発生された、水平長軸断面に関するCT断面画像IC1,垂直長軸断面に関するCT断面画像IC2,短軸断面に関するCT断面画像IC3が配置される。各断面画像IC1,IC2,IC3には、ステップS2において算出された表示曲断面の空間分布を示す曲線LC1,LC2,LC3がそれぞれ重ねられている。このように、ブルズアイマップの表示曲断面の空間分布を示す曲線が、直交座標系で規定された形態画像の一種であるCT断面画像に配置されている。これにより、ユーザは、ブルズアイマップの表示曲断面の位置を容易に把握することができる。
【0071】
ユーザにより操作部25を介して指定値が変更された場合、曲線配置部37は、変更後の指定値に従ってCT断面画像上で曲線を移動させる。
【0072】
図15は、指定値の変更に伴うCT断面画像IC1,IC2,IC3上の曲線LC1,LC2,LC3の移動を説明するための図である。図15に示すように、例えば、指定値は、入力機器(マウス)の動きに連動して変更されるとよい。血管配置部37は、ドラッグ量とドラッグ方向とに従って変更後の指定値をリアルタイムに算出する。そして血管配置部37は、変更後の指定値に対応するブルズアイマップの表示曲断面の空間分布を示す曲線を各CT断面画像にリアルタイムに配置する。
【0073】
具体的には、表示画面(又はアプリケーションウィンドウ)上の特定領域においてマウスが右方向にドラッグされた場合、この右方向へのドラッグ量に応じた数値だけ曲線LC1,LC2,LC3がCT断面画像IC1,IC2,IC3上において外壁側へ移動される。また、表示画面(又はアプリケーションウィンドウ)上の特定領域においてマウスが左方向にドラッグされた場合、この左方向へのドラッグ量に応じた数値だけ曲線LC1,LC2,LC3がCT断面画像IC1,IC2,IC3上において内壁側へ移動される。特定領域は、例えば、ユーザによる指定値の変更操作の操作性の観点から、ブルズアイマップBMの表示領域に設定されるとよい。
【0074】
なお、指定値の変更方法は、上述のような、入力機器の動きに連動させる方法のみに限定されない。例えば、キーボードやタッチパネル等の入力機器を介して直接的に数値を入力したり、スライダバー上のつまみの位置を移動したりすることにより、指定値を変更してもよい。
【0075】
このように、操作部25を介した指定値、すなわち、ブルズアイマップの表示曲断面の変更に連動して、CT断面画像上の曲線を移動させることができる。
【0076】
かくして第3実施形態に係る医用画像処理装置は、ブルズアイマップの診断能の向上を実現することができる。
【0077】
次に、本実施形態に係る種々の変形例について説明する。
【0078】
(変形例1)
変形例1に係る医用画像処理装置は、複数の表示曲断面に関する複数のブルズアイマップをマルチフレーム形式で表示する。以下、変形例1に係る医用画像処理装置について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0079】
図16は、変形例1に係る医用画像処理装置によるマルチフレーム表示処理の流れを模式的に示す図である。ユーザにより操作部25を介してマルチフレーム表示指示がなされたことを契機として、変形例1に係る制御部27は、マルチフレーム表示処理を開始する。本実施形態と同様に、心筋領域抽出部15により心筋SPECTデータから心筋領域が抽出され、正規化部17により心筋領域の内壁と外壁との間の距離が既定の数値範囲で正規化される。
【0080】
そして、図16(a)に示すように、例えば、指定位置特定部19により、心筋領域MR内に、厚み方向の位置が異なる複数の表示曲断面が設定される。表示曲断面CPは、正規化部17により正規化された心筋領域MRの内壁と外壁との間に一定間隔で設定される。図16(b)に示すように、ブルズアイマップ生成部21は、複数の表示曲断面CPにそれぞれ対応する複数のブルズアイマップBMを、心筋SPECTデータに基づいて生成する。図16(c)に示すように、表示部23は、複数の表示曲断面CPにそれぞれ対応する複数のブルズアイマップBMをマルチフレーム形式で画面に表示する。具体的には、複数のブルズアイマップBMは、内壁側から外壁側に向けて順番に並べて一画面に表示される。換言すれば、異なる表示曲断面に関する複数のブルズアイマップBMが一画面に並べて表示される。
【0081】
このように、複数のブルズアイマップがマルチフレーム形式で表示されることにより、ユーザは、複数のブルズアイマップを一覧で観察することができる。
【0082】
かくして変形例1に係る医用画像処理装置は、ブルズアイマップの診断能の向上を実現することができる。
【0083】
(変形例2)
変形例2に係る医用画像処理装置は、3次元的なブルズアイマップを表示する。以下、変形例2に係る医用画像処理装置について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0084】
図17は、変形例2に係る医用画像処理装置4の構成を示す図である。図17に示すように、医用画像処理装置4は、記憶部11、断面画像発生部13、心筋領域抽出部15、正規化部17、指定位置特定部19、ブルズアイマップ生成部21、表示部23、操作部25、制御部27、及び3次元モデル発生部41を有する。
【0085】
3次元モデル発生部41は、心筋領域内の心筋SPECT値の空間分布を、変形例2に特有の3次元座標で表現する3次元モデル画像を、心筋SPECTデータに基づいて発生する。変形例2に特有の3次元座標は、2次元極座標と、正規化された内壁と外壁との間の高さとで規定される。2次元極座標は、ブルズアイマップと同一の極座標系に規定される。高さは、例えば、ブルズアイマップの表示曲断面の正規化数値や、内壁または外壁のブルズアイマップからの枚数により規定される。以下、この3次元座標で表現される画像処理空間を3次元モデル空間と呼ぶことにする。
【0086】
次に、変形例2に係る3次元モデル発生部41により行われる3次元モデル画像の発生処理の流れについて説明する。
【0087】
図18は、3次元モデル発生部41により行われる3次元ブルズアイマップの発生処理の典型的な流れを模式的に示す図である。図18(a)に示すように、ブルズアイマップ生成部21により、厚み方向の位置が異なる複数のブルズアイマップBMが生成されたとする。3次元モデル発生部41は、複数のブルズアイマップBMの中から可視化対象領域を閾値処理等により抽出する。可視化対象領域は、臨床的な関心を有する如何なる領域でも良いが、以下の説明を具体的に行うため、虚血領域であるとする。この場合、3次元モデル発生部41は、複数のブルズアイマップBMの中から虚血領域IRを閾値処理等により抽出する。
【0088】
典型的には、虚血領域IRは、内壁から外壁に向けて形成される。従って、3次元モデルデータにおいて虚血領域IRの高さは、Transmural Extent(壁厚方向の虚血領域の広がりに関する指標)を表現する。Transmural Extentは、臨床の場において、心筋梗塞の重篤度の指標に利用されている。
【0089】
図18(b)に示すように、3次元モデル発生部41は、虚血領域IRに含まれる各画素の極座標と高さ座標とを特定し、特定された極座標と高さ座標とに対応する3次元モデル空間内のボクセルにボクセル値を割り付ける。割り付けるボクセルは、心筋SPECT値であっても良いし、虚血領域IRであることを表す既定値(例えば、“1”など)でも良い。このようにして、虚血領域IR内の全ての画素の画素値を3次元モデル空間に割り付けることにより3次元モデルデータMDが発生される。Transmural Extentは、3次元モデルデータMDにおいて、内壁から外壁に伸びる棒グラフで表される。
【0090】
なお図18(b)のように、位置関係の把握の容易のため、模式的な外壁MAOと模式的な内壁MAIとが位置整合して3次元モデルデータMDに配置されているとよい。模式的な外壁MAOと模式的な内壁MAIとはそれぞれ、外壁の表示曲断面に関するブルズアイマップBMOと内壁の表示曲断面に関するブルズアイマップBMIとでもよい。また、模式的な外壁MAOと模式的な内壁MAIとは、配置されなくても良い。
【0091】
3次元モデル発生部41は、3次元モデルデータに既存のレンダリング処理を施し、表示用の3次元モデル画像を発生する。レンダリングにおける視点及び視線は、任意の位置及び方向に設定可能である。しかしながら、医師等のユーザが位置関係を容易に把握するため、画面の手前側に隔壁部等が配置されるように視点及び視線が初期的に設定されると良い。発生された3次元モデル画像は、表示部23により表示される。
【0092】
ユーザは、3次元モデルデータに基づく3次元モデル画像を観察することにより、Transmural Extentを画像上で容易に把握することができる。
【0093】
なお、上記の説明において3次元モデル画像は、心筋SPECTデータから複数のブルズアイマップを経由して発生されるとした。しかしながら、変形例2に係る3次元モデル画像は、複数のブルズアイマップを経由せずとも心筋SPECTデータから直接的に3次元モデル画像が発生されても良い。
【0094】
次に、3次元モデル画像の表示の応用例について図19を参照しながら説明する。図19に示すように、表示部23は、現在表示されているブルズアイマップの位置を、3次元モデル画像MIに重ねて表示する。具体的には、表示部23は、変形例1のように、厚み方向の位置が異なる複数のブルズアイマップをマルチフレーム形式で表示する。ユーザは、観察したいブルズアイマップを操作部25を介して選択する。選択されたブルズアイマップBMは、オリジナルのサイズで表示部23により表示される。また、選択されたブルズアイマップBM´の位置が、表示部23により3次元モデル画像MI上に表示される。具体的には、表示部23は、選択されたブルズアイマップBM´の高さ座標を特定し、3次元モデル画像MI上の特定された高さ座標にブルズアイマップBM´のマークMA1を重ねて表示する。
【0095】
3次元モデル画像MIとブルズアイマップBMとの位置関係の把握を容易にするために、3次元モデル画像MIにマークMA2が、ブルズアイマップBMにマークMA3が表示されると良い。マークMA2は、3次元モデル画像MIの基準位置を示す。典型的には、基準位置は、3次元モデル画像MIの正面である。マークMA3は、マークMA2に対応する位置を示す。例えば、マークMA2が3次元モデル画像MIの正面を示している場合、マークMA3は、3次元モデル画像MIの正面に対応するブルズアイマップBM上の位置を示している。なお、基準位置は、3次元モデル画像MIの正面に限定されず、ブルズアイマップの観察において一般的に利用される解剖学的基準点を示しても良い。
【0096】
また、3次元モデル画像の視認性を高めるため、関心領域に限定して虚血領域が表示されても良い。例えば、関心領域は、3次元モデル画像MIの模式的な外壁または模式的な内壁に、操作部25を介してユーザにより設定されると良い。表示部23は、関心領域内の極座標に属さない虚血領域を3次元モデル画像から消去し、関心領域内の極座標に属する虚血領域のみを3次元モデル画像に描写する。これにより、ユーザにより関心のある虚血領域のみを3次元モデル画像に描画することができる。
【0097】
また、第2実施形態と同様に、3次元モデル画像の模式的な外壁または模式的な内壁に、血管領域が重ねられても良い。例えば、表示部23は、Transmural Extent値が閾値より大きい領域の血管領域(例えば、冠動脈の血管領域)を表示すると良い。さらに、血管領域の表示のONとOFFとが操作部25からの指示により切替可能であると良い。これにより、ユーザは、例えば、冠動脈と梗塞心筋との関連を容易に認識することができる。
【0098】
かくして変形例2に係る医用画像処理装置は、ブルズアイマップの診断能の向上を実現することができる。
【0099】
(変形例3次元)
変形例3に係る医用画像処理装置は、ブルズアイマップとは異なる表示態様により、心壁厚方向の情報を可視化する円環画像を表示する。以下、変形例3に係る医用画像処理装置について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0100】
図20は、変形例3に係る医用画像処理装置5の構成を示す図である。図20に示すように、医用画像処理装置4は、記憶部11、断面画像発生部13、心筋領域抽出部15、正規化部17、指定位置特定部19、ブルズアイマップ生成部21、表示部23、操作部25、制御部27、及び画像処理部51を有する。
【0101】
画像処理部51は、心筋SPECTデータに基づいて、心筋領域の画素値分布を模式的な円環形状で表現した画像(円環画像)を発生する。円環画像は、表示部23により表示される。
【0102】
図21は、画像処理部51による円環画像の発生処理を説明するための図である。図21に示すように、画像処理部51は、心軸ACに直交する複数の断面CSnを心筋SPECTデータに設定する。図21においては、一例のため、5つの断面CS1、CS2、CS3、CS4、及びCS5が示されている。各断面CSnにおいて心筋領域MRは、略円環形状を有している。画像処理部51は、各断面CSnにおける心筋領域MRの形状を、予め設定された円環形状に基準化(スケーリング)する。換言すれば、画像処理部51は、各断面CSnにおける心筋領域MRの各画素の画素値を、円環モデル上の対応する画素に割り付ける。円環モデルは、心尖部から距離が遠ざかるにつれて大きい径を有する。各円環モデルを中心が一致するように配置することで、円環画像が発生される。
【0103】
図22は、画像処理部51により発生される円環画像RIの一例を示す図である。図22に示すように、円環画像RIは、複数の断面にそれぞれ対応する複数の円環領域RRnを含んでいる。図22においては、図21に対応するように5つの円環領域RR1、RR2、RR3、RR4、及びRR5が示されている。複数の円環領域RRnは、中心CPを共有する同心円環である。各円環領域RRnは、空間的にオーバラップしないように基準化される。各円環領域RRnは、2次元直交座標系により規定されている。例えば、各円環領域RRnの内縁は、心筋領域の内壁に対応し、各円環領域RRnの外縁は、心筋領域の外壁に対応する。
【0104】
このように円環画像は、心軸に沿って配列された複数の断面上の画素値の空間分布を、基準化された直交座標系で表現することができる。従って、心壁厚方向の心筋SPECT値の分布を容易に把握することができる。また、円環画像において心筋領域の形状は、標準的な円環モデルに基準化されているので、個体差や検査状況等に影響されず容易に解剖学的位置関係を把握することができる。
【0105】
さらに画像処理部51は、心筋SPECTデータに基づいて、心筋領域の画素値分布を模式的な円環形状で3次元的に表現した画像(3次元円環画像)を発生することもできる。3次元円環画像は、表示部23により表示される。
【0106】
図23は、画像処理部51により発生される3次元円環画像RI´の一例を示す図である。3次元円環画像RI´において複数の円環領域RRnは、心軸AC方向に関する位置に従って心軸ACに沿って配列されている。3次元円環画像RI´の視点及び視線は、ユーザによる操作部25を介した指示に従って任意に設定されると良い。例えば、視点及び視線は、図23に示すように、複数の円環領域RRnを斜め上から見下ろし可能に設定されると良い。各円環領域RRnは、心軸方向に関する厚みつきMIPにより発生されても良い。これにより表示部23は、心軸方向に関する心筋SPECT値の空間分布を同時に表示することができる。ユーザは、操作部25を介して視点を心軸AC回りに回転させることにより、全方位の心筋SPECT値の分布を観察することができる。
【0107】
また、画像処理部51は、心筋SPECTデータに基づいてカップモデル画像を発生することができる。図24は、画像処理部51により発生されるカップモデル画像CMIの一例を示す図である。図24に示すように、カップモデル画像CMIは、模式的な心筋形状を有するカップ形状の3次元モデルに内壁及び外壁の心筋SPECT値が割り付けられることにより発生される。カップモデル画像CMIの視点及び視線は、ユーザによる操作部25を介した指示に従って任意に設定されると良い。操作部25を介して視点を心軸AC回りに回転させることにより、ユーザは、全方位の心筋SPECT値の分布を観察することができる。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0109】
1…医用画像処理装置、11…記憶部、13…断面画像発生部、15…心筋領域抽出部、17…正規化部、19…指定位置特定部、21…ブルズアイマップ生成部、23…表示部、25…操作部、27…制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓の機能指標に関する3次元の機能画像データを記憶する記憶部と、
前記3次元の機能画像データから心筋領域を抽出する抽出部と、
前記心筋領域の内壁と外壁との間の距離を既定の数値範囲で正規化する正規化部と、
前記既定の数値範囲内の所定値に対応する前記心筋領域上の位置の画素値の空間分布を、2次元の極座標で表現するブルズアイマップを生成する生成部と、
前記ブルズアイマップを表示する表示部と、
を具備する医用画像処理装置。
【請求項2】
前記既定の数値範囲内の前記所定値に対応する前記心筋領域上の位置を特定する特定部、をさらに備え、
前記生成部は、前記特定された位置の画素値に従って前記ブルズアイマップを生成する、
請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記3次元の機能画像データに基づいて、心尖部と心基部とを結ぶ心軸に沿って配列された複数の断面画像を発生する発生部をさらに備え、
前記抽出部は、前記複数の断面画像から複数の心筋領域をそれぞれ抽出し、
前記正規化部は、前記複数の心筋領域の各々の内壁と外壁との間の距離を既定の数値範囲で正規化し、
前記特定部は、前記既定の数値範囲内のユーザ指定の指定値に対応する前記複数の心筋領域の各々の位置を特定する、
請求項2記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記所定値を、ユーザからの指示に従って前記既定の数値範囲内で指定する指定部をさらに備える、請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
形態指標に関する3次元の形態画像データと前記3次元の機能画像データとを解剖学的特徴点に従って位置合わせする位置合わせ部と、
前記3次元の形態画像データから血管領域を抽出する抽出部と、
前記抽出された血管領域の空間分布が2次元の極座標系で表現された血管領域を前記ブルズアイマップ上に配置する配置部と、をさらに備え、
前記表示部は、前記血管領域が配置されたブルズアイマップを表示する、
請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記ブルズアイマップに含まれる複数の画素の各々について前記画素に前記血管領域を表示するか否かを前記画素の画素値に従って判定する判定部をさらに備え、
前記配置部は、前記血管領域を表示すると判定された場合、前記ブルズアイマップ上の前記画素に前記血管領域を配置し、前記血管領域を表示しないと判定された場合、前記ブルズアイマップ上の前記画素に前記血管領域を配置しない、
請求項5記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
形態指標に関する3次元の形態画像データに基づく断面画像を発生する発生部と、
前記断面画像上に、前記指定値に対応する前記ブルズアイマップの表示曲断面の空間分布を示す曲線を配置する配置部と、をさらに備え、
前記表示部は、前記曲線が配置されたブルズアイマップを表示する、
請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記生成部は、前記既定の数値範囲内の複数の所定値にそれぞれ対応する複数のブルズアイマップを生成し、
前記表示部は、前記複数のブルズアイマップを並べて表示する、
請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記心筋領域内の画素値の空間分布を、2次元極座標と正規化された内壁から外壁までの高さとで規定される3次元座標で表現する3次元モデル画像を発生する3次元モデル画像発生部、をさらに備え、
前記表示部は、前記3次元モデル画像を表示する、
請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項1】
心臓の機能指標に関する3次元の機能画像データを記憶する記憶部と、
前記3次元の機能画像データから心筋領域を抽出する抽出部と、
前記心筋領域の内壁と外壁との間の距離を既定の数値範囲で正規化する正規化部と、
前記既定の数値範囲内の所定値に対応する前記心筋領域上の位置の画素値の空間分布を、2次元の極座標で表現するブルズアイマップを生成する生成部と、
前記ブルズアイマップを表示する表示部と、
を具備する医用画像処理装置。
【請求項2】
前記既定の数値範囲内の前記所定値に対応する前記心筋領域上の位置を特定する特定部、をさらに備え、
前記生成部は、前記特定された位置の画素値に従って前記ブルズアイマップを生成する、
請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記3次元の機能画像データに基づいて、心尖部と心基部とを結ぶ心軸に沿って配列された複数の断面画像を発生する発生部をさらに備え、
前記抽出部は、前記複数の断面画像から複数の心筋領域をそれぞれ抽出し、
前記正規化部は、前記複数の心筋領域の各々の内壁と外壁との間の距離を既定の数値範囲で正規化し、
前記特定部は、前記既定の数値範囲内のユーザ指定の指定値に対応する前記複数の心筋領域の各々の位置を特定する、
請求項2記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記所定値を、ユーザからの指示に従って前記既定の数値範囲内で指定する指定部をさらに備える、請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
形態指標に関する3次元の形態画像データと前記3次元の機能画像データとを解剖学的特徴点に従って位置合わせする位置合わせ部と、
前記3次元の形態画像データから血管領域を抽出する抽出部と、
前記抽出された血管領域の空間分布が2次元の極座標系で表現された血管領域を前記ブルズアイマップ上に配置する配置部と、をさらに備え、
前記表示部は、前記血管領域が配置されたブルズアイマップを表示する、
請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記ブルズアイマップに含まれる複数の画素の各々について前記画素に前記血管領域を表示するか否かを前記画素の画素値に従って判定する判定部をさらに備え、
前記配置部は、前記血管領域を表示すると判定された場合、前記ブルズアイマップ上の前記画素に前記血管領域を配置し、前記血管領域を表示しないと判定された場合、前記ブルズアイマップ上の前記画素に前記血管領域を配置しない、
請求項5記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
形態指標に関する3次元の形態画像データに基づく断面画像を発生する発生部と、
前記断面画像上に、前記指定値に対応する前記ブルズアイマップの表示曲断面の空間分布を示す曲線を配置する配置部と、をさらに備え、
前記表示部は、前記曲線が配置されたブルズアイマップを表示する、
請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記生成部は、前記既定の数値範囲内の複数の所定値にそれぞれ対応する複数のブルズアイマップを生成し、
前記表示部は、前記複数のブルズアイマップを並べて表示する、
請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記心筋領域内の画素値の空間分布を、2次元極座標と正規化された内壁から外壁までの高さとで規定される3次元座標で表現する3次元モデル画像を発生する3次元モデル画像発生部、をさらに備え、
前記表示部は、前記3次元モデル画像を表示する、
請求項1記載の医用画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−196436(P2012−196436A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−50231(P2012−50231)
【出願日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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