説明

医用画像表示装置および方法並びにプログラム

【課題】3次元医用画像において任意の断面の画像を比較読影するに際し、ユーザの負荷を軽減する
【解決手段】シリーズが異なり比較読影する3次元医用画像(以下、第1および第2の3次元医用画像S1,S2とする)のそれぞれにおいて、基準断面を特定する第1および第2の条件を取得する。第1の3次元医用画像S1において、表示する断面を特定する第3の条件を取得する。そして、第1の条件および第3の条件から、基準断面と表示断面とのシフト量を算出する。第2の3次元医用画像S2の基準断面を特定する第2の条件とシフト量とに基づいて、第1の3次元医用画像S1における表示断面と解剖学的に同一位置の、第2の3次元医用画像S2の表示断面を表示するための第4の条件を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元医用画像を表示する医用画像表示装置および方法、並びに医用画像表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、医療画像の分野においては、X線撮影装置の他、X線CT(Computed Tomography)装置、超音波(US)診断装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、およびSPET(Single-Photon Emission Tomography)装置等の様々な技術を用いたモダリティが利用されている。このようなモダリティの高速化およびマルチスライス対応といった高性能化に伴い、1つの撮影シリーズにおいて被検者の複数の部位の撮影を行い、数百から数千の高精細な断層画像を取得することが可能になってきている。しかしながら、すべての断層画像を1枚ずつ観察するには時間がかかり、また、断層画像のみから観察対象となる構造物(体表、骨、心臓、肺野および肝臓等の臓器および組織)の3次元形状を理解するには医師の熟練を要する。
【0003】
このため、注目する構造物を認識し、注目する構造物を含む断層画像から、例えば最大値投影法(MIP法)、最小値投影法(MinIP法)および多断面再構成法(MPR法)等の方法を用いて断層画像を解析して、注目する構造物の3次元医用画像を作成してMIP表示等を行ったり、3次元医用画像のボリュームレンダリング(VR)表示を行ったりすることにより、構造物全体、さらには構造物に含まれる病変の視認性を向上させる各種技術が提案されている。なお、3次元医用画像を用いることにより、注目する構造物の3軸断面画像を表示できる。3軸断面としては、体軸に垂直なアキシャル断面、人体が正面を向いたときの左右方向を向く軸に垂直なサジタル断面、および正面方向を向く軸に垂直なコロナル断面を用いることができる。また、3軸断面画像のみならず、任意の断面の画像も表示できる。
【0004】
一方、画像診断を行う際には、過去に撮影された医用画像を参照する比較読影も行われている。このため、1つの候補疾患に対して取得された複数のモダリティによる医用画像および過去の医用画像を比較しながら画像診断を行う比較読影が頻繁に行われるようになってきており、その結果、統合的に診断を行うことが可能となってきている。ところで、このような比較読影を行うに際し、医用画像を上述したMIP表示等により表示させる場合には、比較する複数の3次元医用画像において同一断面を表示する必要がある。
【0005】
しかしながら、比較読影を行う2つの画像間の撮影範囲が異なる場合があり、また、モダリティの種類も異なる場合がある。このため、2つの画像において同一位置の断面像を表示することは容易ではない。また、撮影範囲が同一であったとしても、DICOM規格のFOR(Frame Of Referemce)を利用し、患者が寝ているベッドの位置に基づいて画像を規格化して位置合わせを行う場合、呼吸の影響により対象とする臓器が変形してしまうため、断面像の位置が合わなくなるおそれがある。また、位置のみならず表示する断面の角度についても同様に合わなくなるおそれがある。
【0006】
このため、比較読影を行う2つの画像間において、1つの画像を他の画像に変換するレジストレーションを行って、同一位置の断面像を求めることが行われている(特許文献1参照)。また、アキシャル方向のスライス位置を指定することにより、スライス厚を考慮して同一のスライス位置の画像を表示する手法も提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2006−506153号公報
【特許文献2】特開平8−294485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、一般にレジストレーションは処理に長時間を要し、また画像によっては高精度の位置合わせが難しい場合がある。また、特許文献2に記載された手法は、アキシャル方向のスライス位置を合わせることができるが、3次元医用画像をMIP表示等する場合のように、任意の断面の位置を合わせることはできない。このため、3次元医用画像において任意の断面の画像を比較読影する場合には、図10に示すように2つの3次元医用画像について、異なる断面の画像を表示した状態において、ユーザは自身で2つの3次元医用画像の断面を一致させるように、表示する断面を調整する必要があることから、ユーザの負担が非常に大きい。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、3次元医用画像において任意の断面の画像を比較読影するに際し、ユーザの負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による医用画像表示装置は、同一部位についての複数シリーズの3次元医用画像における互いに対応する断面の画像を表示する医用画像表示装置において、
前記複数シリーズの3次元医用画像のうちの第1の3次元医用画像における、少なくとも1つの基準断面の位置を特定する第1の条件を取得する第1の条件取得手段と、
前記複数シリーズの3次元医用画像のうちの前記第1の3次元医用画像以外の第2の3次元医用画像における、前記少なくとも1つの基準断面と解剖学的に同一位置の少なくとも1つの対応基準断面の位置を特定する第2の条件を取得する第2の条件取得手段と、
前記第1の3次元医用画像における、表示断面を特定する第3の条件を取得する第3の条件取得手段と、
前記第1の条件、前記第2の条件および前記第3の条件に基づいて、前記第2の3次元医用画像における、前記第1の3次元医用画像の前記表示断面と解剖学的に同一位置の対応表示断面を特定する第4の条件を取得する第4の条件取得手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
なお、本発明による医用画像表示装置においては、前記第1の条件取得手段を、前記第1の3次元医用画像における、あらかじめ定められた複数の特徴点の位置に基づいて、前記第1の条件を取得する手段とし、
前記第2の条件取得手段を、前記第2の3次元医用画像における、前記複数の特徴点に対応する複数の対応特徴点の位置に基づいて、前記第2の条件を取得する手段としてもよい。
【0012】
また、本発明による医用画像表示装置においては、前記第1の条件取得手段を、前記基準断面の中心位置および該基準断面を特定する軸を前記第1の条件として取得する手段とし、
前記第2の条件取得手段を、前記対応基準断面の中心位置および該対応基準断面を特定する軸を前記第2の条件として取得する手段とし、
前記第3の条件取得手段を、前記表示断面の中心位置および該表示断面を特定する軸を前記第3の条件として取得する手段とし、
前記第4の条件取得手段を、前記対応表示断面の中心位置および該対応表示断面を特定する軸を前記第4の条件として取得する手段としてもよい。
【0013】
この場合、前記第4の条件算出手段を、前記基準断面の中心位置と前記表示断面の中心位置とのシフト量である第1のシフト量、および前記基準断面を特定する軸の角度と前記表示断面を特定する軸の角度とのシフト量である第2のシフト量を算出し、前記対応基準断面の中心位置を前記第1のシフト量シフトさせるとともに、前記対応基準断面を特定する軸の方向を前記第2のシフト量シフトさせることにより、前記対応表示断面の中心位置および該対応表示断面を特定する軸を取得する手段としてもよい。
【0014】
3次元医用画像においては、画像内の位置の座標を定めるための軸は3次元となり、例えばx軸、y軸およびz軸を座標軸として用いることができる。「軸」とは、3次元を定める3つの座標軸の少なくとも1つの軸を意味する。
【0015】
また、本発明による医用画像表示装置においては、前記基準断面が複数の場合、1つの基準断面を特定する特定手段をさらに備えるものとしてもよい。
【0016】
特定手段は、あらかじめ定められた優先度に基づいて自動で1つの基準断面を特定するものであってもよく、ユーザからの入力を受け付けることにより、1つの基準断面を特定するものであってもよい。
【0017】
また、本発明による医用画像表示装置においては、前記3次元医用画像を心臓を含む画像としてもよい。
【0018】
この場合、前記基準断面を、心尖部左心室長軸断面、心尖部四腔断面、心尖部二腔断面および左室短軸断面の少なくとも1つとしてもよい。
【0019】
心尖部左室長軸断面とは、心臓全体および周辺構造物の異常の有無を観察記録するための断面である。心尖部四腔断面とは、右房右室、左房左室のそれぞれの異常の有無を観察記録するための断面である。心尖部二腔断面とは、左室壁の動き、壁厚の異常の有無を観察記録するための断面である。左室短軸断面とは、大動脈弁および大動脈の異常の有無を観察記録するための断面である。
【0020】
また、本発明による医用画像表示装置においては、前記第4の条件の調整を受け付ける調整手段をさらに備えるものとしてもよい。
【0021】
本発明による医用画像表示方法は、同一部位についての複数シリーズの3次元医用画像における互いに対応する断面の画像を表示する医用画像表示方法において、
第1の条件取得手段が、前記複数シリーズの3次元医用画像のうちの第1の3次元医用画像における、少なくとも1つの基準断面の位置を特定する第1の条件を取得し、
第2の条件取得手段が、前記複数シリーズの3次元医用画像のうちの前記第1の3次元医用画像以外の第2の3次元医用画像における、前記少なくとも1つの基準断面と解剖学的に同一位置の少なくとも1つの対応基準断面の位置を特定する第2の条件を取得し、
第3の条件取得手段が、前記第1の3次元医用画像における、表示断面を特定する第3の条件を取得し、
第4の条件取得手段が、前記第1の条件、前記第2の条件および前記第3の条件に基づいて、前記第2の3次元医用画像における、前記第1の3次元医用画像の前記表示断面と解剖学的に同一位置の対応表示断面を特定する第4の条件を取得することを特徴とするものである。
【0022】
なお、本発明による医用画像表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供してもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、複数シリーズの3次元医用画像のうちの第1の3次元医用画像における、少なくとも1つの基準断面の位置を特定する第1の条件が取得され、第1の3次元医用画像以外の第2の3次元医用画像における、少なくとも1つの基準断面と解剖学的に同一位置の少なくとも1つの対応基準断面の位置を特定する第2の条件が取得される。そして、第1の3次元医用画像における表示断面を特定する第3の条件が取得され、第1の条件、第2の条件および第3の条件に基づいて、第2の3次元医用画像における、第1の3次元医用画像における表示断面と解剖学的に同一位置の対応表示断面を特定する第4の条件が取得される。
【0024】
したがって、第4の条件に基づいて、第1の3次元医用画像の表示断面に対応する、第2の3次元医用画像における対応表示断面を表示することができるため、比較読影を行う際のユーザの負担を軽減することができる。
【0025】
また、第1および第2の条件を、第1および前記第2の3次元医用画像における、あらかじめ定められた複数の特徴点および複数の対応特徴点の位置に基づいて取得することにより、例えばAda boost等のマシンラーニングの手法により得られた、特徴点を判別するための判別器を用いて、特徴点および対応特徴点、さらには第1および第2の条件を取得することができるため、第1および第2の条件の取得を容易に行うことができる。
【0026】
また、基準断面の中心位置および基準断面を特定する軸を第1の条件として、対応基準断面の中心位置および対応基準断面を特定する軸を第2の条件として、表示断面の中心位置および表示断面を特定する軸を第3の条件として、対応表示断面の中心位置および対応表示断面を特定する軸を第4の条件として取得することにより、基準断面、対応基準断面、表示断面および対応表示断面を容易に特定することができる。
【0027】
また、基準断面の中心位置と表示断面の中心位置とのシフト量である第1のシフト量、および基準断面を特定する軸角度と表示断面を特定する軸の角度とのシフト量である第2のシフト量を算出し、対応基準断面の中心位置を第1のシフト量シフトさせるとともに、対応基準断面を特定する軸の方向を第2のシフト量シフトさせることにより、対応表示断面の中心位置および対応表示断面を特定する軸を取得することにより、第4の条件を容易に取得することができる。
【0028】
また、特定の基準断面が複数の場合、1つの基準断面を特定することにより、特定した基準断面の位置に基づいて、対応表示断面を表示するための第4の条件を算出することができる。
【0029】
また、3次元医用画像を心臓を含む画像とすることにより、心臓を含む3次元医用画像を用いての比較診断を行う際に、ユーザに負担をかけることなく、第1の3次元医用画像の表示断面と解剖学的に同一位置の、第2の3次元医用画像の対応表示断面の画像を表示することができる。
【0030】
なお、とくに3次元医用画像が心臓を含む画像の場合、心尖部左心室長軸断面、心尖部四腔断面、心尖部二腔断面および左室短軸断面は比較的求めることが容易である。したがって、基準断面を、心尖部左心室長軸断面、心尖部四腔断面、心尖部二腔断面および左室短軸断面の少なくとも1つとすることにより、容易に基準断面および対応基準断面の位置を特定することができるため、対応表示断面を表示するための第4の条件を容易に取得することができる。
【0031】
また、第4の条件の調整を受け付けることにより、対応表示断面の位置を表示断面の位置と正確に位置合わせすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態による医用画像表示装置を適用した読影ワークステーションを含む医用情報システムの概略構成を示す図
【図2】読影ワークステーションの構成を示す概略図
【図3】本実施形態において基準断面を特定する第1および第2の条件の取得時に行われる処理を示すフローチャート
【図4】心臓のコロナル断面の画像における、心基部、心尖部および大動脈弁部下部を求めるための判別器を学習するための正の教師データを説明するための図
【図5】心尖部左室長軸断面の決定を説明するための図
【図6】4つの基準断面を示す図
【図7】同一断面の画像の表示時に行われる処理を示すフローチャート
【図8】シフト量の算出を説明するための図
【図9】第1および第2の断面の画像を表示した状態を示す図
【図10】従来の比較読影時の表示画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態による医用画像表示装置を適用した読影ワークステーションを含む医療情報システムの概略構成を示す図である。図1に示すように本実施形態による医療情報システムは、医用画像の撮影装置(モダリティ)1、読影ワークステーション(WS)2、画像サーバ3、および画像データベース4が、ネットワーク10を介して互いに通信可能な状態で接続されて構成されている。また、本実施形態における各機器は、CD−ROM等の記録媒体からインストールされたプログラムによって制御される。また、プログラムは、インターネット等のネットワーク経由で接続されたサーバからダウンロードされた後にインストールされたものであってもよい。
【0034】
モダリティ1には、被検体の検査対象部位を撮影することにより、その部位を表す画像の画像データを生成し、その画像データに、検査情報および患者情報等の付帯情報を付加して出力する装置が含まれる。付帯情報は、DICOM規格等の標準化された規格およびそのモダリティ等のメーカー独自の規格に準拠したフォーマットのものである。モダリティ1の具体例としては、CT装置、MRI装置、PET装置および超音波撮影装置等が挙げられる。なお、本実施形態では、画像データは、各種モダリティにおいて取得された被検体の検査対象部位を表す3次元医用画像の画像データであり、所定のスライス間隔およびスライス厚による軸位断(アキシャル)画像の画像データの集合体として構成されるものとするが、これに限定されるものではない。また、図1においては、モダリティ1を1つのみ示しているが、複数種類のモダリティ1が接続されてなるものであってもよい。
【0035】
読影ワークステーション2は、画像読影医および技師等のユーザが、画像の読影および読影レポートの作成に利用する装置である。図2は読影ワークステーション2の構成を示す概略図である。図2に示すように読影ワークステーション2は、CPU、ハードディスク等の記憶装置、メモリおよび各種インターフェース等を備えた処理装置21、1台または2台の高精細ディスプレイ22(1台のみ図示)、並びにキーボード23およびマウス24等の入力機器25により構成される。読影ワークステーション2は、処理装置21にインストールされたプログラムにより、画像サーバ3に対する画像の閲覧要求、画像サーバ3から受信した画像に対する各種画像処理、画像中の構造物および病変らしき部分の自動検出および強調表示を含む各種解析処理、画像の表示、読影レポートの作成の支援、読影レポートサーバ(図示なし)に対する読影レポートの登録要求および閲覧要求、並びに読影レポートサーバから受信した読影レポートの表示等を行う。
【0036】
画像サーバ3は、汎用の比較的処理能力の高いコンピュータにデータベース管理システム(DataBase Management System: DBMS)の機能を提供するソフトウェアプログラムがインストールされたものである。また、画像サーバ3は画像データベース4が構成される大容量ストレージを備えている。このストレージは、画像サーバ3とデータバスによって接続された大容量のハードディスク装置であってもよいし、ネットワーク10に接続されているNAS(Network Attached Storage)およびSAN(Storage Area Network)に接続されたディスク装置であってもよい。画像サーバ3も、モダリティ1および読影ワークステーション2等とネットワーク10を介して通信を行う通信インターフェースを有している。
【0037】
画像サーバ3は、モダリティ1からの画像の登録要求を受け付けると、その画像をデータベース用のフォーマットに整えて画像データベース4に登録する。
【0038】
画像データベース4には、上述した3次元医用画像の画像データと付帯情報とが登録される。付帯情報には、例えば、個々の画像を識別するための画像ID、被写体を識別するための患者ID、検査を識別するための検査ID、画像毎に割り振られるユニークなID(UID)、その画像が生成された検査日、検査時刻、その画像を取得するための検査で使用されたモダリティの種類、患者氏名、年齢、性別等の患者情報、検査部位(撮影部位)、撮影情報(撮影プロトコル、撮影シーケンス、撮像手法、撮影条件、造影剤の使用等)、1回の検査で複数の画像を取得したときのシリーズ番号あるいは採取番号等の情報が含まれうる。
【0039】
また、画像サーバ3は、読影ワークステーション2からの閲覧要求をネットワーク10経由で受信すると、上記画像データベース4に登録されている画像を検索し、抽出された画像を要求元の読影ワークステーション2に送信する。
【0040】
読影ワークステーション2は、ユーザによって読影対象画像の閲覧を要求する操作が行われると、画像サーバ3に対して閲覧要求を送信し、読影に必要な画像を取得する。そして、その画像に対して、ユーザからの要求に応じて病変の自動検出処理等の解析処理を実行する。また、ユーザからの要求に応じて、比較読影を行うために、シリーズが異なる3次元医用画像について、表示する断面の位置を複数の3次元医用画像間で一致させる処理を行う。
【0041】
次いで、本実施形態において行われる処理について説明する。なお、本発明は、読影ワークステーション2において行われる、比較読影のための画像の表示処理に特徴を有するため、以降読影ワークステーション2における画像表示処理についてのみ説明する。また、読影ワークステーション2には画像データベース4から、比較読影を行うためにシリーズが異なる2つの胸部の3次元医用画像(以下、第1および第2の3次元医用画像S1,S2とする)の画像データが送信されているものとする。なお、画像データについてもS1,S2の参照符号を用いる場合があるものとする。
【0042】
図3は本実施形態において基準断面を特定する第1および第2の条件の取得時に行われる処理を示すフローチャートである。なお、本実施形態においては、心尖部左室長軸断面、心尖部四腔断面、心尖部二腔断面および左室短軸断面を基準断面として用いるものとする。ユーザが読影の指示を行うことにより読影ワークステーション2の処理装置21が処理を開始し、まず、第1の3次元医用画像における心尖部左室長軸断面を特定するための第1の条件を取得するために、3次元医用画像S1から大動脈を検出する(ステップST1)。なお、大動脈を検出するのは、3次元医用画像S1における心臓の位置を特定するためである。
【0043】
ここで、大動脈の検出は、マシンラーニングの手法の1つであるAdaBoostを利用して算出された判別器を用いる手法を用いることができる。この場合、判別器の学習は、大動脈であることが分かっている多数の画像を正の教師データ、大動脈でないことが分かっている多数の画像(例えば大動脈以外の組織の画像)を負の教師データとして行われる。なお、大動脈は人に応じて様々な形状を有するため、正の教師データとしては大量のデータを使用して種々の形状の大動脈を検出できるようにするものとする。また、特徴量としては、ランダムに選択されたn個(nは1以上の整数)の画素ペアの値の組合せを用いるものとする。
【0044】
本実施形態における大動脈の検出処理は、3次元医用画像S1におけるアキシャル断面の各画像について、上記判別器を用いて大動脈が存在するか否かを判別し、大動脈が存在する場合に、各画像における大動脈が存在すると判定された画素からなるスコア画像を取得し、3次元医用画像S1内における3次元のスコア画像の重心位置を大動脈の位置として検出し、その位置を処理装置21が記憶しておくものとする。なお、大動脈が検出されなかった場合には、処理を終了する。
【0045】
3次元医用画像S1から大動脈が検出されると、処理装置21は、3次元医用画像S1上における心臓領域を特定する(ステップST2)。ステップST2においては、3次元医用画像S1における最もFEET側(足側)にある大動脈の位置を基準としたあらかじめ定められた3次元領域を心臓領域に特定する。具体的には、3次元医用画像S1における体軸方向(足から頭方向)をz軸、コロナル断面における左から右方向をx軸、サジタル断面における背中から正面に向かう軸をy軸とした場合、大動脈の位置を基準としてx方向に15〜25cm、y方向に15〜25cm、z方向に10〜20cmの範囲を心臓領域に特定する。
【0046】
次いで、特定された心臓領域の範囲内においてコロナル断面の断層画像を用いて特徴点を検出する(ステップST3)。本実施形態における特徴点としては、心基部、心尖部および大動脈弁部下部の3点を用いる。また、特徴点の検出は、マシンラーニングの手法の1つであるAdaBoostを利用して算出された判別器を用いる手法を用いることができる。この場合、判別器の学習は、図4に示すように、心臓のコロナル断面の画像における、心基部P1(図4(a))、心尖部P2(図4(b))および大動脈弁部下部P3(図4(c))を含む領域A1〜A3についての多数の画像を正の教師データ、心基部、心尖部および大動脈弁部下部でないことが分かっている多数の画像を負の教師データとして行われる。なお、判別器は、心基部、心尖部および大動脈弁部下部のそれぞれについて用意される。
【0047】
また、本実施形態における心基部、心尖部および大動脈弁部下部の検出処理は、3次元医用画像S1におけるコロナル断面の各画像について、上記判別器を用いて心基部、心尖部および大動脈弁部下部のそれぞれが存在するか否かを判別し、心基部、心尖部および大動脈弁部下部が存在する場合に、各画像における心基部、心尖部および大動脈弁部下部が存在すると判定された画素からなるスコア画像を取得し、3次元医用画像S1内における3次元のスコア画像の重心位置を心基部、心尖部および大動脈弁部下部の位置として検出するものとする。なお、検出した位置は処理装置21が記憶しておくものとする。また、スコア画像の重心位置を検出する際に、心基部、心尖部および大動脈弁部下部が存在すると判定された画素からなるスコア画像をラベリングし、最も体積が大きいラベルの重心位置を、心基部、心尖部および大動脈弁部下部の位置として検出するようにしてもよい。
【0048】
ここで、検出された心基部、心尖部および大動脈弁部下部の位置をそれぞれP1〜P3とすると、処理装置21は、3次元医用画像S1上において、図5に示すように、3つの位置P1〜P3を通る平面および位置P1〜P3の中心位置O1を決定する(ステップST4)。ここで、位置P1〜P3の中心位置O1は、位置P1〜P3の座標値の平均値となる。そして、決定した平面において、決定した中心位置O1および位置P1〜P3を通る平面を特定する3軸の方向を、心尖部左室長軸断面を特定する条件として取得する(ステップST5)。
【0049】
なお、3軸の方向としては、中心位置O1を原点とし、図5に示すように、位置P1〜P3を通る平面において、位置P2を基準として、位置P2から位置P1へ向かうベクトルV1および位置P2から位置P3へ向かうベクトルV2のなす角度の範囲における、あらかじめ定められた方向のベクトルをy方向とし、中心位置を通りこのベクトルに平行な方向をy軸の方向とする。そしてy軸に直交する方向をx軸、位置P1〜P3を通る平面に垂直な軸をz軸とする。なお、x軸、y軸およびz軸の正負の方向については、あらかじめ定めておけばよい。このようにして取得される条件により特定される断面が、心尖部左室長軸断面となる。心尖部左室長軸断面像を図6(a)に示す。図6(a)には、心基部、心尖部および大動脈弁部下部の位置P1〜P3を示している。なお、心尖部左室長軸断面像においては、上方が足側となるようにしている。
【0050】
続いて、心尖部四腔断面を特定する条件を取得する(ステップST6)。ここで、心尖部四腔断面は、心尖部左室長軸断面において、心尖部を通る垂直軸を心臓の長軸とし、3次元医用画像S1において心尖部左室長軸断面を長軸の周囲に、心基部から心尖部に向かうベクトルから見て時計回りに第1の角度回転することにより得られる。したがって、心尖部四腔断面を特定する条件としては、例えば3軸については、長軸をy軸、y軸に直交する方向の軸をx軸、心尖部左室長軸断面のz軸を上記第1の角度回転した軸をz軸とすればよく、中心位置については、心尖部左室長軸断面の中心位置を心尖部四腔断面に投影させた位置とすればよい。なお、第1の角度は、100〜140度の範囲において経験的に決定すればよい。心尖部四腔断面像を図6(b)に示す。
【0051】
続いて、心尖部二腔断面を特定する条件を取得する(ステップST7)。ここで、心尖部二腔断面は、心尖部左室長軸断面において、心尖部を通る垂直軸を心臓の長軸とし、3次元医用画像S1において心尖部左室長軸断面を長軸の周囲に、心基部から心尖部に向かうベクトルから見て時計回りに第2の角度回転することにより得られる。したがって、心尖部二腔断面を特定する条件としては、例えば3軸については、長軸をy軸、y軸に直交する方向の軸をx軸、心尖部左室長軸断面のz軸を上記第2の角度回転した軸をz軸とすればよく、中心位置については、心尖部左室長軸断面の中心位置を心尖部二腔断面に投影させた位置とすればよい。なお、第2の回転角度は、30〜70度の範囲において経験的に決定すればよい。心尖部四腔断面像を図6(c)に示す。
【0052】
さらに、左室短軸断面を特定する条件を取得する(ステップST8)。ここで、左室短軸断面は、心尖部左室長軸断面において、大動脈弁部下部および大動脈弁上部の2点を通り、かつ心尖部左室長軸断面に垂直な断面となる。したがって、左室長軸断面を特定する条件としては、例えば3軸については、大動脈弁部下部および大動脈弁部上部の2点を結ぶベクトルの方向をy軸、y軸に直交する方向の軸をx軸、心尖部左室長軸断面のz軸に直交する軸をz軸とすればよく、中心位置については、心尖部左室長軸断面の中心位置を左室長軸断面に投影させた位置とすればよい。なお、大動脈弁部上部の位置の検出は、マシンラーニングの手法の1つであるAdaBoostを利用して算出された判別器を用いる手法を用いることができる。左室長軸断面像を図6(d)に示す。
【0053】
なお、心尖部左室長軸断面、心尖部四腔断面、心尖部二腔断面および左室短軸断面を特定する各条件が、本発明の第1の条件となる。
【0054】
続いて、3次元医用画像S2についても、同様に心尖部左室長軸断面、心尖部四腔断面、心尖部二腔断面および左室短軸断面を特定する条件(第2の条件)を取得し(ステップST9)、処理を終了する。
【0055】
なお、検出した基準断面は、第1および第2の3次元医用画像S1,S2のそれぞれにおいて、心尖部左室長軸断面、心尖部四腔断面、心尖部二腔断面および左室短軸断面の4つあり、基準断面のそれぞれが中心位置および基準となる3軸を有するものとする。
【0056】
次いで、本実施形態における同一断面の表示時に行われる処理について説明する。図7は同一断面の画像の表示時に行われる処理を示すフローチャートである。まず、本実施形態においては、心尖部左室長軸断面、心尖部四腔断面、心尖部二腔断面および左室短軸断面の4つの基準断面が特定されていることから、1つの基準断面を選択する(ステップST11)。1つの基準断面の選択はユーザが行ってもよく、あらかじめ定められた優先度に基づいて選択してもよい。
【0057】
次いで、第1の3次元医用画像S1において表示する断面の画像(第1の断面の画像)を表示し(ステップST12)、第1の断面の中心位置および3軸を第3の条件として取得する(ステップST13)。第1の断面の3軸としては、ディスプレイ22に第1の断面の画像を表示した状態における、上下方向をy軸、左右方向をx軸、ディスプレイ22に垂直な方向をz軸とする。なお、軸の正負の方向はあらかじめ定めておけばよい。第1の断面の中心位置としては、ディスプレイ22に表示されている画像の中心位置とする。なお、比較読影を開始した直後は、第1の断面はあらかじめ定められた初期断面となるため、初期断面の画像が第1の断面の画像として表示される。
【0058】
そして、第1の断面の中心位置および3軸について、選択した1つの基準断面の中心位置および3軸とのシフト量を算出する(ステップST14)。具体的には、基準断面の中心位置と第1の断面の中心位置とのシフト量である第1のシフト量、並びに基準断面を特定する軸の角度と第1の断面を特定する軸の角度とのシフト量である第2のシフト量を算出する。ここで、第1のシフト量としては、図8に示す基準断面B0の中心位置O2からの表示する断面G0の中心位置O3への変位量とすればよく、第2のシフト量としては基準断面B0の3軸と表示する断面G0の3軸との角度の相違とすればよい。なお、3軸の角度の相違としては、基準断面B0および表示する断面G0における互いに対応する軸、すなわちx軸同士、y軸同士およびz軸同士の角度の相違とする。ここで、計算を簡単に行うために、3軸のうちの断面に垂直なz軸の角度の相違のみを求めるようにしてもよい。具体的には、図8における基準断面B0のz軸と、表示する断面G0のz軸との内積を第2のシフト量とすればよい。
【0059】
そして、比較読影の対象となる第2の3次元医用画像S2について、選択した1つの基準断面の中心位置および3軸を、算出した第1および第2のシフト量それぞれ変位させることにより、第1の断面画像と解剖学的に同一位置の第2の断面画像の中心位置および3軸の方向を第4の条件として取得し(ステップST15)、第4の条件に基づいて、第2の断面の画像を第1の断面の画像とともにディスプレイ22に表示する(ステップST16)。図9は第1および第2の断面の画像を表示した状態を示す図である。図9に示すように、表示画面30には、第1の断面画像G1および第2の断面画像G2が表示されており、図9より第1および第2の断面画像G1,G2が解剖学的に同一位置の断面を表すものであることが分かる。
【0060】
なお、図9においては、第1および第2の断面画像G1,G2の断面は同一となっているが、基準断面を特定する第1および第2の条件取得時の演算の誤差、シフト量算出時の誤差、あるいは第4の条件取得時の演算の誤差等により、第1および第2の断面が対応するものとならない場合がある。このため、表示画面30にリセットボタン32を設け、ユーザがリセットボタン32をクリックすることにより、第2の断面画像G2の断面の位置を修正できるようにすることが好ましい。この際、修正したシフト量を記憶しておき、第1の断面を変更した際に、修正したシフト量を考慮して、第2の断面を特定するための第4の条件を修正することが好ましい。
【0061】
次いで、処理装置21は、第1の3次元医用画像S1に対して、表示する断面の変更の指示がなされたか否かを判定し(ステップST17)、ステップST17が肯定されると、ステップST12に戻り、ステップST12以降の処理を行う。ステップST17が否定されると、終了指示がなされたか否かを判定し(ステップST18)、ステップST18が否定されるとステップST17に戻る。ステップST18が肯定されると、処理を終了する。
【0062】
このように、本実施形態においては、第4の条件に基づいて、第1の3次元医用画像S1の表示断面に対応する、第2の3次元医用画像S2における対応表示断面を表示することができるため、比較読影を行う際のユーザの負担を軽減することができる。
【0063】
また、第1および第2の条件を、第1および前記第2の3次元医用画像S1,S2における、あらかじめ定められた複数の特徴点および複数の対応特徴点の位置に基づいて取得することにより、例えばAda boost等のマシンラーニングの手法により得られた、特徴点を判別するための判別器を用いて、特徴点および対応特徴点、さらには第1および第2の条件を取得することができるため、第1および第2の条件の取得を容易に行うことができる。
【0064】
なお、本実施形態においては、胸部の3次元医用画像を用いているが、腹部および頭部等の他の3次元医用画像の比較読影のために画像を表示する場合にも本発明を適用できることはもちろんである。この際、3次元医用画像の部位毎に1以上の基準断面を決定するが、とくに複数の基準断面を決定した場合には、胸部の3次元医用画像と同様にユーザが1つの基準断面を選択してもよく、あらかじめ定められた優先度に基づいて1つの基準断面を選択してもよい。
【0065】
また、上記実施形態においては、心尖部左室長軸断面、心尖部四腔断面、心尖部二腔断面および左室短軸断面の4つの基準断面を特定しているが、いずれか1つの基準断面のみを特定するようにしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態においては、4つの基準断面から1つの基準断面を選択し、選択した基準断面を特定する第1の条件と第3の条件とのシフト量を算出して第4の条件を取得しているが、第3の条件における中心位置と、4つの基準断面のそれぞれを特定する4つの第1の条件における中心位置とを比較し、第3の条件における中心位置に最も近い中心位置となる基準断面を基準として、第4の条件を取得するようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態において、第2の断面の画像を表示する際に、第4の条件、すなわち第2の断面の中心位置および軸を微少量移動させつつ、各移動により特定される断面の画像と、第1の断面の画像との相関を算出し、相関が最も大きくなる断面の画像を第2の断面の画像として表示するようにしてもよい。これにより、第1の断面と第2の断面との解剖学的特徴をより精度良く一致させることができる。
【0068】
また、上記実施形態においては、第2の3次元医用画像S2において、対応基準断面を特定する第2の条件を取得する前に部位認識処理を行い、所望とする部位(例えば上記実施形態においては心臓)が3次元医用画像S2に含まれない場合には、比較読影ができないことから、3次元医用画像S2に対する部位認識処理を行い、所望とする部位が含まれない場合には、それ以降の処理を中止するようにしてもよい。また、その旨の情報をディスプレイ22に表示するようにしてもよい。
【0069】
なお、部位認識処理としては、例えば特開平2008−259682号公報に記載された手法を用いることができる。特開平2008−259682号公報に記載された手法は、入力された複数の断層画像を正規化し、正規化された断層画像から多数の特徴量を算出し、正規化した断層画像毎に算出された特徴量を、AdaBoostの手法によって得られた判別器に入力して、部位らしさを表す部位毎のスコアを算出し、算出された部位スコアを入力として、動的計画法を用いて、人体の体部の並び順が保たれるように各断層画像に表された部位を決定する手法である。また、カラーテンプレートマッチングによる方法(例えば特開2002−253539号公報参照)および、各部位の固有画像を用いた方法(例えば特開2003−10166号公報参照)等を用いることもできる。
【符号の説明】
【0070】
1 モダリティ
2 読影ワークステーション
3 画像サーバ
4 画像データベース
21 処理装置
22 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一部位についての複数シリーズの3次元医用画像における互いに対応する断面の画像を表示する医用画像表示装置において、
前記複数シリーズの3次元医用画像のうちの第1の3次元医用画像における、少なくとも1つの基準断面の位置を特定する第1の条件を取得する第1の条件取得手段と、
前記複数シリーズの3次元医用画像のうちの前記第1の3次元医用画像以外の第2の3次元医用画像における、前記少なくとも1つの基準断面と解剖学的に同一位置の少なくとも1つの対応基準断面の位置を特定する第2の条件を取得する第2の条件取得手段と、
前記第1の3次元医用画像における、表示断面を特定する第3の条件を取得する第3の条件取得手段と、
前記第1の条件、前記第2の条件および前記第3の条件に基づいて、前記第2の3次元医用画像における、前記第1の3次元医用画像の前記表示断面と解剖学的に同一位置の対応表示断面を特定する第4の条件を取得する第4の条件取得手段とを備えたことを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項2】
前記第1の条件取得手段は、前記第1の3次元医用画像における、あらかじめ定められた複数の特徴点の位置に基づいて、前記第1の条件を取得する手段であり、
前記第2の条件取得手段は、前記第2の3次元医用画像における、前記複数の特徴点に対応する複数の対応特徴点の位置に基づいて、前記第2の条件を取得する手段であることを特徴とする請求項1記載の医用画像表示装置。
【請求項3】
前記第1の条件取得手段は、前記基準断面の中心位置および該基準断面を特定する軸を前記第1の条件として取得する手段であり、
前記第2の条件取得手段は、前記対応基準断面の中心位置および該対応基準断面を特定する軸を前記第2の条件として取得する手段であり、
前記第3の条件取得手段は、前記表示断面の中心位置および該表示断面を特定する軸を前記第3の条件として取得する手段であり、
前記第4の条件取得手段は、前記対応表示断面の中心位置および該対応表示断面を特定する軸を前記第4の条件として取得する手段であることを特徴とする請求項1または2記載の医用画像表示装置。
【請求項4】
前記第4の条件算出手段は、前記基準断面の中心位置と前記表示断面の中心位置とのシフト量である第1のシフト量、および前記基準断面を特定する軸の角度と前記表示断面を特定する軸の角度とのシフト量である第2のシフト量を算出し、前記対応基準断面の中心位置を前記第1のシフト量シフトさせるとともに、前記対応基準断面を特定する軸の方向を前記第2のシフト量シフトさせることにより、前記対応表示断面の中心位置および該対応表示断面を特定する軸を取得する手段であることを特徴とする請求項3記載の医用画像表示装置。
【請求項5】
前記基準断面が複数の場合、1つの基準断面を特定する特定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の医用画像表示装置。
【請求項6】
前記3次元医用画像が、心臓を含む画像であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の医用画像表示装置。
【請求項7】
前記基準断面が、心尖部左心室長軸断面、心尖部四腔断面、心尖部二腔断面および左室短軸断面の少なくとも1つであることを特徴とする請求項6記載の医用画像表示装置。
【請求項8】
前記第4の条件の調整を受け付ける調整手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の医用画像表示装置。
【請求項9】
同一部位についての複数シリーズの3次元医用画像における互いに対応する断面の画像を表示する医用画像表示方法において、
第1の条件取得手段が、前記複数シリーズの3次元医用画像のうちの第1の3次元医用画像における、少なくとも1つの基準断面の位置を特定する第1の条件を取得し、
第2の条件取得手段が、前記複数シリーズの3次元医用画像のうちの前記第1の3次元医用画像以外の第2の3次元医用画像における、前記少なくとも1つの基準断面と解剖学的に同一位置の少なくとも1つの対応基準断面の位置を特定する第2の条件を取得し、
第3の条件取得手段が、前記第1の3次元医用画像における、表示断面を特定する第3の条件を取得し、
第4の条件取得手段が、前記第1の条件、前記第2の条件および前記第3の条件に基づいて、前記第2の3次元医用画像における、前記第1の3次元医用画像の前記表示断面と解剖学的に同一位置の対応表示断面を特定する第4の条件を取得することを特徴とする医用画像表示方法。
【請求項10】
同一部位についての複数シリーズの3次元医用画像における互いに対応する断面の画像を表示する医用画像表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラムにおいて、
前記複数シリーズの3次元医用画像のうちの第1の3次元医用画像における、少なくとも1つの基準断面の位置を特定する第1の条件を取得する手順と、
第2の条件取得手段が、前記複数シリーズの3次元医用画像のうちの前記第1の3次元医用画像以外の第2の3次元医用画像における、前記少なくとも1つの基準断面と解剖学的に同一位置の少なくとも1つの対応基準断面の位置を特定する第2の条件を取得する手順と、
第3の条件取得手段が、前記第1の3次元医用画像における、表示断面を特定する第3の条件を取得する手順と、
第4の条件取得手段が、前記第1の条件、前記第2の条件および前記第3の条件に基づいて、前記第2の3次元医用画像における、前記第1の3次元医用画像の前記表示断面と解剖学的に同一位置の対応表示断面を特定する第4の条件を取得する手順とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−120825(P2011−120825A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282887(P2009−282887)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100104189
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 勲将
【Fターム(参考)】