説明

医用画像装置およびその制御プログラム

【課題】主記憶部から補助記憶部へデータ移行を行なうにあたり、主記憶部に記憶された医用画像に関するデータの中から、装置の使い勝手が良好になるようなデータが前記補助記憶部に記憶するデータとして選ばれるようにすることができる医用画像装置を提供する。
【解決手段】医用画像に関するデータがハードディスクドライブ6に記憶された被検体のうち、前記医用画像に関するデータが記憶再生装置8に挿入された可搬型記憶媒体Mに記憶される対象となる被検体として、所定の期間内に前記ハードディスクドライブ6への医用画像に関するデータの記憶が行なわれていない被検体B及び被検体Dを抽出する抽出部を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体に関する医用画像を撮影する医用画像装置及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像装置としては、例えば超音波診断装置、X線CT(Comuputed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などが知られている。このうち、例えば超音波診断装置においては、被検体の超音波画像に関するデータをハードディスクドライブなどで構成される主記憶部に記憶するようになっている。しかし、前記主記憶部の記憶容量には限界がある。そこで、前記主記憶部に記憶された医用画像に関するデータをDVDなどの補助記憶部に移行させる必要性が生じる。
【0003】
しかし、前記補助記憶部に移行させるデータを操作者が手作業で指定するのは煩雑である。そこで、特許文献1では、主記憶部の使用データ容量が所定量を超えた場合に、補助記憶部に前記データを自動的に記憶させるとともにそのデータを前記主記憶部から消去することにより、前記主記憶部から前記補助記憶部へのデータの移行を行なうようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−326209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記主記憶部の使用データ容量が所定量を超えた場合に、前記補助記憶部に記憶するデータとして、前記主記憶部における記憶を行なった日付が古いデータを抽出するようにすると、例えば継続的に超音波画像の撮影が行なわれてそのデータが記憶される被検体についての超音波画像に関するデータも、古いものについては前記補助記憶部に記憶するデータとして抽出されることになる。しかし、継続的に撮影を行なうような被検体については、診断の際に古いデータも参照したい場合がある。従って、上述のようにして抽出された超音波画像に関するデータが、前記主記憶部から前記補助記憶部であるDVDへ移行されてしまうと、そのDVDを探さなければならず非常に煩雑である。このようなことから、前記補助記憶部へ記憶するデータの抽出を、使い勝手を損なわないように行なうことが望まれている。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、主記憶部から補助記憶部へデータ移行を行なうにあたり、主記憶部に記憶された医用画像に関するデータの中から、装置の使い勝手が良好になるようなデータが前記補助記憶部に記憶するデータとして選ばれるようにすることができる医用画像装置及びその制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、第1の観点の発明は、被検体の医用画像に関するデータが記憶されるとともに、該医用画像に関するデータが記憶された日付を示す日付情報が記憶された主記憶部と、該主記憶部とは別に設けられた補助記憶部と、前記医用画像に関するデータが前記主記憶部に記憶された被検体のうち、前記医用画像に関するデータが前記補助記憶部に記憶される対象となる被検体として、所定の期間内に前記主記憶部への医用画像に関するデータの記憶が行なわれていない被検体を、前記日付情報を参照して抽出する抽出部と、を備えることを特徴とする医用画像装置である。
【0008】
第2の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記抽出部による抽出があった場合に、操作者に対するメッセージを表示するメッセージ表示制御部を備えることを特徴とする医用画像装置である。
【0009】
第3の観点の発明は、第1又は第2の観点の発明において、前記抽出部により抽出された被検体について前記主記憶部に記憶された医用画像に関するデータを、前記補助記憶部に記憶させるとともに、前記主記憶部から消去するデータ移行部と、を備えることを特徴とする医用画像装置である。
【0010】
第4の観点の発明は、第1又は第2の観点の発明において、前記抽出部により抽出された被検体について前記主記憶部に記憶された医用画像に関するデータを、前記補助記憶部に記憶させるデータコピー部と、前記主記憶部の記憶可能容量が所定量以下になった場合に、前記日付情報を参照して、前記主記憶部に記憶された医用画像に関するデータのうち、最新のデータの記憶日が古い被検体のデータから順に消去するデータ消去部と、を備えることを特徴とする医用画像装置である。
【0011】
第5の観点の発明は、第1〜4のいずれか一の観点の発明において、前記主記憶部への医用画像に関するデータの記憶が、前記所定の期間内に行なわれていない被検体であっても、前記補助記憶部への記憶を行なわない被検体を設定する被検体設定部を備えることを特徴とする医用画像装置である。
【0012】
第6の観点の発明は、第1〜5のいずれか一の観点の発明において、前記抽出部による被検体の抽出の際に用いる前記所定の期間を設定する期間設定部を備えることを特徴とする医用画像装置である。
【0013】
第7の観点の発明は、第1〜6のいずれか一の観点の発明において、前記医用画像に関するデータは、被検体毎に形成される階層構造のデータ群の一部であることを特徴とする医用画像装置である。
【0014】
第8の観点の発明は、第1〜7のいずれか一の観点の発明において、前記医用画像は、超音波画像、X線CT画像又はMRI画像のいずれかであることを特徴とする医用画像装置である。
【0015】
第9の観点の発明は、コンピュータに、主記憶部に医用画像に関するデータが記憶された被検体のうち、前記医用画像に関するデータが、前記主記憶部とは別に設けられた補助記憶部に記憶される対象となる被検体として、所定の期間内に前記主記憶部への医用画像に関するデータの記憶が行なわれていない被検体を、前記主記憶部に前記医用画像に関するデータが記憶された日付を示す日付情報を参照して抽出する抽出機能を実行させることを特徴とする医用画像装置の制御プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、前記医用画像に関するデータが前記主記憶部に記憶された被検体のうち、前記医用画像に関するデータが前記補助記憶部に記憶される対象となる被検体として、所定の期間内に前記主記憶部への医用画像に関するデータの記憶が行なわれていない被検体を抽出するようにすることにより、例えば継続的に医用画像の撮影を行なう被検体は抽出されないことになる。従って、前記主記憶部から前記補助記憶部へデータ移行を行なうにあたり、装置の使い勝手が良好になるようなデータが前記補助記憶部に記憶するデータとして選ばれるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す超音波診断装置のハードディスクドライブに記憶されるデータ群の一例を示す図である。
【図3】第一実施形態の超音波診断装置における制御部の機能ブロック図である。
【図4】第一実施形態の超音波診断装置における作用を示すフローチャートである。
【図5】抽出部による被検体の抽出の具体例を説明するための図である。
【図6】第二実施形態の超音波診断装置における制御部の機能ブロック図である。
【図7】第二実施形態の超音波診断装置における作用を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態では本発明に係る医用画像装置の一例として超音波診断装置を例にして説明する。
【0019】
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について図1〜図5に基づいて説明する。図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信部3、エコー処理部4、メモリ5、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)6、表示部7を備え、さらに記憶再生装置8、制御部9、操作部10を備える。
【0020】
前記超音波プローブ2は、生体組織に対して超音波を送信し、そのエコーを受信する。前記送受信部3は、前記超音波プローブ2を所定のスキャンパラメータで駆動させてスキャン面を走査させ、また前記超音波プローブ2で得られたエコー信号について、整相加算処理等の信号処理を行なう。
【0021】
前記エコー処理部4は、前記送受信部3から出力された音線毎のエコー信号に対し、対数圧縮処理、包絡線検波処理等のBモード処理を行い、BモードデータBDを作成する。
【0022】
前記メモリ5は、バッファメモリであり、前記エコー処理部4から出力されたBモードデータBDが格納される。そして、前記メモリ5に記憶されたBモードデータBDのうち、前記操作部9において指示されたフレームのBモードデータBDが、前記ハードディスクドライブ6に記憶される。ちなみに、このハードディスクドライブ6に記憶されるBモードデータBDは、後述するDSCによって画像データに変換される前のローデータ(Raw Data)である。前記ハードディスクドライブ6は、本発明における主記憶部の実施の形態の一例である。前記BモードデータBDは、本発明における医用画像に関するデータの実施の形態の一例である。
【0023】
ここで、前記BモードデータBDは、被検体毎に形成されるデータ群Dの一部として、前記ハードディスクドライブ6に記憶される。前記データ群Dの一例を図2に示す。前記データ群Dは、階層構造になっており、最上位階層である被検体データPDと、この被検体データPDの下の階層であるExamデータEDと、さらにこのExamデータED1〜ED3の下の階層であるBモードデータBDからなっている。図2には、被検体Aについてのデータ群Dを一例として示したが、前記ハードディスクドライブ6には、前記のような階層構造のデータ群Dが被検体毎に記憶されている。
【0024】
前記被検体データPDは、被検体の氏名情報やID情報を含んでいる。これら氏名情報やID情報は前記操作部10において入力される。また、前記ExamデータEDは、本例ではExamデータED1,ED2,ED3からなる。各ExamデータED1〜ED3は、BモードデータBDの一連の撮影毎(例えば一回の検査毎)に生成され、撮影を行なった日付(年月日)情報を含んでいる。
【0025】
前記BモードデータBDとしては、前記ExamデータED1についてのBモードデータBD11,BD12,BD13と、前記ExamデータED2についてのBモードデータBD21,BD22と、前記ExamデータED3についてのBモードデータBD31,BD32,BD33とを有している。
【0026】
ちなみに、前記日付情報としては、年月日のほか時刻が含まれていてもよい。前記日付情報は、本発明における日付情報の実施の形態の一例である。
【0027】
前記表示部6は、例えばグラフィックディスプレイ(graphic display)と、DSC(Digital Scan Converter)とを有している(いずれも図示省略)。前記表示部6においては、前記メモリ5から出力されたBモードデータBDが、前記DSCによって前記グラフィックディスプレイに表示する画像データに変換され、この画像データに基づくBモード画像が前記グラフィックディスプレイに表示されるようになっている。
【0028】
前記記憶再生装置8は、DVDなどの可搬型記憶媒体Mを挿脱自在であり、この可搬型記憶媒体Mに対してデータを記憶し、またこの可搬型記憶媒体Mに記憶されたデータの再生を行なうようになっている。前記記憶再生装置8及び前記可搬型記憶媒体Mは、本発明における補助記憶部の実施の形態の一例である。
【0029】
前記可搬型記憶媒体Mとしては、DVDのみならず、CDなどの各種光ディスク、各種光磁気ディスク、フレキシブル・ディスクなどの各種磁気ディスク、半導体メモリ、リムーバブルハードディスク等の各種方式のメディアを用いることができる。また、前記超音波診断装置1をネットワークを介してサーバ(図示省略)と接続し、このサーバーを前記記憶再生装置8及び前記可搬型記憶媒体Mの代わりとして機能させてもよい。この場合、前記サーバは本発明における補助記憶部の実施の形態の一例である。
【0030】
前記制御部9は、CPU(Central Processing Unit)を有して構成され、前記ハードディスクドライブ6に記憶された制御プログラムを読み出し、前記超音波診断装置1の各部における機能を実行させる。また、前記制御部9は、図3に示すように抽出部91、メッセージ表示制御部92、データ移行部93、期間設定部94、フラグ設定部95を有し、これら各部による機能を実行させる。
【0031】
前記抽出部91は、前記BモードデータBDが前記ハードディスクドライブ6に記憶された被検体のうち、前記BモードデータBDを含む前記データ群Dが、前記可搬型記憶媒体Mに記憶される対象となる被検体として、所定の期間内に前記ハードディスクドライブ6へのBモードデータBDの記憶が行なわれていない被検体を、前記日付情報を参照して抽出する。前記抽出部91は、本発明における抽出部の実施の形態の一例である。
【0032】
また、前記メッセージ表示制御部92は、前記抽出部91による抽出があった場合に、操作者に対するメッセージを前記グラフィックディスプレイに表示する。メッセージの具体的内容については後述する。前記メッセージ表示制御部92は、本発明におけるメッセージ表示制御部の実施の形態の一例である。
【0033】
前記データ移行部93は、前記抽出部91により抽出された被検体について前記ハードディスクドライブ6に記憶されたBモードデータBDを含む前記データ群Dを、前記記憶再生装置8へ送信して前記可搬型記憶媒体Mに記憶させるとともに前記ハードディスクドライブ6から消去するデータ移行を行なう。前記データ移行部93は、本発明におけるデータ移行部の実施の形態の一例である。
【0034】
前記期間設定部94は、前記抽出部91による被検体の抽出の際に用いる前記所定の期間を設定する。前記期間設定部94は、本発明における期間設定部94の実施の形態の一例である。
【0035】
前記フラグ設定部95は、前記ハードディスクドライブ6へのBモードデータBDの記憶が、前記所定の期間内に行なわれていない被検体であっても、前記抽出部91による抽出の対象とはせず、前記可搬型記憶媒体Mへの記憶を行なわない被検体にフラグを設定する。前記フラグ設定部95は、本発明における被検体設定部の実施の形態の一例である。
【0036】
前記操作部9は、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード及びポインティングデバイス(図示省略)などを含んで構成されている。この操作部10においては、例えば前記抽出部91による被検体の抽出の際に用いる前記所定の期間を入力する。また、前記操作部10においては、前記ハードディスクドライブ6へのBモードデータの記憶が、前記所定の期間内に行なわれていない被検体であっても、前記抽出部91によって抽出の対象とせず、前記可搬型記憶媒体Mへの記憶を行なわない被検体を指定するようになっている。
【0037】
さて、本例の超音波診断装置1において、前記ハードディスクドライブ6に記憶されたBモードデータBDを含むデータ群Dを前記可搬型記憶媒体Mへ移行させる際の作用について図4に基づいて説明する。この図4において、先ずステップS1では、前記抽出部91によって抽出を行なう際に用いる所定の期間を前記操作部10において入力する。ここでは、前記所定の期間として1年が入力されたとする。これにより、前記期間設定部94は、前記抽出部91によって抽出を行なう際に用いる所定の期間を1年に設定する。
【0038】
次に、ステップS2では、前記抽出部91による抽出を定期的に行なう定期抽出処理を開始する。前記抽出部91による抽出のタイミングは、予め前記操作部10において入力されて設定されるものとする。そして、前記抽出部91は、抽出のタイミングになると、ステップS3において、1年以内に前記ハードディスクドライブ6へのBモードデータBDの記憶が行なわれていない被検体を、ExamデータEDにおける前記日時情報を参照して抽出する。
【0039】
前記ステップS3における前記抽出部9による抽出について詳細に説明する。前記抽出部91は、各被検体におけるExamデータEDにおいて最も新しい日付情報が1年以上前である被検体を抽出する。例えば、図2に示す被検体AのExamデータ1〜3において、前記Examデータ1の日付情報が2009年2月1日であり、前記Examデータ2の日付情報が2008年11月1日であり、前記Examデータ3の日付情報が2008年2月1日であったとすると、前記抽出部9は最新の日付情報を有する前記Examデータ1の日付情報を参照して、被検体AについてのBモードデータBDが1年以内に前記ハードディスクドライブ6に記憶されているか否か判断する。
【0040】
また、1年以内に前記ハードディスクドライブ6へのBモードデータBDの記憶が行なわれていない被検体であっても、前記抽出部91による抽出の対象とはしない被検体が予め前記操作部10において入力され、前記フラグ設定部95によってフラグが設定されている被検体については、1年以内に前記ハードディスクドライブ6への記憶が行なわれていなかったとしても、前記抽出部91による抽出の対象とはしない。
【0041】
前記抽出部91による抽出について、図5に基づいてさらに具体的に説明する。抽出時の日付が2009年4月1日であるとすると、被検体Aについては最も新しい日付情報が2009年2月1日なので1年以上経過しておらず、抽出の対象とはしない。被検体Bについては、最も新しい日付情報が2008年3月1日なので1年以上経過しており抽出の対象とする。被検体Cについては、最も新しい日付情報が2007年2月1日であり1年以上経過しているが、フラグが設定されているので抽出の対象とはしない。被検体Dについては、最も新しい日付情報が2008年3月15日であり1年以上経過しているので抽出の対象とする。被検体Eについては、最も新しい日付情報が2006年11月21日であり1年以上経過しているが、フラグが設定されているので抽出の対象とはしない。
【0042】
ステップS3において、1年以内に前記ハードディスクドライブ6へのBモードデータBDの記憶が行なわれていない被検体が抽出されなかった場合、後述のステップS7へ移行する。一方、ステップS3において被検体が抽出された場合、ステップS4へ移行し、前記メッセージ表示制御部92が、BモードデータBDを含むデータ群Dのデータ移行を行なうように促す旨のメッセージを前記グラフィックディスプレイに表示する。
【0043】
次に、ステップS5では、前記抽出部91によって抽出された被検体について前記ハードディスクドライブ6に記憶されたデータ群Dの前記可搬型記憶媒体Mへのデータ移行を行なうか否かを、操作者が前記操作部10において指示する。このステップS5において、データ移行を行なうか否かを操作者に問うメッセージを前記グラフィックディスプレイに表示してもよい。
【0044】
前記ステップS5においてデータ移行を行わない指示が行なわれると(ステップS5においてNO)、ステップS7の処理へ移行する。一方、前記ステップS5においてデータ移行を行なう指示が行なわれると(ステップS5においてYES)、ステップS6の処理へ移行する。このステップS6では、前記データ移行部93が、前記抽出部91によって抽出された被検体についてのデータ群Dを、前記ハードディスクドライブ6から前記記憶再生装置8へ送信して前記可搬型記憶媒体Mに記憶させるとともに、前記ハードディスクドライブ6から消去する。
【0045】
次に、ステップS7では、定期抽出処理を継続するか否かを操作者が指示する。このステップS7において、定期抽出処理を継続するか否かを問うメッセージを前記グラフィックディスプレイに表示してもよい。定期抽出処理を継続する場合は(ステップS7においてYES)、前記ステップS3の処理へ戻る。一方、定期抽出処理を継続しない場合は(ステップS7においてNO)、処理を終了する。
【0046】
以上説明した本例の超音波診断装置1によれば、継続的にBモード画像の撮影を行なうような被検体は、前記抽出部91による抽出の対象から外すことができる。例えば、上述のように、被検体Aについての最も古いデータであるExamデータED3の日付情報は2008年2月1日であり1年以上経過しているが、最新のデータであるExamデータED1の日付情報は2009年2月1日であるので、前記抽出部91による抽出の対象から外れる。これにより、継続的にBモード画像の撮影を行なうような被検体については、前記ハードディスクドライブ6に全てのExamにおけるBモードデータBDが記憶されているので、診断の際に可搬型記憶媒体Mを探す必要はない。一方、長期にわたってBモード画像が撮影されていない被検体Bや被検体Dが、データ移行を行なう対象として抽出される。以上により、装置の使い勝手が良好になるようなBモードデータBDがデータ移行の対象として選ばれることになる。
【0047】
次に、第一実施形態の変形例について説明する。図4におけるフローにおいて、前記ステップS4,S5の処理を行なわず、前記ステップS3の処理の後に、前記ステップS6の処理へ移行してもよい。すなわち、前記ステップS3において前記抽出部91によって被検体が抽出された場合に、前記ステップS6の処理へ移行して、自動的に前記データ移行部93によるデータの移行を行なうようにしてもよい。
【0048】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について図6及び図7に基づいて説明する。なお、上記第一実施形態と異なる部分についてのみ説明するものとする。
【0049】
図6に示すように、本例の制御部9は、前記データ移行部93の代わりに、データコピー部96とデータ消去部97とを有している。前記データコピー部96及びデータ消去部97は、本発明におけるデータコピー部及びデータ消去部の実施の形態の一例である。詳細は後述する。
【0050】
また、前記制御部9は、前記ハードディスクドライブ6の記憶可能容量を監視する容量監視部98を有している。
【0051】
第二実施形態の超音波診断装置1の作用について図7に基づいて説明する。 図7に示すフローにおいて、ステップS11〜S14までは、第一実施形態で説明したステップS1〜S4までの処理と同じである。ただし、ステップS13において、1年以内に前記ハードディスクドライブ6へのBモードデータBDの記憶が行なわれていない被検体が抽出されなかった場合は、後述のステップS19へ移行する。
【0052】
本例ではステップS14の次のステップS15では、前記抽出部91によって抽出された被検体について前記ハードディスクドライブ6に記憶されたデータ群Dの前記可搬型記憶媒体Mへの記憶(コピー)を行なうか否かを、操作者が前記操作部10において指示する。このステップS5において、記憶を行なうか否かを操作者に問うメッセージを前記グラフィックディスプレイに表示してもよい。
【0053】
前記ステップS15において記憶を行なわない指示が行なわれると(ステップS15においてNO)、ステップS19の処理へ移行する。一方、ステップS15において記憶を行なう指示が行なわれると(ステップS15においてYES)、ステップS16の処理へ移行し、このステップS16において、前記抽出部91によって抽出された被検体について前記ハードディスクドライブ6に記憶されたデータ群Dの前記可搬型記憶媒体Mへの記憶を、前記データコピー部96が行なう。
【0054】
次に、ステップS17では、前記容量監視部98が前記ハードディスクドライブ6の記憶可能容量が所定の容量以下か否かを判断する。ちなみに、この判断を行う基準である前記所定の容量は、操作者が予め前記操作部10において入力することにより設定されるようになっていてもよい。
【0055】
前記ステップS17において前記ハードディスクドライブ6の記憶可能容量が所定の容量以下になっていないと判断された場合(ステップS17においてNO)、ステップS19の処理へ移行する。一方、ステップS17において前記ハードディスクドライブ6の記憶可能容量が所定の容量以下であると判断された場合(ステップS17においてYES)、ステップS18の処理へ移行する。このステップS18では、前記抽出部91によって抽出された被検体について前記ハードディスクドライブ6に記憶されるとともに、前記ステップS16において前記可搬型記憶媒体Mにコピーされたデータ群Dを、前記データ消去部97が前記ハードディスクドライブ6から消去する。
【0056】
次に、ステップS19では、第一実施形態のステップS7と同様の処理を行なう。
【0057】
以上説明した第二実施形態によっても、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。また、前記抽出部91によって抽出されて前記可搬型記憶媒体Mに記憶された被検体のBモード画像データは、前記ハードディスクドライブ6の記憶可能容量が所定の容量以下になるまでは前記ハードディスクドライブ6にも記憶されたままの状態なので、前記抽出部91によって抽出された被検体が、万が一来院して診断を行なうような場合であっても、可搬型記憶媒体Mを探す必要はなくBモードデータへのアクセスが容易である。
【0058】
次に、第二実施形態の変形例について説明する。図7におけるフローにおいて、前記ステップS14,S15,S17の処理を行なわず、前記ステップS13において前記抽出部91によって被検体が抽出された場合に、前記ステップS16の処理へ移行して、自動的に前記データコピー部96による前記可搬型記憶媒体Mへの記憶を行ない、またこのステップS16の処理の後に、ステップS18の処理へ移行して、前記データ消去部97による消去を行うようにしてもよい。
【0059】
以上、本発明を前記各実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、前記各実施形態では、本発明における医用画像に関するデータの一例としてBモードデータを挙げて説明したが、これに限られるものではなく、例えばBモードとカラードプラモードとを重畳した超音波画像や、Mモード画像など、他の超音波画像に関するデータであってもよい。また、医用画像は超音波画像に限られるものではなく、例えばX線CT画像やMRI画像などであってもよい。
【0060】
さらに、第一実施形態において、前記抽出部91によって抽出されなかった被検体に関するExamデータや医用画像に関するデータの中から、前記データ移行部93によるデータ移行を行なうデータを任意に選択できるようにし、選択されたデータの移行を行うようにしてもよい。また、第二実施形態において、前記抽出部91によって抽出されなかった被検体に関するExamデータや医用画像に関するデータの中から、前記データコピー部96による前記可搬型記憶媒体Mへの記憶を行なうデータを任意に選択できるようにし、選択されたデータの前記可搬型記憶媒体Mへの記憶を行ってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 超音波診断装置
6 ハードディスクドライブ(主記憶部)
8 記憶再生装置(補助記憶部)
M 可搬型記憶媒体(補助記憶部)
91 抽出部
92 メッセージ表示制御部
93 データ移行部
94 期間設定部
95 フラグ設定部(被検体設定部)
96 データコピー部
97 データ消去部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の医用画像に関するデータが記憶されるとともに、該医用画像に関するデータが記憶された日付を示す日付情報が記憶された主記憶部と、
該主記憶部とは別に設けられた補助記憶部と、
前記医用画像に関するデータが前記主記憶部に記憶された被検体のうち、前記医用画像に関するデータが前記補助記憶部に記憶される対象となる被検体として、所定の期間内に前記主記憶部への医用画像に関するデータの記憶が行なわれていない被検体を、前記日付情報を参照して抽出する抽出部と、
を備えることを特徴とする医用画像装置。
【請求項2】
前記抽出部による抽出があった場合に、操作者に対するメッセージを表示するメッセージ表示制御部を備えることを特徴とする請求項1に記載の医用画像装置。
【請求項3】
前記抽出部により抽出された被検体について前記主記憶部に記憶された医用画像に関するデータを、前記補助記憶部に記憶させるとともに、前記主記憶部から消去するデータ移行部と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の医用画像装置。
【請求項4】
前記抽出部により抽出された被検体について前記主記憶部に記憶された医用画像に関するデータを、前記補助記憶部に記憶させるデータコピー部と、
前記主記憶部の記憶可能容量が所定量以下になった場合に、前記日付情報を参照して、前記主記憶部に記憶された医用画像に関するデータのうち、最新のデータの記憶日が古い被検体のデータから順に消去するデータ消去部と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の医用画像装置。
【請求項5】
前記主記憶部への医用画像に関するデータの記憶が、前記所定の期間内に行なわれていない被検体であっても、前記補助記憶部への記憶を行なわない被検体を設定する被検体設定部を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の医用画像装置。
【請求項6】
前記抽出部による被検体の抽出の際に用いる前記所定の期間を設定する期間設定部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の医用画像装置。
【請求項7】
前記医用画像に関するデータは、被検体毎に形成される階層構造のデータ群の一部であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の医用画像装置。
【請求項8】
前記医用画像は、超音波画像、X線CT画像又はMRI画像のいずれかであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の医用画像装置。
【請求項9】
コンピュータに、
主記憶部に医用画像に関するデータが記憶された被検体のうち、前記医用画像に関するデータが、前記主記憶部とは別に設けられた補助記憶部に記憶される対象となる被検体として、所定の期間内に前記主記憶部への医用画像に関するデータの記憶が行なわれていない被検体を、前記主記憶部に前記医用画像に関するデータが記憶された日付を示す日付情報を参照して抽出する抽出機能を実行させる
ことを特徴とする医用画像装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−273753(P2010−273753A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127319(P2009−127319)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】