説明

医用画像診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラム

【課題】 医用画像に埋め込まれた付帯情報を好適に自動消去できる技術を提供する。
【解決手段】 本発明に係る医用画像診断装置1は、被検体の内部形態を反映するデータに基づいて医用画像を形成する画像形成部10と、その医用画像に基づく出力用画像に埋め込まれた付帯情報を抽出する付帯情報抽出部15と、その抽出された付帯情報を出力用画像から消去する付帯情報消去部17と、付帯情報が消去された出力用画像を外部データベース30に出力する通信インターフェイス18と、付帯情報が消去された出力用画像を画像出力媒体40に出力する画像出力インターフェイス19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムに関し、より具体的には、医用画像に埋め込まれた付帯情報を消去する技術に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、X線撮影装置、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置、核医学診断装置などの各種医用画像診断装置が、医療現場において広く用いられている。このような医用画像診断装置によって取得された医用画像は、各種の付帯情報とともにモニタ表示され、読影作業等に供される。
【0003】
この「付帯情報」は、医用画像上に事後的に付加される情報を意味し、任意の言語の表記文字(たとえば漢字、平仮名、片仮名、アルファベット、数字等)の組み合わせを含む文字列情報や、各種の記号(たとえば句読点、括弧、コロン等)からなる記号情報などによって形成されている。なお、記号情報をも含めて「文字」という用語を用いることがある。
【0004】
文字列情報の一例としては、患者ID、生年月日、性別等の患者の個人情報や、検査年月日、検査時刻、検査部位、検査条件、画像番号等の検査情報などがある。
【0005】
付帯情報が付加された医用画像をモニタ表示する場合、一般に、以下に説明する第1、2の表示態様のいずれかが適用される。
【0006】
第1の表示態様は、医用画像診断装置により取得された医用画像の画像データと付帯情報のデータとがそれぞれ別個に形成されている場合(たとえば特許文献1参照)に、それらを重ね合わせて出力用画像を形成し、その出力用画像をモニタ表示する手法である。この手法にて表示される医用画像としては、CT画像やMRI画像のように、被検体の内部形態を反映するデータを収集し、それを再構成して得られる医用画像などがある。
【0007】
一方、第2の表示態様は、医用画像に付帯情報を埋め込んで出力用画像を形成し、それをモニタ表示する手法である。すなわち、画像表示時に2つのデータ(医用画像、付帯情報)を重ね合わせる第1の表示態様に対し、この第2の表示態様は、それら2つのデータを事前に単一データ(出力用画像)に加工し、それをモニタ表示する点が異なる。
【0008】
この第2の表示態様が適用される出力用画像としては、医用画像をリアルタイム表示するときの表示画面のキャプチャ画像などがある。たとえば超音波診断装置によるリアルタイム診断時の表示画面には、順次得られる超音波画像とともに患者ID等の付帯情報が同時に表示されている。そのキャプチャ画像は、超音波画像に付帯情報を埋め込んだ単一のデータとして保存される。
【0009】
ところで、医用画像を学会や論文等で発表したりホームページ等に掲載する場合、あるいは、医用画像を郵送したりインターネット経由で送信する場合などには、患者のプライバシー保護等の観点から、その医用画像に付加された付帯情報を消去しておく必要がある。なお、「付帯情報を消去する」とは、医用画像を表示させるときに当該付帯情報を隠蔽すること、すなわち当該付帯情報を視認不可能な状態にすることを意味する。
【0010】
上記第1の表示態様にて表示される医用画像については、その医用画像の画像データと付帯情報のデータとがそれぞれ別々に形成されているので、画像データのみを選択的に表示処理に供することにより、付帯情報が消去された医用画像を容易にモニタ表示することが可能である。
【0011】
一方、上記第2の表示態様にて表示される医用画像については、付帯情報が医用画像に埋め込まれているため、医用画像中から付帯情報のみを選択的に消去することは容易でない。現状においては、画像編集用のソフトウェア等を利用して付帯情報を手作業で消去する方法(たとえば、付帯情報に相当する画像領域を塗りつぶす方法等)などが適用されている。
【0012】
また、医用画像内の特定の画像領域に付帯情報を表示させるようにし、その特定の画像領域内を自動的に塗りつぶすことでその付帯情報を消去する構成を適用することも可能である。
【0013】
【特許文献1】特開2005−81083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、付帯情報の消去を手作業で行う場合、操作者がどんなに注意を払っていたとしても、人為的な消去ミスが発生する可能性を拭い去ることはできない。特に、付帯情報が患者の画像上に重なって表示されている場合に人為的消去ミスが発生すると、画像自体が改ざんされて誤診を引き起こすおそれがある。更に、そのような手作業は煩雑であり、長時間を要することがある。
【0015】
また、特定画像領域に表示された付帯情報を自動消去する構成においては、次のような問題が指摘されている。実用上、付帯情報の表示位置を変更したり、表示させる付帯情報を変更することがある。その場合、付帯情報を消去する度毎に、その表示領域を指定してやる必要がある。したがって、処理の自動化を図ったはずが、結局、手作業が介在してしまい不便である。
【0016】
また、消去すべき付帯情報と消去の必要のない付帯情報とが混在する医用画像もあるが、従来の手法では、前者のみを選択的に自動消去することができないため、それらを手動で選択しなければならなかった。
【0017】
更に、付帯情報の消去に伴う医用画像の喪失範囲は小さい方が良いが、従来の手法では、喪失範囲が必要以上となる場合があった。たとえば、特定の画像領域を自動的に塗りつぶす構成においては、付帯情報の実際の表示範囲(たとえば氏名の長さ)に関係なくその画像領域全体が塗りつぶされてしまう。
【0018】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたもので、医用画像に埋め込まれた付帯情報を好適に自動消去することが可能な技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、被検体の内部形態を反映するデータに基づいて医用画像を形成する画像形成手段を有する医用画像診断装置であって、前記医用画像に付帯情報を埋め込んで形成された出力用画像に埋め込まれた付帯情報を抽出する抽出手段と、前記抽出された付帯情報を前記出力用画像から消去する消去手段と、前記付帯情報が消去された出力用画像を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0020】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医用画像診断装置であって、前記付帯情報は文字列情報を含み、前記抽出手段は、前記出力用画像の全体を解析して、当該出力用画像に埋め込まれた文字列情報を各文字毎に抽出する、ことを特徴とする。
【0021】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の医用画像診断装置であって、前記抽出された文字の輪郭を検出する輪郭検出手段を更に備え、前記消去手段は、前記検出された輪郭の内部領域のピクセルのピクセル値を所定の値に変更することにより文字列情報を消去する、ことを特徴とする。
【0022】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の医用画像診断装置であって、前記消去手段は、前記抽出された文字及びその周辺領域からなる領域を複数の部分領域に分割する分割手段と、前記複数の部分領域のうち前記文字に相当する領域を含む各部分領域について、前記周辺領域に相当する部分周辺領域の各ピクセルのピクセル値を取得するピクセル値取得手段と、前記各部分領域について、前記取得されたピクセル値に基づき、前記部分周辺領域において最大範囲を占めるピクセル値を選択するピクセル値選択手段と、を備え、前記各部分領域の各ピクセルのピクセル値を前記選択されたピクセル値に変更することにより前記文字を消去する、
ことを特徴とする。
【0023】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の医用画像診断装置であって、前記抽出手段により付帯情報が抽出された出力用画像を解析し、前記被検体の内部形態を表す被検体画像と前記抽出された付帯情報とが重なり合う重畳領域を検出する重畳領域検出手段を更に備え、前記消去手段は、前記抽出された付帯情報のうち、前記検出された重畳領域外の部分を選択的に消去する、ことを特徴とする。
【0024】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の医用画像診断装置であって、前記形成された出力用画像は、複数の静止画像からなる動画像であり、前記抽出手段は、前記動画像の前記複数の静止画像に埋め込まれた付帯情報を各静止画像毎に抽出し、前記消去手段は、前記複数の静止画像のそれぞれから前記抽出された付帯情報を各静止画像毎に消去する、ことを特徴とする。
【0025】
また、請求項11に記載の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の医用画像診断装置であって、前記付帯情報は、1つ以上の文字列情報と、各文字列情報の種類を識別する識別情報とを含み、前記1つ以上の文字列情報のうち消去対象となる文字列情報の前記識別情報を特定する消去対象特定情報をあらかじめ記憶する記憶手段と、前記抽出手段により抽出された識別情報が前記消去対象特定情報により特定されているか判断する消去対象判断手段と、を更に備え、前記消去手段は、前記抽出された識別情報が特定されていると前記判断されたときに、その識別情報により識別される文字列情報を選択的に消去する、ことを特徴とする。
【0026】
また、請求項13に記載の発明は、被検体の内部形態を反映するデータに基づいて形成された医用画像を処理する医用画像処理装置であって、前記医用画像に付帯情報を埋め込んで形成された出力用画像に埋め込まれた付帯情報を抽出する抽出手段と、前記抽出された付帯情報を前記出力用画像から消去する消去手段と、前記付帯情報が消去された出力用画像を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0027】
また、請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の医用画像処理装置であって、前記付帯情報は文字列情報を含み、前記抽出手段は、前記出力用画像の全体を解析して、当該出力用画像に埋め込まれた文字列情報を各文字毎に抽出する、ことを特徴とする。
【0028】
また、請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の医用画像処理装置であって、前記抽出された文字の輪郭を検出する輪郭検出手段を更に備え、前記消去手段は、前記検出された輪郭の内部領域のピクセルのピクセル値を所定の値に変更することにより文字列情報を消去する、ことを特徴とする。
【0029】
また、請求項16に記載の発明は、請求項14に記載の医用画像処理装置であって、前記消去手段は、前記抽出された文字及びその周辺領域からなる領域を複数の部分領域に分割する分割手段と、前記複数の部分領域のうち前記文字に相当する領域を含む各部分領域について、前記周辺領域に相当する部分周辺領域の各ピクセルのピクセル値を取得するピクセル値取得手段と、前記各部分領域について、前記取得されたピクセル値に基づき、前記部分周辺領域において最大範囲を占めるピクセル値を選択するピクセル値選択手段と、を備え、前記各部分領域の各ピクセルのピクセル値を前記選択されたピクセル値に変更することにより前記文字を消去する、ことを特徴とする。
【0030】
また、請求項17に記載の発明は、請求項13に記載の医用画像処理装置であって、前記抽出手段により付帯情報が抽出された出力用画像を解析し、前記被検体の内部形態を表す被検体画像と前記抽出された付帯情報とが重なり合う重畳領域を検出する重畳領域検出手段を更に備え、前記消去手段は、前記抽出された付帯情報のうち、前記検出された重畳領域外の部分を選択的に消去する、ことを特徴とする。
【0031】
また、請求項18に記載の発明は、請求項13ないし請求項17のいずれか一項に記載の医用画像処理装置であって、前記形成された出力用画像は、複数の静止画像からなる動画像であり、前記抽出手段は、前記動画像の前記複数の静止画像に埋め込まれた付帯情報を各静止画像毎に抽出し、前記消去手段は、前記複数の静止画像のそれぞれから前記抽出された付帯情報を各静止画像毎に消去する、ことを特徴とする。
【0032】
また、請求項19に記載の発明は、請求項13ないし請求項18のいずれか一項に記載の医用画像処理装置であって、前記付帯情報は、1つ以上の文字列情報と、各文字列情報の種類を識別する識別情報とを含み、前記1つ以上の文字列情報のうち消去対象となる文字列情報の前記識別情報を特定する消去対象特定情報をあらかじめ記憶する記憶手段と、前記抽出手段により抽出された識別情報が前記消去対象特定情報により特定されているか判断する消去対象判断手段と、を更に備え、前記消去手段は、前記抽出された識別情報が特定されていると前記判断されたときに、その識別情報により識別される文字列情報を選択的に消去する、ことを特徴とする。
【0033】
また、請求項20に記載の発明は、コンピュータを、被検体の内部形態を反映するデータに基づいて形成された医用画像に付帯情報を埋め込んで形成された出力用画像を受け付ける受付手段と、前記受け付けられた出力用画像に埋め込まれた付帯情報を抽出する抽出手段と、前記抽出された付帯情報を前記出力用画像から消去する消去手段と、して機能させることを特徴とする医用画像処理プログラムである。
【0034】
また、請求項21に記載の発明は、請求項20に記載の医用画像処理プログラムであって、前記付帯情報は文字列情報を含み、前記抽出手段を、前記受け付けられた出力用画像の全体を解析して、当該出力用画像に埋め込まれた文字列情報を各文字毎に抽出するように機能させる、ことを特徴とする。
【0035】
また、請求項22に記載の発明は、請求項21に記載の医用画像処理プログラムであって、前記コンピュータを、前記抽出された文字の輪郭を検出する輪郭検出手段として更に機能させ、前記消去手段を、前記検出された輪郭の内部領域のピクセルのピクセル値を所定の値に変更することにより文字列情報を消去するように機能させる、ことを特徴とする。
【0036】
また、請求項23に記載の発明は、請求項21に記載の医用画像処理プログラムであって、前記消去手段を、前記抽出された文字及びその周辺領域からなる領域を複数の部分領域に分割する分割手段と、前記複数の部分領域のうち前記文字に相当する領域を含む各部分領域について、前記周辺領域に相当する部分周辺領域の各ピクセルのピクセル値を取得するピクセル値取得手段と、前記各部分領域について、前記取得されたピクセル値に基づき、前記部分周辺領域において最大範囲を占めるピクセル値を選択するピクセル値選択手段と、して機能させるとともに、前記各部分領域の各ピクセルのピクセル値を前記選択されたピクセル値に変更することにより前記文字を消去するように機能させる、ことを特徴とする。
【0037】
また、請求項24に記載の発明は、請求項20に記載の医用画像処理プログラムであって、前記コンピュータを、前記抽出手段により付帯情報が抽出された出力用画像を解析し、前記被検体の内部形態を表す被検体画像と前記抽出された付帯情報とが重なり合う重畳領域を検出する重畳領域検出手段として更に機能させ、前記消去手段を、前記抽出された付帯情報のうち、前記検出された重畳領域外の部分を選択的に消去するように機能させる、ことを特徴とする。
【0038】
また、請求項25に記載の発明は、請求項20ないし請求項24のいずれか一項に記載の医用画像処理プログラムであって、前記形成された出力用画像は、複数の静止画像からなる動画像であり、前記抽出手段を、前記動画像の前記複数の静止画像に埋め込まれた付帯情報を各静止画像毎に抽出するように機能させ、前記消去手段を、前記複数の静止画像のそれぞれから前記抽出された付帯情報を各静止画像毎に消去するように機能させる、ことを特徴とする。
【0039】
また、請求項26に記載の発明は、請求項20ないし請求項25のいずれか一項に記載の医用画像処理プログラムであって、前記付帯情報は、1つ以上の文字列情報と、各文字列情報の種類を識別する識別情報とを含み、前記コンピュータは、前記1つ以上の文字列情報のうち消去対象となる文字列情報の前記識別情報を特定する消去対象特定情報をあらかじめ記憶する記憶手段を備え、前記コンピュータを、前記抽出手段により抽出された識別情報が前記消去対象特定情報により特定されているか判断する消去対象判断手段として更に機能させ、前記消去手段を、前記抽出された識別情報が特定されていると前記判断されたときに、その識別情報により識別される文字列情報を選択的に消去するように機能させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
請求項1、請求項13又は請求項20に記載の本発明によれば、出力用画像に埋め込まれた付帯情報を抽出し、その抽出された付帯情報を出力用画像から消去して出力するように構成されているので、埋め込まれた付帯情報を画像出力前に好適に自動消去することができる。それにより、従来のように手動で付帯情報を消去する場合のような消去ミスが無くなる。
【0041】
請求項2、請求項14又は請求項21に記載の本発明によれば、出力用画像の全体を解析して、当該出力用画像に埋め込まれた文字列情報(付帯情報)を各文字毎に抽出するように構成されているので、出力用画像の特定位置に埋め込まれた付帯情報だけでなく、任意の位置に埋め込まれた文字についても自動的に抽出して消去することができる。
【0042】
請求項3、請求項15又は請求項22に記載の本発明は、出力用画像から抽出された文字の輪郭を検出し、その検出された輪郭の内部領域のピクセルのピクセル値を所定の値に変更することにより文字列情報を消去するように構成されている。したがって、所定領域内を全て塗りつぶす従来の構成と比較して消去される範囲が小さくなり、画像の喪失範囲も必要最小限程度で済む。
【0043】
請求項4、請求項16又は請求項23に記載の本発明は、まず、出力用画像から抽出された文字及びその周辺領域からなる領域を複数の部分領域に分割し、この複数の部分領域のうち文字に相当する領域を含む各部分領域の部分周辺領域の各ピクセルのピクセル値を取得する。そして、上記各部分領域について、取得されたピクセル値に基づき、部分周辺領域において最大範囲を占めるピクセル値を選択し、上記各部分領域の各ピクセルのピクセル値を、この選択されたピクセル値に変更することで文字を消去するように構成されている。したがって、出力用画像の任意の位置にある文字を消去できるうえ、画像の喪失範囲も必要最小限程度で済む。また、各文字の対象領域の分割を細かくして各部分領域のサイズを小さくすれば、文字の周囲の画像の状況に合わせてその文字を消去することができる。
【0044】
請求項5、請求項17又は請求項24に記載の本発明によれば、出力用画像を解析して被検体画像と付帯情報とが重なり合う重畳領域を検出し、抽出された付帯情報のうち重畳領域外の部分を選択的に消去するように構成されているので、付帯情報の消去時に被検体画像上の情報を変更してしまうことがない。したがって、誤診を招くおそれの低減を図りつつ、付帯情報を消去することができる。
【0045】
請求項8、請求項18又は請求項25に記載の本発明によれば、動画像からなる出力用画像を処理する場合に、この動画像を形成する複数の静止画像に埋め込まれた付帯情報を各静止画像毎に抽出するとともに、複数の静止画像のそれぞれから抽出された付帯情報を各静止画像毎に消去するように構成されているので、動画像を形成する各静止画像中の付帯情報を確実に消去できる。また、動画像からなる出力用画像の処理を円滑に行うことができる。
【0046】
請求項11、請求項19又は請求項26に記載の本発明は、出力用画像から抽出された識別情報が消去対象特定情報により特定されているか判断するとともに、特定されていると判断されたときには、その識別情報により識別される文字列情報を消去するように構成されている。それにより、所望の識別情報を消去対象特定情報により特定させておくことで、出力用画像に埋め込まれた付帯情報(文字列情報)のうちから所望の付帯情報のみを選択的に消去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明に係る医用画像診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムの好適な実施形態の一例について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。
【0048】
以下、本発明に係る第1〜第4の実施形態を説明する。第1の実施形態は、医用画像に埋め込まれた付帯情報の輪郭内を塗りつぶすことで、当該付帯情報を自動消去するものである。第2の実施形態は、第1の実施形態とは異なる付帯情報消去処理を実行するものであり、医用画像に付帯情報が埋め込まれた領域を分割し、各分割領域毎に塗りつぶし処理を行うものである。第3の実施形態は、付帯情報が被検体の画像に重なって埋め込まれているときの付帯情報消去処理に関するものである。第4の実施形態は、埋め込まれた付帯情報のうち所望のものを選択的に消去するものである。
【0049】
[用語の定義]
最初に、以下の説明にて使用する用語を定義しておく。まず、「医用画像」とは、X線CT装置やMRI装置や超音波診断装置や核医学診断装置などの医用画像診断装置により、被検体の内部形態を反映するデータに基づいて形成される画像を意味する。この医用画像は、被検体の内部形態を表す被検体画像と、その背景画像とによって構成される。たとえば、X線CT装置においては、ガントリにより収集された投影データに基づいて再構成されたCT画像が「医用画像」であり、超音波診断装置においては、超音波スキャンにより得られたエコー信号に基づいて形成される超音波画像が「医用画像」である。
【0050】
「付帯情報」とは、前述したように、医用画像の形成後に付加される情報を意味し、任意の言語の表記文字(たとえば漢字、平仮名、片仮名、アルファベット、数字等)の組み合わせを含む文字列情報や、各種の記号(たとえば句読点、括弧、コロン等)からなる記号情報を含む。なお、記号情報をも含む意味で文字(文字列情報)という用語を用いることがある。更に、「付帯情報」には、医療機関のロゴ等の各種マークや、QRコード(登録商標)等の各種イメージ情報なども含まれるものとする(特に、第4の実施形態を参照)。また、第3の実施形態において、付帯情報の様々な具体例を説明する。
【0051】
「出力用画像」とは、医用画像に付帯情報を埋め込んで得られる画像を意味する。たとえば、X線CT装置においては、CT画像に患者ID等を埋め込んで形成された画像が「出力用画像」に相当し、超音波診断装置においては、超音波画像の表示画面上に患者ID等も表示されている場合の、その表示画面のキャプチャ画像などが「出力用画像」に相当する。なお、「埋め込む」とは、医用画像の一部のデータを付帯情報のデータに置換することを意味する。したがって、出力用画像は、医用画像の画像データに付帯情報のデータを一体化して得られる単一の画像データからなる。
【0052】
〈第1の実施形態〉
[装置構成]
図1は、本実施形態に係る医用画像診断装置に相当するX線CT装置の外観構成の一例を表している。同図に示す医用画像診断装置1は、ガントリ2、寝台3、コンピュータ4、モニタ装置5及び入力デバイス6を有する。このような構成は一般的なものであるので、簡単な説明にとどめる。モニタ装置5と入力デバイス6は、この医用画像診断装置1のコンソールとして使用される。
【0053】
被検体(図示せず)は寝台3の天板3A上に配置される。寝台基部3B内には天板3Aを図中矢印方向に駆動する駆動装置が内蔵されている。被検体は、天板3Aとともにガントリ2の開口部2A内にて移動される。ガントリ2の筐体内には、X線を発生するX線管と、X線を検出するX線検出器とが、開口部2Aを挟んで対向する位置に配設されている(図示せず)。X線管とX線検出器は、対向状態を保持したまま開口部2Aの周囲を回転される。
【0054】
コンピュータ4は、天板3Aの移動とX線管及びX線検出器の回転とをそれぞれ制御してX線で被検体をスキャンする。X線検出器による検出データは、コンピュータ4に順次送られて投影データに変換される(前処理)。コンピュータ4は、収集された一連の投影データを再構成して医用画像(CT画像)を形成する。
【0055】
図2のブロック図は、医用画像診断装置1の制御系の構成の一例を表している。医用画像診断装置1は、大別して、装置の動作制御を行う構成と、出力用画像の形成処理を行う構成と、付帯情報の消去処理を行う構成と、画像の出力処理を行う構成とを有している。
【0056】
〔装置の動作制御を行う構成〕
医用画像診断装置1の各部は、制御部21によって動作制御される。制御部21は、コンピュータ4のCPU等のマイクロプロセッサにより構成される。また、プログラム記憶部22には、動作制御用の各種コンピュータプログラムがあらかじめ記憶されている。制御部21は、このプログラム記憶部22に記憶されたプログラムを適宜読み出して後述の各部に実行させる。
【0057】
本実施形態のプログラム記憶部22には、特に、OCR(Optical Character Recognition)プログラム22a、輪郭検出プログラム22b及び情報消去プログラム22cが記憶されている。
【0058】
OCRプログラム22aは、付帯情報中の特に文字列情報の各文字を読み取るためのプログラムである。このOCRプログラム22aとしては、既知のOCRソフトウェアを用いることができる(たとえば、特開2004−265293号公報参照)。
【0059】
輪郭検出プログラム22bは、OCRプログラム22aに基づいて読み取られた各文字の輪郭を検出するためのプログラムである。この輪郭検出プログラム22bとしては、既知の輪郭検出プログラム(たとえば、超音波画像に関する特開平10−305033号公報参照)を使用することもできるし、また、OCRプログラム22aに基づく読取結果を用いて文字の輪郭を検出するプログラムを使用することもできる。後者の場合、たとえば、検出された文字の輪郭部分に相当するピクセルの座標を探索し取得するプログラムなどを適用できる。
【0060】
情報消去プログラム22cは、輪郭検出プログラム22bに基づいて検出された輪郭の内部を塗りつぶして当該文字を消去するためのプログラムである。この情報消去プログラム22cは、文字の輪郭の内部領域のピクセルのピクセル値を所定の値に変更することで当該文字を消去する。
【0061】
なお、文字を消去する、すなわち文字を視認不可能な状態にするためには、この「所定の値」を、当該輪郭(当該文字)の外部近傍領域のピクセルのピクセル値にほぼ等しくする必要がある。そのために、医用画像の背景画像(前述)のピクセル値を「所定の値」として用いることもできるし、また、当該輪郭の外部近傍領域のピクセル値を取得し、そのピクセル値を「所定の値」として用いることもできる。
【0062】
〔出力用画像の形成処理を行う構成〕
出力用画像の形成処理は、画像形成部10、付帯情報埋込部11及び画像記憶部12によって行われる。
【0063】
画像形成部10は、本発明の「画像形成手段」の一例に相当し、前述の要領で医用画像(CT画像)を形成するガントリ2と、寝台3と、コンピュータ4の前処理及び再構成処理に関わる部分とを含んで構成される。
【0064】
付帯情報埋込部11は、画像形成部10が形成した医用画像に所定の付帯情報を埋め込んで出力用画像を形成する。この付帯情報埋込部11は、たとえば、医用画像を付帯情報とともにモニタ表示したときの表示画面のキャプチャ画像を作成することで、出力用画像を形成する。また、付帯情報埋込部11は、形成された医用画像に対して所定の付帯情報を埋め込む画像処理を行うものであってもよい。付帯情報埋込部11は、コンピュータ4に搭載されたマイクロプロセッサであってもよいし、外部のコンピュータであってもよい。
【0065】
画像記憶部12は、付帯情報埋込部11により形成された出力用画像を記憶する。各出力用画像には固有のファイル名が付与されている。画像記憶部12は、たとえばコンピュータ4に内蔵のハードディスクドライブ等の記憶装置により構成されるが、外部の記憶装置によって構成することも可能である。
【0066】
〔付帯情報の消去処理を行う構成〕
付帯情報の消去処理は、画像読込部13、画像判別部14、付帯情報抽出部15、輪郭検出部16及び付帯情報消去部17により行われる。これら各部13〜17は、それぞれ、コンピュータ4に搭載のマイクロプロセッサによって構成される。
【0067】
画像読込部13は、制御部21の指示に応じて画像記憶部12にアクセスし、それに記憶されている出力用画像を読み込む処理を実行する。制御部21からの指示(制御信号)には、読込対象の出力用画像のファイル名等の画像IDが添付されており、画像読込部13は、この画像IDに対応する出力用画像を画像記憶部12から検索して読み込む。画像読込部13は、読み込んだ出力用画像を画像判別部14に送る。この画像読込部13は、本発明の「受付手段」の一例に相当する。
【0068】
画像判別部14は、本発明の「画像判別手段」の一例に相当し、制御部21の指示に対応して動作し、画像読込部13からの出力用画像が静止画像であるか、あるいは動画像であるかを判別する。この判別処理は、たとえば、出力用画像のファイル名に付された拡張子の種類に基づいて行う。すなわち、静止画像を示す各種拡張子名と動画像を示す各種拡張子名とをあらかじめ記憶しておくとともに、判別対象の出力用画像に付された拡張子名を、記憶された拡張子名と照合することで、この出力用画像が静止画像か動画像かを判別する。
【0069】
なお、出力用画像が静止画像であるか又は動画像であるかを判別するために用いられる情報は、拡張子名に限定されるものではない。たとえば、出力用画像に画像種類判別用の任意の情報(画像種類識別情報)を添付しておくとともに、出力用画像が静止画像であるか動画像であるかの判別を、この画像種類識別情報に基づいて行うように構成することが可能である。ここで、画像種類識別情報は、出力用画像が画像形成部10から画像記憶部12に伝送されるときや、画像記憶部12に記憶されているときなどに、当該出力用画像のデータのヘッダ部分などに添付されるようになっている。
【0070】
付帯情報抽出部15は、前述のOCRプログラム22aに従って動作し、出力用画像の全体を解析して、埋め込まれた付帯情報(特に文字列情報の各文字)を読み取る。ここでは、文字を読み取ること、又は文字を検出することを、文字を抽出することと言うことがある。ここで、画像判別部14が当該出力用画像を動画像と判別した場合、付帯情報抽出部15は、この動画像を形成する複数の静止画像のそれぞれについて、当該静止画像中の各文字の読み取りを個別に実行する。この付帯情報抽出部15は、本発明の「抽出手段」の一例に相当する。
【0071】
輪郭検出部16は、本発明の「輪郭検出手段」の一例に相当するもので、前述の輪郭検出プログラム22bに従って動作し、付帯情報抽出部15が読み取った各文字の輪郭を検出する。出力用画像が動画像である場合、この輪郭検出部16も、その複数の静止画像をそれぞれ個別に処理する。
【0072】
付帯情報消去部17は、前述の情報消去プログラム22cに従って動作し、輪郭検出部16が検出した輪郭の内部領域のピクセルのピクセル値を、当該輪郭の外部近傍領域のピクセル値(又はそれにほぼ等しいピクセル値)に変更して、当該文字を出力用画像中から消去する。この付帯情報消去部17も、出力用画像が動画像である場合には、その複数の静止画像をそれぞれ個別に処理する。この付帯情報消去部17は、本発明の「消去手段」の一例に相当する。
【0073】
〔画像の出力処理を行う構成〕
付帯情報が消去された出力用画像は、モニタ装置5、医用画像診断装置1の画像データベース20、外部データベース30、画像出力媒体40などに出力される。
【0074】
画像データベース(DB)20は、医用画像診断装置1に内蔵又は外付けされたデータベースであり、出力用画像の他にも、画像形成部10にて形成された医用画像、投影データ、患者情報など、各種のデータを記憶している。
【0075】
外部データベース(DB)30は、LANやインターネット等のネットワークNを介して医用画像診断装置1に接続されたデータベースである。この外部データベース30は、たとえば、医用デジタル画像と通信に関する標準規格のDICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)対応型のデータベースである。
【0076】
外部データベース30への出力用画像の出力は、ネットワークN対応のモデム等からなる通信インターフェイス(I/F)18によって行われる。この通信インターフェイス18は、ネットワークを介して外部装置と通信する通信手段であって、本発明にいう「出力手段」の一例に相当する。
【0077】
画像出力媒体40は、DVD−RAM、DVD−R等の各種メディア、フィルム媒体、紙媒体など、出力用画像が出力される各種の媒体である。この画像出力媒体40への出力処理は、画像出力インターフェイス(I/F)19によって行われる。画像出力インターフェイス19は、上記メディア対応のドライブ装置、フィルム媒体や紙媒体に印刷出力するプリンタ装置などによって構成される。この画像出力インターフェイス19は、本発明の「出力手段」の一例である。
【0078】
なお、図示は省略するが、ネットワークN上には他のコンピュータが接続されている。医用画像診断装置1は、通信インターフェイス18によって、出力用画像を当該コンピュータに送信することができる。この構成は、出力用画像に対するセカンドオピニオンを求める場合や、出力用画像を複数の医師等で共同使用する場合などに用いられる。
【0079】
[動作]
以上のような構成を備える本実施形態の医用画像診断装置1の動作について説明する。図3のフローチャートは、医用画像診断装置1の動作の一例を示している。また、図4は、図3に示す処理による画像の態様の変遷を示している。
【0080】
最初に、画像形成部10が被検体の医用画像を形成する(S1)。図4(A)は、形成される医用画像の態様の一例を示す。
【0081】
付帯情報埋込部11は、この医用画像に所定の付帯情報を埋め込んで出力用画像を形成する(S2)。
【0082】
図4(B)は、図4(A)の医用画像に、被検体に関する情報等の付帯情報とその種類を識別する識別情報とを埋め込んで得られる出力用画像の態様の一例を表している。なお、前述の定義によれば、識別情報も付帯情報の一種である。
【0083】
同図の出力用画像には、識別情報として、被検者氏名を示す文字列情報「氏名」と、被検体ID情報(患者ID)を示す文字列情報「ID」と、医用画像形成時のX線管の管電圧を示す文字列情報「kV」と、その管電流を示す文字列情報「mA」とがそれぞれ埋め込まれている。また、各識別情報に対応する付帯情報として、被検者氏名に対応する文字列情報「東芝太郎」と、被検体ID情報に対応する文字列情報「1048」と、管電圧に対応する文字列情報「120」と、管電流に対応する文字列情報「50」とがそれぞれ埋め込まれている。なお、各識別情報と、それに対応する付帯情報との間には、それらの対応関係を明示するために、記号情報であるコロン「:」が埋め込まれている。
【0084】
付帯情報が埋め込まれた医用画像、すなわち出力用画像は、画像記憶部12に格納される(S3)。
【0085】
画像読込部13は、制御部21からの指示に応じて画像記憶部12にアクセスして出力用画像を取得する(S4)。取得された出力用画像は、画像判別部14に送られる。画像判別部14は、この出力用画像が静止画像であるか又は動画像であるかを判別する(S5)。その判別結果は、出力用画像とともに付帯情報抽出部15に送られる。
【0086】
(出力用画像が静止画像の場合:S5;「静止画像」)
判別結果が「静止画像」であった場合、付帯情報抽出部15が、この静止画像(=出力用画像)の全体を解析して、画像中に埋め込まれた各文字を抽出する(S6)。たとえば図4(B)の出力用画像に対しては、「氏」、「名」、「:」、「東」、「芝」、「太」、「郎」、「I」、「D」、「:」、「1」、「0」、「4」、「8」、「k」、「V」、「:」、「1」、「2」、「0」、「m」、「A」、「:」、「5」、「0」の各文字が抽出される。
【0087】
続いて、輪郭検出部16が、付帯情報抽出部15が抽出した各文字について、その輪郭を検出する(S7)。その検出結果は、文字の輪郭部分に位置するピクセルの座標として取得される。
【0088】
次に、付帯情報消去部17が、輪郭検出部16が検出した輪郭の内部領域の各ピクセルのピクセル値を、当該輪郭の外部近傍領域のピクセル値に変更する。それにより、出力用画像中の各文字が消去され、結果として付帯情報が消去される(S8)。
【0089】
図4(C)は、図4(B)の出力用画像中の付帯情報が消去された状態を表している(同図では、消去範囲を斜線で明示してある。)。この出力用画像中の斜線領域は、輪郭検出部16が検出した各文字の輪郭の内部領域を示している。この斜線領域のピクセルのピクセル値は、実際には、輪郭の外部近傍領域(たとえば背景画像)と同等の値に変更されており、この斜線領域(つまり付帯情報)は視認不可能とされている。
【0090】
以上で、出力用画像が静止画像の場合の付帯情報消去処理は終了となる。なお、付帯情報が消去された出力用画像は、画像データベース20に保存され、必要に応じて、モニタ装置5に表示され、外部データベース30に送信され、あるいは画像出力媒体40に出力される。
【0091】
(出力用画像が動画画像の場合:S5;「動画像」)
出力用画像は動画像であると判断された場合、付帯情報抽出部15は、まず、この出力用画像を複数の静止画像(フレーム)に分割する(S11)。付帯情報抽出部15は、この複数のフレームを各フレーム毎に順次解析し、埋め込まれている各文字(付帯情報)を抽出する(S12)。付帯情報抽出処理が終了したフレームは、抽出された文字とともに輪郭検出部16に順次送られる。
【0092】
輪郭抽出部16は、付帯情報抽出部15から順次送られるフレームについて、抽出された各文字の輪郭を順次検出する(S13)。輪郭検出処理が終了したフレームは、その検出情報とともに付帯情報消去部17に順次送られる。
【0093】
付帯情報消去部17は、輪郭検出部16から順次送られるフレームについて、検出された輪郭の内部領域の各ピクセルのピクセル値を、その外部近傍領域のピクセル値に変更して付帯情報を順次消去する(S14)。
【0094】
以上で、出力用画像が動画像の場合の付帯情報消去処理は終了となる。なお、付帯情報が消去されたこの出力用画像は、画像データベース20に保存され、必要に応じて、モニタ装置5に表示され、外部データベース30に送信され、あるいは画像出力媒体40に出力される。
【0095】
[作用効果]
本実施形態の医用画像診断装置1は、上述したように、医用画像に埋め込まれた付帯情報(文字列情報)を各文字毎に自動的に抽出し、その各文字の輪郭を自動的に検出し、その輪郭の内部領域のピクセルのピクセル値をその近傍のピクセル値と(ほぼ)同じ値に自動的に変更することにより当該付帯情報を消去する。したがって、従来のように手動で行う場合のような消去ミスが無くなる。
【0096】
また、文字抽出処理において、出力用画像の全体を解析して文字を抽出することにより、画像中の特定位置に埋め込まれた付帯情報だけでなく、任意の位置に埋め込まれた文字についても自動的に抽出し、消去することが可能である。
【0097】
このように、本実施形態によれば、出力用画像中の付帯情報を好適に自動消去できる。したがって、特に、出力用画像をネットワーク転送したり、各種画像出力媒体へ出力したり、装置自身のデータベースへ保存したりする前に、被検者氏名や被検体ID情報等の付帯情報(文字列情報)を容易に消去でき、出力用画像の二次使用における個人情報を容易にかつ確実に保護することが可能となる。
【0098】
また、本実施形態によれば、出力用画像中の各文字の輪郭の内部の領域しか消去されないので、所定領域内を全て塗りつぶす従来の構成と比較して消去範囲が小さく、必要最小限程度で済む。それにより、付帯情報消去に伴う画像の喪失範囲が必要最小限程度で済むという利点がある。特に、付帯情報が被検体画像に重なっている場合には、被検体画像の喪失範囲が従来よりも小さくなるので、読影に与える影響が軽減され、診断ミス発生のおそれの軽減を図ることができる。
【0099】
また、出力用画像が静止画像であるか又は動画像であるかを自動判別し、動画像の場合には各フレーム毎に静止画像と同様の処理を実行するようになっているので、出力用画像が静止画像であっても動画像であっても円滑に処理できる。更に、各フレーム毎に付帯情報を消去するように構成されているので、他のフレームとは異なる付帯情報が埋め込まれたフレームがある場合や、付帯情報の埋込位置が異なるフレームがある場合でも、各フレームの付帯情報を的確に消去することが可能である。したがって、被検者の個人情報等を確実に保護することができる。
【0100】
[変形例]
以上のような第1の実施形態の各種変形例について以下に説明する。
【0101】
〔変形例1〕
上記の実施形態は、抽出された各文字毎に輪郭を検出し、その輪郭内部を塗りつぶすように作用するが、抽出された複数の文字のうち、隣接する2以上の文字からなる文字列を一単位として消去するように構成することもできる。
【0102】
すなわち、付帯情報抽出部15は、上記実施形態と同様に画像中の各文字を抽出し、輪郭検出部16は、抽出された複数の文字のうち隣接する2以上の文字からなる文字列(たとえば、図4における「東芝太郎」)の輪郭を検出する。
【0103】
その際、輪郭検出部16は、この文字列を一つのオブジェクトとして認識し、その輪郭を検出する。文字列を単一オブジェクトとして認識する手法として、たとえば、図4の例において、記号「:」の後に続く(つまり記号「:」の右側の位置にある)複数の文字を単一オブジェクトとして認識することができる。
【0104】
付帯情報消去部17は、単一オブジェクトと認識された文字列の輪郭の内部領域の各ピクセルのピクセル値を所定の値(輪郭の外部近傍領域におけるピクセル値)に変更する。
【0105】
本変形例によれば、出力用画像中の特定範囲を画一的に塗りつぶす従来の構成と比較して、付帯情報消去に伴う画像の喪失範囲を小さくすることができる。たとえば、被検体氏名を表示する表示領域として全角8文字分の領域が確保されているとすると、図4の「東芝太郎」の場合、従来の構成では表示領域全体が塗りつぶされてしまうが、本変形例によれば、「東芝太郎」に相当する全角4文字分の領域程度しか塗りつぶされない。
【0106】
なお、単一オブジェクトと認識する文字列の文字数やその認識手法は、前述の内容に限定されるものではない。
【0107】
たとえば、図4の例において、「東芝太郎」の文字数(4文字)を取得し、8文字分の表示領域のうちの4文字分の領域(矩形領域)を塗りつぶすように構成することができる。
【0108】
また、たとえば被検者氏名「東芝 太郎」が埋め込まれている場合など、1種類の文字列情報中にスペースがある場合には、そのスペースにより分離された複数の部分文字列(「東芝」、「太郎」)をそれぞれ単一オブジェクトとして認識し、それぞれ消去するように構成することも可能である。
【0109】
〔変形例2〕
上記実施形態では、出力用画像中の付帯情報の全てを消去しているが、必ずしもその必要はない。たとえば、図4の例において、文字列情報「氏名:東芝太郎」のうち「東芝太郎」のみを選択的に消去する構成を適用することができる。すなわち、「氏名」という文字列は、その後に続く情報の種類を表すものであるから、開示されても何ら問題はないが、文字列「東芝太郎」は、当該医用画像の被検者本人の氏名(個人情報)であるため、他者に開示する場合には隠蔽する必要がある。
【0110】
このような選択的消去は、たとえば次のような手法で実現できる。まず、付帯情報埋込時などに、情報の種類を表す文字列と、その種類に相当する実際の情報の文字列との間に、記号「:」等の特定の記号や文字(区切り情報)を配置するように設定する。この区切り情報には、他の用途に用いられないものを適用する。
【0111】
付帯情報抽出部15が当該区切り情報を抽出したら、輪郭検出部16は、当該区切り情報に続く文字の輪郭を検出する。このとき、区切り情報の前の文字の輪郭については、検出しなくてもよい。付帯情報消去部17は、区切り情報に続く文字の輪郭の内部領域を塗りつぶす。それにより、区切り情報に続く文字が消去される一方、区切り情報の前の情報は塗りつぶされずにそのまま埋め込まれている。
【0112】
〔変形例3〕
出力用画像が動画像である場合、各フレームには同一の付帯情報が埋め込まれていることが多い。その場合、複数のフレームのそれぞれの付帯情報を消去するときに、各フレームの同一の領域を消去することが望ましい。
【0113】
たとえば、図4の例の文字列情報「氏名:東芝太郎」について、或るフレームにおいては「氏名:東芝太郎」の全体を消去し、他のフレームにおいては「東芝太郎」のみを消去するとする。そのようにして得られた動画像を再生表示すると、「氏名:」の部分が表示されたりされなかったりするので、画像が見づらくなる。
【0114】
そのような不都合を避けるため、各フレームに同一の付帯情報(「氏名:東芝太郎」)が埋め込まれている場合には、各フレームの同一の領域(たとえば「東芝太郎」)を消去するようにする。
【0115】
なお、後述の第3の実施形態において、付帯情報が被検体画像に重なって埋め込まれているときに、各フレームの消去領域を一致させる構成を開示する。
【0116】
〔変形例4〕
上記実施形態の医用画像診断装置1は、出力用画像を外部データベース30や外部コンピュータにネットワーク転送したり、各種画像出力媒体40に出力したりすることができる。このような処理は、出力用画像中の付帯情報を消去してから実行すべきである。そこで、付帯情報が未だ削除されていない出力用画像の出力ミスを回避するために、以下のような構成を適用することが可能である。
【0117】
(構成例1)
制御部21は、付帯情報消去部17により付帯情報が消去された出力用画像に対してフラグを立てて、画像データベース20に保存する。操作者が、入力デバイス6等を操作して、所望の出力用画像を指定し、外部データベース30への転送や画像出力媒体40への出力を要求すると、制御部21は、指定された出力用画像にフラグが立てられているか否かを判別する。
【0118】
フラグが立てられている場合、制御部21は、操作者の要求に従い、通信インターフェイス18又は画像出力インターフェイス19を制御して当該出力用画像を転送又は出力させる。
【0119】
一方、フラグが立てられていない場合、制御部21は、「個人情報が削除されていませんが転送(出力)しますか?」等の確認メッセージと、ソフトキー「OK」及び「キャンセル」とを有するダイアログボックスをモニタ装置5に表示させる。「OK」が選択(クリック)されたら、制御部21は、当該出力用画像を転送又は出力させる。逆に、「キャンセル」が選択されたら、制御部21は当初の要求をキャンセルする。
【0120】
なお、フラグが立てられていない場合の他の処理態様として、たとえば「個人情報を削除してから転送(出力)しますか?」等の確認メッセージと、ソフトキー「OK」及び「キャンセル」とを有するダイアログボックスを表示させることができる。そして、「OK」がクリックされたら、個人情報の削除を行った後に出力用画像の転送(出力)を実行し、「キャンセル」がクリックされたら、当初の要求をキャンセルするように構成することが可能である。
【0121】
(構成例2)
制御部21は、(構成例1)と同様にフラグを立てる。操作者が出力用画像の転送又は出力を要求すると、制御部21は、当該出力用画像のフラグの有無を判別する。
【0122】
フラグがある場合、制御部21は、要求に従って、当該出力用画像を転送又は出力させる。一方、フラグがない場合には、要求を拒否するとともに、その旨を示すメッセージを記載したダイアログボックスをモニタ装置5に表示させる。
【0123】
以上の各変形例1〜4は、必要に応じて、後述の第2〜第4の実施形態に対して任意に適用可能である。
【0124】
〈第2の実施形態〉
本実施形態は、第1の実施形態とは異なる態様の付帯情報消去処理を開示するものである。
【0125】
[装置構成]
本実施形態の医用画像診断装置は、第1の実施形態と同様の外観構成を有する(図1参照)。また、制御系についても第1の実施形態とほぼ同様であるが(図2参照)、輪郭検出部16が不要な点、更に、付帯情報消去部17の構成が異なる点において、本実施形態は第1の実施形態と相違する。
【0126】
図5は、本実施形態の付帯情報消去部17の内部構成の一例を表す。この付帯情報消去部17には、領域分割部17aと、ピクセル値取得部17bと、ピクセル値選択部17cと、ピクセル値変更部17dとが設けられている。また、この付帯情報消去部17には、付帯情報抽出部15から直接にデータ(表示用画像、付帯情報)が入力される。
【0127】
(領域分割部)
領域分割部17aは、本発明の「分割手段」の一例に相当し、付帯情報抽出部15により抽出された各文字について、文字とその周辺領域とからなる領域(対象領域と呼ぶ)を、複数の部分領域に分割するように動作する。
【0128】
図6(A)は、文字Aとその周辺領域とからなる対象領域Rを示している。この対象領域R中には、文字Aの周辺領域に相当する色1の領域R1と色2の領域R2とが含まれている。色1と色2とは異なる色とする。換言すると、領域R1中のピクセルと領域R2中のピクセルとは異なるピクセル値を有するものとする。また、文字Aは、色1、色2と異なる色で表示される(つまり、文字A中のピクセルは、色1、色2の領域R1、R2とは異なるピクセル値とされている。)。以下、文字Aのピクセル値をpa、色1の領域R1のピクセル値をp1、色2の領域R2のピクセル値をp2とする。
【0129】
対象領域Rは、たとえば、あらかじめ設定された周辺領域の縦方向及び横方向のピクセル数を、抽出された文字Aの上下左右にそれぞれ加えたサイズと有する。すなわち、文字Aの縦方向のピクセル数をM、横方向のピクセル数をNとし、周辺領域の縦方向のピクセル数をm、横方向のピクセル数をnとすると、対象領域Rの縦方向のサイズは(M+2m)ピクセル、横方向のサイズは(N+2n)ピクセルとなる。ここでは、文字Aに外接する最小の四角形のサイズを文字Aのサイズとして定義している。
【0130】
なお、対象領域のサイズの設定や、文字のサイズの定義は、上記のものに限定されるものではない。たとえば、文字の表示スペース(事前に設定された全角文字の表示スペースなど)を対象領域に設定することができる。また、文字のサイズとしては、その文字の外周のサイズを適用することができる。
【0131】
領域分割部17aは、この対象領域Rを複数の部分領域r1〜rkに分割する(ここで、k=kv×kh;kv=縦方向の分割個数、kh=横方向の分割個数)。各部分領域は、縦横それぞれ数ピクセル程度のサイズとされる。本実施形態では、各部分領域r1〜rkは矩形状であるが、任意の形状であってよい。
【0132】
図6(B)は、部分領域r1〜rkの一部である4つの部分領域rα、rβ、rγ、rδからなる部分領域群R′の態様を表している。部分領域rαには、文字Aの一部に相当する領域Aαと、色1の領域R1の一部に相当する部分周辺領域R1αとが含まれている。部分領域rβには、色1の領域R1の一部に相当する部分周辺領域R1βと、色2の領域R2の一部に相当する部分周辺領域R2βとが含まれている。部分領域rγには、文字Aの一部に相当する領域Aγと、色1の領域R1の一部に相当する部分周辺領域R1γと、色2の領域R2の一部に相当する部分周辺領域R2γとが含まれている。部分領域rδには、文字Aの一部に相当する領域Aδと、色2の領域R2の一部に相当する部分周辺領域R2δとが含まれている。
【0133】
なお、部分領域rβ、rγのように、色の異なる複数の部分周辺領域が含まれる部分領域内については、それら複数の部分周辺領域の全体を「部分周辺領域」と呼ぶことがある。
【0134】
(ピクセル値取得部)
ピクセル値取得部17bは、本発明の「ピクセル値取得手段」の一例に相当し、複数の部分領域のそれぞれについて、部分周辺領域(つまり部分領域のうち文字の一部以外の領域)の各ピクセルのピクセル値を取得する。
【0135】
このとき、付帯情報抽出部15による抽出結果を参照し、文字に相当するピクセルを一つも含まない部分領域については、ピクセル値取得処理(及びそれ以降の処理)の対象としないことが望ましい。また、全てのピクセルが文字に相当する部分領域については、ピクセル値選択部17cが対応する(後述)。
【0136】
図6(B)のケースでは、ピクセル値取得部17bは、部分領域rα、rβ、rγ、rδに対して次のような処理を行う。部分領域rβについては、文字に相当するピクセルが一つもないので、処理対象から除外する。
【0137】
まず、ピクセル値取得部17bは、部分領域rαについて、各ピクセルのピクセル値を取得する。特に、文字Aに相当する領域Aαを除く領域のピクセル値を取得する。その結果、部分周辺領域R1αに相当する各ピクセルのピクセル値p1が得られる。
【0138】
同様に、部分領域rγ、rδについて、それぞれ、文字Aに相当する領域Aγ、Aδを除く領域のピクセル値を取得する。その結果、部分領域rγについては、部分周辺領域R1γ中の各ピクセルにおけるピクセル値p1と、部分周辺領域R2γ中の各ピクセルにおけるピクセル値p2とを取得する。また、部分領域rδについては、部分周辺領域R2δ中の各ピクセルにおけるピクセル値p2を取得する。
【0139】
(ピクセル値選択部)
ピクセル値選択部17cは、本発明の「ピクセル値選択手段」の一例に相当し、各部分領域について、ピクセル値取得部17bが取得したピクセル値のうち、部分周辺領域において最大範囲を占めるピクセル値を選択する処理を行う。
【0140】
(1)そのために、まず、ピクセル値選択部17cは、取得されたピクセル値の分類処理を実行する。この分類処理は、取得されたピクセル値のうち異なる値のものを抽出することにより行う。図6(B)の部分領域rαについてはピクセル値p1のみが抽出され、部分領域rγについてはピクセル値p1とp2が抽出され、部分領域rδについてはピクセル値p2のみが抽出される(部分領域rβは処理対象外とされている。)。
【0141】
(2)次に、ピクセル値選択部17cは、分類処理により抽出された各ピクセル値について、そのピクセル値を有する当該部分領域内のピクセルの個数を求める。このとき、分類処理において複数のピクセル値が抽出された部分領域についてのみ、このピクセルの個数を求める処理を行えば十分である。
【0142】
図6(B)の部分領域rα、rδについては、ピクセル値が1種類しか抽出されないので、当該処理は行わない。部分領域rγについては、抽出されたピクセル値が複数(p1、p2)であるので、ピクセル値p1を有するピクセルの個数と、ピクセル値p2を有するピクセルの個数とをそれぞれ求める。
【0143】
ここで、部分領域rγにおいて、ピクセル値p1、p2を有するピクセルの個数をそれぞれP1γ、P2γとする(P1γ<P2γ)。
【0144】
なお、ピクセルの個数と画像の範囲(面積)とは比例関係にあることを考慮すると、部分領域rγにおいてピクセル値p1を有するピクセルの個数は部分周辺領域R1γの範囲に対応し、ピクセル値p2を有するピクセルの個数は部分周辺領域R2γの範囲に対応する。そして、P1γ<P2γは、部分周辺領域R2γの範囲が、部分周辺領域R1γの範囲よりも大きいことを意味する。
【0145】
(3)更に、ピクセル値選択部17cは、各部分領域について、ピクセルの個数が最大のピクセル値を選択する。
【0146】
具体的には、上記分類処理においてピクセル値が1つしか抽出されなかった部分領域については、その単一のピクセル値を選択する。また、複数のピクセル値が抽出された部分領域については、その値を有するピクセル数が最大のピクセル値を選択する。
【0147】
なお、ピクセル数が最大のピクセル値が2つ以上ある場合(つまり、2つ以上のピクセル値のピクセル数が等しくかつ最大である場合)については、それら全てのピクセル値、あるいは、それらのうちの一つを選択する。後者の場合、たとえば隣接する部分領域についての選択結果を参照して、当該部分領域についてのピクセル値を選択する。
【0148】
また、部分周辺領域を含まない部分領域(つまり全領域が文字に相当する部分領域)については、たとえば、隣接する部分領域におけるピクセル数が最大のピクセル値を選択する。
【0149】
図6(B)のケースでは、部分領域rαについてはピクセル値p1が選択され、部分領域rγについてはピクセル値p2が選択され(P1γ<P2γ)、部分領域rδについてはピクセル値p2が選択される。なお、部分領域rβは処理対象外である。
【0150】
(ピクセル値変更部)
ピクセル値変更部17dは、各部分領域について、文字に相当する領域の各ピクセルのピクセル値を、ピクセル値選択部17cが選択したピクセル値に変更する。
【0151】
図6(B)のケースでは、部分領域rαの各ピクセルのピクセル値がピクセル値p1に変更され、部分領域rγの各ピクセルのピクセル値がピクセル値p2に変更され、部分領域rδの各ピクセルのピクセル値がピクセル値p2に変更される。なお、部分領域rβはそのままである。
【0152】
それにより、部分領域群R′は、図6(C)に示すように、部分領域rαの全領域がピクセル値p1の色1の部分領域R1α′に変更され、部分領域rβは、元のまま色1の部分周辺領域R1βと色2の部分周辺領域R2βであり、部分領域rγの全領域がピクセル値p2の色2の部分領域R2γ′に変更され、部分領域rδの全領域がピクセル値p2の色2の部分領域R2δ′に変更される。
【0153】
[動作]
以上のような本実施形態の医用画像診断装置が実行する付帯情報消去処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。なお、同図において第1の実施形態と同じ工程には同じ符号を付してある。
【0154】
最初に、第1の実施形態と同様に、画像形成部10が被検体の医用画像を形成し(S1)、この医用画像に所定の付帯情報を埋め込んで出力用画像を形成し(S2)、その出力用画像を画像記憶部12に格納する(S3)。画像読込部13が出力用画像を読み込むと(S4)、静止画像か動画像かが判別される(S5)。
【0155】
(出力用画像が静止画像の場合)
静止画像の場合、まず、第1の実施形態と同様に、その出力用画像に埋め込まれた各文字を抽出する(S6)。抽出された各文字は、出力用画像とともに付帯情報消去部17に送られる。
【0156】
付帯情報消去部17の領域分割部17aは、抽出された各文字について、文字とその周辺領域とからなる対象領域を複数の部分領域に順次分割する(S21)。各部分領域は、ピクセル値取得部17bに順次送られる。
【0157】
ピクセル値取得部17bは、各部分領域について、その中の部分周辺領域(文字の一部以外の領域)の各ピクセルのピクセル値を取得する(S22)。ピクセル値取得部17bは、ステップS6にて抽出された各文字についてこの処理を順次行う。取得されたピクセル値のデータは、部分領域毎にピクセル値選択部17cに順次送られる。
【0158】
ピクセル値選択部17cは、各部分領域について、ピクセル値取得部17bにより取得されたピクセル値のうち、部分周辺領域において最大範囲を占めるピクセル値を選択する(S23)。ピクセル値選択部17は抽出された各文字についてこの処理を順次行う。選択されたピクセル値のデータは、部分領域毎にピクセル値変更部17dに順次送られる。
【0159】
ピクセル値変更部17dは、各部分領域中の各ピクセルのピクセル値を、ピクセル値選択部17cにより選択されたピクセル値に変更する(S24)。この処理は、抽出された各文字毎に順次実行される。
【0160】
それにより、出力用画像の各部分領域のピクセルのピクセル値が、当該部分領域の部分周辺領域において最も広い範囲を占めていたピクセル値に変更される。特に、各部分領域内の文字に相当する領域のピクセル値が、その文字の周辺領域において最も広い範囲を占めていたピクセル値に変更され、結果としてその文字が消去される。
【0161】
(出力用画像が動画画像の場合)
一方、出力用画像が動画像である場合、その出力用画像を複数のフレームに分割し(S11)、各フレーム毎に、埋め込まれている各文字を抽出する(S12)。付帯情報抽出処理が終了したフレームは、抽出された文字とともに付帯情報消去部17に順次送られる。
【0162】
付帯情報消去部17の領域分割部17a、ピクセル値取得部17b、ピクセル値選択部17c、ピクセル値変更部17dは、ステップS21〜S24の処理を各フレーム毎に実行する(S31〜S34)。
【0163】
以上の処理により、出力用画像を形成する各フレームについて、各部分領域(特に、文字に相当する領域)のピクセルのピクセル値が、部分周辺領域において最も広い範囲を占めていたピクセル値に変更される。それにより、各フレーム中の文字が消去され、結果として出力用画像(動画像)中の文字が消去される。
【0164】
[作用効果]
本実施形態の医用画像診断装置は、上述したように、医用画像に埋め込まれた付帯情報(文字列情報)を各文字毎に自動的に抽出し、その文字を含む対象領域を複数の部分領域に分割するとともに、文字以外の領域における最大範囲を占める色で各部分領域内を塗りつぶすことにより当該付帯情報を消去する。したがって、従来のように手動で行う場合のような消去ミスが無くなるとともに、画像中の任意位置にある文字についても消去できる。更に、出力用画像中の文字の領域しか消去されないので、必要最小限程度の消去範囲で済む。
【0165】
また、出力用画像が動画像の場合であっても、円滑にかつ確実に付帯情報を消去できる。なお、出力用画像が動画像の場合、処理後の動画の見やすさを考慮し、各フレーム中の付帯情報の同一部分を消去することが望ましい。
【0166】
また、本実施形態に特有の効果として、各文字の対象領域の分割を細かくすれば、各部分領域のサイズが小さくなるので、文字を塗りつぶした領域をその周囲の画像の状況に好適に適合させることができる。
【0167】
ただし、被検体画像(特に関心領域)に重なる位置に埋め込まれた文字については、その文字に相当する領域の色が周囲の色に合わせて変更されるために、被検体画像の改竄を引き起こし誤診を招くおそれがあるので、注意が必要である。なお、被検体画像に重なる位置に埋め込まれた文字への対処については、後述する第3の実施形態で説明する。
【0168】
[変形例]
上記の実施形態では、ピクセル値変更部17dにより部分領域全体のピクセル値を変更するようになっているが、文字に相当する領域のピクセル値のみを変更するように構成してもよい。
【0169】
また、抽出された各文字毎に対象領域を設定する代わりに、隣接する2以上の文字からなる文字列を単一のオブジェクトとして認識し、その周辺領域を含む対象領域を設定するとともに、その対象領域を複数の部分領域に分割して処理するように構成することも可能である。
【0170】
〈第3の実施形態〉
本実施形態では、被検体画像に重なる位置に埋め込まれた付帯情報の消去を好適に行うための構成を開示する。
【0171】
[被検体画像と付帯情報の重畳状態について]
被検体画像と付帯情報とが重なり合った出力用画像について説明する。図8及び図9は、そのような出力用画像の一例を表している(図9は図8の画像の拡大画像である。)。両図に示す出力用画像には様々な付帯情報が埋め込まれている。最初に、それら付帯情報について簡単に説明しておく。
【0172】
両図の出力用画像の左上位置には、次の付帯情報が埋め込まれている:患者ID(被検体ID情報)「226773−1」;撮影領域及び表示領域径「M:(320.00)」;スタディID「69:3:1」;付帯情報変更マーク「*」;寝台角度「−10.00mm」;チルト角「+0.0D」。なお、スタディIDとは、DICOMの階層構造における検査単位を表す「スタディ」の識別情報である。
【0173】
また、左上位置には、次の付帯情報が埋め込まれている:患者名(被検者氏名)「TOSHIBA TARO」;撮影日及び撮影時刻「2004.07.12 17:50:30.549」;管電圧及び管電流時間積「120kV/150mAs」;スキャン時間、スライス厚及び撮影スライス厚「0.50s/1.0mm/1.0×16」;ヘリカルピッチ「HP15.0」。
【0174】
また、左下位置には、次の付帯情報が埋め込まれている:ウィンドウレベル「WL=0」;ウィンドウ幅「WW=300」;造影剤名、濃度、注入レート(量1、量2)「omnipaque1/100/150(300)/500(250);造影剤名「omnipaque2」。
【0175】
また、右下位置には、次の付帯情報が埋め込まれている:患者コメント「1−5A」、[comment2]、「comment3」、「comment4」;収集コメント「Test1」、「Test2」、「Test3」、「Test4」;年齢及び性別「30Y/M」;患者体位、患者挿入方向及び画像観察方向「SU/HF/VFF」;ヘリカル補間種、再構成関数、フィルタ名及びAPMC「INTERP−5/FC60/ORG/S/」。ここで、APMCは体動補正処理を示す。
【0176】
また、左中央位置には体位マーク「R」が、下中央位置には体位マーク「P」がそれぞれ埋め込まれている。更に、右下位置の患者コメントの背景には、5cm単位の目盛からなる5cmスケールが埋め込まれている。
【0177】
図8においては、右下位置の患者コメント「1−5A」、[comment2]、「comment3」、「comment4」が、それぞれ被検体画像に重なり合う位置に埋め込まれている。また、この被検体画像の拡大画像である図9においては、全ての付帯情報が当該被検体画像に重なり合う位置に埋め込まれている。
【0178】
[装置構成]
本実施形態の医用画像診断装置は、第1の実施形態と同様の外観構成を有する(図1参照)。また、制御系についても第1の実施形態とほぼ同様であるが(図2参照)、被検体画像と付帯情報とが重なり合う領域(重畳領域)に対処するための構成を備える点において、本実施形態は第1の実施形態と相違している。
【0179】
図10は、本実施形態の制御系の一例を表すブロック図である。本実施形態の医用画像診断装置は、重畳領域検出部23と重畳領域選択部24とを備えている。なお、付帯情報消去部17による処理は、[動作]の項で説明する。
【0180】
(重畳領域検出部)
重畳領域検出部23は、本発明の「重畳領域検出手段」の一例に相当し、付帯情報抽出部15により付帯情報が抽出された出力用画像を解析して、被検体画像と当該抽出された付帯情報との重畳領域を検出する処理を行う。そのために、重畳領域検出部23は、たとえば次のような処理を実行する。
【0181】
まず、抽出された各付帯情報に相当する各ピクセルの座標を参照して、各付帯情報の範囲(つまり、各付帯情報を表示するためのピクセルの分布範囲)を取得する。
【0182】
次に、出力用画像の各ピクセルのピクセル値に基づいて、被検体画像の範囲(つまり、被検体画像を表示するためのピクセルの分布範囲)を検出する。この検出処理の一例として、出力用画像のピクセルを画像端部からたとえば水平方向に順に参照して行き、背景画像のピクセル値から他のピクセル値に変化するピクセルの座標をそれぞれ検出する。それにより得られるピクセルの配置は、被検体画像の輪郭に相当するものとなる。
【0183】
更に、最初に取得した各付帯情報のピクセルの分布範囲と、続いて検出した被検体画像のピクセルの分布範囲とを参照し、それらが重複する範囲を求める。それにより、各付帯情報について、被検体画像との重畳領域のピクセルの分布範囲が得られる。
【0184】
たとえば図8中の患者名「TOSHIBA TARO」については、被検体画像と重複していないので、重複範囲は「なし」となる。また、患者コメント「comment4」については、被検体画像の輪郭中に含まれる先頭部分の「com」と、それに続く「m」の一部とが重複範囲として検出される。
【0185】
なお、出力用画像が動画像の場合、重畳領域検出部23は、その動画像を形成する各フレーム毎に上記処理を実行するようになっている。
【0186】
(重畳領域選択部)
制御部21は、処理対象の出力用画像が動画像の場合にのみ重畳領域選択部24を動作させる。出力用画像が静止画像の場合には、その画像データ等は、重畳領域選択部24を素通りして下流側の付帯情報消去部17に送られる。
【0187】
重畳領域選択部24は、本発明の「重畳領域選択手段」の一例に相当し、動画像からなる出力用画像の各付帯情報について重畳領域検出部23が各フレーム毎に検出した重畳領域を解析し、各付帯情報に対応する最大範囲の重畳領域を選択する。そのために、たとえば、各付帯情報について、各フレームにおける重畳領域のピクセル数を求めるとともに、それらを比較して、ピクセル数が最多の重畳領域を選択する。
【0188】
[動作]
以上のような本実施形態の医用画像診断装置が実行する付帯情報消去処理について、図11のフローチャートを参照して説明する。なお、同図において第1の実施形態と同じ工程には同じ符号を付してある。
【0189】
最初に、第1の実施形態と同様に、画像形成部10が被検体の医用画像を形成し(S1)、この医用画像に所定の付帯情報を埋め込んで出力用画像を形成し(S2)、その出力用画像を画像記憶部12に格納する(S3)。画像読込部13が出力用画像を読み込むと(S4)、静止画像か動画像かが判別される(S5)。
【0190】
(出力用画像が静止画像の場合)
静止画像の場合、まず、第1の実施形態と同様に、その出力用画像に埋め込まれた各文字を抽出する(S6)。それにより、出力用画像中の各付帯情報(文字列情報)が抽出される。抽出された各付帯情報は、出力用画像とともに重畳領域検出部23に送られる。
【0191】
重畳領域検出部23は、抽出された各付帯情報について、被検体画像との重畳領域を検出する(S41)。検出された各付帯情報の重畳領域(のピクセル値のデータ)は、出力用画像とともに付帯情報消去部17に送られる。
【0192】
付帯情報消去部17は、各付帯情報について、重畳領域に含まれない部分のみを選択的に消去する(S42)。この消去処理は、たとえば、付帯情報の範囲のうち、その重畳領域外のピクセルのピクセル値を背景画像のピクセル値に変更することにより実行される。なお、この消去処理としては、第1の実施形態や第2の実施形態の手法など、任意の手法を適用することができる。
【0193】
それにより、当該出力用画像に埋め込まれた各付帯情報について、被検体画像に重なり合わない部分のみが消去され、被検体画像と重なり合っている部分については残されたままとなる。
【0194】
(出力用画像が動画画像の場合)
一方、出力用画像が動画像である場合、その出力用画像を複数のフレームに分割し(S11)、各フレーム毎に、埋め込まれている各文字を抽出する(S12)。それにより、各フレーム中の付帯情報(文字列情報)が抽出される。抽出処理が終了したフレームは、抽出された付帯情報とともに重畳領域検出部23に順次送られる。
【0195】
重畳領域検出部23は、各フレームについて、抽出された各付帯情報が被検体画像と重なり合う重畳領域を検出する(S51)。この検出処理が終了したフレームは、検出された重畳領域とともに重畳領域選択部24に順次送られる。
【0196】
当該出力用画像の全フレームに対する重畳領域検出処理の終了を受けて、重畳領域選択部24は、検出された各付帯情報について、各フレーム中の重畳領域のうち最大範囲のもの(最大重畳領域と呼ぶ。)を選択する(S52)。選択された各付帯情報の最大重畳領域は、出力用画像とともに付帯情報消去部17に送られる。
【0197】
付帯情報消去部17は、各フレーム中の各付帯情報について、その付帯情報に対して選択された最大重畳領域に相当する部分を除いた部分を選択的に消去する(S53)。この消去処理は、ステップS42と同様に、第1の実施形態や第2の実施形態の手法など任意の手法によって実行される。
【0198】
以上の処理により、出力用画像の各フレーム中の全ての付帯情報は、それぞれの最大重畳領域に相当する部分を残して消去されることとなる。すなわち、上記処理によって得られる出力用画像は、全てのフレームについて各付帯情報の同一部分(最大重畳領域)が残された画像となる。
【0199】
[作用効果]
本実施形態の医用画像診断装置は、上述したように、出力用画像に埋め込まれた付帯情報を消去する際に、当該出力用画像中の被検体画像に重なり合う重畳領域を除いた部分のみを選択的に消去し、被検体画像に重なり合う部分についてはそのままの状態で残される。それにより、付帯情報の消去時に被検体画像上の情報が変更されないので、不要な付帯情報を消去しつつも、誤診を招くおそれの低減を図ることができる。
【0200】
また、出力用画像が動画像の場合、各付帯情報について全フレームの同一の部分が消去されるため、動画再生時の画像の視認性が良好となる(第1の実施形態の変形例3を参照)。
【0201】
更に、最大重畳領域に相当する部分を残すようにして各付帯情報が消去されるので、動画再生時の視認性を確保しつつ、不要な付帯情報を最大限消去して個人情報の保護等を図ることが可能である。このような処理は、たとえば心臓の動作状態を表す動画像など、被検体画像の大きさが変化する動画像に埋め込まれた付帯情報を消去する際に有効に適用される。
【0202】
[変形例]
図8、図9中の5cmスケールのように、文字列情報ではない記号情報等からなる付帯情報については、付帯情報埋め込み時に所定のピクセル値を対応させることにより、当該付帯情報を抽出し、その重畳領域を検出し、それ以外の部分を消去するように構成することができる。
【0203】
また、患者名などの個人情報に関わる付帯情報については、被検体画像との重複領域を含めて全てを消去するように構成することが望ましい。そのために、第1の実施形態のように実際の個人情報の前(後でもよい)に、その情報の種類を表す文字列等を埋め込み、その文字列等に相当する情報については全体を消去するように構成することが可能である。
【0204】
また、出力用画像の用途に応じて消去範囲を変更するようにしてもよい。たとえば、セカンドオピニオンを求める場合など、その被検体画像が診断に供される場合には、重畳領域のみを残して付帯情報を消去するようにし、一方、出力用画像をホームページ等に掲載する場合など、その被検体画像を診断に用いない場合には、付帯情報の全体を消去するようにする。なお、出力用画像の用途の入力操作は、たとえば、消去範囲を選択できる複数のソフトキーをダイアログボックスに設け、所望のソフトキーをクリックすることで行う。
【0205】
〈第4の実施形態〉
本実施形態では、出力用画像に埋め込まれた付帯情報のうち、所望の付帯情報のみを選択的に消去することが可能な構成を開示する。
【0206】
[装置構成]
本実施形態の医用画像診断装置は、第1の実施形態と同様の外観構成を有する(図1参照)。また、制御系についても第1の実施形態とほぼ同様であるが(図2参照)、付帯情報を埋め込む付帯情報埋込部11の構成と、埋め込まれた付帯情報を選別するための構成に特徴を有している。
【0207】
図12は、本実施形態の制御系の一例を表すブロック図である。なお、同図中、図2と同様のプログラム記憶部22が省略されている。
【0208】
(付帯情報埋込部)
本実施形態の付帯情報埋込部11は、患者の個人情報等の実際の情報とともに、その情報の種類を識別する識別情報を付帯情報として埋め込む。
【0209】
この識別情報は、第1の実施形態の例(図4参照)では、文字列キーワード「氏名」、「ID」、「kV」、「mA」である。ここで、識別情報「氏名」により識別される情報は文字列情報「東芝太郎」であり、識別情報「ID」により識別される情報は文字列情報「1048」であり、識別情報「kV」により識別される情報は文字列情報「120」であり、識別情報「mA」により識別される情報は文字列情報「50」である。
【0210】
以下、識別情報により識別される情報を「識別対象情報」と呼ぶこととする。なお、識別情報と識別対象情報とは、たとえば第1の実施形態の変形例2における「:」等の区切り情報などを用いて、互いに関連付けられて埋め込まれる。
【0211】
なお、これらの文字列キーワードのように、それを見た人間が経験的に意味を把握できる識別情報以外にも、QRコード(登録商標)等のバーコードデータなど、各識別対象情報に固有に関連付けられた任意のイメージや記号などを識別情報として使用できる。ただし、この識別情報は、付帯情報抽出部15(OCRソフトウェア)によって抽出可能なデータからなることが望ましい。
【0212】
(データ記憶部)
データ記憶部25は、消去対象特定情報25aを記憶する本発明の「記憶手段」の一例に相当する。このデータ記憶部25は、任意の記憶装置によって構成可能であるが、ハードディスクドライブ等のデータ書き換え可能な記憶装置からなることが望ましい。
【0213】
消去対象特定情報25aは、出力用画像に埋め込まれている識別対象情報のうち消去対象となる識別対象情報の識別情報を特定する情報である。この消去対象特定情報25aには、出力用画像に埋め込まれる各種の識別対象情報に対応する識別情報がたとえばリスト形式で含まれている。そして、フラグ等により、消去対象となる識別対象情報の識別情報が特定されている。
【0214】
たとえば図4の例に対応する消去対象特定情報25aには、各識別情報「氏名」、「ID」、「kV」、「mA」がリスト形式で含まれている。そして、被検者氏名と被検者ID情報とが消去対象となっている場合、識別情報「氏名」と「ID」とがそれぞれフラグにて特定されている。
【0215】
(消去対象判断部)
消去対象判断部26は、本発明の「消去対象判断手段」の一例に相当し、付帯情報抽出部15により抽出された各識別情報について、その識別情報が消去対象特定情報25aにより特定されているか判断する。
【0216】
より具体的には、消去対象判断部26は、抽出された各識別情報について、その識別情報を形成する文字列が、消去対象特定情報25aにより特定された識別情報の文字列のいずれかに一致するかを判断する。一致した場合には、その抽出された識別情報は「消去対象特定情報25aにより特定されている」と判断する。一方、一致しない場合には、その抽出された識別情報は「消去対象特定情報25aにより特定されていない」と判断する。
【0217】
(付帯情報消去部)
本実施形態の付帯情報消去部17は、抽出された識別情報が「特定されている」と消去対象判断部26により判断されたときに、その識別情報によって識別される識別対象情報を消去するように動作する。すなわち、付帯情報消去部17は、出力用画像に埋め込まれた識別対象情報のうち、消去対象判断部26により「消去対象特定情報25aにより特定されている」と判断された識別情報により識別される文字列情報のみを、選択的に消去する。
【0218】
[動作]
以上のような本実施形態の医用画像診断装置が実行する付帯情報消去処理について、図13のフローチャートを参照して説明する。なお、同図において第1の実施形態と同じ工程には同じ符号を付してある。
【0219】
最初に、第1の実施形態と同様に、画像形成部10が被検体の医用画像を形成する(S1)。付帯情報埋込部11は、この医用画像に、所定の識別対象情報(文字列情報)を、その識別情報とともに埋め込んで出力用画像を形成する(S60)。形成された出力用画像は画像記憶部12に格納される(S3)。画像読込部13が出力用画像を読み込むと(S4)、静止画像か動画像かが判別される(S5)。
【0220】
(出力用画像が静止画像の場合)
静止画像の場合、まず、第1の実施形態と同様に、その出力用画像に埋め込まれた各文字を抽出する(S6)。それにより、出力用画像中の各付帯情報(文字列情報)が抽出される。抽出される付帯情報には、特に、1つ以上の識別対象情報と、各識別対象情報を識別する識別情報とが含まれている。抽出された付帯情報は、出力用画像とともに消去対象判断部26に送られる。
【0221】
なお、識別情報としてQRコード(登録商標)等のバーコード情報等が埋め込まれている場合には、そのバーコード情報等が抽出され、識別対象情報及び出力用画像とともに消去対象判断部26に送られる。
【0222】
消去対象判断部26は、抽出された各識別情報について、その識別情報が消去対象特定情報25aにより特定されているか判断する(S61)。その判断結果は、出力用画像とともに付帯情報消去部17に送られる。
【0223】
付帯情報消去部17は、この出力用画像に埋め込まれた識別対象情報のうち、ステップS61において「特定されている」と判断された識別情報によって識別される識別対象情報のみを消去する。(S62)。この消去処理は、たとえば、第1の実施形態や第2の実施形態の手法など、任意の手法により行う。
【0224】
それにより、当該出力用画像に埋め込まれた1以上の識別対象情報について、消去対象特定情報25aにより特定された識別情報により識別されるもののみが選択的に消去される。
【0225】
(出力用画像が動画画像の場合)
一方、出力用画像が動画像である場合、その出力用画像を複数のフレームに分割し(S11)、各フレーム毎に、埋め込まれている各文字を抽出する(S12)。それにより、各フレーム中の付帯情報(文字列情報)が抽出される。抽出処理が終了したフレームは、抽出された付帯情報とともに重畳領域検出部23に順次送られる。
【0226】
消去対象判断部26は、各フレームから抽出された各識別情報について、その識別情報が消去対象特定情報25aにより特定されているか判断する。(S71)。この判断処理は、各フレーム毎に行われ、処理が終了したフレームは、判断結果とともに付帯情報消去部17に順次送られる。
【0227】
付帯情報消去部17は、各フレームに埋め込まれた識別対象情報のうち、ステップS71において「特定されている」と判断された識別情報によって識別される識別対象情報のみを消去する。(S72)。この消去処理は、第1の実施形態や第2の実施形態の手法など任意の手法により、各フレーム毎に行われる。
【0228】
以上の処理により、出力用画像の各フレームについて、埋め込まれた1以上の識別対象情報のうち、消去対象特定情報25aにより特定された識別情報により識別されるもののみが選択的に消去されることとなる。
【0229】
[作用効果]
本実施形態の医用画像診断装置は、上述したように、出力用画像に埋め込まれる各識別対象情報について、それが消去対象であるか否かを特定する消去対象特定情報25aをあらかじめ有している。そして、画像記憶部12から出力用画像を読み込むと、その出力用画像に埋め込まれた識別対象情報とその識別情報とを抽出するとともに、抽出された各識別情報について、消去対象特定情報25aにより消去対象に特定されているか判断する。そして、消去対象に特定された識別情報に対応する消去対象情報のみを、出力用画像から選択的に消去する。
【0230】
それにより、消去対象特定情報25a中の所望の識別情報を特定しておくことで、所望の識別対象情報のみを選択的に消去することができる。特に、被検者氏名や被検体ID情報など、被検者の個人情報に関わる情報については、消去対象特定情報25aにより常時特定しておくことが望ましい。
【0231】
[変形例]
消去対象特定情報25aにより特定される識別情報(消去対象)を任意に変更する手段を設けることが望ましい。この消去対象変更手段としては、次のような形態を適用することができる。
【0232】
まず、第1の形態として、モニタ装置5に消去対象を指定するためのダイアログボックスを表示させる。このダイアログボックスには、たとえば、出力用画像に埋め込まれる各識別対象情報の識別情報が列挙されており、各識別情報の横に指定/解除を切り換えるためのチェックボックスが形成されている。ユーザは、入力デバイス(たとえばマウス)を操作し、所望の識別情報のチェックボックスにチェックマークを表示させて、その識別情報を消去対象に指定する。このように指定された各識別情報は、制御部21により、消去対象特定情報25aに消去対象として設定される。
【0233】
第2の形態としては、出力用画像の用途に応じて消去対象を自動的に変更する構成を適用できる。そのために、出力用画像の各用途毎に消去対象となる識別情報をあらかじめ設定しておく。モニタ装置5に用途指定用のダイアログボックスを表示させ、入力デバイスにて用途が指定されると、制御部21は、その指定された用途に対応する消去対象の識別情報を消去対象特定情報25aに設定する。
【0234】
〈医用画像処理装置及び医用画像処理プログラム〉
以上の説明では、本発明に係る医用画像診断装置の各種実施形態について詳述した。以下、本発明に係る医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムについて説明する。
【0235】
本発明の医用画像処理装置は、上記の各実施形態のコンピュータ4(図1参照;モニタ装置5及び入力デバイス6を含んでいてもよい。)や、医用画像の処理に使用される任意のコンピュータにより形成され、特に、付帯情報抽出部15及び付帯情報消去部17を含んで構成される(図2等参照)。なお、医用画像の処理に供されるコンピュータとしては、医師が専ら使用するコンピュータ、各種医用画像診断装置からの医用画像を一括管理するサーバなどがある。
【0236】
より具体的には、医用画像処理装置は、第1の実施形態においては、図2中の少なくとも、付帯情報抽出部15、輪郭検出部16、付帯情報消去部17、制御部21及びプログラム記憶部22を含んで構成される。更に、通信インターフェイス18及び/又は画像出力インターフェイス19や、付帯情報埋込部11や、画像記憶部12や、画像データベース20などを含んでいてもよい(以下同様)。また、画像判別部14については、静止画像及び動画像の双方を取り扱う場合に設けられる(以下同様)。
【0237】
また、第2の実施形態に対応する医用画像処理装置は、図1、図5中の少なくとも、付帯情報抽出部15、付帯情報消去部17(領域分割部17a〜ピクセル値変更部17d)、制御部21及びプログラム記憶部22を含んで構成される。
【0238】
また、第3の実施形態に対応する医用画像処理装置は、図1、図10中の少なくとも、付帯情報抽出部15、重畳領域検出部23、重畳領域選択部24、付帯情報消去部17、制御部21及びプログラム記憶部22を含んで構成される。
【0239】
また、第4の実施形態に対応する医用画像処理装置は、図1、図12中の少なくとも、付帯情報抽出部15、データ記憶部25、消去対象判断部26、付帯情報消去部17、制御部21及びプログラム記憶部22を含んで構成される。
【0240】
このような医用画像処理装置によれば、上述の医用画像診断装置の各実施形態と同様に、医用画像に埋め込まれた付帯情報を好適に自動消去することが可能である。
【0241】
また、本発明に係る医用画像処理プログラムは、上述の第1〜第4の実施形態で説明した処理(図3、図7、図11、図13のフローチャート参照)を任意のコンピュータに実行させるコンピュータプログラムである。この医用画像処理プログラムは、当該コンピュータ自身に搭載されていてもよいし(図2のプログラム記憶部22等に記憶されている)、ネットワーク上のサーバ等に当該プログラムを搭載し、当該コンピュータがネットワーク経由で読み込んで使用するようにしてもよい。それにより、当該コンピュータは、特に付帯情報抽出部15及び付帯情報消去部17として機能する。
【0242】
第1の実施形態に対応する医用画像処理プログラムは、コンピュータを、付帯情報抽出部15、輪郭検出部16、付帯情報消去部17、制御部21として機能させて、図3に示した処理を実行させる。更に、付帯情報埋込部11や画像判断部14として機能させてもよい(以下同様)。
【0243】
また、第2の実施形態に対応する医用画像処理プログラムは、コンピュータを、付帯情報抽出部15、付帯情報消去部17(領域分割部17a〜ピクセル値変更部17d)、制御部21として機能させて、図7に示した処理を実行させる。
【0244】
また、第3の実施形態に対応する医用画像処理プログラムは、コンピュータを、付帯情報抽出部15、重畳領域検出部23、重畳領域選択部24、付帯情報消去部17、制御部21として機能させて、図11に示した処理を実行させる。
【0245】
また、第4の実施形態に対応する医用画像処理プログラムは、コンピュータを、付帯情報抽出部15、データ記憶部25、消去対象判断部26、付帯情報消去部17、制御部21として機能させて、図13に示した処理を実行させる。
【0246】
なお、このような医用画像処理プログラムは、ROM、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、並びに、集積回路等のメモリ装置、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記録媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などの任意の記録媒体に記録することが可能である。
【0247】
以上にて詳述した構成は、本発明を好適に実施するための一具体例を開示したに過ぎないものであり、本発明の要旨の範囲内において任意の変形を適宜に施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0248】
【図1】本発明に係る医用画像診断装置の第1の実施形態の外観構成の一例を表す概略図である。
【図2】本発明に係る医用画像診断装置の第1の実施形態の制御系の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図3】本発明に係る医用画像診断装置の第1の実施形態の動作の一例を表すフローチャートである。
【図4】本発明に係る医用画像診断装置の第1の実施形態による付帯情報消去処理の一例を表す概略説明図である。図4(A)は、付帯情報埋め込み前の医用画像の概略形態を表す。図4(B)は、付帯情報を埋め込んで形成される出力用画像の概略形態を表す。図4(C)は、付帯情報が消去された出力用画像の概略形態を表す。
【図5】本発明に係る医用画像診断装置の第2の実施形態の制御系の部分構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図6】本発明に係る医用画像診断装置の第2の実施形態による付帯情報消去処理の一例を表す概略説明図である。図6(A)は、付帯情報が消去される前の出力用画像の概略形態を表す。図6(B)は、図6(A)の一部拡大図を表す。図6(C)は、付帯情報が消去された後の図6(B)に示す部分の概略形態を表す。
【図7】本発明に係る医用画像診断装置の第2の実施形態の動作の一例を表すフローチャートである。
【図8】本発明に係る医用画像診断装置の第3の実施形態において、被検体画像と付帯情報とが重なり合った状態を説明するための説明図である。
【図9】本発明に係る医用画像診断装置の第3の実施形態において、被検体画像と付帯情報との重なり合った状態を説明するための説明図である。
【図10】本発明に係る医用画像診断装置の第3の実施形態の制御系の部分構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図11】本発明に係る医用画像診断装置の第3の実施形態の動作の一例を表すフローチャートである。
【図12】本発明に係る医用画像診断装置の第4の実施形態の制御系の部分構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図13】本発明に係る医用画像診断装置の第4の実施形態の動作の一例を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0249】
1 医用画像診断装置
2 ガントリ
3 寝台
4 コンピュータ(医用画像処理装置)
5 モニタ装置
6 入力デバイス
10 画像形成部
11 付帯情報埋込部
12 画像記憶部
13 画像読込部
14 画像判別部
15 付帯情報抽出部
16 輪郭検出部
17 付帯情報消去部
17a 領域分割部
17b ピクセル値取得部
17c ピクセル値選択部
17d ピクセル値変更部
18 通信インターフェイス
19 画像出力インターフェイス
20 画像データベース
21 制御部
22 プログラム記憶部
23 重畳領域検出部
24 重畳領域選択部
25 データ記憶部
25a 消去対象特定情報
26 消去対象判断部
30 外部データベース
40 画像出力媒体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の内部形態を反映するデータに基づいて医用画像を形成する画像形成手段を有する医用画像診断装置であって、
前記医用画像に付帯情報を埋め込んで形成された出力用画像に埋め込まれた付帯情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出された付帯情報を前記出力用画像から消去する消去手段と、
前記付帯情報が消去された出力用画像を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
前記付帯情報は文字列情報を含み、
前記抽出手段は、前記出力用画像の全体を解析して、当該出力用画像に埋め込まれた文字列情報を各文字毎に抽出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記抽出された文字の輪郭を検出する輪郭検出手段を更に備え、
前記消去手段は、前記検出された輪郭の内部領域のピクセルのピクセル値を所定の値に変更することにより文字列情報を消去する、
ことを特徴とする請求項2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記消去手段は、
前記抽出された文字及びその周辺領域からなる領域を複数の部分領域に分割する分割手段と、
前記複数の部分領域のうち前記文字に相当する領域を含む各部分領域について、前記周辺領域に相当する部分周辺領域の各ピクセルのピクセル値を取得するピクセル値取得手段と、
前記各部分領域について、前記取得されたピクセル値に基づき、前記部分周辺領域において最大範囲を占めるピクセル値を選択するピクセル値選択手段と、
を備え、
前記各部分領域の各ピクセルのピクセル値を前記選択されたピクセル値に変更することにより前記文字を消去する、
ことを特徴とする請求項2に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記抽出手段により付帯情報が抽出された出力用画像を解析し、前記被検体の内部形態を表す被検体画像と前記抽出された付帯情報とが重なり合う重畳領域を検出する重畳領域検出手段を更に備え、
前記消去手段は、前記抽出された付帯情報のうち、前記検出された重畳領域外の部分を選択的に消去する、
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記形成された出力用画像は、複数の静止画像からなる動画像であり、
前記抽出手段は、前記動画像の前記複数の静止画像に埋め込まれた付帯情報を各静止画像毎に抽出し、
前記重畳領域検出手段は、前記抽出された付帯情報の重畳領域を各静止画像毎に検出し、
前記各静止画像毎に検出された重畳領域のうち、最大範囲の重畳領域を選択する重畳領域選択手段を更に備え、
前記消去手段は、前記複数の静止画像のそれぞれの前記付帯情報のうち、前記選択された重畳領域外に相当する部分を選択的に消去する、
ことを特徴とする請求項5に記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記重畳領域検出手段は、前記出力用画像の各ピクセルのピクセル値に基づいて被検体画像の範囲を検出し、その検出された被検体画像の範囲と前記抽出された付帯情報の範囲とに基づいて前記重畳領域を検出することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
前記形成された出力用画像は、複数の静止画像からなる動画像であり、
前記抽出手段は、前記動画像の前記複数の静止画像に埋め込まれた付帯情報を各静止画像毎に抽出し、
前記消去手段は、前記複数の静止画像のそれぞれから前記抽出された付帯情報を各静止画像毎に消去する、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。
【請求項9】
前記形成された出力用画像は、静止画像又は複数の静止画像からなる動画像であり、
前記出力用画像が静止画像であるか又は動画像であるか判別する画像判別手段を更に備え、
前記抽出手段は、前記出力用画像が動画像であると前記判別されたときに、当該動画像を形成する複数の静止画像に埋め込まれた付帯情報を各静止画像毎に抽出し、
前記消去手段は、前記複数の静止画像のそれぞれから前記抽出された付帯情報を各静止画像毎に消去する、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。
【請求項10】
前記消去手段は、前記付帯情報を各静止画像毎に消去するときに、前記複数の静止画像の同一の領域を消去することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の医用画像診断装置。
【請求項11】
前記付帯情報は、1つ以上の文字列情報と、各文字列情報の種類を識別する識別情報とを含み、
前記1つ以上の文字列情報のうち消去対象となる文字列情報の前記識別情報を特定する消去対象特定情報をあらかじめ記憶する記憶手段と、
前記抽出手段により抽出された識別情報が前記消去対象特定情報により特定されているか判断する消去対象判断手段と、
を更に備え、
前記消去手段は、前記抽出された識別情報が特定されていると前記判断されたときに、その識別情報により識別される文字列情報を選択的に消去する、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の医用画像診断装置。
【請求項12】
前記識別情報は、識別する文字列情報の種類を表す文字列、又は、識別する文字列情報に関連付けられたイメージを含むことを特徴とする請求項11に記載の医用画像診断装置。
【請求項13】
被検体の内部形態を反映するデータに基づいて形成された医用画像を処理する医用画像処理装置であって、
前記医用画像に付帯情報を埋め込んで形成された出力用画像に埋め込まれた付帯情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出された付帯情報を前記出力用画像から消去する消去手段と、
前記付帯情報が消去された出力用画像を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項14】
前記付帯情報は文字列情報を含み、
前記抽出手段は、前記出力用画像の全体を解析して、当該出力用画像に埋め込まれた文字列情報を各文字毎に抽出する、
ことを特徴とする請求項13に記載の医用画像処理装置。
【請求項15】
前記抽出された文字の輪郭を検出する輪郭検出手段を更に備え、
前記消去手段は、前記検出された輪郭の内部領域のピクセルのピクセル値を所定の値に変更することにより文字列情報を消去する、
ことを特徴とする請求項14に記載の医用画像処理装置。
【請求項16】
前記消去手段は、
前記抽出された文字及びその周辺領域からなる領域を複数の部分領域に分割する分割手段と、
前記複数の部分領域のうち前記文字に相当する領域を含む各部分領域について、前記周辺領域に相当する部分周辺領域の各ピクセルのピクセル値を取得するピクセル値取得手段と、
前記各部分領域について、前記取得されたピクセル値に基づき、前記部分周辺領域において最大範囲を占めるピクセル値を選択するピクセル値選択手段と、
を備え、
前記各部分領域の各ピクセルのピクセル値を前記選択されたピクセル値に変更することにより前記文字を消去する、
ことを特徴とする請求項14に記載の医用画像処理装置。
【請求項17】
前記抽出手段により付帯情報が抽出された出力用画像を解析し、前記被検体の内部形態を表す被検体画像と前記抽出された付帯情報とが重なり合う重畳領域を検出する重畳領域検出手段を更に備え、
前記消去手段は、前記抽出された付帯情報のうち、前記検出された重畳領域外の部分を選択的に消去する、
ことを特徴とする請求項13に記載の医用画像処理装置。
【請求項18】
前記形成された出力用画像は、複数の静止画像からなる動画像であり、
前記抽出手段は、前記動画像の前記複数の静止画像に埋め込まれた付帯情報を各静止画像毎に抽出し、
前記消去手段は、前記複数の静止画像のそれぞれから前記抽出された付帯情報を各静止画像毎に消去する、
ことを特徴とする請求項13ないし請求項17のいずれか一項に記載の医用画像処理装置。
【請求項19】
前記付帯情報は、1つ以上の文字列情報と、各文字列情報の種類を識別する識別情報とを含み、
前記1つ以上の文字列情報のうち消去対象となる文字列情報の前記識別情報を特定する消去対象特定情報をあらかじめ記憶する記憶手段と、
前記抽出手段により抽出された識別情報が前記消去対象特定情報により特定されているか判断する消去対象判断手段と、
を更に備え、
前記消去手段は、前記抽出された識別情報が特定されていると前記判断されたときに、その識別情報により識別される文字列情報を選択的に消去する、
ことを特徴とする請求項13ないし請求項18のいずれか一項に記載の医用画像処理装置。
【請求項20】
コンピュータを、
被検体の内部形態を反映するデータに基づいて形成された医用画像に付帯情報を埋め込んで形成された出力用画像を受け付ける受付手段と、
前記受け付けられた出力用画像に埋め込まれた付帯情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出された付帯情報を前記出力用画像から消去する消去手段と、
して機能させることを特徴とする医用画像処理プログラム。
【請求項21】
前記付帯情報は文字列情報を含み、
前記抽出手段を、前記受け付けられた出力用画像の全体を解析して、当該出力用画像に埋め込まれた文字列情報を各文字毎に抽出するように機能させる、
ことを特徴とする請求項20に記載の医用画像処理プログラム。
【請求項22】
前記コンピュータを、前記抽出された文字の輪郭を検出する輪郭検出手段として更に機能させ、
前記消去手段を、前記検出された輪郭の内部領域のピクセルのピクセル値を所定の値に変更することにより文字列情報を消去するように機能させる、
ことを特徴とする請求項21に記載の医用画像処理プログラム。
【請求項23】
前記消去手段を、
前記抽出された文字及びその周辺領域からなる領域を複数の部分領域に分割する分割手段と、
前記複数の部分領域のうち前記文字に相当する領域を含む各部分領域について、前記周辺領域に相当する部分周辺領域の各ピクセルのピクセル値を取得するピクセル値取得手段と、
前記各部分領域について、前記取得されたピクセル値に基づき、前記部分周辺領域において最大範囲を占めるピクセル値を選択するピクセル値選択手段と、
して機能させるとともに、
前記各部分領域の各ピクセルのピクセル値を前記選択されたピクセル値に変更することにより前記文字を消去するように機能させる、
ことを特徴とする請求項21に記載の医用画像処理プログラム。
【請求項24】
前記コンピュータを、前記抽出手段により付帯情報が抽出された出力用画像を解析し、前記被検体の内部形態を表す被検体画像と前記抽出された付帯情報とが重なり合う重畳領域を検出する重畳領域検出手段として更に機能させ、
前記消去手段を、前記抽出された付帯情報のうち、前記検出された重畳領域外の部分を選択的に消去するように機能させる、
ことを特徴とする請求項20に記載の医用画像処理プログラム。
【請求項25】
前記形成された出力用画像は、複数の静止画像からなる動画像であり、
前記抽出手段を、前記動画像の前記複数の静止画像に埋め込まれた付帯情報を各静止画像毎に抽出するように機能させ、
前記消去手段を、前記複数の静止画像のそれぞれから前記抽出された付帯情報を各静止画像毎に消去するように機能させる、
ことを特徴とする請求項20ないし請求項24のいずれか一項に記載の医用画像処理プログラム。
【請求項26】
前記付帯情報は、1つ以上の文字列情報と、各文字列情報の種類を識別する識別情報とを含み、
前記コンピュータは、前記1つ以上の文字列情報のうち消去対象となる文字列情報の前記識別情報を特定する消去対象特定情報をあらかじめ記憶する記憶手段を備え、
前記コンピュータを、前記抽出手段により抽出された識別情報が前記消去対象特定情報により特定されているか判断する消去対象判断手段として更に機能させ、
前記消去手段を、前記抽出された識別情報が特定されていると前記判断されたときに、その識別情報により識別される文字列情報を選択的に消去するように機能させる、
ことを特徴とする請求項20ないし請求項25のいずれか一項に記載の医用画像処理プログラム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−44239(P2007−44239A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231692(P2005−231692)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】