説明

医療データメッセージ自動生成システム

【課題】サーバーとの間でデータ交換する際、患者と医師とを関連付ける処理を必要としないシステムを提供する。
【解決手段】医師による利用が可能になっていると共に、データ送信ネットワーク14を介してデータサーバー15に接続された生成ステーション12によって、患者に関する医療データメッセージを自動的に生成するシステム10。該システムは、メッセージ生成を開始するために医師による作動が可能である手段16、18、20、22と、医師識別データ入力手段32、22と、患者識別データ入力手段34、22と、患者に関する医療データ入力手段40、22と、これらの様々なデータを統合して、所定のネットワーク送信形式のメッセージを作成する手段44と、ネットワークを介してメッセージをサーバーに送信する手段54とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療従事者による利用が可能になっていると共に、データ送信ネットワークを介してデータサーバーに接続された生成ステーションによって、患者に関する医療データメッセージを自動的に生成するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者が生涯を通じて診察を受ける、医療現場の一人又は複数の医師、一般医師、専門家などによるデータの管理を容易にするために、昨今では、情報技術を用いて、患者に関する医療データを、少なくとも一つの中央医療データサーバーに集中させる傾向にある。
従来、医療現場の医師は、例えばオフィスコンピュータなどの自由に使えるデータ処理手段を仕事場に持っており、このようなデータ処理手段を用いることにより、医師は、例えば、診察、X線写真撮影、処方箋作成などの医療処置の結果として作成された、IT形式の患者に関する医療データを管理することが可能になっている。
【0003】
しかしながら、データを管理及び/若しくは保存するために、又はデータを医療データサーバーとの間で交換するために医療現場の医師により使用されるITツールは、一般に同種ではない。
特に、使用されるデータファイル形式(フォーマット)の種類は単一ではないので、医師の中には、データを交換する中央医療データサーバーに接続できない者もいるが、その原因は、この種の交換に適合したファイル形式を使用していないためである。
【0004】
さらに、データ交換に適合した種類のファイル形式を医師が採用しているときでさえも、患者及び医師に関してサーバーとの間で交換した、両者を関連付けるデータの識別において、問題が生じてしまう。例えば、X線写真が適切なIT形式に変換され、そのままサーバーに送信された場合、このデータ中には、例えばサーバーが医師及び患者を自動的に識別して関連付けることを可能にするデータが含まれていないため、さらに識別処理が必要となってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、少なくとも一つの医療データサーバーとの間でのデータ交換に適合するIT形式であると共に、医療データが関連付けられる医師及び患者を識別するデータを含む医療データメッセージを自動的に生成するように構成された生成システムを提供することによって、上述の問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のシステムは、医療従事者による利用が可能になっていると共に、データ送信ネットワークを介してデータサーバーに接続された生成ステーションによって、患者に関する医療データメッセージを自動的に生成するシステムであって、
前記メッセージの前記生成を開始するために医療現場の前記従事者による作動が可能である手段と、
医師を識別するデータを取得する手段と、
前記患者を識別するデータを取得する手段と、
前記患者に関する医療データを取得する手段と、
これらの様々なデータを統合して、前記ネットワーク上での送信用の所定の形式に従ったメッセージを作成する統合手段と、
前記ネットワーク上の前記メッセージを、前記サーバーの送信先に出力する出力手段とを備えていることを特徴としている。
【0007】
別の特徴によれば、前記統合手段は、前記データの全てを含む単一のファイルの形式のメッセージを作成するように構成されている。
さらに別の特徴によれば、
前記メッセージの前記所定の送信形式は、所定の印刷形式でもあり、
前記所定の印刷形式は、「ポストスクリプト」形式であり、
前記印刷形式は、「ポータブルドキュメントフォーマット」である。
【0008】
さらに別の特徴によれば、前記システムは、データファイルの前記形式の前記医療データを前記所定の印刷形式に変換するように構成された変換手段を備えており、前記統合手段は、前記データファイルのヘッダー内に、前記患者及び前記医師を識別する前記データを含めるように構成されている。
さらに別の特徴によれば、
前記統合手段は、共通の識別子を含む複数のITファイルの前記形式のメッセージを作成するように構成されており、
前記患者を識別するデータを取得する手段は、患者の識別(ID)カード(身分証明書)内の前記データを読み取る手段を備えており、
前記医師を識別するデータを取得する手段は、医師の識別(ID)カード(身分証明書)内のデータを読み取る手段を備えており、
前記医師を識別するデータを取得する手段は、前記医師を認証する手段をさらに備えており、
前記認証手段は、前記従事者が手動で認証コードを捕捉する手段と、前記コードと、前記医師のIDカード内に保存されているコードとを比較する比較手段であって、この比較の結果に基づいて少なくとも前記医師を認証するための比較手段とを備えており、
前記患者及び/又は前記医師を識別するデータを取得する手段は、前記データを手動で捕捉する手段を備えており、
前記統合手段は、前記医師を認証するため、若しくは、前記メッセージ内に含まれている、前記患者の識別データと前記患者に関する前記医療データとの完全性を、特に前記データサーバーにおいて確認するために、又はその両目的のために、デジタル署名を生成して前記メッセージ内に取り入れるように構成されており、
前記医師の識別データを取得する手段は、前記デジタル署名を生成する非対称暗号アルゴリズムを、前記統合手段によって実行するために、前記医師に対応する秘密キーを取得するように構成されており、
前記医師のデータを取得する手段は、患者の識別カード内の前記データを読み取る手段を備えており、この読み取り手段は、前記医師の識別カード内の前記医師に対応する前記秘密キーを読み取るように構成されており、
前記出力手段は、前記メッセージを圧縮する圧縮手段を備えており、
前記出力手段は、前記メッセージを暗号化する手段を備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、添付図面を参照しながら、例としてのみ示す以下の説明を読むことによって、より容易に理解されるであろう。
図1は、患者に関する医療データメッセージを自動的に生成するシステム10を図示している。
より具体的には、図示されているメッセージ生成システム10は、医療従事者による利用が可能になっていると共に、データ送信ネットワーク14を介して、特に患者に関する医療データの集合を集中的に管理及び保存する少なくとも一つのデータサーバー15に接続された生成ステーション12を備えている。
【0010】
生成ステーション12は、例えば、患者に対して医療処置がおこなわれる現場に設置されたオフィスコンピュータ型のデータ処理装置(ユニット)によって実現される。
生成ステーション12は、医療従事者、即ち、医師自身又は生成システム10の操作を許可されている者との通信のために、周辺機器の所定の集合体に接続された中央管理手段16を備えている。例えば、周辺機器の集合体は、特に、表示スクリーン18と、手動でデータ捕捉(取り込み)をおこなうためのキーボード20と、スクリーン18において指示をおこなうための指示手段22と、プリンタ24とにより構成されている。後により詳しく説明するように、生成ステーション12は、ランダム・アクセス・メモリ28及び大容量記憶手段30など、永久的であるか否かに関わらず、患者に関する医療データを局所的に保存するデータ保存手段26をさらに備えている。
【0011】
生成システム10は、医師、患者、及び医療処置に関するデータの所定の集合を取得するように構成されている。
より具体的には、生成システム10は、患者を識別するデータを取得する取得手段32を備えている。取得手段32は、例えば、名前、社会保険番号、住所又はその他のデータなど、患者を明確に識別する上で必要となる患者の個人データを取得するように構成されている。
【0012】
取得手段32は、例えば、健康保険団体から患者に付与された、「ヴァイタル」カード型のチップカードなどの健康保険カード33内に収められている患者の識別データを挿入時に読み取るカード読み取り装置を備えていることが有利である。カードは、取得手段32の読み取り装置内に挿入され、カード内に収められているデータは、読み取り装置により読み取られた後、中央管理手段16に送られてデータ保存手段26に保存される。
【0013】
患者の識別データを取得する取得手段32は、例えば、データの修正、及び/又はカード内に収められていない補足データの医療従事者による手動捕捉、及び/又は患者が例えば健康保険カードを忘れてしまったときに患者を識別するデータの手動捕捉など、手動でデータ捕捉(取り込み)をおこなうためのキーボード20によって、さらに完成されたものとなる。
【0014】
生成システム10は、例えば、名前、専門分野、国による医療従事者識別番号、又はその他のデータなど、医療処置をおこなう医師を識別するデータを取得する取得手段34をさらに備えており、この識別データにより、医師を明確に識別することも可能となる。
取得手段34は、「HPC」カードとも呼ばれる、医療従事者チップカード型のカード35内に収められた医師を識別するデータを、挿入時に読み取るように構成されたカード読み取り装置をさらに備えていることが有利である。
【0015】
医師を識別するデータを取得する手段34は、医師を認証するための手段をさらに備えている。実際、生成システム10により生成される、患者に関する医療データメッセージは、例えば、他の医師又は行政機関によるその後の使用のために中央サーバー15に保存することが意図されているので、このデータは確実に認証される必要がある。
従来、医療従事者用カード35には、医師のみが知っている認証コードが収められている。それゆえ、認証手段は、医療従事者用カード読み取り装置内に入っていることが有利である。このために、読み取り装置は、例えばキーボードなど、コードを手動で捕捉するための手段36と、コードの捕捉の要求や確認のメッセージ又はコード捕捉ではないメッセージを表示するように構成されたスクリーン37とを備えている。
【0016】
手動で捕捉されたコードは、次に、読み取り装置に設けられた比較手段38であって、捕捉されたコードと、カード内に収められた認証コードとを比較するように構成されている比較手段38に送られる。捕捉されたコードと、カード内に収められたコードとが一致する場合、医師の認証の確認後、カード内に収められた医師を識別するデータは、読み取られて中央管理手段16に送られ、その後の使用のためにデータ保存手段26に保存される。
【0017】
さらに、医師の識別データを取得する手段34は、医療従事者用カードに収められていない補足データを、医療従事者が、例えば、手動で捕捉するためのキーボード20によって、完成されたものとなる。
尚、これらの取得手段の別の実施形態も想定可能である。従って、例えば、患者の識別データを取得する手段32と、医師の識別データを取得する手段34とは、同一の取得手段により(有利には、単一のカード読み取り装置により)構成されてもよく、その場合の取得手段は、患者の健康保険カード及び医師の医療従事者用カードを読み取るために連続的に使用される。
【0018】
生成システム10は、医療データを取得する手段40をさらに備えている。取得手段40は、例えば、X線写真撮影や超音波スキャンなどの医療処置の間に生成された医療データを取得するように構成されている。
医療データを取得する手段40は、処方箋の作成や医療診断などを担当する医療従事者が手動でデータ捕捉をおこなうための手動データ捕捉用キーボード20によって、さらに完成されたものとなる。
【0019】
取得手段40によって取得された医療データ、又はキーボード20によって手動で捕捉された医療データは、次に、中央管理手段16に送られ、その後の使用のためにデータ保存手段26内に保存される。
当然のことながら、取得される医療データは、例えば、医療従事者の命令で自動的又は手動的にシステム10によって連続して取得された、様々な種類(異なるタイプ)の医療データの幾つかのデータ項目の連結から生じるものでもよい。
【0020】
例えば、医療データには、キーボード20を用いて医療従事者によって得られた診断報告書と、患者のX線撮影の結果として取得したX線写真とが含まれてもよい。
取得手段40及び/又はキーボード20によって取得された医療データには、患者に関する医療データの種類を識別するデータ(例えば、その種類の明確な特定を可能にする所定のコード)がさらに含まれていることが有利である。これにより、データサーバー15における医療データの処理、保存、及び分類を容易にすることが特に可能となる。
【0021】
後により詳しく説明するように、医療データの種類を識別するデータは、例えば、スクリーン18上に表示される適当なダイアログウィンドウと関連して、医療従事者がキーボード20及び/又は指示手段22の両方を用いることによって取得される。このデータは、次に、その後の使用のために保存手段26内に保存される。
変形例において、医療データの種類を識別するデータには、例えば、保健機関から請求されたデータの一つ以上の項目など、追加的な記述データがさらに含まれる。このような記述データには、例えば、医療データの作成日時が含まれる。
【0022】
記述データは、例えば、医療データの取得時、若しくはサーバー15への医療データの送信時にシステム10によって自動的に生成されるか、又は、医療従事者によってキーボード20を用いて全体的若しくは部分的に捕捉される。
別の実施形態において、医療データの種類を識別するデータは、保存手段26内に保存されている医療データと連結される。
【0023】
データを統合(結合)する統合手段44は、後により詳しく説明するように、ネットワーク上での送信用の所定の形式に従ったメッセージを作成するために、中央管理手段16にさらに接続されており、患者、医師、及び医療データの種類を識別するデータと、患者に関する医療データとを統合するのに適したものとなっている。
送信形式は、所定の印刷形式でもあることが好ましい。例えば、「ポストスクリプト」(PS)タイプ、「ポータブルドキュメントフォーマット」(PDF)タイプ、又はその他のタイプの標準形式など、現在使用されている表示および処理ソフトウェアに対応した汎用の印刷形式も想定可能であることが有利である。
【0024】
所定の印刷形式のITファイルを得るために、中央管理手段16は、データ保存手段26内に保存されている医療データを所定の印刷形式のファイルに、好ましくは、後により詳しく説明するように、簡易な処理が可能な「ポストスクリプト」形式のファイルに変換するように構成された変換手段45に接続されている。
また、図2A及び図2Bに示すように、医療データメッセージを生成するために、統合手段44は、医療データに対応するデータファイルのヘッダー内に、患者及び医師を識別するデータを含めるように構成されている。
【0025】
図2Aは、「ポストスクリプト」形式の医療データファイルを示す図である。最先端技術においてよく知られているように、このファイルには、その識別、表示、印刷、処理などを可能にするパラメータの集合により構成されるヘッダー46と、データゾーン48とが含まれている。例えば、データゾーン48には、X線写真などの医療データが含まれている。
【0026】
図2Bは、統合手段44によって上述のファイルから生成された医療データメッセージを示す図である。このファイルのヘッダー内には、患者を識別するデータを含むデータゾーン50と、医師を識別するデータを含むデータゾーン52と、患者に関する医療データの種類を識別するデータを含むデータゾーン53とが、手段44によって導入されている。
【0027】
このメッセージについて、その他の形式も使用可能である。
変形例においては、統合手段44が、例えば、データの種類ごとに一つのファイルという具合に、保存手段26内に保存されているデータについて、複数のファイルを生成する。そして、手段44は、生成されたITファイルを含むアーカイブの形のメッセージを生成し、サーバー15は、このアーカイブから様々なファイルを抽出するのに必要なITツールを備えている。
【0028】
再び図1を参照すると、後にもより詳しく説明するように、例えば、スクリーン18上に表示されるダイアログウィンドウに関連する指示手段22によって構成された生成開始手段が、医療従事者によって作動されたとき、医療データメッセージの生成が始動する。
最後に、生成システム10は、ネットワーク14上に医療データメッセージを出力する出力手段54を備えている。出力手段54は、メッセージを圧縮することにより、ネットワーク14上に送信されるデータのサイズを小さくする圧縮手段56を備えていることが有利である。
【0029】
データ送信ネットワーク14上で送信される医療データの機密性と安全性(セキュリティ)とを保証するために、出力手段54は、メッセージを暗号化する手段58をさらに備えていてもよい。
次に、図3のフローチャートを参照しながら、生成システム10の動作を説明する。
生成システム10の動作の第1のステップは、例えば、システムのスイッチが入れられたとき、又は医療処置がおこなわれるたびに開始される初期設定(初期化)ステップ60である。初期設定には、特に、所定の安全度の選択をおこなう工程が含まれる。この選択により、医師及び/又は患者のカードから読み取られると共に医療従事者による修正が可能な識別データが特定される。
【0030】
初期設定が完了すると、ステップ62において、中央管理手段16が医師の識別/認証についての要求を出力する。例えば、中央管理手段16は、表示スクリーン18上に適当なダイアログウィンドウを表示させることにより、取得手段34のカード読み取り装置内への医師の医療従事者用カードの挿入を促す。
医師が、利用可能な自分の医療従事者用カードを手元に持っていない場合、ステップ64において、医師はこのことを中央管理手段16に対して示すが、この作業は、例えば、この目的のために上述のダイアログウィンドウに特別に設けられたボタンを、指示手段22を用いて指示して確認することによりおこなわれる。
【0031】
これに応じて、ステップ66において、生成システム10は、所定の動作縮小モードで機能するようになっており、少なくとも、所定の送信形式の医療データメッセージを生成することができず、従って、この医療データメッセージをサーバー15の送信先へ出力することもできない。
医師が、利用可能な自分の医療従事者用カードを手元に持っている場合、ステップ68において、医師の識別データ取得手段34の読み取り装置内に、医師がカードを挿入する。
【0032】
カードの挿入に応じて、ステップ70においては、カード読み取り装置34のスクリーン37上に、認証コードの捕捉の要求が表示され、医師は、カード読み取り装置34のコード捕捉用キーボード36を用いて、認証コードを捕捉する。
ステップ72において、捕捉されたコードは、次に比較手段38に送られ、捕捉されたコードと、読み取り装置に挿入されたカード内の認証コードとが比較される。これら二つのコードが異なる場合、ステップ74において、比較手段36は、医師によるコード捕捉の試みの回数が、比較手段38に保存されている所定の試みの回数以上であるかどうかを検証する。
【0033】
この検証の結果、コード捕捉の試みの回数が所定回数以上であった場合、エラーメッセージが生成されて、生成システムはステップ66における動作を開始する。この検証の結果、コード捕捉の試みの回数が所定回数未満であった場合、ステップ74からステップ70に戻る。
医師が捕捉したコードと、カード内に収められた認証コードとが一致する場合、ステップ76において、医師の識別データ取得手段34のカード読み取り装置により、カード内に収められている医師の識別データが中央管理手段に送られ、これに応じて、中央管理手段は、このデータをデータ保存手段26内に保存する。
【0034】
また、ステップ76で中央管理手段16は、スクリーン18上にダイアログウィンドウを表示させることにより、任意又は非任意で、ウィンドウの特定のフィールドにおいて、医療従事者に、医療従事者用カード内に収められているデータを補足する医師の識別データをキーボード20を用いて捕捉させる。
そして、補足識別データが捕捉された場合、そのデータは、保存手段26内に保存されている識別データに連結される。
【0035】
生成システム10の次の動作は、患者の識別データの取得である。このために、ステップ78において、中央管理手段16は、例えば、スクリーン18上に適当なダイアログウィンドウを表示させることによって、医療従事者に、患者の健康保険カードを、患者の識別データ取得手段32のカード読み取り装置内に挿入させる要求を出力する。
患者の健康保険カードの挿入後、ステップ80において、患者の識別データ取得手段32のカード読み取り装置は、カード内に収められたデータを読み取った後、中央管理手段16に送り、次に中央管理手段16は、そのデータをデータ保存手段26内に保存する。
【0036】
患者の識別データを手動で捕捉するステップ82において、中央管理手段16は、スクリーン18上にダイアログウィンドウを表示させることにより、任意又は非任意に、ウィンドウの特定のフィールドにおいて、医療従事者に、健康保険カード内に収められているデータを補足する患者の識別データをキーボード20を用いて捕捉させる。
例えば、患者が忘れてしまったために、健康保険カードを読み取り装置内に挿入できない場合、患者のカードの挿入を要求するステップ78から、患者の識別データの全てを医療従事者が手動で捕捉する手動捕捉ステップ82に進む。
【0037】
読み取られた患者の識別データ及び/又は捕捉された患者の識別データは、ステップ84において、中央管理手段16に送られ、そのデータはデータ保存手段26内に保存される。
生成システム10の次の動作ステップは、患者に関する医療データを取得するステップ88である。このステップ88の間、医療データ取得手段40及び/又は医療従事者は、診察、X線写真、外科的介入の報告書又はその他のデータなど、医療処置をおこなう際に作成される医療データを、例えばキーボード20を用いて捕捉する。このデータは、次に中央管理手段16に送られて、データ保存手段26内に保存される。
【0038】
次のステップ89は、患者に関するデータの種類を識別するデータを取得するステップである。この目的のために、中央管理手段16は、適当なダイアログウィンドウを表示させることにより、その特定のフィールドにおいて、医療従事者に、医療データの種類を捕捉させるか、又は、例えばスクロールメニューの形式の医療データの種類の所定リストから、医療データの種類を選択させる。
【0039】
医療データの種類を識別するデータは、次に中央管理手段16に送られ、これに応じて中央管理手段16は、そのデータをデータ保存手段26内に保存する。
次に、ステップ90において、変換手段45は、保存されている医療データを、必要に応じて、例えば「ポストスクリプト」印刷形式の一つ以上のファイルに変換する。
次のステップは、データ保存手段26において、サーバー15に向けて出力される患者に関する医療データを医療従事者が選択する、即ち、例えば「ポストスクリプト」形式の一つ以上のデータファイルを選択するステップ92である。この選択は、データ保存手段26を一通り調べて、特定のファイルを選択し、それを表示することができる、所定形式のドキュメントをスクリーン18上に表示するソフトウェアを用いておこなうことが有利である。
【0040】
この選択ステップ92において、医療従事者が付加的なデータ処理を開始して、例えば複数の保存データファイルから、「ポストスクリプト」形式の単一のデータファイルを作成してもよい。
医療データの選択と処理とが全て完了すると、次のステップ94において、医療従事者が、出力されるべき医療データメッセージの作成を開始するが、この作業は、この目的のために表示ソフトウェアのダイアログウィンドウに特別に設けられたボタン、又はスクリーン上に表示されるデータのプリンタによる印刷を作動するボタンなど、既にウィンドウに存在し、この付加的な開始機能に対応しているボタンを、例えば指示手段22で押すことによりおこなわれる。
【0041】
次のステップ96において、中央管理手段16は、医師、患者及び医療データの種類を識別するデータを保存手段26において読み取り、読み取ったデータを、サーバー15に送信するよう選択された医療データに対応するデータファイルと共に統合手段44に送る。
次に、図2A及び図2Bを参照して説明したように、統合手段44は、例えば「ポストスクリプト」形式のファイルのヘッダー内に医師、患者、及び医療データの種類を識別するデータを含む医療データメッセージを生成した後、そのファイルを、例えば、医療データの局所的な管理の必要性に応じて保存手段26内に保存する。
【0042】
ステップ98において、このように生成されたメッセージは、次に出力手段54に送られ、圧縮と暗号化とがおこなわれた後、医療データサーバー15に向けた送信のためにデータ送信ネットワーク14上に出力される。
次に、メッセージは、その後の使用を目的としてアクセス可能にするために、サーバーにおいて受信、分類及び保存される。
【0043】
取得された様々なデータを概括(要約)するダイアログウィンドウの一例は、4頁に示されている。
医師、患者、及び患者に関する医療データの種類を識別するデータを取得するためのダイアログウィンドウは、実際には、図4に示されるようなタイプの単一のウィンドウであることが有利である。このようなウィンドウは、中央管理手段16によって生成されて、スクリーン18上に表示され、そして、その様々な機能、フィールド、ボタン、スロットなどは、指示手段22及び捕捉用のキーボード20を用いることにより従来の方式で利用可能になっている。
【0044】
ダイアログウィンドウには、データフィールドの複数のグループが含まれている。「医療従事者識別(作成者)」という名称のフィールドの第1のグループAには、医療処置をおこなう医師を識別するデータに関するフィールドが含まれている。第1のフィールド「PS選択」は、医師の選択のために設けられている。実際に、例えば病院に設置された生成システム10は、システム10によって認証及び識別された複数の医師がおこなう医療処置に関する医療データを、生成及び送信するために使用することが可能になっている。そして、医療従事者は、当該フィールドに対応するスクロールメニューによって、特定の医師に関連する識別データを選択することができ、この例では、医師を識別するデータの所定の集合の中から「PNEUMO/JEAN」という名称がシステム10において参照される。
【0045】
「名字」、「名前」、「職業」、「専門分野」、「国民識別タイプ」、及び「国民識別番号」のフィールドには、選択された医師の医療従事者用カードから読み取られた識別データが表示される。図4に示す例において、このデータは、生成システム10の初期設定時に選択された安全度のために、修正できないようになっている。
「患者識別」という名称のデータフィールドの第2のグループBには、患者の識別データが列挙される。図4に示すように、患者の健康保険カードから読み取られた「PIN」、即ち患者識別番号、「データ」、「通常名」、「父称」、「名前」、「生年月日」、及び「性別」のフィールドに表示されるデータは、医療従事者によって修正されてもよい。例えば「区」のフィールドなど、その他のフィールドには、医療従事者が修正できない患者識別データが表示される。
【0046】
「ドキュメント」という名称のフィールドの第3のグループCは、サーバー15に送られるべき、患者に関する医療データの種類の選択を可能にするものである。このような選択は、図4に示す例において選択されている「手術報告書」を示す種類「手術R」など、医療データの種類の所定リストを表示するスクロールメニューに対応する「タイプ」のフィールドを用いて、医療従事者によりおこなわれる。
【0047】
「捕捉確認」のボタンDは、医療従事者による起動時に、上述のフィールドに表示されるデータの確認を可能にする。
本発明の好適な実施形態において、上述の機能は、生成ステーション12において実行される仮想プリンタパイロットタイプのソフトウェアのグラフィックインターフェースを用いて、医療従事者により管理される。例えば、医療データメッセージの生成は、仮想プリンタに対応するグラフィックウィンドウの「印刷」ボタンを医療従事者が起動することによって開始される。
【0048】
尚、ネットワーク14は、適当なネットワークであれば、如何なるネットワークで構成されてもよい。
本発明に係るシステムの別の特徴によれば、統合手段44は、患者、医師、医療データの種類、及び患者に関する医療データを識別するデータからデジタル署名を生成し、このデジタル署名をデータサーバー15に送られるべきメッセージ内に取り入れるようにさらに構成されている。このようなデジタル署名により、特にサーバー15において、より確実に医師を認証することが可能になる。また、このような署名により、受信したデータの完全性、特に、メッセージに含まれている患者及び患者に関する医療データを識別するデータの完全性を、データサーバー15が確かめることも可能になる。
【0049】
従来の方法で、医師の医療従事者用カードには、例えばその医師にのみ対応する秘密キーが含まれている。医療従事者用カードには、デジタル署名を生成するための非対称暗号アルゴリズムを符号化するITコードがさらに含まれている。
そして、医師識別データ取得手段34のカード読み取り装置は、例えば、図2のフローチャートを参照して説明した認証コードの捕捉による医師の認証作業の後に、医療従事者用カードから秘密キー及びITコードを読み取るようにさらに構成されている。
【0050】
秘密キー及びITコードは、次に統合手段44に送られる。図2のフローチャートに示すステップ96の後及びステップ98の前の追加的なステップ97において、最先端技術においてよく知られている方法で、様々な識別データ及び医療データに基づいてデジタル署名を生成するために、統合手段44は、ITコードを実行する。最終的にサーバー15に送られるべきメッセージを得るために、このデジタル署名は、その後、統合手段44によって、既にステップ96において生成されたメッセージの中に取り入れられる。
【0051】
そして、医師に対応する秘密キーに対して補足的な公開キーが保存されているサーバー15は、デジタル署名の出所(起原)及び/又は収めているデータの完全性を認証するために、受信するメッセージ内に収められているデジタル署名を処理することが可能になっている。
当然ながら、秘密キーと、アルゴリズムを符号化するITコードとは、医療従事者用カードにではなく、生成システム10に保存することも想定可能である。
【0052】
また、メッセージ内に収められた医師を識別するデータのみがデジタル署名だけで構成されてもよく、その場合、ステップ96において生成される「ポストスクリプト」形式のメッセージは、そのヘッダーに、図2Bを参照して説明したような医師の識別データに関するデータゾーン52を含まない。
他の実施形態も勿論可能である。例えば、上述のフローチャートを参照して説明したような、生成システムによっておこなわれるタスクのスケジューリングは、例えば、メッセージの生成開始後の医師及び患者のカードから読み取られたデータの修正及び/又は補足など、医療従事者によっておこなわれる様々な管理タスクに基づいて修正することも可能である。
【0053】
また、ネットワーク上にメッセージを出力するたびに認証が必要となるようにしてもよい。
例えば「ポストスクリプト」タイプの単一のファイルや、アーカイブなどの形式のメッセージを、統合手段44が作成する本発明の一実施形態を説明してきた。
変形例では、手段44は、保存手段26において取得及び保存された様々なデータから複数のファイルを生成すること、そして、これらのファイル内に共通の識別子を取り入れることに適したものである。例えば、同じ名前が付与されているが異なる拡張子を有するITファイルを、統合手段44が作成するか、又は、共通の識別子を有するヘッダーを各ファイルが含んでいる。
【0054】
そして、メッセージは、データの同じ集合に属することをサーバー15が識別できる複数のITファイルにより構成される。また、メッセージは、既に説明した方法と同一の方法で生成されたデジタル署名を含み、統合手段44はこれを共通の識別子を含むファイルの形式にしてもよい。
また、これらのファイルは、ネットワーク14上への出力に先立ち、圧縮手段56により前もってそれぞれ圧縮されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係るシステムを示す図である。
【図2A】「ポストスクリプト」形式の医療データファイルを示す図である。
【図2B】図1のシステムによって、図2Aのファイルから生成されたメッセージを示す図である。
【図3】図1のシステムの動作を示すフローチャートである。
【図4】図1のシステムによって表示されるダイアログウィンドウを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療従事者による利用が可能になっていると共に、データ送信ネットワーク(14)を介してデータサーバー(15)に接続された生成ステーション(12)によって、患者に関する医療データメッセージを自動的に生成するシステム(10)であって、
前記メッセージの前記生成を開始するために医療現場の前記従事者による作動が可能である手段(16、18、20、22)と、
医師を識別するデータを取得する手段(32、22)と、
前記患者を識別するデータを取得する手段(34、22)と、
前記患者に関する医療データを取得する手段(40、22)と、
これらの様々なデータを統合して、前記ネットワーク上での送信用の所定の形式に従ったメッセージを作成する統合手段(44)と、
前記ネットワーク上の前記メッセージを、前記サーバーの送信先に出力する出力手段(46)とを備えていることを特徴するシステム。
【請求項2】
前記統合手段(44)は、前記データの全てを含む単一のファイルの前記形式のメッセージを作成するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記メッセージの前記所定の送信形式は、所定の印刷形式でもあることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記所定の印刷形式は、「ポストスクリプト」形式であることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記印刷形式は、「ポータブルドキュメントフォーマット」形式であることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
データファイルの前記形式の前記医療データを前記所定の印刷形式に変換するように構成された変換手段(45)を備えており、前記統合手段(44)は、前記データファイルのヘッダー内に、前記患者及び前記医師を識別する前記データを含めるように構成されていることを特徴とする請求項3、4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記統合手段(44)は、共通の識別子を含む複数のITファイルの前記形式のメッセージを作成するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記患者を識別するデータを取得する手段(32、20)は、患者の識別カード内の前記データを読み取る手段(34)を備えていることを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載のシステム。
【請求項9】
前記医師を識別するデータを取得する手段(34、20)は、医師の識別カード内の前記データを読み取る手段(34)を備えていることを特徴とする請求項1ないし8の何れかに記載のシステム。
【請求項10】
前記医師を識別するデータを取得する手段(34、20)は、前記医師を認証する手段(36、38)をさらに備えていることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記認証手段(36、38)は、前記従事者が手動で認証コードを捕捉する手段(36)と、
前記コードと、前記医師の識別カード内に保存されているコードとを比較する比較手段(38)であって、この比較の結果に基づいて少なくとも前記医師を認証するための比較手段(38)とを備えていることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記患者及び/又は前記医師を識別するデータを取得する前記手段は、前記データを手動で捕捉する手段(20)を備えていることを特徴とする請求項1ないし11の何れかに記載のシステム。
【請求項13】
前記統合手段(44)は、前記医師を認証するため、若しくは、前記メッセージ内に含まれている、前記患者の識別データと前記患者に関する医療データとの完全性を特に前記データサーバー(15)において確認するために、又はその両目的のために、デジタル署名を生成して前記メッセージ内に取り入れるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし12の何れかに記載のシステム。
【請求項14】
前記医師を識別するデータを取得する手段(34、20)は、前記デジタル署名を生成する非対称暗号アルゴリズムを、前記統合手段(44)によって実行するために、前記医師に対応する秘密キーを取得するように構成されていることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記医師のデータを取得する手段(34、20)は、患者の識別カード内の前記データを読み取る手段(34)を備えており、この読み取り手段(34)は、前記医師の識別カード内の前記医師に対応する前記秘密キーを読み取るように構成されていることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記出力手段(46)は、前記メッセージを圧縮する圧縮手段(48)を備えていることを特徴とする請求項1ないし15の何れかに記載のシステム。
【請求項17】
前記出力手段(46)は、前記メッセージを暗号化する手段(50)を備えていることを特徴とする請求項1ないし16の何れかに記載のシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−534072(P2007−534072A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508938(P2007−508938)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000983
【国際公開番号】WO2005/111906
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(506354087)
【Fターム(参考)】