説明

医療機器用の高分子薬剤溶出システム

ポリ(ビニルアセタール−co−ビニルアルコール−co−ビニル酢酸)およびポリ(ビニルピロリドン−co−ビニル酢酸)を含有するコーティング組成物は、生体内において異なる溶出速度で溶出するために、第1生理活性物質(例えばラパマイシンなど)を含有する第1層および第2生理活性物質(例えばデキサメタゾンなど)を含有する第2層により、医療機器をコーティングすること可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器用のコーティング組成物、医療機器をコーティングする方法ならびに組成物によりコーティングされた機器に関するものである。特に、複数の生理活性剤をコーティング組成物中に混入すること、および組成物を移植可能医療機器のコーティングに使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的に活性な物質を、例えばステントなどの移植可能医療機器の表面に塗布することは知られており、例えばWO 03/024500号を参照されたい。
【0003】
また、ステントに対する薬剤併用の適用もWO 01/87372号(Cordis Corporation社)に開示されている。実施例6は、ステントに対して、ポリ(エチレン−コビニルアセテート)、ポリブチルメタクリレートおよびラパマイシンをテトラヒドロフランに溶解した溶液を噴霧し、次に、こうしてコーティングされたステントに、ポリ(エチレン−co−ビニルアセテート)ポリブチルメタクリレートおよびデキサメタゾンをテトラヒドロフランに溶解した溶液を噴霧することに関する。
【0004】
US 6,258,121号およびUS 6,569,195号(両者ともSciMed Life Systems,Inc.社)は、より迅速に溶出される親水性高分子物質(例えばポリ乳酸/ポリエテレン酸化物の共重合体など)と、第2番目の、よりゆっくりと溶出される疎水性物質(例えばポリ乳酸/ポリカプロラクトンの共重合体など)との混合物を含む、ステントへの高分子コーティングを開示している。この高分子混合物は、血管形成術後の再狭窄を防止するためにステントから送られるタキソールなどの活性物質と混合することが可能である。しかしながら、開示されるコーティングに関する問題のひとつは、ポリ乳酸が生体分解性を有するということである。
【0005】
これらとは別の血管ステント用多層ポリマーコーティングが、WO 02/074194号(STS Biopolymers, Inc.社)に開示されている。SciMed社の参照文献と同様に、このコーティングは徐々に薬剤を溶出する層および迅速に薬剤を溶出する層を含有することが可能であり、薬剤溶出率のプロフィールは、疎水性ポリマーに対する親水性ポリマーの割合を調節することによって調整することが可能である。
【0006】
WO 02/055122号(Biocompatibles Limited社)は、難水溶性の再狭窄防止剤を入れた血管ステントに用いる両親媒性ポリマーコーティングを開示している。
【0007】
WO 03/018083号(Chosun Universityら)は、薬剤溶出ステント用の他の被覆組成物であって、ポリウレタン、ポリエチレングリコール、薬剤および有機溶媒を含むものを開示している。
【0008】
WO 03/035135号(Scimed Life Systems Inc.社)は、薬剤溶出ステント用の他のコーティング組成物であって、スチレン−イソブチレンをベースとするブロック共重合体、パクリタキセルおよび有機溶媒を含むものを開示している。このコーティングに関する薬剤溶出プロフィールは、薬剤とポリマーとの割合に依存する。したがって、徐溶出型の処方では、中速度溶出型の処方に比べて3倍の重さのコーティング重量を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明では、移植可能な機器に用いる改善された溶出システムの提供を目的とする。本発明の好ましい態様では、コントロールされ且つプラグラム可能なように、すなわち所望の割合および/または所望の期間および/または機器の移植後の予め設定した期間後において、薬剤またはその他の生物学的な活性物質を溶出するシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様としては、生理活性物質およびその担体の組み合わせを含有し、
担体は、
式1 : 〔A〕x−〔B〕y−〔C〕z
で表されるランダムコポリマーである第1化合物を含有し、
ここで、Aはビニルアセタール基、Bはビニルアルコール基、Cはビニルアセテート基であり、x、yおよびzはコポリマー中のA、B、C基の比率を表しており、x+y+z=1である、医療機器用のコーティング組成物が提供される。好ましくは、xは0.8〜0.9であり、yは0.1〜0.2であり、zは0〜0.025である。
【0011】
特に好ましい態様においては、
担体は
式2 : 〔D〕n−〔E〕m
で表されるポリマーである第2化合物をさらに含有する。ここで、Dはビニルピロリドン基であり、Eはビニルアセテート基であり、nおよびmは共重合体中のDおよびE基の比率を表しており、n+m=1である。第2化合物としてビニルピロリドンのみを使用することにより有用な組成物が得られることが判明しており、したがって、上記式2のmは0であり得る。しかしながら、nは0.3〜0.7であり、mは0.3〜0.7であることが好ましい。
【0012】
第2化合物の比率は、コーティング組成物の50重量%を超えていても良い。
【0013】
好ましい態様において、
〔A〕x−〔B〕y−〔C〕zは、
式1A:

で表される化合物である。ここで、R1およびR2は、それぞれ独立したHあるいはアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリール基であり、任意にアルキル、アルケニル、アルキニルもしくはアリール基であり、また任意で、アルキル、アルケニル、アルキニルもしくはアリール基がいずれかのペンダント水素原子に置換されていても良い。より好ましくは、R1およびR2は、それぞれ独立したC1〜C6アルキルである。
【0014】
第1化合物は「既製品」のかたちで購入することは可能であるが、ビニルアセテート(CH2CHOCOCH3)から合成することも可能である。これを、コポリマーのひとつ(ポリビニルアルコール)を形成するように加水分解し、アルデヒド(好ましい態様におけるブチル−1−アール)と反応させて、co−ポリビニルアセタールコポリマーを形成し、ならびにそれ自身はco−ポリビニルアルコールコポリマーを形成する。
【0015】
特に好ましい態様において、第1化合物は、平均分子量が50,000〜80,000且つビニルブチラール基が88重量%の、ポリ(ビニルブチラール−co−ビニルアルコール−co−ビニルアセテート)からなるポリマーであり:

これは、Solutia社からButvarの商標名にて購入可能である。また、第2化合物は平均分子量が50,000の、ポリ(ビニルピロリドン−co−ビニルアセテート)からなるポリマーである:

【0016】
本出願人は、式1のコポリマーを使用することにより、ステントなどの医療機器から溶出される生理活性物質用として有効な担体を提供することができることを発見した。特に、典型的なコポリマーであるPVBは、疎水性と良好な接着特性とを兼ね備える。
【0017】
さらに、本出願人は、先に定義した式1のコポリマーと式2のコポリマーとを組み合わせることによって、特に有効な担体を提供することができることを発見した。これら二種類のポリマーは特に適合性が良好であることが判明するとともに、それゆえに本発明のコーティング組成物中で同時に使用することは好ましいものである。この組み合わせの優位性としては以下のものが含まれる:
1. ガラス転移温度(Tg)が、両方の種類のコポリマーにおいて非常に類似している。例えば、典型的な第1化合物であるPVBはTgが62〜72℃であり、典型的な第2化合物であるPnVPAはTg=64℃である。
2. 両コポリマーにおけるアセテート基の存在は、これらのコポリマーが混和できる可能性が高いことを意味しており、したがって、相分離の問題を有する可能性は低い。
3. 両方の種類のコポリマーは類似する溶媒への溶解性を有しており、したがって溶解およびコーティング組成物への適用に対して、例えばテトラヒドロフラン、ジクロロメタンまたはクロロホルムなどの単一溶媒系の使用が可能である。生理活性物質を移送するためのコポリマー担体としてこれを使用する場合には、このことが非常に重要であり、なぜなら、多くの生理活性物質は温度感受性を有しているため、医療インプラント上の組成物の乾燥作業が高温で行なわれるような方法を採用することはできないことからである。本願のシステムを用いれば、例えばクロロホルムなどの、低沸点の溶媒の使用が可能であり(Tb=60℃による)、したがって乾燥作業は真空下40℃で行うことができる。
4. このコポリマーの組み合わせは広範囲に渡る溶解性を有しており、したがって、広範囲に渡る生理活性物質を使用することが可能である。
【0018】
好適なコポリマーの組み合わせにおける適合性の良さは、既に試験された他の組み合わせ、例えばPVBとポリエチレングリコール、あるいはPVBとポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールの併用のようなものとは対照的であり、これらは両方とも適合性の問題を生じる。
【0019】
本発明の組成物によるその他の優位性は、先行技術文献に記載の組成物と比べて、薬剤溶出の調節および選択の幅がより広がることである。例えば、多くの先行技術文献に記載の組成物は、所要の効果を示すには薬剤の溶出があまりに早すぎるものであり、それゆえに薬剤の溶出は、ポリマーだけからなるトップコーティングを使用したり、あるいはコーティングにおけるポリマー:薬剤の比率を変化させたりすることによって調節される。特に、後者は、コーティングの完全性を損ねかねないようなコーティング厚に対する要求をもたらす可能性がある。
【0020】
前述のCordisの先行技術文献(WO 01/87372号)における開示など、他の組成物は、創傷治癒反応において各薬剤が異なる部位を標的とするような2種類の薬剤を異なる比率で溶出するシステムを提供しようとするものである。しかしながら、実際には2種類の薬剤の溶出プロフィールはかなり類似しており、目指すところの選択性には到達していない。識別性および選択性のある溶出プロフィールを有するシステムを提供するという点において、本発明の組成物は、はるかに効果的である。
【0021】
本発明の第2の態様としては、
(a)先に定義した第1コーティング組成物を機器の少なくとも一部に塗布する:
というステップを含む医療機器のコーティング方法が提供される。
特に好ましい態様では、この方法は、
(b)先に定義した第2コーティング組成物を塗布し、この際、前記第1および前記第2コーティング組成物は同一または異なるものとする:
というステップをさらに含む。
【0022】
第1および第2コーティングはともに、前記第1化合物および前記第2化合物を例えば50:50〜100:0の範囲内の比率で含有する担体を有する。第1および第2コーティングの組成は、それぞれの薬剤の特性および目的の溶出動態に依存するものである。したがって、その組成は同一とすることも、また異ならしめることもできる。
【0023】
好ましくは、第1コーティングは、前記第1化合物および前記第2化合物を80:20〜100:0(最も好ましくは98:2)の比率で含有する担体を有するものであり、第2コーティングは、前記第1化合物および前記第2化合物を70:30〜94:6(最も好ましくは90:10)の比率で含有する担体を有する。
【0024】
第2コーティング中の生理活性物質は第1のものと同一であっても構わないものの、好ましい態様では、生理活性物質が長時間溶出される際に生体内でさまざまな効果を発揮させるために、異なる生理活性物質が使用される。例えば、第1コーティング組成物にはラパマイシンなどの抗増殖剤を含有させることができ、第2コーティングにはデキサメタゾンなどの抗炎症剤を含有させることができる。
【0025】
その他の使用可能な生理活性物質には、エストラジオール、タキソール、ビンクリスチン、プロスタグランジン、ビンズブラスチン、ヘパリンまたは酸化窒素供与体が含まれる。
【0026】
担体に対する生理活性物質の比率は、通常は1:9〜1:1、好ましくは1:4〜1:2とすることが可能である。
【0027】
コーティングは、好ましくは噴霧法または浸漬法により塗布される。また、第2コーティングは、好ましくは第1コーティングの一部または全体の上に塗布される。
【0028】
本発明の第3の態様によれば、先に定義された方法を用いてコーティング組成物により被覆された医療機器(例えばステントまたはグラフトステントなど)が提供される。ステントは、好ましくは金属で形成されるが、本発明の組成物は、例えばPET、PTFE、ナイロン、ポリカーボネート、ポリプロピレンおよびポリウレタンなどの他のさまざまな材質に接着することが可能である。
【0029】
本発明の第4の態様としては、機器を動物または人体に移植することを含む、前記機器の使用方法が提供される。
【0030】
要求されるポリマーおよび薬剤の比率に応じて、表面への接着は、WO 03/024500号(本出願人による)に開示される方法を用いて強化することが可能である。この参照によりWO 03/024500号の内容はここに援用される。PVBが100%使用される場合、未改質表面に直接塗布すれば十分であろう(しかし、任意に改質技術を用いて接着を強化することが可能である)。処方におけるPnVPAの量が増加するに従い、適切な接着力を確保するために表面改質が必要となるであろう。
【0031】
本発明のさらに他の態様として、第1担体物質中に第1生物学的活性物質を含んでなる第1コーティング、および第2担体物質中に第2生物学的活性物質を含んでなる第2コーティングを表面に有する移植可能医療機器が提供される。二種の担体物質は、好ましくはポリマーの混合物であり、共通する二種のポリマーを異なる重量比で含んでいても良い。第2生物学的活性物質は比較的迅速に溶出され、第1生物学的活性物質はコントロールされた態様でおよび/または比較的ゆっくりと溶出されるように、重量比を選択することが可能である。ひとつの態様において、一方の担体物質は単一ポリマーであり、他方の担体物質はこのポリマーと他のポリマーの混合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、例示のみを目的とし、添付図面を参照しつつ本発明の好ましい形態について説明する。
図面によれば、図1は金属製のステント10の壁11の一部を示している。これは、再狭窄などの、ステント10の移植により発生する臨床的な問題を解消するために、次のように処理される。
【0033】
それは、ポリ(ビニルブチラール−co−ビニルアルコール−co−ビニルアセテート)(PVB)およびポリ(1−ビニルピロリドン−co−ビニルアセテート)(PnVPA)という2種のポリマーの混合物中にラパマイシンを入れて、噴霧または塗布することにより、第1層12でコーティングされる。
【0034】
PVBは主に疎水性であり、処方の大部分、好ましくは70%〜100%のいずれかを占める。親水性のPnVPAを少量加えることにより、薬剤の溶出率の調節が可能になるという点で、コーティングが「プログラム可能性」を有するようになる。
【0035】
通常の場合、層12は6〜7ミクロンの厚さを有している。ラパマイシンは適切な溶媒を用いて提供されるが、この溶媒は、層12を塗布した後、コーティングを乾燥させることにより除去される。また、乾燥作業はラパマイシンの活性の維持にも役立つ。
【0036】
次に、ステントは、デキサメタゾンを同じく2種のポリマーの混合物中に含む第2層14により被覆する。この層におけるPVBポリマーおよびPnVAポリマーは、層12と比べてさまざまな重量比を有する。通常の場合、層14は3〜4ミクロンの厚さを有している。デキサメタゾンは適切な溶媒を用いて提供されるが、この溶媒は、層14を塗布した後、コーティングを乾燥させることにより除去される。
【0037】
層12および14の処方、特にPVBポリマーおよびPnVPAポリマーの比率は、それらに含まれる活性成分がそれぞれ所望の比率で溶出されるように選択される。デキサメタゾンが外部層14中にあることから、これが最初に患者の体内に溶出される。デキサメタゾンが移植後最初の数時間、炎症を抑制するために実質的に溶出されるように、疎水性を有するPVBの、親水性を有するPnvPAに対する比率が選択される。デキサメタゾンの溶出は、通常は低速で、10日間持続する可能性がある。層14におけるPVBのPnVPAに対する割合は通常70:30〜94:6であり、好ましくは90:10である。
【0038】
低層12中のラパマイシンは、よりゆっくりと溶出される。PVBの重量百分率は通常80〜100%であり、すなわち層12はPnVPAを含まずにPVBのみであっても良い。PnVPAに対するPVBの好ましい比率は98:2である。通常、ラパマイシンは10日間またはそれ以上の期間溶出される。上述の配合とすることによる優位性は、選択的な溶出ができるようになること、ならびに、特定した期間にわたってコーティング組成物の各層からの生理活性剤の投与量が正確であることである。ポリマー混合物の組成、層の厚さおよび各層内の生理活性物質の濃度を個別に変化させることによって、溶出率、溶出期間および溶出開始のタイミングを確認しながら、活性物質の選択的溶出を注意深く調節することが可能である。
【0039】
上述の構成はさまざまに改変できる。例えば、層12および14の厚さは0.1〜10ミクロンの間で変化しても良いし、単一のステント内で異なる値であっても良い。
【0040】
ラパマイシンの代わりに、抗増殖剤としてエストラジオール、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチンまたは酸化窒素供与体を使用することが可能である。好適な薬剤の混合物を層12および14のそれぞれに組み込んでも良い。
【0041】
層12の塗布に先立って、下塗層(図示せず)をステント10の表面へ塗布しても良い。
【0042】
他の担体物質を、上述のポリマー混合物の代わりに使用することが可能である。
【0043】
ステント10の全表面を被覆することが好ましいが、その表面の所望の部分を被覆せずに置くことも可能である。
【0044】
層12の全面を層14で被覆することが好ましいが、特定の溶出パターンとするために層12の一部を被覆せずに置くことも可能である。
【0045】
図2は、層12および14の間に中間層21を配した、本発明の第2の態様に係るステント20を示している。層21は、薬を含まないポリマーPVBおよびPnVPAの混合物からなり、層12から活性物質が溶出する前に付加的な遅延をもたらすものである。通常の場合、PVBの比率は層12および14の双方に比べて層21のほうが高いが、これは必須ではない。特定の溶出パターンとなるために、PVBの比率は、層14内に比べて層12内のほうが低くても良い。
【0046】
図3に示されるように、第3の態様に係るステント30は、層14の表面に設けられた保護層31を有している。層13は内側のコーティングの保護に働く。一つの改変として、ステントは中間層21および保護層31の双方を有していても良い。
【0047】
本発明の第4の態様に係るステント40においては、異なる溶出パターンを得るために、層12および14がステントの壁11の異なる領域に塗布される。
【0048】
ステントはプラスチック材で作製しても良い。
【0049】
さまざまな態様における特徴および改変は、所望により置換したり、組み合わせたりしても良い。
【0050】
開示した薬剤溶出型コーティングは、冠状動脈、末梢または胃腸ステントに、あるいは腹部大動脈瘤に用いる機器、吻合に用いる機器、心臓弁の治療に用いる機器、移植可能なバイオセンサー、ペーシングおよび電気刺激リード、血管グラフトまたは大静脈フィルターなど、他のタイプの機器に使用可能である。
【0051】
上で開示したものの代わりに、例えばプロスタグランジンなどの抗血小板薬および/またはヘパリンなどの抗凝固剤を含む、他の薬剤を使用しても良い。
【0052】
三種またはそれ以上の数の生物学的活性物質を溶出するためには、3またはそれ以上の数の層により移植可能な機器が被覆される。このような構成では、希望に応じて前述した種々の態様の特徴が組み合わせられる。
【実施例】
【0053】
使用される主要物質
ポリ(ビニルブチラール−co−ビニルアルコール−co−ビニルアセテート)、平均分子量(Mw)50,000〜80,000。88重量%のビニルブチラール(PVBともいう)
ポリ(ビニルピロリドン−co−ビニルアセテート)、平均分子量(Mw)50,000(PnVPAともいう)
N−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、97%
3−(トリエトキシシリル)プロピル〕イソシアネート
全ての物質はSigma−Aldrich Company Ltd社から提供された。
【0054】
実施例1:デキサメタゾン
本例は、種々の比率のPVB/PnVPAおよびデキサメタゾンを含むステントの調製と溶出について説明するものである。
【0055】
ステントを30分間、超音波を用いつつIPA中に浸漬することにより除菌し、100℃で一晩乾燥した。その後、全ステントに対して、本出願人によるWO03024500号に概説される表面改質処理を行った。
【0056】
さまざまな比率のPVB/PnVPAを含む4種のコーティング溶液を、クロロホルムとアセトンの混合溶媒(重量比1:7.4)に入れて調製した(表1)。デキサメタゾンを各処方に加えて、全固形分のうち20%をデキサメタゾンとし、80%をポリマーとした。
【0057】
【表1】

【0058】
ステントを計量して、各処方に従ってスプレーコートをおこない、真空下で40℃にて一晩乾燥させた。計量したところ、ステントの平均コーティング重量は442μgであり、89μg+/−8μgのデキサメタゾン含量であった。
【0059】
各ステントをフックに掛け、5mmの磁性粒子(magnetic flea)を含む8mlの水性溶出媒体の入ったバイアル中に吊るした。バイアルを1000rpmにセットしたマルチポイントスターラーに設置し、37℃で培養した。
【0060】
ある一定期間の後(1時間〜数日間の範囲)、ステントを溶出培地の新しいアリコートに移し、攪拌を再開するためにスターラー上に置いた。デキサメタゾンを含む溶液を分析用として保存した。
【0061】
薬剤含有量の分析は、UV分光計(CamSpec M350)を用いて241nmで行った。各サンプルにおける濃度は、較正溶液の濃度に対する241nmにおける吸光度の標準曲線から決定した(図5参照)。
【0062】
実施例2:ラパマイシン
本例は、種々の比率のPVB/PnVPAおよびラパマイシンを含むステントの調製と溶出について説明するものである。
【0063】
ステントを30分間、超音波を用いつつIPA中に浸漬することにより除菌し、100℃で一晩乾燥させた。
【0064】
さまざまな比率のPVB/PnVPAを含む4種のコーティング溶液を、クロロホルムに入れて調製した(表2)。ラパマイシンを各処方に加えて、全固形物のうち25%をラパマイシンとし、75%をポリマーとした。
【0065】
【表2】

【0066】
ステントを計量して、各処方に従ってスプレーコートをおこない、真空下で40℃にて一晩乾燥させた。計量したところ、ステントの平均コーティング重量は755μgであり、189μg+/−13μgのラパマイシン含量であった。
【0067】
各ステントをフックに掛け、5mmの磁性粒子(magnetic flea)を含む8mlの水性溶出媒体の入ったバイアル中に吊るした。バイアルを1000rpmにセットしたマルチポイントスターラーに設置し、37℃で培養した。
【0068】
ある一定期間の後(1時間〜数日間の範囲)、ステントを溶出培地の新しいアリコートに移し、攪拌を再開するためにスターラー上に置いた。ラパマイシンを含む溶液を分析用として保存した。
【0069】
薬剤含有量の分析は、UV分光計(CamSpec M350)を用いて波長279nmで行った。各サンプルにおける濃度は、較正溶液の濃度に対する279nmにおける吸光度の標準曲線から決定した(図6参照)。
【0070】
実施例3:17β−エストラジオール
本例は、種々の比率のPVB/PnVPAおよび17β−エストラジオールを含むステントの調製と溶出について説明するものである。
【0071】
ステントを30分間、超音波を用いつつIPA中に浸漬することにより除菌し、100℃で一晩乾燥させた。
【0072】
さまざまな比率のPVB/PnVPAを含む3種のコーティング溶液をクロロホルムとアセトンの混合溶媒(重量比80:20)に入れて調製した(表3)。17β−エストラジオールを各処方に加えて、全固形物のうち25%を17β−エストラジオールとし、75%をポリマーとした。
【0073】
【表3】

【0074】
ステントを計量して、各処方に従ってスプレーコートをおこない、真空下で40℃にて一晩乾燥させた。計量したところ、ステントの平均コーティング重量は904μgであり、229μg+/−32μgの17β−エストラジオール含量であった。
【0075】
各ステントをフックに掛け、5mmの磁性粒子(magnetic flea)を含む8mlの水性溶出媒体の入ったバイアル中に吊るした。バイアルを1000rpmにセットしたマルチポイントスターラーに設置し、37℃で培養した。
【0076】
ある一定期間の後(1時間〜数日間の範囲)、ステントを溶出培地の新しいアリコートに移し、攪拌を再開するためにスターラー上に置いた。17β−エストラジオールを含む溶液を分析用として保存した。
【0077】
薬剤含有量の分析は、UV分光計(CamSpec M350)を用いて波長225および281nmで行った。各サンプルにおける濃度は、較正溶液の濃度に対する225および281nmにおける吸光度の標準曲線から決定した。2種の波長の間でほぼ一致する結果が得られた。図7は、281nmにおける結果を示す。
【0078】
実施例4:デキサメタゾン/ラパマイシンの二重溶出
本例は、特定の比率内のPVB/PnVPAをそれぞれ含有するラパマイシンおよびデキサメタゾンを含むステントの調製と溶出について説明するものである。
【0079】
ステントを30分間、超音波を用いつつIPA中に浸漬することにより除菌し、100℃にて一晩乾燥させた。
【0080】
クロロホルム中にPEP100およびラパマイシンを調合してコーティング溶液を調製し、全固形物のうち25%をラパマイシンとし、75%をポリマーとした。
【0081】
クロロホルムとアセトンの混合液(重量比80:20)中にPEP94およびデキサメタゾンを調合して第2コーティング溶液を調製し、全固形物のうち25%をデキサメタゾンとし、75%をポリマーとした。
【0082】
【表4】

【0083】
ステントを計量して、各処方に対して同様量のスプレーコートをおこない、下層がラパマイシンを含むPEP100、そして上層がデキサメタゾンを含むPEP94とした。次にステントを真空下で40℃にて一晩乾燥させた。計量したところ、ステントの平均コーティング重量は680μgの収量であり、各薬剤の含量は約85μg+/−11μgであった。
【0084】
各ステントをフックに掛け、5mmの磁性粒子(magnetic flea)を含む8mlの水性溶出媒体の入ったバイアル中に吊るした。バイアルを1000rpmにセットしたマルチポイントスターラーに設置し、37℃で培養した。
【0085】
ある一定期間の後(1時間〜数日間の範囲)、ステントを溶出培地の新しいアリコートに移し、攪拌を再開するためにスターラー上に置いた。デキサメタゾン/ラパマイシンを含む溶液を分析用として保存した。
【0086】
薬剤含有量の分析は、UV分光計(CamSpec M350)を用いて241nmおよび291nmで行った。
【0087】
スペクトルの重なりによる吸光度の推定が行われたが、ラパマイシンに関しては291nmにおいてデキサメタゾンの影響が最も小さく、数字的にはデキサメタゾンに関してはトレース全体における解析を通じてであった。
【0088】
各サンプルにおけるデキサメタゾンおよびラパマイシンの濃度は、それぞれ較正溶液の濃度に対する241nmおよび291nmにおける吸光度の標準曲線から決定した(図8参照)
【0089】
実施例5:デキサメタゾン/17−βエストラジオールの二重溶出
本例は、特定の比率内のPVB/PnVPAをそれぞれ含有する17−βエストラジオールおよびデキサメタゾンを含むステントの調製と溶出について説明するものである。
【0090】
ステントを30分の間、超音波を用いつつIPA中に浸漬することにより除菌し、100℃にて一晩乾燥させた。
【0091】
クロロホルムおよびアセトンの混合液(重量比80:20)中にPEP94および17−βエストラジオールを調合してコーティング溶液を調製し、全固形物のうち25%を17−βエストラジオールとし、75%をポリマーとした。
【0092】
クロロホルムとアセトンの混合液(重量比80:20)中にPEP90およびデキサメタゾンを調合して第2コーティング溶液を調製し、全固形物のうち25%をデキサメタゾンとし、75%をポリマーとした。
【0093】
【表5】

【0094】
ステントを計量して、各処方に対して3:1(エストラジオール:デキサメタゾン)の比率でスプレーコートをおこない、下層が17−βエストラジオールを含むPEP94、そして上層がデキサメタゾンを含むPEP90とした。次にステントを真空下で40℃にて一晩乾燥させた。
【0095】
計量したところ、ステントの平均コーティング重量は811μgの収量であり、薬剤の含量はエストラジオールに関して約147μg+/−17μg、デキサメタゾンに関して約57μg+/−16μgであった。
【0096】
各ステントをフックに掛け、5mmの磁性粒子(magnetic flea)を含む8mlの水性溶出媒質の入ったバイアル中に吊るした。バイアルを1000rpmにセットしたマルチポイントスターラーに設置し、37℃で培養した。ある一定期間の後(1時間〜数日間の範囲)、ステントを溶出培地の新しいアリコートに移し、攪拌を再開するためにスターラー上に置いた。デキサメタゾン/17−βエストラジオールを含む溶液を分析用として保存した。
【0097】
薬剤含有量の分析は、HPLC(Agilent 1100シリーズ)を用いて行った。
【0098】

【0099】

【0100】
実施例6:ポリマー接着性
本例は、機能性表面上および機能性表面の表層にプライマー層を取り入れた表面上における、PEPコーティングの改善された接着性を実証するために行われた。引張り強度試験用に3セットのプレートサンプルを調整した。各セットは5枚のプレートを含むものであった。
【0101】
1 非機能性スチール/プライマーなし/40℃で乾燥させたPEP94コーティング
2 機能性スチール/プライマーなし/40℃で乾燥させたPEP94コーティング
3 機能性スチール/PEP100プライマー/40℃で乾燥させたPEP94コーティング
ここで、PEP100とは100%のPVBを有しており、PnVPAは含まず、PEP94とは94:6の比率でPVBおよびPnPAを含む。
【0102】
方法
サンプル準備
0.25mm厚のステンレススチールプレートを必要なサイズ(25×50mm)に切断し、2−プロパノール中で除菌してから完全に乾燥させた。
【0103】
セット2および3のプレートを、少量の酢酸を伴った、5重量%のN−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンを含むトルエンと反応させ、次に50度で乾燥させて一連の溶媒洗浄(メタノールおよび水)ですすぎ、アミン機能性表面を作製した。この表面をさらに5重量%の3−(トリメトキシシリル)プロピルイソシアネートを含む無水トルエンと反応させた後、より多くのトルエンですすぎ、乾燥させてトリエトキシシリレート化表面を作製した。
【0104】
さらに、各プレートの片面が約1.5mgの均一なコーティングを塗布するために、エアーブラシを用いて、1重量%のPEP100を含むクロロホルムによるプライマー層で機能性プレート(セット3)を被覆した。このコーティングを100℃にて、20時間乾燥させた。
【0105】
非処理セット1および機能性セット2のプレートを1重量%のPEP94溶液を含むクロロホルムで被覆し、この際、プレート片面あたり約15mgの均一なコーティングとなるようにエアーブラシを用いた。このコーティングを40℃、減圧下で16時間乾燥させた。
【0106】
機能化およびプライム化されたセット3のプレートを1重量%のPEP94溶液を含むクロロホルムで被覆し、この際、プレート片面あたりプライマー層を含めた全体で約15mgの均一なコーティングとなるようにエアーブラシを用いた。このコーティングを40℃、減圧下で16時間乾燥させた。
【0107】
プレートに対する最終的なコーティング重量は(いかなるプライマーも含めて)、12〜17ミリグラムの範囲に納まり、平均14ミリグラムであった。
【0108】
接着強度試験
試験は、National Physics Laboratory(ミドルセックス、英国)により行われた。
【0109】
各プレートの被験領域を、0.01%(w/w)の水性ドデシル硫酸ナトリウム溶液に2時間浸漬した。次に、サンプルを拭き取り乾燥して、高強度接着剤でアルミニウムのスタブをこの領域に接着した。
【0110】
図9は、引張強度試験装置を概略的に示しており、図中、アルミニウムスタブ1は接着ボンド3により試験コーティング2に接着している。
【0111】
接着試験は、市販により入手可能な、F20ピストンを備えるElcometer Patti 100実験装置を使用して行った。試験中、スタブ1および上部圧盤4には圧縮空気袋5の膨張によって引き剥がそうとする力が働く。コーティングが剥がれたときの空気圧を記録し、実験装置から得られた換算表を用いて接着強度に換算した。試験に供した全サンプルにおいて、コーティングとスチールの接合部分の破損が生じた。
【0112】
結果
各セットに関する平均接着強度の値を図10に示す。
【0113】
機能性サンプルに関し、非処理の表面に比べて接着強度が顕著に改善されていることが結果から示された。プライマー層を加えることにより、接着強度はさらに改善された。
【0114】
セット3のプレートにおいて、40℃から60℃までの乾燥温度の増加が接着強度に何の影響も与えないことに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】図1は、本発明の第1の態様によるステントの一部に関する断面を拡大した図面であり、
【0116】
【図2】本発明の第2の態様によるそれぞれのステントに関する同様の図面である。
【図3】本発明の第3の態様によるそれぞれのステントに関する同様の図面である。
【図4】本発明の第4の態様によるそれぞれのステントに関する同様の図面である。
【図5】本発明による組成物で被覆されたステントに関する薬剤溶出プロフィールであり、ここで問題の薬剤はデキサメタゾンである。
【図6】本発明による組成物で被覆されたステントに関する薬剤溶出プロフィールであり、ここで問題の薬剤はラパマイシンである。
【図7】本発明による組成物で被覆されたステントに関する薬剤溶出プロフィールであり、ここで問題の薬剤は17β−エストラジオールである。
【図8】本発明による組成物で被覆されたステントに関する薬剤溶出プロフィールであり、ここで問題の薬剤はデキサメタゾン/ラパマイシン(二剤溶出型)である。
【図9】pull−off試験器具の概略図である。
【図10】さまざまな試験サンプルに関する平均接着強度を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理活性物質およびその担体の組み合わせを含有し、
担体が、
式1 : 〔A〕x−〔B〕y−〔C〕z
で表されるランダムコポリマーであって、Aがビニルアセタール基、Bがビニルアルコール基、Cがビニルアセテート基、x>0、かつx+y+z=1である、第1化合物と、
式2 : 〔D〕n−〔E〕m
で表されるポリマーであって、Dがビニルピロリドン基、Eがビニルアセテート基であり、0≦m≦1、かつn+m=1である、第2化合物と、
を含有する、
移植可能医療機器用のコーティング組成物。
【請求項2】
前記第2化合物の比率がコーティング組成物の80重量%以下である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
nが0.3〜0.7であり、かつmが0.3〜0.7である、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
前記第2化合物は、平均分子量(Mw)50,000のポリ(ビニルピロリドン−co−ビニルアセテート)である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
〔A〕x−〔B〕y−〔C〕z
式1A:

で表される化合物であり、
ここで、R1およびR2は、それぞれ独立したHまたはアルキル、アルケニル、アルキニルもしくはアリール基であり、かつ任意で、アルキル、アルケニル、アルキニルもしくはアリール基がいずれかのペンダント水素原子に置換されていても良い、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
xが0.8〜0.9であり、yが0.1〜0.2であり、かつzが0〜0.025である、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記第1化合物は、平均分子量が50,000〜80,000且つビニルブチラール基が88重量%の、ポリ(ビニルブチラール−co−ビニルアルコール−co−ビニルアセテート)である、請求項5または6記載の組成物。
【請求項8】
生理活性物質がデキサメタゾン、ラパマイシンまたは17β−エストラジオールである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
生理活性物質の担体に対する比率が1:9〜1:1である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
(a)請求項1〜9のいずれか1項に記載の第1コーティング組成物を、機器の少なくとも一部に塗布する:
というステップを含む、医療機器のコーティング方法。
【請求項11】
(b)請求項1〜9のいずれか1項に記載の第2コーティング組成物を塗布し、この際、前記第1および前記第2コーティング組成物は同一または異なるものとする:
というステップを更に含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
第1コーティングは、前記第1化合物および前記第2化合物を80:20〜100:0の比率で含有する担体を有するものであり、第2コーティングは、前記第1化合物および前記第2化合物を70:30〜94:6の比率で含有する担体を有するものである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記第1化合物の前記第2化合物に対する比率が、第1コーティングでは98:2であり、第2コーティングでは90:10である、請求項11記載の方法。
【請求項14】
第1コーティング組成物がラパマイシンを含み、第2コーティング組成物がデキサメタゾンを含む、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物からなる第1コーティングを有し、第1コーティングが直接機器に塗布されている、医療機器。
【請求項16】
請求項1〜9のいずれか1項に記載される第2コーティング(第1コーティングと同一または異なる)を有し、第2コーティングが第1コーティングの少なくとも一部に塗布されている、請求項15記載の機器。
【請求項17】
第1コーティングは、前記第1化合物および前記第2化合物を80:20〜100:0の比率で含有する担体を有しており、第2コーティングは、前記第1化合物および前記第2化合物を70:30〜94:6の比率で含有する担体を有している、請求項16記載の機器。
【請求項18】
前記第1化合物の前記第2化合物に対する比率が、第1コーティングでは98:2であり、第2コーティングでは90:10である、請求項17記載の機器。
【請求項19】
第1コーティング組成物がラパマイシンを含み、第2コーティング組成物がデキサメタゾンを含む、請求項16〜18のいずれか1項に記載の機器。
【請求項20】
ステントまたはグラフトステントである、請求項15〜19のいずれか1項に記載の機器。
【請求項21】
機器を動物またはヒトの体内に移植することを含む、請求項15〜20のいずれか1項に記載の機器の使用方法。
【請求項22】
担体が請求項1〜7のいずれかにおいて特定されるものである、生理活性物質を運搬する担体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−502638(P2007−502638A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523682(P2006−523682)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003547
【国際公開番号】WO2005/018696
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(502192764)ポリバイオメド リミテッド (1)
【Fターム(参考)】