説明

医療用インプラントのベアリング材料およびその製造方法

【課題】超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)複合物である、医療用インプラントのベアリング材料を開示する。
【解決手段】複合物は、例えば、UHMWPEと、ポリマーバックボーンおよびポリマーバックボーンに結合したペンダント親水性基またはペンダント界面活性剤を有するポリエチレンコポリマーと、を含む。ベアリング材料を作製する方法も開示する。このベアリング材料は、免疫応答の減少、磨耗の減少、および/または潤滑性の増大を含む、1つ以上の有利な特性を有する。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)は、医療用インプラントまたは整形外科用のインプラント(例えば人工股関節)を作製する際に一般的に用いられている。このインプラントには、金属の対向面やセラミックの対向面といった硬い対向面(hard counterface)に対して関節接合するベアリング材料が含まれる。ベアリング材料としてのUHMWPEは、このベアリング材料が硬い対向面に対して関節接合する場合に強靱性と耐磨耗性とを与える。近年、整形外科用インプラントと受容者(host)の骨との界面における組織の壊死および骨溶解が、関節プロテーゼの、長期間の内に起こる緩み欠陥の主要な誘因であることがますます明瞭になってきた。この組織壊死と骨溶解とが、少なくとも部分的には、UHMWPE成分の摩耗の間に生じるUHMWPEの微粒子の存在によるものであることが、整形外科医および生体材料科学者(biomaterials scientists)の間では、一般的に受け入れられている。これらの粒子に対する身体の反応、例えば免疫応答、には、組織(特に、整形外科用インプラントが固定される骨)の炎症および悪化が含まれる。整形外科用インプラントは、最終的には、疼痛を与えおよび/または緩むことになり、修正および/または置換が必要となる。整形外科用インプラントを改良して免疫応答を減少させるか、またはなくすようにすることが要望されている。本発明は、このようなインプラントを提供するものである。
【0002】
〔発明の概要〕
医療用インプラントのベアリング材料を提供する本発明は、前述のニーズに答えるものである。本ベアリング材料は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)複合物を含む。本ベアリング材料は、摩耗速度を低下させ、および/または免疫応答の減少または最小化を導き出す。本複合物は、UHMWPEと、コポリマーとを含む。例えば、このコポリマーは、ポリマーバックボーン、およびこのポリマーバックボーンに結合したペンダント親水性基(pendant hydrophilic groups)またはペンダント界面活性剤(pendant surface active agents)を有する。本発明は、ベアリング材料を作製する方法も提供する。
【0003】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、ベアリング材料とインプラントの硬い対向面との間の界面において、親水性の環境、例えば、ペンダント親水性基またはペンダント界面活性剤を与えることを意図したものである。親水性の環境は、身体の免疫応答を減少させるものと考えられる。ただし、このような理論や機構によって本発明が制限を受けることを望むわけではない。本発明のベアリング材料が使用中に摩耗すると、生成した親水性粒子は身体によって同化され、腎臓を通って排出され得る。このようにして、ベアリング材料から剥がれた微細破片は、身体中のマクロファージによって利用され得ず、それによって、不都合な免疫応答を引き起こす可能性が減少する。その代わりに、またはそれに加えて、ペンダント親水性基またはペンダント界面活性剤は、ベアリング材料と対向面との間の界面における摩擦を減少させる。更にその代わりに、またはそれに加えて、ペンダント親水性基またはペンダント界面活性剤は、生理液中に見出される巨大分子(例えばタンパク質)と、ベアリング材料の表面との相互作用を変える。
【0004】
したがって、一実施形態では、本発明により、医療用インプラントのベアリング材料であって、複合物であって、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ならびに、ポリマーバックボーン、およびポリマーバックボーンに結合したペンダント親水性基またはペンダント界面活性剤を有するポリエチレンコポリマーの複合物を含み、ベアリング材料が医療用インプラントの硬い対向面に対して関節接合するために採用される、医療用インプラントのベアリング材料が提供される。
【0005】
用語「UHMWPE」は、約400,000原子質量単位以上の重量平均分子量を有するポリエチレンポリマーを意味する。好ましくは、UHMWPEは、約1,000,000原子質量単位以上(例えば、約2,000,000原子質量単位以上、または約3,000,000原子質量単位以上)の重量平均分子量を有する。一般的に、UHMWPEの重量平均分子量は、約10,000,000原子質量単位以下、より好ましくは約6,000,000原子質量単位以下である。本発明での使用に適したUHMWPEには、ティコナ社(Ticona)(ニュージャージー州サミット)のGUR 1050粉体UHMWPE、およびGUR 1020粉体UHMWPE(約2,000,000〜約6,000,000原子質量単位の重量平均分子量)等の市販のUHMWPEが含まれるが、これらに限られるわけではない。UHMWPEは非架橋でも架橋されていてもよい。
【0006】
例えば金属性の大腿骨ボール(femoral ball)または寛骨臼カップであり得る、硬い対向面は、例えば、ステンレス鋼、コバルトクロム合金またはチタン合金等の金属、あるいは、アルミナまたはジルコニア等のセラミックから作製し得る。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、ペンダント親水性基またはペンダント界面活性剤は、直接、あるいは、介在基または連結基(intervening or linking group)を介して、ポリマーバックボーンに結合したものとして存在し得る。ペンダント親水性基またはペンダント界面活性剤は、共有結合、イオン結合、および/または配位結合、好ましくは共有結合を介してポリマーバックボーンに結合したものとして存在し得る。
【0008】
本ポリエチレンコポリマーおよびUHMWPEは、ベアリング材料中に任意の適切な割合で存在し得る。例えば、ポリエチレンコポリマーは、ベアリング材料の約0.1重量%以上の量で存在し得、典型的には約20〜80重量%、好ましくは約30〜約70重量%、より好ましくは約45〜約65重量%で存在し得る。
【0009】
本ポリエチレンコポリマーは、任意の適切な分子量、例えば約50,000原子質量単位以上(例えば、約100,000〜約500,000原子質量単位)の重量平均分子量を持ち得る。本ポリエチレンコポリマーは、任意の適切な溶融粘度を持ち得る。一実施形態では、本ポリエチレンコポリマーが、0.5g/10分以上、好ましくは0.5〜約5g/10分のメルトインデックスを有する。
【0010】
任意の適切な親水性基が存在し得る。一実施形態によれば、本ペンダント親水性基は、水または濡れ(wetting)、あるいは極性媒体に親和性を有し、例えば水素結合を形成し得る基であり、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ケト基、アルデヒド基、アミノ基、アミド基、エーテル基、およびフルオロ基、またはヒドロキシル基等のノニオン基である。ポリマーバックボーンには任意の適切な界面活性剤(例えばノニオン界面活性剤、例えば、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマー)が存在し得る。
【0011】
任意の適切な連結基が存在し得る。本発明の諸実施形態によれば、本連結基は、カルボキシアルキル、カルボキシヒドロキシアルキル、カルボキシヒドロキシアルコキシ、カルボキシアルコキシ、およびカルボキシアルコキシアルキルからなる群から選ばれたものであり得る。一実施形態では、本ペンダント親水性基が、連結基なしでポリマーバックボーンに結合して存在し得る。
【0012】
本連結基は、反応化学の適切な選択によって提供され得る。例えば、ペンダントヒドロキシル基をポリマーバックボーンに連結するカルボキシアルキル基は、ポリエチレンコポリマー(例えばポリエチレン−コ−アクリル酸)を、エチレングリコールと反応させることにより製造し得る。ペンダントヒドロキシル基をポリマーバックボーンに連結するカルボキシアルコキシアルキル基は、ポリエチレンコポリマー(例えばポリエチレン−コ−アクリル酸)を、ジエチレングリコールと反応させることにより製造し得る。ペンダントヒドロキシル基をポリマーバックボーンに連結するカルボキシヒドロキシアルキル基は、ポリエチレンコポリマー{例えば、ポリ(エチレン−コ−グリシジルメタクリレート)(poly(ethylene-co-glycidyl methacrylate))}を、ポリオール(例えばエチレングリコールまたはグリセリン)と反応させることにより、製造し得る。ペンダントヒドロキシル基をポリマーバックボーンに連結するカルボキシヒドロキシアルコキシ基は、ポリエチレンコポリマー{例えば、ポリ(エチレン−コ−グリシジルメタクリレート)}を、ポリオール(例えばソルビトールまたはマンニトール)と反応させることによって製造し得る。
【0013】
本発明の諸実施形態によれば、本UHMWPEおよび本ポリエチレンコポリマーは、混ぜ合わすことができる。本ポリエチレンコポリマーは、表面被覆として存在し得る。あるいは、本ポリエチレンコポリマーは、UHMWPEマトリックス中に染み込ませることができる。本ポリエチレンコポリマーが表面被覆または表面被覆層である一実施形態では、表面被覆または表面被覆層には、ホスホリルコリン基はない。表面被覆または表面被覆層がUHMWPEとポリエチレンコポリマーとの絡み合いを有する一実施形態では、このような表面被覆または表面被覆層には、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等のポリヒドロキシポリマー、およびポリカルボキシポリマーはない。
【0014】
本発明の諸実施形態にしたがったベアリング材料は、任意の適切な方法によって作製し得る。例えば、ペンダント親水性基またはペンダント界面活性剤を有するベアリング材料は、UHMWPEを、必要とされるペンダント基を有するポリエチレンコポリマーとブレンドすることによって作製し得る。
【0015】
ペンダント基は、ポリエチレンコポリマー上の反応性官能基と、親水性の湿潤剤または界面活性剤の末端官能基との間の反応により、バックボーンの上に組み込むことができる。この反応は、適切な温度で、圧縮成形の間は好ましくは高温で、例えば、約300〜約450°F(約148.89〜約232.22℃)で、より好ましくは約375〜約425°F(約190.56〜約218.33℃)で、実施し得る。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、UHMWPE粉体を、ポリ(エチレン−コ−グリシジルエステル)(poly(ethylene-co-glycidyl ester)){例えばポリ(エチレン−コ−グリシジルメタクリレート)}等のグリシジル基を有するポリエチレンコポリマー、およびポリオール(例えばソルビトール)とブレンドすることによって、UHMWPEと、ヒドロキシル基等のペンダント親水性基を有するポリエチレンコポリマーとを含むベアリング材料を作製することができる。ポリエチレンコポリマーとポリオールとは、任意の適切な比率で存在し得る。すなわち、ポリオールのヒドロキシル基は、ポリエチレンコポリマーのグリシジル基より低い、このグリシジル基と等しい、あるいは、好ましくは、ポリエチレンコポリマーのグリシジル基を超えた、モル比で存在し得る。これにより得られたブレンド物は圧縮成形される。成形物は所望のサイズおよび形状に機械加工され、次いで、適切な方法で製品が包装され殺菌され得る。例えば、製品は、ポリエチレンパッケージ(TYVEK(商標))で包装され、ガスプラズマまたはエチレンオキシドによって殺菌され得る。
【0017】
本発明の他の一実施形態では、UHMWPE粉体を、ペンダントカルボキシル基{例えばポリ(エチレン−コ−アクリル酸)(poly(ethylene-co-acrylic acid))}を有するポリエチレンコポリマー、およびポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールコポリマー(polyethylene glycol-polypropylene glycol copolymer)(例えばプルロニック(PLURONIC)(商標)68)とブレンドすることにより、UHMWPEとペンダント界面活性剤とを含むベアリング材料を作製し得る。ポリエチレンコポリマーおよびポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールコポリマーは、任意の適切な比率で存在し得る。すなわち、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールコポリマーのヒドロキシル基は、ポリエチレンコポリマーのカルボキシル基より低い、このカルボキシル基と等しい、あるいは、好ましくは、ポリエチレンコポリマーのカルボキシル基を超えた、モル比で存在し得る。得られたブレンド物は圧縮成形される。得られた製品は、真空ホイル(vacuum foil)中に包装され得、オプションで、γ放射線により架橋され得る。製品中に残存するどのようなフリーラジカルも、製品の溶融アニーリングによって減少させるか、または破壊することができ、次いで、製品は所望のサイズと形状とに機械加工される。製品は、上述のごとく、包装され、滅菌され得る。
【0018】
他の一実施形態では、親水性鎖(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ビニルアルコール等)のブロックまたはセグメントを含むコポリマーを使用し得る。このポリエチレンコポリマーは、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、あるいは、極性枝(polar branches)および/またはペンダントを有するコポリマーであり得る。任意の適切な方法の組合せが可能である。これらには、例えば、圧縮成形の前に、ポリエチレンコポリマーを湿潤剤または界面活性剤と反応させること、ならびに、架橋の前に、湿潤剤または界面活性剤を、成形されたUHMWPE/ポリエチレンコポリマー中に拡散させ、および/または反応させることが含まれ得る。
【0019】
例えば、上述のごとく、UHMWPE粉体をポリ(エチレン−コ−エチレングリコール)とブレンドすることができ、ブレンド物を圧縮成形し、次いで、真空ホイル包装し、γ線照射でUHMWPEを架橋し、溶融アニーリングし、機械加工し、ポリエチレン中に包装し、殺菌する。
【0020】
上記のいずれの実施形態においても、圧縮成形の温度は、約300〜約450°F(約148.89〜約232.22℃)、好ましくは約350〜約400°F(約176.67〜約204.44℃)であり得る。圧力は、約300〜約8,000psi(約2.07×106〜約5.52×107Pa)、好ましくは約500〜約4000psi(約3.45×106〜約2.76×107Pa)であり得る。諸実施形態において、圧縮成形中における一つ以上の材料の感受性に鑑み、湿気および/または酸素を避けることが好ましい。したがって、圧縮成形は、不活性な環境、例えば、窒素雰囲気下または減圧下で行われる。
【0021】
圧縮成形における材料の滞留時間は、例えば、ベアリング材料の所望の厚さに応じて、約5〜約30分、好ましくは約10〜約20分であり得る。例えば、圧縮固化(consolidate)されたUHMWPE材料が、最初に成形され、次いで、親水性基または界面活性剤を有するコポリマーをラミネートする二段階の方法では、これら二つの段階の処理条件が異なっていてもよい。例えば、異なる温度、圧力および/または剪断力(shear)が必要とされてもよい。
【0022】
UHMWPEの架橋は、任意の適切な方法、例えば、X線照射、ガンマ線照射またはe‐ビーム照射、マイクロ波照射または超音波照射、によって達成され得る。
【0023】
本発明のベアリング材料は任意の適切な厚さを有し得る。ベアリング材料がインプラントのライナーとして使用される一実施形態では、厚さは、約3mm以上、例えば約3〜約30mmであり得る。いくつかの実施形態では、厚さが、約6〜約28mm、他の諸実施形態では、厚さが約8〜約20mmである。ベアリング材料自体がインプラントとして使用される場合、厚さは、約3mm以上、例えば、約3〜約30mmであり得る。いくつかの実施形態では、厚さが約6〜約28mmであり、他の諸実施形態では、厚さが約8〜約25mmである。
【0024】
本発明のベアリング材料は、いくつかの用途を有し得ることを意図したものである。例えば、本ベアリング材料は、寛骨臼カッププロテーゼ、寛骨臼カップのインサートまたはライナー、トラニオンベアリングまたはその構成部品、脛骨プラトープロテーゼ、膝蓋骨ボタン、距骨面プロテーゼ、橈骨上腕骨関節プロテーゼ、尺骨上腕骨関節(ulno-humeral joint)、関節窩上腕関節接合部(glenoro-humeral articulation)、椎間板置換物、脊椎間関節置換物、側頭下顎骨関節、あるいは指関節であり得る。本ベアリング材料は、股関節形成術における寛骨臼構成要素のためのライナー、または膝関節形成術のための脛骨ベアリングであり得る。
【0025】
本発明のベアリング材料またはインプラントは、身体の任意の適切な部分のためのプロテーゼとして(例えば、身体の関節の構成要素として)使用し得る。例えば、股関節において、本ベアリング材料またはインプラントは、寛骨臼カッププロテーゼ、またはそのカップのインサートもしくはライナー、あるいは、トラニオンベアリングの(例えば、モジュラーヘッドとステムとの間の)構成要素であり得る。膝関節では、人工膝関節のデザインに応じて、本ベアリング材料またはインプラントは、脛骨プラトープロテーゼ(大腿脛骨の関節接合部)、膝蓋骨ボタン(膝蓋大腿部の関節接合部)、トラニオンまたはその他のベアリング構成要素であり得る。例えば、半月板ベアリングタイプの膝関節においては、整形外科用ベアリング材料またはインプラントの上下両表面(すなわち、金属表面またはセラミック表面に対して関節接合する表面)は、表面を架橋し得る。距関節においては、本ベアリング材料またはインプラントは、距骨面プロテーゼ(脛骨距骨の関節接合部)、またはその他のベアリング構成要素であり得る。肘関節においては、本ベアリング材料またはインプラントが、橈骨上腕骨関節プロテーゼ、尺骨上腕骨関節またはその他のベアリング構成要素であり得る。肩関節においては、本ベアリング材料またはインプラントは、関節窩上腕関節接合部で使用され得る。脊柱においては、本ベアリング材料またはインプラントは、椎間板置換物、または脊椎間関節置換物で使用され得る。本ベアリング材料またはインプラントは、側頭下顎骨関節(顎)、または指関節として作製されることもあり得る。本ベアリング材料は、身体(例えば腰、膝および四肢)の任意の部分のインプラントとして使用し得る。
【0026】
本発明は、医療用インプラントのベアリング材料を製造する方法であって、このベアリング材料が、複合物であって、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ならびに、ポリマーバックボーン、およびポリマーバックボーンに結合したペンダント親水性基またはペンダント界面活性剤を有するポリエチレンコポリマーの複合物を含む、方法において、(i)超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)と、ヒドロキシ基と反応し得る反応基を有するポリエチレンコポリマーと、ポリオール、またはヒドロキシ基を有する界面活性剤とを含む混合物を圧縮成形して成形物を得ることと、(ii)成形物を機械加工してベアリング材料を得ることと、を含む、方法も提供する。
【0027】
上述のごとく、本ポリエチレンコポリマーの反応基は、カルボキシル、グリシジル、およびカルボキシ無水物からなる群から選択することができる。一実施形態では、本反応基が、カルボキシル、グリシジル、およびカルボキシ無水物からなる群から選ばれ、親水性基がヒドロキシルである。ポリエチレンコポリマーの例には、ポリ(エチレン−コ−グリシジルメタクリレート)、またはポリ(エチレン−コ−アクリル酸)がある。ポリオールの例には、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、マンニトール、ジグリセリンおよびトリグリセリン、または、ポリエーテルポリオール(例えばエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーでヒドロキシル鎖端を有するもの)が含まれる。
【0028】
他の一実施形態によれば、本発明により、医療用インプラントのベアリング材料を製造する方法であって、このベアリング材料が、複合物であって、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ならびに、ポリマーバックボーンおよびポリマーバックボーンに結合したペンダント親水性基またはペンダント界面活性剤を有するポリエチレンコポリマーの複合物を含む、方法において、(i)超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ならびに、ポリエチレンセグメントおよびペンダント基を有する親水性セグメントを含むブロックコポリマーを含む混合物を圧縮成形して成形物を得ることと、(ii)オプションで、成形物を機械加工してベアリング材料を得ることと、を含む、方法が提供される。
【0029】
上記方法の一実施形態では、親水性セグメントがヒドロキシル基を含む。他の一実施形態では、ブロックコポリマーが、ポリ(エチレン−コ−エチレングリコール)である。
【0030】
更に他の一実施形態によれば、本発明により、医療用インプラントのベアリング材料を製造する方法であって、このベアリング材料が、複合物であって、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ならびに、ポリマーバックボーンおよびポリマーバックボーンに結合したペンダント親水性基またはペンダント界面活性剤を有するポリエチレンコポリマーの複合物を含む、方法において、(i)超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)粉体を圧縮成形して、圧縮固化されたUHMWPE材料を得ることと、(ii)この圧縮固化されたUHMWPE材料に接触させて、ヒドロキシ基と反応し得る反応基を有するポリエチレンコポリマーと、ポリオールまたはヒドロキシ基を有する界面活性剤とを含む混合物を圧縮して、複合物を得ることと、(iii)オプションで、この圧縮成形物を機械加工してベアリング材料を得ることと、を含む方法が提供される。
【0031】
他の一実施形態によれば、本発明により、医療用インプラントのベアリング材料を製造する方法であって、このベアリング材料が、複合物であって、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ならびに、ポリマーバックボーンおよびポリマーバックボーンに結合したペンダント親水性基またはペンダント界面活性剤を有するポリエチレンコポリマーの複合物を含む、方法において、(i)圧縮固化されたUHMWPE材料を提供することと、(ii)ヒドロキシ基と反応し得る反応基を有するポリエチレンコポリマーと、ポリオールまたはヒドロキシ基を有する界面活性剤とを、この圧縮固化されたUHMWPE材料と接触させて、圧縮成形して複合物を得ることと、(iii)オプションで、圧縮成形物を機械加工しベアリング材料を得ることと、を含む方法が提供される。この成形物は、圧縮成形の前に所望の形状およびサイズに機械加工することも、圧縮成形後の製品を所望に応じて機械加工することもできる。
【0032】
更に他の一実施形態では、本発明により、医療用インプラントのベアリング材料を製造する方法であって、このベアリング材料が、複合物であって、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ならびに、ポリマーバックボーンおよびポリマーバックボーンに結合したペンダント親水性基を有するブロックコポリマーの複合物を含む、方法において、(i)超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)粉体を圧縮成形して、圧縮固化されたUHMWPE材料を得ることと、(ii)圧縮固化されたUHMWPE材料に接触させて、ポリエチレンセグメントと反応性親水性ペンダント基を有する親水性セグメントとを含むブロックコポリマーを圧縮して成形物を得ることと、(iii)オプションで、圧縮成形物を機械加工してベアリング材料を得ることと、を含む方法が提供される。
【0033】
更なる一実施形態では、本発明により、医療用インプラントのベアリング材料を製造する方法であって、このベアリング材料が、複合物であって、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ならびに、ポリマーバックボーンおよびポリマーバックボーンに結合したペンダント親水性基を有するブロックコポリマーの複合物を含む、方法において、(i)圧縮固化されたUHMWPE材料を提供することと、(ii)その圧縮固化されたUHMWPE材料に接触させて、ポリエチレンセグメントと、反応性親水性ペンダント基を有する親水性セグメントとを含むブロックコポリマーを圧縮して成形物を得ることと、(iii)オプションで、圧縮成形物を機械加工してベアリング材料を得ることと、を含む、方法が提供される。
【0034】
本発明のいずれの実施形態においても、ベアリング材料を作製する方法には、UHMWPEの架橋、ベアリング材料の殺菌、および/または機械加工前の成形物の溶融アニーリングが更に含まれ得る。
【0035】
上記のいずれの実施形態においても、圧縮固化されたUHMWPE材料は、ベアリング材料の前駆体で、任意の圧縮固化された形状、たとえば、ロッド、シート、プリフォーム(preform)、または完成部品のいずれでもよい。圧縮固化された材料は、任意の適切な方法、例えば、成形、押し出し、または溶媒キャスト(solvent casting)、によって作製し得る。あるいは、圧縮固化されたUHMWPE材料は、ポリマー、例えばUHMWPE等の架橋可能なポリマー、のブロックまたはシートから機械加工されるか、または成形され得る。
【0036】
本発明により、本方法の上記実施形態によって製造されたベアリング材料も提供される。本発明のベアリング材料により、免疫システム応答の減少が導き出される。更に、血清タンパク質とペンダント親水性剤または湿潤剤または界面活性剤との間の有益な相互作用に由来する潤滑効果により、UHMWPEの摩耗速度が減少する。UHMWPEマトリックス中の親水性基または界面活性剤の永続的な固着により、性能の安定性および信頼性が提供される。湿潤効果および潤滑効果に関し、ベアリング材料の表面および/またはバルクの調整(tailoring)が可能であることが、本発明の一つの長所である。諸実施形態において、本発明により、ベアリング材料を製造する、より安価な方法が提供される。この方法は、多段階のグラフティングおよび/または化学反応を避けようとするものである。
【0037】
本明細書で引用された、出版物、特許出願および特許を含む全ての参照文献は、それぞれの参照文献が、参照により、組み入れられたものとして個々にかつ具体的に示され、その全体が本明細書に説明された場合と同程度まで、参照により本明細書に組み入れられる。
【0038】
本発明を既述する文脈(特に特許請求の範囲における文脈)における「1つの(a)」および「1つの(an)」および「この、前記(the)」および同様の指示語の使用は、本明細書で別様に記載されるか、あるいは分脈上矛盾することが明らかである場合を除いて、単数と複数との両方に及ぶものと解釈されるべきである。用語「含む、備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含有する(cotaining)」は、別様に記載されていない限り、無制限の用語(すなわち、「〜を含むがそれらに限られるわけではない(including, but not limited to)」を意味する)と解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書に別様に記載されていない限り、その範囲内に属するそれぞれ別個の値に個々に言及する簡略方法として役立つことを単に意図したものであり、それぞれ別個の値は、それが本明細書に個々に記載されている場合と同様に明細書中に組み入れられている。本明細書に記載された全ての方法は、本明細書で別様に記載されるか、あるいはそうでなければ分脈上矛盾することが明らかである場合を除いて、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書における任意かつ全ての実施例または例示用言語{例えば「など(such as)」}の使用は、単に本発明をよりよく明らかにすることを意図したに過ぎず、別様に主張されない限り、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書中の如何なる言語も、特許請求されていない任意の要素が本発明の実行に必須のものであることを示すものであると解釈されるべきではない。
【0039】
本明細書では、本発明を実行するための、本発明者に知られている最適な実施形態を含めて、本発明の好ましい実施形態について説明してある。これらの好ましい実施形態の変形は、これまでの説明を読んだ当業者にとって明らかになるであろう。本発明者らは、当業者がこれらの変形を適切に採用するものと考えている。本発明が、本明細書に具体的に記載した以外のやり方で実行されることは発明者らが意図することである。したがって、本発明には、適用される法令の許容する範囲において、添付の請求項に記載された主題の全ての修正物および等価物が含まれる。更に、あらゆる可能な変形における上記の要素の任意の組み合わせは、本明細書で別様に記載されるか、あるいはそうでなければ分脈上矛盾することが明らかである場合を除いて、本発明により包含される。
【0040】
本発明の好ましい実施態様は以下の通りである。
【0041】
(1) 医療用インプラントのベアリング材料において、
複合物であって、
超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ならびに、
ポリマーバックボーン、および当該ポリマーバックボーンに結合したペンダント親水性基またはペンダント界面活性剤を有するポリエチレンコポリマー、
の複合物、
を含み、
当該ベアリング材料が、当該医療用インプラントの硬い対向面に対して関節接合するために採用される、ベアリング材料。
(2) 実施態様1に記載のベアリング材料において、
前記ペンダント親水性基が、連結基を介して前記ポリマーバックボーンに結合している、ベアリング材料。
(3) 実施態様2に記載のベアリング材料において、
前記ペンダント親水性基が、一つ以上の遊離したノニオン基を含む、ベアリング材料。
(4) 実施態様3に記載のベアリング材料において、
前記ノニオン基が、ヒドロキシル基である、ベアリング材料。
(5) 実施態様2に記載のベアリング材料において、
前記連結基が、カルボキシアルキル、カルボキシヒドロキシアルキル、カルボキシヒドロキシアルコキシ、カルボキシアルコキシ、およびカルボキシアルコキシアルキルからなる群から選ばれる、ベアリング材料。
(6) 実施態様1に記載のベアリング材料において、
前記ペンダント親水性基が、連結基なしに前記ポリマーバックボーンに結合している、ベアリング材料。
(7) 実施態様1に記載のベアリング材料において、
前記UHMWPEが、架橋されている、ベアリング材料。
(8) 実施態様1に記載のベアリング材料において、
前記ペンダント界面活性剤が、ポリエチレングリコールと、ポリプロピレングリコールとのコポリマーを含む、ベアリング材料。
【0042】
(9) 医療用インプラントのベアリング材料を製造する方法において、
前記ベアリング材料が、複合物であって、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ならびに、ポリマーバックボーンおよび当該ポリマーバックボーンに結合したペンダント親水性基またはペンダント界面活性剤を有するポリエチレンコポリマーの複合物を含み、
前記方法が、
(i)混合物を圧縮成形して成形物を得る工程であって、
前記混合物が、
超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、
親水性基と反応し得る反応基を有するポリエチレンコポリマー、および、
ポリオール、または親水性基を有する界面活性剤、
を含む、工程と、
(ii)前記成形物を機械加工して前記ベアリング材料を得る工程と、
を含む、方法。
(10) 実施態様9に記載の方法において、
前記ポリエチレンコポリマーの前記反応基が、カルボキシル、グリシジル、およびカルボキシ無水物からなる群から選ばれ、
前記親水性基が、ヒドロキシルである、方法。
(11) 実施態様9に記載の方法において、
前記ポリエチレンコポリマーが、ポリ(エチレン−コ−グリシジルメタクリレート)、ポリ(エチレン−g−無水マレイン酸)、またはポリ(エチレン−コ−アクリル酸)である、方法。
(12) 実施態様9に記載の方法において、
前記ポリオールが、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、マンニトール、ジグリセリン、トリグリセリン、およびポリグリセリンからなる群から選ばれる、方法。
(13) 実施態様9に記載の方法において、
前記ポリオールが、ポリエーテルポリオールである、方法。
(14) 実施態様13に記載の方法において、
前記ポリエーテルポリオールが、エチレンオキシドと、プロピレンオキシドとのブロックコポリマーであって、
当該ブロックコポリマーが、ヒドロキシル鎖端を有する、方法。
(15) 実施態様9に記載の方法において、
前記UHMWPEを架橋する工程、
を更に含む、方法。
(16) 実施態様9に記載の方法において、
オプションで、前記ベアリング材料を殺菌する工程、
を含む、方法。
(17) 実施態様9に記載の方法において、
オプションで、機械加工の前に前記成形物を溶融アニーリングする工程、
を含む、方法。
(18) ベアリング材料において、
実施態様9に記載の方法によって製造される、ベアリング材料。
【0043】
(19) 医療用インプラントのベアリング材料を製造する方法において、
前記ベアリング材料が、複合物であって、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ならびに、ポリマーバックボーンおよび当該ポリマーバックボーンに結合したペンダント親水性基を有するブロックコポリマーの複合物を含み、
前記方法が、
(i)超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ならびに、ポリエチレンセグメント、および親水性ペンダント基を有する親水性セグメントを含むブロックコポリマーを含む混合物を圧縮成形して成形物を得ることと、
(ii)オプションで、前記成形物を機械加工して前記ベアリング材料を得ることと、
を含む、方法。
(20) 実施態様19に記載の方法において、
前記親水性セグメントが、一つ以上のヒドロキシ基を含む、方法。
(21) 実施態様20に記載の方法において、
前記ブロックコポリマーが、ポリ(エチレン−コ−エチレングリコール)である、方法。
(22) ベアリング材料において、
実施態様19に記載の方法によって製造される、ベアリング材料。
【0044】
(23) 医療用インプラントのベアリング材料を製造する方法において、
前記ベアリング材料が、複合物であって、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ならびに、ポリマーバックボーンおよび当該ポリマーバックボーンに結合したペンダント親水性基またはペンダント界面活性剤を有するポリエチレンコポリマーの複合物を含み、
前記方法が、
(i)超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)粉体を圧縮成形して、圧縮固化されたUHMWPE材料を得ることと、
(ii)前記圧縮固化されたUHMWPE材料に接触させて、ヒドロキシ基と反応し得る反応基を有するポリエチレンコポリマーと、ポリオール、またはヒドロキシ基を有する界面活性剤とを含む混合物を圧縮して複合物を得ることと、
(iii)オプションで、前記圧縮成形物を機械加工して前記ベアリング材料を得ることと、
を含む、方法。
(24) 医療用インプラントのベアリング材料を製造する方法において、
前記ベアリング材料が、複合物であって、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ならびに、ポリマーバックボーンおよび当該ポリマーバックボーンに結合したペンダント親水性基またはペンダント界面活性剤を有するポリエチレンコポリマーの複合物を含み、
前記方法が、
(i)圧縮固化されたUHMWPE材料を提供することと、
(ii)ヒドロキシ基と反応し得る反応基を有するポリエチレンコポリマーと、ポリオール、またはヒドロキシ基を有する界面活性剤とを、前記圧縮固化されたUHMWPE材料と接触させて、圧縮成形して複合物を得ることと、
(iii)オプションで、前記圧縮成形物を機械加工して前記ベアリング材料を得ることと、
を含む、方法。
【0045】
(25) 医療用インプラントのベアリング材料を製造する方法において、
前記ベアリング材料が、複合物であって、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ならびに、ポリマーバックボーンおよび当該ポリマーバックボーンに結合したペンダント親水性基を有するブロックコポリマーの複合物を含み、
前記方法が、
(i)超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)粉体を圧縮成形して、圧縮固化されたUHMWPE材料を得ることと、
(ii)前記圧縮固化されたUHMWPE材料に接触させて、ポリエチレンセグメントと反応性親水性ペンダント基を有する親水性セグメントとを含むブロックコポリマーを圧縮して成形物を得ることと、
(iii)オプションで、前記圧縮成形物を機械加工して前記ベアリング材料を得ることと、
を含む、方法。
(26) 医療用インプラントのベアリング材料を製造する方法において、
前記ベアリング材料が、複合物であって、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ならびに、ポリマーバックボーンおよび当該ポリマーバックボーンに結合したペンダント親水性基を有するブロックコポリマーの複合物を含み、
前記方法が、
(i)圧縮固化されたUHMWPE材料を提供することと、
(ii)前記圧縮固化されたUHMWPE材料に接触させて、ポリエチレンセグメントと反応性親水性ペンダント基を有する親水性セグメントとを含むブロックコポリマーを圧縮して成形物を得ることと、
(iii)オプションで、前記圧縮成形物を機械加工して前記ベアリング材料を得ることと、
を含む、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用インプラントのベアリング材料において、
複合物であって、
超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ならびに、
ポリマーバックボーン、および当該ポリマーバックボーンに結合したペンダント親水性基またはペンダント界面活性剤を有するポリエチレンコポリマー、
の複合物、
を含み、
当該ベアリング材料が、当該医療用インプラントの硬い対向面に対して関節接合するために採用される、ベアリング材料。
【請求項2】
請求項1に記載のベアリング材料において、
前記ペンダント親水性基が、連結基を介して前記ポリマーバックボーンに結合している、ベアリング材料。
【請求項3】
請求項2に記載のベアリング材料において、
前記ペンダント親水性基が、一つ以上の遊離したノニオン基を含む、ベアリング材料。
【請求項4】
請求項3に記載のベアリング材料において、
前記ノニオン基が、ヒドロキシル基である、ベアリング材料。
【請求項5】
請求項2に記載のベアリング材料において、
前記連結基が、カルボキシアルキル、カルボキシヒドロキシアルキル、カルボキシヒドロキシアルコキシ、カルボキシアルコキシ、およびカルボキシアルコキシアルキルからなる群から選ばれる、ベアリング材料。
【請求項6】
医療用インプラントのベアリング材料を製造する方法において、
前記ベアリング材料が、複合物であって、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ならびに、ポリマーバックボーンおよび当該ポリマーバックボーンに結合したペンダント親水性基またはペンダント界面活性剤を有するポリエチレンコポリマーの複合物を含み、
前記方法が、
(i)混合物を圧縮成形して成形物を得る工程であって、
前記混合物が、
超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、
親水性基と反応し得る反応基を有するポリエチレンコポリマー、および、
ポリオール、または親水性基を有する界面活性剤、
を含む、工程と、
(ii)前記成形物を機械加工して前記ベアリング材料を得る工程と、
を含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記ポリエチレンコポリマーが、ポリ(エチレン−コ−グリシジルメタクリレート)、ポリ(エチレン−g−無水マレイン酸)、またはポリ(エチレン−コ−アクリル酸)である、方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法において、
前記ポリオールが、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、マンニトール、ジグリセリン、トリグリセリン、およびポリグリセリンからなる群から選ばれる、方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法において、
前記ポリオールが、ポリエーテルポリオールである、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
前記ポリエーテルポリオールが、エチレンオキシドと、プロピレンオキシドとのブロックコポリマーであって、
当該ブロックコポリマーが、ヒドロキシル鎖端を有する、方法。

【公開番号】特開2008−114045(P2008−114045A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−218760(P2007−218760)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】