説明

医療用水性潤滑剤エマルション、又は洗浄装置及び方法

医療又は食品器具用の水性潤滑剤エマルションであって、(a)5重量%〜30重量%の鉱物油と、(b)5重量%〜30重量%の、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイルアルコールエーテル、トリエタノールアミンオレエートから成る群から選択される2種の乳化剤から成る乳化剤系であって、前記2種の乳化剤の質量比が2:8〜8:2の範囲である乳化剤系と、(c)0.5重量%〜5重量%の、脂肪族アルコール、長鎖脂肪酸、及びジイソオクチルスクシネートスルホネートから成る群から選択される1種以上の補助乳化剤と、(d)残部の水、を含むエマルション。医療又は食品器具の洗浄工程後、医療又は食品器具を本発明に係る潤滑剤エマルションを用いて処理する工程を含む、医療又は食品器具を洗浄する方法もまた記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年6月20日出願の中国特許出願第200810128864.6号及び2009年6月19日出願の中国特許出願第200910148255.1号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
世界中の病院では、手術用具等の医療器具が毎日頻繁に利用されている。医療器具の錆及び結合部の不調は、長期間存在する問題である。これらの問題は、操業費を増加させる場合もあり、また病院での処置における医療リスクを増加させる恐れもある。病院は、脱錆剤を利用することにより器具を脱錆しているが、これは備品室で大きな労力を必要とする。脱錆剤は一般に強酸系を含有しているため、脱錆剤を頻繁に利用すると器具の表面に損傷を与え(例えば器具上にめっきを引き起こす及び/又は器具上に存在する望ましいめっきに損傷を与えることにより)、器具の耐用期間を縮める。
【0003】
洗浄後の医療器具の品質を向上させるため、病院内における感染のリスクを改善するため、器具の維持費用を低減するため、器具の耐用期間を延長するため、及び作業のリスクを潜在的に低下させるために、一部の病院では医療器具を洗浄後潤滑剤で処理している。潤滑剤は、器具の表面上に保護被膜を形成し、この被膜は空気中の酸素がステンレス鋼の器具に接触するのを防ぐが、高圧水蒸気は透過することができる。
【0004】
水溶性潤滑剤が、金属加工業界では表面に適用されている。米国特許第7,273,833号は、潤滑成分として1,000〜1,000,000の分子量を有するアミン基含有ポリマーを利用する金属切削加工に用いるための水溶性潤滑剤に関し、中国特許公開第1,138,620A号は、潤滑、冷却、洗浄、及び防食の機能を有し、原材料としてロート油、ポリエチレングリコール、アルコール、防腐アルコール、ホウ酸、トリエタノールアミン、エチレンジアミン四酢酸、及び水を用いる水系コーティング液を開示している。米国特許第2,690,426号では、鉱物油及びポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸化合物を用い、更に潤滑成分としてポリオキシエチレンステアリルアルコール、ポリオキシエチレンステアリン酸、又はポリオキシエチレンステアリルアルコールアミンを添加することにより、テキスタイル業界及び他の産業分野で用いられる親水性、水分散性油相系が得られる。これら金属加工業界で用いられている水溶性潤滑剤は、分解性及び/又は成分の毒性により医療器具の処理には使用することができない。
【0005】
医療業界では、カテーテル、カニューレ、又は穿刺針の表面潤滑には水性潤滑剤が用いられている。例えば、米国特許第6,046,143号では、カテーテルの表面潤滑に用いるための水性潤滑剤は、潤滑成分として変成シリコーン樹脂を開示している。更に、国際公開第1999/047187号及び米国特許第5,688,747号はまた、潤滑成分としてシリコーンを含む、カテーテルの表面処理に用いるための水系潤滑油を開示している。シリコーンが用いられているが、これはエマルション中に安定に維持することが困難である場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故、洗浄後の手術用医療器具の処理に用いられる安定なシリカ/シリコーン不含水性潤滑剤が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様は、本質的にシリカ及び/又はシリコーンを含まず、長期間安定に保つことができる(例えば耐用期間2年)、医療器具用の安定な水性潤滑剤エマルションを提供することである。
【0008】
本発明の別の態様は、防食及び潤滑の機能を提供することができ、かつ環境に優しい、医療器具を洗浄する方法を提供することである。
【0009】
1つの態様では、本発明は、医療器具用の水性潤滑剤エマルションであって、エマルションの総重量に基づいた重量比の観点で、エマルションが、
(a)5重量%〜30重量%の鉱物油と、
(b)5重量%〜30重量%の、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイルアルコールエーテル、トリエタノールアミンオレエートから成る群から選択される2種の乳化剤から成る乳化剤系であって、前記2種の乳化剤の質量比が2:8〜8:2の範囲である乳化剤系と、
(c)0.5重量%〜5重量%の、脂肪族アルコール、長鎖脂肪酸、及びジイソオクチルスクシネートスルホネートから成る群から選択される1種以上の補助乳化剤(coemulsifier)と、
(d)水と、を含むエマルションを提供する。組成物はまた、消泡剤、防錆剤、又は被膜形成剤等の他の任意添加剤を含んでもよい。本明細書に記載される全ての重量比は、特に明記しない限り、組成物の総重量に基づいた重量比である。
【0010】
別の態様では、本発明は、医療器具用の水性潤滑剤エマルションであって、エマルションの総重量に基づいた重量比の観点で、エマルションが、
(a)5重量%〜30重量%の鉱物油と、
(b)5重量%〜30重量%の、(i)ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの組み合わせ、又は(ii)オレイルアルコールエーテル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの組み合わせ、又は(iii)ソルビタン脂肪酸エステル及びトリエタノールアミンオレエートの組み合わせから成る乳化剤系であって、前記組み合わせのいずれかの質量比が2:8〜8:2の範囲である乳化剤系と、
(c)0.5重量%〜5重量%の、脂肪族アルコール、長鎖脂肪酸、及びジイソオクチルスクシネートスルホネートから成る群から選択される1種以上の補助乳化剤と、
(d)残部の水、を含むエマルションを提供する。組成物はまた、消泡剤、防錆剤、及び被膜形成剤等の他の任意添加剤を含んでもよい。全ての重量比は、特に明記しない限り組成物の総重量に基づいた重量比である。
【0011】
本明細書に記載される医療器具用潤滑剤エマルションは、長期間安定に保つことができる水中油型エマルションである。ほとんどの実施形態では、エマルションは、0〜5℃の温度で3ヶ月間保存した後、又は37℃の温度で3ヶ月間保存した後、又は54℃の温度で2ヶ月間保存した後も安定である(例えば単相エマルション)。
【0012】
潤滑剤エマルションは、手術用医療器具の洗浄後及び滅菌前に用いることができる。このエマルションは、防食及び潤滑の機能を有し、したがって脱錆剤の適用を大幅に減らす又はなくす。更に、エマルションは、本質的にシリコーン又はパラフィンろうを含まず、成分は環境に優しく、容易に分解し、使用中適用が便利である。
【0013】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される潤滑剤エマルションを用いて医療器具を洗浄し、洗浄後前記医療器具を処理する方法を提供する。本発明の方法は、防食及び潤滑を提供することができ、環境に優しく、脱錆剤の使用を大幅に減らし又はなくし、医療器具の耐用期間を延長する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、医療器具用水性潤滑剤、具体的には洗浄後医療器具を処理するための非シリカゲル型水性潤滑剤エマルションに関する。本発明は更に、医療器具を洗浄する方法に関する。
【0015】
本発明では、特に明記しない限り、「医療器具」という用語はまた、食品加工業界及び食品サービス業界で用いられるもの等の、食品加工機及び食器類等も含む。本発明は、医療器具及び医療業界で適用可能であり、本明細書に提供される記載は、食品加工業界及び食品サービス業界で用いられるとき食品用器具にも同様に適用される。
【0016】
特に明記しない限り、「ソルビタン脂肪酸エステル」という用語は、無水ソルビトール及び高級脂肪酸をモノエステル化又はトリエステル化することにより得られる生成物であって、好ましくは前記脂肪酸が12〜18炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪酸である生成物である。「ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル」という用語は、ソルビタン脂肪酸エステル及びエチレンオキシドを重合させることにより形成される生成物であって、前記ポリオキシエチレンの重合度が20であり、好ましくは前記脂肪酸が12〜18炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪酸である生成物である。
【0017】
特に明記しない限り、「軽白色鉱物油」は、必須である厳密な脱ろう化及び水素化基油、例えば40℃で10〜50mm/s、好ましくは10〜30mm/sの粘度、及び20℃で0.82〜0.86kg/m、より好ましくは0.84〜0.86kg/mの密度を有する飽和炭化水素型鉱物油からの不純物の除去により形成される、比較的低密度及び粘度を有する鉱物油を意味する。
【0018】
特に明記しない限り、「長鎖脂肪酸アルコール」という用語は、両親媒性を有する脂肪族アルコールであって、前記脂肪族アルコールの脂肪炭素鎖が一般に10以上の炭素原子を有し、10〜30炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖が好ましい脂肪族アルコールを意味する。
【0019】
特に明記しない限り、本発明における全ての百分率、部、及び比率は重量による。
【0020】
ほとんどの実施形態では、水性潤滑剤エマルションは、医療器具用に提供され、エマルションの総重量に基づいた重量比の観点で、前記エマルションは、
(a)5重量%〜30重量%の鉱物油、好ましくは軽白色鉱物油、より好ましくは40℃で10〜30mm/sの粘度を有する軽白色鉱物油と、
(b)5重量%〜30重量%の、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイルアルコールエーテル、及びトリエタノールアミンオレエートから成る群から選択される2種の乳化剤から成る乳化剤系であって、前記2種の乳化剤の質量比が2:8〜8:2の範囲である乳化剤系と、
(c)0.5重量%〜5重量%の、脂肪族アルコール(好ましくは長鎖脂肪酸アルコール)、長鎖脂肪酸、及びジイソオクチルスクシネートスルホネートから成る群から選択される1種以上である補助乳化剤と、
(d)水と、を含む。
【0021】
好ましい実施形態では、前記乳化剤系は、(i)ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの組み合わせ、又は(ii)オレイルアルコールエーテル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの組み合わせ、又は(iii)ソルビタン脂肪酸エステル及びトリエタノールアミンオレエートの組み合わせから成り、前記組み合わせのいずれかの質量比は2:8〜8:2の範囲である。好ましい実施形態では、組成物の残部は水である。
【0022】
本発明の幾つかの好ましい実施形態によれば、本発明の潤滑剤エマルションは、1種の任意の他の添加剤として防錆剤を更に含有し、本発明のエマルション中におけるその含有量は、好ましくは0.1重量%〜3重量%である。本発明の幾つかの更に好ましい実施形態によれば、防錆剤は、スルホネート、有機カルボン酸及びその塩類、有機リン酸塩、エステル、有機アミン、及び複素環式化合物から成る群の1種以上から選択される。
【0023】
本発明の幾つかの好ましい実施形態によれば、本発明の潤滑剤エマルションは、別の任意の他の添加剤として助剤を更に含有する。助剤の例としては、被膜形成剤、保存剤、pH調整剤、及び消泡剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
上記被膜形成剤は主に、水溶性ポリマー、例えばポリビニルアルコール(好ましくは少数のアルコール基を有し、水溶液の粘度は低い)、水溶性セルロース及びその誘導体、ポリビニルピロリドン等から成る群から選択される1種以上を意味する。本発明のエマルション中における被膜形成剤の含有量は、好ましくは0.01重量%〜0.5重量%である。
【0025】
上記保存剤は主に、アルコール又はアルデヒド型保存剤、安息香酸及びその誘導体、チアゾリドン/イソチアゾリドン、ソルビン酸及びその塩類、ヘキサメチレンアミン、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、ウンデシレン酸及びその誘導体等から成る群から選択される1種以上の保存剤を意味する。本発明のエマルション中における保存剤の含有量は、好ましくは0.5重量%〜2.0重量%である。
【0026】
上記消泡剤は主に、ポリエーテル型化合物を意味する。本発明のエマルション中における消泡剤の含有量は、好ましくは0.01重量%〜1.0重量%である。
【0027】
pH調整剤は、典型的には有機又は無機アルカリ塩基を意味する。本発明のエマルション中におけるpH調整剤の含有量は、好ましくは0.1重量%〜1.0重量%である。
【0028】
乳白水中油型エマルション又は油中水型エマルションは、本発明におけるそれぞれの構成成分を、加熱溶解及び強力な均質化処理に供することにより得ることができる。例えば、本明細書に記載される安定なエマルションは、以下のプロセスにより形成することができる。油相及び水相をそれぞれ攪拌条件下で75〜90℃に加熱し、油相を水相にゆっくりと移し、得られた混合物を30分間この温度で継続的に攪拌し、混合物を均質化し(120分間2800RPMの速度で)、それを自然に室温に冷却して、生成物を得る。代替プロセスでは、本明細書に記載される安定なエマルションは、以下のプロセスにより形成することができる。油相及び水相をそれぞれ攪拌条件下で50〜75℃、より好ましくは55〜60℃に加熱し、油相を水相にゆっくりと移し、得られた混合物を30分間この温度で継続的に攪拌し、混合物を均質化し(120分間2800RPMの速度で)、混合物のpHを調整し、それを自然に室温に冷却して、生成物を得る。特定の実施形態では、油相及び水相の加熱は、エマルションの相間移動が生じる(即ち油中水型から水中油型に)温度範囲内で実施される。
【0029】
本発明の水中油型エマルションは、複数回希釈してもよく、優れた安定性を有し、医療器具全体に潤滑及び防錆保護を与えることができる。その成分の全てが環境に優しく、容易に分解可能であり、便利に適用可能である。エマルションの安定性は、少なくとも2年間保つことができる。
【0030】
具体例
本発明では、含有量の百分率は全て重量による。
【0031】
【表1】

【実施例】
【0032】
(実施例1)
【0033】
【表2】

【0034】
(実施例2)
【0035】
【表3】

【0036】
(実施例3)
【0037】
【表4】

【0038】
(実施例4)
【0039】
【表5】

【0040】
(実施例5)
【0041】
【表6】

【0042】
(実施例6)
【0043】
【表7】

【0044】
(実施例7)
【0045】
【表8】

【0046】
(実施例8)
【0047】
【表9】

【0048】
(実施例9)
【0049】
【表10】

【0050】
(実施例10)
【0051】
【表11】

【0052】
(実施例11)
【0053】
【表12】

【0054】
(実施例12)
【0055】
【表13】

【0056】
エマルション安定性試験
比較例
実施例1及び米国特許第2,690,426号の実施例13の配合によれば、それぞれを溶解させ、室温にて攪拌条件下で均一に混合することにより透明な油溶液が得られ、この透明な油溶液は水溶性潤滑油であり、室温下で安定であった。それぞれ1:10及び1:200の比で、強攪拌条件下で油溶液を更に水に注ぎ、次いで20分間攪拌して、水性エマルションを配合し、それは4日後に壊れた。
【0057】
本明細書に記載される組成物に係る(実施例1〜8等)一次エマルション並びにそれを1:10及び1:200に希釈したエマルションを、比較実験と同試験に供した。一次エマルション及び希釈エマルションは4日後も依然として安定であった。
【0058】
本発明に係るエマルションの特性に対する種々の試験を以下に記載する。
【0059】
1.遠心分離及び加速試験:3500rpm/分の条件下で60分間遠心分離した後、エマルションは分離(demixing)又は沈殿することなく安定に保たれていた。
【0060】
2.0〜5℃の低温で3ヶ月間保存した後、エマルションは分離することなく安定に保たれていた。
【0061】
37℃の高温で3ヶ月間保存した後、エマルションは分離することなく安定に保たれていた。
【0062】
54℃の高温で2ヶ月間保存した後、エマルションは分離することなく安定に保たれていた。
【0063】
3.凍結解凍試験:サンプルを−20℃で12時間維持し、次いで室温で12時間解凍し、次いで−20℃に曝露するというサイクルを繰り返した。10回の凍結解凍サイクル後、エマルションは分離することなく保たれていた。
【0064】
毒性の検証:Shanghai Municipal Center for Disease Prevention and Controlにより毒性試験を実施した。Disinfecting Technology Standard,2002,Ministry of Health of Chinaの2.3.1章、2.3.3章、2.3.8.4章の対応するセクションに従って試験を実施した。結果は、この配合は皮膚を刺激しない、又は小核誘導効果を有しない非毒性製品であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療又は食品器具用の水性潤滑剤エマルションであって、
(a)5重量%〜30重量%の鉱物油と、
(b)5重量%〜30重量%の、
(i)ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの組み合わせ、又は
(ii)オレイルアルコールエーテル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの組み合わせ、又は
(iii)ソルビタン脂肪酸エステル及びトリエタノールアミンオレエートの組み合わせから成る乳化剤系であって、前記組み合わせの質量比がいずれも2:8〜8:2の範囲である乳化剤系と、
(c)0.5重量%〜5重量%の、脂肪族アルコール、長鎖脂肪酸、及びジイソオクチルスクシネートスルホネートから成る群から選択される1種以上の補助乳化剤(coemulsifier)と、
(d)残部の水、を含むエマルション。
【請求項2】
エマルションの総重量の0.1重量%〜2重量%の含有量の防錆剤である添加剤を更に含む、請求項1に記載の医療又は食品器具用水性潤滑剤エマルション。
【請求項3】
前記防錆剤が、スルホネート、有機カルボン酸及びその塩類、有機リン酸塩、エステル、有機アミン、及び複素環式化合物から成る群から選択される1種以上である、請求項2に記載の医療又は食品器具用水性潤滑剤エマルション。
【請求項4】
被膜形成剤、保存剤、及び消泡剤から成る群から選択される1種以上の助剤である添加剤を更に含む、請求項1に記載の医療又は食品器具用水性潤滑剤エマルション。
【請求項5】
前記被膜形成剤が、ポリビニルアルコール、水溶性セルロース及びその誘導体、並びにポリビニルピロリドンの群から選択される1種以上である、請求項4に記載の医療又は食品器具用水性潤滑剤エマルション。
【請求項6】
前記保存剤が、アルコール又はアルデヒド型保存剤、安息香酸及びその誘導体、チアゾリドン/イソチアゾリドン、ソルビン酸及びその塩類、ヘキサメチレンアミン、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、並びにウンデシレン酸及びその誘導体等から成る群から選択される1種以上である、請求項4に記載の医療又は食品器具用水性潤滑剤エマルション。
【請求項7】
前記消泡剤がポリエーテル型化合物である、請求項4に記載の医療又は食品器具用水性潤滑剤エマルション。
【請求項8】
前記鉱物油が、40℃で10〜50mm/sの粘度、及び20℃で0.82〜0.86kg/mの密度を有する飽和炭化水素型鉱物油である、請求項1に記載の医療又は食品器具用水性潤滑剤エマルション。
【請求項9】
前記鉱物油が、40℃で10〜30mm/sの粘度、及び20℃で0.84〜0.86kg/mの密度を有する飽和炭化水素型鉱物油である、請求項1に記載の医療又は食品器具用水性潤滑剤エマルション。
【請求項10】
前記脂肪族アルコールが、10〜30炭素原子の脂肪炭素鎖を有する直鎖又は分枝鎖脂肪族アルコールである、請求項1に記載の医療又は食品器具用水性潤滑剤エマルション。
【請求項11】
前記長鎖脂肪酸が、10〜30炭素原子の脂肪炭素鎖を有する飽和又は不飽和直鎖脂肪酸である、請求項1に記載の医療又は食品器具用水性潤滑剤エマルション。
【請求項12】
医療又は食品器具用水性潤滑剤エマルションであって、
(a)5重量%〜30重量%の鉱物油と、
(b)5重量%〜30重量%の、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイルアルコールエーテル、トリエタノールアミンオレエートから成る群から選択される2種の乳化剤から成る乳化剤系であって、前記2種の乳化剤の質量比が2:8〜8:2の範囲である乳化剤系と、
(c)0.5重量%〜5重量%の、脂肪族アルコール、長鎖脂肪酸、及びジイソオクチルスクシネートスルホネートから成る群から選択される1種以上の補助乳化剤(coemulsifier)と、
(d)水と、を含むエマルション。
【請求項13】
医療又は食品器具を洗浄し、次いで前記医療又は食品器具を請求項1〜12のいずれか一項に記載の水性潤滑剤エマルションで処理することを含む、医療又は食品器具を洗浄する方法。

【公表番号】特表2011−525210(P2011−525210A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514832(P2011−514832)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/047921
【国際公開番号】WO2009/155495
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】