説明

医療用画像においてリンパ節をラベリングおよび識別するためのシステムおよび方法

【課題】本発明の課題は、医療用画像において迅速かつ精確にリンパ節をラベリングできる方法およびシステムを提供することである。
【解決手段】前記課題は、
医療用画像において目印を識別する。
該医療用画像におけるリンパ節の位置に対する、該目印に関する特徴を計算する。
計算された該特徴と分類規則とを比較するクラシファイアを使用して、解剖学的名称をリンパ節の位置に対応付ける
方法によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2006年1月25日に提出された米国特許仮出願番号60/762029で留保されている権利を請求するものである。ここに記載された内容は、参照によって本願の開示内容に含まれる。
【0002】
本発明は、医療用画像における解剖学的対象のラベリングおよび識別に関し、詳細には、医療用画像においてリンパ節をラベリングおよび識別するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
癌病期分類のためのリンパ節の識別および評価は、放射線専門医の作業フローの中で大部分を占める。その例が、J.P. Ko, E.A. Drucker, J.A. Shepard, C.F. Mountain, C. Dresler, B. Sabloff, および T.C. McLoudによる『CT depiction of regional nodal stations for lung cancer staging』(AJR Am J Roentgenol. 2000 Mar; 174(3):775-82)と、S. Aquino, M. Harisinghani, および B. Branstetterによる『Lymph Node Anatomy and Imaging for Cancer Staging』(RSNA 2005)に記載されている。リンパ節の識別および評価時に取得された情報は、癌診断および癌治療において中心的な役割を果たす。
【0004】
リンパ節の識別および評価を自動化するための従来のアプローチは、リンパ節のセグメンテーションに焦点を当てる傾向があった。その例が、D.M. Honea, Y. Ge, W.E. Snyder, P.F. Hemler, および D.J. Viningによる『Lymph node segmentation using active contours』第265〜273頁(SPIE Medical Imaging 1997: Image Processing, Vol. 3034. 1997)、J. Dornheim, H. Seim, B. Preim, I. Hertel, および G. Straussによる『Segmentation of Neck Lymph Nodes in CT Datasets with Stable 3D Mass-Spring Models』第904〜911頁(Medical Image Computing and Computer-Assisted Intervention - MICCAI 2006, Volume 4191/2006)、ならびに、G. Unal , G. Slabaugh , A. Ess , A. Yezzi , T. Fang , J. Tyan , M. Requardt , R.Krieg , R.Seethamraju, M. Harisinghani, および R. Weisslederによる『Semi-Automatic Lymph Node Segmentation in LN-MRI』(Proceedings of the IEEE Int. Conf. Image Processing, 2006)に記載されている。
【0005】
リンパ節をセグメンテーションできることにより、大きさおよび形状に関する量的な情報のベースが得られる。このような自動化された方法は、読み取り側による変動および誤りを低減するのに役立ち、このことによって、さらに一貫した測定および評価が実現される。高速マッチング、方向性輪郭(directed contours)およびスプリングマスモデル(spring-mass model)を含むアプローチは、従来の形状の種々の形態とともに適用されてきた。これらの手法は確実な結果を提供するにもかかわらず、リンパ節セグメンテーションは未だに挑戦段階の課題である。さらに、このようなツールが使用できるにもかかわらず、放射線専門医は未だに、病期分類および評価中にリンパ節に対する解剖学的なラベルを手動で供給しなければならない。
【0006】
解剖学的なラベルは、身体の特定の領域内のリンパ節のグループに対応付けられる。これらは癌病期分類において決定的に重要である。というのも、癌がどの程度広がったかを決定するのを補助するからである。このようなラベルは、解剖学的な目印に対するリンパ節の相対的な位置に依存して、該リンパ節に付与される。それゆえ、特定のリンパ節に対して適切なラベルを対応付けるためには、放射線専門医は画像を精査し、該リンパ節に関連するこのような目印を見つけなければならない。さらに、フォローアップのケースでは、特定のリンパ節を見つけて、先行のスキャン時の該リンパ節の外観と比較しなければならない。これらの要求は、近傍の目印を見つけるのに必要な時間においても、たとえばディクテーションシステムにおいて情報を付加するための時間においても、放射線専門医の仕事負荷に影響を与える。
【0007】
医療用画像の自動的な解剖学的ラベリングは、リンパ節以外の種々の目的に使用されてきた。気道の場合、このようなラベリングは特定の分岐をラベリングするのに使用され、フォローアップの調査では、仮想的な気管支鏡法に使用されてきた。その例が、K. Mori, J. Hasegawa, Y. Suenaga, J. Toriwakiによる『Automated anatomical labeling of the bronchial branch and its application to the virtual bronchoscopy system』第103〜114頁(IEEE Transaction in Medical Imaging, vol. 19, no. 2, Feb. 2000)、J. Tschirren, G. McLennan, K. Palagyi, E.A. Hoffman, および M. Sonkaによる『Matching and anatomical labeling of human airway tree』第1540〜1547頁(IEEE Transactions in Medical Imaging, vol. 24, no. 12, Dec. 2005)、ならびにJ. Kaftan, A.P. Kiraly, D.P. Naidich, C.L. Novakによる『A Novel Multi-Purpose Tree and Path Matching Algorithm with Application to Airway Trees』(SPIE Medical Imaging 2006, vol. 6143, 2006)に記載されている。
【0008】
解剖学的な目印の識別は、腸のセグメンテーションを改善するのに使用されてきた。その例が、J.J. Nappi, A.H. Dachman, H. Abraham, P. MacEneaney, H. Yoshidaによる『Automated Knowledge-Guided Segmentation of Colonic Walls for Computerized Detection of Polyps in CT Colonography』(Journal of Computer Assisted Tomography, 26(4):493-504, July/August 2002)に記載されている。放射線専門医の作業の流れを削減するために、コンピュータ断層撮影(CT)データセットの肋骨ラベリングが使用される。その例が、H. Shen, L. Liang, M. Shao, および S. Qingによる『Tracing Based Segmentation for the Labeling of Individual Rib Structures in Chest CT Volume Data』第967〜974頁(MICCAI 2004, vol. 3217, 2004)に記載されている。
【0009】
J.P. Ko, E.A. Drucker, J.A. Shepard, C.F. Mountain, C. Dresler, B. Sabloff, および T.C. McLoudによる『CT depiction of regional nodal stations for lung cancer staging』(AJR Am J Roentgenol. 2000 Mar; 174(3):775-82)に、リンパ節を4つの主要なグループに分割するための方法が記載されている。この4つの主要なグループは、たとえば上縦隔リンパ節、大動脈リンパ節、下縦隔リンパ節およびNリンパ節である。図1に、気道および大動脈に対するこれらのグループの相対的位置が示されており、図2に、実際のデータセットにおいてマーキングされたリンパ節位置および気道が示されている。たとえば図1(a)では、1=上縦隔リンパ節、2=大動脈リンパ節、3=下縦隔リンパ節、4=Nリンパ節、A=大動脈、PA=肺動脈、およびC=気管分岐部である。図1(b)では、グループ1に固有のリンパ節のうち幾つかがラベリングされており、A=最上縦隔リンパ節、B=上気管傍リンパ節、およびC=下気管傍リンパ節である。リンパ節はさらに、14個の下位グループまたは部位に分割され、この下位グループまたは部位には、図3に示された表に挙げられたように、肺門、葉間、肺葉等が含まれる。
【0010】
現在、病期分類検査を読み取る放射線専門医は、異常を記録するために主要なリンパ節を識別および評価しなければならない。リンパ節のラベルを正確に決定するのは、高精度の病期分類、ひいては、患者に関しては最良の治療の選択の決定を実現するのに、決定的に重要である。しかし、このプロセスは時間を要し、不精確になる場合がある。したがって、医療用画像において迅速かつ精確にリンパ節をラベリングできる技術が必要とされる。
【非特許文献1】『CT depiction of regional nodal stations for lung cancer staging』(J.P. Ko, E.A. Drucker, J.A. Shepard, C.F. Mountain, C. Dresler, B. Sabloff, および T.C. McLoud, AJR Am J Roentgenol. 2000 Mar; 174(3):775-82)
【非特許文献2】『Lymph Node Anatomy and Imaging for Cancer Staging』(S. Aquino, M. Harisinghani, および B. Branstetter, RSNA 2005)
【非特許文献3】『Lymph node segmentation using active contours』第265〜273頁(.M. Honea, Y. Ge, W.E. Snyder, P.F. Hemler, および D.J. Vining, SPIE Medical Imaging 1997: Image Processing, Vol. 3034. 1997)
【非特許文献4】『Segmentation of Neck Lymph Nodes in CT Datasets with Stable 3D Mass-Spring Models』第904〜911頁(J. Dornheim, H. Seim, B. Preim, I. Hertel, および G. Strauss, Medical Image Computing and Computer-Assisted Intervention - MICCAI 2006, Volume 4191/2006)
【非特許文献5】『Semi-Automatic Lymph Node Segmentation in LN-MRI』(G. Unal , G. Slabaugh , A. Ess , A. Yezzi , T. Fang , J. Tyan , M. Requardt , R.Krieg , R.Seethamraju, M. Harisinghani, および R. Weissleder, Proceedings of the IEEE Int. Conf. Image Processing, 2006)
【非特許文献6】『Automated anatomical labeling of the bronchial branch and its application to the virtual bronchoscopy system』第103〜114頁(K. Mori, J. Hasegawa, Y. Suenaga, J. Toriwaki, IEEE Transaction in Medical Imaging, vol. 19, no. 2, Feb. 2000)
【非特許文献7】『Matching and anatomical labeling of human airway tree』第1540〜1547頁(J. Tschirren, G. McLennan, K. Palagyi, E.A. Hoffman, および M. Sonka, IEEE Transactions in Medical Imaging, vol. 24, no. 12, Dec. 2005)
【非特許文献8】『A Novel Multi-Purpose Tree and Path Matching Algorithm with Application to Airway Trees』(J. Kaftan, A.P. Kiraly, D.P. Naidich, C.L. Novak, SPIE Medical Imaging 2006, vol. 6143, 2006)
【非特許文献9】『Automated Knowledge-Guided Segmentation of Colonic Walls for Computerized Detection of Polyps in CT Colonography』(J.J. Nappi, A.H. Dachman, H. Abraham, P. MacEneaney, H. Yoshida, Journal of Computer Assisted Tomography, 26(4):493-504, July/August 2002)
【非特許文献10】『Tracing Based Segmentation for the Labeling of Individual Rib Structures in Chest CT Volume Data』第967〜974頁(H. Shen, L. Liang, M. Shao, および S. Qing, MICCAI 2004, vol. 3217, 2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、医療用画像において迅速かつ精確にリンパ節をラベリングできる方法およびシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題は、
医療用画像において目印を識別する。
該医療用画像におけるリンパ節の位置に対する、該目印に関する特徴を計算する。
計算された該特徴と分類規則とを比較するクラシファイアを使用して、解剖学的名称をリンパ節の位置に対応付ける
方法によって解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
前記目印は、気道の中心線と大動脈の中心線とを含む。計算された前記特徴には、前記目印上の位置に対するリンパ節の相対的な位置ベクトルが含まれる。計算された前記特徴には、前記目印上の位置に対するリンパ節の距離値が含まれる。前記クラシファイアは、分類規則を定義する医療用画像における位置に対応する解剖学的名称のセットを有するモデルを含む、トレーニング方式のサポートベクトルマシン(SVM)である。
【0014】
本方法ではさらに、コンピュータ断層撮影(CT)技術、磁気共鳴(MR)技術または超音波撮像技術を使用して、前記医療用画像を取得する。解剖学的名称をリンパ節の位置に対応付ける場合、該解剖学的名称に所属する生検関連の情報が供給される。
【0015】
本発明の1つの実施例では、医療用画像においてリンパ節と解剖学的名称とを対応付けるためのシステムは、以下のものを有する:プログラムを記憶するための記憶装置
該記憶装置と通信するプロセッサ
該プロセッサは、次のことを行うためのプログラムによって動作する:
医療用画像において目印を識別する。
該医療用画像におけるリンパ節の位置に対する、該目印に関する特徴を計算する。
計算された該特徴と分類規則とを比較するクラシファイアを使用して、解剖学的名称をリンパ節の位置に対応付ける。
【0016】
前記目印は、気道の中心線と大動脈の中心線とを含む。計算された前記特徴には、前記目印上の位置に対するリンパ節の相対的な位置ベクトルが含まれる。計算された前記特徴には、前記目印上の位置に対するリンパ節の距離値が含まれる。前記クラシファイアは、分類規則を定義する医療用画像における位置に対応する解剖学的名称のセットを有するモデルを含む、トレーニング方式のSVMである。
【0017】
前記プロセッサはさらに、CT技術、MR技術または超音波撮像技術を使用して医療用画像を取得するためのプログラムによって動作する。解剖学的名称をリンパ節の位置に対応付ける場合、前記プロセッサはさらに、該解剖学的名称に関連する生検関連の情報を供給するためのプログラムによって動作する。
【0018】
本発明の1つの実施例では、第1の医療用画像においてリンパ節を含む領域を見つけるための方法は、以下のことを特徴とする:第1の医療用画像において目印を識別する。
該第1の医療用画像の領域内における位置の、該目印に対する相対的な特徴を計算する。
計算された該特徴と分類規則とを比較するクラシファイアを使用して、該位置と解剖学的名称とを対応付ける。
与えられた解剖学的名称に関する領域を供給する。
【0019】
位置と解剖学的名称とを第1の医療用画像または第2の医療用画像から得る場合、当該方法ではさらに以下のことを行う:該第2の医療用画像において目印を識別する。
該第1の医療用画像および第2の医療用画像の目印間でレジストレーションを行う。
与えられた解剖学的名称に関連する位置を、該第1の医療用画像および該第2の医療用画像のうち他方で供給する。この領域は、第1の医療用画像における関心対象の領域の定義によって決定された該第1の医療用画像の一部である。
【0020】
本発明の1つの実施例では、医療用画像においてリンパ節のラベルを決定する方法は、以下のことを特徴とする:医療用画像において目印を識別する。
該医療用画像においてリンパ節のラベルを手動で解釈するために、所与のオブジェクト位置とともに該目印を可視化する。
【0021】
本発明の1つの実施例では、医療用画像において構造とラベルとを対応付ける方法は、以下のことを特徴とする:医療用画像において目印を識別する。
該医療用画像における構造の位置に対する、該目印に関する特徴を計算する。
計算された該特徴と分類規則とを比較するクラシファイアを使用して、ラベルを該構造の位置に対応付ける。
【0022】
計算された前記特徴は空間的であり、かつ目印に対して相対的であり、医療用画像内の解剖学的位置の強度値、または構造のモデルである。この構造はリンパ節である。
【0023】
本発明の1つの実施例では、医療用画像においてリンパ節と解剖学的名称とを対応付ける方法は、以下のことを特徴とする:医療用画像において目印を識別する。
該医療用画像におけるリンパ節の位置に対する、該目印に関する特徴を計算する。
計算された該特徴を使用して、解剖学的名称をリンパ節の位置に対応付ける。
【0024】
上記特徴は代表的な実施形態の一部であり、本発明を理解できるようにするために挙げられたものである。これらは、特許請求の範囲で定義された本発明を限定すると見なされるべきものではなく、特許請求の範囲と同等のものを限定すると見なされるべきものでもないことを理解すべきである。したがってこの特徴の概要は、同等のものを決定するための方向性を有するものであると見なすべきではない。以下の説明、図面および特許請求の範囲に、本発明の別の特徴が記載されている。
【実施例】
【0025】
ここで、医療用画像においてリンパ節をラベリングおよび識別するための、本発明の1つの実施例によるシステムを説明する。
【0026】
図4は、医療用画像においてリンパ節をラベリングおよび識別するための、本発明の1つの実施例によるシステム400を示す。図4に示されているように、システム400は取得装置405と、パーソナルコンピュータ(PC)410と、オペレータコンソール415とを有する。これらは有線ネットワークまたは無線ネットワーク420を介して接続されている。
【0027】
取得装置405はコンピュータ断層(CT)撮像装置であるか、または磁気共鳴(MR)スキャナまたは超音波スキャナ等の、別の任意の3次元(3D)高分解能撮像装置とすることができる。
【0028】
PC410、または、医療診断撮像システムまたは画像アーカイブ通信システム(PACS)データ管理ステーションは、中央処理ユニット(CPU)425およびメモリ430を有し、これらは入力装置450および出力装置455に接続されている。このPC410は、ポータブルコンピュータまたはラップトップコンピュータとすることができる。CPU425は、リンパ節ラベリング識別モジュール445を有する。このモジュールは、医療用画像においてリンパ節をラベリングおよび識別する1つまたは複数の方法を含む。これは以下で、図5〜10を参照して説明する。CPU425内部に示されているが、リンパ節ラベリング識別モジュール445をCPU425外部に配置することができる。
【0029】
メモリ430はランダムアクセスメモリ(RAM)435および読み出し専用メモリ(ROM)440を有し、データベース、ディスク駆動機構、テープ駆動機構等も含むことができ、またはそれらの組み合わせを含むこともできる。RAM435はデータメモリとして機能し、CPU425においてプログラムの実行中に使用されるデータを記憶し、作業域として使用される。ROM440は、CPU425において実行されるプログラムを記憶するためのプログラムメモリとして機能する。入力部450はキーボード、マウス等によって構成され、出力部455は液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管(CRT)ディスプレイ、プリンタ等によって構成される。
【0030】
システム400の動作はオペレータコンソール415から制御され、このオペレータコンソール415は、たとえばキーボード等のコントローラ465とディスプレイ460とを有する。オペレータコンソール415はPC410および取得装置405と通信し、これによって、取得装置405によって収集された画像データはPC410によってレンダリングされ、ディスプレイ460で見られる。PC410は、例えば入力装置450および出力装置455を使用して、オペレータコンソール415を用いずに、取得装置405によって供給された情報を演算および表示し、コントローラ465および表示装置460によって実施される特定のタスクを実行するように構成できる。
【0031】
オペレータコンソール415はさらに、画像を生成し表示装置460において表示するために取得された画像データセット(またはそれらの画像セットの一部)のデジタル画像データを処理することができる適した任意の画像レンダリング用のシステム/ツール/アプリケーションを包含することができる。より詳細には、画像レンダリングシステムは医療用画像データのレンダリングおよび可視化を行うために使用され、かつ汎用または特殊なコンピュータワークステーションにおいて実行されるように構成されたアプリケーションであってよい。PC410は、上記の画像レンダリング用のシステム/ツール/アプリケーションを含むことができる。
【0032】
ここで、医療用画像においてリンパ節をラベリングおよび識別するための、本発明の1つの実施例による方法を説明する。
【0033】
図5は、医療用画像においてリンパ節をラベリングおよび識別するための、本発明の1つの実施例による方法を示す。簡単に言うと、図5に示されているように、患者の胸部の3D画像を取得する(510)。取得後、3D画像内の(たとえば放射線専門医によってマーキングされた)リンパ節位置を得る(520)。3D画像を前処理し、たとえば患者の気道および大動脈の中心線等である特定の目印を識別する(530)。次に、この中心線を使用して、与えられたリンパ節の位置に対して空間的に関連する特徴を計算する(540)。その後、計算された特徴をクラシファイアにおいて使用して、前記リンパ節に適切なラベルを決定する(550)。
【0034】
ここで、この方法を詳細に説明する。以下の説明は、気道および大動脈の近傍の胸部のリンパ節をラベリングおよび識別することに焦点が当てられるが、本方法および/または本方法の変形形態は、たとえば腹部の腸近傍に位置するリンパ節等であるリンパ節をラベリングおよび識別するために使用することができ、また、幾何的特徴も非幾何的特徴も有する別の解剖学的構造をラベリングおよび識別するのに使用できることを理解すべきである。
【0035】
以下の説明では、本来の胸部ボリュームをIとし、選択されたリンパ節位置をx∈Iとする。ここではx=(x,y,z)は、画像を有する3D位置を定義する。対応づけされるラベルであるL∈{s,s,・・・s14}は、図3の表に挙げられた14個の可能な部位のうちの1つである。必要な場合には、付加的な表記を導入する。要約すると、これから説明する方法のアプリケーションは、位置x∈Iに対して適切なL∈{s,s,・・・s14}を決定することである。
【0036】
ステップ530では、空間的な特徴を収集するためには、まず画像I内で目印を取得しなければならない。気道および大動脈弓を目印として使用する。というのも、胸部におけるリンパ節の大部分は、これらの構造に沿って存在するからである。これらの目印を表すために、ツリー構造モデルを使用する。一般的にツリー構造T=(V,B,P)は、観察場所Vと分岐Bと経路Pとの集合から成る。各分岐は観察場所の繋がりから成り、各経路は分岐の繋がりから成る。これは、ルート分岐として知られている空間的分岐b∈Bを有する階層的構造である。すべての経路がこの分岐で開始する。A.P. Kiraly, J.P. Helferty, E.A. Hoffman, G. McLennanおよびW.W. Higginsによる『Three-Dimensional Path Planning for Virtual Bronchoscopy』第1365〜1379頁(IEEE Transactions on Medical Imaging, vol. 23, no. 1, November 2004)に、このようなツリー構造モデルの説明が記載されている。この開示内容はすべて、参照によって本願の開示内容に含まれるものとする。気道ツリーモデルはTAIRとし、大動脈弓モデルはTAORTAとする。このケースは、大動脈弓では比較的単純である。というのも分岐点は存在せず、この場合には、すべての場所を含む単独の経路および単独の分岐が存在するからである。図6に、これらの構造の双方の中心線が示されている。
【0037】
気道中心線はまず、気管で開始して適応領域拡大セグメンテーションを行うことによって得られる。この一例が、B. Odry, A.P. Kiraly, C.L. Novak, D.P. Naidich, J.F. Lerallutによる『Automated airway evaluation system for multi-slice computed tomography using airway lumen diameter, airway wall thickness and broncho-arterial ratio』第243〜253頁(SPIE Medical Imaging 2006, vol. 6143 (2006))に記載されている。この開示内容はすべて、参照によって本願の開示内容に含まれるものとする。次に、セグメンテーションされた画像を細線化して高精度化することにより、構造TAIRを作成する。このような細線化および高精度化処理は、A.P. Kiraly, J.P. Helferty, E.A. Hoffman, G. McLennanおよびW.W. Higginsによる『Three-Dimensional Path Planning for Virtual Bronchoscopy』第1365〜1379頁(IEEE Transactions on Medical Imaging, vol. 23, no. 1, November 2004)に記載されている。この構造の中で3つの場所が識別され、たとえば気管分岐部および左側または右側の主要な気管支の分岐点が識別される。これらの場所は、肺の異なる領域への経路の発散を検査することによって、自動的に検出される。たとえば、肺の最左側の領域および最右側の領域に繋がる2つの経路の発散が、気管分岐部を決定する。
【0038】
次に、簡略的なリッジトランスバーサル法を使用して、大動脈モデルTAORTAを作成する。リッジトランスバーサルが管状オブジェクトの中心線を定義するために、種々の手法を使用できる。S.R. AylwardおよびE. Bullittによる『Initialization, Noise, Singularities, and Scale in Height Ridge Traversal for Tubular Object Centerline Extraction』(IEEE Transactions in Medical Imaging, vol. 21, no. 2, Feb. 2002)に、一例の手法が記載されている。この開示内容は、参照によって本願の開示内容に含まれるものとする。これらの手法は、ある1つの位置で開始し、ポイントを続けて追加していくのと同時に、分岐点を検出して異なるスケールに対して調節を行うことによって実施される。このシチュエーションでは大動脈は比較的大きく、分岐点を有さないので、モデルを作成するのが容易になる。フィルタを適用して縦隔領域内の隆起を強調することにより、画像の1次微分に基づいて血管が検出される。開始位置は、気管分岐部の後方に位置する最大隆起強度を有する位置として選択される。その後、この位置が、追跡が開始されたのと同じ横断層に戻るまで、該位置を上方向に追跡する。大動脈中心線を定義するための別の任意の手法も使用できることを、理解すべきである。さらに、大動脈モデルの最も高いポイントを、後の特徴計算で使用するためにマーキングする。
【0039】
モデルが1つの画像ボリュームに関して決定された後、位置特徴を計算することができる。上記のステップは、ボリュームごとに1度だけ行うことを理解すべきである。というのも、所与の位置Xに依存しないからである。同一の画像ボリューム内で別の位置の特徴を迅速に計算することができ、残りの分類ステップが必要とする時間量はごく僅かである。図6に、気道および大動脈において得られた中心線が一例の位置および一例の特徴とともに示されている。
【0040】
ステップ540では、収集されたすべての特徴は、中心線モデルTAIRおよびTAORTAに関する位置情報Xを含む。これらの特徴は、ベクトル、距離および角度を符号化する数値であるか、または別の任意の空間的特徴である。距離計算は、Xと選択されたポイントとの間で計算されたユークリッド距離値である。このポイントは、気管分岐部等である予め定義されたポイントとするか、またはXに最近傍の中心線モデル内のポイントとすることができる。2つのポイント間で計算されたベクトルは、規格化されて3つの特徴として符号化される。1つの特徴は、気管分岐部に位置し下方向(たとえば患者の足の方向)を向いているベクトルと、該気管分岐部の位置と位置Xとの間のベクトルとの間で測定された角度である。分析用の収集された特徴の集合例が、図7に示された表に挙げられている。距離ベースの特徴は、特徴が収集された元である画像のサンプル集合で得られる値に基づいて、0〜1に規格化することができる。図7の表に挙げられた特徴は空間的であるだけなので、本方法を異なる撮像モードに適用するためには、中心線モデルを取得する手法を変更するだけでよい。したがって、非コントラストのCTデータにも、MRデータにも適用できる。
【0041】
ステップ550では、所与のリンパ節位置から特徴が収集された後、該特徴を使用してラベルを供給する。特徴を検査および処理するために、放射状基底関数を有するサポートベクトルマシン(SVM)を使用する。C. CortesおよびV. Vapnikによる『Support-Vector Networks』第273〜297頁(Machine Learning, vol. 20, no. 3, 1995)に、SVMのコンセプト例が記載されている。この記載内容はすべて、参照によって本願の開示内容に含まれるものとする。SVMは、モデルを形成するためのトレーニングされ、このモデルを使用して、任意の新たな画像ボリュームにおいて、リンパ節に適切なラベルを対応付ける。SVMは、画像空間を目印に基づいて異なる領域に分割するために使用されるだけであることを、理解すべきである。これらの特徴は位置的および直観的であるため、放射線専門医の規則から直接、ベイズのクラシファイアを形成することもできる。このステップにおいて、特徴を分類するのに適した任意の手法を使用することもできることを理解すべきである。
【0042】
図8は、医療用画像においてリンパ節をラベリングおよび識別するための、本発明の1つの実施例によるシステムのスクリーン写真を示す。ここではリンパ節位置810を医師によって選択し、リンパ節位置810が選択された後は、システムにおいて、上記で図5を参照して説明した処理を行い、システムは該リンパ節位置810の解剖学的名称820を表示する。この解剖学的名称820は、リンパ節位置810の選択と同時に与えられる。
【0043】
本発明の1つの実施例ではSVMは、図9に示された画像の収集に関してトレーニングされている。すべての特徴を使用するのは望ましいことではない場合がある。というのも、クラシファイアを初期のデータセットに対して過剰にトレーニングしてしまう可能性があるからだ。したがって、モデルの作成において下位集合の可能なすべての組み合わせを検査することにより、最適な特徴の下位集合を決定した。このことは、同一のデータセットに関してテストおよびトレーニングを行うことによって行われた。このステップにおいて、最適な特徴を決定するのに適した任意の手法を使用することもできることを理解すべきである。下位集合が見つかった後、これを使用して、データのラウンドロビン評価を行った。この評価では、クラシファイアは1つの画像を除外して、データすべてに関してトレーニングされた。その後、すべての画像においてこのプロセスを繰り返し、全体の結果を記録した。
【0044】
この方法の決定領域を可視化するために、画像の心肺領域内の各ボクセルに、図9に示されたような出力ラベルを付与した。このケースでは、リンパ節グループのみが示されている。ここでは、肺および気管の近傍の領域内のボクセルすべてにラベリングした後、ラベルにしたがって可視化した。これらのグループは、以下のように階調陰影づけによって表される:白色‐上縦隔
明るい灰色‐N
暗い灰色‐下縦隔
黒色‐大動脈画像(a)〜(c)は、すべての領域の種々の観察面を示す。画像(d)〜(g)は、個々の領域を参照のために気道および大動脈の中心線にとともに示している。
【0045】
この可視化は、本方法の直観性を改善するためのツールとしても、クラシファイアおよびモデルの特性を決定するためのツールとしても使用できることを理解すべきである。たとえば各決定領域グループの観察面は、可能性のある過剰なトレーニング、または付加的な目印または特徴の要件を検出するのに役立つ。というのも、同様の位置において一致エラーを補正するために、1つまたは複数の付加的な目印が必要になる場合があるからだ。このような観察面は、どの目印が最も有利であるかを決定するのにも役立つ。さらに、このような観察面を、選択された目印と対応付けされたラベルとの間の新たな相関関係を位置決定するためのツールとして使用することにより、既存のラベル既述を簡略化することができる。
【0046】
この実施例では、コントラスト強調された10個のCTデータセットを使用して、方法および特徴を評価した。
【0047】
スキャンは、Siemens Sensation 16 CT scannerによって、0.75mmのコリメート、0.5mmごとに再構築される0.75mmの区域で取得された。経験豊富な放射線専門医が、各画像内で可視のリンパ節をマーキングおよびラベリングした。全部で86個のリンパ節位置がマーキングされた。図10は、リンパ節グループ分けによって分割されたマーキング済みのリンパ節の円グラフを示す。このデータは、特徴f〜f21を評価するのに使用された。
【0048】
各画像を自動処理することにより、目印を得た。マーキングおよびラベリングされた各リンパ節ごとに、特徴f〜f21を計算した。特徴を評価するために、可能なすべての特徴の組み合わせの網羅的な探索を使用して、クラシファイアをトレーニングおよびテストした。8つの特徴が、良好な弁別を行うのに十分であると決定された。特徴の数が大きいほど、同様の精度が得られる。また、特徴の数が小さいほど、過剰トレーニングの可能性が低減される。選択された特徴にラウンドロビンテストを行い、グループ分類で100%の正解と、部位ラベルで76%の正解とが得られた。
【0049】
選択された8つの特徴は、f,f10,f12,f15,f18,f19,f20,f21である。
【0050】
最初の5つの特徴は気道に関するものであり、残りの3つは大動脈に関するものである。この結果は、双方が重要な目印であることを示している。特徴の別の組み合わせも、双方の目印からの情報の同様の混合で同様の結果を示した。
【0051】
また、個別に使用する場合、位置Xと気管分岐部とに基づく角度測定結果である特徴fが最も有用な単独の特徴であることが決定された。
【0052】
これは、グループラベリングでは78%の精度と、部位ラベルでは48%の精度が得られるという結果を示した。図1から、なぜこのような結果が得られたのかを直観的に理解できることが分かる。主要なグループ分けは、気管分岐部によって大まかに分けられてしまう傾向があるが、同様のことは部位ラベルには当てはまらない。
【0053】
本発明の実施例によれば、肺癌病期分類処理を改善するために胸部において自動的なリンパ節ラベリングを行うためのシステムおよび方法が開示されている。リンパ節は、身体の大部分において血管および線形の構造に追従する傾向があるので、このような同様のコンセプトを使用して、本システムおよび方法を身体の別の領域にまで拡張することができる。さらに、主要な解剖学的目印の中心線記述は、特徴生成のためのオーバーヘッドを低くするので、システムおよび方法において必要とされる、実行するための処理能力または記憶容量は大きくない。
【0054】
上記のように、100%のグループ精度および76%のリンパ節部位精度の初期の結果が期待される。このことは、2つの中央線目印に由来する8つの特徴を使用するだけで実現された。さらに改善を図るには、付加的なデータセットと、特徴分析と、場合によっては1つまたは2つの付加的な目印とを使用する。たとえば腕頭動脈は、とりわけ上縦隔リンパ節を下位分割するための目印として使用するのを期待される候補に思われる。このような目印は、J.P. Ko, E.A. Drucker, J.A. Shepard, C.F. Mountain, C. Dresler, B. Sabloff, および T.C. McLoudによる『CT depiction of regional nodal stations for lung cancer staging』(AJR Am J Roentgenol. 2000 Mar; 174(3):775-82)に記載されている。この記載内容はすべて、参照によって本願の開示内容に含まれるものとする。肺癌病期分類を行うためには、最終的な病期分類スコアはリンパ節グループに対して、実際の部位ラベルより依存する。このことにより、異常なリンパ節が不適正な部位に分類され、かつ適正なリンパ節グループに分類された場合、この病期分類に影響が及ぼされることはない。このシチュエーションは、とりわけリンパ節のNグループに当てはまる。それゆえ、本発明のこの特定の実施形態の結果はリンパ節部位に関して完璧ではない場合があるにもかかわらず、なお肺癌病期分類を支援することができる。
【0055】
図9のリンパ節グループ決定領域は、個々のグループが多かれ少なかれ立体的な領域に制約されることを示している。確実ではないが、このことはクラシファイアが過剰トレーニングされていないことを示唆している。使用可能なデータが多いほど、決定面の何らかの変化が、存在する可能性のある過剰トレーニングを示す。図9の画像(d)〜(g)では気道および大動脈の中心線をレンダリングすることにより、これらが決定面に及ぼす影響が示されることを述べておく。決定面は、ラベリング法において特定のエラー位置を検出するためのツールとして使用することができる。また、新たなデータセットによる結果と何らかのラベリングエラーの位置とに依存して付加的な特徴が必要であるか否かを決定するために使用することもできる。
【0056】
ここで、本発明の幾つかの択一的な実施形態を説明する。まず、付加的な目印を使用して、リンパ節部位ラベルの精度を改善することができる。さらに上記のように、特徴および目印が選択された後、目印を抽出するのに使用される本方法を変更することにより、本方法を異なるモードの画像に適用することができる。上記のことは、単に空間的な特徴のみが使用されるシチュエーションのみに当てはまることを述べておく。非コントラストCTデータでは、このことは必然的に、大動脈中心線を識別するために択一的な手法を構成することを含む。MRデータの場合には、気道セグメンテーションを取得するための新規の手法を必要とする場合もある。他のステップはすべて、全く変更しないままにすることができる。
【0057】
別の択一的な実施形態に、リンパ節の解剖学的名称とともに生検関連の情報を提供する手段がある。このことは典型的には、リンパ節の正確な位置に依存して、経気管的および/または経胸腔的な針吸引/生検、縦隔鏡検査、開胸も含めて、顕著に異なるアプローチを必要とするが、これらの手続きを使用するための指示は、解釈側の放射線専門医に知られていないことが多い。ラベリングの時点で直接、この情報を放射線専門医に供給することにより、病期分類および治療に関して、より多くの情報に基づく決定を行うことができる。
【0058】
本発明の別の実施形態では、3D観察面における目印の視覚化を使用して、医師または操作者が迅速にラベルを決定できるようにすることができる。これは手動の手続きであるが、2D断層をスクロールして、主要な解剖学的目印に対するリンパ節の相対的な位置を決定するより格段に高速である。図2に示されたのと同様のディスプレイをユーザに示すことにより、リンパ節グループ分けの高速な決定が可能になる。基本的に、このプロセスは放射線専門医を、分類を行う位置に置くことになるが、参照用の目印を瞬時に見る付加的な知識を与えることになる。
【0059】
この実施形態に近い関連性を有するのは、試行的に、より簡略かつ効率的なラベリング基準を供給するために、最も有用な目印または特徴の探索を行うことである。特徴および構造をクラシファイアによって評価することにより、不必要な複雑さを排除するのに使用することができる。たとえば上記の実施で得られた1つの結果は、気管分岐部を有する位置の角度は、最も有用な特徴の1つであることを示している。したがって、別の目印のラベルを決定する際の有効性を迅速に評価するために、別の目印を探索することができる。この結果は、自動的な方法または可視化法に適用することができる。
【0060】
さらに別の実施形態に、マッピングの反転を使用し、たとえばリンパ節のラベルでは、該ラベルが位置すべきボリュームの領域を決定する実施形態がある。このことは、放射線専門医が特定のリンパ節またはリンパ節グループを検査しなければならないフォローアップ検査を強化するのに使用することができる。画像ボリューム内の適切な領域を直ちに提示することにより、作業フローからナビゲーション的なステップを排除することができる。この実施形態は、特定のリンパ節ラベルで画像内において関心対象の制限された領域を提供することによって、既存のリンパ節の検出およびセグメンテーション法を補完することもできる。
【0061】
図9は、この実施形態がどのように実現されるかを示している。たとえば図9に示されているように、このような領域は大きい。というのも、この領域はリンパ節グループを表しているからである。したがって、特定のリンパ節部位の領域はそれより小さく、放射線専門医またはアルゴリズムに与えられた領域を確立するために直接使用することができる。さらに、この実施形態と画像レジストレーション法とを結合することにより、フォローアップ検査の場合に、放射線専門医が精確なリンパ節を位置決定することができる。J.B.A. MaintzおよびM. A. Viergeverによる『A survey of medical image registration』第1〜36頁(Medical Image Analysis 2(1), 1998)に、画像レジストレーション技術の一例が記載されている。この記載内容はすべて、参照によって本願の記載内容とする。この実施形態では、目印だけをレジストレーションに使用し、画像レジストレーションに必要とされる複雑性および時間を削減することができる。
【0062】
本発明は、種々の形態のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、特殊用途プロセッサで実現でき、またこれらの組み合わせで実現できることを理解すべきである。1つの実施形態では本発明をソフトウェアで、プログラム記憶装置(たとえば磁気フロッピーディスク、RAM、CDROM、DVD、ROMおよびフラッシュメモリ)上に実装されたアプリケーションプログラムとして、実現することができる。このアプリケーションプログラムは、任意の適切なアーキテクチャを有する機器にアップロードすることができるか、またはこのような機器によって実行することができる。
【0063】
また、添付図面に示されたシステム構成要素およびステップのうち幾つかをソフトウェアで具現化することができシステム構成要素間の実際の接続(または処理ステップ間の繋がり)を、本発明をどのようにプログラミングするかに依存して変更することができることも理解すべきである。当分野の通常の知識を有する者であれば、ここで挙げられた本発明の思想を参酌して、本発明のこのような実施または構成、または同様の実施または構成に想到することができる。
【0064】
また上記説明は、実施形態を例示する代表的なものに過ぎないことも理解すべきである。読み手に対して簡略化するため、上記説明は可能な実施形態の代表的な例に、本発明の基本的思想を説明するための例に焦点を合わせているが、この説明は、可能な変形形態をすべて、排他的に列挙するためのものではない。本発明の特定の部分において択一的な実施形態を挙げなかったこと、また一部で可能な別の未記載の択一的構成が存在することで、これらの択一的な実施形態を放棄したと見なされるべきではない。この他にも、本発明の思想および範囲から逸脱せずに実施できる別のアプリケーションおよび実施形態が存在する。
【0065】
したがって、本発明をここで詳細に記載された実施形態に限定する意図はない。というのも、上記実施形態の数多くの順序変更および組み合わせ、ならびに上記実施形態に対する非発明的な代替的手段を有する構成も想到することができ、本発明は特許請求の範囲で定義すべきであるからだ。これら未記載の実施形態のうち多数は、明文化された請求の範囲内であり、他も同等のものであることを理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】主要な解剖学的構造に関連して肺癌病期分類を行うためのリンパ節部位を示す。
【図2】セグメンテーションされた気道ツリーを、識別されたリンパ節とともに示す。
【図3】グループ分けおよび部位によって分類された胸部リンパ節の表を示す。
【図4】医療用画像においてリンパ節をラベリングおよび識別するための、本発明の1つの実施例によるシステムを示す。
【図5】医療用画像においてリンパ節をラベリングおよび識別するための、本発明の1つの実施例による方法を示す。
【図6】本発明の実施例による、得られた気道および大動脈の中心線を、リンパ節位置および特徴ベクトルとともに示す。
【図7】リンパ節位置を特徴づけるための本発明の1つの実施例による特徴を示す。
【図8】医療用画像においてリンパ節をラベリングおよび識別するための、本発明の1つの実施例によるシステムのスクリーン写真を示す。
【図9】本発明の1つの実施例にしたがって可視化された4つの主要なリンパ節グループの決定領域を示す。
【図10】本発明の1つの実施例の実施による、リンパ節グループ分けによって分けられたリンパ節から成る初期グラウンドトゥルーステストデータの円グラフである。
【符号の説明】
【0067】
1 上縦隔リンパ節
2 大動脈リンパ節
3 下縦隔リンパ節
4 Nリンパ節
A 大動脈
PA 肺動脈
C 気管分岐部
A 最上縦隔リンパ節
B 上気管傍リンパ節
C 下気管傍リンパ節
410 パーソナルコンピュータ
415 オペレータコンソール
420 有線ネットワークまたは無線ネットワーク
810 リンパ節位置
820 解剖学的名称

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用画像においてリンパ節と解剖学的名称とを対応付ける方法において、
医療用画像において目印を識別し、
該医療用画像中のリンパ節の位置に対して、該目印に関する特徴を計算し、
計算された該特徴と分類規則とを比較するクラシファイアを使用して、該リンパ節の位置に対して解剖学的名称を対応付けることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記目印は、気道の中心線と大動脈の中心線とを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
計算された前記特徴には、前記目印上の位置に対するリンパ節の相対的な位置ベクトルが含まれる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
計算された前記特徴には、前記目印上の位置に対するリンパ節の距離値が含まれる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記クラシファイアは、前記分類規則を定義する医療用画像における位置に対応する解剖学的名称のセットを有するモデルを含む、トレーニング方式のサポートベクトルマシン(SVM)である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
コンピュータ断層撮影(CT)技術、磁気共鳴(MR)技術または超音波撮像技術を使用して、前記医療用画像を取得する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記解剖学的名称を前記リンパ節の位置に対応付ける場合、該解剖学的名称に関連する生検関連の情報を供給する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
医療用画像においてリンパ節と解剖学的名称とを対応付けるためのシステムにおいて、
プログラムを記憶するための記憶装置と、該記憶装置と通信するプロセッサとを有し、
該プロセッサは、
医療用画像において目印を識別し、
該医療用画像中のリンパ節の位置に対して、該目印に関する特徴を計算し、
計算された該特徴と分類規則とを比較するクラシファイアを使用して、該リンパ節の位置に対して解剖学的名称を対応付ける
ためのプログラムによって動作することを特徴とする方法。
【請求項9】
前記目印は、気道の中心線と大動脈の中心線とを含む、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
計算された前記特徴には、前記目印上の位置に対するリンパ節の相対的な位置ベクトルが含まれる、請求項8記載のシステム。
【請求項11】
計算された前記特徴には、前記目印上の位置に対するリンパ節の距離値が含まれる、請求項8記載のシステム。
【請求項12】
前記クラシファイアは、前記分類規則を定義する医療用画像における位置に対応する解剖学的名称のセットを有するモデルを含む、トレーニング方式のサポートベクトルマシン(SVM)である、請求項8記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサはさらに、コンピュータ断層撮影(CT)技術、磁気共鳴(MR)技術または超音波撮像技術を使用して、前記医療用画像を取得するためのプログラムによって動作する、請求項8記載のシステム。
【請求項14】
解剖学的名称をリンパ節の位置に対応付ける場合、前記プロセッサはさらに、該解剖学的名称に関連する生検関連の情報を供給するためのプログラムによって動作する、請求項8記載のシステム。
【請求項15】
第1の医療用画像において、リンパ節を含む領域を見つけるための方法において、
第1の医療用画像において目印を識別し、
該第1の医療用画像の領域内の位置に対して、該目印に関する特徴を計算して、計算された該特徴と分類規則とを比較するクラシファイアを使用して該位置と解剖学的名称とを対応付け、
与えられた解剖学的名称に関連する領域を供給することを特徴とする方法。
【請求項16】
位置と解剖学的名称とを第1の医療用画像または第2の医療用画像から得る場合、
該第2の医療用画像において目印を識別し、
該第1の医療用画像の目印と該第2の医療用画像の目印との間でレジストレーションを行い、
与えられた前記解剖学的名称に関連する位置を、該第1の医療用画像および第2の医療用画像のうち他方において供給することを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記第1の医療用画像の前記領域は、該第1の医療用画像における関心対象の領域の定義によって決定された該第1の医療用画像の一部である、請求項15記載の方法。
【請求項18】
医療用画像においてリンパ節のラベルを決定する方法において、
医療用画像において目印を識別し、
該医療用画像中の該リンパ節のラベルの手動の解釈のために、所与のオブジェクト位置とともに該目印を可視化することを特徴とする方法。
【請求項19】
医療用画像において構造とラベルとを対応付ける方法において、
該医療用画像において目印を識別し、
該医療用画像中の構造の位置に対して、該医療用画像の該目印に関する特徴を計算し、
計算された該特徴と分類規則とを比較するクラシファイアを使用して、該構造の位置に対してラベルを対応付けることを特徴とする方法。
【請求項20】
計算された前記特徴は空間的であり、かつ目印に対して相対的であり、医療用画像内の解剖学的位置の強度値、または構造のモデルである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記構造はリンパ節である、請求項19記載の方法。
【請求項22】
医療用画像においてリンパ節と解剖学的名称とを対応付ける方法において、
医療用画像において目印を識別し、
該医療用画像中のリンパ節の位置に対して、該目印に関する特徴を計算し、
計算された該特徴を使用して、該リンパ節の位置に対して解剖学的名称を対応付けることを特徴とする方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−216007(P2007−216007A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−15464(P2007−15464)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(593063105)シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド (156)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
【住所又は居所原語表記】51 Valley Stream Parkway,Malvern,PA 19355−1406,U.S.A.
【Fターム(参考)】