説明

医薬化合物

【課題】モルヒネよりも良好な忍容性を有する、疼痛等の治療に有効な新規な化合物の提供。
【解決手段】ホモピペラジン主環を有し、オピオイド性μおよび/もしくはδおよび/もしくはκ受容体ならびに/またはそれらの受容体の全てのサブクラスに親和性を有し、中枢性および/または末梢性の活性を有し、その異性体およびそれらの混合物を含む式(I)を有する、ノナンおよびデカンジアザ2環性の誘導体。


[式中、nは1または2に等しい整数であり、置換基RとR1は、-C(O)-RB基(ここで、RBは、直鎖状または分枝鎖状のC1-C10アルキル基である)等である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オピオイド性μおよび/もしくはδおよび/もしくはκ受容体、ならびに/またはそれらの受容体の全てのサブクラスに親和性を有するジアザ2環性の活性成分、その対応する溶媒和物および医薬的に許容される塩を含む医薬組成物に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、ホモピペラジンの主環を有し、オピオイド性受容体μ、δ、κまたはそれらの受容体のサブクラスに高い親和性と選択性を有する、ジアザ2環性の活性成分がジアザ2環性のノナンおよびデカン化合物である、医薬組成物に関する。本発明の化合物は、実質的に、この受容体のクラスの1つの受容体にだけか、またはより多くのオピオイド受容体に同時に作用し得る。
【背景技術】
【0003】
オピオイド性受容体に親和性を有するジアザ2環性の化合物が、先行技術で知られている。US特許出願2003/0195,217号(特許文献1)において、オピオイド性受容体が介在する中枢性の鎮痛活性を有する3,9-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物が記載されている。その鎮痛活性は、モルヒネにより誘導されるものに匹敵するが、副作用が低い。これらのジアザ2環性の化合物の研究は、Bioorganic & Medicinal Chemistry, 10 (2002) 1929-1937(非特許文献1)の出版物中でも論じられており、ここで、オピオイド性受容体μ、δおよびκへの親和性に対する2環性の構造の種々の置換基の効果が指摘されている。
【0004】
オピオイド性受容体μ、δおよびκへの親和性を有するジアザ2環性の化合物のもう1つのクラスおよびその対応する医薬の形態が、特許出願WO 2004/011,468号(特許文献2)に記載されている。特に、該クラスの化合物は、一般式:
【化1】

【0005】
[式中、Qは-CH2-CH2-または-CH2-CH2-CH2-であり、R1とR2のうちの1つは-CH2-CH2-CH2-R3または-CH2-CH=CH-R3または-CH2-C≡C-R3(ここで、R3はアリールまたはヘテロアリールである)であり、R1とR2のうちの他方は-C(O)R4(ここで、R4はアルキル、またはシクロアルキル、またはシクロアルキルアルキル、またはアリールまたはアリールアルキルである)である]
のジアザ2環性のノナンおよびデカンから形成される。
【0006】
US特許5,672,601号(特許文献3)は、オピオイド性受容体μが介在する中枢性の鎮痛活性を有する、3,8-ジアザ-ビシクロ[3.2.1]-オクタン化合物およびその対応する医薬の形態を記載している。
【0007】
特許出願WO 2005/108,402号(特許文献4)は、受容体μが選択的に介在する中枢性の鎮痛活性を有する、3,6-ジアザ-ビシクロ[3.3.1]ヘプタン誘導体に関する。
上記の特許および特許出願は、疼痛の治療のための、オピオイド性受容体に対して親和性を有するジアザ2環性の化合物の使用を記載している。
【0008】
前記の特許出願WO 2004/011,468号において、オピオイド性化合物が、異なる種類の疼痛(外科手術後の疼痛、神経障害性疼痛のような慢性疼痛)の治療のための使用に加えて、アレルギー性皮膚炎、性機能障害、アルコール中毒、悪心、嘔吐、鬱病、タバコ中毒、肥満および食物摂取に関する障害、薬物(例えば、ヘロイン、コカイン)の乱用、脊髄損傷、脳損傷、ショック、脳梗塞、胃腸障害のようなその他の疾病および障害の治療に使用できることが述べられている。
【0009】
Eur. J. Pharmacol 296 (1996) 199-207(非特許文献2)は、オピオイド性受容体のアゴニスト化合物の乳癌のヒト細胞株の抗増殖活性を報告している。それゆえ、本論文は該アゴニスト化合物の抗腫瘍活性を開示している。Veterinary Ophthalmology (2003) 6, 1, 73-76(非特許文献3); Exp. Eye Res. 2007 January 84(1) 185-190(非特許文献4); British Journal of Anaesthesia 1998, 81 606-607(非特許文献5)の論文において、オピオイド性受容体のアゴニスト化合物の眼内圧低下能力およびその結果として緑内障のような眼疾病への該化合物の使用が指摘されている。Neuropeptides (1999) 33(5) 360-368(非特許文献6)に発表された論文に、オピオイド性受容体を調節する化合物の食物摂取への効果が報告されており、特にオピオイド性受容体のアゴニストおよびアンタゴニストが、それぞれ食物摂取を増大および減少することが述べられている。
【0010】
特許出願WO 06/113,468号(特許文献5)は、関節炎、乾癬、喘息、心不全、性機能障害、疼痛、失禁および尿生殖路の障害の治療のための、オピオイド性受容体を調節する化合物の使用を記載している。
【0011】
特許出願US2005/0203,123号(特許文献6)は、オピオイド性受容体のアンタゴニスト化合物および胃腸障害、疼痛、肥満、アルツハイマーおよびパーキンソン病の治療のためのそれらの使用に関する。糖尿病およびアテローム性動脈硬化症の治療のためのオピオイド性化合物の使用が、特許出願WO 05/092,836号(特許文献7)およびWO 05/066,164号(特許文献8)に記載されている。
【0012】
特許出願WO 04/089,372号(特許文献9)は、不安症および鬱病のような中枢神経系障害の治療および予防のためのオピオイド性受容体を調節することができる化合物の使用を記載している。
【0013】
特許出願WO 04/060,321号(特許文献10)は、心臓保護効果を有するオピオイド性受容体のアゴニストを含む治療組成物に関する。
特許出願WO 02/42,309号(特許文献11)、WO 01/46,198号(特許文献12)は免疫賦活剤または免疫抑制剤として、オピオイド性化合物の使用を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】US特許出願2003/0195,217号
【特許文献2】特許出願WO 2004/011,468号
【特許文献3】US特許5,672,601号
【特許文献4】特許出願WO 2005/108,402号
【特許文献5】特許出願WO 06/113,468号
【特許文献6】特許出願US2005/0203,123号
【特許文献7】特許出願WO 05/092,836号
【特許文献8】特許出願WO 05/066,164号
【特許文献9】特許出願WO 04/089,372号
【特許文献10】特許出願WO 04/060,321号
【特許文献11】特許出願WO 02/42,309号
【特許文献12】特許出願WO 01/46,198号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Bioorganic & Medicinal Chemistry, 10 (2002) 1929-1937
【非特許文献2】Eur. J. Pharmacol 296 (1996) 199-207
【非特許文献3】Veterinary Ophthalmology (2003) 6, 1, 73-76
【非特許文献4】Exp. Eye Res. 2007 January 84(1) 185-190
【非特許文献5】British Journal of Anaesthesia 1998, 81 606-607
【非特許文献6】Neuropeptides (1999) 33(5) 360-368
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記病状の治療において活性成分の高い生物学的利用能を保証することができる、疼痛治療のモルヒネよりも良好な忍容性を有する、上記の病状の治療に有効な新規なジアザ2環性の化合物を含む利用可能な医薬の形態の必要性が感じられた。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の技術的課題を解決する医薬組成物が、本出願人により驚くべきことにかつ予測しなかったことに見出された。
本発明の目的は、ホモピペラジン主環を有し、オピオイド性μおよび/もしくはδおよび/もしくはκ受容体ならびに/またはそれらの受容体のサブクラスに親和性を有し、中枢性および/または末梢性の活性を有し、その異性体およびそれらの混合物を含む(ここで、環原子は任意に種々の同位体の形態であってもよい)式(I):
【化2】

【0018】
[式中、
− nは1または2に等しい整数であり、
− ジアザ2環性の環の窒素原子の置換基RとR1の1つは-C(O)-RB基(ここで、RBは、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル基である)であり、
− RとR1のうちの他の置換基は次の(II)〜(X)の基から選択され:
構造(II):
【化3】

【0019】
(式中、
− RCは、直鎖状または可能なとき分枝鎖状の2価の飽和のC3-C10脂肪族鎖であり、
− Bは、水素、イソチアシアネート、CN、OR'、C(O)OR'、C(O)R'、C(O)NR'R''、NR'R''から選択される基であり、R'およびR''は、互いに同一または異なって、水素、直鎖状または可能なとき分枝鎖状の、C1-C7アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシ、C3-C15シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから選択され、
− DおよびR2は、互いに同一または異なって、
− 水素、但し、式(II)中のB、DおよびR2のうちの少なくとも1つの置換分は水素ではなく、
− 直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
− アリールまたはヘテロアリール、
− C3-C15シクロアルキル
から選択される置換基である)、
【0020】
式(III):
【化4】

【0021】
(式中、
− B'は前記で定義されたBと同じであり、
− R3は水素、またはそれぞれR2について定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキル置換基であり、
− R4は次の意味:
− 直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
− 好ましくはO、S、Nから選択される1以上のへテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル、
を有し、B'およびR3の両方が水素でないとき、R4はアリールまたはヘテロアリールのさらなる意味を有する)、
【0022】
式(IV):
【化5】

【0023】
(式中、
− B''は前記で定義されたB'と同じ意味を有し、
− R5は前記で定義されたR3と同じ意味を有し、
− R6は前記で定義されたR4と同じ意味を有するか、またはアリールもしくはヘテロアリールである)、
【0024】
式(V):
【化6】

(式中、
− RDは、2価の飽和または不飽和の、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C8脂肪族鎖であり、
− BIIIおよびR7は、互いに同一または異なって、前記で定義されたR2と同じ意味を有する、但し、BIIIおよびR7は両方がともに水素ではない)、
【0025】
式(VI):
【化7】

(式中、
− REは不飽和の2価の、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C8脂肪族鎖であり、
− BIVは前記で定義されたBと同じ意味を有し、
− DIおよびDIIは前記で定義されたR2と同じ意味を有する、
但し、式(VI)において、BIV、DIIおよびDIのうちの少なくとも1つの置換分は水素ではない)、
【0026】
式(VII):
【化8】

(式中、
− DIIIおよびDIVは、互いに同一または異なって、前記で定義されたR2と同じ意味を有するが、水素を除く)、
【0027】
式(VIII):
【化9】

(式中、DVは前記で定義されたアリールまたはヘテロアリール以外のR4の意味を有する)、
【0028】
式(IX):
【化10】

(式中、RFは、飽和または不飽和の、直鎖状または可能なとき分枝鎖状の2価のC2-C8脂肪族鎖であり、R8は前記で定義されたR2と同じ意味を有するが、R8が水素の意味を除く)、
【0029】
式(X):
【化11】

(式中、R9は、前記で定義されたR4と同じ意味を有するが、アリールまたはヘテロアリールを除く)
から選択される]
を有する、ジアザ2環性のノナンおよびデカン誘導体である。
【0030】
式(II)における置換基BがOR'、C(O)OR'、C(O)R'、C(O)NR'R''、NR'R''から選択される基であり、R'および/またはR''がC3-C15シクロアルキルの意味を有するとき、該シクロアルキルは、好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含み得る。
【0031】
式(II)における置換基BがOR'、C(O)OR'、C(O)R'、C(O)NR'R''、NR'R''から選択される基であり、R'および/またはR''がC3-C15シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールの意味を有するとき、該C3-C15シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキルから選択される1以上の基で任意に置換され得る。
【0032】
式(II)におけるDおよび/またはR2が、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキルの意味を有するとき、アルキルはヒドロキシ、ハロゲン、CN、C3-C15シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換され得る。該シクロアルキルは、好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含み得る。該C3-C15シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状の、C1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される1以上の基で任意に置換され得る。
【0033】
式(II)におけるDおよび/もしくはR2ならびに/または式(IV)におけるR6がアリールまたはヘテロアリールの意味を有するとき、これらの構造は、互いに同一または異なった次の基:ヒドロキシ、ハロゲン、CNから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル
から選択される1以上の基で任意に選択され得る。
【0034】
該シクロアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシ、
アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらの基は、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい)
から選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換され得る。
【0035】
式(II)におけるDおよび/またはR2が、C3-C15シクロアルキルの意味を有するとき、該シクロアルキルは、好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含み得る。さらに、シクロアルキルは、次の基:ヒドロキシ、ハロゲン、CNから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル
から選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換され得る。
【0036】
該シクロアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシ、
アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(該基は、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい)
から選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換され得る。
【0037】
式(III)において、R4が直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキルの意味を有するとき、該C1-C10アルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、CN、アリール、ヘテロアリールまたは好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキルから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換され得る。
【0038】
該C3-C15シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換され得る。
【0039】
該アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換され得る。
【0040】
式(III)において、R4が、好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキルの意味を有するとき、該シクロアルキルは、互いに同一または異なった次の基:
次の:ヒドロキシ、ハロゲン、CNから選択される、互いに同一または異なって、1以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
好ましくはO、S、Nから選択される、互いに同一または異なった1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル(該シクロアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル
から選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい)
から選択され1以上の基で任意に置換され得る。
【0041】
該アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシ、
ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル
から選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換され得る。
【0042】
式(III)において、B'およびR3は両方がともに水素ではなく、R4がアリールまたはヘテロアリールの意味も有するとき、各アリールおよびヘテロアリールは、互いに同一または異なった次の1以上の基:
次の:ヒドロキシ、ハロゲン、CNから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
好ましくはO、S、Nから選択される、互いに同一または異なった1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル
で任意に置換され得る。
【0043】
該シクロアルキルは、互いに同一または異なった次の基:ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルの1以上で任意に置換され得る。
【0044】
該アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシ、
ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル
から選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換され得る。
【0045】
別に特定されていなとき、本発明において、次の意味を有する。
アルキルは、脂肪族鎖が1つの遊離の原子価を有する、飽和のC1-C40、好ましくはC1-C10の直鎖状または可能なとき分枝鎖状の脂肪族鎖を意味する。
2価の飽和の脂肪族鎖は、水素原子で飽和された炭素原子から形成され、互いに単結合で結合し、主鎖の各末端に1つの遊離の原子価を有する、直鎖状または可能なとき分枝鎖状の炭化水素鎖を意味する。
【0046】
2価の不飽和の脂肪族鎖は、単結合と少なくとも1つの2重または3重結合で互いに結合した炭素原子から形成され、該鎖が各末端に1つの遊離の原子価を有し、炭素原子の他の原子価が水素原子で飽和されている炭化水素鎖を意味する。
【0047】
シクロアルキルは、例えば3〜8の炭素原子、好ましくは5〜6の炭素原子の1つの環をもつか、または好ましくは8〜19の炭素原子を有する、より多くの縮合したシクロアルキル環を有する構造をもつシクロアルキルを意味する。
【0048】
飽和ヘテロサイクルは、シクロアルキル環の少なくとも1つの炭素原子が、好ましくはS、O、Nから選択されるヘテロ原子で置換された、上記で定義されたシクロアルキルを意味する。
【0049】
不飽和へテロサイクルは、1以上のシクロアルキル環中に1以上の2重結合を有する以外は上記で定義された飽和ヘテロサイクルを意味するが、環構造は芳香族ではない。
【0050】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選択される原子を意味する。
ハロアルキルは、1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたアルキル、例えばトリフルオロメチル、1-ブロモ-n-ブチル、ペンタクロロエチルを意味する。
【0051】
アリールは、C6芳香族単環基または少なくとも1つの環が芳香族であるC7-C19の多環基を意味し、該基は炭素と水素原子を含む。
アルキルアリールは、1つの水素原子が前記で定義されたアリール基で置換され、遊離の原子価がアリール上にある、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C7のアルキル基を意味する。
【0052】
アリールアルキルは、遊離の原子価がアルキル部分にあり、前記で定義されたアリールに結合した、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキルを意味し、例えばベンジルが挙げられ得る。
【0053】
ヘテロアリールは、環の少なくとも1つの原子が好ましくはS、O、Nから選択されるヘテロ原子である、5環原子を有するものも同様である以外は前記で定義されたアリールを意味する。
【0054】
アルキルへテロアリールは、1つの水素原子が前記で定義されたヘテロアリール基で置換された、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C7アルキル基を意味する。
【0055】
ヘテロアリールアルキルは、環原子の少なくとも1つの原子が好ましくはO、S、Nから選択されるヘテロ原子である、5環原子を有するものも同様である以外は前記で定義されたアリールアルキルを意味する。
【0056】
受容体に親和性を有する化合物は、インビボおよび/もしくはインビトロで、受容体に対してアゴニスト活性、またはアンタゴニスト、または部分アゴニスト、または部分アンタゴニスト、または逆アゴニスト、または逆アンタゴニスト、または逆部分アゴニスト、または逆部分アンタゴニスト活性を有する化合物を意味する。該用語の意味は当業者に公知である。
【0057】
オピオイド受容体およびオピオイド性受容体は、受容体μおよび/もしくはδおよび/もしくはκならびに/またはそれらの受容体のサブクラスを意味する。
オピオイド性受容体μ、δおよびκの受容体のサブクラスは、受容体μ1、μ2、δ1、δ2、κ1、κ2およびκ3を意味する。
【0058】
式(I)の好ましい化合物は、ジアザ2環性の環の窒素原子の置換基RおよびR1の1つが基-C(O)-RBであり、RとR1のうちの残った他の置換基が式(II)〜(X)の構造:ここで、
式(II)において、RCは2価の飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC3-C7脂肪族鎖であり、Bは水素である、
【0059】
式(III)において、B'は水素であり、R3はR2で定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルから選択される置換基であり、ここでR4は前記で定義されたとおりであり、前記で定義されたアリールまたはヘテロアリールの意味をさらに含む、
【0060】
式(IV)において、B''は水素である、
式(V)において、RDは飽和または不飽和の2価の、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C5脂肪族鎖であり、BIIIおよびR7は、互いに同一または異なってR2と同じ意味を有するが、BIIIとR7は両方がともに水素ではない、
【0061】
式(VI)において、REは2価の不飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C5脂肪族基であり、BIVは水素であり、DIIおよびDIはR2と同じ意味を有するが、式(VI)においてDIIとDIのうちの少なくとも1つの置換分は水素ではない、
式(VII)〜(X)は前記で定義されたとおりである
から選択されるものである。
【0062】
式(I)の最も好ましい化合物は、置換基RおよびR1の1つが基-C(O)-RBであり、ここで、RBは直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C4アルキル基であり、RとR1のうちの残った他の置換基が式(II)〜(X)の構造:ここで、
式(II)において、RCは2価の飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC3-C7脂肪族鎖であり、Bは水素である、
【0063】
式(III)において、B'は水素であり、R3は、R2で定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルから選択される置換基であり、ここで、R4はアリールまたはヘテロアリールの意味も含み、R3は水素ではなく、Bは水素である、
【0064】
式(IV)において、B''は水素である、
式(V)において、RDは2価の飽和または不飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C5脂肪族鎖であり、BIIIおよびR7は、互いに同一または異なって、R2と同じ意味を有するが、BIIIとR7は両方がともに水素ではない、
【0065】
式(VI)において、REは不飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状の2価のC2-C5脂肪族基であり、BIVは水素であり、DIIおよびDIはR2と同じ意味を有するが、式(VI)におけるDIIとDIのうちの少なくとも1つの置換分は水素ではなく、
式(VII)〜(X)は前記で定義されたとおりである
から選択されるものである。
【0066】
さらになお好ましい式(I)の化合物は、置換基RおよびR1の1つが基-C(O)-RBであり、ここでRBはメチルまたはエチルであり、RとR1のうちの残った他の置換基が式(II)〜(X)の構造:ここで、
式(II)において、RCは2価の飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC3アルキル鎖であり、Bは水素である、
【0067】
式(III)において、B'は水素であり、R3は、R2で定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルから選択される置換基であり、ここで、R4はアリールまたはヘテロアリールの意味も含み、R3は水素ではなく、Bは水素である、
【0068】
式(IV)において、B''は水素である、
式(V)において、RDは2価の飽和または不飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C5脂肪族鎖であり、BIIIおよびR7は、互いに同一または異なってR2と同じ意味を有するが、BIIIとR7は両方がともに水素ではない、
【0069】
式(VI)において、REは不飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状の2価のC3アルキル鎖であり、BIVは水素であり、DIIおよびDIはR2と同じ意味を有するが、式(VI)においてDIIとDIのうちの少なくとも1つの置換分は水素ではない、
式(VII)〜(X)は前記で定義されたとおりである
から選択されるものである。
【0070】
特に、最も好ましい化合物は、置換基RおよびR1の1つが基-C(O)-RBであり、ここで、RBはメチルまたはエチルであり、RとR1のうちの残った他の置換基が次の式:
【0071】
B'が水素であり、R3がR2で定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルから選択される置換基であり、ここでR4はアリールまたはヘテロアリールの意味も含む式(III)、
【0072】
DIIIおよびDIVが互いに同一または異なって水素を除くR2の意味を有する式(VII)、
DVがアリールまたはヘテロアリールを除くR4の意味を有する式(VIII)、
R9がアリールまたはヘテロアリールを除くR4の意味を有する式(X)
から選択される
式(I)の化合物である。
【0073】
式(I)の具体的な化合物は、次の:
【化12−1】

【化12−2】

【化12−3】

【化12−4】

【化12−5】

【化12−6】

【化12−7】

【0074】
前記のように、式(I)の化合物の種々の異性体(シスおよびトランス異性体、化合物中に1以上の不斉中心が存在するときは光学異性体)および対応する混合物を含む式(I)の化合物の水和物、溶媒和物および医薬的に許容される塩が本発明のさらなる目的である。水和物および溶媒和物の用語の意味は当業者に周知である。特に、水和物は1分子以上の水和水、一般的には1〜10分子の水を含む化合物を意味する。溶媒和物は、水と異なる1分子以上の溶媒、好ましくは1〜10分子の溶媒を含む化合物を意味する。
【0075】
医薬的に許容される塩は、式(I)の化合物を医薬的観点から許容される有機酸または無機酸と処理して得られる全ての塩を意味する。例えば、塩酸塩、硫酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、硫酸水素塩、コハク酸塩、パラトルエンスルホン酸塩が挙げられる。"Remington, The Science and Practice of Pharmacy", II巻, 1995, 1457頁を参照。
式(I)の化合物の個体および動物への投与から誘導される代謝物は本発明のさらなる目的である。
【0076】
本出願人は、本発明の式(I)の化合物が、インビトロおよび/もしくはインビボで、オピオイド性受容体μおよび/もしくはδおよび/もしくはκならびに/または受容体μ1、μ2およびμ3'のようなそれらの受容体サブクラスに対して、1以上の次の活性、アゴニスト、またはアンタゴニスト、または部分アゴニスト、または部分アンタゴニスト、または逆アゴニスト、または逆アンタゴニスト、または逆部分アゴニスト、または逆部分アンタゴニストを有することを、驚くことにかつ予測しなかったことに見出した。特に、式(I)の化合物がオピオイド作動系の1以上の受容体に対してアゴニスト活性を示すとき、それらは疼痛の治療に用いられ得る。
【0077】
式(I)の化合物の製造方法が本発明のさらなる目的である。
スキーム1に示すように、本方法は次の工程:
a) 式2のアルデヒドを式1のアミン(ここで、Rgはメチルまたはベンジルの意味を有する)および式3の1,3-アセトンジカルボン酸と反応させ、式4の2環性のケトンを得る、
b) アジドまたはその誘導体の存在下、式4のケトンを無機酸で処理し、式5のアミノラクタムを得る、
【0078】
c) 式5のアミノラクタムを還元して、式6のジアザ2環性のアミンを得る、こと、
d) 式6のジアザ2環性のアミンをアルキル無水物またはアシルクロライド(ここで、無水物またはアシルクロライド中のアルキル鎖は式(I)において前記で定義されたRBである)でアシル化して、式7のアミド(ここで、アシル置換基-C(O)-RBは式(I)におけるR1の意味を有する)を得る、
【0079】
e) 式7のアミドを水素化して、式8のアミドの化合物を得る、
f) 式8の化合物のアミン性窒素上に存在する水素を、式(I)で定義された置換基Rで置換し、式9の化合物を得る
を含む。
【0080】
【化13−1】

【化13−2】

【0081】
工程a)の反応は、酢酸ナトリウムの存在下、水溶液中、温度約0℃で操作することにより行われ得る。得られる混合物を室温で撹拌下に少なくとも1時間放置し、次いで3〜7時間、50℃に加熱する。pHを4〜5の間に含まれる値にする。次いで、化合物4を有機溶媒、例えばジクロロメタンで水相から抽出し、次いで溶媒蒸発により回収する。
式4のケトンが商業的に入手可能なとき、工程a)は回避できる。
【0082】
工程b)において、使用される無機酸、好ましくは濃縮された無機酸は、例えば硫酸である。さらに、アジドは、その誘導体、例えばアジ化ナトリウムの形態下で用いることができる。一般的に、それは40℃より低い、好ましくは35℃より低い温度で行われる。
【0083】
工程c)において、アミノラクタム5の還元は、好ましくは、不活性雰囲気中、不活性有機溶媒中、金属ハイドライドを用いて行われる。金属ハイドライドとして、例えばLiAlH4が用いられ得るし、不活性有機溶媒は例えばテトラヒドロフラン(THF)であり得る。一般的に、それは、不活性雰囲気中、例えばアルゴンを用いることにより、約0℃の温度で行われる。
【0084】
工程d)において、好ましくは、ジアザ2環性のアミンのアシル化反応は、3級アミンのようなプロトン受容体の存在下に行われる。
式7のアミドの水素化の工程e)は、2,2,2-トリクロロエチルクロロホルメートおよび酢酸中の金属亜鉛を用いるか、またはPd/Cを用いる触媒水素化により行われ得る。
【0085】
工程f)は、例えば、式8の化合物のアミン窒素を式R-X(ここで、Xは、好ましくはハロゲン、メシルまたはトシルから選択される脱離基である)の化合物と反応させることにより行われ得る。化合物R-Xの代わりに、式RT-C(O)Hを有するアルデヒドが用いられ得る。アルデヒドを用いる反応で形成される置換基RT-CH2-は、式(I)の基Rに対応する。
【0086】
反応条件は、先行技術で公知の条件である。反応物R-Xは、一般的に、商業的に入手可能であるか、または先行技術の方法にしたがって製造され得る。例えば、それらは、次に示す合成スキームによって得られる。
【0087】
【化14】

【0088】
スキーム1'によれば、式16および18のクロライドは、次の工程により得られる:
a') トルエン中のトリエチル-ホスホニウムアセテートの1.5等量を水素化ナトリウムの1.5等量と室温で1時間反応する。得られる混合物に、トルエンに溶解した式13のケトンの1等量を滴下する。得られる混合物を、撹拌下、2〜3日間、室温で反応し、式14のアクリル酸誘導体のエステルを得る、
【0089】
b') 式14のアクリル酸誘導体のエステルを式15の対応するアルコールに、好ましくは金属ハイドライド、例えばLiAlH4を用いて還元する、
c') 式15のアルコールを、好ましくは濃塩酸で処理することによりハロゲン化し、式16の対応するクロライドを得る、
【0090】
d') 工程c')の代わりに、式15のアルコールを、例えばPd/Cを用いる触媒還元により、飽和脂肪族鎖を有する式17の対応するアルコールに変換し得る、
e') 式17のアルコールを濃塩酸で処理し、式18のクロライドを得る。
【0091】
式(I)の化合物の合成のための代替方法によれば、スキーム1の化合物8を、工程f)に付す代わりに、工程f')およびg')に付す(スキーム2を参照):
f') 式8のアミド化合物を熱転位に付すことにより、式8aのジアザ2環性の化合物を得る(ここで、アミド性窒素のアシル置換基-C(O)-RBは、式(I)のRの意味を有する)、
g') 式8aの化合物のアミン性窒素上に存在する水素を、式(I)で定義された置換基R1で置換することにより、式9aの化合物を得る。
【0092】
【化15−1】

【化15−2】

【0093】
工程f')において、熱転位は、100℃〜200℃に含まれる温度、好ましくは120℃〜150℃で行われ得る。一般的に、反応時間は60〜180分の間に含まれる。
好ましくは、工程g')は、式R1-X(ここで、Xは、好ましくはハロゲン、メシルまたはトシルから選択される脱離基である)の化合物を用いることにより行われる。化合物R1-Xの代わりに、式RW-C(O)Hのアルデヒドが用いられ得る。
【0094】
この場合、形成される置換基RW-CH2-は、式(I)の基R1に対応する。この工程の反応条件は、先行技術で公知の条件である。化合物R1-Xは、一般的に、商業的に入手可能であるか、または先行技術で公知の合成スキームにしたがって製造され得る。例えばスキーム1'を参照。
【0095】
式(I)の化合物の合成のために記載された方法のさらなる代替によれば、スキーム1の工程d)〜f)の代わりに、次に示すスキーム3にしたがって、g)〜k)の工程が用いられ得る:
【0096】
g) 式6のジアザ2環性のアミンの3位での窒素原子を保護して、式10の化合物を得る、
h) 式10の化合物を水素化して、式11のジアザ2環性のアミノカルバメート化合物を得る、
【0097】
i) 式11のジアザ2環性のアミンをアルキル無水物またはアシルクロライド(ここで、両化合物中、アルキル基は式(I)で定義したRBである)でアシル化して、式12のアミド(ここで、アミド性窒素のアシル置換基-C(O)-RBは、式(I)中のRの意味を有する)を得る、
j) アミノ基を脱保護して、式8aの化合物を得る、
k) 工程g')で記載した反応を行うことにより、化合物9aを得る。
【0098】
【化16】

【0099】
工程g)において、窒素原子の保護は、好ましくは、不活性溶媒中、ジ-tert-ブチルジカーボネート((BOC)2O)を用いて行われる。
工程h)において、水素化反応は、Pd/C触媒を用いて行われる。
工程j)において、脱保護は、不活性溶媒中、トリフルオロ酢酸での処理によって行われる。アミンがBOCで保護されているとき、特に、これが用いられる。
【0100】
本発明はさらに、哺乳類およびヒトにおける、オピオイド性受容体μおよび/もしくはδおよび/もしくはκならびに/またはそれらの受容体のサブクラスが関与する疾病および障害の治療および予防用の医薬組成物を製造するための式(I)の化合物に関する。
【0101】
本発明の目的は、式(I)の化合物の医薬組成物である。
医薬組成物において、式(I)は、活性成分が具体的な製薬の適用で要求される量にあるような量で含まれる。
医薬組成物において、式(I)の化合物は、それ自身でまたは塩もしくは溶媒和物の形態で、または異性体、例えばシスもしくはトランス異性体、もしくはそれが1以上の不斉中心を含むときは光学異性体として存在し得る。
【0102】
医薬組成物に含まれる添加剤は、製薬の分野でその使用が公知である、賦形剤、担体、染料、保存剤、香料等である。これらの種々の添加剤および賦形剤の使用量は、具体的な適用で公知の量である。
医薬組成物の投与は、経口、皮下、舌下、筋肉内、静脈内、局所、経皮、直腸、眼、鼻腔内、膣、腹腔内のルートで行われ得る。
【0103】
本発明の医薬組成物は、例えば、分散剤、溶液、乳液、散剤、カプセル、エアゾール、坐剤、錠剤、シロップ、エリキシル剤、クリーム剤、ゲル剤、軟膏、プラスター等を含む。例えば、特許出願WO 2004/011,468号に記載されたものを参照。医薬組成物は、製剤の技術で公知の方法にしたがって得られる。例えば、医薬組成物は、USP6,028,084号に記載の方法にしたがって得られる。
【0104】
医薬組成物は、特許出願US2003/0003145号に記載の方法および添加剤を用いても製造され得る。これらの製剤において、アルキル硫酸ナトリウムまたは製剤の分野で一般的に用いられる別の界面活性剤が用いられ得る。
【0105】
例えば、式(I)の化合物、それらの異性体または対応する水和物もしくは溶媒和物もしくは医薬的に許容される塩の経口投与に用いることができる医薬組成物は、種々の異性体の全ておよび対応する水和物もしくは溶媒和物もしくは医薬的に許容される塩のどれかの対応する混合物を含む式(I)の化合物0.5〜20重量%;1以上の界面活性剤、好ましくはアルキル硫酸ナトリウム0.05〜0.5重量%;セルロース、カルボキシルメチルセルロース ナトリウムまたはその他のセルロース誘導体のような崩壊剤(disgregating)2.5〜10重量%から形成される。
【0106】
経口および眼内投与の両方に用いることができる医薬製剤は、式(I)の化合物、それらの異性体、含まれるそれらの塩、水和物、溶媒和物およびヒドロキシプロピルメチルセルロールを含み得る。特に、それらは、式(I)の化合物0.1〜20%およびヒドロキシプロピルメチルセルロール(HPMC)0.5〜10%を含み得る。
【0107】
カプセルまたは錠剤の形態下での経口投与用の具体的な医薬製剤は、式(I)の化合物およびヒドロキシプロピルメチルセルロールに加えて、乳糖モノ水和物、ステアリン酸マグネシウム、微結晶性セルロース、酸化チタンのような、その他の賦形剤を含み得る。これらの製剤において、HPMCは、カプセルもしくは錠剤のコア中、および/または存在するときは錠剤のシェルに存在し得る。
【0108】
式(I)の化合物のさらなる製剤は、水中油エマルジョンを含み、ここで、活性成分はそれ自身体または有機相に溶解され、1以上の両親媒性化合物を用いることにより水相に分散されている。後者は、例えば界面活性剤、それらが溶解している液体中で凝集体、ミセル、液晶および小胞として、組織化された構造を形成することができる油もしくは水に可溶なポリマーである。
【0109】
該エマルジョンは、例えば、高圧のターボ乳化機またはホモジナイザーを用いて製造され得る。該エマルジョンは、一般的に、重量%で:
− 式(I)の化合物0.005〜20%
− 1以上の油0〜50%
− 1以上の両親媒性化合物0.01〜50%
− 添加剤0〜50%
− 任意に緩衝化されてもよい、水または生理食塩水を加えて100%となる
を含む。
【0110】
式(I)の化合物を含むその他の製剤は、脂質または医薬的に許容されるポリマーのミクロおよび/またはナノ粒子から形成されるもので、ここで、脂質またはポリマーに対して0.1〜60重量%の間の濃度で存在する式(I)の化合物が、該粒子の内部および/または表面に組み込まれているものである。
【0111】
脂質粒子の場合、例えば、40℃より高い、より好ましくは50℃より高い融点を有する脂肪酸もしくはそれらのエステル基づくものが挙げられ得る。例えば、トリパルミチンおよびラノリンのような脂肪酸のトリグリセリドが挙げられ得る。該粒子は、40℃より高い融点を有する脂肪酸もしくは脂肪酸エステルと例えば、Sasolより商品化されている植物油、Miglyol(登録商標) 812およびMiglyol(登録商標) 810のような中鎖トリグリセリドのような室温(20〜25℃)で液状の油との混合物からも作られ得る。あるいは、これらの粒子は、例えば植物油、Miglyol(登録商標) 812およびMiglyol(登録商標) 810のような中鎖トリグリセリドから形成される、液状の脂質のコアを封入する、大豆レシチンの表面層から作られ得る。
【0112】
ポリマー粒子の場合、アルブミンのような蛋白質、キトサンおよびデキストランのようなポリサッカライドのような天然ポリマー、
ポリオルガノホスファゼン、ポリアンハイドライド、ポリアミド、ポリオルトエステルおよびポリアルキルシアノ-アクリレート、ポリラクテート(PLA)およびポリラクテート/-ポリグリコレート(PLA/PLGA)コポリマーのようなポリエステルのような合成ポリマーから形成されるものが挙げられ、後者の群が好ましいものである。
【0113】
式(I)の化合物を含む粒子は、例えば、血液脳バリヤーのような生理学的バリヤーの通過をより容易するためおよび/または式(I)の化合物の循環における滞留時間を増加するために、表面で任意に改質され得る。粒子表面の改質は、1以上の表面改質剤の物理化学的吸着および1以上の特定の改質剤を用いてのポリマーの化学的官能化の両方で行われ得る。
【0114】
後者の場合、改質剤は、粒子と共有結合により結合される。例えば、E, Garcia et Al., "Colloidal carriers and blood-brain baiier (BBB) translocation: A way to deliver drugs to the brain", Int. J. of Pharmaceutics 298 (2005), 274-292を参照。
【0115】
改質剤の中で、例えば、
Tween80のようなポリオキシエチレン鎖またはペグヒレートされた(peghilated)鎖(PEG-ベース鎖)を含む化合物、例えば、J. Kreuter, "Nanoparticulate systems for brain delivery of drugs", Advanced Drug Delivery Reviews, 47, 2001, 65-81, M.T. Peracchia et al., "Synthesis of a Novel Poly(MePEG cyanoacrylate-co-alkyl cyanoacrylate) amphiphilic copolymer for nanoparticle technology", Macromolecules, 30, 1997, 846-851を参照、
【0116】
蛋白質、例えば血漿蛋白質(plasmatic proteins)、例えばアポリポ蛋白質が挙げられ得る(US2004/0131692参照)、
抗体、
【0117】
ペプチド化合物、蛋白質、ペプチド化合物とは異なる構造を有する合成または天然の化合物のような、生理学的バリヤーのレベルで発現されている特定の受容体により認識される化合物、
が挙げられ得る。例えば、L. Costantinoら, "Peptide-derivatized biodegradable nanoparticles able to cross the blood-brain barrier", Joural of Controlled Release, 108, 2005, 84-96, B. Stellaら, "Design of folic acid-conjugated nanoparticles for drug targeting", J. of Pharmaceutical Sciences 89 11, Nov. 2000 1452-1464を参照。
【0118】
粒子の表面改質剤は、例えば、M.T. Peracchiaら, "Synthesis of a Novel Poly(MePEG cyanoacrylate-co-alkyl cyanoacrylate) amphiphilic copolymer for nanoparticle technology", Macromolecules, 30, 1997, 846-851に記載のポリ(MePEG シアノアクリレート-コ-アルキル シアノアクリレート)のPEG鎖の場合、ポリマーの主構造に直接結合し得る。
【0119】
粒子の表面改質剤は、飽和もしくは不飽和の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル鎖、ならびに/または芳香族および/もしくはポリオキシエチレン鎖を含む主構造を有するリンカーまたはPEGによってポリマーと共有的にも結合し得る。リンカー-ポリマーおよびリンカー-表面改質剤の結合は、直接結合(C-C)およびエーテル、アミド、エステル、ウレタン、ペプチド、ウレア基のような官能基から形成される結合の両方であり得る。
【0120】
前記の両親媒性化合物は、次のクラス:
− 非イオン性、アニオン性、カチオン性および両性界面活性剤から選択される、任意にフッ素原子を含んでいてもよい界面活性剤、
− それらが溶解している液体中で凝集体、ミセル、液晶および小胞として組織化された構造を形成するポリマー
から選択される。
【0121】
好ましい界面活性剤は、非イオン性およびアニオン性のものである。非イオン性界面活性剤の中で、ポリオキシアルキレン鎖、好ましくはポリオキシエチレン鎖を含むものが最も好ましい。例えば、次のもの:
【0122】
例えば、商品名Cremophor(登録商標) EL (BASF)で知られている、ヒマシ油のエトキシ化によって製造されるポリオキシル35ヒマシ油、
例えば、商品名Cremophor(登録商標) RH40 (BASF)で知られている、水素化ヒマシ油のエトキシ化によって製造されるポリオキシル40水素化ヒマシ油、
例えば、商品名Solutol(登録商標) HS15 (BASF)で知られている、エチレンオキシドの15モルを12-ヒドロキシステアリン酸の1モルと反応させることによって製造される、ポリエチレングリコール15ヒドロキシステアレート、
【0123】
Tween(登録商標) 80、Tween(登録商標) 20、Tween(登録商標) 60、Tween(登録商標) 85のようなポリオキシエチレンポリソルベート、
例えば、それぞれ商品名Span(登録商標) 20およびSpan(登録商標) 60で商品化されている、ソルビタンモノラウレートおよびソルビタンモノステアレートのような脂肪酸のソルビタンエステル、
【0124】
ビタミンE/TPGS:トコフェリルプロピレングリコール1000スクシネート、
Brij(登録商標)シリーズのもの、quali Brij(登録商標) 35、Brij(登録商標) 76、Brij(登録商標) 98のような脂肪酸のポリオキシエチレンエーテル、
PEG-12-アシルオキシ-ステアレート(例えばE. McNameeら, "Physico-chemical Characterization of PEG 1500-12-acyloxy-searate micelles and liquid crystalline phases", Langumuir, 2005, 21, 8146-8154を参照)
が挙げられ、ポリオキシエチレンエーテルの中で、例えば、次の:
【0125】
− PEG 1500モノ-12-カプリルオキシステアレート(PEG 1500-C18C8
− PEG 1500モノ-12-カプロイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C10
− PEG 1500モノ-12-ラウロイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C12
− PEG 1500モノ-12-ミリストイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C14
− PEG 1500モノ-12-パルミトイルオキシステアレート(PEG 1500-C18C16
が挙げられ得る。
【0126】
アニオン性界面活性剤の中で、例えば、次の:商品名Epikuron(登録商標) 200で知られている大豆レシチン、ビス-2-エチルヘキシルスルホスクシネート(AOT)、ナトリウムタウロコレートが挙げられ得る。
【0127】
カチオン性界面活性剤の中で、例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)およびジドデシルアンモニウムブロマイド(DDAB)が挙げられ得る。
【0128】
両親媒性化合物として用いることができるポリマーは、水相および/または油相に溶解性でなければならない。「溶解性」とは、ポリマーがそれらが溶解している相中で、凝集体、ミセル、液晶および小胞として組織化された構造の形成を可能にする濃度と少なくとも等しい濃度に達しなければならないことを意味する。上記の組織化された構造の存在は、例えばレーザー光散乱(LLS)、中性子散乱、顕微鏡のような分散系の物理化学の特定の技法によって評価され得る。
【0129】
ポリマーは、前記の界面活性剤と組み合わせても用いられ得る。この場合も、用いられる液相中に溶解されるポリマーの濃度は、前記の組織化された構造の形成に導くような濃度でなければならない。
【0130】
ポリマーは、例えば、例えばKollidon(登録商標) 12PFおよびKollidon(登録商標) 17PF (BASF)のような商品名Kollidon(登録商標)で商品化されている、ポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、ならびにポリオキシアルキレン鎖を有するブロックコポリマー、より好ましくは、例えばBasfより商品化されている、商標Pluronic(登録商標)またはPoloxamer(登録商標)またはLutrol(登録商標) F68およびLutrol(登録商標) F127のようなLutrol(登録商標)で商業的に入手可能な、PEO-PPO-PEOで特徴付けられるポリオキシプロピレン鎖(PPO)を有するブロックコポリマーPEOのような、ポリオキシエチレン鎖(PEO)を含むブロックコポリマーであり得る。
【0131】
エマルジョンの製造のためにまたは粒子中の脂質として用いられる油は、医薬的に許容される化合物の次のクラス:
− 任意に1以上のエチレンタイプの不飽和を含んでいてもよい、C4-C32の酸のエステル、
− 最終の組成物が、酸を対応する塩に変換しないようなpHを有するときに用いられる、1以上のエチレン性不飽和を任意に含んでいてもよい、C4-C32の酸
から選択される。
【0132】
酸のエステルは、好ましくは、対応する酸の、脂肪族鎖、好ましくはC1-C5鎖、もしくはポリオキシエチレン鎖を有するアルコール、またはグリセリンを用いてのエステル化により得られる。この場合、モノ-、ジ-またはトリグリセリドがそれぞれ得られる。
【0133】
例えば、次のものを挙げることができる:
例えば、商標Labrafil(登録商標) 1944 CS (Gattefosse)で商品化されている、オレオイルマクロゴール6グリセリド(不飽和ポリグリコシル化グリセリド)、
例えば、商標Labrafac(登録商標) PG (Gattefosse)で知られている、プロピレングリコールカプリレートカプレート、
【0134】
例えば、商標Capmul(登録商標) PG-8 (Abitec)で商品化されている、カプリル酸のプロピレングリコールモノエステル、
グリセロールオレエート(例えばPeceol(登録商標) (Gattefosse))、
例えば、カプリン酸およびカプリル酸のグリセリドのような中鎖のモノ-およびジグリセリド(例えばCapmul(登録商標) MCM (Abitec)、Imwitor(登録商標) 308 (Sasol))、
【0135】
ポリグリセロールオレエート(例えばPluro(登録商標) oleic (Gattefosse))、
カプリン/カプリル酸トリグリセリド(例えばMiglyol(登録商標) 812およびMiglyol(登録商標) 810 (Sasol)、Labrafac(登録商標) CC CS (Gattefosse))、
エチルブチレート、エチルカプリレート、エチルオレエート、
例えば、Sasolにより、商標DYNASAN(登録商標) 116で商品化されているトリパルミチン
が挙げられる。
【0136】
1以上の前記のエステルを含む、医薬的に純粋な植物油も用いられ得る。例えば、大豆油が挙げられ得る。
脂肪酸として、ステアリン酸が挙げられ得る。
【0137】
エマルジョンの添加物として、次のクラス:
− 水および/または油の極性の改質剤、
− 成分S)のフィルムの曲率の改質剤、
− 補助界面活性剤(co-surfactants)
から選択される1以上の化合物が用いられ得る。
【0138】
水および/または油の極性の改質剤は、例えば、ポリエチレングリコールであり得る。例えば、Lutrol(登録商標) E300およびLutrol(登録商標) E400 (BASF)が挙げられ得る。エタノールのような脂肪族アルコールも用いられ得る。
【0139】
成分S)のフィルムの曲率の改質剤は、例えば脂肪族アルコール、好ましくはC2-C5アルコールである。
補助界面活性剤は、例えば、前記で定義した界面活性剤化合物、または脂肪族アルコール、好ましくは少なくとも6個の炭素原子の鎖を有するものであり得る。
【0140】
それは、例えば、
商品名Capmul(登録商標) PG12 (Gattefosse)またはLauroglycol(登録商標) 90 (Gattefosse)で知られている、プロピレングリコールモノラウレート、
例えば、商標Labrasol(登録商標)、Gelucire 44-14 (Gattefosse)で商品化されている、カプリロイルカプロイルマクロゴール8グリセリド(飽和エチルジグリコシル化グリセリド)、
例えば、商品名Transcutol (Gattefosse)で知られている、ジエチレングリコールモノエチルエーテル
が挙げられる。
【0141】
種々の異性体および関連する混合物ならびに対応する水和物もしくは溶媒和物および医薬的に許容される塩を含む式(I)の化合物ならびにそれらの医薬組成物は、インビトロで、オピオイド性受容体μおよび/もしくはδおよび/もしくはκ、ならびに/またはそれらの受容体のサブクラスの全てに高い親和性を有する。実施例を参照されたい。より具体的には、式(I)の化合物は、オピオイド性受容体μおよび/またはδおよび/またはκに対して、0.5μMより低いKi値を有する。
【0142】
哺乳類および人における、オピオイド性受容体μおよび/もしくはδおよび/もしくはκ、ならびに/またはそれらの受容体のサブクラスが関与する疾病および障害の予防および治療のための、式(I)の化合物およびそれらを含む医薬組成物の使用が、本発明のさらなる目的である。
式(I)の化合物およびそれらを含む医薬組成物で治療される疾病および障害は、疼痛、外科手術後の疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、薬物の乱用(例えば、ヘロイン、コカイン乱用のような)の場合の治療、アルコール中毒症、便秘、下痢および胃腸管のその他の障害、悪心、嘔吐、皮膚炎、肥満および食欲に関するその他の障害、鬱病、タバコ依存症(タバコ中毒)、性機能障害、ショック、脳損傷、脊髄損傷ならびに例えば緑内障および眼内高圧のような眼の症状および障害、例えば乳癌のような癌である。
【0143】
種々の病状の治療のための本発明の医薬組成物の使用は、該治療のために採用される公知の方法を用いることによりなされ得る。
特に、本発明の組成物の投与は、活性成分の量が特定の治療に有効であるように行われなければならない。用量、投与ルートおよび薬量学は、疾病のタイプ、その重篤度、患者の健康状態および年齢、体重、活性成分に対する応答のような特徴、特定の治療に対する活性成分の薬物動態学および毒性学に依存して設定される。
【0144】
好ましい1日用量は、治療される哺乳類の体重のKg当たり式(I)の化合物0.01〜1,000 mgである。ヒトの場合、好ましい1日の範囲は、Kg/体重に対して、化合物0.1〜800 mg、さらにより好ましくは1〜600 mgである。
【0145】
放射性同位体を含む式(I)の化合物およびそれらの医薬組成物が、哺乳類またはヒトのオピオイド性受容体μおよび/もしくはδおよび/もしくはκならびに/またはそれらの受容体の全てのサブクラスを確認し、マークするために使用され得る。
【0146】
さらに、1つのヒドロキシ基を有する式(I)の化合物は、リガンドを得るために用いられ得る。該リガンドは、免疫化学的方法によって検出可能であり、オピオイド性受容体μおよび/もしくはδおよび/もしくはκならびに/またはそれらの受容体のサブクラスの分離、精製および特徴付け、ならびに対応する活性部位の同定に用いられる。
【0147】
前記のように、式(I)の化合物およびそれらを含む医薬組成物は、モルヒネに比較してよりよい忍容性を示す。式(I)の化合物を含む医薬組成物は、前記の病状の治療において、活性成分の高い生物学的利用能を提供することができる。
【実施例】
【0148】
以下の実施例は、本発明をより理解するために与えられるもので、本発明の範囲を限定することを意味しない。
実施例1
化合物9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン-4-オンの合成
-5℃に冷却した、式:
【化17】

【0149】
のトロピノン(1a)(5 g)のクロロホルム(50 ml)中の溶液に、15℃より低い温度を維持しながら、濃H2SO4(11.3 ml)を滴下する。次いで、温度が35℃を超えるのを避けるように、NaN3(4.67 g)を少量ずつゆっくりと加える。次いで、2時間、還流加熱する。得られる混合物を、約200 mlの氷を含む容器中に注ぐ。個体のK2CO3を強アルカリpHが得られるまで加える。エマルジョンが形成される。該エマルジョンに、60%KOH水溶液(25 ml)を加える。それを撹拌下に10分間放置し、ついで形成される無機塩を濾過し、反応混合物をクロロホルムで抽出する。有機相を硫酸ナトリウム上で無水化し、溶媒を蒸発し、白色の結晶個体として、化合物9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン-4-オン(1b)(3.64 g)を得る。
【0150】
【化18】

【0151】
収率:95%;Rf:0.26 (CHCl3-MeOH 8:2);m.p.:79-82℃;1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.69-1.85 (m, 2H), 2.00-2.20 (m, 2H), 2.42 (s, 3H), 2.48-2.53 (m, 1H), 2.80-2.96 (m, 2H), 3.15-3.27 (m, 2H), 3.59 (bd, 1H, J=14Hz)
【0152】
実施例2
9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナンの合成
0℃に冷却し、アルゴン不活性雰囲気下に保った無水THF(30 ml)中のLiAlH4(0.61 g)の懸濁液に、実施例1で得られる9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン-4-オンのTHF中の溶液(THF10 ml中化合物1.00 g)を滴下する。得られる混合物を48時間還流加熱し、次いで0℃に冷却する。次いで、水(3 ml)を混合物にゆっくりと加える。水の添加後、混合物を撹拌下に10分間保つ。沈殿が形成され、それを最後に真空下に濾過し、ジクロロメタンで洗浄する。得られる濾液を蒸発し、油状物を得、それをジクロロメタンに溶解する。次いで、得られる溶液を硫酸ナトリウムで無水化し、溶媒を蒸発する。残渣の油状物を蒸留(45〜50℃/0.1 mmHg)し、無色の油状物として、9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン(2a)(0.63 g)を得る。
【0153】
【化19】

【0154】
収率:69%;Rf:0.22 (CH2Cl2-MeOH 9:1+微量のNH4OH);b.p.:45-50℃/0.1 mmHg;1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.40-2.38 (m, 4H), 2.05-2.15 (m, 2H), 2.44 (s, 3H), 2.47 (bs, 1H, NH), 2.64-3.30 (m, 6H); 13C-NMR (CDCl3):δ(ppm) 28.16; 30.65; 37.30; 43.69; 45.84; 55.57; 63.98; 66.69
【0155】
実施例3
3-プロピオニル-9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナンの合成
実施例2で得られる9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン(0.63 g)の無水ジクロロメタン(18 ml)中の溶液に、0℃に冷却し、無水ジクロロメタン(5 ml)中の無水プロピオン酸溶液(2.1 ml)を加える。得られる混合物を1時間還流加熱し、次いで室温に冷却し、40重量%のNaOH水溶液でアルカリ性にし、16時間撹拌下に放置する。そのようにして得られる混合物をジクロロメタンで抽出し、有機相を分離し、硫酸ナトリウムで無水化し、蒸発する。化合物3-プロピオニル-9-メチル-3,9-ジアサビシクロ[4.2.1]ノナン(3a)(0.88 g)を、淡黄色の油状物の形態で得る。収率は定量的である。
【0156】
【化20】

【0157】
Rf:0.44 (CH2Cl2-MeOH 9:1); 1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.16 (t, 3H, J=7.4Hz), 1.21-2.38 (m, 6H), 2.43 (s, 3H), 2.80-2.88 (m, 1H), 3.19-3.75 (m, 5H), 3.85-4.00 (m, 1H), 4.35 (bd, 1H, J=14Hz)
【0158】
実施例4
3-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナンの合成
実施例3で得られる3-プロピオニル-9-メチル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン(0.49 g)のトルエン(25 ml)中の溶液に、アルゴン不活性雰囲気下に保ち、2,2,2-トリクロロエチルクロロホルメート(0.4 ml)およびK2CO3(0.52 g)を加える。混合物を16時間還流加熱し、次いで室温で冷却し、水、次いで15%のクエン酸水溶液および食塩水で洗浄する。洗浄の最後に回収する有機相を硫酸ナトリウムで無水化し、溶媒を蒸発し、黄色の油状物(カーバメート)(0.76 g)を得る。油状物を氷酢酸(25 ml)に溶解する。そのようにして得られる溶液に、粉末の亜鉛(0.82 g)を加える。混合物を撹拌下に室温で16時間保ち、次いでトルエン(約25 ml)で希釈し、最後に真空下に蒸発する。残渣を最小容積のジクロロメタンに溶解し、15重量%のクエン酸水溶液で3回抽出する。水相をジクロロメタンで洗浄し、次いで濃NH4OHでアルカリ性にし、ジクロロメタンで再度抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで無水化し、溶媒を蒸発し、化合物3-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン(4a)(0.28 g)を黄色の油状物として得る。
【0159】
【化21】

【0160】
収率:62%;Rf:0.15 (CH2Cl2-MeOH 9:1); 1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.16 (t, 3H, J=7.6Hz), 1.25-2.00 (m, 6H), 2.06 (bs, 1H, NH), 2.20-2.48 (m, 2H), 2.75-2.85 (m, 1H), 3.25-4.03 (m, 4H), 4.39 (bd, 1H, J=14Hz)
【0161】
実施例5
9-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナンの合成
実施例4で得られる化合物3-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン(0.5 g)を110℃で1時間加熱する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2-MeOH 8:2)で精製し、化合物9-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン(5a)(0.21 g)を得る。
【0162】
【化22】

【0163】
収率:42%;Rf:0.17 (CH2Cl2-MeOH 8:2);1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.16 (t, 3H, J=7.6Hz), 1.20-2.65 (m, 9H), 2.46 (bs, 1H, NH), 2.70-3.10 (m, 3H), 4.13-4.30 (m, 1H), 4.60-4.73 (m, 1H)
【0164】
実施例6
9-ベンジル-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オンの合成
ペンタンジアール(84.5 g)およびベンジルアミン塩酸塩(36.3 g)の水(400 ml)中の溶液を0℃に冷却し、1,3-アセトンジカルボン酸(30.8 g)を加える.次いで、10%の酢酸ナトリウム水溶液(70 ml)を加える。得られる混合物を撹拌下、室温で1時間保ち、次いで50℃で4時間加熱する。次いで、混合物を10重量%のHCl水溶液でpH2に酸性化し、次いでジエチルエーテルで洗浄する。次いで、重炭酸ナトリウムでpHを6にし、水相をジクロロメタンで抽出する。有機抽出物を硫酸ナトリウムで無水化し、溶媒を蒸発して、化合物9-ベンジル-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オン(6a)(38.5 g)を薄い色の固体として得る。
【0165】
【化23】

【0166】
収率:78%;B.p.:165-169℃/0.2 mmHg;1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.49-1.59 (m, 6H), 2.26 (d, 2H, J=19Hz), 2.76 (dd, 2H, J=8および19Hz), 3.28-3.49 (bs, 2H), 3.91 (s, 2H), 7.22-7.46 (m, 5H)
【0167】
実施例7
10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン-4-オンの合成
クロロホルム(4.4 ml)中の9-ベンジル-9-アザビシクロ[3.3.1]ノナン-3-オン(0.5 g)の溶液を-5℃に冷却し、15℃下の温度を維持しながら、濃H2SO4(1 ml)を滴下する。次いで、NaN3(0.28 g)を、反応温度が35℃を超えないように、少量ずつゆっくりと加える。次いで、それを2時間還流加熱し、得られる混合物を氷(約200 ml)を含む容器に注ぐ。固体のK2CO3を強アルカリのpHになるまで加える。エマルジョンが生じ、それに、60%KOH水溶液(25 ml)を加える。それを撹拌下に10分間放置し、次いで生じる無機塩を濾別し、クロロホルムで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで無水化し、溶媒を蒸発し、10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン-4-オン(7a)(0.50 g)を薄い色の固体として得る。
【0168】
【化24】

【0169】
収率:95%;Rf:0.42 (CHCl3-MeOH 97:3); 1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.43-1.70 (m, 3H), 1.90-2.23 (m, 3H), 2.37-2.53 (m, 1H), 2.80-3.15 (m, 4H), 3.75 (dt, 1H, J=3.8および15Hz), 3.93 (s, 2H), 5.82 (bs, 1H), 7.20-7.40 (m, 5H)
【0170】
実施例8
10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ「4.3.1]デカンの合成
無水THF(9 ml)中のLiAlH4(0.19 g)の懸濁液を、0℃に冷却し、アルゴン不活性雰囲気下に保ち、THF(4 ml)中の実施例7で得られる10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン-4-オン(0.50 g)の溶液を滴下する。混合物を撹拌下に、室温で14時間保つ。次いで、混合物を0℃に冷却し、H2O(約0.9 ml)を注意して加え、その後、撹拌下に10分間放置する。得られる沈殿物を真空下に濾過し、ジクロロメタンで洗浄する。濾液を蒸発し、得られる油状物をジクロロメタンに溶解し、その溶液を硫酸ナトリウムで無水化し、溶媒を蒸発して、化合物10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン(8a)(0.47 g)を得る。
【0171】
【化25】

【0172】
収率:定量的;Rf:0.62 (CH2Cl2-MeOH 8:2);1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.17-2.18 (m, 8H), 2.62 (bs, 1H), 2.76-2.92 (m, 2H), 2.99-3.18 (m, 4H), 3.97 (s, 2H), 7.20-7.42 (m, 5H)
【0173】
実施例9
10-ベンジル-3-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンの合成
無水ジクロロメタン(18 ml)中の実施例8で得られる10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン(0.63 g)の溶液を0℃に冷却し、無水ジクロロメタン(5 ml)に溶解した無水プロピオン酸(1.27 ml)を加える。混合物を1時間還流加熱し、次いで室温に冷却し、40%NaOH水溶液でアルカリ性とし、撹拌下に16時間放置する。混合物をジクロロメタンで抽出し、有機相を分離し、硫酸ナトリウムで無水化し、蒸発する。化合物10-ベンジル-3-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン(9a)(0.73 g)を淡黄色の油状物として得る。
【0174】
【化26】

【0175】
収率:94%;Rf:0.55 (AcOEt-リグロイン 6:4);1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.05-1.30 (m, 3H), 1.38-2.13 (m, 8H), 2.20-2.46 (m, 2H), 2.82-3.18 (m, 2H), 3.38-3.65 (m, 3H), 3.72-4.00 (m, 3H), 7.15-7.40 (m, 5H)
【0176】
実施例10
3-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンの合成
実施例9で得られる10-ベンジル-3-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン(2.40 g)のEtOH(39 ml)溶液を10% Pd/C(0.89 g)の存在下、45 psi、室温で19時間水素化する。混合物をセライトで濾過し、触媒をEtOHで洗浄する。溶液を濃縮して、化合物3-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン(10a)に相当する薄い色の油状物(1.60 g)を得る。
【0177】
【化27】

【0178】
収率:97%;Rf:0.15 (CH2Cl2-MeOH 9:1);1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.16 (t, 3H, J=7.6Hz), 1.35-2.09 (m, 8H), 2.38 (q, 2H, J=7.4Hz), 2.68-2.83 (m, 2H), 3.06-3.96 (m, 5H)
【0179】
実施例11
10-ベンジル-3-BOC-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンの合成
THF中のジ-tert-ブチルジカーボネート(BOC)の溶液(THF 12 mlにBOC2O 1.38 g)を0℃に冷却し、THF(8 ml)中の実施例8で得られる10-ベンジル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン(0.97 g)の溶液を加える。混合物を撹拌下に10分放置し、室温まで温め、次いで撹拌下に16時間放置する。得られる溶液をEt2Oで希釈し、10%NaHCO3水溶液、次いで食塩水で洗浄する。有機相をNa2SO4で無水化し、濃縮する。得られる残渣をフラッシュクロマトグラフィー(リグロイン/Et2O 9:1)で精製する。化合物10-ベンジル-3-BOC-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン(11a)(1.11 g)を無色の油状物として得る。
【0180】
【化28】

【0181】
収率:80%;Rf:0.48 (リグロリン/Et2O 9:1); 1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.18-2.15 (m, 8H), 1.46 (s, 3H), 1.50 (bs, 6H), 2.80-3.00 (m, 1H), 3.05-3.22 (m, 1H), 3.23-3.90 (m, 1H), 3.92 (s, 2H), 7.20-7.50 (m, 5H)
【0182】
実施例12
3-BOC-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンの合成
EtOH(52 ml)中の実施例11で得られる10-ベンジル-3-BOC-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン(3.50 g)の溶液を、10% Pd/C(1.13 g)の存在下、45 psi、30℃で19時間水素化を行う。最後に、混合物をセライトで濾過し、触媒をEtOHで洗浄する。次いで、溶液を濃縮する。化合物3-BOC-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン(12a)に相当する薄い色の油状物(2.44 g)を得る。
【0183】
【化29】

【0184】
収率:96%;Rf:0.55 (CHCl3-MeOH 9:1);1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.38-2.00 (m, 8H), 1.48 (s, 9H), 2.30 (bs, 1H), 3.05-3.42 (m, 4H), 3.60-3.88 (m, 2H)
【0185】
実施例13
3-BOC-10-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンの合成
実施例12で得られる3-BOC-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン(0.34 g)の無水ジクロロメタン(8 ml)中の溶液を0℃に冷却し、無水ジクロロメタン(3 ml)に溶解した無水プロピオン酸(0.66 ml)を加える。混合物を1時間還流加熱し、次いで室温まで冷却し、次いで40% NaOH水溶液でアルカリ性にし、撹拌下に16時間放置する。混合物をジクロロメタンで抽出し、有機相を分離し、硫酸ナトリウムで無水化し、蒸発して、3-BOC-10-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン(13a)に相当する無色の油状物(0.32 g)を得る。
【0186】
【化30】

【0187】
収率:76%;Rf:0.32 (リグロイン-AcOEt 7:3);1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.17 (t, 3H, J=8.8Hz), 1.44 (s, 3H), 1.48 (s, 6H), 1.50-2.60 (m, 3H), 2.90-3.20 (m, 3H), 3.82-4.40 (m, 1H), 1.47-5.17 (m, 1H)
【0188】
実施例14
10-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンの合成
実施例13で得られる3-BOC-10-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン(0.32 g)のジクロロメタン(7 ml)中の溶液を0℃に冷却し、ジクロロメタン(3 ml)中のトリフルオロ酢酸(0.83 ml)を加える。混合物を室温で撹拌下、3時間保つ。次いで溶媒を蒸発し、残渣を飽和NaHCO3水溶液で処理し、次いでCH2Cl2で抽出する。有機相を分離し、硫酸ナトリウムで無水化し、蒸発する。化合物10-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン(14a)に相当する薄い色の油状物(0.21 g)を得る。
【0189】
【化31】

【0190】
収率:定量的;Rf:0.20 (CH2Cl2-MeOH 8:2); 1H-NMR (CDCl3):δ(ppm) 1.17 (t, 3H, J=7.2Hz), 1.31-2.60 (m, 11H), 1.84 (bs, 1H), 2.76-3.12 (m, 3H), 3.92-4.40 (m, 1H), 4.71-5.17 (m, 1H)
【0191】
実施例15
3-プロピオニル-9-アルキル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン(I-A)化合物を製造するための一般的方法
実施例4で得られる3-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン(4a)(0.6 mmol)、K2CO3(0.72 mmol)、アセトン(7 ml)および一般式(II-A):
【化32】

【0192】
(式中、DAおよびR11は表1に示す意味を有する)
の有機塩化物(0.72 mmol)から形成される混合物を24時間還流加熱する。次いで、混合物を室温まで冷却し、生じる固体を濾過し、アセトンを蒸発する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2/アセトン 8:2)で精製し、次の一般的な化学構造(I-A)で特徴付けられる、式I-Aa〜I-Adまでの化合物3-プロピオニル-9-アルキル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナンを油状物として得た。
【0193】
【化33】

【0194】
表1において、合成された化合物I-Aa、I-Ab、I-AcおよびI-Adの各々に対して、DA、R11、パーセントでの反応収率(収率%)、対応するフマル酸塩の摂氏度での融点(℃でのm.p.)、実験式、基-C(O)-に対応するIRバンドの波長(λ)、CDCl3中の1H-NMR分析の大きなピーク(1H-NMR δ ppm)を示す。
【0195】
実施例16
3-アルキル-9-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン(I-B)を製造するための一般的方法
化合物3-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン(4a)の代わりに実施例5で得られる化合物9-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン(5a)を用いることにより、3-プロピオニル-9-アルキル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン(実施例15)の製造で記載した同じ方法が、3-アルキル-9-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナンの製造に対して用いられた。化合物(5a)を一般式(II-A)(実施例15を参照)(式中、DAおよびR11は表1に示す値を有する)の有機塩化物と反応した。表中に、この方法で合成された式I-Bの化合物3-アルキル-9-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン、I-Ba、I-Bb、I-BcおよびI-Bdを示す。それらは、油状物の物理的形態であり、一般的な化学構造(I-B)で特徴付けられる。
【0196】
【化34】

【0197】
実施例17
3-プロピオニル-10-アルキル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン(I-C)の製造のための一般的方法
次の一般的な化学構造(I-C):
【化35】

で特徴付けられる化合物3-プロピオニル-10-アルキル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンの製造のために、実施例15で記載した同じ方法が用いられた。
【0198】
実施例5に関して、本合成におけるこの場合に、3-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン(4a)の代わりに、実施例10で得られる化合物3-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン(10a)を用いる。一般式(II-A)の有機塩化物(実施例15を参照)(式中、DAおよびR11は、この方法により合成される各々の化合物:I-Ca、I-Cb、I-Ccに対して表1に示す意味を有する)を用いることにより、一般式I-Cの化合物を合成した。
【0199】
実施例18
3-アルキル-10-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン(I-D)の製造のための一般的方法
化合物3-プロピオニル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン(4a)の代わりに、実施例14で得られる化合物10-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカン(14a)を用いることにより、3-プロピオニル-9-アルキル-3,9-ジアザビシクロ[4.2.1]ノナン(実施例15)の製造に対して記載した同じ方法を行う。用いられる有機塩化物は一般式(II-A)(式中、DAおよびR11は表1に示す意味を有する)のものである。得られる化合物3-アルキル-10-プロピオニル-3,10-ジアザビシクロ[4.3.1]デカンは式(I-D)を有し、油状物の物理的形態である。
【0200】
【化36】

【0201】
次の化合物:I-Da、I-DbおよびI-Dcが表に示される。
【表1−1】

【表1−2】

【0202】
実施例19
オピオイド性受容体μ、δ、κに対する親和性
前記実施例で合成された化合物のオピオイド性受容体μ、δ、κに対する親和性を、以下に示す方法を用いる放射受容体結合研究により、インビトロで評価した。
受容体結合の技術は、どんな親和性でかつどんな特異性で、具体的な化合物が特定の受容体に結合するかどうか立証することができる。
【0203】
具体的な化合物の特定の受容体への親和性を評価するために、既知の親和性を有する放射活性標識された化合物で、試験化合物を(これらの特定の受容体が存在する特定の組織標本中で)刺激する(challenge)必要がある。放射活性化合物に取って代わる試験化合物の性質が、その特定の受容体への結合に対する化合物の親和性の指標を与える。さらに、受容体-化合物の複合体中に観測される放射活性の値が、受容体に結合する化合物の量を大きな精度で算定することを可能にする。それゆえ、この方法により、特定の受容体への新規化合物の親和性を素早く確認することが可能であり、このようにして、その薬理活性を決定することが可能である。同じ実験計画法を繰り返すことにより、他の種類の受容体への化合物の親和性を評価することが可能であり、このようにして、その特異性の度合を確証することが可能である。
【0204】
薬理活性を有する新規な分子のスクリーニングのために用いられるのに加えて、受容体結合技術は、例えば薬物および/または特定の病状に対する長期の曝露に関連する、受容体レベルでの可能な変化に対する有益な情報を与えることができる。実際、このような状況で、存在する受容体の量の変化、または構造変化が起こり得る。そして、その変化は、受容体自身の正常な機能へ影響を及ぼすアゴニストまたはアンタゴニストの親和性を変える。
【0205】
実験は、標準スタビュレーション(stabulation)条件(温度 22±2℃、相対湿度 60%、12時間の明/暗サイクルの人工光)下で、1つのケージに12匹を入れた実験動物(雄性マウス CD1 Charles River Italy, Calco, LC, Italy)を用いて、動物実験に対する欧州共同体のガイドライン(EEC n. 86/609)にしたがって行われた。食餌と水は自由に与えた。
【0206】
結合実験は次の方法にしたがって行った。
受容体κ:体重20〜25 gのCD1雄性マウスを用いた。動物は頸部脱臼により屠殺し、(小脳を除く)全部の脳を素早く解剖し、氷中に保った。組織を40容積(w/v)のTris-HCl緩衝液(50 mM, pH 7.4)中、Ultra-Turraxによりホモジナイズし、次いで、4℃に保った遠心分離機中、48,000×gで20分間遠心分離した。得られた上清液を同じ緩衝液に再度懸濁し、振動下に保った浴中、37℃で30分間インキュベートした。インキュベーションの最後に、懸濁液を48,000×gで15分間遠心分離し、ペレットを10容積のTris-HCl緩衝液に再度懸濁した。
【0207】
結合実験を、試料に対して約800〜1000 μgの蛋白質を用いて、25℃の温度で1 mlの容積中で行った。インキュベーションを、異なる濃度のリガンド3H-U 69.593(41.7 Ci/mmol)の存在下、60分間行った。非特異的結合をU69593(10 μM)の存在下で測定した。インキュベーションを、GF/Cフィルター(Whatman(登録商標))を用いる濾過機器(Brandel(登録商標), Gaithersburg, MD, USA)による素早い濾過により停止した。
【0208】
受容体μおよびδ:実験は、標準スタビュレーション(stabulation)条件(温度 22±2℃、相対湿度 60%、12時間の明/暗サイクルの人工光)下で、ケージに対して20匹を入れた、体重20〜25 gのCD1雄性マウスを用いて、Unterwald(1995)に記載された方法にしたがって行われた。屠殺後、(小脳を除く)動物の全脳を素早く取り出した。そのようにして得られた組織を、Polytron(登録商標)により、50 mlのTris-HCl緩衝液(50 mM)、pH 7.4中で素早くホモジナイズし、次いでホモジネートを4℃で20分間、48,000×gで遠心分離した。
【0209】
得られたペレットを50容積の同じ緩衝液に懸濁し、受容体からの内因性のオピオイドの分離をより容易にするために、懸濁液を、振動下に保った浴中、37℃で45分間インキュベートした。インキュベーションの最後に、懸濁液を4℃で20分間、48,000×gで遠心分離し、得られたペレットを40容積のTris-HCl緩衝液(50 mM)、pH 7.4中に懸濁した。得られた脳の膜の懸濁液を結合試験に用いた。
【0210】
結合実験は、各試料に対して50〜100 μgの蛋白質を用いて、2 mlの容積中、25℃の温度で行い、インキュベーションは、受容体μおよびδの試験に対してそれぞれ、1 nM [3H]-DAMGO (54.5 Ci/mmol)または1 nM [3H]-DPDPE (45 Ci/mmol)の存在下、60分間行った。
【0211】
非特異的結合をナロキソン(10 μM)の存在下で測定した。競合曲線の作図のために、各化合物の少なくとも8つの異なる濃度を用いた。参照化合物として、モルヒネを10-10〜10-5 Mの間に含まれる濃度で用いた。
【0212】
インキュベーションを、濾過機器(Brandel(登録商標), Gaithersburg, MD, USA)による、GF/Bフィルター(Whatman(登録商標))を用いる素早い濾過により中断した。フィルターを5 mlの冷Tris HCl緩衝液(50 mM)、pH 7.4で3回洗浄した。
【0213】
放射活性を、3 mlのシンチレーティング液体(scintillating fluid)(Ultima Gold MV, Packard, Meridien, IL, USA)を用いて、液相中、シンチレーター(Tricarb(登録商標) 2100, Packard, Meridien, IL, USA)により測定した。
【0214】
蛋白質の測定は、Bio-Rad(Milano, Italy)により提供されるプロトコールおよび反応物を用い、Bradford法(1976)により行った。
受容体μ、δ、κに対する化合物の親和性は、Kiの表現で表わした。
結合実験の結果を表2に示す。
【0215】
表2
オピオイド性受容体μ、δおよびκに対する本発明の化合物の親和性
(Kiとして表わした親和性値)
【0216】
【表2】

【0217】
実施例20
式(I)の化合物を含むエマルジョンの製造
実施例17で得られた式I-Caの化合物(0.05 g)をMiglyol(登録商標) 812S (Sasol)(1.95 g)に溶解した。油相を70℃に加熱し、この温度で、それを、蒸留水(7 ml)中の非イオン性界面活性剤Solutol(登録商標) HS15 (BASF)(1 g)の水溶液に、70℃の温度にも維持して、滴下した(1滴/秒)。それを、ウルトロチュラックス(ultraturrax) Politron ターボ乳化機(7 mmのゾンデを用い10,000 rpm )の撹拌下に15分間放置する。エマルジョン(10 g)を得る。
【0218】
そのエマルジョンを4℃に保った25 mlのガラスシリンダーに移した。1時間後、エマルジョンを25℃に温めた。
エマルジョンの組成(重量%)は、次のとおりである:
Miglyol(登録商標) 812(油): 19.5%
Solutol(登録商標) HS15(界面活性剤): 10%
水: 70%
化合物I-Ca: 0.5%
エマルジョンは、25℃の温度に保たれた場合、製造から少なくとも5日間、相分離を示さない。
【0219】
実施例21
式(I)の化合物を含むエマルジョンの製造
実施例17で得られた式I-Caの化合物(活性成分)(0.05 g)を、Miglyol(登録商標) 812S (Sasol)(1.46 g)およびImwitor(登録商標) 308(0.48 g)の混合物中に溶解する。70℃での加熱を行う。次いで、油相を、70℃の温度に維持して、生理溶液(水相)(7 ml)中の非イオン性界面活性剤Solutol(登録商標) HS15 (Basf)(1 g)の溶液に、前記の実施例と同じ装置を用いて、撹拌下に滴下する。
【0220】
最後に、エマルジョンを4℃に冷却し、次いで、前記の実施例で記載したように25℃の温度に温める。エマルジョン(10 g)を得る。
エマルジョンの組成(重量%)は、次のとおりである:
Miglyol(登録商標) 812(油): 14.6%
Imwitor(登録商標) 308(油): 4.9%
Solutol(登録商標) HS15(界面活性剤): 10%
水相: 70%
活性成分: 0.5%
エマルジョンは、25℃の温度に保たれた場合、製造から少なくとも5日間、相分離を示さない。
【0221】
実施例22
式(I)の化合物を含むエマルジョンの製造
実施例18で得られた式I-Daの化合物(活性成分)(0.05 g)を、大豆油(医薬グレード)(1.45 g)およびImwitor(登録商標) 308(0.48 g)の混合物中に溶解する。60℃での加熱を行う。次いで、油相を、60℃の温度に維持して、生理溶液(水相)(6 ml)中のポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン鎖を含むブロックコポリマーLutrol(登録商標) F1327F (Basf)(2.5 g)の溶液に、実施例20と同じ装置を用いて、撹拌下に滴下する。
【0222】
最後に、エマルジョンを4℃に冷却し、次いで、実施例20で記載したように25℃の温度に温める。エマルジョン(10 g)を得る。
エマルジョンの成分の組成(重量%)は、次のとおりである:
大豆油(油): 14.6%
Lutrol(登録商標) F127: 4.9%
水相: 60%
活性成分: 0.5%
エマルジョンは、25℃の温度に保たれた場合、製造から少なくとも5日間、相分離を示さない。
【0223】
実施例23
式(I)の化合物を含むポリラクテート-ポリグリコレートの粒子の製造
実施例15で得られた化合物I-Aa(10 mg)およびSigma Aldrichより商品化されている、平均分子量40,000〜75,000を有する、コポリマーPLA-PLGA 50:50(100 mg)を、酢酸エチル(4 ml)中に溶解した。得られた有機溶液を、ウルトロチュラックス Politron ターボ乳化機(7 mmのゾンデを用い10,000 rpm )での30分間の処理により、5重量%のSolutol(登録商標) HS15 (Basf)の水溶液(8 ml)中でエマルジョン化した。
【0224】
次いで、有機溶媒(酢酸エチル)を、ロータリーエバポレーター中、50℃に加熱することにより、エマルジョンから除去した。化合物I-Aaを含むPLA-PLGA粒子の水性分散体が形成される。水性分散体を、100,000 MWCOカットオフ(cut off)の膜を有する、遠心分離試験チューブAMICONを用いて遠心分離することにより3回の洗浄サイクルに付した。各回、粒子が存在する試験チューブの上部の区域に蒸留水(15 ml)を加え、各洗浄サイクルを、4,000 rpmで20分間行った。
【0225】
洗浄の最後に、粒子水性分散体を、次の条件(温度-40℃、圧力5×10-2 mbar、時間24時間)下で凍結乾燥した。
得られた粒子を、透過型電子顕微鏡(TEM)および光子相関分光法(PCS)の両方により特徴付けた。粒子に対して測定された平均直径は、TEMで90±20 nmおよびPCSで126±5 nmの結果であった。
【0226】
粒子中に貪食された(englobed)活性成分の含量は、得られた試料の既知量をジクロロメタン中に溶解し、次いで、UV/可視分光光度計により、得られた有機溶液を分析することにより決定した。ナノ粒子の凍結乾燥試料中の測定された化合物I-Aaの量は、最初に酢酸エチルに溶解した量の70%に等しかった。
【0227】
実施例24
式(I)の化合物を含むポリラクテート-ポリグリコレートの粒子の製造
実施例23に示した方法を、
− 化合物I-Aaの代わりに実施例18で得られた化合物I-Da、
− 有機溶媒として、酢酸エチルの代わりにジクロロメタン、
− 界面活性剤として、Solutol(登録商標) HS15の代わりにポリビニルアルコール
を用いる以外は、繰り返した。
【0228】
前記の実施例に記載した凍結乾燥および洗浄工程後に得られた粒子の特徴は、次の結果になる:
− 100±20 nm(TEM): 146±15 nm(PCS)の平均直径、
− 粒子中に含まれる活性成分の量は、最初にジクロロメタンに溶解した量の67%に等しい。
【0229】
実施例25
式(I)の化合物を含む脂質粒子の製造
実施例17で得られた化合物I-Ca(50 mg)を、トリパルミチン(DYNASAN(登録商標) 116, Sasol)(1 g)と70℃の温度で混合した。次いで、油相を、蒸留水(60 ml)中のSolutol(登録商標) HS15(4 g)の水溶液を用いて、Ultraturrax Politron ターボ乳化機により、8,000 rpmで20分間の撹拌下、70℃の同温でエマルジョン化した。得られたエマルジョンを、界面活性剤Solutol(登録商標) HS15により安定化された、化合物I-Caを含む脂質 水ベースの分散体(トリパルミチン)の形成と共に室温に戻した。次いで、分散体を、120 psiの圧力で、装置Microfluidics 110S(高圧ホモジナイザー)中、4サイクルの処理に付した。
【0230】
得られた分散体を、光子相関分光法(PCS)により特徴付けた。脂質粒子に対して測定された平均直径は、180±7 nmの結果であった。
水性分散体を、100,000 MWCOカットオフの膜を有する、遠心分離試験チューブAMICONを用いて遠心分離することにより3回の洗浄サイクルに付した。各回、粒子が存在する試験チューブの上部の区域に蒸留水(15 ml)を加え、各洗浄サイクルを、4,000 rpmで20分間行った。
【0231】
洗浄工程の最後に、水性分散体を、次の実験条件(温度-40℃、圧力5×10-2 mbar、時間24時間)下で凍結乾燥に付した。
粒子中に取り込まれた活性成分の含量は、最終試料の既知量をジクロロメタン中に溶解し、次いで、UV/可視分光光度計により、得られた有機溶液を分析することにより決定した。ナノ粒子の凍結乾燥された試料中の化合物I-Caの量は、最初にトリパルミチンに溶解した量の50%に等しいことが判った。
【0232】
実施例26
ポリオキシエチレン鎖で改質された、式(I)の化合物を含むポリアルキルシアノアクリレートの粒子の製造
a.MePEG(ポリエチレングリコールメチルエーテル)シアノアセテートの製造
MePEGのエステル化反応を、不活性雰囲気(アルゴン)下で行った。予め、無水ジクロロメタン(5 ml)中に溶解した、ジシクロヘキシル-カルボジイミド(DCC)(2.2696 g)および4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)(50 mg)を、無水ジクロロメタン(25 ml)中のシアノ酢酸(0.9357 g)およびMePEG(11 g)の溶液に加えた。得られた試料を室温で6時間撹拌した。生じた固体残渣を真空下の濾過により分離し、ジクロロメタン(3×20 ml)で洗浄した。粘稠な淡黄色の生成物が得られるまで、濾液を減圧下に濃縮した。次いで、イソプロパノールを用いる結晶化による精製を行った。再結晶後、ベージュ色の固体(11 g)を得た。
【0233】
b.ヘキサデシルシアノアセテートの製造
ヘキサデカノールのエステル化反応を、不活性雰囲気(アルゴン)下で行った。予め、無水ジクロロメタン(5 ml)中に溶解した、ジシクロヘキシル-カルボジイミド(DCC)(9.9864 g)および4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)(50 mg)を、無水ジクロロメタン(25 ml)に加えて酢酸エチル(5 ml)中のシアノ酢酸(7.4853 g)およびヘキサデカノール(10.6674 g)の溶液に加えた。得られた試料を室温で24時間撹拌した。次いで、無水ヘキサン(50 ml)を加えた。生じた固体残渣を真空下の濾過により分離し、n-ヘキサン(70 ml)で洗浄した。非晶形の黄色の固体が得られるまで、濾液を減圧下に濃縮した。その後、フラッシュクロマトグラフィー(オイルリグロイン/酢酸エチル 9/1)で精製した。このようにして、白色の固体(14 g)を得た。
【0234】
c.共重合化
2つのエステルの縮合反応を、アルゴン雰囲気中で行った。37重量/容積%のホルマリン(2 ml)および40重量/容積%のジメチルアミン(1 ml)を、無水エタノール(10 ml)および無水ジクロロメタン(20 ml)中のヘキサデシルシアノアセテート(1.238 g)およびMePEGシアノアセテート(2.067 g)の溶液に加えた。反応を、磁気撹拌下、室温で24時間行った。得られた混合物を、蝋状の黄色の固体が得られるまで、減圧下に濃縮した。これを水に分散し、ジクロロメタンで抽出し、次いで硫酸ナトリウムで無水化し、減圧下に乾燥した。このようにして、ポリ(MePEGシアノアクリレート-コ-アルキルシアノアクリレート)(3.4 g)を、蝋状の黄色の固体として得た。
【0235】
d.粒子の製造
ポリ(MePEGシアノアクリレート-コ-アルキルシアノアクリレート)(30 mg)および実施例17で得られた式I-Caの化合物(5 mg)をアセトン(6 ml)中に溶解した。該有機溶液を、磁気撹拌下、蒸留水(12 ml)に滴下した。次いで、有機溶媒を蒸発により除去し、ナノ粒子の水性分散体を得た。粒子水性分散体を、次の条件(温度-40℃、圧力5×10-2 mbar、時間24時間)下で凍結乾燥に付した。
【0236】
得られた粒子を、透過型電子顕微鏡(TEM)および光子相関分光法(PCS)の両方により特徴付けた。測定された平均粒子直径は、TEMで150±17 nmおよびPCSで133±10 nmであった。
粒子中に取り込まれた活性成分の含量は、粒子試料の既知量をジクロロメタン中に溶解し、UV/可視分光光度計により、得られた有機溶液を分析することにより決定した。ナノ粒子の凍結乾燥された試料で測定された化合物I-Caの量は、最初にアセトンに溶解した量に対して60%に等しいことが判った。
【0237】
実施例27
液体コアを有するレシチン粒子の製造
次の成分:3重量%のNaCl水溶液(2.65 g)、Miglyol(登録商標) 812S(1.1 g)、重量比5:1のSolutol(登録商標) HS15と大豆レシチン(Epikuron 200)かる作られる界面活性剤の混合物(1.25 g)、実施例17で得られた式I-Caの化合物(0.005 g)を70℃で混合した。そのようにして得られた液体の油状相を70℃の温度を維持し、4℃に保った蒸留水(50 ml)に、Ultraturrax Politron(登録商標)装置を用いて、7,000 rpmでの連続的な撹拌下、滴下(1滴/秒)した。マイクロエマルジョンの添加後、形成された粒子と一緒の分散体を、4℃でさらに15分間、撹拌下に放置した。次いで、試料を1時間超音波処理し、その後、あらゆる残渣を除くために、0.45ミクロンPTFEフィルターで濾過した。
【0238】
粒子を、遠心分離濾過器「Amicon(登録商標) Ultra(100,000 MWCOカットオフ)」を用い、4回の洗浄サイクル(30分、4,000 rpm、4℃)を行うことにより、水性媒体から分離した。洗浄サイクルの最後に、粒子を水に再度分散し、さらに1時間超音波処理した。粒子水性分散体を、次の条件(温度-40℃、圧力5×10-2 mbar、時間24時間)下で凍結乾燥に付した。
【0239】
得られた粒子を、光子相関分光法(PCS)により特徴付けた。平均粒子直径は、50±7 nmであった。
粒子中に取り込まれた活性成分の含量は、最終試料の既知量をジクロロメタン中に溶解し、UV/可視分光光度計により、得られた有機溶液を分析することにより決定した。ナノ粒子の凍結乾燥された試料で測定された化合物I-Caの量は、出発試料で用いた量に対して52%に等しいことが判った。
【0240】
実施例28
鎮痛効果の評価
オピオイド性受容体のアゴニスト化合物の最も重要な治療適用の1つは、疼痛除去である。モルヒネがこのクラスのオピオイド性誘導体の参照化合物であり、その使用は、急性および慢性の疼痛の場合に推奨される。
【0241】
疼痛治療における、オピオイド受容体のアゴニストの式(I)の化合物の治療特性を評価するために、実験動物における痛覚閾値の評価に一般的に用いられる2つの動物モデル:ホットプレート(Hot Plate)試験およびテイルフリック(Tail Flick)試験を行った。
【0242】
a.ホット-プレート
鎮痛効果を、Ruiu S. ら (J. Pharmacol. Exp. Ther. 306(1) (2003) 363-370)により示された手順に従って、55±0.2℃の一定温度に維持されたプレート上に置かれたマウス(雄性CD1、20〜25 g)の疼痛に対する応答の時間(秒での潜伏時間)を測定することによって評価した。
【0243】
実験において、次の挙動:脚部持ち上げ(前肢または後肢)、脚部を舐めること、跳びあがること等を疼痛のサインとしてみなした。上記のサインの1つが動物に見られたとき、ホットプレートから直ぐに動物を移動し、該当する潜伏時間を記録した。脚組織の損傷を避けるため、その時間後はどんな場合でもプレートから動物を移動する、最大潜伏時間(中断(cut-off))の14秒が設定された。
【0244】
実験から得られた値は、式:
【数1】

(式中、潜伏試験は、薬理学的処置が行われた動物に疼痛サインが現われるまでに経過した秒数である。基準潜伏は、薬物投与前の同じ動物に疼痛サインが現われるまでに経過した秒を意味する。)
に従って、MPE %(最大可能効果(maximum possible effect) %)として表わされた。
【0245】
特に、(実施例15で得られた)式I-Aa、(実施例17で得られた)式I-Ccおよび(実施例16で得られた)式I-Baの化合物の鎮痛効力を、(化合物をギ酸で処理することにより得られ)対応するギ酸塩として、評価した。担体は、生理溶液、エタノールおよびCremophor(登録商標) ELを容積比18.5:1.0:0.5から作られた水溶液であった。担体および担体と共に式(I)の化合物またはモルヒネを含む製剤を、動物において、それぞれ10および20 mg/kgの投薬量を保証するような容積で腹腔内ルート(i.p.)で投与した。
【0246】
参照品として、担体およびモルヒネ(10 mg/kg)を用いた。
鎮痛効果の期間を評価するため、式(I)の化合物および参照品の製剤の投与から異なる時間(15、30、60、120、240、360分)で得られた% MPE値を記録した。表3を参照。
【0247】
b.テイルフリック
この試験のために、体重20〜25 gの雄性CD1マウスを用いた。試験は、(尾の先端から2 cmに置かれた)小熱源のマウスの尾の部分への曝露から動物が熱源から尾を移動する時までに経過した時間を評価することからなる(Ruiu S. ら, J. Pharmacol. Exp. Ther.; 306(1) (2003) 363-370中)。この時間間隔は、調節することができる熱源として赤外ランプを備えた、テイル-フリック試験のための特定の装置(テイルフリックのための機器、Ugo Basile、Italy)により自動的に計算される。該装置は、マウスの尾が熱源に接している間の時間(潜伏時間)を自動的に記録する。組織の損傷を避けるため、その時間後はどんな場合でも熱源からマウスを移動する、最大潜伏時間の12秒が設定された。
【0248】
ホット-プレート試験と同様に、(実施例15で得られた)式I-Aa、(実施例17で得られた)式I-Ccおよび(実施例16で得られた)式I-Baの化合物の鎮痛効力を、対応するギ酸塩として、評価した。担体はホットプレート試験で用いたのと同じであった。担体および担体と式(I)の化合物またはモルヒネを含む製剤を、ホットプレート試験と同じ投与量で腹腔内ルートで投与した。
【0249】
参照品として、担体およびモルヒネ(10 mg/kg)を用いた。
鎮痛効果の期間を評価するため、式(I)の化合物および参照品の製剤の投与から異なる時間(15、30、60、120、240、360分)で得られた% MPE値を記録した。表4を参照。
【0250】
c.結果
それぞれ表3および4に示したホットプレートおよびテイルフリック試験で得られた結果は、式(I)の化合物が有意に疼痛閾値を増加することを示している。事実、投与から120分以内のMPE %値は、対応する担体のそれより著しく高く、それゆえ、試験化合物は鎮痛特性を示す。
【0251】
該特性に関して、投与から30分での式(I)の化合物の鎮痛効果は、モルヒネのそれと等しいかまたはなお一層高い結果であった。その上、特に20 mg/kgの投与量に関して、試験を通して、鎮痛効果が時間中で維持されることがわかる。
【0252】
表3
ホットプレート試験の結果
表中の値は、各実験群および観測時点に対して、少なくとも6匹の動物の±SEM平均に相当する。
【0253】
【表3】

【0254】
表4
テイルフリック試験の結果
表中の値は、各実験群および観測時点に対して、少なくとも6匹の動物の±SEM平均に相当する。
【0255】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主環としてホモピペラジンを有し、オピオイド性μおよび/もしくはδおよび/もしくはκ受容体ならびに/または全てのそれらの受容体のサブクラスに親和性を有し、中枢性および/または末梢性の活性を有し、式(I)(ここで、1以上の環原子は任意に対応する同位体の形態であってもよい)を有する、ノナンおよびデカンジアザ2環性の誘導体、その異性体およびそれらの混合物:
【化1】

[式中、
− nは1または2に等しい整数であり、
− ジアザ2環性の環の窒素原子の置換基RおよびR1の1つは-C(O)-RB基(ここで、RBは、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル基である)であり、
− 他の置換基は次の(II)〜(X)の基から選択される:
構造(II):
【化2】

(式中、
− RCは、直鎖状または可能なとき分枝鎖状の2価の飽和の脂肪族鎖C3-C10であり、
− Bは、水素、イソチアシアネート、CN、OR'、C(O)OR'、C(O)R'、C(O)NR'R''、NR'R''から選択される基であり、R'およびR''は、互いに同一または異なって、水素、直鎖状または可能なとき分枝鎖状の、C1-C7アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシ、C3-C15シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールから選択され、
− DおよびR2は、互いに同一または異なって、
− 水素、但し、式(II)中のB、DおよびR2のうちの少なくとも1つの置換基は水素ではなく、
− 直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
− アリールまたはヘテロアリール、
− C3-C15シクロアルキル
から選択される)、
式(III):
【化3】

(式中、
− B'は前記で定義されたBと同じであり、
− R3は水素、またはR2について定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキル置換基であり、
− R4は次の意味:
− 直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
− 好ましくはO、S、Nから選択される1以上のへテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル、
を有し、B'およびR3の両方が水素でないとき、R4はアリールまたはヘテロアリールのさらなる意味を有する)、
式(IV):
【化4】

(式中、
− B''は前記で定義されたB'と同じ意味を有し、
− R5は前記で定義されたR3と同じ意味を有し、
− R6は前記で定義されたR4と同じ意味を有するか、またはアリールもしくはヘテロアリールである)、
式(V):
【化5】

(式中、
− RDは、2価の飽和または不飽和の、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C8脂肪族鎖であり、
− BIIIおよびR7は、互いに同一または異なって、前記で定義されたR2と同じ意味を有する、但し、BIIIおよびR7は両方がともに水素ではない)、
式(VI):
【化6】

(式中、
− REは不飽和の2価の、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C8脂肪族鎖であり、
− BIVは前記で定義されたBと同じ意味を有し、
− DIおよびDIIは前記で定義されたR2と同じ意味を有する、
但し、式(VI)において、BIV、DIIおよびDIのうちの少なくとも1つの置換分は水素ではない)、
式(VII):
【化7】

(式中、
− DIIIおよびDIVは、互いに同一または異なって、前記で定義されたR2と同じ意味を有するが、水素を除く)、
式(VIII):
【化8】

(式中、DVは前記で定義されたアリールまたはヘテロアリール以外のR4の意味を有する)、
式(IX):
【化9】

(式中、RFは、飽和または不飽和の、直鎖状または可能なとき分枝鎖状の、2価のC2-C8脂肪族鎖であり、R8は前記で定義されたR2と同じ意味を有するが、R8についての水素の意味を除く)、
式(X):
【化10】

(式中、R9は、前記で定義されたR4と同じ意味を有するが、アリールまたはヘテロアリールを除く)
から選択される]。
【請求項2】
式(II)における置換基Bが、OR'、C(O)OR'、C(O)R'、C(O)NR'R''、NR'R''から選択される基であり、R'および/またはR''が、好ましくO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールのそれぞれは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキルから選択される1以上の基で任意に置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(II)におけるDおよび/またはR2が、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキルの意味を有し、該アルキルはヒドロキシ、ハロゲン、CN、C3-C15シクロアルキル、アリール、へテロアリールから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよく、
ここで、−シクロアルキルは、好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよく、
−C3-C15シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される1以上の基で置換されていてもよい、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
式(II)におけるDおよび/またはR2が、好ましくはO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキルの意味を有し、ここで式(II)におけるDおよび/もしくはR2ならびに/または式(IV)におけるR6はアリール、ヘテロアリールであり、アリール、ヘテロアリールおよびシクロアルキルはそれぞれ、互いに同一または異なった次の基:
− ヒドロキシ、ハロゲン、CNから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
− 好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル(シクロアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい)、
− ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル
から選択される1以上の基で任意に置換されていてもよい、請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
式(III)において、R4が直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル(このアルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン、CN、アリール、へテロアリール、または好ましくはO、S、Nから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキルから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよく、ここで、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールはそれぞれ、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよく、アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルはそれぞれ、ヒドロキシ、ハロゲン、C1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよく、これらの構造は全て直鎖状または可能なとき分枝鎖状である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項6】
式(III)において、R4が、好ましくはO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキルの意味を有し、該シクロアルキルは、互いに同一または異なった次の基:
− ヒドロキシ、ハロゲン、CNから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
− 好ましくはO、S、Nから選択される互いに同一または異なった1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル(該シクロアルキルは、互いに同一または異なった次の1以上の基:ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルで任意に置換されていてもよく、上記のアリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル基は、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい)、
− ヒドロキシ、ハロゲン、C1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシ(これらの構造は全て直鎖状または可能なとき分枝鎖状である)から選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル
から選択される1以上の基で任意に置換されていてもよい、請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
式(III)において、B'およびR3は両方がともに水素ではなく、R4がアリールまたはヘテロアリールの意味を有し、アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、互いに同一または異なった次の1以上の基:
− ヒドロキシ、ハロゲン、CNから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、
− 好ましくはO、S、Nから選択される、互いに同一または異なった1以上のヘテロ原子を任意に含んでいてもよいC3-C15シクロアルキル(該シクロアルキルは、互いに同一または異なった次の基:ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルの1以上で任意に置換されていてもよく、上記のアリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル基はヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい)、
− アリールアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらの基の各々は、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C10アルキル、C1-C7アルコキシ、C1-C7アルキルチオ、C1-C7ハロアルキル、C1-C7ハロアルコキシから選択される、互いに同一または異なった1以上の基で任意に置換されていてもよい)
で任意に置換されていてもよい、請求項1〜6のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項8】
RおよびR1の1つが、-C(O)-RB基であり、他の置換基が式(II)〜(X)の構造から選択され、ここで:
− 式(II)において、RCは2価の飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC3-C7脂肪族鎖であり、Bは水素である、
− 式(III)において、B'は水素であり、R3はR2で定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり、ここでR4はアリールまたはヘテロアリールの意味も含み、R3は水素ではなく、Bは水素である、
− 式(IV)において、B''は水素である、
− 式(V)において、RDは飽和または不飽和の2価の、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C5脂肪族鎖であり、BIIIおよびR7は互いに同一または異なってR2と同じ意味を有するが、RIIIおよびR7は両方がともに水素ではない、
− 式(VI)において、REは不飽和の2価の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C5脂肪族鎖であり、BIVは水素であり、DIIおよびDIはR2と同じ意味を有するが、式(VI)においてDIIとDIの少なくとも1つの置換分は水素でない、
式(VII)〜(X)は前記で定義されたとおりである、
請求項1〜7のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項9】
RとR1の一方が-C(O)-RB基であり、ここでRBは直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C4アルキル基であり、他方の置換基が式(II)〜(X)の構造から選択される、ここで、
− 式(II)において、RCは2価の飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC3-C7脂肪族鎖であり、Bは水素である、
− 式(III)において、B'は水素であり、R3は、R2について定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルから選択される置換基であり、ここでR4はアリールまたはヘテロアリールの意味も含み、R3は水素でなく、Bは水素である、
− 式(IV)において、B''は水素である、
− 式(V)において、RDは飽和または不飽和の2価の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C5脂肪族鎖であり、BIIIおよびR7は、互いに同一または異なって、R2と同じ意味を有するが、BIIIおよびR7は両方がともに水素ではない、
− 式(VI)において、REは不飽和の2価の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C5脂肪族鎖であり、BIVは水素であり、DIIおよびDIはR2と同じ意味を有するが、式(VI)におけるDIIとDIの少なくとも1つの置換分は水素でない、
式(VII)〜(X)は前記で定義されたとおりである、
請求項1〜7のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項10】
式(I)において、RおよびR1の一方が-C(O)-RB基であり、ここでRBはメチルまたはエチルであり、他方が式(II)〜(X)の構造から選択される、ここで、
− 式(II)において、RCは2価の飽和の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC3アルキル鎖であり、Bは水素である、
− 式(III)において、B'は水素であり、R3はR2について定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルから選択される置換基であり、R4はアリールまたはヘテロアリールの意味も含む、
− 式(IV)において、B''は水素である、
− 式(V)において、RDは飽和または不飽和の2価の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC2-C5脂肪族鎖であり、BIIIおよびR7は互いに同一または異なってR2と同じ意味を有するが、BIIIおよびR7は両方がともに水素ではない、
− 式(VI)において、REは不飽和の2価の直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC3脂肪族鎖であり、BIVは水素であり、DIIおよびDIはR2と同じ意味を有するが、式(VI)においてDIIとDIの少なくとも一方は水素でない、
式(VII)〜(X)は前記で定義されたとおりである、
請求項1〜7のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項11】
式(I)において、RおよびR1の一方が-C(O)-RB(ここで、RBはメチルまたはエチルである)であり、他方の置換基が次の式の構造から選択される:
− B'が水素であり、R3がR2で定義されたアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルから選択される置換基であり、ここでR4はアリールまたはヘテロアリールの意味も含む式(III)、
− DIIIおよびDIVが互いに同一または異なって水素以外のR2の意味を有する式(VII)、
− DVがアリールまたはヘテロアリール以外のR4の意味を有する式(VIII)、
− R9がアリールまたはヘテロアリール以外のR4の意味を有する式(X)、
請求項1〜7のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項12】
次の式を有する、請求項1〜11のいずれか1つに記載の化合物:
【化11−1】

【化11−2】

【化11−3】

【化11−4】

【化11−5】

【化11−6】

【化11−7】

【化11−8】

【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1つに記載の化合物の水和物、溶媒和物または医薬的に許容される塩。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1つに記載の化合物の異性体またはそれぞれの混合物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1つに記載の化合物の、個体または動物への投与から誘導される代謝物。
【請求項16】
次の工程を含む、請求項1〜12のいずれか1つに記載の化合物の合成方法:
a) アルデヒド2をアミン1(ここで、Rgはメチルまたはベンジルの意味を有する)および1,3-アセトンジカルボン酸3と反応させて、2環性のケトン4を得る、
b) ケトン4をアジドまたはその誘導体の存在下に無機酸で処理して、アミノラクタム5を得る、
c) アミノラクタム5を還元して、ジアザ2環性のアミン6を得る、
d) ジアザ2環性のアミン6をアルキル化された無水物またはアシルクロライド(ここで、無水物またはアシルクロライド中のアルキル鎖は式(I)において前記で定義されたRBである)でアシル化して、アミド7(ここで、アシル置換基-C(O)-RBは式(I)におけるR1の意味を有する)を得る、
e) アミド7を水素化して、アミド8を得る、
f) アミド8のアミン性窒素上に存在する水素を、式(I)で定義された置換基Rで置換して、化合物9を得る。
【化12】

【請求項17】
工程f)の代わりに、化合物8を次の工程f')およびg')に従って反応させる、請求項16に記載の方法:
f') アミド8を熱転位してジアザ2環性の化合物8a(ここで、アミド性窒素のアシル置換基-C(O)-RBは、式(I)におけるRの意味を有する)を得る、
g') 化合物8aのアミン性窒素上に存在する水素を、式(I)で定義された置換基R1で置換して、化合物9aを得る。
【化13】

【請求項18】
工程d)〜f)の代わりに、次のg)〜k)の工程を用いる、請求項1〜12のいずれか1つに記載の化合物を得る方法:
g) ジアザ2環性のアミン6の3位の窒素原子を保護して、化合物10を得る、
h) 化合物10を水素化して、ジアザ2環性のアミノカルバメート化合物11を得る、
i) ジアザ2環性のアミン11を、アルキル無水物またはアシルクロライド(ここで、両化合物中のアルキル鎖は式(I)において定義されたRBである)でアシル化して、アミド12(ここで、アミド性窒素のアシル置換基-C(O)-RBは式(I)におけるRの意味を有する)を得る、
j) アミノ基を脱保護して、化合物8aを得る、
k) 工程g')で記載した反応により化合物9aを得る。
【化14−1】

【化14−2】

【請求項19】
哺乳類および個体における、オピオイド性受容体μおよび/もしくはδおよび/もしくはκ、ならびに/またはそれらの受容体のサブクラスが関与する疾病および障害の治療および予防用の医薬組成物を製造するための、請求項1〜14のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項20】
請求項1〜14のいずれか1つに記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項21】
重量%で、
− 請求項1〜14のいずれか1つに記載の化合物 0.5〜20%
− 界面活性剤、好ましくはアルキル硫酸ナトリウム 0.05〜0.5%
− 崩壊剤 2.5〜10%
を含む、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
請求項1〜14のいずれか1つに記載の化合物およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項23】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースがカプセルまたは錠剤のコア中、および/または錠剤のコーティング中に存在する、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
請求項1〜14のいずれか1つに記載の化合物が、それ自体または有機相に溶解され、1以上の両親媒性化合物を用いることにより水相に分散されている、水中油エマルジョンの形態にある、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項25】
両親媒性化合物が、界面活性剤および/または油もしくは水に可溶なポリマーから選択され、該ポリマーはそれらが溶解している液体中で、凝集体、ミセル、液晶または小胞として、組織化された構造を形成している、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
次の組成(重量%):
− 請求項1〜14のいずれか1つに記載の化合物 0.005〜20%
− 1以上の油 0〜50%
− 1以上の両親媒性化合物 0.01〜50%
− 添加剤 0〜50%
を有し、任意に緩衝化されてもよい、水または生理食塩水を加えて100%となる、請求項24または25に記載の製剤。
【請求項27】
請求項1〜14のいずれか1つに記載の化合物、ならびに脂質または医薬的に許容されるポリマーのミクロおよび/またはナノ粒子を含み、該化合物が上記粒子の内部および/または表面に組み込まれている、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項28】
脂質粒子が、40℃より高い融点を有する脂肪酸もしくはそれらのエステルに基づくもの、または40℃より高い融点を有する脂肪酸もしくはエステルと室温で液状の油との混合物から選択されか、またはそれらが液状の脂質のコアを封入する大豆レシチンの表面層から形成される、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
ポリマーが天然または合成ポリマーである、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項30】
天然ポリマーが蛋白質およびポリサッカライドである、請求項27または29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
合成ポリマーが、ポリオルガノホスファゼン、ポリアンハイドライド、ポリアミド、ポリオルトエステル、ポリアルキルシアノアクリレートおよびポリエステルから選択される、請求項27または29に記載の医薬組成物。
【請求項32】
ポリマーが、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリラクテート ポリエステルおよびポリラクテート/ポリグリコレートコポリマーから選択される、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
粒子の表面が、1以上の表面改質剤の物理化学的吸着および化学的官能化の両方により改質されている、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項34】
表面改質剤が、ポリオキシエチレンまたはペグヒレートされた鎖、蛋白質、抗体、および生理学的バリヤーのレベルで発現される特定の受容体により認識される化合物から選択される、請求項27または33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
粒子の表面改質剤が、ポリマーの主構造に直接結合しているか、または飽和もしくは不飽和の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル鎖、および/もしくは芳香族および/もしくはポリオキシエチレン鎖を含む主構造を有するリンカーにより、ポリマーに共有結合している、請求項27、33または34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
リンカーがポリオキシエチレン鎖またはPEGで形成されている、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
哺乳類および個体における、オピオイド性受容体μおよび/もしくはδおよび/もしくはκ、ならびに/またはそれらの受容体のサブクラスが関与する疾病および障害の治療および予防のための、請求項1〜14のいずれか1つに記載の化合物およびそれらを含む医薬組成物の使用。
【請求項38】
疾病および障害が、疼痛、外科手術後の疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、乱用の治療(例えばヘロインおよびコカイン乱用)、アルコール中毒症、便秘、下痢および胃腸管のその他の障害、悪心、嘔吐、皮膚炎、肥満および食欲に関するその他の障害、鬱病、タバコ依存症(タバコ中毒)、性機能障害、ショック、脳損傷、脊髄損傷、例えば緑内障および眼内高圧のような眼の症状および障害、例えば乳癌のような癌である、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
哺乳類および個体における、オピオイド様受容体μおよび/もしくはδおよび/もしくはκ、ならびに/またはそれらの受容体のサブクラスを確認し、マークするための放射性同位体を含む、請求項1〜14のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項40】
哺乳類および個体における、オピオイド性受容体μおよび/またはδおよび/またはκが関与する疾病および障害の治療および予防用の、請求項20〜36のいずれか1つに記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2010−37341(P2010−37341A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177879(P2009−177879)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(509215651)ニューロサイエンス ファーマネス エス.シー. エー アール.エル. (7)
【氏名又は名称原語表記】NEUROSCIENZE PHARMANESS S.C. A R.L.
【住所又は居所原語表記】Loc. Piscinamanna, Edificio 5, 09010 Pula, Cagliari, ITALY
【Fターム(参考)】