医薬組成物用のチエノピリミジン
本発明は、式(I)で示されるチエノピリミジン化合物を含む新規な医薬組成物に関する。さらに、本発明は、Mnk1及び/又はMnk2(Mnk2a又はMnk2b)及び/又はその変異体のキナーゼ活性の阻害によって影響されうる疾患の予防及び/又は治療のための医薬組成物を製造するための、本発明のチエノピリミジン化合物[式中、Xは、CH又はNより選択される]の使用に関する。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化107】
[式中、
Xは、CH又はNより選択され;
R2は、H、CN、CF3、CON(R4)2;場合によりR3により置換されたO−C1−8アルキル;N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC3−10ヘテロシクリル;N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC5−10ヘテロアリール;並びに場合によりR6により置換されたC1−8アルキルより選択され;そしてXがCHである場合に、R2は、また、F、Cl、SO2NH2であってもよく;
Yは、場合により一つ又は複数のR3により置換された直鎖又は分岐C1−8アルキル;場合により一つ又は複数のR9により置換されたC3−8シクロアルキル;及び場合により一つ又は複数のR9により置換された、式
【化108】
(ここで、nは独立して1〜3であり、Uは、独立してO又はNR5である)のいずれか一つより選択される複素環系より選択され;
R1は、H;Cl;及び場合によりN(R4)2又はFにより置換されたC1−8アルキルより選択され;
R3は、R3が結合しているアルキル鎖の2番目の炭素原子以降のOH、OR4及びN(R4)2;F;CO2H;CON(R4)2;SO2N(R4)2;N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC3−10ヘテロシクリル(ここで、その窒素原子は、H又はC1−3アルキルにより置換されていてもよい);並びにN、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC5−10ヘテロアリールより選択され;
R4は、H及びC1−8アルキルより選択され;
R5は、H;C1−8アルキル;C2−8アルケニル;C3−10シクロアルキル;N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC3−10ヘテロシクリル;N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC5−10ヘテロアリール;COR6;CO2R4;CONH(CH2)mR6;(CH2)mR6;CO(CH2)mR6;(CH2)mC(O)R6;SO2R4;並びにSO2(CH2)mR6(ここで、mは1〜4である)より選択され;
R6は、H;OH;OR4;OC(O)R4;N(R4)2;F;CO2H;CON(R4)2;SO2N(R4)2;N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC3−10ヘテロシクリル;並びに場合によりC1−3アルキル又はN(R4)2により置換されている、N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC5−10ヘテロアリールより選択され;
Wは、F;Cl;Br;I;CN;−(CH2)1−2NR7R8;−C(S)NH2;−CONR7R8;−C(=NR7)NR7R8;−CO2R7;及び−SO2NR7R8より選択されるか;
又はWは、R1と一緒になって、N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5〜7員複素環式環を形成することができ(ここで、その窒素原子は、H、−C(O)−O−C1−4アルキル、−CO−(CH2)1−2−NH2、−CO−(CH2)1−2−NH(C1−3アルキル)又は−CO−(CH2)1−2−N(C1−3アルキル)2により置換されていてもよい);
R7は、H及びC1−8アルキルより選択され;
R8は、H;場合によりR3により置換されたC1−8アルキル;場合によりC1−3アルキルにより置換された、N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC3−10ヘテロシクリル;並びにN、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC5−10ヘテロアリールより選択され;
R9は、O又はNに結合した炭素原子以外の任意の炭素原子上のOH、OR4、N(R4)2、N(R4)COR4,NR4SO2R4及びN(R4)−(CH2)m−R4;F;CO2H;CON(R4)2;SO2N(R4)2;SO2R4;(CH2)mOR4;(CH2)mN(R4)2;N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC3−10ヘテロシクリル;並びにN、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC5−10ヘテロアリールより選択される]
で示される化合物、又はその互変異性体、代謝物、プロドラッグ若しくは薬学的に許容される塩(但し、化合物4−(2−メトキシフェニルアミノ)−5−メチルチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチルは除外する)。
【請求項2】
Xが、CH又はNであり;
R2が、H、CN、CF3、CON(R4)2、場合によりC1−3アルコキシにより置換されたO−C1−4アルキル;又はフラニルであり;そして、XがCHである場合に、R2は、またF、Clであってもよく;
Yが、場合によりR3により置換された直鎖又は分岐C1−4アルキル;場合により一つ又は二つのR9により置換されたC3−8シクロアルキル;或いは場合により一つ又は複数のR9により置換された、式:
【化109】
の任意の一つより選択される複素環系であり(ここで、nは、独立して1〜3であり、Uは、独立してO又はNR5である);
R1が、H;又はC1−3アルキルであり;
R3が、R3が結合しているアルキル鎖の2番目の炭素原子以降のOH、OR4及びN(R4)2;又はN、S及びOより選択される1個又は2個のヘテロ原子を含むC5−7ヘテロシクリルであり(ここで、その窒素原子は、H又はC1−3アルキルによって置換されていてもよい);
R4が、H又はC1−4アルキルであり;
R5が、H;C1−4アルキル;COR6;CO2R4;SO2R4;C(O)−(CH2)m−R6;(CH2)mC(O)R6;又は(CH2)mR6であり;ここで、mは、1〜4であり;
R6が、H;OH;OR4;OC(O)R4;N(R4)2;F;CO2H;CON(R4)2;SO2N(R4)2;N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC3−10ヘテロシクリル;又はC1−3アルキル又はN(R4)2により場合により置換された、N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC5−10ヘテロアリールであり;
Wが、F;Cl;Br;CN;−C(S)NH2;−CONR7R8;−C(=NR7)NR7R8;−CO2R7;又は−SO2NR7R8であるか;
或いはWが、R1と一緒になって、N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5〜7員複素環式環を形成することができ、ここで、その窒素原子は、H、−C(O)−O−C1−4アルキル、−CO−(CH2)1−2−NH2、−CO−(CH2)1−2−NH(C1−3アルキル)又は−CO−(CH2)1−2−N(C1−3アルキル)2により置換されていてもよく;
R7が、H又はC1−3アルキルであり;
R8が、H;場合によりR3により置換されたC1−4アルキル;場合によりC1−3アルキルにより置換された、N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC3−10ヘテロシクリル;又はN、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC5−10ヘテロアリールであり;
R9が、O又はNに結合した炭素原子以外の任意の炭素原子上のOH、OR4、N(R4)2、N(R4)COR4、NR4SO2R4若しくはN(R4)−(CH2)m−R4;SO2R4;−(CH2)m−OR4;又はN、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC3−10ヘテロシクリルであるが;
但し、化合物4−(2−メトキシフェニルアミノ)−5−メチルチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチルは除外される、請求項1記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Xが、CH又はNであり;
R2が、H、CN、CF3、又はCONH2であり;そして、XがCHである場合に、R2が、F、Clであってもよく;
Yが、場合によりN(R4)COR4、SO2R4、−(CH2)m−OR4若しくはモルホリノにより置換されたC3−8シクロアルキル;又は式:
【化110】
(ここで、nは、独立して1〜3であり、Uは、独立してO又はNR5である)の任意の一つより選択される複素環系であり;
R1が、H;又はC1−3アルキルであり;
R3が、OH、OR4、N(R4)2;又はモルホリニル若しくはピロリジニルより選択される複素環であり、ここで、その窒素原子又は該複素環は、C1−3アルキルにより置換されていてもよく;
R4が、H又はC1−4アルキルであり;
R5が、H;COR6;CO2R4;SO2R4;−C(O)−(CH2)m−R6;(CH2)mC(O)R6;又は(CH2)mR6であり;ここで、mが1〜4であり;
R6が、H;OH;OR4;OC(O)R4;N(R4)2;F;CO2H;CON(R4)2;SO2N(R4)2;モルホリニル;又はそれぞれ場合によりメチル若しくはNH2により置換された、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル及びピリジニルより選択されるヘテロアリール基であり;
Wが、F;Cl;Br;CN;−C(S)NH2;−CONR7R8;−C(=NR7)NR7R8;−CO2R7;又は−SO2NR7R8であり;
R7が、H又はC1−3アルキルであり;
R8が、H;C1−4アルキル;R3により末端が置換されたC2−4アルキル;又は場合によりC1−3アルキルにより置換されたピペリジニルである、
請求項2記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項4】
X、Y、W及びR2が、請求項1〜3と同義であり、
R1が、メチルであるが、
但し、化合物4−(2−メトキシフェニルアミノ)−5−メチルチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチルは除外される、請求項1〜3のいずれか一項記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項5】
X、W、R1及びR2が、請求項1〜4と同義であり、
Yが、式:
【化111】
[式中、窒素原子は、場合により、C1−3アルキル、−C(O)OC1−4アルキル、−C(O)C1−4アルキル、−C(O)−(CH2)q−OC1−4アルキル、−C(O)−(CH2)q−N(CH3)2、−SO2C1−3アルキル、−(CH2)p−NH2、−(CH2)p−OH、−(CH2)p−OC(O)C1−3アルキル、−(CH2)qC(O)NH2、−(CH2)qC(O)N(CH3)2;−CH2−ヘテロアリール(これは、場合により該ヘテロアリール部分で、NH2により置換されており、該ヘテロアリール部分は、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル及びピリジニルより選択される);場合によりC1−3アルキルにより置換された−C(O)−ピロリル;又は−CH2−C(O)−モルホリノにより独立して置換されており、
ここで、qは、1〜3であり、pは、2又は3である]
のいずれか一つより選択される複素環系である、請求項4記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項6】
X、Y及びR2が、請求項1〜5と同義であり、そして
Wが、R1及び式(I)で示されるコア構造のチエノ部分と一緒になって、式(II)〜(VI)
【化112】
[式中、R8は、H、−C(O)OC1−4アルキル又は−C(O)−CH2−N(CH3)2である]
より選択される環を形成する、請求項1、2、4又は5のいずれか一項記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項7】
X、Y及びR2が、請求項1〜5と同義であり、
Wが、R1及び式(I)で示されるコア構造のチエノ部分と一緒になって、式(II)
[式中、R8は、H、−C(O)OC1−4アルキル又は−C(O)−CH2−N(CH3)2である]
で示される環を形成する、請求項6記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項8】
X、Y、R1及びR2が、請求項1〜5と同義であり、そして
Wが、−CONR7R8又は−CO2R7より選択され、
ここで、R7は、H又はメチルであり、そして
R8が、場合によりOH、−O−C1−3アルキル、−NH2、−NH(C1−3アルキル)、−N(C1−3アルキル)2、モルホリノ、ピロリジニル又はN−メチル−ピロリジニルにより置換されたC1−4アルキルである、
請求項1〜5のいずれか一項記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項9】
X、Y、R1及びR2が、請求項1〜5と同義であり、
Wが、−C(O)NH2又は−C(O)NHR8であり、
ここで、R8が、請求項8と同義である、
請求項8記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項10】
Y、W及びR1が、請求項1〜9と同義であり、
Xが、CHであり、そして
R2が、F、Cl、CN又はC(O)NH2である、前記請求項のいずれか一項記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項11】
Y、W及びR1が、請求項1〜9と同義であり、
Xが、Nであり、そして
R2が、H又はCNである、
前記請求項のいずれか一項記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項12】
【化113】
より選択される、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物又は請求項13記載の塩と、場合により薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項15】
追加的な治療薬をさらに含む、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項15】
追加的な治療薬が、抗糖尿病剤、脂質降下剤、心血管剤、血圧降下剤、利尿剤、血小板凝集阻害剤、抗腫瘍剤又は抗肥満剤より選択される、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項16】
Mnk1若しくはMnk2(Mnk2a、Mnk2b)又はその変異体のキナーゼ活性の活性阻害に使用するための、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物又は請求項13記載の塩。
【請求項17】
代謝性疾患、造血障害、神経変性疾患、腎障害、炎症障害及びガン並びにそれらの続発性合併症及び疾患の予防又は治療に使用するための、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物又は請求項13記載の塩。
【請求項18】
糖質及び/又は脂質代謝の代謝性疾患並びにそれらの続発性合併症及び障害の予防又は治療に使用するための、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物又は請求項13記載の塩。
【請求項19】
糖尿病の予防又は治療に使用するための、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物又は請求項13記載の塩。
【請求項20】
医薬組成物が、追加的な治療薬と同時又は連続的に患者に投与されうる、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物又は請求項13記載の塩。
【請求項21】
サイトカイン関連障害の治療又は予防に使用するための、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物又は請求項13記載の塩。
【請求項22】
医薬組成物が、追加的な治療薬と同時又は連続的に患者に投与されうる、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
追加的な治療薬が、ヒスタミン拮抗薬、ブラジキニン拮抗薬、セロトニン拮抗薬、ロイコトリエン、抗喘息薬、NSAID、解熱薬、コルチコステロイド、抗生物質、鎮痛、尿酸排泄促進剤、化学療法剤、抗痛風剤、気管支拡張薬、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、ステロイド、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、免疫抑制剤、ロイコトリエン拮抗薬、細胞増殖抑制剤、抗腫瘍剤、mTor阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、サイトカインに対する抗体又はそのフラグメント及びサイトカインレセプターの可溶性部分(フラグメント)より選択される、請求項22記載の化合物。
【請求項24】
医薬組成物が、経口、非経口(例えば気管支肺)、局所性又は局所的適用に適合している、請求項1〜23のいずれか一項記載の医薬組成物又は化合物。
【請求項1】
一般式(I)
【化107】
[式中、
Xは、CH又はNより選択され;
R2は、H、CN、CF3、CON(R4)2;場合によりR3により置換されたO−C1−8アルキル;N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC3−10ヘテロシクリル;N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC5−10ヘテロアリール;並びに場合によりR6により置換されたC1−8アルキルより選択され;そしてXがCHである場合に、R2は、また、F、Cl、SO2NH2であってもよく;
Yは、場合により一つ又は複数のR3により置換された直鎖又は分岐C1−8アルキル;場合により一つ又は複数のR9により置換されたC3−8シクロアルキル;及び場合により一つ又は複数のR9により置換された、式
【化108】
(ここで、nは独立して1〜3であり、Uは、独立してO又はNR5である)のいずれか一つより選択される複素環系より選択され;
R1は、H;Cl;及び場合によりN(R4)2又はFにより置換されたC1−8アルキルより選択され;
R3は、R3が結合しているアルキル鎖の2番目の炭素原子以降のOH、OR4及びN(R4)2;F;CO2H;CON(R4)2;SO2N(R4)2;N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC3−10ヘテロシクリル(ここで、その窒素原子は、H又はC1−3アルキルにより置換されていてもよい);並びにN、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC5−10ヘテロアリールより選択され;
R4は、H及びC1−8アルキルより選択され;
R5は、H;C1−8アルキル;C2−8アルケニル;C3−10シクロアルキル;N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC3−10ヘテロシクリル;N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC5−10ヘテロアリール;COR6;CO2R4;CONH(CH2)mR6;(CH2)mR6;CO(CH2)mR6;(CH2)mC(O)R6;SO2R4;並びにSO2(CH2)mR6(ここで、mは1〜4である)より選択され;
R6は、H;OH;OR4;OC(O)R4;N(R4)2;F;CO2H;CON(R4)2;SO2N(R4)2;N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC3−10ヘテロシクリル;並びに場合によりC1−3アルキル又はN(R4)2により置換されている、N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC5−10ヘテロアリールより選択され;
Wは、F;Cl;Br;I;CN;−(CH2)1−2NR7R8;−C(S)NH2;−CONR7R8;−C(=NR7)NR7R8;−CO2R7;及び−SO2NR7R8より選択されるか;
又はWは、R1と一緒になって、N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5〜7員複素環式環を形成することができ(ここで、その窒素原子は、H、−C(O)−O−C1−4アルキル、−CO−(CH2)1−2−NH2、−CO−(CH2)1−2−NH(C1−3アルキル)又は−CO−(CH2)1−2−N(C1−3アルキル)2により置換されていてもよい);
R7は、H及びC1−8アルキルより選択され;
R8は、H;場合によりR3により置換されたC1−8アルキル;場合によりC1−3アルキルにより置換された、N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC3−10ヘテロシクリル;並びにN、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC5−10ヘテロアリールより選択され;
R9は、O又はNに結合した炭素原子以外の任意の炭素原子上のOH、OR4、N(R4)2、N(R4)COR4,NR4SO2R4及びN(R4)−(CH2)m−R4;F;CO2H;CON(R4)2;SO2N(R4)2;SO2R4;(CH2)mOR4;(CH2)mN(R4)2;N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC3−10ヘテロシクリル;並びにN、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC5−10ヘテロアリールより選択される]
で示される化合物、又はその互変異性体、代謝物、プロドラッグ若しくは薬学的に許容される塩(但し、化合物4−(2−メトキシフェニルアミノ)−5−メチルチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチルは除外する)。
【請求項2】
Xが、CH又はNであり;
R2が、H、CN、CF3、CON(R4)2、場合によりC1−3アルコキシにより置換されたO−C1−4アルキル;又はフラニルであり;そして、XがCHである場合に、R2は、またF、Clであってもよく;
Yが、場合によりR3により置換された直鎖又は分岐C1−4アルキル;場合により一つ又は二つのR9により置換されたC3−8シクロアルキル;或いは場合により一つ又は複数のR9により置換された、式:
【化109】
の任意の一つより選択される複素環系であり(ここで、nは、独立して1〜3であり、Uは、独立してO又はNR5である);
R1が、H;又はC1−3アルキルであり;
R3が、R3が結合しているアルキル鎖の2番目の炭素原子以降のOH、OR4及びN(R4)2;又はN、S及びOより選択される1個又は2個のヘテロ原子を含むC5−7ヘテロシクリルであり(ここで、その窒素原子は、H又はC1−3アルキルによって置換されていてもよい);
R4が、H又はC1−4アルキルであり;
R5が、H;C1−4アルキル;COR6;CO2R4;SO2R4;C(O)−(CH2)m−R6;(CH2)mC(O)R6;又は(CH2)mR6であり;ここで、mは、1〜4であり;
R6が、H;OH;OR4;OC(O)R4;N(R4)2;F;CO2H;CON(R4)2;SO2N(R4)2;N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC3−10ヘテロシクリル;又はC1−3アルキル又はN(R4)2により場合により置換された、N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC5−10ヘテロアリールであり;
Wが、F;Cl;Br;CN;−C(S)NH2;−CONR7R8;−C(=NR7)NR7R8;−CO2R7;又は−SO2NR7R8であるか;
或いはWが、R1と一緒になって、N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む5〜7員複素環式環を形成することができ、ここで、その窒素原子は、H、−C(O)−O−C1−4アルキル、−CO−(CH2)1−2−NH2、−CO−(CH2)1−2−NH(C1−3アルキル)又は−CO−(CH2)1−2−N(C1−3アルキル)2により置換されていてもよく;
R7が、H又はC1−3アルキルであり;
R8が、H;場合によりR3により置換されたC1−4アルキル;場合によりC1−3アルキルにより置換された、N、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC3−10ヘテロシクリル;又はN、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC5−10ヘテロアリールであり;
R9が、O又はNに結合した炭素原子以外の任意の炭素原子上のOH、OR4、N(R4)2、N(R4)COR4、NR4SO2R4若しくはN(R4)−(CH2)m−R4;SO2R4;−(CH2)m−OR4;又はN、S及びOより選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含むC3−10ヘテロシクリルであるが;
但し、化合物4−(2−メトキシフェニルアミノ)−5−メチルチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチルは除外される、請求項1記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Xが、CH又はNであり;
R2が、H、CN、CF3、又はCONH2であり;そして、XがCHである場合に、R2が、F、Clであってもよく;
Yが、場合によりN(R4)COR4、SO2R4、−(CH2)m−OR4若しくはモルホリノにより置換されたC3−8シクロアルキル;又は式:
【化110】
(ここで、nは、独立して1〜3であり、Uは、独立してO又はNR5である)の任意の一つより選択される複素環系であり;
R1が、H;又はC1−3アルキルであり;
R3が、OH、OR4、N(R4)2;又はモルホリニル若しくはピロリジニルより選択される複素環であり、ここで、その窒素原子又は該複素環は、C1−3アルキルにより置換されていてもよく;
R4が、H又はC1−4アルキルであり;
R5が、H;COR6;CO2R4;SO2R4;−C(O)−(CH2)m−R6;(CH2)mC(O)R6;又は(CH2)mR6であり;ここで、mが1〜4であり;
R6が、H;OH;OR4;OC(O)R4;N(R4)2;F;CO2H;CON(R4)2;SO2N(R4)2;モルホリニル;又はそれぞれ場合によりメチル若しくはNH2により置換された、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル及びピリジニルより選択されるヘテロアリール基であり;
Wが、F;Cl;Br;CN;−C(S)NH2;−CONR7R8;−C(=NR7)NR7R8;−CO2R7;又は−SO2NR7R8であり;
R7が、H又はC1−3アルキルであり;
R8が、H;C1−4アルキル;R3により末端が置換されたC2−4アルキル;又は場合によりC1−3アルキルにより置換されたピペリジニルである、
請求項2記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項4】
X、Y、W及びR2が、請求項1〜3と同義であり、
R1が、メチルであるが、
但し、化合物4−(2−メトキシフェニルアミノ)−5−メチルチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸エチルは除外される、請求項1〜3のいずれか一項記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項5】
X、W、R1及びR2が、請求項1〜4と同義であり、
Yが、式:
【化111】
[式中、窒素原子は、場合により、C1−3アルキル、−C(O)OC1−4アルキル、−C(O)C1−4アルキル、−C(O)−(CH2)q−OC1−4アルキル、−C(O)−(CH2)q−N(CH3)2、−SO2C1−3アルキル、−(CH2)p−NH2、−(CH2)p−OH、−(CH2)p−OC(O)C1−3アルキル、−(CH2)qC(O)NH2、−(CH2)qC(O)N(CH3)2;−CH2−ヘテロアリール(これは、場合により該ヘテロアリール部分で、NH2により置換されており、該ヘテロアリール部分は、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル及びピリジニルより選択される);場合によりC1−3アルキルにより置換された−C(O)−ピロリル;又は−CH2−C(O)−モルホリノにより独立して置換されており、
ここで、qは、1〜3であり、pは、2又は3である]
のいずれか一つより選択される複素環系である、請求項4記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項6】
X、Y及びR2が、請求項1〜5と同義であり、そして
Wが、R1及び式(I)で示されるコア構造のチエノ部分と一緒になって、式(II)〜(VI)
【化112】
[式中、R8は、H、−C(O)OC1−4アルキル又は−C(O)−CH2−N(CH3)2である]
より選択される環を形成する、請求項1、2、4又は5のいずれか一項記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項7】
X、Y及びR2が、請求項1〜5と同義であり、
Wが、R1及び式(I)で示されるコア構造のチエノ部分と一緒になって、式(II)
[式中、R8は、H、−C(O)OC1−4アルキル又は−C(O)−CH2−N(CH3)2である]
で示される環を形成する、請求項6記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項8】
X、Y、R1及びR2が、請求項1〜5と同義であり、そして
Wが、−CONR7R8又は−CO2R7より選択され、
ここで、R7は、H又はメチルであり、そして
R8が、場合によりOH、−O−C1−3アルキル、−NH2、−NH(C1−3アルキル)、−N(C1−3アルキル)2、モルホリノ、ピロリジニル又はN−メチル−ピロリジニルにより置換されたC1−4アルキルである、
請求項1〜5のいずれか一項記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項9】
X、Y、R1及びR2が、請求項1〜5と同義であり、
Wが、−C(O)NH2又は−C(O)NHR8であり、
ここで、R8が、請求項8と同義である、
請求項8記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項10】
Y、W及びR1が、請求項1〜9と同義であり、
Xが、CHであり、そして
R2が、F、Cl、CN又はC(O)NH2である、前記請求項のいずれか一項記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項11】
Y、W及びR1が、請求項1〜9と同義であり、
Xが、Nであり、そして
R2が、H又はCNである、
前記請求項のいずれか一項記載の一般式(I)で示される化合物、又はその互変異性体、エステル、アミド若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項12】
【化113】
より選択される、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物又は請求項13記載の塩と、場合により薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項15】
追加的な治療薬をさらに含む、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項15】
追加的な治療薬が、抗糖尿病剤、脂質降下剤、心血管剤、血圧降下剤、利尿剤、血小板凝集阻害剤、抗腫瘍剤又は抗肥満剤より選択される、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項16】
Mnk1若しくはMnk2(Mnk2a、Mnk2b)又はその変異体のキナーゼ活性の活性阻害に使用するための、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物又は請求項13記載の塩。
【請求項17】
代謝性疾患、造血障害、神経変性疾患、腎障害、炎症障害及びガン並びにそれらの続発性合併症及び疾患の予防又は治療に使用するための、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物又は請求項13記載の塩。
【請求項18】
糖質及び/又は脂質代謝の代謝性疾患並びにそれらの続発性合併症及び障害の予防又は治療に使用するための、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物又は請求項13記載の塩。
【請求項19】
糖尿病の予防又は治療に使用するための、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物又は請求項13記載の塩。
【請求項20】
医薬組成物が、追加的な治療薬と同時又は連続的に患者に投与されうる、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物又は請求項13記載の塩。
【請求項21】
サイトカイン関連障害の治療又は予防に使用するための、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物又は請求項13記載の塩。
【請求項22】
医薬組成物が、追加的な治療薬と同時又は連続的に患者に投与されうる、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
追加的な治療薬が、ヒスタミン拮抗薬、ブラジキニン拮抗薬、セロトニン拮抗薬、ロイコトリエン、抗喘息薬、NSAID、解熱薬、コルチコステロイド、抗生物質、鎮痛、尿酸排泄促進剤、化学療法剤、抗痛風剤、気管支拡張薬、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、ステロイド、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、免疫抑制剤、ロイコトリエン拮抗薬、細胞増殖抑制剤、抗腫瘍剤、mTor阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、サイトカインに対する抗体又はそのフラグメント及びサイトカインレセプターの可溶性部分(フラグメント)より選択される、請求項22記載の化合物。
【請求項24】
医薬組成物が、経口、非経口(例えば気管支肺)、局所性又は局所的適用に適合している、請求項1〜23のいずれか一項記載の医薬組成物又は化合物。
【公表番号】特表2012−500825(P2012−500825A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524346(P2011−524346)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060876
【国際公開番号】WO2010/023181
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060876
【国際公開番号】WO2010/023181
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】
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