説明

半導体発光素子及び半導体発光素子の製造方法

【課題】高性能で高信頼性の、銀を用いた電極を有する半導体発光素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、第1半導体層と、発光部と、第2半導体層と、反射電極と、酸化物層と、窒素含有層と、を含む半導体発光素子が提供される。第1半導体層は、第1導電形である。発光部は、第1半導体層の上に設けられる。第2半導体層は、発光部の上に設けられ、第2導電形である。反射電極は、第2半導体層の上に設けられ、Agを含む。酸化物層は、反射電極の上に設けられ、開口部を有し、絶縁性である。窒素含有層は、酸化物層の上に設けられ、開口部に繋がる開口部を有し、絶縁性である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体発光素子及び半導体発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)などの半導体発光素子において、光取りだし効率を高めるために、高反射率の銀(Ag)を電極として用いる構成がある。しかしながら、Agを用いた場合、マイグレーションが発生し易く、安定した特性が得難く、信頼性が低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−260245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、高性能で高信頼性の、銀を用いた電極を有する半導体発光素子及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、第1半導体層と、発光部と、第2半導体層と、反射電極と、酸化物層と、窒素含有層と、を含む半導体発光素子が提供される。前記第1半導体層は、第1導電形である。前記発光部は、前記第1半導体層の上に設けられる。前記第2半導体層は、前記発光部の上に設けられ、第2導電形である。前記反射電極は、前記第2半導体層の上に設けられ、Agを含む。前記酸化物層は、前記反射電極の上に設けられ、開口部を有し、絶縁性である。前記窒素含有層は、前記酸化物層の上に設けられ、前記開口部に繋がる開口部を有し、絶縁性である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態に係る半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る半導体発光素子を示す模式的透過平面図である。
【図3】第1の実施形態に係る半導体発光素子の一部を示す模式的断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を示すフローチャート図である。
【図5】図5(a)〜図5(e)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を示す工程順模式的断面である。
【図6】半導体発光素子の特性を示すグラフ図である。
【図7】第1の実施形態に係る別の半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図8】第1の実施形態に係る別の半導体発光素子を示す模式的透過平面図である。
【図9】第2の実施形態に係る半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【図10】第1の実施形態に係る別の半導体発光素子を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。 図2は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的透過平面図である。
図1は、図2のA1−A2線断面図である。
図1及び図2に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110は、第1半導体層10と、発光部30と、第2半導体層20と、反射電極40と、酸化物層41と、窒素含有層42と、を含む。
【0009】
第1半導体層10は、第1導電形である。発光部30は、第1半導体層10の上に設けられる。第2半導体層20は、発光部30の上に設けられる。第2半導体層20は、第1導電形とは異なる第2導電形である。例えば、第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。ただし、実施形態はこれに限らない。第1導電形がp形で、第2導電形がn形でも良い。以下では、第1導電形がn形であり、第2導電形がp形である場合について説明する。
【0010】
ここで、第1半導体層10から第2半導体層20に向かう方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向とX軸方向とに対して垂直な方向をY軸方向とする。Z軸方向は、第1半導体層10、発光部30及び第2半導体層20の積層方向である。第1半導体層10、発光部30及び第2半導体層20は、積層体15に含まれる。
【0011】
反射電極40は、第2半導体層20の上に設けられている。反射電極40は、銀(Ag)を含む。
【0012】
酸化物層41は、反射電極40の上に設けられる。この例では、酸化物層41は、絶縁性であり、第1開口部41hを有する。後述するように、酸化物層41は、導電性でも良い。酸化物層41が導電性の場合、第1開口部41hは設けられなくても良い。
【0013】
窒素含有層42は、酸化物層41の上に設けられる。この例では、窒素含有層42は、絶縁性であり、第2開口部42hを有する。第2開口部42hの少なくとも一部は、第1開口部41hに繋がる。後述するように、窒素含有層42は、導電性でも良い。窒素含有層42が導電性の場合、第2開口部42hは設けられなくても良い。
【0014】
酸化物層41が第1開口部41hを有し、窒素含有層42が第2開口部42hを有する場合、例えば、反射電極40のうちの、酸化物層41の第1開口部41h及び窒素含有層42の第2開口部42hにおいて露出する部分の面積は、反射電極40のうちの、酸化物層41に覆われている部分の面積よりも小さい。
【0015】
酸化物層41が絶縁性である場合、酸化物層41は、Si、Ge、Ti、Zr、Hf、Ce、Y及びLaの少なくともいずれかの酸化物を含むことができる。例えば、酸化物層41として、SiOを用いることができる。
【0016】
窒素含有層42が絶縁性である場合、窒素含有層42は、Si、Ge、Ti、Zr、Hf及びCeの少なくともいずれかの窒化物または酸窒化物を含むことができる。例えば、窒素含有層42として、Siを用いることができる。また、窒素含有層42として、SiONを用いることができる。
【0017】
図1に表したように、この例では、半導体発光素子110は、第1半導体層側電極35をさらに有する。第1半導体層側電極35と反射電極40との間に、第2半導体層20が配置される。第2半導体層20と第1半導体層側電極35との間に発光部30が配置される。発光部30と第1半導体層側電極35との間に第1半導体層10が配置される。
【0018】
さらに、金属層50が設けられている。金属層50の少なくとも一部は、第1開口部41h及び第2開口部42hの中に設けられている。例えば、金属層50は、窒素含有層42の少なくとも一部を覆う。金属層50は、第1開口部41h及び第2開口部42hを介して、反射電極40と電気的に接続されている。金属層50には、例えば、反射電極40に接するTi膜と、Ti膜の上に設けられたPt膜と、Pt膜の上に設けられたAu膜と、を含む積層膜が用いられる。金属層50の少なくとも一部は、第1開口部41h及び第2開口部42hの中に設けられる。金属層50は、第1開口部41h及び第2開口部42hを介して反射電極40と電気的に接続される。
【0019】
この例では、支持基板60と、接合層61とが設けられている。支持基板60と反射電極40との間に金属層50が配置される。支持基板60と金属層50との間に接合層61が配置される。支持基板60には、例えば、シリコン基板が用いられる。接合層61には、例えばAu−Sn合金が用いられる。
【0020】
例えば、図示しない結晶成長用基板の上に、第1半導体層10、発光部30、第2半導体層20が順次結晶成長される。第2半導体層20の上に反射電極40、酸化物層41及び窒素含有層42が形成される。さらに、この上に金属層50が形成される。この後、結晶成長用基板が除去され、露出した第1半導体層10の上に第1半導体層側電極35が形成される。金属層50と接合層61とが接合される。これにより、半導体発光素子110が得られる。
【0021】
図2に表したように、複数の第1開口部41hと、複数の第2開口部42hと、を設けることができる。この例では、これらの開口部はそれぞれ4つ設けられている。開口部h1、h2、h3及びh4のそれぞれにおいて、第2開口部42hは第1開口部41hを介して、反射電極40に繋がる。
【0022】
金属層50と第1半導体層側電極35とに電圧を印加することで、発光部30から光が放出される。発光部30から出射した光は、反射電極40で反射し、主に、第1半導体層10の側の面から外部に出射する。
【0023】
第1半導体層10には、例えば、n形GaN層が用いられる。第2半導体層20には、例えば、p形GaN層が用いられる。
【0024】
図3は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の一部の構成を例示する模式的断面図である。
図3に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子110においては、発光部30は、複数の障壁層31と、複数の障壁層31の間に設けられた井戸層32と、を含む。この例では、2つの井戸層32が図示されているが、井戸層32の数は、1つでも3つ以上でも良い。すなわち、発光部30は、SQW(Single-Quantum Well)構造、または、MQW(Multi-Quantum Well)構造を有することができる。
【0025】
この例では、障壁層31と井戸層32との間に、中間層が設けられている。例えば、井戸層32から見て第1半導体層10の側の障壁層31とその井戸層32との間に第1中間層33が設けられている。井戸層32から見て第2半導体層20の側の障壁層31とその井戸層32との間に第2中間層34が設けられている。
【0026】
障壁層31には、例えば、InxbAlybGa1−xb−ybN(0<xb<1、0<yb<1)が用いられる。障壁層31には、例えばIn0.02Al0.33Ga0.65Nが用いられる。障壁層31の厚さは、例えば12.5ナノメートル(nm)である。
【0027】
第1中間層33には、例えば、Inx1Ga1−x1N(0<x1<1)が用いられる。第1中間層33には、例えば、In0.02Ga0.98Nが用いられる。第1中間層33の厚さは、例えば0.5nmである。
【0028】
井戸層32には、例えば、Inx0Ga1−x0N(0<x0<1)が用いられる。井戸層32には、例えば、In0.15Ga0.85Nが用いられる。井戸層32の厚さは、例えば、2.5nmである。
【0029】
第2中間層34には、例えば、Inx2Ga1−x2N(0<x2<1)が用いられる。第2中間層34には、例えば、In0.02Ga0.98Nが用いられる。第2中間層34の厚さは、例えば0.5nmである。
【0030】
なお、第1中間層33及び第2中間層34は必要に応じて設けられ、省略しても良い。複数の障壁層31が設けられる場合、複数の障壁層31において組成及び厚さの少なくともいずれかが異なっても良い。複数の井戸層32が設けられる場合、複数の井戸層32において組成及び厚さの少なくともいずれかが異なっても良い。
【0031】
上記のように、第1半導体層10、発光部30及び第2半導体層20には、窒化物半導体が用いられる。発光部30から放出される光のピーク波長は、410nm以上700nm以下である。特に、紫外〜青の光を放出する半導体発光素子において、Agを反射電極として用いることにより、高い光取り出し効率が得られる。
【0032】
半導体発光素子110の製造方法の例について説明する。
図4は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を例示するフローチャート図である。
図5(a)〜図5(e)は、第1の実施形態に係る半導体発光素子の製造方法を例示する工程順模式的断面である。
図4に表したように、第1半導体層10、発光部30及び第2半導体層20を含む積層体15の第2半導体層20の上にAgを含む反射電極40を形成する(ステップS110)。
【0033】
例えば、図5(a)に表したように、サファイアの結晶成長用基板5の上に、例えば有機金属気層成長(MOCVD)法を用いて、積層体15となる窒化物半導体層を順次成長させる。例えば、サファイアの結晶成長用基板5の上にバッファ層6を形成し、その上に、第1半導体層10となるn形GaN層を形成する。その上に発光部30を形成する。さらに、発光部30の上に、第2半導体層20となるp形GaN層を形成する。そして、p形GaN層の上に反射電極40となるAg層を成膜する。
【0034】
図4及び図5(b)に表したように、本製造方法では、反射電極40の上に酸化物層41を形成する(ステップS120)。例えば、反射電極40の上に、例えば、酸化物層41となるSiO膜を形成する。SiO膜の形成には、例えば、真空蒸着法またはスパッタ法などを用いることができる。
【0035】
図4及び図5(c)に表したように、積層体15、反射電極40及び酸化物層41を含む加工体を、酸素を含む雰囲気中で熱処理する(ステップS130)。例えば、酸素雰囲気中で、200℃以上500℃以下の温度でアニールを行う。例えば、酸素雰囲気中でのシンター処理が行われる。このとき、図5(c)に表したように、酸化物層41を介して、酸素7は、反射電極40に到達する。反射電極40と第2半導体層20(p形GaN層)とのオーミックコンタクトが形成される。
【0036】
さらに、図4及び図5(d)に表したように、熱処理が施された酸化物層41の上に、窒素含有層42を形成する(ステップS140)。例えば、窒素含有層42として、Si膜を形成する。窒素含有層42は、酸化物層41を覆うように形成される。本実施形態において、酸化物層41となる層の表面部分を窒化し、窒素含有層42を形成しても良い。
【0037】
さらに、酸化物層41及び窒素含有層42が絶縁性である場合には、第1開口部41h及び第2開口部42hを形成する。
すなわち、図4及び図5(e)に表したように、酸化物層41及び窒素含有層42を加工する(ステップS150)。この加工においては、例えば、フォトリソグラフィとエッチングが用いられる。
【0038】
さらに、図4に表したように、酸化物層41及び窒素含有層42が加工されて、酸化物層41及び窒素含有層42が除去された部分(第1開口部41h及び第2開口部42h)において反射電極40と電気的に接する金属層50を形成する(ステップS160)。例えば、金属層50となる、Ti膜/Pt膜/Au膜の積層膜を形成する。
【0039】
支持基板60となる例えばSi基板を用意する。支持基板60の主面上には、接合層61となる、Au−Sn層が形成されている。上記の加工体の金属層50と、接合層61と、を対向させる。例えば、250℃以上の高温下において、これらの基板に圧力を印加し、金属層50と接合層61とを接合する(ステップS170)。
【0040】
さらに、結晶成長用基板5の側からUV(Ultra-Violet)レーザ(例えば、KrFの波長248nmのレーザ)をパルス照射し、積層体15から結晶成長用基板5を剥離する(ステップS180)。
【0041】
さらに、リソグラフィとエッチングにより、積層体15を加工し、素子毎に分離する。このとき、金属層50はパターニングされず、素子毎に分離された積層体15どうしの間には、金属層50が露出した状態となる。また、パターニングされた積層体15は、側面が傾斜したテーパ状のメサとなる。すなわち、Z軸方向に対して垂直な方向における第1半導体層10の幅は、Z軸方向に対して垂直なその方向における第2半導体層20の幅よりも小さい。例えば、第1半導体層10から第2半導体層20に向かうに従って、膜面の面積が、連続的に増大する。
【0042】
次に、積層体15及び金属層50の表面を覆うように、保護層(図1では図示しない)を形成する。例えば、保護層としてSiO膜を形成する。次に、積層体15の上面を覆っている保護層を除去する。このとき、積層体15の上面(第1半導体層10側の面)の外縁部分の保護層は残す。これにより、積層体15の上面の外縁部分を除いて、上面が露出する。
【0043】
積層体15の上面にウエットエッチングを行う。例えば、濃度が1mol/lで、温度が70℃の水酸化カリウムを用い、15分間のエッチングを行う。積層体15の上面が粗面化する。さらに、積層体15の上面に第1半導体層側電極35を形成する。第1半導体層側電極35には、アルカリ耐性が高い材料を用いることが好ましい。第1半導体層側電極35には、例えば、Pt、Au、Ni及びTiのうちのいずれかの金属を含む材料を用いることが好ましい。
上記の方法により、半導体発光素子110が形成できる。半導体発光素子110は、結晶成長用基板5が除去されたThin Film(TF)型の半導体発光素子である。
【0044】
本実施形態に係る半導体発光素子110においては、第2半導体層20の上に設けられる電極として、反射率の高いAgが用いられる。Ag電極をp形GaN層の上に形成しただけでは、Ag電極p形GaN層とのコンタクトは得られない。本願発明者の検討によると、Ag電極をp形GaN層の上に形成した後に熱処理を行うことでAg電極とp形GaN層とのコンタクト抵抗が低下する。このとき、熱処理における雰囲気がコンタクト抵抗に影響を与える。
【0045】
図6は、半導体発光素子の特性を例示するグラフ図である。
図6は、第2半導体層20(p形GaN層)の上に反射電極40(Ag層)を形成し、その後、窒素中で熱処理したとき、及び、酸素中で熱処理したときの、p形GaN層とAg層とのコンタクト抵抗の測定結果を例示している。図6の横軸は熱処理の温度T(℃)であり、図6の縦軸はコンタクト抵抗Rc(Ωcm)である。図6中、三角印は窒素中の熱処理に対応し、丸印は酸素中の熱処理に対応する。
【0046】
図6から分かるように、窒素中での熱処理(三角印)においては、コンタクト抵抗Rcが高い。これに対し、酸素中の熱処理(丸印)においては、コンタクト抵抗が低い。このように、低いコンタクト抵抗Rcを得るためには、酸素を含む雰囲気における熱処理が有効である。
【0047】
しかしながら、p形GaN層の上に形成したAg層を酸素中で熱処理すると、Agのマイグレーションが生じ、安定した特性が得られない。
【0048】
マイグレーションを抑制するために、Ag層の上に他の金属層を形成する方法が考えられる。しかしながら、例えば、Ag層の上に、Pt層、Rh層、Ni層またはAl層を形成する構成では、半導体発光素子の動作電圧Vfが上昇し、また、光出力が低下し易いことが分かった。
【0049】
本願発明者が解析したところ、例えば、反射電極40のAg層の上にNi層を形成する構成においては、反射電極40の周辺部に比べて中央部では発光強度が低いことが分かった。これは、Niが酸素を透過させないことが原因であると考えられる。すなわち、周辺部では、Ag層の端面を介してAg層に酸素が供給され、p形GaN層とAg層とのコンタクト抵抗Rcが低下するのに対して、中央部では、Ag層に酸素が供給されず、コンタクト抵抗Rcが十分に下がらないことが原因であると考えられる。すなわち、反射電極40の周縁部だけでオーミック接触が得られ、中央部ではオーミック接触が得られない。このため、均一な電流が注入できないため、動作電圧Vfが上昇する。そして、得られる光出力も低下する。すなわち、発光効率が低い。また、Ag層の上にNi層を形成した試料を分析すると、Ni元素が、Ag層とp形GaN層との界面に拡散している現象も観察された。
【0050】
このように、マイグレーションを抑制するために、Ag層の上に他の金属層を形成する構成においては、動作電圧Vfが上昇し、光出力が低下し易い。
【0051】
本実施形態においては、反射電極40(Ag層)の上に、酸化物層41を形成した状態で、熱処理を行う。このとき、酸素雰囲気中で熱処理することにより、低いコンタクト抵抗が得られる。そして、酸化物層41は酸素を透過するため、Ag層に均一に酸素を供給することができる。これにより、反射電極40の面内において、均一で低いコンタクト抵抗Rcが得られる。これにより、動作電圧Vfの上昇、及び、光出力の低下が抑制できる。そして、酸化物層41で反射電極40が実質的に覆われているため、熱処理及びその後において、Agのマイグレーションが抑制される。
【0052】
Agの反射電極40の上に酸化物層41を設けただけの構成においては、信頼性が低くなり易い。すなわち、酸化物層41は、水分などの不純物を透過し易い。例えば、酸化物層41を介して、水がAg層に到達すると、Agのマイグレーションが生じ易くなる。また、例えば、酸化物層41を介して、硫黄(S)がAg層に到達すると、Agの硫化物が生成され、所望の特性が得られない。また、金属層50及び接合層61に含まれる他元素が、酸化物層41を介して、Ag層とp形GaN層との界面に拡散し易くなる。
【0053】
本実施形態においては、Agの反射電極40の上に設けられた酸化物層41と、酸化物層41の上に設けられた窒素含有層42と、の2層構成を採用する。酸化物層41の上に窒素含有層42を設けることで、水の進入によるマイグレーション、硫化物の生成、及び、Ag層とp形GaN層との界面への他元素の拡散が抑制できる。
【0054】
このように、本実施形態においては、酸化物層41を介した酸素雰囲気中での熱処理により、低く均一なコンタクト抵抗が得られる。これと同時に、窒素含有層42により、外部からの不純物などに起因した種々の劣化を抑制できる。本実施形態においては、拡散しやすい金属ではなく、Ag層の上に酸化物層41を形成し、その酸化物層41を介して熱処理できる構成を採用する。これにより、低動作電圧で、均一な発光分布を得ることができる。そして、さらに窒素含有層42を設けることで高い信頼性を実現する。
【0055】
例えば、酸化物層41の厚さは、1ナノメートル(nm)以上100nm以下である。酸化物層41の厚さが、1nmよりも薄いと、Agのマイグレーションの抑制効果が低くなる。酸化物層41の厚さが100nmよりも厚いと、酸素の透過性が低くなりコンタクト抵抗Rcが十分に下がらないことがある。
【0056】
例えば、窒素含有層42の厚さは、1nm以上10nm以下である。窒素含有層42の厚さが、1nmよりも薄いと、水などの不純物に対するブロック効果が小さくなる。窒素含有層42の厚さが10nmよりも厚いと、開口部を形成するための加工が困難となる。
【0057】
なお、例えば、Ag層の上に、酸化物層41を形成しないで、窒素含有層(Si膜など)を直接形成する構成においては、Ag層に酸素が十分に供給されないため、低いコンタクト抵抗を得ることが困難である。同様に、Ag層の上に窒素含有層42を形成し、さらにこの上に酸化物層41を形成する構成でも、Ag層に酸素が十分に供給されないため、低いコンタクト抵抗を得ることが困難である。
【0058】
すなわち、Ag層の上に酸化物層41だけを形成する構成、Ag層の上に窒素含有層42だけを形成する構成、及び、Ag層の上に窒素含有層42を形成しその上に酸化物層41を形成する構成(本実施形態と積層順が逆)においては、高性能で高信頼性の、銀を用いた電極を有する半導体発光素子を得ることは困難である。これに対して、Ag層の上に酸化物層41を設けその上に窒素含有層42を設ける本実施形態において、高性能で高信頼性の、銀を用いた電極を有する半導体発光素子を得ることができる。
【0059】
なお、Ag層の上に形成した酸化物層41の上に窒素含有層42を形成した状態で、酸素中での熱処理を行う場合は、酸素が窒素含有層42でブロックされるため、酸化物層41を形成した後で、窒素含有層42を形成する前に、酸素を含む雰囲気中で熱処理を行う。
【0060】
実施形態において、例えば、窒素含有層42(例えばSi)をCVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成すると、窒素含有層42には、水素が多く含まれる。この水素は、p形GaN層を不活性化させる作用を有する。例えば、Ag層の上に窒素含有層42を直接形成する構成においては、窒素含有層42中の水素がp形GaN層に悪影響を及ぼす可能性がある。このとき、実施形態においては、窒素含有層42とAg層との間に酸化物層41を挿入することで、この水素がp形GaN層に与える悪影響を抑制することもできる。
【0061】
実施形態において、窒素含有層42に含まれる金属元素の種類は、酸化物層41に含まれる金属元素の種類と同じとすることができる。例えば、酸化物層41としてSiOを用いる場合には、窒素含有層42としてSiを用いる。これにより、酸化物層41と窒素含有層42との間の界面において、界面欠陥が少なくなる。例えば、局所的な電流リークの発生が抑制できる。これにより、例えば、局所的なリークに起因した不均一発光が抑制でき、発光効率が向上できる。
【0062】
酸化物層41及び窒素含有層42が絶縁性の場合は、反射電極40との電気的接続を得るために、酸化物層41に第1開口部41hが設けられ、窒素含有層42に第2開口部42hが設けられる。
【0063】
第1開口部41h及び第2開口部42hの幅(Z軸方向に対して垂直な方向に沿った長さ)が過度に大きいと、反射電極40のAgのマイグレーションの抑制の程度が低くなる。反射電極40のうち、第1開口部41h及び第2開口部42hにおいて露出する部分の面積を、反射電極40のうち、酸化物層41に覆われている部分の面積よりも小さく設定することで、効果的にAgのマイグレーションが抑制できる。
【0064】
例えば、積層体15の側面などにSiO膜等の保護層が形成されることがあり、この保護層が、Agの反射電極40の周縁部の一部の上にも設けられる構成が考えられる。しかしながら、この構成においては、保護層は、反射電極40の周縁部の一部の上に設けられるだけなので、反射電極40のAgのマイグレーションを抑制することが困難である。
【0065】
実施形態においては、Agの反射電極40の面積の半分以上を酸化物層41で覆うことで、Agのマイグレーションを効果的に抑制することができる。
【0066】
一方、第1開口部41h及び第2開口部42hの幅が過度に小さいと、反射電極40との電気的な接続の抵抗(例えば反射電極40と金属層50との間の抵抗)が高くなる傾向がある。しかしながら、実用的な構成においては、抵抗の増大は実質的に問題にならない。例えば、第1開口部41h及び第2開口部42hの幅を1マイクロメートル(μm)程度以上に設定することで、反射電極40と金属層50との間の抵抗は実用的に十分に低くできる。
【0067】
また、Agの導電率は十分に高いため、Ag層内で電流は十分に横方向(Z軸に対して垂直な方向)に広がる。例えば、1μmの幅の第1開口部41h及び第2開口部42hを設けた場合に関して試算すると、第1開口部41h及び第2開口部42hから0.5mmの距離まで、電流は広がる。従って、例えば、1辺が0.5mm程度の半導体発光素子においては、第1開口部41h及び第2開口部42hを1つずつ設けることで、半導体発光素子の実質的な全面において、均一な発光が得られる。
【0068】
また、絶縁性の酸化物層41及び窒素含有層42を設ける場合において、1μm程度の幅の第1開口部41h及び第2開口部42hを設けた場合に関して試算すると、動作電圧Vfの上昇は、0.05ミリボルト(mV)程度であり、動作電圧Vfは実質的に上昇しない。
【0069】
図4に関して説明した半導体発光素子110の製造方法の例において、酸素を含む雰囲気中での熱処理(ステップS130)の前に、積層体15、反射電極40及び酸化物層41を含む加工体を減圧中または窒素雰囲気中でさらに熱処理しても良い。例えば、窒素雰囲気中で熱処理し、この後に、酸素雰囲気中で熱処理を行う。窒素雰囲気中での熱処理により、例えば、反射電極40の積層体15への密着力が向上する。また、酸化物層41に反射電極40への密着力が向上する。これにより、より高い信頼性が得られる。
【0070】
実施形態に係る半導体発光素子の製造方法において、酸化物層41が、Si、Ge、Hf及びZrの少なくともいずれかの酸化物を含む場合は、例えば、反射電極40のうちの、第1開口部41h及び第2開口部42hにおいて露出する部分の面積が、反射電極40のうちの、酸化物層41に覆われている部分の面積よりも小さくなるように、第1開口部41h及び第2開口部42hを形成する。
【0071】
図7は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図8は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的透過平面図である。
図7は、図8のA1−A2線断面図である。
図1及び図2に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子111も、第1半導体層10と、発光部30と、第2半導体層20と、反射電極40と、酸化物層41と、窒素含有層42と、を含む。第1半導体層10の一部の上に発光部30が設けられ、発光部30の上に第2半導体層20が設けられている。半導体発光素子111は、結晶成長用基板5と、バッファ層6と、をさらに含む。結晶成長用基板5には、例えば、サファイア、GaN、SiC、Si及びGaAsなどの各種の材料を用いることができる。バッファ層6には、窒化物半導体を用いることができる。結晶成長用基板5の上にバッファ層6が設けられ、バッファ層6の上に第1半導体層10、発光部30及び第2半導体層20が設けられる。
【0072】
この場合も、第2半導体層20の上に、Agを含む反射電極40が設けられる。反射電極40の上に、第1開口部41hを有し絶縁性の酸化物層41が設けられる。酸化物層41の上に、第1開口部41hに繋がる第2開口部42hを有し絶縁性の窒素含有層42が設けられる。
【0073】
さらに、金属層50が設けられる。金属層50の少なくとも一部は、第1開口部41h及び第2開口部42hの中に設けられる。金属層50は、第1開口部41h及び第2開口部42hを介して、反射電極40と電気的に接続される。
【0074】
第1半導体層10のうちの、発光部30に対向しない部分の上に、第1半導体層側電極35が設けられている。
半導体発光素子111は、FC(Flip Chip)型の半導体発光素子である。
【0075】
半導体発光素子111においては、例えば、反射電極40のうちの、第1開口部41h及び第2開口部42hにおいて露出する部分の面積は、反射電極40のうちの、酸化物層41に覆われている部分の面積よりも小さい。
【0076】
半導体発光素子111においても、高性能で高信頼性の、銀を用いた電極が実現できる。
【0077】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。 図9に表したように、本実施形態に係る半導体発光素子120も、第1半導体層10と、発光部30と、第2半導体層20と、反射電極40と、酸化物層41と、窒素含有層42と、を含む。さらに、半導体発光素子120は、金属層50、支持基板60及び接合層61を含む。第1半導体層10、発光部30、第2半導体層20、反射電極40、金属層50、支持基板60及び接合層61に関しては、半導体発光素子110と同様とすることができるので説明を省略する。以下では、半導体発光素子120に関し、半導体発光素子110とは異なる部分について説明する。
【0078】
半導体発光素子120においては、酸化物層41は、導電性であり、窒素含有層42も導電性である。酸化物層41及び窒素含有層42が導電性なので、半導体発光素子120においては、第1開口部41h及び第2開口部42hを設けなくても良い。なお、酸化物層41及び窒素含有層42が導電性である場合も、第1開口部41h及び第2開口部42hを設けても良い。
【0079】
例えば、酸化物層41は、In、Zn及びSnの少なくともいずれかの酸化物を含む。例えば、酸化物層41には、ITO(Indium Tin Oxide)が用いられる。例えば、窒素含有層42は、In、Zn及びSnの少なくともいずれかの酸窒化物を含む。
【0080】
このときも、反射電極40(Ag層)の上に、酸化物層41を形成した状態で、酸素雰囲気中で熱処理することにより、均一で、低いコンタクト抵抗が得られる。そして、Agのマイグレーションが抑制される。酸化物層41の上に窒素含有層42を設けることで、水の進入によるマイグレーション、硫化物の生成、及び、Ag層とp形GaN層との界面への他元素の拡散が抑制できる。半導体発光素子120においても、高性能で高信頼性の、銀を用いた電極を有する半導体発光素子を提供できる。
【0081】
図10は、第1の実施形態に係る別の半導体発光素子の構成を例示する模式的断面図である。
図10に表したように、本実施形態に係る別の半導体発光素子121も、第1半導体層10と、発光部30と、第2半導体層20と、反射電極40と、酸化物層41と、窒素含有層42と、を含む。半導体発光素子121は、FC型の半導体発光素子である。半導体発光素子121においては、酸化物層41及び窒素含有層42が導電性である。これ以外は、半導体発光素子111と同様なので説明を省略する。半導体発光素子121においては、第1開口部41h及び第2開口部42hを設けても良く、設けなくても良い。半導体発光素子121においても、高性能で高信頼性の、銀を用いた電極が実現できる。
【0082】
このように、Ag電極を用いる場合には、低いコンタクト抵抗を得るために、酸素雰囲気中で熱処理する。Agのマイグレーションを抑制するために、Ag電極の上にAg以外の金属膜を形成した後に熱処理することが有効であるが、電極の中央部では発光強度が低くなり、発光が不均一になることが分かった。本願発明者は、これを解析することで、電極の周縁部ではオーミックコンタクトが得られるが、電極の中央部ではオーミックコンタクトが取れないことを見出した。また、Ag電極の上に形成したAg以外の金属膜の元素が、Ag電極とp形GaN層との界面に偏析することも分かった。これにより、動作電圧Vfが上昇し、発光効率が低下するという課題を見出した。
【0083】
これに対して、実施形態においては、拡散しやすい金属膜の代わりに、Ag電極の上に絶縁性または導電性の酸化物層41を形成し、酸化物層41を介して、酸素中で熱処理を行う。これにより、均一な発光分布を得ることができる。そして、酸化物層41の上に窒素含有層42をさらに設けることで、外部からの不純物の進入による信頼性の低下を抑制する。
【0084】
実施形態によれば、高性能で高信頼性の、銀を用いた電極を有する半導体発光素子及びその製造方法が提供される。
【0085】
なお、本明細書において「窒化物半導体」とは、BInAlGa1−x−y−zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電形などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0086】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0087】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体発光素子に含まれる、第1半導体層、第2半導体層、発光部、井戸層、障壁層、第1中間層、第2中間層、反射電極、酸化物層、窒素含有層、金属層、支持基板、接合層、第1半導体層側電極、結晶成長用基板及びバッファ層などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0088】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体発光素子及びその製造方法の成長方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体発光素子及びその製造方法の成長方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0089】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
5…結晶成長用基板、 6…バッファ層、 7…酸素、 10…第1半導体層、 15…積層体、 20…第2半導体層、 30…発光部、 31…障壁層、 32…井戸層、 33…第1中間層、 34…第2中間層、 35…第1半導体層側電極、 40…反射電極、 41…酸化物層、 41h…第1開口部、 42…窒素含有層、 42h…第1開口部、 50…金属層、 60…支持基板、 61…接合層、 110、111、120、121…半導体発光素子、 Rc…コンタクト抵抗、 T…温度、 h1〜h4…開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電形の第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられた発光部と、
前記発光部の上に設けられた第2導電形の第2半導体層と、
前記第2半導体層の上に設けられAgを含む反射電極と、
前記反射電極の上に設けられ開口部を有し絶縁性の酸化物層と、
前記酸化物層の上に設けられ前記開口部に繋がる開口部を有し絶縁性の窒素含有層と、
を備えた半導体発光素子。
【請求項2】
前記反射電極のうちの、前記酸化物層の前記開口部及び前記窒素含有層の前記開口部において露出する部分の面積は、前記反射電極のうちの、前記酸化物層に覆われている部分の面積よりも小さい請求項1記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記酸化物層は、Si、Ge、Ti、Zr、Hf、Ce、Y及びLaの少なくともいずれかの酸化物を含む請求項1または2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記窒素含有層は、Si、Ge、Ti、Zr、Hf及びCeの少なくともいずれかの窒化物または酸窒化物を含む請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項5】
第1導電形の第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられた発光部と、
前記発光部の上に設けられた第2導電形の第2半導体層と、
前記第2半導体層の上に設けられAgを含む反射電極と、
前記反射電極の上に設けられ導電性の酸化物層と、
前記酸化物層の上に設けられ導電性の窒素含有層と、
を備えた半導体発光素子。
【請求項6】
前記酸化物層は、In、Zn及びSnの少なくともいずれかの酸化物を含む請求項5記載の半導体発光素子。
【請求項7】
前記窒素含有層は、In、Zn及びSnの少なくともいずれかの酸窒化物を含む請求項5または6に記載の半導体発光素子。
【請求項8】
第1導電形の第1半導体層と、前記第1半導体層の上に設けられた発光部と、前記発光部の上に設けられた第2導電形の第2半導体層と、を含む積層体の前記第2半導体層の上にAgを含む反射電極を形成し、
前記反射電極の上に酸化物層を形成し、
前記積層体、前記反射電極及び前記酸化物層を含む加工体を、酸素を含む雰囲気中で熱処理し、
前記熱処理が施された前記酸化物層の上に窒素含有層を形成する半導体発光素子の製造方法。
【請求項9】
前記酸素を含む雰囲気中での熱処理の前に、前記加工体を減圧中または窒素雰囲気中でさらに熱処理する請求項8記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項10】
前記酸化物層と前記窒素含有層とに、前記反射電極に繋がる開口部をさらに形成する請求項8または9記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項11】
前記酸化物層は、Si、Ge、Ti、Zr、Hf、Ce、Y及びLaの少なくともいずれかの酸化物を含み、
前記反射電極のうちの、前記酸化物層の前記開口部及び前記窒素含有層の前記開口部において露出する部分の面積は、前記反射電極のうちの、前記酸化物層に覆われている部分の面積よりも小さい請求項10記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項12】
前記窒素含有層は、Si、Ge、Ti、Zr、Hf及びCeの少なくともいずれかの窒化物または酸窒化物を含む請求項10または11に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項13】
前記酸化物層は、In、Zn及びSnの少なくともいずれかの酸化物を含む請求項8または9に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項14】
前記窒素含有層は、In、Zn及びSnの少なくともいずれかの酸窒化物を含む請求項8、9及び13のいずれか1つに記載の半導体発光素子の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−84821(P2013−84821A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224369(P2011−224369)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】