説明

半導体発光素子

【課題】光取り出し効率および輝度が高められた半導体発光素子を提供する。
【解決手段】半導体発光素子は、III-V族化合物半導体からなる発光層と、反射金属層を有する第1電極と、開口部を有する絶縁層と、第1導電形層と、第2導電形層と、第2電極と、を有する。前記第1導電形層は、前記第1電極の上であり前記発光層の下に設けられ、前記発光層のバンドギャップエネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有するIII-V族化合物半導体からなる。第1導電形層は、第1コンタクト層、組成傾斜層、第1クラッド層を含む。前記第2導電形層は、前記発光層と前記第2電極との間に設けられ、電流拡散層および第2コンタクト層を有する。前記第2電極は、パッド部と、前記パッド部から外方に向かい前記第2コンタクト層の上に延在する細線部、とを有する。上方からみて、前記絶縁膜の前記開口部と、前記第2コンタクト層とは、重ならない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置、表示装置、信号機などに用いる発光素子(LED:Light Emitting Diode)には、高出力化が要求される。
【0003】
発光層の下方に、反射金属層を設けて、発光層から下方に向かった放出光を上方に向けて反射すると光取り出し効率を高めることができる。
【0004】
しかしながら、発光層と反射金属層との距離が長くなると、反射金属層による反射光が横方向に広がり、上方から取り出す光束が低下する問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−29213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光取り出し効率および輝度が高められた半導体発光素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態にかかる半導体発光素子は、III-V族化合物半導体からなる発光層と、反射金属層を有する第1電極と、前記第1電極の上に設けられ開口部を有する絶縁層と、第1導電形層と、第2導電形層と、第2電極と、を有する。前記第1導電形層は、前記絶縁層および前記開口部に露出した前記第1電極の上であり前記発光層の下に設けられ、前記発光層のバンドギャップエネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有するIII-V族化合物半導体からなる。また、第1導電形層は、第1コンタクト層、組成傾斜層、および第1クラッド層、を少なくとも含む。前記第2導電形層は、前記発光層と前記第2電極との間に設けられ、電流拡散層および第2コンタクト層を有する。前記第2電極は、前記第2コンタクト層の非形成領域に設けられたパッド部と、前記パッド部から外方に向かい前記第2コンタクト層の上に延在する細線部、とを有する。上方からみて、前記絶縁膜の前記開口部と、前記第2コンタクト層と、は、重ならない。また、前記第1コンタクト層の厚さは、前記電流拡散層の厚さよりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1(a)は第1の実施形態にかかる半導体発光素子の模式平面図、図1(b)はA−A線に沿った模式断面図、図1(c)は領域ENを拡大した模式断面図、である。
【図2】図2(a)〜(e)は、第1の実施形態にかかる半導体発光素子の製造方法の工程断面図であり、図2(a)は半導体層の模式図、図2(b)は絶縁層をパターニングしたウェーハの模式図、図2(c)はITOを形成したウェーハの模式図、図2(d)はウェーハ接着の模式図、図2(e)は分割した素子の模式図、である。
【図3】第1の実施形態にかかる半導体発光素子のバンドギャップエネルギー及び屈折率を示すグラフ図である。
【図4】第1の実施形態にかかる半導体発光素子の作用を示す模式図である。
【図5】第1の実施形態にかかる半導体発光素子の第1コンタクト層の厚さに対する光束の依存性を示すグラフ図である。
【図6】図6(a)は比較例にかかる半導体発光素子の模式平面図、図6(b)はB−B線に沿った模式断面図、である。
【図7】比較例のバンドギャップエネルギーおよび屈折率の分布を示すグラフ図である。
【図8】図8(a)はエスケープコーンの模式図、図8(b)は比較例の作用を説明する模式図、である。
【図9】図9(a)は第1の実施形態の変形例にかかる半導体発光素子の模式断面図、図9(b)はEN部を部分拡大した模式断面図、図9(c)はバンドギャップエネルギーおよび屈折率を示すグラフ図、である。
【図10】図10(a)は第2の実施形態にかかる半導体発光素子の模式平面図、図10(b)はA−A線に沿った模式断面図、である。
【図11】図11(a)は第3の実施形態にかかる半導体発光素子の模式平面図、図11(b)はA−A線に沿った模式断面図、である。
【図12】ランバート反射構造を説明する模式図である。
【図13】図13(a)〜(f)は、第3の実施形態にかかる半導体発光素子の製造方法のうち、結晶成長基板上に第2接合電極を形成するまでの工程断面図である。
【図14】図14(a)〜(d)は、第3の実施形態にかかる半導体発光素子の製造方法のうち、ウェーハ接着プロセス以降を示す工程断面図である。
【図15】図15(a)は本実施形態にかかる半導体発光素子を用いた発光装置の模式断面図、図15(b)は領域Bを部分拡大した模式断面図、図15(c)は輝度変動率のグラフ図、である。
【図16】第3の実施形態にかかる半導体発光素子の第1コンタクト層の厚さに対する光束の依存性を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1(a)は第1の実施形態にかかる半導体発光素子の模式平面図、図1(b)はA−A線に沿った模式断面図、図1(c)は領域ENを拡大した模式断面図、である。
半導体発光素子は、支持基板10と、支持基板10の上に設けられた第1電極20と、第1電極20の上に設けられた第1導電形層37と、第1導電形層37の上に設けられた発光層40と、発光層40の上に設けられた第2導電形層50と、第2導電形層50の上に設けられた第2電極60と、を有する。
【0010】
発光層40は、単層または多層のIII-V族化合物半導体から形成される。発光層40が、In(Ga1−yAl1−xP(0≦x≦1、0≦y≦1)からなるものとすると、III族元素はInおよびAlであり、V族元素はPであり、緑〜赤色の波長範囲の光を放出することができる。また、発光層40が、AlGa1−zAs(0≦z≦0.45)からなるものとすると、III族元素はAlおよびGaであり、V族元素はAsであり、赤色から近赤外光の波長範囲の光を放出することができる。さらに、発光層40が、InGa1−sAs1−t(0≦s≦1、0≦t≦1)からなるものとすると、III族元素はInおよびGaであり、V族元素は、AsおよびPであり、近赤外光の波長範囲の光を放出することができる。さらに、発光層40が、InGaAl1−u−vN(0≦u≦1、0≦v≦1、u+v≦1)からなるものとすると、III族元素は、In、Ga、Alであり、V族元素はNであり、紫外〜緑色の波長範囲の光を放出できる。
【0011】
第1導電形層37は、第1コンタクト層32、組成傾斜層31、第1クラッド層29、および光ガイド層29、を含む。第1導電形層37のバンドギャップエネルギーは、発光層40のバンドギャップエネルギーよりも大きい。このようにすると、放出光は第1導電形層37による吸収が抑制され、高い光出力とすることができる。第1導電形層37また、第1導電形層37は、第1導電形のIn(Ga1−tAl1−sP(0≦s≦1、0≦t≦1)からなるものとする。
【0012】
また、第1コンタクト層32は、発光層40の平均屈折率よりも低い屈折率を有する III-V族化合物半導体から形成される。なお、本明細書において、MQW構造の発光層40の平均屈折率とは、放出光の波長におけるバルク半導体の屈折率を意味し、井戸層の屈折率と、障壁層の屈折率と、の平均値と定義する。図1(c)に表す領域ENの断面図のように、 第1コンタクト層32は、たとえばGaPからなり第1導電形を有し、第1電極20の透明導電膜26と接する。組成傾斜層31は、III-V族化合物半導体からなり、たとえば、第1導電形のIn(Ga1−yAl1−xP(0<x≦1、0<y≦1)から形成されてもよい。この組成傾斜層は、第1コンタクト層32に向かってIn組成比xおよびAl組成比yが低下する。すなわち、Ga組成比が高まり組成がGaPに近づく。
【0013】
上方からみて、第2コンタクト層56は、第1コンタクト層32と透明導電膜26とのコンタクト面(矩形状の破線)とは重ならないように設けられる。すなわち、電流は、絶縁層90に設けられた開口部90aを介して第1電極20と第2電極60との間を流れる。また、細線部60bと、絶縁層90の開口部90aの端部と、の最短距離は、上方からみて、例えば5μmとすることができる。
【0014】
第1の実施形態では、第2電極60の細線部60bから注入されたキャリアは、第2電流拡散層54により横方向に広げられつつ発光層40へと流れ込むキャリアフローF2を生じる。他方、第1電極20から注入されたキャリアは、横方向への広がりが抑制され発光層40へ流れ込むキャリアフローF1となる。すなわち、第1電極20と、発光層40と、の間に、不純物濃度が高い電流拡散層を設けなくともよい。
【0015】
また、上方からみて、第1コンタクト層32は、細線部60bの延在する方向に分散して設けられた複数領域を含んでもよい。このようにすると、細線部60bの延在する方向に沿った第1コンタクト層32内でキャリアの広がりを低減できる。このため、電流注入効率を実効的にさらに高めることができる。発光層40内において、発光再結合はキャリア密度の略2乗に比例して増加し、非発光再結合はキャリア密度に略比例して増加する。このため、全体としては、電流のキャリア密度が高いほど正味の発光再結合の割合が増加し、高い発光効率とすることが容易となる。
【0016】
なお、図1(a)において、絶縁層90の開口部90aは矩形であるが、平面形状はこれに限定されず、円形、楕円形、多角形、などであってもよい。
【0017】
図2(a)〜(e)は、第1の実施形態にかかる半導体発光素子の製造方法の工程断面図であり、 図2(a)は半導体層の模式図、図2(b)は絶縁層をパターニングしたウェーハの模式図、図2(c)は透明導電膜を形成したウェーハの模式図、図2(d)はウェーハ接着の模式図、図2(e)は分割した半導体発光素子の模式図、である。
【0018】
GaAsからなる結晶成長基板70の上に、第2導電形層50、発光層40、第1導電形層37がこの順序に積層される(図2(a))。第2導電形層50は、n形GaAsの第2コンタクト層56(キャリア濃度:1×1018cm−3)、n形In0.5(Ga0.3Al0.70.5Pの第2電流拡散層54(キャリア濃度:4×1017cm−3)、n形In0.5Al0.5Pの第2クラッド層52(キャリア濃度:3×1017cm−3)、n形InGaAlPの光ガイド層51、を有する。
【0019】
発光層40は、例えば、In0.5Ga0.5Pからなり、4nmの厚さの井戸層を20と、In0.5(Ga0.4Al0.60.5Pからなり、7nmの厚さの障壁層を21と、を有するMQW(Multi Quantum Well)構造とする。なお、半導体層の構造は、これらに限定されない。このような薄膜積層体からなる半導体層は、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法やMBE(Molecular Beam Epitaxy)法などを用いて結晶成長を行うことができる。
【0020】
第1導電形層37は、発光層40の側から、p形InGaAlPの光ガイド層28、p形In0.5Al0.5Pの第1クラッド層29(キャリア濃度:3×1017cm−3)、p形In(Ga1−yAl1−xP(0<x≦1、0<y≦1)からなる組成傾斜層(キャリア濃度:1×1019cm−3)31、およびp形GaPからなる第1コンタクト層(キャリア濃度:1×1019cm−3)32、を有する。なお、光ガイド層28は、設けない場合もある。
【0021】
結晶成長を行う場合、In0.5Al0.5Pなどからなる第1クラッド層29、あるいはIn0.5(Ga0.3Al0.70.5Pなどの最下層の表面に、発光波長よりも短いバンドギャップ波長λgを有し、発光層40の平均屈折率と同じかまたは低い屈折率を有するGaP層を設ける場合、格子不整合が大きいので結晶欠陥を生じやすい。しかしながら、最下層の表面とGaPとの間に、III族元素の組成比を積層方向に変化させ、最下層の組成から第1コンタクト層の組成まで変化する組成傾斜層31を設けると、結晶欠陥を低減できる。すなわち、p形In(Ga1−yAl1−xP(0<x≦1、0<y≦1)からなり、In組成比xおよびAl組成比yがGaP層に向かって低下する組成傾斜層31を設けると結晶欠陥を低減できる。組成傾斜層31は、Ga組成比が徐々に高まり組成がGaPに徐々に近づく。混晶元素の組成比を連続的に変化させることは、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いることができる。例えば、In組成比xおよびAl組成比yは、直線状、2次関数状、階段状などと変化することが容易である。原料ガスの供給を自動制御することにより、第1コンタクト層32に向かって、In組成比xやAl組成比yを精度良く低下させることができる。
【0022】
発明者らの実験によれば、組成傾斜層31の厚さTGを0.01μm以上、0.1μm以下、より好ましくは0.01μm以上、0.05μm以下とすることにより第1コンタクト層32の結晶性が改善され、その厚さを0.02μm以上、1μm以下、とでき、かつ透明導電膜26とのコンタクト抵抗を低く保てることが判明した。すなわち、格子を整合させるために、厚いInGaAlP層を設ける必要がない。
【0023】
図2(b)のように、絶縁層90が形成され、さらに絶縁層90に開口部90aが形成される。続いて、図2(c)のように、開口部90aに露出した第1コンタクト層32および絶縁層90の上に、錫ドープ酸化インジウム(ITO:Indium Tin Oxide)、酸化錫、酸化亜鉛などの透明導電膜26を形成する。
【0024】
Au、Ag、AgにIn、Cu、Crなどを添加したAg合金、などのうちの少なくともいずれかを含む反射金属層25、Ti、Pt、Niなどのうちの少なくともいずれかを含むバリア金属層24、AuまたはAuInなどを含む第2接合金属層23、をこの順序で形成する。他方、導電性Siなどからなる支持基板10に、バリア金属層21、AuInなどの第1接合金属層22、をこの順序で形成する。
【0025】
続いて、図2(d)のように、結晶成長基板70の上に形成された半導体層の側の第2接合金属層23の表面と、支持基板10の側の第1接合金属層22とを重ね合わせ、加熱かつ加圧により、ウェーハ接着を行う。Si基板の線膨張係数は4×10−6/℃であり、GaAs基板の線膨張係数6×10−6/℃と近い。このため、ウェーハ接着プロセスにおける応力が低減される。また、金属間の接合温度は、半導体材料間の接合温度よりも低くできるので、ウェーハの割れや欠けがさらに抑制できる。また、Si基板を用いると、チップへの分割プロセスが容易となる。
【0026】
続いて、結晶成長基板70を除去し、細線部60bとする領域にのみ第2コンタクト層56を残す。図2(e)のように、パターニングされた第2コンタクト層56の領域に細線部60bが延在し、細線部を接続するパッド部60aが第2コンタクト層56の非形成領域に、それぞれ形成される。パッド部60aと細線部60bとを含む第2電極60は、第2電流拡散層54の側から、AuGe/Ti/(Ni)/Pt/Auなどを積層したものとすることができる。
【0027】
さらに、第2電極60が形成されていない半導体層58の表面には、RIE(Reactive Ion Etching)法やウェットエッチング法を用いて微小凹凸54aを設ける。表面が平坦な第2電流拡散層と、空気層または封止樹脂層(屈折率:約1.5)と、の界面では全反射が生じる。このため、裏面反射を考慮しない場合、光取り出し効率が十数%以下となる。また、反射金属による裏面反射を考慮しても、光取り出し効率が二十数%以下である。しかし、表面に微小凹凸54aを設けると、光取り出し効率を高めることができる。また、支持基板10の裏面にはTi/Pt/Auなどからなる裏面電極62を形成する。
【0028】
透明導電膜を間に介さずに、例えばAuと第1コンタクト層32とを接触させることもできる。しかし、第2電極60のシンター工程において、GaPとAuとの界面に合金層が形成され、放出光の一部を吸収することがある。この結果、輝度低下を生じる。
【0029】
これに対して、第1コンタクト層32に、1×1019cm−3のC(炭素)をドープすると、透明導電膜26との間で、1〜2×10−4Ω・cmと低いコンタクト抵抗を得ることができる。この場合、ITOなどの透明導電膜とGaPとは合金層を形成しにくいので、合金層における放出光の吸収が少ない。
【0030】
なお、反射金属層25として、Agを用いることもできる。発光波長が0.6μm以下の場合、Auの光反射率はAgの光反射率よりも低下が大きいので、Agを用いる方が高輝度とすることができる。また、Ag合金を用いると、耐湿性を含む耐環境性を高めることができる。さらに、図1(b)のように、反射金属層25のパターニングを行い、素子の側面OEにAgやAg合金が露出しない構造とすると、ガスや水分の侵入が抑制され、硫化による反射率の低下が低減できる。
【0031】
図3は、第1の実施形態にかかる半導体発光素子のバンドギャップエネルギー及び屈折率を示すグラフ図である。
実線は屈折率分布、破線はバンドギャップエネルギー(eV)分布、を示す。第2電流拡散層54は、n形In0.5(Ga0.3Al0.70.5P(波長0.6μmで屈折率が約3.2)とする。第2クラッド層52は、n形In0.5Al0.5P(波長0.6μmにおいて屈折率が約3.1)とする。
【0032】
GaPからなる第1コンタクト層32のバンドギャップエネルギーは、約2.26eVであり、発光層40のバンドギャップエネルギーよりも高く、約0.55μm以上の波長範囲の光を吸収せずに透過する。GaPからなる第1コンタクト層32の屈折率は、0.6μmの波長において約3.4とほぼ等しい。In(Ga1−yAl1−xP(0<x≦1、0<y≦1)からなる組成傾斜層31の屈折率は組成変化とともに変化し、GaPの屈折率に近づく。
【0033】
図4は、第1の実施形態にかかる半導体発光素子の作用を示す模式図である。
発光層40からの光は、上方、側方、および下方へ向かって放出される。下方に向かう光のうち、入射角が臨界角より大きい光は屈折率が高い側から低い側に変化する界面で全反射され上方または側方へ向かう。他方、入射角が臨界角よりも小さい光は、光ガイド層28、第1クラッド層29、第1コンタクト層32、透明導電膜26を通り、反射金属層25により上方および側方に向かって反射される。
【0034】
本実施形態では、組成傾斜層31の厚さTGおよび第1コンタクト層32の厚さTCを薄くできるので、横方向への広がりDLが低減できる。第1コンタクト層32の厚さTCを、第2電流拡散層54の厚さTSよりも小さくすると、細線部60bからのキャリアは、第2電流拡散層54内で横方向かつ外側に広がりつつ発光層40へ注入される。他方、第1電極20からのキャリアは、発光層40までの距離が短いために、横方向への広がりが抑制されつつ発光層40へ注入される。このようにして、上方へ向かう光G1を増加させ、光取り出し効率および輝度を高めることができる。
【0035】
透明導電膜26をITO膜とすると、屈折率Nitoは0.6μmの波長で約1.7である。すなわち、透明導電膜26、第1コンタクト層(屈折率Nco:3.4)32、第1クラッド層36b(屈折率Ncl:3.1)までの領域で、屈折率が上方に向かって階段状に高くなるので、全反射が抑制される。
【0036】
もし、組成傾斜層31を薄くすると、組成傾斜層31を通過する光は波動性を強める。このため、光路は、スネルの法則だけにより決まらなくなる。すなわち、媒質内波長λg(=放出光波長/媒質の屈折率)よりも厚さが小さい層は、臨界角よりも大きな角度で界面へ入射した光であっても全反射が低減され、透過率が高まる。例えば、放出光の波長を0.6μmとし、GaPの屈折率を3.4とすると、媒質内波長λgは、0.2μmとなる。組成傾斜層31の厚さTGの0.01〜0.05μmは、媒質内波長λgの0.05〜0.25の長さに対応する。すなわち、反射光は、組成傾斜層31を透過することが容易となる。
【0037】
図5は、第1の実施形態にかかる半導体発光素子の第1コンタクト層の厚さに対する光束の依存性を示すグラフ図である。
縦軸は50mAの駆動電流における光束(lm:ルーメン)、横軸は第1コンタクト層の厚さTC(μm)、である。なお、発光素子は、図3に示すInGaAlP系材料からなるものとする。組成傾斜層31の厚さTGは、0.01から0.1μmの範囲とする。また、第2電流拡散層54の厚さは、2.5μmとする。
【0038】
第1コンタクト層32の厚さTCが0.02μmの場合、光束は9ルーメン(lm)であった。0.02μmよりも薄い第1コンタクト層32では、その厚さTCが薄くなるに従い光束が低下し、例えば0.01μmでは光束は7ルーメン(lm)であった。厚さTCが薄くなるに従い順方向電圧が指数関数的に増加するので、厚さTCは0.02μm以上であることが好ましい。また、第1コンタクト層32の厚さTCが0.05μmで、50mAの駆動電流における光束は約9.6ルーメン(lm)となり最大であった。また、厚さTCが第2電流拡散層54の厚さTSと同じ2.5μmにおいて光束は5ルーメン(lm)と低下し、それよりも厚いとさらに急激に低下した。すなわち、第1コンタクト層32の厚さTCを、0.02μm以上1.0μm以下とすると、発光層40と、反射金属層25と、の間の側方への光の広がりDLが低減され、上方で取り出し可能な光束を高め、高輝度とすることができることが判明した。
【0039】
図6(a)は比較例にかかる半導体発光素子の模式平面図、図6(b)はB−B線に沿った模式断面図、である。
第2コンタクト層156は、n形GaAsとする。第2電流拡散層154は、n形In0.5(Ga0.3Al0.70.5Pとする。第2クラッド層152は、n形In0.5Al0.5Pとする。光ガイド層151は、n形InGaAlPとする。第2電流拡散層154と、第2クラッド層152と、光ガイド層151と、のそれぞれの厚さの和は、3.2μmとする。
【0040】
発光層140は、例えば、In0.5(Ga1−xAl0.5(0≦x≦1)Pからなる井戸層と、In0.5(Ga1−yAl0.5P(x<y、0≦y≦1)からなる障壁層と、を複数積層したMQW構造とすることができる。
【0041】
光ガイド層136は、p形InGaAlPとする。第1クラッド層135は、p形In0.5Al0.5Pとする。第1電流拡散層134は、p形In0.5(Ga0.3Al0.70.5P層(厚さ:0.5μm)134aと、p形GaP層(厚さ:1.5μm)134bと、を含む。また、第1コンタクト層(厚さ:0.1μm)132は、p形GaP層とする。この場合、第1電流拡散層134aと、134bと、第1コンタクト層132と、のそれぞれの厚さの和TCCを2.1μmと大きくする。このようにすると、電流を発光層140の面内に広げるとともに、ITO膜126とのコンタクト抵抗を低減することができる。
【0042】
比較例では、半導体層158と、第1電極120、との間に、絶縁層190からなる電流ブロック層が設けられている。開口部190aに露出した第1コンタクト層132および絶縁層190を覆うように透明導電膜126、反射金属層125、バリア金属層124、第2接合金属123、が設けられる。
【0043】
図7は、比較例にかかる半導体発光素子のバンドギャップエネルギーおよび屈折率を示すグラフ図である。
実線は屈折率分布、破線はバンドギャップエネルギー(eV)分布、を示す。発光層140のバンドギャップエネルギーは、GaPのバンドギャップエネルギーである約2.26eVよりも低い。また、GaPの屈折率は、0.6μmの波長において約3.4である。
【0044】
図8(a)はエスケープコーンの模式図、図8(b)は比較例の作用を説明する模式図、である。
界面Sの上方が屈折率がn1、界面Sの下方が屈折率がn2(n1>n2)、であるとする。上方からの入射光Linの入射角ΦがΘcよりも大きいと、界面Sで全反射を生じ反射光Loは下方に出射できない。他方、入射光Linの入射角ΦがΘcよりも小さいと光は界面Sの下方に透過する。すなわち、界面Sと直交する軸に対して臨界角Θcをなす円錐の内部へ入射した光は透過できる。
【0045】
図8(b)において、下方に向かう光G10は、反射金属層125により反射され光取り出し面から出射する。光G10よりも大きな入射角の光G11は、厚さTCCが、例えば2.1μmなどと大きいので、側方への広がりDLLが大きくなる。このため、例えば、外方へ向かう光は素子側面から出射しやすくなり上方での光取り出し効率が低下する。他方、内方に向かう光はパッド部に遮光され、上方での光取り出し効率が低下する。
【0046】
また、反射金属層125による反射光G13は、p形In0.5(Ga0.3Al0.70.5P層134aと、p形GaP層134bと、の界面への入射角が臨界角である70度よりも大きいと全反射を生じ、光G13は再び下方に向かうので、上方での光取り出し効率が低下する。
【0047】
第1電流拡散層134を厚くすると、第1電極120から注入されたキャリアが内側に向かって広がる。この結果、細線部160bから注入され外側に向かって広がったキャリアとともに、発光領域EERを広げ過ぎ、電流注入密度が実効的に低下するので、光取り出し効率が十分には高まらない。
【0048】
これに対して、第1の実施形態では、組成傾斜層31の厚さTGおよび第1コンタクト層32の厚さTCを小さくし、発光層40から反射金属層25へ向かう光、および反射光が側方に広がることを抑制できる。このため、上方での光取り出し効率がさらに高められる。
【0049】
図9(a)は第一実施形態の変形例にかかる半導体発光素子の模式断面図、図9(b)はEN部を部分拡大した模式断面図、図9(c)はバンドギャップエネルギーおよび屈折率を示すグラフ図、である。
第1導電形層37は、第1電流拡散層30を有してもよい。例えば、組成傾斜層31と、第1クラッド層29と、の間に、p形In0.5(Ga0.3Al0.70.5Pなどからなる第1電流拡散層30を設けることができる。この場合、発光層40と反射金属層25との間で光の横方向への広がりを抑制するように、第1電流拡散層30の厚さは第1コンタクト層32の厚さTCよりも小さいことが好ましい。組成傾斜層31の組成は、In0.5(Ga0.3Al0.70.5Pから、GaPへ近づくように変化させればよい。
【0050】
図10(a)は第2の実施形態にかかる半導体発光素子の模式平面図、図10(b)はA−A線に沿った模式断面図、である。
第2の実施形態は、窒化物系材料からなる半導体発光素子とする。半導体発光素子は、支持基板10と、支持基板10の上に設けられた第1電極20と、第1電極20の上に設けられた第1導電形層37と、第1導電形層37の上に設けられた発光層94と、発光層40の上に設けられた第2導電形層50と、第2導電形層50の上に設けられた第2電極60と、を有する。
【0051】
第1導電形層37は、第1電極20の側から、p形GaNからなる第1コンタクト層91、p形Al0.15Ga0.85Nからなる第1クラッド層92、およびp形の第1組成傾斜層93、をこの順序で有する。また、第2導電形層50は、発光層94を挟んで、発光層94の側から、n形第2組成傾斜層95、n形の第2組成傾斜層95、n形Al0.15Ga0.85Nからなる第2クラッド層96、n形Al0.05Ga0.95Nからなる電流拡散層97、およびn形GaNからなる第2コンタクト層98、をこの順序で有する。
【0052】
発光層94は、MQW構造とし、InGaAl1−u−vN(0≦u≦1、0≦v≦1、u+v≦1)からなるものとする。例えば、MQW構造において、井戸層はIn0.1Ga0.9N、障壁層はIn0.02Ga0.98N、からなるものとすることができる。
【0053】
また、第1組成傾斜層93および第2組成傾斜層95は、発光層94の側からクラッド層に向かって、組成がIn0.1Ga0.9NからAl0.15Ga0.85Nへと徐々に変化することが好ましい。発明者らの実験によれば、第1組成傾斜層93の厚さTGを0.01μm以上、0.1μm以下とすると、GaNに対して、格子整合を容易にでき、順方向電圧を低減できることが判明した。また、第1コンタクト層91の厚さTCを電流拡散層97の厚さTSよりも小さくすると、第1電極20による反射光が横方向へ広がることが抑制できるので好ましい。さらに、第1コンタクト層91の厚さTCを、0.02μm以上、1.0μm以上とすると、より好ましい。
【0054】
図11(a)は第3の実施形態にかかる半導体発光素子の模式平面図、図11(b)はA−A線に沿った模式断面図、である。
半導体発光素子は、支持基板10と、支持基板10の上に設けられた第1電極と、第1電極の上に設けられた第1導電形層37と、第1導電形層37の上に設けられた発光層40と、発光層40の上に設けられた第2導電形層50と、第2導電形層50の上に設けられた第2電極60と、を有している。第1導電形層37、発光層40、および第2導電形層50は、図9(a)〜(c)に示した第1の実施形態の変形例と同じものとする。なお、第1電極は、支持基板10の側から、第1接合電極22、第2接合電極23、Au膜27、バリア金属層24、反射金属層25、および透明導電膜26、をこの順序に有する。
【0055】
第3の実施形態では、反射金属層25が、ランバート反射構造を有している。すなわち、反射金属層25の表面には、微小凹凸が設けられている。この微小凹凸は、規則的でも不規則的でもよいが、凹凸のピッチが発光層40からの放出光の媒質内波長程度か、またはそれよりも長くすると光の拡散効果を高めることができるので好ましい。
【0056】
図11(a)および(b)において、第1コンタクト層32の表面に開口部90aを有する絶縁層90が設けられている。発光層40がInAlGaP系材料からなるものとし、その発光波長が600nmとする。また、凹凸の平均深さは、例えば50〜200nmとする。AgまたはAg合金などからなる反射金属層25の平均ピッチは、例えば350〜1200nmとする。発明者らの実験によれば、このような構造の発光素子の輝度は、ランバート反射構造が設けられない発光素子の輝度よりも15%以上高いことが判明した。
【0057】
図12は、ランバート反射構造を説明する模式図である。
第1コンタクト層32がGaPからなり、透明導電膜26がITOからなるものとする。GaP(屈折率:約3.4)からITO(屈折率:約1.7)へ入射する場合の臨界角である30度よりも小さい入射角を有する光は、ITOに入射したのち、反射金属層25により反射されたのち拡散する(g1、g2、g3)。発光層40が600nmの波長の光を放出し、凹凸の平均ピッチが700nm、かつ平均深さが20nmである場合、照射された直線光が拡散光に変換される割合は、例えば40%となる。また、変換率は、凹凸の平均深さが大きくなるのに応じて増加する。このため、輝度を高めることができる。
【0058】
図13(a)〜(f)は、第3の実施形態にかかる半導体発光素子の製造方法のうち、結晶成長基板上に、第2接合電極を形成するまでの工程断面図である。
図13(a)のように、GaAsなどからなる結晶成長基板70の上に、第2導電形層50、発光層40、および第1導電形層37がMOCVD法などを用いて形成される。
【0059】
図13(b)のように、第1導電形層37の表面に、SiOなどからなる絶縁層90を形成し、電流経路とすべき領域に開口部90aを選択的に設ける。さらに、図13(c)のように、開口部90aに露出した第1コンタクト層32および開口部90aの周囲の絶縁層90を覆うようにITO、酸化錫、酸化亜鉛などからなる透明導電膜26を形成する。
【0060】
図13(d)のように、透明導電膜26の表面を、薬液処理、RIE等を用いて、凹凸26aを形成する。この場合、凹凸26aの底部に第1コンタクト層32が露出しないように、ITOの厚さと凹部の深さを選択する。もし、第1コンタクト層32が露出すると、後に形成する反射金属層が、第1コンタクト層32と、直接接触するので好ましくない。
【0061】
他方、透明導電膜26を厚くしすぎると、透明導電膜26内で光吸収が増大し輝度が10%程度低下することがある。このため、透明導電膜26の厚さは、100〜300nmの範囲、凹凸26aの平均深さは、50〜200nmの範囲とすることが好ましい。
【0062】
続いて、図13(e)のように、透明導電膜26に形成された凹凸26aの上に、AgやAg合金などからなる反射金属層25、Ti、Pt、Niのうちの少なくともいずれかを含むバリア金属層24、を形成する。
【0063】
図13(f)のように、バリア金属層24をAu膜27などで覆う。さらに、Au膜27を覆うように、AuInやAuなどからなる第2接合金属層23を形成する。または、ダイシングライン領域において、透明導電膜26、反射金属膜25、バリア金属層24を除去したのち、ウェーハ全面を覆うようにAu膜27および第2接合金属層23をこの順序で形成してもよい。このようにすると、図11(b)のように、AgやAg合金が発光素子の側面に露出しないので、Agの硫化やマイグレーションが抑制されるのでより好ましい。
【0064】
図14(a)〜(d)は、第3実施形態の半導体発光素子の製造方法のうち、ウェーハ接着プロセス以降を示す工程断面図である。
図14(a)のように、Siなどからなる支持基板10に、AuInなどからなる第1接合金属層22が形成される。支持基板10と、結晶成長基板70の側の積層体と、は、第1接合金属層22と第2接合金属層23とが重ね合わされ、かつ加熱されることによりウェーハ状態で接着される。もし、第2接合金属層23の表面に凹凸26aが引き継がれた凹凸が残っていたとしても、AuInなどの半田材が溶融することにより、第1接合金属層22との密着性を高く保つことができる。
【0065】
図14(b)のように、結晶成長基板70が除去される。もし、結晶成長基板70を薬液処理法などで除去する場合、エッチングストップ層59を設けてあるので、第2コンタクト層56を確実に残すことができる。さらに、図14(c)のように、第2導電形層50の表面に第2電極60が形成される。また、第2電極60の非形成領域となる第2導電形層50の表面に凹凸54aが設けられてもよい。
【0066】
続いて、図14(d)のように、凹凸54aの上に、シリコン酸化膜92が形成される。さらに、支持基板10の裏面に裏面電極62が形成されて、半導体発光素子のウェーハが完成する。
【0067】
図15(a)は本実施形態にかかる半導体発光素子を用いた発光装置の模式断面図、図15(b)は領域Bを部分拡大した模式断面図、図15(c)は吸湿リフロー加速試験後の輝度変動率のグラフ図、である。
本実施形態にかかる半導体発光素子84の表面のうち、少なくとも第2電極60の非形成領域にはシリコン酸化膜92を設けることができる。実装部材80は、樹脂などの成形体80a、リード端子80b、台座80c、などを有する。半導体発光素子84は、導電性接着剤86などを用いて、台座80cの上に接着されている。
【0068】
図15(b)のように、半導体発光素子84の第2導電形層50の表面のうち、第2電極60の非形成領域には厚さがTPのシリコン酸化膜92が設けられている。封止層88は、エポキシやシリコーンなどの封止樹脂からなる。発明者らの実験によると、第2導電形層の表面にエポキシからなる封止層が直接に接すると、260℃における吸湿リフロー加速試験において、封止層と第2導電形層との間に収縮応力Sが作用し、封止層の剥離などを生じることがあった。
【0069】
図15(c)は、シリコン酸化膜の厚さTP(nm)に対する輝度変動率(%)の依存性を示すグラフ図である。シリコン酸化膜92の厚さTPを25〜400nmとすると、260℃の吸湿リフロー加速試験後の輝度変動率が5%以下に抑制できた。もし、剥離が発生すると、輝度変動率はさらに大きくなる。他方、100nmの厚さのSiON膜では、剥離を生じやすく、輝度変動率は約12%と大きくなった。使用環境条件が厳しい車載用途などでは、第2導電形層50の表面を厚さが25〜400nmの範囲のシリコン酸化膜92で覆うことが好ましい。なお、シリコン酸化膜92は、封止層88との間で水素結合を形成することなどにより互いの密着性を高めることができる。
【0070】
図16は、第3の実施形態にかかる半導体発光素子の第1コンタクト層の厚さに対する光束の依存性を示すグラフ図である。
比較のため、図5に示した第1の実施形態(シリコン酸化膜無し)の光束依存性を○印で示す。第1の実施形態の半導体発光素子の表面にシリコン酸化膜92を設けた場合の光束を■印で示す。また、第3の実施形態(シリコン酸化膜有り)の光束は、▲印で表す。
【0071】
第2導電形層50の表面の凹凸面54aにシリコン酸化膜92を設けると、凹凸の急峻性が低減されるので光束が約5%低下する。しかし、反射金属層25が凹凸面を有していれば、光束は、シリコン酸化膜無しとした第1の実施形態よりも約10%増加する。すなわち、光取り出し面にシリコン酸化膜92を設けた第3の実施形態では、信頼性を保ちつつ、高輝度とすることが容易となる。
【0072】
第1〜第3の実施形態およびこれに付随した変形例にかかる半導体発光素子は、光取り出し効率および輝度を高めることが容易となり、照明装置、表示装置、信号機などに広く用いることができる。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
10 支持基板、20 第1電極、25 反射金属層、26 透明導電膜、26a 凹凸面、29 第1クラッド層、31、93 組成傾斜層、32、91 第1コンタクト層、37 第1導電形層、40、94 発光層、50 第2導電形層、52 第2クラッド層、54、97 (第2)電流拡散層、54a 凹凸面、56、98 第2コンタクト層、60 第2電極、60a パッド部、60b 細線部、90 絶縁層、90a 開口部、92 シリコン酸化膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
III-V族化合物半導体からなる発光層と、
反射金属層を有する第1電極と、
前記第1電極の上に設けられ開口部を有する絶縁層と、
前記絶縁層および前記開口部に露出した前記第1電極の上であり前記発光層の下に設けられ、前記発光層のバンドギャップエネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有するIII-V族化合物半導体からなる第1導電形層であって、第1コンタクト層、組成傾斜層、第1クラッド層、を少なくとも含む第1導電形層と、
前記発光層の上に設けられ、前記発光層の側から、電流拡散層、第2コンタクト層、をこの順序に少なくとも有する第2導電形層と、
前記第2コンタクト層の非形成領域に設けられたパッド部と、前記パッド部から外方に向かい前記第2コンタクト層の上に延在する前記細線部、を有する第2電極と、
を備え、
上方からみて、前記絶縁膜の前記開口部と、前記第2コンタクト層と、は、重ならず、
前記第1コンタクト層の厚さは、前記電流拡散層の厚さよりも小さいことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
前記第1コンタクト層の厚さは、0.02μm以上、1μm以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記組成傾斜層の厚さは、0.01μm以上、0.1μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記発光層は、In(Ga1−wAl1−zP(0≦z≦1、0≦w≦1)、AlGa1−qAs(0≦q≦0.45)、およびInGa1−gAs1−h(0≦g≦1、0≦h≦1)のいずれかからなり、
前記第1コンタクト層は、GaPからなり、
前記組成傾斜層は、前記第1クラッド層と前記第1コンタクト層との間に設けられ、In(Ga1−yAl1−xP(0<x≦1、0<y≦1)からなり、前記第1コンタクト層に近づくに従ってIn組成比xおよびAl組成比yがゼロに近づくことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項5】
前記発光層は、InGaAl1−u−vN(0≦u≦1、0≦v≦1、u+v≦1)からなり、
前記第1コンタクト層は、GaNからなり、
前記組成傾斜層は、前記発光層と前記第1クラッド層との間に設けられ、InGaAl1−u−vN(0≦u≦1、0≦v≦1、u+v≦1)からなり、前記第1クラッド層に近づくに従ってIII族組成比が前記第1クラッド層のIII族組成比に近づくことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項6】
前記絶縁層の前記開口部は、前記細線部の延在する方向に分散して設けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項7】
前記第1電極は、前記反射金属層と、前記第1コンタクト層と、の間に設けられ、錫ドープ酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化錫のいずれかを含む透明導電膜をさらに有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項8】
前記反射金属層は、前記透明導電膜の側に凹凸面を有し、
前記透明導電膜は、前記反射金属層の前記凹凸面と嵌合した凹凸面を有することを特徴とする請求項7記載の半導体発光素子。
【請求項9】
前記反射金属層は、Ag、Ag合金、Auのうちのいずれかを含むことを特徴とする請求項8記載の半導体発光素子。
【請求項10】
前記第2導電形層の表面のうち、少なくとも前記第2電極の非形成領域に設けられたシリコン酸化膜をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項11】
前記第2電極の前記非形成領域は、凹凸面であることを特徴とする請求項10記載の半導体発光素子。
【請求項12】
前記第2導電形層の表面のうち、前記第2電極の非形成領域は、凹凸面であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の半導体発光素子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2012−256811(P2012−256811A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164785(P2011−164785)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【特許番号】特許第5095848号(P5095848)
【特許公報発行日】平成24年12月12日(2012.12.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】