半導体発光素子
【課題】正負一対の電極が半導体層を挟んで形成された半導体発光素子において、電極間の電流密度を均一にし、素子全体の発光分布を改善する。
【解決手段】半導体層2と、半導体層2の上面に互いに対向するようにかつ互い違いとなるように並列して配置された複数の第1電極3と、半導体層2の下面に配置された第2電極4と、を備える半導体発光素子10であって、第1電極3は、外部と接続するための外部接続部3aと、半導体層2の上面における中央領域の方向に延伸した第1延伸部3bと、第1延伸部3bとは反対方向であって、半導体層2の周縁内側まで延伸した第2延伸部3cと、を備え、半導体層2の上面で対向する第1電極3の第1延伸部3bのそれぞれは、中央領域において、その先端側が隣り合う方向で対向するように配置される。
【解決手段】半導体層2と、半導体層2の上面に互いに対向するようにかつ互い違いとなるように並列して配置された複数の第1電極3と、半導体層2の下面に配置された第2電極4と、を備える半導体発光素子10であって、第1電極3は、外部と接続するための外部接続部3aと、半導体層2の上面における中央領域の方向に延伸した第1延伸部3bと、第1延伸部3bとは反対方向であって、半導体層2の周縁内側まで延伸した第2延伸部3cと、を備え、半導体層2の上面で対向する第1電極3の第1延伸部3bのそれぞれは、中央領域において、その先端側が隣り合う方向で対向するように配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正負一対の電極が半導体層を挟んで形成された対向電極構造の半導体発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から半導体発光素子の分野では、面内で均一な発光分布を有することが求められ、そのために電極間の電流密度が均一であることが求められている。例えば、正負一対の電極が半導体層の同一面側に形成された半導体発光素子においては、特許文献1〜4に記載されるように、P電極とN電極との距離をできるだけ等しくすることで、均一な電流密度とする技術が開示されている。
【0003】
具体的には、特許文献1では、p−電極の形成領域とn−電極の形成領域とが櫛状に入り込んだ電極形状を有する発光素子が提案されている。また、特許文献2では、n電極から最も離れたp電極までの距離を500μm以内とした半導体発光素子が提案されている。
【0004】
また、特許文献3では、p型電極がn型電極の第1及び第2のn型枝電極を介して4つの面に分割され、かつこれらを全て電気的に接続した半導体発光素子が提案されている。また、特許文献4では、複数のスリットにより露出されたn型層上にnライン電極が形成され、これと隣接するように、pオーミック電極と電流拡散導体とからなるp電極が形成された半導体発光素子が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−012916号公報(図8参照)
【特許文献2】特開2001−345480号公報(図1参照)
【特許文献3】特開2007−116153号公報(図2参照)
【特許文献4】特開2004−056109号公報(図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、正負一対の電極が半導体層を挟んで形成された対向電極構造の半導体発光素子においては、前記した特許文献1〜4で提案されたものと同様に電極を配置したとしても、電極間の電流密度を均一にすることができなかった。これは、正負一対の電極が半導体層の同一面側に形成された半導体発光素子では、半導体層の面内方向に電流が流れる傾向が強いのに対し、対向電極構造の半導体発光素子では、半導体層の厚さ(面直)方向に電流が流れるため、電流の流れやそれに適した電極の配置が全く異なっているためであると考えられる。
【0007】
特に、特許文献1〜4で提案された半導体発光素子では、発光面積をできるだけ広く確保する必要があるため、外部接続部や延伸部の分岐点が半導体層の側面に配置されており、さらに特許文献1〜3で提案された半導体発光素子では、半導体層の側面側に電極が連続している。そのため、正負一対の電極が半導体層を挟んで形成された半導体発光素子の電極配置を前記した特許文献1〜4で提案されたものと同様にすると、電極を形成することで電流が集中しやすい半導体層の側面側に、元々電流が集中する傾向にある外部接続部や延伸部の分岐点を形成することになるため、電流集中がさらに増加し、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差が大きくなってしまう。従って、従来提案されてきた技術では、対向電極構造の半導体発光素子において、均一な発光分布を得ることができないという問題があった。
【0008】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、正負一対の電極が半導体層を挟んで形成された対向電極構造の半導体発光素子において、正負一対の電極間の電流密度を均一にし、素子全体の発光分布を改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明に係る半導体発光素子は、半導体層と、前記半導体層の上面に互い違いに対向するように並列して配置された複数の第1電極と、前記半導体層の下面に配置された第2電極と、を備える半導体発光素子であって、前記第1電極は、外部と接続するための外部接続部と、前記外部接続部から前記半導体層の上面における中央領域の方向に延伸した第1延伸部と、前記外部接続部から前記第1延伸部とは反対方向であって、前記半導体層の周縁内側まで延伸した第2延伸部と、を備え、前記半導体層の上面で対向する前記第1電極の前記第1延伸部のそれぞれは、前記中央領域において、その先端側が隣り合う方向で対向するように配置される構成とする。
【0010】
このような構成を備える半導体発光素子は、第1電極が第1延伸部および第2延伸部を備えることで、外部接続部の周辺に発生しやすい電流集中を半導体層の側面側および中央領域に広げて緩和させることができる。また、第1延伸部のそれぞれを、半導体層の中央領域において、その先端側が隣り合う方向で対向する長さまでそれぞれ延伸させることで、電流が特に不足しがちな半導体層の中央領域における電流を十分に補うことができる。
【0011】
また、本発明に係る半導体発光素子は、半導体層と、前記半導体層の上面に互い違いに対向するように並列して配置された複数の第1電極と、前記半導体層の下面に配置された第2電極と、を備える半導体発光素子であって、前記第1電極は、外部と接続するための外部接続部と、前記外部接続部から前記半導体層の上面における中央領域の方向に延伸した第1延伸部と、前記外部接続部から前記第1延伸部とは反対方向であって、前記半導体層の周縁内側まで延伸した第2延伸部と、を備え、前記半導体層の上面で対向する前記第1電極の前記第1延伸部のそれぞれは、前記中央領域において、その先端が互いに連結される構成とする。
【0012】
このような構成を備える半導体発光素子は、第1電極が第1延伸部および第2延伸部を備えることで、外部接続部の周辺に発生しやすい電流集中を半導体層の側面側および中央領域に広げて緩和させることができる。また、第1延伸部を半導体層の上面における中央領域で連結させることで、電流が特に不足しがちな半導体層の中央領域における電流を十分に補うことができる。
【0013】
また、本発明に係る半導体発光素子は、前記半導体層の上面で対向する前記第1電極の前記第1延伸部のそれぞれの先端側が隣り合う方向で対向するように配置される場合において、前記半導体層の上面で互いに対向する前記外部接続部が、前記半導体層の対向する2つの側面の対向方向において、同一直線上に配置され、前記第1延伸部の一部が、前記半導体層の上面で互いに対向する前記外部接続部同士を繋ぐ線である基準線に対して傾斜する方向に延伸し、前記第1延伸部の残りの一部が、前記基準線に対して平行に延伸される構成とすることが好ましい。
【0014】
このような構成を備える半導体発光素子は、半導体層の上面で互いに対向する外部接続部を同一直線上に配置することにより、外部接続部から半導体層の側面までの距離を揃えることができる。従って、外部接続部と半導体層の側面との間における電流集中、あるいは電流不足を緩和することができる。また、第1延伸部が所定方向に湾曲して延伸しているため、電極面積が増加し、電流がより広範囲に分散される。
【0015】
また、本発明に係る半導体発光素子は、前記半導体層の上面で対向する前記第1電極の前記第1延伸部のそれぞれの先端が互いに連結される場合において、前記半導体層の上面で互いに対向する前記外部接続部が、前記半導体層の対向する2つの側面の対向方向において、同一直線上に配置され、前記第1延伸部の一部が、前記半導体層の上面で互いに対向する前記外部接続部同士を繋ぐ線である基準線に対して傾斜する方向に延伸し、前記第1延伸部の残りの一部が、前記基準線に対して平行に延伸される構成とすることが好ましい。
【0016】
このような構成を備える半導体発光素子は、半導体層の上面で互いに対向する外部接続部を同一直線上に配置することにより、外部接続部から半導体層の側面までの距離を揃えることができる。従って、外部接続部と半導体層の側面との間における電流集中、あるいは電流不足を緩和することができる。また、第1延伸部が所定方向に湾曲して延伸しているため、電極面積が増加し、電流がより広範囲に分散される。
【0017】
また、本発明に係る半導体発光素子は、前記第1延伸部が、前記半導体層の対向する2つの側面の対向方向において、隣り合う第1延伸部に対向されている距離が、対向されていない距離よりも短い構成とすることが好ましい。
【0018】
このような構成を備える半導体発光素子は、電流が集中しやすい外部接続部と、これと対向する外部接続部から延伸する第1延伸部の先端とを離すことにより、外部接続部と第1延伸部との間における電流集中を軽減することができる。
【0019】
また、本発明に係る半導体発光素子は、前記第1延伸部と前記第2延伸部とが、前記半導体層の対向する2つの側面の対向方向において、同じ長さとなるように延伸されることが好ましい。
【0020】
このような構成を備える半導体発光素子は、第1延伸部と第2延伸部とを半導体層の対向する2つの側面の対向方向で同じ長さとすることで、外部接続部を半導体層の中央領域側に近づけることができる。従って、電流が集中しやすい外部接続部によって、半導体層の中央領域における電流不足を大幅に補うことができる。また、半導体層の中央領域と側面との電流の差を軽減させることができる。
【0021】
また、本発明に係る半導体発光素子は、前記第1延伸部が、当該第1延伸部が対向しない領域において、互いに連結されることが好ましい。
【0022】
このような構成を備える半導体発光素子は、半導体層の上面で互いに対向する外部接続部から延伸する第1延伸部同士を、それぞれが対向しない領域で連結することで、半導体層の中央領域における電流不足をさらに補うことができる。また、半導体層の中央領域と側面との電流の差を軽減させることができる。
【0023】
また、本発明に係る半導体発光素子は、前記第1延伸部が、前記外部接続部から二又になって延伸されることが好ましい。
【0024】
このような構成を備える半導体発光素子は、第1延伸部を二又にすることで、半導体層の上面における電極面積が増加して電流がより広範囲に分散されるため、半導体層の中央領域における電流不足をさらに補うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る半導体発光素子によれば、正負一対の電極が半導体層を挟んで形成された対向電極構造の半導体発光素子において、正極と負極間の電流密度を均一にすることができ、素子全体の発光分布を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す図であり、(a)は半導体発光素子を示す平面図、(b)は第1電極の具体的構成を示す平面図、である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る半導体発光素子の断面を示す図であり、(a)は図1(a)のA−A断面図、(b)は図1(a)のB−B断面図、である。
【図3】互いに対向する距離が、互いに対向しない距離よりも長い複数の第1延伸部を有する第1電極を備える半導体発光素子を示す平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図9】本発明の第7実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図10】本発明の第8実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図11】本発明の第9実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図12】本発明の第10実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図13】本発明の第11実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図14】本発明の第12実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図15】比較例1に係る半導体発光素子に関する図であり、(a)は比較例1に係る半導体発光素子の構成を示す平面図、(b)は比較例1に係る半導体発光素子の電流密度の分布を示す図、である。
【図16】比較例2に係る半導体発光素子に関する図であり、(a)は比較例2に係る半導体発光素子の構成を示す平面図、(b)は比較例2に係る半導体発光素子の電流密度の分布を示す図、である。
【図17】比較例3に係る半導体発光素子に関する図であり、(a)は比較例3に係る半導体発光素子の構成を示す平面図、(b)は比較例3に係る半導体発光素子の電流密度の分布を示す図、である。
【図18】実施例1に係る半導体発光素子に関する図であり、(a)は実施例1に係る半導体発光素子の構成を示す平面図、(b)は実施例1に係る半導体発光素子の電流密度の分布を示す図、である。
【図19】実施例2に係る半導体発光素子に関する図であり、(a)は実施例2に係る半導体発光素子の構成を示す平面図、(b)は実施例2に係る半導体発光素子の電流密度の分布を示す図、である。
【図20】実施例3に係る半導体発光素子に関する図であり、(a)は実施例3に係る半導体発光素子の構成を示す平面図、(b)は実施例3に係る半導体発光素子の電流密度の分布を示す図、である。
【図21】実施例4に係る半導体発光素子に関する図であり、(a)は実施例4に係る半導体発光素子の構成を示す平面図、(b)は実施例4に係る半導体発光素子の電流密度の分布を示す図、である。
【図22】実施例5に係る半導体発光素子に関する図であり、(a)は実施例5に係る半導体発光素子の構成を示す平面図、(b)は実施例5に係る半導体発光素子の電流密度の分布を示す図、である。
【図23】実施例6に係る半導体発光素子に関する図であり、(a)は実施例6に係る半導体発光素子の構成を示す平面図、(b)は実施例6に係る半導体発光素子の電流密度の分布を示す図、である。
【図24】実施例および比較例に係る半導体発光素子を用いた電流密度の測定に関する図であり、(a)は実施例および比較例の電流密度の測定結果および相対値の算出結果を示す表、(b)は実施例および比較例の相対値を示す棒グラフ、である。
【図25】本発明の第13実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図26】本発明の第14実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図27】本発明の第5実施形態に係る半導体発光素子を3mm角で形成した構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態に係る半導体発光素子について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面が示す部材のサイズや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0028】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る半導体発光素子10について、図1〜図3を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
<全体構成>
半導体発光素子10は、表示装置、ディスプレイ、液晶ディスプレイのバックライト光源等に利用される素子である。半導体発光素子10は、図2に示すように、支持基板1と、支持基板1の上部に形成された半導体層2と、半導体層2の上面に複数形成された第1電極3と、半導体層2の下面に複数形成された第2電極4と、支持基板1と第2電極4等とを接合するための接合層5と、第1電極3の上部に形成された密着層6と、半導体層2、第1電極3および密着層6の上部に形成された第1保護膜7と、第2電極4の隣接する領域に形成された第2保護膜8と、支持基板1の下面に形成された裏面メタライズ層9と、が積層された構造を有している。また、半導体発光素子10は、前記したように、正負一対の電極である第1電極3および第2電極4が半導体層2を挟んで形成された対向電極構造を有している。以下、半導体発光素子10を構成する各要素について、詳細に説明する。
【0030】
<支持基板>
支持基板1は、電極や半導体層2等の各部材を積層するためのものである。支持基板1は、図1(a)および図2に示すように、ここでは矩形平板状に形成されている。支持基板1の面積は特に限定されず、後記する半導体層2上に配置される第1電極3の数や大きさによって適宜選択される。また、支持基板1の厚さについても特に限定されないが、放熱性の観点から、例えば50〜500μmとすることが好ましい。
【0031】
支持基板1の材料としては、Si,SiC,AlN,AlSiC,Cu−W,Cu−Mo,Cu−ダイヤ等の金属とセラミックの積層体等を用いることができる。そしてその中でも、安価でチップ化のしやすいSiを用いることが好ましい。
【0032】
<半導体層>
半導体層2は、半導体発光素子10における発光部となる層である。半導体層2は、図2に示すように、第2電極4、第2保護膜8、接合層5を介して、支持基板1上に形成されている。半導体層2は、ここでは支持基板1上のほぼ全面に矩形平板状で形成されている。半導体層2の面積は特に限定されず、前記した支持基板1の面積によって適宜選択される。また、半導体層2の厚さについても特に限定されないが、例えば1〜5μmとすることが好ましい。ここで、図示は省略したが、半導体層2は、下から第2導電型半導体層、発光層、第1導電型半導体層が積層された3層構造を有している。以下、各層の構成について簡単に説明する。
【0033】
(第1導電型半導体層および第2導電型半導体層)
第1導電型半導体層および第2導電型半導体層は、半導体材料からなる層にドーパントをドープすることで、n型またはp型の半導体層を形成するものである。本実施形態では、最上層である第1導電型半導体層はn型半導体層を形成し、その上面において、n電極である第1電極3と接している。また、最下層である第2導電型半導体層はp型半導体層を形成し、その下面において、p電極である第2電極4と接している。
【0034】
第1導電型半導体層および第2導電型半導体層を構成する半導体材料としては、GaN,AlN,InN、またはこれらの混晶であるIII−V族窒化物半導体(InαAlβGa1−α−βN,0≦α,0≦β、α+β≦1)、III族元素として一部もしくは全部にB等を用いたり、V族元素としてNの一部をP,As,Sbなどで置換した混晶、AlGaAs,InGaAs等のGaAs系材料、AlGaInP等のInP系材料、またはこれらの混晶であるInGaAsP等の他のIII−V族化合物半導体等を用いることができる。
【0035】
そして、これらの半導体材料にドープされるドーパントとしては、n型ドーパントとして、Si,Ge,Sn,S,O,Ti,Zr等のIV族、またはVI族元素、p型ドーパントとして、Be,Zn,Mn,Cr,Mg,Ca等を用いることができる。
【0036】
ここで、第1導電型半導体層および第2導電型半導体層は、第1電極3または第2電極4との接触抵抗を低くすることができるという観点から、Siを含むGaNと、Mgを含んだGaNと、でそれぞれ形成することが好ましい。
【0037】
第1導電型半導体層の上面、すなわち半導体層2の上面には、図2に示すように、波状の凹凸部が形成されている。当該凹凸(ディンプル加工)部は、半導体層2の光取り出し側にあり、この波状の凹凸部によって半導体層2内の光の角度を変えることができる。従って、半導体層2の上面に凹凸部を形成することで、光の全反射によって半導体層2の外部に出射されない光を外部に取り出すことができ、光の取り出し効率を向上させることができる。なお、この凹凸部の深さは、光の取り出し効率を適切に向上させるという観点から、0.2〜3.0μmとすることが好ましく、1.0〜1.5μmとすることがより好ましい。
【0038】
(発光層)
発光層は、n型半導体層である第1導電型半導体層と、p型の半導体層である第2導電型半導体層と、から注入される電子および正孔の再結合によって生成するエネルギーを光として放出する層である。
【0039】
発光層は、井戸層と障壁層とを含む量子井戸構造を有するものが好ましい。また、発光層を構成する半導体材料としては、ノンドープ、n型不純物ドープ、p型不純物ドープのものを用いることができる。そして、その中でも、ノンドープまたはn型不純物ドープの半導体材料を用いることが好ましい。また、例えば井戸層をアンドープとし、障壁層をn型不純物ドープとしてもよい。
【0040】
なお、発光層は、前記した井戸層の組成を変えるか、井戸層にドープするドーパントの種類およびドープ量を選択することで、半導体発光素子10の目的、用途等に応じて発光層で生成する光の波長を調整することができる。例えば、窒化物半導体からなる発光層では、60〜650nm付近、好ましくは380〜560nmの波長の光を発光することができるが、井戸層にAlを含有することによって、従来のInGaNの井戸層では困難な波長域、具体的には、GaNのバンドギャップエネルギーである波長365nm付近、もしくはそれより短い波長の光を得ることができる。
【0041】
<第1電極>
第1電極3は、半導体層2に対して電流を供給するための電極である。第1電極3は、ここでは、半導体発光素子10が備える正負一対の電極のうち、負極であるN電極として機能する。第1電極3は、図1(a)に示すように、半導体層2の上面に複数形成され、図2に示すように、当該半導体層2を介して第2電極4と対向している。なお、ここでの対向とは、一つの部材同士が互いに点と点で向き合うという意味の他に、複数の部材同士が互いに面と面で向き合うという意味も含むものである。
【0042】
半導体層2の上面に配置される第1電極3の数および面積は特に限定されず、半導体発光素子10の用途および面積によって適宜選択される。また、第1電極3の厚さについても特に限定されないが、導電性の観点から、例えば0.1〜1.5μmとすることが好ましい。また、第1電極3の材料としては、Ni,Au,W,Pt,Ti,Al等を用いることができ、その中でも、下からTi/Pt/Auの順番に積層した多層膜を用いることが好ましい。
【0043】
(第1電極の具体的構成)
第1電極3は、具体的には図1(b)に示すように、円形状の外部接続部3aと、長線状の第1延伸部3bと、短線状の第2延伸部3cと、を備えている。以下、第1電極3が備える各構成について詳細に説明する。
【0044】
(外部接続部)
外部接続部3aは、第1電極3において、外部の電源と接続するためのパッド電極である。外部接続部3aは、半導体層2の上面において、図1(a)に示すように、半導体層2の対向する2つの側面(図1(a)における半導体層2の上下の側面)に沿って配列されている。外部接続部3aの上部には、図1(b)および図2に示すように、密着層6および第1保護膜7が形成されているが、円形状に開口されており、当該外部接続部3aの上面の大部分が外部に露出されるように構成されている。そして、このように外部に露出された外部接続部3aに導電性のワイヤがボンディングされ、外部の電源と電気的に接続される。
【0045】
外部に露出された外部接続部3aの径(パッド電極の径)は、あまり大きいと当該外部接続部3aによる光吸収が起こるため、なるべく小さくすることが好ましい。そのため、外部に露出された外部接続部3aの径は、例えば50〜200μmとすることが好ましく、60〜140μmとすることがより好ましい。なお、外部に露出された外部接続部3aの径とは、より具体的には、外部接続部3aの露出部分と密着層6の露出部分とを合計した長さを意味しており、図1(b)に示す第1保護膜7の円形状の開口部の径のことを意味している。
【0046】
(第1延伸部)
第1延伸部3bは、第1電極3において、外部接続部3aに供給された電流を半導体層2の上面における中央領域に拡散させるための補助電極である。第1延伸部3bは、図1(a)に示すように、外部接続部3aから半導体層2の中央領域の方向に延伸している。ここで、中央領域とは、図1(a)に示すように、半導体層2の上面を2分割する中心線上の領域であって、半導体層2の上面で互いに対向する外部接続部3aの間の領域のことを指している。第1延伸部3bの上部には、図1(b)および図2(b)に示すように、密着層6および第1保護膜7が形成されている。
【0047】
(第2延伸部)
第2延伸部3cは、第1電極3において、外部接続部3aに供給された電流を半導体層2の上面における側面側に拡散させるための補助電極である。第2延伸部3cは、図1(a)に示すように、外部接続部3aから第1延伸部3bの延伸方向と反対方向、すなわち、半導体層2の対向する2つの側面の方向(図1(a)における上下方向)に延伸している。第2延伸部3cの上部には、図1(b)に示すように、密着層6および第1保護膜7が形成されている。
【0048】
ここで、第2延伸部3cは、図1(a)に示すように、半導体層2の周縁内側、すなわち、半導体層2の上面において、当該半導体層2の側面から内側に所定距離進んだ領域内に形成されている。
【0049】
半導体発光素子10は、このように、第2延伸部3c(第1電極3)を半導体層2の周縁から離して形成することで、半導体層2の側面側に電流が集中することを防止し、半導体層2の中央と側面側との電流密度の差を緩和することができる。
【0050】
第1延伸部3bおよび第2延伸部3cの幅は、15〜30μmとすることが好ましい。第1延伸部3bおよび第2延伸部3cの幅は、電流量に応じて調整することが好ましく、例えば電流量が多い場合は、第1延伸部3bおよび第2延伸部3cの幅を大きくすることで電流がより広がりやすくなる。なお、後記するように、第1延伸部3bおよび第2延伸部3cがそれぞれ枝分かれする場合は(図11〜図14参照)、前記した範囲の半分の幅としても構わない。また、第1延伸部3bおよび第2延伸部3cの長さは、2つを合計した場合の長さを900〜1500μmとすることが好ましい。
【0051】
(第1電極の配置)
以下、半導体層2の上面に形成された複数の第1電極3および、第1電極3が備える第1延伸部3bの具体的な配置について、詳細に説明する。以下の説明では、図1(a)に示すように、半導体層2の上面の領域を中心線によって第1領域と第2領域とに分けて説明を行うこととする。但し、この第1領域および第2領域とは説明の便宜上用いる用語であって、実在する領域ではない。
【0052】
第1電極3は、図1(a)に示すように、半導体層2の上面において、第2電極4との対向方向(図2(a)参照)と直交する所定の方向(図1(a)における左右方向)に等間隔で配列されている。また、第1電極3は、図1(a)に示すように、半導体層2の第1領域と第2領域とにそれぞれ複数配列されている。そして、第1領域に形成された複数の第1電極3と、第2領域とに形成された複数の第1電極3とは、図1(a)に示すように、互い違いに対向するように並列して配置されている。すなわち、第1領域および第2領域にそれぞれ形成された複数の第1電極3は、図1(a)に示すように、櫛状に互い違いに配置されている。
【0053】
ここで、半導体層2の上面で互いに対向する第1電極3が備えるそれぞれの第1延伸部3bは、図1(a)に示すように、半導体層2の中央領域において、それぞれの第1延伸部3bの先端側が隣り合う方向(図1(a)における左右方向)で対向するように配置される。
【0054】
半導体発光素子10は、このように、半導体層2の中央領域において、第1延伸部3bのそれぞれをその先端側が隣り合う方向で対向する長さまでそれぞれ延伸させることで、電流が特に不足しがちな半導体層2の中央領域における電流を十分に補うことができる。なお、図1(a)では、第1領域および第2領域に形成されたそれぞれの第1延伸部3bの先端が中央領域で平行に対向している形態を示しているが、このように完全に平行ではなく、多少の角度を持って対向していても構わない。
【0055】
また、半導体層2の上面で互いに対向する第1電極3が備えるそれぞれの第1延伸部3bは、図1(a)に示すように、半導体層2の上面で互いに対向する外部接続部3aの間の領域に形成される。すなわち、第1領域(第2領域)に形成された第1延伸部3bは、第2領域(第1領域)に形成された外部接続部3aまで延伸させない。これは、図3に示すように、第1領域に形成された第1延伸部3b’を、第2領域に形成された外部接続部3a’の先端まで延伸させると、外部接続部3a’と第1延伸部3b’との間で電流集中が増加する可能性があり、あるいは、第2領域に形成された第1延伸部3b’の先端を、第1領域に形成された外部接続部3a’まで延伸させると、外部接続部3a’と第1延伸部3b’との間で電流集中が増加する可能性があるためである。
【0056】
そして、第1延伸部3bは、半導体層2の対向する2つの側面の対向方向において、隣り合う第1延伸部3bに対向されている距離(長さ)が、対向されていない距離(長さ)よりも短いことが好ましい。すなわち、第1領域に形成された第1延伸部3bと、第2領域に形成された第1延伸部3bとが対向する距離aは、図1(a)に示すように、これらが対向しない距離bよりも短いことが好ましい。
【0057】
半導体発光素子10は、このように、距離a<距離bの関係とし、電流が集中しやすい外部接続部3aと、これと対向する外部接続部3aから延伸する第1延伸部3bの先端とを離すことにより、外部接続部3aと第1延伸部3bとの間における電流集中を軽減することができる。
【0058】
<第2電極>
第2電極4は、半導体層2に対して電流を供給するための電極である。第2電極4は、ここでは、半導体発光素子10が備える正負一対の電極のうち、正極であるP電極として機能する。第2電極4は、図2に示すように、半導体層2の下面に形成され、当該半導体層2を介して第1電極3と対向している。
【0059】
第2電極4は、図2に示すように、支持基板1の上部に、接合層5を介して複数形成されている。第2電極4の面積は、図2に示すように、第2電極4の上部に第1電極3が形成されない程度の面積とすることが好ましい。半導体発光素子10は、第1電極3と第2電極4との位置関係をこのような関係とすることで、第1電極3と第2電極4との間を流れる電流が半導体層2内を膜面垂直に最短で流れることがなく、電流が面内に広範囲に分散されるようになる。従って、半導体層2内で比較的均一に発光するようになり、光の取り出し効率が向上する。
【0060】
また、第2電極4の面積は、第1電極3の面積よりも大きく形成することが好ましい。半導体発光素子10は、第1電極3および第2電極4の面積をこのような関係とすることで、電流注入領域の面積を大きくすることができ、発光効率が向上させることができる。また、発光による熱の放熱性も向上させることができ、半導体発光素子10の放熱性を改善することができる。
【0061】
第2電極4の厚さについては特に限定されないが、導電性の観点から、例えば0.05〜0.5μmとすることが好ましい。また、第2電極4の材料としては、Ni,Au,W,Pt,Ti,Al,Ir,Rh,RhO,Ag等を用いることができ、その中でも、反射率の高いRh,Ag,Ni,Auや、下からPt/Ti/Ni/Agの順番に積層した多層膜を用いることが好ましい。
【0062】
<接合層>
接合層5は、支持基板1に、第2電極4および後記する第2保護膜8を、接合するとともに、支持基板1を介して第2電極4と後記する裏面メタライズ層9とを電気的に接続するための導電性の層である。接合層5は、図2に示すように、支持基板1の上部に形成されている。
【0063】
接合層5は、図2に示すように、支持基板1の上面全体に形成される。また、接合層5の厚さは特に限定されないが、接合性および導電性の観点から、例えば3〜4μmとすることが好ましい。また、接合層5の材料としては、少なくともSn,Pb等の低融点材料を含み、Ti,Pt,Au,Sn,Au,Ag,Cu,Bi,Pb,Zn等の金属材料およびこれらの合金を用いることができ、その中でも、下からTiSi2/Pt/Au/AuSn/Au/Ptの順番に積層した多層膜を用いることが好ましい。
【0064】
<密着層>
密着層6は、第1電極3と後記する第1保護膜7との密着性を向上させるための層である。密着層6は、図2に示すように、第1電極3の上部に全面的に形成されている。但し、密着層6は、図1(b)および図2に示すように、外部接続部3aの上部において円形状に開口されており、当該外部接続部3aの大部分が外部に露出されるように構成されている。
【0065】
密着層6の面積は特に限定されず、支持基板1の面積によって適宜選択される。また、密着層6の厚さについても特に限定されないが、密着性の観点から、例えば0.2〜0.3μmとすることが好ましい。また、密着層6の材料としては、Ti,Pt,Ni,W,Mo等を用いることができ、その中でも、下からPt/Tiの順番に積層した多層膜を用いることが好ましい。
【0066】
<第1保護膜>
第1保護膜7は、第1電極3および半導体層2を、電流のショートや埃・塵の付着等による物理的ダメージから保護するための層である。第1保護膜7は、図2に示すように、第1電極3および半導体層2の上部に全面的に形成されている。但し、第1保護膜7は、図1(b)および図2に示すように、外部接続部3aおよび前記した密着層6の開口部の上部において円形状に開口されており、当該外部接続部3aの大部分および密着層6の一部が外部に露出されるように構成されている。
【0067】
第1保護膜7の下面には、前記したように、半導体層2と対応して波状の凹凸部が形成されている(図2参照)。第1保護膜7の面積は特に限定されず、支持基板1の面積によって適宜選択される。また、第1保護膜7の厚さについても特に限定されないが、例えば0.2〜0.3μmとすることが好ましい。また、第1保護膜7の材料としては、SiO2を用いることが好ましい。
【0068】
<第2保護膜>
第2保護膜8は、第2電極4および半導体層2を、電流のショート等による物理的ダメージから保護するための層である。第2保護膜8は、図2に示すように、接合層5上における第2電極4の隣接する領域に形成されている。
【0069】
第2保護膜8の面積は特に限定されず、第2電極4の面積によって適宜選択される。また、第2保護膜8の厚さについても特に限定されないが、例えば0.2〜0.3μmとすることが好ましい。また、第2保護膜8の材料としては、Ti,Al,SiO2,ZrO2等を用いることができ、その中でも、下からTi/SiO2の順番に積層した多層膜を用いることが好ましい。
【0070】
なお、第2保護膜8の下面側、すなわち接合層5側に、さらに下からTi/Ptの順番に積層した高反射率の金属膜を形成してもよい。半導体発光素子10は、このように第2保護膜8の下面に金属膜を形成することにより、反射率を高めることができ、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0071】
<裏面メタライズ層>
裏面メタライズ層9は、半導体発光素子10において、オーミック電極として機能する層である。裏面メタライズ層9は、図2に示すように、支持基板1において接合層5が形成されている面の反対側に形成されている。
【0072】
裏面メタライズ層9は、図2に示すように、支持基板1の下面全体に形成される。また、裏面メタライズ層9の厚さは特に限定されないが、導電性の観点から、例えば0.5〜0.6μmとすることが好ましい。また、裏面メタライズ層9を構成する材料としては、下からAu/AuSn/Pt/TiSi2の順番に積層した多層膜を用いることが好ましい。
【0073】
以上のような構成を備える半導体発光素子10は、第1電極3が第1延伸部3bおよび第2延伸部3cを備えることで、外部接続部3aの周辺に発生しやすい電流集中を半導体層2の側面側および中央領域に広げて緩和させることができる。また、第1延伸部3bのそれぞれを、半導体層2の中央領域において、その先端側が隣り合う方向で対向する長さまでそれぞれ延伸させることで、電流が特に不足しがちな半導体層2の中央領域における電流を十分に補うことができる。従って、第1電極と第2電極の電流密度を均一にすることができ、素子全体の発光分布を改善することができる。
【0074】
[半導体発光素子の動作]
以下、半導体発光素子10の動作について、簡単に説明する。半導体発光素子10においては、まず、第1電極3および第2電極4を介して半導体層2の発光層に電流を供給すると、当該発光層が第1導電型半導体層および第2導電型半導体層から注入される電子および正孔の再結合によって生成するエネルギーを光として放出する。発光層から放出された光は半導体層2内を伝搬し、図2の上方向から外部へと出射される。なお、半導体層2内を伝搬する光の内、第2保護膜8に対して進む光は、当該第2保護膜8の下面に形成された金属膜によって図2の上方向に反射される。また、半導体層2内を伝搬する光の内、光の全反射によって外部に出射されない光は、半導体層2の上面に形成された凹凸部によって角度が変更され、外部に出射される。
【0075】
このような動作を行う半導体発光素子10においては、前記したように、第1電極3の第1延伸部3bが半導体層2の中央領域に電流を拡散させ、第1電極3の第2延伸部3cが半導体層2の側面側に電流を拡散させる。さらに、半導体層2の上面で互いに対向する第1電極3が備えるそれぞれの第1延伸部3bの先端を、半導体層2の上面における中央領域で互い違いに配置することで、電流が特に不足しがちな半導体層2の中央領域における電流が十分に補われる。従って、半導体発光素子10においては、第1電極と第2電極の電流密度が均一となって、素子全体の発光分布が面内で均一となるため、発光ムラのない発光が可能となる。
【0076】
[半導体発光素子の製造方法]
以下、本発明の第1実施形態に係る半導体発光素子10の製造方法について、簡単に説明する。半導体発光素子10の製造方法は、半導体層形成工程と、第2電極形成工程と、第2保護膜形成工程と、接合層形成工程と、貼り合わせ工程と、第1電極形成工程と、第1保護膜形成工程と、を含む。以下、各工程について説明する。なお、半導体発光素子10の構成については前記説明した通りであるため、説明を省略する。
【0077】
<半導体層形成工程>
半導体層形成工程は、異種基板上に第1導電型半導体層、発光層および第2導電型半導体層からなる半導体層2を形成する工程である。半導体層形成工程では、洗浄されたサファイア等からなる異種基板上の表面に、所定の半導体材料、ドーパントなどを含むガスを供給して、MOVPE(有機金属気相成長法)、HVPE(ハライド気相成長法)、MBE(分子線気相成長法)、MOMBE(有機金属分子線気相成長法)等の気相成長装置を用いて、第1導電型半導体層、発光層および第2導電型半導体層の順に気相成長させる。その際、形成する導電型半導体層の種類、例えば、第1導電型半導体層、発光層および第2導電型半導体層の各層の層構成および構成材料、層の膜厚等に応じて、供給するガスが含有する半導体材料およびドーパントの成分種、組成等を切り換え、窒素ガス等の不活性ガスをキャリアガスとして用いて異種基板上に供給する。
【0078】
<第2電極形成工程>
第2電極形成工程は、半導体層2上に第2電極4を形成する工程である。第2電極形成工程では、半導体層2の第2導電型半導体層上の表面に、レジストを用いて第2電極4に対応したマスクを形成し、スパッタリング等で電極材料を積層することによって、第2電極4を形成する。
【0079】
<第2保護膜形成工程>
第2保護膜形成工程は、半導体層2上に第2保護膜8を形成する工程である。第2保護膜形成工程では、半導体層2の第2導電型半導体層上の表面に、レジストを用いて第2保護膜8に対応したマスクを形成し、スパッタリング等で絶縁膜材料を積層することによって、第2保護膜8を形成する。
【0080】
<接合層形成工程>
接合層形成工程は、半導体層2、第2電極4および第2保護膜8上に接合層5を形成する工程である。接合層形成工程では、半導体層2、第2電極4および第2保護膜8上に、スパッタリング等で導電膜材料を積層することによって、接合層5を形成する
【0081】
<貼り合わせ工程>
貼り合わせ工程は、異種基板と支持基板1とを貼り合わせる工程である。貼り合わせ工程では、前記接合層5が同様に形成された支持基板1を用意し、当該支持基板1の接合層5と前記した異種基板の接合層5とを貼り合わせ、加熱することで互いに接合する。そして、異種基板側からエキシマレーザを照射するか、あるいは研削等によって、異種基板を除去し、露出した第1導電型半導体層の表面をCMP(化学機械研磨)によって研磨する。
【0082】
<第1電極形成工程>
第1電極形成工程は、半導体層2上に第1電極3を形成する工程である。第1電極形成工程では、半導体層2の第1導電型半導体層上の表面に、レジストを用いて第1電極3に対応したマスクを形成し、スパッタリング等で電極材料を積層することによって、第1電極3を形成する。そして、レジストを除去することによって、第1電極3が形成されていない領域を形成する。
【0083】
<密着層形成工程>
密着層形成工程は、第1電極3上に密着層6を形成する工程である。密着層形成工程では、第1電極3上の表面に、レジストを用いて密着層6に対応したマスクを形成し、スパッタリング等で導電膜材料を積層することによって、密着層6を形成する。そして、RIE(反応性イオンエッチング)等によって、密着層6の外部接続部3aに相当する領域を除去し、当該外部接続部3aの大部分、すなわち外部接続部3aの周縁以外の領域を露出させた後、レジストを除去する。
【0084】
<第1保護膜形成工程>
第1保護膜形成工程は、半導体層2および密着層6上に第1保護膜7を形成する工程である。第1保護膜形成工程では、半導体層2および密着層6上の表面に、スパッタリング等で絶縁膜材料を積層することによって、第1保護膜7を形成する。そして、RIE(反応性イオンエッチング)等によって、第1保護膜7の外部接続部3aに相当する領域を除去し、当該外部接続部3aの大部分を露出させる。なお、第1保護膜7の形成前に、半導体層2の上面に、凹凸(ディンプル加工)部を形成することもできる。
【0085】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態に係る半導体発光素子20について、図4を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子20は、図4に示すように、第1電極13の構成以外は、前記した半導体発光素子10と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子10と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子20は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0086】
半導体発光素子20は、図4に示すように、半導体層2の上面で対向する第1電極13の第1延伸部13bのそれぞれの先端が、半導体層2の中央領域で互いに連結されている。より詳細には、半導体発光素子20は、図4に示すように、第1領域に形成された第1延伸部13bの先端と、第2領域に形成された第1延伸部13bの先端とが、半導体層2の中央領域にある中心線上で互いに連結されている。
【0087】
このような構成を備える半導体発光素子20は、第1延伸部13bを半導体層2の上面における中央領域で連結させることで、電流が特に不足しがちな半導体層2の中央領域における電流を十分に補うことができる。
【0088】
[第3実施形態]
以下、第3実施形態に係る半導体発光素子30について、図5を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子30は、図5に示すように、第1電極23の構成以外は、前記した半導体発光素子10と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子10と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子30は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0089】
半導体発光素子30は、図5に示すように、半導体層2の上面で互いに対向する外部接続部23a、すなわち、第1領域に形成された外部接続部23aと、第2領域に形成された外部接続部23aとが、半導体層2の対向する2つの側面の対向方向(図5における上下方向)において、同一直線上に配置されている。言い換えれば、半導体発光素子30は、図5に示すように、第1領域に形成された外部接続部23aと、第2領域に形成された外部接続部23aとが、半導体層2の中心線を基準に線対称となるように配置されている。これは、電流が集中する傾向のある外部接続部23aが、半導体層2上に均等な距離をおいてバランスよく配置されていることを意味している。
【0090】
また、半導体発光素子30は、図5に示すように、第1領域および第2領域に形成された第1延伸部23bの一部、すなわち、外部接続部23aから延伸する第1延伸部23bの一部が、基準線に対して傾斜する方向に延伸している。ここで、基準線とは、図5に示すように、第1領域および第2領域に形成された外部接続部23a同士を繋ぐ直線のことを意味している。
【0091】
また、半導体発光素子30は、図5に示すように、第1領域および第2領域に形成された第1延伸部23bの残りの一部、すなわち、基準線に対して傾斜する方向に延伸した後の第1延伸部23bが、基準線に対して平行に延伸している。
【0092】
このような構成を備える半導体発光素子30は、半導体層2の上面で互いに対向する外部接続部23aを同一直線上に配置することにより、外部接続部23aから半導体層2の側面までの距離を揃えることができる。従って、外部接続部23aと半導体層2の側面との間における電流集中、あるいは電流不足を緩和することができる。また、第1延伸部23bが所定方向に湾曲して延伸しているため、電極面積が増加し、電流がより広範囲に分散される。
【0093】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る半導体発光素子40について、図6を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子40は、図6に示すように、第1電極33の構成以外は、前記した半導体発光素子30と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子30と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子40は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についても同様であるため、説明を省略する。
【0094】
半導体発光素子40は、図6に示すように、半導体層2の上面で対向する第1電極33の第1延伸部33bのそれぞれの先端が、半導体層2の中央領域で互いに連結されている。より詳細には、半導体発光素子40は、図6に示すように、第1領域に形成された第1延伸部33bの先端と、第2領域に形成された第1延伸部33bの先端とが、半導体層2の中央領域にある中心線上で互いに連結されている。
【0095】
このような構成を備える半導体発光素子40は、第1延伸部33bを半導体層2の上面における中央領域で連結させることで、電流が特に不足しがちな半導体層2の中央領域における電流を十分に補うことができる。
【0096】
[第5実施形態]
以下、第5実施形態に係る半導体発光素子50について、図7を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子50は、図7に示すように、第1電極43の構成以外は、前記した半導体発光素子30と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子30と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子50は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0097】
半導体発光素子50は、図7に示すように、図5に示した半導体発光素子30の外部接続部23aと比較して、外部接続部43aが半導体層2の中央領域寄りに配置されている。すなわち、半導体発光素子50は、図7に示すように、電流の集中しやすい外部接続部43aが、素子中央側にオフセットされている。
【0098】
このような構成を備える半導体発光素子50は、外部接続部43aを半導体層2の中央領域側に近づけることで、電流が集中しやすい外部接続部43aによって、半導体層2の中央領域における電流不足を補うことができる。また、半導体層2の中央領域と側面との電流の差を軽減させることができる。
【0099】
ここで、半導体発光素子50のように、半導体層2の中央領域から遠い位置(平面視で半導体層2の上下の側面寄り)に外部接続部43aが配置されている場合、半導体層2の上側の側面から第1領域(上半分)に配置された第1電極43の外部接続部43aの中心までの距離(以下、第1距離D1という)と、第1領域(上半分)に配置された第1電極43の外部接続部43aの中心から第2領域(下半分)に配置された第1電極43の外部接続部43aの中心までの距離(以下、第2距離D2という)との比は、D1:D2=1:1〜1:2.5とすることが好ましく、D1:D2=1:2.5とすることがより好ましい。これにより、半導体発光素子50は、実装性が向上するとともに、外部接続部43aと外部電源とを接続するワイヤのループを小さくできるため、当該ワイヤによって光吸収や光取り出しが阻害されることを抑制することができる。なお、前記した第1距離D1は、図7に示すように、半導体層2の下側の側面から第2領域(下半分)に配置された第1電極43の外部接続部43aの中心までの距離であってもよい。
【0100】
また、半導体発光素子50のように、左端の第1電極43の外部接続部43aが半導体層2の左側の側面寄りに配置される場合、半導体層2の左側の側面から半導体層2の左端の第1電極43の外部接続部43aの中心までの距離(以下、第3距離D3という)と、半導体層2の左端の第1電極43の外部接続部43aの中心からその右隣に配置された第1電極43の外部接続部43aの中心までの距離(以下、第4距離D4という)との比は、D3:D4=1:1〜1:1.5とすることが好ましい。これにより、半導体発光素子50は、電流を半導体層2の端まで行き届くようにすることができる。また、前記した第3距離の領域は、右側に外部接続部43aが1つのみ配置されているが、第4距離の領域は、左右に外部接続部43aが配置されているため、前記したように第3距離の領域よりも第4距離の領域を大きくしたとしても、電流拡散の観点における問題が生じることもない。なお、前記した第3距離D3は、図7に示すように、半導体層2の右側の側面から半導体層2の右端の第1電極43の外部接続部43aの中心までの距離であってもよく、前記した第4距離D4は、図7に示すように、半導体層2の右端の第1電極43の外部接続部43aの中心からその左隣に配置された第1電極43の外部接続部43aの中心までの距離であってもよい。
【0101】
また、半導体発光素子50は、電流拡散や素子の実装性を考慮して、素子の大きさに応じて第1延伸部43bおよび第2延伸部43cの長さを調整することが好ましい。例えば、半導体発光素子50が2mm角の大きさである場合、第1領域に形成された第1延伸部43bの長さのうち、第2領域に形成された第1延伸部43bが対向する部分の長さ(以下、第1長さL1という)と、第2領域に形成された第1延伸部43bと対向しない部分の長さ(以下、第2長さL2という)と、第1領域に形成された第2延伸部43cの長さ(以下、第3長さL3という)との比は、L1:L2:L3=2:1:1〜5:2:3とすることが好ましく、またL1:L2:L3=2:1:1とすることがより好ましい。
【0102】
また、半導体発光素子50が例えば図27に示すように3mm角の大きさである場合、第1長さL1と、第2長さL2と、第3長さL3との比は、L1:L2:L3=2:1:1〜5:2:3とすることが好ましく、またL1:L2:L3=5:2:3とすることがより好ましい。これにより、半導体発光素子50は、半導体層2の側面側および中央領域の電流拡散を均一にすることができる。また、半導体発光素子50は、外部接続部43aと外部電源とを接続するワイヤのループを小さくできるため、当該ワイヤによって光吸収や光取り出しが阻害されることを抑制することができる。なお、前記した第1長さL1は、図7に示すように、第2領域に形成された第1延伸部43bの長さのうち、第1領域に形成された第1延伸部43bが対向する部分の長さであってもよく、前記した第2長さL2は、図7に示すように、第2領域に形成された第1延伸部43bの長さのうち、第1領域に形成された第1延伸部43bと対向しない部分の長さであってもよく、前記した第3長さL3は、図7に示すように、第2領域に形成された第2延伸部43cの長さであってもよい。また、第1長さL1と、第2長さL2と、第3長さL3との合計、すなわち第1延伸部43bおよび第2延伸部43cの長さの合計は、前記したように、900〜1500μmとすることが好ましい。
【0103】
[第6実施形態]
以下、第6実施形態に係る半導体発光素子60について、図8を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子60は、図8に示すように、第1電極53の構成以外は、前記した半導体発光素子30と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子30と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子60は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0104】
半導体発光素子60は、図8に示すように、第1延伸部53bと第2延伸部53cとが、半導体層2の対向する2つの側面の対向方向(図8における上下方向)において、同じ長さcで形成されている。すなわち、半導体発光素子60は、図8に示すように、電流の集中しやすい外部接続部53aが、素子中央側によりオフセットされている。
【0105】
このような構成を備える半導体発光素子60は、第1延伸部53bと第2延伸部53cとを半導体層2の対向する2つの側面の対向方向で同じ長さcとすることで、外部接続部53aを半導体層2の中央領域側により近づけることができる。従って、電流が集中しやすい外部接続部53aによって、半導体層2の中央領域における電流不足を大幅に補うことができる。また、半導体層2の中央領域と側面との電流の差を軽減させることができる。
【0106】
ここで、半導体発光素子60のように、半導体層2の中央領域に近い位置に外部接続部53aが配置されている場合、前記した第1距離D1と、前記した第2距離D2との比は、D1:D2=1:1〜1:2.5とすることが好ましく、D1:D2=1:1とすることがより好ましい。これにより、半導体発光素子60は、電流密度を均一にすることができる。また、半導体発光素子60は、前記した第5実施形態に係る半導体発光素子50と同様に、第3距離D3と、第4距離D4との比を、D3:D4=1:1.5とすることが好ましい。また、半導体発光素子60は、前記した第5実施形態に係る半導体発光素子50と同様に、第1長さL1と、第2長さL2と、第3長さL3との比を、L1:L2:L3=2:1:1〜5:2:3とすることが好ましい。
【0107】
[第7実施形態]
以下、第7実施形態に係る半導体発光素子70について、図9を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子70は、図9に示すように、第1電極63の構成以外は、前記した半導体発光素子10と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子10と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子70は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0108】
半導体発光素子70は、図9に示すように、半導体層2の上面で互いに対向する第1電極63が備えるそれぞれの第1延伸部63b、すなわち、第1領域に形成された第1延伸部63bと、第2領域に形成された第1延伸部63bとが、それぞれの第1延伸部63bが対向しない領域において、互いに連結されている。
【0109】
このような構成を備える半導体発光素子70は、半導体層2の上面で互いに対向する外部接続部63aから延伸する第1延伸部63b同士、すなわち、第1領域および第2領域にそれぞれ形成された第1延伸部63bを、それぞれが対向しない領域で連結することで、半導体層2の中央領域における電流不足をさらに補うことができる。また、半導体層2の中央領域と側面との電流の差を軽減させることができる。
【0110】
[第8実施形態]
以下、第8実施形態に係る半導体発光素子80について、図10を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子80は、図10に示すように、第1電極73の構成以外は、前記した半導体発光素子30と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子30と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子80は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0111】
半導体発光素子80は、図10に示すように、半導体層2の上面で互いに対向する第1電極73が備えるそれぞれの第1延伸部73b、すなわち、第1領域に形成された第1延伸部73bと、第2領域に形成された第1延伸部73bとが、それぞれの第1延伸部73bが対向しない領域において、互いに連結されている。
【0112】
このような構成を備える半導体発光素子80は、半導体層2の上面で互いに対向する外部接続部73aから延伸する第1延伸部73b同士、すなわち、第1領域および第2領域にそれぞれ形成された第1延伸部73bを、それぞれが対向しない領域で連結することで、半導体層2の中央領域における電流不足をさらに補うことができる。また、半導体層2の中央領域と側面との電流の差を軽減させることができる。
【0113】
[第9実施形態]
以下、第9実施形態に係る半導体発光素子90について、図11を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子90は、図11に示すように、第1電極83の構成以外は、前記した半導体発光素子10と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子10と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子90は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0114】
半導体発光素子90は、図11に示すように、第1領域および第2領域に形成された第1延伸部83bが、外部接続部83aから半導体層2の中央領域にある中心線の方向に二又になって延伸している。
【0115】
このような構成を備える半導体発光素子90は、第1延伸部83bを二又にすることで、半導体層2の上面における電極面積が増加して電流がより広範囲に分散されるため、半導体層2の中央領域における電流不足をさらに補うことができる。
【0116】
[第10実施形態]
以下、第10実施形態に係る半導体発光素子100について、図12を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子100は、図12に示すように、第1電極93の構成以外は、前記した半導体発光素子90と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子90と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子100は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0117】
半導体発光素子100は、図12に示すように、第1領域に形成された外部接続部93aと、第2領域に形成された外部接続部93aとが、半導体層2の中心線を基準に線対称となるように配置されている。すなわち、電流が集中する傾向のある外部接続部93aが、半導体層2上に均等な距離をおいてバランスよく配置されている。
【0118】
このような構成を備える半導体発光素子100は、第1領域および第2領域にそれぞれ形成された外部接続部93aを同一直線上に配置することにより、外部接続部93aから半導体層2の側面までの距離を揃えることができる。従って、外部接続部93aと半導体層2の側面との間における電流集中、あるいは電流不足を緩和することができる。
【0119】
[第11実施形態]
以下、第11実施形態に係る半導体発光素子110について、図13を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子110は、図13に示すように、第1電極103の構成以外は、前記した半導体発光素子90と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子90と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子110は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0120】
半導体発光素子110は、図13に示すように、第1領域および第2領域に形成された第1延伸部103bの一部、すなわち、外部接続部103aから延伸する第1延伸部103bの中間部分が、基準線に対して傾斜する方向に延伸している。また、半導体発光素子110は、図13に示すように、第1領域および第2領域に形成された第1延伸部103bが対向する中央領域において、当該第1延伸部103bが基準線に対して平行に延伸している。
【0121】
このような構成を備える半導体発光素子110は、第1延伸部103bが所定方向に湾曲して延伸しているため、電極面積が増加し、電流がより広範囲に分散される。
【0122】
[第12実施形態]
以下、第12実施形態に係る半導体発光素子120について、図14を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子120は、図11に示すように、第1電極113の構成以外は、前記した半導体発光素子90と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子90と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子120は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0123】
半導体発光素子120は、図14に示すように、第1領域および第2領域に形成された第2延伸部113cが、外部接続部113aから半導体層2の対向する2つの側面の方向(図14における上下方向)に二又になって延伸している。
【0124】
このような構成を備える半導体発光素子120は、第2延伸部113cを二又にすることで、電極面積が増加して電流がより広範囲に分散されるため、半導体層2の側面側と中央領域との間における電流密度の差を軽減することができる。
【実施例】
【0125】
以下、本発明に係る半導体発光素子が奏する効果を確認する実験例について、図15〜24を参照しながら詳細に説明する。本実験例では、電極配置を変更した複数の半導体発光素子に電流を供給し、各半導体発光素子の電流密度の分布を観察した。そして、各半導体発光素子の電流密度の分布から、各半導体発光素子の電流密度の差を比較した。
【0126】
各半導体発光素子の電流密度の分布は、有限要素法を用いたシミュレーションソフトにより観察および解析した。また、図15〜23の各図(a)は、実験に用いた半導体発光素子の第1電極の配置を示し、図15〜23の各図(b)は、各半導体発光素子の電流分布の観察結果を示している。また、図15〜23の各図(b)の下に配置されたバーは、右に進む程電流密度が高いことを示している。
【0127】
[比較例1]
比較例1に係る半導体発光素子130は、図15(a)に示すように、第1電極が第2延伸部を備えておらず、かつ、外部接続部が半導体層の側面に接した場所に形成されている。すなわち、半導体発光素子130は、電流が集中しやすい半導体層の側面側に、元々電流が集中する傾向にある外部接続部が形成されている。そのため、図15(b)に示すように、半導体層の中央領域における電流密度が低下するとともに、半導体層の側面側における電流密度が増加している。従って、図15(a)に示す電極形状および電極配置では、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差が大きくなり、均一な発光分布を得ることができないことがわかる。
【0128】
[比較例2]
比較例2に係る半導体発光素子140は、図16(a)に示すように、第1電極が第2延伸部を備えていない。そのため、図16(b)に示すように、半導体層の側面側に電流を拡散させることができず、半導体層の側面側における電流密度が低下している。従って、図16(a)に示す電極形状および電極配置では、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差が大きくなり、均一な発光分布を得ることができないことがわかる。
【0129】
[比較例3]
比較例3に係る半導体発光素子150も、図17(a)に示すように、第1電極が第2延伸部を備えていない。そのため、図17(b)に示すように、半導体層の側面側に電流を拡散させることができず、半導体層の側面側における電流密度が低下している。従って、図17(a)に示す電極形状および電極配置では、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差が大きくなり、均一な発光分布を得ることができないことがわかる。
【0130】
[実施例1]
実施例1に係る半導体発光素子10は、図18(a)に示すように、第1電極が第1延伸部および第2延伸部を備えている。
【0131】
そのため、図18(b)に示すように、半導体層の中央領域および側面側に電流を拡散させることができ、半導体層の中央領域側および側面側における電流密度を均一に増加させることができる。従って、図18(a)に示す電極形状および電極配置であれば、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差を緩和し、均一な発光分布を得ることができることがわかる。なお、実施例1に係る半導体発光素子10は、前記した第1実施形態に係る半導体発光素子10と同様のものである。
【0132】
[実施例2]
実施例2に係る半導体発光素子30は、図19(a)に示すように、第1電極が第1延伸部および第2延伸部を備えるとともに、第1領域および第2領域に形成された外部接続部が、中心線を基準に線対称となるように配置されている。また、第1延伸部の一部が第1領域および第2領域に形成された外部接続部同士を繋ぐ基準線に対して傾斜する方向に延伸するとともに、第1延伸部の残りの一部が当該基準線に対して平行に延伸している。
【0133】
そのため、図19(b)に示すように、電極面積を拡大させることができ、半導体層の中央領域および側面側に電流をより拡散させることができるとともに、半導体層の中央領域側および側面側における電流密度をより均一に増加させることができる。従って、図19(a)に示す電極形状および電極配置であれば、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差をより緩和し、より均一な発光分布を得ることができることがわかる。なお、実施例2に係る半導体発光素子30は、前記した第3実施形態に係る半導体発光素子30と同様のものである。
【0134】
[実施例3]
実施例3に係る半導体発光素子50は、図20(a)に示すように、前記した半導体発光素子30と同様の構成を備え、かつ、半導体発光素子30の外部接続部と比較して、外部接続部が半導体層2の中央領域寄りに配置されている。
【0135】
そのため、図20(b)に示すように、電流が集中しやすい外部接続部を半導体層2の中央領域側に近づけることができ、電流が不足しやすい半導体層の中央領域の電流密度を増加させることができる。従って、図20(a)に示す電極形状および電極配置であれば、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差をより緩和し、より均一な発光分布を得ることができることがわかる。なお、実施例3に係る半導体発光素子50は、前記した第5実施形態に係る半導体発光素子50と同様のものである。
【0136】
[実施例4]
実施例4に係る半導体発光素子60は、図21(a)に示すように、前記した半導体発光素子30と同様の構成を備え、かつ、第1延伸部と第2延伸部とが、半導体層の対向する2つの側面の対向方向(図21(a)における上下方向)において、同じ長さで形成されている。
【0137】
そのため、図21(b)に示すように、電流が集中しやすい外部接続部を半導体層2の中央領域側にさらに近づけることができ、電流が不足しやすい半導体層の中央領域の電流密度をさらに増加させることができる。従って、図21(a)に示す電極形状および電極配置であれば、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差をより緩和し、より均一な発光分布を得ることができることがわかる。なお、実施例4に係る半導体発光素子60は、前記した第6実施形態に係る半導体発光素子60と同様のものである。
【0138】
[実施例5]
実施例5に係る半導体発光素子80は、図22(a)に示すように、前記した半導体発光素子30と同様の構成を備え、かつ、第1領域および第2領域に形成された第1延伸部が、それぞれの第1延伸部が対向しない領域において、互いに連結されている。
【0139】
そのため、図22(b)に示すように、電流が不足しやすい半導体層の中央領域の電流密度を増加させることができる。従って、図22(a)に示す電極形状および電極配置であれば、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差をより緩和し、より均一な発光分布を得ることができることがわかる。なお、実施例5に係る半導体発光素子80は、前記した第8実施形態に係る半導体発光素子80と同様のものである。
【0140】
[実施例6]
実施例6に係る半導体発光素子40は、図23(a)に示すように、前記した半導体発光素子30と同様の構成を備え、かつ、第1領域および第2領域に形成された第1延伸部の先端が半導体層の中央領域にある中心線上で連結されている。
【0141】
そのため、図23(b)に示すように、電極面積を拡大させることができ、半導体層の中央領域および側面側に電流をより拡散させることができるとともに、半導体層の中央領域側および側面側における電流密度をより均一に増加させることができる。従って、図23(a)に示す電極形状および電極配置であれば、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差をより緩和し、より均一な発光分布を得ることができることがわかる。なお、実施例6に係る半導体発光素子40は、前記した第4実施形態に係る半導体発光素子40と同様のものである。
【0142】
図24(a)に、比較例1〜3、実施例1〜6に係る半導体発光素子の電流密度の最大値(以下、電流MAXと略す)と、電流密度の最小値(以下、電流MINと略す)と、その相対値と、を示す。ここで、相対値とは、比較例1を基準とした各半導体発光素子の電流密度の差を示す値であり、各半導体発光素子の電流MAXと電流MINとの差を、比較例1の電流MAXと電流MINとの差で除算した値である。この相対値を比較することで、各半導体発光素子の電流密度の差が、比較例1と比較して大きいのか、あるいは小さいのかを容易に判定することができる。
【0143】
本実験例では、図24(a)、(b)に示すように、実施例1〜6に係る半導体発光素子の相対値が、基準となる比較例1に係る半導体発光素子の相対値よりも低く、その中でも実施例4に係る半導体発光素子50の相対値が最も低い。従って、実施例4に係る半導体発光素子50のような電極形状および電極配置であれば、半導体層における電流密度の差を最も緩和させることができることがわかる。
【0144】
一方、本実験例では、図24(a)、(b)に示すように、比較例2,3に係る半導体発光素子の相対値が基準となる比較例1に係る半導体発光素子の相対値よりも高く、その中でも比較例2に係る半導体発光素子140の相対値が最も高い。従って、比較例2に係る半導体発光素子140のような電極形状および電極配置では、半導体層における電流密度の差を最も緩和させることができないことがわかる。
【0145】
以上、本発明に係る半導体発光素子について、発明を実施するための形態および実施例により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【0146】
例えば、第5実施形態に係る半導体発光素子50および第6実施形態に係る半導体発光素子60は、図7および図8に示すように、それぞれの第1電極43,53ごとに外部接続部43a,53aを備えているが、外部接続部43a,53aを備えない第1電極43,53を半導体層2上に所定個数配置しても構わない。すなわち、半導体発光素子50,60は、図25に示す半導体発光素子160のように、第1領域(上半分)または第2領域(下半分)にそれぞれ配置された12個の第1電極153のうち、4個のみ(例えば左から2,5,8,11番目のみ)が外部接続部153aを備え、その他の第1電極153は外部接続部153aを備えない構成とすることができる。この場合、図25に示すように、外部接続部153aを備える第1電極153と、その両隣に配置された外部接続部153aを備えない第1電極153と、をそれぞれ接続することで、外部接続部153aを備えない第1電極153を補助電極として用いることが好ましい。これにより、半導体発光素子160は、外部接続部153aの数、すなわち半導体層2上における外部接続部153aが占める面積を減らすことができるため、当該外部接続部153aによる光吸収を抑えるとともに、発光面積を拡大することができる。
【0147】
また、半導体発光素子50,60は、図26に示す半導体発光素子170のように、第1領域(上半分)と第2領域(下半分)とのそれぞれの中央(図1(a)の配列方向における中央)に、外部接続部163aを備える第1電極163をそれぞれ1個のみ配置する構成としても構わない。すなわち、外部接続部163aは、半導体層2における第1領域および第2領域のそれぞれに最低1個形成されていればよい。この場合、図26に示すように、外部接続部163aを備える第1電極163と、外部接続部163aを備えない全ての第1電極163と、をそれぞれ接続することで、と該外部接続部163aを備えない第1電極163を補助電極として用いることが好ましい。これにより、半導体発光素子170は、外部接続部163aの数、すなわち半導体層2上における外部接続部163aが占める面積をより減らすことができるため、当該外部接続部163aによる光吸収をより抑えるとともに、発光面積をより拡大することができる。
【符号の説明】
【0148】
1 支持基板
2 半導体層
3,3’,13,23,33,43,53,63,73,83,93,103,113 第1電極
3a,3a’,13a,23a,33a,43a,53a,63a,73a,83a,93a,103a,113a,153a,163a 外部接続部
3b,3b’,13b,23b,33b,43b,53b,63b,73b,83b,93b,103b,113b,153b,163b 第1延伸部
3c,3c’,13c,23c,33c,43c,53c,63c,73c,83c,93c,103c,113c,153c,163c 第2延伸部
4 第2電極
5 接合層
6 密着層
7 第1保護膜
8 第2保護膜
9 裏面メタライズ層
10,10’20,30,40,50,60,70,80,90,100,110,120,130,140,150,160,170 半導体発光素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、正負一対の電極が半導体層を挟んで形成された対向電極構造の半導体発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から半導体発光素子の分野では、面内で均一な発光分布を有することが求められ、そのために電極間の電流密度が均一であることが求められている。例えば、正負一対の電極が半導体層の同一面側に形成された半導体発光素子においては、特許文献1〜4に記載されるように、P電極とN電極との距離をできるだけ等しくすることで、均一な電流密度とする技術が開示されている。
【0003】
具体的には、特許文献1では、p−電極の形成領域とn−電極の形成領域とが櫛状に入り込んだ電極形状を有する発光素子が提案されている。また、特許文献2では、n電極から最も離れたp電極までの距離を500μm以内とした半導体発光素子が提案されている。
【0004】
また、特許文献3では、p型電極がn型電極の第1及び第2のn型枝電極を介して4つの面に分割され、かつこれらを全て電気的に接続した半導体発光素子が提案されている。また、特許文献4では、複数のスリットにより露出されたn型層上にnライン電極が形成され、これと隣接するように、pオーミック電極と電流拡散導体とからなるp電極が形成された半導体発光素子が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−012916号公報(図8参照)
【特許文献2】特開2001−345480号公報(図1参照)
【特許文献3】特開2007−116153号公報(図2参照)
【特許文献4】特開2004−056109号公報(図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、正負一対の電極が半導体層を挟んで形成された対向電極構造の半導体発光素子においては、前記した特許文献1〜4で提案されたものと同様に電極を配置したとしても、電極間の電流密度を均一にすることができなかった。これは、正負一対の電極が半導体層の同一面側に形成された半導体発光素子では、半導体層の面内方向に電流が流れる傾向が強いのに対し、対向電極構造の半導体発光素子では、半導体層の厚さ(面直)方向に電流が流れるため、電流の流れやそれに適した電極の配置が全く異なっているためであると考えられる。
【0007】
特に、特許文献1〜4で提案された半導体発光素子では、発光面積をできるだけ広く確保する必要があるため、外部接続部や延伸部の分岐点が半導体層の側面に配置されており、さらに特許文献1〜3で提案された半導体発光素子では、半導体層の側面側に電極が連続している。そのため、正負一対の電極が半導体層を挟んで形成された半導体発光素子の電極配置を前記した特許文献1〜4で提案されたものと同様にすると、電極を形成することで電流が集中しやすい半導体層の側面側に、元々電流が集中する傾向にある外部接続部や延伸部の分岐点を形成することになるため、電流集中がさらに増加し、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差が大きくなってしまう。従って、従来提案されてきた技術では、対向電極構造の半導体発光素子において、均一な発光分布を得ることができないという問題があった。
【0008】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、正負一対の電極が半導体層を挟んで形成された対向電極構造の半導体発光素子において、正負一対の電極間の電流密度を均一にし、素子全体の発光分布を改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明に係る半導体発光素子は、半導体層と、前記半導体層の上面に互い違いに対向するように並列して配置された複数の第1電極と、前記半導体層の下面に配置された第2電極と、を備える半導体発光素子であって、前記第1電極は、外部と接続するための外部接続部と、前記外部接続部から前記半導体層の上面における中央領域の方向に延伸した第1延伸部と、前記外部接続部から前記第1延伸部とは反対方向であって、前記半導体層の周縁内側まで延伸した第2延伸部と、を備え、前記半導体層の上面で対向する前記第1電極の前記第1延伸部のそれぞれは、前記中央領域において、その先端側が隣り合う方向で対向するように配置される構成とする。
【0010】
このような構成を備える半導体発光素子は、第1電極が第1延伸部および第2延伸部を備えることで、外部接続部の周辺に発生しやすい電流集中を半導体層の側面側および中央領域に広げて緩和させることができる。また、第1延伸部のそれぞれを、半導体層の中央領域において、その先端側が隣り合う方向で対向する長さまでそれぞれ延伸させることで、電流が特に不足しがちな半導体層の中央領域における電流を十分に補うことができる。
【0011】
また、本発明に係る半導体発光素子は、半導体層と、前記半導体層の上面に互い違いに対向するように並列して配置された複数の第1電極と、前記半導体層の下面に配置された第2電極と、を備える半導体発光素子であって、前記第1電極は、外部と接続するための外部接続部と、前記外部接続部から前記半導体層の上面における中央領域の方向に延伸した第1延伸部と、前記外部接続部から前記第1延伸部とは反対方向であって、前記半導体層の周縁内側まで延伸した第2延伸部と、を備え、前記半導体層の上面で対向する前記第1電極の前記第1延伸部のそれぞれは、前記中央領域において、その先端が互いに連結される構成とする。
【0012】
このような構成を備える半導体発光素子は、第1電極が第1延伸部および第2延伸部を備えることで、外部接続部の周辺に発生しやすい電流集中を半導体層の側面側および中央領域に広げて緩和させることができる。また、第1延伸部を半導体層の上面における中央領域で連結させることで、電流が特に不足しがちな半導体層の中央領域における電流を十分に補うことができる。
【0013】
また、本発明に係る半導体発光素子は、前記半導体層の上面で対向する前記第1電極の前記第1延伸部のそれぞれの先端側が隣り合う方向で対向するように配置される場合において、前記半導体層の上面で互いに対向する前記外部接続部が、前記半導体層の対向する2つの側面の対向方向において、同一直線上に配置され、前記第1延伸部の一部が、前記半導体層の上面で互いに対向する前記外部接続部同士を繋ぐ線である基準線に対して傾斜する方向に延伸し、前記第1延伸部の残りの一部が、前記基準線に対して平行に延伸される構成とすることが好ましい。
【0014】
このような構成を備える半導体発光素子は、半導体層の上面で互いに対向する外部接続部を同一直線上に配置することにより、外部接続部から半導体層の側面までの距離を揃えることができる。従って、外部接続部と半導体層の側面との間における電流集中、あるいは電流不足を緩和することができる。また、第1延伸部が所定方向に湾曲して延伸しているため、電極面積が増加し、電流がより広範囲に分散される。
【0015】
また、本発明に係る半導体発光素子は、前記半導体層の上面で対向する前記第1電極の前記第1延伸部のそれぞれの先端が互いに連結される場合において、前記半導体層の上面で互いに対向する前記外部接続部が、前記半導体層の対向する2つの側面の対向方向において、同一直線上に配置され、前記第1延伸部の一部が、前記半導体層の上面で互いに対向する前記外部接続部同士を繋ぐ線である基準線に対して傾斜する方向に延伸し、前記第1延伸部の残りの一部が、前記基準線に対して平行に延伸される構成とすることが好ましい。
【0016】
このような構成を備える半導体発光素子は、半導体層の上面で互いに対向する外部接続部を同一直線上に配置することにより、外部接続部から半導体層の側面までの距離を揃えることができる。従って、外部接続部と半導体層の側面との間における電流集中、あるいは電流不足を緩和することができる。また、第1延伸部が所定方向に湾曲して延伸しているため、電極面積が増加し、電流がより広範囲に分散される。
【0017】
また、本発明に係る半導体発光素子は、前記第1延伸部が、前記半導体層の対向する2つの側面の対向方向において、隣り合う第1延伸部に対向されている距離が、対向されていない距離よりも短い構成とすることが好ましい。
【0018】
このような構成を備える半導体発光素子は、電流が集中しやすい外部接続部と、これと対向する外部接続部から延伸する第1延伸部の先端とを離すことにより、外部接続部と第1延伸部との間における電流集中を軽減することができる。
【0019】
また、本発明に係る半導体発光素子は、前記第1延伸部と前記第2延伸部とが、前記半導体層の対向する2つの側面の対向方向において、同じ長さとなるように延伸されることが好ましい。
【0020】
このような構成を備える半導体発光素子は、第1延伸部と第2延伸部とを半導体層の対向する2つの側面の対向方向で同じ長さとすることで、外部接続部を半導体層の中央領域側に近づけることができる。従って、電流が集中しやすい外部接続部によって、半導体層の中央領域における電流不足を大幅に補うことができる。また、半導体層の中央領域と側面との電流の差を軽減させることができる。
【0021】
また、本発明に係る半導体発光素子は、前記第1延伸部が、当該第1延伸部が対向しない領域において、互いに連結されることが好ましい。
【0022】
このような構成を備える半導体発光素子は、半導体層の上面で互いに対向する外部接続部から延伸する第1延伸部同士を、それぞれが対向しない領域で連結することで、半導体層の中央領域における電流不足をさらに補うことができる。また、半導体層の中央領域と側面との電流の差を軽減させることができる。
【0023】
また、本発明に係る半導体発光素子は、前記第1延伸部が、前記外部接続部から二又になって延伸されることが好ましい。
【0024】
このような構成を備える半導体発光素子は、第1延伸部を二又にすることで、半導体層の上面における電極面積が増加して電流がより広範囲に分散されるため、半導体層の中央領域における電流不足をさらに補うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る半導体発光素子によれば、正負一対の電極が半導体層を挟んで形成された対向電極構造の半導体発光素子において、正極と負極間の電流密度を均一にすることができ、素子全体の発光分布を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す図であり、(a)は半導体発光素子を示す平面図、(b)は第1電極の具体的構成を示す平面図、である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る半導体発光素子の断面を示す図であり、(a)は図1(a)のA−A断面図、(b)は図1(a)のB−B断面図、である。
【図3】互いに対向する距離が、互いに対向しない距離よりも長い複数の第1延伸部を有する第1電極を備える半導体発光素子を示す平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図9】本発明の第7実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図10】本発明の第8実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図11】本発明の第9実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図12】本発明の第10実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図13】本発明の第11実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図14】本発明の第12実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図15】比較例1に係る半導体発光素子に関する図であり、(a)は比較例1に係る半導体発光素子の構成を示す平面図、(b)は比較例1に係る半導体発光素子の電流密度の分布を示す図、である。
【図16】比較例2に係る半導体発光素子に関する図であり、(a)は比較例2に係る半導体発光素子の構成を示す平面図、(b)は比較例2に係る半導体発光素子の電流密度の分布を示す図、である。
【図17】比較例3に係る半導体発光素子に関する図であり、(a)は比較例3に係る半導体発光素子の構成を示す平面図、(b)は比較例3に係る半導体発光素子の電流密度の分布を示す図、である。
【図18】実施例1に係る半導体発光素子に関する図であり、(a)は実施例1に係る半導体発光素子の構成を示す平面図、(b)は実施例1に係る半導体発光素子の電流密度の分布を示す図、である。
【図19】実施例2に係る半導体発光素子に関する図であり、(a)は実施例2に係る半導体発光素子の構成を示す平面図、(b)は実施例2に係る半導体発光素子の電流密度の分布を示す図、である。
【図20】実施例3に係る半導体発光素子に関する図であり、(a)は実施例3に係る半導体発光素子の構成を示す平面図、(b)は実施例3に係る半導体発光素子の電流密度の分布を示す図、である。
【図21】実施例4に係る半導体発光素子に関する図であり、(a)は実施例4に係る半導体発光素子の構成を示す平面図、(b)は実施例4に係る半導体発光素子の電流密度の分布を示す図、である。
【図22】実施例5に係る半導体発光素子に関する図であり、(a)は実施例5に係る半導体発光素子の構成を示す平面図、(b)は実施例5に係る半導体発光素子の電流密度の分布を示す図、である。
【図23】実施例6に係る半導体発光素子に関する図であり、(a)は実施例6に係る半導体発光素子の構成を示す平面図、(b)は実施例6に係る半導体発光素子の電流密度の分布を示す図、である。
【図24】実施例および比較例に係る半導体発光素子を用いた電流密度の測定に関する図であり、(a)は実施例および比較例の電流密度の測定結果および相対値の算出結果を示す表、(b)は実施例および比較例の相対値を示す棒グラフ、である。
【図25】本発明の第13実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図26】本発明の第14実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
【図27】本発明の第5実施形態に係る半導体発光素子を3mm角で形成した構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態に係る半導体発光素子について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面が示す部材のサイズや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0028】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る半導体発光素子10について、図1〜図3を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
<全体構成>
半導体発光素子10は、表示装置、ディスプレイ、液晶ディスプレイのバックライト光源等に利用される素子である。半導体発光素子10は、図2に示すように、支持基板1と、支持基板1の上部に形成された半導体層2と、半導体層2の上面に複数形成された第1電極3と、半導体層2の下面に複数形成された第2電極4と、支持基板1と第2電極4等とを接合するための接合層5と、第1電極3の上部に形成された密着層6と、半導体層2、第1電極3および密着層6の上部に形成された第1保護膜7と、第2電極4の隣接する領域に形成された第2保護膜8と、支持基板1の下面に形成された裏面メタライズ層9と、が積層された構造を有している。また、半導体発光素子10は、前記したように、正負一対の電極である第1電極3および第2電極4が半導体層2を挟んで形成された対向電極構造を有している。以下、半導体発光素子10を構成する各要素について、詳細に説明する。
【0030】
<支持基板>
支持基板1は、電極や半導体層2等の各部材を積層するためのものである。支持基板1は、図1(a)および図2に示すように、ここでは矩形平板状に形成されている。支持基板1の面積は特に限定されず、後記する半導体層2上に配置される第1電極3の数や大きさによって適宜選択される。また、支持基板1の厚さについても特に限定されないが、放熱性の観点から、例えば50〜500μmとすることが好ましい。
【0031】
支持基板1の材料としては、Si,SiC,AlN,AlSiC,Cu−W,Cu−Mo,Cu−ダイヤ等の金属とセラミックの積層体等を用いることができる。そしてその中でも、安価でチップ化のしやすいSiを用いることが好ましい。
【0032】
<半導体層>
半導体層2は、半導体発光素子10における発光部となる層である。半導体層2は、図2に示すように、第2電極4、第2保護膜8、接合層5を介して、支持基板1上に形成されている。半導体層2は、ここでは支持基板1上のほぼ全面に矩形平板状で形成されている。半導体層2の面積は特に限定されず、前記した支持基板1の面積によって適宜選択される。また、半導体層2の厚さについても特に限定されないが、例えば1〜5μmとすることが好ましい。ここで、図示は省略したが、半導体層2は、下から第2導電型半導体層、発光層、第1導電型半導体層が積層された3層構造を有している。以下、各層の構成について簡単に説明する。
【0033】
(第1導電型半導体層および第2導電型半導体層)
第1導電型半導体層および第2導電型半導体層は、半導体材料からなる層にドーパントをドープすることで、n型またはp型の半導体層を形成するものである。本実施形態では、最上層である第1導電型半導体層はn型半導体層を形成し、その上面において、n電極である第1電極3と接している。また、最下層である第2導電型半導体層はp型半導体層を形成し、その下面において、p電極である第2電極4と接している。
【0034】
第1導電型半導体層および第2導電型半導体層を構成する半導体材料としては、GaN,AlN,InN、またはこれらの混晶であるIII−V族窒化物半導体(InαAlβGa1−α−βN,0≦α,0≦β、α+β≦1)、III族元素として一部もしくは全部にB等を用いたり、V族元素としてNの一部をP,As,Sbなどで置換した混晶、AlGaAs,InGaAs等のGaAs系材料、AlGaInP等のInP系材料、またはこれらの混晶であるInGaAsP等の他のIII−V族化合物半導体等を用いることができる。
【0035】
そして、これらの半導体材料にドープされるドーパントとしては、n型ドーパントとして、Si,Ge,Sn,S,O,Ti,Zr等のIV族、またはVI族元素、p型ドーパントとして、Be,Zn,Mn,Cr,Mg,Ca等を用いることができる。
【0036】
ここで、第1導電型半導体層および第2導電型半導体層は、第1電極3または第2電極4との接触抵抗を低くすることができるという観点から、Siを含むGaNと、Mgを含んだGaNと、でそれぞれ形成することが好ましい。
【0037】
第1導電型半導体層の上面、すなわち半導体層2の上面には、図2に示すように、波状の凹凸部が形成されている。当該凹凸(ディンプル加工)部は、半導体層2の光取り出し側にあり、この波状の凹凸部によって半導体層2内の光の角度を変えることができる。従って、半導体層2の上面に凹凸部を形成することで、光の全反射によって半導体層2の外部に出射されない光を外部に取り出すことができ、光の取り出し効率を向上させることができる。なお、この凹凸部の深さは、光の取り出し効率を適切に向上させるという観点から、0.2〜3.0μmとすることが好ましく、1.0〜1.5μmとすることがより好ましい。
【0038】
(発光層)
発光層は、n型半導体層である第1導電型半導体層と、p型の半導体層である第2導電型半導体層と、から注入される電子および正孔の再結合によって生成するエネルギーを光として放出する層である。
【0039】
発光層は、井戸層と障壁層とを含む量子井戸構造を有するものが好ましい。また、発光層を構成する半導体材料としては、ノンドープ、n型不純物ドープ、p型不純物ドープのものを用いることができる。そして、その中でも、ノンドープまたはn型不純物ドープの半導体材料を用いることが好ましい。また、例えば井戸層をアンドープとし、障壁層をn型不純物ドープとしてもよい。
【0040】
なお、発光層は、前記した井戸層の組成を変えるか、井戸層にドープするドーパントの種類およびドープ量を選択することで、半導体発光素子10の目的、用途等に応じて発光層で生成する光の波長を調整することができる。例えば、窒化物半導体からなる発光層では、60〜650nm付近、好ましくは380〜560nmの波長の光を発光することができるが、井戸層にAlを含有することによって、従来のInGaNの井戸層では困難な波長域、具体的には、GaNのバンドギャップエネルギーである波長365nm付近、もしくはそれより短い波長の光を得ることができる。
【0041】
<第1電極>
第1電極3は、半導体層2に対して電流を供給するための電極である。第1電極3は、ここでは、半導体発光素子10が備える正負一対の電極のうち、負極であるN電極として機能する。第1電極3は、図1(a)に示すように、半導体層2の上面に複数形成され、図2に示すように、当該半導体層2を介して第2電極4と対向している。なお、ここでの対向とは、一つの部材同士が互いに点と点で向き合うという意味の他に、複数の部材同士が互いに面と面で向き合うという意味も含むものである。
【0042】
半導体層2の上面に配置される第1電極3の数および面積は特に限定されず、半導体発光素子10の用途および面積によって適宜選択される。また、第1電極3の厚さについても特に限定されないが、導電性の観点から、例えば0.1〜1.5μmとすることが好ましい。また、第1電極3の材料としては、Ni,Au,W,Pt,Ti,Al等を用いることができ、その中でも、下からTi/Pt/Auの順番に積層した多層膜を用いることが好ましい。
【0043】
(第1電極の具体的構成)
第1電極3は、具体的には図1(b)に示すように、円形状の外部接続部3aと、長線状の第1延伸部3bと、短線状の第2延伸部3cと、を備えている。以下、第1電極3が備える各構成について詳細に説明する。
【0044】
(外部接続部)
外部接続部3aは、第1電極3において、外部の電源と接続するためのパッド電極である。外部接続部3aは、半導体層2の上面において、図1(a)に示すように、半導体層2の対向する2つの側面(図1(a)における半導体層2の上下の側面)に沿って配列されている。外部接続部3aの上部には、図1(b)および図2に示すように、密着層6および第1保護膜7が形成されているが、円形状に開口されており、当該外部接続部3aの上面の大部分が外部に露出されるように構成されている。そして、このように外部に露出された外部接続部3aに導電性のワイヤがボンディングされ、外部の電源と電気的に接続される。
【0045】
外部に露出された外部接続部3aの径(パッド電極の径)は、あまり大きいと当該外部接続部3aによる光吸収が起こるため、なるべく小さくすることが好ましい。そのため、外部に露出された外部接続部3aの径は、例えば50〜200μmとすることが好ましく、60〜140μmとすることがより好ましい。なお、外部に露出された外部接続部3aの径とは、より具体的には、外部接続部3aの露出部分と密着層6の露出部分とを合計した長さを意味しており、図1(b)に示す第1保護膜7の円形状の開口部の径のことを意味している。
【0046】
(第1延伸部)
第1延伸部3bは、第1電極3において、外部接続部3aに供給された電流を半導体層2の上面における中央領域に拡散させるための補助電極である。第1延伸部3bは、図1(a)に示すように、外部接続部3aから半導体層2の中央領域の方向に延伸している。ここで、中央領域とは、図1(a)に示すように、半導体層2の上面を2分割する中心線上の領域であって、半導体層2の上面で互いに対向する外部接続部3aの間の領域のことを指している。第1延伸部3bの上部には、図1(b)および図2(b)に示すように、密着層6および第1保護膜7が形成されている。
【0047】
(第2延伸部)
第2延伸部3cは、第1電極3において、外部接続部3aに供給された電流を半導体層2の上面における側面側に拡散させるための補助電極である。第2延伸部3cは、図1(a)に示すように、外部接続部3aから第1延伸部3bの延伸方向と反対方向、すなわち、半導体層2の対向する2つの側面の方向(図1(a)における上下方向)に延伸している。第2延伸部3cの上部には、図1(b)に示すように、密着層6および第1保護膜7が形成されている。
【0048】
ここで、第2延伸部3cは、図1(a)に示すように、半導体層2の周縁内側、すなわち、半導体層2の上面において、当該半導体層2の側面から内側に所定距離進んだ領域内に形成されている。
【0049】
半導体発光素子10は、このように、第2延伸部3c(第1電極3)を半導体層2の周縁から離して形成することで、半導体層2の側面側に電流が集中することを防止し、半導体層2の中央と側面側との電流密度の差を緩和することができる。
【0050】
第1延伸部3bおよび第2延伸部3cの幅は、15〜30μmとすることが好ましい。第1延伸部3bおよび第2延伸部3cの幅は、電流量に応じて調整することが好ましく、例えば電流量が多い場合は、第1延伸部3bおよび第2延伸部3cの幅を大きくすることで電流がより広がりやすくなる。なお、後記するように、第1延伸部3bおよび第2延伸部3cがそれぞれ枝分かれする場合は(図11〜図14参照)、前記した範囲の半分の幅としても構わない。また、第1延伸部3bおよび第2延伸部3cの長さは、2つを合計した場合の長さを900〜1500μmとすることが好ましい。
【0051】
(第1電極の配置)
以下、半導体層2の上面に形成された複数の第1電極3および、第1電極3が備える第1延伸部3bの具体的な配置について、詳細に説明する。以下の説明では、図1(a)に示すように、半導体層2の上面の領域を中心線によって第1領域と第2領域とに分けて説明を行うこととする。但し、この第1領域および第2領域とは説明の便宜上用いる用語であって、実在する領域ではない。
【0052】
第1電極3は、図1(a)に示すように、半導体層2の上面において、第2電極4との対向方向(図2(a)参照)と直交する所定の方向(図1(a)における左右方向)に等間隔で配列されている。また、第1電極3は、図1(a)に示すように、半導体層2の第1領域と第2領域とにそれぞれ複数配列されている。そして、第1領域に形成された複数の第1電極3と、第2領域とに形成された複数の第1電極3とは、図1(a)に示すように、互い違いに対向するように並列して配置されている。すなわち、第1領域および第2領域にそれぞれ形成された複数の第1電極3は、図1(a)に示すように、櫛状に互い違いに配置されている。
【0053】
ここで、半導体層2の上面で互いに対向する第1電極3が備えるそれぞれの第1延伸部3bは、図1(a)に示すように、半導体層2の中央領域において、それぞれの第1延伸部3bの先端側が隣り合う方向(図1(a)における左右方向)で対向するように配置される。
【0054】
半導体発光素子10は、このように、半導体層2の中央領域において、第1延伸部3bのそれぞれをその先端側が隣り合う方向で対向する長さまでそれぞれ延伸させることで、電流が特に不足しがちな半導体層2の中央領域における電流を十分に補うことができる。なお、図1(a)では、第1領域および第2領域に形成されたそれぞれの第1延伸部3bの先端が中央領域で平行に対向している形態を示しているが、このように完全に平行ではなく、多少の角度を持って対向していても構わない。
【0055】
また、半導体層2の上面で互いに対向する第1電極3が備えるそれぞれの第1延伸部3bは、図1(a)に示すように、半導体層2の上面で互いに対向する外部接続部3aの間の領域に形成される。すなわち、第1領域(第2領域)に形成された第1延伸部3bは、第2領域(第1領域)に形成された外部接続部3aまで延伸させない。これは、図3に示すように、第1領域に形成された第1延伸部3b’を、第2領域に形成された外部接続部3a’の先端まで延伸させると、外部接続部3a’と第1延伸部3b’との間で電流集中が増加する可能性があり、あるいは、第2領域に形成された第1延伸部3b’の先端を、第1領域に形成された外部接続部3a’まで延伸させると、外部接続部3a’と第1延伸部3b’との間で電流集中が増加する可能性があるためである。
【0056】
そして、第1延伸部3bは、半導体層2の対向する2つの側面の対向方向において、隣り合う第1延伸部3bに対向されている距離(長さ)が、対向されていない距離(長さ)よりも短いことが好ましい。すなわち、第1領域に形成された第1延伸部3bと、第2領域に形成された第1延伸部3bとが対向する距離aは、図1(a)に示すように、これらが対向しない距離bよりも短いことが好ましい。
【0057】
半導体発光素子10は、このように、距離a<距離bの関係とし、電流が集中しやすい外部接続部3aと、これと対向する外部接続部3aから延伸する第1延伸部3bの先端とを離すことにより、外部接続部3aと第1延伸部3bとの間における電流集中を軽減することができる。
【0058】
<第2電極>
第2電極4は、半導体層2に対して電流を供給するための電極である。第2電極4は、ここでは、半導体発光素子10が備える正負一対の電極のうち、正極であるP電極として機能する。第2電極4は、図2に示すように、半導体層2の下面に形成され、当該半導体層2を介して第1電極3と対向している。
【0059】
第2電極4は、図2に示すように、支持基板1の上部に、接合層5を介して複数形成されている。第2電極4の面積は、図2に示すように、第2電極4の上部に第1電極3が形成されない程度の面積とすることが好ましい。半導体発光素子10は、第1電極3と第2電極4との位置関係をこのような関係とすることで、第1電極3と第2電極4との間を流れる電流が半導体層2内を膜面垂直に最短で流れることがなく、電流が面内に広範囲に分散されるようになる。従って、半導体層2内で比較的均一に発光するようになり、光の取り出し効率が向上する。
【0060】
また、第2電極4の面積は、第1電極3の面積よりも大きく形成することが好ましい。半導体発光素子10は、第1電極3および第2電極4の面積をこのような関係とすることで、電流注入領域の面積を大きくすることができ、発光効率が向上させることができる。また、発光による熱の放熱性も向上させることができ、半導体発光素子10の放熱性を改善することができる。
【0061】
第2電極4の厚さについては特に限定されないが、導電性の観点から、例えば0.05〜0.5μmとすることが好ましい。また、第2電極4の材料としては、Ni,Au,W,Pt,Ti,Al,Ir,Rh,RhO,Ag等を用いることができ、その中でも、反射率の高いRh,Ag,Ni,Auや、下からPt/Ti/Ni/Agの順番に積層した多層膜を用いることが好ましい。
【0062】
<接合層>
接合層5は、支持基板1に、第2電極4および後記する第2保護膜8を、接合するとともに、支持基板1を介して第2電極4と後記する裏面メタライズ層9とを電気的に接続するための導電性の層である。接合層5は、図2に示すように、支持基板1の上部に形成されている。
【0063】
接合層5は、図2に示すように、支持基板1の上面全体に形成される。また、接合層5の厚さは特に限定されないが、接合性および導電性の観点から、例えば3〜4μmとすることが好ましい。また、接合層5の材料としては、少なくともSn,Pb等の低融点材料を含み、Ti,Pt,Au,Sn,Au,Ag,Cu,Bi,Pb,Zn等の金属材料およびこれらの合金を用いることができ、その中でも、下からTiSi2/Pt/Au/AuSn/Au/Ptの順番に積層した多層膜を用いることが好ましい。
【0064】
<密着層>
密着層6は、第1電極3と後記する第1保護膜7との密着性を向上させるための層である。密着層6は、図2に示すように、第1電極3の上部に全面的に形成されている。但し、密着層6は、図1(b)および図2に示すように、外部接続部3aの上部において円形状に開口されており、当該外部接続部3aの大部分が外部に露出されるように構成されている。
【0065】
密着層6の面積は特に限定されず、支持基板1の面積によって適宜選択される。また、密着層6の厚さについても特に限定されないが、密着性の観点から、例えば0.2〜0.3μmとすることが好ましい。また、密着層6の材料としては、Ti,Pt,Ni,W,Mo等を用いることができ、その中でも、下からPt/Tiの順番に積層した多層膜を用いることが好ましい。
【0066】
<第1保護膜>
第1保護膜7は、第1電極3および半導体層2を、電流のショートや埃・塵の付着等による物理的ダメージから保護するための層である。第1保護膜7は、図2に示すように、第1電極3および半導体層2の上部に全面的に形成されている。但し、第1保護膜7は、図1(b)および図2に示すように、外部接続部3aおよび前記した密着層6の開口部の上部において円形状に開口されており、当該外部接続部3aの大部分および密着層6の一部が外部に露出されるように構成されている。
【0067】
第1保護膜7の下面には、前記したように、半導体層2と対応して波状の凹凸部が形成されている(図2参照)。第1保護膜7の面積は特に限定されず、支持基板1の面積によって適宜選択される。また、第1保護膜7の厚さについても特に限定されないが、例えば0.2〜0.3μmとすることが好ましい。また、第1保護膜7の材料としては、SiO2を用いることが好ましい。
【0068】
<第2保護膜>
第2保護膜8は、第2電極4および半導体層2を、電流のショート等による物理的ダメージから保護するための層である。第2保護膜8は、図2に示すように、接合層5上における第2電極4の隣接する領域に形成されている。
【0069】
第2保護膜8の面積は特に限定されず、第2電極4の面積によって適宜選択される。また、第2保護膜8の厚さについても特に限定されないが、例えば0.2〜0.3μmとすることが好ましい。また、第2保護膜8の材料としては、Ti,Al,SiO2,ZrO2等を用いることができ、その中でも、下からTi/SiO2の順番に積層した多層膜を用いることが好ましい。
【0070】
なお、第2保護膜8の下面側、すなわち接合層5側に、さらに下からTi/Ptの順番に積層した高反射率の金属膜を形成してもよい。半導体発光素子10は、このように第2保護膜8の下面に金属膜を形成することにより、反射率を高めることができ、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0071】
<裏面メタライズ層>
裏面メタライズ層9は、半導体発光素子10において、オーミック電極として機能する層である。裏面メタライズ層9は、図2に示すように、支持基板1において接合層5が形成されている面の反対側に形成されている。
【0072】
裏面メタライズ層9は、図2に示すように、支持基板1の下面全体に形成される。また、裏面メタライズ層9の厚さは特に限定されないが、導電性の観点から、例えば0.5〜0.6μmとすることが好ましい。また、裏面メタライズ層9を構成する材料としては、下からAu/AuSn/Pt/TiSi2の順番に積層した多層膜を用いることが好ましい。
【0073】
以上のような構成を備える半導体発光素子10は、第1電極3が第1延伸部3bおよび第2延伸部3cを備えることで、外部接続部3aの周辺に発生しやすい電流集中を半導体層2の側面側および中央領域に広げて緩和させることができる。また、第1延伸部3bのそれぞれを、半導体層2の中央領域において、その先端側が隣り合う方向で対向する長さまでそれぞれ延伸させることで、電流が特に不足しがちな半導体層2の中央領域における電流を十分に補うことができる。従って、第1電極と第2電極の電流密度を均一にすることができ、素子全体の発光分布を改善することができる。
【0074】
[半導体発光素子の動作]
以下、半導体発光素子10の動作について、簡単に説明する。半導体発光素子10においては、まず、第1電極3および第2電極4を介して半導体層2の発光層に電流を供給すると、当該発光層が第1導電型半導体層および第2導電型半導体層から注入される電子および正孔の再結合によって生成するエネルギーを光として放出する。発光層から放出された光は半導体層2内を伝搬し、図2の上方向から外部へと出射される。なお、半導体層2内を伝搬する光の内、第2保護膜8に対して進む光は、当該第2保護膜8の下面に形成された金属膜によって図2の上方向に反射される。また、半導体層2内を伝搬する光の内、光の全反射によって外部に出射されない光は、半導体層2の上面に形成された凹凸部によって角度が変更され、外部に出射される。
【0075】
このような動作を行う半導体発光素子10においては、前記したように、第1電極3の第1延伸部3bが半導体層2の中央領域に電流を拡散させ、第1電極3の第2延伸部3cが半導体層2の側面側に電流を拡散させる。さらに、半導体層2の上面で互いに対向する第1電極3が備えるそれぞれの第1延伸部3bの先端を、半導体層2の上面における中央領域で互い違いに配置することで、電流が特に不足しがちな半導体層2の中央領域における電流が十分に補われる。従って、半導体発光素子10においては、第1電極と第2電極の電流密度が均一となって、素子全体の発光分布が面内で均一となるため、発光ムラのない発光が可能となる。
【0076】
[半導体発光素子の製造方法]
以下、本発明の第1実施形態に係る半導体発光素子10の製造方法について、簡単に説明する。半導体発光素子10の製造方法は、半導体層形成工程と、第2電極形成工程と、第2保護膜形成工程と、接合層形成工程と、貼り合わせ工程と、第1電極形成工程と、第1保護膜形成工程と、を含む。以下、各工程について説明する。なお、半導体発光素子10の構成については前記説明した通りであるため、説明を省略する。
【0077】
<半導体層形成工程>
半導体層形成工程は、異種基板上に第1導電型半導体層、発光層および第2導電型半導体層からなる半導体層2を形成する工程である。半導体層形成工程では、洗浄されたサファイア等からなる異種基板上の表面に、所定の半導体材料、ドーパントなどを含むガスを供給して、MOVPE(有機金属気相成長法)、HVPE(ハライド気相成長法)、MBE(分子線気相成長法)、MOMBE(有機金属分子線気相成長法)等の気相成長装置を用いて、第1導電型半導体層、発光層および第2導電型半導体層の順に気相成長させる。その際、形成する導電型半導体層の種類、例えば、第1導電型半導体層、発光層および第2導電型半導体層の各層の層構成および構成材料、層の膜厚等に応じて、供給するガスが含有する半導体材料およびドーパントの成分種、組成等を切り換え、窒素ガス等の不活性ガスをキャリアガスとして用いて異種基板上に供給する。
【0078】
<第2電極形成工程>
第2電極形成工程は、半導体層2上に第2電極4を形成する工程である。第2電極形成工程では、半導体層2の第2導電型半導体層上の表面に、レジストを用いて第2電極4に対応したマスクを形成し、スパッタリング等で電極材料を積層することによって、第2電極4を形成する。
【0079】
<第2保護膜形成工程>
第2保護膜形成工程は、半導体層2上に第2保護膜8を形成する工程である。第2保護膜形成工程では、半導体層2の第2導電型半導体層上の表面に、レジストを用いて第2保護膜8に対応したマスクを形成し、スパッタリング等で絶縁膜材料を積層することによって、第2保護膜8を形成する。
【0080】
<接合層形成工程>
接合層形成工程は、半導体層2、第2電極4および第2保護膜8上に接合層5を形成する工程である。接合層形成工程では、半導体層2、第2電極4および第2保護膜8上に、スパッタリング等で導電膜材料を積層することによって、接合層5を形成する
【0081】
<貼り合わせ工程>
貼り合わせ工程は、異種基板と支持基板1とを貼り合わせる工程である。貼り合わせ工程では、前記接合層5が同様に形成された支持基板1を用意し、当該支持基板1の接合層5と前記した異種基板の接合層5とを貼り合わせ、加熱することで互いに接合する。そして、異種基板側からエキシマレーザを照射するか、あるいは研削等によって、異種基板を除去し、露出した第1導電型半導体層の表面をCMP(化学機械研磨)によって研磨する。
【0082】
<第1電極形成工程>
第1電極形成工程は、半導体層2上に第1電極3を形成する工程である。第1電極形成工程では、半導体層2の第1導電型半導体層上の表面に、レジストを用いて第1電極3に対応したマスクを形成し、スパッタリング等で電極材料を積層することによって、第1電極3を形成する。そして、レジストを除去することによって、第1電極3が形成されていない領域を形成する。
【0083】
<密着層形成工程>
密着層形成工程は、第1電極3上に密着層6を形成する工程である。密着層形成工程では、第1電極3上の表面に、レジストを用いて密着層6に対応したマスクを形成し、スパッタリング等で導電膜材料を積層することによって、密着層6を形成する。そして、RIE(反応性イオンエッチング)等によって、密着層6の外部接続部3aに相当する領域を除去し、当該外部接続部3aの大部分、すなわち外部接続部3aの周縁以外の領域を露出させた後、レジストを除去する。
【0084】
<第1保護膜形成工程>
第1保護膜形成工程は、半導体層2および密着層6上に第1保護膜7を形成する工程である。第1保護膜形成工程では、半導体層2および密着層6上の表面に、スパッタリング等で絶縁膜材料を積層することによって、第1保護膜7を形成する。そして、RIE(反応性イオンエッチング)等によって、第1保護膜7の外部接続部3aに相当する領域を除去し、当該外部接続部3aの大部分を露出させる。なお、第1保護膜7の形成前に、半導体層2の上面に、凹凸(ディンプル加工)部を形成することもできる。
【0085】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態に係る半導体発光素子20について、図4を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子20は、図4に示すように、第1電極13の構成以外は、前記した半導体発光素子10と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子10と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子20は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0086】
半導体発光素子20は、図4に示すように、半導体層2の上面で対向する第1電極13の第1延伸部13bのそれぞれの先端が、半導体層2の中央領域で互いに連結されている。より詳細には、半導体発光素子20は、図4に示すように、第1領域に形成された第1延伸部13bの先端と、第2領域に形成された第1延伸部13bの先端とが、半導体層2の中央領域にある中心線上で互いに連結されている。
【0087】
このような構成を備える半導体発光素子20は、第1延伸部13bを半導体層2の上面における中央領域で連結させることで、電流が特に不足しがちな半導体層2の中央領域における電流を十分に補うことができる。
【0088】
[第3実施形態]
以下、第3実施形態に係る半導体発光素子30について、図5を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子30は、図5に示すように、第1電極23の構成以外は、前記した半導体発光素子10と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子10と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子30は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0089】
半導体発光素子30は、図5に示すように、半導体層2の上面で互いに対向する外部接続部23a、すなわち、第1領域に形成された外部接続部23aと、第2領域に形成された外部接続部23aとが、半導体層2の対向する2つの側面の対向方向(図5における上下方向)において、同一直線上に配置されている。言い換えれば、半導体発光素子30は、図5に示すように、第1領域に形成された外部接続部23aと、第2領域に形成された外部接続部23aとが、半導体層2の中心線を基準に線対称となるように配置されている。これは、電流が集中する傾向のある外部接続部23aが、半導体層2上に均等な距離をおいてバランスよく配置されていることを意味している。
【0090】
また、半導体発光素子30は、図5に示すように、第1領域および第2領域に形成された第1延伸部23bの一部、すなわち、外部接続部23aから延伸する第1延伸部23bの一部が、基準線に対して傾斜する方向に延伸している。ここで、基準線とは、図5に示すように、第1領域および第2領域に形成された外部接続部23a同士を繋ぐ直線のことを意味している。
【0091】
また、半導体発光素子30は、図5に示すように、第1領域および第2領域に形成された第1延伸部23bの残りの一部、すなわち、基準線に対して傾斜する方向に延伸した後の第1延伸部23bが、基準線に対して平行に延伸している。
【0092】
このような構成を備える半導体発光素子30は、半導体層2の上面で互いに対向する外部接続部23aを同一直線上に配置することにより、外部接続部23aから半導体層2の側面までの距離を揃えることができる。従って、外部接続部23aと半導体層2の側面との間における電流集中、あるいは電流不足を緩和することができる。また、第1延伸部23bが所定方向に湾曲して延伸しているため、電極面積が増加し、電流がより広範囲に分散される。
【0093】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る半導体発光素子40について、図6を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子40は、図6に示すように、第1電極33の構成以外は、前記した半導体発光素子30と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子30と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子40は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についても同様であるため、説明を省略する。
【0094】
半導体発光素子40は、図6に示すように、半導体層2の上面で対向する第1電極33の第1延伸部33bのそれぞれの先端が、半導体層2の中央領域で互いに連結されている。より詳細には、半導体発光素子40は、図6に示すように、第1領域に形成された第1延伸部33bの先端と、第2領域に形成された第1延伸部33bの先端とが、半導体層2の中央領域にある中心線上で互いに連結されている。
【0095】
このような構成を備える半導体発光素子40は、第1延伸部33bを半導体層2の上面における中央領域で連結させることで、電流が特に不足しがちな半導体層2の中央領域における電流を十分に補うことができる。
【0096】
[第5実施形態]
以下、第5実施形態に係る半導体発光素子50について、図7を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子50は、図7に示すように、第1電極43の構成以外は、前記した半導体発光素子30と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子30と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子50は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0097】
半導体発光素子50は、図7に示すように、図5に示した半導体発光素子30の外部接続部23aと比較して、外部接続部43aが半導体層2の中央領域寄りに配置されている。すなわち、半導体発光素子50は、図7に示すように、電流の集中しやすい外部接続部43aが、素子中央側にオフセットされている。
【0098】
このような構成を備える半導体発光素子50は、外部接続部43aを半導体層2の中央領域側に近づけることで、電流が集中しやすい外部接続部43aによって、半導体層2の中央領域における電流不足を補うことができる。また、半導体層2の中央領域と側面との電流の差を軽減させることができる。
【0099】
ここで、半導体発光素子50のように、半導体層2の中央領域から遠い位置(平面視で半導体層2の上下の側面寄り)に外部接続部43aが配置されている場合、半導体層2の上側の側面から第1領域(上半分)に配置された第1電極43の外部接続部43aの中心までの距離(以下、第1距離D1という)と、第1領域(上半分)に配置された第1電極43の外部接続部43aの中心から第2領域(下半分)に配置された第1電極43の外部接続部43aの中心までの距離(以下、第2距離D2という)との比は、D1:D2=1:1〜1:2.5とすることが好ましく、D1:D2=1:2.5とすることがより好ましい。これにより、半導体発光素子50は、実装性が向上するとともに、外部接続部43aと外部電源とを接続するワイヤのループを小さくできるため、当該ワイヤによって光吸収や光取り出しが阻害されることを抑制することができる。なお、前記した第1距離D1は、図7に示すように、半導体層2の下側の側面から第2領域(下半分)に配置された第1電極43の外部接続部43aの中心までの距離であってもよい。
【0100】
また、半導体発光素子50のように、左端の第1電極43の外部接続部43aが半導体層2の左側の側面寄りに配置される場合、半導体層2の左側の側面から半導体層2の左端の第1電極43の外部接続部43aの中心までの距離(以下、第3距離D3という)と、半導体層2の左端の第1電極43の外部接続部43aの中心からその右隣に配置された第1電極43の外部接続部43aの中心までの距離(以下、第4距離D4という)との比は、D3:D4=1:1〜1:1.5とすることが好ましい。これにより、半導体発光素子50は、電流を半導体層2の端まで行き届くようにすることができる。また、前記した第3距離の領域は、右側に外部接続部43aが1つのみ配置されているが、第4距離の領域は、左右に外部接続部43aが配置されているため、前記したように第3距離の領域よりも第4距離の領域を大きくしたとしても、電流拡散の観点における問題が生じることもない。なお、前記した第3距離D3は、図7に示すように、半導体層2の右側の側面から半導体層2の右端の第1電極43の外部接続部43aの中心までの距離であってもよく、前記した第4距離D4は、図7に示すように、半導体層2の右端の第1電極43の外部接続部43aの中心からその左隣に配置された第1電極43の外部接続部43aの中心までの距離であってもよい。
【0101】
また、半導体発光素子50は、電流拡散や素子の実装性を考慮して、素子の大きさに応じて第1延伸部43bおよび第2延伸部43cの長さを調整することが好ましい。例えば、半導体発光素子50が2mm角の大きさである場合、第1領域に形成された第1延伸部43bの長さのうち、第2領域に形成された第1延伸部43bが対向する部分の長さ(以下、第1長さL1という)と、第2領域に形成された第1延伸部43bと対向しない部分の長さ(以下、第2長さL2という)と、第1領域に形成された第2延伸部43cの長さ(以下、第3長さL3という)との比は、L1:L2:L3=2:1:1〜5:2:3とすることが好ましく、またL1:L2:L3=2:1:1とすることがより好ましい。
【0102】
また、半導体発光素子50が例えば図27に示すように3mm角の大きさである場合、第1長さL1と、第2長さL2と、第3長さL3との比は、L1:L2:L3=2:1:1〜5:2:3とすることが好ましく、またL1:L2:L3=5:2:3とすることがより好ましい。これにより、半導体発光素子50は、半導体層2の側面側および中央領域の電流拡散を均一にすることができる。また、半導体発光素子50は、外部接続部43aと外部電源とを接続するワイヤのループを小さくできるため、当該ワイヤによって光吸収や光取り出しが阻害されることを抑制することができる。なお、前記した第1長さL1は、図7に示すように、第2領域に形成された第1延伸部43bの長さのうち、第1領域に形成された第1延伸部43bが対向する部分の長さであってもよく、前記した第2長さL2は、図7に示すように、第2領域に形成された第1延伸部43bの長さのうち、第1領域に形成された第1延伸部43bと対向しない部分の長さであってもよく、前記した第3長さL3は、図7に示すように、第2領域に形成された第2延伸部43cの長さであってもよい。また、第1長さL1と、第2長さL2と、第3長さL3との合計、すなわち第1延伸部43bおよび第2延伸部43cの長さの合計は、前記したように、900〜1500μmとすることが好ましい。
【0103】
[第6実施形態]
以下、第6実施形態に係る半導体発光素子60について、図8を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子60は、図8に示すように、第1電極53の構成以外は、前記した半導体発光素子30と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子30と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子60は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0104】
半導体発光素子60は、図8に示すように、第1延伸部53bと第2延伸部53cとが、半導体層2の対向する2つの側面の対向方向(図8における上下方向)において、同じ長さcで形成されている。すなわち、半導体発光素子60は、図8に示すように、電流の集中しやすい外部接続部53aが、素子中央側によりオフセットされている。
【0105】
このような構成を備える半導体発光素子60は、第1延伸部53bと第2延伸部53cとを半導体層2の対向する2つの側面の対向方向で同じ長さcとすることで、外部接続部53aを半導体層2の中央領域側により近づけることができる。従って、電流が集中しやすい外部接続部53aによって、半導体層2の中央領域における電流不足を大幅に補うことができる。また、半導体層2の中央領域と側面との電流の差を軽減させることができる。
【0106】
ここで、半導体発光素子60のように、半導体層2の中央領域に近い位置に外部接続部53aが配置されている場合、前記した第1距離D1と、前記した第2距離D2との比は、D1:D2=1:1〜1:2.5とすることが好ましく、D1:D2=1:1とすることがより好ましい。これにより、半導体発光素子60は、電流密度を均一にすることができる。また、半導体発光素子60は、前記した第5実施形態に係る半導体発光素子50と同様に、第3距離D3と、第4距離D4との比を、D3:D4=1:1.5とすることが好ましい。また、半導体発光素子60は、前記した第5実施形態に係る半導体発光素子50と同様に、第1長さL1と、第2長さL2と、第3長さL3との比を、L1:L2:L3=2:1:1〜5:2:3とすることが好ましい。
【0107】
[第7実施形態]
以下、第7実施形態に係る半導体発光素子70について、図9を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子70は、図9に示すように、第1電極63の構成以外は、前記した半導体発光素子10と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子10と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子70は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0108】
半導体発光素子70は、図9に示すように、半導体層2の上面で互いに対向する第1電極63が備えるそれぞれの第1延伸部63b、すなわち、第1領域に形成された第1延伸部63bと、第2領域に形成された第1延伸部63bとが、それぞれの第1延伸部63bが対向しない領域において、互いに連結されている。
【0109】
このような構成を備える半導体発光素子70は、半導体層2の上面で互いに対向する外部接続部63aから延伸する第1延伸部63b同士、すなわち、第1領域および第2領域にそれぞれ形成された第1延伸部63bを、それぞれが対向しない領域で連結することで、半導体層2の中央領域における電流不足をさらに補うことができる。また、半導体層2の中央領域と側面との電流の差を軽減させることができる。
【0110】
[第8実施形態]
以下、第8実施形態に係る半導体発光素子80について、図10を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子80は、図10に示すように、第1電極73の構成以外は、前記した半導体発光素子30と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子30と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子80は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0111】
半導体発光素子80は、図10に示すように、半導体層2の上面で互いに対向する第1電極73が備えるそれぞれの第1延伸部73b、すなわち、第1領域に形成された第1延伸部73bと、第2領域に形成された第1延伸部73bとが、それぞれの第1延伸部73bが対向しない領域において、互いに連結されている。
【0112】
このような構成を備える半導体発光素子80は、半導体層2の上面で互いに対向する外部接続部73aから延伸する第1延伸部73b同士、すなわち、第1領域および第2領域にそれぞれ形成された第1延伸部73bを、それぞれが対向しない領域で連結することで、半導体層2の中央領域における電流不足をさらに補うことができる。また、半導体層2の中央領域と側面との電流の差を軽減させることができる。
【0113】
[第9実施形態]
以下、第9実施形態に係る半導体発光素子90について、図11を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子90は、図11に示すように、第1電極83の構成以外は、前記した半導体発光素子10と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子10と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子90は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0114】
半導体発光素子90は、図11に示すように、第1領域および第2領域に形成された第1延伸部83bが、外部接続部83aから半導体層2の中央領域にある中心線の方向に二又になって延伸している。
【0115】
このような構成を備える半導体発光素子90は、第1延伸部83bを二又にすることで、半導体層2の上面における電極面積が増加して電流がより広範囲に分散されるため、半導体層2の中央領域における電流不足をさらに補うことができる。
【0116】
[第10実施形態]
以下、第10実施形態に係る半導体発光素子100について、図12を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子100は、図12に示すように、第1電極93の構成以外は、前記した半導体発光素子90と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子90と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子100は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0117】
半導体発光素子100は、図12に示すように、第1領域に形成された外部接続部93aと、第2領域に形成された外部接続部93aとが、半導体層2の中心線を基準に線対称となるように配置されている。すなわち、電流が集中する傾向のある外部接続部93aが、半導体層2上に均等な距離をおいてバランスよく配置されている。
【0118】
このような構成を備える半導体発光素子100は、第1領域および第2領域にそれぞれ形成された外部接続部93aを同一直線上に配置することにより、外部接続部93aから半導体層2の側面までの距離を揃えることができる。従って、外部接続部93aと半導体層2の側面との間における電流集中、あるいは電流不足を緩和することができる。
【0119】
[第11実施形態]
以下、第11実施形態に係る半導体発光素子110について、図13を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子110は、図13に示すように、第1電極103の構成以外は、前記した半導体発光素子90と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子90と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子110は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0120】
半導体発光素子110は、図13に示すように、第1領域および第2領域に形成された第1延伸部103bの一部、すなわち、外部接続部103aから延伸する第1延伸部103bの中間部分が、基準線に対して傾斜する方向に延伸している。また、半導体発光素子110は、図13に示すように、第1領域および第2領域に形成された第1延伸部103bが対向する中央領域において、当該第1延伸部103bが基準線に対して平行に延伸している。
【0121】
このような構成を備える半導体発光素子110は、第1延伸部103bが所定方向に湾曲して延伸しているため、電極面積が増加し、電流がより広範囲に分散される。
【0122】
[第12実施形態]
以下、第12実施形態に係る半導体発光素子120について、図14を参照しながら詳細に説明する。半導体発光素子120は、図11に示すように、第1電極113の構成以外は、前記した半導体発光素子90と同様の構成を備えている。従って、前記した半導体発光素子90と重複する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、半導体発光素子120は、前記した半導体発光素子10と、断面構造(図2)および製造方法についてもほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0123】
半導体発光素子120は、図14に示すように、第1領域および第2領域に形成された第2延伸部113cが、外部接続部113aから半導体層2の対向する2つの側面の方向(図14における上下方向)に二又になって延伸している。
【0124】
このような構成を備える半導体発光素子120は、第2延伸部113cを二又にすることで、電極面積が増加して電流がより広範囲に分散されるため、半導体層2の側面側と中央領域との間における電流密度の差を軽減することができる。
【実施例】
【0125】
以下、本発明に係る半導体発光素子が奏する効果を確認する実験例について、図15〜24を参照しながら詳細に説明する。本実験例では、電極配置を変更した複数の半導体発光素子に電流を供給し、各半導体発光素子の電流密度の分布を観察した。そして、各半導体発光素子の電流密度の分布から、各半導体発光素子の電流密度の差を比較した。
【0126】
各半導体発光素子の電流密度の分布は、有限要素法を用いたシミュレーションソフトにより観察および解析した。また、図15〜23の各図(a)は、実験に用いた半導体発光素子の第1電極の配置を示し、図15〜23の各図(b)は、各半導体発光素子の電流分布の観察結果を示している。また、図15〜23の各図(b)の下に配置されたバーは、右に進む程電流密度が高いことを示している。
【0127】
[比較例1]
比較例1に係る半導体発光素子130は、図15(a)に示すように、第1電極が第2延伸部を備えておらず、かつ、外部接続部が半導体層の側面に接した場所に形成されている。すなわち、半導体発光素子130は、電流が集中しやすい半導体層の側面側に、元々電流が集中する傾向にある外部接続部が形成されている。そのため、図15(b)に示すように、半導体層の中央領域における電流密度が低下するとともに、半導体層の側面側における電流密度が増加している。従って、図15(a)に示す電極形状および電極配置では、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差が大きくなり、均一な発光分布を得ることができないことがわかる。
【0128】
[比較例2]
比較例2に係る半導体発光素子140は、図16(a)に示すように、第1電極が第2延伸部を備えていない。そのため、図16(b)に示すように、半導体層の側面側に電流を拡散させることができず、半導体層の側面側における電流密度が低下している。従って、図16(a)に示す電極形状および電極配置では、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差が大きくなり、均一な発光分布を得ることができないことがわかる。
【0129】
[比較例3]
比較例3に係る半導体発光素子150も、図17(a)に示すように、第1電極が第2延伸部を備えていない。そのため、図17(b)に示すように、半導体層の側面側に電流を拡散させることができず、半導体層の側面側における電流密度が低下している。従って、図17(a)に示す電極形状および電極配置では、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差が大きくなり、均一な発光分布を得ることができないことがわかる。
【0130】
[実施例1]
実施例1に係る半導体発光素子10は、図18(a)に示すように、第1電極が第1延伸部および第2延伸部を備えている。
【0131】
そのため、図18(b)に示すように、半導体層の中央領域および側面側に電流を拡散させることができ、半導体層の中央領域側および側面側における電流密度を均一に増加させることができる。従って、図18(a)に示す電極形状および電極配置であれば、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差を緩和し、均一な発光分布を得ることができることがわかる。なお、実施例1に係る半導体発光素子10は、前記した第1実施形態に係る半導体発光素子10と同様のものである。
【0132】
[実施例2]
実施例2に係る半導体発光素子30は、図19(a)に示すように、第1電極が第1延伸部および第2延伸部を備えるとともに、第1領域および第2領域に形成された外部接続部が、中心線を基準に線対称となるように配置されている。また、第1延伸部の一部が第1領域および第2領域に形成された外部接続部同士を繋ぐ基準線に対して傾斜する方向に延伸するとともに、第1延伸部の残りの一部が当該基準線に対して平行に延伸している。
【0133】
そのため、図19(b)に示すように、電極面積を拡大させることができ、半導体層の中央領域および側面側に電流をより拡散させることができるとともに、半導体層の中央領域側および側面側における電流密度をより均一に増加させることができる。従って、図19(a)に示す電極形状および電極配置であれば、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差をより緩和し、より均一な発光分布を得ることができることがわかる。なお、実施例2に係る半導体発光素子30は、前記した第3実施形態に係る半導体発光素子30と同様のものである。
【0134】
[実施例3]
実施例3に係る半導体発光素子50は、図20(a)に示すように、前記した半導体発光素子30と同様の構成を備え、かつ、半導体発光素子30の外部接続部と比較して、外部接続部が半導体層2の中央領域寄りに配置されている。
【0135】
そのため、図20(b)に示すように、電流が集中しやすい外部接続部を半導体層2の中央領域側に近づけることができ、電流が不足しやすい半導体層の中央領域の電流密度を増加させることができる。従って、図20(a)に示す電極形状および電極配置であれば、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差をより緩和し、より均一な発光分布を得ることができることがわかる。なお、実施例3に係る半導体発光素子50は、前記した第5実施形態に係る半導体発光素子50と同様のものである。
【0136】
[実施例4]
実施例4に係る半導体発光素子60は、図21(a)に示すように、前記した半導体発光素子30と同様の構成を備え、かつ、第1延伸部と第2延伸部とが、半導体層の対向する2つの側面の対向方向(図21(a)における上下方向)において、同じ長さで形成されている。
【0137】
そのため、図21(b)に示すように、電流が集中しやすい外部接続部を半導体層2の中央領域側にさらに近づけることができ、電流が不足しやすい半導体層の中央領域の電流密度をさらに増加させることができる。従って、図21(a)に示す電極形状および電極配置であれば、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差をより緩和し、より均一な発光分布を得ることができることがわかる。なお、実施例4に係る半導体発光素子60は、前記した第6実施形態に係る半導体発光素子60と同様のものである。
【0138】
[実施例5]
実施例5に係る半導体発光素子80は、図22(a)に示すように、前記した半導体発光素子30と同様の構成を備え、かつ、第1領域および第2領域に形成された第1延伸部が、それぞれの第1延伸部が対向しない領域において、互いに連結されている。
【0139】
そのため、図22(b)に示すように、電流が不足しやすい半導体層の中央領域の電流密度を増加させることができる。従って、図22(a)に示す電極形状および電極配置であれば、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差をより緩和し、より均一な発光分布を得ることができることがわかる。なお、実施例5に係る半導体発光素子80は、前記した第8実施形態に係る半導体発光素子80と同様のものである。
【0140】
[実施例6]
実施例6に係る半導体発光素子40は、図23(a)に示すように、前記した半導体発光素子30と同様の構成を備え、かつ、第1領域および第2領域に形成された第1延伸部の先端が半導体層の中央領域にある中心線上で連結されている。
【0141】
そのため、図23(b)に示すように、電極面積を拡大させることができ、半導体層の中央領域および側面側に電流をより拡散させることができるとともに、半導体層の中央領域側および側面側における電流密度をより均一に増加させることができる。従って、図23(a)に示す電極形状および電極配置であれば、半導体層の中央領域と側面側との電流密度の差をより緩和し、より均一な発光分布を得ることができることがわかる。なお、実施例6に係る半導体発光素子40は、前記した第4実施形態に係る半導体発光素子40と同様のものである。
【0142】
図24(a)に、比較例1〜3、実施例1〜6に係る半導体発光素子の電流密度の最大値(以下、電流MAXと略す)と、電流密度の最小値(以下、電流MINと略す)と、その相対値と、を示す。ここで、相対値とは、比較例1を基準とした各半導体発光素子の電流密度の差を示す値であり、各半導体発光素子の電流MAXと電流MINとの差を、比較例1の電流MAXと電流MINとの差で除算した値である。この相対値を比較することで、各半導体発光素子の電流密度の差が、比較例1と比較して大きいのか、あるいは小さいのかを容易に判定することができる。
【0143】
本実験例では、図24(a)、(b)に示すように、実施例1〜6に係る半導体発光素子の相対値が、基準となる比較例1に係る半導体発光素子の相対値よりも低く、その中でも実施例4に係る半導体発光素子50の相対値が最も低い。従って、実施例4に係る半導体発光素子50のような電極形状および電極配置であれば、半導体層における電流密度の差を最も緩和させることができることがわかる。
【0144】
一方、本実験例では、図24(a)、(b)に示すように、比較例2,3に係る半導体発光素子の相対値が基準となる比較例1に係る半導体発光素子の相対値よりも高く、その中でも比較例2に係る半導体発光素子140の相対値が最も高い。従って、比較例2に係る半導体発光素子140のような電極形状および電極配置では、半導体層における電流密度の差を最も緩和させることができないことがわかる。
【0145】
以上、本発明に係る半導体発光素子について、発明を実施するための形態および実施例により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【0146】
例えば、第5実施形態に係る半導体発光素子50および第6実施形態に係る半導体発光素子60は、図7および図8に示すように、それぞれの第1電極43,53ごとに外部接続部43a,53aを備えているが、外部接続部43a,53aを備えない第1電極43,53を半導体層2上に所定個数配置しても構わない。すなわち、半導体発光素子50,60は、図25に示す半導体発光素子160のように、第1領域(上半分)または第2領域(下半分)にそれぞれ配置された12個の第1電極153のうち、4個のみ(例えば左から2,5,8,11番目のみ)が外部接続部153aを備え、その他の第1電極153は外部接続部153aを備えない構成とすることができる。この場合、図25に示すように、外部接続部153aを備える第1電極153と、その両隣に配置された外部接続部153aを備えない第1電極153と、をそれぞれ接続することで、外部接続部153aを備えない第1電極153を補助電極として用いることが好ましい。これにより、半導体発光素子160は、外部接続部153aの数、すなわち半導体層2上における外部接続部153aが占める面積を減らすことができるため、当該外部接続部153aによる光吸収を抑えるとともに、発光面積を拡大することができる。
【0147】
また、半導体発光素子50,60は、図26に示す半導体発光素子170のように、第1領域(上半分)と第2領域(下半分)とのそれぞれの中央(図1(a)の配列方向における中央)に、外部接続部163aを備える第1電極163をそれぞれ1個のみ配置する構成としても構わない。すなわち、外部接続部163aは、半導体層2における第1領域および第2領域のそれぞれに最低1個形成されていればよい。この場合、図26に示すように、外部接続部163aを備える第1電極163と、外部接続部163aを備えない全ての第1電極163と、をそれぞれ接続することで、と該外部接続部163aを備えない第1電極163を補助電極として用いることが好ましい。これにより、半導体発光素子170は、外部接続部163aの数、すなわち半導体層2上における外部接続部163aが占める面積をより減らすことができるため、当該外部接続部163aによる光吸収をより抑えるとともに、発光面積をより拡大することができる。
【符号の説明】
【0148】
1 支持基板
2 半導体層
3,3’,13,23,33,43,53,63,73,83,93,103,113 第1電極
3a,3a’,13a,23a,33a,43a,53a,63a,73a,83a,93a,103a,113a,153a,163a 外部接続部
3b,3b’,13b,23b,33b,43b,53b,63b,73b,83b,93b,103b,113b,153b,163b 第1延伸部
3c,3c’,13c,23c,33c,43c,53c,63c,73c,83c,93c,103c,113c,153c,163c 第2延伸部
4 第2電極
5 接合層
6 密着層
7 第1保護膜
8 第2保護膜
9 裏面メタライズ層
10,10’20,30,40,50,60,70,80,90,100,110,120,130,140,150,160,170 半導体発光素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層と、前記半導体層の上面に互い違いに対向するように並列して配置された複数の第1電極と、前記半導体層の下面に配置された第2電極と、を備える半導体発光素子であって、
前記第1電極は、外部と接続するための外部接続部と、前記外部接続部から前記半導体層の上面における中央領域の方向に延伸した第1延伸部と、前記外部接続部から前記第1延伸部とは反対方向であって、前記半導体層の周縁内側まで延伸した第2延伸部と、を備え、
前記半導体層の上面で対向する前記第1電極の前記第1延伸部のそれぞれは、前記中央領域において、その先端側が隣り合う方向で対向するように配置されることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
半導体層と、前記半導体層の上面に互い違いに対向するように並列して配置された複数の第1電極と、前記半導体層の下面に配置された第2電極と、を備える半導体発光素子であって、
前記第1電極は、外部と接続するための外部接続部と、前記外部接続部から前記半導体層の上面における中央領域の方向に延伸した第1延伸部と、前記外部接続部から前記第1延伸部とは反対方向であって、前記半導体層の周縁内側まで延伸した第2延伸部と、を備え、
前記半導体層の上面で対向する前記第1電極の前記第1延伸部のそれぞれは、前記中央領域において、その先端が互いに連結されることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項3】
前記半導体層の上面で互いに対向する前記外部接続部は、前記半導体層の対向する2つの側面の対向方向において、同一直線上に配置され、
前記第1延伸部の一部は、前記半導体層の上面で互いに対向する前記外部接続部同士を繋ぐ線である基準線に対して傾斜する方向に延伸し、
前記第1延伸部の残りの一部は、前記基準線に対して平行に延伸されることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記半導体層の上面で互いに対向する前記外部接続部は、前記半導体層の対向する2つの側面の対向方向において、同一直線上に配置され、
前記第1延伸部の一部は、前記半導体層の上面で互いに対向する前記外部接続部同士を繋ぐ線である基準線に対して傾斜する方向に延伸し、
前記第1延伸部の残りの一部は、前記基準線に対して平行に延伸されることを特徴とする請求項2に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
前記第1延伸部は、前記半導体層の対向する2つの側面の対向方向において、隣り合う第1延伸部に対向されている距離が、対向されていない距離よりも短いことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の半導体発光素子。
【請求項6】
前記第1延伸部と前記第2延伸部とは、前記半導体層の対向する2つの側面の対向方向において、同じ長さとなるように延伸されることを特徴とする請求項1、請求項3および請求項5のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【請求項7】
前記第1延伸部は、当該第1延伸部が対向しない領域において、互いに連結されることを特徴とする請求項1、請求項3、請求項5および請求項6のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【請求項8】
前記第1延伸部は、前記外部接続部から二又になって延伸されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【請求項1】
半導体層と、前記半導体層の上面に互い違いに対向するように並列して配置された複数の第1電極と、前記半導体層の下面に配置された第2電極と、を備える半導体発光素子であって、
前記第1電極は、外部と接続するための外部接続部と、前記外部接続部から前記半導体層の上面における中央領域の方向に延伸した第1延伸部と、前記外部接続部から前記第1延伸部とは反対方向であって、前記半導体層の周縁内側まで延伸した第2延伸部と、を備え、
前記半導体層の上面で対向する前記第1電極の前記第1延伸部のそれぞれは、前記中央領域において、その先端側が隣り合う方向で対向するように配置されることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
半導体層と、前記半導体層の上面に互い違いに対向するように並列して配置された複数の第1電極と、前記半導体層の下面に配置された第2電極と、を備える半導体発光素子であって、
前記第1電極は、外部と接続するための外部接続部と、前記外部接続部から前記半導体層の上面における中央領域の方向に延伸した第1延伸部と、前記外部接続部から前記第1延伸部とは反対方向であって、前記半導体層の周縁内側まで延伸した第2延伸部と、を備え、
前記半導体層の上面で対向する前記第1電極の前記第1延伸部のそれぞれは、前記中央領域において、その先端が互いに連結されることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項3】
前記半導体層の上面で互いに対向する前記外部接続部は、前記半導体層の対向する2つの側面の対向方向において、同一直線上に配置され、
前記第1延伸部の一部は、前記半導体層の上面で互いに対向する前記外部接続部同士を繋ぐ線である基準線に対して傾斜する方向に延伸し、
前記第1延伸部の残りの一部は、前記基準線に対して平行に延伸されることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記半導体層の上面で互いに対向する前記外部接続部は、前記半導体層の対向する2つの側面の対向方向において、同一直線上に配置され、
前記第1延伸部の一部は、前記半導体層の上面で互いに対向する前記外部接続部同士を繋ぐ線である基準線に対して傾斜する方向に延伸し、
前記第1延伸部の残りの一部は、前記基準線に対して平行に延伸されることを特徴とする請求項2に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
前記第1延伸部は、前記半導体層の対向する2つの側面の対向方向において、隣り合う第1延伸部に対向されている距離が、対向されていない距離よりも短いことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の半導体発光素子。
【請求項6】
前記第1延伸部と前記第2延伸部とは、前記半導体層の対向する2つの側面の対向方向において、同じ長さとなるように延伸されることを特徴とする請求項1、請求項3および請求項5のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【請求項7】
前記第1延伸部は、当該第1延伸部が対向しない領域において、互いに連結されることを特徴とする請求項1、請求項3、請求項5および請求項6のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【請求項8】
前記第1延伸部は、前記外部接続部から二又になって延伸されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−69934(P2012−69934A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182683(P2011−182683)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】
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