説明

半導体素子搭載部材とそれを用いた半導体装置

【課題】めっきAuバンプを介して半導体素子搭載部材に逃がすことができる熱量をこれまでよりも大幅に増加できる半導体素子搭載部材と、前記半導体素子搭載部材を用いた半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体素子搭載部材1は、基材3の素子搭載面2に形成した少なくとも1つの薄膜状のめっきAuバンプ4の面方向の面積を10000μm以上、ビッカース硬さを80未満、表面の平坦度を5μm以下とした。半導体装置12は、前記半導体素子搭載部材1の素子搭載面2に、前記めっきAuバンプ4を介して半導体素子11を搭載した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発光素子等の半導体素子を搭載するための半導体素子搭載部材と、前記半導体素子搭載部材に半導体素子を搭載した半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば発光ダイオード(LED)や半導体レーザ等の発光素子を、半導体素子搭載部材に設けた素子搭載面に搭載するために、従来は、片面に電極を設けるとともに前記片面を光の取り出し面、前記片面と背向する反対面を前記素子搭載面への接合面とした発光素子を用意し、前記発光素子を、前記接合面が素子搭載面と向き合うようにはんだ接合等によって固定するとともに、前記発光素子の電極と、素子搭載面に設けた電極との間をワイヤボンディング等によって電気的に接続するのが一般的であった。
【0003】
しかしはんだ接合では、組成にもよるがはんだの熱伝導率がおよそ100W/mK以下と小さいことから、発光素子の動作時に発生する熱を半導体素子搭載部材に逃がして除去させることで、前記発光素子の、熱による発光効率の低下等を抑制する効果が十分に得られないという問題があった。
そこで発光素子として、接合面にAu製の電極を設けたものを用い、前記電極を、半導体素子搭載部材の素子搭載面に設けた電極上に設けたAuバンプと圧着接合、すなわちAuバンプと発光素子の電極とを超音波をかけながら圧力を加えて接合(Au−Au圧着という)させることで、前記発光素子を、前記Auバンプを介して前記素子搭載面上に機械的に固定するとともに熱的に接続する、いわゆるAuバンプ実装によって搭載するのが主流となりつつある。
【0004】
前記Auバンプ実装によれば、Auの熱伝導率がはんだのおよそ3倍の300W/mK程度と高い値を示すため、発光素子の動作時に発生する熱を、Auバンプを介して半導体素子搭載部材に効率よく逃がして、前記発光素子の、熱による発光効率の低下等を良好に抑制することができる。
また半導体素子搭載部材の電極と、発光素子のAu電極との間を、前記Auバンプを介して電気的に接続できるので、先に説明したワイヤボンディングの数を少なくしたり、全く省略したりすることも可能である。そしてその場合には、前記接合面と反対面である光の取り出し面の面積をその分だけ大きくするとともに、ワイヤボンディングが光の取り出し面から放射される光に対して陰になるのを防いで、発光素子の発光効率を向上することもできる。
【0005】
しかし近年、発光素子の高輝度化に伴って前記発熱量がこれまでよりも増加する傾向にあり、Auバンプを介して半導体素子搭載部材に逃がすことができる熱量を現状よりもさらに増加させることが求められつつある。
前記熱量を増加させるためには、発光素子等の半導体素子と半導体素子搭載部材との間の、Auバンプによる、素子搭載面の面方向の接合面積を大きくすればよい。
【0006】
ところがAuバンプの現在の主流である、Auの細線を電極上で溶融させて形成されるいわゆるスタッドバンプは直径φ100μm程度が大きさの限界である。複数個のスタッドバンプをできるだけ密接に配列して前記複数個のバンプ全体での接合面積を増大させることも考えられるが、バンプ間の間隔を詰めることにも限界があり、さらなる接合面積の増加は困難である。
【0007】
特許文献1には、まず素子搭載面にスタッドバンプである小型バンプを形成し、前記小型バンプと電極とを圧着接合したのち、Auを電気めっきして小型バンプを面方向に成長させることで接合面積を増加させることが記載されている。
しかし半導体素子をめっき液に浸漬したり、浸漬した状態で電界をかけたりするのは、たとえマスキングする等して半導体素子がめっき液と直接に接触しないように配慮したとしても、前記半導体素子の動作特性上、あるいは品質管理上の観点から決して望ましいことではない。また工程が複雑化して工程数が増加する分、生産性が著しく低下するという問題もある。
【0008】
素子搭載面上に、電気めっきによって所定の平面形状と厚みとを有するAu薄膜を形成してAuバンプとして用いるいわゆるめっきAuバンプは、スタッドバンプに比べて1つずつの面積を大きくできる利点がある。めっきAuバンプは、例えばフォトリソグラフ法等によって形成される。
前記フォトリソグラフ法では、例えば半導体素子搭載部材のもとになる基材の素子搭載面に電極を含む導体配線を形成した上に、前記素子搭載面を覆うように感光性を有するレジスト層を積層し、前記レジスト層を露光したのち現像して、前記電極上のレジスト層を選択的に除去することで、前記めっきAuバンプの平面形状に対応する開口を形成して電極の少なくとも一部を露出させた状態で、前記電極を陰極としてAuを電気めっきすることにより、前記電極上に、開口に対応する平面形状と所定の厚みとを有するめっきAuバンプを形成することができる。
【0009】
しかし前記工程を経て形成されるめっきAuバンプは、一般に電気めっき時の電界集中により、素子搭載面の面方向の中央部よりレジスト層の開口縁部と接する周縁部の厚みが大きくなり、その表面が、前記中央部で周縁部よりも凹んだ形状となる傾向がある。また前記凹みは、めっきAuバンプの面方向の面積が大きいほど大きくなる傾向がある。つまり電気めっき時の電流が、前記中央部より周縁部においてより多く流れる結果、電流密度の高い周縁部の厚みが、中央部より大きくなるのである。
【0010】
前記凹みを生じためっきAuバンプと、半導体素子の電極とを圧着接合しても、前記両者を面方向の全面に亘って隙間なく接合させることはできず、両者間に、前記凹みに基づく隙間が生じやすい。
めっきAuバンプの表面の凹みを極力小さくして、電極に対して隙間なく圧着接合できるようにするためには、前記めっきAuバンプの、素子搭載面の面方向の面積をおよそ1600μm以下程度にしなければならない。
【0011】
この範囲を超えてめっきAuバンプの面積を大きくしたとしても、実際の接合面積は、前記凹みによる隙間が生じることで前記面積の増加分を満足することができず、そのため前記増加分に見合う熱量を半導体素子搭載部材に逃がすことはできない。
めっきAuバンプは、例えば特許文献2に記載されているように1つの電極に対して複数個ずつ配列して、前記複数個のバンプ全体で所定の接合面積を確保するのが一般的である。
【0012】
そのため、個々のめっきAuバンプの面積は前記のように小面積を維持しながら、なおかつ複数個のバンプ全体での接合面積を増大させるために、隣り合うめっきAuバンプ間の間隔を詰めて、1つの電極に対してできるだけ数多くのめっきAuバンプを配列することが考えられる。
しかし、先に説明したフォトリソグラフ法等によって形成できる複数個のめっきAuバンプの隣り合う間隔はおよそ50μm程度が限界であり、バンプ間の間隔をそれ以上詰めることは困難である。そのため前記小面積のめっきAuバンプでは、配列する個数を増加させて接合面積を増大させ、それによって半導体素子搭載部材に逃がすことができる熱量を増加させる効果にも自ずと限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003−218403号公報
【特許文献2】特開2009−88190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、めっきAuバンプを介して半導体素子搭載部材に逃がすことができる熱量をこれまでよりも大幅に増加できる半導体素子搭載部材と、前記半導体素子搭載部材を用いた半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、素子搭載面を有する基材と、前記基材の前記素子搭載面に形成した少なくとも1つの薄膜状のめっきAuバンプとを含み、前記めっきAuバンプは、前記素子搭載面の面方向の面積が10000μm以上、ビッカース硬さが80未満で、かつ表面の平坦度が5μm以下であることを特徴とする半導体素子搭載部材である。
ここで表面の平坦度とは、めっきAuバンプの表面の、前記素子搭載面の面方向と直交する厚み方向の、前記面方向と平行な任意の基準面からの距離(高さ)の最大値と最小値との差を表す数値であり、前記数値が小さいほど、めっきAuバンプは表面の平坦性が高いことを表している。
【0016】
前記課題を解決するため、発明者は、めっきAuバンプの物性について検討をした。その結果、めっきAuバンプのビッカース硬さが従来は80以上であったものを80未満として、前記めっきAuバンプをこれまでより軟らかくすればよいことを見出した。
すなわち、前記のように軟らかいめっきAuバンプは、フォトリソグラフ法を利用した電気めっきによる成長時に数μmの微小な結晶粒が均一に成長して形成され、先に説明した電界集中の影響を受けにくいため、前記面方向の面積を例えば1600μmより大きくしても、それに伴って平坦度の数値が増加して表面の平坦性が低下する度合いをこれまでよりも抑制できる。
【0017】
そして従来の硬いめっきAuバンプと比べて、同じ面積のめっきAuバンプを形成した際に、その表面の平坦度を大幅に小さくして平坦性を向上できる。具体的にはめっきAuバンプの、素子搭載面の面方向の面積を10000μm以上とした際に、前記めっきAuバンプの表面の平坦度を5μm以下の範囲に抑制できる。
しかも前記のように軟らかいめっきAuバンプは、圧着接合時に、厚み方向に比較的容易に塑性変形させることもでき、表面の平坦度が前記5μm以下の範囲内であれば、前記めっきAuバンプと半導体素子の電極とを隙間なく圧着接合できる。
【0018】
そのため本発明によれば、個々のめっきAuバンプの、素子搭載面の面方向の面積と、複数個のバンプ全体での接合面積とを飛躍的に増加させて、めっきAuバンプを介して半導体素子搭載部材に逃がすことができる熱量をこれまでよりも大幅に増加できる。
したがって、例えば発光素子の高輝度化等に伴う、前記発光素子等の半導体素子からの発熱量の増加に十分に対応して前記熱を速やかに除去して、半導体素子の動作効率の低下(発光素子の場合は発光効率の低下)や、前記半導体素子の熱による早期の劣化といった問題が生じるのを確実に防止することが可能となる。具体的には、例えば出力が3〜5Wといった高出力のLEDに対しても十分な熱除去性能を確保することができる。
【0019】
前記めっきAuバンプとともに半導体素子搭載部材を構成する基材は、AlNによって形成するのが好ましい。前記AlNからなる基材は高い熱伝導性を有するため、半導体素子からの熱をさらに速やかに除去できる上、前記基材は半導体素子を形成する半導体材料との熱膨張係数の差が小さいため、前記半導体素子の動作効率の低下や熱による早期の劣化といった問題が生じるのをより一層確実に防止できる。
【0020】
本発明の半導体装置は、前記本発明の半導体素子搭載部材の素子搭載面に、前記めっきAuバンプを介して半導体素子を搭載したものであるため、前記半導体素子の動作効率の低下や熱による早期の劣化といった問題が生じるのを確実に防止できる。
なおめっきAuバンプのビッカース硬さを、本発明では、マイクロビッカース硬度計を用いて、日本工業規格JIS Z2244:2009「ビッカース硬さ試験−試験方法」所載の測定方法に準拠して、試験荷重:10g、保持時間:15秒、圧子形状:四角錐(対角面136°)、測定温度:室温(15〜35℃)の条件で測定した値でもって表すこととする。
【0021】
まためっきAuバンプの表面の平坦度を、本発明では、非接触表面形状測定機〔米国Zygo社製の登録商標NewView600〕を用いて測定した前記基準面からの高さの最大値と最小値との差でもって表すこととする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、めっきAuバンプを介して半導体素子搭載部材に逃がすことができる熱量をこれまでよりも大幅に増加できる半導体素子搭載部材と、前記半導体素子搭載部材を用いた半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の半導体素子搭載部材の、実施の形態の一例の一部を拡大して示す断面図である。
【図2】図1の例の半導体素子搭載部材を製造する途中の工程を示す断面図である。
【図3】図2の工程によりめっきAuバンプを形成した状態を拡大して示す断面図である。
【図4】図1の例の半導体素子搭載部材に半導体素子としての発光素子を搭載して構成した、本発明の半導体装置の一例の一部を拡大して示す断面図である。
【図5】本発明の半導体装置の、他の例の一部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の半導体素子搭載部材の、実施の形態の一例の一部を拡大して示す断面図である。
図1を参照して、この例の半導体素子搭載部材1は、平板状に形成され、その片面(図において上面)が素子搭載面2とされた基材3と、前記基材3の素子搭載面2上に形成した複数個のめっきAuバンプ4とを備えている。
【0025】
前記複数個のめっきAuバンプ4は、それぞれ基材3の素子搭載面に設けた導体配線5の少なくとも一部を構成する電極6、7上に形成されている。
基材3は、例えばAlN、Al、Si、SiC、BeO、BN等の絶縁性セラミック、または絶縁性のSi等によって形成でき、特にAlNによって形成するのが好ましい。
【0026】
前記AlNからなる基材は高い熱伝導性を有するため、半導体素子からの熱をさらに速やかに除去できる上、前記基材は半導体素子を形成する半導体材料との熱膨張係数の差が小さいため、前記半導体素子の動作効率の低下や熱による早期の劣化といった問題が生じるのをより一層確実に防止できる。
基材3の、素子搭載面2の表面粗さは、日本工業規格JIS B0601:2001「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ」において規定された粗さ曲線の算術平均粗さRaで表して0.01μm以上、特に0.02μm以上であるのが好ましく、1μm以下、特に0.5μm以下であるのが好ましい。
【0027】
素子搭載面2の算術平均粗さRaが前記範囲未満では、いわゆるアンカー効果による、導体配線5の基材3への密着性を向上する効果が十分に得られず、半導体素子の動作による発熱、およびその後の冷却等によって前記半導体素子や基材3が膨張収縮したり反りを生じたりした際に、導体配線5が基材3から剥離しやすくなるおそれがある。導体配線5が基材3から剥離した場合には、当然ながら前記導体配線5上に接合しためっきAuバンプ4、ひいては半導体素子が基材3から脱落してしまう。
【0028】
導体配線5は、半導体素子が発光素子である場合、その表面を発光素子からの光を反射する反射面として利用することがあるが、素子搭載面2の算術平均粗さRaが前記範囲を超える場合には、前記表面における光の反射率が低下して、前記反射面として十分に機能させることができないおそれがある。これに対し、算術平均粗さRaを0.02μm以上、0.5μm以下の範囲内としたとき、光の反射率を最も高くすることができる。
【0029】
平板状の基材3の厚み、すなわち素子搭載面2と、前記素子搭載面2と背向する裏面8との間の距離は0.1mm以上、特に0.15mm以上であるのが好ましく、1mm以下、特に0.5mm以下であるのが好ましい。
厚みが前記範囲未満では基材3の強度が不足して、半導体素子の動作時の熱によって大きな反りを生じたり、割れたりしやすくなるおそれがある。また厚みが前記範囲を超える場合には、前記基材3の素子搭載面2に、めっきAuバンプ4を介して半導体素子を搭載した半導体装置の全体の容積が大きくなって、前記半導体装置の小型化の要求に十分に対応できないおそれがある。
【0030】
AlN等のセラミックからなる基材は、従来同様にその前駆体を焼結して形成すればよい。基材の素子搭載面の表面粗さを前記範囲内に調整するためには、通常の研磨方法によって素子搭載面を研磨すればよい。
導体配線5は、互いに離間させた前記電極6、7を少なくとも含む所定の平面形状にパターン形成されている。前記導体配線5は単層であってもよいし、2層以上の複数層からなる積層構造を有していてもよい。
【0031】
積層構造を有する導体配線5としては、例えば素子搭載面2上に形成した、Ti、Cr、NiCr、Ta、Nb、TiW、またはこれらを含む化合物等からなる厚み0.1μm以上、1.0μm以下程度の密着層と、前記密着層上に積層した、Ag、Al、Au等からなる厚み0.1μm以上、10μm以下程度の電極層とを備えたもの等が挙げられる。
また前記密着層と電極層との間に、Pt、Pd、Cu、Ni、Mo、NiCr等からなる1層または2層以上の拡散防止層を介在させてもよい。
【0032】
導体配線5を構成する各層は、例えば蒸着法、スパッタリング法等の物理蒸着法やめっき法等によって形成でき、フォトリソグラフ法によって所定の平面形状にパターン形成できる。すなわち先に形成した各層を、フォトリソグラフ法を利用したいわゆるサブトラクト法によってあとからパターン形成したり、前記各層を、いわゆるアディティブ法によって、形成と同時にパターン形成したりできる。
【0033】
また、例えばCuやAuの層は、前記金属の粉体を含むペーストを印刷等によってパターン形成する、いわゆる厚膜法によって形成することもでき、前記厚膜法によって形成した、例えばCuからなる拡散防止層上に、電気めっき等によって他の拡散防止層や電極層を積層することもできる。
図2は、前記図1の例の半導体素子搭載部材を製造する途中の工程を示す断面図である。また図3は、図2の工程によりめっきAuバンプを形成した状態を拡大して示す断面図である。図1ないし図3を参照して、めっきAuバンプ4は、前記導体配線5のうち電極6、7上に、従来同様にフォトリソグラフ法(アディティブ法)によって形成する。
【0034】
すなわち、前記導体配線5を形成した基材3の素子搭載面2を覆うように感光性を有するレジスト層9を積層し、前記レジスト層9を露光したのち現像して、電極6、7上のレジスト層9を選択的に除去することで、前記めっきAuバンプ4の平面形状に対応する開口10を形成して電極の少なくとも一部を露出させた状態とする(図2)。
次いで、前記電極6、7を陰極としてAuを電気めっきすると、前記開口10に対応する平面形状と所定の厚みとを有するめっきAuバンプ4を形成できる(図3)。なお図3は電極7上の1つのめっきAuバンプ4の部分を拡大して示しているが、他のめっきAuバンプ4も同様であることはいうまでもない。
【0035】
この際、先に説明したように電気めっき時の電界集中によって、めっきAuバンプ4は、素子搭載面2の面方向の中央部の厚みtよりもレジスト層9の開口10の縁部と接する周縁部の厚みtが大きくなって、その表面が、図中に強調して示したように前記中央部で周縁部よりも凹んだ形状(t<t)となる傾向がある。
特に従来の、ビッカース硬さ80以上という硬いめっきAuバンプは、先に説明した電界集中によって前記凹みが大きくなる傾向があり、その上硬いため、圧着接合時に、厚み方向に容易に塑性変形させることもできない。
【0036】
これに対し本発明における、ビッカース硬さ80未満の軟らかいめっきAuバンプは、前記電気めっきによる成長時に、数μmの微小な結晶粒が均一に成長して形成され、電界集中の影響を受けにくいため、素子搭載面の面方向の面積を大きくしても、それに伴って平坦度の数値が増加して表面の平坦性が低下する度合いを抑制できる。
具体的にはめっきAuバンプの、素子搭載面の面方向の面積を10000μm以上とした際に、前記めっきAuバンプの表面の平坦度を5μm以下の範囲に抑制できる。
【0037】
しかも前記のように軟らかいめっきAuバンプは、圧着接合時に、厚み方向に比較的容易に塑性変形させることもでき、表面の平坦度が前記5μm以下の範囲内であれば、前記めっきAuバンプと半導体素子の電極とを隙間なく圧着接合できる。
したがって個々のめっきAuバンプの、素子搭載面の面方向の面積と、複数個のバンプ全体での接合面積とを飛躍的に増加させて、めっきAuバンプを介して半導体素子搭載部材に逃がすことができる熱量をこれまでよりも大幅に増加できる。
【0038】
めっきAuバンプは、通常は、その厚みが5μm以上と大きいことから、かかる厚みの大きいめっきAuバンプを、前記フォトリソグラフ法を利用した電気めっきによって基材上に形成する際には、前記基材を比較的長い時間に亘ってめっき浴に浸漬し続けなければならない。
そのため電気Auめっき浴として一般的なシアン浴を採用した場合には、前記シアン浴がレジスト層を攻撃して基材から剥離させてしまうおそれがあり、めっきAuバンプを形成するための電気Auめっき浴としてはノンシアン系のAuめっき浴、特に亜硫酸Auめっき浴が好ましい。
【0039】
前記亜硫酸Auめっき浴は、例えばAuの供給源としての亜硫酸金(I)ナトリウム、めっき浴に導電性を付与する導電塩としての亜硫酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウム、めっき浴のpHの変動を抑制する緩衝剤としての四ホウ酸ナトリウム等を純水に加える等して調製される。また亜硫酸Auめっき浴には酸化防止剤や平滑剤、界面活性剤等を適宜添加してもよい。
【0040】
亜硫酸金(I)ナトリウムの添加量は、亜硫酸めっき浴1リットルあたりの濃度で表して10g/L以上、20g/L以下程度であるのが好ましい。また導電塩の添加量は、30g/L以上、80g/L以下程度であるのが好ましい。さらに四ホウ酸ナトリウムの添加量は10g/L程度であるのが好ましい。
前記亜硫酸Auめっき浴を用いた電気めっきによって、先に説明したようにビッカース硬さが80未満の軟らかいめっきAuバンプを形成するためには、前記亜硫酸Auめっき浴に、Auの結晶粒を微小化してめっきAuバンプの硬さを低下させるための調整剤を添加したり、電気めっきの条件、特に電流密度を調整したりすればよい。
【0041】
このうち調整剤としては、例えば亜硫酸カリウム等が挙げられる。
亜硫酸カリウムの添加量は、亜硫酸めっき浴1リットルあたりの濃度で表して1g/L以上、10g/L以下である必要があり、中でも2g/L以上、7g/L以下であるのが好ましい。
亜硫酸カリウムの添加量が前記範囲未満では、前記亜硫酸カリウムを調整剤として添加したことによる、析出するAuの結晶粒を微小化する効果が得られないため、ビッカース硬さが80未満の軟らかいめっきAuバンプを形成することができない。一方、添加量が前記範囲を超える場合には、析出するAuの結晶粒が却って粗くなるため、やはりビッカース硬さが80未満の軟らかいめっきAuバンプを形成することができない。
【0042】
また電流密度は、高くするほどめっきAuバンプが硬く、かつ光沢性の高いものとなり、逆に低くするほど結晶粒が微小化してめっきAuバンプが軟らかくなる傾向があるが、例えば亜硫酸カリウムを前記の割合で含む亜硫酸Auめっき浴を、液温60℃で電気めっきに用いる場合には、前記電流密度は0.5A/dm以上、2.0A/dm以下である必要がある。
【0043】
電流密度が前記範囲を超える場合には、前記のようにめっきAuバンプが硬く、かつ光沢性の高いものとなるため、ビッカース硬さが80未満の軟らかいめっきAuバンプを形成することができない。一方、電流密度が前記範囲未満では、析出するAuの結晶粒が却って粗くなるため、やはりビッカース硬さが80未満の軟らかいめっきAuバンプを形成することができない。なお亜硫酸めっき浴の組成や液温等が異なる場合、電流密度は前記範囲外であってもよい。
【0044】
また本発明では、特にめっきAuバンプの素子搭載面の面方向の面積が、前記10000μm以上の範囲内でも大きいほど、前記めっきAuバンプのビッカース硬さが前記80以下の範囲内でもできるだけ小さくなるように、前記亜硫酸Auめっき浴の組成や電気めっきの条件等を調整するのが好ましい。
これにより、特に電気めっき時に、めっき浴の経時変化やかく拌状態のばらつき等によって平坦度が5μmを超えるのを抑制し、前記平坦度をできるだけ小さくして表面の平坦性を維持することができる。
【0045】
例えばビッカース硬さを60以下とした場合には、前記めっきAuバンプの面積を50000μm以上としても、その表面の平坦度を5μm以下の範囲に抑制することができる。またビッカース硬さを50以下とした場合には、前記めっきAuバンプの面積を100000μm以上としても、前記表面の平坦度を5μm以下の範囲に抑制することができる。
【0046】
ただし、前記亜硫酸Auめっき浴の組成や電気めっきの条件等を調整しても、めっきAuバンプのビッカース硬さを35未満とすることは困難である。そのためビッカース硬さは35以上であるのが好ましい。
なお本発明では、めっきAuバンプのビッカース硬さを前記範囲内でもさらに小さくするため、前記工程を経てめっきAuバンプを形成した後に、例えば200℃以上、400℃以下程度の温度でおよそ5分以上、3時間以下程度のアニール処理を施してもよい。
【0047】
本発明において、めっきAuバンプは、1つの基材上に1つだけ形成してもよいし、2つ以上の複数個を配列してもよい。特に半導体素子の1つの電極ごとに、従来同様に複数個のめっきAuバンプを配列し、前記複数個のバンプ全体で所定の接合面積を確保するようにするのが好ましい。
例えば半導体素子が発光素子である場合、前記発光素子は通常、n電極とp電極の2つの電極を有するため、前記2つの電極それぞれに対して複数個のめっきAuバンプを配列すればよい。
【0048】
この際、本発明によれば、先に説明したように個々のめっきAuバンプの、素子搭載面の面方向の面積を10000μm以上とすることにより、前記複数個のバンプ全体での接合面積を飛躍的に増加させて、めっきAuバンプを介して半導体素子搭載部材に逃がすことができる熱量をこれまでよりも大幅に増加できる。
例えば現在の一般的なLEDチップのサイズは縦0.5mm×横0.5mm以上であるが、例えば縦1.0mm×横1.0mmのLEDチップを、従来の、前記面方向の面積が1600μm以下である小面積のめっきAuバンプを介してAuバンプ実装する場合、先に説明したように、複数個のめっきAuバンプの隣り合う間隔は縦横それぞれ50μm程度が限界であるため、前記LEDチップの面内に配列できるめっきAuバンプの個数はおよそ130個程度、バンプ全体での接合面積は、単純計算しておよそ208000μm程度、前記LEDチップの全接合面積(=1000000μm)に占めるバンプ全体での接合面積の割合は約20%が限界である。
【0049】
これに対し本発明によれば、例えば面積が10000μmであるめっきAuバンプを、従来と同じ縦横それぞれ50μm程度の形成間隔で、同じLEDチップの面内に配列する場合を考えると、その個数は40個程度と少なくなるものの、隣り合うめっきAuバンプ間の隙間を大幅になくすることができるため、接合面積は、単純計算しておよそ4000000μm程度、前記LEDチップの全接合面積(=1000000μm)に占めるバンプ全体での接合面積の割合は40%程度となり、前記接合面積を、従来に比べて飛躍的に増加できることが明らかである。
【0050】
なお現状ではLEDチップの出力はおよそ1W程度が一般的であるが、今後さらに3W、5Wといった高出力のLEDチップが実用化されて一般化するようになると、前記接合面積をさらに増加させるために、個々の面積が前記10000μm以上の範囲内でも50000μm程度、あるいは100000μm程度といったさらに大面積のめっきAuバンプが必要になることが予想される。
【0051】
しかし本発明によれば、かかる大面積のめっきAuバンプであっても、先に説明したようにビッカース硬さを小さくすることによって平坦度を5μm以下の範囲内に維持するとともに、圧着接合時に、厚み方向に比較的容易に塑性変形できるようにして、前記LEDチップの電極との間に隙間を生じることなく圧着接合させることが可能である。
ただし個々のめっきAuバンプの面積が1000000μmを超える場合には、たとえそのビッカース硬さを80以下の範囲内でもできるだけ小さくしたとしても、めっき浴の経時変化やかく拌状態のばらつき等によって、前記めっきAuバンプの表面の平坦度を安定して5μm以下の範囲に抑制できないおそれがある。
【0052】
また圧着接合時に、前記めっきAuバンプを厚み方向に十分に塑性変形できないおそれもあり、前記めっきAuバンプを電極に対して隙間なく圧着接合できなくなるおそれがある。そのため個々のめっきAuバンプの面積は、前記範囲内でも1000000μm以下であるのが好ましい。
めっきAuバンプの平坦度は、前記めっきAuバンプを電極に対して隙間なく圧着接合することを考慮すると、前記5μm以下の範囲内でも特に3μm以下であるのが好ましい。平坦度の下限は、言うまでもなく0μmである。平坦度が0μmでめっきAuバンプの表面が完全に平坦であるのが理想的であるが、前記範囲内であれば、平坦度が0μmのときと同等の効果を得ることができる。
【0053】
めっきAuバンプの厚みは、圧着接合時に、前記めっきAuバンプを厚み方向に十分に塑性変形させて、電極に対して良好に圧着接合することを考慮すると5μm以上であるのが好ましい。
またAuの使用量を極力少なくするとともに電気めっきに要する時間を短縮してめっきAuバンプ形成のコストを低減し、生産性を向上するとともに、半導体装置の全体の容積を小さくして小型化の要求に対応することを考慮すると、前記めっきAuバンプの厚みは30μm以下であるのが好ましい。
【0054】
図4は、図1の例の半導体素子搭載部材1に半導体素子としての発光素子11を搭載して構成した、本発明の半導体装置12の一例の一部を拡大して示す断面図である。
図4を参照して、前記発光素子11は、片面13を光の取り出し面とするとともに前記片面13と背向する反対面14に2つの電極15、16を設けたものである。前記電極15は基材3の素子搭載面2上の電極6に対応し、電極16は電極7に対応している。
【0055】
前記両電極15、16は、電極6、7上に形成した複数個ずつのめっきAuバンプ4と圧着接合(Au−Au圧着)させるために、少なくともAuを含む金属により形成されている。
そして前記圧着接合により、すなわちめっきAuバンプ4と電極15、16とを超音波をかけながら圧力を加えて接合させることにより、発光素子11が、前記基材3上に機械的に固定されるとともに熱的、および電気的に接続されている。
【0056】
かかるAuバンプ実装では、前記本発明の半導体素子搭載部材1の構成により、めっきAuバンプ4の、素子搭載面2の面方向の面積と、複数個のバンプ全体での、発光素子11と半導体素子搭載部材1との間の接合面積とを、従来に比べて飛躍的に増加できるため、前記発光素子11の高輝度化、高出力化に伴う発熱量の増加に十分に対応して、前記発光素子11の動作効率の低下や熱による早期の劣化といった問題が生じるのを確実に防止できる。
【0057】
図5は、本発明の半導体装置12の、他の例の一部を拡大して示す断面図である。
図5を参照して、この例では発光素子11として、光の取り出し面である片面13にワイヤボンディング接続用の1つの電極15を設け、反対面14にAuバンプ実装用の1つの電極16を設けたものを用いている。
また半導体素子搭載部材1としては、基材3の素子搭載面2上に、前記電極15に対応したワイヤボンディング接続用の電極6と、前記電極16に対応したAuバンプ実装用の電極7とを設け、前記電極7上に複数個ずつのめっきAuバンプ4を形成したものを用いている。
【0058】
そして圧着接合により、すなわちめっきAuバンプ4と電極16とを超音波をかけながら圧力を加えて接合させることにより、発光素子11が、前記基材3上に機械的に固定されるとともに電極7と電極16とが熱的、および電気的に接続され、さらにワイヤボンディング17により、電極6と電極15とが電気的に接続されている。
かかる実装でも、前記本発明の半導体素子搭載部材1の構成により、めっきAuバンプ4の、素子搭載面2の面方向の面積と、複数個のバンプ全体での、発光素子11と半導体素子搭載部材1との間の接合面積とを、従来に比べて飛躍的に増加できるため、前記発光素子11の高輝度化、高出力化に伴う発熱量の増加に十分に対応して、前記発光素子11の動作効率の低下や熱による早期の劣化といった問題が生じるのを確実に防止できる。
【0059】
なお本発明の構成は、以上で説明した例には限定されない。
例えば半導体素子搭載部材においては、基材上に形成する全てのめっきAuバンプの面積を10000μm以上とする必要はなく、基材上の主要な接合領域においてめっきAuバンプの面積を10000μm以上として十分な接合面積を確保するとともに、前記範囲より面積の小さいめっきAuバンプを混在させてもよい。
【0060】
また図1〜図4の例、ならびに図5の例は、いずれも半導体素子搭載部材の素子搭載面上の、1つの発光素子を搭載する領域を拡大して示しているが、前記領域は1つには限られず、1つの半導体素子搭載部材上に複数の領域を設けて、それぞれの領域に発光素子等の半導体素子を搭載してもよい。
また製造工程上は、1つの基材の素子搭載面上に複数の前記領域を設けて、そのそれぞれに半導体素子を搭載した後、個々の領域ごと、あるいは所定の複数の領域ごとに切り出して半導体装置を製造できる。
【0061】
半導体素子は、図1〜図4の例のように全ての電極がめっきAuバンプを介して素子搭載面上の電極に接続されるものや、図5の例のように一部の電極がめっきAuバンプ、残りの電極がワイヤボンディングを介して素子搭載面上の電極に接続されるものには限定されない。例えば全ての電極はワイヤボンディングによって接続され、めっきAuバンプは、半導体素子を素子搭載面上に機械的に固定するとともに熱的に接続するためにのみ利用する構造の半導体素子を排除するものではない。
【0062】
かかる構造を有する半導体素子を搭載する場合でも、前記本発明の構成により、めっきAuバンプを介して半導体素子搭載部材に逃がすことができる熱量を、これまでよりも大幅に増加させることが可能である。
その他、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の設計変更を施すことができる。
【実施例】
【0063】
〈実施例1〉
(基材およびLEDチップ)
基材としては、表裏両面を算術平均粗さRa=0.5μmとなるまで研磨した縦100mm×横100mm×厚み0.5mmの平板状の、AlN製の基材を用意した。前記基材は、面内に縦3mm×横3mmの、個々の半導体素子搭載部材の基材となる個片領域を縦28個×横28個、計784個配列するためのものである。前記各個片領域内には、それぞれ縦1mm×横1mmの平板状のLEDチップが4個ずつ搭載される。
【0064】
前記LEDチップとしては、図5に示すように片面13が光の取り出し面、前記片面13と背向する反対面14が基材3内の個片領域への接合面とされ、前記接合面の全面に、前記個片領域上に設ける2極の電極6、7のうち一方の電極7とめっきAuバンプ4を介して接合される、縦1mm×横1mmの1つの電極16を備えるとともに、前記光の取り出し面に、前記電極16と対をなし、個片領域上に設ける他方の電極6とワイヤボンディング17によって接続される電極15を備えたものを用意した。
【0065】
先に説明したように、かかる構造を有するLEDチップを搭載する場合でも、本発明の構成により、めっきAuバンプを介して半導体素子搭載部材に逃がすことができる熱量を、これまでよりも大幅に増加させることが可能である。以下に、これを検証する。
(導体配線の形成)
前記基材をイソプロピルアルコール(IPA)に浸漬して超音波洗浄し、エアブローして前記IPAを飛散させた後、オーブン中で100℃×10分間乾燥させた。
【0066】
次いで前記基材をスパッタリング装置内にセットし、1×10−4Paの雰囲気下、基材を200℃×5分間加熱し、さらにArプラズマによるドライ洗浄をした後、引き続きスパッタリング装置内で、前記基材の表裏両面に、スパッタリング法によって厚み0.1μmのTi層と厚み1μmのCu層とをこの順に連続形成した。
次いでスパッタリング装置から取り出した前記基材の表裏両面にフォトレジストをスピンコートし、乾燥させて厚み5μmのレジスト層を形成し、片面のレジスト層にフォトマスクを重ねて露光後、30℃に保温した現像液に5分間浸漬し、さらにリンス液に5分間、純水に10分間、それぞれ浸漬して現像して、前記片面のレジスト層に、先に説明した2極の電極を含む導体配線の平面形状に対応する開口を、前記784個の個片領域に対応させてパターン形成した。
【0067】
次いで前記基材の、前記開口の部分で露出したCu層の表面を、前記基材を酸性脱脂液中に2分間浸漬して脱脂し、硫酸に1分間浸漬して酸洗浄し、さらにソフトエッチング液に浸漬して約0.2μm程度エッチングした後、再び硫酸に0.5分間浸漬して酸洗浄した。
次いで前記基材を硫酸銅めっき浴、Niめっき浴、およびAuめっき浴に順に浸漬して、レジスト層の開口の部分で露出されたCu層を陰極とする電気めっきをすることで、前記Cu層の表面に選択的に、厚み1μmのCu層と、厚み1μmのNi層と、厚み0.5μmのAu層とを順に積層した。
【0068】
次いで基材を80℃に保温したレジスト剥離液に3分間浸漬し、さらにリンス液に5分間、純水に10分間、それぞれ浸漬してレジスト層を除去した。
(めっきAuバンプ用めっき浴の調製)
Auの供給源としての亜硫酸金(I)ナトリウム、めっき浴に導電性を付与するための導電塩としての亜硫酸ナトリウム、析出するAuの結晶粒を微小化してめっきAuバンプの硬さを低下させるための調整剤としての亜硫酸カリウム、およびめっき浴のpHの変動を抑制するための緩衝剤としての四ホウ酸ナトリウムを純水に加えて、めっきAuバンプ形成用の亜硫酸Auめっき浴を調製した。
【0069】
各成分の添加量は、亜硫酸金(I)ナトリウムをAu濃度で表して15g/L、亜硫酸ナトリウムを50g/L、亜硫酸カリウムを5.0g/L、四ホウ酸ナトリウムを10g/Lとした。
(めっきAuバンプの形成)
導体配線のもとになる前記各層が積層された基材の片面にフォトレジストをスピンコートし、乾燥させて厚み40μmのレジスト層を形成し、フォトマスクを重ねて露光後、30℃に保温した現像液に5分間浸漬し、さらにリンス液に5分間、純水に10分間、それぞれ浸漬して現像して、前記片面のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ40箇所ずつ、めっきAuバンプの平面形状に対応する縦200μm×横50μm、面積10000μmの開口をパターン形成した。各開口の隣り合う間隔は、縦横いずれの方向も50μmとした。
【0070】
次いで、前記基材を60℃に保温した先の亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、前記開口の部分で露出した最表面のAu層を陰極として、電流密度1A/dmの条件で電気めっきをすることで、前記Au層の表面に選択的に、厚み20μmめっきAuバンプを形成した。
次いで基材を80℃に保温したレジスト剥離液に3分間浸漬し、さらにリンス液に5分間、純水に10分間、それぞれ浸漬してレジスト層を除去した。
【0071】
そして、スパッタリング法によって基材の表面に最初に形成したTi層およびCu層のうち、導体配線を構成する各層で覆われていない領域(シード層)をウエットエッチングによって除去して個々の導体配線を独立させて、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
ウエットエッチングに用いるCu層用のエッチャントとしては塩化第二鉄溶液、Ti層用のエッチャントとしてはフッ酸を用いた。
【0072】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は10000μm、厚みは20μmであった。また、前記めっきAuバンプのビッカース硬さHvを、マイクロビッカース硬度計を用いて前記測定条件で測定したところ49であった。
なお測定は、前記前駆体上の任意の20個のめっきAuバンプについて行い、前記20個の測定値の平均値をビッカース硬さHvとした。
【0073】
また基材の片面(素子搭載面)を基準面として非接触表面形状測定機を用いて測定した、前記基準面からの高さの最大値と最小値との差を、めっきAuバンプの表面の平坦度として求めたところ2.2μmであった。
なお測定は、前記前駆体上の任意の20個のめっきAuバンプについて行い、前記20個の測定値の最大値を平坦度とした。
【0074】
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ400000μm、前記縦1.0mm×横1.0mmのLEDチップの接合面の全面に形成した電極によって規定される全接合面積(=1000000μm)に占める、バンプ全体での接合面積の割合(以下「接合面積率」とする)は40%であった。
〈実施例2〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ8箇所ずつ、縦200μm×横450μm、面積90000μmの開口をパターン形成(各開口の隣り合う間隔は、縦横いずれの方向も50μm)するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、実施例1と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、実施例1と同条件で、前記開口の部分で露出した最表面のAu層の表面に選択的に、厚み6μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0075】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は90000μm、厚みは6μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは49、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は1.8μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ720000μm、接合面積率は72%であった。
【0076】
〈実施例3〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層に、実施例2と同寸法の開口を同間隔で同数パターン形成するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、実施例1と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、実施例1と同条件で、前記開口の部分で露出した最表面のAu層の表面に選択的に、厚み10μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0077】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は90000μm、厚みは10μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは49、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は2.0μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ720000μm、接合面積率は72%であった。
【0078】
〈実施例4〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層に、実施例2と同寸法の開口を同間隔で同数パターン形成するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、実施例1と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、実施例1と同条件で、前記開口の部分で露出した最表面のAu層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0079】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は90000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは49、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は2.3μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ720000μm、接合面積率は72%であった。
【0080】
〈実施例5〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層に、実施例2と同寸法の開口を同間隔で同数パターン形成するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、実施例1と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、実施例1と同条件で、前記開口の部分で露出した最表面のAu層の表面に選択的に、厚み28μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0081】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は90000μm、厚みは23μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは49、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は2.6μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ720000μm、接合面積率は72%であった。
【0082】
〈実施例6〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ8箇所ずつ、縦200μm×横510μm、面積102000μmの開口をパターン形成(各開口の隣り合う間隔は、縦横いずれの方向も50μm)するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、実施例1と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、実施例1と同条件で、前記開口の部分で露出した最表面のAu層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0083】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は102000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは49、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は2.4μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから単純に計算される接合面積は816000μmであるが、LEDチップの接合面の全接合面積が先に説明したように1000000μmであって、前記接合面の外周縁部に位置するめっきAuバンプの一部が前記接合面から外にはみ出すこと、各めっきAuバンプ間に幅50μmの領域が存在することから、想定される接合面積は760000μm、接合面積率は76%であった。
【0084】
〈実施例7〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ2箇所ずつ、縦450μm×横1000μm、面積450000μmの開口をパターン形成(両開口の隣り合う間隔は50μm)するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、実施例1と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、実施例1と同条件で、前記開口の部分で露出した最表面のAu層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0085】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は450000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは49、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は2.6μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ900000μm、接合面積率は90%であった。
【0086】
〈実施例8〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ2箇所ずつ、縦510μm×横1000μm、面積510000μmの開口をパターン形成(両開口の隣り合う間隔は50μm)するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、実施例1と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、実施例1と同条件で、前記開口の部分で露出した最表面のAu層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0087】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は510000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは49、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は2.7μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから単純に計算される接合面積は1020000μmであるが、LEDチップの接合面の全接合面積が先に説明したように1000000μmであって、両めっきAuバンプの一部が前記接合面から外にはみ出すこと、2つのめっきAuバンプ間に幅50μmの領域が存在することから、想定される接合面積は950000μm、接合面積率は95%であった。
【0088】
〈実施例9〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ1箇所ずつ、縦1000μm×横1000μm、面積1000000μmの開口をパターン形成するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、実施例1と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、実施例1と同条件で、前記開口の部分で露出した最表面のAu層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0089】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は1000000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは49、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は2.9μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ1000000μm、接合面積率は100%であった。
【0090】
以上の結果を表1にまとめた。
【0091】
【表1】

【0092】
〈実施例10〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ40箇所ずつ、縦200μm×横50μm、面積10000μmの開口をパターン形成(各開口の隣り合う間隔は、縦横いずれの方向も50μm)するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、60℃に保温した実施例1と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、前記開口の部分で露出した最表面のAu層を陰極として、電流密度0.5A/dmの条件で電気めっきをすることで、前記Au層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0093】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は10000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは39、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は2.0μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ400000μm、接合面積率は40%であった。
【0094】
〈実施例11〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ8箇所ずつ、縦200μm×横450μm、面積90000μmの開口をパターン形成(各開口の隣り合う間隔は、縦横いずれの方向も50μm)するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、実施例10と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、実施例10と同条件で、前記開口の部分で露出した最表面のAu層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0095】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は90000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは39、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は2.1μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ720000μm、接合面積率は72%であった。
【0096】
〈実施例12〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ2箇所ずつ、縦510μm×横1000μm、面積510000μmの開口をパターン形成(両開口の隣り合う間隔は50μm)するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、実施例10と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、実施例10と同条件で、前記開口の部分で露出した最表面のAu層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0097】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は510000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは39、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は2.5μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから単純に計算される接合面積は1020000μmであるが、LEDチップの接合面の全接合面積が先に説明したように1000000μmであって、両めっきAuバンプの一部が前記接合面から外にはみ出すこと、2つのめっきAuバンプ間に幅50μmの領域が存在することから、想定される接合面積は950000μm、接合面積率は95%であった。
【0098】
〈実施例13〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ1箇所ずつ、縦1000μm×横1000μm、面積1000000μmの開口をパターン形成するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、実施例10と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、実施例10と同条件で、前記開口の部分で露出した最表面のAu層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0099】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は1000000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは39、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は2.7μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ1000000μm、接合面積率は100%であった。
【0100】
以上の結果を表2にまとめた。
【0101】
【表2】

【0102】
〈実施例14〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ40箇所ずつ、縦200μm×横50μm、面積10000μmの開口をパターン形成(各開口の隣り合う間隔は、縦横いずれの方向も50μm)するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、60℃に保温した実施例1と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、前記開口の部分で露出した最表面のAu層を陰極として、電流密度1.2A/dmの条件で電気めっきをすることで、前記Au層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0103】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は10000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは58、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は2.8μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ400000μm、接合面積率は40%であった。
【0104】
〈実施例15〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ8箇所ずつ、縦200μm×横450μm、面積90000μmの開口をパターン形成(各開口の隣り合う間隔は、縦横いずれの方向も50μm)するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、実施例14と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、実施例14と同条件で、前記開口の部分で露出した最表面のAu層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0105】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は90000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは58、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は3.0μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ720000μm、接合面積率は72%であった。
【0106】
〈実施例16〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ8箇所ずつ、縦200μm×横510μm、面積102000μmの開口をパターン形成(各開口の隣り合う間隔は、縦横いずれの方向も50μm)するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、実施例14と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、実施例14と同条件で、前記開口の部分で露出した最表面のAu層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0107】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は102000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは58、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は3.1μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから単純に計算される接合面積は816000μmであるが、LEDチップの接合面の全接合面積が先に説明したように1000000μmであって、前記接合面の外周縁部に位置するめっきAuバンプの一部が前記接合面から外にはみ出すこと、各めっきAuバンプ間に幅50μmの領域が存在することから、想定される接合面積は760000μm、接合面積率は76%であった。
【0108】
〈実施例17〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ2箇所ずつ、縦450μm×横1000μm、面積450000μmの開口をパターン形成(両開口の隣り合う間隔は50μm)するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、実施例14と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、実施例14と同条件で、前記開口の部分で露出した最表面のAu層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0109】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は450000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは58、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は3.5μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ900000μm、接合面積率は90%であった。
【0110】
以上の結果を表3にまとめた。
【0111】
【表3】

【0112】
〈実施例18〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ40箇所ずつ、縦200μm×横50μm、面積10000μmの開口をパターン形成(各開口の隣り合う間隔は、縦横いずれの方向も50μm)するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、60℃に保温した実施例1と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、前記開口の部分で露出した最表面のAu層を陰極として、電流密度1.8A/dmの条件で電気めっきをすることで、前記Au層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0113】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は10000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは76、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は4.1μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ400000μm、接合面積率は40%であった。
【0114】
〈実施例19〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ8箇所ずつ、縦200μm×横450μm、面積90000μmの開口をパターン形成(各開口の隣り合う間隔は、縦横いずれの方向も50μm)するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、実施例18と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、実施例18と同条件で、前記開口の部分で露出した最表面のAu層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0115】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は90000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは76、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は4.5μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ720000μm、接合面積率は72%であった。
【0116】
〈実施例20〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層に、実施例19と同寸法の開口を同間隔で同数パターン形成するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、調整剤としての亜硫酸カリウムの配合割合を1.5g/Lとしたこと以外は実施例1と同様にして調製し、60℃に保温した亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、前記開口の部分で露出した最表面のAu層を陰極として、電流密度0.5A/dmの条件で電気めっきをすることで、前記Au層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0117】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は90000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは72、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は4.4μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ720000μm、接合面積率は72%であった。
【0118】
〈実施例21〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層に、実施例19と同寸法の開口を同間隔で同数パターン形成するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、調整剤としての亜硫酸カリウムの配合割合を8.0g/Lとしたこと以外は実施例1と同様にして調製し、60℃に保温した亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、前記開口の部分で露出した最表面のAu層を陰極として、電流密度1.0A/dmの条件で電気めっきをすることで、前記Au層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0119】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は90000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは54、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は3.0μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ720000μm、接合面積率は72%であった。
【0120】
以上の結果を表4にまとめた。
【0121】
【表4】

【0122】
〈比較例1〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ40箇所ずつ、縦200μm×横50μm、面積10000μmの開口をパターン形成(各開口の隣り合う間隔は、縦横いずれの方向も50μm)するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、調整剤としての亜硫酸カリウムを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして調製し、60℃に保温した亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、前記開口の部分で露出した最表面のAu層を陰極として、電流密度1.5A/dmの条件で電気めっきをすることで、前記Au層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0123】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は10000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは88、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は5.3μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ400000μm、接合面積率は40%であった。
【0124】
〈比較例2〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ8箇所ずつ、縦200μm×横450μm、面積90000μmの開口をパターン形成(各開口の隣り合う間隔は、縦横いずれの方向も50μm)するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、比較例1と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、比較例1と同条件で、前記開口の部分で露出した最表面のAu層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0125】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は90000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは88、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は5.8μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ720000μm、接合面積率は72%であった。
【0126】
〈比較例3〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層に、比較例2と同寸法の開口を同間隔で同数パターン形成するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、調整剤としての亜硫酸カリウムの配合割合を0.5g/Lとしたこと以外は実施例1と同様にして調製し、60℃に保温した亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、前記開口の部分で露出した最表面のAu層を陰極として、電流密度1.0A/dmの条件で電気めっきをすることで、前記Au層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0127】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は90000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは85、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は5.7μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ720000μm、接合面積率は72%であった。
【0128】
〈比較例4〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層に、比較例2と同寸法の開口を同間隔で同数パターン形成するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、調整剤としての亜硫酸カリウムの配合割合を11.0g/Lとしたこと以外は実施例1と同様にして調製し、60℃に保温した亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、前記開口の部分で露出した最表面のAu層を陰極として、電流密度1.0A/dmの条件で電気めっきをすることで、前記Au層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0129】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は90000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは86、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は5.7μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ720000μm、接合面積率は72%であった。
【0130】
〈比較例5〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層に、比較例2と同寸法の開口を同間隔で同数パターン形成するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、60℃に保温した実施例1と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、前記開口の部分で露出した最表面のAu層を陰極として、電流密度0.2A/dmの条件で電気めっきをすることで、前記Au層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0131】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は90000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは81、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は5.2μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ720000μm、接合面積率は72%であった。
【0132】
〈比較例6〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層に、比較例2と同寸法の開口を同間隔で同数パターン形成するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、60℃に保温した実施例1と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、前記開口の部分で露出した最表面のAu層を陰極として、電流密度2.5A/dmの条件で電気めっきをすることで、前記Au層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0133】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は90000μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは87、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は5.8μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから、想定される接合面積を求めたところ720000μm、接合面積率は72%であった。
【0134】
〈従来例1〉
めっきAuバンプ形成用のレジスト層のうち、784個の個片領域内の個々の電極上の、それぞれ1つずつのLEDチップに対応する縦1.0mm×横1.0mmの領域ごとに、それぞれ130箇所ずつ、縦50μm×横32μm、面積1600μmの開口をパターン形成(各開口の隣り合う間隔は、縦横いずれの方向も50μm)するとともに、前記レジスト層を形成した基材を、比較例1と同じ亜硫酸Auめっき浴に浸漬し、比較例1と同条件で、前記開口の部分で露出した最表面のAu層の表面に選択的に、厚み20μmのめっきAuバンプを形成したこと以外は実施例1と同様にして、半導体素子搭載部材となる前記784個の個片領域が繋がれた前駆体を製造した。
【0135】
各個片領域の電極上に形成しためっきAuバンプの面積は1600μm、厚みは20μmであった。また、実施例1と同様にして測定しためっきAuバンプのビッカース硬さHvは88、前記めっきAuバンプの表面の平坦度は2.1μmであった。
さらに個々のめっきAuバンプの面積と個数とから単純に計算される接合面積は208000μmであるが、LEDチップの接合面の全接合面積が先に説明したように1000000μmであって、前記接合面の外周縁部に位置するめっきAuバンプの一部が前記接合面から外にはみ出すこと、各めっきAuバンプ間に幅50μmの領域が存在することから、想定される接合面積は200000μm、接合面積率は20%であった。
【0136】
以上の結果を表5にまとめた。
【0137】
【表5】

【0138】
前記表1〜5の各実施例、および従来例1の結果から、個々のめっきAuバンプの面積を10000μm以上としたとき、複数個のバンプ全体での接合面積を飛躍的に増加できることが判った。
また前記各実施例、および比較例の結果から、めっきAuバンプのビッカース硬さを80未満とすることで、前記めっきAuバンプの表面の平坦度を5μm以下として、前記接合面積の増加を実効性あるものにできることが判った。
【0139】
また前記各実施例の結果から、めっきAuバンプのビッカース硬さは、80未満の範囲内でも60以下、特に50以下であるとき、同じ面積のめっきAuバンプの平坦度をさらに小さくして、前記めっきAuバンプの表面の平坦性をより一層向上できることが判った。
また前記各実施例、比較例の結果から、めっきAuバンプのビッカース硬さを80未満の範囲内とするためには、亜硫酸Auめっき浴中に添加する亜硫酸カリウムの量が1g/L以上、10g/L以下である必要があり、中でも2g/L以上、7g/L以下であるのが好ましいこと、前記亜硫酸Auめっき浴の液温を60℃に設定する場合、電流密度が0.5A/dm以上、2.0A/dm以下である必要があることが判った。
【0140】
〈温度上昇率の測定〉
図5を参照して、前記各実施例、比較例で製造した半導体素子搭載部材1の前駆体上の各個片領域内の電極7上に、めっきAuバンプ4を介して4個ずつのLEDチップ(発光素子)11を実装するとともに、各LEDチップ11の光の取り出し面13側の電極15を、ワイヤボンディング17を介して、前記各個片領域内の電極6と接続した。
【0141】
そして温度23±1℃、相対湿度55±1%の環境下、前記LEDチップに1Aの電流を流して発光させて、発光開始から1分後のLEDチップの温度T、および3分後の温度Tを、それぞれ非接触式の放射温度計を用いて測定した。
そして式(1):
温度上昇率(%)=(T−T)/T×100 (1)
により、LEDチップの温度上昇率を求め、下記の基準で、めっきAuバンプを介して半導体素子搭載基板に逃がすことができた熱量の多寡を評価した。
【0142】
○○○:温度上昇率は5%以下であった。
○○:温度上昇率は5%を超え、10%未満であった。
○:温度上昇率は10%以上、20%未満であった。
×:温度上昇率は20%以上であった。
結果を表6に示す。
【0143】
【表6】

【0144】
前記表6の各実施例、比較例の結果から、個々のめっきAuバンプの面方向の面積が10000μm以上、ビッカース硬さHvが80未満で、かつ表面の平坦度が5μm以下であるとき、めっきAuバンプを介して半導体素子搭載基板に逃がすことができる熱量を大幅に増加させて、LEDチップの温度上昇を抑制できることが判った。
また各実施例の結果から、個々のめっきAuバンプの面方向の面積を大きくするほど、めっきAuバンプを介して半導体素子搭載基板に逃がすことができる熱量を増加させて、LEDチップの温度上昇をより一層良好に抑制できることが判った。
【符号の説明】
【0145】
1 半導体素子搭載部材
2 素子搭載面
3 基材
4 めっきAuバンプ
5 導体配線
6、7 電極
8 裏面
9 レジスト層
10 開口
11 発光素子(半導体素子)
12 半導体装置
13 片面(光の取り出し面)
14 反対面
15、16 電極
17 ワイヤボンディング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子搭載面を有する基材と、前記基材の前記素子搭載面に形成した少なくとも1つの薄膜状のめっきAuバンプとを含み、前記めっきAuバンプは、前記素子搭載面の面方向の面積が10000μm以上、ビッカース硬さが80未満で、かつ表面の平坦度が5μm以下であることを特徴とする半導体素子搭載部材。
【請求項2】
前記基材をAlNによって形成した請求項1に記載の半導体素子搭載部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体素子搭載部材の前記素子搭載面に、めっきAuバンプを介して半導体素子を搭載したことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−109328(P2010−109328A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−181629(P2009−181629)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(000220103)株式会社アライドマテリアル (192)
【Fターム(参考)】