説明

半導体表示装置及び駆動方法

【課題】 駆動回路の駆動周波数を抑えつつ、擬似輪郭の発生を抑えることができる半導体表示装置の提案を課題とする。また本発明は、画質の低下を抑えつつ、擬似輪郭の発生を抑えることができる半導体表示装置の提案を課題とする。
【解決手段】 ビデオ信号の階調と、複数のサブフレーム期間のうち、発光の状態となるサブフレーム期間との関係を定めたデータが記憶されたテーブルと、データに従ってビデオ信号を変換して出力するコントローラと、出力されたビデオ信号に従って画素の階調が制御されるパネルとを有し、階調2以上の各階調において、複数のサブフレーム期間の数及び長さは、サブフレーム率RSFに従って定められ、サブフレーム率RSFは、フレーム周波数により定められた共有率Rshに従い、算出されていることを特徴とする半導体表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間階調法で表示を行なう半導体表示装置及び該半導体表示装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体表示装置の一つである発光装置の駆動方法に、デジタルのビデオ信号が有する2値の電圧を用い、1フレーム期間中において画素の発光素子が発光する時間を制御することで、階調を表示する時間階調法がある。一般的に液晶などに比べて電界発光材料の応答速度は速いため、時間階調法により適していると言える。具体的に時間階調法で表示を行なう場合、1フレーム期間を複数のサブフレーム期間に分割する。そしてビデオ信号に従い、各サブフレーム期間において画素の発光素子を発光または非発光の状態にする。上記構成により、1フレーム期間中に画素の発光素子が実際に発光する期間の合計の長さを、ビデオ信号により制御し、階調を表示することができる。
【0003】
しかし時間階調法で表示を行なう場合、フレーム周波数によっては画素部に擬似輪郭が表示されてしまうという問題があった。擬似輪郭とは、時間階調法で中間階調を表示したときに度々視認される不自然な輪郭線であって、人間の視覚の特性によって生じる知覚輝度の変動が主な原因とされている。
【0004】
擬似輪郭には、動画を表示する際に生じる動画擬似輪郭と、静止画を表示する際に生じる静止画擬似輪郭とがある。動画擬似輪郭は、連続して出現するフレーム期間において、先のフレーム期間に含まれるサブフレーム期間と後のフレーム期間に含まれるサブフレーム期間とが、連続した1つのフレーム期間として人間の目に視認されてしまうことで発生する。つまり動画擬似輪郭とは、本来のフレーム期間で表示されるべき階調とは異なる階調が人間の目に認識されてしまうことで画素部に表示される、不自然な明るい線や暗い線に相当する。静止画擬似輪郭の発生のメカニズムも、動画擬似輪郭の場合と同様である。静止画擬似輪郭は、静止画を表示する場合に、階調が互いに異なる領域の境界において人間の視点が左右上下に微妙に動いてしまうために、境界付近の画素にあたかも動画が表示されているように見えることで発生する。つまり静止画擬似輪郭とは、階調が互いに異なる領域の境界付近の画素において動画擬似輪郭が発生することで、境界付近に揺れ動くように発生する、不自然な明るい線や暗い線に相当する。
【0005】
上述した擬似輪郭を防止するための技術として、下記特許文献1には、発光の状態にあるサブフレーム期間を1フレーム期間内に連続的に出現させるプラズマディスプレイの駆動方法について記載されている。上記駆動方法により、隣り合うフレーム期間同士で、1フレーム期間内において発光の状態にある期間と、非発光の状態にある期間とが互いに反転するような事態が生じなくなるので、擬似輪郭を抑制出来るとされている。
【特許文献1】特開2000−231362号公報(段落0023)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし特許文献1に記載されている駆動方法では、総階調数と、1フレーム期間内に出現するサブフレーム期間の数とが一致している。よって、総階調数を高めるためにサブフレーム期間の数を増やすと、各サブフレーム期間を短くする必要が生じる。ところが通常では、ビデオ信号をサブフレーム期間ごとに全ての行の画素に入力しなくてはならない。そのため、サブフレーム期間が短すぎる場合、駆動回路の駆動周波数を高める必要がある。よって、駆動回路の信頼性を考慮すると、むやみにサブフレーム期間を短くするのは好ましくない。
【0007】
なお、フレーム期間を長くすることで、各サブフレーム期間をある程度長くすることはできる。しかし、フレーム期間を長くしても総階調数を飛躍的に増やすことは期待できず、その上擬似輪郭が発生しやすくなるので好ましくない。
【0008】
そこで特許文献1では、ディザなどの画像処理を行ない、サブフレームの数を増やさずに、表示する総階調数を擬似的に高める技術についても記載されている。しかしディザなどの画像処理を行なうと、高い総階調数を表示することはできるが、砂を撒いたように画像がざらついて表示されるため、画質の低下は免れない。
【0009】
本発明は上述した問題に鑑み、駆動回路の駆動周波数を抑えつつ、擬似輪郭の発生を抑えることができる半導体表示装置の駆動方法の提案を課題とする。また本発明は、画質の低下を抑えつつ、擬似輪郭の発生を抑えることができる半導体表示装置の駆動方法の提案を課題とする。
【0010】
また本発明は上述した問題に鑑み、駆動回路の駆動周波数を抑えつつ、擬似輪郭の発生を抑えることができる半導体表示装置の提案を課題とする。また本発明は、画質の低下を抑えつつ、擬似輪郭の発生を抑えることができる半導体表示装置の提案を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、階調を1段階変化させる前と後の、両方のフレーム期間において、共通して発光の状態にあるサブフレーム期間の割合が大きいほど、擬似輪郭が発生しにくいことを見出した。そこで本発明では、階調が1段階異なっている2つのフレーム期間において、共通して発光の状態にあるサブフレーム期間の長さの割合(共有率)を、擬似輪郭の発生が抑えられる程度に高め、駆動を行なう。
【0012】
なお共有率は、ある特定の階調のフレーム期間と、該フレーム期間よりも1段階高い階調のフレーム期間とを比較して求めることができる。
【0013】
擬似輪郭を抑制する効果が得られるであろう最低の共有率は、フレーム周波数によって、求めることができる。そして、この求められた共有率と、表示する総階調数とを用いることで、各サブフレーム期間の長さと、各段階の階調を表示する際に発光の状態にするべきサブフレーム期間とを、計算により定めることができる。
【0014】
本発明の駆動方法は、フレーム周波数により定められた共有率Rshに従い、サブフレーム率RSFを算出し、前記サブフレーム率RSFを満たすように、階調2以上の各階調における1フレーム期間に含まれる複数のサブフレーム期間の数及び長さと、前記複数のサブフレーム期間のうち発光の状態となるサブフレーム期間が定められていることを特徴とする。
【0015】
本発明の発光装置は、サブフレーム率RSFに従って、階調2以上の各階調における1フレーム期間に含まれる複数のサブフレーム期間の数及び長さと、前記複数のサブフレーム期間のうち発光の状態となるサブフレーム期間を定めるためのデータが記憶されたテーブルと、前記データに従ってビデオ信号が有するビット数及び前記各ビットが有する情報の変換を行なうコントローラと、前記変換が行なわれた前記ビデオ信号に従って画素の階調が制御されるパネルとを有し、前記サブフレーム率RSFは、フレーム周波数により定められた共有率Rshに従い、算出されていることを特徴とする。
【0016】
なお本明細書において発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的にはOLED(Organic Light Emitting Diode)や、FED(Field Emission Display)に用いられているMIM型の電子源素子(電子放出素子)等が含まれる。
【0017】
発光素子の1つであるOLED(Organic Light Emitting Diode)は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electroluminescence)が得られる電界発光材料を含む層(以下、電界発光層と記す)と、陽極と、陰極とを有している。電界発光層は陽極と陰極の間に設けられており、単層または複数の層で構成されている。これらの層の中に無機化合物を含んでいる場合もある。電界発光層におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)とが含まれる。
【0018】
また本発明の半導体表示装置には、有機発光素子(OLED)に代表される発光素子を各画素に備えた発光装置の他、液晶表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)、その他の時間階調法で表示が可能な表示装置がその範疇に含まれる。
【0019】
また発光装置は、発光素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。
【0020】
なお本発明の発光装置において用いられるトランジスタとして、多結晶半導体、微結晶半導体(セミアモルファス半導体を含む)、アモルファス半導体を用いた薄膜トランジスタを用いることができるが、本発明の発光装置に用いられるトランジスタは薄膜トランジスタに限定されない。単結晶シリコンを用いて形成されたトランジスタであっても良いし、SOIを用いたトランジスタであっても良い。また、有機半導体を用いたトランジスタであっても良いし、カーボンナノチューブを用いたトランジスタであってもよい。また本発明の発光装置の画素に設けられたトランジスタは、シングルゲート構造を有していても良いし、ダブルゲート構造やそれ以上のゲートを有するマルチゲート構造であっても良い。
【0021】
セミアモルファス半導体とは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造の半導体を含む膜である。このセミアモルファス半導体は、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質なものであり、その粒径を0.5〜20nmとして非単結晶半導体中に分散させて存在せしめることが可能である。セミアモルファス半導体は、そのラマンスペクトルが520cm−1よりも低波数側にシフトしており、またX線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。また、未結合手(ダングリングボンド)を終端化するために水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。ここでは便宜上、このような半導体をセミアモルファス半導体(SAS)と呼ぶ。さらに、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで安定性が増し良好なセミアモルファス半導体が得られる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は上記構成により、従来のように総階調数とサブフレーム期間の数を同じにせずとも良いので、サブフレームの数を抑えつつ、より高い総階調数で表示を行なうことができる。よって、ディザなどの画質を低下させるような処理を行なわなくとも、総階調数を高めることができる。
【0023】
そして、求められた値以上の共有率を満たすように駆動を行なうことで、フレーム周波数や駆動回路の駆動周波数を抑えつつ、擬似輪郭を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0025】
本発明者は、共有率と、擬似輪郭の発生との関係について調べるために、以下の実験を行なった。まず1フレーム期間を2つのサブフレーム期間SF、SFに分割し、第1のフレーム期間と第2のフレーム期間とで、図1に示すようなパターンを表示した。具体的に、サブフレーム期間SFでは市松模様を表示し、サブフレーム期間SFでは全領域において白を表示した。なお第1のフレーム期間と第2のフレーム期間とでは、サブフレーム期間SFにおいて、白の領域と黒の領域とが互いに反転しているパターンを表示する。そして、2つのフレーム期間を交互に出現させ、擬似輪郭の発生の有無を調べた。
【0026】
1フレーム期間におけるサブフレーム期間SFの割合をR(%)としたとき、R(%)に対する、擬似輪郭の発生が認められる最低のフレーム周波数F(Hz)の値は、図2に示すような関係になった。図2から分かるように、R(%)が低いほど、擬似輪郭の発生が認められる最低のフレーム周波数F(Hz)は低くなった。逆に、R(%)が高いほど、擬似輪郭の発生が認められる最低のフレーム周波数F(Hz)は高くなった。
【0027】
よって、フレーム期間ごとに各画素における表示が異なるサブフレーム期間SFが短いほど、擬似輪郭が発生しにくいと言える。逆に、隣り合うフレーム期間で各画素における表示が同じであるサブフレーム期間SFが長いほど、擬似輪郭が発生しにくいとも言える。従って上記実験の結果から、隣接するフレーム期間において、共通して発光の状態にあるサブフレーム期間の長さの割合(共有率)が高いほど、擬似輪郭の発生が抑えられるということが分かった。
【0028】
図14に、実際の発光装置で用いられるサブフレーム期間の構成を、一例として示す。図14(A)は、総階調数2の表示を行なう際の階調7のサブフレーム期間の構成と、階調8のサブフレーム期間の構成とを示している。図14(A)では4つのサブフレーム期間SF〜SFを用いており、さらにサブフレーム期間SFは2つに分割している。各サブフレーム期間SF〜SFの長さの比は、SF1:SF2:SF3:SF4=1:2:4:8となっている。またBKで示される期間は、発光素子を強制的に非発光の状態とする期間(非表示期間)に相当するため、階調には寄与しない。
【0029】
図14(A)において階調7を表示する場合、発光の状態にあるサブフレーム期間はSF、SF、SF、非発光の状態にあるサブフレーム期間はSFである。一方、図14(A)において階調8を表示する場合、発光の状態にあるサブフレーム期間はSF、非発光の状態にあるサブフレーム期間はSF、SF、SFである。従って、共に発光の状態にあるサブフレーム期間は存在しないので、共有率は0%である。よって、図14(A)に示すサブフレーム期間の構成では、疑似輪郭が発生しやすいと言える。
【0030】
次に図14(B)に、図14(A)とは異なるサブフレーム期間の構成を示す。図14(B)は図14(A)と同様に、総階調数2の表示を行なう際の階調7のサブフレーム期間の構成と、階調8のサブフレーム期間の構成とを示している。図14(B)では8つのサブフレーム期間SF〜SFを用いている。各サブフレーム期間SF〜SFの長さの比は、SF1:SF2:SF3:SF4:SF5:SF6:SF7:SF8=1:1:1:2:2:2:3:3となっている。なおBKで示される期間は非表示期間に相当するため、階調には寄与しない。
【0031】
図14(B)において階調7を表示する場合、発光の状態にあるサブフレーム期間はSF、SF、SF、非発光の状態にあるサブフレーム期間はSF、SF、SF、SF、SFである。一方、図14(B)において階調8を表示する場合、発光の状態にあるサブフレーム期間はSF、SF、SF、非発光の状態にあるサブフレーム期間はSF、SF、SF、SF、SFである。従って、共に発光の状態にあるサブフレーム期間はSF、SFであるので、共有率は(SF+SF)×100/(SF+SF+SF)=75%である。よって、図14(B)に示すサブフレーム期間の構成は、図14(A)の場合よりも疑似輪郭が発生しにくいと言える。
【0032】
次に、本発明の駆動方法を行なうにあたり、共有率Rshと総階調数から、1フレーム期間に出現する各サブフレーム期間の長さを定める方法について、具体的に説明する。
【0033】
まず共有率Rshを、駆動に用いるフレーム周波数から求める。擬似輪郭はフレーム周波数が高いほど発生しにくく、逆にフレーム周波数が低いほど発生しやすい。よって、フレーム周波数を予め決めておけば、擬似輪郭の発生を抑制することができるであろう最低の共有率を、発光装置ごとに定めることができる。
【0034】
図3に、フレーム周波数(Hz)と、擬似輪郭の発生を抑制することができるであろう最低の共有率(%)の関係を、一例として示す。なお共有率(%)は、100(%)−R(%)に相当する。図3に示すように、共有率が低いほど、擬似輪郭の発生を抑制するために、より高いフレーム周波数が必要となる。なお擬似輪郭が発生しているか否かの判断基準は、実施者が適宜決めることができるので、必ずしも図3と同じ関係が導き出されるとは限らない。しかし、定められた一定の判断基準の下であれば、フレーム周波数が高いほど、擬似輪郭の発生を抑制できるという、フレーム周波数(Hz)と、擬似輪郭の発生を抑制することができるであろう最低の共有率(%)との関係を導き出すことができる。
【0035】
図3に示したグラフから、特定のフレーム周波数を用いた場合の、擬似輪郭の発生を抑制することができるであろう最低の共有率(%)を導き出したら、該共有率と同じかそれ以上の値を有する共有率Rshを決定することができる。共有率Rshを決定したら、次は共有率Rshから各サブフレーム期間の長さを決める。
【0036】
まず、1フレーム期間に含まれるn個のサブフレーム期間を、最も短いほうから順にSF〜SFとする。ここで、nは2以上の整数とする。そして、SF〜SF(p<nとする)を全て発光させたときに、階調m(m<2)の表示を行なうことができると仮定する。この場合、階調mを表示する際に発光するサブフレーム期間SF〜SFの、合計の長さをTとすると、Tは以下の式1で表すことができる。
【0037】
【数1】

【0038】
次に、階調(m+1)を表示する場合について考える。SF〜SFを全て発光させたときに、階調mの表示を行なうことができるので、階調(m+1)を表示するためには、SFよりも長いSFp+1を用いる必要がある。またそれと共に、SFp+1から1階調分の長さ(例えばSFに相当する長さ)を差し引いた分に相当する、単数または複数のサブフレーム期間を、SF〜SFから除いて表示を行なう必要がある。よって、階調(m+1)を表示する際に発光するサブフレーム期間の、合計の長さをTm+1とすると、Tm+1は以下の式2で表すことができる。
【0039】
【数2】

【0040】
ここで、サブフレーム期間SF〜SFp+1の和に対するSFp+1の割合を、サブフレーム率RSFとすると、RSFは以下の式3で表すことができる。
【0041】
【数3】

【0042】
式3から、以下の式4を導き出すことができる。
【0043】
【数4】

【0044】
また、階調mを表示する場合と、階調(m+1)を表示する場合とで、共に発光するサブフレーム期間の、合計の長さをWm/m+1とすると、Wm/m+1は以下の式5で表すことができる。
【0045】
【数5】

【0046】
よって、式1、式4、式5から、以下の式6が導き出される。
【0047】
【数6】

【0048】
また、階調mを表示する場合と、階調(m+1)を表示する場合とで、共に発光するサブフレーム期間の共有率Rshは、以下の式7のように表される。
【0049】
【数7】

【0050】
よって、式2、式4、式6、式7から、以下の式8が導き出される。
【0051】
【数8】

【0052】
したがって、式8から、以下の式9を導き出すことができる。
【0053】
【数9】

【0054】
よって式9に、共有率Rshの値を代入することで、サブフレーム率RSFの値を導き出すことができる。サブフレーム率RSFはサブフレーム期間SF〜SFp+1の和に対するSFp+1の割合である。上記サブフレーム率RSFを用いることで、最も長いサブフレーム期間SFから順に、各サブフレーム期間の長さを決めることができる。
【0055】
なお本実施の形態では、SFからSFまで全て一定のサブフレーム率RSFを適用する例を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、総階調数2の表示を行なう場合でも、必ずしもサブフレーム期間がn個であるとは限らない。式9に従って算出された長さを、各サブフレーム期間に反映させると、サブフレーム期間の数がn個以上になる場合が多い。しかし、低い階調を表示するための短いサブフレーム期間は、必ずしも上述した共有率Rshの値を満たしていなくとも、さほど擬似輪郭の発生に関与しない。なぜならば低い階調の場合、階調の逆数×100(階調比)が、高い階調の場合と比較して大きいため、階調の差に起因する輪郭が視認され、逆に擬似輪郭が目立たなくなるからである。
【0056】
図13に、階調比(%)と、擬似輪郭の発生が認められる最低のフレーム周波数F(Hz)との関係をグラフで示す。図13において、横軸は階調比(%)を示しており、縦軸は、擬似輪郭の発生が認められる最低のフレーム周波数F(Hz)を示している。図13から、階調比(%)が高くなる、即ち階調が低くなるほど、より低いフレーム周波数においても擬似輪郭の発生を抑制できることが分かる。
【0057】
よって、擬似輪郭の発生に関与しないサブフレーム期間を多く作るより、駆動回路の駆動周波数の低減に重点を置くために、期間の短いサブフレーム期間を間引くようにしても良い。具体的には、計算上、階調1に相当する期間の短いサブフレーム期間が複数存在する場合、それらの1つまたは幾つかを間引くようにする。
【0058】
具体的には、総階調数を三等分し、該三等分された総階調数のうち最も低い側の階調において、共有率Rshの値は必ずしも満たしていなくとも良い。逆に、三等分された総階調数のうち、中間の階調と、最も高い側の階調において、共有率Rshの値を満たすようにする。例えば総階調数が2=64の場合、階調0〜63を三等分すると21となる。この場合、低い側の階調は0〜21、中間の階調は22〜42、最も高い側の階調は43〜63となる。なお、総階調数を三等分して割り切れない場合は、端数を切り上げても良いし、切り下げても良い。
【0059】
図4に、4ビットのビデオ信号を用いて総階調数2を表示する場合を例に挙げ、発光の状態にあるサブフレーム期間と、階調との関係を示す。図4では、横軸が階調、左縦軸が発光の状態にあるサブフレーム期間の合計の長さ(発光期間)に相当する。発光期間の長さによって、表示される階調が決まる。また同じく図4に、階調が1段階低い場合と比較した時の共有率Rsh(%)を、右縦軸に併せて示す。なお図4では、9つのサブフレーム期間SF〜SFを用いて表示を行なっている例を示している。各サブフレーム期間SF〜SFの長さの比は、SFから順に、1:1:1:1:1:2:2:3:3となっている。
【0060】
図4では、階調3〜15を表示する際に、共有率Rsh(%)が65%以上に保たれるように、各サブフレーム期間の長さを定めている。なお、共有率Rshの定義上、階調0、1では、共有率Rsh(%)は満たされない。また図4では、比較的低い階調2において、共有率Rsh(%)が満たされていない。しかし、低い階調では擬似輪郭が発生しにくいので、必ずしも共有率Rsh(%)を満たしておく必要はない。
【0061】
また図15に、6ビットのビデオ信号を用いて総階調数2を表示する場合を例に挙げ、発光の状態にあるサブフレーム期間と、階調との関係を示す。図15では、横軸が階調、左縦軸が発光の状態にあるサブフレーム期間の合計の長さ(発光期間)に相当する。発光期間の長さによって、表示される階調が決まる。また同じく図15に、階調が1段階低い場合と比較した時の共有率Rsh(%)を、右縦軸に併せて示す。なお図15では、12のサブフレーム期間SF〜SF12を用いて表示を行なっている例を示している。各サブフレーム期間SF〜SF12の長さの比は、SFから順に、1:2:3:3:4:4:5:6:7:8:9:11となっている。
【0062】
図15では、階調12〜63を表示する際に、共有率Rsh(%)が70%以上に保たれるように、各サブフレーム期間の長さを定めている。なお、共有率Rshの定義上、階調0、1では、共有率Rsh(%)は満たされない。また図15では、比較的低い階調2〜11において、共有率Rsh(%)が満たされていない。しかし、低い階調では擬似輪郭が発生しにくいので、必ずしも共有率Rsh(%)を満たしておく必要はない。
【0063】
なお本発明の駆動方法では、ビデオ信号の階調と、発光するサブフレーム期間との関係を定めたテーブルを参照することで、各サブフレーム期間における発光の状態または非発光の状態を制御する。表1に、図4の場合における、ビデオ信号の階調と、各サブフレーム期間の発光または非発光の状態との関係を示す。
【0064】
【表1】

【0065】
表1は、4ビットのビデオ信号と、9個のサブフレーム期間との関係を示すテーブルに相当し、該テーブルに従って、各サブフレーム期間SF〜SFにおける発光の状態または非発光の状態が制御される。表1では、「○」が発光の状態、「×」が非発光の状態を表している。このように本発明では、表1に示したようなデータに従ってビデオ信号を変換し、該変換されたビデオ信号を用いて表示を行なう。
【0066】
なお、上述した本発明の駆動方法を行なう発光装置は、信号の入力に対して決められた信号を出力するテーブルを有している。該テーブルは、ハードウェアとしてはROMやRAM等のメモリで構成され、例えば、表1に示すようなデータが記憶されている。もちろんテーブルのデータは表1に限らず、表示する画像の総階調数、サブフレーム期間の数または長さに応じて、任意に設けることができる。
【0067】
次に、本発明の発光装置の具体的な構成について説明する。図5(A)に、本発明の発光装置の構成を、ブロック図で一例として示す。図5に示す発光装置は、パネル101と、コントローラ102と、テーブル103とを有している。さらにパネル101は、各画素に発光素子を有する画素部104と、信号線駆動回路105と、走査線駆動回路106とを有している。
【0068】
テーブル103は、ハードウェアとしてはROMやRAM等のメモリで構成される。そして該メモリには、サブフレーム率RSFに従って、1フレーム期間に含まれる複数のサブフレーム期間の数及び長さと、各階調において前記複数のサブフレーム期間のうち発光の状態となるサブフレーム期間を定めるためのデータが記憶されている。そしてサブフレーム率RSFは、フレーム周波数により定められた共有率Rshに従い、算出されている。
【0069】
コントローラ102は、テーブル103に記憶されているデータに従って、入力されたビデオ信号の階調に応じて、発光の状態となるサブフレーム期間を定めることができる。具体的には、例えば表1に従うと、ビデオ信号の階調が10の場合、発光の状態となるサブフレーム期間はSF〜SF、SFとなる。またコントローラ102はフレームメモリを有しており、テーブル103に記憶されている複数の各サブフレーム期間の長さ、信号線駆動回路105または走査線駆動回路106の駆動周波数などに合わせて、クロック信号、スタートパルス信号などの、各種制御信号を生成することができる。
【0070】
なお図5(A)では、ビデオ信号の変換と、制御信号の生成とを、共にコントローラ102で行なう例について示したが、本発明はこの構成に限定されない。ビデオ信号の変換を行なうコントローラと、制御信号を生成するコントローラとを、別個に発光装置に設けるようにしても良い。
【0071】
図5(B)に、図5(A)に示したパネル101の、より具体的な構成の一例を示す。
【0072】
図5(B)において信号線駆動回路105は、シフトレジスタ110、ラッチA111、ラッチB112を有している。シフトレジスタ110には、クロック信号(CLK)、スタートパルス信号(SP)などの各種制御信号が入力されている。クロック信号(CLK)とスタートパルス信号(SP)が入力されると、シフトレジスタ110においてタイミング信号が生成される。生成したタイミング信号は、一段目のラッチA111に順に入力される。ラッチA111にタイミング信号が入力されると、該タイミング信号のパルスに同期して、コントローラ102から入力されたビデオ信号が、順にラッチA111に書き込まれ、保持される。なお、本実施例ではラッチA111に順にビデオ信号を書き込んでいるが、本発明はこの構成に限定されない。複数のステージのラッチA111をいくつかのグループに分け、グループごとに並行してビデオ信号を入力する、いわゆる分割駆動を行っても良い。なおこのときのグループの数を分割数と呼ぶ。例えば4つのステージごとにラッチをグループに分けた場合、4分割で分割駆動すると言える。
【0073】
ラッチA111の全ステージのラッチへの、ビデオ信号の書き込みが一通り終了するまでの期間を、行選択期間と呼ぶ。実際には、上記行選択期間に水平帰線期間が加えられた期間を行選択期間に含むことがある。
【0074】
1行選択期間が終了すると、2段目のラッチB112に、制御信号の一つに相当するラッチ信号(Latch Signal)が供給され、該ラッチ信号に同期してラッチA111に保持されているビデオ信号が、ラッチB112に一斉に書き込まれる。ビデオ信号をラッチB112に送出し終えたラッチA111には、再びシフトレジスタ110からのタイミング信号に同期して、次のビットのビデオ信号の書き込みが順次行われる。この2順目の1行選択期間中には、ラッチB112に書き込まれ、保持されているビデオ信号が画素部104に入力される。
【0075】
なお、シフトレジスタ110の代わりに、例えばデコーダのような信号線の選択ができる別の回路を用いても良い。
【0076】
次に、走査線駆動回路106の構成について説明する。走査線駆動回路106は、シフトレジスタ113、バッファ114を有している。また場合によってはレベルシフタを有していても良い。走査線駆動回路106において、シフトレジスタ113にクロック信号(CLK)及びスタートパルス信号(SP)が入力されることによって、選択信号が生成される。生成された選択信号はバッファ114において増幅され、対応する走査線に供給される。走査線に供給される選択信号によって、1行分の画素に含まれているトランジスタの動作が制御されるので、バッファ114には、比較的大きな電流を走査線に供給することができるものを用いることが望ましい。
【0077】
なお、シフトレジスタ113の代わりに、例えばデコーダのような信号線の選択ができる別の回路を用いても良い。
【0078】
本発明において、走査線駆動回路106、信号線駆動回路105は、画素部104と同じ基板上に形成していても、異なる基板上に形成していても、どちらでも良い。また本発明の発光装置が有するパネルは、図5(A)、図5(B)に示す構成に限定されない。パネル101は、コントローラ102から入力されたビデオ信号に従って、画素の階調が制御されるような構成を有していれば良い。
【実施例1】
【0079】
次に、本発明の発光装置が有する画素の回路図について、図6を用いて説明する。
【0080】
図6(A)は、画素の等価回路図の一例を示したものであり、信号線6114、電源線6115、走査線6116、発光素子6113、TFT6110、6111、容量素子6112を有する。信号線6114には信号線駆動回路によってビデオ信号が入力される。TFT6110は、走査線6116に入力される選択信号に従って、TFT6111のゲートへの、該ビデオ信号の電位の供給を制御することができる。TFT6111は、該ビデオ信号の電位に従って、発光素子6113への電流の供給を制御することができる。容量素子6112は、TFT6111のゲート・ソース間の電圧を保持することができる。なお、図6(A)では、容量素子6112を図示したが、TFT6111のゲート容量や他の寄生容量で賄うことが可能な場合には、設けなくてもよい。
【0081】
図6(B)は、図6(A)に示した画素に、TFT6118と走査線6119を新たに設けた画素の等価回路図である。TFT6118により、TFT6111のゲートとソースを同電位とし、強制的に発光素子6113に電流が流れない状態を作ることができるため、全ての画素にビデオ信号が入力される期間よりも、サブフレーム期間の長さを短くすることができる。従って、駆動周波数を抑えつつ、高い総階調数の表示を行なうことができる。
【0082】
図6(C)は、図6(B)に示した画素に、新たにTFT6125と、配線6126を設けた画素の等価回路図である。TFT6125は、そのゲートの電位が、配線6126によって固定されている。そして、TFT6111とTFT6125は、電源線6115と発光素子6113との間に直列に接続されている。よって図6(C)では、TFT6125により発光素子6113に供給される電流の値が制御され、TFT6111により発光素子6113への該電流の供給の有無が制御できる。
【0083】
なお、本発明の発光装置が有する画素は、本実施例で示した構成に限定されない。本実施例は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【実施例2】
【0084】
本実施例では、図4に示した駆動方法を例に挙げ、各サブフレーム期間が出現するタイミングについて説明する。
【0085】
図7に、図4に示した駆動方法を用いて、4ビットの階調を表示する場合の、タイミングチャートを示す。図7では、1フレーム期間に出現するサブフレーム期間SF〜SFの長さを横軸に示しており、縦軸は走査線の選択順を示している。サブフレーム期間SF〜SFの長さの比は、SFから順に、1:1:1:1:1:2:2:3:3となっている。
【0086】
各サブフレーム期間が開始されると、ビデオ信号の入力が、走査線を共有する画素一行ごとに行なわれる。ビデオ信号が画素に入力されると、該ビデオ信号が有する情報に従って、発光素子が発光の状態または非発光の状態となる。そして、次のサブフレーム期間が開始されるまで、各画素の発光素子は、該ビデオ信号に従って、発光の状態または非発光の状態を維持する。
【0087】
なお図7では、ビデオ信号が画素に入力されると同時に、該ビデオ信号が有する情報に従って、発光素子が発光の状態または非発光の状態となる場合のタイミングチャートを示しているが、本発明はこの構成に限定されない。全ての画素にビデオ信号が入力されるまで、発光素子を非発光の状態としておき、全ての画素にビデオ信号が入力された後で、該ビデオ信号が有する情報に従い、発光素子を発光の状態または非発光の状態としても良い。
【0088】
また図7では、全てのサブフレーム期間が連続して出現する場合のタイミングチャートを示しているが、本発明はこの構成に限定されない。サブフレーム期間とサブフレーム期間の間に、発光素子を強制的に非発光の状態とする期間(非表示期間)を設けるようにしても良い。非表示期間は、非表示期間の直前に出現するサブフレーム期間において、全ての画素にビデオ信号が入力された後に出現させても良いし、全ての画素にビデオ信号が入力される前に出現させても良い。
【実施例3】
【0089】
本実施例では、発光素子への電流の供給を制御するトランジスタがp型の場合における、画素の断面構造について、図8を用いて説明する。なお本明細書では、発光素子が有する陽極と陰極の2つの電極のうち、トランジスタによって電位を制御することができる一方の電極を第1の電極、他方の電極を第2の電極とする。そして図8では、第1の電極が陽極、第2の電極が陰極の場合について説明するが、第1の電極が陰極、第2の電極が陽極であっても良い。
【0090】
図8(A)に、トランジスタ6001がp型で、発光素子6003から発せられる光を第1の電極6004側から取り出す場合の、画素の断面図を示す。図8(A)では、発光素子6003の第1の電極6004と、トランジスタ6001が電気的に接続されている。
【0091】
トランジスタ6001は層間絶縁膜6007で覆われており、層間絶縁膜6007上には開口部を有する隔壁6008が形成されている。隔壁6008の開口部において第1の電極6004が一部露出しており、該開口部において第1の電極6004、電界発光層6005、第2の電極6006が順に積層されている。
【0092】
層間絶縁膜6007は、有機樹脂膜、無機絶縁膜またはシロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む絶縁膜(以下、シロキサン系絶縁膜と呼ぶ)を用いて形成することができる。シロキサンとは、Si−O結合の骨格からなっており、置換基に少なくとも水素(アルキル基や芳香族炭化水素基など)を含む有機基が含まれているものである。なお、置換基としてフルオロ基、又はフルオロ基と少なくとも水素を含む有機基とを用いてもよい。層間絶縁膜6007に、低誘電率材料(low−k材料)と呼ばれる材料を用いていても良い。
【0093】
隔壁6008は、有機樹脂膜、無機絶縁膜またはシロキサン系絶縁膜を用いて形成することができる。有機樹脂膜ならば、例えばアクリル、ポリイミド、ポリアミドなど、無機絶縁膜ならば酸化珪素、窒化酸化珪素などを用いることができる。特に感光性の有機樹脂膜を隔壁6008に用い、第1の電極6004上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することで、第1の電極6004と第2の電極6006とが接続してしまうのを防ぐことができる。
【0094】
第1の電極6004は、光を透過する材料または膜厚で形成し、なおかつ陽極として用いるのに適する材料で形成する。例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などその他の透光性酸化物導電材料を第1の電極6004に用いることが可能である。またITO及び酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(以下、ITSOとする)や、酸化珪素を含んだ酸化インジウムにさらに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したターゲットを用いて形成された導電膜を第1の電極6004に用いても良い。また上記透光性酸化物導電材料の他に、例えばTiN、ZrN、Ti、W、Ni、Pt、Cr、Ag、Al等の1つまたは複数からなる単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との三層構造等を第1の電極6004に用いることもできる。ただし透光性酸化物導電材料以外の材料を用いる場合、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)で第1の電極6004を形成する。
【0095】
また第2の電極6006は、光を反射もしくは遮蔽する材料及び膜厚で形成し、なおかつ仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などで形成することができる。具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、これらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li、Mg:Inなど)、およびこれらの化合物(CaF、CaN)の他、YbやEr等の希土類金属を用いることができる。また電子注入層を設ける場合、Alなどの他の導電層を用いることも可能である。
【0096】
電界発光層6005は、単数または複数の層で構成されている。複数の層で構成されている場合、これらの層は、キャリア輸送特性の観点から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などに分類することができる。電界発光層6005が発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層のいずれかを有している場合、第1の電極6004から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に積層する。なお各層の境目は必ずしも明確である必要はなく、互いの層を構成している材料が一部混合し、界面が不明瞭になっている場合もある。各層には、有機系の材料、無機系の材料を用いることが可能である。有機系の材料として、高分子系、中分子系、低分子系のいずれの材料も用いることが可能である。なお中分子系の材料とは、構造単位の繰返しの数(重合度)が2から20程度の低重合体に相当する。正孔注入層と正孔輸送層との区別は必ずしも厳密なものではなく、これらは正孔輸送性(正孔移動度)が特に重要な特性である意味において同じである。便宜上正孔注入層は陽極に接する側の層であり、正孔注入層に接する層を正孔輸送層と呼んで区別する。電子輸送層、電子注入層についても同様であり、陰極に接する層を電子注入層と呼び、電子注入層に接する層を電子輸送層と呼んでいる。発光層は電子輸送層を兼ねる場合もあり、発光性電子輸送層とも呼ばれる。
【0097】
図8(A)に示した画素の場合、発光素子6003から発せられる光を、白抜きの矢印で示すように第1の電極6004側から取り出すことができる。
【0098】
次に図8(B)に、トランジスタ6011がp型で、発光素子6013から発せられる光を第2の電極6016側から取り出す場合の、画素の断面図を示す。図8(B)では、発光素子6013の第1の電極6014と、トランジスタ6011が電気的に接続されている。また第1の電極6014上に電界発光層6015、第2の電極6016が順に積層されている。
【0099】
第1の電極6014は、光を反射もしくは遮蔽する材料及び膜厚で形成し、なおかつ陽極として用いるのに適する材料で形成する。例えば、TiN、ZrN、Ti、W、Ni、Pt、Cr、Ag、Al等の1つまたは複数からなる単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との三層構造等を第1の電極6014に用いることができる。
【0100】
また第2の電極6016は、光を透過する材料または膜厚で形成し、なおかつ仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などで形成することができる。具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、これらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li、Mg:Inなど)、およびこれらの化合物(CaF、CaN)の他、YbやEr等の希土類金属を用いることができる。また電子注入層を設ける場合、Alなどの他の導電層を用いることも可能である。そして第2の電極6016を、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)で形成する。なお、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などその他の透光性酸化物導電材料を用いることも可能である。またITO及び酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(以下、ITSOとする)や、酸化珪素を含んだ酸化インジウムにさらに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したターゲットを用いて形成された導電膜を用いても良い。透光性酸化物導電材料を用いる場合、電界発光層6015に電子注入層を設けるのが望ましい。
【0101】
電界発光層6015は、図8(A)の電界発光層6005と同様に形成することができる。
【0102】
図8(B)に示した画素の場合、発光素子6013から発せられる光を、白抜きの矢印で示すように第2の電極6016側から取り出すことができる。
【0103】
次に図8(C)に、トランジスタ6021がp型で、発光素子6023から発せられる光を第1の電極6024側及び第2の電極6026側から取り出す場合の、画素の断面図を示す。図8(C)では、発光素子6023の第1の電極6024と、トランジスタ6021が電気的に接続されている。また第1の電極6024上に電界発光層6025、第2の電極6026が順に積層されている。
【0104】
第1の電極6024は、図8(A)の第1の電極6004と同様に形成することができる。また第2の電極6026は、図8(B)の第2の電極6016と同様に形成することができる。電界発光層6025は、図8(A)の電界発光層6005と同様に形成することができる。
【0105】
図8(C)に示した画素の場合、発光素子6023から発せられる光を、白抜きの矢印で示すように第1の電極6024側及び第2の電極6026側から取り出すことができる。
【0106】
本実施例は、上記の実施の形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例4】
【0107】
本実施例では、トランジスタがn型の場合における、画素の断面構造について、図9を用いて説明する。なお図9では、第1の電極が陰極、第2の電極が陽極の場合について説明するが、第1の電極が陽極、第2の電極が陰極であっても良い。
【0108】
図9(A)に、トランジスタ6031がn型で、発光素子6033から発せられる光を第1の電極6034側から取り出す場合の、画素の断面図を示す。図9(A)では、発光素子6033の第1の電極6034と、トランジスタ6031が電気的に接続されている。また第1の電極6034上に電界発光層6035、第2の電極6036が順に積層されている。
【0109】
第1の電極6034は、光を透過する材料または膜厚で形成し、なおかつ仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などで形成することができる。具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、これらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li、Mg:Inなど)、およびこれらの化合物(CaF、CaN)の他、YbやEr等の希土類金属を用いることができる。また電子注入層を設ける場合、Alなどの他の導電層を用いることも可能である。そして第1の電極6034を、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)で形成する。さらに、光が透過する程度の膜厚を有する上記導電層の上または下に接するように、透光性酸化物導電材料を用いて透光性を有する導電層を形成し、第1の電極6034のシート抵抗を抑えるようにしても良い。なお、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などその他の透光性酸化物導電材料を用いた導電層だけを用いることも可能である。またITO及び酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(以下、ITSOとする)や、酸化珪素を含んだ酸化インジウムにさらに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したターゲットを用いて形成された導電膜を用いても良い。透光性酸化物導電材料を用いる場合、電界発光層6035に電子注入層を設けるのが望ましい。
【0110】
また第2の電極6036は、光を反射もしくは遮蔽する材料及び膜厚で形成し、なおかつ陽極として用いるのに適する材料で形成する。例えば、TiN、ZrN、Ti、W、Ni、Pt、Cr、Ag、Al等の1つまたは複数からなる単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との三層構造等を第2の電極6036に用いることができる。
【0111】
電界発光層6035は、図8(A)の電界発光層6005と同様に形成することができる。ただし、電界発光層6035が発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層のいずれかを有している場合、第1の電極6034から、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層の順に積層する。
【0112】
図9(A)に示した画素の場合、発光素子6033から発せられる光を、白抜きの矢印で示すように第1の電極6034側から取り出すことができる。
【0113】
次に図9(B)に、トランジスタ6041がn型で、発光素子6043から発せられる光を第2の電極6046側から取り出す場合の、画素の断面図を示す。図9(B)では、発光素子6043の第1の電極6044と、トランジスタ6041が電気的に接続されている。また第1の電極6044上に電界発光層6045、第2の電極6046が順に積層されている。
【0114】
第1の電極6044は、光を反射もしくは遮蔽する材料及び膜厚で形成し、なおかつ仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などで形成することができる。具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、これらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li、Mg:Inなど)、およびこれらの化合物(CaF、CaN)の他、YbやEr等の希土類金属を用いることができる。また電子注入層を設ける場合、Alなどの他の導電層を用いることも可能である。
【0115】
また第2の電極6046は、光を透過する材料または膜厚で形成し、なおかつ陽極として用いるのに適する材料で形成する。例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などその他の透光性酸化物導電材料を第2の電極6046に用いることが可能である。またITO及び酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(以下、ITSOとする)や、酸化珪素を含んだ酸化インジウムにさらに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したターゲットを用いて形成された導電膜を第2の電極6046に用いても良い。また上記透光性酸化物導電材料の他に、例えばTiN、ZrN、Ti、W、Ni、Pt、Cr、Ag、Al等の1つまたは複数からなる単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との三層構造等を第2の電極6046に用いることもできる。ただし透光性酸化物導電材料以外の材料を用いる場合、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)で第2の電極6046を形成する。
【0116】
電界発光層6045は、図9(A)の電界発光層6035と同様に形成することができる。
【0117】
図9(B)に示した画素の場合、発光素子6043から発せられる光を、白抜きの矢印で示すように第2の電極6046側から取り出すことができる。
【0118】
次に図9(C)に、トランジスタ6051がn型で、発光素子6053から発せられる光を第1の電極6054側及び第2の電極6056側から取り出す場合の、画素の断面図を示す。図9(C)では、発光素子6053の第1の電極6054と、トランジスタ6051が電気的に接続されている。また第1の電極6054上に電界発光層6055、第2の電極6056が順に積層されている。
【0119】
第1の電極6054は、図9(A)の第1の電極6034と同様に形成することができる。また第2の電極6056は、図9(B)の第2の電極6046と同様に形成することができる。電界発光層6055は、図9(A)の電界発光層6035と同様に形成することができる。
【0120】
図9(C)に示した画素の場合、発光素子6053から発せられる光を、白抜きの矢印で示すように第1の電極6054側及び第2の電極6056側から取り出すことができる。
【0121】
本実施例は、上記の実施の形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例5】
【0122】
本発明の発光装置は、スクリーン印刷法、オフセット印刷法に代表される印刷法、または液滴吐出法を用いて形成できる。なお液滴吐出法とは、所定の組成物を含む液滴を細孔から吐出して所定のパターンを形成する方法を意味し、インクジェット法などがその範疇に含まれる。上記印刷法、液滴吐出法を用いることで、露光用のマスクを用いずとも、信号線、走査線、選択線に代表される各種配線、TFTのゲート、発光素子の電極などを形成することが可能になる。ただし、パターンを形成する全ての工程に、印刷法または液滴吐出法を用いる必要はない。よって、例えば配線及びゲートの形成には印刷法または液滴吐出法を用い、半導体膜のパターニングにはリソグラフィ法を用いる、というように、少なくとも一部の工程において印刷法または液滴吐出法を用いていれば良く、リソグラフィ法も併用していても良い。またパターニングの際に用いるマスクは、印刷法または液滴吐出法で形成しても良い。
【0123】
図10に、液滴吐出法を用いて形成された、本発明の発光装置の断面図を、一例として示す。図10において、1301、1302はトランジスタ、1304は発光素子に相当する。トランジスタ1302は、発光素子1304の第1の電極1350と電気的に接続されている。トランジスタ1302はn型であることが望ましく、この場合、第1の電極1350は陰極を用い、第2の電極1331は陽極を用いるのが望ましい。
【0124】
スイッチング素子として機能するトランジスタ1301は、ゲート1310と、チャネル形成領域を含む第1の半導体膜1311と、ゲート1310と第1の半導体膜1311の間に形成されたゲート絶縁膜1317と、ソースまたはドレインとして機能する第2の半導体膜1312、1313と、第2の半導体膜1312に接続された配線1314と、第2の半導体膜1313に接続された配線1315とを有している。
【0125】
トランジスタ1302は、ゲート1320と、チャネル形成領域を含む第1の半導体膜1321と、ゲート1320と第1の半導体膜1321に形成されたゲート絶縁膜1317と、ソースまたはドレインとして機能する第2の半導体膜1322、1323と、第2の半導体膜1322に接続された配線1324と、第2の半導体膜1323に接続された配線1325とを有している。
【0126】
配線1314は信号線に相当し、配線1315はトランジスタ1302のゲート1320に電気的に接続されている。また配線1325は電源線に相当する。
【0127】
液滴吐出法、印刷法を用いてパターンを形成することで、リソグラフィ法で行なわれるフォトレジストの成膜、露光、現像、エッチング、剥離などの一連の工程を簡略化することができる。また、液滴吐出法、印刷法だと、リソグラフィ法と異なり、エッチングにより除去されてしまうような材料の無駄がない。また高価な露光用のマスクを用いなくとも良いので、発光装置の作製に費やされるコストを抑えることができる。
【0128】
さらに、リソグラフィ法とは異なり、配線を形成するためにエッチングを行なう必要がない。よって、配線を形成する工程に費やされる時間をリソグラフィ法の場合に比べて著しく短くすることが可能である。特に配線の厚さを0.5μm以上、より望ましくは2μm以上で形成する場合、配線抵抗を抑えることができるので、配線の作製工程に費やされる時間を抑えつつ、発光装置の大型化に伴う配線抵抗の上昇を抑えることができる。
【0129】
なお第1の半導体膜1311、1321は非晶質半導体であっても、セミアモルファス半導体(SAS)であってもどちらでも良い。
【0130】
非晶質半導体は、珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪化物気体としては、SiH、Siが挙げられる。この珪化物気体を、水素、水素とヘリウムで希釈して用いても良い。
【0131】
またSASも珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪化物気体としては、SiHであり、その他にもSi、SiHCl、SiHCl、SiCl、SiFなどを用いることができる。また水素や、水素にヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素を加えたガスで、この珪化物気体を希釈して用いることで、SASの形成を容易なものとすることができる。希釈率は2倍〜1000倍の範囲で珪化物気体を希釈することが好ましい。またさらに、珪化物気体中に、CH、Cなどの炭化物気体、GeH、GeFなどのゲルマニウム化気体、Fなどを混入させて、エネルギーバンド幅を1.5〜2.4eV、若しくは0.9〜1.1eVに調節しても良い。SASを第1の半導体膜として用いたTFTは、1〜10cm/Vsecや、それ以上の移動度を得ることができる。
【0132】
また第1の半導体膜1311、1321は、非晶質半導体またはセミアモルファス半導体(SAS)をレーザ結晶化した半導体を用いていても良い。
【0133】
本実施例は、上記の実施の形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例6】
【0134】
本実施例では、本発明の発光装置の一形態に相当するパネルの外観について、図11を用いて説明する。図11は、第1の基板上に形成されたトランジスタ及び発光素子を、第2の基板との間にシール材によって封止した、パネルの上面図であり、図11(B)は、図11(A)のA−A’における断面図に相当する。
【0135】
第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられている。また画素部4002と、信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004の上に、第2の基板4006が設けられている。よって画素部4002と、信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004とは、第1の基板4001とシール材4005と第2の基板4006とによって、充填材4007と共に密封されている。
【0136】
また第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004とは、トランジスタを複数有しており、図11(B)では、信号線駆動回路4003に含まれるトランジスタ4008と、画素部4002に含まれるトランジスタ4009とを例示している。
【0137】
また4011は発光素子に相当し、トランジスタ4009のドレインと接続されている配線4017の一部が、発光素子4011の第1の電極として機能する。また透明導電膜4012が、発光素子4011の第2の電極として機能する。なお発光素子4011の構成は、本実施例に示した構成に限定されない。発光素子4011から取り出す光の方向や、トランジスタ4009の極性などに合わせて、発光素子4011の構成は適宜変えることができる。
【0138】
また信号線駆動回路4003、走査線駆動回路4004または画素部4002に与えられる各種信号及び電圧は、図11(B)に示す断面図では図示されていないが、引き回し配線4014及び4015を介して、接続端子4016から供給されている。
【0139】
本実施例では、接続端子4016が、発光素子4011が有する第1の電極と同じ導電膜から形成されている。また、引き回し配線4014は、配線4017と同じ導電膜から形成されている。また引き回し配線4015は、トランジスタ4009、トランジスタ4008がそれぞれ有するゲートと、同じ導電膜から形成されている。
【0140】
接続端子4016は、FPC4018が有する端子と、異方性導電膜4019を介して電気的に接続されている。
【0141】
なお、第1の基板4001、第2の基板4006としては、ガラス、金属(代表的にはステンレス)、セラミックス、プラスチックを用いることができる。プラスチックとしては、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、マイラーフィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィルムを用いることができる。また、アルミニウムホイルをPVFフィルムやマイラーフィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
【0142】
但し、発光素子4011からの光の取り出し方向に位置する基板には、第2の基板4006は透光性を有していなければならない。その場合には、ガラス板、プラスチック板、ポリエステルフィルムまたはアクリルフィルムのような透光性を有する材料を用いる。
【0143】
また、充填材4007としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。本実施例では充填材として窒素を用いた。
【0144】
本実施例は、上記の実施の形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例7】
【0145】
本発明の半導体表示装置は、手ぶれが生じても擬似輪郭の発生を抑えることができるので、携帯電話機、携帯型ゲーム機または電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等の、手で支えて用いる携帯用の電子機器が有する表示部として用いるのに最適である。また本発明の半導体表示装置は、擬似輪郭を防止することができるので、表示装置などの動画の再生を行なうことができる、映像を観賞するための表示部を有する電子機器に最適である。
【0146】
その他、本発明の半導体表示装置を用いることができる電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図12に示す。
【0147】
図12(A)は携帯電話機であり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、音声出力部2104、操作キー2105を含む。本発明の半導体表示装置を用いて表示部2102を作製することで、本発明の電子機器の一つである携帯電話機を完成させることができる。
【0148】
図12(B)はビデオカメラであり、本体2601、表示部2602、筐体2603、外部接続ポート2604、リモコン受信部2605、受像部2606、バッテリー2607、音声入力部2608、操作キー2609、接眼部2610等を含む。本発明の半導体表示装置を用いて表示部2602を作製することで、本発明の電子機器の一つであるビデオカメラを完成させることができる。
【0149】
図12(C)は表示装置であり、筐体2401、表示部2402、スピーカー部2403等を含む。本発明の半導体表示装置を用いて表示部2402を作製することで、本発明の電子機器の一つである表示装置を完成させることができる。なお、表示装置には、パーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0150】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。また本実施例は、上記の実施の形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】共有率と、擬似輪郭の発生との関係について調べるために行なった実験において、表示に用いたパターン。
【図2】1フレーム期間におけるサブフレーム期間SFの割合をR(%)としたとき、R(%)と、擬似輪郭の発生が認められる最低のフレーム周波数F(Hz)との関係を示すグラフ。
【図3】フレーム周波数(Hz)と、擬似輪郭の発生を抑制することができるであろう最低の共有率(%)との関係を示すグラフ。
【図4】発光の状態にあるサブフレーム期間と階調の関係と、階調が1段階低い場合と比較した時の、共有率Rsh(%)を示すグラフ。
【図5】本発明の発光装置の構成を示すブロック図。
【図6】本発明の発光装置が有する画素の一例を示す図。
【図7】本発明の駆動方法において、4ビットの階調を表示する場合のタイミングチャート。
【図8】本発明の発光装置が有する画素の断面図。
【図9】本発明の発光装置が有する画素の断面図。
【図10】本発明の発光装置が有する画素の断面図。
【図11】本発明の発光装置の上面図及び断面図。
【図12】本発明の発光装置を用いた電子機器の図。
【図13】階調比と、擬似輪郭の発生が認められる最低のフレーム周波数F(Hz)との関係を示すグラフ。
【図14】従来のサブフレーム期間の構成と、本願のサブフレーム期間の構成を比較した図。
【図15】発光の状態にあるサブフレーム期間と階調の関係と、階調が1段階低い場合と比較した時の、共有率Rsh(%)を示すグラフ。
【符号の説明】
【0152】
101 パネル
102 コントローラ
103 テーブル
104 画素部
105 信号線駆動回路
106 走査線駆動回路
110 シフトレジスタ
111 ラッチA
112 ラッチB
113 シフトレジスタ
114 バッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオ信号の階調と、複数のサブフレーム期間のうち、発光の状態となるサブフレーム期間との関係を定めたデータが記憶されたテーブルと、
前記データに従って前記ビデオ信号を変換して出力するコントローラと、
前記出力された前記ビデオ信号に従って画素の階調が制御されるパネルとを有し、
階調2以上の各階調において、前記複数のサブフレーム期間の数及び長さは、サブフレーム率RSFに従って定められ、
前記サブフレーム率RSFは、フレーム周波数により定められた共有率Rshに従い、算出されていることを特徴とする半導体表示装置。
【請求項2】
ビデオ信号の階調と、複数のサブフレーム期間のうち、発光の状態となるサブフレーム期間との関係を定めたデータが記憶されたテーブルと、
前記データに従って、前記ビデオ信号を変換して出力するコントローラと、
前記出力された前記ビデオ信号に従って画素の階調が制御されるパネルとを有し、
階調2以上の各階調において、前記複数のサブフレーム期間の数及び長さは、サブフレーム率RSFに従って定められ、
前記サブフレーム率RSFと、フレーム周波数により定められた共有率Rshとは、RSF=(1−Rsh)/(2−Rsh)を満たすことを特徴とする半導体表示装置。
【請求項3】
ビデオ信号の階調と、複数のサブフレーム期間のうち、発光の状態となるサブフレーム期間との関係を定めたデータが記憶されたテーブルと、
前記データに従って、前記ビデオ信号を変換して出力するコントローラと、
前記出力された前記ビデオ信号に従って画素の階調が制御されるパネルとを有し、
三等分された総階調数のうち、中間の階調と、最も高い側の階調の各階調において、前記複数のサブフレーム期間の数及び長さは、サブフレーム率RSFに従って定められ、
前記サブフレーム率RSFは、フレーム周波数により定められた共有率Rshに従い、算出されていることを特徴とする半導体表示装置。
【請求項4】
ビデオ信号の階調と、複数のサブフレーム期間のうち、発光の状態となるサブフレーム期間との関係を定めたデータが記憶されたテーブルと、
前記データに従って、前記ビデオ信号を変換して出力するコントローラと、
前記出力された前記ビデオ信号に従って画素の階調が制御されるパネルとを有し、
三等分された総階調数のうち、中間の階調と、最も高い側の階調の各階調において、前記複数のサブフレーム期間の数及び長さは、サブフレーム率RSFに従って定められ、
前記サブフレーム率RSFと、フレーム周波数により定められた共有率Rshとは、RSF=(1−Rsh)/(2−Rsh)を満たすことを特徴とする半導体表示装置。
【請求項5】
1フレーム期間に複数のサブフレーム期間が含まれるように駆動し、
フレーム周波数により定められた共有率Rshに従い、サブフレーム率RSFを算出し、前記サブフレーム率RSFを満たすように、階調2以上の各階調における前記複数のサブフレーム期間の数及び長さと、前記複数のサブフレーム期間のうち発光の状態となるサブフレーム期間とが定められていることを特徴とする半導体表示装置の駆動方法。
【請求項6】
1フレーム期間に複数のサブフレーム期間が含まれるように駆動し、
フレーム周波数により定められた共有率Rshに従い、サブフレーム率RSFを算出し、前記サブフレーム率RSFを満たすように、階調2以上の各階調における前記複数のサブフレーム期間の数及び長さと、前記複数のサブフレーム期間のうち発光の状態となるサブフレーム期間とが定められており、
前記サブフレーム率RSFと、フレーム周波数により定められた共有率Rshとは、RSF=(1−Rsh)/(2−Rsh)を満たすことを特徴とする半導体表示装置の駆動方法。
【請求項7】
1フレーム期間に複数のサブフレーム期間が含まれるように駆動し、
フレーム周波数により定められた共有率Rshに従い、サブフレーム率RSFを算出し、三等分された総階調数のうち、中間の階調と、最も高い側の階調の各階調が前記サブフレーム率RSFを満たすように、前記複数のサブフレーム期間の数及び長さと、前記複数のサブフレーム期間のうち発光の状態となるサブフレーム期間とが定められていることを特徴とする半導体表示装置の駆動方法。
【請求項8】
1フレーム期間に複数のサブフレーム期間が含まれるように駆動し、
フレーム周波数により定められた共有率Rshに従い、サブフレーム率RSFを算出し、三等分された総階調数のうち、中間の階調と、最も高い側の階調の各階調が前記サブフレーム率RSFを満たすように、前記複数のサブフレーム期間の数及び長さと、前記複数のサブフレーム期間のうち発光の状態となるサブフレーム期間とが定められており、
前記サブフレーム率RSFと、フレーム周波数により定められた共有率Rshとは、RSF=(1−Rsh)/(2−Rsh)を満たすことを特徴とする半導体表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−39510(P2006−39510A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−139926(P2005−139926)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】