説明

半導体装置、半導体装置の設計方法、半導体装置の設計装置、及びプログラム

【課題】ダミーゲートパターンを形成するためのレジストパターンが倒れることを抑制する。
【解決手段】ダミーゲートパターン220は、複数の第1のダミーゲート電極222と、第2のダミーゲート電極224を備えている。第1のダミーゲート電極222は、ゲート電極112と同一方向を向いている。第2のダミーゲート電極224は、第1のダミーゲート電極222とは異なる方向、例えば直交する方向を向いており、第1のダミーゲート電極222を他の第1のダミーゲート電極222に接続している。本実施形態において全ての第1のダミーゲート電極222は、第2のダミーゲート電極224によって、他の第1のダミーゲート電極222に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダミーゲートパターンを有する半導体装置、半導体装置の設計方法、半導体装置の設計装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の設計方法の一つに、例えば特許文献1に記載するように、スタンダードセル方式がある。スタンダードセル方式は、論理基本セルと、フィルセルとを用いて半導体装置を設計する方式である。論理基本セルは、2入力NAND回路、インバータ回路、及びフリップフロップ回路などの論理部品の回路パターンであり、フィルセルは、論理部品間の隙間を埋めるためのパターンである。フィルセルには、ダミーゲートパターンが設けられている。特許文献1には、ダミーゲートパターンとして互いに平行に延伸している複数のパターンが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−288685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年は半導体装置の微細化が進んでいるため、ダミーゲートパターンの幅も狭くなっている。一方、ダミーゲートパターンに対応するレジストパターンを形成するとき、光近接効果によりレジストパターンの幅が設計幅より狭くなることがある。このような場合、ダミーゲートパターンに対応するレジストパターンが倒れ、半導体装置の欠陥の原因となることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、互いに並んで配置されており、かつ同一方向を向いている第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極の間に位置するダミーゲートパターンと、
を備え、
前記ダミーゲートパターンは、
前記第1のゲート電極と同一方向を向いている複数の第1のダミーゲート電極と、
前記第1のダミーゲート電極とは異なる方向を向いており、前記第1のダミーゲート電極を他の前記第1のダミーゲート電極に接続する第2のダミーゲート電極と、
を備える半導体装置が提供される。
【0006】
本発明によれば、第1のダミーゲート電極は、第2のダミーゲート電極によって他の第1のダミーゲート電極に接続されている。このため、ダミーゲートパターンを形成するためのレジストパターンも、第1のダミーゲート電極及び第2のダミーゲート電極に対応するパターンを有することになる。従って、レジストパターンが倒れることが抑制される。
【0007】
本発明によれば、トランジスタのゲート電極を有する論理基本セルを同一の向きに複数配置する工程と、
前記論理基本セルの相互間に、ダミーゲートパターンを有するフィルセルを配置する工程と、
を備え、
前記ダミーゲートパターンは、
前記ゲート電極と同一方向を向いている複数の第1のダミーゲート電極と、
前記第1のダミーゲート電極とは異なる方向を向いており、前記第1のダミーゲート電極を他の前記第1のダミーゲート電極に接続する第2のダミーゲート電極と、
を備える半導体装置の設計方法が提供される。
【0008】
本発明によれば、論理部品の回路パターンの設計データである論理基本セルデータ、及びダミーゲートパターンを有するフィルセルの設計データであるフィルセルデータを記憶するセルデータ記憶部と、
前記論理基本セルデータ及び前記フィルセルデータを組み合わせることにより半導体装置の設計データを生成する設計処理部と、
を備え、
前記ダミーゲートパターンは、
互いに同一方向を向いている複数の第1のダミーゲート電極と、
前記第1のダミーゲート電極とは異なる方向を向いており、前記第1のダミーゲート電極を他の前記第1のダミーゲート電極に接続する第2のダミーゲート電極と、
を備える半導体装置の設計装置が提供される。
【0009】
本発明によれば、コンピュータを半導体装置の設計装置として機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
論理部品の回路パターンの設計データである論理基本セルデータ、及びダミーゲートパターンを有するフィルセルの設計データであるフィルセルデータを記憶する機能と、
前記論理基本セルデータ及び前記フィルセルデータを組み合わせることにより半導体装置の設計データを生成する機能と、
を実現させ、
前記ダミーゲートパターンは、
互いに同一方向を向いている複数の第1のダミーゲート電極と、
前記第1のダミーゲート電極とは異なる方向を向いており、前記第1のダミーゲート電極を他の前記第1のダミーゲート電極に接続する第2のダミーゲート電極と、
を有するプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ダミーゲートパターンを形成するためのレジストパターンが倒れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【図2】図1に示した半導体装置の設計に用いる設計装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示した半導体装置の製造方法を説明する平面図である。
【図4】図1に示した半導体装置の製造方法を説明する平面図である。
【図5】図1に示した半導体装置の製造方法を説明する平面図である。
【図6】第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。この半導体装置は、複数のゲート電極112(第1及び第2のゲート電極)及びダミーゲートパターン220を備えている。複数のゲート電極112は互いに並んで配置されており、かつ同一方向を向いている。ダミーゲートパターン220は、第1のゲート電極と第2のゲート電極の間に位置している。ダミーゲートパターン220は、複数の第1のダミーゲート電極222と、第2のダミーゲート電極224を備えている。第1のダミーゲート電極222は、ゲート電極112と同一方向を向いている。第2のダミーゲート電極224は、第1のダミーゲート電極222とは異なる方向、例えば直交する方向を向いており、第1のダミーゲート電極222を他の第1のダミーゲート電極222に接続している。本実施形態において全ての第1のダミーゲート電極222は、第2のダミーゲート電極224によって、他の第1のダミーゲート電極222に接続されている。ゲート電極112及びダミーゲートパターン220は、例えばポリシリコンにより形成されている。以下、詳細に説明する。
【0014】
本実施形態に係る半導体装置は、スタンダードセル方式を用いて設計されている。具体的には、この半導体装置は、複数の論理基本セル100の相互間にフィルセル200を配置した部分を有している。この半導体装置の設計工程においては、まず複数の論理基本セル100が配置された後、複数の論理基本セル100の相互間にフィルセル200が配置される。
【0015】
論理基本セル100は、2入力NAND回路、インバータ回路、及びフリップフロップ回路などの論理部品の回路パターンであり、トランジスタ110及び配線230,232を有している。トランジスタ110は、ゲート電極112及びソース・ドレイン領域114を有している。配線230,232は一層目の配線層を構成する配線である。配線230はゲート電極112と直行する方向に延伸している。配線232は配線230からゲート電極112と平行な方向に分岐しており、トランジスタのソース・ドレイン領域114にコンタクト(図示せず)を介して接続している。
【0016】
フィルセル200はダミーゲートパターン220を有している。ダミーゲートパターン220は素子分離膜上に位置していてもよい。ダミーゲートパターン220の第1のダミーゲート電極222は、ゲート電極112と同様の形状を有している。そしてゲート電極112の延伸方向で見た場合、第1のダミーゲート電極222は、両端がゲート電極112の両端と同一の位置にある。すなわち複数の第1のダミーゲート電極222は、両端が揃っている。
【0017】
第2のダミーゲート電極224は、互いに隣り合う2つの第1のダミーゲート電極222の端部を接続している。そして第2のダミーゲート電極224の幅は、第1のダミーゲート電極222の幅より広い。なお第1のダミーゲート電極222及びゲート電極112の幅は、ゲート電極112が形成されている層における最小の配線幅、例えば70nm以下となっている。
【0018】
図2は、図1に示した半導体装置の設計に用いる設計装置の機能構成を示すブロック図である。この設計装置は、セルデータ記憶部410、入力部420、設計処理部430、及び設計データ記憶部440を備えている。セルデータ記憶部410は、各種の論理基本セル100の設計データ、及びフィルセル200の設計データを記憶している。入力部420は、半導体装置の設計に必要な回路データなどが入力される。設計処理部430は、入力部420から入力されたデータに基づいて、セルデータ記憶部410が記憶している設計データを組み合わせることにより、半導体装置の設計データを生成する。設計データ記憶部440は、設計処理部430が生成した設計データを記憶する。
【0019】
なお、図2に示した設計装置の各構成要素は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。設計装置の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置には様々な変形例がある。
【0020】
次に、図3〜図5の平面図を用いて、図1に示した半導体装置の製造方法を説明する。まず図3に示すように、シリコン基板などの半導体基板10に素子分離膜20を形成する。素子分離膜20は、トランジスタ110が形成される領域を他の領域から分離する。そして、半導体基板10のうちトランジスタ110が形成される領域に、ゲート絶縁膜(図示せず)を形成する。
【0021】
次いで図4に示すように、ゲート絶縁膜上及び素子分離膜20上に、ゲート電極となる導電膜30、例えばポリシリコン膜を形成する。次いで導電膜30上にレジスト膜を形成し、このレジスト膜を露光及び現像する。これにより、導電膜30上にはレジストパターン310,320が形成される。レジストパターン310はゲート電極112と同様の平面形状を有しており、レジストパターン320はダミーゲートパターン220と同様の平面形状を有している。具体的には、レジストパターン320は、第1のダミーゲート電極222に対応しているパターン322と、第2のダミーゲート電極224に対応しているパターン324を有している。このため、レジストパターン320は倒れにくくなっている。
【0022】
次いで図5に示すように、レジストパターン310,320をマスクとして導電膜30をエッチングする。これにより導電膜30は選択的に除去され、ゲート電極112及びダミーゲートパターン220が形成される。
【0023】
その後、ソース・ドレイン領域114を形成する。このとき、必要に応じてエクステンション領域及びサイドウォールを形成しても良い。次いで、層間絶縁膜、ビア、及び配線230,232を形成する。
【0024】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態によれば、第1のダミーゲート電極222は、第2のダミーゲート電極224によって他の第1のダミーゲート電極222に接続されている。このため、ダミーゲートパターン220を形成するためのレジストパターン320も、第1のダミーゲート電極及び第2のダミーゲート電極に対応するパターン322,324を有することになる。従って、レジストパターン320が倒れることを抑制できる。
【0025】
また、第2のダミーゲート電極224は、第1のダミーゲート電極222の幅よりも広い。このため、パターン324の幅も広くなるため、レジストパターン320が倒れることをさらに抑制できる。
【0026】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。本実施形態に係る半導体装置は、第2のダミーゲート電極224が、互いに隣り合う2つの第1のダミーゲート電極222の中央を接続している点を除いて、第1の実施形態に係る半導体装置と同様の構成である。
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0027】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0028】
10 半導体基板
20 素子分離膜
30 導電膜
100 論理基本セル
110 トランジスタ
112 ゲート電極
114 ソース・ドレイン領域
200 フィルセル
220 ダミーゲートパターン
222 ダミーゲート電極
224 ダミーゲート電極
230 配線
232 配線
310 レジストパターン
320 レジストパターン
322 パターン
324 パターン
410 セルデータ記憶部
420 入力部
430 設計処理部
440 設計データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並んで配置されており、かつ同一方向を向いている第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極の間に位置するダミーゲートパターンと、
を備え、
前記ダミーゲートパターンは、
前記第1のゲート電極と同一方向を向いている複数の第1のダミーゲート電極と、
前記第1のダミーゲート電極とは異なる方向を向いており、前記第1のダミーゲート電極を他の前記第1のダミーゲート電極に接続する第2のダミーゲート電極と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2のダミーゲート電極の幅は、前記第1のダミーゲート電極の幅より広い半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記第1のダミーゲート電極が延伸する方向で見た場合、前記複数の第1のダミーゲート電極は端部が互いに揃っており、
前記第2のダミーゲート電極は、互いに隣り合う2つの前記第1のダミーゲート電極の端部を接続する半導体装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記第1のダミーゲート電極が延伸する方向で見た場合、前記複数の第1のダミーゲート電極は端部が互いに揃っており、
前記第2のダミーゲート電極は、互いに隣り合う2つの前記第1のダミーゲート電極の中央を接続する半導体装置。
【請求項5】
トランジスタのゲート電極を有する論理基本セルを同一の向きに複数配置する工程と、
前記論理基本セルの相互間に、ダミーゲートパターンを有するフィルセルを配置する工程と、
を備え、
前記ダミーゲートパターンは、
前記ゲート電極と同一方向を向いている複数の第1のダミーゲート電極と、
前記第1のダミーゲート電極とは異なる方向を向いており、前記第1のダミーゲート電極を他の前記第1のダミーゲート電極に接続する第2のダミーゲート電極と、
を備える半導体装置の設計方法。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置の設計方法において、
前記第2のダミーゲート電極の幅は、前記第1のダミーゲート電極の幅より広い半導体装置の設計方法。
【請求項7】
論理部品の回路パターンの設計データである論理基本セルデータ、及びダミーゲートパターンを有するフィルセルの設計データであるフィルセルデータを記憶するセルデータ記憶部と、
前記論理基本セルデータ及び前記フィルセルデータを組み合わせることにより半導体装置の設計データを生成する設計処理部と、
を備え、
前記ダミーゲートパターンは、
互いに同一方向を向いている複数の第1のダミーゲート電極と、
前記第1のダミーゲート電極とは異なる方向を向いており、前記第1のダミーゲート電極を他の前記第1のダミーゲート電極に接続する第2のダミーゲート電極と、
を備える半導体装置の設計装置。
【請求項8】
コンピュータを半導体装置の設計装置として機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
論理部品の回路パターンの設計データである論理基本セルデータ、及びダミーゲートパターンを有するフィルセルの設計データであるフィルセルデータを記憶する機能と、
前記論理基本セルデータ及び前記フィルセルデータを組み合わせることにより半導体装置の設計データを生成する機能と、
を実現させ、
前記ダミーゲートパターンは、
互いに同一方向を向いている複数の第1のダミーゲート電極と、
前記第1のダミーゲート電極とは異なる方向を向いており、前記第1のダミーゲート電極を他の前記第1のダミーゲート電極に接続する第2のダミーゲート電極と、
を有するプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−23225(P2012−23225A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160362(P2010−160362)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】