説明

半導体装置の実装方法および半導体装置の製造方法

【課題】半導体装置と実装基板の接続信頼性を向上する。
【解決手段】Non−SMD構造で形成される実装基板(配線基板)20のランド(第2端子)22の表面22aに表面22aの中央から側面22bに向かって溝部22cを形成する。実装工程において、表面22aの中央付近にフラックス(フラックス成分)24aを溜めることができるので、半田ボール4とフラックス24aの接触量が増大し、半田ボール4と溶融した半田材(半田成分)24bを確実に接合させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の実装技術および半導体装置の製造技術に関し、実装基板あるいは半導体装置に形成されるランドと半田ボールを接合する工程に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置をマザーボードなどの実装基板上に実装する技術として、実装基板上にランドを形成し、該ランドに半導体装置に取り付けられた半田ボールを接合して電気的に接続する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、半導体装置の裏面に形成された外部端子であるランドと半田ボールとを接合し、半田ボールを半導体装置の外部端子として用いる技術がある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−252614号公報
【特許文献2】特開2000−40764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に配線基板のランド形成面は、ソルダレジスト膜と呼ばれる絶縁膜で覆われ、ランドの接合面が絶縁膜に形成される開口部において露出した構造となっている。このランドの接合面を露出させる開口部の構造は、SMD(Solder Mask Defined)構造と呼ばれる構造と、Non−SMD構造と呼ばれる構造に大別される。SMD構造ではランドの表面の一部および側面がソルダレジスト膜に覆われ、表面の一部が開口部から露出している。一方、Non−SMD構造ではランドの表面よりも広い面積の開口部が形成され、ランドの表面全体および側面は開口部において、ソルダレジスト膜から露出している。
【0006】
本願発明者は、半田ボールを用いて実装基板上に形成されたNon−SMD構造のランドに接合する技術について検討を行い、以下の課題を見出した。
【0007】
半田ボールと金属性のランドを接合するには、被接合対象物であるランドに対する半田の濡れ性を向上させることが重要である。半田の濡れ性を向上させる手段としては、接合箇所に予めフラックスを配置して、ランドの表面や半田ボールの表面の接合特性を向上させる技術が有効である。フラックスは半田同士、あるいは半田と他の金属材料の接合特性を向上させる有機化合物である。例えば、接合すべき金属の酸化膜を除去し、金属表面の再酸化を防止する機能、あるいは半田の表面活性を向上させる機能を有し、半田の濡れ性(接合特性)を向上させることができる。このフラックスは、例えばクリーム半田と呼ばれるフラックス成分と半田成分を含むペーストをランド上に配置することで同じ効果を得ることが出来る。
【0008】
ここで、近年の半導体装置に対する高機能化、高集積化の要求に伴い、限られた実装スペース内に多くの端子を配置する技術(狭ピッチ多ピン化技術と呼ぶ)が必要となっている。このため、クリーム半田の配置量を多くすると隣り合って配置されるランドにそれぞれ配置されるクリーム半田が一体化して短絡してしまう場合がある。したがって、狭ピッチ多ピン化技術を進める場合には、少ないクリーム半田からのフラックスの量で確実に半田ボールとランドを接合する技術が必要となる。
【0009】
ところが、Non−SMD構造のランドにおいては、加熱接合する時に溶融したフラックスがランドの側面側に流れ出てしまうため、半田ボールとランドとの接合箇所に十分な量のフラックスを供給することができず、結果として、半田ボールとランドの接合特性を十分に向上させることができないという課題が生じる。
【0010】
特に、半田ボールを接合する際には、半田ボールの頂点がランドの中央領域に位置するように配置して接合するが、この中央領域のフラックスの量が少ないと、半田ボールとフラックスの接触量が少なくなるため、半田ボールの接合特性を向上させることができなくなる。
【0011】
このように、半田ボールとランドの接合特性が十分に向上させることができない状態で半導体装置を実装基板に実装すると、半田ボールとランドの接合強度不足、あるいは電気的接続不良が発生する原因となる。すなわち、半導体装置と実装基板の接続信頼性が低下してしまう。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、半導体装置と実装基板の接続信頼性を向上させることができる技術を提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0015】
すなわち、本発明の一つの実施の形態における半導体装置の実装方法は、以下の工程を有するものである。すなわち、(a)半導体チップが搭載され、前記半導体チップと電気的に接続される複数の第1端子、および前記複数の第1端子に接合される複数の半田ボールを有する半導体装置を準備する工程を有している。また、(b)第2主面、前記第2主面を覆うように形成され複数の開口部が形成された絶縁膜、および前記第2主面上に形成され前記複数の開口部において前記絶縁膜からそれぞれ露出する複数の第2端子、を有する配線基板を準備する工程を有している。また、(c)フラックス成分を含む接合用部材を用いて、前記半導体装置の前記複数の第1端子と、前記配線基板の前記複数の第2端子を、前記複数の半田ボールを介してそれぞれ電気的に接続する工程を有している。ここで、前記複数の第2端子は、前記半導体装置の第2裏面と対向する表面、および前記表面と前記第2主面との間に位置し前記絶縁膜から露出する側面をそれぞれ有し、前記表面には、前記表面の中央から前記第2端子の側面に向かって溝部が形成されているものである。
【発明の効果】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0017】
すなわち、半導体装置と実装基板の接続信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置の主面側の内部構造を示す透視平面図である。
【図2】図1に示す半導体装置の裏面側の構造を示す平面図である。
【図3】図1および図2に示す半導体装置の断面図である。
【図4】図1〜図3に示す半導体装置を実装する実装基板の主面側の一部を拡大して示す要部拡大平面図である。
【図5】図4に示す端子周辺をさらに拡大して示す要部拡大平面図である。
【図6】図5に示すA−A線に沿った要部拡大断面図である。
【図7】図4に示すランドの表面に接合用部材を配置した状態を示す要部拡大断面図である。
【図8】図7に示すランドを拡大して示す要部拡大平面図である。
【図9】図8に示すB−B線に沿った要部拡大断面図である。
【図10】図7に示す接合用材料に半田ボールを当接させた状態を示す要部拡大断面図である。
【図11】図10に示すランド周辺を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図12】図11に示す半田ボールおよび接合用部材を加熱してフラックス成分が溶出した状態を示す要部拡大断面図である。
【図13】図12に示す半田ボールおよび接合用部材をさらに加熱して接合用部材中の半田成分が溶融した状態を示す要部拡大断面図である。
【図14】図13に示す半田ボールおよび接合用部材をさらに加熱して半田ボールが溶融した後に溶融した接合部材と接合した状態を示す要部拡大断面図である。
【図15】図14に示す半田材と配線基板の絶縁膜に形成された開口部の間のフラックス成分を取り除いた状態を示す要部拡大断面図である。
【図16】ランドに形成する溝部の変形例を示す要部拡大平面図である。
【図17】図16に示すB−B線に沿った要部拡大断面図である。
【図18】本発明の他の実施の形態である実装基板に形成されたランドの表面を示す要部拡大平面図である。
【図19】図18に示すB−B線に沿った要部拡大断面図である。
【図20】本発明の他の実施の形態である半導体装置の全体構造を示す断面図である。
【図21】図20に示すランドの構造を示す要部拡大断面図である。
【図22】図13に示すランドの比較例であるランド周辺を示す要部拡大断面図である。
【図23】図14に示すランドの比較例であるランド周辺を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクション等に分けて記載するが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しの説明を省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0020】
同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を主要な構成要素のひとつとするものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe(シリコン・ゲルマニウム)合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。また、金めっき、Cu層、ニッケル・めっき等といっても、そうでない旨、特に明示した場合を除き、純粋なものだけでなく、それぞれ金、Cu、ニッケル等を主要な成分とする部材を含むものとする。
【0021】
さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0022】
(実施の形態1)
<半導体装置>
図1は本発明の一実施の形態である半導体装置の主面側の内部構造を示す透視平面図、図2は、図1に示す半導体装置の裏面側の構造を示す平面図、図3は図1および図2に示す半導体装置の断面図である。なお、図1では、インタポーザ基板の主面側の内部構造を示すため、封止樹脂9内に配置される半導体チップ1なども実線で示している。
【0023】
本実施の形態の半導体装置は、配線基板上に半導体チップ1が搭載された樹脂封止型の小型の半導体パッケージであり、本実施の形態ではその一例として、図1〜図3に示すBGA(Ball Grid Array、半導体装置)10を取り上げて説明する。BGA10は、半導体チップ1が搭載された主面(上面)2a、主面2aと反対側に位置する裏面(下面)2bを有するインタポーザ基板(配線基板、パッケージ基板)2を有している。インタポーザ基板2の裏面2bには複数のランド(端子)3が形成されている。また、複数のランド3には、複数の半田ボール4がそれぞれ接合(搭載)されている。半田ボール4は、例えば、図3に示すように、裏面2bに行列状(マトリクス状)に配置されている。半田ボール4が接合するランド3も同様に、行列状に配置されている。つまり、BGA10は、外部接続端子であるランド3(半田ボール4)をインタポーザ基板2の裏面2bに行列状に配置する、所謂、エリアアレイ型の半導体装置である。このようなエリアアレイ型の半導体装置は、配線基板の裏面側を、端子配置スペースとして有効活用することができるので、外部端子数が増大しても半導体装置の実装面積の増大を抑制することが出来る点で好ましい。つまり、高機能化、高集積化に伴って、端子数が増大する半導体装置を省スペースで実装することができる。なお、図1〜図3では、見易さのため、端子数を少なく(例えば図1および図3では36個)示しているが、端子数はこれに限定されない。
【0024】
半導体チップ1は、例えば、シリコンなどから成り、例えば、半導体素子を含む集積回路が形成される主面1aとその反対側に位置する裏面1bを有している。また、半導体チップ1の主面1aの平面形状は四角形であり、図1に示す半導体チップ1は例えば正方形となっている。また、主面1aには例えば複数の半導体素子とこれらを接続する配線により構成される集積回路が形成され、主面1a上の周縁部には集積回路と電気的に接続される複数のパッド(電極パッド)1cが形成されている。また、半導体チップ1は、インタポーザ基板2の主面2a上に、裏面1bと主面2aとを対向させた状態で、図示しない接着材を介して接着固定されている。
【0025】
また、インタポーザ基板2は半導体チップ1の搭載面である主面2aおよび主面2aの反対側に位置する裏面2bを有している。主面2aには、半導体チップ1の周囲に主面2aの各辺に沿って配置される複数の端子(ボンディングリード)5が形成されている。この複数の端子5は半導体チップ1の複数のパッド1cと、複数のワイヤ(導電性部材)6を介してそれぞれ電気的に接続されている。また、複数の端子5はインタポーザ基板2の主面2a、裏面2bおよび内部に形成された図示しない配線やビア(層間導電路)などの導電経路を介して、裏面2bに形成された複数のランド3と電気的に接続されている。すなわち、複数のランド3は、それぞれ半導体チップ1と電気的接続されている。
【0026】
また、インタポーザ基板2の主面2aおよび裏面2bは、それぞれ絶縁膜であるソルダレジスト膜7、8に覆われている。主面2aを覆うソルダレジスト膜7には複数の開口部が形成され、複数の端子5はこの各開口部において、それぞれソルダレジスト膜7から露出している。また、裏面2bを覆うソルダレジスト膜8には、複数の開口部が形成され、複数のランド3はこの各開口部において、それぞれソルダレジスト膜8から露出している。詳しくは、本実施の形態のランド3はランド3の側面および表面の周縁部がソルダレジスト膜8により覆われている。また、ランド3は、例えば、銅(Cu)からなる金属膜であり、ソルダレジスト膜8の開口部から露出する領域の表面にニッケル(Ni)、金(Au)のめっき膜が積層された積層金属膜である。つまり、本実施の形態のランド3はSMD構造で形成されている。
【0027】
また、インタポーザ基板2の主面2a側には、封止体(封止樹脂)9が形成され、半導体チップ1およびパッド1cに接続される複数のワイヤ6は、この封止樹脂9に封止(樹脂封止)されている。封止樹脂9は、例えば、エポキシ系の樹脂からなり、半導体チップ1の主面およびワイヤ6を樹脂封止することによりこれらを保護している。
【0028】
また、各ランド3の表面に接合する複数の半田ボール4は、本実施の形態では例えば、鉛(Pb)を実質的に含まない、所謂、鉛フリー半田である。鉛フリー半田は、例えば錫(Sn)のみ、Sn−ビスマス(Bi)、またはSn−銀(Ag)−Cuなどである。ここで、鉛フリー半田とは、Pbの含有量が0.1wt%以下のものを意味し、この含有量は、RoHs(Restriction of Hazardous Substances)指令の基準として定められている。
【0029】
なお、図1〜図3では、エリアアレイ型の半導体装置の例として、1個の半導体チップ1が、所謂フェイスアップ実装方式によりインタポーザ基板2に搭載された例を示しているが、半導体チップの数や実装方式はこれに限定されない。例えば、複数枚の半導体チップを積層、あるいは並べて配置することもできる。また例えば、半導体チップ1の主面1aをインタポーザ基板2の主面2aと対向させた状態で搭載する、所謂フェイスダウン実装(フリップチップ接続)方式により実装することもできる。この場合、半導体チップ1は、パッド1cの表面に形成されたバンプ電極(突起電極)を介して、インタポーザ基板2の主面2a(詳しくは、半導体チップ1のパッド1cと対向する領域)に形成された端子(ボンディングリード)と電気的に接続する。
【0030】
<実装基板>
次に、本実施の形態において、図1〜図3に示すBGA10を搭載するための実装基板について説明する。図4は、図1〜図3に示す半導体装置を実装する実装基板の主面側の一部を拡大して示す要部拡大平面図、図5は図4に示す端子周辺をさらに拡大して示す要部拡大平面図、図6は図5に示すA−A線に沿った要部拡大断面図である。
【0031】
実装基板(配線基板、マザーボード)20は、前記したBGA10(図1参照)の搭載面である主面20aを有している。また、主面20a上は、複数の開口部21aが形成された絶縁膜であるソルダレジスト膜21に覆われている。また、主面20a上には、複数の開口部21aにおいて、ソルダレジスト膜21からそれぞれ露出する複数のランド(端子)22が形成されている。
【0032】
ランド22は、実装基板20とBGA10とを電気的に接続するための端子であって、BGA10の端子配置(図2に示す半田ボール4の配置)に対応して、例えば半田ボール4(図2参照)と同じ数のランド22が、行列状(マトリクス状)に配置されている。
【0033】
また、実装基板20は主面20a上に複数の配線23が形成され、各ランド22は配線23と電気的に接続されている。この配線23は、例えば、実装基板20の内層(主面20aよりも内側の配線層)に形成された配線23を介して半導体装置搭載領域20bよりも外側に引き出される。半導体装置搭載領域20bの外側には、例えば外部機器(図示は省略)が搭載され、複数のランド22は配線23を介して該外部機器と電気的に接続される。
【0034】
ここで、本実施の形態のランド22は、表面22aおよび表面22aと主面20aとの間に位置する側面22bを有している。この側面22bは、開口部21a内に配置され、ソルダレジスト膜21から露出している。換言すればランド22の表面22aは全体がソルダレジスト膜21から露出している。このように、ランド22の表面22aの全体をソルダレジスト膜21から露出させるランドの構造は、Non−SMD構造と呼ばれる。Non−SMD構造は、側面22bを露出させることにより、後述する実装工程において、側面22bにも接合材である半田を回り込ませることができる。このため、SMD構造と比較して接合面積が広く、接続部の内部応力を分散する機能を有するので、接合強度を向上させることができる。
【0035】
また、本実施の形態のランド22は、例えば銅膜からなり、銅膜を覆うめっき膜などは形成されず、銅膜が露出している。このように、銅膜が露出しているランド22の場合、製造工程や実装工程中に表面に酸化膜が形成される場合がある。また、例えば有機皮膜等による表面保護膜を銅膜上に形成しても、銅膜の酸化膜抑制にはつながるが酸化膜形成を阻止するほどの効果は持っていないため、接合部材間での酸化膜の除去は接合には必要不可欠となる。
【0036】
また、酸化膜を取り除いた状態で半田との接合が完了すれば、めっき膜の剥離などの不具合が発生しないため、耐久性を向上させることができる点で好ましい。
【0037】
一方、図3に示すランド3のようなSMD構造は、多数の端子(ランド)を狭いピッチで配置する、所謂ファインピッチ接続において、よく使われる構造となる。ファインピッチの場合は端子間の短絡を抑制するために少ない接合部材の供給しか出来ないため、各々の端子表面の酸化膜を除去する効果が低減することになる。このため、例えば銅(Cu)からなる金属膜の表面にニッケル(Ni)、金(Au)のめっき膜を積層し、最表面には銅よりも酸化し難く、また、半田との接合性が良好な金からなる膜を形成している。また、半田ボール4をランド3と接合する工程では、半田ボール4の表面に酸化膜が形成されることを防止するため、窒素雰囲気中で半田ボール4を加熱溶融させて金、ニッケルからなるめっき膜と接合している。
【0038】
なお、本実施の形態のランド22は、図5および図6に示すように表面22aの中央から側面2bに向かって溝部22cを形成している。この溝部22cの詳細な構造および溝部22cを形成することによる効果については、後で詳細に説明する。
【0039】
<半導体装置の実装方法>
次に図1〜図3を用いて説明したBGA10を図4〜図6に示す実装基板20に実装する実装方法について説明する。
【0040】
本実施の形態の半導体装置の実装方法では、図1〜図3を用いて説明したBGA10を準備する半導体装置準備工程、および図3〜図6に示す実装基板20を準備する実装基板準備工程を有している。また、BGA10の裏面2bと、実装基板20の主面20aとを対向配置した状態で、複数のランド3と複数のランド22を、複数の半田ボール4を介してそれぞれ電気的に接続する実装工程を有している。
【0041】
実装工程には、ランド22の表面にフラックス成分を含む接合用部材を配置する接合用部材配置工程が含まれる。図7は図4に示すランドの表面に接合用部材を配置した状態を示す要部拡大断面図、図8は図7に示すランドを拡大して示す要部拡大平面図、図9は図8に示すB−B線に沿った要部拡大断面図である。
【0042】
この接合用部材配置工程では、複数のランド22の表面22a上に複数のクリーム半田(接合用部材)24を配置する。このクリーム半田24は、金属粒子(半田成分)およびフラックス成分を含むペーストであって、半田ボール4(図3参照)とランド22を接合するための接合用部材である。
【0043】
フラックスは半田同士、あるいは半田と他の金属材料の接合特性を向上させる有機化合物である。例えば、接合すべき金属の酸化膜を除去し、金属表面の再酸化を防止する機能、あるいは半田の表面活性を向上させる機能を有し、半田の濡れ性(接合特性)を向上させることができる。
【0044】
このようにフラックス成分を含むクリーム半田24を予めランド22の表面22aに配置しておくことにより、半田ボール4(図3参照)とランド22の接合特性を向上させることができる。また、本実施の形態のように、半田材としてSn−Pb半田よりも接合特性(濡れ性)が低い鉛フリー半田を用いる場合にはフラックス成分を用いて接合特性を向上させることが重要である。
【0045】
クリーム半田24を配置する方法は特に限定されないが、例えば、ペースト状のクリーム半田24を印刷法により、各ランド22の表面22a上に塗布する方法を用いることができる。
【0046】
また、確実に半田ボール4とクリーム半田24を接続するためには、例えば、クリーム半田24の高さを高くすることにより、クリーム半田24が保有している表面活性力を向上させることが望ましい。図9に示すように、本実施の形態ではクリーム半田24の高さHaは、ランド22の表面22aからソルダレジスト膜21の表面までの高さHbよりも高くなるように配置している。
【0047】
一方、クリーム半田24の高さHbを極端に高くし過ぎると、別の問題が生じる。すなわち、クリーム半田24に含まれる半田の量が過剰に多くなって、隣に配置されるランド22に向かって余剰の半田が流れだし、隣り合うランド22同士が短絡してしまう問題である。特に、半導体装置の高機能化、高集積化に伴って少ない実装面積に多くの端子を配置する場合には、この問題が顕在化する。
【0048】
上記のような観点から本実施の形態では、例えば、ランド22の表面22aからソルダレジスト膜21の表面までの高さHbが10〜20μm程度であるのに対して、クリーム半田24の高さHaは100〜150μm程度としている。
【0049】
次に、実装工程には、複数の半田ボール4を複数のクリーム半田24に当接する半導体装置配置工程を有している。図10は図7に示す接合用材料に半田ボールを当接させた状態を示す要部拡大断面図である。また、図11は、図10に示すランド周辺を拡大して示す要部拡大断面図である。
【0050】
この半導体装置配置工程では、図10に示すように、BGA10の裏面2bと、実装基板20の主面20aとを対向配置した状態で、BGA10を実装基板20上に配置する。ここで、実装基板20の複数のランド22は、BGA10の複数のランド3および複数の半田ボール4と厚さ方向に重なる位置にそれぞれ形成されている。このため、BGA10を位置合わせして実装基板20上に配置すると、複数の半田ボール4と複数のクリーム半田24とをそれぞれ当接させることができる。この時、各半田ボール4が確実にクリーム半田24と接触するように、BGA10を実装基板20の主面20aに向かって押しこむ。これにより、各半田ボール4の先端(頂点)が各クリーム半田24に食い込んで、クリーム半田24は半田ボール4の形状に倣って変形する。
【0051】
次に、実装工程には、複数の半田ボール4および複数のクリーム半田24を加熱溶融させて接合するリフロー工程が含まれる。図12は図11に示す半田ボールおよび接合用部材を加熱してフラックス成分が溶出した状態を示す要部拡大断面図である。また、図13は図12に示す半田ボールおよび接合用部材をさらに加熱して接合用部材中の半田成分が溶融した状態を示す要部拡大断面図である。また、図14は図13に示す半田ボールおよび接合用部材をさらに加熱して半田ボールが溶融した後に溶融した接合部材と接合した状態を示す要部拡大断面図である。また、図22および図23は、それぞれ本実施の形態の比較例である実装基板に形成されたランド周辺を示す要部拡大断面図であって、それぞれ図13、図14に対応している。
【0052】
リフロー工程では、例えば実装基板20を加熱炉内に配置する、あるいはヒータなどの加熱手段を備える加熱ステージ上に配置することにより、クリーム半田24および半田ボール4を加熱する。加熱を開始すると、まず、図12に示すようにクリーム半田24に含まれるフラックス(フラックス成分)24aが溶融し、その一部がランド22の周囲に溶出する。この時、フラックス24aよりも融点の高い金属粒子である半田成分は、溶融していない。また、クリーム半田24に含まれるフラックス成分の一部が溶出するので、他の一部はクリーム半田24中に保持されている。ランド22は銅膜からなり、ランド22の表面22aおよび側面22bには銅の酸化膜が形成されているが、この酸化膜は、フラックス24aと反応することにより除去される。また、本実施の形態では、ランド22の表面22aに表面22aの中央から側面22bに向かって溝部22cが形成されている。フラックス24aはこの溝部22c内にも溶出し、溝部22cの内面に形成された酸化膜も除去する。
【0053】
フラックス24aが溶出を開始した後もさらに加熱すると、クリーム半田24に含まれる金属粒子、すなわち図13に示す半田材(半田成分)24bの融点に到達する。本実施の形態では、クリーム半田24に含まれる半田材24bには、半田ボール4と同様に、所謂鉛フリー半田を用いている。したがって、半田材24bの融点はSn−Pb半田よりも高く、例えば220℃程度である。
【0054】
ここで、本願発明者の検討によれば、半田材24bと半田ボール4に同じ材料を用いた場合であっても、半田ボール4よりも先に半田材24bが溶融する。すなわち、図13に示すように、半田材24bが溶融し、半田ボール4はまだ溶融していない状態となる。溶融した半田材24bは、表面張力の影響によりランド22の表面22aの周縁部の形状に沿ってドーム状に形成される。
【0055】
ところが、図22に示す、比較例の実装基板40が有するランド41では、ランド41の表面41aには、図13に示すような溝部22cは形成されず、略平坦面となっているため半楕円球形状の半田材24bが表面41a全体を覆うこととなる。すると、クリーム半田24から溶出したフラックス24aは半田材24bの表面に沿ってランド41の側面41bに向かって大部分が流れ出てしまう。この結果、半田ボール4とフラックス24aの接触量が少なくなるので、フラックス24aは半田ボール4の表面を十分に反応させることができなくなる。
【0056】
フラックス24aは、前記したように、金属の表面を活性化して酸化膜を除去し、金属表面の再酸化を防止する機能を有しているが、半田ボール4とフラックス24aの接触量が少ない場合、半田ボール4の表面の酸化膜を除去しきれない、あるいは表面に酸化膜が形成され易くなるという問題が発生する。半田ボール4に酸化膜が形成された状態では半田ボール4を溶融させても、半田ボール4と半田材24bは接合(一体化)し難い。例えば、図23に示すように、半田ボール4と半田材24bが接触していても、それぞれが別体として構成され、一体化していない場合には、半田ボール4と半田材24bの接合強度は極めて低い。したがって、酸化膜が十分に除去できない場合には接合不良の原因となる。この半田ボール4に酸化膜が形成される問題は、例えば実装工程を窒素雰囲気中で行うことにより防止ないしは抑制することができるが、窒素雰囲気中で実装工程を行う場合、実装装置の複雑化、あるいは実装工程を行う作業場所に制約が発生するなど、新たな課題が生じる。
【0057】
そこで、本実施の形態では、ランド22の表面22aに表面22aの中央(中心)から側面22bに向かって溝部22cを形成している。本実施の形態では、図5に示すように、溝部22cは円形の平面形状を成すように形成している。つまり、表面22aから主面2aに向かって円柱形状の溝部22cを表面22aの中央に形成している。換言すれば、ランド22の表面22aは円環状を成すように形成されている。また、溝部22cの周囲は、ランド22により囲まれている。
【0058】
このように表面22aの中央から側面22bに向かって溝部22cを形成することにより、図13に示すように、半田材24bが溶融した時に、ランド22およびランド22上に配置される半田材24bによって周囲を囲まれた空間11が形成され、この空間11に溶融したフラックス24aを溜めることができる。また、半田ボール4は、このランド22と溶融した半田材24bとで囲まれる空間11内に頂点が位置するように配置する。したがって、半田ボール4の頂点が位置するランド22の中央付近に、フラックス24aを溜める空間11を形成することとなる。このため、この空間11に溜ったフラックス24aは溶融前の半田ボール4の表面に沿って広がり易くなる。つまり、図22に示す比較例よりも半田ボール4とフラックス24aの接触量を増大させることができる。この結果、例えば、本実施の形態の実装工程を大気(空気)雰囲気中で実施した場合であっても、半田ボール4の表面に形成された酸化膜を効率的に除去することができる。また、半田ボール4の表面が再酸化することを効果的に防止ないしは抑制することができる。すなわち、半田ボール4の濡れ性(接合特性)を十分に向上させることができる。
【0059】
このため、本実施の形態によれば、半田材24bが溶融した後、半田ボール4が溶融すると、図13に示す半田ボール4と半田材24bが一体化して、図14に示す半田材(半田ボール)25が形成される。このように、本実施の形態によれば、半田ボール4と半田材24bを確実に一体化させることができるので、図23に示すような半田ボール4と半田材24bの接合界面は形成されない。また、半田材25とランド22の接合界面については、フラックス24aが十分に供給されるため、ランド22の表面22aあるいは側面22bに銅が露出していても接合特性(濡れ性)を向上させることができる。したがって、図23に示す比較例よりも接合強度を大幅に向上させることができる。
【0060】
また、本実施の形態によれば、ランド22およびランド22上に配置される半田材24bによって囲まれた空間11にフラックス24aを溜めることができるので、図22に示す比較例よりもランド22の側面22b側に流れ出るフラックス24aの量を低減することができる。つまり、実装工程において使用するフラックス24aの量を低減することができる。フラックス24aの量を低減すれば、前記した接合用材料配置工程において配置する接合用材料、すなわちクリーム半田24の高さを、半田ボール4と接触させる観点から必要な最低限の高さ、もしくは量に留めることができる。
【0061】
前記したように、クリーム半田24の高さを高くすれば、隣に配置されるランド22と短絡してしまう可能性が上昇する。特に、端子数の増加に伴い、隣り合うランド22の中心間距離(配置ピッチ)が短くなれば、この可能性は大幅に上昇する。しかし、本実施の形態によれば、クリーム半田24の高さを低く抑えることができるので、これを防止することができる。すなわち、BGA10を実装基板20に実装した半導体装置実装構造体の信頼性を向上することができる。
【0062】
また、本実施の形態では、半田ボール4および半田材24bとして、Sn−Pb半田と比較して酸化膜が形成され易い鉛フリー半田を用いている。しかし、本実施の形態によれば、鉛フリー半田を用いた場合であっても、フラックス24aと半田ボール4の接触量を増大させることができるので、例えば、大気(空気)雰囲気中で実装工程を行うことができる。このため、実装装置を短縮化することができる。また、実装工程を行う作業場所の自由度を向上させることができる。
【0063】
また、鉛フリー半田(例えば融点は約220℃)はSn−Pb半田(例えば融点は約180℃)と比較して融点が高い。リフロー工程において、半田を確実に溶融させて一体化する観点からは、複数の半田ボール4の温度のバラツキも考慮して、加熱温度(実装温度)を半田ボール4の融点よりも十分に高い温度に設定することが好ましい。しかし、BGA10や実装基板20の構成部品、あるいは実装基板20に搭載される別の部品の耐熱温度よりも高温にすることはできない。例えば、設定可能なリフロー温度は245℃程度である。このため、鉛フリー半田を用いる場合には、Sn−Pb半田と比較してリフロー温度と半田ボール4の融点の差が小さい。このため、大型基板、大型部品などでは、リフロー工程における温度分布発生要因となるために十分なる加熱ができないことにより適正な接続ができなくなることもある。
【0064】
しかし、本実施の形態によれば、フラックス24aと半田ボール4の接触量を増大させることができるので、半田ボール4の表面を短時間で活性化することができる。この結果、図22に示す比較例よりも低温で接続することができる。この結果、リフロー工程におけるBGA10を実装基板20に実装した半導体装置実装構造体の過加熱による損傷を防止し、信頼性を向上することができる。
【0065】
なお、図13に示すように半田ボール4が溶融し、半田材24bと一体化する前に、ランド22およびランド22上に配置される半田材24bによって囲まれた空間11内に溜っているフラックス24aは、図14に示すようにこれらが一体化して半田材25が形成される際に、ランド22の側面22b側に押し出される。また、一部のフラックス24aは、リフロー工程において加熱されることにより、気化して取り除かれる。このため、半田材25が形成された段階では、ランド22の溝部22cには、半田材25が埋め込まれた状態となる。
【0066】
次に、実装工程には、図14に示す半田材25と実装基板20のソルダレジスト膜21に形成された開口部21aの間のフラックス24aを取り除く洗浄工程が含まれる。図15は図14に示す半田材と配線基板の絶縁膜に形成された開口部の間のフラックス成分を取り除いた状態を示す要部拡大断面図である。
【0067】
洗浄工程では、例えば図14に示すフラックス24aの残渣を溶解させる成分が含まれる洗浄液を半田材25と開口部21aの隙間に供給して図14に示すフラックス24aの残渣を取り除く。その後、リンス工程として隙間内に水を供給して洗浄液を洗い流すと、図15に示すように半田材25と実装基板20のソルダレジスト膜21に形成された開口部21aの間に隙間が形成された半導体装置実装構造体が得られる。
【0068】
<変形例>
本実施の形態では、ランド22の表面に形成する溝部22cとして、表面22aの中央部において、表面22aから実装基板20の主面20aに向かってランド22を貫通する円柱形状の溝部(孔部、貫通孔)22cについて説明した。このように円柱状の溝部22cを形成し、その周囲をランド22で取り囲むことにより、ランド22および半田材24bが円環状に形成される。したがって、表面22aの中央にフラックス24aを溜める観点からは、ランド22および半田材24bを円環状に形成することは特に好ましい。しかし、溝部22cの形状はこれに限定されず、種々の変形例を適用することができる。以下、溝部の変形例について説明する。図16は、本実施の形態のランドに形成する溝部の変形例を示す要部拡大平面図、図17は図16に示すB−B線に沿った要部拡大断面図である。なお、図17では、図16に示すランド22の表面22a上に配置した接合用部材に含まれる半田成分が溶融した状態を示している。
【0069】
まず、図16に示す溝部22dのように、複数(図16では3本)の溝部22dをそれぞれ表面22aの中央から側面22b(図17参照)に向かって延在するように形成しても良い。前記したように、クリーム半田24に含まれる半田材24bは、溶融すると表面張力の影響により、表面22aの形状に倣ってドーム状に形成される。したがって、ランド22の表面22aの中央には、図17に示すようにランド22と半田材24bによって囲まれた空間が形成され、該空間にクリーム半田24から溶出したフラックス24aを溜めることができる。
【0070】
このように、ランド22の表面22aに形成する溝部は、表面22aの中央にフラックス24aを溜めるための空間を形成することができれば種々の変形例を適用することができる。
【0071】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、ランド22の表面22aに溝部22c、22dを形成し、溶融した半田材24bがランド22の表面22aの形状に倣って変形する特性を利用して、フラックス24aを溜める空間を形成する構成について説明した。本実施の形態2では、ランド22の表面22aの形状によりフラックス24aを溜める実施態様について説明する。なお、本実施の形態では、前記実施の形態1との相違点を中心に説明し、前記実施の形態1と重複する説明は原則として省略する。
【0072】
図18は本実施の形態2の実装基板に形成されたランドの表面を示す要部拡大平面図、図19は図18に示すB−B線に沿った要部拡大断面図である。なお、図19では、図18に示すランド22の表面22a上に配置した接合用部材に含まれる半田成分が溶融した状態を示している。
【0073】
本実施の形態2の半導体装置の実装方法と前記実施の形態1で説明した半導体装置の実装方法の相違点は、実装基板に形成されるランドの形状である。まず、本実施の形態2のランド26は、表面26aがすり鉢状に形成されている。つまり、ランド26は、表面26aの中央(中心)の高さが最も低く、側面26bに向かって徐々に高くなる斜面を有している。換言すれば、ランド26の表面26aには側面26bと交差する位置から中央(中心)に向かって高さが低くなるように窪んでいる。
【0074】
前記実施の形態1で説明したように、クリーム半田24から溶融した半田材24bは、ランド26の表面26aの形状に倣って形成されるので、図19に示すように、表面26aの中央に窪みが形成される。つまり、本実施の形態2では、前記実施の形態1で説明した溝部22c、22dに代えて、ランド26の表面26aの中央に窪みを形成することにより表面26aの中央周辺にフラックス24aを溜める空間を形成している。
【0075】
このため、本実施の形態2のランド26においても、前記実施の形態1で説明した実装工程において、半田ボール4およびランド26の濡れ性(接合特性)を向上させることができる。
【0076】
また、本実施の形態2によれば、溶融した半田材24bは、ランド26の表面26aに倣って形成されるので、図19に示すようにランド26の表面26aは溶融した半田材24bに覆われる。したがって、半田ボール4(図13参照)と半田材24bが一体化すると、フラックス24aを確実に側面26b側に排出することができる。したがって、ランド26内にフラックス24aが残留することを確実に防止することができる。
【0077】
ただし、フラックス24aを溜める空間の体積は前記実施の形態1で説明したランド22のように、溶融した半田材24bが空間を囲むように配置した方が広くなる。このため、より多くのフラックス24aを溜めることができる点で、前記したようにランド22の表面22aの中央に溝部22c、22dを形成して、その周囲をランド22で取り囲む構造の方がより好ましい。
【0078】
(実施の形態3)
前記実施の形態1、2では、Non−SMD構造で形成された実装基板20に適用した場合の例について説明した。本実施の形態では、半導体装置の裏面に形成されるランドをNon−SMD構造で形成する場合の実施態様について説明する。図20は本実施の形態3の半導体装置の全体構造を示す断面図、図21は、図20に示すランドの構造を示す要部拡大断面図である。なお、本実施の形態では、前記実施の形態1、2で説明した実装基板20に形成されたランド22、26の構造を半導体装置の裏面側に適用した例であり、前記実施の形態1、2と重複する説明は原則として省略する。
【0079】
図20に示す本実施の形態3のBGA(半導体装置)30と前記実施の形態1で説明したBGA10の相違点は、裏面2bに形成されたランド31の構造である。前記実施の形態1で説明したBGA10のランド3は、SMD構造で形成されていたが、本実施の形態3のランド31は、Non―SMD構造で形成されている。
【0080】
詳しくは、図21に示すように、BGA10の裏面2bは、複数の開口部8aが形成された絶縁膜であるソルダレジスト膜8に覆われている。また、裏面2bには、複数の開口部8aにおいて、ソルダレジスト膜8からそれぞれ露出する複数のランド(端子)31が形成されている。また、ランド31は、表面31aおよび表面31aと裏面2bとの間に位置する側面31bを有している。この側面31bは、開口部8a内に配置され、ソルダレジスト膜8から露出している。換言すればランド31の表面31aは全体がソルダレジスト膜8から露出している。また、ランド31は例えば銅膜からなり、その表面には、ニッケル膜や金膜などのめっき膜は形成されず銅膜が露出している。つまり、ランド31は前記実施の形態1で説明した実装基板20に形成されたランド22あるいは前記実施の形態2で説明したランド26と同様にNon―SMD構造で形成されている。
【0081】
このように、Non―SMD構造のランド31を有するBGA30の場合、ランド31と、半田ボール4とを電気的に接続する、ボールマウント工程において、前記実施の形態1、2で説明した実装工程の技術を応用して適用することができる。
【0082】
以下、本実施の形態3の半導体装置の製造方法について説明する。本実施の形態3の半導体装置の製造方法は、主面2a、主面2aの反対側に位置する裏面2bを有するインタポーザ基板(配線基板)2を準備する基板準備工程を有している。本工程で準備するインタポーザ基板2は、主面2aに半導体チップ1を搭載するためのチップ搭載領域を有し、このチップ搭載領域の周囲には、複数の端子(ボンディングリード)5が形成されている。また、裏面2bには複数のランド(端子)31が形成され、複数のランド31はインタポーザ基板2に形成された配線23を介して主面2a上に形成された複数の端子5と電気的に接続されている。
【0083】
また、本実施の形態3の半導体装置の製造方法は、主面1a、主面1aの反対側に位置する裏面1bを有する半導体チップ1を準備する半導体チップ準備工程を有している。半導体チップ1の主面1aには、例えば集積回路が形成され、主面1a上には集積回路と電気的に接続される複数のパッド(電極パッド)1cが形成されている。
【0084】
また、本実施の形態3の半導体装置の製造方法は、半導体チップ1をインタポーザ基板2の主面2a上に搭載するチップ搭載工程を有している。本実施の形態3では半導体チップ1の裏面1bをインタポーザ基板2の主面2aと対向させた状態で、主面2a上に接着固定する、所謂、フェイスアップ実装法により搭載する例を示している。
【0085】
また、本実施の形態3の半導体装置の製造方法は、半導体チップ1の複数のパッド1cとインタポーザ基板2の複数の端子5を、複数のワイヤ6を介してそれぞれ電気的に接続するワイヤボンディング工程を有している。本工程により、半導体チップ1と端子5は電気的に接続されるので、半導体チップ1は、インタポーザ基板2の裏面2bに形成される複数のランド31と電気的に接続される。
【0086】
また、本実施の形態3の半導体装置の製造方法は、インタポーザ基板2の主面2a側に封止用の樹脂を供給し、半導体チップ1および複数のワイヤ6を樹脂封止する封止工程を有している。本工程により封止樹脂9が形成される。
【0087】
また、本実施の形態3の半導体装置の製造方法は、複数の半田ボール4を準備して、複数のランド31とそれぞれ電気的に接続するボールマウント工程を有している。
【0088】
本工程には、前記実施の形態1で説明した実装工程と同様に、ランド31の表面にフラックス成分を含む接合用部材を配置する接合用部材配置工程が含まれる。なお、接合用部材配置工程の詳細は、前記実施の形態1で説明した接合部材配置工程において説明した、ランド22をランド31、表面22aを表面31a、側面22bを側面31bに読み替えて適用することができるので、重複する説明は省略する。
【0089】
次に、ボールマウント工程には、複数の半田ボール4を複数のクリーム半田24に当接する半田ボール配置工程を有している。なお、半田ボール配置工程の詳細は、前記実施の形態1で説明した半導体装置配置工程において説明した、ランド22をランド31、表面22aを表面31a、側面22bを側面31bに読み替えて適用することができるので、重複する説明は省略する。
【0090】
次に、ボールマウント工程には、複数の半田ボール4および複数のクリーム半田24を加熱溶融させて接合するリフロー工程が含まれる。リフロー工程は前記実施の形態1で説明したリフロー工程において説明した、ランド22をランド31、表面22aを表面31a、側面22bを側面31bに読み替えて適用することができる。代表的な構成および効果について説明すると、ランド31の表面31aに表面31aの中央から側面31bに向かって溝部22cを形成する。これより、ランド31およびランド31上の溶融した半田材24bで囲まれた空間にフラックス24aを溜めることができる。換言すれば側面31b側へのフラックス24aの流出を抑制することができる。この結果、半田ボール4とフラックス24aの接触量を増大させることができるので、半田ボール4およびランド31の接合特性を十分に向上させることができる。したがって、例えば大気(空気)雰囲気中でボールマウント工程を行った場合であっても、ランド31と半田ボール4をしっかりと接合することができる。半田ボール4はランド31と前記実施の形態1で説明した実装基板20のランド22を接続する導電性部材なので、これをしっかりと接合することにより、半導体装置(BGA30)と実装基板20の接続信頼性を向上させることができる。
【0091】
以上、本願発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0092】
例えば、実施の形態1で説明したランド形状と実施の形態2で説明したランド形状を組み合わせることもできる。すなわち、実施の形態1のランド22の表面22aは、実装基板20の主面2aに沿った略平坦な面としたが、実施の形態2で説明したように、表面22aの中央から側面22bに向かって徐々に表面22aの高さが高くなる斜面となるように形成することもできる。この場合、ランド22に囲まれる空間の体積は実施の形態1と比較してさらに増大するので、より多くのフラックス24aを溜めることができる。
【0093】
また、例えば、実施の形態3では、半導体装置のボールマウント工程に適用する実施態様として実施の形態1で説明した溝部22cの形状を適用した例を説明したが、実施の形態1で説明した溝部22dや、実施の形態2で説明したランド26、あるいはこれらの組み合わせを適用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、実装基板あるいは半導体装置に形成されるランドと半田ボールを接合する工程を有する半導体装置、あるいは半導体装置の実装構造体に利用可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 半導体チップ
1a 主面(上面)
1b 裏面(下面)
1c パッド(電極パッド)
2 インタポーザ基板(配線基板、パッケージ基板)
2a 主面(上面)
2b 裏面(下面)
3 ランド(端子)
4 半田ボール(半田材)
5 端子(ボンディングリード)
6 ワイヤ(導電性部材)
7、8 ソルダレジスト膜(絶縁膜)
8a 開口部
9 封止樹脂(封止体)
10、30 BGA(半導体装置)
11 空間
20 実装基板(配線基板、マザーボード)
20a 主面(上面)
20b 半導体装置搭載領域
21 ソルダレジスト膜(絶縁膜)
21a 開口部
22 ランド(端子)
22a 表面
22b 側面
22c 溝部
22d 溝部
23 配線
24 クリーム半田(接合用部材)
24a フラックス(フラックス成分)
24b 半田材(半田成分)
25 半田材(半田ボール)
26 ランド
26a 表面
26b 側面
31 ランド
31a 表面
31b 側面
40 実装基板
41 ランド
41a 表面
41b 側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体チップが搭載された第1主面、前記第1主面と反対側に位置する第1裏面、前記第1裏面に配置され前記半導体チップと電気的に接続される複数の第1端子、および前記複数の第1端子に接合される複数の半田ボールを有する半導体装置を準備する工程、
(b)第2主面、前記第2主面を覆うように形成され複数の開口部が形成された絶縁膜、および前記第2主面上に形成され前記複数の開口部において前記絶縁膜からそれぞれ露出する複数の第2端子、を有する配線基板を準備する工程、
(c)前記半導体装置の前記第1裏面と、前記配線基板の前記第2主面とを対向配置した状態で、前記半導体装置の前記複数の第1端子と、前記配線基板の前記複数の第2端子を、前記複数の半田ボールを介してそれぞれ電気的に接続する工程、を含み、
前記(c)工程には、
(c1)前記複数の第2端子の表面に、フラックス成分を含む複数の接合用部材をそれぞれ配置する工程、
(c2)前記(c1)工程の後、前記複数の半田ボールを前記複数の接合用部材にそれぞれ当接させる工程、
(c3)前記(c2)工程の後、前記複数の半田ボールおよび前記複数の接合用部材を加熱溶融させて接合する工程、が含まれ、
前記複数の第2端子は、前記半導体装置の第2裏面と対向する前記表面、および前記表面と前記第2主面との間に位置し前記絶縁膜から露出する側面をそれぞれ有し、
前記表面には、前記表面の中央から前記第2端子の側面に向かって溝部が形成されていることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記(c)工程は、空気雰囲気中で行うことを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記溝部の周囲は前記第2端子に囲まれていることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記(c3)工程では、前記半田ボールの頂点が、前記第2端子と溶融した前記接合用部材に含まれる半田成分とで囲まれる空間内に位置するように配置されていることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記複数の第2端子は銅からなる銅膜であり、
前記(c)工程の前には、前記銅膜が露出していることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記溝部は、前記第2端子の前記表面から前記配線基板の前記主面に向かって円柱状に形成されていることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項7】
請求項1において、
前記複数の半田ボールは、鉛フリー半田からなることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項8】
(a)半導体チップが搭載された第1主面、前記第1主面と反対側に位置する第1裏面、前記第1裏面に配置され前記半導体チップと電気的に接続される複数の第1端子、および前記複数の第1端子に接合される複数の半田ボールを有する半導体装置を準備する工程、
(b)第2主面、前記第2主面を覆うように形成され複数の開口部が形成された絶縁膜、および前記第2主面上に形成され前記複数の開口部において前記絶縁膜からそれぞれ露出する複数の第2端子、を有する配線基板を準備する工程、
(c)前記半導体装置の前記第1裏面と、前記配線基板の前記第2主面とを対向配置した状態で、前記半導体装置の前記複数の第1端子と、前記配線基板の前記複数の第2端子を、前記複数の半田ボールを介してそれぞれ電気的に接続する工程、を含み、
前記(c)工程には、
(c1)前記複数の第2端子の表面に、フラックス成分を含む複数の接合用部材をそれぞれ配置する工程、
(c2)前記(c1)工程の後、前記複数の半田ボールを前記複数の接合用部材にそれぞれ当接させる工程、
(c3)前記(c2)工程の後、前記複数の半田ボールおよび前記複数の接合用部材を加熱溶融させて接合する工程、が含まれ、
前記複数の第2端子は、前記半導体装置の第2裏面と対向する前記表面、および前記表面と前記第2主面との間に位置し前記絶縁膜から露出する側面をそれぞれ有し、
前記表面は、前記表面の中央の高さが最も低く、前記側面に向かって徐々に高くなる斜面となっていることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記(c)工程は、空気雰囲気中で行うことを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記(c3)工程では、前記半田ボールの頂点が、前記第2端子の中央に位置するように配置されていることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記複数の第2端子は銅からなる銅膜であり、
前記(c)工程の前には、前記銅膜が露出していることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項12】
請求項8において、
前記複数の半田ボールは、鉛フリー半田からなることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項13】
(a)主面、前記主面と反対側に位置する裏面、前記裏面を覆うように形成され複数の開口部が形成された絶縁膜、および前記裏面に形成され前記複数の開口部において前記絶縁膜からそれぞれ露出する複数の端子を有する配線基板の前記主面上に半導体チップを搭載し、前記複数の端子と前記半導体チップを電気的に接続する工程、
(b)複数の半田ボールを準備して、前記複数の端子とそれぞれ電気的に接続する工程、を含み、
前記(b)工程には、
(b1)前記複数の端子の表面に、フラックス成分を含む複数の接合用部材をそれぞれ配置する工程、
(b2)前記(b1)工程の後、前記複数の半田ボールを前記複数の接合用部材にそれぞれ当接させる工程、
(b3)前記(b2)工程の後、前記複数の半田ボールおよび前記複数の接合用部材を加熱溶融させて接合する工程、が含まれ、
前記複数の端子は、前記配線基板の前記裏面との対向面、前記対向面の反対側に位置する前記表面、および前記表面と前記対向面との間に位置し前記絶縁膜から露出する側面をそれぞれ有し、
前記表面には、前記表面の中央から前記端子の側面に向かって溝部が形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13において、
前記(b)工程は、空気雰囲気中で行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14において、
前記溝部の周囲は前記端子に囲まれていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15において、
前記(b3)工程では、前記半田ボールの頂点が、前記端子と溶融した前記接合用部材に含まれる半田成分とで囲まれる空間内に位置するように配置されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16において、
前記複数の端子は銅からなる銅膜であり、
前記(b)工程の前には、前記銅膜が露出していることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17において、
前記溝部は、前記端子の前記表面から前記配線基板の前記裏面に向かって円柱状に形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項13において、
前記複数の半田ボールは、鉛フリー半田からなることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−71259(P2011−71259A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220231(P2009−220231)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】