説明

半導体装置の製造方法及び半導体装置

【課題】回路基板上にフリップチップボンディングされた半導体基板をエッチングにより薄い半導体チップに加工する際、エッチング保護膜に保護された半導体基板の端面近傍がエッチング残渣として半導体チップの裏面に残留することを防止する。
【解決手段】半導体基板21の主面6aに半導体チップ20を画定する分割用溝9を形成し、この半導体基板21を回路基板15にフリップチップボンディングする。その後、半導体基板21の裏面1bを分割用溝9が表出するまでエッチングして、分割用溝9で画定される半導体チップ20を回路基板15上に形成する。他方、分割用溝9より外側部分は、エッチング保護膜14の除去により、外側部分上に残留するエッチング残渣17と共に除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板上にフリップチップボンディングされた半導体基板を、裏面からエッチングすることで製造される薄い半導体チップを備えた半導体装置の製造方法及びその半導体チップに関し、とくに半導体チップ裏面の周辺に半導体基板のエッチング残渣を残留させない半導体装置の製造方法及びその半導体チップに関する。
【背景技術】
【0002】
主面に半導体素子が形成された薄い半導体基板からなる半導体チップを、フリップチップボンディングにより回路基板上に接続した半導体装置が使用される分野がある。例えば、量子井戸型赤外検知装置あるいは薄いカードに組み込まれる集積回路である。
【0003】
量子井戸型赤外検知装置では、半導体素子として赤外線検知素子が形成された化合物半導体基板からなる半導体チップが、信号処理回路が形成されたSi回路基板上にフリップチップボンディングにより接続される。かかる接続構造を有する赤外検知装置では、赤外線は化合物半導体基板の裏面から入射される。この構造では、化合物半導体基板の裏面から素子が形成された主面まで透過する入射赤外光の減衰を小さくするために、化合物半導体基板の厚さは十分に薄くなければならない。また、赤外検知装置は冷却して使用されることが多く、熱応力による接続用金属電極(バンプ)の破壊を避けるためにも、薄い化合物半導体基板が用いられる。さらに、化合物半導体基板を薄くすることで、入射赤外線が、化合物半導体基板の主面と裏面間の反射を通して隣接する赤外検知素子に入射するクロストークを防止している。
【0004】
薄いカードに組み込まれる集積回路では、半導体素子としてトランジスタ等の能動又は受動素子を含む回路が形成された半導体チップを、薄い配線基板(回路基板)上に搭載する。このとき、全体の厚さを薄くするために、半導体チップはフリップチップボンディングにより回路基板に接続され、その半導体チップも極めて薄いものが使用される。
【0005】
しかし、薄い半導体チップはボンディングの際に破損し易く、薄い半導体チップをそのままフリップチップボンディングすることは極めて難しい。とくに、化合物半導体基板は破損し易く、薄い化合物半導体チップのフリップチップボンディングは難しい。
【0006】
このような薄い半導体チップのフリップチップボンディングを回避するため、厚い半導体基板をフリップチップボンディングした後、フリップチップボンディングされている半導体基板の裏面(ボンデング面の反対側の面)をエッチングにより除去し、半導体基板を薄くして所望の薄い半導体チップとする半導体装置の製造方法が用いられている。以下、量子井戸型赤外検知装置の製造工程を例に、従来の半導体装置の製造方法を説明する。
【0007】
図5は従来の半導体装置製造工程断面図であり、フリップチップボンディングされた薄い半導体チップを備えた半導体装置の製造工程の概要を表している。図6は従来の半導体装置平面図であり、図5を上方から見た構造を表している。
【0008】
図5(a)を参照して、先ず、GaAs基板1(第1の基板)上に素子形成層6を積層した半導体基板21を形成する。次いで、素子形成層6に赤外線検知素子を形成する。さらに、半導体基板21表面に、赤外線検知素子に接続するInからなるバンプ13を形成する。これとは別に、回路基板15として、Si基板を用いたシリコン集積回路からなるSi信号処理回路(ROIC:Read−Out IC)を形成する。
【0009】
次いで、図5(a)及び図6を参照して、この半導体基板21を回路基板15上にフリップチップボンディングする。その結果、半導体基板21の赤外検知素子と回路基板15のSi信号処理回路とは、バンプ13により電気的及び機械的に接続される。
【0010】
次いで、図5(b)及び図6を参照して、ウエットエッチングにより半導体基板21の裏面をエッチングして、半導体基板21の裏面に位置するGaAs基板1を除去し、素子形成層6からなる半導体チップ20を形成する。その結果、回路基板15上に、薄い半導体チップ20がフリップチップボンディングされた半導体装置が製造される。
【0011】
このように、薄い半導体チップ20をフリップチップボンディングすることなく、回路基板15上に薄い半導体チップ20がフリップチップボンディングされた半導体装置が製造される。
【0012】
しかし、上述した半導体装置の製造方法では、半導体基板21の裏面のウエットエッチングの際に、GaAs基板1(第1の基板)のエッチング残渣が発生するという問題が生ずる。以下、詳細な製造工程に基づきその問題点を説明する。
【0013】
図7は従来の半導体装置製造工程断面図(その1)、図8は従来の半導体装置製造工程断面図(その2)であり、量子井戸型赤外検知装置の断面を表している。
【0014】
図7(a)を参照して、従来の半導体装置の製造方法では、まず、半導体基板21に半導体素子22、例えば量子井戸型赤外検知素子を形成する。
【0015】
半導体基板21は、例えばGaAs基板1(第1の基板1)と、その上にエッチング停止層2を介して形成された素子形成層6とを備える。この素子形成層6は、GaAs基板1側から順に積層された下部コンタクト層3、光吸収層4及び上部コンタクト層5の化合物半導体からなる積層構造を有する。光吸収層4は量子井戸層のサブバンド間遷移により赤外線を吸収して電子を伝導帯に励起し、その結果、下部コンタクト層3と上部コンタクト層5の間に検出電流が流れる。
【0016】
下部コンタクト層3を除く素子形成層6は、上部コンタクト層5及び光吸収層4を分断し、下部コンタクト層3の表面に達する素子分離溝8により、格子状に分離されている。分断された素子形成層6は、それぞれ1個の半導体素子22(赤外検知素子)を構成し、素子形成層全体は、各半導体素子22をGaAS基板1上面に格子状に敷きつめた二次元の赤外検知装置を構成する。
【0017】
半導体素子22は、各半導体素子22ごとに独立した光吸収層4及び独立した上部コンタクト層5を有し、さらに、光吸収層4の下端に接する下部コンタクト層3を有して構成される。この下部コンタクト層3は、素子分離溝8により分離されておらず、全半導体素子22に共通する下部コンタクト層3として機能する。
【0018】
上部コンタクト層5の上面には回折格子7が形成され、その上面に保護膜10(パッシベーション膜)が設けられる。通常、保護膜10は、半導体基板21の端面に延在して設けられる。さらに、各半導体素子22を構成する上部コンタクト層5の上面に、上部コンタクト層5とオーミック接続する第1の電極11が形成され、この第1の電極11上にInからなるバンプ13が形成される。
【0019】
かかる半導体素子22が形成された半導体基板21は、その後、素子形成領域を囲む分割線18に沿って切断され、半導体チップ20の大きさに分割される。
【0020】
次いで、図7(b)を参照して、回路基板15上に形成された第2の電極16にバンプ13を当接させて、半導体基板21を回路基板15上にフリップチップボンディングして固定する。
【0021】
次いで、半導体基板21の周辺近傍に、ボンデングされた半導体基板21と回路基板15との隙間を埋めるエッチング保護膜14を形成する。このエッチング保護膜14は、半導体基板21の端面6cを覆うように形成される。
【0022】
次いで、図8(c)を参照して、エッチング停止層2に対してGaAs基板1を選択的にエッチングするエッチャントを用いて、エッチング保護膜14に被覆されていないGaAs基板1の裏面(図7の紙面上方側の面)からGaAs基板1をエッチングして除去する。このとき、エッチング停止層2はエッチングストッパとして機能する。その結果、半導体素子22(例えば赤外検知素子)が形成された素子形成層6及びエッチング停止層2からなる半導体チップ20が形成される。
【0023】
次いで、図8(d)を参照して、エッチング保護膜14を除去する。これにより、回路基板15上にフリップチップボンディングされた半導体チップを有する半導体装置が製造される。
【0024】
上述した従来の製造方法により、回路基板上に薄い半導体チップがフリップチップボンディングされている半導体装置を製造することができる。しかし、この方法では、GaAs基板1(第1の基板)を完全に除去することが難しく、その一部がエッチング残渣として残留することがある。
【0025】
図8(c)を参照して、GaAs基板1(第1の基板)をエッチングする際、半導体基板1の端面6cは、素子形成層6の端面がエッチングされることを防止するために、エッチング保護膜14により被覆される。このエッチング保護膜14は、GaAs基板1の端面をも被覆する。そのため、GaAs基板1の端面にはエッチャントが供給されず、エッチングが進行しない。このため、エッチングはGaAs基板1の裏面からのみ進行する。その結果、GaAs基板1の周縁部分がエッチングされずに残り、素子形成層6からなる半導体チップ20の裏面(図8の紙面上方の面)周辺に突起状のエッチング残渣17として残留することがある。
【0026】
このエッチング残渣17は、図8(d)を参照して、エッチング保護膜14を除去した後もそのまま残留する。そして、その後の工程において半導体チップ20から剥離して異物となり、異物混入に起因する障害を引き起こすことがある。
【0027】
とくに、量子井戸のサブバンド間遷移を利用する赤外検知装置では、半導体チップ20を真空容器に収容し冷却して使用するため、剥離したエッチング残渣17が真空装置内を浮遊し、赤外線の入射面である半導体チップ20の裏面に付着して入射赤外線を遮蔽するおそれがある。このように、真空容器中で冷却されている半導体装置では、その表面に付着したエッチング残渣17を除去することは難しく、赤外検知装置の信頼性を著しく劣化させる。
【0028】
エッチング残渣17を残さないために、GaAs基板1をオーバエッチングすることも考えられる。しかし、GaAs基板1のエッチングは、エッチング保護膜14に被覆された端面に近い周辺部で遅く中央部で早い。このため、GaAs基板1の周辺部にエッチング残渣17が残らないようにオーバエッチングを行なうと、GaAs基板1の中央部ではオーバエッチングが過剰となり、エッチング停止層2が除去されて半導体素子22を破壊することがある。また、エッチング停止層2が除去されない場合でも、経験上、オーバエッチングは素子特性に悪影響を及ぼすことが知られている。このため、GaAs基板1の過剰なオーバエッチングは避けなければならない。従って、エッチング残渣17を残さずにGaAs基板1を除去することは難しい。
【0029】
上述した下部コンタクト層3を共有する半導体装置の他に、下部コンタクト層3を含めて各赤外検知素子が分離している半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0030】
各赤外検知素子が分離して独立している半導体装置は、図7を参照して、素子分離溝8を、下部コンタクト層3及びエッチング停止層2を貫通し、GaAs基板1に達するように形成する。
【0031】
次いで、図8(c)を参照し、GaAs基板1を裏面からエッチングして除去する。その結果、GaAs基板1が除去された後の素子形成層6及びエッチング停止層2は、素子分離溝8により分断され、それぞれ分断された素子形成層6(分断されたエッチング停止層2を含む)からなる赤外検知素子22が形成される。この分断された赤外検知素子22は、回路基板15上にバンプ13により各赤外検知素子ごとにフリップチップボンディングされ固定されている。
【0032】
続いて、図8(d)を参照して、エッチング保護膜14を除去して、回路基板15上に個々の赤外検知素子22が固定された半導体装置が製造される。
【0033】
この個々の赤外検知素子が回路基板15上にフリップチップボンディングにより固定された半導体装置でも、図8を参照して、周辺近傍の赤外検知素子上にエッチング残渣17が残るので、使用中に剥離して異物となり半導体装置の信頼性が損なわれる。
【0034】
上述した分離された赤外検知素子を用いる半導体装置において、エッチング残渣が残る周辺部の赤外検知素子を固定せず、エッチング保護膜の除去と同時に周辺部の赤外検知素子をエッチング残渣17と共に除去することにより、エッチング残渣がない赤外検知素子のみを回路基板15上に残すことも考えられる。
【0035】
しかし、各半導体素子が半導体チップ内に一体に形成される半導体装置、例えば各半導体素子が共有する下部コンタクト層3により一体に形成される半導体チップを備える半導体装置では、エッチング残渣が残る半導体素子を分断して除去することはできない。
【特許文献1】特開2003−179249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
上述したように、回路基板上にフリップチップボンディングされた薄い半導体チップを備えた半導体装置は、従来、回路基板上に半導体基板をフリップチップボンディングしたのち、半導体基板を裏面からエッチングして薄い半導体チップとすることで製造されていた。
【0037】
しかし、この従来の半導体装置の製造方法では、半導体基板の除去が不十分になりやすく、半導体チップの裏面周辺に、エッチング残渣が残るという問題があった。このエッチング残渣は、使用中に剥離して半導体チップに再付着し、入射赤外線を遮断したり素子の誤動作を発生させることがあり、半導体素子の信頼性を損なう原因となる。
【0038】
半導体基板のエッチングにより、半導体チップを形成する代わりに、個々の分断された半導体素子を形成する従来の半導体装置では、半導体基板周辺に形成された半導体素子を、フリップチップボンディングにより固定せず、半導体素子の裏面に残留するエッチング残渣と共に除去することでエッチング残渣の残留を回避することも考えられる。
【0039】
しかし、半導体基板のエッチングにより半導体チップが形成され、各半導体素子が半導体チップと一体の構造をとる半導体装置では、周辺の半導体素子を分断して除去することができない。このため、かかる周辺の半導体素子をエッチング残渣と共に除去するという半導体の製造方法を適用することができない。
【0040】
本発明は、回路基板上に半導体基板をフリップチップボンディングしたのち、半導体基板を裏面からエッチングして薄い半導体チップとすることで製造され半導体装置及びその製造方法に関し、半導体チップ上に半導体基板のエッチング残渣が残留しない半導体装置及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0041】
上記課題を解決するために、本発明の第1の構成の半導体装置の製造方法は、
半導体基板の主面に半導体素子の形成領域を囲む分割用溝を形成する工程と、半導体基板を回路基板上にフリップチップボンディングする工程と、半導体基板の外周端面にエッチング保護膜を形成する工程と、半導体基板を前記主面の反対面からエッチングして、エッチングされた前記反対面に前記分割用溝が表出するまで半導体基板を薄くする裏面エッチング工程と、エッチング保護膜を除去すると同時に、半導体基板の分割用溝の外側領域を除去し、分割用溝により画定された半導体基板の領域からなる半導体チップを形成する工程とを有する。
【0042】
上記第1の構成では、半導体基板の主面(素子形成面)に半導体チップを画定する分割用溝が形成される。この半導体基板を回路基板にフリップチップボンディングしたのち、半導体基板を裏面(主面の反対面)から分割用溝が表出するまで裏面エッチングする。その結果、分割用溝で画定される半導体チップが回路基板上に残り半導体装置が製造される。他方、分割用溝より外側の部分は、回路基板上から除去される。
【0043】
エッチング残渣は、分割用溝の外側に形成されるから、この部分の除去と同時にエッチング残渣も除去される。従って、本第1の構成により、エッチング残渣のない半導体装置が製造される。また、半導体チップの端面はエッチング面である分割用溝の内壁面からなるから、半導体チップの信頼性が向上する。
【0044】
上記半導体基板として、第1の基板上に順次形成されたエッチング停止層及び素子形成層を備えた半導体基板を用いてもよい。このとき、分割用溝を、素子形成層及びエッチング停止層を貫通するように形成し、エッチング停止層をストッパとして第1の基板を裏面エッチングして除去する。
【0045】
この構成ではエッチング停止層が、第1の基板の裏面エッチングのストッパとして機能するから、裏面エッチングのオーバエッチングによりエッチング残渣を少なくしても、素子形成層の破壊が抑制され、半導体素子の性能劣化が防止される。従ってより確実にエッチング残渣の残留を防止することができる。
【0046】
さらに上記エッチング停止層を含む構成において、分割用溝をエッチング停止層をストッパとするエッチングにより形成し、その後、分割用溝の底に表出するエッチング停止層をエッチングして除去することもできる。これにより、分割用溝の深さを揃えることができる。このため、分割用溝の深さのバラツキにより生ずる半導体基板の実質的な厚さ(半導体基板の厚さから分割用溝の深さを減じた厚さ)の減少が回避され、フリップチップボンディングの際の半導体基板の破損を抑制することができる。
【0047】
さらに、裏面エッチング工程の前に、分割用溝の内壁面上を被覆し、埋め込み半導体基板の主面に延在する保護膜(パッシベーション膜)を形成してもよい。半導体基板は裏面エッチングにより分割用溝から分割されて半導体チップが形成されるので、半導体チップの端面は保護膜が形成された分割用溝の内壁面から構成される。従って、半導体チップの端面は、保護膜が形成されたエッチング面からなるので、半導体チップの信頼性が向上する。
【0048】
本発明の第2の構成の半導体装置は、主面に半導体素子が形成された半導体チップが回路基板上面にフリップチップボンディングされている半導体装置に関し、半導体チップは、フリップチップボンディングされた半導体基板の裏面をエッチングして薄くされた半導体基板からなり、半導体チップの端面はエッチング面からなることを特徴とする。
【0049】
即ち、半導体チップはボンデングされた半導体基板の裏面エッチングにより形成され、かつ半導体チップ端面はエッチング面とされる。
【0050】
従来、フリップチップボンディングされる半導体基板は厚いため、ダイシングソーを用いて半導体チップの大きさに切断され、回路基板上にボンディングされていた。従って、半導体基板の端面は機械的な切断面であり、ここから汚染物質が浸透するおそれがあり信頼性を劣化させる。なお、半導体基板の端面には素子形成層の端面が表出するため、素子形成層を破損することなく端面をエッチング面にすることは難しい。
【0051】
本第2の構成では、半導体チップの端面がエッチング面であるため、従来の端面が切断面からなる半導体チップに比べて高い信頼性を有する。
【0052】
かかる端面がエッチング面からなる半導体チップは、半導体基板の主面にエッチングにより形成した分割用溝(半導体チップを画定する溝である)の内壁面を端面とすることで実現される。
【0053】
即ち、ボンディングされた半導体基板の裏面エッチングにより分離溝の深さより薄くされた半導体基板は、分割用溝から分割され、半導体チップとその外側部分とに2分される。その結果、半導体チップの端面は分割用溝の表面、即ちエッチング面から構成されることとなる。
【0054】
さらに、分割用溝の内壁面を被覆する保護膜(パッシベーション膜)を設けることで、より信頼性を向上することができる。この保護膜は、半導体チップの主面上をも被覆し、半導体素子を保護するものを用いることもできる。
【0055】
第2の構成において、第1の基板上にエッチング停止層を介して形成された素子形成層を半導体基板とし、分割用溝を、素子形成層及びエッチング停止層を貫き形成したものとすることができる。この構造は、分割用溝の深さを揃えることが容易であり、かつ第1の基板をより確実に除去することができる。
【発明の効果】
【0056】
本発明によれば、フリップチップボンディングされている半導体基板をエッチングして薄くしたとき、半導体基板の主面に形成された分割用溝に従い半導体チップとその外側部分の半導体基板とに分離され、エッチング残渣が残る外側部分は容易に除去される。従って、エッチング残渣が残留しない信頼性の高い半導体装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
本発明を、赤外線検知装置に関する実施形態を参照しつつ説明する。
【0058】
図1は本発明の実施形態製造工程断面図(その1)、図2は本発明の実施形態製造工程断面図(その2)、図3は本発明の実施形態製造工程断面図(その3)であり、赤外線検知素子が二次元に配置された半導体装置を表している。
【0059】
図1(a)を参照して、本発明の赤外線検知装置に関する実施形態では、まず、厚さ600μmの半絶縁性GaAs基板からなる第1の基板1上に、厚さ0.3〜0.5μmのInGaPからなるエッチング停止層2、厚さ0.1〜0.5μmのn型GaAsからなる下部コンタクト層3、厚さ0.5〜3.5μmのn型光吸収層4及び厚さ0.3〜0.5μmのn型GaAsからなる上部コンタクト層5をこの順にエピタキシャル成長して、第1の基板1と、その上に積層されたこれらのエピタキシャル層からなる半導体基板21を形成する。なお、下部コンタクト層3、光吸収層4及び上部コンタクト層5から構成される素子形成層6は、通常は厚さ5μm以下である。
【0060】
光吸収層4は、GaAsの井戸層とAlGaAsの障壁層とを積層した多重量子井戸構造からなり、入射した10μm近傍の赤外線を井戸層に形成されるサブバンド間の電子遷移により吸収する。その結果、上部及び下部コンタクト層5、3に検出電流が流れる。
【0061】
次いで、図1(b)を参照して、上部コンタクト層5の上面(半導体基板21の主面6aであり同時に素子形成層6の主面6aでもある。)に、光結合器構造として回折格子7を形成する。この回折格子7は、第1の基板1から素子形成層6にほぼ垂直に入射された赤外線を回折し、散乱光として反射する。従って、反射した赤外光は光吸収層4に斜めに入射される。量子井戸構造からなる光吸収層4は垂直に入射する赤外線をあまり吸収しない。しかし、回折格子7により反射された赤外線は光吸収層4へ斜めに入射するので、光吸収層4による吸収が多くなり、赤外線検知素子22(図1(c)参照)の感度が向上する。
【0062】
次いで、図1(c)を参照して、ドライエッチングを用いて、上部コンタクト層5及び光吸収層4を貫通し、下部コンタクト層3の上面に達する又は下部コンタクト層3の上面を浅くエッチングする素子分離溝8を形成する。この素子分離溝8は、素子形成層6の上面(主面6)からエッチングにより、主面6内を縦横に交差する複数の平行な溝として形成され、上部コンタクト層5及び光吸収層4を格子状に分離する。その結果、素子分離溝8により分離された上部コンタクト層5及び光吸収層4と、共通電極として下部コンタクト層3とを有する赤外検知素子22(半導体素子22)が形成される。
【0063】
なお、素子分離溝8を形成するためのドライエッチングに代えて、フォトレジストマスクを用いたウエットエッチングにより形成することもできる。さらに、光吸収層4と下部コンタクト層3との間、又は、上部コンタクト層3中の浅い位置に、エッチングストッパ、例えばInGaAs層を挿入して、素子分離溝8形成のためのエッチングのストッパとしてもよい。これにより、深さが揃った素子分離溝8を形成することができる。
【0064】
次いで、図1(d)を参照して、分割用溝9を形成する。分割用溝9は、半導体基板21の半導体チップ20となる領域を画定するもので、素子分離溝7で分離された領域(赤外検知素子の形成領域)を囲むように形成される。
【0065】
分割用溝9は、素子形成層6、即ち、上部コンタクト層5、光吸収層4及び下部コンタクト層3を貫き、さらにエッチング停止層2をも貫通して第1の基板1に達するようにエッチングにより形成される。このエッチングは、まず、以下に説明するストッパ層2をエッチングストッパとするドライエッチング又はウエットエッチングと、その後なされる分割用溝9の底面に表出するストッパ層2を除去するエッチングとの2段階のエッチングから構成される。
【0066】
ドライエッチングとして、例えばSiCl4 及びCl2 の混合ガスをエッチングガスとするプラズマエッチングを用いることができる。このエッチングガスを用いたエッチングでは、分割用溝9(分割用溝9の上部)の底がエッチング停止層2に達すると、エッチングガスに含まれるClとエッチング停止層2に含まれるInとが反応してInとClを含む反応生成物が生成される。この反応生成物は、上部コンタクト層5、光吸収層4及び下部コンタクト層3のエッチングで生ずるGa又はAsを含む反応生成物に比べて蒸気圧が高いため、エッチング停止層2のエッチング速度を低下させる。その結果、このドライエッチングにおいて、InGaAsからなるエッチング停止層2はエッチングストッパとして機能する。
【0067】
ウエットエッチングには、例えは燐酸、過酸化水素水及び水を、2:1:3の容積比で混合したエッチャントを用いることができる。このエッチャントは、InGaPからなるストッパ層に対して2GaAsを主成分とする上部コンタクト層5、光吸収層4及び下部コンタクト層3は十分大きなな選択性を有する。このため、エッチング停止層2はこのエッチングストッパとして機能する。このウエットエッチングを、上述したドライエッチンの後に行い、ドライエッチングで生ずる分割用溝9壁面の欠陥を少なくしてもよい。
【0068】
上述のドライエッチング又はウエットエッチングにより、上部コンタクト層5、光吸収層4及び下部コンタクト層3を貫き、底面にエッチング停止層2を表出する分割用溝9(分割用溝9の上部)が形成される。その後、分割用溝9(分割用溝9の上部)の底面に表出するInGaPからなるエッチング停止層2を、エッチングして除去する。
【0069】
このエッチング停止層2のエッチングは、例えば、HClの膿水溶液をエッチャントとする30秒間のウエットエッチングによりなされる。これにより、素子形成層6及びエッチング停止層2を貫通する分割用溝9が形成される。
【0070】
上述したエッチングにより分割用溝9を形成する方法に代えて、ダイシングソーを用いて素子形成層6に溝を形成し、その後、同様の2段階エッチングにより分割用溝9を形成することもできる。これにより、迅速に分割用溝9を形成することができる。
【0071】
次いで、図2(e)を参照して、素子形成層6の主面6aに形成された回折格子7上を被覆する、SiO2からなる保護膜10(パッシベーション膜)を形成する。この保護膜10は、CVD(化学的気相堆積法)により、素子分離溝8を埋め込み、かつ分割用溝9の内壁面を被覆するように形成される。
【0072】
次いで、図2(f)を参照して、リソグラフィーを用いて、上部コンタクト層5上を被覆する保護膜10に、上部コンタクト層5を表出する開口11aを形成し、次いで、その開口を埋め込む第1の電極11を形成する。この第1の電極11は、上部コンタクト層5にオーミック接続されている。
【0073】
次いで、図2(g)を参照して、素子形成層6上全面に、高感度のレジスト12a及び低感度のレジスト12bを順次塗布し、2層レジスト12を形成する。次いで、レジスト12を露光、現像して、底面に第1の電極11を表出する逆台形断面の開口12cを開設する。
【0074】
次いで、Ti/Ptからなる下地層(不図示)をスパッタにより形成し、さらにInを蒸着した後、レジスト12を除去してリフトオフする。
【0075】
その結果、図2(h)を参照して、第1の電極11上に断面台形のInバンプからなるバンプ13が形成される。以上の工程を経て、主面6(a)に半導体素子22(赤外検知素子22)及び分割用溝9が形成された半導体基板21が製造される。
【0076】
次いで、図3(i)を参照して、半導体基板21を、主面6aを下にして回路基板15上にフリップチップボンデングする。
【0077】
回路基板15は、Si基板上に、赤外検知素子22の信号を処理する信号処理回路が形成されたSi集積回路からなり、その上面にSi集積回路に接続する第2の電極16が設けられている。
【0078】
半導体基板21は、主面6aを回路基板15上面に対向させ、バンプ13を回路基盤15上面の第2の電極16に当接させて、回路基板15上にフリップチップボンデングされる。
【0079】
次いで、半導体基板21の端面を被覆するレジストからなる保護膜14を、半導体基板21周辺の回路基板15上面に形成する。この保護膜14は、半導体基板21の端面を被覆すると同時に、半導体基板21と回路基板15との隙間にエッチャントが流入することを防止する。
【0080】
次いで、図3(j)を参照して、アンモニア水及び過酸化水素水を15:100容積比で混合したエッチャントを用いて、第1の基板1の裏面1b(半導体基板21の裏面6b)からGaAsからなる第1の基板1をエッチングし除去する。このエッチングでは、InGaAsからなるエッチング停止層2がエッチングストッパとして機能する。
【0081】
しかし、厚さ0.3〜0.5μmのエッチング停止層2によりエッチングを停止させるには、第1の基板1を完全に除去するほどの長時間のオーバエッチングを行うことができない。その結果、半導体基板21の周辺部分に、GaAsからなる第1の基板1の一部がエッチング残差17して残留する。
【0082】
本発明では、このエッチング残差17が分割用溝9の外側にのみ残留し、半導体素子22の形成領域(即ち、半導体チップ20として画定された領域)上には残らないように、エッチング条件及び分割用溝9の位置(半導体基板21の端面から分割用溝9までの距離)が適切に定められる。
【0083】
第1の基板のエッチングにより、半導体基板21は、分割用溝9から分断され、分割用溝9により画定される半導体チップ20と、その外側の部分(半導体基板21の端面と分割用溝9との間の部分)とに分離する。
【0084】
次いで、レジストからなるエッチング保護膜14を除去する。エッチング保護膜14の除去と同時に、半導体基板21の分割用溝9から外側部分がその上に残留するエッチング残差17と共に除去される。
【0085】
その結果、図4を参照して、エッチング停止層2及び素子形成層6からなる半導体チップ20が、回路基板15上にバンプ13を介してフリップチップボンデングされている半導体装置が製造される。
【0086】
この半導体チップ20は、第1の基板1上のエピタキシャル層からなり、通常は5μm以下の薄い化合物半導体である。本実施形態の製造方法によると、かかる薄い半導体チップ20を、裏面にエッチング残差を残すことなく形成することができる。
【0087】
さらに、半導体チップ20の端面20cは、エッチングにより形成される分割用溝9の内壁面から構成されるので、エッチング面となる。さらに、その端面20cには、半導体チップ20上面に形成された保護膜10が延在して保護するので、半導体チップ20の信頼性が向上する。
【0088】
なお、各半導体素子22(赤外検知素子)は、素子分離溝8により個々の素子に素子分離され、下部コンタクト層5を共通電極として動作する。赤外線は半導体チップ20の裏面(紙面の上方)から入射され、半導体チップ20内を透過して回折格子により散乱・反射されて光吸収層4に斜めに入射して吸収され、検知される。このとき、半導体チップ20は薄いので入射赤外線の吸収は少なく、高感度の赤外検知装置が実現される。
【0089】
本実施形態では、半導体素子22が二次元に配置されているが、半導体素子22が一時元に配置されていても同様に製造することがてきる。また、第1の基板1を半導体ウエーハ(例えばGaAsウエーハ)とし、ウエーハ上に、図2(h)に示す半導体素子22及びバンプ13を形成したのち、ウエーハをダイサーを用いて切断し、図2(h)に示す半導体基板21を製造してもよい。その後の工程は上述した実施形態と同様である。
【0090】
上述した本発明の実施形態では、エピタキシャル層に形成された赤外線検知素子について説明したが、本発明はこれに限らず、エピタキシャル層に半導体回路を形成した半導体装置についても同様に適用することができる。さらに、エピタキシャル層に限らず、フエイスダウンボンデングされた半導体基板を、裏面からエッチングして薄い半導体チップとする半導体装置の製造方法に適用することができきる。
【0091】
上述した本明細書には、以下の付記記載の発明が開示されている。
(付記1)半導体基板の主面に半導体素子を形成する工程と、
前記主面に、前記半導体素子に接続する第1の電極を形成する工程と、
前記主面に、前記半導体素子の形成領域を囲む分割用溝を形成する工程と、
回路基板上に、前記第1の電極と前記回路基板上の第2の電極とをバンプを介して接続するように前記半導体基板をフリップチップボンディングする工程と、
次いで、前記半導体基板の外周端面にエッチング保護膜を形成する工程と、
次いで、前記半導体基板を前記主面の反対面からエッチングして、エッチングされた前記反対面に前記分割用溝が表出するまで前記半導体基板を薄くする裏面エッチング工程と、
次いで,前記エッチング保護膜を除去すると同時に、前記半導体基板の前記分割用溝の外側領域を除去し、前記半導体基板の前記分割用溝により画定された領域からなる半導体チップを前記回路基板上に残す工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記2)前記半導体基板は、第1の基板上にエッチング停止層を介して形成された素子形成層を備え、
前記分割用溝は、前記素子形成層及び前記エッチング停止層を貫通して形成され、
前記裏面エッチング工程は、前記エッチング停止層をストッパとして前記第1の基板をエッチングして除去することを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
(付記3)前記分割用溝は、前記エッチング停止層をストッパとするエッチングにより前記素子形成層に前記分割用溝を形成する工程と、
次いで、前記分割用溝の底面に表出する前記エッチング停止層をエッチング除去する工程とを有することを特徴とする付記2記載の半導体装置の製造方法。
(付記4)前記エッチング停止層上に順次、下部コンタクト層、赤外線を吸収する量子井戸構造を有する光吸収層及び上部コンタクト層が積層された前記素子形成層を形成する工程と、
前記上部コンタクト層及び前記光吸収層を格子状に分断する素子分離溝を形成して、前記下部コンタクト層を共通電極とし上部コンタクト層を他方の電極とする、前記基板上に格子状に配列された赤外検知素子を形成する工程と、
前記上部コンタクト層上に、前記第1の電極を形成する工程とを有することを特徴とする付記2又は3記載の半導体装置の製造方法。
(付記5)前記分割用溝の形成後、前記裏面エッチング工程前に、前記分割用溝の内壁面上に保護膜を形成する工程を有することを特徴とする付記1、2、3又は4記載の半導体装置の製造方法。
(付記6)前記第1の電極上にInからなる前記バンプを形成する工程を有することを特徴とする付記4記載の半導体装置の製造方法。
(付記7)前記第1の基板はGaAs基板であり、前記エッチング停止層はInGaP層であることを特徴とする付記4又は6記載の半導体装置の製造方法。
(付記8)半導体素子が形成された主面を回路基板上面に対向させてフリップチップボンディングされた半導体チップを備えた半導体装置において、
前記半導体チップは、フリップチップボンディングされた半導体基板の前記主面の反対面である裏面のエッチングにより薄くされた前記半導体基板からなり、
前記半導体チップの端面は、エッチング面からなることを特徴とする半導体装置。
(付記9)前記半導体チップの端面は、前記半導体基板の主面にエッチングにより形成された前記半導体チップを画定する分割用溝の内壁面からなることを特徴とする付記8記載の半導体装置。
(付記10)前記半導体チップの端面上に、保護膜が形成されていることを特徴とする付記8又は9記載の半導体装置。
(付記11)前記保護膜は、前記主面上を被覆することを特徴とする付記9記載の半導体装置。
(付記12)前記半導体基板は、第1の基板上にエッチング停止層を介して形成された素子形成層を有し、
前記半導体素子は、前記素子形成層に形成され、
前記分割用溝は、前記素子形成層及び前記エッチング停止層を貫き形成されていることを特徴とする付記9〜11の何れかに記載の半導体装置。
(付記13)前記エッチング停止層上に順次形成された、下部コンタクト層、赤外線を吸収する量子井戸構造を有する光吸収層及び上部コンタクト層を含む前記素子形成層と、
前記上部コンタクト層及び前記光吸収層を格子状に分断し、底面に前記コンタクト層を表出する前記素子分離溝と、
前記下部コンタクト層を共通電極とし、前記上部コンタクト層を他方の電極とする前記素子分離溝により素子分離された赤外検知素子と、
前記上部コンタクト層上に、前記コンタクト層とオーミック接続する第1の電極とを備えたことを特徴とする付記12記載の半導体装置。
(付記14)前記エッチング停止層上に順次形成された、下部コンタクト層、赤外線を吸収する量子井戸構造を有する光吸収層及び上部コンタクト層を含む前記素子形成層と、
前記上部コンタクト層及び前記光吸収層を格子状に分断し、底面に前記コンタクト層を表出する前記素子分離溝と、
前記下部コンタクト層を共通電極とし、前記上部コンタクト層を他方の電極とする前記素子分離溝により素子分離された赤外検知素子と、
前記上部コンタクト層上に、前記コンタクト層とオーミック接続する第1の電極と、
前記第1の電極上に形成されたバンプとを備えた付記9記載の半導体装置。
(付記15)前記バンプがInバンプであることを特徴とする付記14記載の半導体装置。
(付記16)前記回路基板は、前記赤外検知素子の信号を処理する信号処理回路が形成されたシリコン集積回路であることを特徴とする付記10記載の半導体装置。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、薄い半導体チップ上に、複数の赤外検知素子が一体として形成される赤外検出装置の製造に適用して、エッチング残差のない信頼性の高い半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施形態製造工程断面図(その1)
【図2】本発明の実施形態製造工程断面図(その2)
【図3】本発明の実施形態製造工程断面図(その3)
【図4】本発明の実施形態半導体装置断面図
【図5】従来の半導体装置製造工程断面図
【図6】従来の半導体装置平面図
【図7】従来の半導体装置製造工程断面図(その1)
【図8】従来の半導体装置製造工程断面図(その2)
【符号の説明】
【0094】
1 第1の基板
1a 上面
1b、6b裏面
2 エッチング停止層
3 下部コンタクト層
4 光吸収層
5 上部コンタクト層
6 素子形成層
6a 主面
6c 端面
7 回折格子
8 素子分離溝
9 分割用溝
10 保護膜
11 第1の電極
12 レジスト
12a 下層レジスト
12b 上層レジスト
11a、12c 開口
13 バンプ
14 エッチング保護膜
15 回路基板
16 第2の電極
17 エッチング残渣
18 分割線
20 半導体チップ
20c 端面
21 半導体基板
22 半導体素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の主面に半導体素子を形成する工程と、
前記主面に、前記半導体素子に接続する第1の電極を形成する工程と、
前記主面に、前記半導体素子の形成領域を囲む分割用溝を形成する工程と、
回路基板上に、前記第1の電極と前記回路基板上の第2の電極とをバンプを介して接続するように前記半導体基板をフリップチップボンディングする工程と、
次いで、前記半導体基板の外周端面にエッチング保護膜を形成する工程と、
次いで、前記半導体基板を前記主面の反対面からエッチングして、エッチングされた前記反対面に前記分割用溝が表出するまで前記半導体基板を薄くする裏面エッチング工程と、
次いで,前記エッチング保護膜を除去すると同時に、前記半導体基板の前記分割用溝の外側領域を除去し、前記半導体基板の前記分割用溝により画定された領域からなる半導体チップを前記回路基板上に残す工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記半導体基板は、第1の基板上にエッチング停止層を介して形成された素子形成層を備え、
前記分割用溝は、前記素子形成層及び前記エッチング停止層を貫通して形成され、
前記裏面エッチング工程は、前記エッチング停止層をストッパとして前記第1の基板をエッチングして除去することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記分割用溝は、前記エッチング停止層をストッパとするエッチングにより前記素子形成層に前記分割用溝を形成する工程と、
次いで、前記分割用溝の底面に表出する前記エッチング停止層をエッチング除去する工程とを有することを特徴とする請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記分割用溝の形成後、前記裏面エッチング工程前に、前記分割用溝の内壁面上に保護膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
半導体素子が形成された主面を回路基板上面に対向させてフリップチップボンディングされた半導体チップを備えた半導体装置において、
前記半導体チップは、フリップチップボンディングされた半導体基板の前記主面の反対面である裏面のエッチングにより薄くされた前記半導体基板からなり、
前記半導体チップの端面は、エッチング面からなることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−4644(P2009−4644A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165428(P2007−165428)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】