説明

半導体装置の製造方法及び基板処理装置

【課題】緻密で原料起因の不純物濃度が低く抵抗率が低い導電性膜を、速い成膜速度で形成する半導体装置の製造方法および基板処理装置を提供する。
【解決手段】2種類以上の原料を処理室内に同時に供給し、前記処理室内に載置された基板上に膜を形成する半導体装置の製造方法であって、前記処理室内に基板を収容する工程と、少なくとも1種の原料を2つの異なる流量を有する複数の連続的パルスで前記処理室内に供給する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、基板処理装置及び半導体装置に関し、特に、原料としてハロゲン化金属化合物や有機金属化合物を用いて基板(ウエハ)上に導電性膜ないしは絶縁性膜を形成する工程を備える半導体装置の製造方法、基板上に金属膜または金属化合物を形成する基板処理装置及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に所定の膜を形成する手法の1つとして、CVD(Chemical Vapor Deposition)法がある。CVD法とは、気相中もしくは基板表面における2種以上の原料の反応を利用して、原料分子に含まれる元素を構成要素とする膜を基板上に成膜する方法である。また、基板上に所定の膜を形成する他の手法として、ALD(Atomic Layer Deposition)法がある。ALD法とは、ある成膜条件(温度、時間等)の下で、成膜に用いる2種以上の原料となる原料を1種類ずつ交互に基板上に供給し、原子層単位で吸着させ、表面反応を利用して原子層レベルで制御される成膜を行う手法である。従来のCVD法と比較して、より低い基板温度(処理温度)にて処理が可能なことや、成膜サイクル回数によって成膜される膜厚の制御が可能である。
【0003】
また、基板上に形成される導電性膜としては、例えば、特許文献1のように窒化チタン(TiN)膜が挙げられる。またその他の導電性膜としては、Ta、Al、W、Mnやその窒化物、Tiなどが挙げられる。また、絶縁性膜としては、例えば、HfやZrやAlの酸化物および窒化物などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2007/020874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
導電性膜として被処理基板上に窒化チタン膜を成膜するとき、例えばチタン(Ti)含有原料として四塩化チタン(TiCl)を用い、窒化ガスとしてアンモニア(NH)を用いる場合がある。しかし、窒化チタン膜をCVD法により成膜すると、ALD法で成膜した場合と比較して、膜中に塩素(Cl)が取り込まれやすいなどの理由により、抵抗率の上昇を招いてしまうなどの問題がある。
【0006】
一方、ALD法にて成膜した窒化チタン膜の連続膜は、CVD法で成膜した場合と比較し、滑らかな表面が得られ、且つ比較的抵抗値の低い窒化チタン膜を得ることが出来る。
また、良好なステップカバレッジを得ることが出来る。しかし、その反面、CVD法を用いた場合と比較して成膜速度が遅いので、所望の膜厚を得るために時間がかかり、基板のサーマルバジェットを増加させてしまう。
【0007】
従って、本発明の主な目的は、上記問題を解決し、緻密で原料起因の不純物濃度が低く抵抗率が低い導電性膜を、速い成膜速度で形成する半導体装置の製造方法、基板処理装置及び半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、2種類以上の原料を処理室内に同時に供給し、前記処理室内に載置された基板上に膜を形成する半導体装置の製造方法であって、少なくとも1種の原料を第1の供給量で前記処理室内に供給する第1の原料供給工程と、前記少なくとも1種の原料を前記第1の供給量とは異なる第2の供給量で前記処理室内に供給する第2の原料供給工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、2種類以上の原料を処理室内に同時に供給し、前記処理室内に載置された基板上に膜を形成する半導体装置の製造方法であって、第1の原料を第1の供給量で前記処理室内に供給しつつ、第2の原料を第2の供給量で前記処理室内に供給して前記基板上に膜を形成する第1の成膜工程と、前記第1の原料を前記第1の供給量とは異なる第3の供給量で前記処理室内に供給しつつ前記第2の原料を前記第2の供給量で前記処理室内に供給して前記基板上に膜を形成する第2の成膜工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0010】
本発明の更に他の態様によれば、2種以上の原料を処理室内に同時に供給し、前記処理室内に載置された基板上に膜を形成する半導体装置の製造方法であって、第1の原料を第1の供給量で前記処理室内に供給しつつ、第2の原料を第2の供給量で前記処理室内に供給して前記基板上に膜を形成する第1の成膜工程と、前記第1の原料を前記第1の供給量とは異なる第3の供給量で前記処理室内に供給しつつ前記第2の原料を前記第2の供給量とは異なる前記第4の供給量で前記処理室内に供給して前記基板上に膜を形成する第2の成膜工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0011】
本発明の更に他の態様によれば、2種以上の原料を処理室内に同時に供給し、前記処理室内に載置された基板上に膜を形成する半導体装置の製造方法であって、第1の原料を第1の供給量で前記処理室内に供給しつつ、第2の原料を第2の供給量で前記処理室内に供給して前記基板上に膜を形成する第1の成膜工程と、前記第1の原料を前記第1の供給量より少ない第3の供給量で前記処理室内に供給しつつ前記第2の原料を前記第2の供給量より少ない前記第4の供給量で前記処理室内に供給して前記基板上に膜を形成する第2の成膜工程と、前記第1の原料を前記第3の供給量で前記処理室内に供給しつつ、前記第2の原料を前記第2の供給量より多い第5の供給量で前記処理室内に供給して前記基板上に膜を形成する第3の成膜工程と、前記第1の原料を前記第3の供給量で前記処理室内に供給しつつ、前記第2の原料を前記第4の供給量で前記処理室内に供給して前記基板上に膜を形成する第4の成膜工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0012】
本発明の更に他の態様によれば、2種類以上の原料を処理室内に同時に供給し、前記処理室内に載置された基板上に膜を形成する半導体装置の製造方法であって、少なくとも1種の原料を第1の供給量で前記処理室内に供給して前記基板上に膜を形成する第1の成膜工程と、前記少なくとも1種の原料を前記第1の供給量とは異なる第2の供給量で前記処理室内に供給して前記基板上に膜を形成する第2の成膜工程と、前記2種類以上の原料を前記処理室内から除去する原料除去工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0013】
本発明の更に他の態様によれば、2種類以上の原料を処理室内に同時に供給し、前記処理室内に載置された基板上に膜を形成する半導体装置の製造方法であって、前記処理室内に基板を収容する工程と、少なくとも1種の原料を2つの異なる流量を有する複数の連続的パルスで前記処理室内に供給する工程と、を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0014】
本発明の更に他の態様によれば、基板を収容する処理室と、前記処理室内に複数の原料を同時に供給し、前記基板上に膜を形成する原料供給手段と、少なくとも1種の原料を第1の供給量で前記処理室内に供給した後、前記少なくとも1種の原料を前記第1の供給量とは異なる第2の供給量で前記処理室内に供給することにより、前記基板上に膜を形成するよう前記原料供給手段を制御する制御部と、を有する基板処理装置が提供される。
【0015】
本発明の更に他の態様によれば、2種類以上の原料を処理室内に同時に供給し、前記処理室内に載置された基板上に膜を形成する半導体装置の製造方法により製造される半導体装置であって、少なくとも1種の原料を第1の供給量で前記処理室内に供給する第1の原料供給工程と、前記少なくとも1種の原料を前記第1の供給量とは異なる第2の供給量で前記処理室内に供給する第2の原料供給工程と、を有する半導体装置の製造方法により製造される半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、従来のCVD法で形成された窒化チタン膜と比較して良質な窒化チタン膜を、ALD法で形成された窒化チタン膜と比較して速い成膜速度で、すなわち高い生産性で提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態にて好適に用いられる基板処理装置の概略的な構成を示す斜透視図である。
【図2】本発明の一実施形態にて好適に用いられる処理炉の一例とそれに付随する部材の概略構成図であって、特に処理炉部分を縦断面で示す図である。
【図3】本発明の一実施形態にて好適に用いられる図2に示す処理炉のA−A線断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る成膜工程におけるガス供給シーケンスを示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る成膜工程におけるガス供給シーケンスを示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る成膜工程におけるガス供給シーケンスを示す図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る成膜工程におけるガス供給シーケンスを示す図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る成膜工程におけるガス供給シーケンスを示す図である。
【図9】本発明の第6の実施形態に係る成膜工程におけるガス供給シーケンスを示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る基板処理工程のフローを示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る基板処理工程のフローを示す図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る基板処理工程のフローを示す図である。
【図13】本発明の第4の実施形態に係る基板処理工程のフローを示す図である。
【図14】本発明の第5の実施形態に係る基板処理工程のフローを示す図である。
【図15】本発明の第6の実施形態に係る基板処理工程のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
本実施形態に係る基板処理装置は、半導体装置(IC(Integrated Circuits))の製造に使用される半導体製造装置の一例として構成されているものである。下記の説明では、基板処理装置の一例として、基板に対し成膜処理等をおこなう縦型の装置を使用した場合について述べる。しかし、本発明は、縦型装置の使用を前提としたものに限らず、例えば、枚葉装置を使用しても良い。
【0019】
<装置全体構成>
図1に示す通り、基板処理装置101では、基板の一例となるウエハ200を収納したカセット110が使用されている。ウエハ200はシリコン等の材料から構成されている。基板処理装置101は筐体111を備えている。筐体111の内部にはカセットステージ114が設置されている。カセット110は、カセットステージ114上に工程内搬送装置(図示略)によって搬入されたり、カセットステージ114上から搬出されたりする。
【0020】
カセットステージ114は、工程内搬送装置によって、カセット110内のウエハ200が垂直姿勢を保持され、かつカセット110のウエハ出し入れ口が上方向を向くように載置される。カセットステージ114は、カセット110を筐体111の後方に右回り縦方向90°回転し、カセット110内のウエハ200が水平姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口が筐体111の後方を向くように動作可能となるよう構成されている。
【0021】
筐体111内の前後方向の略中央部にはカセット棚105が設置されている。カセット棚105は複数段複数列にて複数個のカセット110を保管するように構成されている。カセット棚105には、ウエハ移載機構125の搬送対象となるカセット110が収納される移載棚123が設けられている。
【0022】
カセットステージ114の上方には予備カセット棚107が設けられている。予備カセット棚107は、予備的にカセット110を保管するように構成されている。
【0023】
カセットステージ114とカセット棚105との間には、カセット搬送装置118が設置されている。カセット搬送装置118は、カセット110を保持したまま昇降可能なカセットエレベータ118aと、搬送機構としてのカセット搬送機構118bとで構成されている。カセット搬送装置118は、カセットエレベータ118aとカセット搬送機構118bとの連続動作により、カセットステージ114とカセット棚105と予備カセット棚107との間で、カセット110を搬送するように構成されている。
【0024】
カセット棚105の後方には、ウエハ移載機構125が設置されている。ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置125aと、ウエハ移載装置125aを昇降させるためのウエハ移載装置エレベータ125bとで構成されている。ウエハ移載装置125aには、ウエハ200をピックアップするためのツイーザ125cが設けられている。ウエハ移載装置125は、ウエハ移載装置125aとウエハ移載装置エレベータ125bとの連続動作により、ツイーザ125cをウエハ200の載置部として、ウエハ200をボート217に対して装填(チャージング)したり、ボート217から脱装(ディスチャージング)したりするように構成されている。
【0025】
筐体111の後部上方には、ウエハ200を熱処理する処理炉202が設けられており、処理炉202の下端部が炉口シャッタ147により開閉されるように構成されている。
【0026】
処理炉202の下方には処理炉202に対しボート217を昇降させるボートエレベータ115が設けられている。ボートエレベータ115の昇降台にはアーム128が連結されている。アーム128にはシールキャップ219が水平に据え付けられている。シールキャップ219は、ボート217を垂直に支持するとともに、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。
【0027】
ボート217は複数の保持部材を備えており、複数枚(例えば50〜150枚程度)のウエハ200を、その中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0028】
カセット棚105の上方には、清浄化した雰囲気であるクリーンエアを供給するクリーンユニット134aが設置されている。クリーンユニット134aは、供給ファン及び防塵フィルタで構成されており、クリーンエアを筐体111の内部に流通させるように構成されている。
【0029】
筐体111の左側端部には、クリーンエアを供給するクリーンユニット134bが設置されている。クリーンユニット134bも、供給ファン及び防塵フィルタで構成されており、クリーンエアをウエハ移載装置125aやボート217等の近傍を流通させるように構成されている。当該クリーンエアは、ウエハ移載装置125aやボート217等の近傍を流通した後に、筐体111の外部に排気されるようになっている。
【0030】
<処理装置の動作>
続いて、基板処理装置101の主な動作について説明する。
【0031】
工程内搬送装置(図示略)によってカセット110がカセットステージ114上に搬入されると、カセット110は、ウエハ200がカセットステージ114の上で垂直姿勢を保持され、カセット110のウエハ出し入れ口が上方向を向くように載置される。その後、カセット110は、カセットステージ114によって、カセット110内のウエハ200が水平姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口が筐体111の後方を向くように、筐体111の後方に右周り縦方向90°回転させられる。
【0032】
その後、カセット110は、カセット棚105ないし予備カセット棚107の指定された棚位置へカセット搬送装置118によって自動的に搬送され受け渡され、一時的に保管される。その後、カセット110は、カセット棚105ないし予備カセット棚107からカセット搬送装置118によって移載棚123に移載されるか、もしくは直接移載棚123に搬送される。
【0033】
カセット110が移載棚123に移載されると、ウエハ200はカセット110からウエハ移載装置125aのツイーザ125cによってウエハ出し入れ口を通じてピックアップされ、ボート217に装填(チャージング)される。ボート217にウエハ200を受け渡したウエハ移載装置125aは、カセット110に戻り、後続のウエハ110をボート217に装填する。
【0034】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217に装填されると、処理炉202の下端部を閉じていた炉口シャッタ147が開き、処理炉202の下端部が開放される。その後、ウエハ200群を保持したボート217が、ボートエレベータ115の上昇動作により処理炉202内に搬入(ローディング)され、処理炉202の下部がシールキャップ219により閉塞される。
【0035】
ローディング後は、処理炉202にてウエハ200に対し任意の処理が実施される。その処理後は、上述の逆の手順で、ウエハ200およびカセット110が筐体111の外部に搬出される。
【0036】
<処理炉の構成>
次に、図2及び図3を用いて、前述した基板処理装置101に適用される処理炉202について説明する。
【0037】
図2及び図3に示す通り、処理炉202にはウエハ200を加熱する加熱装置(加熱手段)であるヒータ207が設けられている。ヒータ207は、上方が閉塞された円筒形状の断熱部材と複数本のヒータ素線とを備えており、断熱部材に対しヒータ素線が設けられたユニット構成を有している。ヒータ207の内側には、ウエハ200を処理する石英製の反応管203が設けられている。
【0038】
反応管203の下端には、気密部材であるOリング220を介してステンレス等で構成されたマニホールド209が設けられている。マニホールド209の下端開口は、シール部材としてのOリング220を介して蓋体としてのシールキャップ219により気密に閉塞されるようになっている。すなわち、反応管203の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、反応管203の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は、例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、反応管203の下端と当接するOリング220が設けられている。処理炉202では、少なくとも、反応管203、マニホールド209及びシールキャップ219により、処理室201が形成されている。
【0039】
シールキャップ219の処理室201と反対側には、ボート217を回転させる回転機構267が設けられている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通し、ボート217を支持するボート支持台218を介して後述するボート217に接続されている。回転機構267を作動させ、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させることができるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に設けられた昇降機構としてのボートエレベータ115によって、垂直方向に昇降されるように構成されており、これによりボート217を処理室201内外に搬入搬出することが可能となっている。
【0040】
図1に示す通り、ボート217は、ボート支持台218に固定された底板210とその上方に配置された天板211とを有しており、底板210と天板211との間に複数本の支柱212が架設された構成を有している。ボート217には、複数枚のウエハ200が保持されるように構成されている。複数枚のウエハ200は、互いに一定の間隔をあけながら水平姿勢を保持した状態でボート217の支柱212に支持されるように構成されている。
【0041】
以上の処理炉202では、バッチ処理される複数枚のウエハ200がボート217に対し多段に積層された状態において、ボート217がボート支持体218で支持されながら処理室201内に挿入され、ヒータ207が処理室201内に挿入されたウエハ200を所定の温度に加熱するようになっている。
【0042】
図2及び図3に示す通り、処理室201には、原料ガス(反応ガス)を供給する3本のガス供給管310、320、330(第1のガス供給管310、第2のガス供給管320、第3のガス供給管330)が接続されている。
【0043】
ガス供給管310には、上流側から順に、流量制御装置(流量制御手段)であるマスフローコントローラ312、気化ユニット(気化手段)である気化器700及び開閉弁であるバルブ314が設けられている。ガス供給管310の先端部(下流端)には、ノズル410(第1のノズル410)の上流端が連結されている。ノズル410は、垂直部と水平部とを有するL字形状に構成されている。ノズル410の垂直部は、処理室201を構成している反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間で、反応管203の内壁に沿った上下方向(ウエハ200の積載方向)に延在している。ノズル410の水平部は、マニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル410の側面には、原料ガスを供給する多数のガス供給孔410aが設けられている。ガス供給孔410aは、下部から上部にわたってそれぞれ同一または、大きさに傾斜をつけた開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0044】
さらに、ガス供給管310には、気化器700とバルブ314との間に、後述の排気管231に接続されたベントライン610及びバルブ614が設けられている。原料ガスを処理室201内に供給しない場合は、バルブ314,324を閉めた状態でバルブ614を開け、バルブ614を介して原料ガスをベントライン610へ排出する。
【0045】
また、ガス供給管310のバルブ314の下流側には、キャリアガスとしての不活性ガスを供給するキャリアガス供給管510の下流端が接続されている。キャリアガス供給管510には、上流側から順にマスフローコントローラ512及びバルブ514が設けられている。
【0046】
また、ガス供給管310には、ベントライン610との接続部とバルブ314との間で、ガス供給管320の上流端が接続されている。ガス供給管320には、開閉弁であるバルブ324が設けられている。ガス供給管320の先端部(下流端)には、ノズル420(第2のノズル420)の上流端が連結されている。ノズル420は、垂直部と水平部とを有するL字形状に構成されている。ノズル420の垂直部は、処理室201を構成している反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間で、反応管203の内壁に沿った上下方向(ウエハ200の積載方向)に延在している。ノズル420の水平部は、マニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル420の側面には、原料ガスを供給する多数のガス供給孔420aが設けられている。ガス供給孔420aは、下部から上部にわたってそれぞれ同一または、大きさに傾斜をつけた開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。また、ガス供給孔410aとガス供給孔420aの開口面積(孔径)はそれぞれ異なる大きさにするとより好ましい。例えば、ガス供給孔410aの開口面積を、ガス供給孔420aの開口面積より大きくなるよう開口させる。なお、図2では、ノズル410および420に連結される気化ユニットおよびマスフローコントローラは、気化器700およびマスフローコントローラ312で共用される形態を採っているが、独立に別々の気化ユニットとマスフローコントローラを有しても良い。
【0047】
また、ガス供給管320のバルブ324の下流側には、キャリアガスとしての不活性ガスを供給するキャリアガス供給管520の下流端が接続されている。キャリアガス供給管520には、上流側から順にマスフローコントローラ522及びバルブ524が設けられている。
【0048】
ガス供給管330には、上流側から順に、流量制御装置(流量制御手段)であるマスフローコントローラ332及びバルブ334が設けられている。ガス供給管330の先端部(下流端)には、ノズル430(第3のノズル430)の上流端が連結されている。ノズル430は、垂直部と水平部とを有するL字形状に構成されている。ノズル430の垂直部も、ノズル410と同様に、処理室201を構成している反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間で、反応管203の内壁に沿って上下方向(ウエハ200の積載方向)に延在している。ノズル430の水平部は、マニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル430の側面には、原料ガスを供給する多数のガス供給孔430aが設けられている。ガス供給孔430aも、ガス供給孔410aと同様に、下部から上部にわたってそれぞれ同一または、大きさに傾斜をつけた開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0049】
更にガス供給管330のバルブ334の下流側には、キャリアガスとしての不活性ガスを供給するキャリアガス供給管530の下流端が連結されている。キャリアガス供給管530には、マスフローコントローラ532及びバルブ534が設けられている。
【0050】
例えば、ガス供給管310から供給される原料が液体の場合、ガス供給管310から供給される液体原料は、マスフローコントローラ312に流量調整されつつ、気化器700に供給される。気化器700にて液体原料が気化することで発生した原料ガス(反応ガス)としての気化ガスは、バルブ314を介してガス供給管310の下流側へと流れ、キリアガス供給管510から供給されたキャリアガスと合流し、更にノズル410を介して処理室201内に供給される。また、バルブ314およびバルブ324の制御により、原料ガス(反応ガス)としての気化ガスは、ガス供給管310のみから処理室201内に供給されるか、ガス供給管320のみから処理室201内に供給されるか、あるいはガス供給管310及びガス供給管320の両方から処理室201内に供給されるようにすることが出来る。また、ガス供給管310から供給される原料が気体の場合、マスフローコントローラ312を気体用のマスフローコントローラに交換し、気化器700は不要となる。
【0051】
また、ガス供給管330から供給される原料ガス(反応ガス)は、マスフローコントローラ332に流量調整されつつ、バルブ334を介してガス供給管330の下流側へと流れ、キャリアガス供給管530から供給されたキャリアガスと合流し、更にノズル430を介して処理室201内に供給される。
【0052】
上記構成に係る一例として、ガス供給管310には、原料の一例としてTi原料(四塩化チタン(TiCl)やテトラキスジメチルアミノチタン(TDMAT、Ti[N(CH)、テトラキスジエチルアミノチタン(TDEAT、Ti[N(CHCH)等)が導入される。ガス供給管330には、改質原料の一例として窒化原料であるアンモニア(NH)、窒素(N)、亜酸化窒素(NO)、モノメチルヒドラジン(CH)、又は水素(H)等が導入される。
【0053】
主に、ガス供給管310、マスフローコントローラ312、気化器700及び開閉弁であるバルブ314、ノズル410、ガス供給孔410a、ガス供給管320、バルブ324、ノズル420、ガス供給孔420a、ガス供給管330、マスフローコントローラ332、バルブ334、ノズル430、ガス供給孔430aにより、本実施形態に係る原料供給手段(原料供給系)が構成されている。また、主に、キャリアガス供給管510、マスフローコントローラ512、バルブ514、キャリアガス供給管520、マスフローコントローラ522、バルブ524、キャリアガス供給管530、マスフローコントローラ532、バルブ534により、本実施形態に係る不活性ガス供給手段(不活性ガス供給系)が構成されている。
【0054】
反応管203には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、上流側から順に、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245、圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ243、真空排気装置としての真空ポンプ246が設けられている。真空ポンプ246を作動させ、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づきAPCバルブ243の開度を調整することで、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。
なお、APCバルブ243は、弁を開閉して処理室201内の真空排気・真空排気停止ができ、更に、弁開度を調整して圧力調整可能となっている開閉弁である。主に、排気管231、APCバルブ243、真空ポンプ246、圧力センサ245により排気系が構成される。
【0055】
反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布になるように構成されている。温度センサ263は、ノズル410および420と同様にL字型に構成されており、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0056】
反応管203内の中央部にはボート217が設けられている。上述したように、ボート217は、ボートエレベータ115によりシールキャップ219を昇降させることで反応管203内外に搬入搬出することができるようになっている。また、上述したように、ボート217を支持するボート支持台218の下端部には、処理の均一性を向上するようボート217を回転させるボート回転機構267の回転軸255が接続されている。ボート回転機構267を駆動させることにより、ボート支持台218に支持されたボート217を回転させることができるようになっている。
【0057】
以上のマスフローコントローラ312,332,512,522、532,バルブ314、324、334、514、524、534,243、614、ヒータ207、真空ポンプ246、ボート回転機構267、ボートエレベータ115、圧力センサ245、温度センサ263等の各部材は、コントローラ280に接続されている。コントローラ280は、基板処理装置101の全体の動作を制御する制御部(制御手段)の一例であって、マスフローコントローラ312,332,512,522、532の流量調整、バルブ314、324、334、514、524、534、614の開閉動作、バルブ243の開閉及び圧力センサ245からの圧力情報に基づく圧力調整動作、温度センサ263からの温度情報に基づくヒータ207の温度調整、真空ポンプ246の起動・停止、ボート回転機構267の回転速度調節、ボートエレベータ115の昇降動作等をそれぞれ制御するようになっている。
【0058】
<半導体装置の製造方法>
次に、上述の基板処理装置101が備える処理炉202を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、大規模集積回路(Large Scale Integration;LSI)を製造する際などに、基板上に絶縁膜を成膜する方法の例について説明する。尚、以下の説明において、基板処理装置101を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0059】
[第1の実施形態]
本実施形態では、導電性膜として窒化チタン膜を基板上に形成する方法について説明する。図10は、本実施形態に係る半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として実施される基板処理工程のフローを示す図である。また、図4は、本実施形態に係る基板処理工程で実施される成膜工程におけるガス供給シーケンスを示す図である。
【0060】
本実施形態では、窒化チタン膜を基板上にそれぞれ成膜速度の異なる2つのCVD法で形成する。まず第1の成膜工程として高速CVD法を用いてウエハ200上に窒化チタン膜を成膜する(ステップ11)。次に、第2の成膜工程として、窒化ガスと比較して相対的にチタン含有原料の流量を低下させ、且つ窒化ガスは十分な供給量で供給することで実現する低速CVD法を用いてウエハ200上に窒化チタン膜を成膜する(ステップ12)。第1の成膜工程と第2の成膜工程を少なくとも1回以上同一の処理室201内で行うことにより、ウエハ200上に窒化チタン層を形成する。なお、本実施形態では、チタン(Ti)含有原料として、TiCl、窒化ガスとしてNHを用いる例について説明する。なお、成膜速度が高速となるか低速となるかは、原料ガスとしてのTiClの供給量に依存する。原料ガスの供給量が多いと単位時間当たりの吸着量(もしくは堆積量)が増加するため成膜速度は高速となる。一方、原料ガスの供給量が少ないと単位時間当たりの吸着量(もしくは堆積量)が減少するため成膜速度は低速となる。
【0061】
図10に示すように、まず、処理対象のウエハ200をボート217へと装填する(ウエハチャージ)。続いて、ボートエレベータ115を上昇させて、ウエハ200を装填したボート217を処理室201内へと搬入すると共に、処理室201内をシールキャップ219により気密に封止する(ボートロード)。ウエハ200の搬入後は、回転機構267を作動させてウエハ200を回転させる。
【0062】
続いて、真空ポンプ246を作動させた状態でAPCバルブ243を開くことにより、処理室201内の排気を開始する。そして、APCバルブ243の開度を調整することにより、処理室201内の圧力が所定の圧力になるよう制御する。そして、ヒータ207を制御して、処理室201内を、CVD反応が起こる温度であって、例えば250℃〜800℃の範囲の温度、好適には700℃以下、より好ましくは450℃に保持する(圧力・温度調整)。ウエハ200の温度が450℃に達して温度等が安定したら、処理室201内の温度を450℃に保持した状態で後述するシーケンスを行う。
【0063】
CVD法による窒化チタン膜の堆積は、コントローラ280が、バルブ、マスフローコントローラ、真空ポンプ等を制御して、気相反応(CVD反応)が起こるように、同時に存在するタイミングが出来るようにTiClとNHを処理室201内に供給する。以下に、具体的な成膜シーケンスを説明する。
【0064】
TiClは常温で液体であり、処理室201内に供給するには、加熱して気化させてから供給する方法、気化器700により気化させてから供給する方法、すなわちキャリアガスと呼ばれるHe(ヘリウム)、Ne(ネオン)、Ar(アルゴン)、N(窒素)などの不活性ガスを気化器700が備えるTiCl容器の中に通し、気化している分をそのキャリアガスと共に処理室201内へと供給する方法などがあるが、例として後者のケースで説明する。
【0065】
本シーケンスにおける第1の成膜工程(ステップ11)及び第2の成膜工程(ステップ12)では、処理室201内にTiClとNHとを同時に流す。
【0066】
処理室201内にTiClを流すには、ガス供給管310内および/またはガス供給管320(ガス供給管310のみ、ガス供給管320のみ、あるいはガス供給管310及びガス供給管320の両方を意味する)内にTiClを、キャリアガス供給管510内およびキャリアガス供給管520内にキャリアガス(N)を流す。そして、ガス供給管310のバルブ314および/またはガス供給管320のバルブ324、キャリアガス供給管510のバルブ512、キャリアガス供給管520のバルブ522、および排気管231のバルブ243を開ける。キャリアガスは、キャリアガス供給管510およびキャリアガス供給管520内を流れ、マスフローコントローラ512により流量調整される。TiClは、ガス供給管310内を流れ、マスフローコントローラ312により流量調整され、気化器700により気化され、流量調整されたキャリアガスと混合し、ノズル410のガス供給孔410aから処理室201内に供給される。ガス供給管320へ分岐したTiClは、ノズル420のガス供給孔420aから処理室201内に供給される。
【0067】
尚、ノズル410のガス供給孔410aの開口面積は、ノズル420のガス供給孔420aの開口面積より大きくしても良い。この場合は410aの開口面積は、ガス供給孔420aの開口面積より大きいため、高速CVD法を用いて窒化チタン膜を形成するステップ11では大流量のTiClをガス供給管310から流してノズル410のガス供給孔410aから処理室201内に供給し、低速CVD法を用いて窒化チタン膜を形成するステップ12では小流量のTiClをガス供給管320から流してノズル420のガス供給孔420aから処理室201内に供給すると好ましい。
【0068】
また、処理室201内にNHを流すには、ガス供給管330にNHを、キャリアガス供給管530にキャリアガス(N)を流す。ガス供給管330のバルブ334、キャリアガス供給管530のバルブ532、および排気管231のバルブ243を共に開ける。キャリアガスは、キャリアガス供給管530内を流れ、マスフローコントローラ532により流量調整される。NHは、ガス供給管330内を流れ、マスフローコントローラ332により流量調整され、流量調整されたキャリアガスと混合し、ノズル430のガス供給孔430aから処理室201内に供給される。
【0069】
そして、処理室201内に供給されたTiClとNHは、排気管231から排気される。この時、バルブ243の開度を適正に調整して、処理室201内の圧力を5〜50Paの範囲であって、例えば20Paに維持する。マスフローコントローラ312で制御するTiClの供給量は、ガス供給管310から供給する場合は0.8〜3.0g/minであり、ガス供給管320から供給する場合は0.05〜0.3g/minである。マスフローコントローラ332で制御するNHの供給量は0.3〜15slmである。TiCl及びNHにウエハ200を晒す時間は所望の膜厚に達するまでである。このときヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が250℃〜800℃の範囲の温度であって、例えば450℃になるよう設定してある。尚、ウエハ200の温度が、例えば250℃未満となるとTiClとNHの反応速度が低くなるため所定の時間に所望の膜厚を得ることは困難となってしまい、工業上実用的な利用が困難になる。よって、高速で十分にCVD反応を生じさせるには、ウエハ200の温度は300℃〜500℃の範囲の温度とするのが好ましい。
【0070】
以下に、第1の成膜工程(ステップ11)及び第2の成膜工程(ステップ12)を、図10及び図4を参照して詳しく説明する。
【0071】
(ステップ11)
第1の成膜工程としてのステップ11では、高速のCVD法を用いてウエハ200上に窒化チタン膜を成膜するように、TiClとNHとを同時に供給する。例えば、ガス供給管310内にTiClを流し、ガス供給管330内にNHを流し、キャリアガス供給管510、530内にキャリアガス(N)を流す。すなわち、ガス供給管310、330のバルブ314、334、キャリアガス供給管510、530のバルブ514、534および排気管231のバルブ243を共に開け、ガス供給管320のバルブ324を閉める。キャリアガスは、キャリアガス供給管510、530内を流れ、マスフローコントローラ512により流量調整される。
【0072】
TiClは、ガス供給管310内を流れ、マスフローコントローラ312により流量調整され、気化器700により気化され、流量調整されたキャリアガスと混合し、ノズル410のガス供給孔410aから処理室201内に供給されつつ排気管231から排気される。NHは、ガス供給管330内を流れ、マスフローコントローラ332により流量調整され、流量調整されたキャリアガスと混合し、ノズル430のガス供給孔430aから処理室201内に供給されつつ排気管231から排気される。
【0073】
この時、バルブ243の開度を適正に調整して、処理室201内の圧力を20〜50Paの範囲であって、例えば30Paに維持する。マスフローコントローラ312で制御するTiClの供給量は、例えば0.8〜1.5g/minである。また、マスフローコントローラ334で制御するNHの供給流量は、例えば5.0〜8.0slmである。TiClおよびNHにウエハ200を晒す時間は例えば5〜30秒である。
【0074】
このとき、処理室201内に流しているガスは、TiCl、NH、およびN等の不活性ガスである。そのため、TiClとNHとが気相反応(熱CVD反応)を起こし、ウエハ200の表面や下地膜上に所定膜厚の窒化チタン層が堆積(デポジション)される。ここで窒化チタン層とは、窒化チタンにより構成される連続的な層の他、不連続な層やそれらが重なってできる薄膜や、膜中に他の元素を添加された薄膜をも含む。尚、窒化チタンにより構成される連続的な層を窒化チタン薄膜という場合もある。
【0075】
同時に、バルブ524を開け、ガス供給管320の途中につながっているキャリアガス供給管520から不活性ガスを流す。これにより、処理室201内からガス供給管320内にTiClおよびNH等のガスが回り込むことを防ぐことができる。
【0076】
(ステップ12)
第2の成膜工程としてのステップ12では、低速のCVD法を用いてウエハ200上に窒化チタン膜を成膜するように、NHの供給量は変えず、TiClの供給量のみを減少させる。TiClの供給量を減少させるには、ガス供給管310にはTiClを流さず、ガス供給管320にのみTiClを流すようにする(ノズル410のガス供給孔410aの開口面積が、ノズル420のガス供給孔420aの開口面積より大きく構成されている場合)。すなわち、ガス供給管310のバルブ314を閉じ、ガス供給管320のバルブ324を開ける。なお、TiClの供給量を減少させる他の方法としては、ステップ11でバルブ314,324の両方を開けてガス供給管310及びガス供給管320の両方からをTiCl供給するようにしておき、ステップ12でバルブ314,324のいずれか一方を閉めるようにしてもよい。また、マスフローコントローラ312を調整して気化器700に供給するTiClの流量(気化させるガスの量)を一時的に減少させるようにしてもよい。また、ガス供給管310の気化器700の下流側であってガス供給管320との接続箇所より上流側に図示しないマスフローコントローラを設け、係るマスフローコントローラにより供給量を減少させるようにしてもよい。
【0077】
TiClは、ガス供給管320内を流れ、流量調整されたキャリアガスと混合し、ノズル420のガス供給孔420aから処理室201内に供給されつつ排気管231から排気される。処理室201内に供給されるTiClの供給量は、低速のCVD反応が生じる程度の供給量であって、例えば、例えば0.05〜0.3g/minである。TiClおよびNHにウエハ200を晒す時間は例えば15〜120秒である。このときに形成される窒化チタン膜は、高速CVD法により形成された窒化チタン膜よりも膜中のClの残留が少なく、低抵抗で緻密な連続膜となる。また、成膜量に対して十分に過剰なNHが膜中に浸透し、内部に存在する高速CVD膜中のClを低減する効果も有する。
【0078】
同時に、バルブ514を開けたままとし、ガス供給管310の途中につながっているキャリアガス供給管510から不活性ガスを流す。これにより、処理室201内からガス供給管310内にTiClおよびNH等のガスが回り込むことを防ぐことができる。
【0079】
上記ステップ11およびステップ12を1サイクルとし、このサイクルを少なくとも1回以上所定回数行うことにより、ウエハ200上に異なる2種類のCVD法を用いて所定膜厚の窒化チタン膜を成膜する。
【0080】
所定膜厚の窒化チタン膜を形成する成膜処理がなされたら、バルブ514,524,534を開けたまま、バルブ314,324,334を閉じ、N等の不活性ガスを処理室201内へ供給しつつ排気することで、処理室201内を不活性ガスでパージする(パージ)。処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換(不活性ガス置換)されたら、APC243の開度を調整し、処理室201内の圧力を常圧に復帰させる(大気圧復帰)。その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降させて、反応管203の下端が開口されるとともに、処理済ウエハ200を支持したボート217を反応管203の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)する。その後、処理済ウエハ200をボート217より取り出する(ウエハディスチャージ)。
【0081】
CVD法による窒化チタン膜の膜厚は、ガスの供給時間によって調整する。供給時間が長ければ長いほど膜厚をより厚くすることができ、供給時間が短ければ短いほど膜厚をより薄くすることが出来る。このとき、ステップ11の高速CVD法による窒化チタン膜の膜厚は、全膜厚の約半分以上となるよう制御する。その理由は、低速CVD法による窒化チタン膜の膜厚が厚くなってしまうと結果として成膜に必要な所要時間が長くなり、低速CVDが厚いということは結果として成膜に必要な所要時間が長くなり、比較的高速でかつ膜質も良いという効果が薄くなるためである。
【0082】
本実施形態によれば、ステップ12でTiClに対してNHを過剰に供給することにより、形成される窒化チタン膜中からのClを除去できる等の効果が得られ、膜質を向上させることができる。なお、TiClに対するNHの供給比は大きいほうがよい。
また、TiClに対するNHの供給比を変化させて成膜を繰り返すことにより、供給比が大きいパルス(ステップ12)時に供給されるNHの過剰分が、小さいパルス(ステップ11)時に形成された窒化チタン膜の膜質を改善するため、各ガスの供給量を制御することにより全体として膜質は均一となる(ムラはできにくい)。
【0083】
尚、本実施形態では、2種以上の原料であって、例えばTiClとNHを処理室201内に同時に供給する例について、記載しているが、「2種以上の原料を処理室内に同時に供給する」とは、2種以上の原料が、処理室201内の気相中もしくは基板表面において化学気相反応が生じるよう混在した状態を生じさせるように、2種類以上の原料を処理室201内に供給することをいい、処理室201内の気相中もしくは基板表面において化学気相反応が生じていれば、それぞれの原料供給系の開閉タイミングが前後にずれていても良い。
【0084】
[第2の実施形態]
本実施形態では、第1の実施形態と異なる箇所のみ説明する。図11は、本実施形態に係る半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として実施される基板処理工程のフローを示す図である。また、図5は、本実施形態に係る基板処理工程で実施される成膜工程におけるガス供給シーケンスを示す図である。
【0085】
第1の実施形態に係る成膜工程では、第2の成膜工程(ステップ12)においてNHの供給量を変えずにTiClの供給量のみ減少させる低速CVD法を用いた。これに対し、本実施形態に係る成膜工程では、第2の成膜工程(ステップ22)において、TiClの供給量を減少させると共にNHの供給量を増加させることにより低速CVD法を行う。
【0086】
(ステップ21)
本実施形態に係る第1の成膜工程としてのステップ21では、高速のCVD法を用いてウエハ200上に窒化チタン膜を成膜するように、上述の実施形態に係るステップ11と同じ条件にてTiClとNHを同時に流す。
【0087】
(ステップ22)
本実施形態に係る第2の成膜工程としてのステップ22では、低速のCVD法を用いてウエハ200上に窒化チタン膜を形成するように、TiClの供給量を減少させると同時にNHの供給量を増加させる。TiClの供給量を減少させるには、例えば上述したようにガス供給管310にはTiClを流さず、ガス供給管320にTiClを流す。すなわち、ガス供給管310のバルブ314を閉じ、ガス供給管320のバルブ324を共に開ける。TiClは、ガス供給管320内を流れ、流量調整されたキャリアガスと混合し、ノズル420のガス供給孔420aから処理室201内に供給されつつ排気管231から排気される。処理室201内に供給されるTiClの供給量は、低速のCVD反応が生じる程度の供給量であって、例えば、例えば0.05〜0.3g/minである。
【0088】
また、ステップ22では、マスフローコントローラ332によりNHの供給量を制御し、例えば、6.0〜15slmに増加させる。TiClおよびNHにウエハ200を晒す時間は、例えば15〜120秒である。このときに形成される窒化チタン膜は、高速CVD法により形成された窒化チタン膜よりも膜中のClの残留が少なく、低抵抗で緻密な連続膜となる。また、成膜量に対して十分に過剰なNHが膜中に浸透し、内部に存在する高速CVD膜中のClを低減する効果も有する。
【0089】
同時に、バルブ514を開けたままとし、ガス供給管310の途中につながっているキャリアガス供給管510から不活性ガスを流す。これにより、処理室201内からガス供給管310内にTiClおよびNH等のガスが回り込むことを防ぐことができる。
【0090】
上記ステップ21およびステップ22を1サイクルとし、このサイクルを少なくとも1回以上所定回数行うことにより、ウエハ200上に異なる2種類のCVD法を用いて所定膜厚の窒化チタン膜を成膜する。
【0091】
CVD法による窒化チタン膜の膜厚は、ガスの供給時間によって調整する。供給時間が長ければ長いほど膜厚をより厚くすることができ、供給時間が短ければ短いほど膜厚をより薄くすることが出来る。このとき、ステップ21の高速CVD法による窒化チタン膜の膜厚は、全膜厚の約半分以上となるよう制御する。その理由は、低速CVD法による窒化チタン膜の膜厚が厚くなってしまうと結果として成膜に必要な所要時間が長くなり、低速CVDが厚いということは結果として成膜に必要な所要時間が長くなり、比較的高速でかつ膜質も良いという効果が薄くなるためである。
【0092】
本実施形態によれば、ステップ22でTiClに対してNHをさらに過剰に供給することにより、形成される窒化チタン膜中からのClを除去できる等の効果がさらに得られ、膜質をさらに向上させることができる。なお、TiClに対するNHの供給比は大きいほうがよい。また、TiClに対するNHの供給比を変化させて成膜を繰り返すことにより、供給比が大きいパルス(ステップ22)時に供給されるNHの過剰分が、小さいパルス(ステップ21)時に形成された窒化チタン膜の膜質を改善するため、各ガスの供給量を制御することにより全体として膜質は均一となる(ムラはできにくい)。
【0093】
すなわち、本実施形態によれば、ステップ22でNHの供給量を増加させることにより、ステップ22で成膜される窒化チタン膜中へのClの残留量をさらに低減できると共に、下地のステップ21で成膜される窒化チタン膜中へ余剰のNHが進入し、膜中のClの残留量をさらに低減できる。このとき、NHの供給量が多いほうが、より大きな効果が期待できる。
【0094】
尚、ステップ21にてTiClとNHとを同時に流すときは、ステップ11と異なる条件を用いても良い。
【0095】
[第3の実施形態]
本実施形態では、第2の実施形態と異なる箇所のみ説明する。図12は、本実施形態に係る半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として実施される基板処理工程のフローを示す図である。また、図6は、本実施形態に係る基板処理工程で実施される成膜工程におけるガス供給シーケンスを示す図である。
【0096】
第2の実施形態に係る成膜工程では、第2の成膜工程(ステップ22)としてTiClの供給量を減少させつつNHの供給量を増加させる低速CVD法を用いた。これに対し、本実施形態に係る成膜工程では、第2の成膜工程(ステップ32)で、TiClの供給量を減少させると共にNHの供給量も所定時間減少させた後、第3の成膜工程(ステップ33)で、TiClの供給量を減少させたままNHのみ供給量を所定時間増加させ、その後、第4の成膜工程(ステップ34)で、TiClの供給量を減少させたまま再びNHの供給量を所定時間減少させることにより低速CVD法を行う。
【0097】
(ステップ31)
本実施形態に係る第1の成膜工程としてのステップ31では、高速のCVD法を用いてウエハ200上に窒化チタン膜を成膜するように、上述の実施形態に係るステップ11,21と同じ条件にてTiClとNHを同時に流す。
【0098】
(ステップ32)
本実施形態に係る第2の成膜工程としてのステップ32では、第1の低速CVD法を用いてウエハ200上に窒化チタン膜を形成するように、TiClの供給量を減少させると同時にNHの供給量を所定時間減少させる。TiClの供給量を減少させるには、例えば上述したようにガス供給管310にはTiClを流さず、ガス供給管320にTiClを流す。すなわち、ガス供給管310のバルブ314を閉じ、ガス供給管320のバルブ324を共に開ける。TiClは、ガス供給管320内を流れ、流量調整されたキャリアガスと混合し、ノズル420のガス供給孔420aから処理室201内に供給されつつ排気管231から排気される。処理室201内に供給されるTiClの供給量は、低速のCVD反応が生じる程度の供給量であって、例えば、0.05〜0.3g/minである。
【0099】
同時に、マスフローコントローラ332によりNHの供給量を制御し、例えば0.3〜1.6slmに減少させる。このようにステップ32では、ステップ31と同程度のTiCl/NH比を保ってそれぞれのガスの流量を絞る。反応性ガスであるTiClとNHの導入量を絞ることによって、処理室201内の反応生成物を処理室201の外に効率よく排出するようにする。これにより、Clの残留低減、異物低減等に対する効果が期待される。また、TiClおよびNHにウエハ200を晒す時間は、例えば5〜30秒である。
【0100】
このとき形成される窒化チタン膜の成膜速度は、TiClの量が低速CVDと同程度なので低速CVD法による窒化チタン膜と同程度となり、膜質はTiCl/NH比が高速CVDと同程度なので高速CVD並みの膜質もありえる。ただし、成膜速度が遅い分、膜質改善される。膜質は、高速CVD法による窒化チタン膜と低速CVD法による窒化チタン膜との中間程度となる。
【0101】
同時に、バルブ514を開けたままとし、ガス供給管310の途中につながっているキャリアガス供給管510から不活性ガスを流す。これにより、処理室201内からガス供給管310内にTiClおよびNH等のガスが回り込むことを防ぐことができる。
【0102】
(ステップ33)
本実施形態に係る第3の成膜工程としてのステップ33では、第2の低速CVD法を用いてウエハ200上に窒化チタン膜を形成するように、TiClの供給量を変えずに(減少させたまま)、NHの供給量を所定時間増加させる。すなわち、マスフローコントローラ332によりNHの供給量を制御し、例えば、実施形態1および実施形態2を考慮して5〜15slmに増加させる。TiClおよびNHにウエハ200を晒す時間は、例えば15〜120秒である。
【0103】
このとき形成される窒化チタン膜では、ステップ33で成膜される窒化チタン膜中へのClの残留量を低減できると共に、下地のステップ31およびステップ32で成膜される窒化チタン膜中へ余剰のNHが進入し、膜中のClの残留量を低減できる。
【0104】
(ステップ34)
本実施形態に係る第4の成膜工程としてのステップ34では、第3の低速CVD法を用いてウエハ200上に窒化チタン膜を形成するように、TiClの供給量を変えずに(減少させたまま)、NHの供給量を再び所定時間減少させる。すなわち、マスフローコントローラ332によりNHの供給量を制御し、例えば、0.3〜5.0slmに減少させる。TiClおよびNHにウエハ200を晒す時間は、例えば5〜30秒である。このとき形成される窒化チタン膜の成膜速度は、TiClの量が低速CVDと同程度なので低速CVD法による窒化チタン膜と同程度となる。膜質はTiCl/NH比が高速CVD法と低速CVD法の中間程度であるため、高速CVD法による窒化チタン膜と低速CVD法による窒化チタン膜の中間程度となる。
【0105】
上記ステップ31〜34を1サイクルとし、このサイクルを少なくとも1回以上所定回数行うことにより、ウエハ200上に複数の異なる種類のCVD法を用いて所定膜厚の窒化チタン膜を成膜する。
【0106】
CVD法による窒化チタン膜の膜厚は、ガスの供給時間によって調整する。供給時間が長ければ長いほど膜厚をより厚くすることができ、供給時間が短ければ短いほど膜厚をより薄くすることが出来る。このとき、ステップ31の高速CVD法による窒化チタン膜の膜厚と第2〜4の低速CVD法による窒化チタン膜との膜厚比は、高速CVD法による窒化チタン膜の膜厚が、全膜厚の約半分以上となるよう制御する。その理由は、低速CVD法による窒化チタン膜の膜厚が厚くなってしまうと結果として成膜に必要な所要時間が長くなり、低速CVDが厚いということは結果として成膜に必要な所要時間が長くなり、比較的高速でかつ膜質も良いという効果が薄くなるためである。
【0107】
本実施形態によれば、ステップ33でTiClに対してNHを過剰に供給することにより、形成される窒化チタン膜中からのClを除去できる等の効果が得られ、膜質を向上させることができる。なお、TiClに対するNHの供給比は大きいほうがよい。
また、TiClに対するNHの供給比を変化させて成膜を繰り返すことにより、供給比が大きいパルス(ステップ33)時に供給されるNHの過剰分が、小さいパルス(ステップ31,32,34)時に形成された窒化チタン膜の膜質を改善するため、各ガスの供給量を制御することにより全体として膜質は均一となる(ムラはできにくい)。
【0108】
また、本実施形態によれば、ステップ32およびステップ34でNHの供給量を減少させることにより、処理室201内からの反応性生物の排出を促進することができ、ステップ33でNHを増加させることにより、Clを除去して窒化チタン膜の膜質を改善することができる。
【0109】
尚、ステップ31にてTiClとNHとを同時に流すときは、ステップ11と異なる条件を用いても良い。
【0110】
[第4の実施形態]
本実施形態では、第1の実施形態と異なる箇所のみ説明する。図13は、本実施形態に係る半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として実施される基板処理工程のフローを示す図である。また、図7は、本実施形態に係る基板処理工程で実施される成膜工程におけるガス供給シーケンスを示す図である。
【0111】
第1の実施形態に係る成膜工程では、第1の成膜工程(ステップ11)及び第2の成膜工程(ステップ12)の両工程において、TiClとNHのどちらも止めずに連続して供給した。これに対し、本実施形態に係る成膜工程では、第2の成膜工程(ステップ43)の前後に、処理室201内へのTiClとNHの供給を停止して処理室201内から残留ガスを除去するガス除去工程(ステップ42,44)をそれぞれ行う。
【0112】
(ステップ41)
本実施形態に係る第1の成膜工程としてのステップ41では、高速のCVD法を用いてウエハ200上に窒化チタン膜を成膜するように、上述の実施形態に係るステップ11,21,31と同じ条件にてTiClとNHとを同時に流す。
【0113】
(ステップ42)
本実施形態に係るガス除去工程としてのステップ42では、ガス供給管310、330のバルブ314、334を閉めて処理室201内へのTiClおよびNHの供給を停止し、バルブ614を開けてベントライン610へTiClを流す。このように、TiClの気化を停止させずに処理室201内へのTiClの供給を停止することで、後述するステップ43にてTiClの供給再開を迅速かつ安定して行うことができる。このときガス排気管231のバルブ243は開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を20Pa以下となるまで排気し、残留するTiClおよびNHを処理室201内から排除する。このとき、N等の不活性ガスを処理室201内へ供給すると、残留するTiClおよびNHを排除する効果が更に高まる。
【0114】
(ステップ43)
本実施形態に係る第2の成膜工程としてのステップ43では、第1の実施形態に係るステップ12と同じように、低速のCVD法を用いてウエハ200上に窒化チタン膜を成膜するように、NHの供給量は変えず、TiClの供給量のみを減少させる。
【0115】
(ステップ44)
本実施形態に係るガス除去工程としてのステップ44では、ガス供給管310、330のバルブ314、334を閉めて処理室201内へのTiClおよびNHの供給を停止し、バルブ614を開けてベントライン610へTiClを流す。このように、TiClの気化を停止させずに処理室201内へのTiClの供給を停止することで、ステップ41を再び実施する際に、TiClの供給再開を迅速かつ安定して行うことができる。このときガス排気管231のバルブ243は開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を20Pa以下となるまで排気し、残留するTiClおよびNHを処理室201内から排除する。このとき、N等の不活性ガスを処理室201内へ供給すると、残留するTiClおよびNHを排除する効果が更に高まる。
【0116】
上記ステップ41〜44を1サイクルとし、このサイクルを少なくとも1回以上所定回数行うことにより、処理室201内のガス除去を行いつつ、複数の異なる種類のCVD法を用いてウエハ200上に所定膜厚の窒化チタン膜を成膜する。
【0117】
本実施形態によれば、ステップ43でTiClに対してNHを過剰に供給することにより、形成される窒化チタン膜中からのClを除去できる等の効果が得られ、膜質を向上させることができる。なお、TiClに対するNHの供給比は大きいほうがよい。
また、TiClに対するNHの供給比を変化させて成膜を繰り返すことにより、供給比が大きいパルス(ステップ43)時に供給されるNHの過剰分が、小さいパルス(ステップ41)時に形成された窒化チタン膜の膜質を改善するため、各ガスの供給量を制御することにより全体として膜質は均一となる(ムラはできにくい)。
【0118】
また、本実施形態によれば、異なる条件でのCVD成膜(ステップ41,43)のインターバル(ステップ42,44)で原料ガスとしての反応性ガスの導入を停止することによって、処理室201内の反応生成物を処理室201の外により効率よく排出するようにすることができる。本実施形態によれば、第3の実施形態と比べても反応生成物の排出がより効率よく行われ、Clの残留低減、異物低減等に対する効果が期待される。更に2種のCVD条件を分離することにより、流量切り替え時に膜質を制御しきれない漸近的な窒化チタン膜が形成される可能性を低減できるため、膜質の制御にも有効である。但し、インターバル(ステップ42,44)で成膜が行われないため、スループット的には不利でとなる場合がある。膜質とスループットとの要求値のバランスでいずれの実施形態が最適か変わってくる。
【0119】
[第5の実施形態]
本実施形態では、第2の実施形態と異なる箇所のみ説明する。図14は、本実施形態に係る半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として実施される基板処理工程のフローを示す図である。また、図8は、本実施形態に係る基板処理工程で実施される成膜工程におけるガス供給シーケンスを示す図である。
【0120】
第2の実施形態に係る成膜工程では、第1の成膜工程(ステップ21)及び第2の成膜工程(ステップ21)の両工程において、TiClとNHのどちらも止めずに連続して供給した。これに対し、本実施形態に係る成膜工程では、第2の成膜工程(ステップ53)の前後に、処理室201内へのTiClとNHの供給を停止して処理室201内から残留ガスを除去するガス除去工程(ステップ52,54)をそれぞれ行う(係る点は第4の実施形態と同様である)。なお、本実施形態に係る第2の成膜工程(53)では、第2の実施形態と同様に、TiClの供給量を減少させると共にNHの供給量を増加させることにより低速CVD法を行う(係る点は第4の実施形態と異なる)。
【0121】
(ステップ51)
本実施形態に係る第1の成膜工程としてのステップ51では、高速のCVD法を用いてウエハ200上に窒化チタン膜を成膜するように、上述の実施形態に係るステップ11,21,31と同じ条件にてTiClとNHとを同時に流す。
【0122】
(ステップ52)
本実施形態に係るガス除去工程としてのステップ52では、ガス供給管310、330のバルブ314、334を閉めて処理室201内へのTiClおよびNHの供給を停止し、バルブ614を開けてベントライン610へTiClを流す。このように、TiClの気化を停止させずに処理室201内へのTiClの供給を停止することで、後述するステップ53にてTiClの供給再開を迅速かつ安定して行うことができる。このときガス排気管231のバルブ243は開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を20Pa以下となるまで排気し、残留するTiClおよびNHを処理室201内から排除する。このとき、N等の不活性ガスを処理室201内へ供給すると、残留するTiClおよびNHを排除する効果が更に高まる。
【0123】
(ステップ53)
本実施形態に係る第2の成膜工程としてのステップ53では、第2の実施形態に係るステップ22と同じように、低速のCVD法を用いてウエハ200上に窒化チタン膜を形成するように、TiClの供給量をステップ51より減少させ、NHの供給量をステップ51より増加させて処理室201内に供給する。
【0124】
(ステップ54)
本実施形態に係るガス除去工程としてのステップ54では、ガス供給管310、330のバルブ314、334を閉めて処理室201内へのTiClおよびNHの供給を停止し、バルブ614を開けてベントライン610へTiClを流す。このように、TiClの気化を停止させずに処理室201内へのTiClの供給を停止することで、ステップ51を再び実施する際に、TiClの供給再開を迅速かつ安定して行うことができる。このときガス排気管231のバルブ243は開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を20Pa以下となるまで排気し、残留するTiClおよびNHを処理室201内から排除する。このとき、N等の不活性ガスを処理室201内へ供給すると、残留するTiClおよびNHを排除する効果が更に高まる。
【0125】
上記ステップ51〜54を1サイクルとし、このサイクルを少なくとも1回以上所定回数行うことにより、処理室201内のガス除去を行いつつ、複数の異なる種類のCVD法を用いてウエハ200上に所定膜厚の窒化チタン膜を成膜する。
【0126】
本実施形態によれば、ステップ53でTiClに対してNHを過剰に供給することにより、形成される窒化チタン膜中からのClを除去できる等の効果が得られ、膜質を向上させることができる。なお、TiClに対するNHの供給比は大きいほうがよい。
また、TiClに対するNHの供給比を変化させて成膜を繰り返すことにより、供給比が大きいパルス(ステップ53)時に供給されるNHの過剰分が、小さいパルス(ステップ51)時に形成された窒化チタン膜の膜質を改善するため、各ガスの供給量を制御することにより全体として膜質は均一となる(ムラはできにくい)。
【0127】
また、本実施形態によれば、第4の実施形態と同様に、異なる条件でのCVD成膜(ステップ61,62)の繰り返しのインターバル(ステップ63)で原料ガスとしての反応性ガスの導入を停止することによって、処理室201内の反応生成物を処理室201の外により効率よく排出するようにすることができる。これにより、窒化チタン膜中へのCl等の残留をより効果的に防止するようになっている。
【0128】
[第6の実施形態]
本実施形態では、第1の実施形態と異なる箇所のみ説明する。図15は、本実施形態に係る半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として実施される基板処理工程のフローを示す図である。また、図8は、本実施形態に係る基板処理工程で実施される成膜工程におけるガス供給シーケンスを示す図である。
【0129】
第1の実施形態に係る成膜工程では、第1の成膜工程(ステップ11)と第2の成膜工程(ステップ12)とを1サイクルとして、このサイクルを所定回数実施するように構成されていた。これに対し、本実施形態では、第2の成膜工程(ステップ61)と第2の成膜工程(ステップ62)を実施した後、さらに処理室201内へのTiClとNHの供給を停止して処理室201内から残留ガスを除去するガス除去工程(ステップ63)を実施し、ステップ61〜63を1サイクルとして、このサイクルを所定回数実施する点が第1の実施形態と異なる。
【0130】
(ステップ61)
本実施形態に係る第1の成膜工程としてのステップ61では、第1の実施形態に係るステップ11と同じように、高速のCVD法を用いてウエハ200上に窒化チタン膜を成膜するよう、TiClとNHとを処理室201内へ同時に供給する。
【0131】
(ステップ62)
本実施形態に係る第2の成膜工程としてのステップ62では、第1の実施形態に係るステップ12と同じように、低速のCVD法を用いてウエハ200上に窒化チタン膜を成膜するよう、TiClの供給量をステップ61より減少させ、ステップ61と同じ供給量のNHを処理室201内に供給する。
【0132】
(ステップ63)
本実施形態に係るガス除去工程としてのステップ63では、ガス供給管310、330のバルブ314、334を閉めて処理室201内へのTiClおよびNHの供給を停止し、バルブ614を開けてベントライン610へTiClを流す。このように、TiClの気化を停止させずに処理室201内へのTiClの供給を停止することで、ステップ61,62を再び実施する際に、TiClの供給再開を迅速かつ安定して行うことができる。このときガス排気管231のバルブ243は開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を20Pa以下となるまで排気し、残留するTiClおよびNHを処理室201内から排除する。このとき、N等の不活性ガスを処理室201内へ供給すると、残留するTiClおよびNHを排除する効果が更に高まる。
【0133】
上記ステップ61〜63を1サイクルとし、このサイクルを少なくとも1回以上所定回数行うことにより、処理室201内のガス除去を行いつつ、複数の異なる種類のCVD法を用いてウエハ200上に所定膜厚の窒化チタン膜を成膜する。
【0134】
本実施形態によれば、ステップ62でTiClに対してNHを過剰に供給することにより、形成される窒化チタン膜中からのClを除去できる等の効果が得られ、膜質を向上させることができる。なお、TiClに対するNHの供給比は大きいほうがよい。
また、TiClに対するNHの供給比を変化させて成膜を繰り返すことにより、供給比が大きいパルス(ステップ62)時に供給されるNHの過剰分が、小さいパルス(ステップ61)時に形成された窒化チタン膜の膜質を改善するため、各ガスの供給量を制御することにより全体として膜質は均一となる(ムラはできにくい)。
【0135】
また、本実施形態によれば、第4の実施形態と同様に、異なる条件でのCVD成膜(ステップ61,62)の繰り返しのインターバル(ステップ63)で原料ガスとしての反応性ガスの導入を停止することによって、処理室201内の反応生成物を処理室201の外により効率よく排出するようにすることができる等の効果が得られる。なお、残留するガス除去の副作用としてはスループットが低下する場合があることが挙げられる。しかし、本実施形態のように一方だけでガス除去を行えば(すなわち、ステップ61及びステップ62の両方の後でそれぞれガス除去工程を行うのではなく、ステップ62の後だけでガス除去工程を行えば)、スループット低下を緩和できる。膜質とスループットの要求値のバランスでいずれの実施形態が最適であるかが変わってくる。
【0136】
尚、高速CVD法を用いて窒化チタン膜を形成する際は、ガス供給管310のみならずガス供給管320にもTiClを流し、ノズル410およびノズル420の両方から処理室201内へTiClを供給してもよい。
【0137】
高速CVD法による窒化チタン膜の成膜と低速CVD法による窒化チタン膜の成膜とを繰り返し行うことにより、ALD法を用いて窒化チタン膜を形成した場合のような高品質の膜を高スループットで形成することが可能となる。
【0138】
さらに、高速CVD法による窒化チタン膜の上に、低速CVD法による窒化チタン膜を形成することにより、下地となる高速CVD膜が改質され、より緻密な連続膜を形成することが可能となる。
【0139】
また、本実施形態により、生産性を高く保ちつつ窒化チタン膜の抵抗低減および塩素(Cl)濃度低減等の膜質改善を行うことが出来る。
【0140】
尚、上記では、主に縦型バッチ式装置について説明したが、本実施形態における少なくとも2種以上の異なるCVD法を用いた窒化チタン膜の形成については、縦型バッチ式装置に限らず、横型装置や枚葉装置など他の装置にも適用可能である。
また、上記では、主に縦型の熱CVD装置について説明したが、本実施形態における少なくとも2種以上の異なるCVD法を用いた窒化チタン膜の形成については、熱CVD装置に限らず、プラズマCVD装置、光CVD装置など、他の装置にも適用可能である。
【0141】
また、主に窒化チタン膜について記載したが、本発明はこれに限らず、他の膜種にも適用可能である。原料としてハロゲン化金属化合物や有機金属化合物を用いて基板(ウエハ)上に形成される導電性膜(Ti、TiN、TiAlN、TiSiN、Ta、TaN、TaSiN、Al、Cu、Mn、MnO、Ru、W、GeSb、GeSbTe等)ないしは絶縁性膜(HfO、HfON、HfSiO、HfSiON、HfAlO、HfAlON、ZrO、AlO、AlN等)にも適用可能である。さらに、上記に加えて、Si系ハロゲン化物(DCS、HCD等)ないしSi系有機材料(TEOS、TDMAT等)を用いて基板上に形成されるSi系膜にも適用可能である。
【0142】
さらに、原料は、Ti、Al、Si、Ta、Cu、Mn、Ru、W、Ge、Sb、Te、Hf、Zrのいずれか少なくとも1つを含む原料であれば適用可能である。また、基板上に形成されたハロゲン化金属化合物や有機金属化合物の一部を含む膜を改質する原料は、NHに限らず、O含有原料もしくはN含有原料であれば適用可能であり、例えば、N、NO、CH、O、O、HO、H、O及びHのいずれかであっても良い。
【0143】
[本発明の好ましい態様]
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0144】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
2種類以上のガスを反応させることにより、被処理基板上に薄膜を形成する成膜装置であって、前記の反応に供するガスのうち少なくとも一つをパルス状にチャンバ内に供給し、かつ一連の成膜シーケンスで2種類以上の異なる形態のパルスを用いて薄膜を成膜することを特徴とする薄膜成膜装置が提供される。
(付記2)
好ましくは、成膜装置が5枚以上の基板を同時に処理するバッチ処理装置である。
(付記3)
好ましくは、少なくとも1種類のガスをチャンバ内に供給するガス導入部が、2種類存在する。
(付記4)
好ましくは、少なくとも1種類のガスをチャンバ内に供給するガス導入部が2本以上のノズルである。
(付記5)
好ましくは、ノズルが、それぞれ孔径の異なる多孔ノズルである。
(付記6)
好ましくは、成膜される薄膜が、金族化合物である。
(付記7)
好ましくは、成膜される薄膜が、窒化チタン(TiN)膜である。
(付記8)
好ましくは、成膜に供する反応ガスにTiClとNHを含む。
(付記9)
好ましくは、一連の成膜シーケンスで、2種類以上の異なる形態のパルスを用いて供給されるガスがTiClである。
(付記10)
好ましくは、成膜装置において5枚以上の基板を同時に処理するバッチ処理を行う。
(付記11)
好ましくは、少なくとも1種類のガスをチャンバ内に供給する際に、形状の異なる2種類以上のノズルからガスを導入する。
(付記12)
好ましくは、成膜される薄膜が、金族化合物である。
(付記13)
好ましくは、成膜される薄膜が、窒化チタン(TiN)膜である。
(付記14)
本発明の他の態様によれば、
2種類以上の原料を処理室内に同時に供給し、処理室内に載置された基板上に膜を形成する半導体装置の製造方法であって、
少なくとも1種の原料を第1の供給量で処理室内に供給する第1の原料供給工程と、
この少なくとも1種の原料を第1の供給量とは異なる第2の供給量で処理室内に供給する第2の原料供給工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
(付記15)
本発明の他の態様によれば、2種類以上の原料を処理室内に同時に供給し、処理室内に載置された基板上に膜を形成する半導体装置の製造方法であって、
第1の原料を第1の供給量で処理室内に供給しつつ、第2の原料を第2の供給量で処理室内に供給して基板上に膜を形成する第1の成膜工程と、
第1の原料を第1の供給量とは異なる第3の供給量で処理室内に供給しつつ第2の原料を第2の供給量で処理室内に供給して基板上に膜を形成する第2の成膜工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
(付記16)
好ましくは、第1の成膜工程と第2の成膜工程を連続して行う。
(付記17)
好ましくは、第1の成膜工程と第2の成膜工程を複数回交互に繰り返す。
(付記18)
好ましくは、第3の供給量は第1の供給量より少ない。
(付記19)
好ましくは、第3の供給量は第2の供給量より少ない。
(付記20)
好ましくは、第1の原料は、Ti、Al、Si、Ta、Cu、Mn、Ru、W、Ge、Sb、Te、Hf、Zrのいずれか少なくとも1つを含む。
(付記21)
好ましくは、第1の原料は、ハロゲン系化合物もしくは有機系化合物である。
(付記23)
好ましくは、第1の原料は、ハロゲン系金属化合物もしくは有機系金属化合物である。
(付記24)
好ましくは、第1の原料は、ハロゲン系Si化合物もしくは有機系Si化合物である。
(付記25)
好ましくは、第2の原料は、O含有原料もしくはN含有原料である。
(付記26)
好ましくは、第2の原料は、NH、N、NO、CH、O、O、HO、H、O及びHのいずれかである。
(付記27)
好ましくは、基板上に形成される膜は、導電膜もしくは絶縁膜である。
(付記28)
好ましくは、基板上に形成される膜は、Ti、TiN、TiAlN、TiSiN、Ta、TaN、TaSiN、Al、Cu、Mn、MnO、Ru、W、GeSb、GeSbTe、HfO、HfON、HfSiO、HfSiON、HfAlO、HfAlON、ZrO、AlO、AlN、TiO、SiN、SiOのいずれかである。
(付記29)
本発明の他の態様によれば、2種以上の原料を処理室内に同時に供給し、処理室内に載置された基板上に膜を形成する半導体装置の製造方法であって、
第1の原料を第1の供給量で処理室内に供給しつつ、第2の原料を第2の供給量で処理室内に供給して基板上に膜を形成する第1の成膜工程と、
第1の原料を前記第1の供給量とは異なる第3の供給量で処理室内に供給しつつ第2の原料を第2の供給量とは異なる第4の供給量で処理室内に供給して基板上に膜を形成する第2の成膜工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
(付記30)
好ましくは、第1の成膜工程と第2の成膜工程を連続して行う。
(付記31)
好ましくは、第1の成膜工程と第2の成膜工程を複数回交互に繰り返す。
(付記32)
好ましくは、第3の供給量は第1の供給量より少なく、第4の供給量は第2の供給量より多い。
(付記33)
好ましくは、第3の供給量は第4の供給量より少ない。
(付記34)
本発明の他の態様によれば、
2種以上の原料を処理室内に同時に供給し、処理室内に載置された基板上に膜を形成する半導体装置の製造方法であって、
第1の原料を第1の供給量で処理室内に供給しつつ、第2の原料を第2の供給量で処理室内に供給して基板上に膜を形成する第1の成膜工程と、
第1の原料を第1の供給量より少ない第3の供給量で処理室内に供給しつつ第2の原料を第2の供給量より少ない第4の供給量で処理室内に供給して基板上に膜を形成する第2の成膜工程と、
第1の原料を第3の供給量で処理室内に供給しつつ、第2の原料を第2の供給量より多い第5の供給量で処理室内に供給して基板上に膜を形成する第3の成膜工程と、
第1の原料を第3の供給量で処理室内に供給しつつ、第2の原料を第4の供給量で処理室内に供給して基板上に膜を形成する第4の成膜工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
(付記35)
本発明の他の態様によれば、
2種類以上の原料を処理室内に同時に供給し、処理室内に載置された基板上に膜を形成する半導体装置の製造方法であって、
少なくとも1種の原料を第1の供給量で処理室内に供給して基板上に膜を形成する第1の成膜工程と、
少なくとも1種の原料を第1の供給量とは異なる第2の供給量で処理室内に供給して前記基板上に膜を形成する第2の成膜工程と、
2種類以上の原料を処理室から除去する原料除去工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
(付記35)
本発明の他の態様によれば、
2種類以上の原料を処理室内に同時に供給し、前記処理室内に載置された基板上に膜を形成する半導体装置の製造方法であって、
処理室内に基板を収容する工程と、
少なくとも1種の原料を2つの異なる流量を有する複数の連続的パルスで処理室内に供給する工程と、
を備える半導体装置の製造方法が提供される。
(付記36)
本発明の他の態様によれば、
基板を収容する処理室と、
処理室内に複数の原料を同時に供給し、基板上に膜を形成する原料供給手段と、
少なくとも1種の原料を第1の供給量で処理室内に供給した後、少なくとも1種の原料を第1の供給量とは異なる第2の供給量で処理室内に供給することにより、基板上に膜を形成するよう原料供給手段を制御する制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
(付記37)
本発明の他の態様によれば、
基板を収容する処理室と、
処理室内に複数の原料を同時に供給し、基板上に膜を形成する原料供給手段と、
少なくとも1種の原料を2つの異なる流量を有する複数の連続的パルスで処理室内に供給するよう原料供給手段を制御する制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
(付記38)
本発明の他の態様によれば、
2種類以上の原料を処理室内に同時に供給し、処理室内に載置された基板上に膜を形成する半導体装置の製造方法により製造(形成)される半導体装置であって、
少なくとも1種の原料を第1の供給量で処理室内に供給する第1の原料供給工程と、
少なくとも1種の原料を第1の供給量とは異なる第2の供給量で処理室内に供給する第2の原料供給工程と、
を有する半導体装置の製造方法により製造(形成)される半導体装置が提供される。
(付記39)
本発明の他の態様によれば、
2種類以上の原料を処理室内に同時に供給し、処理室内に載置された基板上に膜を形成する半導体装置の製造方法により製造(形成)される半導体装置であって、
処理室内に基板を収容する工程と、
少なくとも1種の原料を2つの異なる流量を有する複数の連続的パルスで処理室内に供給する工程と、
を備える半導体装置の製造方法により製造(形成)される半導体装置が提供される。
【符号の説明】
【0145】
101 基板処理装置
200 ウエハ
201 処理室
202 処理炉
203 反応管
207 ヒータ
217 ボート
218 ボート支持台
231 排気管
243 バルブ
246 真空ポンプ
267 ボート回転機構
280 コントローラ
310,320、330 ガス供給管
312,332 マスフローコントローラ
314,324,334 バルブ
410,420,430 ノズル
410a,420a、430a ガス供給孔




【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種類以上の原料を処理室内に同時に供給し、前記処理室内に載置された基板上に膜を形成する半導体装置の製造方法であって、
前記処理室内に基板を収容する工程と、
少なくとも1種の原料を2つの異なる流量を有する複数の連続的パルスで前記処理室内に供給する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項2】
2種類以上の原料を処理室内に同時に供給し、前記処理室内に載置された基板上に膜を形成する半導体装置の製造方法であって、
前記処理室内に基板を収容する工程と、
少なくとも1種の原料を前記処理室内に同時に供給する前記2種類以上の原料の供給比が大きい供給比と小さい供給比となるように2つの異なる流量を供給して複数の連続的パルスで前記処理室内に供給する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記2種類以上の原料を前記処理室内から除去する原料除去工程をさらに有する請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内に複数の原料を同時に供給し、前記基板上に膜を形成する原料供給手段と、
少なくとも1種の原料を2つの異なる流量を有する複数の連続的パルスで前記処理室内に供給するよう前記原料供給手段を制御する制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項5】
基板を収容する処理室と、
前記処理室内に複数の原料を同時に供給し、前記基板上に膜を形成する原料供給手段と、
少なくとも1種の原料を前記処理室内に同時に供給する前記2種類以上の原料の供給比が大きい供給比と小さい供給比となるように2つの異なる流量を供給して複数の連続的パルスで前記処理室内に供給するよう前記原料供給手段を制御する制御部と、
を有する基板処理装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−233265(P2012−233265A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−172942(P2012−172942)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2010−160873(P2010−160873)の分割
【原出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】