半導体装置の製造方法
【課題】電解メッキ法を用いて金属薄膜を形成する半導体装置の製造方法において、半導体基板にクラックが発生することを抑制する。
【解決手段】給電層2が形成された半導体基板1を支持基板3上に固定し、一端が半導体基板1上の給電層2と接触し、他端が支持基板3上に固定されるように導電性テープ5を貼付する。そして、導電性テープ5の半導体基板1と接触してない部分8にコンタクトピン7を接触させて電解メッキを行い、メッキ10を形成する。これにより、コンタクトピン7の接触圧に起因する半導体基板1のクラック発生を抑制し、良好な金属薄膜を形成することができる。
【解決手段】給電層2が形成された半導体基板1を支持基板3上に固定し、一端が半導体基板1上の給電層2と接触し、他端が支持基板3上に固定されるように導電性テープ5を貼付する。そして、導電性テープ5の半導体基板1と接触してない部分8にコンタクトピン7を接触させて電解メッキを行い、メッキ10を形成する。これにより、コンタクトピン7の接触圧に起因する半導体基板1のクラック発生を抑制し、良好な金属薄膜を形成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法に関し、特に、厚さが100μm以下の薄い半導体基板上に、電解メッキ法を用いて金属薄膜を形成する半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に数μmの厚さの金属膜を形成する工程では、スループット等の理由から、電解メッキ法が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図11〜図15に、従来の電解メッキ法による金属薄膜の形成方法を示す。まず、図11に示すように、厚さが100μm以下の半導体基板1を準備する。次に、図12に示すように、半導体基板1の裏面1a上に、電解メッキを行うための給電層2(厚さ0.5μm程度)をスパッタ等により形成する。
【0004】
次に、図13に示すように、給電層2を形成した半導体基板1を、コンタクトピン7により保持フレーム6に固定する。次に、図14に示すように、半導体基板1を電解メッキ液9に浸漬し、コンタクトピン7を介して半導体基板1に電流を流す。すると、電解反応によりメッキ液9中の金属イオンが半導体基板1の裏面1a上に析出し、金属膜が形成される。
【0005】
上記メッキ法により所望の膜厚の金属膜を形成した後、半導体基板1に流す電流を停止させる。そして、半導体基板1をメッキ液9から取り出して、保持フレーム6から取り外す。この結果、図15に示すように、半導体基板1の裏面1a上に、金属薄膜10が形成される。
【0006】
【特許文献1】特開平9−53198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の半導体装置の製造方法において、電解メッキを行う際は、図14に示すように、半導体基板1はコンタクトピン7により保持フレーム6に固定されている。電解メッキに必要な電流を流すためには、コンタクトピン7と半導体基板1との間の接触抵抗をある程度小さくする必要がある。このためコンタクトピン7は、所定値以上の接触圧で半導体基板1に押し付けられている。
【0008】
そのため、特に半導体基板の厚さが100μm以下と薄い場合は、上記コンタクトピンの接触圧により半導体基板にクラックが発生するおそれがあった。つまり、図15に示す10b(コンタクトピンが押し付けられていた箇所)にクラックが発生する可能性があった。そうすると、その後の工程の温度変動等によりクラックが拡大し、半導体基板が割れ、不良発生の原因となり得る。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、半導体基板上に電解メッキ法を用いて金属薄膜を形成する半導体装置の製造方法において、半導体基板にクラックが発生することを抑制し、良好な金属薄膜を形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、支持基板上に半導体基板を固定し、前記半導体基板にコンタクトピンを介して電流を流す電解メッキを用いて前記半導体基板上に金属膜を形成する半導体装置の製造方法であって、前記半導体基板上に給電層を形成する工程と、一端が前記給電層に接し、他端が前記支持基板に固定された導電層を形成する工程と、前記導電層の前記支持基板に固定された部分に前記コンタクトピンを接触させ、前記コンタクトピン、前記導電層、及び前記給電層を介して前記半導体基板に電流を供給して前記電解メッキを行い、前記半導体基板上に前記金属膜を形成する工程とを含むことを特徴とする。本発明のその他の特徴については、以下において詳細に説明する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、半導体基板上に電解メッキ法を用いて金属薄膜を形成する半導体装置の製造方法において、半導体基板にクラックが発生することを抑制し、良好な金属薄膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において同一または相当する部分には同一符号を付して、その説明を簡略化ないし省略する。
【0013】
実施の形態1.
本実施の形態1に係る半導体装置の製造方法について、図1〜図5を参照しながら説明する。ここでは、直径約125mmの支持基板上に直径100mmのGaAs基板(以下、単に「半導体基板」という)を固定し、半導体基板にコンタクトピンを介して電流を流す電解メッキ法を用いて、半導体基板上に金属薄膜を形成する方法について説明する。また、図1〜図5において、半導体基板のメッキを形成する面の斜視図を(a)に示し、各斜視図のA方向から見た半導体基板端部付近の側面図を(b)に示す。
【0014】
まず、上述した支持基板上に、半導体基板の主面側を貼付して固定する。次に、この半導体基板の裏面側を研削して、基板の厚さを100μm以下とする。次に、半導体基板の裏面上に、給電層を形成する。この結果、図1(a)、(b)に示すように、支持基板3の上に半導体基板1が固定され、裏面1a上に給電層2が形成された構造が得られる。給電層2は、後に行う電解メッキで半導体基板1に電流を供給するためのものである。
【0015】
給電層2は、例えばスパッタ等を用いて、半導体基板1の裏面1a上にチタン(Ti)及び金(Au)を順次積層して形成する。そして、これらの膜厚の合計が0.5μm程度となるようにする。
【0016】
半導体基板1は支持基板3上の中央部付近に固定され、半導体基板1の端部と支持基板3の端部との間には、外縁部4が設けられている。上述したように半導体基板1の直径は100mmであり、支持基板3の直径は約125mmであるため、外縁部4の幅は12.5mm程度となる。
【0017】
また、上述したように支持基板3上に半導体基板1を貼付した後、半導体基板1の裏面側を研削するため、支持基板3には所定の強度と寸法精度が必要である。また、支持基板3の材料としては絶縁性材料が望ましい。このため、支持基板3として、1mm程度の厚さのガラス基板を用いる。
【0018】
次に、図2(a)に示すように、給電層2の端部付近から支持基板3の外縁部4上に跨るように、導電性テープ5を貼り付ける。このとき導電性テープ5の全体の長さは約10mmであり、給電層2と導電性テープ5のオーバーラップ長さは1〜2mm程度である。また、導電性テープ5を貼り付ける位置は、半導体基板1の裏面1a上の左右2箇所とし、導電性テープ5の支持基板3上の端部は、後に電解メッキを行う際に、コンタクトピンが接触する位置と一致させる。
【0019】
このようにして、電解メッキを行う際にコンタクトピンが接触する導電層を形成する。そして、この導電層の一方の端部は給電層2に接触し、他方の端部は支持基板3上に固定されている。本実施の形態1では、上記導電層として、Niメッキクロスに導電性粘着剤を塗布した、厚さ0.14mm、幅12mmの導電性テープを用いる。
【0020】
次に、電解メッキを行う際に、半導体基板1をメッキ液に浸漬させるための保持フレームを準備する。そして図3(a)、(b)に示すように、コンタクトピン7を、導電性テープ5の半導体基板1にかからない部分、つまり導電性テープ5の支持基板3に固定された部分8に接触させて、半導体基板1を保持フレーム6に固定する。
【0021】
次に、図4(a)に示すように、半導体基板1をメッキ液9に浸漬させる。ここでメッキ液9は、亜硫酸Auナトリウムを主成分とし、Auを形成するためのメッキ液である。そして、コンタクトピン7、導電性テープ5、及び給電層2を介して、半導体基板1に電流を供給する。すると、電解反応によりメッキ液9からAuが析出し、半導体基板1上、及び導電性テープ5の上に金薄膜が成長する。このようにして、図4(b)に示すように、半導体基板1上、及び導電性テープ5の上に、メッキ10を形成することができる。
【0022】
以上のようにして、コンタクトピン7、導電性テープ5、及び給電層2を介して半導体基板1に電流を供給して電解メッキを行い、半導体基板1の裏面1a上に金属薄膜を形成することができる。このときコンタクトピン7を、導電性テープ5の半導体基板1と接触していない部分に接触させるようにしたので、コンタクトピン7の接触圧が半導体基板1に加わることがない。従って、半導体基板1にクラックが発生することを防止できる。
【0023】
所望の厚さのメッキが形成された後、コンタクトピン7に流れる電流を停止させて、半導体基板1、支持基板3及びフレーム6をメッキ液9から取り出す。そして、半導体基板1をフレーム6から外し、水洗乾燥させる。さらに導電性テープ5を剥離すると、図5(a)、(b)に示す形状が得られる。
【0024】
なお、図5(a)、(b)に示すように、半導体基板1の端部では、導電性テープが貼付されていた箇所にはメッキ10が形成されていないので、その部分には、給電層2aが露出している。
【0025】
本実施の形態1によれば、半導体基板に電解メッキ法を用いて金属薄膜を形成する半導体装置の製造方法において、半導体基板にクラックが発生することを抑制し、良好な金属薄膜を形成することができる。
【0026】
実施の形態2.
本実施の形態2に係る半導体装置の製造方法について、図6〜図10を参照しながら説明する。ここでは、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。また、図6〜図10において、半導体基板のメッキを形成する面の斜視図を(a)に示し、各斜視図のA方向から見た半導体基板端部付近の側面図を(b)に示す。
【0027】
まず、実施の形態1と同様に、支持基板上に半導体基板を貼付した後、半導体基板の裏面側を研削して、半導体基板の厚さを100μm以下とする。次に、図6(a)、(b)に示すように、電解メッキを行うための給電層2を、半導体基板1の裏面1a上に形成する。このとき支持基板3の外縁部4上にも、給電層2を形成する。ここでは、図6(b)の支持基板3の外縁部4上に形成された給電層2が、実施の形態1で示した導電層(導電性テープ5)に相当するものである。
【0028】
上述した給電層2の形成方法について説明する。まず、図6(a)、(b)に示した半導体基板1の裏面1a上、及び支持基板3の外縁部4上に給電層を形成する。ここで、図6(b)に示すように、半導体基板1の下端部は面取りされているため、半導体基板1の下端部は、支持基板3の上面に対してオーバーハング形状となっている。この部分で給電層が途切れないようにするためには、被覆性の良い形成方法が必要である。
【0029】
そこで本実施の形態2では、カバレッジ性の良い無電解メッキを用いて、Ni−P合金膜及びAu膜を順次積層し、これらの膜厚の合計が0.4μm程度となるように、半導体基板1の裏面1a上、及び支持基板3の外縁部4上に給電層を形成する。
【0030】
さらに、支持基板3上に形成された給電層のうち、電解メッキのコンタクトピンが接触する部分8に給電層が残るようにして、それ以外の部分を除去する。例えば、支持基板3上に形成された給電層のうち、コンタクトピンが接触する部分8以外の箇所を、キサゲ等の切削工具により研削し、除去する。これにより、図6(a)、(b)に示す構造が得られる。
【0031】
このようにして、本実施の形態2では、実施の形態1で示した給電層を形成する工程と、導電層を形成する工程とを、同時に行うことができる。そして、この給電層及び導電層を形成する工程を、無電解メッキにより行うようにした。
【0032】
次に、図7(a)、(b)に示すように、コンタクトピン7を、支持基板3上に形成された給電層2の半導体基板1にかからない部分8、すなわち給電層2の半導体基板1と接触していない部分に接触させる。
【0033】
次に、図8(a)に示すように、半導体基板1をメッキ液9に浸漬させる。そして、実施の形態1と同様にして、半導体基板1上にメッキ10を形成する。この結果、図8(b)に示すように、メッキ10が形成される。また、支持基板3の外縁部4の給電層2の上には、メッキ10aが形成される。
【0034】
このとき給電層2の半導体基板1と接触していない部分8に、コンタクトピン7を接触させて、電解メッキを行うことができる。従って、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0035】
さらに本実施の形態2では、半導体基板1の端部上に、実施の形態1で示した導電性テープ5が貼付されていない。従ってメッキ10は、実施の形態1で示した図5と異なり、半導体基板1の端部に至るまで均一に形成される。これにより、メッキ10を後の工程でエッチングマスクとして使用する場合には、メッキ10の膜厚が局所的に薄いことによる基板の欠け発生を防止できる。
【0036】
次に、所望の厚さのメッキが形成された後、半導体基板1をメッキ液9から取り出し、フレーム6から外し、水洗乾燥させる。この工程は、実施の形態1と同様にして行う。この結果、図9(a)、(b)に示す形状が得られる。
【0037】
さらに、支持基板3の外縁部4に形成された給電層2及びメッキ10aをキサゲ等の切削工具により研削し、除去する。その結果、図10(a)、(b)に示す形状が得られる。
【0038】
本実施の形態2によれば、実施の形態1で得られる効果に加えて、メッキ10をエッチングマスクとして使用する場合に、メッキ10の膜厚が局所的に薄いことによる基板の欠け発生を防止できる。
【0039】
なお、以上説明した実施の形態1、2では、導電層を固定するコンタクトピンが2箇所である例を示したが、コンタクトピンの箇所は1箇所のみであっても良いし、3箇所以上であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図4】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図5】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図6】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図7】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図8】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図9】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図10】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図11】従来の半導体装置の製造方法を示す図である。
【図12】従来の半導体装置の製造方法を示す図である。
【図13】従来の半導体装置の製造方法を示す図である。
【図14】従来の半導体装置の製造方法を示す図である。
【図15】従来の半導体装置の製造方法を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 半導体基板、2 給電層、3 支持基板、5 導電性テープ、6 保持フレーム、7 コンタクトピン、9 メッキ液、10 メッキ。
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法に関し、特に、厚さが100μm以下の薄い半導体基板上に、電解メッキ法を用いて金属薄膜を形成する半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に数μmの厚さの金属膜を形成する工程では、スループット等の理由から、電解メッキ法が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図11〜図15に、従来の電解メッキ法による金属薄膜の形成方法を示す。まず、図11に示すように、厚さが100μm以下の半導体基板1を準備する。次に、図12に示すように、半導体基板1の裏面1a上に、電解メッキを行うための給電層2(厚さ0.5μm程度)をスパッタ等により形成する。
【0004】
次に、図13に示すように、給電層2を形成した半導体基板1を、コンタクトピン7により保持フレーム6に固定する。次に、図14に示すように、半導体基板1を電解メッキ液9に浸漬し、コンタクトピン7を介して半導体基板1に電流を流す。すると、電解反応によりメッキ液9中の金属イオンが半導体基板1の裏面1a上に析出し、金属膜が形成される。
【0005】
上記メッキ法により所望の膜厚の金属膜を形成した後、半導体基板1に流す電流を停止させる。そして、半導体基板1をメッキ液9から取り出して、保持フレーム6から取り外す。この結果、図15に示すように、半導体基板1の裏面1a上に、金属薄膜10が形成される。
【0006】
【特許文献1】特開平9−53198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の半導体装置の製造方法において、電解メッキを行う際は、図14に示すように、半導体基板1はコンタクトピン7により保持フレーム6に固定されている。電解メッキに必要な電流を流すためには、コンタクトピン7と半導体基板1との間の接触抵抗をある程度小さくする必要がある。このためコンタクトピン7は、所定値以上の接触圧で半導体基板1に押し付けられている。
【0008】
そのため、特に半導体基板の厚さが100μm以下と薄い場合は、上記コンタクトピンの接触圧により半導体基板にクラックが発生するおそれがあった。つまり、図15に示す10b(コンタクトピンが押し付けられていた箇所)にクラックが発生する可能性があった。そうすると、その後の工程の温度変動等によりクラックが拡大し、半導体基板が割れ、不良発生の原因となり得る。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、半導体基板上に電解メッキ法を用いて金属薄膜を形成する半導体装置の製造方法において、半導体基板にクラックが発生することを抑制し、良好な金属薄膜を形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、支持基板上に半導体基板を固定し、前記半導体基板にコンタクトピンを介して電流を流す電解メッキを用いて前記半導体基板上に金属膜を形成する半導体装置の製造方法であって、前記半導体基板上に給電層を形成する工程と、一端が前記給電層に接し、他端が前記支持基板に固定された導電層を形成する工程と、前記導電層の前記支持基板に固定された部分に前記コンタクトピンを接触させ、前記コンタクトピン、前記導電層、及び前記給電層を介して前記半導体基板に電流を供給して前記電解メッキを行い、前記半導体基板上に前記金属膜を形成する工程とを含むことを特徴とする。本発明のその他の特徴については、以下において詳細に説明する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、半導体基板上に電解メッキ法を用いて金属薄膜を形成する半導体装置の製造方法において、半導体基板にクラックが発生することを抑制し、良好な金属薄膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において同一または相当する部分には同一符号を付して、その説明を簡略化ないし省略する。
【0013】
実施の形態1.
本実施の形態1に係る半導体装置の製造方法について、図1〜図5を参照しながら説明する。ここでは、直径約125mmの支持基板上に直径100mmのGaAs基板(以下、単に「半導体基板」という)を固定し、半導体基板にコンタクトピンを介して電流を流す電解メッキ法を用いて、半導体基板上に金属薄膜を形成する方法について説明する。また、図1〜図5において、半導体基板のメッキを形成する面の斜視図を(a)に示し、各斜視図のA方向から見た半導体基板端部付近の側面図を(b)に示す。
【0014】
まず、上述した支持基板上に、半導体基板の主面側を貼付して固定する。次に、この半導体基板の裏面側を研削して、基板の厚さを100μm以下とする。次に、半導体基板の裏面上に、給電層を形成する。この結果、図1(a)、(b)に示すように、支持基板3の上に半導体基板1が固定され、裏面1a上に給電層2が形成された構造が得られる。給電層2は、後に行う電解メッキで半導体基板1に電流を供給するためのものである。
【0015】
給電層2は、例えばスパッタ等を用いて、半導体基板1の裏面1a上にチタン(Ti)及び金(Au)を順次積層して形成する。そして、これらの膜厚の合計が0.5μm程度となるようにする。
【0016】
半導体基板1は支持基板3上の中央部付近に固定され、半導体基板1の端部と支持基板3の端部との間には、外縁部4が設けられている。上述したように半導体基板1の直径は100mmであり、支持基板3の直径は約125mmであるため、外縁部4の幅は12.5mm程度となる。
【0017】
また、上述したように支持基板3上に半導体基板1を貼付した後、半導体基板1の裏面側を研削するため、支持基板3には所定の強度と寸法精度が必要である。また、支持基板3の材料としては絶縁性材料が望ましい。このため、支持基板3として、1mm程度の厚さのガラス基板を用いる。
【0018】
次に、図2(a)に示すように、給電層2の端部付近から支持基板3の外縁部4上に跨るように、導電性テープ5を貼り付ける。このとき導電性テープ5の全体の長さは約10mmであり、給電層2と導電性テープ5のオーバーラップ長さは1〜2mm程度である。また、導電性テープ5を貼り付ける位置は、半導体基板1の裏面1a上の左右2箇所とし、導電性テープ5の支持基板3上の端部は、後に電解メッキを行う際に、コンタクトピンが接触する位置と一致させる。
【0019】
このようにして、電解メッキを行う際にコンタクトピンが接触する導電層を形成する。そして、この導電層の一方の端部は給電層2に接触し、他方の端部は支持基板3上に固定されている。本実施の形態1では、上記導電層として、Niメッキクロスに導電性粘着剤を塗布した、厚さ0.14mm、幅12mmの導電性テープを用いる。
【0020】
次に、電解メッキを行う際に、半導体基板1をメッキ液に浸漬させるための保持フレームを準備する。そして図3(a)、(b)に示すように、コンタクトピン7を、導電性テープ5の半導体基板1にかからない部分、つまり導電性テープ5の支持基板3に固定された部分8に接触させて、半導体基板1を保持フレーム6に固定する。
【0021】
次に、図4(a)に示すように、半導体基板1をメッキ液9に浸漬させる。ここでメッキ液9は、亜硫酸Auナトリウムを主成分とし、Auを形成するためのメッキ液である。そして、コンタクトピン7、導電性テープ5、及び給電層2を介して、半導体基板1に電流を供給する。すると、電解反応によりメッキ液9からAuが析出し、半導体基板1上、及び導電性テープ5の上に金薄膜が成長する。このようにして、図4(b)に示すように、半導体基板1上、及び導電性テープ5の上に、メッキ10を形成することができる。
【0022】
以上のようにして、コンタクトピン7、導電性テープ5、及び給電層2を介して半導体基板1に電流を供給して電解メッキを行い、半導体基板1の裏面1a上に金属薄膜を形成することができる。このときコンタクトピン7を、導電性テープ5の半導体基板1と接触していない部分に接触させるようにしたので、コンタクトピン7の接触圧が半導体基板1に加わることがない。従って、半導体基板1にクラックが発生することを防止できる。
【0023】
所望の厚さのメッキが形成された後、コンタクトピン7に流れる電流を停止させて、半導体基板1、支持基板3及びフレーム6をメッキ液9から取り出す。そして、半導体基板1をフレーム6から外し、水洗乾燥させる。さらに導電性テープ5を剥離すると、図5(a)、(b)に示す形状が得られる。
【0024】
なお、図5(a)、(b)に示すように、半導体基板1の端部では、導電性テープが貼付されていた箇所にはメッキ10が形成されていないので、その部分には、給電層2aが露出している。
【0025】
本実施の形態1によれば、半導体基板に電解メッキ法を用いて金属薄膜を形成する半導体装置の製造方法において、半導体基板にクラックが発生することを抑制し、良好な金属薄膜を形成することができる。
【0026】
実施の形態2.
本実施の形態2に係る半導体装置の製造方法について、図6〜図10を参照しながら説明する。ここでは、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。また、図6〜図10において、半導体基板のメッキを形成する面の斜視図を(a)に示し、各斜視図のA方向から見た半導体基板端部付近の側面図を(b)に示す。
【0027】
まず、実施の形態1と同様に、支持基板上に半導体基板を貼付した後、半導体基板の裏面側を研削して、半導体基板の厚さを100μm以下とする。次に、図6(a)、(b)に示すように、電解メッキを行うための給電層2を、半導体基板1の裏面1a上に形成する。このとき支持基板3の外縁部4上にも、給電層2を形成する。ここでは、図6(b)の支持基板3の外縁部4上に形成された給電層2が、実施の形態1で示した導電層(導電性テープ5)に相当するものである。
【0028】
上述した給電層2の形成方法について説明する。まず、図6(a)、(b)に示した半導体基板1の裏面1a上、及び支持基板3の外縁部4上に給電層を形成する。ここで、図6(b)に示すように、半導体基板1の下端部は面取りされているため、半導体基板1の下端部は、支持基板3の上面に対してオーバーハング形状となっている。この部分で給電層が途切れないようにするためには、被覆性の良い形成方法が必要である。
【0029】
そこで本実施の形態2では、カバレッジ性の良い無電解メッキを用いて、Ni−P合金膜及びAu膜を順次積層し、これらの膜厚の合計が0.4μm程度となるように、半導体基板1の裏面1a上、及び支持基板3の外縁部4上に給電層を形成する。
【0030】
さらに、支持基板3上に形成された給電層のうち、電解メッキのコンタクトピンが接触する部分8に給電層が残るようにして、それ以外の部分を除去する。例えば、支持基板3上に形成された給電層のうち、コンタクトピンが接触する部分8以外の箇所を、キサゲ等の切削工具により研削し、除去する。これにより、図6(a)、(b)に示す構造が得られる。
【0031】
このようにして、本実施の形態2では、実施の形態1で示した給電層を形成する工程と、導電層を形成する工程とを、同時に行うことができる。そして、この給電層及び導電層を形成する工程を、無電解メッキにより行うようにした。
【0032】
次に、図7(a)、(b)に示すように、コンタクトピン7を、支持基板3上に形成された給電層2の半導体基板1にかからない部分8、すなわち給電層2の半導体基板1と接触していない部分に接触させる。
【0033】
次に、図8(a)に示すように、半導体基板1をメッキ液9に浸漬させる。そして、実施の形態1と同様にして、半導体基板1上にメッキ10を形成する。この結果、図8(b)に示すように、メッキ10が形成される。また、支持基板3の外縁部4の給電層2の上には、メッキ10aが形成される。
【0034】
このとき給電層2の半導体基板1と接触していない部分8に、コンタクトピン7を接触させて、電解メッキを行うことができる。従って、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0035】
さらに本実施の形態2では、半導体基板1の端部上に、実施の形態1で示した導電性テープ5が貼付されていない。従ってメッキ10は、実施の形態1で示した図5と異なり、半導体基板1の端部に至るまで均一に形成される。これにより、メッキ10を後の工程でエッチングマスクとして使用する場合には、メッキ10の膜厚が局所的に薄いことによる基板の欠け発生を防止できる。
【0036】
次に、所望の厚さのメッキが形成された後、半導体基板1をメッキ液9から取り出し、フレーム6から外し、水洗乾燥させる。この工程は、実施の形態1と同様にして行う。この結果、図9(a)、(b)に示す形状が得られる。
【0037】
さらに、支持基板3の外縁部4に形成された給電層2及びメッキ10aをキサゲ等の切削工具により研削し、除去する。その結果、図10(a)、(b)に示す形状が得られる。
【0038】
本実施の形態2によれば、実施の形態1で得られる効果に加えて、メッキ10をエッチングマスクとして使用する場合に、メッキ10の膜厚が局所的に薄いことによる基板の欠け発生を防止できる。
【0039】
なお、以上説明した実施の形態1、2では、導電層を固定するコンタクトピンが2箇所である例を示したが、コンタクトピンの箇所は1箇所のみであっても良いし、3箇所以上であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図4】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図5】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図6】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図7】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図8】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図9】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図10】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【図11】従来の半導体装置の製造方法を示す図である。
【図12】従来の半導体装置の製造方法を示す図である。
【図13】従来の半導体装置の製造方法を示す図である。
【図14】従来の半導体装置の製造方法を示す図である。
【図15】従来の半導体装置の製造方法を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 半導体基板、2 給電層、3 支持基板、5 導電性テープ、6 保持フレーム、7 コンタクトピン、9 メッキ液、10 メッキ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板上に半導体基板を固定し、前記半導体基板にコンタクトピンを介して電流を流す電解メッキを用いて前記半導体基板上に金属膜を形成する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板上に給電層を形成する工程と、
一端が前記給電層に接し、他端が前記支持基板に固定された導電層を形成する工程と、
前記導電層の前記支持基板に固定された部分に前記コンタクトピンを接触させ、前記コンタクトピン、前記導電層、及び前記給電層を介して前記半導体基板に電流を供給して前記電解メッキを行い、前記半導体基板上に前記金属膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記導電層として、導電性テープを用いることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記給電層を形成する工程と前記導電層を形成する工程とを、同時に行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記給電層及び前記導電層を形成する工程を、無電解メッキにより行うことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
支持基板上に半導体基板を固定し、前記半導体基板にコンタクトピンを介して電流を流す電解メッキを用いて前記半導体基板上に金属膜を形成する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板上に給電層を形成する工程と、
一端が前記給電層に接し、他端が前記支持基板に固定された導電層を形成する工程と、
前記導電層の前記支持基板に固定された部分に前記コンタクトピンを接触させ、前記コンタクトピン、前記導電層、及び前記給電層を介して前記半導体基板に電流を供給して前記電解メッキを行い、前記半導体基板上に前記金属膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記導電層として、導電性テープを用いることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記給電層を形成する工程と前記導電層を形成する工程とを、同時に行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記給電層及び前記導電層を形成する工程を、無電解メッキにより行うことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−42106(P2008−42106A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217683(P2006−217683)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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