説明

半導体装置の製造方法

【課題】フリップチップ接続タイプの半導体装置における信頼性の向上を図る。
【解決手段】フリップチップ接続タイプのBGAの組立てにおいて、半導体チップ1をフリップチップ接続によって半田接続する時に、配線基板2の下面2b側のランド2jの表面に半田プリコート3が形成されていることにより、ランド2jと外部端子である半田ボールとの接続が半田接続となるため、ランド2jと前記半田ボールとの接続部の耐衝撃性を高めることができ、前記BGAの信頼性の向上を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造技術に関し、特に、半導体チップが配線基板にフリップチップ接続されて成る半導体装置の信頼性向上に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
BGA(Ball Grid Array)型の半導体装置において、基板の電極パッドが銅(Cu)からなり、Cuの表面にNi及びAuめっきが施された構造とその組立てについて開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−26073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多ピンの半導体パッケージの一例として、BGAと呼ばれる半導体装置が知られている。BGAの中で信号の伝送速度をより高速化する多ピン高放熱パッケージとして、半導体チップをフリップチップ接続で配線基板(BGA基板ともいう)に搭載するパッケージが知られている。
【0005】
本発明者は、フリップチップBGAの組立てで用いられる配線基板の端子(例えば、ランド等の電極パッド)の表面処理について検討し、その結果、以下の課題を見出した。
【0006】
BGA基板等と呼ばれる配線基板の端子の表面処理には、一般的に無電解Ni−Auめっきが用いられることが多い。これは、電解めっきを採用した場合に発生する課題を、無電解めっきを採用することで取り除くことができるためである。
【0007】
すなわち、フリップチップBGAの様に多ピンで高密度な配線が設けられた配線基板では、電解めっきを採用した場合、めっきリードを設けなければならないため、配線基板における配線の設計の自由度が低下することが課題となる。さらに、めっきリードの影響によって伝送路の信号品質が劣化することが課題となる。
【0008】
ただし、これらの課題は、電解めっき特有の課題であり、無電解めっきを採用することで電解めっき用のめっきリードを無くすことができるため、一般的には無電解めっきを採用する場合が多い。つまり、無電解めっきを施すことで、めっきリードを無くすことができるため、配線の設計の自由度を向上させることができ、さらに、めっきリードによって起こる伝送路の信号品質の劣化も解消できる。
【0009】
ところが、一方で、無電解Ni−Auめっきは、耐衝撃性が悪く、その結果、配線基板の半田ボール搭載用のランドと半田ボールの接合部の界面で破壊(破断)することが課題である。これは、無電解Ni−Auめっきを施す場合、P(リン)を混ぜるのが一般的であるが、無電解Ni−Pめっき中のP濃縮層で微小ボイドが発生して脆くなり、耐衝撃性が悪くなることが要因と考えられている。
【0010】
なお、前記特許文献1に記載されたBGA型の半導体装置の組立てにおいても、配線基板のランド(電極パッド)の表面にNi−Auめっきが施されているため、ランドと半田ボールの接合部の耐衝撃性が悪化するという課題が発生する。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、半導体チップがフリップチップ接続される半導体装置における信頼性の向上を図ることができる技術を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、半導体チップがフリップチップ接続される半導体装置における品質の安定化を図ることができる技術を提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0015】
すなわち、本発明は、上面とその反対側の下面を有する配線基板の前記上面側に半導体チップがフェイスダウンで半田接続され、前記配線基板の前記下面側に実装基板と接続し得る半田ボールを有するものであり、(a)前記配線基板の前記上面に前記半導体チップをフェイスダウンで前記半田接続する工程を有し、前記半導体チップを前記半田接続する時に、前記半田ボールを接続する前記配線基板の前記下面側の銅を主成分とするランドの表面に半田プリコートが形成されている。
【0016】
また、本発明は、上面とその反対側の下面を有する配線基板の前記上面側に半導体チップがフェイスダウンで半田接続され、前記配線基板の前記下面側に実装基板と接続し得る半田ボールを有するものであり、(a)前記配線基板の前記上面側の複数のフリップチップ用電極に半田ペーストまたは半田ボールを配置し、さらに前記配線基板の前記下面側の複数のランドに半田ペーストを塗布する工程と、(b)前記(a)工程の後、リフローによって前記上面側の前記半田ペーストまたは半田ボールと前記下面側の前記半田ペーストとを溶融して、前記複数のランドの表面に半田プリコートを形成する工程と、(c)前記半導体チップの主面と前記配線基板の前記上面とを対向させて配置する工程と、(d)前記(c)工程の後、前記配線基板の前記下面側の前記複数のランドの表面に前記半田プリコートが形成された状態で、前記半導体チップの裏面を第1ヘッド部材で加熱し、さらに前記配線基板の前記下面を第2ヘッド部材で加熱して前記半導体チップを前記配線基板に前記半田接続する工程と、を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0018】
フリップチップ接続タイプの半導体装置の組立てにおいて、ランドと半田ボールとの接続部の耐衝撃性を高めることができ、半導体装置の信頼性の向上を図ることができる。
【0019】
また、バンプ接続部においてボールマウント法を用いることにより、半導体装置の品質の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態の半導体装置の構造の一例を一部破断して示す斜視図である。
【図2】図1に示す半導体装置の構造の一例を示す断面図である。
【図3】図1に示す半導体装置の組み立て手順の一例を示す製造フロー図である。
【図4】図1に示す半導体装置の組み立てで用いられる配線基板の構造の一例を示す断面図である。
【図5】図4のA部の構造の一例を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図6】図1に示す半導体装置の組み立てで用いられる配線基板の半田プリコートの形成方法の一例を示す部分断面図である。
【図7】図6に示す半田プリコートの形成方法の詳細の一例を示す部分断面図である。
【図8】図1に示す半導体装置の組み立てにおけるフリップチップ接続の手順の一例を示す部分断面図である。
【図9】図1に示す半導体装置の組み立てにおけるボールマウントの手順の一例を示す部分断面図である。
【図10】図1に示す半導体装置の組み立てで用いられる配線基板の第1変形例の半田プリコートの形成方法を示す部分断面図である。
【図11】図1に示す半導体装置の組み立てで用いられる配線基板の第2変形例の半田プリコートの形成方法を示す部分断面図である。
【図12】図1に示す半導体装置の組み立てにおける第3変形例のフリップチップ接続の手順を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の実施の形態では特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0022】
さらに、以下の実施の形態では便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
【0023】
また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良いものとする。
【0024】
また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0025】
また、以下の実施の形態において、構成要素等について、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0027】
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態の半導体装置の構造の一例を一部破断して示す斜視図、図2は図1に示す半導体装置の構造の一例を示す断面図、図3は図1に示す半導体装置の組み立て手順の一例を示す製造フロー図である。また、図4は図1に示す半導体装置の組み立てで用いられる配線基板の構造の一例を示す断面図、図5は図4のA部の構造の一例を拡大して示す部分拡大断面図、図6は図1に示す半導体装置の組み立てで用いられる配線基板の半田プリコートの形成方法の一例を示す部分断面図、図7は図6に示す半田プリコートの形成方法の詳細の一例を示す部分断面図である。さらに、図8は図1に示す半導体装置の組み立てにおけるフリップチップ接続の手順の一例を示す部分断面図、図9は図1に示す半導体装置の組み立てにおけるボールマウントの手順の一例を示す部分断面図である。また、図10は図1に示す半導体装置の組み立てで用いられる配線基板の第1変形例の半田プリコートの形成方法を示す部分断面図、図11は図1に示す半導体装置の組み立てで用いられる配線基板の第2変形例の半田プリコートの形成方法を示す部分断面図、図12は図1に示す半導体装置の組み立てにおける第3変形例のフリップチップ接続の手順を示す部分断面図である。
【0028】
図1及び図2に示す本実施の形態の半導体装置は、配線基板2の上面2a上に半導体チップ1がフリップチップ実装で半田接続されて成る半導体パッケージであり、本実施の形態では、前記半導体装置の一例として、配線基板2の下面2bに複数の外部端子である半田ボール5がグリッド状に設けられたBGA9を取り上げて説明する。
【0029】
BGA9の詳細構成について説明すると、上面2a、上面2aに形成された図5に示す複数のフリップチップ用電極2cと、上面2aとは反対側の下面2b、及び下面2bに形成された複数のランド2jを有する配線基板(BGA基板ともいう)2と、主面1a及び主面1aに形成された複数の電極パッド1cを有し、かつ配線基板2の上面2aにフリップチップ接続された半導体チップ1と、配線基板2の下面2bの複数のランド2jにそれぞれ設けられた複数の外部端子である半田ボール5とを有している。
【0030】
すなわち、BGA9は、半導体チップ1が配線基板2上にフェイスダウン実装でフリップチップ接続されているものであり、半導体チップ1の主面1aと配線基板2の上面2aとが対向した状態で配線基板2上に搭載されている。その際、半導体チップ1は配線基板2に半田接続で電気的に接続されており、複数の半田バンプ8を介してフリップチップ接続されている。
【0031】
なお、配線基板2と半導体チップ1との間に位置するフリップチップ接続部及びその周囲にはアンダーフィル樹脂6が充填されており、フリップチップ接続部を固めて保護している。
【0032】
また、配線基板2の上面2aの周縁部には、半導体チップ1を囲んだ状態にスティフナリング7が取り付けられている。スティフナリング7は、リング状テープ7aによって配線基板2に接着されている。スティフナリング7の上部にはヒートスプレッダ4が設けられている。ヒートスプレッダ4は、半導体チップ1上の放熱樹脂13とリング/ヒートスプレッダ4間の接着材(例えばテープ材)7bを介して、スティフナリング7及び半導体チップ1の裏面1bに接合されている。
【0033】
これにより、半導体チップ1から発せられる熱は放熱樹脂13を介してヒートスプレッダ4に伝わり、ヒートスプレッダ4から外方に放散されるとともに、半田バンプ8を介して配線基板2を経て半田ボール5から実装基板に伝わる。またヒートスプレッダ4から接着材7b及びスティフナリング7を介して配線基板2に伝わり、配線基板2を経て半田ボール5から実装基板へと伝わって放散される。
【0034】
また、配線基板2は、図5に示すように、基材の層であるコア層2hと、その上下に形成されたビルドアップ層2fと、ビルドアップ層2fの表側の面(配線基板2の上面2a)に形成された複数のフリップチップ用電極2cと、ビルドアップ層2fの裏側の面(配線基板2の下面2b)に形成された複数のランド2jとを有している。
【0035】
なお、それぞれのフリップチップ用電極2cの周囲、及び複数のランド2jの周囲には絶縁膜であるソルダレジスト膜2gが形成されている。
【0036】
また、図5に示すように、上面2a側のフリップチップ用電極2cとこれに対応する下面2b側のランド2jとは、コア層2hに形成されたスルーホール配線2d、ビルドアップ層2fに形成されたビアホール2iや内部配線2eを介して電気的に接続されている。なお、スルーホール配線2d内には、穴埋め樹脂2kが充填されている。
【0037】
ここで、半導体チップ1は、例えば、シリコンによって形成され、さらにアンダーフィル樹脂6は、例えば、エポキシ系樹脂である。また、スティフナリング7やヒートスプレッダ4は、熱伝導率の高い金属によって形成され、さらにフリップチップ接続の半田バンプ8及び外部端子である半田ボール5は、鉛フリー半田等の半田材からなり、例えば、Sn−Ag-Cu系の鉛フリー半田からなる。
【0038】
また、配線基板2におけるフリップチップ用電極2c、ビアホール2i、内部配線2e及びスルーホール配線2d等は、例えば、純銅または銅に少量(1%以下)のアルミニウム、シリコン(Si)等の不純物が添加された銅合金から成る。
【0039】
なお、本実施の形態のBGA9では、配線基板2の上面2a側の複数のフリップチップ用電極2cそれぞれの表面や、下面2b側の複数のランド2jそれぞれの表面には無電解Ni−Auめっき等の無電解めっきや電解めっきは形成されていない。つまり、複数のフリップチップ用電極2cの表面それぞれには無電解Ni−Auめっき等の無電解めっきや電解めっきが施されていない状態で複数の半田バンプ8が形成されており、一方、複数のランド2jの表面それぞれにも、無電解Ni−Auめっき等の無電解めっきや電解めっきが施されていない状態で複数の半田ボール5が形成されている。
【0040】
次に、本実施の形態のBGA(半導体装置)9の製造方法を図3に示す組み立て手順に沿って説明する。なお、本実施の形態のBGA9の製造方法は、上面2aとその反対側の下面2bを有する配線基板2の上面2a側に半導体チップ1がフェイスダウンで半田接続され、かつ配線基板2の下面2b側に実装基板と接続し得る半田ボール5を有するBGA9の製造方法である。
【0041】
まず、図3に示すステップS1の基板準備を行う。ここでは、図4及び図5に示す配線基板(BGA基板あるいはパッケージ基板等ともいう)2を準備する。配線基板2は、図5に示すように、その上面2aの複数のフリップチップ用電極2cそれぞれに半田バンプ2mが接続され、かつ下面2bの複数のランド2jそれぞれに半田プリコート3が形成されているものである。
【0042】
ここで、図6及び図7を用いて上面2a側の半田バンプ2m、及び下面2b側の半田プリコート3の形成方法について説明する。
【0043】
まず、図6のステップS11に示す開口形成を行う。ここでは、上面2a側の複数のフリップチップ用電極2cそれぞれを覆うソルダレジスト膜2gを開口するとともに、下面2b側の複数のランド2jそれぞれを覆うソルダレジスト膜2gを開口する。これらの開口は、例えば、フォトエッチング等の処理によって行う。これによって、配線基板2の上面2a側において複数のフリップチップ用電極2cを露出させるとともに、下面2b側において複数のランド2jを露出させる。
【0044】
なお、複数のフリップチップ用電極2c及びランド2jは、例えば、純銅または銅に少量(1%以下)のアルミニウム、シリコン(Si)等の不純物が添加された銅合金からなるものであり、例えば、Snめっきやあるいは防錆処理を行ってもよい。前記Snめっきや防錆処理を行うことでフリップチップ用電極2cやランド2jが酸化することを防ぐことができる。
【0045】
その後、図6のステップS12に示す半田ペースト印刷/半田ペースト印刷を行う。ここでは、複数のフリップチップ用電極2cそれぞれに半田ペースト2nを印刷で塗布し、さらに複数のランド2jそれぞれに半田ペースト3aを印刷で塗布する。なお、図7のステップS12の半田ペースト印刷に示すように、各ランド2jへの半田ペースト3aの印刷時には、半田印刷マスク10の開口部10aの位置をランド2jの位置と合わせて配置し、この開口部10aに半田ペースト3aを埋め込むようにして印刷する。その際、形成される半田プリコート3の高さが高くなり過ぎないように、半田印刷マスク10の開口部10aの大きさがランド2jより小さいマスクを用いることが好ましい。
【0046】
その後、図6のステップS13及び図7のステップS13に示すようにリフロー/フラックス洗浄を行う。ここでは、リフローによって各半田ペースト2nと各半田ペースト3aを溶融して各フリップチップ用電極2c上に半田バンプ2mを形成するとともに、各ランド2j上に半田プリコート3を形成する。各ランド2jでは、ソルダレジスト膜2gの開口が広いため、リフローによって半田ペースト3aが溶融するとその形状にRが付き、これが半田プリコート3となる。すなわち、純銅または銅に少量(1%以下)のアルミニウム、シリコン(Si)等の不純物が添加された銅合金のランド2jと半田の相互熱拡散によって各ランド2jにはSn−Cu系またはSn−Ag−Cu系の合金層が形成される。
【0047】
なお、各ランド2jに半田プリコート3を形成する際には、半田プリコート3を、その厚さ方向において、ランド2jの周縁部を覆うソルダレジスト膜2gより引っ込んだ状態となるように形成する。
【0048】
これにより、後のフリップチップ接続工程で、第2ヘッド部材によって配線基板2を吸着支持した際に半田プリコート3が前記第2ヘッド部材に接触することを防止でき、第2ヘッド部材が汚れることを阻止できるとともに、半田プリコート3の表面に他の半田プリコート3の汚れが付着することを防止でき、BGA9の品質の低下を抑制することができる。
【0049】
このようにして配線基板2の各フリップチップ用電極2cに半田バンプ2mが形成されるとともに、各ランド2jには半田プリコート3が形成される。リフロー後、フラックス洗浄を行う。
【0050】
その後、図3のステップS2のフリップチップ接続を行う。すなわち、図8に示すようにフリップチップ接続によって配線基板2上に半導体チップ1を搭載する。ここでは、配線基板2の上面2aに半導体チップ1をフェイスダウンで半田接続する。
【0051】
まず、配線基板2の下面2b側の、純銅または銅に少量(1%以下)のアルミニウム、シリコン(Si)等の不純物が添加された銅合金から成る複数のランド2jの表面に半田プリコート3が形成された配線基板2を準備する。
【0052】
一方で、主面1aの複数の電極パッド1c(図2参照)に半田バンプ1dが接続された半導体チップ1を準備し、この半導体チップ1の裏面1bを第1ヘッド部材であるチップ側ヘッド11によって真空吸着する。チップ側ヘッド11には加熱手段(例えば、ヒータ等)が設けられているため、図8のステップS21のチップ加熱に示すように、半導体チップ1は、真空吸着された状態でチップ側ヘッド11によって加熱される。その際の加熱温度は、例えば、200〜350℃程度である。
【0053】
なお、半導体チップ1の主面1aの複数の電極パッド1c(図2参照)に接続された複数の半田バンプ1dは、例えば、Sn−Ag−Cuから成る半田バンプ1dである。さらに、フリップチップ接続後の熱処理工程(アンダーフィル樹脂6のキュア工程やヒートスプレッダ4取り付け後のベーク工程等)でも、配線基板2の下面2bのランド2jに半田プリコート3が施されていることで、ランド2jが酸化されることが抑制される。
【0054】
その後、図8のステップS22に示す基板加熱を行う。ここでは、配線基板2の下面2bを第2ヘッド部材である基板側ヘッド(ヒートステージもしくはヒートブロックとも言う)12によって真空吸着で支持する。基板側ヘッド12にも加熱手段(例えば、ヒータ等)が設けられているため、配線基板2は、真空吸着された状態で基板側ヘッド12によって加熱される。その際の加熱温度は、例えば、150〜250℃程度である。
【0055】
この状態(基板側ヘッド12によって真空吸着された配線基板2の上面2aと、チップ側ヘッド11によって真空吸着された半導体チップ1の主面1aとを対向させた状態)で、図8のステップS23のフリップチップ接続を行う。なお、フリップチップ接続を行う際には、配線基板2の下面2b側の、純銅または銅に少量(1%以下)のアルミニウム、シリコン(Si)等の不純物が添加された銅合金から成る複数のランド2jの表面に半田プリコート3が形成されている。この半田プリコート3は、鉛フリー半田であることが好ましく、例えば、Sn−Cu系半田である。
【0056】
ランド2jの表面に形成された半田プリコート3にSn−Cu系の鉛フリー半田を採用することで、例えば63Sn37Pb系の共晶半田コートと比較すると、フリップチップ接続等の熱処理工程で半田プリコート3に熱履歴がかかっても半田プリコート3を溶けにくくすることができる。
【0057】
また、半田プリコート3をリフローで溶融した際にも半田プリコート3がソルダレジスト膜2gより飛び出さないような高さに半田プリコート3を形成しておく必要がある。半田プリコート3が溶融された際にもソルダレジスト膜2gより飛び出さないような高さに形成されていることで、半田プリコート3の半田異物が基板側ヘッド12に付着することを防止でき、基板側ヘッド12が汚れることを防げる。
【0058】
また、配線基板2の下面2bの複数のランド2jの表面に半田プリコート3が形成されていることで、フリップチップ接続時の熱履歴がランド2jにかかった際に、ランド2jが酸化して後の半田ボール形成工程で半田ボール5が付かなくなることを防止できる。すなわち、各ランド2jの表面に半田プリコート3が形成されていることで、後の半田ボール形成工程で半田ボール5をランド2jに接続することができる。
【0059】
また、フリップチップ接続の際に、チップ側ヘッド11による半導体チップ1の加熱(例えば、200〜350℃)の方が、基板側ヘッド12による配線基板2の加熱(例えば、150〜250℃)より温度が高い。
【0060】
このように基板側ヘッド12による加熱温度をチップ側ヘッド11の加熱温度より低くすることで、配線基板2に与える熱ストレスを低減することができ、配線基板2に付与するダメージを少なくすることができる。
【0061】
また、フリップチップ接続の際には、加熱された基板側ヘッド12上に配線基板2が真空吸着された状態で、加熱されたチップ側ヘッド11によって真空吸着された半導体チップ1をその裏面1b側(上側)から押圧してフリップチップ接続を行う。これにより、半導体チップ1に設けられた複数の半田バンプ1dと、配線基板2のフリップチップ用電極2cに接続された複数の半田バンプ2mとを、それぞれバンプのコプラナティを揃えた状態でフリップチップ接続を行うことができる。
【0062】
その結果、フリップチップ接続部の接続信頼性を向上させることができる。
【0063】
なお、フリップチップ接続時の配線基板2の加熱においても、半田プリコート3にSn−Cu系の鉛フリー半田を採用することで、フリップチップ接続時の熱履歴が半田プリコート3にかかっても半田プリコート3は溶けにくい。
【0064】
これにより、半田プリコート3からの半田異物の発生を抑制することができ、基板側ヘッド12に半田異物が付着することを抑制できる。その結果、後から搬送されてくる次の配線基板2に半田異物が付着することを低減できるとともに、配線基板2の平坦性の悪化や基板側ヘッド12の吸着性の悪化を抑えることができる。
【0065】
以上により、図8のステップS23に示すように、半導体チップ1上の複数の半田バンプ1dと、これに対応する配線基板2上の複数の半田バンプ2mとをそれぞれ接続してフリップチップ接続の完了となる。
【0066】
フリップチップ接続完了後、図3のステップS3に示すアンダーフィル注入を行う。ここでは、配線基板2と半導体チップ1との間にアンダーフィル樹脂6を充填するとともに、半導体チップ1の側面周囲にアンダーフィル樹脂6を塗布する。これにより、フリップチップ接続部の周囲にアンダーフィル樹脂6が配置され、フリップチップ接続部が保護される。アンダーフィル樹脂6の充填を完了した後、アンダーフィル樹脂6のキュア処理を行う。
【0067】
その後、図3のステップS4に示すヒートスプレッダ搭載を行う。まず、図2に示すように半導体チップ1を囲むように配線基板2の上面2aの周縁部にリング状テープ7aを介してスティフナリング7を貼り付ける。その後、半導体チップ1の裏面1bに放熱樹脂13を塗布し、この放熱樹脂13を介して半導体チップ1上にヒートスプレッダ4を取り付ける。スティフナリング7とヒートスプレッダ4間は接着材(例えばテープ材)7bを介して取り付ける。すなわち、ヒートスプレッダ4は、放熱樹脂13を介して半導体チップ1と、接着材7bを介してスティフナリング7の両者とそれぞれ接触しており、その結果、半導体チップ1は、配線基板2の上面2a上においてスティフナリング7とヒートスプレッダ4とによって覆われた状態となる。
【0068】
ヒートスプレッダ4の配置後、放熱樹脂13のベーク処理を行ってヒートスプレッダ4の取り付けを完了する。
【0069】
なお、フリップチップ接続部の半田バンプ1dや半田バンプ2mにSn−Ag−Cu等から成る鉛フリー半田が採用され、さらに配線基板2の下面2bのランド2j上の半田プリコート3にSn−Cu系の鉛フリー半田が採用されている。
【0070】
その後、図3のステップS5に示すボールマウントを行う。すなわち、配線基板2の下面2bのランド2j上の半田プリコート3に熱を付与して外部端子である複数の半田ボール5を配線基板2のランド2jに電気的に接続する。
【0071】
まず、図9のステップS31に示すように、配線基板2の各ランド2jの半田プリコート3上に半田ペースト5aを印刷する。なお、半田ペースト5aの代わりとして、フラックスを塗布してもよい。その後、ステップS32に示すボール付けを行う。ここでは、半田ペースト5aに対して半田ボール5を仮固定する。その後、ステップS33に示すリフロー/洗浄を行う。まず、リフローによって半田ボール5と半田ペースト5aを加熱して溶融する。その後、洗浄を行って複数のランド2jへの半田ボール5の半田接続による電気的接続を完了する。
【0072】
なお、半田ボール5に用いられる半田は、鉛入り半田の場合、例えば、63Sn37Pb等であり、一方、鉛フリー半田の場合、例えば、Sn3Ag0.5Cu等である。
【0073】
また、フリップチップ接続部の半田バンプ1dや半田バンプ2mにSn−Ag−Cu等から成る鉛フリー半田が採用され、さらに配線基板2の下面2bのランド2j上の半田プリコート3にSn−Cu系の鉛フリー半田が採用されていることで、半田ボール5接続時のリフローによる熱履歴が半田バンプ1d、半田バンプ2m及び半田プリコート3にかかっても、前記同様にこれらの半田は融点が高いため、溶けにくい。
【0074】
以上により、図1及び図2に示すBGA9の組立てを完了する。
【0075】
本実施の形態の半導体装置の製造方法においては、半導体チップ1をフリップチップ接続によって半田接続する時に、配線基板2の下面2b側のランド2jの表面に半田プリコート3が形成されていることにより、ランド2jと外部端子である半田ボール5との接続が半田接続となるため、ランド2jと半田ボール5との接続部の耐衝撃性を高めることができる。すなわち、ランド2jと半田ボール5との接続部に、例えば無電解NiAuめっき等で含有されるP(リン)が含まれなくなるため、P(リン)リッチ層による微小ボイドの発生を無くすことができ、ランド2jと半田ボール5の接続部の耐衝撃性を高めることができる。
【0076】
これにより、BGA9の信頼性の向上を図ることができる。
【0077】
なお、配線基板2の複数のランド2jの表面に半田プリコート3が形成されていない場合には、ランド2jの、純銅または銅に少量(1%以下)のアルミニウム、シリコン(Si)等の不純物が添加された銅合金が露出するため、ボールマウント工程までに種々の熱履歴がかかる工程があり、ランド2jの表面が酸化してボールマウント工程で半田ボール5が接続できなくなる虞れがあるが、本実施の形態のBGA9の組立てでは、ランド2jの表面に半田プリコート3が形成されているため、ランド2jの表面酸化を抑制することができ、ボールマウント工程で半田ボール5をランド2jに接続することができる。
【0078】
また、フリップチップ接続が行われる配線基板2のフリップチップ用電極2cと半導体チップ1の半田バンプ1dとの接続においても、Ni−Auめっき等を介在させずに半田接続できるため、フリップチップ用電極2cと半田バンプ1dとの接続部の耐衝撃性を高めることができる。
【0079】
また、電解めっきは用いないため、配線基板2においてめっきリードを設ける必要がなく、配線の設計の自由度を高めることができるとともに、めっきリードによる伝送路の信号品質の劣化を解消できる。
【0080】
また、配線基板2のランド2jの表面に形成される半田プリコート3が鉛フリー半田であることにより、鉛フリー半田の融点は高いため、ベーク処理、キュア処理等で半田プリコート3に熱履歴がかかった際にも、この半田プリコート3は溶けにくい。またフリップチップ接続時の基板側ヘッド12(ステージ)を汚すこともなく、BGA9の品質を維持することができる。
【0081】
さらに、半田プリコート3として、鉛フリー半田であるSn−Cu系半田を採用することで、外部端子として接続される半田ボール5が共晶(鉛入り)半田であっても、また鉛フリー半田であっても、どちらでも半田ボール5の接続強度を高めることができる。その結果、共晶(鉛入り)と鉛フリーの何れにも対応が可能となり、配線基板2の共通化を図ることができる。これにより、配線基板2のコストの低減化を図ることができ、BGA9のコスト低減化を図ることができる。
【0082】
なお、半田プリコート3の代替技術として無電解Ni−Pd−Auめっきも考えられるが、めっき液管理/膜厚−膜質管理が難しいこと、また共晶(鉛入り)/Pbフリー双方を対応できる表面技術は確立されていないことから、本実施の形態のような容易に製造可能な半田プリコート技術が有効である。
【0083】
次に本実施の形態の変形例について説明する。
【0084】
図10に示す第1変形例は、配線基板2のフリップチップ接続が行われるフリップチップ用電極2cに半田バンプ2mを形成する際に、半田ペースト2nではなく半田ボール2pを搭載するボールマウント方法を採用するものである。
【0085】
まず、図10のステップS41に示す開口形成を行う。すなわち、配線基板2の上面2a側のソルダレジスト膜2gと、下面2b側のソルダレジスト膜2gをそれぞれ開口して上面2a側の複数のフリップチップ用電極2cと、下面2b側の複数のランド2jとを露出させる。
【0086】
その後、図10のステップS42に示す半田ペースト印刷/半田ボール搭載を行う。半田ペースト2nは、フラックスであっても良い。まず、配線基板2の上面2a側において、複数のフリップチップ用電極2cそれぞれに半田ペースト2nを印刷で塗布し、塗布後、各半田ペースト2n上に半田ボール2pを搭載(配置)する。一方、配線基板2の下面2b側において、複数のランド2jそれぞれに半田ペースト3aを印刷で塗布する。半田ペースト3aは、フラックスであってもよい。
【0087】
その後、図10のステップS43に示すようにリフロー/フラックス洗浄を行う。ここでは、リフローによってそれぞれの半田ペースト2n及び半田ボール2pと、半田ペースト3aとを溶融して各フリップチップ用電極2c上に半田バンプ2mを形成するとともに、各ランド2jの表面に半田プリコート3を形成する。各ランド2jでは、ソルダレジスト膜2gの開口が広いため、リフローによって半田ペースト3aが溶融するとその形状にRが付き、これが半田プリコート3となる。すなわち、純銅または銅に少量(1%以下)のアルミニウム、シリコン(Si)等の不純物が添加された銅合金のランド2jと半田の相互熱拡散によって各ランド2jにはSn−Cu系の合金層が形成される。
【0088】
なお、各ランド2jに半田プリコート3を形成する際には、半田プリコート3を、その厚さ方向において、ランド2jの周縁部を覆うソルダレジスト膜2gより引っ込んだ状態となるように形成する。
【0089】
リフロー後、フラックス洗浄を行い、さらにフラックス洗浄後、フリップチップ接続を行う。
【0090】
このようにバンプ(ボール)接続部(半田バンプ2m)の形成に、半田ボール2pを搭載して形成するボールマウント方法を用いることにより、狭ピッチでかつ多バンプの接続品質の安定化を図ることができ、フリップチップ接続タイプのBGA(半導体装置)9における品質の安定化を図ることができる。
【0091】
また、フリップチップ接続部においてボールマウント方法を用いることにより、ボール高さを均一にすることができ、半導体チップ1のコプラナティを向上できる。またペースト印刷でのダレ問題が解消され、バンプ高さを高く均一に形成できる。
【0092】
次に、図11に示す第2変形例は、半導体チップ1に、前記配線基板2へのボールマウント方法と同様のボールマウント方法を用いてバンプ形成を行うものである。すなわち、チップ側のボールマウントと基板側印刷の組み合わせであっても、バンプのコプラナリティは改善されて接合安定化を図ることができる。
【0093】
詳細には、まず図11のステップS51に示す半田ボール搭載を行う。ここでは、ボールマウント方法により複数の半田バンプ(半田ボール)1dを半導体チップ1の主面1aに設ける。
【0094】
その後、図11のステップS52に示すリフローを行う。すなわち、バンプ融点を越える温度でリフローし、これによって図11のステップS53に示すフリップチップ接続を行う。
【0095】
なお、チップ側/基板側の双方とも、ボールマウント化する組み合わせであってもよい。
【0096】
その後、図9のステップS31に示すように、配線基板2の各ランド2jの半田プリコート3上に半田ペースト5aを印刷する。なお、半田ペースト5aの代わりとして、フラックスを塗布してもよい。さらに、ステップS32に示すボール付けを行う。ここでは、半田ペースト5aに対して半田ボール5を仮固定する。
【0097】
その後、ステップS33に示すリフロー/洗浄を行う。まず、リフローによって半田ボール5と半田ペースト5aを加熱して溶融する。その後、洗浄を行って複数のランド2jへの半田ボール5の半田接続による電気的接続を完了する。
【0098】
以上により、前記第2変形例においても狭ピッチでかつ多バンプの接続品質の安定化を図ることができ、フリップチップ接続タイプのBGA(半導体装置)9における品質の安定化を図ることができる。さらに、ボール高さを均一にすることができ、半導体チップ1のコプラナティを向上できる。
【0099】
次に、図12に示す第3変形例は、フリップチップ接続方法の変形例を示すものである。まず、図12のステップS61に示すバンプ仮止めを行う。ここでは、半導体チップ1の主面1aに設けられた複数の半田バンプ1dにフラックス1eを転写し、転写後、それぞれのフリップチップ用電極2cに、フラッタリング等でコイニングされた半田バンプ2qが接続された状態の配線基板2と、半導体チップ1とをフリップチップ接続する。その際、まず、配線基板2のそれぞれのフリップチップ用電極2cに接続された複数の半田バンプ2qと、半導体チップ1の複数の半田バンプ1dとを仮止めする。
【0100】
その後、図12のステップS62に示すリフローを行う。すなわち、バンプ融点を越える温度でリフローし、これによって図12のステップS63に示すフリップチップ接続を行う。
【0101】
その際、リフロー後、配線基板2と半導体チップ1との隙間部分がフラックス洗浄されることがあるが、無洗浄タイプのフラックスを使用して洗浄を省略するか、プラズマ処理等で除去して洗浄を省略することもできる。
【0102】
このようにヘッド部材で半導体チップ1や配線基板2を押圧しない方法でフリップチップ接続を行ってもよく、その際、配線基板2の下面2b側のランド2jの表面に半田プリコート3が形成されていることで、ランド2jが酸化することを防止できる。
【0103】
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0104】
例えば、前記実施の形態では、半導体装置の一例として、スティフナリング7が取り付けられたBGA9を取り上げて説明したが、スティフナリング7は設けられていなくても良い。その場合、ヒートスプレッダ4は、半導体チップ1の裏面1bのみに放熱樹脂13等を介して接合される。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、フリップチップ接続タイプの電子装置に好適である。
【符号の説明】
【0106】
1 半導体チップ
1a 主面
1b 裏面
1c 電極パッド
1d 半田バンプ
1e フラックス
2 配線基板
2a 上面
2b 下面
2c フリップチップ用電極
2d スルーホール配線
2e 内部配線
2f ビルドアップ層
2g ソルダレジスト膜(絶縁膜)
2h コア層
2i ビアホール
2j ランド
2k 穴埋め樹脂
2m 半田バンプ
2n 半田ペースト
2p 半田ボール
2q 半田バンプ
3 半田プリコート
3a 半田ペースト
4 ヒートスプレッダ
5 半田ボール(外部端子)
5a 半田ペースト
6 アンダーフィル樹脂
7 スティフナリング
7a リング状テープ
7b 接着材
8 半田バンプ
9 BGA(半導体装置)
10 半田印刷マスク
10a 開口部
11 チップ側ヘッド(第1ヘッド部材)
12 基板側ヘッド(第2ヘッド部材)
13 放熱樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面とその反対側の下面を有する配線基板の前記上面側に半導体チップがフェイスダウンで半田接続され、前記配線基板の前記下面側に実装基板と接続し得る半田ボールを有する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記配線基板の前記上面に前記半導体チップをフェイスダウンで前記半田接続する工程を有し、
前記半導体チップを前記半田接続する時に、前記半田ボールを接続する前記配線基板の前記下面側の銅を主成分とするランドの表面に半田プリコートが形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記半田プリコートは、鉛フリー半田であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置の製造方法において、前記鉛フリー半田は、Sn−Cu系またはSn−Ag−Cu系の半田であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、前記(a)工程の後、前記半田プリコートに熱を付与して前記半田ボールを前記配線基板の前記ランドに電気的に接続することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記(a)工程の前に、
前記配線基板の前記下面側の複数の前記ランドに前記半田プリコートを形成する工程を有し、
前記半田プリコートは、その厚さ方向において、前記半田プリコートが接続される前記ランドの周縁部を覆う絶縁膜より引っ込んでいることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置の製造方法において、前記(a)工程では、前記半導体チップを前記配線基板に前記半田接続する際に、前記半導体チップの裏面を第1ヘッド部材で加熱し、さらに前記配線基板の前記下面を第2ヘッド部材で加熱し、
前記第1ヘッド部材による前記半導体チップの加熱の方が、前記第2ヘッド部材による前記配線基板の加熱より温度が高いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置の製造方法において、前記(a)工程で前記半導体チップを前記配線基板に前記半田接続する際に、前記第1ヘッド部材によって前記半導体チップを真空吸着した状態で前記半導体チップを加熱し、さらに前記第2ヘッド部材によって前記配線基板を真空吸着した状態で前記配線基板を加熱することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置の製造方法において、前記(a)工程で前記半導体チップを前記配線基板に前記半田接続する際に、前記半導体チップの主面にはSn−Ag−Cuから成る複数の半田バンプが設けられていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記(a)工程では、前記半導体チップを前記配線基板に前記半田接続する際に、前記配線基板の前記上面側の複数のフリップチップ用電極に半田ボールを配置し、前記配置後、前記半田ボールをリフローで溶融することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置の製造方法において、前記(a)工程では、前記半導体チップを前記配線基板に前記半田接続する際に、前記配線基板の前記下面側の複数の前記ランドに半田ペーストを塗布し、前記塗布後、前記リフローによって前記半田バンプと前記半田ペーストとを溶融することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項9記載の半導体装置の製造方法において、前記(a)工程では、前記半導体チップを前記配線基板に前記半田接続する際に、前記配線基板の前記下面側の複数の前記ランドに半田プリコート用半田ボールを配置し、前記配置後、前記リフローによって前記半田ボールと前記半田プリコート用半田ボールとを溶融して、前記複数のランドの表面に前記半田プリコートを形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
上面とその反対側の下面を有する配線基板の前記上面側に半導体チップがフェイスダウンで半田接続され、前記配線基板の前記下面側に実装基板と接続し得る半田ボールを有する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記配線基板の前記上面側の複数のフリップチップ用電極に半田ボールを配置し、さらに前記配線基板の前記下面側の複数のランドに半田ペーストを塗布する工程と、
(b)前記(a)工程の後、リフローによって前記上面側の前記半田ボールと前記下面側の前記半田ペーストとを溶融して、前記複数のランドの表面に半田プリコートを形成する工程と、
(c)前記半導体チップの主面と前記配線基板の前記上面とを対向させて配置する工程と、
(d)前記(c)工程の後、前記配線基板の前記下面側の前記複数のランドの表面に前記半田プリコートが形成された状態で、前記半導体チップの裏面を第1ヘッド部材で加熱し、さらに前記配線基板の前記下面を第2ヘッド部材で加熱して前記半導体チップを前記配線基板に前記半田接続する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記(a)工程で前記半導体チップを前記配線基板に前記半田接続する際に、前記半導体チップの各電極パッドにそれぞれボールマウント方法によって接合された半田バンプが設けられていることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−40606(P2011−40606A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187281(P2009−187281)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】