説明

半導体装置の製造装置及び半導体装置の製造方法

【課題】めっき液噴流方向を均一化すると共に、ポンプに負荷を掛けることなく噴射ノズルからのめっき液流量(圧力)を増加させる手段を備えた半導体装置の製造装置を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造装置は、めっき処理槽1と、ウェハー支持部3と、めっき液噴射ノズル土台配管12と、ウェハー2の被処理面に向かってめっき液を噴射する複数のめっき液噴射ノズル13とを備えている。複数のめっき液噴射ノズル13の各々は、ベンチュリ構造型のノズルである。めっき液噴射ノズル13から噴射されためっき液の一部は、めっき処理槽1の上部から底部に向かって流動し、めっき液噴射ノズル13から噴射されるめっき液と合流して、ウェハー2の被処理面に向かって再度噴射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に開示する技術は、半導体装置の製造装置及び半導体装置の製造方法に関し、特に半導体ウェハー上に導電膜を形成するためのめっき装置、及びこのめっき装置を用いて半導体装置を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の製造工程において、半導体ウェハー上に銅(Cu)や金(Au)などの導電膜を形成する場合には、一般的に、噴流式めっき装置を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
第1の従来例は、例えば図5に示すように、一般的な噴流式めっき装置に関し、めっき槽51の上部開口に沿って設けられたウェハー支持部52を兼ねたカソード電極と、このカソード電極の下側に設けられためっき液流出口57と、めっき槽51の底部に設けられためっき液噴射ノズルと、めっき槽51の中央に設置された不溶性メッシュアノード58とを備えている。
【0004】
図5に示した噴流式めっき装置を用いためっき方法としては、まず、ウェハー53がフェースダウンでカソード部に載置され、ウェハー53表面の導電膜と接触させることでカソードとなる。続いて、めっき液供給配管56から供給されためっき液が、めっき液噴射ノズルからめっき槽51内に噴射され、めっき槽51内がめっき液で満たされる。これにより、ウェハー53のめっき対象面54にめっき液が接触する。この状態で、めっき電流供給電源により、アノード電極からカソード電極に設置されているウェハー53の表面の導電体部に電流を流すことにより、電解めっきが進行する。
【0005】
また、第2の従来例は、例えば図6に示すように、複数の噴射ノズルを設置した噴流式めっき装置60に関し、めっき槽63内でめっき液64の噴射ノズル61とめっき液64の回収配管62が交互に配列されている。このため、ウェハー65の面内のどの領域においてもめっき液64は同じ循環挙動を有することから、ウェハー65の表面にめっき層が均一に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−099988号公報
【特許文献2】特開昭62−297495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記第1の従来例に係る噴流式めっき装置では、スルーホールやビアホール(なお、以下では、ビアホールを含めた概念としてスルーホールと称する。)の凹部内において、めっきが均一に形成されないという問題が生じる。これは、めっき液噴射ノズルから噴射されためっき液の噴流方向が、ウェハー中央部においてはウェハーに対して垂直方向の挙動となる一方、ウェハー外周部においてはウェハーに対して水平方向の挙動となり、ウェハー面内において液の供給方向が不均一になることに起因している。
【0008】
具体的に説明すると、ウェハー全面にスルーホールが形成されたウェハーにめっき処理を行う場合、ウェハー中央ではウェハーに対して垂直方向にめっき液が供給されることから、スルーホールの内部にまで十分な量のめっき液が循環される。しかしながら、ウェハー外周部ではウェハーに対して水平方向にめっき液が供給されることから、スルーホールの内部にまで供給されるめっき液の量が少ない。
【0009】
したがって、ウェハー外周部におけるスルーホール内では、めっき成長に必要な金属イオン量が不足するため、めっき層が均一に形成されないという問題が生じる。この問題に対し、めっき成長レートを低下させてめっき処理時間を長くすることにより、めっき液の循環時間を十分にするという対策が考えられるが、スループットが低下するという新たな問題が生じる。
【0010】
一方、上記第2の従来例に係る噴流式メッキ装置は、ウェハー面内のどの領域においてもめっき液の循環挙動を同じできるため、上記第1の従来例に係る問題であるウェハー面内でのめっき液供給方向の不均一を解消することができるものである。
【0011】
しかしながら、この第2の従来例に係る噴流式メッキ装置では、噴射ノズルを複数備えるため、各々の噴射ノズルから噴射されるめっき液量は、供給されるめっき液量の噴射ノズルの数分の1に低下するという問題が別途生じる。
【0012】
この場合、凹凸が少ないウェハー表面にめっき処理するバンプ形成めっきにおいては、噴射ノズルからのめっき液量が低下しても問題はない。しかし、近年、特に高アスペクト比化が進んでいるスルーホールなどの凹部内にめっき処理する場合には、上記したように各々の噴射ノズルから噴射されるめっき液量が低下していると、めっき液の循環状態が非常に悪くなり、スルーホールの底部にまで金属イオンを含むめっき液を安定して供給することができない。その結果、スルーホールの底部においては、めっき層が形成されない状態となったり、形成されためっき層が薄い状態となるため、めっき膜厚の均一性が低下する。
【0013】
この問題に対し、めっき成長レートを低下させてめっき処理時間を長くすることにより、めっき液の循環時間を十分にするという対策が考えられるが、上述したように、スループットが低下するという新たな問題が生じる。さらに、各々の噴射ノズルから噴射されるめっき液量を増加させるという対策も考えられるが、ポンプに負荷が掛かるという新たな問題が生じる。
【0014】
以上のように、スルーホールなどの非常にアスペクト比の高い凹部内にめっき処理する場合には、めっき液噴流方向の均一化に加えて、ポンプに負荷を掛けることなく噴射ノズルからのめっき液流量(圧力)を増加させることが非常に重要である。
【0015】
前記に鑑み、本発明の目的は、めっき液噴流方向を均一化すると共に、ポンプに負荷を掛けることなく噴射ノズルからのめっき液流量(圧力)を増加させる手段を提供することにより、高アスペクト比のスルーホールを含む半導体ウェハーに対しても導電膜を均一な膜厚で形成できるめっき装置、及びそれを用いた半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明の一側面の半導体装置の製造装置は、ウェハーの被処理面に導電膜をめっき形成する半導体装置の製造装置であって、めっき処理槽と、めっき処理槽の上部に設けられ、ウェハーがフェースダウンで載置されるウェハー支持部と、めっき処理槽の底部に設けられためっき液噴射ノズル土台配管と、めっき液噴射ノズル土台配管に連結して設けられ、ウェハーの被処理面に向かってめっき液を噴射する複数のめっき液噴射ノズルとを備えており、複数のめっき液噴射ノズルの各々は、ベンチュリ構造型のノズルであり、めっき液噴射ノズルから噴射されためっき液の一部は、めっき処理槽の上部から底部に向かって流動し、めっき液噴射ノズルから噴射されるめっき液と合流して、ウェハーの被処理面に向かって再度噴射される。
【0017】
本発明の一側面の半導体装置の製造装置において、めっき液噴射ノズル土台配管の形状は、平面型であってもよい。
【0018】
本発明の一側面の半導体装置の製造装置において、めっき液噴射ノズル土台配管の形状は、円弧型であってもよい。
【0019】
本発明の一側面の半導体装置の製造装置において、複数のめっき液噴射ノズルの各々は、ウェハーの被処理面内に均一に導電膜が形成されるように、噴射量及び噴射圧力が異なる複数種のベンチュリ構造型のノズルからなっていてもよい。
【0020】
本発明の一側面の半導体装置の製造装置において、複数種のベンチュリ構造型のノズルは、ノズル開口径の大きさに応じて、噴射量及び噴射圧力が異なっていてもよい。
【0021】
本発明の一側面の半導体装置の製造方法は、上記半導体装置の製造装置を用いた半導体装置の製造方法であって、ウェハーの被処理面がフェースダウンとなるように、ウェハーをウェハー支持部に載置する工程(a)と、めっき液噴射ノズル土台配管を通して、めっき液を複数のめっき液噴射ノズルの各々に供給する工程(b)と、複数のめっき液噴射ノズルの各々に供給されるめっき液を用いて、ウェハーの被処理面に導電膜を形成する工程(c)とを備え、工程(c)は、少なくとも、複数のめっき液噴射ノズルの各々に供給されるめっき液を、複数のめっき液噴射ノズルの各々からウェハーの被処理面に向かって噴射する工程(c1)と、複数のめっき液噴射ノズルから噴射しためっき液の一部を、めっき処理槽の上部から底部に向かって流動させる工程(c2)と、流動しためっき液をベンチュリ効果を利用して複数のめっき液噴射ノズルの各々から噴射するめっき液と合流させて、ウェハーの被処理面に向かって再度噴射する工程(c3)とを含む。
【0022】
本発明の一側面の半導体装置の製造方法において、工程(c1)〜(c3)を繰り返すことにより、ウェハーの被処理面に、所望の膜厚を有する導電膜を形成してもよい。
【0023】
本発明の一側面の半導体装置の製造方法において、ウェハーの被処理面は、分散して形成された複数のスルーホールを備え、工程(c1)〜(c3)を繰り返すことにより、スルーホールの各々に導電膜を均一に形成してもよい。
【発明の効果】
【0024】
以上で説明した本発明の一側面の半導体装置の製造装置及び半導体装置の製造方法によると、複数の噴射ノズルを設置した噴流式めっき装置において、各々のめっき液噴射ノズルはベンチュリ構造型となっている。このため、筒状の従来のノズルと比較してポンプに掛かる負荷を大きくすることなく、めっき液噴射ノズルからの噴射量及び噴射圧力を大きくすることが可能となる。これにより、スルーホールなど非常にアスペクト比の大きい凹部を有するウェハーに対してめっきを処理する場合においても、安定して金属イオンを含むめっき液の供給が可能となり、高アスペクト比のスルーホールを含む半導体ウェハーに対しても、導電膜を均一な膜厚で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造装置としてのめっき処理装置の構造を示す断面模式図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造装置におけるベンチュリ構造型のめっき液噴射ノズルの構造を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造装置の変形例としてのめっき槽の構造を示す断面模式図である。
【図4】図4(a)は、本発明の一実施形態におけるスルーホール内での膜厚が均一な金属めっき層が形成されたウェハーの部分拡大断面図であり、図4(b)は、従来技術におけるスルーホール内での膜厚が不均一な金属めっき層が形成されたウェハーの部分拡大断面図である。
【図5】図5は、第1の従来例に係る半導体装置の噴流式めっき装置の構造を示す断面模式図である。
【図6】図6は、第2の従来例に係る半導体装置の噴流式めっき装置の構造を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下では、図面及び詳細な説明をもって本発明の技術的思想を明確に説明するものであり、当該技術分野におけるいずれの当業者であれば、本発明の好ましい実施例を理解した後に、本発明が開示する技術により、変更及び付加を加えることが可能であり、これは本発明の技術的思想及び範囲を逸脱するものではない。例えば、以下の実施形態において、要素の数など(個数、数値、量、及び範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の下図に限定される場合などを除いて、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造装置としての例えば噴流式のめっき処理装置の断面構造を模式的に示している。
【0028】
図1に示すように、本実施形態のめっき処理装置では、めっき槽1の上部開口に沿って、ウェハー2が載置されるウェハー支持部3が設けられており、このウェハー支持部3にウェハー2のめっき対象面(被処理面)をフェースダウンで載置した状態で、ウェハー2のめっき対象面に対してめっき処理が行われる。
【0029】
ウェハー支持部3は、図示しないカソード電極と電気的に接続されており、カソード電極の下部に設けられためっき液の漏洩防止用シールパッキン4及び環状の支持台5からなり、シールパッキン4及び環状の支持台5は、トップリング6により、めっき処理槽1の開口に固定されている。そして、ウェハー2がウェハー支持部3に載置されると、ウェハー2は、ウェハー押さえ7により、図示しない駆動機構により上方から加圧固定され、図示しないカソード電極とウェハー2のめっき対象面の周辺部分とが接触するように構成されている。
【0030】
また、ウェハー支持部3の下側位置には、めっき液を流出させるためのめっき液流出口8が設けられている。そして、めっき処理槽1の中央位置には、ウェハー2のめっき対象面と対向するように、メッシュ状の不溶性アノード電極9が配置されている。この不溶性アノード電極9とウェハー支持部3に配置されたカソード電極とは、図示しないめっき電流供給電源に接続されている。
【0031】
また、めっき処理槽1を構成する槽壁には、めっき液流出口8から流出してくるめっき液が図示しないめっき液貯蔵槽へ送られるように、めっき液排出路10が設けられている。
【0032】
また、めっき処理槽1の底部中央には、図示しないポンプにより、図示しないめっき液貯蔵槽からめっき液をめっき処理層1の内部へ供給するためのめっき液供給配管11が設けられており、該めっき液供給配管11には、その先に、めっき液噴射ノズル土台配管12が連続して設けられている。
【0033】
また、めっき液噴射ノズル土台配管12には、該めっき液噴射ノズル土台配管12に連結するように、ベンチュリ構造型のめっき液噴射ノズル13が複数設けられている。また、めっき液噴射ノズル13は、メッシュ状の不溶性アノード電極9の下側に位置している。さらに、複数のめっき液噴射ノズル13の配置は、10平方センチメートルあたりに1個以上となる割合で設置することが好ましい。
【0034】
ここで、ベンチュリ構造型のめっき液噴射ノズル13について、図2を参照しながらその詳細を説明する。
【0035】
図2は、図1で示しためっき液噴射ノズル13の構造を概略的に斜視図で示している。
【0036】
図2に示すように、めっき液噴射ノズル13は、めっき液噴射ノズル土台配管12に連結するノズル部21と、ノズル部21からディフューザー部23にめっき液を噴射するオリフィス部22と、めっき処理槽1内にめっき液を噴射するディフューザー部23と、ノズル部21とディフューザー部23との連結部24と、ノズル部22とディフューザー部23との間の液吸入口25とを備えている。めっき液噴射ノズル13は、オリフィス部22の開口径がノズル部21の配管径よりも小さくなっており、いわゆるベンチュリ構造型のノズルである。
【0037】
次に、上述した本実施形態に係るめっき処理装置の動作について、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0038】
まず、ウェハー2をそのめっき対称面がフェースダウンとなるようにウェハー支持部3へ搬送する。続いて、ウェハー押さえ7によりウェハー2を上方から押圧する。これにより、ウェハー2のめっき対象面の周辺部分が、カソード電極と電気的に接続されると共に、カソード電極の下部に設けられためっき液の漏洩防止用シールパッキン4と接触する。
【0039】
次に、外部に設けられた図示しないめっき液貯蔵槽からめっき液供給配管11、めっき液噴射ノズル土台配管12を通してめっき液を供給し、複数のめっき液噴射ノズル13からウェハー2に向けて噴射し、めっき処理槽1内がめっき液で充満するまでめっき液を供給する。めっき処理層1内に充満されためっき液の一部は、矢印a及びbに示すように、めっき液流出口8からめっき液排出路10を通り、外部に設けられた図示しないめっき液貯蔵槽へと流出する。
【0040】
そして、複数のめっき液噴射ノズル13から噴射されてめっき液流出部8から流出しなかっためっき液は、矢印cに示すように、めっき処理槽1の上部側から底部側に流動し、めっき液噴射ノズル13の液吸入口25に向かって流動することになる。液吸入口25近傍のめっき液は、めっき液噴射ノズル13のオリフィス部22からめっき液が矢印d1のように噴射されていることから、噴射された部分の圧力がその周囲と比較し低圧となる、いわゆるベンチュリ効果により、ディフューザー部23内に吸い寄せられる。このため、液吸収入口25近傍のめっき液は、オリフィス部22から噴射されためっき液と合流して、矢印d2に示すように、ディフューザー23からウェハー2に向けて噴流されることになる。このように、めっき液はめっき処理層1内において循環流動している。
【0041】
これにより、めっき液噴射ノズル13のノズル部21に供給されためっき液流量に対し、ディフューザー部23から噴射されるめっき液流量が多くなるという効果が生まれる。その結果、スルーホールなど非常にアスペクト比の大きい凹部を有するウェハー2に対してめっきを処理する場合においても、安定して金属イオンを含むめっき液の供給が可能となる。
【0042】
また、めっき液噴射ノズル13のオリフィス部22の開口径を小さく設計することにより、ディフューザー部23から噴射されるめっき液圧力を大きくできる一方、その開口径を大きく設計することにより、ディフューザー部23から噴射されるめっき液圧力を小さくすることができる。したがって、例えば図3に示すめっき処理装置の構造の変形例のように、めっき液土台配管12の上部部分を円弧型の形状に設計して、オリフィス部22の開口径の異なるめっき液噴射ノズル13を適切な位置に配置することにより、めっき処理槽1内におけるめっき液の噴流状態を調整することが可能となる。このため、スルーホールなど非常にアスペクト比の大きい凹部を有するウェハー2に対してめっきを処理する場合においても、ウェハー2の面内全体に亘って安定して金属イオンを含むめっき液を供給することが可能となる。このような構造とすることは、めっき処理槽1の寸法に制限されて複数のめっき液噴射ノズル13が平面的に設置してもウェハー2の全面に対してめっき液を均等に供給できない場合に特に有用である。
【0043】
次に、カソード電極からウェハー2にマイナス電位を印加して、不溶性アノード電極9にプラス電位を印加する。これにより、めっき液中の金属イオンがカソードとなっているウェハー2に引き寄せられ、ウェハー2の表面上で電子を受け取ることにより、金属膜として析出する。その結果、ウェハー2の表面に導電膜が形成される。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係るめっき処理装置は、ベンチュリ構造型の複数のめっき液噴射ノズル13を用いることにより、めっき液が上述したように循環流動しながらウェハー2に対して噴射するため、ウェハー2に形成されているスルーホールなど非常にアスペクト比の大きい凹部に対しても、安定して金属イオンを含むめっき液が供給されるため、高アスペクト比のスルーホールを含む半導体ウェハー2に対しても、導電膜を均一な膜厚で形成することができる。すなわち、図4(a)に示すように、従来例のめっき処理装置によると、ウェハー2に設けられたスルーホール41では、その底部41a及びその周辺において、膜が形成されなかったり、薄い膜となったりする導電膜43aが形成されるが、本実施形態のめっき処理装置によると、図4(b)に示すように、スルーホール41の底部41b周辺を含めて、ウェハー2の全体に均一な膜厚を有する導電膜43bが形成される。
【0045】
また、めっき液噴射ノズル13の各々は、ベンチュリ構造型となっていることにより、噴射されるめっき液圧力を大きくすることができる。このため、従来の筒状のノズルと比較して、ノズルからめっき対象となるウェハーまでの距離が長くても、安定して金属イオンを含むめっき液の供給が可能となる結果、高アスペクト比のスルーホールを含む半導体ウェハーに対しても導電膜を均一な膜厚で形成することができる。
【0046】
また、ベンチュリ構造型となっている複数のめっき液噴射ノズルの各々は、噴射量及び噴射圧力が異なるタイプのベンチュリ構造の噴射ノズルに適宜付け替えることができるため、めっき処理槽1内のめっき液循環状態の調整が可能となる。例えば、上述したように、オリフィス部22の開口径の大きさを変えることにより、噴射量及び噴射圧力が異なるタイプのベンチュリ構造の噴射ノズルは実現される。これにより、複数のめっき液噴射ノズル13は、平面的に配列されなくても、例えば、上述したように、めっき液噴射ノズル土台配管12が円弧型の形状である場合においても、噴射量及び噴射圧力の異なるベンチュリ構造の噴射ノズルの配置を調整することにより、めっき処理槽1内でめっき液の循環状態の調整が可能となる。このため、安定して金属イオンを含むめっき液の供給が可能となり、高アスペクト比のスルーホールを含む半導体ウェハーに対しても、導電膜を均一な膜厚で形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明は、スルーホールなど非常にアスペクト比の大きい凹部を有するウェハーに対してめっきを処理する場合においても、安定して金属イオンを含むめっき液の供給が可能となるものであるから、特に、高アスペクト比のスルーホールを含む半導体ウェハーに対してめっき処理する半導体装置の製造装置及び半導体装置の製造方法にとって有用である。
【符号の説明】
【0048】
1 めっき処理槽
2 ウェハー
3 ウェハー支持部
4 シールパッキン(カソード電極に電気的に接続)
5 環状支持台
6 トップリング
7 ウェハー押さえ
8 めっき液流出口
9 不溶性アノード電極
10 めっき液排出路
11 めっき液供給配管
12 めっき液噴射ノズル土台配管
13 めっき液噴射ノズル
21 ノズル部
22 オリフィス部
23 ディフューザー部
24 ノズル部21とディフューザー部23との連結部
25 液吸入口部
41 スルーホールの底部
42 スルーホール
43a、43b 導電膜(金属めっき層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハーの被処理面に導電膜をめっき形成する半導体装置の製造装置であって、
めっき処理槽と、
前記めっき処理槽の上部に設けられ、前記ウェハーがフェースダウンで載置されるウェハー支持部と、
前記めっき処理槽の底部に設けられためっき液噴射ノズル土台配管と、
前記めっき液噴射ノズル土台配管に連結して設けられ、前記ウェハーの被処理面に向かってめっき液を噴射する複数のめっき液噴射ノズルとを備えており、
前記複数のめっき液噴射ノズルの各々は、ベンチュリ構造型のノズルであり、
前記めっき液噴射ノズルから噴射された前記めっき液の一部は、前記めっき処理槽の上部から底部に向かって流動し、前記めっき液噴射ノズルから噴射される前記めっき液と合流して、前記ウェハーの被処理面に向かって再度噴射される
ことを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項2】
前記めっき液噴射ノズル土台配管の形状は、平面型である
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造装置。
【請求項3】
前記めっき液噴射ノズル土台配管の形状は、円弧型である
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造装置。
【請求項4】
前記複数のめっき液噴射ノズルの各々は、前記ウェハーの被処理面内に均一に前記導電膜が形成されるように、噴射量及び噴射圧力が異なる複数種のベンチュリ構造型のノズルからなる
ことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造装置。
【請求項5】
前記複数種のベンチュリ構造型のノズルは、ノズル開口径の大きさに応じて、前記噴射量及び噴射圧力が異なっている
ことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の半導体装置の製造装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
前記ウェハーの被処理面がフェースダウンとなるように、前記ウェハーを前記ウェハー支持部に載置する工程(a)と、
前記めっき液噴射ノズル土台配管を通して、前記めっき液を前記複数のめっき液噴射ノズルの各々に供給する工程(b)と、
前記複数のめっき液噴射ノズルの各々に供給される前記めっき液を用いて、前記ウェハーの被処理面に前記導電膜を形成する工程(c)とを備え、
前記工程(c)は、少なくとも、
前記複数のめっき液噴射ノズルの各々に供給される前記めっき液を、前記複数のめっき液噴射ノズルの各々から前記ウェハーの被処理面に向かって噴射する工程(c1)と、
前記複数のめっき液噴射ノズルから噴射した前記めっき液の一部を、前記めっき処理槽の上部から底部に向かって流動させる工程(c2)と、
前記流動した前記めっき液をベンチュリ効果を利用して前記複数のめっき液噴射ノズルの各々から噴射する前記めっき液と合流させて、前記ウェハーの被処理面に向かって再度噴射する工程(c3)とを含む
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記工程(c1)〜(c3)を繰り返すことにより、前記ウェハーの被処理面に、所望の膜厚を有する前記導電膜を形成する
ことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記ウェハーの被処理面は、分散して形成された複数のスルーホールを備え、
前記工程(c1)〜(c3)を繰り返すことにより、前記スルーホールの各々に前記導電膜を均一に形成する
ことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−241417(P2011−241417A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112744(P2010−112744)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】