説明

半導体装置及びそのテスト方法

【課題】複数のコアチップが積層された半導体装置において、各コアチップにそれぞれ任意のイネーブル信号を供給するために必要な貫通電極の数を削減する。
【解決手段】インターフェースチップIFと複数のコアチップCC0〜CC7が積層されており、複数のコアチップCC0〜CC7は、貫通電極TSV1を介してインターフェースチップIFに共通接続されており、インターフェースチップIFは、貫通電極TSV1を介して複数のコアチップCC0〜CC7にイネーブル信号TLSEをシリアルに供給し、複数のコアチップCC0〜CC7は、イネーブル信号TLSEを構成する複数ビットのうち当該コアチップに割り当てられたチップ識別情報に対応するビットの論理レベルに基づいて活性化される。本発明によれば、イネーブル信号を供給するために必要な貫通電極の数を削減することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及びそのテスト方法に関し、特に、複数のコアチップとこれを制御するインターフェースチップからなる半導体装置及びそのテスト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体装置に要求される記憶容量は年々増大している。この要求を満たすために1つのメモリチップの記憶容量を増加させようとすると、従来以上の微細加工が必要になって歩留まりが確保できないため、近年、複数のメモリチップを積層したマルチチップパッケージと呼ばれるメモリデバイスが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、マルチチップパッケージにて用いられるメモリチップは、単体で動作する通常のメモリチップであることから、各メモリチップには外部とのインターフェースを行ういわゆるフロントエンド部が含まれている。このため、1チップ当たりの記憶容量を大幅に増大させることは困難である。
【0003】
しかも、フロントエンド部を構成する回路はロジック系の回路であるにもかかわらず、メモリコアを含むバックエンド部と同時に作製されるために、フロントエンド部のトランジスタを高速化することが困難であるという問題もあった。
【0004】
このような問題を解決する方法として、複数のメモリチップからフロントエンド部を切り離して1つのインターフェースチップにまとめ、これらを積層することによって一つの半導体装置を構成する方法が提案されている(特許文献2,3参照)。この方法によれば、メモリチップ(以下、フロントエンド部を切り離したメモリチップを「コアチップ」という。)については、メモリコアに割り当て可能な占有面積が増大することから、1チップ当たりの記憶容量を増大させることが可能となる。一方、フロントエンド部が集積されたインターフェースチップについては、メモリコアとは異なるプロセスで作製できるため、高速なトランジスタによって回路を形成することが可能となる。しかも、1つのインターフェースチップに対して複数のコアチップを割り当てるため、全体として非常に大容量且つ高速な半導体装置を提供することが可能となる。
【0005】
なお、半導体装置のテスト方法として、メモリセルアレイから読み出された複数のテストデータを圧縮し、得られたテスト結果信号を外部に出力する「並列テスト」が知られている(特許文献4参照)。並列テストを行うことで、テスト時間を短縮できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−305283号公報
【特許文献2】特開2007−157266号公報
【特許文献3】特開2006−313607号公報
【特許文献4】特開平11−339499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のマルチチップパッケージや、複数のコアチップとインターフェースチップからなる半導体装置には、テストに要する時間が長くなってしまうという問題があった。以下、後者の場合を例に挙げて詳しく説明する。
【0008】
複数のコアチップとインターフェースチップからなる半導体装置では、各コアチップのデータ端子は、貫通電極を介してインターフェースチップに共通接続される。テスト結果信号もデータの一種として出力されるため、上記貫通電極を介してインターフェースチップに供給され、インターフェースチップを介して外部に出力される。このため、データ端子からテスト結果信号を出力させる方式では、複数のコアチップから同時にテスト結果信号を出力することはできない。この場合、テスト結果信号を各コアチップから順次出力する必要があり、その分、テストに要する時間が長くなっていた。
【0009】
したがって、上記従来のマルチチップパッケージや、複数のコアチップとインターフェースチップからなる半導体装置のテストに要する時間の短縮が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、複数のコアチップとインターフェースチップが積層された半導体装置に対する並列テストを高速に行う方法として、各コアチップから出力されるテスト結果信号をメモリチップごとに異なる貫通電極に出力する方式を提案した。この方式によれば、複数のコアチップに対して同時に並列テストを行うことができるため、テスト時間を短縮することが可能となる。
【0011】
ここで、並列テストの対象とする1又は2以上の任意のコアチップを選択可能とするためには、メモリチップごとに異なる貫通電極を用いてイネーブル信号を各コアチップに供給すればよい。しかしながら、この場合、イネーブル信号を各コアチップに供給するための貫通電極の数として、最低でもコアチップの枚数分が必要となる。しかも、ディセーブル信号を各コアチップに供給する必要がある場合、イネーブル信号及びディセーブル信号を供給するための貫通電極の数はコアチップの枚数の2倍となり、さらに、断線などの発生を考慮して2以上の貫通電極を並列に使用する場合には、必要となる貫通電極の数はさらに増大する。
【0012】
本発明者は、各コアチップにそれぞれ任意のイネーブル信号を供給するために必要な貫通電極の数を削減すべく、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明の一側面による半導体装置は、それぞれ複数のメモリセルを含むメモリセルアレイを有し、互いに異なるチップ識別情報が割り当てられた複数のコアチップと、前記複数のコアチップを制御するインターフェースチップとを備え、前記インターフェースチップと前記複数のコアチップは積層されており、前記複数のコアチップは、第1の貫通電極を介して前記インターフェースチップに共通接続されており、前記インターフェースチップは、前記第1の貫通電極を介して前記複数のコアチップに複数ビットからなるイネーブル信号をシリアルに供給し、前記複数のコアチップは、前記イネーブル信号を構成する複数ビットのうち前記チップ識別情報に対応するビットの論理レベルに基づいて活性化されることを特徴とする。
【0014】
本発明の他の側面による半導体装置は、それぞれ複数のメモリセルを含むメモリセルアレイを有し、互いに異なるチップ識別情報が割り当てられた複数のコアチップと、前記複数のコアチップを制御するインターフェースチップとを備え、前記インターフェースチップと前記複数のコアチップは積層されており、前記複数のコアチップは、第1の貫通電極を介して前記インターフェースチップに共通接続されるとともに、第4の貫通電極を介して前記インターフェースチップにそれぞれ個別に接続されており、前記インターフェースチップは、前記第1の貫通電極を介して前記複数のコアチップにイネーブル信号を供給し、前記複数のコアチップは、前記イネーブル信号と前記チップ識別情報とを比較することによって選択的に活性化され、前記複数のコアチップのうち、前記イネーブル信号によって活性化されたコアチップは、対応する前記メモリセルアレイから読み出されたテストデータを圧縮してテスト結果信号を生成し、前記第4の貫通電極を介してそれぞれ対応するテスト結果信号を前記インターフェースチップに供給することを特徴とする。
【0015】
本発明の一側面による半導体装置のテスト方法は、それぞれ複数のメモリセルを含むメモリセルアレイを有し、互いに異なるチップ識別情報が割り当てられた複数のコアチップと、前記複数のコアチップを制御するインターフェースチップとを備え、前記インターフェースチップと前記複数のコアチップが積層されている半導体装置のテスト方法であって、前記複数のコアチップに設けられ、前記インターフェースチップに共通接続された第1の貫通電極を介して、前記インターフェースチップから前記複数のコアチップに複数ビットからなるイネーブル信号をシリアルに供給し、前記イネーブル信号を構成する複数ビットのうち、前記チップ識別情報に対応するビットの論理レベルを前記複数のコアチップにおいてそれぞれ判定し、判定の結果に基づいて活性化されたコアチップは、対応する前記メモリセルアレイから読み出されたテストデータを圧縮してテスト結果信号を生成し、前記複数のコアチップに設けられ、前記インターフェースチップに個別に接続された第4の貫通電極を介して、前記テスト結果信号を前記インターフェースチップに供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、各コアチップに割り当てられたチップ識別情報を参照していることから、各コアチップに共通に供給されるイネーブル信号を任意のコアチップにて有効とすることができる。これにより、イネーブル信号を供給するために必要な貫通電極の数を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の好ましい第1の実施形態による半導体装置の構造を説明するための模式的な断面図である。
【図2】コアチップに設けられた貫通電極の種類を説明するための図である。
【図3】図2(a)に示すタイプの貫通電極の構造を示す断面図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態による半導体装置の回路構成を示すブロック図である。
【図5】コアチップCC0〜CC7の選択に関連する回路を抜き出して示す図である。
【図6】I/O構成に応じたアドレスの割り当てを説明するための表である。
【図7】テストモードレジスタ66の主要部の回路構成を示すブロック図である。
【図8】判定論理部500のブロック図である。
【図9】シリアルパラレル変換回路510の回路図である。
【図10】層イネーブル判定回路520の回路図である。
【図11】判定論理部500の動作を説明するためのタイミング図である。
【図12】コアチップ内のテスト回路とインターフェースチップ内のテスト回路とを接続する貫通電極群(スパイラル接続された貫通電極群)を含む断面の模式図である。
【図13】コアチップ内のテスト回路の機能ブロックを示す略ブロック図である。
【図14】コアチップ内のテスト回路の比較回路部の一例を示す略ブロック図である。
【図15】コアチップ内のテスト回路のテスト出力制御部の一例を示す略ブロック図である。
【図16】コアチップ内のテスト回路のテスト出力制御部の他の一例を示す略ブロック図である。
【図17】インターフェースチップ内のテスト回路の機能ブロックを示す略ブロック図である。
【図18】インターフェースチップ内のテスト回路のテスト出力制御部の一例を示す略ブロック図である。
【図19】組み立て後試験の処理フローを示す図である。
【図20】本発明の好ましい実施形態による半導体装置を用いたデータ処理システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の好ましい実施形態による半導体装置10の構造を説明するための模式的な断面図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態による半導体装置10は、互いに同一の機能、構造を持ち、夫々同一の製造マスクで製作された8枚のコアチップCC0〜CC7、コアチップとは異なる製造マスクで製作された1枚のインターフェースチップIF及び1枚のインターポーザIPが積層された構造を有している。コアチップCC0〜CC7及びインターフェースチップIFはシリコン基板を用いた半導体チップであり、いずれもシリコン基板を貫通する多数の貫通電極TSV(Through Silicon Via)によって上下に隣接するチップと電気的に接続されている。一方、インターポーザIPは樹脂からなる回路基板であり、その裏面IPbには複数の外部端子(半田ボール)SBが形成されている。
【0021】
コアチップCC0〜CC7は、「外部端子を介して外部とのインターフェースを行ういわゆるフロントエンド部と複数の記憶セルとそれら記憶セルへアクセスするいわゆるバックエンド部の両者を含む周知で一般的なそれ自身が単体チップでも動作し、メモリコントローラと直接通信できる通常のメモリチップである1GbのDDR3(Double Data Rate 3)型SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)」に含まれる回路ブロックのうち、外部とのインターフェースを行ういわゆるフロントエンド部(フロントエンド機能)が削除された半導体チップである。言い換えれば、原則として、バックエンド部に属する回路ブロックのみが集積された半導体チップである。フロントエンド部に含まれる回路ブロックとしては、メモリセルアレイとデータ入出力端子との間で入出力データのパラレル/シリアル変換を行うパラレルシリアル変換回路(データラッチ回路)や、データの入出力タイミングを制御するDLL(Delay Locked Loop)回路などが挙げられる。詳細は後述する。インターフェースチップIFは、フロントエンド部のみが集積された半導体チップである。よって、インターフェースチップの動作周波数は、コアチップの動作周波数よりも高い。コアチップCC0〜CC7にはフロントエンド部に属するこれらの回路は含まれていないため、コアチップの製造過程において、そのコアチップがウェハ状態で実施されるテスト動作時を除きコアチップCC0〜CC7を単体で動作させることはできない。コアチップCC0〜CC7を動作させるためには、インターフェースチップIFが必要である。よって、コアチップは、一般的な単体チップの記憶集積度よりも集積度が高い。インターフェースチップIFは、外部と第1の動作周波数で通信するフロントエンド機能を有し、複数のコアチップCC0〜CC7は、インターフェースチップIFとのみ通信し、且つ第1の動作周波数よりも低い第2の動作周波数で通信するバックエンド機能を有する。よって、複数のコアチップCC0〜CC7のそれぞれは、複数の情報を記憶するメモリセルアレイを備え、複数のコアチップCC0〜CC7からインターフェースチップIFへパラレルに供給される一つのI/O(DQ)当たりの複数のリードデータは、インターフェースチップIFからコアチップへ与える一回のリードコマンドに関連する複数のビット数である。所謂、複数のビット数は、周知のプリフェッチデータ数に対応する。
【0022】
インターフェースチップIFは、8枚のコアチップCC0〜CC7に対する共通のフロントエンド部として機能する。したがって、外部からのアクセスは全てインターフェースチップIFを介して行われ、データの入出力もインターフェースチップIFを介して行われる。本実施形態では、インターポーザIPとコアチップCC0〜CC7との間にインターフェースチップIFが配置されているが、インターフェースチップIFの位置については特に限定されず、コアチップCC0〜CC7よりも上部に配置しても構わないし、インターポーザIPの裏面IPbに配置しても構わない。インターフェースチップIFをコアチップCC0〜CC7の上部にフェースダウンで又はインターポーザIPの裏面IPbにフェースアップで配置する場合には、インターフェースチップIFに貫通電極TSVを設ける必要はない。また、インターフェースチップIFは、2つのインターポーザIPに挟まれるように配置しても良い。
【0023】
インターポーザIPは、半導体装置10の機械的強度を確保するとともに、電極ピッチを拡大するための再配線基板として機能する。つまり、インターポーザIPの上面IPaに形成された電極101をスルーホール電極102によって裏面IPbに引き出し、裏面IPbに設けられた再配線層103によって、外部端子SBのピッチを拡大している。図1には、2個の外部端子SBのみを図示しているが、実際には多数の外部端子が設けられている。外部端子SBのレイアウトは、規格により定められたDDR3型のSDRAMにおけるそれと同じである。したがって、外部のコントローラからは1個のDDR3型のSDRAMとして取り扱うことができる。
【0024】
図1に示すように、最上部のコアチップCC0の上面はNCF(Non-Conductive Film)104及びリードフレーム105によって覆われており、コアチップCC0〜CC7及びインターフェースチップIFの各チップ間のギャップはアンダーフィル106で充填され、またその周囲は封止樹脂107によって覆われている。これにより、各チップが物理的に保護される。
【0025】
コアチップCC0〜CC7に設けられた貫通電極TSVの大部分は、積層方向から見た平面視で、すなわち図1に示す矢印Aから見た場合に、同じ位置に設けられた他層の貫通電極TSVと短絡されている。つまり、図2(a)に示すように、平面視で同じ位置に設けられた上下の貫通電極TSV1が短絡され、これら貫通電極TSV1によって1本の配線(電流パス)が構成されている。このような貫通電極TSVの接続形態を「ストレート接続」という。各コアチップCC0〜CC7に設けられたこれらの貫通電極TSV1は、当該コアチップ内の内部回路4にそれぞれ接続されている。したがって、インターフェースチップIFから図2(a)に示す貫通電極TSV1に供給される入力信号(コマンド信号、アドレス信号など)は、コアチップCC0〜CC7の内部回路4に共通に入力される。また、コアチップCC0〜CC7から貫通電極TSV1に供給される出力信号(データなど)は、ワイヤードオアされてインターフェースチップIFに入力される。
【0026】
これに対し、一部の貫通電極TSVについては、図2(b)に示すように、平面視で同じ位置に設けられた他層の貫通電極TSV2と直接接続されるのではなく、当該コアチップCC0〜CC7に設けられた内部回路5を介して接続されている。つまり、各コアチップCC0〜CC7に設けられたこれら内部回路5が貫通電極TSV2を介してカスケード接続されている。この種の貫通電極TSV2は、各コアチップCC0〜CC7に設けられた内部回路5に所定の情報を順次転送するために用いられる。このような情報としては、後述する層アドレス情報が挙げられる。
【0027】
さらに他の一部の貫通電極TSV群については、図2(c)に示すように、平面視で異なる位置に設けられた他層の貫通電極TSVと短絡されている。この種の貫通電極TSV群3に対しては、平面視で所定の位置Pに設けられた貫通電極TSV3aに各コアチップCC0〜CC7の内部回路6が接続されている。このような貫通電極TSVの接続形態を「スパイラル接続」といい、後ほどより詳しく説明する。スパイラル接続を行うことにより、各コアチップに設けられた内部回路6は互いに異なる電流パスを通じてインターフェースチップIFと接続されることになるので、インターフェースチップIFから各コアチップに対して選択的に情報を入力することが可能となる。このような情報としては、後述する不良チップ情報やテスト層活性化信号TLSE、テスト回路67が出力する層テスト結果信号などが挙げられる。
【0028】
このように、コアチップCC0〜CC7に設けられた貫通電極TSVには、図2(a)〜(c)に示す3タイプ(貫通電極TSV1〜貫通電極TSV3)が存在する。上述の通り、大部分の貫通電極TSVは図2(a)に示すタイプであり、アドレス信号、コマンド信号、クロック信号などは図2(a)に示すタイプの貫通電極TSV1を介して、インターフェースチップIFからコアチップCC0〜CC7に供給される。また、リードデータ及びライトデータについても、図2(a)に示すタイプの貫通電極TSV1を介してインターフェースチップIFに入出力される。これに対し、図2(b),(c)に示すタイプの貫通電極TSV2,貫通電極TSV3は、互いに同一の構造を有するコアチップCC0〜CC7に対して、個別の情報を与えるために用いられる。
【0029】
図3は、図2(a)に示すタイプの貫通電極TSV1の構造を示す断面図である。
【0030】
図3に示すように、貫通電極TSV1はシリコン基板90及びその表面の層間絶縁膜91を貫通して設けられている。貫通電極TSV1の周囲には絶縁リング92が設けられており、これによって、貫通電極TSV1とトランジスタ領域との絶縁が確保される。図3に示す例では絶縁リング92が二重に設けられており、これによってTSV1とシリコン基板80との間の静電容量が低減されている。
【0031】
シリコン基板90の裏面側における貫通電極TSV1の端部93は、裏面バンプ94で覆われている。裏面バンプ94は、下層のコアチップに設けられた表面バンプ95と接する電極である。表面バンプ95は、各配線層L0〜L3に設けられたパッドP0〜P3及びパッド間を接続する複数のスルーホール電極TH1〜TH3を介して、貫通電極TSV1の端部96に接続されている。これにより、平面視で同じ位置に設けられた表面バンプ95と裏面バンプ94は、短絡された状態となる。尚、図示しない内部回路との接続は、配線層L0〜L3に設けられたパッドP0〜P3から引き出される内部配線(図示せず)を介して行われる。
【0032】
図4は、半導体装置10の回路構成を示すブロック図である。
【0033】
図4に示すように、インターポーザIPに設けられた外部端子には、クロック端子11a,11b、クロックイネーブル端子11c、コマンド端子12a〜12e、アドレス端子13、データ入出力端子14、データストローブ端子15a,15b、キャリブレーション端子16、及び電源端子17a,17bが含まれている。これら外部端子は、全てインターフェースチップIFに接続されており、電源端子17a,17bを除きコアチップCC0〜CC7には直接接続されない。
【0034】
まず、これら外部端子とフロントエンド機能であるインターフェースチップIFとの接続関係、並びに、インターフェースチップIFの回路構成について説明する。
【0035】
クロック端子11a,11bはそれぞれ外部クロック信号CK,/CKが供給される端子であり、クロックイネーブル端子11cはクロックイネーブル信号CKEが入力される端子である。供給された外部クロック信号CK,/CK及びクロックイネーブル信号CKEは、インターフェースチップIFに設けられたクロック発生回路21に供給される。本明細書において信号名の先頭に「/」が付されている信号は、対応する信号の反転信号又はローアクティブな信号であることを意味する。したがって、外部クロック信号CK,/CKは互いに相補の信号である。クロック発生回路21は内部クロック信号ICLKを生成する回路であり、生成された内部クロック信号ICLKは、インターフェースチップIF内の各種回路ブロックに供給される他、貫通電極TSVを介してコアチップCC0〜CC7にも共通に供給される。
【0036】
また、インターフェースチップIFにはDLL回路22が含まれており、DLL回路22によって入出力用クロック信号LCLKが生成される。入出力用クロック信号LCLKは、インターフェースチップIFに含まれる入出力バッファ回路23に供給される。DLL機能は、半導体装置10が外部と通信するに当たり、外部との同期がマッチングされた信号LCLKでフロントエンドを制御するからである。故に、バックエンドであるコアチップCC0〜CC7には、DLL機能は不要である。
【0037】
コマンド端子12a〜12eは、それぞれロウアドレスストローブ信号/RAS、カラムアドレスストローブ信号/CAS、ライトイネーブル信号/WE、チップセレクト信号/CS、及びオンダイターミネーション信号ODTが供給される端子である。これらのコマンド信号は、インターフェースチップIFに設けられたコマンド入力バッファ31に供給される。コマンド入力バッファ31に供給されたこれらコマンド信号は、コマンドデコーダ/コントロールロジック32に供給される。コマンドデコーダ/コントロールロジック32は、内部クロックICLKに同期して、コマンド信号の保持、デコード及びカウントなどを行うことによって、各種内部コマンドICMDを生成する回路である。生成された内部コマンドICMDは、インターフェースチップIF内の各種回路ブロックに供給される他、貫通電極TSVを介してコアチップCC0〜CC7にも共通に供給される。
【0038】
アドレス端子13は、アドレス信号A0〜A15,BA0〜BA2が供給される端子であり、供給されたアドレス信号A0〜A15,BA0〜BA2は、インターフェースチップIFに設けられたアドレス入力バッファ41に供給される。アドレス入力バッファ41の出力は、貫通電極TSVを介してコアチップCC0〜CC7に共通に供給される。また、モードレジスタセットにエントリーしている場合には、アドレス信号A0〜A15はインターフェースチップIFに設けられたモードレジスタ42に供給される。また、アドレス信号BA0〜BA2(バンクアドレス)については、インターフェースチップIFに設けられた図示しないアドレスデコーダによってデコードされ、これにより得られるバンク選択信号Bがデータラッチ回路25に供給される。これは、ライトデータのバンク選択がインターフェースチップIF内で行われるためである。
【0039】
データ入出力端子14は、リードデータ又はライトデータDQ0〜DQ15の入出力を行うための端子である。また、データストローブ端子15a,15bは、ストローブ信号DQS,/DQSの入出力を行うための端子である。これらデータ入出力端子14及びデータストローブ端子15a,15bは、インターフェースチップIFに設けられた入出力バッファ回路23に接続されている。入出力バッファ回路23には、入力バッファIB及び出力バッファOBが含まれており、DLL回路22より供給される入出力用クロック信号LCLKに同期して、リードデータ又はライトデータDQ0〜DQ15及びストローブ信号DQS,/DQSの入出力を行う。また、入出力バッファ回路23は、コマンドデコーダ/コントロールロジック32から内部オンダイターミネーション信号IODTが供給されると、出力バッファOBを終端抵抗として機能させる。さらに、入出力バッファ回路23には、キャリブレーション回路24からインピーダンスコードDRZQが供給されており、これによって出力バッファOBのインピーダンスが指定される。入出力バッファ回路23は、周知のFIFO回路を含む。
【0040】
キャリブレーション回路24には、出力バッファOBと同じ回路構成を有するレプリカバッファRBが含まれており、コマンドデコーダ/コントロールロジック32よりキャリブレーション信号ZQが供給されると、キャリブレーション端子16に接続された外部抵抗(図示せず)の抵抗値を参照することによってキャリブレーション動作を行う。キャリブレーション動作とは、レプリカバッファRBのインピーダンスを外部抵抗の抵抗値と一致させる動作であり、得られたインピーダンスコードDRZQが入出力バッファ回路23に供給される。これにより、出力バッファOBのインピーダンスが所望の値に調整される。
【0041】
入出力バッファ回路23は、データラッチ回路25に接続されている。データラッチ回路25は、周知なDDR機能を実現するレイテンシ制御によって動作するFIFO機能を実現するFIFO回路(不図示)とマルチプレクサMUX(不図示)とを含み、コアチップCC0〜CC7から供給されるパラレルなリードデータをシリアル変換するとともに、入出力バッファから供給されるシリアルなライトデータをパラレル変換する回路である。したがって、データラッチ回路25と入出力バッファ回路23との間はシリアル接続であり、データラッチ回路25とコアチップCC0〜CC7との間はパラレル接続である。本実施形態では、コアチップCC0〜CC7がDDR3型のSDRAMのバックエンド部であり、プリフェッチ数が8ビットである。また、データラッチ回路25とコアチップCC0〜CC7はバンクごとに接続されており、各コアチップCC0〜CC7に含まれるバンク数は8バンクである。したがって、データラッチ回路25とコアチップCC0〜CC7との接続は1DQ当たり64ビット(8ビット×8バンク)となる。
【0042】
このように、データラッチ回路25とコアチップCC0〜CC7との間においては、基本的に、シリアル変換されていないパラレルデータが入出力される。つまり、通常のSDRAM(それは、フロントエンドとバックエンドが1つのチップで構成される)では、チップ外部との間でのデータの入出力がシリアルに行われる(つまり、データ入出力端子は1DQ当たり1個である)のに対し、コアチップCC0〜CC7では、インターフェースチップIFとの間でのデータの入出力がパラレルに行われる。この点は、通常のSDRAMとコアチップCC0〜CC7との重要な相違点である。但し、プリフェッチしたパラレルデータを全て異なる貫通電極TSVを用いて入出力することは必須でなく、コアチップCC0〜CC7側にて部分的なパラレル/シリアル変換を行うことによって、1DQ当たり必要な貫通電極TSVの数を削減しても構わない。例えば、1DQ当たり64ビットのデータを全て異なる貫通電極TSVを用いて入出力するのではなく、コアチップCC0〜CC7側にて2ビットのパラレル/シリアル変換を行うことによって、1DQ当たり必要な貫通電極TSVの数を半分(32個)に削減しても構わない。
【0043】
更に、データラッチ回路25は、インターフェースチップ単位で試験ができる機能が付加されている。インターフェースチップには、バックエンド部が存在しない。このため、原則として単体で動作させることはできない。しかしながら、単体での動作が一切不可能であると、ウェハ状態でのインターフェースチップの動作試験を行うことができなくなってしまう。これは、インターフェースチップと複数のコアチップの組み立て工程を経た後でなければ、半導体装置10を試験することができないことを示し、半導体装置10を試験することによって、インターフェースチップを試験することを意味する。インターフェースチップに回復できない欠陥がある場合、半導体装置10全体の損失を招くことになる。この点を考慮して、本実施形態では、データラッチ回路25には、試験用に擬似的なバックエンド部の一部が設けられており、試験時に簡素な記憶機能が可能とされている。
【0044】
電源端子17a,17bは、それぞれ電源電位VDD,VSSが供給される端子であり、インターフェースチップIFに設けられたパワーオン検出回路43に接続されるとともに、貫通電極TSVを介してコアチップCC0〜CC7にも接続されている。パワーオン検出回路43は、電源の投入を検出する回路であり、電源の投入を検出するとインターフェースチップIFに設けられた層アドレスコントロール回路45を活性化させる。
【0045】
層アドレスコントロール回路45は、本実施形態による半導体装置10のI/O構成に応じて層アドレスを変更するための回路である。上述の通り、本実施形態による半導体装置10は16個のデータ入出力端子14を備えており、これにより最大でI/O数を16ビット(DQ0〜DQ15)に設定することができるが、I/O数がこれに固定されるわけではなく、8ビット(DQ0〜DQ7)又は4ビット(DQ0〜DQ3)に設定することも可能である。これらI/O数に応じてアドレス割り付けが変更され、層アドレスも変更される。層アドレスコントロール回路45は、I/O数に応じたアドレス割り付けの変更を制御する回路であり、貫通電極TSVを介して各コアチップCC0〜CC7に共通に接続されている。
【0046】
また、インターフェースチップIFには層アドレス設定回路44も設けられている。層アドレス設定回路44は、貫通電極TSVを介してコアチップCC0〜CC7に接続されている。層アドレス設定回路44は、図2(b)に示すタイプの貫通電極TSV2を用いて、コアチップCC0〜CC7の層アドレス発生回路46にカスケード接続されており、テスト時においてコアチップCC0〜CC7に設定された層アドレスを読み出す役割を果たす。
【0047】
さらに、インターフェースチップIFには不良チップ情報保持回路33が設けられている。不良チップ情報保持回路33は、正常に動作しない不良コアチップがアセンブリ後に発見された場合に、そのチップ番号を保持する回路である。不良チップ情報保持回路33は、貫通電極TSVを介してコアチップCC0〜CC7に接続されている。不良チップ情報保持回路33は、図2(c)に示すタイプの貫通電極TSV3を用いて、シフトされながらコアチップCC0〜CC7に接続されている。
【0048】
また、インターフェースチップIFにはテストモードレジスタ34及びテスト回路35が設けられている。テストモードレジスタ34は、図2(a)に示すタイプの貫通電極TSV1を用いて、各コアチップCC0〜CC7に共通接続されている。これに対し、テスト回路35は、図2(c)に示すタイプの貫通電極TSV3を用いて、シフトされながらコアチップCC0〜CC7に接続されている。
【0049】
テストモードレジスタ34は、コマンドデコーダ/コントロールロジック32及びモードレジスタ42から、テストモード信号TM(IF)及びテスト層活性化信号TLAを受け取る。これらの信号は、コマンド信号及びアドレス信号としてコマンド端子12a〜12e及びアドレス端子13から入力されるものである。
【0050】
テストモード信号TM(IF)は、並列テストモードセットを示すとともに、その並列テストがテスト結果を1ビットで出力するか複数ビットで出力するかを示す信号である。テストモードレジスタ34は、テストモード信号TM(IF)に応じて各種のテスト制御用信号(オンチップ比較テスト信号TOCCIF、並列テスト信号TPARADTIF、多ビット出力並列テスト信号TPARAPIF)を生成し、テスト回路35に供給する。テスト制御用信号の詳細については後述する。
【0051】
テスト層活性化信号TLAは、並列テストの対象とするコアチップを指定する信号であり、1又は複数のコアチップを指定している。テストモードレジスタ34は、テスト層活性化信号TLAに応じて、それぞれコアチップCC0〜CC7に対応するイネーブル信号TLSE及びディセーブル信号TLSDを生成する。これらイネーブル信号TLSE及びディセーブル信号TLSDは、タイミング信号であるテストクロックTLSCLKとともに、図2(a)に示すタイプの貫通電極TSV1を通じて、各コアチップのテストモードレジスタ66(後述)に出力される。イネーブル信号TLSE、ディセーブル信号TLSD及びテストクロックTLSCLKは、それぞれ1ビットの信号である。したがって、これらの信号をコアチップCC0〜CC7に供給するための貫通電極TSV1の数は、各コアチップ当たり3個で足りる。
【0052】
テスト回路35の詳細については後述する。
【0053】
以上が外部端子とインターフェースチップIFとの接続関係、並びに、インターフェースチップIFの回路構成の概要である。次に、コアチップCC0〜CC7の回路構成について説明する。
【0054】
図4に示すように、バックエンド機能であるコアチップCC0〜CC7に含まれるメモリセルアレイ50は、いずれも8バンクに分割されている。尚、バンクとは、個別にコマンドを受け付け可能な単位である。言い換えれば、夫々のバンクは、互いに排他制御で独立に動作することができる。半導体装置10外部からは、独立に夫々のバンクをアクセスできる。例えば、バンク1のメモリセルアレイ50とバンク2のメモリセルアレイ50は、異なるコマンドにより夫々対応するワード線WL、ビット線BL等を、時間軸的に同一の期間に個別にアクセス制御できる非排他制御の関係である。例えば、バンク1をアクティブ(ワード線とビット線をアクティブ)に維持しつつ、更にバンク2をアクティブに制御することができる。リード但し、半導体装置の外部端子(例えば、複数の制御端子、複数のI/O端子)は、共有している。メモリセルアレイ50内においては、複数のワード線WLと複数のビット線BLが交差しており、その交点にはメモリセルMCが配置されている(図4においては、1本のワード線WL、1本のビット線BL及び1個のメモリセルMCのみを示している)。ワード線WLの選択はロウデコーダ51によって行われる。また、ビット線BLはセンス回路53内の対応するセンスアンプSAに接続されている。センスアンプSAの選択はカラムデコーダ52によって行われる。
【0055】
ロウデコーダ51は、ロウ制御回路61より供給されるロウアドレスによって制御される。ロウ制御回路61には、貫通電極TSVを介してインターフェースチップIFより供給されるロウアドレスを受けるアドレスバッファ61aが含まれており、アドレスバッファ61aによってバッファリングされたロウアドレスがロウデコーダ51に供給される。貫通電極TSVを介して供給されるアドレス信号は、入力バッファB1を介して、ロウ制御回路61などに供給される。また、ロウ制御回路61にはリフレッシュカウンタ61bも含まれており、コントロールロジック回路63からリフレッシュ信号が発行された場合には、リフレッシュカウンタ61bが示すロウアドレスがロウデコーダ51に供給される。
【0056】
カラムデコーダ52は、カラム制御回路62より供給されるカラムアドレスによって制御される。カラム制御回路62には、貫通電極TSVを介してインターフェースチップIFより供給されるカラムアドレスを受けるアドレスバッファ62aが含まれており、アドレスバッファ62aによってバッファリングされたカラムアドレスがカラムデコーダ52に供給される。また、カラム制御回路62にはバースト長をカウントするバーストカウンタ62bも含まれている。
【0057】
カラムデコーダ52によって選択されたセンスアンプSAは、さらに、データアンプ56や図示しないサブアンプを介して、データコントロール回路54に接続される。これにより、リード動作時においては、一つのI/O(DQ)あたり8ビット(=プリフェッチ数)のリードデータがデータコントロール回路54から出力され、ライト動作時においては、8ビットのライトデータがデータコントロール回路54に入力される。データコントロール回路54とインターフェースチップIFとの間は貫通電極TSVを介してパラレルに接続される。
【0058】
コントロールロジック回路63は、貫通電極TSVを介してインターフェースチップIFから供給される内部コマンドICMDを受け、これに基づいてロウ制御回路61及びカラム制御回路62の動作を制御する回路である。言い換えれば、コントロールロジック回路63は、クロック信号、アドレス信号、コントロール信号に応じて、メモリセルアレイ50へのリード/ライト動作を制御する回路である。
【0059】
コントロールロジック回路63には、層アドレス比較回路(チップ情報比較回路)47が接続されている。層アドレス比較回路47は、当該コアチップがアクセス対象であるか否かを検出する回路であり、その検出は、貫通電極TSVを介してインターフェースチップIFより供給されるアドレス信号の一部SEL(チップ選択情報)と、層アドレス発生回路46に設定された層アドレスLID(チップ識別情報)とを比較することにより行われる。
【0060】
層アドレス発生回路46には、初期化時において各コアチップCC0〜CC7に固有の層アドレスが設定される。層アドレスの設定方法は次の通りである。まず、半導体装置10が初期化されると、各コアチップCC0〜CC7の層アドレス発生回路46に初期値として最小値(0,0,0)が設定される。コアチップCC0〜CC7の層アドレス発生回路46は、図2(b)に示すタイプの貫通電極TSVを用いてカスケード接続されているとともに、内部にインクリメント回路を有している。そして、最上層のコアチップCC0の層アドレス発生回路46に設定された層アドレス(0,0,0)が貫通電極TSVを介して2番目のコアチップCC1の層アドレス発生回路46に送られ、インクリメントされることにより異なる層アドレス(0,0,1)が生成される。以下同様にして、生成された層アドレスを下層のコアチップに転送し、転送されたコアチップ内の層アドレス発生回路46は、これをインクリメントする。最下層のコアチップCC7の層アドレス発生回路46には、層アドレスとして最大値(1,1,1)が設定されることになる。これにより、各コアチップCC0〜CC7には固有の層アドレスが設定される。
【0061】
層アドレス発生回路46には、貫通電極TSVを介してインターフェースチップIFの不良チップ情報保持回路33から不良チップ信号DEFが供給される。不良チップ信号DEFは、図2(c)に示すタイプの貫通電極TSV3を用いて各コアチップCC0〜CC7に供給されるため、各コアチップCC0〜CC7に個別の不良チップ信号DEFを供給することができる。不良チップ信号DEFは、当該コアチップが不良チップである場合に活性化される信号であり、これが活性化している場合、層アドレス発生回路46はインクリメントした層アドレスではなく、インクリメントされていない層アドレスを下層のコアチップに転送する。また、不良チップ信号DEFはコントロールロジック回路63にも供給されており、不良チップ信号DEFが活性化している場合にはコントロールロジック回路63の動作が完全に停止する。これにより、不良のあるコアチップは、インターフェースチップIFからアドレス信号やコマンド信号が入力されても、リード動作やライト動作を行うことはない。
【0062】
また、コントロールロジック回路63の出力は、モードレジスタ64にも供給されている。これにより、コントロールロジック回路63の出力がモードレジスタセットを示している場合、アドレス信号によってモードレジスタ64の設定値が上書きされる。これにより、コアチップCC0〜CC7の動作モードが設定される。
【0063】
さらに、コアチップCC0〜CC7には、内部電圧発生回路70が設けられている。内部電圧発生回路には電源電位VDD,VSSが供給されており、内部電圧発生回路70はこれを受けて各種内部電圧を生成する。内部電圧発生回路70により生成される内部電圧としては、各種周辺回路の動作電源として用いる内部電圧VPERI(≒VDD)、メモリセルアレイ50のアレイ電圧として用いる内部電圧VARY(<VDD)、ワード線WLの活性化電位である内部電圧VPP(>VDD)などが含まれる。また、コアチップCC0〜CC7には、パワーオン検出回路71も設けられており、電源の投入を検出すると各種内部回路のリセットを行う。
【0064】
また、コアチップCC0〜CC7には、テストモードレジスタ66及びテスト回路67が設けられている。テストモードレジスタ66は、モードレジスタ64からテストモード信号TM(Core)を受け取るとともに、貫通電極TSV1を介してインターフェースチップIFからイネーブル信号TLSE、ディセーブル信号TLSD及びテストクロックTLSCLKを受け取る。テストモード信号TM(Core)は、アドレス信号としてアドレス端子13から入力されるものであり、テストモード信号TM(IF)と同様、並列テストモードセットを示すとともに、テスト結果を1ビットで出力するか複数ビットで出力するかを示す信号である。テストモードレジスタ34は、テストモード信号TM(Core)に応じて各種のテスト制御用信号(オンチップ比較テスト信号TOCC、並列テスト信号TPARADT、多ビット出力並列テスト信号TPARAP)を生成し、テスト回路67に供給する。テスト制御用信号の詳細については後述する。テストモード信号TM(Core)は、各コアチップCC0〜CC7において共通に活性化するが、イネーブル信号TLSE、ディセーブル信号TLSD及びテストクロックTLSCLKによって、テストモード信号TM(Core)は任意のコアチップCC0〜CC7において有効となる。テストモードレジスタ66の詳細については後述する。
【0065】
テスト回路67は、図2(c)に示すタイプの貫通電極TSV3によりインターフェースチップIF内のテスト回路35に接続され、並列テスト時に、予めテスト対象の複数のメモリセルに書き込まれたテストデータをデータアンプ56から取り出して比較する機能と、コアチップごとに異なる電流パス(複数の貫通電極TSVによって構成される貫通電極パス)を通じて比較結果(層テスト結果信号)を出力する機能とを有する。詳細は後述する。
【0066】
コアチップCC0〜CC7に含まれる上記の周辺回路は、貫通電極TSVを介してインターフェースチップIFから供給される内部クロック信号ICLKに同期して動作する。貫通電極TSVを介して供給される内部クロック信号ICLKは、入力バッファB2を介して各種周辺回路に供給される。
【0067】
以上がコアチップCC0〜CC7の基本的な回路構成である。コアチップCC0〜CC7には外部とのインターフェースを行うフロントエンド部が設けられておらず、このため、原則として単体で動作させることはできない。しかしながら、単体での動作が一切不可能であると、ウェハ状態でのコアチップの動作試験を行うことができなくなってしまう。これは、インターフェースチップと複数のコアチップの組み立て工程を経た後でなければ、半導体装置10を試験することができないことを示し、半導体装置10を試験することによって、各コアチップをそれぞれ試験することを意味する。コアチップに回復できない欠陥がある場合、半導体装置10全体の損失を招くことになる。この点を考慮して、本実施形態では、コアチップCC0〜CC7にはいくつかのテストパッドTPとテスト用のコマンドデコーダ65のテスト用フロントエンド部で構成される試験用に擬似的なフロントエンド部の一部が設けられており、テストパッドTPからアドレス信号やコマンド信号の入力が可能とされている。試験用のフロントエンド部は、あくまでウェハ試験において簡素な試験を実現する機能の回路であり、インターフェースチップ内のフロントエンド機能をすべて備えるわけではない、ことに注意が必要である。例えば、コアチップの動作周波数は、フロントエンドの動作周波数よりも低いことから、低周波で試験するテスト用のフロントエンド部の回路で簡素に実現することができる。
【0068】
テストパッドTPには、クロック信号が入力されるテストパッドTP1、アドレス信号が入力されるテストパッドTP2、コマンド信号が入力されるテストパッドTP3、テストデータの入出力を行うためのテストパッドTP4、データストローブ信号の入出力を行うためのテストパッドTP5、電源電位を供給するためのテストパッドTP6、テスト回路67の出力データを取り出すためのテストパッドTP7、テスト回路67にウエハテストモードセットを示す信号PWBを入力するためのテストパッドTP8などが含まれている。なお、テストパッドTP7とテスト回路67の間には、ウェハ試験用入出力バッファが設けられる。
【0069】
テスト時においては、デコードされていない通常の外部コマンドが入力されるため、コアチップCC0〜CC7にはテスト用のコマンドデコーダ65も設けられている。また、テスト時においては、シリアルなテストデータが入出力されることから、コアチップCC0〜CC7にはテスト用の入出力回路55も設けられている。
【0070】
以上が本実施形態による半導体装置10の全体構成である。このように、本実施形態による半導体装置10は、1Gbのコアチップが8枚積層された構成を有していることから、合計で8Gbのメモリ容量となる。また、チップ選択信号/CSが入力される端子(チップ選択端子)は1つであることから、コントローラからはメモリ容量が8Gbである単一のDRAMとして認識される。
【0071】
図5は、コアチップCC0〜CC7の選択に関連する回路を抜き出して示す図である。
【0072】
図5に示すように、各コアチップCC0〜CC7には層アドレス発生回路46が設けられており、これらが図2(b)に示すタイプのTSV2を介して従属接続されている。層アドレス発生回路46には、層アドレスレジスタ46a、インクリメント回路46b、転送回路46cが含まれている。
【0073】
層アドレスレジスタ46aは、3ビットの層アドレス(チップ識別情報)LIDを保持するレジスタであり、図4に示すパワーオン検出回路71によって電源の投入が検出されると、その値が最小値(0,0,0)に初期化される。そして、最上層のコアチップCC0においては、層アドレスレジスタ46aに設定された層アドレスLID(0,0,0)をインクリメント回路46bによってインクリメントした値(0,0,1)が生成され、これが転送回路46cによって下層のコアチップCC1に転送される。転送された層アドレスLID(0,0,1)は、コアチップCC1の層アドレスレジスタ46aに設定される。
【0074】
コアチップCC1においても、層アドレスレジスタ46aに設定された層アドレスLID(0,0,1)をインクリメント回路46bによってインクリメントした値(0,1,0)が生成され、これが転送回路46cによって下層のコアチップCC2に転送される。
【0075】
以下同様にして、インクリメントされた層アドレスLIDが順次下層のコアチップに転送される。最終的に、最下層のコアチップCC7の層アドレスレジスタ46aには、層アドレスLIDとして最大値(1,1,1)が設定されることになる。これにより、各コアチップCC0〜CC7には固有の層アドレスLIDが設定される。
【0076】
また、層アドレス発生回路46には、図2(c)に示すタイプのTSV3を介して、インターフェースチップIFの不良チップ情報保持回路33から不良チップ信号DEFが供給される。不良チップ信号DEFは8ビットの信号であり、各ビットがそれぞれ対応するコアチップCC0〜CC7に供給される。不良チップ信号DEFの対応するビットが活性化しているコアチップは不良チップである。不良チップ信号DEFの対応するビットが活性化しているコアチップにおいては、転送回路46cはインクリメントされた層アドレスLIDではなく、インクリメントされていない層アドレスLIDを下層のコアチップに転送する。これにより、層アドレスLIDの割り付けにおいて不良チップはスキップされる。つまり、各コアチップCC0〜CC7に割り当てられる層アドレスLIDは固定的ではなく、不良チップ信号DEFに応じて可変である。尚、不良チップには下層のコアチップと同じ層アドレスLIDが割り当てられることになるが、不良チップにおいてはコントロールロジック回路63の活性化が禁止されるため、インターフェースチップIFからアドレス信号やコマンド信号が入力されても、実際にリード動作やライト動作を行うことはない。
【0077】
このようにして設定された層アドレスLIDは、同じコアチップCC0〜CC7内の層アドレス比較回路(チップ情報比較回路)47に供給される。層アドレス比較回路47は、層アドレス発生回路46より供給される層アドレスLID(チップ識別情報)と、TSVを介してインターフェースチップIFより供給されるアドレス信号の一部(チップ選択情報)SELとを比較する回路である。アドレス信号については、図2(a)に示すタイプのTSV1を介して各コアチップCC0〜CC7に共通に供給されるため、層アドレス比較回路47によって一致が検出されるコアチップは1つだけとなる。
【0078】
インターフェースチップIFより供給されるアドレス信号には、ロウアドレスとカラムアドレスが含まれており、ロウアドレス及びカラムアドレスの順にコアチップCC0〜CC7に供給される。したがって、チップ選択情報SELの全てがロウアドレスに含まれている場合には、層アドレス比較回路47の比較動作はロウアドレスの入力時に完了することになる。これに対し、チップ選択情報SELの一部がロウアドレスに含まれ、チップ選択情報SELの残りの一部がカラムアドレスに含まれている場合には、層アドレス比較回路47の比較動作はロウアドレスの入力時には完了せず、カラムアドレスが入力されてはじめて完了する。
【0079】
アドレス信号のどの部分をチップ選択情報SELとして用いるかは、I/O構成によって異なる。つまり、チップ選択情報SELは固定的に決まるのではなく、I/O構成に応じて可変である。ここで、I/O構成とは、外部との間で同時に入出力する単位外部データのビット数の構成を指し、本実施形態では、16ビット構成(DQ0〜DQ15)、8ビット構成(DQ0〜DQ7)及び4ビット構成(DQ0〜DQ3)のいずれかを選択することができる。I/O構成の選択は、ヒューズ切断やボンディングオプションによって行うことができる。
【0080】
図6は、I/O構成に応じたアドレスの割り当てを説明するための表である。
【0081】
図6に示すように、16ビット構成(16DQ)に設定された場合には、アドレス信号のビットA0〜A15がロウアドレスX0〜X15として用いられ、A0〜A9がカラムアドレスY0〜Y9として用いられる。このうち、ロウアドレスX13〜X15は、チップ選択情報SELの各ビットとして使用される。したがって、16ビット構成(16DQ)に設定された場合には、ロウアドレスが入力された時点でチップ選択情報SELが確定する。
【0082】
これに対し、8ビット構成(8DQ)に設定された場合には、アドレス信号のビットA0〜A15がロウアドレスX0〜X15として用いられ、A0〜A9,A11がカラムアドレスY0〜Y9,Y11として用いられる。このうち、ロウアドレスX14,X15とカラムアドレスY11がチップ選択情報SELの各ビットとして使用される。さらに、4ビット構成(4DQ)に設定された場合には、アドレス信号のビットA0〜A15がロウアドレスX0〜X15として用いられ、A0〜A9,A11,A13がカラムアドレスY0〜Y9,Y11,Y13として用いられる。このうち、ロウアドレスX14,X15とカラムアドレスY13がチップ選択情報SELの各ビットとして使用される。したがって、8ビット構成(8DQ)又は4ビット構成(4DQ)に設定された場合には、ロウアドレスとカラムアドレスの両方が入力されないと、選択情報SELは確定しない。
【0083】
図5に戻って、層アドレスコントロール回路45は選択されたI/O構成に応じ、アドレス信号のどの部分をチップ選択情報SELとして用いるか、指定信号SETによって指定する。指定信号SETは、TSVを介して各コアチップCC0〜CC7の層アドレス比較回路47に共通に供給される。そして、層アドレス比較回路47は、層アドレス発生回路46より供給される層アドレスLIDとインターフェースチップIFより供給されるチップ選択情報SELとを比較し、これらが一致した場合に一致信号HITを活性化させる。一致信号HITは当該コアチップ内のコントロールロジック回路63に供給される。コントロールロジック回路63は一致信号HITによって活性化され、TSVを介してインターフェースチップIFより供給される内部コマンドICMDを有効とする。有効とされた内部コマンドのうち、内部ロウコマンドIRCMDは図1に示したロウ制御回路61に供給され、内部カラムコマンドICCMDは図1に示したカラム制御回路62に供給される。これに対し、一致信号HITが活性化していない場合、コントロールロジック回路63は内部コマンドICMDを無効とする。したがって、各コアチップCC0〜CC7に共通に供給される内部コマンドICMDは、コアチップCC0〜CC7のいずれか一つにおいて有効とされる。
【0084】
図7は、テストモードレジスタ66の主要部の回路構成を示すブロック図である。
【0085】
図7に示すように、各コアチップCC0〜CC7に設けられたテストモードレジスタ66には、判定論理部500が含まれている。判定論理部500には、当該コアチップの層アドレスLID、イネーブル信号TLSE、ディセーブル信号TLSD及びテストクロックTLSCLKが供給される。上述の通り、層アドレスLIDは各コアチップCC0〜CC7に固有の値であることから、判定論理部500に供給される層アドレスLIDはコアチップ毎に相違する。これに対し、イネーブル信号TLSE、ディセーブル信号TLSD及びテストクロックTLSCLKは、図2(a)に示すタイプの貫通電極TSV1を介して供給されるため、各コアチップCC0〜CC7において共通である。本明細書においては、イネーブル信号TLSEを供給するための貫通電極を「第1の貫通電極」、テストクロックTLSCLKを供給するための貫通電極を「第2の貫通電極」、ディセーブル信号TLSDを供給するための貫通電極を「第3の貫通電極」と呼ぶことがある。
【0086】
判定論理部500は、これらの入力信号に基づいて、イネーブルヒット信号En_HIT[i](iは0〜7のコアチップ番号)及びディセーブルヒット信号Dis_HIT[i]を生成する。これらイネーブルヒット信号En_HIT[i]及びディセーブルヒット信号Dis_HIT[i]は、テストモード信号TM(Core)とともにNANDゲート回路501に入力される。NANDゲート回路501の出力であるヒット信号IN_HITB_SIG[i]は、当該テストモードレジスタ66の活性化信号であり、この信号がローレベルに活性化したコアチップCC0〜CC7において並列テストが行われる。ヒット信号IN_HITB_SIG[i]がハイレベルに非活性化しているコアチップCC0〜CC7においては、並列テストは行われない。
【0087】
図8は、判定論理部500のブロック図である。
【0088】
図8に示すように、判定論理部500は、シリアルパラレル変換回路510と、層イネーブル判定回路520と、層ディセーブル判定回路530とを備えている。
【0089】
シリアルパラレル変換回路510は、テストクロックTLSCLKに同期してシリアルに供給されるイネーブル信号TLSE及びディセーブル信号TLSDをパラレル変換する回路である。パラレル変換されたイネーブル信号TLSEは、8ビットのイネーブル信号TLSE[7:0]として層イネーブル判定回路520に供給され、パラレル変換されたディセーブル信号TLSDは、8ビットのディセーブル信号TLSD[7:0]として層ディセーブル判定回路530に供給される。
【0090】
層イネーブル判定回路520は、イネーブル信号TLSE[7:0]を構成するイネーブル信号TLSE[0]〜TLSE[7]のうち、当該コアチップCC0〜CC7に割り当てられた層アドレス(チップ識別情報)LIDに対応するビットの論理レベルに基づいて、イネーブルヒット信号En_HIT[i]を生成する回路である。同様に、層ディセーブル判定回路530は、ディセーブル信号TLSD[7:0]を構成するディセーブル信号TLSD[0]〜TLSD[7]のうち、当該コアチップCC0〜CC7に割り当てられた層アドレス(チップ識別情報)LIDに対応するビットの論理レベルに基づいて、ディセーブルヒット信号Dis_HIT[i]を生成する回路である。
【0091】
図9は、シリアルパラレル変換回路510の回路図である。
【0092】
図9に示すように、シリアルパラレル変換回路510は、縦続接続された8ビットのシフトレジスタ511,512によって構成されている。シフトレジスタ511の初段ラッチ回路にはイネーブル信号TLSEが供給され、テストクロックTLSCLKに同期して順次後段のラッチ回路にシフトされる。同様に、シフトレジスタ512の初段ラッチ回路にはディセーブル信号TLSDが供給され、テストクロックTLSCLKに同期して順次後段のラッチ回路にシフトされる。シフトレジスタ511を構成する各ラッチ回路の出力はイネーブル信号TLSE[0]〜TLSE[7]として用いられ、シフトレジスタ512を構成する各ラッチ回路の出力はディセーブル信号TLSD[0]〜TLSD[7]として用いられる。かかる構成により、テストクロックTLSCLKに同期してシリアルに供給されるイネーブル信号TLSE及びディセーブル信号TLSDは、シリアルパラレル変換回路510によってパラレルな信号に変換される。
【0093】
図10は、層イネーブル判定回路520の回路図である。
【0094】
図10に示すように、層イネーブル判定回路520は、層アドレスLIDをデコードするデコーダ521と、デコーダ521の出力であるデコード信号の各ビットとイネーブル信号TLSE[0]〜TLSE[7]の対応する各ビットをそれぞれ受ける比較回路522と、比較回路522の出力に基づいてイネーブルヒット信号En_HIT[i]を生成するNANDゲート回路523によって構成されている。
【0095】
デコーダ521の出力であるデコード信号は、8ビットの信号である。そして、層アドレスLIDがコアチップCC0〜CC7ごとに相違していることから、8ビットのデコード信号のうち、コアチップCC0〜CC7ごとに異なるビットがアクティブ(ハイレベル)となる。デコーダ521から出力されるデコード信号は比較回路522に供給され、デコード信号の各ビットと、イネーブル信号TLSE[0]〜TLSE[7]の対応する各ビットがNANDゲート回路によって比較される。その結果、対応する2つのビットがいずれもハイレベルであれば、当該NANDゲート回路の出力はローレベルとなる。その結果、8入力のNANDゲート回路523の出力であるイネーブルヒット信号En_HIT[i]がハイレベルに活性化する。ここで、デコーダ521の出力である8ビットのデコード信号は1ビットのみがハイレベルとなることから、比較回路522は、デコード信号の当該ビットに対応するイネーブル信号TLSE[i]がハイレベルであるか否かを判定していることになる。
【0096】
層ディセーブル判定回路530の回路図については、上述した層イネーブル判定回路520と同様の回路構成を有しているため、重複する説明は省略する。
【0097】
図11は、判定論理部500の動作を説明するためのタイミング図である。
【0098】
図11に示す例では、テストクロックTLSCLKの0番目〜7番目のアクティブエッジがそれぞれコアチップCC0〜CC7を指定するアクティブエッジとして用いられている。そして、0番目から3番目、6番目及び7番目のアクティブエッジに同期してイネーブル信号TLSEが活性化しており、4番目から7番目のアクティブエッジに同期してディセーブル信号TLSDが活性化している。
【0099】
イネーブル信号TLSE及びディセーブル信号TLSDは、インターフェースチップIFからシリアルに各コアチップCC0〜CC7に共通に供給され、シリアルパラレル変換回路510によってパラレル変換される。そして、層イネーブル判定回路520及び層ディセーブル判定回路530によって、各コアチップCC0〜CC7に対応するビットのみが有効とされる。その結果、コアチップCC0〜CC3、CC6及びCC7においてイネーブルヒット信号En_HITが活性化するとともに、コアチップCC4〜CC7においてディセーブルヒット信号Dis_HITが活性化する。
【0100】
このようにして生成されるイネーブルヒット信号En_HIT[i]及びディセーブルヒット信号Dis_HIT[i]は、図7に示すNANDゲート回路501に供給される。尚、ディセーブルヒット信号Dis_HIT[i]は、インバータによって反転された後にNANDゲート回路501に供給される。これにより、イネーブルヒット信号En_HIT[i]が活性化しており、且つ、ディセーブルヒット信号Dis_HIT[i]が非活性状態であることを条件として、ヒット信号IN_HITB_SIG[i]が活性化する。これに対し、イネーブルヒット信号En_HIT[i]が非活性状態である場合や、イネーブルヒット信号En_HIT[i]及びディセーブルヒット信号Dis_HIT[i]の両方が活性化している場合には、ヒット信号IN_HITB_SIG[i]は非活性となる。
【0101】
したがって、図11に示す例では、コアチップCC0〜CC3が並列テストの対象となり、コアチップCC4〜CC7は並列テストの対象とならない。このような選択は、シリアルに供給されるイネーブル信号TLSE及びディセーブル信号TLSDに基づいて任意であり、任意の個数及び任意の組み合わせのコアチップを並列テストの対象とすることができる。
【0102】
そして、本実施形態においては、イネーブル信号TLSE、ディセーブル信号TLSD及びテストクロックTLSCLKの3ビットの信号をシリアルに供給することによって、並列テストの対象となるコアチップCC0〜CC7の選択を行っていることから、必要となる貫通電極の数は3つで足りる。しかも、使用する第1〜第3の貫通電極は、図2(a)に示すタイプの貫通電極TSV1であることから、テスト時に使用しない貫通電極、例えば、データDQを送受信する一部の貫通電極を使用することができ、この場合は、専用の貫通電極を用意する必要がない。
【0103】
このように、本実施形態によれば、並列テストの対象となるコアチップCC0〜CC7を選択するために必要な貫通電極の数を削減することが可能となる。
【0104】
以下、実際に並列テストを行うための各回路について説明する。
【0105】
図12は、テスト回路35とテスト回路67とを接続する電流パスC0〜C7を構成する貫通電極TSV群3を含む断面の模式図である。同図に示すように、この貫通電極TSV群3には、各コアチップに設けられた並列テスト用貫通電極TSVPTm<n>が含まれる。ただし、m,nは0〜7の整数である。以下同様に、<n>と付加することでコアチップCCnに対応する構成であることを示す場合がある。本命最初においては、並列テスト用貫通電極TSVPTm<n>を「第4の貫通電極」と呼ぶことがある。
【0106】
並列テスト用貫通電極TSVPTm<n>は、mの値ごとに、平面視で互いに同一の位置に設けられる。また、各コアチップCCn内において、図12の左側から順に並列テスト用貫通電極TSVPT0<n>〜貫通電極TSVPT7<n>の順で等間隔に並べられている。コアチップCCnに設けられるテスト回路67<n>は、並列テスト用貫通電極TSVPT0<n>に接続される。
【0107】
コアチップCC0に設けられた並列テスト用貫通電極TSVPTm<0>(m=0〜6)は、その直下に位置するコアチップCC1に設けられた並列テスト用貫通電極TSVPT(m+1)<1>と接続されている。並列テスト用貫通電極TSVPT7<0>は、並列テスト用貫通電極TSVPT0<1>と接続されている。コアチップCC1〜CC6に設けられた並列テスト用貫通電極TSVPTm<n>についても同様である。
【0108】
インターフェースチップIFは、並列テスト用貫通電極端子TTSVPT0〜7を備える。これら並列テスト用貫通電極端子TTSVPT0〜7はそれぞれ、コアチップCC7に設けられた並列テスト用貫通電極TSVPT0〜7<7>と接続されている。
【0109】
以上の接続をまとめると、並列テスト用貫通電極端子TTSVPT0、並列テスト用貫通電極TSVPT0<7>、並列テスト用貫通電極TSVPT7<6>、並列テスト用貫通電極TSVPT6<5>、並列テスト用貫通電極TSVPT5<4>、並列テスト用貫通電極TSVPT4<3>、並列テスト用貫通電極TSVPT3<2>、並列テスト用貫通電極TSVPT2<1>、並列テスト用貫通電極TSVPT1<0>が順次接続されており、これらにより電流パスC0が構成される。電流パスC0は、並列テスト用貫通電極TSVPT0<7>を通じて、コアチップCC7内のテスト回路67<7>と接続する。他の電流パスC1〜C7も同様であり、電流パスC1〜C7はそれぞれ、並列テスト用貫通電極TSVPT0<1>〜<7>を通じて、テスト回路67<6>〜<0>と接続する。
【0110】
このように、テスト回路35とテスト回路67を接続する電流パスC0〜C7をスパイラル接続された貫通電極TSV群を用いて構成したことにより、各コアチップのテスト回路67は、互いに異なる電流パスからテストデータを出力することが可能になっている。したがって、各コアチップの層テスト結果信号を一斉に出力することができ、順次出力する場合に比べてテストに要する時間が短縮されている。加えて、スパイラル接続を採用したことで、各コアチップの構成を同一とすることが可能になっている。
【0111】
図13は、テスト回路67の機能ブロックを示す略ブロック図である。同図に示すように、テスト回路67は、複数(ここでは8個)の比較回路部80[0]〜[7]と、テスト出力制御部81とを有している。
【0112】
各比較回路部80には、予め特定された所定個のメモリセルに記憶されているテストデータがデータアンプ56から供給されるとともに、テストモードレジスタ66から並列テスト信号TPARADTが供給される。並列テスト信号TPARADTは並列テストの実施中である場合に活性状態となり、そうでない場合に非活性状態となる信号である。各比較回路部80は、並列テスト信号TPARADTが活性状態である場合、メモリセルから読み出される複数のテストデータを1つの比較結果で置き換えることによりその情報量を圧縮し、最終的には所定のビット数のデータとして後段のテスト出力制御部81に出力する機能部である。各比較回路部80の出力は、並列テスト信号TPARADTが非活性状態である場合には、テストデータによらず所定値、例えば、ハイレベルとなる。
【0113】
図14は、比較回路部80の一例を示す略ブロック図である。同図に示すように、比較回路部80は、データアンプ56を介してメモリセルアレイから供給される複数のテストデータを、多段階で比較する。
【0114】
並列テストを行う際には、予めテスト対象のメモリセルに所定のテストデータパターンを書き込んでおく。ここでは、一例として、テストデータパターンはすべて同一データ(ハイ又はロー)のデータパターンであるとする。比較回路部80は、Y2,/Y2比較部82、Y1,Y0比較部83、Y11,/Y11比較部84、X13,/X13比較部85を有し、これらの比較部によって4段の比較動作を行う。
【0115】
Y2,/Y2比較部82は、予め特定された2つのメモリセルにそれぞれ記憶されているデータ(Data1(Y2)及びData2(/Y2))を比較する。具体的には、カラムアドレスの所定のビット(Y2)のみが異なるメモリセルにそれぞれ記憶されているデータ(Data1(Y2)及びData2(/Y2))を比較する。Y2,/Y2比較部82の具体的な構成は、図14に示したように、それぞれData1(Y2)及びData2(/Y2)が供給されるNOR回路82a及びNAND回路82bと、並列テスト信号TPARADTが供給されるNOT回路82cと、NOR回路82aの出力及びNOT回路82cの出力が供給されるNOR回路82dと、NAND回路82bの出力及びNOR回路82dの出力が供給されるNAND回路82eとを有している。これらの回路の動作により、Y2,/Y2比較部82の出力(NAND回路82eの出力)は、並列テスト信号TPARADTが活性化されており、かつData1(Y2)とData2(/Y2)とが異なる場合にのみ非活性化され、その他の場合に活性化される。
【0116】
それぞれのY2,/Y2比較部82の出力は、2段目のY1,Y0比較部83でカラムアドレスの所定のビット(Y1、Y0)が互いに異なるもの同士が比較され、それぞれのY1,Y0比較部83の出力は3段目のY11,/Y11比較部84でカラムアドレスの所定のビット(Y11)が互いに異なるもの同士が比較され、それぞれのY11,/Y11比較回路の出力は4段目のX13,/X13比較部8でさらに比較され、最終的にX13,/X13比較部8の比較結果が比較回路部80の出力TRDATA[k](k=0〜6)となる。比較結果TRDATAは1ビットのデータである。
【0117】
比較回路部80は、2つの1/2バンクに1つの割合で配置され、1枚のコアチップあたり8個設置される。
【0118】
図13に戻る。テスト出力制御部81には、各比較回路部80[0]〜[7]から出力される比較結果TRDATA[0]〜[7](合計8ビットのデータ)の他、オンチップ比較テスト信号TOCC、並列テスト信号TPARADT、多ビット出力並列テスト信号TPARAP、及びウエハテストモードセットを示す信号PWBが入力される。オンチップ比較テスト信号TOCCは、例えば、バーンイン試験のようにテスト結果を1ビットで出力するようなテスト(1ビット出力テスト)の実施中に活性化状態となり、テスト結果を複数ビットで出力するようなテスト(複数ビット出力テスト)の実施中に非活性状態となる信号である。一方、多ビット出力並列テスト信号TPARAPは、1ビット出力テストの実施中に非活性状態となり、複数ビット出力テストの実施中に活性状態となる信号である。信号PWBは、各コアチップのウェハ試験を行う場合に活性状態となり、組み立て後試験を行う場合に非活性状態となる信号である。
【0119】
テスト出力制御部81は、信号PWBが活性状態(ウェハ試験)である場合、比較回路部80[0]〜[7]の比較結果TRDATA[0]〜[7]に基づいて層テスト結果信号TDRD[0]〜[7]を生成する。このとき、オンチップ比較テスト信号TOCCが非活性状態(複数ビット出力テスト)であり、かつ多ビット出力並列テスト信号TPARAPが活性状態(複数ビット出力テスト)であれば、テスト出力制御部81は、比較結果TRDATA[0]〜[7]をそれぞれ、層テスト結果信号TDRD[0]〜[7]に割り当てる。一方、オンチップ比較テスト信号TOCCが活性状態(1ビット出力テスト)であり、かつ多ビット出力並列テスト信号TPARAPが非活性状態(1ビット出力テスト)であれば、テスト出力制御部81は、比較結果TRDATA[0]〜[7]に基づいて1ビットの層テスト結果信号を生成し、層テスト結果信号TDRD[0]〜[7]のすべてにこの層テスト結果信号を割り当てる。したがってこの場合、TDRD[0]〜[7]は互いに同一のデータとなる。テスト出力制御部81は、こうして生成した層テスト結果信号TDRD[0]〜[7]を、ウェハ試験用入出力バッファ68を介してテストパッドTP7に出力する。
【0120】
一方、信号PWBが非活性状態(組み立て後試験)である場合、テスト出力制御部81は、比較回路部80[0]〜[7]の比較結果TRDATA[0]〜[7]に基づいて1ビットの層テスト結果信号TRDATAL<n>を生成し、貫通電極TSVPT0<n>に出力する。
【0121】
図15は、テスト出力制御部81の一例を示す略ブロック図である。この例では、オンチップ比較テスト信号TOCC及び並列テスト信号TPARADTはハイアクティブ、多ビット出力並列テスト信号TPARAP及び信号PWBはローアクティブとしている。
【0122】
図15に示すように、テスト出力制御部81は、比較結果TRDATA[0]〜[7]が供給されるAND回路81aと、AND回路81aの出力及びオンチップ比較テスト信号TOCCが入力されるD−Latch回路81bと、多ビット出力並列テスト信号TPARAPが供給されるNOT回路81cと、NOT回路81cの出力、並列テスト信号TPARADT、及びそれぞれ比較結果TRDATA[0]〜[7]の反転データが供給されるNAND回路81d[0]〜[7]と、D−Latch回路81bの出力TRCOMPT(1DQ)とそれぞれNAND回路81d[0]〜[7]の出力とが供給されるAND回路81e[0]〜[7]と、AND回路81e[0]〜[7]の各出力信号TDRD[0]〜[7]が供給されるRDFIFO81fと、AND回路81e[0]〜[7]の各出力信号TDRD[0]〜[7]と信号PWBとが供給されるAND回路81gとを有している。このうち、D−Latch回路81bは、オンチップ比較テスト信号TOCCがロー(非活性状態)である場合にハイを出力し、オンチップ比較テスト信号TOCCがハイ(活性状態)である場合にはAND回路81aの出力を出力する回路である。また、RDFIFO81fは、内部クロック信号ICLKの立ち上がりと立ち下がりに同期し、出力信号TDRD[0]〜[7]を4DQのデータに変換して出力する回路である。
【0123】
表1は、信号PWB、オンチップ比較テスト信号TOCC、並列テスト信号TPARADT、多ビット出力並列テスト信号TPARAPと、層テスト結果信号の出力先及び出力ビット数の関係を示す表である。複数ビット出力のウェハ試験を行う場合、信号PWB、オンチップ比較テスト信号TOCC、並列テスト信号TPARADT、多ビット出力並列テスト信号TPARAPをそれぞれ、ロー、ロー、ハイ、ローとする。これにより、RDFIFO81fからウェハ試験用入出力バッファ68に、それぞれ比較結果TRDATA[0]〜[7]が割り当てられた層テスト結果信号TDRD[0]〜[7]が出力される。この場合、層テスト結果信号の情報量は8ビットとなる。1ビット出力のウェハ試験を行う場合、信号PWB、オンチップ比較テスト信号TOCC、並列テスト信号TPARADT、多ビット出力並列テスト信号TPARAPをそれぞれ、ロー、ハイ、ハイ、ハイとする。これにより、RDFIFO81fからウェハ試験用入出力バッファ68に、互いに同一である層テスト結果信号TDRD[0]〜[7]が出力される。この場合、層テスト結果信号の情報量は1ビットとなる。組み立て後試験を行う場合、信号PWB、オンチップ比較テスト信号TOCC、並列テスト信号TPARADT、多ビット出力並列テスト信号TPARAPをすべてハイとする。これにより、AND回路81gから貫通電極TSVPT0<n>に、1ビットの層テスト結果信号TRDATAL<n>が出力される。この場合、層テスト結果信号の情報量は1ビットとなる。
【0124】
【表1】

【0125】
図16は、テスト出力制御部81の他の一例を示す略ブロック図である。この例は、AND回路81gにD−Latch回路81bの出力TRCOMPTと信号PWBとが供給される点で、図15に示した例と異なっているが、信号PWB、オンチップ比較テスト信号TOCC、並列テスト信号TPARADT、多ビット出力並列テスト信号TPARAPと、層テスト結果信号の出力先及び出力ビット数の関係は図15の例と同一である。このように、テスト出力制御部81の具体的な回路構成としては、各種のバリエーションを採用し得る。
【0126】
図17は、テスト回路35の機能ブロックを示す略ブロック図である。同図に示すように、テスト回路35は、テスト出力制御部87を有している。テスト出力制御部87には、各コアチップCC0〜CC7のテスト回路67から出力される各1ビットの層テスト結果信号TRDATAL<0>〜<7>の他、オンチップ比較テスト信号TOCCIF、並列テスト信号TPARADTIF、多ビット出力並列テスト信号TPARAPIFが供給される。オンチップ比較テスト信号TOCCIF、並列テスト信号TPARADTIF、多ビット出力並列テスト信号TPARAPIFはそれぞれ、上述したオンチップ比較テスト信号TOCC、並列テスト信号TPARADT、多ビット出力並列テスト信号TPARAPと同様の信号である。
【0127】
テスト出力制御部87は、オンチップ比較テスト信号TOCCIFが非活性状態(複数ビット出力テスト)であり、かつ多ビット出力並列テスト信号TPARAPIFが活性状態(複数ビット出力テスト)である場合、層テスト結果信号TRDATAL<0>〜<7>をそれぞれ、層テスト結果信号TDRDL<0>〜<7>に割り当てる。一方、オンチップ比較テスト信号TOCCが活性状態(1ビット出力テスト)であり、かつ多ビット出力並列テスト信号TPARAPが非活性状態(1ビット出力テスト)である場合には、層テスト結果信号TRDATAL<0>〜<7>に基づいて1ビットの層テスト結果信号を生成し、層テスト結果信号TDRDL<0>〜<7>のすべてにこの層テスト結果信号を割り当てる。
【0128】
図18は、テスト出力制御部87の一例を示す略ブロック図である。この例では、オンチップ比較テスト信号TOCCIF及び並列テスト信号TPARADTIFはハイアクティブ、多ビット出力並列テスト信号TPARAPIFはローアクティブとしている。
【0129】
図18に示すように、テスト出力制御部87は、層テスト結果信号TRDATAL<0>〜<7>が供給されるNAND回路87aと、NAND回路87aの出力及びオンチップ比較テスト信号TOCCIFが入力されるNAND回路87bと、多ビット出力並列テスト信号TPARAPIFが供給されるNOT回路87cと、NOT回路87cの出力、並列テスト信号TPARADTIF、及びそれぞれ層テスト結果信号TRDATAL<0>〜<7>の反転データが供給されるNAND回路87d<0>〜<7>と、NAND回路87bの出力TRCOMPT(1DQ)とそれぞれNAND回路87d<0>〜<7>の出力とが供給されるAND回路87e<0>〜<7>と、AND回路87e<0>〜<7>の各出力信号TDRDL<0>〜<7>が供給されるRDFIFO87fとを有している。このうち、RDFIFO87fは、内部クロック信号ICLKの立ち上がりと立ち下がりに同期し、出力信号TDRD<0>〜<7>を4DQのデータに変換して出力する回路である。
【0130】
表2は、オンチップ比較テスト信号TOCCIF、並列テスト信号TPARADTIF、多ビット出力並列テスト信号TPARAPIFと、層テスト結果信号の出力ビット数の関係を示す表である。複数ビット出力の組み立て後試験を行う場合、オンチップ比較テスト信号TOCCIF、並列テスト信号TPARADTIF、多ビット出力並列テスト信号TPARAPIFをそれぞれ、ロー、ハイ、ローとする。これにより、RDFIFO87fから入出力バッファ回路23に、それぞれ層テスト結果信号TRDATAL<0>〜<7>が割り当てられた層テスト結果信号TDRDL<0>〜<7>が出力される。この場合、層テスト結果信号の情報量は8ビットとなる。1ビット出力の組み立て後試験を行う場合、オンチップ比較テスト信号TOCCIF、並列テスト信号TPARADTIF、多ビット出力並列テスト信号TPARAPIFをすべてハイとする。これにより、RDFIFO87fから入出力バッファ回路23に、互いに同一である層テスト結果信号TDRDL<0>〜<7>が出力される。この場合、層テスト結果信号の情報量は1ビットとなる。
【0131】
【表2】

【0132】
図19は、組み立て後試験の処理フローを示す図である。まず初めに、外部から所定のアドレス信号及びコマンド信号を入力することにより、並列テストの対象とするコアチップを指定するテスト層活性化信号TLAをテストモードレジスタ34に供給する(ステップS1)。これにより、テスト対象のコアチップが活性され、他のコアチップが非活性化される。
【0133】
次に、外部から所定のアドレス信号を入力することにより、活性化したコアチップにテストモード信号TM(Core)を供給する。また、各コアチップ上のコントロールロジック回路63を用いて、テスト対象のコアチップに設けられたメモリセルアレイにテストデータパターンを書き込む(ステップS2)。
【0134】
次に、各コアチップのテスト回路67において、メモリセルアレイからテストデータを読み出し、層テスト結果信号TRDATAL<n>を生成する(ステップS3)。さらに、生成した層テスト結果信号TRDATAL<n>を、各コアチップの貫通電極TSVPT0<n>から出力する(ステップS4)。各貫通電極TSVPT0<n>はスパイラル接続されているので、このステップにおいて各コアチップから出力される層テスト結果信号TRDATAL<n>が、互いに衝突することはない。
【0135】
最後に、各コアチップが出力した層テスト結果信号TRDATAL<n>をインターフェースチップIFのテスト回路35が受け取り、入出力バッファ回路23を介して外部に出力する(ステップS5)。
【0136】
以上説明したように、本実施形態による半導体装置10では、組み立て後試験を行う際、コアチップごとに異なる電流パスから層テスト結果信号を出力するので、複数のコアチップの層テスト結果信号を、一斉に出力することができる。したがって、数のコアチップの層テスト結果信号を順次出力する場合に比べ、半導体装置の組み立て後試験に要する時間が短縮される。
【0137】
図20は、本実施形態による半導体装置10を用いたデータ処理システム500の構成を示すブロック図である。
【0138】
図に示すデータ処理システム500は、データプロセッサ520と、本実施形態による半導体装置(DRAM)10が、システムバス510を介して相互に接続された構成を有している。データプロセッサ520としては、例えば、マイクロプロセッサ(MPU)、ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)などを含まれるが、これらに限定されない。図20においては簡単のため、システムバス510を介してデータプロセッサ520とDRAM530とが接続されているが、システムバス510を介さずにローカルなバスによってこれらが接続されていても構わない。
【0139】
また、図には、簡単のためシステムバス510が1組しか描かれていないが、必要に応じ、コネクタなどを介しシリアルないしパラレルに設けられていても構わない。また、図に示すメモリシステムデータ処理システムでは、ストレージデバイス540、I/Oデバイス550、ROM560がシステムバス510に接続されているが、これらは必ずしも必須の構成要素ではない。
【0140】
ストレージデバイス540としては、ハードディスクドライブ、光学ディスクドライブ、フラッシュメモリなどが挙げられる。また、I/Oデバイス550としては、液晶ディスプレイなどのディスプレイデバイスや、キーボード、マウスなどの入力デバイスなどが挙げられる。
【0141】
また、I/Oデバイス550は、入力デバイス及び出力デバイスのいずれか一方のみであっても構わない。
【0142】
さらに、図に示す各構成要素は、簡単のため1つずつ描かれているが、これに限定されるものではなく、1又は2以上の構成要素が複数個設けられていても構わない。
【0143】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0144】
例えば、上記実施形態においては、コアチップとしてDDR3型のSDRAMを用いているが、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、DDR3型以外のDRAMであっても構わないし、DRAM以外の半導体メモリ(SRAM、PRAM、MRAM、フラッシュメモリなど)であっても構わない。また、コアチップ数は8個に限定されるものではない。
【0145】
また、上記実施形態においては、インターフェースチップIFからイネーブル信号TLSEとディセーブル信号TLSDをシリアルに供給しているが、本発明においてディセーブル信号TLSDを用いることは必須でなく、少なくともイネーブル信号TLSEをシリアルに供給すれば足りる。
【符号の説明】
【0146】
1〜3 貫通電極
4〜6 内部回路
10 半導体装置
11a,11b クロック端子
11c クロックイネーブル端子
12a〜12f コマンド端子
13a〜13c アドレス端子
14 データ入出力端子
15a,15b データストローブ端子
16 キャリブレーション端子
17a,17b 電源端子
18 データマスク端子
21 クロック発生回路
22 DLL回路
23 入出力バッファ回路
24 キャリブレーション回路
25,28 FIFO回路
26,27,34 TSVバッファ
29 入出力回路
31 コマンド入力バッファ
32 コントロールロジック
32a レイテンシコントローラ
32b コマンドデコーダ
33 不良チップ情報保持回路
35 TSVレシーバ
36 不活性化回路
37 DFT回路
41 アドレス入力バッファ
42 モードレジスタ
43 パワーオン検出回路
44 層アドレス設定回路
45 層アドレスコントロール回路
46 層アドレス発生回路
47 層アドレス比較回路
48 層アドレスバッファ
49 入力レシーバ
50 メモリセルアレイ
50a ロウ冗長アレイ
50b カラム冗長アレイ
51 ロウデコーダ
51a アドレス比較回路
52 カラムデコーダ
53 センス回路
54 データコントロール回路
54a テスト回路
55,57 光学ヒューズ回路
56,58 不良アドレスラッチ回路
56a,56b,56ae,56be ラッチ回路
56c データコントロール回路
56d データラッチ回路
56e 選択回路
56f〜56h ゲート回路
56s ヒューズ選択回路
58 不良アドレスラッチ回路
61 ロウ制御回路
61a アドレスバッファ
61b リフレッシュカウンタ
62 カラム制御回路
62a アドレスバッファ
62b バーストカウンタ
63 コントロールロジック
64 モードレジスタ
65 コマンドデコーダ
66 DFT回路
71 パワーオン検出回路
72 内部電圧発生回路
81 DFT回路
82 解析回路
83 電気ヒューズ回路
83−0〜83−7 ヒューズセット
83a コントロール回路
83b 電気ヒューズコントローラ
83c 転送制御回路
84 シリアライザ
85 ロード回路
91 電極
92 スルーホール電極
93 再配線層
94 NCF
95 リードフレーム
96 アンダーフィル
97 封止樹脂
100 第1のチップ
101〜104 ラッチ回路
110 メモリセルアレイ
120 光学ヒューズ
130 フラグヒューズ
140 入力回路
150 制御回路
151 選択回路
152 アドレス比較回路
160 アクセス制御回路
170 冗長アレイ
180 シリコン基板
181 層間絶縁膜
182 絶縁リング
183 端部
184 裏面バンプ
185 表面バンプ
186 端部
200 第2のチップ
210 アクセス制御回路
220 電気ヒューズ
230 フラグヒューズ
240 出力回路
300 外部端子
400 内部配線
500 判定論理部
501 NANDゲート回路
510 シリアルパラレル変換回路
511,512 シフトレジスタ
520 層イネーブル判定回路
521 デコーダ
522 比較回路
523 NANDゲート回路
530 層ディセーブル判定回路
CC0〜CC7 コアチップ
HIT 冗長判定信号
IF インターフェースチップ
IP インターポーザ
RBL 冗長ビット線
RMC 冗長セル
RWL 冗長ワード線
SB 外部端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ複数のメモリセルを含むメモリセルアレイを有し、互いに異なるチップ識別情報が割り当てられた複数のコアチップと、
前記複数のコアチップを制御するインターフェースチップと、を備え、
前記インターフェースチップと前記複数のコアチップは積層されており、
前記複数のコアチップは、第1の貫通電極を介して前記インターフェースチップに共通接続されており、
前記インターフェースチップは、前記第1の貫通電極を介して前記複数のコアチップに複数ビットからなるイネーブル信号をシリアルに供給し、
前記複数のコアチップは、前記イネーブル信号を構成する複数ビットのうち前記チップ識別情報に対応するビットの論理レベルに基づいて活性化されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記複数のコアチップは、第2の貫通電極を介して前記インターフェースチップに共通接続されており、
前記インターフェースチップは、前記イネーブル信号に同期したタイミング信号を前記第2の貫通電極を介して前記複数のコアチップに供給し、
前記複数のコアチップは、シリアルに供給される前記イネーブル信号を前記タイミング信号に同期して取り込むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数のコアチップは、第3の貫通電極を介して前記インターフェースチップに共通接続されており、
前記インターフェースチップは、前記第3の貫通電極を介して前記複数のコアチップに複数ビットからなるディセーブル信号をシリアルに供給し、
前記複数のコアチップは、前記ディセーブル信号を構成する複数ビットのうち前記チップ識別情報に対応するビットの論理レベルに基づいて非活性化されることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数のコアチップのうち、前記ディセーブル信号によって非活性化されたコアチップは、前記イネーブル信号に関わらず非活性化されることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数のコアチップは、第4の貫通電極を介して前記インターフェースチップにそれぞれ個別に接続されており、
前記複数のコアチップのうち、前記イネーブル信号によって活性化されたコアチップは、対応する前記メモリセルアレイから読み出されたテストデータを圧縮して層テスト結果信号を生成し、
前記複数のコアチップは、前記第4の貫通電極を介してそれぞれ対応する層テスト結果信号を前記インターフェースチップに供給する第1のテスト回路を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記インターフェースチップは、前記第4の貫通電極を介して前記複数のコアチップからそれぞれ前記層テスト結果信号を受信し、外部に転送する第2のテスト回路を有することを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第4の貫通電極は、少なくとも前記複数のコアチップと同数の貫通電極からなり、
各コアチップに設けられた前記第4の貫通電極を構成する各貫通電極は、隣接するコアチップに設けられた前記第4の貫通電極を構成する各貫通電極のうち、前記複数のコアチップの積層方向から見て異なる平面位置に配置された貫通電極に接続されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数のコアチップにそれぞれ設けられた前記第1のテスト回路は、前記第4の貫通電極を構成する各貫通電極のうち、前記複数のコアチップの積層方向から見ていずれも同じ平面位置に配置された貫通電極に前記層テスト結果信号を出力することを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
それぞれ複数のメモリセルを含むメモリセルアレイを有し、互いに異なるチップ識別情報が割り当てられた複数のコアチップと、
前記複数のコアチップを制御するインターフェースチップと、を備え、
前記インターフェースチップと前記複数のコアチップは積層されており、
前記複数のコアチップは、第1の貫通電極を介して前記インターフェースチップに共通接続されるとともに、第4の貫通電極を介して前記インターフェースチップにそれぞれ個別に接続されており、
前記インターフェースチップは、前記第1の貫通電極を介して前記複数のコアチップにイネーブル信号を供給し、
前記複数のコアチップは、前記イネーブル信号と前記チップ識別情報とを比較することによって選択的に活性化され、
前記複数のコアチップのうち、前記イネーブル信号によって活性化されたコアチップは、対応する前記メモリセルアレイから読み出されたテストデータを圧縮して層テスト結果信号を生成し、前記第4の貫通電極を介してそれぞれ対応する層テスト結果信号を前記インターフェースチップに供給することを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
前記複数のコアチップは、第2の貫通電極を介して前記インターフェースチップに共通接続されており、
前記インターフェースチップは、前記イネーブル信号に同期したタイミング信号を前記第2の貫通電極を介して前記複数のコアチップに供給し、
前記複数のコアチップは、前記イネーブル信号を前記タイミング信号に同期して取り込むことを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記複数のコアチップは、第3の貫通電極を介して前記インターフェースチップに共通接続されており、
前記インターフェースチップは、前記第3の貫通電極を介して前記複数のコアチップにディセーブル信号を供給し、
前記複数のコアチップのうち、前記ディセーブル信号によって非活性化されたコアチップは、対応する前記メモリセルアレイからのテストデータの読み出しを行わないことを特徴とする請求項9又は10に記載の半導体装置。
【請求項12】
それぞれ複数のメモリセルを含むメモリセルアレイを有し、互いに異なるチップ識別情報が割り当てられた複数のコアチップと、前記複数のコアチップを制御するインターフェースチップとを備え、前記インターフェースチップと前記複数のコアチップが積層されている半導体装置のテスト方法であって、
前記複数のコアチップに設けられ、前記インターフェースチップに共通接続された第1の貫通電極を介して、前記インターフェースチップから前記複数のコアチップに複数ビットからなるイネーブル信号をシリアルに供給し、
前記イネーブル信号を構成する複数ビットのうち、前記チップ識別情報に対応するビットの論理レベルを前記複数のコアチップにおいてそれぞれ判定し、
判定の結果に基づいて活性化されたコアチップは、対応する前記メモリセルアレイから読み出されたテストデータを圧縮して層テスト結果信号を生成し、
前記複数のコアチップに設けられ、前記インターフェースチップに個別に接続された第4の貫通電極を介して、前記層テスト結果信号を前記インターフェースチップに供給することを特徴とする半導体装置のテスト方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−83243(P2012−83243A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230332(P2010−230332)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】