説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】配線基板に対して金属シールドを確実に固定できるようにする。
【解決手段】半導体装置1は、配線基板2に半導体素子3が実装されており、配線基板2の外周部に設けられた接地端子13には掛け止め部材5が接合されている。半導体素子3は、樹脂6で封止されており、樹脂6の側面6Cに掛け止め部材5の一部が露出している。掛け止め部材5の端面5Dは、配線基板2の側面2C及び樹脂6の側面6Cに面一になっている。樹脂6を覆う金属シールド7は、側部7Bに爪7Cが形成されており、爪7Cを掛け止め部材5に係合させることで、掛け止め部材5を介して配線基板2に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置には、配線基板に半導体素子などを実装した後に樹脂で封止し、さらに、樹脂を金属シールドで覆ったものがある。金属シールドは、配線基板に設けられた接地端子に電気的に接続され、半導体素子などから発生したノイズが外部に放射されることを防止したり、外部で生じたノイズが内部に浸入することを防止したりする機能を有する。
【0003】
金属シールドを有する半導体装置の一例の断面図として、図28に、無線通信モジュールの断面図を示す。無線通信モジュール201は、配線基板202を有し、配線基板202の上面には半導体素子203と、コンデンサやコイルなどの受動部品204とが搭載されている。さらに、配線基板202の外周部には、金属ポスト205が取り付けられている。半導体素子203及び受動部品204は、エポキシ樹脂206で封止されている。さらに、無線通信モジュール201には、エポキシ樹脂206の外表面を覆うように、金属シールド207が取り付けられている。
金属シールド207は、エポキシ樹脂206の表面から露出した金属ポスト205にハンダ205Aを介して固定されている。また、金属シールド207は、エポキシ樹脂206の上面を覆う天井部207Aと、エポキシ樹脂206の側面を覆う側部207Bとを有する。
なお、配線基板202の下面には、配線基板202内のビア(不図示)を介して半導体素子203、受動部品204に接続される配線パッド202Aが形成されている。
【0004】
配線基板の金属シールドの接合構造の他の例として、図29に半導体装置208の断面図を示す。半導体装置208は、エポキシ樹脂206を覆う金属シールド209を有している。金属シールド209の側部209Bは、配線基板202の半導体素子203が搭載されない下面202B側に折り返しされた曲折部209Cを有する。曲折部209Cを配線基板202の下面に係合させることで、金属シールド209が配線基板202に固定される。
【0005】
さらに、このような金属シールドは、半導体素子や受動部品を樹脂封止しない半導体装置においても設けられることがある。このような半導体装置の一例を図30に示す。半導体装置210は、空間を介して半導体素子203や受動部品204を覆う金属シールド211を有し、金属シールド211の側部211Aの端を外側に屈曲させた屈曲部212を配線基板202上に載せ、屈曲部212をハンダ213で接合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO2008/093414号公報
【特許文献2】特開2008−147572号公報
【特許文献3】特開2006−13375号公報
【特許文献4】特開2001−24312号公報
【特許文献5】特開2004−172176号公報
【特許文献6】特開2008−288610号公報
【特許文献7】特開2004−260103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図28に示すような従来の半導体装置では、金属シールド207と金属ポスト205の接合面積が小さい。このため、電極パッド202Aのハンダ付け工程で金属シールド207が熱変形すると、条件によってはハンダ205Aの接着力に抗して金属ポスト205から金属シールド207が浮くおそれがあった。これは、金属シールド207と金属ポスト205の接合面積が小さいからである。これに対し、金属ポスト205の数を増やせば接合面積を増大できるが、半導体装置の外形サイズが大きくなってしまう。
【0008】
また、図29に示すように金属シールド209の側部209Bの曲折部209Cを配線基板202の下面に係合させる構造では、金属ポストを用いて接合する場合に比べて、金属シールド209と配線基板202の接触面積を大きくすることができる。しかしながら、配線基板202の下面から金属シールド209が突出するので、半導体装置208を他の装置等に搭載するときの取り付け高さを低くできなかった。
【0009】
さらに、図30に示すように樹脂封止しない半導体装置210では、金属シールド211の屈曲部212の面積を大きくして金属シールド211と配線基板202の接合面積の増大が図れる。しかしながら、半導体装置の外形サイズは、金属シールド211の接合部分を広げた分だけ大型化してしまう。
【0010】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、配線基板に対して金属シールドを簡単に、かつ確実に固定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の一観点によれば、配線基板と、前記配線基板の一方の面の上に実装された半導体素子と、前記半導体素子を覆う金属シールドと、前記配線基板の前記一方の面に形成された接地端子と、前記接地端子に電気的に接続されると共に、前記一方の面の上で前記金属シールドに係合する掛け止め部材と、を含む半導体装置が提供される。
【0012】
また、本発明の別の観点によれば、配線基板を複数隣接して形成する領域を有する集合基板に半導体素子を実装する工程と、前記集合基板上で隣り合う前記配線基板の領域の境界線上に、凹部又は空隙を有する蓋部材を固定する工程と、前記境界線に沿って前記集合基板及び前記蓋部材を切断し、前記集合基板から前記配線基板を形成すると同時に、前記蓋部材から前記半導体素子を覆う金属シールドを係合させる凹形状を有する掛け止め部材を形成する工程と、前記掛け止め部材に前記金属シールドを係合させる工程と、を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
この半導体装置及びその製造方法によれば、掛け止め部材に金属シールドを係合させて配線基板に金属シールドを取り付けるようにしたので、金属シールドと配線基板の間に十分な接触面積を確保できる。これにより、金属シールドの変形や、配線基板からの脱離が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の一部を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態に係る金属シールドの斜視図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を説明する平面図である。
【図6】図6(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造に使用する蓋部材の第1の例を示す斜視図、図6(b)は、図6(a)に示す蓋部材を切断したときに形成される掛け止め部材を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【図8】図8は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程における切断工程を説明する断面図である。
【図9】図9は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程における切断工程を説明する平面図である。
【図10】図10は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程における金属シールドの取り付け工程を説明する図である。
【図11】図11(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造に使用する蓋部材の第2の例を示す斜視図、図11(b)は、図11(a)に示す蓋部材を切断したときに形成される掛け止め部材を示す斜視図である。
【図12】図12(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造に使用する蓋部材の第3の例を示す斜視図、図11(b)は、図11(a)に示す蓋部材を切断したときに形成される掛け止め部材を示す斜視図である。
【図13】図13(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造に使用する蓋部材の第4の例を示す斜視図、図11(b)は、図11(a)に示す蓋部材を切断したときに形成される掛け止め部材を示す斜視図である。
【図14】図14は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図15】図15は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【図16】図16は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を説明する平面図である。
【図17】図17は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【図18】図18は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を説明する平面図である。
【図19】図19は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程における金属シールドの取り付け工程を説明する図である。
【図20】図20は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の変形例の製造工程における金属シールドの取り付け工程を説明する図である。
【図21】図21は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の斜視分解図である。
【図22】図22は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の掛け止め部材の斜視図である。
【図23】図23は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を説明する平面図である。
【図24】図24は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の分解斜視図である。
【図25】図25は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を説明する平面図である。
【図26】図26は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置の分解斜視図である。
【図27】図27は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を説明する平面図である。
【図28】図28は、従来の半導体装置を示す断面図である。
【図29】図29は、別の従来の半導体装置を示す断面図である。
【図30】図30は、さらに別の半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
(第1の実施の形態)
図1に、本実施の形態に係る半導体装置の断面図を示す。半導体装置1は、配線基板2を有し、配線基板2の一方の面2A上には、電子部品として、半導体素子3と、受動部品4とが実装されている。さらに、配線基板2の一方の面2A上には、導電性を有する掛け止め部材5が取り付けられている。半導体素子3と受動部品4は樹脂6に封止され、さらに樹脂6は金属シールド7で覆われている。また、配線基板2の他方の面2Bには、外部装置(不図示)に電気的に接続するための外部接続端子(ランド)8が格子状に形成されている。
【0016】
半導体素子3は、信号の入出力などに用いられる電極が配線基板2に向け、フェイスダウンで金やハンダを用いた金属材料9を介して配線基板2に実装されている。半導体素子3と配線基板2の間に生じた隙間は、熱硬化接着剤10で埋められている。熱硬化接着剤10としては、例えば、エポキシ樹脂を用いても良い。
受動部品4としては、例えば、コンデンサや抵抗器、コイルなどがあげられ、配線基板2上に形成された導電性パターン11の上にハンダ12Aを用いて接合されている。
【0017】
樹脂6には、例えば、エポキシ樹脂が用いられる。図2(a)の斜視図に示すように、樹脂6の側面6Cは、配線基板2の側面2Cと面一になっている。さらに、樹脂6の側面6Cには、掛け止め部材5の一部が露出している。そして、樹脂6の上面6Aの全体と、側面6Cの少なくとも一部を覆うように、金属シールド7が配線基板2の上方に配置されている。
【0018】
掛け止め部材5は、四角形の配線基板2の外周部、より具体的には、配線基板2の4つの辺のそれぞれの略中央に1つずつ配置されており、配線基板2上の接地端子13にハンダ12Bを用いて接合されている。このような掛け止め部材5は、例えば、銅やステンレス、洋白から製造されている。
【0019】
次に、掛け止め部材5について、図2(b)を参照して説明する。なお、図2(b)は、掛け止め部材5を配線基板の底面側から見た斜視図である。
掛け止め部材5は、配線基板2の一方の面2Aに対して略垂直に延びる背面壁部5Aを有し、背面壁部5Aの両端のそれぞれには側壁部5Bが前方に屈曲して形成されている。さらに、背面壁部5A及び一対の側壁部5Bのそれぞれの上端からは上壁部5Cが庇状に形成されている。これにより、掛け止め部材5は、底側と前方の一方のそれぞれが開放された凹形状を有している。掛け止め部材5の背面壁部5A及び側壁部5Bのそれぞれの下端は、接地端子13に電気的に接続される。また、背面壁部5Aの内面は、配線基板2の外側に向けて配置される。これにより、上壁部5Cは、背面壁部5A上端から配線基板2の外側に向けて突出し、かつ配線基板2と平行に配置される。
【0020】
ここで、掛け止め部材5の上壁部5Cと配線基板2の間には間隙が形成される。さらに、上壁部5Cと側壁部5Bにより形成される開口の端面5Dは、樹脂6の側面6C及び配線基板2の側面2Cと面一になっている。そして、掛け止め部材5は、端面5Dを除いて外側から樹脂6で覆われているが、背面壁部5A、側壁部5B及び上壁部5Cで区画される内部の空間25には、樹脂6は注入されていない。
【0021】
図1の側断面及び図3の斜視図に示すように、金属シールド7は、樹脂6の上面6Aと側面6Cのそれぞれを覆うキャップ形状を有する。より具体的には、金属シールド7は、四角形の天井部7Aと、天井部7Aの各辺から下方に延びる4つの側部7Bとを有する。隣り合う側部7Bは、互いの境界部分が切り欠かれることで分離させられている。さらに、各側部7Bの下端部分は、内側に折り曲げられることで爪7Cを形成している。このような金属シールド7は、例えば、ステンレス、洋白などから製造される。なお、各側部7Bは、外力により湾曲可能になっている。
【0022】
図1に示すように、この爪7Cは、掛け止め部材5で区画される空間25に挿入され、掛け止め部材5の上壁部5Cに当接させられる。これにより、金属シールド7が掛け止め部材5を介して配線基板2に固定される。このため、爪7Cは、空間25に挿入可能で、かつ金属シールド7を配線基板2に固定するのに必要な大きさに形成されている。
【0023】
次に、図4から図11を参照して半導体装置1の製造方法について説明する。
まず、図4及び図5に示す構造を得るまでの工程について説明する。なお、図4は、集合基板31の断面図、図5は、集合基板31を上から見た平面図である。
【0024】
ガラスエポキシからなる集合基板31内において隣接して区画される四角形の複数の配線基板形成領域31Aには、スルーホール32と、接地端子13を含む導電パターン11などが形成されている。接地端子13は、少なくとも、隣接する配線基板形成領域31Aを区画する四角形の各辺の中央に配置されている。
まず、集合基板31の配線基板形成領域31A内のそれぞれにハンダ12Aを介して受動部品4を実装する。さらに、導電性を有する細長の蓋部材41をハンダ12Bにより集合基板31の接地端子13上に接続する。蓋部材41は、後のダイシング工程で切断されて掛け止め部材5として使用される部材である。
【0025】
蓋部材41は、集合基板31内の配線基板形成領域31Aの境界線となるダイシングライン35を跨ぐ領域に、蓋部材41の長手方向の中心線とダイシングライン35の中心線とが一致するように配置される。また、ダイシングライン35上において、蓋部材41は、集合基板31の縦方向及び横方向のそれぞれにおいて、等間隔で複数配置される。
【0026】
ここで、図5及び図6(a)を参照して蓋部材41の構成について説明する。
図6(a)は、蓋部材41を底面側から見た斜視図である。蓋部材41は、四角形の枠42と、枠42に一体に連なる上面部43とを有し、底面側に開口部44を有する凹部が設けられている。蓋部材41は、例えば、銅やステンレス、洋白などをプレス加工や、切削加工することで製造される。蓋部材41のサイズは、半導体装置1のサイズによっても異なるが、例えば、長さを約2.0mm、幅を約1.2mm、高さを約0.3mm、厚さを約0.1mmにする。
【0027】
蓋部材41は、開口部44を集合基板31に向けて配置した後、枠42の下端がハンダ12Bで接地端子13に接合される。これにより、開口部44が集合基板31で塞がれて、蓋部材41の内部の空間45が集合基板31によって密閉される。
【0028】
次に、集合基板31の配線基板形成領域31A内の半導体素子実装領域に熱硬化接着剤10を塗布する。その後、半導体素子実装領域に半導体素子3をフェイスダウンで取り付け、半導体素子3の下面のバンプを金属材料9を介して導電パターン11に接続した後に、熱硬化接着材10を熱硬化させる。
【0029】
次に、図7の側断面図に示すように、半導体素子3、受動部品4及び蓋部材41を覆う
ようにエポキシ樹脂を集合基板31上に充填してから硬化させる。これにより、半導体素子3、受動部品4及び蓋部材41が樹脂6で封止される。この際、蓋部材41は、集合基板31で密着しているので、内部の空間45にエポキシ樹脂が流入することはない。
【0030】
この後、図8の側断面図に示すように、ダイシングライン35に沿って、樹脂6及び集合基板31をブレード36によって切断する。これにより、図9の平面図に示すように、集合基板31が、半導体素子3等を搭載した複数の配線基板2に個片化される。ここで、ダイシングライン35上には、蓋部材41が配置されているので、集合基板31を切断すると同時に蓋部材41がブレード36によって2つの部材に切断される。蓋部材41の長手方向の中心線とダイシングライン35の中心線がほぼ一致するように配置されていることにより、中心線を挟んで左右対称な形状を有する蓋部材41は2つの同じ形状の部材に切断される。そして、底面から見た図6(b)の斜視図に示すように、蓋部材41が切断されることで2つに分割された部材のそれぞれが掛け止め部材5になり、掛け止め部材5は、配線基板2の各辺に沿って細長に配置される。
【0031】
ここで、図2(b)の掛け止め部材5の端面5Dは、ダイシング工程における蓋部材41の切断面に相当する。同様に、図1に示す半導体素子3等を封止する樹脂6の側面6Cは、ダイシング工程における樹脂6の切断面に相当する。したがって、掛け止め部材5の端面5Dと、樹脂6の側面6Cとが面一になる。
さらに、配線基板2の側面2Cは、ダイシング工程における集合基板31の切断面に相当する。このため、掛け止め部材5の端面5Dと、配線基板2の側面2Cとが面一になる。なお、蓋部材41の中心がダイシングライン35からずれていても、ダイシング時の切断面が掛け止め部材5の端面5Dになるので、端面5Dを樹脂6の側面6C及び配線基板2の側面2Cと面一にすることができる。
【0032】
次に、図10の側断面図に示すように、金属シールド7は、その側面7Bを外側に広げられながら、半導体素子3等を搭載させた配線基板2に上方から被せられる。これにより、金属シールド7の天井部7Aが樹脂6の上面6Aを覆うとともに、金属シールド7の側部7Bが樹脂6の側面6Cを覆う。
このとき、金属シールド7の側部7Bの爪7Cは、樹脂6から露出する掛け止め部材5の端面5Dの開口部を通して内部の空間25内に侵入する。これにより、爪7Cが上壁部5Cに係合し、掛け止め部材5を介して金属シールド7が配線基板2に支持される。
掛け止め部材5が導電性を有し、かつ接地端子13に接合されているので、金属シールド7が掛け止め部材5を介して接地端子13に電気的に接続される。そして、このときの金属シールド7と配線基板2の係合面積は、爪7Cと掛け止め部材5の接触面積の合計に略等しくなる。
【0033】
金属シールド7は、4つの爪7Cを用いて4つの掛け止め部材5に係合させられるので、配線基板2に対して強固に固定させることができる。また、金属シールド7は、掛け止め部材5及び樹脂6を覆うように配置されるので、金属シールド7の側部7Bが配線基板2より外側に配置される。そのはみ出し量は、側部7Bの厚さであるので半導体装置1を大型にすることはない。なお、金属シールド7の各側部7Bは、互いに分離されており、その下端部分を独立して弾性変形させられるので、金属シールド7は上方から掛け止め部材5に容易に係合させられる。
【0034】
このように、半導体素子3等を樹脂6で封止した配線基板2に金属シールド7を上方から嵌め込んで固定させることで、半導体装置1の製造が完了する。また、半導体装置1では、金属シールド7の存在によって、半導体素子3などから発生したノイズが外部に放射されることが防止されると共に、外部からのノイズが内部に浸入することが防止される。
【0035】
以上、説明したように、この実施の形態では、配線基板2の一方の面2A上にハンダ12Bで接合した掛け止め部材5に金属シールド7を機械的に係合させるように構成したので、金属シールド7を確実に配線基板2に取り付けることが可能になる。さらに、掛け止め部材5が配線基板2の各辺に沿って細長に延びるので、配線基板2と金属シールド7の接触面積を増大させることができ、かつ金属シールド7を4箇所でバランス良く支持することが可能になる。
【0036】
ここで、金属シールド7の爪7Cと掛け止め部材5の上壁部5Cとの係合方向は、爪7Cの上昇、すなわち金属シールド7の天井部7Aに向う方向への移動を妨げる方向である。このため、金属シールド7が熱を受けて変形しようとした場合でも、爪7Cの上昇、すなわち金属シールド7の天井部7Aが樹脂6から離れる方向への移動が妨げられるので、金属シールド7全体として変形と、これに起因する樹脂6からの剥離が抑制される。これにより、後の処理や、半導体装置1の使用時などに、金属シールド7が変形したり、配線基板2から脱離したりすることが防止される。
【0037】
また、この実施の形態では、金属シールド7が、配線基板2の一方の面2A側の内側で掛け止め部材5に係合させられるように構成したので、金属シールド7が配線基板2の他方の面2B側に突出することはない。これにより、半導体装置1を他の装置などに取り付ける際の取り付け高さを低くできる。
【0038】
さらに、掛け止め部材5の端面5Dと、配線基板2の側面2Cを一致させるように構成したので、掛け止め部材5及び樹脂6を覆う金属シールド7の側部7Bが配線基板2より外側に突出させられる。これにより、金属シールド7の側部7Bを把持して半導体装置1をハンドリングすることが可能になる。配線基板2のみを把持する場合には、配線基板に応力が集中することがあるが、この実施の形態では、半導体装置1のハンドリング時に配線基板2に応力が集中することが防止される。
【0039】
また、この実施の形態では、掛け止め部材5が最初に下面が開放された蓋部材41として供給されるので、集合基板31に接合したときに内部の空間45を密閉することができる。このため、半導体素子3等を樹脂封止するときに、掛け止め部材5の内部に樹脂が流入することが防止される。さらに、掛け止め部材5は、配線基板2をダイシングにより個片化するときに、同時に形成されるので、製造工程を簡略化することができる。また、配線基板2を個片化するのと同時に、掛け止め部材5、配線基板2、及び樹脂6のそれぞれの端面5D、側面2C,6Cを一致させることができる。
【0040】
なお、金属シールド7と掛け止め部材5の係合部分は、必要に応じてハンダで接合しても良い。この場合は、金属シールド7がさらに強固に配線基板2に対して固定される。
【0041】
配線基板2に搭載される部品の種類や数、レイアウトは図1及び図5に限定されない。また、半導体素子3は、フェイスアップで配線基板2に実装しても良い。この場合は、半導体素子3側の電極と、配線基板2側の電極とを、図示を省略する金などの導電性ワイヤを用いて電気的に接続させる。さらに、配線基板2の他方の面2Bにおいて、平面状の外部接続端子8上にハンダバンプを設けて、BGA(Ball Grid Array)を形成しても良い。
【0042】
ここで、蓋部材の変形例について、図11、図12及び図13を参照して説明する。なお、図11、図12及び図13は、蓋部材及び掛け止め部材を底面側から見た斜視図である。
図11(a)に示す蓋部材51は、断面が半円形になっており、底面側に開口部51Aを有する凹部が設けられている。この蓋部材51は、ダイシングライン35を跨いで配置
され、開口部51Aが集合基板31で密閉されるように接地端子13にハンダ接合される。ダイシング工程では、集合基板31が複数の配線基板2に個片化されるのと同時に、図11(b)に示すように、蓋部材51が2つに切断されて掛け止め部材52が2つずつ形成される。
【0043】
掛け止め部材52は、曲面からなる壁部53と、この壁部53の両端からL字状に屈曲した2つの側壁部54とを有し、壁部53及び側壁部54の下端がハンダ12Bで接地端子13に接続される。壁部53の内面は配線基板2の外側に向けて配置される。これにより、掛け止め部材52は、壁部53の上端部分を配線基板2の外側に向けて取り付けられる。
掛け止め部材52を介して金属シールド7を配線基板2に支持させるときは、壁部53及び側壁部54で区画される空間55内に金属シールド7の爪7Cを挿入させ、係合させる。
【0044】
なお、蓋部材51の断面形状は、切断線を中心にして左右対称の形状であれば良く、半円形に限定されない。例えば、楕円を半分にカットした断面や、その他の曲面形状であっても良い。また、蓋部材51の断面形状は、台形や三角形であっても良い。そのような蓋部材51を2つに切断したときに得られる掛け止め部材52の断面は、それぞれ台形を2分した形状や、三角形を2分した形状になり、掛け止め部材52によって区画される空間55に金属シールド7の爪7Cが挿入され、係合させられる。
【0045】
また、図12(a)に示す蓋部材61は、半球形で底面側に開口部61Aを有する凹部が設けられている。この蓋部材61は、ダイシングライン35を跨いで配置され、開口部61Aが集合基板31で密閉されるように接地端子13にハンダ接合される。ダイシング工程では、集合基板31が切断されて複数の配線基板2に個片化されるのと同時に、図12(b)に示すように、蓋部材61が2つに切断されて掛け止め部材62が2つずつ形成される。
掛け止め部材62は、曲面形状を有する壁部63の下端がハンダ12で接地端子13に接続される。壁部63の逆U字形の端面62Cが配線基板2の外側に向けて取り付けられ、壁部63によって区画される空間64内に金属シールド7の爪7Cが挿入され、係合させられる。なお、蓋部材61の断面形状は、半球形に限定されず、楕円球を半分にカットした断面や、その他の曲面形状であっても良い。
【0046】
さらに、図13(a)に示す蓋部材71は、内部に空間72が形成された直方体形を有する。この蓋部材71は、ダイシングライン35を跨いで配置され、接地端子13にハンダ接合される。ダイシング工程では、集合基板31が切断されて複数の配線基板2に個片化されると同時に、図13(b)に示すように、蓋部材71が2つに切断されて掛け止め部材73が2つずつ形成される。
掛け止め部材73は、底部74と、背面壁部75と、2つの側壁部76と、上壁部77とを有し、底部74がハンダ12で接地端子13に接続されている。背面壁部75の内面は配線基板2の外側に向けて取り付けられることで、上壁部77が配線基板2の外側に向けて配置される。掛け止め部材73の各壁部74〜77によって形成される空間78に金属シールド7の爪7Cが挿入され、係合させられる。
【0047】
なお、図11(a)、図12(a)、図13(a)のそれぞれに示す蓋部材51,61、71の切断面は、配線基板2及び樹脂6の切断面に一致するので、各掛け止め部材52,62,73の端面52C,62C,73Cが配線基板2及び樹脂6のそれぞれの側面2C,6Cと面一になる。
また、図11(a)及び図12(a)に示す蓋部材51,61において、図13(a)と同様の底部74を設けると、製造過程で樹脂6が空間55,64に流入することをより
確実に防止できる。また、接地端子13との接合面積を増やしてハンダ接合が強固になる。
【0048】
(第2の実施の形態)
図14から図20を参照して、第2の実施の形態について説明する。この実施の形態は、半導体素子等が樹脂で封止されないタイプの半導体装置に関する。
図14の断面図に示すように、半導体装置81には、配線基板2の一方の面2A上に半導体素子3と、コンデンサや抵抗器、コイルなどの受動部品4と、導電性を有する掛け止め部材5が搭載されている。半導体素子3及び受動部品4を覆う金属シールド7は、第1の実施の形態と同様にして、掛け止め部材5に係合させられている。また、配線基板2の他方の面2Bには、外部接続端子8によるLGAが形成されている。
【0049】
ここで、半導体装置81は、半導体素子3及び受動部品4と、金属シールド7の間に樹脂が封止されない中空構造になっている。このため、掛け止め部材5と配線基板2のハンダ12Bによる接合部分の少なくとも一部は熱硬化接着剤82で覆われている。
【0050】
次に、図15から図19を参照して、この半導体装置81の製造方法について説明する。
まず、図15及び図16に示す構造を得るまでの工程について説明する。なお、図15、図16は、それぞれ半導体素子3、受動部品4等が搭載された集合基板31を側方から見た断面図と上方からみた平面図である。
最初に、エポキシ樹脂などから形成された集合基板31の配線基板形成領域31Aに、スルーホール32と、接地端子13を含む導電性パターン11が形成される。この後、集合基板31の配線基板形成領域31Aに、半導体素子3が金属材料9を用いてフェイスダウンで実装される。また、受動部品4と、導電性を有する細長の蓋部材41が、それぞれ集合基板31の所定位置にハンダ12A,12Bを用いて接合される。蓋部材41は、開口部44が集合基板31によって密閉されるように取り付けられる。
【0051】
さらに、半導体素子3と配線基板2の間の隙間にエポキシ樹脂を用いた熱硬化接着剤10が塗布され、半導体素子3を導電パターン11に接続した後に熱硬化接着剤10が熱硬化させられる。
また、掛け止め部材5と配線基板2を接合するハンダ12Bを覆うように、熱硬化接着剤82が塗布され、その後に熱硬化接着剤82が硬化される。なお、熱硬化接着剤10,82は、同じ接着剤であっても良いし、異なる接着剤でも良い。また、熱硬化接着剤10,82は、同じ製造工程で塗布及び硬化させても良い。これにより、蓋部材41と配線基板2の接合部分が補強、及び保護される。なお、蓋部材41は、長手方向の中心線とダイシングライン35の中心線とが一致するように配置される。
【0052】
ここで、蓋部材41は、後の工程で掛け止め部材5になる。蓋部材41の形状やサイズ、材料は、第1の実施の形態と同じである。
【0053】
この後、図17及び図18に示すように、ダイシングライン35に沿って、集合基板31を切断する。これにより、集合基板31が、半導体素子3等を搭載した複数の配線基板2に個片化される。ここで、ダイシングライン35上には、蓋部材41が配置されているので、集合基板31を個片化するときに、同時に蓋部材41が切断され、2つの掛け止め部材5が形成される。このとき、掛け止め部材5は、配線基板2の各辺に沿って細長に延び、その端面5Dと、配線基板2の側面2Cとが面一になる。
【0054】
次に、図19に示すように、金属シールド7が、その側面7Bを外側に広げられながら、半導体素子3等を搭載させた配線基板2に上方から被せられる。これにより、金属シー
ルド7の側部7Bの爪7Cが、掛け止め部材5の端面5Dの開口部を通して空間25に浸入し、金属シールド7が掛け止め部材5を介して配線基板2に支持される。掛け止め部材5が導電性を有し、かつ接地端子13に接合されているので、金属シールド7が掛け止め部材5を介して接地端子13に電気的に接続される。このときの金属シールド7と配線基板2の接合面積は、爪7Cと掛け止め部材5の接触面積の合計に略等しくなる。
金属シールド7は、掛け止め部材5を覆うように配置されるので、その側部が配線基板2より外側に配置され、金属シールド7と配線基板2とで形成される空間内に、半導体素子3及び受動部品4が収容される。
【0055】
このように、半導体素子3等を搭載させた配線基板2に金属シールド7を上方から嵌め込んで固定させることで、半導体装置1の製造が完了する。
【0056】
以上、説明したように、この実施の形態では、半導体素子3や受動部品4を樹脂で封止しないタイプの半導体装置81において、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0057】
なお、半導体装置81は、図11(b)、図12(b)、図13(b)に示す掛け止め部材52,62,73及び、図11(a)、図12(a)、図13(a)に示す蓋部材51,61,71を用いて構成及び製造しても良い。
【0058】
ここで、この実施の形態の変形例について説明する。
集合基板31に受動部品4等を実装する際に、蓋部材41の代わりに、掛け止め部材5を直接に実装しても良い。このとき、掛け止め部材5は、端面5Dが配線基板2の側面2Cと面一になるように接地端子13にハンダ12Bで接合される。この場合、後のダイシング工程では、掛け止め部材5を切断することなく、集合基板31のみが切断される。
また、集合基板31に掛け止め部材5を直接に実装する場合は、図14に示す向きと同じ向きで、かつ掛け止め部材5の端面5Dが配線基板2の側面2Cより内側に配置されるように実装しても良い。
【0059】
さらに、図20に示す半導体装置81のように、掛け止め部材5の凹部を配線基板2の中央に向けて実装しても良い。このときに、掛け止め部材5は、背面壁部5Aの内面が配線基板2の内側に向けて配置される。これにより、上壁部5Cが背面壁部5Aから配線基板2の内側に向けて突出し、かつ配線基板2と平行に配置される。これに対応して、掛け止め部材5に係合させられる金属シールド85は、側部85Bに外側に突出する爪7Cが形成される。
【0060】
また、掛け止め部材5を凸形状にし、これに係合させる凹部を金属シールド7に形成しても良い。
この半導体装置81は、樹脂による封止を行わないので、掛け止め部材5は側壁部5Bを有しない構成にすることもできる。この場合の蓋部材41は、2つの掛け止め部材5を連結させた形状になる。
【0061】
(第3の実施の形態)
図21及び図22を参照して、第3の実施の形態について説明する。この実施の形態に係る半導体装置は、掛け止め部材の配置が第1の実施の形態と異なる。
図21の分解斜視図に示すように、半導体装置91は、配線基板2の外周部に掛け止め部材92が設けられている。掛け止め部材92は、配線基板2の4つの角に1つずつ設けられ、その各々が配線基板2上の接地端子13にハンダ12Bで接合されている。
【0062】
上から見た図22の斜視図に示すように、掛け止め部材92は、90°に屈曲させられた背面壁部93Aと、背面壁部93Aの上端から屈曲して伸びる上壁部93Bとを有する
。この掛け止め部材92は、背面壁部93Aの内面が配線基板2の外側に向けて配置される。これにより、上壁部93Bが背面壁部93Aから配線基板2の外側に向けて突出し、かつ配線基板2と平行に配置される。そして、このような掛け止め部材92によって区画される空間には、金属シールド94のアーム95の下端に形成された爪7Cが挿入され、係合させられている。
【0063】
図21に示すように、金属シールド94は、天井部94Aと、天井部94Aの各辺から下方に延びる4つの側部94Bとを有する。さらに、天井部94Aの4つの角からは、4つのアーム95が下向きに延びている。各アーム95と壁部94Bの間は、天井部94A側の一部を除いて切り欠かれており、アーム95を弾性的に変形させることが可能になっている。なお、側部94Bは、アーム95の長さより短くなっているが、アーム95の長さと略同じでも良い。
【0064】
次に、図21及び図23を主に参照して、半導体装置91を製造工程について説明する。なお、図23は、集合基板31を上方から見た平面図である。
最初に、集合基板31の配線基板形成領域31Aに、半導体素子3と、受動部品4と、蓋部材97とを、ハンダ12A,12B等を用いて実装する。蓋部材97は、図6(a)に示す蓋部材41と長さが異なるものの、同様の構成を有する。なお、蓋部材97は、平面視で略正方形のものが用いられているが、その他の形状であっても良い。
蓋部材97は、集合基板31内の配線基板形成領域31Aの境界にあるダイシングライン35が交差する位置に合わせて1つずつ、開口部を集合基板31で塞ぐように、ハンダ12Bで接地端子13に接合される。なお、接地端子13は、蓋部材97の配置に対応して、配線基板形成領域31Aの4つの角のそれぞれを跨いで配置されている。
【0065】
続いて、半導体素子3及び受動部品4、並びに蓋部材97を樹脂封止した後、集合基板31をダイシングライン35に沿ってダイシングすると、集合基板31が切断されて複数の配線基板2に個片化される。これと同時に、直交する2つのダイシングライン35のそれぞれに対して対称な形状を有する蓋部材97がダイシングライン35に沿って4つの部材に切断される。これら切断された部材のそれぞれが、掛け止め部材92になる。掛け止め部材92は、配線基板2の各角に1つずつ配置され、掛け止め部材92の端面92Cと、配線基板2の側面2C及び樹脂6の側面6Cとが面一になる。
【0066】
金属シールド94を上方から供給し、樹脂6の上面6A及び側面6Cを覆い、かつ4つのアーム95のそれぞれの爪7Cを対応して配置されている掛け止め部材92に係合させると、半導体素子3等を実装した配線基板2に金属シールド94が取り付けられ、半導体装置91の製造が完了する。
【0067】
この実施の形態では、掛け止め部材92を配線基板2の4つの角のそれぞれに1つずつ配置したので、金属シールド94を4箇所でバランス良く支持することが可能になる。アーム95が天井部94Aの4つの角からそれぞれ延びており、そのそれぞれが掛け止め部材92に係合させられるので、金属シールド94の天井部94Aの角部の変形を防止できる。その他の効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0068】
なお、掛け止め部材92の配置数は、4つ限定されずに、3つ又は2つでも良い。掛け止め部材92を2つのみ配置するときは、配線基板2の対角線上に、電子部品(半導体素子3)を挟むように、掛け止め部材92を1つずつ配置すると、バランス良く金属シールド94を支持できる。また、掛け止め部材92は、隣り合う2つの角に1つずつ配置しても良い。
また、この半導体装置91では、図11(a)、図12(a)、図13(a)に示す蓋部材51,61,71を用いることが可能である。また、この実施の形態は、半導体素子
3や受動部品4を樹脂で封止しないタイプにも適用できる。
【0069】
(第4の実施の形態)
図24及び図25を参照して、第4の実施の形態について説明する。この実施の形態に係る半導体装置は、掛け止め部材の配置が第1の実施の形態と異なる。なお、図24は、半導体装置の分解斜視図であり、図25は、集合基板を上方からみた平面図である。
図24に示すように、半導体装置101は、配線基板2の外周部に掛け止め部材5が設けられている。掛け止め部材5は、配線基板2の4つ辺のうちの3つの辺の略中央に相当する位置に1つずつ配置されており、その各々が配線基板2上の接地端子13にハンダ12で接合されている。
【0070】
金属シールド102は、天井部102Aを有し、天井部102Aの各辺のうちの3つ辺からは側部102Bが下方に向けて延びている。3つ側部102Bは、配線基板2側の3つの掛け止め部材5の配置に対応した位置のそれぞれに設けられており、それぞれの下端には、爪7Cが形成されている。
【0071】
図25に示すように、半導体装置91を製造するときは、最初に集合基板31の配線基板形成領域31Aに、半導体素子3と、受動部品4と、蓋部材41とを、ハンダ12A,12B等を用いて実装する。蓋部材41は、集合基板31のダイシングライン35を跨いで、かつ底面側の開口部44を配線基板2で塞ぐように、3箇所ずつ配置される。図25の例では、蓋部材41は、1つの半導体素子3をダイシングライン35に沿って囲むように3つずつ配置される。なお、蓋部材41は、平面視で略正方形のものが用いられているが、図11から図13に示すような形状であっても良い。
【0072】
次に、半導体素子3及び受動部品4、並びに蓋部材41を樹脂封止した後、集合基板31をダイシングする。集合基板31が切断されて複数の配線基板2に個片化されると同時に、蓋部材41が切断される。蓋部材41は、長手方向の中心線とダイシングライン35の中心線が一致するように配置され、中心線を挟んで左右対称な形状を有することから、2つの同じ形状の部材に切断される。そして、これら切断された部材のそれぞれが、掛け止め部材5になる。
【0073】
金属シールド102は、側部102Bが形成されずに開放されている側部から樹脂6に向ってスライドさせ、掛け止め部材5に係合させられる。スライド方向に平行に配置された1組の爪7Cは、広げられ、樹脂6を乗り越えて移動し、樹脂6の側部6Cに開口している掛け止め部材5に係合する。これにより、半導体素子3等を実装した配線基板2に金属シールド102が取り付けられ、半導体装置101の製造が完了する。
【0074】
この実施の形態では、掛け止め部材5を配線基板2の3箇所に配置したので、金属シールド102を側方からスライドさせて係合させることができる。その他の効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0075】
なお、掛け止め部材5は、配線基板2に2つのみ配置しても良い。この場合、配線基板2上の半導体素子3を挟むように、掛け止め部材5を1つずつ配置すると、バランス良く金属シールド102を支持できる。
また、この半導体装置101では、図11(a)、図12(a)、図13(a)に示す蓋部材51,61,71を用いることが可能である。また、この実施の形態は、半導体素子3や受動部品4を樹脂で封止しないタイプにも適用できる。
【0076】
(第5の実施の形態)
図26及び図27を参照して、第5の実施の形態について説明する。この実施の形態に
係る半導体装置は、掛け止め部材の配置が第1の実施の形態と異なる。なお、図26は、半導体装置の分解斜視図であり、図27は、集合基板を上方からみた平面図である。
図26の分解斜視図に示すように、半導体装置111は、配線基板2の外周部に掛け止め部材112が設けられている。掛け止め部材112は、配線基板2の対向する2つの辺の全長にわたって1つずつ配置されており、配線基板2の接地端子13に電気的に接続された背面壁部113Aから上壁部113Bが伸びている。そして、背面壁部113Aの内面が配線基板2の外側に向けて配置されることで、上壁部113Bが背面壁部113Aから配線基板2の外側に向けて突出し、かつ配線基板2と平行に配置される。
【0077】
この掛け止め部材112に係合させられる金属シールド114は、天井部114Aから2つの側部114Bが対向して下向きに延び、2つの側部114Bのそれぞれの先端に爪7Cが形成されている。2つの側部114Bは、配線基板2側の2つの掛け止め部材112の配置に対応した位置に1つずつ設けられている。
【0078】
図27に示すように、半導体装置111を製造するときは、最初に集合基板31の配線基板形成領域31Aに、半導体素子3と、受動部品4と、蓋部材121とを、ハンダ12A,12Bを用いて実装する。蓋部材121は、図6に示す蓋部材41と長さが異なるだけで、同じ構成及び同じ材料から製造される。蓋部材121は、集合基板31のダイシングライン35を跨ぐように、かつ蓋部材121の底面側の開口部を配線基板2で塞ぐように複数配置される。なお、蓋部材121は、平面視で長方形のものが用いられているが、その他の形状であっても良い。
【0079】
次に、半導体素子3及び受動部品4、並びに蓋部材121を樹脂封止した後、集合基板31をダイシングする。集合基板31が複数の配線基板2に個片化されると同時に、蓋部材121が切断される。蓋部材12は、長手方向の中心線とダイシングライン35の中心線が一致するように配置され、中心線を挟んで左右対称な形状を有することから、2つの同じ形状の部材に切断される。そして、これら切断された部材のそれぞれが、掛け止め部材112になる。
掛け止め部材112は、配線基板2の辺に平行に、かつその全長にわたって延びる。さらに、掛け止め部材112の端面112Cと、配線基板2の側面2C及び樹脂6の側面6Cとが面一になる。
【0080】
金属シールド114は、側部114Bが形成されずに開放されている面から樹脂6に向けてスライドさせる。スライド方向に平行に配置された1組の爪7Cが、樹脂6の側部6Cに開口している掛け止め部材112に係合させられる。これにより、半導体素子3等を実装した配線基板2に金属シールド114が取り付けられ、半導体装置111の製造が完了する。
【0081】
この実施の形態では、掛け止め部材112を配線基板2の2箇所に配置したので、金属シールド114を側方からスライドさせて係合させることができる。その他の効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0082】
なお、掛け止め部材112は、配線基板2の角のみに設けても良い。この場合に、掛け止め部材112の数は、2つ以上であることが好ましい。
また、この半導体装置111では、図11(a)、図12(a)、図13(a)に示す蓋部材51,61,71を用いることが可能である。また、この実施の形態は、半導体素子3や受動部品4を樹脂で封止しないタイプにも適用できる。
【0083】
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例お
よび条件に限定することなく解釈するものであり、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施の形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができる。
【0084】
以下に、実施の形態をさらに付記する。
(付記1) 配線基板と、前記配線基板の一方の面の上に実装された半導体素子と、前記半導体素子を覆う金属シールドと、前記配線基板の前記一方の面に形成された接地端子と、前記接地端子に電気的に接続されると共に、前記一方の面の上で前記金属シールドに係合する掛け止め部材と、を含む半導体装置。
(付記2) 前記金属シールドは、内側、外側のいずれかに折り曲げられた爪を有し、
前記掛け止め部材は、前記爪に係合する壁部を有する付記1に記載の半導体装置。
(付記3) 前記掛け止め部材は、前記爪を挿入する空間を有する付記2に記載の半導体装置。
(付記4) 前記掛け止め部材の側面と、前記配線基板の側面とが面一である付記1から付記3のいずれか一項に記載の半導体装置。
(付記5) 前記半導体素子を覆う樹脂を有し、前記樹脂の側面と、前記掛け止め部材の側面とが面一である付記4に記載の半導体装置。
(付記6) 前記掛け止め部材は、四角形の前記配線基板の辺又は角の対向位置に配置されている付記1乃至付記5のいずれか一項に記載の半導体装置。
(付記7) 前記掛け止め部材は、矩形の前記配線基板の辺の略中央、又は角に、前記半導体素子を挟むように少なくとも2つ配置されている付記1乃至付記5のいずれか一項に記載の半導体装置。
(付記8) 配線基板を複数隣接して形成する領域を有する集合基板に半導体素子を実装する工程と、前記集合基板上で隣り合う前記配線基板の領域の境界線上に、凹部又は空隙を有する蓋部材を固定する工程と、前記境界線に沿って前記集合基板及び前記蓋部材を切断し、前記集合基板から前記配線基板を形成すると同時に、前記蓋部材から前記半導体素子を覆う金属シールドを係合させる凹形状を有する掛け止め部材を形成する工程と、前記掛け止め部材に前記金属シールドを係合させる工程と、を含む半導体装置の製造方法。
(付記9) 前記凹部を有する前記蓋部材は、前記凹部が前記集合基板で密閉される向きに固定される付記8に記載の半導体装置の製造方法。
(付記10) 前記蓋部材を切断して前記掛け止め部材を形成する工程は、前記配線基板の側面と前記掛け止め部材の側面を面一にすることを含む付記8又は付記9に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0085】
1,81,91,101,111 半導体装置
2 配線基板
2A 一方の面
2C 側面
3 半導体素子
5,52,62,73,92,112 掛け止め部材
5D,52C,62C,73C,92C,112C 端面
6 樹脂
6C 側面
7,85,94,114 金属シールド
7C 爪
23,77,94,113B 上壁部
35 ダイシングライン(境界線)
41,51,61,71,121 蓋部材
44,51A,61A 開口部
55 空間
63 壁部
72 空間(空隙)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板の一方の面の上に実装された半導体素子と、
前記半導体素子を覆う金属シールドと、
前記配線基板の前記一方の面に形成された接地端子と、
前記接地端子に電気的に接続されると共に、前記一方の面の上で前記金属シールドに係合する掛け止め部材と、
を含む半導体装置。
【請求項2】
前記金属シールドは、内側、外側のいずれかに折り曲げられた爪を有し、
前記掛け止め部材は、前記爪に係合する壁部を有する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記掛け止め部材は、前記爪を挿入する空間を有する請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記掛け止め部材は、四角形の前記配線基板の辺又は角の対向位置に配置されている請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
配線基板を複数隣接して形成する領域を有する集合基板に半導体素子を実装する工程と、
前記集合基板上で隣り合う前記配線基板の領域の境界線上に、凹部又は空隙を有する蓋部材を固定する工程と、
前記境界線に沿って前記集合基板及び前記蓋部材を切断し、前記集合基板から前記配線基板を形成すると同時に、前記蓋部材から前記半導体素子を覆う金属シールドを係合させる凹形状を有する掛け止め部材を形成する工程と、
前記掛け止め部材に前記金属シールドを係合させる工程と、
を含む半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2011−198999(P2011−198999A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64044(P2010−64044)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】