説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】封止樹脂により半導体チップの電極形成面が封止され、再配線基板と実装基板との対向領域に封止樹脂が充填された半導体装置を、安価で提供すること。
【解決手段】再配線基板は、第1ランド及び第2ランドを同一面に有するとともに、これらランドの形成面が半導体チップの一面に対向配置されている。第2ランドは、半導体チップとの対向領域を取り囲む外周領域内であって、半導体チップとの距離が第1ランドよりも遠い位置に設けられている。実装基板は、半導体チップに対して再配線基板と反対側に配置されており、第3ランドは、半導体チップとの対向面において、半導体チップとの対向領域を取り囲む外周領域内に設けられている。そして、封止樹脂は、再配線基板と実装基板との対向領域に充填されて、再配線基板と実装基板の両方に接触しつつ、半導体チップの電極形成面を封止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップの一面に形成された電極と再配線基板の第1ランドとが電気的に接続されるとともに、再配線基板の第2ランドと実装基板の第3ランドとが電気的に接続され、封止樹脂が、半導体チップの電極形成面を封止するように設けられるとともに、再配線基板と実装基板との対向領域に充填された半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1,2に示されるように、半導体チップの一面に形成された電極と再配線基板の第1ランドとが電気的に接続されるとともに、再配線基板の第2ランドと実装基板の第3ランドとが電気的に接続され、封止樹脂が、半導体チップの一面(電極形成面)を封止するように設けられるとともに、再配線基板と実装基板との対向領域に充填された半導体装置及びその製造方法が知られている。
【0003】
特許文献1(特許文献1の例えば図1(d)参照)では、半導体搭載用基板(再配線基板)の一面上に、片面電極構造の半導体チップが搭載され、該チップの電極が、再配線基板の一面に形成されたランド(第1ランド)にボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。また、再配線基板における一面と反対の裏面には、第1の導電性パッド(第2ランド)が形成されており、この第2ランドは、実装基板に形成された第2の導電性パッド(第3ランド)と、半田ボールを介して電気的に接続されている。そして、半導体チップの電極形成面が封止樹脂により封止され、再配線基板と実装基板との対向領域には、アンダーフィル材(封止樹脂)が充填されている。
【0004】
特許文献2(特許文献2の図2参照)には、特許文献1に示される半導体装置とほぼ同じ構造の半導体装置が示されている。異なる点は、インターポーザ(再配線基板)の一面に形成された第1ランドに対し、半導体チップの電極が、Auバンプを介して接続されており、半導体チップの電極形成面がアンダーフィル(封止樹脂)により封止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−26198号公報
【特許文献2】特開2009−176863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体チップの電極は、一般的にアルミニウム系材料からなる。このため、電極の腐食などを防ぐために、半導体チップの電極形成面を封止樹脂にて封止することが好ましい。
【0007】
また、再配線基板の第2ランドと実装基板の第3ランドとの接続部には、例えば両基板の線膨張係数の差に基づいて生じる応力が作用する。このような応力により、上記接続部の接続信頼性が低下するのを抑制するために、再配線基板と実装基板との対向領域に封止樹脂を充填することが好ましい。
【0008】
しかしながら、特許文献1では、再配線基板上に半導体チップを搭載し、ボンディングワイヤにて半導体チップの電極と再配線基板の第1ランドとを電気的に接続した後、例えばトランスファモールド法を用い、電極形成面を含んで半導体チップを封止樹脂にて封止する。すなわち、半導体パッケージを先に形成する。そして、再配線基板の裏面における第2ランド上に半田ボールを形成し、リフローにより、再配線基板の第2ランドと実装基板の第3ランドを接続する。次いで、再配線基板と実装基板との対向領域に、封止樹脂を充填することで半導体装置を得ることができる。このように、半導体チップの電極形成面の封止と、再配線基板と実装基板との対向領域への封止樹脂の充填とを、異なる製造工程(異なるタイミング)、異なる製造方法で行わなければならない。このため、製品コストが高いという問題がある。
【0009】
一方、特許文献2では、半導体チップを再配線基板にフリップチップ接続して半導体部品を形成し、この半導体部品を実装配線板(実装基板)に半田バンプを介して接続した後、再配線基板と実装基板との対向領域に封止樹脂を充填することで半導体装置を得ることができる。特許文献2では、封止樹脂を充填する際に、再配線基板と実装基板との対向領域側から、再配線基板の側面を通じて半導体チップ側に封止樹脂を流動させることで、半導体チップの電極形成面も封止するようにしている(特許文献2の段落[0051]参照)。このため、半導体チップの電極形成面の封止と、再配線基板と実装基板との対向領域への充填が完了するのに時間がかかる。また、再配線基板の側面を通じて、封止樹脂を半導体チップ側に流動しやすくするためには、再配線基板の側面などに界面活性剤を塗布しておくことが好ましく、部品点数と製造工程が多くなる。このように、封止樹脂の配置に時間がかかり、且つ、部品点数と製造工程も増えるため、特許文献2も、製造コストが高いという問題がある。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑み、封止樹脂により半導体チップの電極形成面が封止され、再配線基板と実装基板との対向領域に封止樹脂が充填された半導体装置を、安価で提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の半導体装置は、
一面及び該一面の裏面のうち、少なくとも一面に電極を有する半導体チップと、
外部接続用のランドを有する基板としての再配線基板及び実装基板と、
半導体チップの電極形成面を封止するように設けられるとともに、再配線基板と実装基板との対向領域に充填された封止樹脂と、を備え、
半導体チップの一面に形成された電極と再配線基板の第1ランドとが電気的に接続されるとともに、再配線基板の第2ランドと実装基板の第3ランドとが電気的に接続されている。
【0012】
そして、再配線基板は、第1ランド及び第2ランドを同一面に有するとともに、これらランドの形成面が半導体チップの一面又は該一面の裏面と対向するように配置され、半導体チップとの対向領域を取り囲む外周領域内であって、半導体チップとの距離が第1ランドよりも遠い位置に第2ランドを有しており、
実装基板は、半導体チップに対して再配線基板と反対側に配置されており、半導体チップとの対向面において、半導体チップとの対向領域を取り囲む外周領域内に第3ランドを有し、
封止樹脂は、再配線基板と実装基板との対向領域に充填されて、再配線基板と実装基板の両方に接触しつつ、半導体チップの電極形成面を封止していることを特徴とする。
【0013】
本発明では、半導体チップの電極形成面が封止樹脂により封止されるため、電極の腐食などを防ぐことができる。また、再配線基板と実装基板との対向領域(以下、単に対向領域と示す)に、封止樹脂が充填されるため、再配線基板と実装基板の線膨張係数差に基づいて生じる応力などを緩和し、ひいては、第2ランド及び第3ランドの接続部(以下、単に接続部と示す)の接続信頼性低下を抑制することができる。
【0014】
また本発明では、再配線基板と実装基板の間に、半導体チップを配置している。このため、封止樹脂を対向領域に充填しつつ、封止樹脂により、半導体チップの電極形成面を封止することができる。言うなれば、対向領域と半導体チップの電極形成面とを、封止樹脂により一括で封止することができる。したがって、封止樹脂により半導体チップの電極形成面が封止され、対向領域に封止樹脂が充填された半導体装置を、安価で提供することができる。
【0015】
なお、封止樹脂は、対向領域に充填されて、少なくとも、再配線基板と実装基板の両方に接触しつつ半導体チップの電極形成面を封止するように設けられれば良い。接続部の接続信頼性低下を抑制する効果は、封止樹脂と再配線基板や実装基板との接触面積に比例し、接触面積が大きいほど、抑制効果は高くなる。しかしながら、その反面、充填量と充填時間が増加し、コストが高くなる。
【0016】
請求項2に記載のように、
封止樹脂により、半導体チップ全体が封止された構成としても良い。
【0017】
これによれば、封止樹脂により、半導体チップ全体を保護することができる。
【0018】
請求項3に記載のように、
封止樹脂は、半導体チップの厚さ方向に垂直な方向において、再配線基板と実装基板との対向領域内のみに配置されており、
再配線基板及び実装基板の少なくとも一方は、垂直な方向において、封止樹脂とオーバーラップする位置であって半導体チップとの対向面に形成されたランドとは異なる位置に貫通孔を有し、該貫通孔として、対向領域内に封止樹脂を充填するための充填用の貫通孔を含む構成とすると良い。
【0019】
本発明によれば、基板に設けた充填用の貫通孔を通じて、対向領域内に封止樹脂を充填することができるため、対向領域に対し、上記垂直な方向から封止樹脂を充填する構成に較べて、半導体チップの電極形成面を封止しやすい。これにより、対向領域内のみに封止樹脂を配置することができる。すなわち、対向領域よりも外側の部分に、封止樹脂によるサイドフィレットが形成されないため、その分、実装基板において電子部品を実装するエリアを確保することができる。これにより、実装エリアが同じであれば実装基板の体格、ひいては半導体装置の体格、を小さくすることができる。
【0020】
請求項4に記載のように、
充填用の貫通孔は、垂直な方向において、半導体チップとオーバーラップする位置に形成されると良い。
【0021】
これによれば、封止樹脂が、充填用の貫通孔を通じて、半導体チップに直接的に接触する。したがって、半導体チップの電極形成面を充填開始から早い段階で封止することができるため、接続信頼性を確保すべく再配線基板と実装基板の両方に接触し、且つ、半導体チップの電極形成面を封止するのに必要な充填量を少なくすることができる。また、充填時間も短縮することができる。すなわち、製品コストをより低減することができる。
【0022】
請求項5に記載のように、
半導体チップは、充填用の貫通孔を有する基板との対向面に、電極を複数有し、該複数の電極は環状に配置されており、
充填用の貫通孔は、半導体チップにおいて、環状に配置された電極よりも内側の領域とオーバーラップすると良い。
【0023】
例えば環状に配置された電極よりも外側に、充填用の貫通孔を設けると、封止樹脂は半導体チップと基板との対向間隔の狭い、電極と基板のランドとの接続部を濡れ広がり、その後、環状に配置された電極よりも内側の領域に流れ込む。このため、内側の領域にボイドが発生する虞がある。これに対し、本発明によれば、先ず内側の領域に封止樹脂が接触するため、内側の領域にボイドが発生するのを抑制することができる。
【0024】
請求項6に記載のように、
半導体チップの一面及び裏面には、それぞれ電極が複数設けられるとともに環状に配置され、
実装基板は、半導体チップの電極と電気的に接続された第4ランドを、半導体チップとの対向面であって半導体チップとの対向領域内に有し、
再配線基板及び実装基板のうちの一方に、充填用の貫通孔が形成され、他方に、貫通孔としてエア抜き用の貫通孔が形成され、
エア抜き用の貫通孔は、半導体チップにおいて、環状に配置された電極よりも内側の領域とオーバーラップすると良い。
【0025】
両面ともに複数の電極が環状に設けられた半導体チップを用い、再配線基板及び実装基板のうちの一方に充填用の貫通孔が形成された構成では、充填用の貫通孔を有さない基板と対向する半導体チップの電極形成面を封止樹脂が封止する際、半導体チップと基板との対向間隔の狭い、電極と基板のランドとの接続部を濡れ広がる。そして、その後、環状に配置された電極よりも内側の領域に、封止樹脂が流れ込む。このため、内側の領域にボイドが発生する虞がある。これに対し、本発明によれば、エア抜き用の貫通孔により空気を抜くことができるので、内側の領域にボイドが発生するのを抑制することができる。
【0026】
請求項7に記載のように、
半導体チップは、一面のみに電極を有し、
充填用の貫通孔は、再配線基板及び実装基板のうちの半導体チップの一面と対向する基板に形成された構成としても良い。
【0027】
このように片面電極構造の半導体チップを採用する場合も、充填用の貫通孔を通じて、半導体チップの電極形成面を封止し、且つ、再配線基板と実装基板の両方に接触して接続部の接続信頼性低下を抑制することができる。
【0028】
請求項8に記載のように、
充填用の貫通孔は、垂直な方向において、半導体チップとの対向領域を取り囲む外周領域に形成されても良い。
【0029】
これによれば、充填用の貫通孔を通じて対向領域に封止樹脂を充填しながらも、半導体チップに封止樹脂が直接的に接触するのを抑制することができる。すなわち、封止樹脂の充填により半導体チップに作用する応力を低減することができる。このため、例えば加圧充填することもできる。これによれば、充填時間を短縮することができる。
【0030】
請求項9に記載のように、
再配線基板と実装基板との対向領域において、再配線基板と実装基板の両方に接触し、半導体チップを取り囲むように設けられたダム部を有し、
充填用の貫通孔は、垂直な方向において、ダム部の内側に位置すると良い。
【0031】
これによれば、ダム部より外側に封止樹脂が流動するのを抑制することができる。すなわち、ダム部を有さない構成に較べて、封止樹脂の配置領域を規定することができる。例えば、ダム部を有さない構成に較べて、対向領域内に封止樹脂をより確実に留めることができる。また接続信頼性を確保すべく再配線基板と実装基板の両方に接触し、且つ、半導体チップの電極形成面を封止するのに必要な充填量を、より少なくすることもできる。
【0032】
請求項10に記載のように、
ダム部は、環状に設けられており、
貫通孔として、エア抜き用の貫通孔を含み、
エア抜き用の貫通孔は、垂直な方向において、ダム部の内側に位置すると良い。
【0033】
これによれば、ダム部より外側に封止樹脂が流動するのを、より効果的に抑制することができる。また、エア抜き用の貫通孔を有するため、環状のダム部を採用しつつ、ボイドが発生するのを抑制することができる。
【0034】
請求項11に記載のように、
ダム部は、半導体チップの一面に垂直な側面の周方向において、複数に分割されており、
隣り合うダム部の間に隙間を有するようにしても良い。
【0035】
これによれば、隣り合うダム部間の隙間を空気が抜けるため、エア抜き用の貫通孔を有さずとも、ボイドの発生を抑制することができる。
【0036】
請求項12に記載のように、
ダム部は、再配線基板及び実装基板に固定されていると良い。これによれば、封止樹脂充填の圧力などによりダム部が位置ずれするのを抑制することができるため、より確実に、所望の位置に封止樹脂を配置することができる。
【0037】
例えば請求項13に記載のように、
再配線基板及び実装基板は、ダム部の固定位置にダム部用の第5ランドをそれぞれ有し、
ダム部は、少なくともはんだを含み、再配線基板及び実装基板の第5ランドに接続された構成を採用することができる。
【0038】
請求項14に記載のように、
ダム部は、垂直な方向において、半導体チップと第2ランドとの間に設けられており、
第2ランドと第3ランドとの接続部は、ダム部の外に位置する構成としても良い。
【0039】
これによれば、封止樹脂の充填量を少なくし、充填時間を短縮することができる。すなわち、製品コストをより低減することができる。
【0040】
一方、請求項15に記載のように、
ダム部は、垂直な方向において、第2ランドと再配線基板の外周端との間に設けられており、
第2ランドと第3ランドとの接続部は、封止樹脂により封止された構成としても良い。
【0041】
これによれば、封止樹脂により、接続部を保護することができる。
【0042】
次に、請求項16に記載の発明は、
請求項1〜15いずれか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、
再配線基板と実装基板の間に半導体チップを配置し、対応する電極とランドとの電気的接続、及び、対応するランド間の電気的接続を行った後、
再配線基板と実装基板の両方に接触するとともに、半導体チップにおける少なくとも一面を封止するように、再配線基板と実装基板との対向領域に、封止樹脂を充填することを特徴とする。
【0043】
本発明の作用効果は、請求項1に記載の発明の作用効果と同じであるので、その記載を省略する。
【0044】
請求項17に記載の発明の作用効果は、請求項2に記載の発明の作用効果と同じであるので、その記載を省略する。
【0045】
請求項18に記載の発明の作用効果は、請求項3に記載の発明の作用効果と同じであるので、その記載を省略する。
【0046】
請求項19に記載の発明の作用効果は、請求項9に記載の発明の作用効果と同じであるので、その記載を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。この断面図は、図2のI−I線に対応している。
【図2】図1に示す半導体装置を、実装基板側から見た平面図であり、実装基板及び封止樹脂を省略している。
【図3】再配線基板を対向面側から見た平面図である。
【図4】実装基板を対向面側から見た平面図である。
【図5】半導体装置の製造方法を示す断面図であり、(a)〜(e)は実装工程を示し、(f)は充填工程を示す。
【図6】ダム部の形成を説明するための断面図であり、(a)はリフロー前、(b)がリフロー後の状態を示す。
【図7】充填用貫通孔の配置による効果を説明するための平面図である。この平面図は、封止樹脂注入前の半導体装置を、再配線基板側から見た平面図であり、再配線基板を省略している。
【図8】ダム部の変形例を示す断面図である。
【図9】ダム部の変形例を示す断面図である。
【図10】貫通孔の変形例を示す断面図である。
【図11】第2実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図であり、図1に対応している。
【図12】エア抜き用貫通孔の配置による効果を説明するための平面図である。この平面図は、半導体装置を、再配線基板側から見た平面図であり、再配線基板、半導体チップ、充填途中の封止樹脂を省略している。
【図13】第3実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図であり、図1に対応している。
【図14】第4実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図であり、図1に対応している。
【図15】第5実施形態に係る半導体装置のうち、特徴部分であるダム部の構成を示す平面図であり、図2に対応している。
【図16】半導体装置のその他変形例を示す断面図である。
【図17】半導体装置のその他変形例を示す断面図である。
【図18】充填用貫通孔の変形例を示す平面図である。
【図19】半導体装置のその他変形例を示す断面図である。
【図20】半導体装置のその他変形例を示す断面図である。
【図21】半導体装置のその他変形例を示す断面図である。
【図22】半導体装置のその他変形例を示す断面図である。
【図23】半導体装置のその他変形例を示す断面図である。
【図24】半導体装置のその他変形例を示す断面図である。
【図25】半導体装置のその他変形例を示す断面図である。
【図26】半導体装置のその他変形例を示す断面図である。
【図27】半導体装置のその他変形例を示す断面図である。
【図28】半導体装置のその他変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。また、半導体チップの厚み方向を単に厚さ方向と示し、該厚さ方向に垂直な方向を単に垂直方向と示す。また、平面図(図2〜4、図7、図12、図15)において、便宜上、一部ハッチングを施している。
【0049】
(第1実施形態)
図1〜図4に示すように、半導体装置10は、少なくとも一面20aに電極21を有する半導体チップ20と、銅などからなる外部接続用のランドを有する基板としての、再配線基板30及び実装基板40と、封止樹脂70と、ダム部80と、を備える。
【0050】
半導体チップ20は、単結晶シリコンなどの半導体基板に素子が構成され、半導体基板上に配線層や外部接続用の電極が形成されたものである。半導体チップ20には、IGBTなどのパワー素子などが素子単独で形成されても良いし、論理回路、記憶回路、A/D変換回路、増幅回路、或いはこれらの混合回路等が構成されても良い。この半導体チップ20は、垂直方向に沿う平面が矩形状の所謂ベアチップであり、その厚さ方向に垂直な両面のうち、少なくとも一面20aに、外部接続用の電極21を有している。このような電極21は、アルミニウム系材料を用いて形成されおり、ポリイミド等からなる保護膜から露出されて、外部との電気的な接続が可能となっている。
【0051】
本実施形態では、半導体チップ20の一面20aと、該一面20aと反対の裏面20bの両面に、電極21が形成されている。また、電極21は各面20a,20bにおいて複数設けられるとともに、複数の電極21が、各面20a,20bの外形輪郭に沿って矩形環状に配置されている。
【0052】
再配線基板30は、所謂インターポーザであり、ベアチップである半導体チップ20の電極21の挟ピッチを、再配線基板30の図示しない配線にて再配線し、ピッチ間を広げて、実装基板40に電気的に接続する機能を果たす。このため、図3に示すように、再配線基板30は、半導体チップ20の一面20aに設けられた複数の電極21の少なくとも一部と、電気的に接続される第1ランド31を複数有している。また、実装基板40の後述する第3ランド41と電気的に接続される第2ランド32を複数有している。これら、第1ランド31及び第2ランド32は、半導体チップ20との対向面30aにそれぞれ形成されている。すなわち、第1ランド31及び第2ランド32は、同一面に形成されている。本実施形態では、周知の多層配線基板(多層プリント基板)を採用している。
【0053】
第1ランド31及び第2ランド32のうち、第2ランド32は、対向面30aにおいて半導体チップ20とオーバーラップする重なり領域33a内ではなく、重なり領域33aを取り囲む外周領域33bに形成される。一方、第1ランド31は、半導体チップ20の実装形態に応じて、重なり領域33a及び外周領域33bのいずれかに形成される。
【0054】
本実施形態において、複数の第2ランド32は、外周領域33bのうち、外周端近傍に、対向面30aの外形輪郭に沿って矩形環状に配置されている。また、再配線基板30は、半導体チップ20の一面20aと対向しており、第1ランド31は、半導体チップ20の一面20aに形成された電極21に対応して形成されている。すなわち、第1ランド31は、重なり領域33a内に形成されており、電極21同様、複数の第1ランド31が矩形環状に配置されている。
【0055】
また、本実施形態では、重なり領域33aと第2ランド32の間に、第5ランド34が形成されている。この第5ランド34は、後述するダム部80を再配線基板30に固定する(接続する)ためのものである。本実施形態では、図3に示すように、1つの第5ランド34が、隙間なく環状に設けられている。また、第5ランド34は、重なり領域33aを取り囲むように、ほぼ矩形状をなしており、各隅部が丸みを帯びて各辺部が連結されている。
【0056】
実装基板40は、半導体チップ20が接続された再配線基板30を搭載するための基板であり、再配線基板30との対向面40aに、上記した第2ランド32に対応して形成された第3ランド41を有している。また、上記対向面40aは、半導体チップ20との対向面ともなっている。本実施形態では、半導体チップ20の裏面20bに対向している。このような実装基板40としては、周知の配線基板(プリント基板)を採用することができる。
【0057】
第3ランド41は、対向面40aにおいて半導体チップ20とオーバーラップする重なり領域42a内ではなく、重なり領域42aを取り囲む外周領域42bであって再配線基板30との対向領域42c内に形成される。本実施形態において、複数の第3ランド41は、再配線基板30との対向領域42cのうち、外周端近傍に矩形環状に配置されている。
【0058】
また、本実施形態では、半導体チップ20の裏面20bに形成された電極21に対応して形成された第4ランド43を有する。すなわち、第4ランド43は、実装基板40の対向面40aにおける半導体チップ20との重なり領域42a内に形成されており、電極21同様、複数の第4ランド43が矩形環状に配置されている。
【0059】
また、実装基板40にも、重なり領域42aと第3ランド41の間に、第5ランド44が形成されている。この第5ランド44は、後述するダム部80を実装基板40に固定する(接続する)ためのものである。本実施形態では、再配線基板30に形成された第5ランド34に対応して形成されている。すなわち、図4に示すように、1つの第5ランド44が、隙間なく環状に設けられている。また、第5ランド44は、重なり領域42aを取り囲むように、ほぼ矩形状をなしており、各隅部が丸みを帯びて各辺部が連結されている。
【0060】
このように構成される半導体チップ20、再配線基板30、及び実装基板40は、電気的且つ機械的に接続されて、一体化されている。図1に示すように、半導体チップ20の一面20aに形成された電極21は、はんだからなる接続部50により、再配線基板30の対向面30aに形成された第1ランド31と電気的に接続されている。また、半導体チップ20の裏面20bに形成された電極21は、はんだからなる接続部51により、実装基板40の対向面40aに形成された第4ランド43と電気的に接続されている。また、再配線基板30の対向面30aに形成された第2ランド32と実装基板40の対向面40aに形成された第3ランド41とは、はんだからなる接続部52により電気的に接続されている。このように、厚さ方向において、再配線基板30と実装基板40との間に半導体チップ20が配置され、2つの基板30,40に挟まれる形で、半導体チップ20が各基板30,40と接続され、基板30,40同士が接続されている。
【0061】
また、再配線基板30及び実装基板40の少なくとも一方には、厚さ方向において基板を貫通する貫通孔60が形成されている。この貫通孔60は、垂直方向において、封止樹脂70とオーバーラップする位置であって、形成される基板においてランドや配線とオーバーラップしない位置に形成される。また、貫通孔60は、再配線基板30と実装基板40との対向領域S1に、後述する封止樹脂70を充填するための充填用貫通孔61を少なくとも有する。充填用貫通孔61の個数は特に限定されるものではない。また、形成される位置も、対向領域S1に封止樹脂70を充填できる位置、すなわち、形成される基板においてランドや配線とオーバーラップしない位置、具体的には再配線基板30の対向面30a及び後述する実装基板40の40aに形成されたランドと異なる位置、であれば良い。
【0062】
本実施形態では、再配線基板30及び実装基板40のうち、再配線基板30のみに貫通孔60が形成されている。すなわち、貫通孔60は、その一端が再配線基板30の対向面30aに開口し、他端が対向面30aと反対の裏面30bに開口している。また、再配線基板30における対向面30aの重なり領域33a内であって、矩形環状に設けられた複数の第1ランド31の配置領域よりも内側に、充填用貫通孔61が1つ形成されている。換言すれば、充填用貫通孔61が、垂直方向において、半導体チップ20とオーバーラップする位置であって、一面20aに矩形環状に設けられた複数の電極21の配置領域よりも内側の領域とオーバーラップする位置に形成されている。より詳しくは、垂直方向において、半導体チップ20の中心位置と、再配線基板30の中心位置が一致し、この中心位置を含むように充填用貫通孔61が形成されている。
【0063】
また、貫通孔60として、充填用貫通孔61だけでなく、対向領域S1からエアを抜くためのエア抜き用貫通孔62も有している。エア抜き用貫通孔62の個数は特に限定されるものではない。また、形成される位置も、形成される基板においてランドや配線とオーバーラップしない位置、具体的には再配線基板30の対向面30a及び後述する実装基板40の40aに形成されたランドと異なる位置、であれば良い。本実施形態では、図3に示すように、再配線基板30の対向面30aにおいて、外周領域33b内であって、第5ランド34よりも内側の領域に位置するように、形成されている。より詳しくは、2つのエア抜き用貫通孔62が、矩形の外周輪郭を有する重なり領域33aに対し、互いに対角の関係にある2隅の近傍にそれぞれ形成されている。
【0064】
充填用貫通孔61及びエア抜き用貫通孔62の垂直方向に沿う断面積(開口面積)は、特に限定されるものではない。本実施形態では、封止樹脂70を対向領域S1に充填しやすくするために、充填用貫通孔61の断面積のほうが、エア抜き用貫通孔62の断面積よりも大きくなっている。なお、図1において、充填用貫通孔61付近の白抜き矢印は、封止樹脂70の充填方向を示し、エア抜き用貫通孔62付近の白抜き矢印は、対向領域S1から空気を抜く方向を示す。
【0065】
封止樹脂70は、再配線基板30と実装基板40との対向領域S1に充填されて再配線基板30及び実装基板40と接触するとともに、半導体チップ20の少なくとも電極形成面を封止するものである。このように配置されることで、封止樹脂70は、腐食などから半導体チップ20の電極21を保護する。また、再配線基板30と実装基板40との線膨張係数差に基づく応力、半導体チップ20と再配線基板30や実装基板40との線膨張係数差に基づく応力などが、第2ランド32と第3ランド41との接続部、例えば第2ランド32と接続部52との接合界面、第3ランド41と接続部52との接合界面に作用し、接続信頼性が低下するのを抑制する。
【0066】
このような封止樹脂70としては、使用環境に応じた耐性(耐熱性、耐薬品性など)を有する硬化性樹脂を採用することができ、本実施形態では、エポキシ樹脂を採用している。また、図1に示すように、両面電極構造を有する半導体チップ20の両面20a,20bを封止するとともに、両面20a,20bに対して垂直な側面も全周にわたって封止している。詳しくは、後述するダム部80より内側の領域において、半導体チップ20と再配線基板30との対向領域、半導体チップ20と実装基板との対向領域、及び再配線基板と実装基板40との対向領域S1に封止樹脂70が充填されている。このように、半導体チップ20の全体が、封止樹脂70によって封止されている。
【0067】
ダム部80は、再配線基板30の対向面30aと実装基板40の対向面40aの両方に接触しつつ、半導体チップ20を取り囲むように設けられ、再配線基板30と実装基板40の対向領域S1において液状(硬化前)の封止樹脂70を所定位置に保持する(貯留させる)ためのものである。このような堰き止め機能を発揮できるものであれば、ダム部80の形態は特に限定されるものではない。
【0068】
本実施形態では、Ag−Snなどのはんだからなるダム部80が、再配線基板30及び実装基板40の第5ランド34,44と接続されている。すなわち、厚さ方向において、ダム部80の一端が再配線基板30に固定され、他端が実装基板40に固定されている。また、ダム部80は、第5ランド34,44同様、環状に設けられている。
【0069】
次に、このように構成される半導体装置10の製造方法の一例を説明する。
【0070】
先ず、図示しないが、半導体チップ20、再配線基板30、及び実装基板40を準備する。例えば半導体チップ20として、一辺が5mm程度の平面正方形、厚さ90μm程度、電極21のピッチが200μm程度のものを用いる。また、再配線基板30として、一辺が15mm程度の平面正方形、厚さ600μm程度、第1ランド31のピッチが200μm程度、第2ランド32のピッチが500μm程度のものを用いる。この再配線基板30には、レーザ加工、ドリルなどの機械加工により、貫通孔60が形成されている。また、実装基板40として、再配線基板30の対向面30a全面と対向しつつ再配線基板30よりも大きく、厚さ1.6mm程度、第3ランド41のピッチが500μm程度、第4ランド43のピッチが200μm程度のものを用いる。
【0071】
次いで、実装工程を実施する。この実装工程は、図1に示す半導体装置10において、封止樹脂70を除いた状態まで形成する工程である。すなわち、厚さ方向において、再配線基板30と実装基板40との間に半導体チップ20が配置され、2つの基板30,40に挟まれる形で、半導体チップ20が各基板30,40と接続され、基板30,40同士が接続された状態とするまでの工程である。
【0072】
具体的には、図5(a)に示すように、実装基板40の各ランド41,43,44(図4参照、図5では省略)上に、スクリーン印刷などによって、はんだペースト45を塗布する。このはんだペースト45は、はんだ粉末(例えばAgとSnの混合粒子)を、溶剤にて所定粘度に調整したものである。なお、図5(a)において、符号45aは、第3ランド41上のはんだペースト、符号45bは、第4ランド43上のはんだペースト、符号45cは、第5ランド44上のはんだペーストである。
【0073】
次に、図5(b)に示すように、図示しないボールマウンタにて、ボール状のはんだバンプ53,54を、対応するランド41,44上に配置する。第3ランド41上には、ランド41ごとにはんだバンプ53が配置される。一方、第5ランド44上には、所定ピッチで、例えば第3ランド41上に配置されるはんだバンプ53と同じピッチで、はんだバンプ53が配置される。はんだバンプ53としては、はんだペースト45と同じ構成材料のはんだ粉末を用いると良い。なお、はんだバンプ53,54は、直径が250μm程度である。
【0074】
次に、電極21上に、ボール状のはんだバンプ55,56を配置した半導体チップ20を、実装基板40上に位置決め載置する。これにより、半導体チップ20の裏面20bに形成された電極21上のはんだバンプ55が、実装基板40の第4ランド43上のはんだペースト45bに接触する。なお、はんだバンプ55,56は、その直径が80μm程度である。
【0075】
次に、再配線基板30を実装基板40上に位置決め載置する。これにより、半導体チップ20の一面20aに形成された電極21上のはんだバンプ56が、再配線基板30の第1ランド31に接触する。また、はんだバンプ53が、再配線基板30の第2ランド32と接触し、はんだバンプ54が、再配線基板30の第5ランド34と接触する。
【0076】
次に、はんだのリフローを実施する。これにより、はんだペースト45、はんだバンプ53〜56中のはんだ粉末、具体的にはSn粒子、が溶融する。そして、冷却固化した状態で、図5(e)に示すように、半導体チップ20の電極21と再配線基板30の第1ランド31が、はんだからなる接続部50を介して、電気的に接続される。また、半導体チップ20の電極21と実装基板40の第4ランド43が、はんだからなる接続部51を介して、電気的に接続される。また、再配線基板30の第2ランド32と実装基板40の第3ランド41が、はんだからなる接続部52を介して、電気的に接続される。この状態で、再配線基板30と実装基板40との対向領域S1の高さ、すなわち対向面30a,40a間の距離、は250μm程度となる。
【0077】
さらに、本実施形態では、環状の第5ランド44上に、図6(a)に示すように所定ピッチで配置されたはんだバンプ54が、はんだペースト45cのはんだ粉末とともに溶融して第5ランド34,44上を濡れ広がり、冷却固化した状態で、図2及び図6(b)に示すように、半導体チップ20を取り囲む環状のダム部80となる。
【0078】
次に、充填用貫通孔61を通じて、再配線基板30と実装基板40との対向領域S1、より詳しくは、ダム部80によって囲まれた対向領域S1内に、液状(硬化前)の封止樹脂70を注入する。そして、対向領域S1内に封止樹脂70を充填した後、硬化処理を経ることで、図5(f)及び図1に示す半導体装置10を得ることができる。
【0079】
なお、上記した製造方法は一例にすぎない。重要なのは、半導体チップ20、再配線基板30、実装基板40を電気的に接続した後に、封止樹脂70を充填する点である。
【0080】
次に、本実施形態に係る半導体装置10及びその製造方法のうち、特徴部分の効果について説明する。
【0081】
本実施形態では、半導体チップ20の電極形成面20a,20bが封止樹脂70により封止されるため、電極21の腐食などを防ぐことができる。また、再配線基板30と実装基板40との対向領域S1に、封止樹脂70が充填されるため、再配線基板30と実装基板40の線膨張係数差などに基づいて生じる応力を緩和し、ひいては、第2ランド32及び第3ランド41の接続部(接続部52との界面)の接続信頼性低下を抑制することができる。
【0082】
また、再配線基板30と実装基板40の間に、半導体チップ20を配置している。このため、封止樹脂70を、対向領域S1に充填しつつ、封止樹脂70により、半導体チップ20の電極形成面20a,20bを封止することができる。言うなれば、対向領域S1と半導体チップ20の電極形成面20a,20bとを、封止樹脂70により一括で封止することができる。したがって、封止樹脂70により半導体チップ20の電極形成面20a,20bが封止され、対向領域S1に封止樹脂70が充填された半導体装置10を、安価で提供することができる。
【0083】
特に本実施形態では、封止樹脂70により、半導体チップ20全体を封止するため、半導体チップ20全体を保護することができる。
【0084】
なお、封止樹脂70は、対向領域S1に充填されて、少なくとも、再配線基板30と実装基板40の両方に接触しつつ半導体チップ20の電極形成面20a,20bを封止するように設けられれば良い。第2ランド32及び第3ランド41の接続部の接続信頼性低下を抑制する効果は、封止樹脂70と基板(再配線基板30及び実装基板40)との接触面積に比例し、接触面積が大きいほど、抑制効果は高くなる。しかしながら、その反面、充填量と充填時間が増加し、コストが高くなる。
【0085】
これに対し、本実施形態では、充填用貫通孔61を通じて、対向領域S1内に封止樹脂70を充填することができるため、対向領域S1に対して垂直方向から封止樹脂70を充填する構成に較べて、半導体チップ20の電極形成面20a,20bを充填開始から短時間で封止しやすい。再配線基板30の外周端側からでなく、外周端によりも再配線基板30の中心に近い位置に封止樹脂70を供給する。これにより、対向領域S1内のみに封止樹脂70を配置することができる。すなわち、対向領域S1よりも外側の部分に、封止樹脂70によるサイドフィレットが形成されないため、その分、実装基板40において電子部品を実装するエリアを確保することができる。これにより、実装エリアが同じであれば実装基板40の体格、ひいては半導体装置10の体格、を小さくすることができる。
【0086】
また、本実施形態では、充填用貫通孔61を、垂直方向において、半導体チップ20とオーバーラップする位置に形成している。このため、封止樹脂70が、充填用貫通孔61を通じて、半導体チップ20に直接的に接触する。したがって、半導体チップ20の電極形成面20a,20b(特に一面20a)を充填開始から早い段階で封止することができるため、接続信頼性を確保すべく再配線基板30と実装基板40の両方に接触し、且つ、半導体チップ20の電極形成面20a,20bを封止するのに必要な充填量を少なくすることができる。また、充填時間も短縮することができる。すなわち、製品コストをより低減することができる。
【0087】
特に本実施形態では、充填用貫通孔61を、半導体チップ20において、環状に配置された電極21よりも内側の領域とオーバーラップするように設けている。例えば環状に配置された電極21よりも外側に、充填用貫通孔61を設けると、封止樹脂70は半導体チップ20と再配線基板30との対向間隔の狭い、電極21と第1ランド31との接続部を濡れ広がり、その後、環状に配置された電極21よりも内側の領域に流れ込む。このため、内側の領域に空気が残り、ボイドが発生する虞がある。これに対し、本実施形態によれば、先ず内側の領域に封止樹脂70が接触するため、図7に示すように、内側の領域の接触部分から放射状に外側、すなわち電極21側に封止樹脂70が広がる。したがって、内側の領域に空気が閉じ込められてボイドが発生するのを抑制することができる。
【0088】
また、本実施形態では、ダム部80を設けるため、ダム部80より外側に封止樹脂70が流動するのを抑制することができる。すなわち、ダム部80を有さない構成に較べて、封止樹脂70の配置領域を規定することができる。例えば、ダム部80を有さない構成に較べて、対向領域S1内に封止樹脂をより確実に留めることができる。また接続信頼性を確保すべく再配線基板30と実装基板40の両方に接触し、且つ、半導体チップ20の電極形成面20a,20bを封止するのに必要な充填量を、より少なくすることもできる。
【0089】
特に本実施形態では、ダム部80が環状に設けられているため、ダム部80より外側に封止樹脂70が流動するのを、より効果的に抑制することができる。また、エア抜き用貫通孔62を有するため、環状のダム部80を採用しつつ、ボイドが発生するのを抑制することができる。
【0090】
また、本実施形態では、ダム部80が再配線基板30及び実装基板40に固定されている。これにより、封止樹脂70を充填する際の圧力などによりダム部80が位置ずれするのを抑制することができる。したがって、より確実に、所望の位置に封止樹脂70を配置することができる。
【0091】
また、本実施形態では、ダム部80が、垂直方向において、半導体チップ20と第2ランド32との間に設けられており、第2ランド32と第3ランド41との接続部は、ダム部80の外に位置する。このように、第2ランド32と第3ランド41との接続部を封止しないため、封止樹脂70の充填量を少なくし、且つ、充填時間を短縮することができる。すなわち、製品コストをより低減することができる。
【0092】
(変形例)
上記実施形態では、充填用貫通孔61とエア抜き用貫通孔62とで径を異ならせたが、同じ断面形状及び同じ断面積の貫通孔60を複数設け、その一部を充填用貫通孔61、残りをエア抜き用貫通孔62としても良い。
【0093】
上記実施形態では、充填用貫通孔61を、半導体チップ20において、環状に配置された電極21よりも内側の領域とオーバーラップするように設ける例を示した。しかしながら、半導体チップ20とオーバーラップする位置としては、上記例に限定されるものではなく、半導体チップ20における電極21よりも外側の領域とオーバーラップするように、充填用貫通孔61を設けても良い。
【0094】
上記実施形態では、はんだ粉末を溶剤で所定粘度に調整してなるはんだペースト45とはんだバンプ54により、ダム部80を構成する例を示した。しかしながら、ダム部80は上記例に限定されるものではない。例えばはんだペースト45cとして、溶剤以外にもベース樹脂や活性剤などの添加剤を含むフラックスを用い、図8に示すように、はんだからなる本体部80aと、該本体部80aに周囲に形成されるフラックス残渣80bとを備えるダム部80を採用することもできる。また、図9に示すように、平板状の部材80cを、接着部材80dにて再配線基板30及び実装基板40に固定してなるダム部80を採用することもできる。例えば平板状の部材80cとして銅などの金属板を用いる場合、接着部材80dとしてはんだペーストを採用すると良い。また、平板状の部材80cとして樹脂板を採用する場合には、接着部材80dとして、熱硬化性樹脂を採用すると良い。
【0095】
さらには、再配線基板30及び実装基板40の間に、リフローで溶融しない材料からなる所定厚さのダム部80をスペーサとして配置し、厚さ方向において加圧状態でリフローを実施することで、再配線基板30及び実装基板40によりダム部80が狭持された構成を採用することもできる。
【0096】
上記実施形態では、貫通孔60を再配線基板30に設ける例を示した。しかしながら、図10に示すように、実装基板40のみに設けても良い。この場合、貫通孔60は、その一端が実装基板40の対向面40aに開口し、他端が対向面40aと反対の裏面40bに開口している。また、再配線基板30と実装基板40の両方に貫通孔60を設けても良い。
【0097】
(第2実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した半導体装置10及びその製造方法と共通する部分についての説明は割愛する。第1実施形態では、エア抜き用貫通孔62が、充填用貫通孔61と同じ再配線基板30であって、再配線基板30の外周領域33b内に位置するように形成される例を示した。
【0098】
これに対し、本実施形態では、図11及び図12に示すように、実装基板40における対向面40aの重なり領域42a内であって、矩形環状に設けられた複数の第4ランド43の配置領域よりも内側に、エア抜き用貫通孔62が1つ形成されている。換言すれば、エア抜き用貫通孔62が、垂直方向において、半導体チップ20とオーバーラップする位置であって、裏面20bに矩形環状に設けられた複数の電極21の配置領域よりも内側の領域とオーバーラップする位置に形成されている。より詳しくは、垂直方向において、半導体チップ20の中心位置を含むようにエア抜き用貫通孔62が形成されている。それ以外の構成については、第1実施形態に示した図1と同じである。
【0099】
ここで、第1実施形態の図1に示すように、両面20a,20bともに、環状に配置された複数の電極21を有し、充填用貫通孔61が、再配線基板30及び実装基板40のうちの一方のみに設けられる構成について、封止樹脂70の充填を考える。この場合、充填用貫通孔61を有さない基板と半導体チップ20との対向領域を封止樹脂70が濡れ広がる際に、半導体チップ20と基板との対向間隔の狭い、電極21と基板のランド(例えば第4ランド43)との接続部を濡れ広がる。そして、その後、環状に配置された電極21よりも内側の領域に、封止樹脂70が流れ込む。このため、内側の領域にボイドが発生する虞がある。
【0100】
これに対し、本実施形態では、再配線基板30の充填用貫通孔61を設け、実装基板40における電極21(第4ランド43)よりも内側の領域に、エア抜き用貫通孔62を設けている。このため、エア抜き用貫通孔により空気を抜くことができるので、充填用貫通孔61を有さない基板と半導体チップ20との対向領域、特に電極21よりも内側の領域、にボイドが発生するのを抑制することができる。
【0101】
(第3実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した半導体装置10及びその製造方法と共通する部分についての説明は割愛する。第1実施形態では、充填用貫通孔61が、垂直方向において半導体チップ20とオーバーラップするように設けられる例を示した。
【0102】
これに対し、本実施形態では、図13に示すように、充填用貫通孔61が、再配線基板30において、半導体チップ20との重なり領域33aを取り囲む外周領域33bに形成されている点を特徴とする。換言すれば、半導体チップ20とオーバーラップしない位置に設けられている点を特徴とする。
【0103】
このような位置に充填用貫通孔61を設けると、充填用貫通孔61を通じて、対向領域S1に封止樹脂70を充填しながらも、半導体チップ20に封止樹脂70が直接的に接触するのを抑制することができる。すなわち、封止樹脂70の充填により半導体チップ20に作用する応力を低減することができる。このため、例えば加圧充填することもできる。これによれば、充填時間を短縮することができる。
【0104】
なお、図13においては、充填用貫通孔61を再配線基板30に設けたが、実装基板40においても同様である。
【0105】
(第4実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した半導体装置10及びその製造方法と共通する部分についての説明は割愛する。第1実施形態では、ダム部80が、垂直方向において、半導体チップ20と第2ランド32(又は第3ランド41)との間に設けられる例を示した。
【0106】
これに対し、本実施形態では、図14に示すように、ダム部80が、第2ランド32と再配線基板30の外周端との間に設けられており、第2ランド32と第3ランド41との接続部(接続部52)は、封止樹脂70により封止されている点を特徴とする。
【0107】
このような構成を採用すると、第1実施形態に示した構成に較べて、封止樹脂70により、第2ランド32と第3ランド41との接続部(接続部52)を保護することができる。
【0108】
(第5実施形態)
本実施形態において、上記実施形態に示した半導体装置10及びその製造方法と共通する部分についての説明は割愛する。第1実施形態では、ダム部80が、半導体チップ20を取り囲むように、環状に設けられる例を示した。
【0109】
これに対し、本実施形態では、図15に示すように、ダム部80は、半導体チップ20の側面の周方向において、複数に分割されている。図15に示す例では、2つのダム部81に分割されている。そして、隣り合うダム部81の間に隙間82を有している点を特徴とする。
【0110】
このような構成を採用すると、隣り合うダム部81間の隙間82を空気が抜けるため、エア抜き用貫通孔62を有さずとも、封止樹脂70に空気が残って、ボイドが発生するのを抑制することができる。
【0111】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0112】
上記実施形態では、半導体装置10がダム部80を有する例を示した。しかしながら、図16に示すように、ダム部80を有さない半導体装置10を採用することもできる。このようにダム部80を有さないと、空気が垂直方向において対向領域S1の外側に逃げることができるので、エア抜き用貫通孔62を不要とすることができる。図16に示す例は、ダム部80及びエア抜き用貫通孔62を有さない点を除けば、第1実施形態の図1と同じである。
【0113】
上記実施形態では、半導体装置10が貫通孔60を有する例を示した。しかしながら、図17に示すように、ダム部80とともに貫通孔60(充填用貫通孔61)を有さない半導体装置10を採用することもできる。このような半導体装置10を採用すると、第1実施形態に示したように、封止樹脂70を、対向領域S1に充填しつつ、封止樹脂70により、半導体チップ20の電極形成面20a,20bを封止することができる。言うなれば、対向領域S1と半導体チップ20の電極形成面20a,20bとを、封止樹脂70により一括で封止することができる。したがって、封止樹脂70により半導体チップ20の電極形成面20a,20bが封止され、対向領域S1に封止樹脂70が充填された半導体装置10を、安価で提供することができる。
【0114】
上記実施形態では、充填用貫通孔61の垂直方向に沿う形状(平面形状)について特に言及しなかった。例えば図3に示されるように、上記実施形態では、充填用貫通孔61が平面円形状であった。充填用貫通孔61の平面形状は特に限定されるものではない。例えば、L字状としても良いし、図18に示すように、4つの辺部が隣接する辺部同士で直交する位置関係をなしつつ、全体でほぼ矩形環状をなす形状としても良い。図18では充填用貫通孔61のうち、封止樹脂70の充填開始位置を始点61a、充填終了位置を終点61e、始点61aから終点61eに向けて、各コーナーを順に、第1コーナー61b、第2コーナー61c、第3コーナー61dとする。封止樹脂70の充填は始点61aから始まり、始点61aから第1コーナー61bまで充填装置を走査したあと、所定時間待機する。そして、待機した後で、第1コーナー61bから終点61eまで連続的に走査する。このようにすると、始点61aから終点61eまで連続的に走査する場合に比べて、電極21よりも内側の領域に空気が残ってボイドが生じるのを抑制することができる。
【0115】
上記実施形態では、半導体チップ20の全体は、封止樹脂70により封止される例を示した。しかしながら、図19に示すように、再配線基板30と実装基板40との対向領域S1に充填された封止樹脂70により、半導体チップ20は、その電極形成面(図19では一面20a及び裏面20b)が封止されれば良い。図19では、側面の一部が封止樹脂70から外部に露出されている。
【0116】
上記実施形態では、両面電極構造の半導体チップ20の例として、両面20a,20bに複数の電極21をそれぞれ有する例を示した。しかしながら、裏面20bについては、複数の電極21に限定されるものではない。例えば図20に示すように、半導体チップ20の裏面全域に1つの電極(例えばIGBTのコレクタ電極)21が形成され、半導体チップ20の裏面20bと実装基板40の対向面40aとの対向領域全域に、はんだなどの接続部材57が配置された構成の半導体装置10を採用することもできる。この場合も、図19に示すように、裏面20bを封止すべく、接続部材57の周囲に封止樹脂70を配置することが好ましい。
【0117】
また、図示しないが、半導体チップの裏面20bの電極21と実装基板40の第4ランド43との接続形態は上記実施形態に示す例(はんだ接合)に限定されるものではない。例えば電極21としてAuなどからなるスタッドバンプを用いても良いし、異方導電性フィルム(ACF)を用いても良い。
【0118】
上記実施形態では、両面電極構造の半導体チップ20の例を示したが、片面電極構造の半導体チップ20についても、上記実施形態の構成を採用することができる。例えば図21では、ダイボンド材58に裏面20bを当接させて、半導体チップ20が実装基板40の対向面40aに固定されている。それ以外の構成は、第1実施形態に示した図1と同じである。なお、ダイボンド材58として、フィルム状のものを採用すると、実装基板40の対向面40aに対する半導体チップ20の高さを制御しやすい。
【0119】
上記実施形態では、半導体チップ20の電極21が、該電極21の形成された面に対向する基板(再配線基板30又は実装基板40)のランド(第1ランド31又は第4ランド43)のみと電気的に接続される例を示した。しかしながら、片面電極構造の半導体チップ20において、例えば図22に示すように、電極21の形成された面である一面20aに対向する基板(再配線基板30)だけでなく、反対の基板(実装基板40)にも、電極21が電気的に接続された構成としても良い。図22では、一面20aに形成された電極21の一部が接続部50を介して再配線基板30の第1ランド31に電気的に接続され、残りの電極21が、ボンディングワイヤ59を介して実装基板40の第4ランド43と電気的に接続されている。なお、図22と逆の構成としても良い。すなわち、図23に示すように、半導体チップ20の一面20aが実装基板40と対向し、一面20aに形成された電極21のうち、一部が接続部51を介して実装基板40の第4ランド43と電気的に接続され、残りの電極21が、ボンディングワイヤ59を介して再配線基板30の第1ランド31に電気的に接続された構成としても良い。図22では、第4ランド43が、垂直方向において半導体チップ20との重なり領域42aを取り囲む外周領域42bに位置し(図4参照)、図23では、第1ランド31が、垂直方向において半導体チップ20との重なり領域33aを取り囲む外周領域33bに位置している(図3参照)。
【0120】
上記実施形態では、再配線基板30として周知の配線基板(プリント基板)を採用する例を示した。しかしながら、例えば図24に示すように、リード35と、該リード35に接着固定された樹脂部36と、を備える再配線基板30を採用することもできる。リード35は、その一部に折曲部を有し、一端が半導体チップ20の一面20aに形成された電極21と、例えばはんだを介して電気的に接続され、他端が実装基板40の第3ランド41と、例えばはんだを介して電気的に接続されている。樹脂部36は、各電極21に接続された複数本のリード35のそれぞれに接着して、リード35を一体的に保持している。また、樹脂部36は、実装基板40の対向面40aに対して略平行となるように対向配置された平板状の基部36aを有する。基部36aは、実装基板40との間に対向領域S1を形成する部分である。そして、基部36aには、貫通孔60として少なくとも充填用貫通孔61が形成されている。図24では、垂直方向において半導体チップ20とオーバーラップする位置に充填用貫通孔61が形成されている。
【0121】
また、上記した各実施形態は、図25〜28に示すように、さらに種々変形して実施することが可能である。図25では、再配線基板30の裏面30b上に、貫通孔60を塞がないように電子部品90(ディスクリート部品)が配置されている。この電子部品90は、例えば上記したリフローにより、再配線基板30に接続される。このように、再配線基板30の裏面30bに電子部品90が実装された構成としても良い。
【0122】
図26では、再配線基板30と実装基板40との対向領域S1内に、複数の半導体チップ20が配置され、これら半導体チップ20の電極形成面が封止樹脂70により封止されている。このように、複数の半導体チップ20が一括で封止された構成としても良い。
【0123】
図27では、再配線基板30の裏面30bに、例えばアルミニウムなどの金属材料からなるケース100が、放熱ゲルなどの接続部材101を介して、熱的に接続されている。これによれば、半導体チップ20の動作により生じる熱を、接続部材101を介してケース100に放熱させることができる。なお、図27では、接続部材101を介しているが、ケース100を再配線基板30に直接接触させても良い。さらには、実装基板40における対向面40aと反対の裏面40bにケース100を配置しても良い。
【0124】
図28では、実装基板40の両面側に、再配線基板30が配置され、対向領域S1の両方に、半導体チップ20がそれぞれ配置されている。また、紙面上方の再配線基板30における裏面30b上には、図25同様、電子部品90が実装されている。また、紙面上方の再配線基板30には、貫通孔60として、充填用貫通孔61とエア抜き用貫通孔62が形成され、紙面下方の再配線基板30には、エア抜き用貫通孔62が形成されている。さらに、実装基板40には、2つの対向領域S1を繋ぎ、封止樹脂70を紙面上方の対向領域S1から紙面下方の対向領域S1へ流入させるための連結用貫通孔63が形成されている。このような半導体投資10は、例えば、図28に示すように再配線基板30、半導体チップ20、実装基板40、半導体チップ20、再配線基板30の順に配置して、リフローにより一括で相互に接続し、その後、封止樹脂70を注入することで得ることができる。
【符号の説明】
【0125】
10・・・半導体装置
20・・・半導体チップ
20a・・・一面
20b・・・裏面
21・・・電極
30・・・再配線基板
31・・・第1ランド
32・・・第2ランド
40・・・実装基板
41・・・第3ランド
50〜52・・・接続部
60・・・貫通孔
61・・・充填用貫通孔
62・・・エア抜き用貫通孔
70・・・封止樹脂
80,81・・・ダム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面及び該一面の裏面のうち、少なくとも前記一面に電極を有する半導体チップと、
外部接続用のランドを有する基板としての再配線基板及び実装基板と、
前記半導体チップの電極形成面を封止するように設けられるとともに、前記再配線基板と前記実装基板との対向領域に充填された封止樹脂と、を備え、
前記半導体チップの一面に形成された電極と前記再配線基板の第1ランドとが電気的に接続されるとともに、前記再配線基板の第2ランドと前記実装基板の第3ランドとが電気的に接続された半導体装置であって、
前記再配線基板は、前記第1ランド及び前記第2ランドを同一面に有するとともに、これらランドの形成面が前記半導体チップの一面又は該一面の裏面と対向するように配置され、前記半導体チップとの対向領域を取り囲む外周領域内であって、前記半導体チップとの距離が前記第1ランドよりも遠い位置に前記第2ランドを有しており、
前記実装基板は、前記半導体チップに対して前記再配線基板と反対側に配置されており、前記半導体チップとの対向面において、前記半導体チップとの対向領域を取り囲む外周領域内に前記第3ランドを有し、
前記封止樹脂は、前記再配線基板と前記実装基板との対向領域に充填されて、前記再配線基板と前記実装基板の両方に接触しつつ、前記半導体チップの電極形成面を封止していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記封止樹脂により、前記半導体チップ全体が封止されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記封止樹脂は、前記半導体チップの厚さ方向に垂直な方向において、前記再配線基板と前記実装基板との対向領域内のみに配置されており、
前記再配線基板及び前記実装基板の少なくとも一方は、前記垂直な方向において、前記封止樹脂とオーバーラップする位置であって前記半導体チップとの対向面に形成されたランドとは異なる位置に貫通孔を有し、該貫通孔として、前記再配線基板と前記実装基板との対向領域内に前記封止樹脂を充填するための充填用の貫通孔を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記充填用の貫通孔は、前記垂直な方向において、前記半導体チップとオーバーラップする位置に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体チップは、前記充填用の貫通孔を有する基板との対向面に、前記電極を複数有し、該複数の電極は環状に配置されており、
前記充填用の貫通孔は、前記半導体チップにおいて、環状に配置された前記電極よりも内側の領域とオーバーラップしていることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体チップの一面及び裏面には、それぞれ前記電極が複数設けられるとともに環状に配置され、
前記実装基板は、前記半導体チップの電極と電気的に接続された第4ランドを、前記半導体チップとの対向面であって前記半導体チップとの対向領域内に有し、
前記再配線基板及び前記実装基板のうちの一方に、前記充填用の貫通孔が形成され、他方に、前記貫通孔としてエア抜き用の貫通孔が形成され、
前記エア抜き用の貫通孔は、前記半導体チップにおいて、環状に配置された前記電極よりも内側の領域とオーバーラップしていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体チップは、前記一面のみに電極を有し、
前記充填用の貫通孔は、前記再配線基板及び前記実装基板のうちの前記半導体チップの一面と対向する基板に形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記充填用の貫通孔は、前記垂直な方向において、前記半導体チップとの対向領域を取り囲む外周領域に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記再配線基板と前記実装基板との対向領域において、前記再配線基板と前記実装基板の両方に接触し、前記半導体チップを取り囲むように設けられたダム部を有し、
前記充填用の貫通孔は、前記垂直な方向において、前記ダム部の内側に位置することを特徴とする請求項3〜8いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ダム部は、環状に設けられており、
前記貫通孔として、エア抜き用の貫通孔を含み、
前記エア抜き用の貫通孔は、前記垂直な方向において、前記ダム部の内側に位置することを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ダム部は、前記半導体チップの一面に垂直な側面の周方向において、複数に分割されており、
隣り合う前記ダム部の間に隙間を有することを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記ダム部は、前記再配線基板及び前記実装基板に固定されていることを特徴とする請求項9〜11いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記再配線基板及び前記実装基板は、前記ダム部の固定位置にダム部用の第5ランドをそれぞれ有し、
前記ダム部は、少なくともはんだを含み、前記再配線基板及び前記実装基板の第5ランドに接続されていることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記ダム部は、前記垂直な方向において、前記半導体チップと前記第2ランドとの間に設けられており、
前記第2ランドと前記第3ランドとの接続部は、前記ダム部の外に位置していることを特徴とする請求項9〜13いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記ダム部は、前記垂直な方向において、前記第2ランドと前記再配線基板の外周端との間に設けられており、
前記第2ランドと前記第3ランドとの接続部は、前記封止樹脂により封止されていることを特徴とする請求項9〜13いずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
請求項1〜15いずれか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記再配線基板と前記実装基板の間に前記半導体チップを配置し、対応する前記電極と前記ランドとの電気的接続、及び、対応する前記ランド間の電気的接続を行った後、
前記再配線基板と前記実装基板の両方に接触するとともに、前記半導体チップにおける少なくとも一面を封止するように、前記再配線基板と前記実装基板との対向領域に、前記封止樹脂を充填することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記半導体チップ全体を封止するように、前記封止樹脂を充填することを特徴とする請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記再配線基板及び前記実装基板の少なくとも一方の、前記垂直な方向において、前記封止樹脂とオーバーラップする位置であって前記半導体チップとの対向面に形成されたランドとは異なる位置に、貫通孔を設けておき、
前記貫通孔を通じて、前記再配線基板と前記実装基板との対向領域に、前記封止樹脂を充填することを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記封止樹脂を充填する前に、前記再配線基板と前記実装基板との対向領域に、前記再配線基板と前記実装基板の両方に接触しつつ前記半導体チップを取り囲むようダム部を設け、
前記垂直な方向において、前記ダム部の内側に位置するように、前記貫通孔を設けることを特徴とする請求項18に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−69942(P2013−69942A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208300(P2011−208300)
【出願日】平成23年9月24日(2011.9.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】