説明

半導体装置

【課題】プロセス工程及び開発期間を減らし、サイズを小さくすることができる静電気放電保護回路を有する半導体装置を提供することを課題とする。
【解決手段】入出力パッド(101)と、電源電圧が供給される電源電圧ノード(VDE)と、基準電位が供給される基準電位ノード(GND)と、アノードが前記入出力パッドに接続され、カソードが第1のノードに接続される第1のダイオード(131)と、前記入出力パッド及び前記電源電圧ノードに接続され、前記入出力パッドに前記電源電圧より低い電圧が入力されると、前記第1のノードが前記電源電圧になるように制御する電位制御回路(103)と、前記入出力パッドに静電気が入力されると静電気オン信号を出力するトリガ回路(109)と、前記静電気オン信号が出力されると、前記第1のノード及び前記基準電位ノード間に静電気放電電流を流す静電気放電サージパス回路(108)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、通常I/O(入出力)の半導体装置の構成例を示す図である。通常I/Oでは、入出力パッド501に入力される電圧は、電源電圧ノードVDEの電圧以下である。半導体装置は、ESD(electro-static discharge;静電気放電)保護回路505〜507を有する。出力バッファ502は、トランジスタ503及び504を有する。ESD保護回路505は、寄生ダイオードを有し、電源電圧ノードVDE及びグランド電位ノードGND間に接続される。ESD保護回路506は、寄生ダイオードを有し、電源電圧ノードVDE及び入出力パッド501間に接続される。ESD保護回路507は、寄生ダイオードを有し、入出力パッド501及びグランド電位ノードGND間に接続される。ESD保護回路505〜507は、入出力パッド501に静電気が入力されたときの半導体装置の誤動作又は損傷等を防止するための回路である。
【0003】
図6は、トレラントI/Oの半導体装置の構成例を示す図である。トレラントI/Oでは、入出力パッド601に入力される電圧は、電源電圧ノードVDEの電圧以下及び以上の電圧である。例えば、電源電圧ノードVDEの電圧が3.3Vであり、入出力パッド601には5V電源の信号が入力される。そのため、電源電圧ノードVDE及び入出力パッド601間にESD保護回路を設けることができない。半導体装置は、ESD保護回路607及び608を有する。出力バッファ602は、トランジスタ603〜605を有する。ESD保護回路607は、寄生ダイオードを有し、電源電圧ノードVDE及びグランド電位ノードGND間に接続される。ESD保護回路608は、寄生ダイオードを有し、入出力パッド601及びグランド電位ノードGND間に接続される。電位制御回路606は、pチャネルMOS電界効果トランジスタ603のバックゲートの電位を制御する。
【0004】
また、入出力パッド601には回路を構成するトランジスタの耐圧よりも高い電圧が掛かるため(例えば、5Vトレラントでは、3.3V耐圧トランジスタで回路が構成され、入力電圧は5V)、入出力パッド601と回路間(出力バッファ602及び入力バッファ、ESD保護回路等)には、電圧降下回路(例えばトランジスタ604)を介して接続する必要がある。
【0005】
また、下記の特許文献1には、半導体基板上に形成される集積回路の入出力保護装置であって、この入出力保護装置は、ドレイン、ゲート、ソース、ボディを備えたMOS構造を有しており、前記ドレインは入出力パッドへ接続され、前記ゲートは内部回路又は第1基準電位端子へ接続され、前記ソースは第1基準電位端子へ接続され、前記ボディは、前記半導体基板と電気的に分離されており、且つ制御回路へ接続されていることを特徴とする半導体集積回路の入出力保護装置が記載されている。
【0006】
また、下記の特許文献2には、複数の電源系に対応して設けられ、それぞれの電源端子もしくは接地端子の一方が互いに分離された、あるいは、それぞれの電源端子および接地端子が互いに分離された複数の電源系回路と、前記各電源系回路に対応して電源端子・接地端子間に接続された静電気放電保護回路と、前記各電源系回路にそれぞれ設けられた内部回路と、前記各電源系回路のうちの第1の電源系回路の内部回路から第2の電源系回路の内部回路へ信号を伝搬させる内部信号伝搬配線と、電源端子のサージ電圧入力を検知するサージ入力検知回路と、前記各内部回路の入力側にそれぞれ挿入され、前記内部信号伝搬配線から伝搬されてくる信号の電圧を制限する入力保護回路および/または前記各内部回路の出力側にそれぞれ挿入され、前記サージ入力検知回路の検知出力が得られた時には前記内部信号伝搬配線へ出力する信号の論理レベルを"L"に設定し得る機能を有する出力論理設定回路とを具備することを特徴とする半導体集積回路装置が記載されている。
【0007】
また、下記の特許文献3には、静電気放電から内部回路を保護する静電気放電保護回路において、第1の電源端子に接続された第1の電源線と、第2の電源端子に接続された第2の電源線との間に電気的に接続されたnチャネル型MOS電解効果トランジスタを備えた電源クランプ部と、前記nチャネル型MOS電解効果トランジスタのゲート電圧を制御するゲート電圧制御部とを有し、前記ゲート電圧制御部は、一方の入出力端子を前記第1の電源線に接続し、他方の入出力端子を前記nチャネル型MOS電解効果トランジスタのゲート端子に接続したpチャネル型MOS電解効果トランジスタと、一方の端子を前記pチャネル型MOS電解効果トランジスタの前記他方の入出力端子及び前記nチャネル型MOS電解効果トランジスタの前記ゲート端子に、他方の端子を前記第2の電源線に接続した第1の抵抗と、一方の端子を前記第1の電源線に、他方の端子を前記pチャネル型MOS電解効果トランジスタのゲート端子に接続した第2の抵抗と、一方の端子を前記第2の抵抗の前記他方の端子及び前記pチャネル型MOS電解効果トランジスタのゲート端子に、他方の端子を前記第2の電源線に接続したキャパシタと、を有することを特徴とする静電気放電保護回路が記載されている。
【0008】
また、下記の特許文献4には、外部から供給される電圧を内部回路に入力するための電圧入力端子と電源との間に設置される放電回路と、前記電圧入力端子の電圧を検出する電圧検出回路とを備える入力保護回路であって、前記電圧検出回路は、前記電圧入力端子の電圧が基準電圧を超えたとき、前記放電回路の動作を停止させることを特徴とする入力保護回路が記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開2001−186003号公報
【特許文献2】特開2005−184623号公報
【特許文献3】特開2005−235947号公報
【特許文献4】特開2001−127172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図7は、図6の半導体装置内のESD保護回路608の構成例を示す図である。ESD保護回路608は、nチャネルMOS電界効果トランジスタ701及び702を有し、出力バッファ602内のトランジスタ604及び605と同様の構成を有する。図9に示すように、nチャネルMOS電界効果トランジスタ701及び702の寄生バイポーラトランジスタ901をESD保護回路608として使用した場合、入出力パッド601にはトランジスタ耐圧以上の入力電圧が掛かるため、トランジスタ701及び702のカスケード構造にして耐圧を確保する必要がある。
【0011】
図8はESD保護回路608の表面図であり、図9はESD保護回路608の等価回路図である。ガードリング801内には、トランジスタ701及び702のカスケード接続回路が並列に2組接続される。これにより、トランジスタ701及び702に流れる電流を大きくすることができる。トランジスタ701及び702は、それぞれゲートG、ソースS及びドレインDを有する。電界効果トランジスタ701及び702のカスケード構造には、寄生バイポーラトランジスタ901が形成される。この寄生バイポーラトランジスタ901をESD保護回路608として使用する。2組のトランジスタ701及び702のカスケード接続回路において、一方のカスケード接続回路に電流が流れると、入出力パッド601の電圧が下がり、他方のカスケード接続回路に電流が流れなくなることを防止するため、シリサイドブロック802によりシリサイド化を防止してバラスト抵抗を付加する。
【0012】
寄生バイポーラトランジスタ901は、2本のゲートの間隔がベース距離LNとなるため、シングルトランジスタのESD保護回路よりも放電能力が落ちる。ベース距離LNが最小値になるように、電界効果トランジスタ701及び702を形成する。そのため、寄生バイポーラトランジスタ901をESD保護回路として使用する場合は、以下のような特殊チューニングを必要とする場合がある。
【0013】
・追加イオン注入(プロセス工程増、開発期間増)
・ESD保護回路に使用するトランジスタのみイオン注入打ち分け(I/Oサイズ増、開発期間増)
・バラスト抵抗(シリサイドブロック802)の付加(プロセス工程増、I/Oサイズ増)
【0014】
本発明の目的は、特殊チューニングを必要とせず、プロセス工程及び開発期間を減らし、サイズを小さくすることができる静電気放電(ESD)保護回路を有する半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の半導体装置は、入出力パッドと、電源電圧が供給される電源電圧ノードと、基準電位が供給される基準電位ノードと、アノードが前記入出力パッドに接続され、カソードが第1のノードに接続される第1のダイオードと、前記入出力パッド及び前記電源電圧ノードに接続され、前記入出力パッドに前記電源電圧より低い電圧が入力されると、前記第1のノードが前記電源電圧になるように制御する電位制御回路と、前記入出力パッドに静電気が入力されると静電気オン信号を出力するトリガ回路と、前記静電気オン信号が出力されると、前記第1のノード及び前記基準電位ノード間に静電気放電電流を流す静電気放電サージパス回路とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
静電気放電サージパス回路を設け、半導体装置を静電気放電から保護することができる。その際、特殊チューニングを必要とせず、プロセス工程及び開発期間を減らし、サイズを小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態によるトレラントI/Oの半導体装置の構成例を示す回路図である。トレラントI/Oでは、入出力パッド101に入力される電圧は、電源電圧ノードVDEの電圧以下及び以上の電圧である。例えば、電源電圧ノードVDEの電圧が3.3Vであり、入出力パッド101には5V電源の信号が入力される。半導体装置は、入出力パッド101、I/O回路102及びESD保護回路104〜106を有する。ESD保護回路104〜106は、入出力パッド101に高電圧の静電気が入力されたときの半導体装置の誤動作又は損傷等を防止するための回路である。
【0018】
I/O回路102は、電位制御回路103及び出力バッファ110を有する。出力バッファ110は、pチャネルMOS電界効果トランジスタ121、nチャネルMOS電界効果トランジスタ122及び123を有する。トランジスタ121は、ソースが電源電圧ノードVDEに接続され、ドレインがトランジスタ122のドレインに接続され、バックゲートがノードBPに接続される。トランジスタ122は、ゲートが電源電圧ノードVDEに接続され、ソースがトランジスタ123のドレインに接続される。トランジスタ123は、ソースがグランド電位ノード(基準電位ノード)GNDに接続される。入出力パッド101は、トランジスタ121のドレインに接続される。
【0019】
トランジスタ122は、電圧降下回路として機能する。例えば、電源電圧ノードVDEの電源電圧が3.3Vであり、入出力パッド101に5V電源の信号が入力された場合、トランジスタ122で1.7Vの電圧降下が発生し、トランジスタ123のドレインには3.3V(=5V−1.7V)の電圧が印加される。トランジスタ123は、3.3V耐圧のトランジスタを使用することができる。
【0020】
出力バッファ110では、トランジスタ121及び123のゲートをローレベルにすれば、ハイレベル(電源電圧)を入出力パッド101に出力することができる。逆に、トランジスタ121及び123のゲートをハイレベルにすれば、ローレベル(グランド電位)を入出力パッド101に出力することができる。トランジスタ121のゲートをハイレベル、トランジスタ123のゲートをローレベルにすれば、出力バッファ110の出力端子はハイイピーダンス状態になり、入出力パッド101から信号を入力可能になる。
【0021】
I/O回路102は、電位制御回路103を有する。電位制御回路103は、pチャネルMOS電界トランジスタ111及び112を有し、入出力パッド101に電源電圧ノードVDE以下の電圧が印加、又は入出力パッド101がオープン状態であるときには、ノードBPの電位が電源電圧ノードVDEの電源電圧と同じになるように制御する。トランジスタ111は、ソースが電源電圧ノードVDEに接続され、ドレイン及びバックゲートがノードBPに接続される。トランジスタ112は、ゲートが電源電圧ノードVDEに接続され、ソース及びバックゲートがノードBPに接続され、ドレインがトランジスタ121のドレインに接続される。
【0022】
ESD保護回路104及び105は、入出力パッド101のためのESD保護回路である。ESD保護回路104は、ダイオード131を有する。ダイオード131は、アノードが入出力パッド101に接続され、カソードがノードBPに接続される。入出力パッド101に電源電圧ノードVDEより高い電圧が入力されると、ダイオード131に電流が流れ、ノードBPは入出力パッド101と同じ電位になる。すなわち、ノードBPは、入出力パッド101に電源電圧ノードVDE以下の電圧が印加、又は入出力パッド101がオープン状態であるときには、電源電圧ノードVDEの電源電圧と同じ電位になり、入出力パッド101に電源電圧ノードVDEより高い電圧が印加されたときには、入出力パッド101と同じ電位になる。
【0023】
ESD保護回路105は、ダイオード132を有する。ダイオード132は、アノードがグランド電位ノードGNDに接続され、カソードが入出力パッド101に接続される。入出力パッド101にグランド電位より低い電圧が印加されると、ダイオード132に電流が流れ、半導体装置を保護することができる。
【0024】
ESD保護回路106は、電圧降下回路107、ESDサージパス回路108及びトリガ回路109を有する。電圧降下回路107は、ダイオード141,142及びnチャネルMOS電界効果トランジスタ143を有する。ダイオード141は、アノードがノードBPに接続され、カソードがダイオード142のアノードに接続される。ダイオード142は、カソードがノードN1に接続される。ノードN1は、ノードBPに対して、ダイオード141及び142の電圧降下分だけ低い電圧が印加される。トランジスタ143は、ゲートがノードN1に接続され、ドレインがノードBPに接続され、ソースがnチャネルMOS電界効果トランジスタ144のドレインに接続される。トランジスタ144のドレインは、ノードBPに対して、トランジスタ143の電圧降下分だけ低い電圧が印加される。
【0025】
トリガ回路109は、抵抗151、容量152、ダイオード153及びインバータ154〜156を有し、RCタイマを用いている。抵抗151は、ノードN1及びインバータ154の入力端子間に接続される。容量152は、インバータ154の入力端子及びグランド電位ノードGND間に接続される。ダイオード153は、アノードがノードN1に接続され、カソードがインバータ153の電源端子に接続される。インバータ154は、グランド端子がグランド電位ノードGNDに接続され、出力端子がインバータ155の入力端子に接続される。インバータ154及びダイオード153で閾値を調整する。インバータ155は、電源端子がノードN1に接続され、グランド端子がグランド電位ノードGNDに接続され、出力端子がインバータ156の入力端子に接続される。インバータ156は、電源端子がノードN1に接続され、グランド端子がグランド電位ノードGNDに接続され、出力端子がトランジスタ144のゲートに接続される。インバータ154〜156は、それぞれ入力端子の信号を論理反転して出力端子から出力する。
【0026】
ESDサージパス回路108は、nチャネルMOS電界効果トランジスタ143及び144を有し、ノードBP及びグランド電位ノードGND間のESDサージパスを形成する。トランジスタ144は、ゲートがインバータ156の出力端子に接続され、ドレインがトランジスタ143のソースに接続され、ソースがグランド電位ノードGNDに接続される。
【0027】
トリガ回路109は、ローパスフィルタとして機能する。例えば5V電源の入力信号が入出力パッド101に入力されると、ノードBPは例えば5V〜3.3Vになる。入力信号は静電気に比べて低周波数である場合は、インバータ154の入力端子はハイレベルになり、インバータ156の出力端子はローレベルになる。その結果、トランジスタ144はオフになり、トランジスタ143及び144に電流は流れず、ESD保護回路106は切断状態になる。また、入力信号が静電気に比べ高周波数の場合でも、インバータ154及びダイオード153による閾値調節により、5V〜3.3Vの電圧変動では動作しないようにすることにより、ESD保護回路106を切断状態にすることができる。すなわち、ESD保護回路106は、半導体装置の通常動作に悪影響を与えない。
【0028】
また、高電圧の静電気が入出力パッド101に入力されると、ノードBPは入出力パッド101とほぼ同じ電圧になる。静電気はトリガ回路のローパスフィルタに比べて高周波数、且つ高電圧であるので、インバータ154の入力端子はローレベルになり、インバータ156の出力端子はハイレベルになる。その結果、トランジスタ144はオンになり、トランジスタ143及び144のESDサージパスにESDサージ電流が流れる。これにより、ESD保護回路106は、半導体装置を静電気から保護することができる。
【0029】
以上のように、入出力パッド101に高周波数かつ高電圧の静電気が入力されると、トランジスタ143及び144がオンになり、ESDサージパス回路108のESDサージ電流が流れる。
【0030】
本実施形態では、トリガ回路109にRCタイマを使用し、電圧降下回路107にダイオード141及び142を直列接続回路を使用し、ESDサージパス回路108にnチャネルMOS電界効果トランジスタ143及び144のカスケード接続回路を使用する。ESDサージパス回路108内のトランジスタ143は、電圧降下回路107としても兼用される。トリガ回路109にRCタイマを用いているため、ESDサージパス回路108は十分低電圧で動作する。
【0031】
入出力パッド101には、トランジスタの耐圧以上の電圧(電源電圧ノードN1の電源電圧以上の電圧)が入力可能である。電源電圧ノードVDEとは別のノードBP(トレラントI/Oの場合はpチャネルMOS電界効果トランジスタ121のバックゲートを制御するノードBPを用いる)に対し、入出力パッド用ESD保護回路104を接続し、ノードBP及びグランド電位ノードGND間にESD保護回路106を接続する。ESD保護回路106は、電圧降下回路107、トリガ回路109及びESDサージパス回路108を有する。
【0032】
ノードBPは通常動作時、ESD保護回路104の順バイアスにより入力電位が伝わるため、電圧降下回路107は、トリガ回路109及びESDサージパス回路108のトランジスタ耐圧を超えないように電圧降下させる回路である。ただし、ESDサージパス回路108は、通常動作時のノードBPの電圧が、ESDサージパス回路108の耐圧以下である場合は電圧降下回路107を介さず直接ノードBPに繋げてもよい。
【0033】
トリガ回路109は、静電気が印加された際の電圧変動を感知し、ESDサージパス回路108を動作させる回路である。
【0034】
ESDサージパス回路108は、通常動作時はオフ状態であり、静電気印加時にはトリガ回路109からの信号を入力し、ESDサージをグランド電位ノードGNDに逃す回路である。ESDサージパス回路108で必要な特性としては、I/O回路102の破壊電圧よりも低電圧で動作するESDサージパス回路108の必要性がある。
【0035】
本実施形態の半導体装置の利点としては以下が挙げられる。まず、通常のトランジスタで構成できるため、プロセス工程が増えなく、イオン注入の打ち分けも必要ない。すなわち、特殊なチューニングをしたトランジスタを必要としない。
【0036】
SpiceシミュレーションでESD保護回路の開発が可能のため、短TATでの開発が可能であり、開発期間を短縮することができる。
【0037】
寄生バイポーラトランジスタタイプのESD保護回路は、バラスト抵抗の付加やレイアウトパターンに制限があるため、レイアウトサイズが大きくなるが、MOS動作のESD保護回路は、最小ルールでレイアウト可能なため、サイズを縮小することができる。
【0038】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態によるトレラントI/Oの半導体装置の構成例を示す回路図である。本実施形態(図2)は、第1の実施形態(図1)に対して、電圧降下回路107の構成が異なる。以下、本実施形態が第1の実施形態と異なる点を説明する。電圧降下回路107は、抵抗201,202及びnチャネルMOS電界効果トランジスタ143を有する。すなわち、電圧降下回路107は、図1のダイオード141及び142の代わりに、抵抗201及び202を有する。抵抗201は、ノードBP及びノードN1間に接続される。抵抗202は、ノードN1及びグランド電位ノードGND間に接続される。抵抗201及び202により、ノードBPの電圧を降下させた電圧をノードN1に印加させることができる。
【0039】
以上のように、本実施形態では、トリガ回路109にRCタイマを使用し、電圧降下回路107に抵抗201及び202を使用し、ESDサージパス回路108にnチャネルトランジスタ143及び144のカスケード接続回路を使用する。ESDサージパス回路108のトランジスタ143は電圧降下回路107としても兼用される。本実施形態は、第1の実施形態と同様に、トリガ回路109としてRCタイマを用いているため、ESDサージパス回路108は十分低電圧で動作する。
【0040】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態によるトレラントI/Oの半導体装置の構成例を示す回路図である。本実施形態(図3)は、第1の実施形態(図1)に対して、トランジスタ143を削除したものです。以下、本実施形態が第1の実施形態と異なる点を説明する。トランジスタ144のドレインは、ノードN1に接続される。電圧降下回路107は、ダイオード141及び142から構成される。ESDサージパス回路108は、ダイオード141,142及びトランジスタ144から構成される。入出力パッド101に静電気が入力されると、ノードBPが電源電圧ノードVDEより高電位になり、第1の実施形態と同様に、トランジスタ144がオンする。その際、ノードBPからダイオード141,142及びトランジスタ144を介してグランド電位ノードGNDにESDサージ電流が流れ、半導体装置を静電気から保護することができる。ESDサージパスにおいて、ダイオード141及び142は電圧降下回路として機能する。
【0041】
以上のように、本実施形態では、トリガ回路109にRCタイマを使用し、電圧降下回路107にダイオード141及び142の直列接続回路を使用し、ESDサージパス回路108に単一のnチャネルトランジスタ144を使用する。電圧降下回路107は、ESDサージパス回路108ともなるため、ダイオード141及び142のサイズを大きくする必要がある。なお、この場合は、電圧降下回路107がESDサージパス回路108ともなるため、第2の実施形態のように、電圧降下回路107として抵抗を使用することができない。また、トリガ回路109としてRCタイマを用いているため、ESDサージパス回路108は十分低電圧で動作する。
【0042】
(第4の実施形態)
図4は、本発明の第4の実施形態によるトレラントI/Oの半導体装置の構成例を示す回路図である。本実施形態(図4)は、第1の実施形態(図1)に対して、トリガ回路109の構成が異なる。以下、本実施形態が第1の実施形態と異なる点を説明する。
【0043】
トリガ回路109は、トランジスタ401〜408を有する。pチャネルMOS電界効果トランジスタ401は、ゲートが電源電圧ノードVDEに接続され、ソースがノードN1に接続され、ドレインがnチャネルMOS電界効果トランジスタ402のドレインに接続される。トランジスタ402は、ゲートが電源電圧ノードVDEに接続され、ソースがグランド電位ノードGNDに接続される。pチャネルMOS電界効果トランジスタ403は、ゲート及びソースがノードN1に接続され、ドレインがnチャネルMOS電界効果トランジスタ404のドレインに接続される。トランジスタ404は、ゲートがノードN1に接続され、ソースがnチャネルMOS電界効果トランジスタ405のドレインに接続される。トランジスタ405は、ゲートがトランジスタ401のドレインに接続され、ソースがグランド電位ノードGNDに接続される。pチャネルMOS電界効果トランジスタ406は、ゲートがトランジスタ401のドレインに接続され、ソースがノードN1に接続され、ドレインがトランジスタ403のドレインに接続される。pチャネルMOS電界効果トランジスタ407は、ゲートがトランジスタ406のドレインに接続され、ソースがノードN1に接続され、ドレインがnチャネルMOS電界効果トランジスタ408のドレインに接続される。トランジスタ408は、ゲートがトランジスタ406のドレインに接続され、ソースがグランド電位ノードGNDに接続される。トランジスタ407及び408のドレインの相互接続点は、トランジスタ144のゲートに接続される。
【0044】
入出力パッド101に静電気が入力されると、ノードN1の電圧は上がるが、ノードVDEはオープン状態の為、VDE−GND間の容量によりVDEはGND電位となる。すなわちトランジスタ401及び402のゲートがローレベルになり、トランジスタ401及び402のドレインがハイレベルになる。第1の実施形態と同様に、ノードN1は高電位になるので、トランジスタ403及び404のドレインはローレベルになる。その結果、トランジスタ407及び408のドレインはハイレベルになり、ESDサージパス回路108のトランジスタ144がオンする。トランジスタ144にESDサージ電流が流れ、半導体装置を静電気から保護することができる。
【0045】
また、入出力パッド101に入力信号(5V電源)が入力されるときには、トランジスタ401及び402のゲートがハイレベルになり、トランジスタ401及び402のドレインがローレベルになる。第1の実施形態と同様に、ノードN1が低電位になるので、トランジスタ403及び404のドレインはハイレベルになる。その結果、トランジスタ407及び408のドレインはローレベルになり、ESDサージパス回路108のトランジスタ144がオフする。その場合、ESD保護回路106は、半導体装置の通常動作に悪影響を与えない。
【0046】
以上のように、本実施形態では、トリガ回路109に上記の回路構成を使用し、電圧降下回路107にダイオード141及び142の直列接続回路を使用し、ESDサージパス回路108にトランジスタ143及び144のカスケード接続回路を使用する。ESDサージパス回路108のトランジスタ143は電圧降下回路107としても兼用される。トリガ回路109は、通常動作時は、電源電圧ノードVDEからの信号によりESDサージパス回路108のトランジスタ144のゲートにローレベルを出力し、ESD印加時は、電源電圧ノードVDEがオープン(≒グランド電位)となるため、ESDサージパス回路108のトランジスタ144のゲートにハイレベルを出力する。
【0047】
以上のように、第1〜第4の実施形態の半導体装置は、入出力パッド101と、電源電圧が供給される電源電圧ノードVDEと、基準電位が供給される基準電位ノードGNDと、アノードが前記入出力パッド101に接続され、カソードが第1のノードBPに接続される第1のダイオード131と、前記入出力パッド101及び前記電源電圧ノードVDEに接続され、前記入出力パッド101に前記電源電圧より低い電圧が入力されると、前記第1のノードBPが前記電源電圧になるように制御する電位制御回路103と、前記入出力パッド101に静電気が入力されると静電気オン信号を出力するトリガ回路109と、前記静電気オン信号が出力されると、前記第1のノードBP及び前記基準電位ノードGND間に静電気放電電流を流す静電気放電サージパス回路108とを有する。
【0048】
出力バッファ110は、第1の電界効果トランジスタ121、第2の電界効果トランジスタ122及び第3の電界効果トランジスタ123を有する。第1の電界効果トランジスタ121は、ソースが前記電源電圧ノードVDEに接続され、ドレインが前記入出力パッド101に接続され、バックゲートが前記第1のノードBPに接続される。第2の電界効果トランジスタ122は、ゲートが前記電源電圧ノードVDEに接続され、ドレインが前記入出力パッド101に接続される。第3の電界効果トランジスタ123は、ドレインが前記第2の電界効果トランジスタ122のソースに接続され、ソースが前記基準電位ノードGNDに接続される。
【0049】
電圧降下回路107は、前記第1のノードBPの電圧を降下させて前記トリガ回路109に電圧を出力する。前記トリガ回路109は、前記電圧降下回路107が出力する電圧に応じて前記静電気オン信号を出力する。
【0050】
前記電圧降下回路107は、アノード側が前記第1のノードBPに接続され、カソード側が前記トリガ回路109に接続される第2のダイオード141及び/又は142を有する。
【0051】
また、前記電圧降下回路107は、前記電源電圧ノードVDE及び前記基準電位ノードGND間に直列に接続される複数の抵抗201及び202を有し、前記複数の抵抗201及び202の相互接続点は、前記トリガ回路109に接続される。
【0052】
前記静電気放電サージパス回路108は、前記第1のノードBPの電圧を降下させる電圧降下回路107(143、又は141及び142)と、ゲートが前記トリガ回路109の出力に接続され、ドレインが前記電圧降下回路107に接続され、ソースが前記基準電位ノードGNDに接続される電界効果トランジスタ144とを有する。
【0053】
前記トリガ回路109は、前記第1のノードBP及び前記基準電位ノードGND間に直列に接続される抵抗151及び容量152を有する。
【0054】
ダイオード132は、アノードが前記基準電位ノードGNDに接続され、カソードが前記入出力パッド101に接続される。
【0055】
静電気放電サージパス回路108を設け、半導体装置を静電気放電から保護することができる。その際、特殊チューニングを必要とせず、プロセス工程及び開発期間を減らし、サイズを小さくすることができる。
【0056】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0057】
本発明の実施形態は、例えば以下のように種々の適用が可能である。
【0058】
(付記1)
入出力パッドと、
電源電圧が供給される電源電圧ノードと、
基準電位が供給される基準電位ノードと、
アノードが前記入出力パッドに接続され、カソードが第1のノードに接続される第1のダイオードと、
前記入出力パッド及び前記電源電圧ノードに接続され、前記入出力パッドに前記電源電圧より低い電圧が入力されると、前記第1のノードが前記電源電圧になるように制御する電位制御回路と、
前記入出力パッドに静電気が入力されると静電気オン信号を出力するトリガ回路と、
前記静電気オン信号が出力されると、前記第1のノード及び前記基準電位ノード間に静電気放電電流を流す静電気放電サージパス回路と
を有することを特徴とする半導体装置。
(付記2)
さらに、ソースが前記電源電圧ノードに接続され、ドレインが前記入出力パッドに接続され、バックゲートが前記第1のノードに接続される第1の電界効果トランジスタを有することを特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記3)
さらに、ゲートが前記電源電圧ノードに接続され、ドレインが前記入出力パッドに接続される第2の電界効果トランジスタと、
ドレインが前記第2の電界効果トランジスタのソースに接続され、ソースが前記基準電位ノードに接続される第3の電界効果トランジスタとを有することを特徴とする付記2記載の半導体装置。
(付記4)
さらに、前記第1のノードの電圧を降下させて前記トリガ回路に電圧を出力する電圧降下回路を有し、
前記トリガ回路は、前記電圧降下回路が出力する電圧に応じて前記静電気オン信号を出力することを特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記5)
前記静電気放電サージパス回路は、
前記第1のノードの電圧を降下させる電圧降下回路と、
ゲートが前記トリガ回路の出力に接続され、ドレインが前記電圧降下回路に接続され、ソースが前記基準電位ノードに接続される電界効果トランジスタとを有することを特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記6)
前記電圧降下回路は、アノード側が前記第1のノードに接続され、カソード側が前記トリガ回路に接続される第2のダイオードを有することを特徴とする付記4記載の半導体装置。
(付記7)
前記電圧降下回路は、前記電源電圧ノード及び前記基準電位ノード間に直列に接続される複数の抵抗を有し、前記複数の抵抗の相互接続点は、前記トリガ回路に接続されることを特徴とする付記4記載の半導体装置。
(付記8)
前記トリガ回路は、前記第1のノード及び前記基準電位ノード間に直列に接続される抵抗及び容量を有することを特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記9)
さらに、アノードが前記基準電位ノードに接続され、カソードが前記入出力パッドに接続される第2のダイオードを有することを特徴とする付記1記載の半導体装置。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施形態によるトレラントI/Oの半導体装置の構成例を示す回路図である。
【図2】本発明の第2の実施形態によるトレラントI/Oの半導体装置の構成例を示す回路図である。
【図3】本発明の第3の実施形態によるトレラントI/Oの半導体装置の構成例を示す回路図である。
【図4】本発明の第4の実施形態によるトレラントI/Oの半導体装置の構成例を示す回路図である。
【図5】通常I/Oの半導体装置の構成例を示す図である。
【図6】トレラントI/Oの半導体装置の構成例を示す図である。
【図7】図6の半導体装置内のESD保護回路の構成例を示す図である。
【図8】ESD保護回路の表面図である。
【図9】ESD保護回路の等価回路図である。
【符号の説明】
【0060】
101 入出力パッド
102 I/O回路
103 電位制御回路
104〜106 ESD保護回路
107 電圧降下回路
108 ESDサージパス回路
109 トリガ回路
110 出力バッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出力パッドと、
電源電圧が供給される電源電圧ノードと、
基準電位が供給される基準電位ノードと、
アノードが前記入出力パッドに接続され、カソードが第1のノードに接続される第1のダイオードと、
前記入出力パッド及び前記電源電圧ノードに接続され、前記入出力パッドに前記電源電圧より低い電圧が入力されると、前記第1のノードが前記電源電圧になるように制御する電位制御回路と、
前記入出力パッドに静電気が入力されると静電気オン信号を出力するトリガ回路と、
前記静電気オン信号が出力されると、前記第1のノード及び前記基準電位ノード間に静電気放電電流を流す静電気放電サージパス回路と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
さらに、ソースが前記電源電圧ノードに接続され、ドレインが前記入出力パッドに接続され、バックゲートが前記第1のノードに接続される第1の電界効果トランジスタを有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
さらに、ゲートが前記電源電圧ノードに接続され、ドレインが前記入出力パッドに接続される第2の電界効果トランジスタと、
ドレインが前記第2の電界効果トランジスタのソースに接続され、ソースが前記基準電位ノードに接続される第3の電界効果トランジスタとを有することを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
さらに、前記第1のノードの電圧を降下させて前記トリガ回路に電圧を出力する電圧降下回路を有し、
前記トリガ回路は、前記電圧降下回路が出力する電圧に応じて前記静電気オン信号を出力することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記静電気放電サージパス回路は、
前記第1のノードの電圧を降下させる電圧降下回路と、
ゲートが前記トリガ回路の出力に接続され、ドレインが前記電圧降下回路に接続され、ソースが前記基準電位ノードに接続される電界効果トランジスタとを有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−164829(P2009−164829A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341032(P2007−341032)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】