説明

半導体装置

【課題】回路構成が簡単であり、その規模が小さく、さらに消費電力が小さい半導体装置であって、所望のクロック信号を生成可能な半導体装置を提供することを課題とする。
【解決手段】変調された搬送波を分周してクロック信号を生成するクロック生成回路を有し、搬送波を分周して第1の分周信号を生成する分周回路と、第1の分周信号を更に分周して第2の分周信号を生成し、且つ搬送波が変調されている期間において、クロック信号の半周期に対応する期間の間、第2の分周信号を反転させる補正をする機能を有する補正回路とを有し、補正回路は、前記補正を行うか否かを選択する機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は近接型の規格ISO/IEC14443やISO/IEC18092、近傍型の規格ISO/IEC15693、ISO/IEC18000−3などで規格している通信方式を使用する際に、搬送波からクロック信号を生成する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、個々の対象物にID(個体識別番号)を与えることで、その対象物の履歴等の情報を明確にし、生産・管理等に役立てるといった個体認識技術が注目されている。その中でも、非接触でデータの送受信が可能な半導体装置の開発が進められている。このような半導体装置として、特に、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、IDタグ、ICタグ、ICチップ、RFタグ、無線タグ、電子タグ、無線チップ、トランスポンダともよばれる)等が企業内、市場等で導入され始めている。
【0003】
RFIDの規格の一つにISO/IEC15693がある。この規格の通信方法を例に背景技術を述べる。この通信方法は13.56MHzの搬送波に100%もしくは10%の変調をかけ、変調位置を変えることでデータを判別するパルス位置変調方式を用いてデータ符号化を行っている。100%の変調の例を図3(A)に示し、10%の変調の例を図3(B)に示す。変調度が100%の搬送波は振幅がない状態を含み、変調度が10%の搬送波は振幅が10%変化した状態を含む。
【0004】
ISO/IEC15693で規定されているパルス位置変調方式のうち、4中1と呼ばれるパルス位置変調方式を、図4(A)を用いて説明する。
【0005】
図4(A)中の長方形の塗りつぶしている部分が13.56MHzの搬送波を表しており、長方形と長方形の間の線は、変調がある部分を表している。9.44μsの変調部分が75.52μsの時間幅のどの部分に位置するかで、”00”、”01”、”10”、”11”の2ビットの値および”SOF”、”EOF”のフレームコード(EOFの時間幅は37.76μs)を表している。
【0006】
図4(A)中の”SOF”はフレーム開始を示す信号でデータの前に送られる。”EOF”はフレーム終了を示す信号でデータの後に送られる。
【0007】
送信側のリーダライタは、フラグ信号、コマンドなどのデータをパルス位置変調方式で符号化し、当該符号化されたデータを用いて搬送波を変調し、変調された搬送波をRFIDタグに送る。受信側のRFIDタグは搬送波中の変調を復調し、パルス位置を読み取ることでデータを取得する。
【0008】
RFIDタグ側の一般的なデータ取得方法を、図4(B)を用いて説明する。データは搬送波に100%変調のパルス位置変調で送信されているものとする。図4(B)の例では、データは”SOF”を開始信号として”00”、”01”、”10”、”11”が送信されている。
【0009】
基準のクロック信号は搬送波中の100%変調と同期しており、さらにクロック信号の半周期を100%変調のパルス幅とおなじ周期とする。このクロック信号を用いてカウント1とカウント2の2ビットのカウントを行うカウンタを設ける。カウンタは”SOF”の最初の100%変調があるときを”00”として”00”から”11”までを繰り返しカウントする。各データの100%変調のタイミングは、カウンタの値と一致する。搬送波が100%変調される時におけるカウンタの値を得ることでパルス位置変調の信号からデータを取り出すことができる。
【0010】
RFIDタグは搬送波からデータを取り出すために、基準のクロック信号が必要となる。しかし、RFIDタグがアンテナから受信できる信号は、搬送波と搬送波を復調して得られる復調信号のみである。したがって、搬送波の変調のタイミング(以下、パルス位置ともいう)を検出するための基準のクロック信号をRFIDタグの内部で生成する必要がある。
【0011】
基準のクロック信号を得る手段としてPLL回路(Phase Locked Loop)がある。PLL回路は入力信号と出力信号との位相差を検出し、出力信号の元となるVCO(電圧制御発振器)を制御することで入力信号と正確に同期した周波数の出力信号を得ることができる。
【0012】
PLL回路を利用し、搬送波もしくは復調信号に同期した波形を得ることでRFIDタグの内部動作に利用するクロック信号を生成することができる。PLL回路を利用しクロック信号を生成するRFIDタグは、例えば特許文献1の図9に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−010849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
RFIDタグ等の半導体装置はリーダライタから送信される搬送波を受信して、整流、平滑して、容量で蓄えることで半導体装置内の電源としている。半導体装置の大きさは限られているので、半導体装置内にあまり大きな容量を作ることができない。そのため、半導体装置の電源供給には限りがある。
【0015】
ここで、PLL回路は一般に回路が複雑で規模が大きく、消費電力が大きくなるため、電力供給に限りのあるRFIDタグのような半導体装置内に内蔵するのには不向きである。そのため、PLL回路を用いないで搬送波からクロック信号を生成したいが、以下の問題がある。
【0016】
100%変調を含む搬送波を分周してクロック信号を生成する時、100%変調の間は搬送波の振幅がなくなる。振幅がないと搬送波を分周して得られるクロック信号も100%変調の間、変化しないため得られるクロックパルスはパルス間隔が間延びした波形となる。
【0017】
パルス間隔が間延びする様子を図5、図6のシミュレーション結果を用いて説明する。
【0018】
図6は、図5の破線部分400を拡大したシミュレーション結果である。
【0019】
図5は搬送波から1/2分周を8回繰り返し、クロック信号を生成している。100%変調の間401は搬送波の振幅がなくなるため、1/2分周した各波形(分周1〜分周7)は変化せずそのままの状態を維持する。生成されたクロック信号も100%変調の間は変化しないのでパルスの間隔が間延びした波形402となる。
【0020】
搬送波の変調のタイミング(パルス位置)を検出するには、一定周期でカウントするカウンタが必要で、一定周期でカウントするための周期の変わらないクロック信号が必要となる。
【0021】
しかし、前記したように100%変調から得られるクロック信号は、100%変調時にパルス間隔が間延びするため周期(タイミング)が変わる。周期(タイミング)が変わってしまうと100%変調の位置を正確に読み出すことができない。そこで、リーダライタから送信される搬送波(電波)からデータを正確に読み出すために、周期の変わらないクロック信号を、100%変調を含む搬送波から作り出す必要がある。
【0022】
そのために、100%変調を含む搬送波を分周して得られるクロック信号を補正する必要がある。即ち、図5におけるクロック信号の波形の間延びした部分において、クロック信号を強制的に半周期分だけ反転させて、所望のクロック信号を生成する必要がある。
【0023】
ここで、10%変調を用いる場合には100%変調と違い変調度が小さいので、半導体装置(例えば、RFIDタグ)は搬送波を連続的に受信することができる。このため、10%変調を含む搬送波から分周してクロック信号を生成する時は、前述した100%変調の時のようにクロック信号のパルス幅が間延びすることはない。そのため、搬送波が変調されている期間において、クロック信号を強制的に半周期分だけ反転させる補正は必要ない。
【0024】
また、リーダライタの構成や仕様により、搬送波の変調の傾き(図3中、α1、α2で示す)が異なることがある。ここで、搬送波を復調する際に復調信号を低電位(以下、「Low」と言う)とするか高電位(以下、「High」と言う)とするかを区別する境界となる電位(以下、閾値という)は、半導体装置の内部で生成される電源電圧の大きさによって変動する。そのため、通信距離や環境によって半導体装置の内部で生成される電源電圧がばらつくと、閾値がばらつく。搬送波の変調の傾きが鈍い場合は特に、搬送波を復調する際に閾値がばらつくと、搬送波の変調部分に対応する復調信号の幅(パルス幅)が変動しやすくなる。
【0025】
搬送波の変調部分に対応する復調信号の幅(パルス幅)が通常より短くなったとき、搬送波の変調部分に対応する復調信号の立ち上がりを基準に同期をとって一定周期を繰り返すパルスを作成してクロック信号とする。すると、復調信号の立ち上がりの後、復調信号が立ち下がるよりも先にこのクロック信号が立ち上がる。即ち、復調信号がLowとなるよりも先にクロック信号がHighになるので、復調信号がLowのタイミングでクロック信号を反転させる補正は必要ない。つまり、搬送波が変調されている期間において、クロック信号を強制的に半周期分だけ反転させる補正は必要ない。
【0026】
前記したように10%変調を含む搬送波が入力される場合や、搬送波の変調部分に対応する復調信号の幅(パルス幅)が通常より短い場合など、搬送波を分周して得られるクロック信号の補正が必要ない場合がある。そのため、搬送波が変調されている期間において、搬送波を分周して得られる信号を常に補正してしまうと所望のクロック信号ではなくなってしまう。
【0027】
上記の実情を鑑み、本発明は、回路構成が簡単であり、その規模が小さく、さらに消費電力が小さい半導体装置であって、所望のクロック信号を生成可能な半導体装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の一態様の半導体装置は、変調された搬送波を分周してクロック信号を生成するクロック生成回路を有し、クロック生成回路は以下の特徴を有する。
【0029】
クロック生成回路は、搬送波を分周して第1の分周信号を生成する分周回路と、分周回路によって分周された信号を更に分周して第2の分周信号を生成し、且つ搬送波が変調されている期間において、クロック信号の半周期に対応する期間の間、第2の分周信号を反転させる補正をする機能を有する補正回路とを有する。この補正回路は、前記補正を行うか否かを選択する機能を有する。
【0030】
補正を行うか否かの選択は、搬送波及び搬送波を復調した復調信号を用いて生成されるセット補正信号及びリセット補正信号を用いて制御することができる。
【0031】
なお、第1の分周信号の周期はクロック信号の周期の半分とすることができる。
【0032】
搬送波の変調は100%変調方式と10%変調方式を切り換えて行うことができる。
【0033】
本発明の一態様の半導体装置は、ISO/IEC15693の通信規格に準拠してもよい。
【0034】
本発明の一態様の半導体装置において、分周回路及び補正回路はD型フリップフロップを有することを特徴としてもよい。
【0035】
本発明の一態様の半導体装置はRFIDタグであってもよい。
【発明の効果】
【0036】
10%変調を用いる場合であっても一定の周期のクロック信号を生成することができる。また、搬送波の変調部分に対応する復調信号の幅(パルス幅)が変動してもある程度一定の周期のクロック信号を生成することができる。
【0037】
上記機能を持つクロック生成回路をRFIDタグ等の半導体装置に内蔵することで、RFIDタグ等の半導体装置が搬送波をもとに生成する電力が多少変動しても所望のクロック信号を生成できるため、動作範囲の広い半導体装置を実現することができる。
【0038】
また、100%変調と10%変調のどちらの変調時にも一定の周期のクロック信号を生成できるので、正確に応答する半導体装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一態様の半導体装置の回路構成を示すブロック図。
【図2】本発明の一態様の半導体装置の駆動方法を示す図。
【図3】搬送波の100%変調と10%変調について示す図。
【図4】4中1のパルス位置変調方式を示す図。
【図5】従来のクロック信号の波形を示す図。
【図6】図5の一部の波形の拡大図。
【図7】本発明の一態様の信号生成回路と補正判定回路の具体例を示す図。
【図8】本発明の一態様の分周回路と補正回路の具体例を示す図。
【図9】本発明の一態様の半導体装置のレイアウトを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に、開示する発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0041】
(実施の形態1)
本発明の一態様の半導体装置が有するクロック生成回路の構成および動作について、図1及び図2を参照して示す。図1は本発明の一態様の半導体装置をRFIDタグとした例である。図1において、クロック生成回路105は、信号生成回路107、分周回路106、補正判定回路108、補正回路230で構成する。図2(A)は図1に示したRFIDタグの各信号の波形を示す図である。図2(A)中、破線で囲った領域の拡大図を図2(B)に示す。
【0042】
アンテナ100と共振用容量素子101はリーダライタから送信される搬送波を受信する。受信した搬送波109は、復調回路104とクロック生成回路105に入力される。復調回路104は、100%変調または10%変調を含む搬送波109から復調信号110を生成する。
【0043】
信号生成回路107は、復調信号110から分周回路106の同期を取るための同期信号111と、補正判定回路108に入力する初期同期信号313と補正タイミング信号112とを生成する。
【0044】
分周回路106は搬送波109を分周する。この分周は目的とするクロック信号116の半分の周期となるまでを行う。その際、分周して得られる信号117を復調信号110と同期させるため、信号生成回路107から出力される同期信号111で同期を取る構成とする。また、分周回路106は判定タイミング信号113、カウントアップ信号119を出力する。
【0045】
補正判定回路108には初期同期信号313、補正タイミング信号112、判定タイミング信号113、クロック信号116が入力され、セット補正するかリセット補正するかを判断して、セット補正信号114、リセット補正信号115を生成する。
【0046】
セット補正するかリセット補正するかの判断は、補正判定回路108内でクロック信号116の状態を一定タイミングで保持し、判定タイミング信号113のタイミングで、保持したクロック信号116の状態を判断することによって決定する。当該判断のタイミングを適切に定めることによって、セット補正するかリセット補正するかの判断を適切にすることができ、搬送波109の変調部分に対応する復調信号の幅(パルス幅)が多少変動しても、所望のクロック信号116を生成することができる。
【0047】
補正回路230には、分周回路106からの信号117と補正判定回路からのセット補正信号114、リセット補正信号115を入力する。補正信号(セット補正信号114またはリセット補正信号115)が有効でない状態では、補正回路230は分周回路106からの信号117を受けて、分周を更に行い、クロック信号116として出力する。
【0048】
セット補正信号114が有効である場合は、補正回路230は、クロック信号116をセット状態、つまりHighとする。また、リセット補正信号115が有効である場合、クロック信号116をリセット状態、つまりLowとする。
【0049】
このように、補正回路230は、セット補正信号114、リセット補正信号115により出力信号を強制的に状態変化させる。これにより得られるクロック信号116は間延びした状態にはならず、RFIDタグ内の各回路に必要な一定周期のクロック信号116を生成することができる。
【0050】
本実施の形態では半導体装置としてRFIDタグの例を示した。しかし、本発明はRFIDタグに限定されず、搬送波からクロック信号を生成する半導体装置に適用することができる。
【0051】
(実施の形態2)
本発明の一態様の半導体装置が有するクロック生成回路105の各回路構成の詳細について説明する。
【0052】
図1で示した信号生成回路107の回路構成例を図7(A)に示す。信号生成回路107は、復調信号110とリセット信号409を入力し、同期信号111、補正タイミング信号112、初期同期信号313を生成する。
【0053】
図7(A)に示した信号生成回路107は、D型フリップフロップ204、D型フリップフロップ206、AND回路205、NAND回路208、NAND回路209、インバータ207、バッファ210、バッファ211、バッファ212を有する。D型フリップフロップ204及びD型フリップフロップ206は、非同期ネガティブセット付きD型フリップフロップであり、2ビットのカウンタを構成する。1段目のD型フリップフロップ204のQB端子は、2段目のD型フリップフロップ206のCLK端子に電気的に接続されている。2段目のD型フリップフロップ206の出力端子QBは、2段目のD型フリップフロップ206の入力端子Dに電気的に接続されている。1段目のD型フリップフロップ204の出力端子QBから出力される信号と、2段目のD型フリップフロップ206の出力端子Qから出力される信号はAND演算を行った後、1段目のD型フリップフロップ204の入力端子Dに入力される。
【0054】
復調信号110は、1段目のD型フリップフロップ204のCLK端子とインバータ207とバッファ210に入力する。バッファ210の出力信号は、復調信号110を増幅したもので、分周回路106に同期信号111として入力される。
【0055】
NAND回路208の2つの入力端子のうち、一方の入力端子は1段目のD型フリップフロップ204の出力端子Qに電気的に接続されており、他方の入力端子はインバータ207の出力に電気的に接続されている。NAND回路208の出力信号は、バッファ212により増幅され、補正判定回路108に初期同期信号313として入力される。初期同期信号313は、復調信号110が有する複数のパルス(搬送波の変調された部分、即ち復調信号のLow部分に対応するパルス)のうち、最初のパルスのみを取り出した信号である(図2(A)参照)。
【0056】
NAND回路209の2つの入力端子のうち、一方の入力端子は1段目のD型フリップフロップ204の出力端子QBに電気的に接続されており、他方の入力端子はインバータ207の出力に電気的に接続されている。NAND回路209の出力信号は、バッファ211により増幅され、補正判定回路108に補正タイミング信号112として入力される。補正タイミング信号112は、復調信号110が有する複数のパルス(搬送波の変調された部分、即ち復調信号のLow部分に対応するパルス)のうち、最初のパルス以外を取り出した信号である(図2(A)参照)。
【0057】
補正判定回路108の回路構成例を図7(B)に示す。補正判定回路108は、補正タイミング信号112、判定タイミング信号113、初期同期信号313、信号117、クロック信号116が入力され、セット補正信号114およびリセット補正信号115を生成する。
【0058】
図7(B)に示した補正判定回路108は、D型フリップフロップ220、D型フリップフロップ221、AND回路227、NAND回路223、NAND回路225、インバータ222、OR回路224、OR回路226を有する。D型フリップフロップ220及びD型フリップフロップ221は、非同期ネガティブリセット付きD型フリップフロップである。
【0059】
D型フリップフロップ220のD端子にはクロック信号116が入力され、R端子には初期同期信号313が入力され、さらにCLK端子には、信号117が入力される。D型フリップフロップ221のD端子には判定タイミング信号113が入力され、R端子には初期同期信号313が入力され、さらにCLK端子には、信号117が入力される。
【0060】
インバータ222の入力は、D型フリップフロップ220の出力端子Qに電気的に接続される。NAND回路223の2つの入力端子のうち、一方の入力端子にインバータ222の出力を電気的に接続し、もう一方の入力端子にD型フリップフロップ221の出力端子Qを電気的に接続する。OR回路224の2つの入力端子のうち、一方の入力端子にNAND回路223の出力を電気的に接続し、もう一方の入力端子に補正タイミング信号112を入力する。OR回路224の出力信号は、セット補正信号114として補正回路230に入力される。
【0061】
NAND回路225の2つの入力端子のうち、一方の入力端子には、D型フリップフロップ220の出力端子Qが電気的に接続され、もう一方の入力端子には、D型フリップフロップ221の出力端子Qが電気的に接続される。OR回路226の2つの入力端子のうち、一方の入力端子にNAND回路225の出力を電気的に接続し、もう一方の入力端子に補正タイミング信号112を入力する。OR回路226の出力信号は、初期同期信号313とAND演算を行った後、リセット補正信号115として補正回路230に入力される。
【0062】
D型フリップフロップ221の出力端子Qからは、判定タイミング信号113を信号117でラッチした信号が得られる。D型フリップフロップ221の出力端子Qから出力される信号がHighの区間は、セット補正信号114もしくはリセット補正信号115のどちらかを出力可能な区間であり、Lowの区間は、出力不可な区間とする。D型フリップフロップ221の出力端子Qから出力される信号によって、セット補正信号114もしくはリセット補正信号115を生成し、補正回路230に入力することによって、補正回路230は適切なタイミングのみ選択して補正をかけることができる構成となる。
【0063】
D型フリップフロップ220の出力端子Qからは、クロック信号116を信号117でラッチした信号が得られる。D型フリップフロップ220は、補正回路230に入力される信号117と同じ信号でクロック信号116をラッチすることによって、補正回路230から出力されているクロック信号116の前の状態を出力することができる。この信号がHighであれば、クロック信号の前の状態がHighであったことを示しており、Lowであれば、クロック信号の前の状態がLowであったことを示している。この信号がHighであればリセット補正信号115を出力可能な状態とし、この信号がLowであればセット補正信号114を出力可能な状態とする。
【0064】
D型フリップフロップ220の出力端子Qの出力がLowでかつ、D型フリップフロップ221の出力端子Qの出力がHighでかつ、補正タイミング信号112がLowである場合に、セット補正信号114をLowアクティブで出力する。
【0065】
D型フリップフロップ220の出力端子Qの出力がHighでかつ、D型フリップフロップ221の出力端子Qの出力がHighでかつ、補正タイミング信号112がLowである場合に、リセット補正信号115をLowアクティブで出力する。
【0066】
分周回路106の回路構成例を図8(A)に示す。分周回路106は、搬送波109を分周する。分周回路106の分周倍率は、所望のクロック信号116の周期の半周期となるように定められる。なお、所望のクロック信号116の周期は、搬送波の変調のパルス幅(搬送波中、変調されている部分の幅)の2倍と概略同じになるよう設定される。そのため、分周回路106は、n(nは自然数)段のフリップフロップ(分周器とも呼ぶ)を有する。n段のフリップフロップの各々は、入力端子に入力される信号の周波数に対して1/2倍の周波数の信号を出力する。
【0067】
通信方式のISO/IEC15693では、搬送波13.56MHzでパルス位置変調に用いる変調幅は約9.44μsと規定されている。13.56MHzの半周期は、およそ73.74nsである。パルス位置変調に用いる変調幅は、13.56MHzの半周期の256倍にあたる。従って、フリップフロップを8段縦続接続することでパルス位置変調に用いる変調幅と同じ幅の半パルスを得ることができる。後述する補正回路230は1段分の分周機能を有するので、分周回路106は、7段構成の分周回路とし、7段構成のD型フリップフロップ240、D型フリップフロップ241、D型フリップフロップ242、D型フリップフロップ243、D型フリップフロップ244、D型フリップフロップ245、D型フリップフロップ246を有する場合について説明する。
【0068】
7段構成のD型フリップフロップ240乃至D型フリップフロップ246は、非同期ネガティブセット付きD型フリップフロップを用いる。D型フリップフロップ240乃至D型フリップフロップ244の5段の分周回路は、非同期型分周回路の構成としている。仮に、同期型分周回路の構成とした場合、D型フリップフロップ240のCLK端子に後続のD型フリップフロップ241乃至D型フリップフロップ244のCLK端子を電気的に接続することとなり、消費電力は増大する。消費電力削減のため、D型フリップフロップ240乃至D型フリップフロップ244の5段の分周回路は、非同期型分周回路の構成としたが、消費電力を考慮しないのであれば同期型分周回路の構成としてもよい。
【0069】
分周回路106の7段構成の分周回路のうち、D型フリップフロップ245及びD型フリップフロップ246の2段の分周回路は、補正回路230と同期を取る必要があり、補正判定回路108に入力する判定タイミング信号113および、補正回路230に入力するカウントアップ信号119に関連するため、同期型分周回路としている。
【0070】
1段目のD型フリップフロップ240から5段目のD型フリップフロップ244の各々は、前段のD型フリップフロップの出力端子QBが、次段のD型フリップフロップのCLK端子に電気的に接続されており、CLK端子に入力される信号の立ち上がりのタイミングと同時に、出力端子Q及び出力端子QBから出力する信号が反転する。
【0071】
6段目のD型フリップフロップ245と7段目のD型フリップフロップ246のCLK端子は5段目のD型フリップフロップ244の出力端子QBが電気的に接続される。6段目のD型フリップフロップ245のD端子は、6段目のD型フリップフロップ245の出力端子QBに電気的に接続される。7段目のD型フリップフロップ246のD端子には、6段目のD型フリップフロップ245の出力端子Qの信号と7段目のD型フリップフロップ246の出力端子Qの信号をEXOR回路247によってEXOR演算した信号が入力される。これにより、7段目のD型フリップフロップ246は、5段目のD型フリップフロップ244の出力端子QBの信号の立ち上がりに同期した2分周回路を構成する。
【0072】
6段目のD型フリップフロップ245の出力端子Qの信号と7段目のD型フリップフロップ246の出力端子Qの信号をOR回路248に入力し、OR演算した出力を判定タイミング信号113として出力する。6段目のD型フリップフロップ245の出力端子Qの信号と7段目のD型フリップフロップ246の出力端子Qの信号をAND回路249に入力し、AND演算した出力をカウントアップ信号119として出力する。
【0073】
補正回路230の回路構成例を図8(B)に示す。補正回路230は、セット補正信号114とリセット補正信号115、カウントアップ信号119、信号117を入力し、クロック信号116を生成する。
【0074】
図8(B)に示した補正回路230は、D型フリップフロップ232、EXOR回路231、バッファ233を有する。D型フリップフロップ232は、非同期ネガティブセットおよび非同期ネガティブリセット付きD型フリップフロップである。
【0075】
EXOR回路231の2つの入力端子のうち、一方の入力端子には、カウントアップ信号119が入力され、もう一方の入力端子には、D型フリップフロップ232の出力端子Qが電気的に接続される。D型フリップフロップ232のD端子にはEXOR回路231の出力が電気的に接続され、CLK端子には信号117が入力される。
【0076】
D型フリップフロップ232のS端子にはセット補正信号114が入力され、R端子にはリセット補正信号115が入力される。バッファ233の入力には、D型フリップフロップ232のQ端子が電気的に接続され、バッファ233の出力をクロック信号116として出力する。
【0077】
EXOR回路231およびD型フリップフロップ232により1段の同期型分周回路を構成する。当該同期型分周回路には、分周回路106からのカウントアップ信号119、信号117が入力されているので分周回路106と合わせると8段目の分周回路となる。セット補正信号114もしくはリセット補正信号115が無い時は、同期型の分周回路として動作する。
【0078】
セット補正信号114がLowアクティブである場合、D型フリップフロップ232のQ端子はHighとなり、セット状態となる。D型フリップフロップ232のQ端子はバッファ233に電気的に接続されており、バッファ233の出力信号であるクロック信号116もHighとなる。また、リセット補正信号115がLowアクティブである場合、D型フリップフロップ232のQ端子はLowとなり、リセット状態となる。クロック信号116をリセット状態、つまりLowとする。D型フリップフロップ232のQ端子はバッファ233に電気的に接続されており、バッファ233の出力信号であるクロック信号116もLowとなる。
【0079】
セット補正信号114、リセット補正信号115によりD型フリップフロップ232の出力信号を強制的に状態変化させる。これにより得られるクロック信号116は間延びした状態にはならず、以降の回路に必要なある程度一定間隔なクロック信号116を生成することができる。
【0080】
本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせて実施することができる。
【実施例1】
【0081】
図1に示した本発明の一態様の半導体装置を実際に作製した例を示す。図9は本発明の一態様の半導体装置のレイアウトを示す図であって、フォトマスクのマスク図面に相当する。図9において、図1と同じ部分は同じ符号を用いて示し、説明は省略する。
【0082】
本実施例は実施の形態と自由に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0083】
100 アンテナ
101 共振用容量素子
104 復調回路
105 クロック生成回路
106 分周回路
107 信号生成回路
108 補正判定回路
109 搬送波
110 復調信号
111 同期信号
112 補正タイミング信号
113 判定タイミング信号
114 セット補正信号
115 リセット補正信号
116 クロック信号
117 信号
119 カウントアップ信号
204 D型フリップフロップ
205 AND回路
206 D型フリップフロップ
207 インバータ
208 NAND回路
209 NAND回路
210 バッファ
211 バッファ
212 バッファ
220 D型フリップフロップ
221 D型フリップフロップ
222 インバータ
223 NAND回路
224 OR回路
225 NAND回路
226 OR回路
227 AND回路
230 補正回路
231 EXOR回路
232 D型フリップフロップ
233 バッファ
240 D型フリップフロップ
241 D型フリップフロップ
242 D型フリップフロップ
243 D型フリップフロップ
244 D型フリップフロップ
245 D型フリップフロップ
246 D型フリップフロップ
247 EXOR回路
248 OR回路
249 AND回路
313 初期同期信号
400 破線部分
401 100%変調の間
402 波形
409 リセット信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変調された搬送波を分周してクロック信号を生成するクロック生成回路を有する半導体装置であって、
搬送波を分周して第1の分周信号を生成する分周回路と、
前記第1の分周信号を更に分周して第2の分周信号を生成し、且つ前記搬送波が変調されている期間において、前記クロック信号の半周期に対応する期間の間、前記第2の分周信号を反転させる補正をする機能を有する補正回路とを有し、
前記補正回路は、前記補正を行うか否かを選択する機能を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記補正を行うか否かの選択は、前記搬送波及び前記搬送波を復調した復調信号を用いて生成されるセット補正信号及びリセット補正信号を用いて制御されることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第1の分周信号の周期は前記クロック信号の周期の半分であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記搬送波の変調は100%変調方式と10%変調方式を切り換えて行われることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
ISO/IEC15693の通信規格に準拠することを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
前記分周回路及び前記補正回路はD型フリップフロップを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
前記半導体装置はRFIDタグであることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−109973(P2010−109973A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219858(P2009−219858)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】