説明

半導体装置

【課題】所定の回路が構成された小型の半導体装置を実現する。
【解決手段】本発明に係る半導体装置100は、絶縁基板101と、絶縁基板101上に形成された絶縁膜103a〜103cと、絶縁膜103a上に島状に形成され、トランジスタTrが形成されたシリコン層であるシリコン島領域103と、シリコン島領域103外に形成されたキャパシターCを有する受動回路領域と、シリコン島領域103外かつ受動回路領域外に形成された電極パッドP1〜P5と、電極パッドP1〜P5上に搭載されたSAWフィルターSAWと、トランジスタTr、キャパシターC及び電極パッドP1〜P5を接続するための第2配線層104とを備え、トランジスタTr、キャパシターC、SAWフィルターSAW及び第2配線層104は、所定の回路を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの通信機器は、異なる通信方式と異なる周波数に対応する通信機能を同一機器内に小型に一体化することが求められ、しかも更なる高機能化や小型化への要望が著しく強い。半導体チップ上にデジタル信号処理ブロックと高周波アナログ信号処理ブロックなどの複数の異なる機能を有する信号処理回路ブロックを1チップに集積化することが必要とされている。更には、同じ高周波アナログ信号処理ブロックではあるが、送信用の大信号ブロックと受信用の極めて微弱な小信号ブロックを同一チップ上に集積化する要望も強い。
【0003】
これらの高集積化への技術要望に対し、シリコン半導体を用いたRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)やGaAsなどに代表される半絶縁性基板を用いたMMIC(Microwave Monolithic Integrated Circuit)などが高周波ICとして開発され量産されている。しかし、スイッチ回路機能だけ、電力増幅回路機能だけといった、いわゆる単機能ICなどで、その用途は極めて限定的であった。
【0004】
また、これらのICと、半導体チップには集積化できない電子部品、たとえばフィルターやアンテナ共用器などを組み合わせ、多層セラミック基板や多層樹脂基板上に同時実装して高周波モジュールとして使用されることも多い。
【0005】
ところで、1990年代初頭より携帯電話が世界中で使用されるようになり、送信や受信に用いられるデバイスは化合物半導体であるGaAsが携帯電話では主力であった。近年、上述したように多バンド/多モードの携帯電話が要望されるにつれて、集積化やシリコンのLSIとのインターフェース回路で問題のある化合物半導体としてのGaAsデバイスは敬遠され、シリコンの半導体デバイスを送信や受信に応用する研究が広がりつつある。
【0006】
さらに最近では、シリコン系の高周波半導体としてサファイア基板上にシリコン層を形成したSOS(Silicon on Sapphire)デバイスが再び脚光を浴びつつある。その理由として、SOSデバイスが、GaAsデバイスにはできない集積度と微細化が実現でき、しかもGaAsデバイスと同等以上の高周波特性を実現できるからである。SOSデバイスと言っても、30年前のSOSデバイスが最初に開発された当時とは異なり、その製法は革新をとげてきた。
【0007】
SOS基板の製法としては、数十年前から行われているエピタキシャル法に加え、10年ほど前からはエピタキシャル法を改善し非晶質シリコン層を横方向に再結晶化する製法が実用化されている。更に、近年はエピタキシャル法とは全く異なり、サファイア基板と表面に酸化膜を形成したシリコン基板とを密着させることで生じる水素結合やファンデルワールス結合などを利用した貼り合わせ法で作った全く新しいSOS系基板も提案がなされ、一部では発表もされている。この貼り合せ法で作った新しい基板の層構造は、その主面側の最上部から順番に、シリコン層−酸化膜層−サファイア基板の構造であるが、基板がサファイア基板ということで、SOI(Silicon on Insulator)基板ではなく、通常はSOS系デバイスとして分類されることが多い。
【0008】
さて、半導体チップと受動部品を組み合わせた所定の回路が構成された半導体装置として、配線基板上に半導体チップと受動部品とを実装する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
図11は、従来の半導体装置の構造を示す平面図である。また、図12は、図11に示した従来の半導体装置において、放熱用部材を省略した状態の構成を示す平面図である。
【0010】
図11に示す半導体装置801は、いわゆる高周波モジュールであって、具体的には携帯電話のアンテナ直下に位置する送信用の電力増幅機能を有するものである。半導体装置801は、配線基板802と配線基板802に実装された受動部品804a及び804bが基板側電極812aと受動部品804の電極809が電気的に接続されるように搭載される。受動部品804a及び804bは、半導体チップ803より高背の受動部品804aと半導体チップ803より低背の受動部品804bの2種類が用いられ、このうち図11に示すように半導体チップ803より高背の受動部品804aは放熱用部材805の外側に搭載される。
【0011】
また、図12に示したように半導体チップ803より低背の受動部品804bは、放熱用部材805の内部に配置される。受動部品804a及び804bの電極809と基板側電極812aは、通常は半田などの接合材807を用いて電気的な接合と物理的な固定とが同時に行われる。また、半導体チップ803の表面803aは配線基板802の主面に向けて、いわゆるフェイスダウンの方向で実装され、半導体チップ803の裏面が上面を向いている。
【0012】
図13は、図12に示した従来の半導体装置のX−X’線における断面図である。
図13において、配線基板802は多数の絶縁体層811が積層されたもので、その内層には金属電極配線層を有している。配線基板802の主面802a側に位置する半導体チップ803の裏面803bと半導体チップ803の上部を覆う天井部805bは、半導体チップ803の放熱用部材との接合部805dで物理的に固定されており、放熱用部材の天井部の表面805cには、半導体装置の製品の型番を示すマーキング806が記載される。図13に示すように、半導体チップ803の裏面803bは、半導体チップ803の放熱用部材との接合部805dを介して半導体チップ803の上部を覆う天井部805bに接合される。また、半導体チップ803の表面803a上の電極はバンプ電極808を介して基板側電極812aと電気的に接続されている。
【0013】
このように構成された半導体チップ803の表面803aで発生した熱は、半導体チップ803の表面803aからも放熱される。
【0014】
また、半導体チップ803の表面803aで発生した熱は、半導体チップ803の裏面803bまで伝導し、半導体チップ803の放熱用部材との接合部805dを介して半導体チップ803の上部を覆う天井部805bに伝わる。そして、天井部805bから半導体チップ803の周囲を囲む側壁部805aに伝わる。側壁部805aは、接合材807と、基板側電極812aと、配線基板802を貫通し金属電極を埋め込んであるビアホール(スルーホール)810とを介して、配線基板802の下面802bに位置し例えば接地電位を与え大きな面積を有する基準電位供給用端子812cに電気的且つ熱的に接続されている。よって、半導体チップ803の表面803aで発生した熱は、基準電位供給用端子812cに伝わる。
【0015】
このように、従来の半導体装置801は、半導体チップ803の発熱問題を解決する構造となっている。
【0016】
図14は、従来の半導体装置の半導体チップの回路構成を示す回路ブロック図である。
従来の半導体装置801が有する半導体チップ803の内部回路は、前述したように送信用の電力増幅機能を有するものである。具体的には、半導体チップ803の内部回路は、3段のトランジスタ813aを直列に接続した複数の電力増幅回路(例えばGSM方式の900MHz帯用とDCS方式の1800MHz帯用など)が2系統入っている。これら2系統の複数の電力増幅回路は制御回路813bにつながれており、制御回路813bはVcontrol端子に入力される信号に応じて、特定系統の複数の電力増幅回路のバイアス回路のオン又はオフの制御を行なう。
【0017】
このように構成された半導体チップ803により、例えば、GSM方式の900MHz帯の信号は、GSM入力端子Pin(GSM)に入力され約30dBほど増幅されGSM出力端子Pout(GSM)から最大約2ワットが出力される。同様に、DCS方式の1800MHz帯の信号は、GSM入力端子Pin(DCS)に入力され約30dBほど増幅されDCS出力端子Pout(DCS)から約1ワット以下で出力される。この2つの系統のいずれを動作させるかは、Vcontrol端子により制御できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際公開第2006/001087号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、以上説明した従来の半導体装置では、部品点数が多くその外形寸法は非常に大きく、マルチバンドなどに対応する携帯電話に従来の半導体装置を並べた場合には内蔵できないほどの大きさになってしまう。即ち、配線基板802や半導体チップ803や受動部品804の大きさとその数が多いからである。
【0020】
更には、半導体チップ803の放熱を改善するために、放熱用部材805をわざわざ別途設ける必要があるので、半導体装置の小型化がより困難である。半導体チップ803の裏面803bと放熱用部材805とを接合させる必要があるので、より工数的にも多いだけでなく、高さ合わせ等で厳しい管理基準をクリアーしながら生産をする必要があるなど、スループットを向上させることができなかった。
【0021】
そこで、本発明は、所定の回路が構成された小型の半導体装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置は、絶縁基板と、前記絶縁基板上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上に島状に形成され、第1能動デバイスが形成されたシリコン層である第1シリコン島領域と、前記第1シリコン島領域外に形成された受動回路を有する受動回路領域と、前記第1シリコン島領域外かつ前記受動回路領域外に形成された電極と、前記電極上に搭載された電子部品と、前記第1能動デバイス、前記受動回路及び前記電極を接続するための配線とを備え、前記第1能動デバイス、前記受動回路、前記電子部品及び前記配線は、所定の回路を構成する。
【0023】
これにより、所定の回路が構成された極めて小型な半導体装置を実現できる。また、その構成も簡略化できる。即ち、本発明に係る半導体装置では、絶縁基板上の所定の場所に位置する絶縁膜上にシリコン島領域があり、またシリコン島領域外に受動回路領域がある。これらのシリコン島領域及び受動回路領域は、絶縁基板上に形成された一体物であり、半導体のプロセス技術で加工できるので、受動回路として構成される抵抗や容量などは極めて小さく数十ミクロンの単位で作りこむことができる。更には、電極上には電子部品が搭載されるが、本発明の半導体装置では抵抗や容量やインダクターなどの受動部品は絶縁基板上に能動デバイスと同時に形成できるので、受動部品を新たに電子部品として載せる必要はなく、その代わり携帯電話のセットでよく使われるバンドパスフィルターやアンテナ共用器やアイソレーターなど、従来は携帯電話のセットのプリント基板に搭載していたような電子部品をも半導体装置に搭載できるので、例えば携帯機器として更なる小型化が実現できるのである。
【0024】
つまり、上述したように受動回路を半導体のプロセス技術で製造できるので、従来はプリント基板に搭載していた部品をシリコン島領域及び受動回路領域が形成された絶縁基板に搭載でき、例えば携帯電話の1つの通信モジュールとして実現できる。したがって、所定の回路が構成された小型の半導体装置を実現できる。その結果、本発明に係る半導体装置を用いた携帯機器の小型化を可能とする。
【0025】
また、前記所定の回路は高周波回路であってもよい。
これにより、高周波回路の半導体装置を実現できる。高周波回路とは、取り扱う信号の周波数が高周波の回路である。高周波とは、例えば、無線通信に用いられる周波数であり、特定的には携帯電話端末の通信に用いられる周波数であり、さらに特定的には1920MHz−1980MHzのBandI、1850MHz−1910MHzのBandII、1710MHz−1785MHzのBandIII、1710MHz−1755MHzのBandIV、824MHz−849MHzのBandV、830MHz−840MHzのBandVI、880MHz−915MHzのBandVIIIおよび1749.9MHz−1784.9MHzのBandIXである。
【0026】
また、前記第1シリコン島領域の下方の前記絶縁膜と、前記受動回路の下方の前記絶縁膜と、前記電子部品の下方の前記絶縁膜とは、離間してもよい。
【0027】
これにより、第1能動デバイスと受動回路と電子部品との分離度(いわゆる、アイソレーション特性)を高めることができ、半導体装置の高周波特性が向上する。
【0028】
また、前記絶縁膜は、前記絶縁基板上の全面に形成されていてもよい。
これにより、絶縁基板と絶縁膜との密着力を極めて強くすることができるので、絶縁膜の剥がれ等の問題が発生せず、量産時に安定な半導体装置を製造することができる。言い換えると、製造工程の歩留まりが向上する。更に、この絶縁膜を厚く形成することによって、受動回路を構成する受動部品の高周波性能の1つの目安であるQ値を大きくすることができる。
【0029】
また、前記半導体装置は、さらに、前記絶縁膜上に島状に形成され、第2能動デバイスが形成されたシリコン層である第2シリコン島領域を有し、前記第2能動デバイスは、前記半導体装置に接続されたアンテナと、前記所定の回路との接続及び非接続を選択的に切り替えるスイッチであってもよい。
【0030】
これにより、アンテナと接続されるスイッチを含む1つのモジュールとして実現できる。
【0031】
また、前記半導体装置は、さらに、前記絶縁膜上に島状に形成され、第3能動デバイスが形成されたシリコン層である第3シリコン島領域を有し、前記第3能動デバイスは、前記所定の回路を制御するためのマイコンであってもよい。
【0032】
これにより、所定の回路を制御する制御回路を実現できる。例えば、制御回路としては、所定の回路の動作モード(例えば、通常モードと消費電力削減モード)を切り替える回路が挙げられる。また、半導体装置に実装される高周波スイッチの接続を切り替える回路や、送受信周波数の切り替える回路が挙げられる。
【0033】
また、前記第1能動デバイスは、トランジスタであり、前記マイコンは、前記トランジスタのバイアス電圧を制御するバイアス制御回路を有してもよい。
【0034】
また、前記マイコンは、前記半導体装置に接続された外部機器とのインタ−フェース回路を有してもよい。
【0035】
また、前記電極は、前記絶縁基板の前記絶縁膜が形成された面と反対の面に形成され、前記半導体装置は、さらに、前記絶縁基板を貫通し、前記配線と前記電極とを接続する貫通電極を備えてもよい。
【0036】
これにより、一層小型化できる。
また、前記絶縁基板はサファイア基板であり、前記絶縁膜は二酸化シリコンであり、前記絶縁基板と前記シリコン島領域とは、前記絶縁膜を介して張り合わされていてもよい。
【0037】
これにより、接着剤等を用いることなく、絶縁基板とシリコン島領域とが絶縁膜を介して張り合わされているので、例えば、図11〜図13の放熱用部材805のような放熱用部材が不要となり、より一層小型化できる。なお、シリコン島領域からの発熱は効率的に絶縁基板としてのサファイア基板に発散され、従来の半導体装置で必要であった放熱用部材を省略しても、何ら問題とはない。
【0038】
また、絶縁基板とシリコン島領域とが絶縁膜を介して、密着させることで生ずるファンデルワールス結合や水素結合などを利用して貼り合せられているので、前述したようにその小型化と構成の簡略化が図れると共に、絶縁膜の剥がれなどがなく、半導体装置の量産時の安定性を増すことが可能となる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によると、所定の回路が構成された小型の半導体装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施の形態1に係る半導体装置の構成の一例を示す平面図である。
【図2】図1に示した半導体装置のA−A’線での断面図である。
【図3】図1に示した半導体装置の等価回路を示す回路図である。
【図4】実施の形態2に係る半導体装置の構成の一例を示す平面図である。
【図5】図4に示した半導体装置のB−B’線での断面構造図である。
【図6】実施の形態3に係る半導体装置の構成の一例を示す平面図である。
【図7】実施の形態4に係る半導体装置の構成の一例を示す平面図である。
【図8】実施の形態5に係る半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
【図9】実施の形態6に係る半導体装置の構成の一例を示す平面図である。
【図10】図9に示した半導体装置の等価回路を示す回路図である。
【図11】従来の半導体装置の構造を示す平面図である。
【図12】図11に示した従来の半導体装置において、放熱用部材を省略した状態の構成を示す平面図である。
【図13】図12に示した従来の半導体装置のX−X’線における断面図である。
【図14】従来の半導体装置の半導体チップの回路構成を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態に係る半導体装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、共通する構成要素については、同一の参照番号又は記号を付して示す。また、図面の層や領域の厚さについては、明細書における説明を明確にするために誇張且つ簡略化されて表示されている。また、構造を分かりやすくするため透視図的に表記した場合もある。
【0042】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る半導体装置は、絶縁基板と、前記絶縁基板上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上に島状に形成され、第1能動デバイスが形成されたシリコン層である第1シリコン島領域と、前記第1シリコン島領域外に形成された受動回路を有する受動回路領域と、前記第1シリコン島領域外かつ前記受動回路領域外に形成された電極と、前記電極上に搭載された電子部品と、前記第1能動デバイス、前記受動回路及び前記電極を接続するための配線とを備え、前記第1能動デバイス、前記受動回路、前記電子部品及び前記配線は、所定の回路を構成する。
【0043】
これにより、所定の回路が構成された小型の半導体装置を実現できる。
以下、本発明の実施の形態1の半導体装置について、図1〜図3を参照しながら説明する。
【0044】
図1は、実施の形態1に係る半導体装置の構成の一例を示す平面図であり、図2は図1に示した半導体装置のA−A’線での断面図であり、図3は図1に示した半導体装置の等価回路を示す回路図である。
【0045】
図1及び図2に示す半導体装置100は、高周波回路が構成され、例えば携帯電話に用いられる受信用の半導体装置であって、絶縁基板101と、絶縁膜102a〜102cと、シリコン島領域103と、第1配線層108と、ゲート酸化膜105と、層間絶縁膜107と、第2配線層104と、接合材109と、電極パッドP1〜P5、P_G1〜P_G3、RFin、P_Vdd、RFout1及びRFout2、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルターSAWとを有し、図3に示すような、トランジスタTrと、キャパシターCと、SAWフィルターSAWとを含む高周波回路を実現する。なお、トランジスタTrは本発明の第1能動デバイスであり、キャパシターCは本発明の受動回路であり、SAWフィルターSAWは本発明の電子部品である。また、図1において、SAWフィルターSAWは下に位置する電極構成が見やすくなるように半透視図的に表記されている。
【0046】
絶縁基板101は、例えば、平面サイズが1×2mm程度のサファイア基板である。
絶縁膜102a〜102cのそれぞれは、絶縁基板101上に島状に形成されている。具体的には、絶縁基板101としてのサファイア基板の主面側の所定の位置に形成された、例えば、二酸化シリコン膜である。
【0047】
シリコン島領域103は、本発明の第1シリコン島領域であって、絶縁膜102a上に形成され、上面側にトランジスタTrが形成されている。つまり、一部の絶縁膜102a〜102cの上部にはシリコン島領域103が残され、例えばMOS(Metal−Oxide−Silicon)型のトランジスタTrが形成されている。
【0048】
第1配線層108の一部は、MOS型のトランジスタTrのソース電極Sやドレイン電極Dやゲート電極Gとして用いられ、材料としては低抵抗のポリシリコンなどが用いられる。具体的には、ゲート酸化膜105の上部に配置された第1配線層108は、MOS型のトランジスタTrのゲート電極Gとなる。また、第1配線層108の他の一部は、キャパシターCの一方の電極として用いられる。
【0049】
ゲート酸化膜105は、例えば二酸化シリコン(SiO2)であり、ゲート電極Gとシリコン島領域103との間に介在する。
【0050】
層間絶縁膜107は、例えばSiO2であり、絶縁膜102b上の第1配線層108と、絶縁膜102b上方の第2配線層104との間に介在する。これにより、絶縁膜102b上の第1配線層108と、層間絶縁膜107と、絶縁膜102b上方の第2配線層104とにより、キャパシターCが実現される。つまり、このキャパシターCは、MIM(Metal Insulator Metal)キャパシターである。
【0051】
第2配線層104は、MOS型のトランジスタTrから外部への引き出し電極やそれぞれの回路要素を相互に接続し、所定の回路を形成するための、例えばアルミニウム材料が用いられる。本発明の実施の形態1において、回路要素とは、前述したMOS型のトランジスタTrとMIM(Metal−Insulator−Metal)キャパシターCと、絶縁基板101の上部に設けられた所定の電極P1〜P5に搭載される電子部品であるSAWフィルターSAWとである。つまり、第2配線層104は、本発明の配線であって、トランジスタTrと、キャパシターCと、SAWフィルターSAWとを接続する。また、トランジスタTrと、キャパシターCと、SAWフィルターSAWと、第2配線層104とは、例えば携帯電話の受信回路のような所定の回路を構成する。
【0052】
接合材109は、電極パッドP1〜P5に、SAWフィルターSAWを電気的及び物理的に接続する、例えば半田である。具体的には、接合材109は、SAWフィルターSAWの部品電極110と電極パッドP1〜P5とを接続する。
【0053】
電極パッドP1〜P5は、本発明の電極であって、シリコン島領域103外かつ受動回路領域外に形成されている。
【0054】
ここで、本実施の形態において、受動回路領域とは、コンデンサCが形成されている領域であり、特定的には、コンデンサCを構成する層間絶縁膜107が形成されている領域である。
【0055】
電極パッドP_G1〜P_G3、RFin、P_Vdd、RFout1及びRFout2は、半導体装置100の外部接続用の電極パッドである。半導体装置100とパッケージとの組立工程において、これらの電極パッドP_G1〜P_G3、RFin、P_Vdd、RFout1及びRFout2にボンディングワイヤーを打ってパッケージなどに接続する。具体的には、電極パッドP_G1〜P_G3はグランドに接続されたグランド端子であり、電極パッドP_Vddは電圧Vddが供給される電源端子であり、電極パッドRFinは半導体装置100と接続されたアンテナで受信された受信信号が入力される半導体装置100の入力端子であり、電極パッドRFout1及び電極パッドRFout2は半導体装置100の出力端子である。
【0056】
SAWフィルターSAWは、バランス出力型のSAWフィルターであり、電極パッドP1及び接合材109を介して入力される不平衡の高周波信号のノイズを除去し、ノイズが除去された平衡な高周波信号を出力する。このSAWフィルターSAWは、半導体装置100のSAWフィルターSAW以外の各回路要素が構成された後に、マウンターと呼ばれる電子部品高速実装機により実装される。
【0057】
以上のように構成された半導体装置100により、図3に示す受信回路が実現される。ここで、図3に示す受信回路について、簡単に説明する。
【0058】
トランジスタTrは、ゲートが電極パッドRFinに接続され、ソースが電極パッドP_G1に接続され、ドレインがキャパシターCの一端に接続されている。なお、ドレインは電極パッドVddにも接続されている。つまり、このトランジスタはソース接地の増幅トランジスタであり、例えばLNA(Low Noise Amplifier)である。
【0059】
トランジスタTrで増幅された高周波信号は、キャパシターCで直流成分がカットされ、SAWフィルターSAWに入力される。
【0060】
ここで、SAWフィルターSAWに入力された高周波信号は不平衡であり、SAWフィルターSAWでノイズが除去され、電極パッドRFout1及びRFout2から平衡な高周波信号となって出力される。つまり、バランス出力される。
【0061】
このように、半導体装置100により実現される受信回路は、入力された高周波信号の増幅及びノイズ除去及を行い、バランス出力する。
【0062】
以上のように、本実施の形態に係る半導体装置100は、絶縁基板101と、絶縁基板101上に形成された絶縁膜103a〜103cと、絶縁膜103a上に島状に形成され、トランジスタTrが形成されたシリコン層であるシリコン島領域103と、シリコン島領域103外に形成されたキャパシターCを有する受動回路領域と、シリコン島領域103外かつ受動回路領域外に形成された電極パッドP1〜P5と、電極パッドP1〜P5上に搭載されたSAWフィルターSAWと、トランジスタTr、キャパシターC及び電極パッドP1〜P5を接続するための第2配線層104とを備え、トランジスタTr、キャパシターC、SAWフィルターSAW及び第2配線層104は、受信回路を構成する。
【0063】
これにより、本実施の形態に係る半導体装置100は、受信回路が構成された極めて小型化な半導体装置を実現できる。例えば、半導体装置100の大きさを図1の平面図において1mm×2mm程度とできる。
【0064】
即ち、絶縁基板101上の所定の場所に位置する絶縁膜102a上にシリコン島領域103があり、またシリコン島領域103外にキャパシターCが形成されている領域である受動回路領域がある。これらのシリコン島103領域及び受動回路領域は、絶縁基板101上に形成された一体物であり、半導体のプロセス技術で加工できるので、極めて小さく数十ミクロンの単位で作りこむことができる。つまり、上述したようにキャパシターCなどを半導体のプロセス技術で製造できるので、従来はプリント基板に搭載していた部品をシリコン島領域及び受動回路領域が形成された絶縁基板101に搭載でき、例えば携帯電話の1つの通信モジュールとして実現できる。
【0065】
言い換えると、半導体装置100において、SAWフィルターSAWは、従来のプリント基板上ではなく、絶縁基板101上に搭載されている。つまり、半導体装置100は、従来の半導体装置と同程度の大きさで、従来はプリント基板に搭載していた部品を搭載した通信モジュールを実現できる可能性がある。例えば、プリント基板に搭載していた部品とは、SAWフィルターSAW以外に、携帯電話のセットでよく使われるバンドパスフィルターやアンテナ共用器やアイソレーターである。
【0066】
また、本実施の形態に係る半導体装置100において、絶縁基板101はサファイア基板であり、絶縁膜102a〜102cは二酸化シリコンであり、絶縁基板101とシリコン島領域103とは、絶縁膜102aを介して張り合わされている。
【0067】
これにより、接着剤等を用いることなく、絶縁基板101とシリコン島領域103とが絶縁膜102aを介して張り合わされているので、例えば、図11〜図13の放熱用部材805のような放熱用部材が不要となり、より一層小型化できる。なお、シリコン島領域103からの発熱は効率的に絶縁基板101に発散され、従来の半導体装置で必要であった放熱用部材を省略しても、何ら問題とはない。
【0068】
また、本実施の形態に係る半導体装置100において、絶縁膜102aと、絶縁膜102bと、絶縁膜102cとは、離間している。これにより、トランジスタTrとキャパシターCとSAWフィルターSAWとの分離度を高めることができ、半導体装置100の高周波特性が向上する。
【0069】
具体的には、絶縁基板101と、表面が酸化されたことにより表面にSiO2を有するシリコン基板とを貼り合せる方法、いわゆる密着させることで生ずる水素結合やファンデルワールス結合などを利用し結合させ貼り合せた後に、不要な領域のシリコン材料及び不要な領域のSiO2を除去し、所定の回路を構成するのに必要なSiO2である絶縁膜102a〜102cとシリコン島領域103とを局所的に残す。
【0070】
このように、絶縁膜102a〜102cを局所的に残す理由は、例えばMOS型のトランジスタTrとMIMのキャパシターCとの分離度を高めて電磁界による相互作用を極めて少なくして誤動作を少なくする為であり、このように独立した回路要素を第1配線層108や第2配線層104を用い相互に電気的に接続することで、理想状態に近い状態で高周波回路を動作させることができるようになる。
【0071】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る半導体装置は、実施の形態1に係る半導体装置100とほぼ同じであるが、絶縁膜が絶縁基板上の全面に形成されている点が異なる。以下、本実施の形態に係る半導体装置について、実施の形態1に係る半導体装置100と異なる点を中心に説明する。
【0072】
次に、本発明の実施の形態2に係る半導体装置について、図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、実施の形態2に係る半導体装置の構成の一例を示す平面図であり、図5は図4に示した半導体装置のB−B’線での断面図である。
【0073】
図4及び図5に示した本実施の形態に係る半導体装置200は、図1〜図3に示した実施の形態1に係る半導体装置100とほぼ同じであるが、絶縁膜102a〜102cに代わり、絶縁基板101の主面側のほぼ全面に形成された絶縁膜202を有し、この絶縁膜202上にシリコン島領域103が位置している点が異なる。
【0074】
これにより、本実施の形態に係る半導体装置200は、絶縁基板と絶縁膜との密着力を極めて強くすることができるので、絶縁膜の剥がれ等の問題が発生せず、量産時に安定な半導体装置を製造することができる。言い換えると、製造工程の歩留まりが向上する。更に、この絶縁膜を厚く形成することによって、受動回路を構成する受動部品の高周波性能の1つの目安であるQ値を大きくすることができる。
【0075】
具体的には、絶縁基板101と、表面が酸化されたことにより表面にSiO2を有するシリコン基板とを貼り合せた後に、不要なシリコン材料を除去し、SiO2を絶縁基板101のほぼ全面に残すと共にシリコン島領域103を局所的に残す。このように全面に残されたSiO2が絶縁膜202となる。
【0076】
絶縁膜202を絶縁基板101のほぼ全面に残すことにより、上述した絶縁基板101から絶縁膜202の剥がれを低減できることに加えて、次のような効果がある。第1配線層108及び第2配線層104と絶縁基板101との密着度より、第1配線層108及び第2配線層104と絶縁膜202との密着度の方が強い。よって、半導体プロセス途中での第1配線層108及び第2配線層104の剥がれ現象がなくなる。
【0077】
(実施の形態3)
本実施の形態に係る半導体装置は、実施の形態1に係る複数の半導体装置100を有し、さらに、絶縁膜上に島状に形成され、第2能動デバイスが形成されたシリコン層である第2シリコン島領域を有し、第2能動デバイスは、半導体装置に接続されたアンテナと、所定の回路との接続及び非接続とを選択的に切り替えるスイッチである。さらに、本実施の形態に係る半導体装置は、絶縁膜上に島状に形成され、第3能動デバイスが形成されたシリコン層である第3シリコン島領域を有し、第3能動デバイスは、所定の回路を制御するためのマイコンである。
【0078】
次に、本発明の実施の形態3に係る半導体装置について、図6を参照しながら説明する。
【0079】
図6は、実施の形態3に係る半導体装置の構成の一例を示す平面図である。なお、同図には、半導体装置300に接続されるアンテナANTも示されている。
【0080】
図6に示す半導体装置300は、図1に示した本発明の実施の形態1に係る半導体装置100と類似の構成を有する受信回路Rx1〜Rx3と、高周波スイッチ機能ブロック313が形成されたシリコン島領域311と、マイコンブロック314が形成されたシリコン島領域312と、絶縁膜302aと、絶縁膜302bとを有する。
【0081】
受信回路Rx1〜Rx3は、互いに受信周波数が異なる。即ち、本発明の実施の形態1に係る半導体装置100と類似の3系統の異なる周波数の受信系である。
【0082】
高周波スイッチ機能ブロック313は、本発明の第2能動デバイスであって、アンテナANTと、受信回路Rx1〜Rx3のいずれかとを選択的に接続する。つまり、これらの3系統を切り替える。この高周波スイッチ機能ブロック313は、絶縁膜302a上に島状に形成されたシリコン層であるシリコン島領域に形成されている。なお、高周波スイッチ機能ブロック313が形成されたシリコン島領域311は、本発明の第2シリコン島領域である。
【0083】
マイコンブロック314は、本発明の第3能動デバイスであって、外部とのデーターのやり取りや命令コマンドを受け取り、実行する。具体的には、このマイコンブロック314は、本発明のマイコンであって、受信回路Rx1〜Rx3を制御する。具体的には、外部とのデーターのやり取りや命令コマンドを受け取る、本発明のインターフェース回路であるインターフェース回路機能と、高周波スイッチの切り替えや受信周波数の選択などを行なう機能制御回路機能と、回路の動作モード切り替え(例えば消費電力を抑えるモードや動作電圧の昇降圧や電源のオン/オフなど)を行なう、本発明のバイアス制御回路であるバイアス制御回路機能と、コマンドや周波数情報をデーターとして一時的に保存したり呼び出したりできる記憶機能を有している。つまり、マイコンブロック314は、半導体装置300に接続された外部機器とのインターフェース回路と、受信回路Rx1〜Rx3のトランジスタTr1〜Tr3のバイアス電圧を制御するバイアス制御回路を有する。
【0084】
このマイコンブロック314からは、アンテナ制御信号線341が引き出されて高周波スイッチ機能ブロック313に接続され、高周波スイッチの切り替えがこのアンテナ制御信号線341を介して行われる。このマイコンブロック314は、絶縁膜302b上に島状に形成されたシリコン層であるシリコン島領域312に形成されている。なお、マイコンブロック314が形成されたシリコン島領域は、本発明の第3シリコン島領域である。
【0085】
次に、本実施の形態に係る半導体装置300の動作について説明する。なお、図6において、アンテナANTは、例えば第1周波数と第2周波数と第3周波数の3つの周波数を同時に受信できる能力を持つと想定している。
【0086】
アンテナANTで受信された高周波信号は、本実施の形態の半導体装置300のアンテナ端子SWaに入力される。
【0087】
高周波スイッチ機能ブロック313のアンテナ端子SWaは、例えば図6の例では第2周波数のバンドを増幅する受信回路Rx2と接続されている。よって、アンテナ端子SWaに入力された高周波信号は、高周波第2入力信号線352を介して、この場合ソース接地のトランジスタTr2のゲート端子に入力される。
【0088】
トランジスタTr2のゲート端子に入力された高周波信号は、トランジスタTr2で増幅され、トランジスタTr2のドレイン端子から出力される。トランジスタで増幅された信号はトランジスタのドレイン端子からDC電流を阻止するキャパシターを介して、バランス出力型のSAWフィルターSAW2に入力される。
【0089】
SAWフィルターSAW2に入力された高周波信号は所定のバンド幅でフィルタリングされ、第2バランス型出力端子RFout21とRFout22に出力される。
【0090】
なお、端子GND21及びGND22は、バランス出力する時の共通接地端子である。また、トランジスタTr2のゲート電極には、第2ゲートバイアス線322を介してゲートの直流バイアスが印加される。同様に、トランジスタTr2のドレイン電極にはドレインバイアス線320を介してドレインの直流バイアスが印加される。これらのゲート電極とドレイン電極に印加されるDCバイアスは、マイコンブロック314で制御される。
【0091】
アンテナANTと各バンドに対応する受信回路Rx1〜Rx3との接続の切り替えは、アンテナ制御信号線341を介して、マイコンブロック314により制御される。
【0092】
なお、上記では、第2周波数の受信回路Rx2を動作させる場合の半導体装置300の動作について説明したが、第1周波数の受信回路Rx3及び第3周波数の受信回路Rx3を動作させる場合の動作についても、ほぼ同じである。
【0093】
具体的には、第1周波数の受信回路Rx1を動作させる場合には、高周波スイッチ機能ブロック313のスイッチを高周波第1入力信号線351に繋がるように切り替え、トランジスタTr1のゲートに高周波信号を入力する。この場合も、第1ゲートバイアス線321とドレインバイアス線320により、トランジスタTr1のバイアス点が設定され増幅動作をする。この場合、SAWフィルターSAW2でフィルタリングされた信号は、第1バランス型出力端子RFout11とRFout12から出力されるのである。端子GND11及びGND12は、バランス出力する時の共通接地端子である。同様に、第3周波数の受信回路Rx3を動作させる場合には、高周波スイッチ機能ブロック313のスイッチを高周波第3入力信号線353に繋がるように切り替え、トランジスタTr3のゲートに高周波信号を入力する。この場合も、第3ゲートバイアス線323とドレインバイアス線320により、トランジスタTr3のバイアス点が設定され増幅動作をする。この場合、SAWフィルターSAW3でフィルタリングされた信号は、第3バランス型出力端子RFout31とRFout32から出力される。端子GND31及びGND32は、バランス出力する時の共通接地端子である。
【0094】
これらの制御は、第1データー端子D1、第2データー端子D2、第3データー端子D3に送られる半導体装置300が実装されている機器全体を制御するデジタルベースバンドと呼ばれる高機能なマイコンからのデーターとコマンドによって行われる。
【0095】
以上のように、本実施の形態に係る半導体装置300は、実施の形態1に係る半導体装置100を3つ有し、さらに、絶縁膜302a上に島状に形成され、高周波スイッチ機能ブロック313が形成されたシリコン層であるシリコン島領域311を有し、高周波スイッチ機能ブロック313は、半導体装置に接続されたアンテナANTと、受信回路Rx1〜Rx2との接続及び非接続とを選択的に切り替えるスイッチである。
【0096】
これにより、半導体装置300は、アンテナANTと接続される高周波スイッチ機能ブロック313を含む1つのモジュールとして実現できる。
【0097】
また、本実施の形態に係る半導体装置300は、絶縁膜302b上に島状に形成され、マイコンブロック314が形成されたシリコン層であるシリコン島領域312を有し、マイコンブロック314は、受信回路Rx1〜Rx3を制御するためのマイコンである。
【0098】
これにより、受信回路Rx1〜Rx3を制御する制御回路を実現できる。例えば、制御回路としては、受信回路Rx1〜Rx3の動作モード(例えば、通常モードと消費電力削減モード)を切り替える回路が挙げられる。また、半導体装置300に実装される高周波スイッチ機能ブロック313の接続を切り替える回路や、送受信周波数の切り替える回路が挙げられる。
【0099】
また、本実施の形態において、高周波スイッチ機能ブロック313及びマイコンブロック314は、増幅回路Rx1〜Rx3に用いたトランジスタTr1〜Tr3と同様のシリコン島領域構造、即ち、絶縁基板101としてのサファイア基板上に絶縁膜302a及び302bを介してシリコン島領域がその上に位置した構造である。つまり、高周波スイッチ機能ブロック313及びマイコンブロック314は、そのシリコン島領域の中に半導体プロセスにより形成された複数のトランジスタを用いて形成された回路ブロックである。受信回路Rx1〜Rx3に用いたトランジスタTr1〜Tr3のシリコン島領域103と、この高周波スイッチ機能ブロック313のシリコン島領域311及びマイコンブロック314のシリコン島領域312の違いはその能動トランジスタの数だけで、増幅器と高周波スイッチ機能ブロック313とマイコンブロック314は同一の半導体プロセスで作られる。前述したように、本実施の形態においても、絶縁基板101に、表面が酸化されたシリコン基板を貼り合せる方法、いわゆる密着させることで生ずる水素結合やファンデルワールス結合などを利用し結合させた後に、不要なシリコン材料を除去し、受信回路Rx1〜Rx3の絶縁膜102及びシリコン島領域103と、絶縁膜302a及び302bと、シリコン島領域311及び312とを、絶縁基板101上の所定の場所に残す。
【0100】
本発明においては、従来の配線基板上ではなく、絶縁基板101としてのサファイア基板にSAWフィルターをこの場合3個搭載している。この場合のSAWフィルターは、同様にバランス出力型のSAWフィルターを実施例3では想定している。これだけの機能の半導体装置を実現しても、本発明によれば従来よりも外形寸法は小さくでき、しかも放熱の対応も不要である。しかも、特性のばらつきが少なく、剥がれなどの量産時の課題も少ないのは、前述した通りである。
【0101】
(実施の形態4)
実施の形態4に係る半導体装置は、実施の形態3に係る半導体装置300とほぼ同じであるが、絶縁膜が絶縁基板上の全面に形成されている点が異なる。以下、本実施の形態に係る半導体装置について、実施の形態3に係る半導体装置300と異なる点を中心に説明する。
【0102】
実施の形態4に係る半導体装置について、図7を参照しながら説明する。
図7は、実施の形態4に係る半導体装置の構成の一例を示す平面図である。
【0103】
図7に示した実施の形態4に係る半導体装置400は、図6に示した実施の形態3に係る半導体装置300と比較して、絶縁基板101の主面側のほぼ全面に形成された絶縁膜402を有し、この絶縁膜402上に、受信回路Rx1〜Rx3のシリコン島領域103と、高周波スイッチ機能ブロック313が形成されたシリコン島領域311と、マイコンブロック314が形成されたシリコン島領域312とが位置している点が異なる。
【0104】
これにより、本実施の形態に係る半導体装置400は、絶縁基板101と絶縁膜402との密着力を極めて強くすることができるので、絶縁膜402の剥がれ等の問題が発生せず、量産時に安定な半導体装置を製造することができる。言い換えると、製造工程の歩留まりが向上する。更に、この絶縁膜を厚く形成することによって、受動回路を構成する受動部品の高周波性能の1つの目安であるQ値を大きくすることができる。よって、受信回路Rx1〜Rx3のキャパシターC1〜C3のQ値を大きくすることができる。
【0105】
具体的には、絶縁基板101と、表面が酸化されたことにより表面にSiO2を有するシリコン基板とを貼り合せた後に、不要なシリコン材料を除去し、SiO2を絶縁基板101のほぼ全面に残すと共に、受信回路Rx1〜Rx3のシリコン島領域103と、シリコン島領域311と、シリコン島領域312とを局所的に残す。このように全面に残されたSiO2が絶縁膜402となる。
【0106】
実施の形態2で述べたように、絶縁膜402を絶縁基板101のほぼ全面に残すことにより、上述した絶縁基板101から絶縁膜202の剥がれを低減できることに加えて、半導体プロセス途中において、受信回路Rx1〜Rx3の第1配線層108及び第2配線層104の剥がれ現象がなくなるなどの効果がある。
【0107】
(実施の形態5)
実施の形態5に係る半導体装置は、実施の形態1に係る半導体装置100と比較して、電極が絶縁基板の絶縁膜が形成された面と反対の面に形成され、さらに、絶縁基板を貫通し、配線と電極とを接続する貫通電極を備える。
【0108】
次に、本発明の実施の形態5に係る半導体装置について、図8を参照しながら説明する。
【0109】
図8は、実施の形態5に係る半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
同図に示す半導体装置500は、図2に示した半導体装置100と比較して、SAWフィルターSAWを搭載するための基板裏面側電極513が、絶縁基板101の絶縁膜102a及び102bが形成された面と反対の面に形成され、さらに、絶縁基板101を貫通し、第2配線層104と基板裏面側電極513とを接続する基板貫通電極512を備える。なお、基板裏面側電極513は本発明の電極であり、基板貫通電極512は本発明の貫通電極である。
【0110】
具体的には、SAWフィルターSAWの部品電極110は絶縁基板101としてのサファイア基板の反対主面側に設けられた基板裏面側電極513と接合材109を介し電気的に接続されると共に、物理的にも固定される。この基板裏面側電極513に電気的に接続され、絶縁基板101の所定の場所に設けられた基板貫通電極512が、絶縁基板101の主面側あるトランジスタやキャパシターなどの各種の回路要素と、絶縁基板101の反対主面側にあるSAWフィルターSAWの部品電極110を電気的に相互に接続して、回路を形成する。また、絶縁基板101の主面側には保護樹脂501が設けられていると共に、表面側柱電極502を介して接続用バンプ503につながれている。
【0111】
これにより、本実施の形態に係る半導体装置500は、実施の形態1に係る半導体装置100と比較して、絶縁基板101の反対主面側にもSAWフィルターSAWを搭載することができるようになり、更に小型化した半導体装置を実現できる。
【0112】
(実施の形態6)
実施の形態1〜5において、本発明に係る半導体装置を受信用の半導体装置として実現した構成について説明したが、本発明に係る半導体装置は、例えば、例えば携帯電話に用いられる送信用の半導体装置としても実現できる。
【0113】
以下、実施の形態6として、本発明に係る半導体装置を送信用の半導体装置として構成する場合について、図9及び図10を参照しながら説明する。図9は、実施の形態6に係る半導体装置の構成の一例を示す平面図、図10は図9に示した半導体装置の等価回路を示す回路図である。
【0114】
図9に示すように、半導体装置600は、絶縁基板101と、絶縁基板上に形成された絶縁膜602a〜602fと、絶縁膜602a上のシリコン島領域603aに形成されたトランジスタTr1と、絶縁膜602b上に形成されたキャパシターC1と、絶縁膜602c上のシリコン島領域603cに形成されたトランジスタTr2と、絶縁膜602d上のシリコン島領域603dに形成されたトランジスタTr3と、絶縁膜602e上に形成されたキャパシターC2と、絶縁膜602f上に形成されたアイソレーター650とを備える。
【0115】
図10は、図9に示した半導体装置100の等価回路図である。図9に示した電極パッドPinは入力端子であり、バイアスされた高周波信号Vg1+RFinが入力される。また、電極パッドP_Vdd1は電源端子であり電圧Vdd1が供給される。同様に、電極パッドP_Vdd2は電源端子であり電圧Vdd2が供給される。電極パッドP_Vg2はバイアス端子であり、トランジスタTr2及びTr3のバイアス電圧Vg2が供給される。電極パッドP_G1〜P_G3はグランドに接続されたグランド端子である。電極パッドPoutは出力端子であり、出力信号RFoutが出力される。
【0116】
以上のように、本実施の形態に係る半導体装置600は、絶縁基板101と、絶縁基板101上に形成された絶縁膜602a〜602fと、絶縁膜602a上に島状に形成され、トランジスタTr1が形成されたシリコン層であるシリコン島領域603aと、絶縁膜602c上に島状に形成され、トランジスタTr2が形成されたシリコン層であるシリコン島領域603cと、絶縁膜602d上に島状に形成され、トランジスタTr3が形成されたシリコン層であるシリコン島領域603dと、シリコン島領域603a、603c及び603d外に形成されたキャパシターC1及びキャパシターC2を有する受動回路領域と、シリコン島領域603a、603c及び603d外かつ受動回路領域外に形成された電極パッドP61〜P63と、電極パッドP61〜P63上に搭載されたアイソレーター650と、トランジスタTr1〜Tr2とキャパシターC1及びC2と電極パッドP61〜P63とを接続するための第2配線層104とを備え、トランジスタTr1〜Tr2とキャパシターC1及びC2、アイソレーター650及び第2配線層104は、例えば携帯電話の送信回路を構成する。
【0117】
これにより、本実施の形態に係る半導体装置600は、実施の形態1に係る半導体装置100と同様に極めて小型化できる。つまり、送信回路が構成された小型の半導体装置を実現できる。
【0118】
以上、本発明に係る半導体装置について各実施の形態に基づき説明したが、本発明は、これら実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、各実施の形態の組み合わせたものや、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも、本発明の範囲内に含まれる。
【0119】
例えば、上記実施の形態において、受動回路としてキャパシターの構成を示したが、インダクターを有する構成であってもよい。具体的には、高周波回路で用いることの多いスパイラルインダクターも第1配線層108と第2配線層104とを用い半導体プロセスで形成可能であり、小型化が可能となる。
【0120】
また、上記した実施の形態では、サファイア基板上に形成されたシリコン島領域、いわゆるSOS構造を有する基板においてシリコン島領域及び絶縁島領域上に、トランジスタや容量、インダクターなどの素子が形成されているが、SOS構造を有する基板上に形成される素子は、その他のものであってもよい。また、電子素子に限らず、光学素子等と組み合わせてもよい。また、例えば、あらかじめ別工程で製造された受動素子、能動素子等をSOS基板上に配置してもよい。
【0121】
また、上記した実施の形態では、絶縁膜は、シリコンを酸化したSiO2により形成されたが、シリコンを酸化する方法に限らず、別途絶縁膜としてCVD法などの方法により堆積したものであってもよい。また、SiO2に限らずその他の絶縁膜であってもよい。
【0122】
また、上記した実施の形態では、サファイア基板上にシリコン基板を貼り合わせ法により貼り合わせて接合したが、その他の方法により接合してもよい。
【0123】
また、上記した半導体装置において、シリコン島領域直下を除く他の領域の絶縁膜の膜厚を該直下の膜厚よりも薄く形成してもよい。これにより、シリコン島領域に形成された能動デバイスで発生する熱を効率よく絶縁基板へ逃がすことができ、放熱効率が向上する。
【0124】
また、シリコン島領域直下を除く他の領域では、絶縁膜をエッチング等により完全に除去してもよい。また、シリコン島領域だけに限らず、配線層直下を除く他の領域の絶縁膜の膜厚を該直下の膜厚よりも薄く形成してもよい。
【0125】
また、第1の配線層、第2の配線層、電極パッドを構成する材料は、上記した材料に限らず導電性を有する材料であればよく、例えば、Al、Cu、Auであってもよい。
【0126】
また、シリコン島領域の形状、大きさは、上記した実施の形態に示した例に限らずどのように変更してもよい。
【0127】
また、本発明に係る半導体装置を備えた各種デバイスなども本発明に含まれる。例えば、SOS基板上に形成した能動素子や受動素子、これらの素子を備えた送信用及び受信用の高周波集積回路、これらの素子や高周波集積回路を含む高周波無線通信システムも本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明の半導体装置は、携帯電話などの通信機器の受信や送信を行なう、いわゆるフロントエンドのブロック、特にマルチバンド、マルチモードの通信に対応するフロントエンドブロックに適用する半導体装置として有用である。
【符号の説明】
【0129】
100、200、300、400、500、600、801 半導体装置
101 絶縁基板
102a〜102c、202、302a、302b、402、602a〜602f 絶縁膜
103、311、312、603a、603c、603d シリコン島領域
104 第2配線層
105 ゲート酸化膜
107 層間絶縁膜
108 第1配線層
109 接合材
313 高周波スイッチ機能ブロック
314 マイコンブロック
320 ドレインバイアス線
321 第1ゲートバイアス線
322 第2ゲートバイアス線
323 第3ゲートバイアス線
341 アンテナ制御信号線
351 高周波第1入力信号線
352 高周波第2入力信号線
353 高周波第3入力信号線
501 保護樹脂
502 表面側柱電極
503 接続用バンプ
512 基板貫通電極
513 基板裏面側電極
650 アイソレーター
802 配線基板
802a 配線基板の主面
802b 配線基板の下面
803 半導体チップ
803a 半導体チップの表面
803b 半導体チップの裏面
804、804a、804b 受動部品
805 放熱用部材
805a 側壁部
805b 天井部
805c 放熱用部材の天井部の表面
805d 放熱用部材との接合部
806 マーキング
807 接合材
808 バンプ電極
810 ビアホール
811 絶縁体層
812a 基板側電極
812c 基準電位供給用端子
813a トランジスタ
813b 制御回路
C、C1、C2、C3 キャパシター
D ドレイン電極
D1 第1データー端子
D2 第2データー端子
D3 第3データー端子
G ゲート電極
GND11、GND12、GND21、GND22、GND31、GND32 端子
P1〜P5、P_61〜P_63、P_G1〜P_G3、Pin、Pout、P_Vg2P_Vdd、P_Vdd1、R_Vdd2、RFin、RFout1、RFout2 電極パッド
RFout11、RFout12 第1バランス型出力端子
RFout21、RFout22 第2バランス型出力端子
RFout31、RFout32 第3バランス型出力端子
Rx1、Rx2、Rx3 受信回路
S ソース電極
SAW、SAW1、SAW2、SAW3 SAWフィルター
SWa アンテナ端子
Tr、Tr1、Tr2、Tr3 トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
前記絶縁基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に島状に形成され、第1能動デバイスが形成されたシリコン層である第1シリコン島領域と、
前記第1シリコン島領域外に形成された受動回路を有する受動回路領域と、
前記第1シリコン島領域外かつ前記受動回路領域外に形成された電極と、
前記電極上に搭載された電子部品と、
前記第1能動デバイス、前記受動回路及び前記電極を接続するための配線とを備え、
前記第1能動デバイス、前記受動回路、前記電子部品及び前記配線は、所定の回路を構成する
半導体装置。
【請求項2】
前記所定の回路は高周波回路である
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1シリコン島領域の下方の前記絶縁膜と、前記受動回路の下方の前記絶縁膜と、前記電子部品の下方の前記絶縁膜とは、離間している
請求項1又は2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記絶縁膜は、前記絶縁基板上の全面に形成されている
請求項1又は2記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体装置は、さらに、
前記絶縁膜上に島状に形成され、第2能動デバイスが形成されたシリコン層である第2シリコン島領域を有し、
前記第2能動デバイスは、前記半導体装置に接続されたアンテナと、前記所定の回路との接続及び非接続を選択的に切り替えるスイッチである
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体装置は、さらに、
前記絶縁膜上に島状に形成され、第3能動デバイスが形成されたシリコン層である第3シリコン島領域を有し、
前記第3能動デバイスは、前記所定の回路を制御するためのマイコンである
請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1能動デバイスは、トランジスタであり、
前記マイコンは、前記トランジスタのバイアス電圧を制御するバイアス制御回路を有する
請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記マイコンは、前記半導体装置に接続された外部機器とのインタ−フェース回路を有する
請求項6記載の半導体装置。
【請求項9】
前記電極は、前記絶縁基板の前記絶縁膜が形成された面と反対の面に形成され、
前記半導体装置は、さらに、
前記絶縁基板を貫通し、前記配線と前記電極とを接続する貫通電極を備える
請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記絶縁基板はサファイア基板であり、
前記絶縁膜は二酸化シリコンであり、
前記絶縁基板と前記シリコン島領域とは、前記絶縁膜を介して張り合わされている
請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−176061(P2011−176061A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38009(P2010−38009)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】