説明

半導体装置

【課題】パワーモジュール等の機能装置と制御回路基板等の回路基板とを組付ける際に、信号ピン等の各構成要素を、半田付けを排しながら不要な変形等も生じないように、対応する回路基板等の対象部品に簡便かつ確実に組付け可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【解決手段】パワーモジュール50と回路基板80とが、パワーモジュールと回路基板とを電気的に接続する圧入端子71をパワーモジュールに設けられた挿入部56に圧入することによって組付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、パワーモジュール等の機能装置と制御回路基板等の基板とを圧入端子を介して組付ける半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内燃機関であるエンジンと電動機であるモータとを駆動力源として備えるハイブリッド車両が広く普及してきた。かかるハイブリッド車両には、バッテリから供給される直流電力を交流電力流に変換してモータに供給すると共に、モータの回生動作によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリに蓄電するパワードライブユニットが設けられている。
【0003】
パワードライブユニットには、このようなDC/AC変換やAC/DC変換を行うパワーモジュールと各種基板とが設けられ、パワーモジュールと各種基板との間等は、複数の細い長い信号ピンで電気的に接続される構成が採用されている。
【0004】
特許文献1は、電子回路基板40と、電子回路基板に接続される信号ピン42a、42cを有するパワーモジュール44と、電子回路基板とパワーモジュールとの間に介挿される電磁シールド板46と、を備えるパワードライブユニットを開示する。
【0005】
特許文献2は、ハイサイドスイッチ用ゲート駆動回路64aと接続するための第1の信号ピン80を有するハイサイドスイッチ58aと、ローサイドスイッチ用ゲート駆動回路66aと接続するための第2の信号ピン82を有するローサイドスイッチ60aと、ハイサイドスイッチ用ゲート駆動回路64a及びローサイドスイッチ用ゲート駆動回路66aと制御回路70とを接続する第3の信号ピン106を有する接続部材100と、を備えるパワードライブユニットを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献2】特開2009−130177号公報
【特許文献1】特開2006−71309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1及び特許文献2が開示する構成では、各種信号ピンは、半田付けにより対応する基板等に固定される必要があり、各種信号ピンを対応する基板等に組付ける工程が煩雑である。
【0008】
また、各種信号ピンは、細長い形状で複数設けられるものであるから、対応する基板等に挿通した後半田付けで固定する際に、不要な変形等を生じる傾向もあって、かかる不要な変形等を防止するために、煩雑な構成を採用する必要性も生じる。
【0009】
つまり、パワードライブユニット等の半導体装置においては、各種信号ピンを、半田付けを排しながら不要な変形等も生じないように、対応する基板等に簡便かつ確実に固定することのできる新規な構成が待望されている状況にある。
【0010】
本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、パワーモジュール等の機能装置と制御回路基板等の回路基板とを組付ける際に、信号ピン等の各構成要素を、半田付けを排し
ながら不要な変形等も生じないように、対応する回路基板等の対象部品に簡便かつ確実に組付け可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上のような目的を達成するため、本発明は、第1の局面においては、バッテリから供給される直流電流を交流電流に変換して負荷に供給自在なパワーモジュールと、 前記パワーモジュールに対して電気的な接続自在な回路基板と、前記パワーモジュールと前記回路基板とを電気的に接続する圧入端子と、前記パワーモジュールに設けられ、前記圧入端子が圧入される挿入部と、を備え、前記パワーモジュールと前記回路基板とは、前記圧入端子を前記挿入部に圧入することによって組付けられることを特徴とする半導体装置である。
【0012】
また本発明は、第1の局面に加えて、前記圧入端子は、端子モジュールに設けられ、前記パワーモジュールと前記回路基板とは前記端子モジュールを介して接続されることを第2の局面とする。
【0013】
また本発明は、第2の局面に加えて、前記端子モジュールは、前記回路基板に面実装されることを第3の局面とする。
【0014】
また本発明は、第2又は第3の局面に加えて、前記端子モジュールは、前記パワーモジュールと前記回路基板とを互いに位置決めする突起部を備えることを第4の局面とする。
【0015】
また本発明は、第1から第4のいずれかの局面に加えて、前記回路基板は、前記パワーモジュールの動作を制御する制御素子が実装された制御回路基板であり、前記圧入端子は、前記制御回路基板と前記パワーモジュールとの間で信号を入送出するための信号ピンとして機能することを第5の局面とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の局面における半導体装置においては、パワーモジュールと回路基板とが、パワーモジュールと回路基板とを電気的に接続する圧入端子をパワーモジュールに設けられた挿入部に圧入することによって組付けられる構成を有するものであるため、パワーモジュール等の機能装置と制御回路基板等の回路基板とを組付ける際に、信号ピン等の各構成要素を、半田付けを排しながら不要な変形等も生じないように、対応する回路基板等の対象部品に簡便かつ確実に組付けることができる。
【0017】
本発明の第2の局面における半導体装置においては、圧入端子が、端子モジュールに設けられ、パワーモジュールと回路基板とが端子モジュールを介して接続されているため、信号ピン等の各構成要素を、対応する回路基板等の対象部品に対して、半田付けを排しながら不要な変形等も生じないように、より簡便かつ確実に組付けることができる。
【0018】
本発明の第3の局面における半導体装置においては、端子モジュールが、回路基板に面実装されるものであるため、より簡便かつコンパクトな構成で、信号ピンを、対応する回路基板等に対して、半田付けを排しながら不要な変形等も生じないように、確実に組付けることができる。
【0019】
本発明の第4の局面における半導体装置においては、端子モジュールが、パワーモジュールと回路基板とを互いに位置決めする突起部を備えることにより、パワーモジュール等の機能装置と制御回路基板等の回路基板とを組付ける際に、これらの間の位置決めが、簡便かつ確実になされ、信号ピンを、対応する回路基板等に対して、半田付けを排しながら不要な変形等も生じないように、容易かつ確実に組付けることができる。
【0020】
本発明の第5の局面における半導体装置においては、前記回路基板が、前記パワーモジュールの動作を制御する制御素子が実装された制御回路基板であり、圧入端子が、前記制御回路基板と前記パワーモジュールとの間で信号を入送出するための信号ピンとして機能するものであるため、信号ピンを、圧入端子兼用としたより簡便かつ合理的な構成としながら、対応する回路基板等に対して、半田付けを排しながら不要な変形等も生じないように、確実に組付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態における半導体装置が適用される車両の制御関連装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における半導体装置としてのパワードライブユニットの分解斜視図である。
【図3】本実施形態におけるパワードライブユニットの断面図である。
【図4】本実施形態におけるパワードライブユニットのパワーモジュールと信号ピンとの接続構造を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態における半導体装置につき、適宜図面を参照して、詳細に説明する。なお、図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成し、z軸の方向を上下方向とする。
【0023】
まず、本実施形態における半導体装置が適用される車両の制御装置の構成につき、図1を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態における半導体装置については、パワードライブユニットを例に挙げて説明を進める。
【0024】
図1は、本実施形態における半導体装置が適用される車両の制御関連装置の構成を示すブロック図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態において、自動車等の車両に搭載されるモータ10は、PDU(パワードライブユニット)20を介して、バッテリ30に連絡される。
【0026】
モータ10は、典型的には、3相交流等の電力が供給されて動作するDCブラシレスモータ等の交流同期電動機である。かかるモータ10は、車両がモータ10のみを駆動力源とする場合には、車両を駆動する駆動力を供給するものであり、一方で、車両が図示を省略する内燃機関等のエンジンを主駆動力源とする場合には、エンジンの駆動力と補助・補完的に併用されると共に、適宜選択的に、エンジンの始動時のスタータモータやエンジンの稼働時の発電機としても機能することが可能である。また、何れの場合でも、モータ10は、適宜選択的に、車両の減速時の慣性エネルギを利用したエネルギ回生機構として機能することが可能である。
【0027】
バッテリ30は、典型的には、ニッケル水素系やリチウムイオン系の2次電池であり、モータ10やその他の補機に必要な電力を供給すると共に、モータ10等を介して回収される回生電力や、モータ10や別途設けられた図示を省略する発電機等からの発電電力を蓄電することが可能である。
【0028】
PDU20は、モータ10及びバッテリ30を総合的に制御するPCU(パワーコントロールユニット)40の下位コントローラであり、3相交流を用いる場合には、バッテリ30からの直流電流を3相の交流電流に安定的に変換してモータ10に供給するDC/ACコンバータの機能及びモータ10からの回生交流電流等を直流電流に安定的に変換して
バッテリ30に供給するAC/DCコンバータの機能を併せ持つ。なお、かかるPDU20は、必要に応じて、バッテリ30からの直流電流を交流電流に安定的に変換してモータ10に供給するDC/ACコンバータの機能のみを有していてもよい。
【0029】
なお、車両の主駆動力源が図示を省略する燃料電池である場合には、バッテリ30は、補機に必要な電力を供給すると共に、燃料電池の余剰電力や回生電力等を蓄電することが可能である。また、かかる場合、PDU20は、モータ10、バッテリ30及び燃料電池を総合的に制御するPCU40の下位コントローラとして、主として燃料電池からの直流電流を3相の交流電流に安定的に変換してモータ10に供給するDC/ACコンバータの機能及びモータ10からの回生交流電流等を直流電流に安定的に変換してバッテリ30に供給するAC/DCコンバータの機能を併せ持つことになる。
【0030】
次に、PDU20の具体的な構成につき、更に図2及び図3をも参照して、詳細に説明する。
【0031】
図2は、本実施形態における半導体装置としてのパワードライブユニットの分解斜視図であり、図3は、本実施形態におけるパワードライブユニットの断面図である。なお、図3は、図2のA−A断面図に相当し、便宜上、端子モジュールが制御回路基板に装着された状態で示す。
【0032】
図2及び図3に示すように、PDU20は、パワーモジュール50と、ヒートシンク60と、端子モジュール70と、制御回路基板80と、を備える。なお、限定的なものではないが、筐体51は、強度や耐環境性等を考慮して、樹脂や金属製であり、基板52は、伝熱性等を考慮して、銅板等の金属製である。
【0033】
具体的には、パワーモジュール50は、その筐体51内において、基板52上に固定された複数のスイッチング素子53を備える。
【0034】
複数のスイッチング素子53は、限定的なものではないが、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)等のトランジスタから成り、3相交流を用いる場合には、図1に示すバッテリ30からの直流電流を3相の交流電流に変換して図1に示すモータ10に供給するDC/ACコンバータの機能及びモータ10からの回生交流電流等を直流電流に変換してバッテリ30に供給するAC/DCコンバータの機能を併せ持つ。また、パワーモジュール50は、かかる交流電流や直流電流を安定化して供給するための平滑コンデンサや、複数のスイッチング素子53の出力電流を検出する電流センサ等を外装又は内蔵してもよい。
【0035】
かかる複数のスイッチング素子53は、DC/ACコンバータやAC/DCコンバータとして機能するために、各配線54を介し対応して電気的に接続されている。また、パワーモジュール50は、筐体51に入出力端として設けられ、複数のスイッチング素子53に電気的に接続された複数のバスバー55a、55b、55cを備える。
【0036】
また、筐体51は、その上面に陥設された複数の挿入孔56、57を備える。かかる挿入孔のうち、複数の挿入孔56の各内面には、図示を省略する配線を介し、複数のスイッチング素子53に電気的に接続される鉄等の金属製の筒状端子58が固設される。かかる筒状端子58は、筒状には限らず、圧入性や導通性を具備した複数の板状等の形状が採用可能である。また、複数の挿入孔57は、複数の挿入孔56を両端で挟むように配された一対の挿入孔57、57であり、それらの孔深は、各挿入孔56の筒状端子58の孔深よりも大きく設定される。もちろん、かかる複数の挿入孔57は、複数の挿入孔56の列の周囲や間にも適宜増設して配してもかまわない。
【0037】
ヒートシンク60は、放熱性等を考慮してアルミニウム等の金属製であり、その下方に複数の冷却フィン60aを備える。ヒートシンク60の上面には、接着材59を介して、複数のスイッチング素子53を上面に固定する基板52の下面が、固定される。かかる接着材59としては、限定的なものではないが、伝熱性等を考慮して、グリースで覆われたセラミックシート等が採用され得る。
【0038】
端子モジュール70は、樹脂製でブロック状の本体部を有し、その内部を上下方向に複数の金属製等の信号ピン71が貫通して固定されると共に、複数の信号ピン71の列の両端で、端子モジュール70の本体部の下面から下方に延在する位置決め用の一対の挿入突起72、72を備える。
【0039】
かかる複数の信号ピン71の各々は、それらの下方で例えばx軸の方向に縮変形自在な断面楕円弧状で中空状の圧入部71aを一体に備え、圧入端子としても機能する。かかる縮変形自在な圧入部71aにおける例えばx軸方向の圧入前の初期幅は、所定の圧入代が確保できるように、パワーモジュール50の筐体51の上面で陥設された複数の挿入孔56における筒状端子58の内径よりも大きく設定される。なお、圧入部71aの形状は、筒状端子58に所定の圧入代で圧入され得るものであれば、断面楕円弧状や中空状のものに限らず他の形状も適宜選択可能であり、圧入時の変形モードも、縮変形以外の変形モードが採用可能であり、また、弾性変形以外に塑性変形するものであってもよい。また、圧入部71aは、信号ピン71と別体として、かつ同種又は異種の導電材料で構成してもかまわない。
【0040】
また、一対の挿入突起72、72における端子モジュール70の本体部の下面からの突出長さは、各信号ピン71における端子モジュール70の本体部の下面からの突出長さよりも大きく設定される。なお、複数の信号ピン71は、筐体51の複数の挿入孔56に対応自在であり、一対の挿入突起72、72は、筐体51の一対の挿入孔57、57に対応自在である。
【0041】
制御回路基板80は、エポキシ基板等のプリント基板であり、端子モジュール70の複数の信号ピン71に対応自在に上下に貫通した複数の挿通孔81を備える。かかる制御回路基板80の上面には、複数の信号ピン71を介して、パワーモジュール50の筐体51内に設けられた複数のスイッチング素子53との間で制御信号等の信号を入出力するための図示を省略する制御素子等が面実装され、複数の挿通孔81の周部と制御素子との間等は、図示を省略するプリント配線で電気的に接続される。
【0042】
次に、PDU20の組立て方法につき、更に図4をも参照して、詳細に説明する。
【0043】
図4は、本実施形態におけるパワードライブユニットのパワーモジュールと信号ピンとの接続構造を示す部分拡大図である。
【0044】
まず、PDU20を組立てるには、図3に示すように、筐体51内の基板52上に複数のスイッチング素子53を実装したパワーモジュール50を用意する。ついで、かかるパワーモジュール50の基板52の下面を、接着材59を介して、ヒートシンク60の上面に接着して、パワーモジュール50及びヒートシンク60から成る組立て体を構成する。
【0045】
一方で、複数の信号ピン71が貫通して固定され、かつ一対の挿入突起72、72を備えた端子モジュール70を、複数の信号ピン71の上端が制御回路基板80の複数の挿通孔81に対応して挿通された状態にして、制御回路基板80の下面に面実装した組立て体を用意する。かかる端子モジュール70及び制御回路基板80から成る組立て体において
は、端子モジュール70の複数の信号ピン71と、制御回路基板80の制御素子と、が、制御回路基板80のプリント配線を介して、電気的に接続されている。
【0046】
ついで、パワーモジュール50及びヒートシンク60から成る組立て体と、端子モジュール70及び制御回路基板80から成る組立て体と、を上下方向で対向させた後、端子モジュール70の一対の挿入突起72、72を、パワーモジュール50の筐体51の一対の挿入孔57、57に対応して挿入する。ここで、端子モジュール70において、一対の挿入突起72、72における端子モジュール70の下面からの各突出長さは、複数の信号ピン71における端子モジュール70の下面からの各突出長さよりも大きく設定されているため、複数の信号ピン71よりも先に一対の挿入突起72、72が一対の挿入孔57、57に対応して到達して、複数の信号ピン71が不要な変形等を生じることなく、端子モジュール70及び制御回路基板80を、パワーモジュール50に対してx−y平面上で正確に位置決めすることができる。
【0047】
ついで、かかる状態で、更に、端子モジュール70及び制御回路基板80から成る組立て体における端子モジュール70の一対の挿入突起72、72を、パワーモジュール50及びヒートシンク60から成る組立て体におけるパワーモジュール50の筐体51の一対の挿入孔57、57に挿入し続けながら、端子モジュール70の複数の信号ピン71の圧入部71aを、パワーモジュール50の筐体51の複数の挿入孔56における筒状端子58に対応して挿入していく。ここで、各信号ピン71の圧入部71aの圧入前の初期幅は、対応する挿入孔56の筒状端子58の内径よりも大きく設定されているため、かかる圧入部71aは、所定の圧入代を確保しながら縮変形して、対応する挿入孔56の筒状端子58に圧入されていくことになる。
【0048】
そして、更に、端子モジュール70及び制御回路基板80から成る組立て体における端子モジュール70の一対の挿入突起72、72を、パワーモジュール50及びヒートシンク60から成る組立て体におけるパワーモジュール50の筐体51の一対の挿入孔57、57に挿入し続けると、一対の挿入突起72、72の先端が、一対の挿入孔57、57の最深部に当接して、かかる組立て体同士が上下方向にも位置決めされた状態で、端子モジュール70の複数の信号ピン71における圧入部71aの最深部が、パワーモジュール50の筐体51の複数の挿入孔56における筒状端子58の最深部に対応して到達し、複数の信号ピン71を複数の挿入孔56に対応して圧入し終わることになる。かかる状態で、パワーモジュール50及びヒートシンク60から成る組立て体と、端子モジュール70及び制御回路基板80から成る組立て体と、は固定され、PDU20が組立てられることになる。
【0049】
ここで、図4に示すように、端子モジュール70の複数の信号ピン71の圧入部71aは、パワーモジュール50の筐体51に設けられた複数の挿入孔56の筒状端子58に対応して確実に圧接されており、複数の信号ピン71は、パワーモジュール50の複数のスイッチング素子53に対応して電気的に接続されることになる。なお、一対の挿入突起72、72の先端が、一対の挿入孔57、57の最深部に対応して当接する際に、端子モジュール70の本体部の下面と、パワーモジュール50の筐体51の上面と、を当接させて、端子モジュール70及び制御回路基板80から成る組立て体と、パワーモジュール50及びヒートシンク60から成る組立て体と、が、上下方向でより確実に位置決めされる構成を採用してもよい。
【0050】
なお、PDU20を組立てる際には、先に、パワーモジュール50と、端子モジュール70及び制御回路基板80から成る組立て体と、を用意して、パワーモジュール50、端子モジュール70及び制御回路基板80から成る組立て体を構成し、かかる組立て体におけるパワーモジュール50の基板52の下面を、接着材59を介して、ヒートシンク60
の上面に接着して、PDU20を組立ててもよい。
【0051】
以上の構成のPDU20をPCU40の支配の下でDC/ACコンバータとして動作させると、パワーモジュール50の複数のスイッチング素子53は、パワーモジュール50の筐体51に設けられたバスバー55a、55bから直流電流を入力されながら、制御回路基板80に実装された制御素子から端子モジュール70の複数の信号ピン71を介して入力される制御信号に応じて、所定のDC/AC変換を行い、複数のスイッチング素子53のDC/AC変換後の出力は、パワーモジュール50の筐体51に設けられたバスバー55を介して、モータ10に供給される。また、PDU20がAC/DCコンバータとして動作される場合には、バスバー55から交流電流が入力され、バスバー55a、55bから直流電流が出力されることになる。何れの場合も、複数のスイッチング素子53が発する熱は、パワーモジュール50の基板52及び接着材59の順で伝熱してヒートシンク60に伝わり、ヒートシンク60の冷却フィン60aを介して外部に放熱されることになる。
【0052】
以上の構成によれば、パワーモジュールと回路基板とが、パワーモジュールと回路基板とを電気的に接続する圧入端子をパワーモジュールに設けられた挿入部に圧入することによって組付けられる構成を有するものであるため、パワーモジュール等の機能装置と制御回路基板等の回路基板とを組付ける際に、信号ピン等の各構成要素を、半田付けを排しながら不要な変形等も生じないように、対応する回路基板等の対象部品に簡便かつ確実に組付けることができる。
【0053】
また、圧入端子が、端子モジュールに設けられ、パワーモジュールと回路基板とが端子モジュールを介して接続されているため、信号ピン等の各構成要素を、対応する回路基板等の対象部品に対して、半田付けを排しながら不要な変形等も生じないように、より簡便かつ確実に組付けることができる。
【0054】
また、端子モジュールが、回路基板に面実装されるものであるため、より簡便かつコンパクトな構成で、信号ピンを、対応する回路基板等に対して、半田付けを排しながら不要な変形等も生じないように、確実に組付けることができる。
【0055】
また、端子モジュールが、パワーモジュールと回路基板とを互いに位置決めする突起部を備えることにより、パワーモジュール等の機能装置と制御回路基板等の回路基板とを組付ける際に、これらの間の位置決めが、簡便かつ確実になされ、信号ピンを、対応する回路基板等に対して、半田付けを排しながら不要な変形等も生じないように、容易かつ確実に組付けることができる。
【0056】
また、前記回路基板が、前記パワーモジュールの動作を制御する制御素子が実装された制御回路基板であり、圧入端子が、前記制御回路基板と前記パワーモジュールとの間で信号を入送出するための信号ピンとして機能するものであるため、信号ピンを、圧入端子兼用としたより簡便かつ合理的な構成としながら、対応する回路基板等に対して、半田付けを排しながら不要な変形等も生じないように、確実に組付けることができる。
【0057】
なお、本発明においては、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明においては、パワーモジュール等の機能装置と制御回路基板等の回路基板とを組付ける際に、信号ピン等の各構成要素を、半田付けを排しながら不要な変
形等も生じないように、対応する回路基板等の対象部品に簡便かつ確実に組付け可能な半導体装置を提供することができ、その汎用普遍的な性格からパワードライブユニット等に広範に適用され得るものと期待される。
【符号の説明】
【0059】
10…モータ
20…パワードライブユニット(PDU)
30…バッテリ
40…パワーコントロールユニット(PCU)
50…パワーモジュール
51…筐体
52…基板
53…スイッチング素子
54…配線
55a、55b、55c…バスバー
56、57…挿入孔
58…筒状端子
59…接着材
60…ヒートシンク
60a…冷却フィン
70…端子モジュール
71…信号ピン
71a…圧入部
72…挿入突起
80…制御回路基板
81…挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリから供給される直流電流を交流電流に変換して負荷に供給自在なパワーモジュールと、
前記パワーモジュールに対して電気的な接続自在な回路基板と、
前記パワーモジュールと前記回路基板とを電気的に接続する圧入端子と、
前記パワーモジュールに設けられ、前記圧入端子が圧入される挿入部と、を備え、
前記パワーモジュールと前記回路基板とは、前記圧入端子を前記挿入部に圧入することによって組付けられることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記圧入端子は、端子モジュールに設けられ、前記パワーモジュールと前記回路基板とは前記端子モジュールを介して接続されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記端子モジュールは、前記回路基板に面実装されることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記端子モジュールは、前記パワーモジュールと前記回路基板とを互いに位置決めする突起部を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記回路基板は、前記パワーモジュールの動作を制御する制御素子が実装された制御回路基板であり、前記圧入端子は、前記制御回路基板と前記パワーモジュールとの間で信号を入送出するための信号ピンとして機能することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−187564(P2011−187564A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49507(P2010−49507)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】