半導体製造装置及び製造方法
【課題】貼り合わせプロセス時のウェハの局所的な変形を低減する半導体製造装置及び製造方法を提供すること。
【解決手段】実施の形態によれば、第1及び第2の半導体基板の接合面同士を一点接触させて周囲に接合を進展させて第1及び第2の半導体基板を全面で接合する半導体製造装置である。半導体製造装置は、第1の半導体基板の外周部分を支持するステージと、第2の半導体基板の接合面とステージに支持された第1の半導体基板の接合面とを対向させて、第2の半導体基板を保持する基板支持装置と、接合面同士を対向させた第1及び第2の半導体基板の法線方向の同軸上に、法線方向に移動可能にそれぞれ配置された第1及び第2の圧子と、第1の圧子を第1の半導体基板の接合面と反対側の面と接触させ、その後、第2の圧子で第2の半導体基板の接合面とは反対側の面の一点を予め定められた圧力で加圧して接合開始点を形成するコントローラと、を備える。
【解決手段】実施の形態によれば、第1及び第2の半導体基板の接合面同士を一点接触させて周囲に接合を進展させて第1及び第2の半導体基板を全面で接合する半導体製造装置である。半導体製造装置は、第1の半導体基板の外周部分を支持するステージと、第2の半導体基板の接合面とステージに支持された第1の半導体基板の接合面とを対向させて、第2の半導体基板を保持する基板支持装置と、接合面同士を対向させた第1及び第2の半導体基板の法線方向の同軸上に、法線方向に移動可能にそれぞれ配置された第1及び第2の圧子と、第1の圧子を第1の半導体基板の接合面と反対側の面と接触させ、その後、第2の圧子で第2の半導体基板の接合面とは反対側の面の一点を予め定められた圧力で加圧して接合開始点を形成するコントローラと、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
裏面照射(BSI:Back Side Illumination)型CMOSイメージセンサの製造プロセスでは、シリコン基板の表面に受光センサ(フォトダイオード)を含む半導体層及び配線層を形成したデバイスウェハと、支持基板とを貼り合わせた後、デバイスウェハ側のシリコン部を除去して半導体層の受光センサ部を露出させ、その半導体層の上に配線層、カラーフィルタなどを形成する。
【0003】
デバイスウェハと支持基板とを貼り合わせるプロセスにおいて、ウェハ表面同士を、接着剤等を介さずに貼り合わせる方法の一つとして、SOI(Silicon On Insulator)構造ウェハの製造などにも用いられている、室温(常温)・大気圧下での直接接合方式がある。
【0004】
直接接合方式では、親水化処理を施した表面同士を向かい合わせて2枚のウェハを配置し、ウェハの一部を加圧して表面間を接触させる。これにより、2枚のウェハ表面にある水酸基や吸着水分子の間で発生する水素結合によって、接触された部分から接合が進展し、最終的にはウェハ全体が接合する。ウェハ全体の接合が完了した貼り合わせウェハを200〜400℃又はそれ以上の温度で加熱すると、水素結合の少なくとも一部がSi−O−Siなどの共有結合に変化し、貼り合わせウェハ間の接合強度が大きくなる。
【0005】
直接接合方式でウェアを貼り合わせるに当たって、一般的には、表面に親水化処理を施した2枚のウェハの一方はステージに吸着させて保持される。半導体層を形成したデバイスウェハは多層構造の線膨張係数の違いによる熱応力などからウェハ全体が反ることが多いため、一般的にはデバイスウェハをステージに吸着させて反りを矯正している。
【0006】
しかしながら、ステージに吸着させたウェハには局部的な弾性変形が生じるため、一方のウェハをステージに吸着させた状態で2枚のウェハを貼り合わせると、貼り合わせウェハの面内に不均一な応力が生じ、貼り合わせウェハに伸縮が発生する。また、反っているウェハをステージに吸着しない場合でも、加圧時にウェハが弾性変形して貼り合わせウェハの面内に不均一な応力が生じるため、貼り合わせウェハに伸縮が発生する。さらに、ウェハ面内に温度分布が発生している時は、デバイスウェハ面内に熱応力差が発生するため、貼り合わせウェハの面内の応力差はより不均一になってしまう。しかも、デバイスウェハ側のシリコン部を貼り合わせウェハから除去すると、デバイス層は支持基板に倣い、特にウェハ面に沿った方向にさらに変形するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−324613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一つの実施形態は、貼り合わせプロセス時のウェハの局所的な変形を低減する半導体製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの実施形態によれば、接合面を有する第1及び第2の半導体基板の接合面同士を一点接触させて接合開始点を形成し、接合開始点から周囲に接合を進展させて第1の半導体基板と第2の半導体基板とを全面で接合する半導体製造装置である。半導体製造装置は、第1の半導体基板の外周部分を下から支持するリング状のステージと、第2の半導体基板の接合面とステージに支持された第1の半導体基板の接合面とを対向させて、第2の半導体基板を保持する基板支持装置と、接合面同士を対向させた第1及び第2の半導体基板の法線方向の同軸上に、第1及び第2の半導体基板を挟んで法線方向に移動可能にそれぞれ配置され、第1及び第2の半導体基板と一点接触可能な第1及び第2の圧子と、第1の圧子が、第1の半導体基板に接したことを検出する第1のセンサと、第2の圧子が、第2の半導体基板に接したことを検出する第2のセンサと、第1のセンサの検出結果に基づいて、第1の圧子を第1の半導体基板の接合面と反対側の面と接触させ、その後、第2のセンサの検出結果に基づいて、第2の圧子を第2の半導体基板の接合面と反対側の面と接触させた後、第2の圧子で第2の半導体基板の接合面とは反対側の面の一点を予め定められた圧力で加圧して、第1の半導体基板と第2の半導体基板との間に接合開始点を形成するコントローラと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1の実施形態の半導体製造装置の構成を模式的に示す図。
【図2】図2は、本実施形態に係る半導体製造装置を用いた直接接合方式の処理の流れを示す図。
【図3】図3は、発明者が知得した直接接合方式でウェハの貼り合わせを行う半導体製造装置の概略構成を示す断面図。
【図4】図4は、発明者が知得した直接接合方式でウェハの貼り合わせを行う半導体製造装置の概略構成を示す断面図。
【図5】図5は、ステージに吸着させる前後での下ウェハの形状の変化を模式的に示す図。
【図6】図6は、発明者が知得した直接接合方式でデバイスウェハ及び支持基板を接合した貼り合わせウェハのショットの形状を示す図。
【図7】図7は、発明者が知得した直接接合方式でデバイスウェハとしての下ウェハと支持基板としての上ウェハとを接合した貼り合わせウェハにおけるショットの位置ずれ量を表す図。
【図8】図8は、第1の実施形態の半導体接合装置を用いてデバイスウェハとしての下ウェハと支持基板としての上ウェハとを接合した貼り合わせウェハにおけるショットの位置ずれ量を表す図。
【図9】図9は、下ウェハの断面を示す図。
【図10】図10は、第2の実施形態の半導体製造装置の構成を模式的に示す断面図。
【図11】図11は、第3の実施形態の半導体製造装置の構成を模式的に示す断面図。
【図12】図12は、ウェハ面内に10℃の温度差があるときのウェハの変形量のシミュレーション結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体製造装置及び製造方法を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の半導体製造装置の構成を模式的に示す図である。図1(a)は、半導体製造装置の断面模式図であり、図1(b)におけるIa−Ia線に沿った断面を示す。図1(b)は、半導体製造装置の上面図である。本実施形態に係る半導体製造装置は、ステージ1、スペーサ2、下圧子3、上圧子4及びコントローラ20を有する。
【0013】
ステージ1は外周部11を有する円筒又は円環状であり、載置されたウェハ(第1の半導体基板)5の外周部のみと当接して支持する。以下、ステージ1に載置されるウェハを「下ウェハ」と称する。ステージ1は、外周部11よりも上方へ突出可能なプッシャーピン12を有しており、外周部11よりも上方へ突出した状態で下ウェハ5が載置されたプッシャーピン12が下降することによって、下ウェハ5を外周部11の上に配置する。また、ステージ1は、下ウェハ5の外周と当接するガイドピン13を備えており、下ウェハ5を外周部11の上に配置する際に、ガイドピン13に案内されながら下ウェハ5が下降して所定の位置に配置される。なお、プッシャーピン12は必須の構成ではなく、プッシャーピン12を用いずに下ウェハ5を外周部に11に直接配置する装置構成としてもよい。
【0014】
スペーサ(基板支持装置)2は、下ウェハ5と接合するウェハ(第2の半導体基板)6の外周部の複数箇所を下側から支持して上ウェハ6を保持する部材である。以下、下ウェハ5と接合されるウェハを上ウェハと称する。スペーサ2は、上下に移動可能となっており、上ウェハ6と下ウェハ5との間隔を調整可能である。また、スペーサ2は、上ウェハ6の径方向にも移動可能であり、接合開始後に上ウェハ6と下ウェハ5との間から退避できる。
【0015】
下圧子(第1の圧子)3及び上圧子(第2の圧子)4は、ウェハ面の法線方向に軸対称で配置されており。下圧子3及び上圧子4の各々は、独立してウェハの法線方向に移動可能である。また、下圧子3及び上圧子4は、圧力センサ(第1のセンサ)31及び圧力センサ(第2のセンサ)41を備えており、下ウェハ5や上ウェハ6に接触したことを検出可能である。下圧子3及び上圧子4は、荷重制御機能を備えており、任意の圧力で下ウェハ5や上ウェハ6に当接させることが可能である。なお、圧力センサ31、41は、下圧子3や上圧子4の一部としてではなく別個に設けることも可能である。
【0016】
コントローラ20は、プッシャーピン12、スペーサ2、下圧子3及び上圧子4の移動を制御する装置である。また、コントローラ20は、下圧子3が下ウェハ5に加える圧力や上圧子4が上ウェハ6に加える圧力を圧力センサ31、41の検出結果に基づいて制御する。
【0017】
図2は、本実施形態に係る半導体製造装置を用いた直接接合方式の処理の流れを示す図である。処理の流れを容易にするため、図2では圧力センサ31、41及びコントローラ20の図示は省略している。本実施形態の半導体製造装置で2枚のウェハを貼り合わせるに当たっては、コントローラ20は、ステージ1上に載置した下ウェハ5の上方に、スペーサ2で保持した上ウェハ6を貼り合わせ面を対向させて配置し、下ウェハ5の下方に下圧子3、上ウェハ6の上方に上圧子4を配置する(図2(a))。この際、下圧子3と上圧子4とは下ウェハ5及び上ウェハ6の法線方向の同軸上に配置する。下圧子3と上圧子4とが配置される位置は必ずしもウェハ中心である必要はない。なお、貼り合わせる2枚のウェハのうち反りが大きい方を下ウェハ5とすることで、後述するようにウェハ面内の局所的な変形を小さく抑えることができる。下ウェハ5と上ウェハ6とを重ねた後、コントローラ20はスペーサ2を退避させるが、ウェハ間に存在する空気層によって上ウェハ6が支持されるため、この時点では上ウェハ6は下ウェハ5と接触しない。
【0018】
下ウェハ5、上ウェハ6、下圧子3及び上圧子4の配置が完了した後、コントローラ20はまず下圧子3を下ウェハ5に向かって移動させ下ウェハ5の裏面の位置を圧力センサ31で検出し、下ウェハ5及び上ウェハ6を変形させない位置で停止させる(図2(b))。次にコントローラ20は、上圧子4を逆方向から上ウェハ6に向かって移動させ、上ウェハ6の裏面に接触させたことを圧力センサ41で検出した後、所望の荷重になるまで加圧する(図2(c))。これにより、下圧子3及び上圧子4で挟まれた箇所を接合開始点として接合が進展し、下ウェハ5及び上ウェハ6が全面的に接合される(図2(d))。このプロセスにより、下ウェハ5及び上ウェハ6をウェハ面内で局所的に弾性変形させることなく貼り合わせることが可能となる。
【0019】
以上の説明では、下ウェハ5と上ウェハ6とを重ね合わせてから下圧子3を下ウェハ5に接触させているが、下圧子3を下ウェハ5に接触させてから上ウェハ6を下ウェハ5に重ねることも可能である。
【0020】
比較のために、発明者が知得した直接接合方式での貼り合わせプロセスについて説明する。図3は、発明者が知得した直接接合方式でウェハの貼り合わせを行う半導体製造装置の概略構成を示す断面図である。2枚のウェハそれぞれの表面を親水化処理した後、コントローラ70は、半導体層を形成したデバイスウェハを下ウェハ65としてステージ61上に吸着させる(図4(a))。図5は、ステージに吸着させる前後での下ウェハの形状の変化を模式的示す図である。ステージ61に載置した吸着前の下ウェハ65’は、真空Vac.によって吸引孔61aの部分が局部的にステージ61に引きつけられるため、ステージ61に吸着後の下ウェハ65は、ウェハ面内に局所的な変形が生じる。その後、コントローラ70は、スペーサ62を動かして、支持基板としての上ウェハ66を表面同士が対向するように、ステージ61の上方に配置する(図4(b))。このとき上ウェハ66は2枚のウェハの間に挿入するスペーサ62などの保持機構で保持される。つまりステージ61上の下ウェハ65の表面と上ウェハ66の表面の間のギャップはスペーサ62の形状及び高さの調整によって制御されている。なお、スペーサ62の代わりに上ウェハ66の上面を吸着するリング状の吸着ツールを保持機構として用いられる場合も同様である。次に、コントローラ70は、上ウェハ66を保持するスペーサ62などと干渉しない位置にて、上ウェハ66を圧子64で加圧変形させ、表面同士を接触させ、接合を開始させる(図4(c))。この後、コントローラ70は、スペーサ62を下ウェハ65と上ウェハ66との間から退避させて、ウェハ全面の接合を促す(図4(d))。
【0021】
図6は、発明者が知得した直接接合方式でデバイスウェハ及び支持基板を接合した貼り合わせウェハのショットの形状を示す図である。デバイスウェハとしての下ウェハ65と支持基板としての上ウェハ66とを直接接合方式で貼り合わせると、下ウェハ65上のショット(1回の投影での露光範囲)の形状が変形したり位置にずれが生じたりする。図7は、発明者が知得した直接接合方式でデバイスウェハとしての下ウェハ65と支持基板としての上ウェハ66とを接合した貼り合わせウェハにおけるショットの位置ずれ量を表す図であり、下ウェハ65側のシリコン部を除去した後の状態(すなわち配線層やカラーフィルタ層を露光プロセスにて形成する段階)でのショットの位置ずれ量を示している。図7では、矢印が長い程ショットの位置のずれが大きいことを示している。発明者が知得した直接接合方式で貼り合わせると、下ウェハ65側のシリコン部を除去した後の貼り合わせウェハは面内でショット100の形状やピッチが不均一になっている。これは貼り合わせ前に形成されたデバイス層が、少なくともウェハ表面に沿ってバラバラな方向に変形した(distortion)ことを示している。この局所的な変形が大きい場合、露光プロセスでの位置合せ認識エラー対応や補正の必要性など生産性の低下、及び、CMOSイメージセンサの画素とカラーフィルタとの位置関係がずれることによる混色不良の原因となる。
【0022】
デバイスウェハに関して、半導体デバイス層は画素ピッチの縮小(面積縮小)やロジック高機能化のためにより多層化が進んでいるため、ウェハ全体の反り量は支持基板よりも大きくなる傾向にある。また各層の厚さのバラツキにより、反り量にもバラツキが生じるため、ステージの形状を凸や凹に変えてもすべてのウェハに対応することは難しい。また、多層構造による様々な反りをステージ吸着によって矯正する際に局所的な弾性変形が発生する。さらに、外周機器の発熱などによるウェハ面内温度分布により局所的な熱膨張や熱収縮が発生する。発明者が知得した直接接合方式での貼り合わせプロセスにおけるウェハの局所的な弾性変形および熱変形は上記の現象の組合せで発生している。
【0023】
発明者が知得した直接接合方式では、支持基板と比べて反り量が大きいデバイスウェハを下ウェハ5としてステージ1に搭載することで、ウェハ面内の局所的な変形を抑制できる。
【0024】
なお、デバイス層の変形が図6に示したようにウェハ面内で局所的に変形するのではなく、拡大又は縮小など一様に変形する場合(パターンのピッチのばらつきが小さい場合)は、露光プロセスで位置を合わせることが十分に可能であり、設計寸法に反映することができるため、ウェハの変形は問題とならない。
【0025】
図8は、本実施形態の半導体接合装置を用いてデバイスウェハとしての下ウェハ5と支持基板としての上ウェハ6とを接合した貼り合わせウェハにおけるショットの位置ずれ量を表す図である。本実施形態に係る半導体製造装置では、下ウェハ5をステージ1に吸着させて局所的な弾性変形を生じさせないため、接合後のウェハの変形のバラツキを小さく抑えることができる。
【0026】
本実施形態に係る半導体製造装置を用いた直接接合方式によるウェハ貼り合わせの具体例について説明する。なお、例示する数値はあくまでも一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
図9は、下ウェハ5の断面を示す図である。下ウェハ5は300mmΦの単結晶シリコン基板51に、露光プロセスで形成されたマークを含む層52と表面酸化膜層53を形成した。酸化膜層の厚さによりウェハの凸反り量を約200μmにした。上ウェハ6には300mmΦの単結晶シリコンを使用した。
【0028】
リング状のステージ1の外径はウェハ径よりもやや大きく、貼り合わせるウェハの位置を合わせるためのガイドピン13を設けてある。ステージ1の内側には下ウェハ5を載せるためのプッシャーピン12と上下可動な下圧子3があり、下圧子3に内蔵された圧力センサ31としてのロードセルの計測結果を上下動作にフィードバックする。ロードセル搭載の目的はステージ上に置いた下ウェハ5と下圧子3の接触を検出するためであり、他の方式としてはレーザ測微計や微電流計測センサなどが考えられる。ステージ1の上方に下圧子3と同軸で配置された上圧子4は、下圧子3と同様に圧力センサ41としてのロードセルを内蔵しており、上下可動で移動速度も制御できる。下圧子3及び上圧子4の先端はR5mmの半球状のものを使用した。動作軸の調整を高精度に行えるのであれば、先端の径はもっと小さくてもよい。
【0029】
表面親水化処理を施した下ウェハ5は、ステージ1の上に突出させたプッシャーピン12の上に下ウェハ5を載せ、プッシャーピン12を下降させることによってステージ1上のガイドピン13の内側に配置される。ステージ1の外周部11に下ウェハ5を載せた後に、表面親水化処理を施した上ウェハ6を下ウェハ5と向かい合わせて載せた。このとき、誤ってウェハ表面同士が接触しないように、上下ウェハの間にスペーサ2を入れて上ウェハ6を載せた後、スペーサ2を退避させた。
【0030】
その後、下圧子3を上昇させ、下ウェハ5の裏面と接触させた後、ロードセル負荷が0になるところまで下降して停止させた。
【0031】
続いて、上圧子4を、上ウェハ6の裏面への接触前の速度0.5mm/secで下降させ、上ウェハ6の裏面に接触した後に3Nまで加圧し30秒ほど保持し、接合を完了させた。加圧部変形や素子へのダメージを考慮すると上圧子4の動作速度や加圧荷重は低いほど好ましいと考えられるが、加圧荷重を1Nまで下げると、加圧してから接合が開始するまでの時間が長くなる傾向があったため、ここでは3Nとした。
【0032】
貼り合わせウェハの、下ウェハ5側のシリコン部を除去し、露出したマークの位置を測定したところ、ウェハ面内でのピッチの最大と最小との差は108nmとなった。
【0033】
比較のため、平坦なステージ61上に下ウェハ65を吸着し、スペーサ62を入れて上ウェハ66を載せ、加圧後すぐにスペーサ62を抜いて接合した貼り合わせウェハについても同様の処理および測定を行ったところ、ピッチの最大と最小との差は270nmであり、本実施形態のプロセスにより変形のバラツキが発明者が知得した直接接合方式の40%まで小さくなった。
【0034】
本実施形態によれば、円筒又は円環状のステージで下ウェハの外周部分を下側から単に支持し、下圧子は下ウェハと接するのみであるため、接合前の下ウェハの局所的な変形を抑制できる。これにより、直接接合方式で接合した貼り合わせウェハの局所的な弾性変形を低減できる。
【0035】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態の半導体製造装置の構成を模式的に示す断面図である。本実施形態に係る半導体製造装置は、ステージの周囲に基板支持装置としてチューブ7が配置されており、ステージ1の中央側に気体8を噴射する点で第1の実施形態と相違する。本実施形態において、コントローラ20は、チューブ7から噴射する気体8の流量や温度・湿度を制御する。
【0036】
発明者が知得した直接接合方式での貼り合わせプロセスにおいては、上ウェハに関して、スペーサや吸着支持リングなどの保持機構に支えられていない部分の自重によるたわみや伸びが生じる。また、下ウェハと同様に、外周機器の発熱などによるウェハ面内温度分布により局所的な熱膨張や熱収縮が発生する。さらに、圧子接触部の加圧によっても局所的な変形が生じる。また、上下ウェハ間のギャップに関して、上下ウェハ間のギャップは吸着支持リングやスペーサなどの保持機構の治具加工精度や組付け精度、平行度で決まるが、接合した部分と未だ接合していない部分の間で表面が引き合い、伸ばされるため、ギャップ高さの局所的な差は弾性変形に影響する。
【0037】
本実施形態では、下ウェハ5をステージ1に載置した後でコントローラ20はチューブ7に気体8を噴射させ、その状態で上ウェハ6を下ウェハ5の上に置く。これにより、上ウェハ6は下ウェハ5との間に薄い気体層が形成され、上ウェハ6は下ウェハ5と接することなく均一なギャップを保って重ね合わされる。チューブ7から噴射する気体8の流量をコントローラ20が管理することで、上ウェハ6を吹き飛ばしたり位置ずれを生じさせたりすることなく下ウェハ5の上に上ウェハ6を重ねることができる。チューブ7から噴射する気体8の圧力は、低圧でも上ウェハ6と下ウェハ5との間に薄い気体層を十分に形成可能である。具体例として、チューブ7から噴射する気体8の圧力を4kPa以下、望ましくは3kPa以下の低圧とすることで、上ウェハ6と下ウェハ5との間に薄い気体層を形成できる。ただし、上記の値はあくまでも一例であり、本発明がこれらの値に限定されることはない。また、本実施形態においては、チューブ7から噴射する気体8の湿度をコントローラ20が管理・制御することで、上下ウェハの貼り合わせ面は結露を防止し、吸着水の量を安定に保つことができる。また、上下ウェハの面内の温度バラツキを抑制し、熱膨張(熱変形)のバラツキを抑えることができる。
【0038】
この他については第1の実施形態と同様であるため説明は省略する。
【0039】
本実施形態によれば、貼り合わせプロセス時のウェハの局所的な弾性変形および熱変形を低減できる。
【0040】
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態の半導体製造装置の構成を模式的に示す断面図である。本実施形態に係る半導体製造装置は、第2の実施形態と同様にステージ1の周囲にチューブ7が配置されており、ステージ1の中央側に気体8を噴射する点と、圧力・温度調整槽(調整装置)9に接続されたエアバッグ10がステージ1の下方に設けられている点とで第1の実施形態と相違する。なお、下圧子3及びプッシャーピン12はエアバッグ10の中に配置されている。エアバッグ10は、軽量で柔軟性を有する材料の薄いシートを用いて形成されている。エアバッグ10の材料としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やHDPE(高密度ポリエチレン)、ナイロン6,6などを適用可能である。一例として、エアバッグ10の形成に用いるシートの厚さは10〜150μm程度である。
【0041】
第1の実施形態に係る半導体製造装置を用いて接合した貼り合わせウェハは、ウェハ面内の変形に渦状のランダム成分が残る。図12は、ウェハ面内に10℃の温度差があるときのウェハの変形量のシミュレーション結果を示す図である。ウェハ面内に10℃の温度差があるときには最大で639nmの変形が予想された。更にステージ上に下ウェハを置いたときの温度分布を測定すると、モータなどの熱源の影響で、ウェハ面内で最大で約2℃の温度差があることが判った。シミュレーション結果から、この2℃の温度差で最大128nmの変形が予想される。
【0042】
本実施形態に係る半導体製造装置を用いた直接接合方式によるウェハ貼り合わせの具体例について説明する。リング状のステージ1の内側に入れた厚さ20μm程度のフッ素樹脂系材料のシートからなるエアバッグ10には、温度が35〜40℃、圧力が部屋の大気圧+1.5〜5Paに調整された気体を圧力・温度調整槽9との間で循環させた。圧力・温度調整槽9からエアバッグ10に供給される気体の温度・湿度はコントローラ20によって制御される。気体の温度は、モータなどの電気部品の温度約25〜28℃よりも高く、水素結合し難くなる100℃以下であればよい。気体の圧力はエアバッグ10を下ウェハ5の裏面に接触させ、下ウェハ5に熱伝達するために必要であり、かつ、下ウェハ5の自重分(1枚約1.8Pa)をキャンセルすることも目的としている。
【0043】
エアバッグ10の上に下ウェハ5を配置したところ、ウェハ面内の温度差は0.5℃未満まで小さくなった。
【0044】
更にΦ20mmのチューブ7に等間隔にΦ1mmの噴出孔をつけてステージ1の外を取り巻くように取り付け、温度35〜40℃、湿度40〜50%、噴出孔1ヶ所からの流量0.01L/min以下の気体8を噴射し、弱い風を形成した。気体8の温度はエアバッグ10内の気体の温度と同じか若干低く設定しウェハ表面での結露を防止する。吸着水分子層の形成のために湿度は30%以上であれば問題ないが、70%を越えると結露する可能性がある。
【0045】
本実施形態に係る半導体製造装置では、上記の構成により下ウェハ5の表面温度だけでなく上ウェハ6の温度バラツキも0.5℃未満に抑えられた。
【0046】
本実施形態に係る半導体製造装置にて接合した貼り合わせウェハの、下ウェハ5側のシリコン部を除去し、露出したマークの位置を測定したところ、ウェハ面内でのピッチの最大と最小の差は50nm以下となった。
【0047】
このように、本実施形態に係る半導体製造装置は、ウェハ面内の変形のバラツキを第1の実施形態よりも小さくできる。すなわち、貼り合わせプロセス時のウェハの局所的な弾性変形および熱変形を低減できる。
【0048】
以上の説明においては、圧力・温度調整槽9とエアバッグ10との間で気体を循環させる構成を例としたが、圧力・温度調整槽9と袋状部材との間で液体を循環させる構成とすることも可能である。すなわち、袋状部材の中に流体を充填する構成とすることが可能である。
【0049】
この他については第1の実施形態と同様であるため、重複する説明は割愛する。
【0050】
上記の各実施形態においては、下ウェハを上に凸になる向きでステージ上に載せているが、下ウェハを下に凸となる向きでステージ上に載せることも可能である。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1 ステージ、3 下圧子、4 上圧子、5 下ウェハ、6 上ウェハ、7 チューブ、8 気体、10 エアバッグ、20 コントローラ、31、41 圧力センサ。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
裏面照射(BSI:Back Side Illumination)型CMOSイメージセンサの製造プロセスでは、シリコン基板の表面に受光センサ(フォトダイオード)を含む半導体層及び配線層を形成したデバイスウェハと、支持基板とを貼り合わせた後、デバイスウェハ側のシリコン部を除去して半導体層の受光センサ部を露出させ、その半導体層の上に配線層、カラーフィルタなどを形成する。
【0003】
デバイスウェハと支持基板とを貼り合わせるプロセスにおいて、ウェハ表面同士を、接着剤等を介さずに貼り合わせる方法の一つとして、SOI(Silicon On Insulator)構造ウェハの製造などにも用いられている、室温(常温)・大気圧下での直接接合方式がある。
【0004】
直接接合方式では、親水化処理を施した表面同士を向かい合わせて2枚のウェハを配置し、ウェハの一部を加圧して表面間を接触させる。これにより、2枚のウェハ表面にある水酸基や吸着水分子の間で発生する水素結合によって、接触された部分から接合が進展し、最終的にはウェハ全体が接合する。ウェハ全体の接合が完了した貼り合わせウェハを200〜400℃又はそれ以上の温度で加熱すると、水素結合の少なくとも一部がSi−O−Siなどの共有結合に変化し、貼り合わせウェハ間の接合強度が大きくなる。
【0005】
直接接合方式でウェアを貼り合わせるに当たって、一般的には、表面に親水化処理を施した2枚のウェハの一方はステージに吸着させて保持される。半導体層を形成したデバイスウェハは多層構造の線膨張係数の違いによる熱応力などからウェハ全体が反ることが多いため、一般的にはデバイスウェハをステージに吸着させて反りを矯正している。
【0006】
しかしながら、ステージに吸着させたウェハには局部的な弾性変形が生じるため、一方のウェハをステージに吸着させた状態で2枚のウェハを貼り合わせると、貼り合わせウェハの面内に不均一な応力が生じ、貼り合わせウェハに伸縮が発生する。また、反っているウェハをステージに吸着しない場合でも、加圧時にウェハが弾性変形して貼り合わせウェハの面内に不均一な応力が生じるため、貼り合わせウェハに伸縮が発生する。さらに、ウェハ面内に温度分布が発生している時は、デバイスウェハ面内に熱応力差が発生するため、貼り合わせウェハの面内の応力差はより不均一になってしまう。しかも、デバイスウェハ側のシリコン部を貼り合わせウェハから除去すると、デバイス層は支持基板に倣い、特にウェハ面に沿った方向にさらに変形するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−324613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一つの実施形態は、貼り合わせプロセス時のウェハの局所的な変形を低減する半導体製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの実施形態によれば、接合面を有する第1及び第2の半導体基板の接合面同士を一点接触させて接合開始点を形成し、接合開始点から周囲に接合を進展させて第1の半導体基板と第2の半導体基板とを全面で接合する半導体製造装置である。半導体製造装置は、第1の半導体基板の外周部分を下から支持するリング状のステージと、第2の半導体基板の接合面とステージに支持された第1の半導体基板の接合面とを対向させて、第2の半導体基板を保持する基板支持装置と、接合面同士を対向させた第1及び第2の半導体基板の法線方向の同軸上に、第1及び第2の半導体基板を挟んで法線方向に移動可能にそれぞれ配置され、第1及び第2の半導体基板と一点接触可能な第1及び第2の圧子と、第1の圧子が、第1の半導体基板に接したことを検出する第1のセンサと、第2の圧子が、第2の半導体基板に接したことを検出する第2のセンサと、第1のセンサの検出結果に基づいて、第1の圧子を第1の半導体基板の接合面と反対側の面と接触させ、その後、第2のセンサの検出結果に基づいて、第2の圧子を第2の半導体基板の接合面と反対側の面と接触させた後、第2の圧子で第2の半導体基板の接合面とは反対側の面の一点を予め定められた圧力で加圧して、第1の半導体基板と第2の半導体基板との間に接合開始点を形成するコントローラと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1の実施形態の半導体製造装置の構成を模式的に示す図。
【図2】図2は、本実施形態に係る半導体製造装置を用いた直接接合方式の処理の流れを示す図。
【図3】図3は、発明者が知得した直接接合方式でウェハの貼り合わせを行う半導体製造装置の概略構成を示す断面図。
【図4】図4は、発明者が知得した直接接合方式でウェハの貼り合わせを行う半導体製造装置の概略構成を示す断面図。
【図5】図5は、ステージに吸着させる前後での下ウェハの形状の変化を模式的に示す図。
【図6】図6は、発明者が知得した直接接合方式でデバイスウェハ及び支持基板を接合した貼り合わせウェハのショットの形状を示す図。
【図7】図7は、発明者が知得した直接接合方式でデバイスウェハとしての下ウェハと支持基板としての上ウェハとを接合した貼り合わせウェハにおけるショットの位置ずれ量を表す図。
【図8】図8は、第1の実施形態の半導体接合装置を用いてデバイスウェハとしての下ウェハと支持基板としての上ウェハとを接合した貼り合わせウェハにおけるショットの位置ずれ量を表す図。
【図9】図9は、下ウェハの断面を示す図。
【図10】図10は、第2の実施形態の半導体製造装置の構成を模式的に示す断面図。
【図11】図11は、第3の実施形態の半導体製造装置の構成を模式的に示す断面図。
【図12】図12は、ウェハ面内に10℃の温度差があるときのウェハの変形量のシミュレーション結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体製造装置及び製造方法を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の半導体製造装置の構成を模式的に示す図である。図1(a)は、半導体製造装置の断面模式図であり、図1(b)におけるIa−Ia線に沿った断面を示す。図1(b)は、半導体製造装置の上面図である。本実施形態に係る半導体製造装置は、ステージ1、スペーサ2、下圧子3、上圧子4及びコントローラ20を有する。
【0013】
ステージ1は外周部11を有する円筒又は円環状であり、載置されたウェハ(第1の半導体基板)5の外周部のみと当接して支持する。以下、ステージ1に載置されるウェハを「下ウェハ」と称する。ステージ1は、外周部11よりも上方へ突出可能なプッシャーピン12を有しており、外周部11よりも上方へ突出した状態で下ウェハ5が載置されたプッシャーピン12が下降することによって、下ウェハ5を外周部11の上に配置する。また、ステージ1は、下ウェハ5の外周と当接するガイドピン13を備えており、下ウェハ5を外周部11の上に配置する際に、ガイドピン13に案内されながら下ウェハ5が下降して所定の位置に配置される。なお、プッシャーピン12は必須の構成ではなく、プッシャーピン12を用いずに下ウェハ5を外周部に11に直接配置する装置構成としてもよい。
【0014】
スペーサ(基板支持装置)2は、下ウェハ5と接合するウェハ(第2の半導体基板)6の外周部の複数箇所を下側から支持して上ウェハ6を保持する部材である。以下、下ウェハ5と接合されるウェハを上ウェハと称する。スペーサ2は、上下に移動可能となっており、上ウェハ6と下ウェハ5との間隔を調整可能である。また、スペーサ2は、上ウェハ6の径方向にも移動可能であり、接合開始後に上ウェハ6と下ウェハ5との間から退避できる。
【0015】
下圧子(第1の圧子)3及び上圧子(第2の圧子)4は、ウェハ面の法線方向に軸対称で配置されており。下圧子3及び上圧子4の各々は、独立してウェハの法線方向に移動可能である。また、下圧子3及び上圧子4は、圧力センサ(第1のセンサ)31及び圧力センサ(第2のセンサ)41を備えており、下ウェハ5や上ウェハ6に接触したことを検出可能である。下圧子3及び上圧子4は、荷重制御機能を備えており、任意の圧力で下ウェハ5や上ウェハ6に当接させることが可能である。なお、圧力センサ31、41は、下圧子3や上圧子4の一部としてではなく別個に設けることも可能である。
【0016】
コントローラ20は、プッシャーピン12、スペーサ2、下圧子3及び上圧子4の移動を制御する装置である。また、コントローラ20は、下圧子3が下ウェハ5に加える圧力や上圧子4が上ウェハ6に加える圧力を圧力センサ31、41の検出結果に基づいて制御する。
【0017】
図2は、本実施形態に係る半導体製造装置を用いた直接接合方式の処理の流れを示す図である。処理の流れを容易にするため、図2では圧力センサ31、41及びコントローラ20の図示は省略している。本実施形態の半導体製造装置で2枚のウェハを貼り合わせるに当たっては、コントローラ20は、ステージ1上に載置した下ウェハ5の上方に、スペーサ2で保持した上ウェハ6を貼り合わせ面を対向させて配置し、下ウェハ5の下方に下圧子3、上ウェハ6の上方に上圧子4を配置する(図2(a))。この際、下圧子3と上圧子4とは下ウェハ5及び上ウェハ6の法線方向の同軸上に配置する。下圧子3と上圧子4とが配置される位置は必ずしもウェハ中心である必要はない。なお、貼り合わせる2枚のウェハのうち反りが大きい方を下ウェハ5とすることで、後述するようにウェハ面内の局所的な変形を小さく抑えることができる。下ウェハ5と上ウェハ6とを重ねた後、コントローラ20はスペーサ2を退避させるが、ウェハ間に存在する空気層によって上ウェハ6が支持されるため、この時点では上ウェハ6は下ウェハ5と接触しない。
【0018】
下ウェハ5、上ウェハ6、下圧子3及び上圧子4の配置が完了した後、コントローラ20はまず下圧子3を下ウェハ5に向かって移動させ下ウェハ5の裏面の位置を圧力センサ31で検出し、下ウェハ5及び上ウェハ6を変形させない位置で停止させる(図2(b))。次にコントローラ20は、上圧子4を逆方向から上ウェハ6に向かって移動させ、上ウェハ6の裏面に接触させたことを圧力センサ41で検出した後、所望の荷重になるまで加圧する(図2(c))。これにより、下圧子3及び上圧子4で挟まれた箇所を接合開始点として接合が進展し、下ウェハ5及び上ウェハ6が全面的に接合される(図2(d))。このプロセスにより、下ウェハ5及び上ウェハ6をウェハ面内で局所的に弾性変形させることなく貼り合わせることが可能となる。
【0019】
以上の説明では、下ウェハ5と上ウェハ6とを重ね合わせてから下圧子3を下ウェハ5に接触させているが、下圧子3を下ウェハ5に接触させてから上ウェハ6を下ウェハ5に重ねることも可能である。
【0020】
比較のために、発明者が知得した直接接合方式での貼り合わせプロセスについて説明する。図3は、発明者が知得した直接接合方式でウェハの貼り合わせを行う半導体製造装置の概略構成を示す断面図である。2枚のウェハそれぞれの表面を親水化処理した後、コントローラ70は、半導体層を形成したデバイスウェハを下ウェハ65としてステージ61上に吸着させる(図4(a))。図5は、ステージに吸着させる前後での下ウェハの形状の変化を模式的示す図である。ステージ61に載置した吸着前の下ウェハ65’は、真空Vac.によって吸引孔61aの部分が局部的にステージ61に引きつけられるため、ステージ61に吸着後の下ウェハ65は、ウェハ面内に局所的な変形が生じる。その後、コントローラ70は、スペーサ62を動かして、支持基板としての上ウェハ66を表面同士が対向するように、ステージ61の上方に配置する(図4(b))。このとき上ウェハ66は2枚のウェハの間に挿入するスペーサ62などの保持機構で保持される。つまりステージ61上の下ウェハ65の表面と上ウェハ66の表面の間のギャップはスペーサ62の形状及び高さの調整によって制御されている。なお、スペーサ62の代わりに上ウェハ66の上面を吸着するリング状の吸着ツールを保持機構として用いられる場合も同様である。次に、コントローラ70は、上ウェハ66を保持するスペーサ62などと干渉しない位置にて、上ウェハ66を圧子64で加圧変形させ、表面同士を接触させ、接合を開始させる(図4(c))。この後、コントローラ70は、スペーサ62を下ウェハ65と上ウェハ66との間から退避させて、ウェハ全面の接合を促す(図4(d))。
【0021】
図6は、発明者が知得した直接接合方式でデバイスウェハ及び支持基板を接合した貼り合わせウェハのショットの形状を示す図である。デバイスウェハとしての下ウェハ65と支持基板としての上ウェハ66とを直接接合方式で貼り合わせると、下ウェハ65上のショット(1回の投影での露光範囲)の形状が変形したり位置にずれが生じたりする。図7は、発明者が知得した直接接合方式でデバイスウェハとしての下ウェハ65と支持基板としての上ウェハ66とを接合した貼り合わせウェハにおけるショットの位置ずれ量を表す図であり、下ウェハ65側のシリコン部を除去した後の状態(すなわち配線層やカラーフィルタ層を露光プロセスにて形成する段階)でのショットの位置ずれ量を示している。図7では、矢印が長い程ショットの位置のずれが大きいことを示している。発明者が知得した直接接合方式で貼り合わせると、下ウェハ65側のシリコン部を除去した後の貼り合わせウェハは面内でショット100の形状やピッチが不均一になっている。これは貼り合わせ前に形成されたデバイス層が、少なくともウェハ表面に沿ってバラバラな方向に変形した(distortion)ことを示している。この局所的な変形が大きい場合、露光プロセスでの位置合せ認識エラー対応や補正の必要性など生産性の低下、及び、CMOSイメージセンサの画素とカラーフィルタとの位置関係がずれることによる混色不良の原因となる。
【0022】
デバイスウェハに関して、半導体デバイス層は画素ピッチの縮小(面積縮小)やロジック高機能化のためにより多層化が進んでいるため、ウェハ全体の反り量は支持基板よりも大きくなる傾向にある。また各層の厚さのバラツキにより、反り量にもバラツキが生じるため、ステージの形状を凸や凹に変えてもすべてのウェハに対応することは難しい。また、多層構造による様々な反りをステージ吸着によって矯正する際に局所的な弾性変形が発生する。さらに、外周機器の発熱などによるウェハ面内温度分布により局所的な熱膨張や熱収縮が発生する。発明者が知得した直接接合方式での貼り合わせプロセスにおけるウェハの局所的な弾性変形および熱変形は上記の現象の組合せで発生している。
【0023】
発明者が知得した直接接合方式では、支持基板と比べて反り量が大きいデバイスウェハを下ウェハ5としてステージ1に搭載することで、ウェハ面内の局所的な変形を抑制できる。
【0024】
なお、デバイス層の変形が図6に示したようにウェハ面内で局所的に変形するのではなく、拡大又は縮小など一様に変形する場合(パターンのピッチのばらつきが小さい場合)は、露光プロセスで位置を合わせることが十分に可能であり、設計寸法に反映することができるため、ウェハの変形は問題とならない。
【0025】
図8は、本実施形態の半導体接合装置を用いてデバイスウェハとしての下ウェハ5と支持基板としての上ウェハ6とを接合した貼り合わせウェハにおけるショットの位置ずれ量を表す図である。本実施形態に係る半導体製造装置では、下ウェハ5をステージ1に吸着させて局所的な弾性変形を生じさせないため、接合後のウェハの変形のバラツキを小さく抑えることができる。
【0026】
本実施形態に係る半導体製造装置を用いた直接接合方式によるウェハ貼り合わせの具体例について説明する。なお、例示する数値はあくまでも一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
図9は、下ウェハ5の断面を示す図である。下ウェハ5は300mmΦの単結晶シリコン基板51に、露光プロセスで形成されたマークを含む層52と表面酸化膜層53を形成した。酸化膜層の厚さによりウェハの凸反り量を約200μmにした。上ウェハ6には300mmΦの単結晶シリコンを使用した。
【0028】
リング状のステージ1の外径はウェハ径よりもやや大きく、貼り合わせるウェハの位置を合わせるためのガイドピン13を設けてある。ステージ1の内側には下ウェハ5を載せるためのプッシャーピン12と上下可動な下圧子3があり、下圧子3に内蔵された圧力センサ31としてのロードセルの計測結果を上下動作にフィードバックする。ロードセル搭載の目的はステージ上に置いた下ウェハ5と下圧子3の接触を検出するためであり、他の方式としてはレーザ測微計や微電流計測センサなどが考えられる。ステージ1の上方に下圧子3と同軸で配置された上圧子4は、下圧子3と同様に圧力センサ41としてのロードセルを内蔵しており、上下可動で移動速度も制御できる。下圧子3及び上圧子4の先端はR5mmの半球状のものを使用した。動作軸の調整を高精度に行えるのであれば、先端の径はもっと小さくてもよい。
【0029】
表面親水化処理を施した下ウェハ5は、ステージ1の上に突出させたプッシャーピン12の上に下ウェハ5を載せ、プッシャーピン12を下降させることによってステージ1上のガイドピン13の内側に配置される。ステージ1の外周部11に下ウェハ5を載せた後に、表面親水化処理を施した上ウェハ6を下ウェハ5と向かい合わせて載せた。このとき、誤ってウェハ表面同士が接触しないように、上下ウェハの間にスペーサ2を入れて上ウェハ6を載せた後、スペーサ2を退避させた。
【0030】
その後、下圧子3を上昇させ、下ウェハ5の裏面と接触させた後、ロードセル負荷が0になるところまで下降して停止させた。
【0031】
続いて、上圧子4を、上ウェハ6の裏面への接触前の速度0.5mm/secで下降させ、上ウェハ6の裏面に接触した後に3Nまで加圧し30秒ほど保持し、接合を完了させた。加圧部変形や素子へのダメージを考慮すると上圧子4の動作速度や加圧荷重は低いほど好ましいと考えられるが、加圧荷重を1Nまで下げると、加圧してから接合が開始するまでの時間が長くなる傾向があったため、ここでは3Nとした。
【0032】
貼り合わせウェハの、下ウェハ5側のシリコン部を除去し、露出したマークの位置を測定したところ、ウェハ面内でのピッチの最大と最小との差は108nmとなった。
【0033】
比較のため、平坦なステージ61上に下ウェハ65を吸着し、スペーサ62を入れて上ウェハ66を載せ、加圧後すぐにスペーサ62を抜いて接合した貼り合わせウェハについても同様の処理および測定を行ったところ、ピッチの最大と最小との差は270nmであり、本実施形態のプロセスにより変形のバラツキが発明者が知得した直接接合方式の40%まで小さくなった。
【0034】
本実施形態によれば、円筒又は円環状のステージで下ウェハの外周部分を下側から単に支持し、下圧子は下ウェハと接するのみであるため、接合前の下ウェハの局所的な変形を抑制できる。これにより、直接接合方式で接合した貼り合わせウェハの局所的な弾性変形を低減できる。
【0035】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態の半導体製造装置の構成を模式的に示す断面図である。本実施形態に係る半導体製造装置は、ステージの周囲に基板支持装置としてチューブ7が配置されており、ステージ1の中央側に気体8を噴射する点で第1の実施形態と相違する。本実施形態において、コントローラ20は、チューブ7から噴射する気体8の流量や温度・湿度を制御する。
【0036】
発明者が知得した直接接合方式での貼り合わせプロセスにおいては、上ウェハに関して、スペーサや吸着支持リングなどの保持機構に支えられていない部分の自重によるたわみや伸びが生じる。また、下ウェハと同様に、外周機器の発熱などによるウェハ面内温度分布により局所的な熱膨張や熱収縮が発生する。さらに、圧子接触部の加圧によっても局所的な変形が生じる。また、上下ウェハ間のギャップに関して、上下ウェハ間のギャップは吸着支持リングやスペーサなどの保持機構の治具加工精度や組付け精度、平行度で決まるが、接合した部分と未だ接合していない部分の間で表面が引き合い、伸ばされるため、ギャップ高さの局所的な差は弾性変形に影響する。
【0037】
本実施形態では、下ウェハ5をステージ1に載置した後でコントローラ20はチューブ7に気体8を噴射させ、その状態で上ウェハ6を下ウェハ5の上に置く。これにより、上ウェハ6は下ウェハ5との間に薄い気体層が形成され、上ウェハ6は下ウェハ5と接することなく均一なギャップを保って重ね合わされる。チューブ7から噴射する気体8の流量をコントローラ20が管理することで、上ウェハ6を吹き飛ばしたり位置ずれを生じさせたりすることなく下ウェハ5の上に上ウェハ6を重ねることができる。チューブ7から噴射する気体8の圧力は、低圧でも上ウェハ6と下ウェハ5との間に薄い気体層を十分に形成可能である。具体例として、チューブ7から噴射する気体8の圧力を4kPa以下、望ましくは3kPa以下の低圧とすることで、上ウェハ6と下ウェハ5との間に薄い気体層を形成できる。ただし、上記の値はあくまでも一例であり、本発明がこれらの値に限定されることはない。また、本実施形態においては、チューブ7から噴射する気体8の湿度をコントローラ20が管理・制御することで、上下ウェハの貼り合わせ面は結露を防止し、吸着水の量を安定に保つことができる。また、上下ウェハの面内の温度バラツキを抑制し、熱膨張(熱変形)のバラツキを抑えることができる。
【0038】
この他については第1の実施形態と同様であるため説明は省略する。
【0039】
本実施形態によれば、貼り合わせプロセス時のウェハの局所的な弾性変形および熱変形を低減できる。
【0040】
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態の半導体製造装置の構成を模式的に示す断面図である。本実施形態に係る半導体製造装置は、第2の実施形態と同様にステージ1の周囲にチューブ7が配置されており、ステージ1の中央側に気体8を噴射する点と、圧力・温度調整槽(調整装置)9に接続されたエアバッグ10がステージ1の下方に設けられている点とで第1の実施形態と相違する。なお、下圧子3及びプッシャーピン12はエアバッグ10の中に配置されている。エアバッグ10は、軽量で柔軟性を有する材料の薄いシートを用いて形成されている。エアバッグ10の材料としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やHDPE(高密度ポリエチレン)、ナイロン6,6などを適用可能である。一例として、エアバッグ10の形成に用いるシートの厚さは10〜150μm程度である。
【0041】
第1の実施形態に係る半導体製造装置を用いて接合した貼り合わせウェハは、ウェハ面内の変形に渦状のランダム成分が残る。図12は、ウェハ面内に10℃の温度差があるときのウェハの変形量のシミュレーション結果を示す図である。ウェハ面内に10℃の温度差があるときには最大で639nmの変形が予想された。更にステージ上に下ウェハを置いたときの温度分布を測定すると、モータなどの熱源の影響で、ウェハ面内で最大で約2℃の温度差があることが判った。シミュレーション結果から、この2℃の温度差で最大128nmの変形が予想される。
【0042】
本実施形態に係る半導体製造装置を用いた直接接合方式によるウェハ貼り合わせの具体例について説明する。リング状のステージ1の内側に入れた厚さ20μm程度のフッ素樹脂系材料のシートからなるエアバッグ10には、温度が35〜40℃、圧力が部屋の大気圧+1.5〜5Paに調整された気体を圧力・温度調整槽9との間で循環させた。圧力・温度調整槽9からエアバッグ10に供給される気体の温度・湿度はコントローラ20によって制御される。気体の温度は、モータなどの電気部品の温度約25〜28℃よりも高く、水素結合し難くなる100℃以下であればよい。気体の圧力はエアバッグ10を下ウェハ5の裏面に接触させ、下ウェハ5に熱伝達するために必要であり、かつ、下ウェハ5の自重分(1枚約1.8Pa)をキャンセルすることも目的としている。
【0043】
エアバッグ10の上に下ウェハ5を配置したところ、ウェハ面内の温度差は0.5℃未満まで小さくなった。
【0044】
更にΦ20mmのチューブ7に等間隔にΦ1mmの噴出孔をつけてステージ1の外を取り巻くように取り付け、温度35〜40℃、湿度40〜50%、噴出孔1ヶ所からの流量0.01L/min以下の気体8を噴射し、弱い風を形成した。気体8の温度はエアバッグ10内の気体の温度と同じか若干低く設定しウェハ表面での結露を防止する。吸着水分子層の形成のために湿度は30%以上であれば問題ないが、70%を越えると結露する可能性がある。
【0045】
本実施形態に係る半導体製造装置では、上記の構成により下ウェハ5の表面温度だけでなく上ウェハ6の温度バラツキも0.5℃未満に抑えられた。
【0046】
本実施形態に係る半導体製造装置にて接合した貼り合わせウェハの、下ウェハ5側のシリコン部を除去し、露出したマークの位置を測定したところ、ウェハ面内でのピッチの最大と最小の差は50nm以下となった。
【0047】
このように、本実施形態に係る半導体製造装置は、ウェハ面内の変形のバラツキを第1の実施形態よりも小さくできる。すなわち、貼り合わせプロセス時のウェハの局所的な弾性変形および熱変形を低減できる。
【0048】
以上の説明においては、圧力・温度調整槽9とエアバッグ10との間で気体を循環させる構成を例としたが、圧力・温度調整槽9と袋状部材との間で液体を循環させる構成とすることも可能である。すなわち、袋状部材の中に流体を充填する構成とすることが可能である。
【0049】
この他については第1の実施形態と同様であるため、重複する説明は割愛する。
【0050】
上記の各実施形態においては、下ウェハを上に凸になる向きでステージ上に載せているが、下ウェハを下に凸となる向きでステージ上に載せることも可能である。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1 ステージ、3 下圧子、4 上圧子、5 下ウェハ、6 上ウェハ、7 チューブ、8 気体、10 エアバッグ、20 コントローラ、31、41 圧力センサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合面を有する第1及び第2の半導体基板の前記接合面同士を一点接触させて接合開始点を形成し、前記接合開始点から周囲に接合を進展させて前記第1の半導体基板と前記第2の半導体基板とを全面で接合する半導体製造装置であって、
前記第1の半導体基板の外周部分を下から支持するリング状のステージと、
前記第2の半導体基板の接合面と前記ステージに支持された前記第1の半導体基板の接合面とを対向させて、前記第2の半導体基板を保持する基板支持装置と、
前記接合面同士を対向させた前記第1及び第2の半導体基板の法線方向の同軸上に、該第1及び第2の半導体基板を挟んで前記法線方向に移動可能にそれぞれ配置され、前記第1及び第2の半導体基板と一点接触可能な第1及び第2の圧子と、
前記第1の圧子が、前記第1の半導体基板に接したことを検出する第1のセンサと、
前記第2の圧子が、前記第2の半導体基板に接したことを検出する第2のセンサと、
前記第1のセンサの検出結果に基づいて、前記第1の圧子を前記第1の半導体基板の前記接合面と反対側の面と接触させ、その後、前記第2のセンサの検出結果に基づいて、前記第2の圧子を前記第2の半導体基板の前記接合面と反対側の面と接触させた後、前記第2の圧子で前記第2の半導体基板の前記接合面とは反対側の面の一点を予め定められた圧力で加圧して、前記第1の半導体基板と前記第2の半導体基板との間に前記接合開始点を形成するコントローラと、
を備えることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項2】
変形可能な膜状の部材で形成されて前記ステージの内側に配置され、内部に流体が充填された袋状部材と、
温度及び圧力の少なくとも一方を調整した流体を前記袋状部材の内部へ供給する調整装置とを備え、
前記第1の半導体基板の中央部を前記調整装置によって前記流体が供給された前記袋状部材で支持することを特徴とする請求項1記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記基板支持装置は、前記ステージに支持された前記第1の半導体基板の前記接合面側に外周から中心へ向かって気体を噴射することによって前記第2の半導体基板を保持することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体製造装置。
【請求項4】
接合面を有する第1及び第2の半導体基板の前記接合面同士を一点接触させて接合開始点を形成し、前記接合開始点から周囲に接合を進展させて前記第1の半導体基板と前記第2の半導体基板とを全面で接合する半導体製造方法であって、
リング状のステージに前記第1の半導体基板を載置して、該第1の半導体基板の外周部分を下から支持し、
前記第2の半導体基板の前記接合面を前記ステージに支持された前記第1の半導体基板の接合面と対向させて、前記第2の半導体基板を保持し、
前記接合面同士を対向させた前記第1及び第2の半導体基板の法線方向の同軸上かつ前記第1の半導体基板の下方に、該法線方向に移動可能に第1の圧子を配置し、該第1の圧子を前記第1の半導体基板の前記接合面と反対側の面に一点接触させ、
前記接合面同士を対向させた前記第1及び第2の半導体基板の前記法線方向の同軸上かつ前記第2の半導体基板の上方に、該法線方向に移動可能に第2の圧子を配置して前記第2の半導体基板と一点接触させ、前記第2の半導体基板の前記接合面とは反対側の面の一点を予め定められた圧力で加圧して前記第1の半導体基板と前記第2の半導体基板との間に前記接合開始点を形成することを特徴とする半導体製造方法。
【請求項5】
前記第1の半導体基板は、前記第2の半導体基板よりも反りが大きいことを特徴とする請求項4記載の半導体製造方法。
【請求項1】
接合面を有する第1及び第2の半導体基板の前記接合面同士を一点接触させて接合開始点を形成し、前記接合開始点から周囲に接合を進展させて前記第1の半導体基板と前記第2の半導体基板とを全面で接合する半導体製造装置であって、
前記第1の半導体基板の外周部分を下から支持するリング状のステージと、
前記第2の半導体基板の接合面と前記ステージに支持された前記第1の半導体基板の接合面とを対向させて、前記第2の半導体基板を保持する基板支持装置と、
前記接合面同士を対向させた前記第1及び第2の半導体基板の法線方向の同軸上に、該第1及び第2の半導体基板を挟んで前記法線方向に移動可能にそれぞれ配置され、前記第1及び第2の半導体基板と一点接触可能な第1及び第2の圧子と、
前記第1の圧子が、前記第1の半導体基板に接したことを検出する第1のセンサと、
前記第2の圧子が、前記第2の半導体基板に接したことを検出する第2のセンサと、
前記第1のセンサの検出結果に基づいて、前記第1の圧子を前記第1の半導体基板の前記接合面と反対側の面と接触させ、その後、前記第2のセンサの検出結果に基づいて、前記第2の圧子を前記第2の半導体基板の前記接合面と反対側の面と接触させた後、前記第2の圧子で前記第2の半導体基板の前記接合面とは反対側の面の一点を予め定められた圧力で加圧して、前記第1の半導体基板と前記第2の半導体基板との間に前記接合開始点を形成するコントローラと、
を備えることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項2】
変形可能な膜状の部材で形成されて前記ステージの内側に配置され、内部に流体が充填された袋状部材と、
温度及び圧力の少なくとも一方を調整した流体を前記袋状部材の内部へ供給する調整装置とを備え、
前記第1の半導体基板の中央部を前記調整装置によって前記流体が供給された前記袋状部材で支持することを特徴とする請求項1記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記基板支持装置は、前記ステージに支持された前記第1の半導体基板の前記接合面側に外周から中心へ向かって気体を噴射することによって前記第2の半導体基板を保持することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体製造装置。
【請求項4】
接合面を有する第1及び第2の半導体基板の前記接合面同士を一点接触させて接合開始点を形成し、前記接合開始点から周囲に接合を進展させて前記第1の半導体基板と前記第2の半導体基板とを全面で接合する半導体製造方法であって、
リング状のステージに前記第1の半導体基板を載置して、該第1の半導体基板の外周部分を下から支持し、
前記第2の半導体基板の前記接合面を前記ステージに支持された前記第1の半導体基板の接合面と対向させて、前記第2の半導体基板を保持し、
前記接合面同士を対向させた前記第1及び第2の半導体基板の法線方向の同軸上かつ前記第1の半導体基板の下方に、該法線方向に移動可能に第1の圧子を配置し、該第1の圧子を前記第1の半導体基板の前記接合面と反対側の面に一点接触させ、
前記接合面同士を対向させた前記第1及び第2の半導体基板の前記法線方向の同軸上かつ前記第2の半導体基板の上方に、該法線方向に移動可能に第2の圧子を配置して前記第2の半導体基板と一点接触させ、前記第2の半導体基板の前記接合面とは反対側の面の一点を予め定められた圧力で加圧して前記第1の半導体基板と前記第2の半導体基板との間に前記接合開始点を形成することを特徴とする半導体製造方法。
【請求項5】
前記第1の半導体基板は、前記第2の半導体基板よりも反りが大きいことを特徴とする請求項4記載の半導体製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−8921(P2013−8921A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141979(P2011−141979)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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