半導体集積回路装置の製造方法
【課題】半導体集積回路装置の製造工程のうちの組立工程におけるダイシング後のチップのピックアップ工程またはダイ・ボンディング工程では、急速なチップの薄膜化によって、ピックアップ不良またはダイ・ボンディング工程不良の低減方法を提供する。
【解決手段】チップをコレットで真空吸着してダイ・ボンディングする場合において、吸引コレットの真空吸着を早期に解除(吸着オフステップ206)して、ダイ・ボンディング(ボンディングステップ208)時のチップの湾曲状態に起因するボイド等の発生を回避するものである。
【解決手段】チップをコレットで真空吸着してダイ・ボンディングする場合において、吸引コレットの真空吸着を早期に解除(吸着オフステップ206)して、ダイ・ボンディング(ボンディングステップ208)時のチップの湾曲状態に起因するボイド等の発生を回避するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置(または半導体装置)の製造方法におけるダイ・ボンディング技術またはチップ剥離技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本特開2005−322815号公報(特許文献1)には、凸状の弾性を有するコレットによってボンディングし、コレットの真空引きを解除して大気圧にし、チップに対する吸着力をなくした状態でコレットを上昇させるダイ・ボンディング技術が開示されている。
【0003】
日本特開平10−004258号公報(特許文献2)には、チップ等をマウントするコレットにおいて、コレットの一側面に貫通孔を形成し、マウント時の半田の吸い上がりを防止するチップマウント技術が開示されている。
【0004】
日本特開2006−165188号公報(特許文献3)には、薄膜チップにボイドを残留させないように弾性を有するコレット先端ラバー・チップ(硬度JIS-A60)の周辺のみに真空吸引孔を設けて、チップが下に凸の状態でダイ・ボンディングする技術が開示されている。
【0005】
日本特開2004−022995号公報(特許文献4)または日本特開2005−150311号公報(特許文献5)には、凸状の弾性を有するコレットが開示されている。
【0006】
日本特開2005−093838号公報(特許文献6)または米国特許公開2005−0061856号公報(特許文献7)には、仮圧着と本圧着を個別のステージで実行するダイ・ボンディング技術が開示されている。
【0007】
日本特開2005−9166号公報(特許文献8)または米国特許公開2005−0200142号公報(特許文献9)には、電子部品のマウンタ等の吸着ノズルに関して、部品が吸着されたか否かを空気流量センサの検出流量変化によって検出することが開示されている。
【0008】
日本特開2003−133791号公報(特許文献10)、日本特開2004−23027号公報(特許文献11)、または日本特開2007−103777号公報(特許文献12)には、電子部品のマウンタ等で吸着ノズルによって電子部品を吸着搬送する際、部品が正しく吸着されているか否かを空気流量センサの検出流量変化によって検出することが開示されている。
【0009】
日本特開2004−186352号公報(特許文献13)または米国特許公開2006−0252233号公報(特許文献14)には、ウエハ・ダイシング後の薄膜チップのピックアップに関して、ダイシングテープの下方から超音波振動を印加して、上方から吸着コレットによりチップを粘着シート(ダイシングテープ)から剥離する際に、吸着コレットの吸着流量を計測してチップがダイシングテープから完全に剥離して吸着コレットに吸着されているかを確認することが開示されている。
【0010】
日本特開2005−117019号公報(特許文献15)または米国特許7115482号公報(特許文献16)には、ウエハ・ダイシング後の薄膜チップのピックアップに関して、ダイシングテープの下方から多段の突き上げ機構でチップ下面を突き上げて、上方から吸着コレットによりチップを粘着シート(ダイシングテープ)から剥離することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−322815号公報
【特許文献2】特開平10−004258号公報
【特許文献3】特開2006−165188号公報
【特許文献4】特開2004−022995号公報
【特許文献5】特開2005−150311号公報
【特許文献6】特開2005−093838号公報
【特許文献7】米国特許公開2005−0061856号公報
【特許文献8】特開2005−9166号公報
【特許文献9】米国特許公開2005−0200142号公報
【特許文献10】特開2003−133791号公報
【特許文献11】特開2004−23027号公報
【特許文献12】特開2007−103777号公報
【特許文献13】特開2004−186352号公報
【特許文献14】米国特許公開2006−0252233号公報
【特許文献15】特開2005−117019号公報
【特許文献16】米国特許7115482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
半導体集積回路装置の製造工程のうちの組立工程におけるダイシング後のチップのピックアップ工程またはダイ・ボンディング工程では、急速なチップの薄膜化によって、ピックアップ不良またはダイ・ボンディング工程不良の低減が重要な課題となっている。特に、本願発明者が検討したところによると、剥離動作によるチップ周辺部の湾曲がチップの割れ、欠けを惹起する可能性が高く、また、ダイ・ボンディング時のコレットの真空吸着に起因するボイドの発生が無視できないことが明らかになった。本願発明はこれらの問題を解決するためになされたものである。
【0013】
本発明の目的は、信頼性の高い半導体集積回路装置の製造プロセスを提供することにある。
【0014】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0016】
すなわち、本願発明は、ダイシング・テープ(粘着テープ)等からチップを吸引コレットで真空吸着して剥離する場合またはチップをコレットで真空吸着してダイ・ボンディングする場合において、吸引コレットの真空吸着を早期に解除して、ダイ・ボンディング時のチップの真空吸着による湾曲状態に起因するボイド等の発生を回避するものである。
【発明の効果】
【0017】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0018】
すなわち、チップをコレットで真空吸着してダイ・ボンディングする場合において、吸引コレットの真空吸着を早期に解除し、大気圧状態で着地するようにしたため、ボイド発生の少ないダイ・ボンディング・プロセスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法に用いる半導体チップの斜視図である。
【図2】半導体ウエハの研削工程を示す側面図である。
【図3】半導体ウエハにダイシングテープを貼り付ける工程を示す側面図である。
【図4】半導体ウエハのダイシング工程を示す側面図である。
【図5】半導体ウエハおよびダイシングテープをウエハリングに固定し、その上方に押さえ板を配置すると共に、下方にエキスパンドリングを配置した状態を示す平面図である。
【図6】半導体ウエハおよびダイシングテープをウエハリングに固定し、その上方に押さえ板を配置すると共に、下方にエキスパンドリングを配置した状態を示す断面図である。
【図7】ダイシングテープをウエハリングを押さえ板とエキスパンドリングで挟むことによってダイシングテープの張力を与えた状態を示す断面図である。
【図8】ダイシングテープを貼り付けた半導体チップの剥離方法を説明するチップ剥離装置の要部断面図である。
【図9】チップ剥離装置の吸着駒を示す断面図である。
【図10】吸着駒の上面近傍の拡大断面図である。
【図11】吸着駒の上面近傍の拡大斜視図である。
【図12】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の上面近傍の拡大断面図である。
【図13】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の上面近傍の拡大断面図である。
【図14】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の上面近傍の拡大断面図である。
【図15】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の上面近傍の拡大斜視図である。
【図16】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の断面図である。
【図17】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の上面近傍の拡大断面図である。
【図18】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の上面近傍の拡大斜視図である。
【図19】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の断面図である。
【図20】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の上面近傍の拡大断面図である。
【図21】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の上面近傍の拡大斜視図である。
【図22】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の断面図である。
【図23】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の上面近傍の拡大断面図である。
【図24】図23で剥離された半導体チップがダイボンディング部へ搬送される様子を示す断面図である。
【図25】図23で剥離された半導体チップがダイボンディング部へ搬送され、配線基板に着地したところを示す断面図である。
【図26】図23で剥離された半導体チップがダイボンディング部で配線基板にボンディングされたところを示す断面図である。
【図27】半導体チップのペレット付け工程を示す配線基板の断面図である。
【図28】半導体チップの積層およびワイヤボンディング工程を示す配線基板の断面図である。
【図29】半導体チップの樹脂封止工程を示す配線基板の断面図である。
【図30】(a)〜(c)は、半導体チップの剥離方法の他の例を説明する吸着駒の上面近傍の断面図である。
【図31】(a)および(b)は、半導体チップの剥離方法の原理を説明するための説明図である。
【図32】(a)および(b)は、ラバーチップ、突き上げブロックの各一例およびコレット本体の構造を示す平面図である。
【図33】a)および(b)は、ラバーチップ、突き上げブロックの各他の一例およびコレット本体の構造を示す平面図である。
【図34】図33または図34のA−A断面の状態を説明する断面図である。
【図35】図33または図34のB−B断面の状態を説明する断面図である。
【図36】a)および(b)は、ラバーチップ、突き上げブロックの各更に他の一例およびコレット本体の構造を示す平面図である。
【図37】図36のA−A断面の状態を説明する断面図である。
【図38】図36のB−B断面の状態を説明する断面図である。
【図39】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における剥離プロセス1を示す処理フロー図である。
【図40】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における剥離プロセス1を示す模式断面フロー図である。
【図41】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における剥離プロセス2を示す処理フロー図である。
【図42】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における剥離プロセス2を示す模式断面フロー図である。
【図43】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における剥離プロセス3を示す処理フロー図である。
【図44】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における剥離プロセス3を示す模式断面フロー図である。
【図45】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における剥離プロセス4を示す処理フロー図である。
【図46】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における剥離プロセス4に用いる剥離装置の構造を説明するための装置要部上面図である。
【図47】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における剥離プロセス4を示す模式断面フロー図である。
【図48】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における初期パラメータ自動設定方法1を示す模式断面フロー図である。
【図49】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における初期パラメータ自動設定方法1を示す処理フロー図である。
【図50】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における初期パラメータ自動設定方法2を示す処理フロー図である。
【図51】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明するステップフロー図である。
【図52】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明するタイム・チャートである
【図53】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明する断面模式フロー図その1である。
【図54】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明する断面模式フロー図その2である。
【図55】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明する断面模式フロー図その3である。
【図56】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明する断面模式フロー図その4である。
【図57】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明する断面模式フロー図その5である。
【図58】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明する断面模式フロー図その6である。
【図59】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明する断面模式フロー図その7である。
【図60】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明する断面模式フロー図その8である。
【図61】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディングに使用するラバー・チップの材料に関する各規格間の硬度比較図である。
【図62】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるステップ・ダイボンディング方法に使用するチップ剥離&ダイ・ボンディング一貫装置の構成を示す模式上面図である。
【図63】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるステップ・ダイボンディング方法のフローを示す断面ステップフロー図その1である。
【図64】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるステップ・ダイボンディング方法のフローを示す断面ステップフロー図その2である。
【図65】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるステップ・ダイボンディング方法のフローを示す断面ステップフロー図その3である。
【図66】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順の一変形例を説明するステップフロー図である。
【図67】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順の一変形例に使用するコレットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔実施の形態の概要〕
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。
【0021】
1.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)複数のチップをチップ処理装置のチップ・ピックアップ部に供給する工程;
(b)前記チップ・ピックアップ部の前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着した状態で、前記第1のチップを、前記チップ処理装置のダイ・ボンディング部へ向けて移送する工程;
(c)前記工程(b)の後、主に、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面との間の物理吸着(または真空源を使用しない吸着、以下同じ)により保持した状態で、前記第1のチップの裏面側を、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部に置かれた配線基板の上面に着地させる工程;
(d)前記工程(c)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面で下方に加圧することにより、前記第1のチップを、前記第1のチップの前記裏面と前記配線基板の前記上面間の接着部材層を介して前記配線基板の前記上面に固定する工程。
【0022】
2.前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)から(d)においては、真空吸着はオフとされている(真空吸着を使用しない吸着、すなわち、真空源を使用しない吸着、以下同じ)。
【0023】
3.前記1または2項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ラバーチップは中央部に真空吸引孔を有する(必ずしも中央部に真空吸引孔を有する必要はない。リーク検出を利用しない場合は周辺一列だけでもよい。リークを検出する場合でも、少なくとも、中心からの距離が異なる複数群の真空吸引孔があればよい。以下同じ)。
【0024】
4.前記1から3項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は、以下の下位工程を含む:
(b1)前記第1のチップを、前記配線基板の前記上面へ向けて第1の速度で降下させる工程;
(b2)前記工程(b1)に引き続き、前記第1のチップを、前記第1の速度よりも遅い第2の速度で前記配線基板の前記上面へ向けて降下させる工程、
更に、前記工程(c)は、以下の下位工程を含む:
(c1)前記第1のチップを、着地するまで前記第2の速度で前記配線基板の前記上面へ向けて降下させる工程。
【0025】
5.前記1から4項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ラバーチップはエラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は10以上、70未満である。
【0026】
6.前記1から4項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ラバーチップはエラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は15以上、55未満である。
【0027】
7.前記1から4項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ラバーチップはエラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は20以上、40未満である。
【0028】
8.前記1から7項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーは熱硬化性エラストマーである。
【0029】
9.前記1から8項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーはシリコーン系エラストマーである。
【0030】
10.前記1から9項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記接着部材層はDAF部材層である。
【0031】
11.前記1から10項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を有する:
(e)前記工程(b)より前に、粘着テープにその裏面が固定された前記複数のチップの前記粘着テープ側からUV光を照射する工程。
【0032】
12.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ほぼ元のウエハの際の2次元的配置のままで、個々のチップ領域に分割された複数のチップを、それらの裏面を粘着テープに固定した状態でチップ処理装置に供給する工程;
(b)前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着し、且つ、前記第1のチップの前記裏面の前記粘着テープを下部基体の上面に真空吸着した状態で、前記粘着テープを前記第1のチップの前記裏面から剥離させる工程、
ここで、前記ラバーチップはエラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は15以上、55未満である。
【0033】
13.前記12項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記硬度は20以上、40未満である。
【0034】
14.前記12または13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーは熱硬化性エラストマーである。
【0035】
15.前記12から14項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーはシリコーン系エラストマーである。
【0036】
16.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)複数のチップをチップ処理装置のチップ・ピックアップ部に供給する工程;
(b)前記チップ・ピックアップ部の前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着した状態で、前記第1のチップを、前記チップ処理装置のダイ・ボンディング部へ向けて移送する工程;
(c)前記工程(b)の後、主に、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面に吸着した状態で、前記第1のチップの裏面側を、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部に置かれた配線基板の上面に着地させる工程;
(d)前記工程(c)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面で下方に加圧することにより、前記第1のチップを、前記第1のチップの前記裏面と前記配線基板の前記上面間の接着部材層を介して前記配線基板の前記上面に固定する工程、
ここで、前記ラバーチップはエラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は15以上、55未満である。
【0037】
17.前記16項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーのその硬度は20以上、40未満である。
【0038】
18.前記16または17項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーは熱硬化性エラストマーである。
【0039】
19.前記16から18項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーはシリコーン系エラストマーである。
【0040】
20.前記16から19項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記吸着コレット本体内の真空吸引系にはリーク孔が設けられ、そこを介してリークした状態で真空吸着が行われる。
【0041】
21.前記16から20項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記接着部材層はDAF部材層である。
【0042】
22.前記16から21項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を有する:
(e)前記工程(b)より前に、粘着テープにその裏面が固定された前記複数のチップの前記粘着テープ側からUV光を照射する工程。
【0043】
23.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ほぼ元のウエハの際の2次元的配置のままで、個々のチップ領域に分割された複数のチップを、それらの裏面を粘着テープに固定した状態でチップ処理装置のチップ・ピックアップ部に供給する工程;
(b)前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着し、且つ、前記第1のチップの前記裏面の前記粘着テープを下部基体の上面に真空吸着した状態で、前記粘着テープを前記第1のチップの前記裏面から剥離させる工程;
(c)前記工程(b)の後、前記第1のチップの前記表面を前記吸着コレットの前記ラバーチップの前記下面に吸着した状態で、前記第1のチップを、前記チップ処理装置のダイ・ボンディング部へ向けて移送する工程;
(d)前記工程(c)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面に吸着した状態で、前記第1のチップの裏面側を、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部に置かれた配線基板の上面に着地させる工程;
(e)前記工程(d)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面で下方に加圧することにより、前記第1のチップを、前記第1のチップの前記裏面と前記配線基板の前記上面間の接着部材層を介して前記配線基板の前記上面に固定する工程、
ここで、前記ラバーチップはエラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は15以上、55未満である。
【0044】
24.前記23項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記硬度は20以上、40未満である。
【0045】
25.前記23または24項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーは熱硬化性エラストマーである。
【0046】
26.前記23から25項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーはシリコーン系エラストマーである。
【0047】
27.前記23から26項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記吸着コレット本体内の真空吸引系にはリーク孔が設けられ、そこを介してリークした状態で真空吸着が行われる。
【0048】
28.前記23から27項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記接着部材層はDAF部材層である。
【0049】
29.前記23から28項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を有する:
(e)前記工程(b)より前に、粘着テープにその裏面が固定された前記複数のチップの前記粘着テープ側からUV光を照射する工程。
【0050】
30.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)複数のチップをチップ処理装置のチップ・ピックアップ部に供給する工程;
(b)前記チップ・ピックアップ部の前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着した状態で、前記第1のチップを、前記チップ処理装置のダイ・ボンディング部へ向けて移送する工程;
(c)前記工程(b)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面に吸着した状態で、前記第1のチップの裏面側を、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部に置かれた配線基板の上面に着地させる工程;
(d)前記工程(c)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面で下方に加圧することにより、前記第1のチップを、前記第1のチップの前記裏面と前記配線基板の前記上面間の接着部材層を介して前記配線基板の前記上面に固定する工程、
ここで、前記ラバーチップは中央部に真空吸着孔を有するとともに、エラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は10以上、70未満である。
【0051】
31.前記30項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーは熱硬化性エラストマーである。
【0052】
32.前記30または31項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーはシリコーン系エラストマーである。
【0053】
33.前記30から32項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記吸着コレット本体内の真空吸引系にはリーク孔が設けられ、そこを介してリークした状態で真空吸着が行われる。
【0054】
34.前記30から33項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記接着部材層はDAF部材層である。
【0055】
35.前記30から34項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を有する:
(e)前記工程(b)より前に、粘着テープにその裏面が固定された前記複数のチップの前記粘着テープ側からUV光を照射する工程。
【0056】
36.前記30から35項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)における前記ラバーチップの前記下面への吸着は、主に物理吸着によっている。
【0057】
37.前記30から36項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)から(d)においては、真空吸着はオフとされている。
【0058】
38.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)複数のチップをチップ処理装置のチップ・ピックアップ部に供給する工程;
(b)前記チップ・ピックアップ部の前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着した状態で、前記第1のチップを、前記チップ処理装置のダイ・ボンディング部へ向けて移送する工程;
(c)前記工程(b)の後、主に、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面に吸着した状態で、前記第1のチップの裏面側を、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部に置かれた配線基板の上面に着地させる工程;
(d)前記工程(c)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面で下方に加圧することにより、前記第1のチップを、前記第1のチップの前記裏面と前記配線基板の前記上面間の接着部材層を介して前記配線基板の前記上面に固定する工程、
ここで、前記吸着コレット本体内の真空吸引系にはリーク孔が設けられ、そこを介してリークした状態で真空吸着が行われる。
【0059】
39.前記38項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ラバーチップは中央部に真空吸着孔を有するとともに、エラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は10以上、70未満である。
【0060】
40.前記38または39項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記接着部材層はDAF部材層である。
【0061】
41.前記38から40項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を有する:
(e)前記工程(b)より前に、粘着テープにその裏面が固定された前記複数のチップの前記粘着テープ側からUV光を照射する工程。
【0062】
42.前記38から41項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)における前記ラバーチップの前記下面への吸着は、主に物理吸着によっている。
【0063】
43.前記38から42項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)から(d)においては、真空吸着はオフとされている。
【0064】
44.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)複数のチップをチップ処理装置のチップ・ピックアップ部に供給する工程;
(b)前記チップ・ピックアップ部の前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着した状態で、前記第1のチップを、前記チップ処理装置のダイ・ボンディング部へ向けて移送する工程;
(c)前記工程(b)の後、主に、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面との間の物理吸着により保持した状態で、前記第1のチップの裏面側を、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部に置かれた配線基板の上面に着地させる工程;
(d)前記工程(c)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面で下方に加圧することにより、前記第1のチップを、前記第1のチップの前記裏面と前記配線基板の前記上面間の接着部材層を介して前記配線基板の前記上面に固定する工程;
(e)前記チップ・ピックアップ部の前記複数のチップの内の第2のチップの表面を前記吸着コレットの前記ラバーチップの下面に真空吸着した状態で、前記第2のチップを、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部へ向けて移送する工程;
(f)前記工程(e)の後、主に、前記第2のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面との間の物理吸着により保持した状態で、前記第2のチップの裏面側を、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部に置かれた前記配線基板の前記上面に着地させる工程;
(g)前記工程(f)の後、前記第2のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面で下方に加圧することにより、前記第2のチップを、前記第1のチップの前記裏面と前記配線基板の前記上面間の前記接着部材層を介して前記配線基板の前記上面に固定する工程;
(h)前記工程(g)の後、前記第1および第2のチップの前記表面側を一括して前記コレットと異なる部材により加圧することにより、前記配線基板の前記上面との熱圧着を進行させる工程。
【0065】
45.前記44項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ラバーチップは中央部に真空吸着孔を有するとともに、エラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は10以上、70未満である。
【0066】
46.前記44または45項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記接着部材層はDAF部材層である。
【0067】
47.前記44から46項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を有する:
(e)前記工程(b)より前に、粘着テープにその裏面が固定された前記複数のチップの前記粘着テープ側からUV光を照射する工程。
【0068】
48.前記44から47項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)および(f)における前記ラバーチップの前記下面への吸着は、主に物理吸着によっている。
【0069】
49.前記44から48項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)から(d)、および(f)から(g)においては、真空吸着はオフとされている。
【0070】
50.前記44および46から49項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ラバーチップは、エラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は10以上、70未満である。
【0071】
次に、本願において開示される発明のその他の実施の形態について概要を説明する。
【0072】
51.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ほぼ元のウエハの際の2次元的配置のままで、個々のチップ領域に分割された複数のチップを、それらの裏面を粘着テープに固定した状態でチップ処理装置に供給する工程;
(b)前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着し、且つ、前記第1のチップの前記裏面の前記粘着テープを下部基体の上面に真空吸着した状態で、前記粘着テープを前記第1のチップの前記裏面から剥離させる工程、
ここで、前記工程(b)は以下の下位工程を含む:
(b1)前記第1のチップが前記粘着テープから完全に剥離する以前の前記第1のチップの湾曲状態を、前記吸着コレットの真空吸着系の流量を計測することによってモニタする工程、
更に、ここで、前記ラバーチップは、エラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は10以上、70未満である。
【0073】
52.前記51項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b2)前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を継続または中断させる工程;
(b3)前記剥離動作を中断させている場合において、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を再開する工程。
【0074】
53.前記51または52項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b4)前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を継続または減速させる工程;
(b5)前記剥離動作を減速させている場合において、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を再加速させる工程。
【0075】
54.前記51から53項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b6)前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を継続させ、または前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲内になるまで前記剥離動作を後退させる工程。
【0076】
55.前記51から54項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b7)前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を継続させ、または前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲内になるまで前記剥離動作を減速させる工程。
【0077】
56.前記51から55項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b8)前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、前記吸着コレットを上昇させる工程;
(b9)前記下位工程(b8)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記吸着コレットの上昇を継続するか、または前記吸着コレットを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで降下させる工程。
【0078】
57.前記51から56項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b10)前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、前記吸着コレットを上昇させる工程;
(b11)前記下位工程(b10)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記吸着コレットの上昇を継続するか、または前記吸着コレットを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで待機させる工程。
【0079】
58.前記51から57項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b12)前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、前記吸着コレットを上昇させる工程;
(b13)前記下位工程(b12)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記吸着コレットの上昇を継続するか、または前記吸着コレットを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで減速させる工程。
【0080】
59.前記51から58項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b14)前記下部基体の主要部を成す突き上げブロックを、前記吸着コレットとともに、上昇させる工程;
(b15)前記工程(b14)の後、前記突き上げブロックおよび前記吸着コレットの内、前記突き上げブロックのみを、前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、降下させる工程;
(b16)前記下位工程(b15)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記突き上げブロックの降下を継続するか、または前記突き上げブロックを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで上昇させる工程。
【0081】
60.前記51から59項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b17)前記下部基体の主要部を成す突き上げブロックを、前記吸着コレットとともに、上昇させる工程;
(b18)前記工程(b17)の後、前記突き上げブロックおよび前記吸着コレットの内、前記突き上げブロックのみを、前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、降下させる工程;
(b19)前記下位工程(b18)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記突き上げブロックの降下を継続するか、または前記突き上げブロックを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで待機させる工程。
【0082】
61.前記51から60項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b20)前記下部基体の主要部を成す突き上げブロックを、前記吸着コレットとともに、上昇させる工程;
(b21)前記工程(b20)の後、前記突き上げブロックおよび前記吸着コレットの内、前記突き上げブロックのみを、前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、降下させる工程;
(b22)前記下位工程(b21)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記突き上げブロックの降下を継続するか、または前記突き上げブロックの降下を前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで減速させる工程。
【0083】
62.前記61から61項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b23)前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、前記下部基体の主要部を成すスライド板を前記第1のチップとのオーバラップが減少するようにスライドさせる工程;
(b24)前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記スライド板を前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで待機させる工程。
【0084】
63.前記61から62項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b25)前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を継続または中断させる工程;
(b26)前記剥離動作を中断させている場合において、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を再開させるか、または前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで前記剥離動作を後退させる工程。
【0085】
64.前記61から63項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b27)前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を継続または減速させる工程;
(b28)前記剥離動作を減速させている場合において、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を再加速させるか、または前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲内になるまで前記剥離動作を後退させる工程。
【0086】
65.前記61から64項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b29)前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、前記吸着コレットを上昇させる工程;
(b30)前記下位工程(b29)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記吸着コレットの上昇を継続するか、または前記吸着コレットを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで待機させる工程;
(b31)前記吸着コレットを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで待機させている場合において、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記吸着コレットの上昇を再開するか、または前記吸着コレットを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで降下させる工程。
【0087】
66.前記61から65項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b32)前記下部基体の主要部を成す突き上げブロックを、前記吸着コレットとともに、上昇させる工程;
(b33)前記工程(b32)の後、前記突き上げブロックおよび前記吸着コレットの内、前記突き上げブロックのみを、前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、降下させる工程;
(b34)前記下位工程(b33)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記突き上げブロックの降下を継続するか、または前記突き上げブロックを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで待機させる工程;
(b35)前記突き上げブロックを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで待機させている場合において、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記突き上げブロックの降下を再開させるか、または前記突き上げブロックを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで上昇させる工程。
【0088】
67.前記61から66項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b36)前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、前記吸着コレットを上昇させる工程;
(b37)前記下位工程(b36)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記吸着コレットの上昇を継続するか、または前記吸着コレットを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで減速させる工程;
(b38)前記吸着コレットを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで減速させている場合において、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記吸着コレットの上昇を再開するか、または前記吸着コレットを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで降下させる工程。
【0089】
68.前記61から67項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b39)前記下部基体の主要部を成す突き上げブロックを、前記吸着コレットとともに、上昇させる工程;
(b40)前記工程(b39)の後、前記突き上げブロックおよび前記吸着コレットの内、前記突き上げブロックのみを、前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、降下させる工程;
(b41)前記下位工程(b40)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記突き上げブロックの降下を継続するか、または前記突き上げブロックの降下を前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで減速させる工程;
(b42)前記突き上げブロックを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで待機させている場合において、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記突き上げブロックの降下を再開させるか、または前記突き上げブロックを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで上昇させる工程。
【0090】
69.前記61から68項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1のチップの前記裏面にはあらかじめダイ・ボンディング用接着剤層が形成されている。
【0091】
70.前記51から69項ののいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーのその硬度は15以上、55未満である。
【0092】
71.前記51から69項ののいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーのその硬度は20以上、40未満である。
【0093】
〔本願における記載形式・基本的用語・用法の説明〕
1.本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数の部分に分けて記載する場合もあるが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しを省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0094】
2.同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を主要な構成要素のひとつとするものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。
【0095】
3.同様に、図形、位置、属性等に関して、好適な例示をするが、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、厳密にそれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0096】
4.さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0097】
5.「ウエハ」というときは、通常は半導体集積回路装置(半導体装置、電子装置も同じ)をその上に形成する単結晶シリコンウエハを指すが、エピタキシャルウエハ、絶縁基板と半導体層等の複合ウエハ等も含むことは言うまでもない。
【0098】
6.「チップ」または「ダイ」というときは、一般的にはウエハ分割工程(ブレードダイシング、レーザダイシングその他のペレタイズ工程)後の完全分離したものを指すが、本願では便宜上、分離前のチップ領域も同じ用語で示す。たとえば、いわゆるDBG(Dicing before Grinding)プロセスでは、ハーフカット・ダイシング後にグラインディングして最終的にチップに分離して、その状態でチップ裏面を保持用の粘着テープに貼り付けた後、剥離工程に進む。このような場合を含めて、たとえば「ウエハ」は分離されれば厳密にはすでにウエハではなく、チップ等も分離される前はチップ領域であってチップではないが、いつ分離されるかは個々のプロセスに依存するので、分離の前後を問わず、これらを包括して「ウエハ」、「チップ」または「ダイ」という。
【0099】
7.「配線基板」というときは、一般的には有機配線基板、セラミック配線基板、リードフレーム等の外、他のチップ、ウエハその他の薄膜状集積回路装置を指す。すなわち、近年、チップ上に数十枚のチップを接着剤で積層する積層技術が広く用いられており、本願に開示された発明は、それらを含めて広い範囲に適用される。
【0100】
8.「下部基体」は、一般に「吸着駒」とも言うが、「チップ処理装置」のチップ剥離機構の中心をなし、粘着シートに固定されたウエハ(ほぼ元のウエハの際の2次元的配置のままで粘着シートに固定されたチップ群)を粘着シートを真空吸着することにより位置固定するものである。また、その中央部は、ある装置では「突き上げブロック」であり、他の装置では「スライド板」である。「下部基体」は前記中央部と周辺部からなり、周辺部はピックアップ対象チップの周辺のチップおよび粘着テープを吸着固定する働きがある。中央部と周辺部ともに吸着孔や間隙を通して真空吸引される構造となっており、位置合わせ以外では、ほとんど常に吸引状態である。
【0101】
9.「吸着コレット」は、従来はメタル(ステンレスなど)、セラミック、ポリマー等の一体もので構成されていたが、本願が主に扱う薄膜ウエハまたは薄膜チップ(主に厚さが150マイクロメータ以下、特に100マイクロメータ以下)用では、チップにクラック等が入らないように、チップに直接触れるエラストマー等のポリマーを主要な構成要素とするラバー・チップとそれを保持する吸着コレット本体またはラバー・チップ・ホールダから構成されるようになっている。ラバー・チップは、一般にフッ素ゴム、二トリル・ラバー、シリコーン・ラバー等の熱硬化性エラストマー、または熱可塑性エラストマー等の弾性ポリマー材料を主要な構成要素としている。なお、具体的説明では、コレットや突き上げブロックの上下の動きを、下部基体周辺部(これが動かないものと仮定して)を基準として進めているが、これは、原理的には相対的な運動と考えられる。
【0102】
10.ラバーチップの硬度は、国際標準化機構ISO規格7619デュロメーター・タイプA(米国規格ショアA;JIS K 6253)に準じて表示する。
【0103】
〔実施の形態の詳細〕
実施の形態について更に詳述する。各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0104】
なお、コレットの真空系の流量をモニタして剥離動作を制御する技術については、本願発明者らの日本特許出願番号第2007−160922号(出願日:2007.6.19)に詳しく説明されている。
【0105】
(実施の形態1)
1.全体プロセス・装置説明(主に図1から30)
本実施の形態は、配線基板上にチップを実装する半導体パッケージの製造に適用したものであり、その製造方法を図1〜図29を用いて工程順に説明する。
【0106】
なお、本願発明者らによる関連する技術分野の代表的先行出願としては、日本特許出願第2006−143277号(出願日:2006年5月23日)およびその対応米国出願第11/735741号(出願日:2007年4月12日)がある。
【0107】
まず、図1に示すような単結晶シリコンからなるウエハ1Aの主面に周知の製造プロセスに従って集積回路を形成した後、格子状のスクライブラインによって区画された複数のチップ形成領域1A’のそれぞれに形成された集積回路の電気試験を行い、その良否を判定する。本実施の形態で使用するウエハ1Aのチップ形成領域1A’は、縦と横の長さが等しい正方形の平面形状を有している。本実施の形態では、作図上の都合から正方形のチップを例に取り説明するが、より一般的な長方形のチップでもまったく同様に処理できることは言うまでもない。長方形の場合は、図33または図36に示されたブロック、コレット等の平面形状を長方形にしたものがより適合している。
【0108】
次に、図2に示すように、ウエハ1Aの集積回路形成面(図の下面側)に集積回路保護用のバックグラインドテープ3を貼り付る。そして、この状態でウエハ1Aの裏面(図の上面側)をグラインダで研削し、続いて、この研削によって生じた裏面のダメージ層を、ウエットエッチング、ドライポリッシング、プラズマエッチングなどの方法によって除去することにより、ウエハ1Aの厚さを100μm以下、例えば90μm〜15μm程度まで薄くする。前記ウエットエッチング、ドライポリッシング、プラズマエッチングなどの
処理方法は、ウエハの厚さ方向に進行する処理速度が、グラインダによる研削の速度に比べて遅い反面、ウエハ内部に与えるダメージがグラインダによる研削に比較して小さいだけでなく、グラインダによる研削で発生したウエハ内部のダメージ層を除去することができ、ウエハ1Aおよびチップが割れにくくなるという効果がある。
【0109】
次に、バックグラインドテープ3を除去した後、図3に示すように、ウエハ1Aの裏面(集積回路形成面の反対側の面)にダイシングテープ4を貼り付け、この状態でダイシングテープ4の周辺部をウエハリング5に固定する。ダイシングテープ4は、ポリオレフィン(PO)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などからなるテープ基材の表面に感圧粘着剤を塗布して粘着性(tackness)を持たせた感圧型粘着テープやUV硬化型粘着テープを円形に裁断したものである。
【0110】
次に、図4に示すように、周知のダイシングブレード6を使ってウエハ1Aをダイシングすることにより、前記複数のチップ形成領域1A’のそれぞれを正方形のチップ1に分割する。このとき、分割されたそれぞれのチップ1を円形のダイシングテープ4上に残しておく必要があるので、ダイシングテープ4は、その厚さ方向の半分程度だけ切断する。なお、ダイシングテープ4としてUV硬化型粘着テープを使用した場合は、以下で説明するチップ1の剥離工程に先立ってダイシングテープ4に紫外線を照射し、感圧粘着剤の粘着力を低下させておく。
【0111】
次に、図5(平面図)および図6(断面図)に示すように、ウエハリング5に固定したダイシングテープ4の上方に押さえ板7を配置すると共に、下方にエキスパンドリング8を配置する。そして、図7に示すように、ウエハリング5の上面に押さえ板7を押し付けることにより、ダイシングテープ4の裏面の周辺部をエキスパンドリング8に押し付ける。このようにすると、ダイシングテープ4は、その中心部から周辺部に向かう強い張力を受けるので、水平方向に弛みなく引き伸ばされる。
【0112】
次に、この状態でエキスパンドリング8を図8に示すチップ剥離装置100のステージ101上に位置決めし、水平に保持する。このステージ101の中央には、図示しない駆動機構によって水平方向および上下方向に移動する吸着駒102が配置されている。ダイシングテープ4は、その裏面が吸着駒102の上面と対向するように保持される。
【0113】
図9は、吸着駒102の断面図、図10は、吸着駒102の上面近傍の拡大断面図、図11は、吸着駒102の上面近傍の拡大斜視図である。
【0114】
吸着駒102の上面の周辺部には、複数の吸引口103と、同心円状に形成された複数の溝104とが設けられている場合と複数の吸引孔のみの場合がある。吸引口103および溝104のそれぞれの内部は、吸着駒102を上昇させてその上面をダイシングテープ4の裏面に接触させる際、図示しない吸引機構によって減圧される。このとき、ダイシングテープ4の裏面が下方に吸引され、吸着駒102の上面と密着する。
【0115】
なお、ダイシングテープ4を下方に吸引する際、上記溝104の幅や深さが大きいと、剥離の対象となるチップ1に隣接するチップ1の下方のダイシングテープ4が溝104に吸引された際、隣接するチップ1とその下方のダイシングテープ4との界面が溝104の上部領域で剥離することがある。特に、比較的粘着力が弱い感圧粘着剤を使用したダイシングテープ4では、このような剥離が生じ易い。このような現象が発生すると、剥離の対象となるチップ1をダイシングテープ4から剥がしている作業中に、隣接するチップ1がダイシングテープ4から脱落してしまうことがあるので、好ましくない。そこで、このような現象が発生するのを防ぐには、上記溝104の幅や深さをできるだけ小さくし、隣接するチップ1の下方のダイシングテープ4と吸着駒102の上面との間にできるだけ隙間が生じないようにすることが有効であり、吸引孔を多くし溝を設けないことも有効である。
【0116】
吸着駒102の中心部には、ダイシングテープ4を上方に突き上げる3個のブロック110a〜110cが組み込まれている。3個のブロック110a〜110cは、外形が最も大きい第1のブロック110aの内側に、それよりも外形の小さい第2のブロック110bが配置され、さらにその内側に最も外形の小さい第3のブロック110cが配置されている。後述するように、3個のブロック110a〜110cは、外側のブロック110aと中間のブロック110bとの間に介在する第1の圧縮コイルばね111a、中間のブロック110bと内側のブロック110cとの間に介在し、上記第1の圧縮コイルばね111aよりもばね定数の大きい第2の圧縮コイルばね111b、および内側ブロック110cに連結され、図示しない駆動機構によって上下動するプッシャ112と連動して上下動するようになっている。
【0117】
上記3個のブロック110a〜110cのうち、最も外形の大きい外側のブロック110aは、剥離の対象となるチップ1よりも一回り(例えば約0.5mm〜3mm程度)外形の小さいものを使用するとよい。例えば、チップ1が正方形である場合には、それよりも一回り小さい正方形とすることが望ましい。また、後述する他の実施の形態で説明するように、チップ1が長方形である場合には、それよりも一回り小さい長方形とすることが望ましい。これにより、ブロック110aの上面の外周となる角部がチップ1の外縁よりもわずかに内側に位置するようになるので、チップ1とダイシングテープ4とが剥離する際の起点となる箇所(チップ1の最外周部)に両者を剥離させる力を集中させることができる。
【0118】
また、ブロック110aの上面は、ダイシングテープ4との接触面積を確保するために、平坦な面または大きな局率半径を有する面にすることが望ましい。ブロック110aの上面とダイシングテープ4との接触面積が小さい場合は、ブロック110aの上面によって下から支えられるチップ1の周辺部に大きな曲げ応力が集中するので、チップ1の周辺部が割れる恐れがある。
【0119】
上記ブロック110aの内側に配置された中間のブロック110bは、ブロック110aよりも1mm〜3mm程度小さい外形を有している。また、このブロック110bよりもさらに内側に配置された最も外形の小さいブロック110cは、中間のブロック110bよりもさらに1mm〜3mm程度小さい外形を有している。本実施の形態では、加工の容易さなどを考慮して、中間のブロック110bおよび内側のブロック110cのそれぞれの形状を円柱状にしたが、外側のブロック110aと同じく四角柱状あるいはそれに近い形状にしてもよい。3個のブロック110a〜110cのそれぞれの上面の高さは、初期状態(ブロック110a〜110cの非動作時)においては互いに等しく、また吸着駒102の上面周辺部の高さとも等しくなっている。
【0120】
図10に拡大して示すように、吸着駒102の周辺部と外側のブロック110aとの間、および3個のブロック110a〜110cの間には、隙間(S)が設けられている。これらの隙間(S)の内部は、図示しない吸引機構によって減圧されるようになっており、吸着駒102の上面にダイシングテープ4の裏面が接触すると、ダイシングテープ4が下方に吸引され、ブロック110a〜110cの上面と密着するようになっている。
【0121】
上記のような吸着駒102を備えたチップ剥離装置100を使ってチップ1をダイシングテープ4から剥離するには、まず、図12に示すように、剥離の対象となる1個のチップ1(同図の中央部に位置するチップ1)の真下に吸着駒102の中心部(ブロック110a〜110c)を移動させると共に、このチップ1の上方に吸着コレット105を移動させる。図示しない移動機構に支持された吸着コレット105の底面の中央部には、内部が減圧される吸着口106が設けられており、剥離の対象となる1個のチップ1のみを選
択的に吸着、保持できるようになっている。図12から図31においては、簡潔性を確保するためにコレット105の詳細構造を省略して示している。この詳細構造は、図32以降で詳しく説明する。
【0122】
次に、図13に示すように、吸着駒102を上昇させてその上面をダイシングテープ4の裏面に接触させると共に、前述した吸引口103、溝104および隙間(S)の内部を減圧する。これにより、剥離の対象となるチップ1と接触しているダイシングテープ4がブロック110a〜110cの上面に密着する。また、このチップ1に隣接する他のチップ1と接触しているダイシングテープ4が吸着駒102の上面周辺部に密着する。なお、このとき、吸着駒102を僅かに(例えば400μm程度)突き上げると、前述した押さ
え板7とエキスパンドリング8によって水平方向の張力が加えられているダイシングテープ4に対して、さらに張力を加えることができるので、吸着駒102とダイシングテープ4をより確実に密着させることができる。
【0123】
また、吸着駒102の上昇とほぼ同時に吸着コレット105を下降させ、吸着コレット105の底面を剥離の対象となるチップ1の上面に接触させてチップ1を吸着すると共に、チップ1を下方に軽く押さえ付ける。このように、吸着駒102を使ってダイシングテープ4を下方に吸引する際、吸着コレット105を使ってチップ1を上方に吸引すると、ブロック110a〜110cの突き上げによるダイシングテープ4とチップ1の剥離を促進させることができる。
【0124】
次に、図14に示すように、3個のブロック110a〜110cを同時に上方に突き上げてダイシングテープ4の裏面に上向きの荷重を加え、チップ1とダイシングテープ4とを押し上げる。また、この際、チップ1の裏面を、ダイシングテープ4を介してブロック110a〜110cの上面(接触面)で支え、チップ1にかかる曲げ応力を軽減するとともに、ブロック110aの上面の外周(角部)を、チップ1の外周よりも内側に配置することにより、チップ1とダイシングテープ4の剥離起点となっている界面に剥離する応力を集中し、チップ1の周縁部をダイシングテープ4から効率的に剥離する。このとき、剥離の対象となるチップ1に隣接する他のチップ1の下方のダイシングテープ4を下方に吸引し、吸着駒102の上面周辺部に密着させておくことにより、チップ1の周縁部におけるダイシングテープ4の剥離を促進させることができる。図15は、このときの吸着駒102の上面近傍を示す拡大斜視図である(チップ1とダイシングテープ4の図示は省略)。
【0125】
上記ブロック110a〜110cの突き上げ量(ストローク)は、例えば0.2mmから0.4mm程度であるが、チップ1のサイズに応じて増減することが望ましい。すなわち、チップ1のサイズが大きい場合は、チップ1とダイシングテープ4との接触面積が大きく、従って両者の粘着力も大きいので、突き上げ量を増やす必要がある。他方、チップ1のサイズが小さい場合は、チップ1とダイシングテープ4との接触面積が小さく、従って両者の粘着力も小さいので、突き上げ量を少なくしても容易に剥離する。なお、ダイシングテープ4に塗布されている感圧粘着剤は、製造元や品種によって粘着力に差がある。従って、チップ1のサイズが同じ場合でも、粘着力の大きい感圧粘着剤を使用している場合には、突き上げ量を増やす必要がある。
【0126】
また、ブロック110a〜110cを上方に突き上げてチップ1の裏面に荷重を加える際は、チップ1の最外周部において、チップの外周と直交する方向への曲げ応力を、チップの外周と平行な方向への曲げ応力より小さくすることが望ましい。チップ1の最外周部は、前述したダイシングブレード6を使ってウエハ1Aをダイシングした際に生じた微細なクラックが残留している。そのため、ブロック110a〜110cを上方に突き上げた際にチップ1の最外周部に、チップ1の外周と直交する方向に沿った強い曲げ応力が加わると、クラックが成長してチップ1が割れる恐れがある。本実施の形態では、チップ1のサイズより一回り小さい上面を有するブロック110aを使って、チップ1の最外周部より僅かに内側に均等な荷重を加えるので、上記のような問題を回避しつつ、チップ1の周縁部全体をダイシングテープ4から均等に剥離することができる。
【0127】
3個のブロック110a〜110cを同時に上方に突き上げるには、図16に示すように、プッシャ112を上方に押し上げることによって、プッシャ112に連結された内側のブロック110cを押し上げる。これにより、内側ブロック110cと中間のブロック110bとの間に介在する圧縮コイルばね111bのばね力によって中間のブロック110bが押し上げられ、さらに外側のブロック110aと中間のブロック110bとの間に介在する圧縮コイルばね111aのばね力によって外側のブロック110aが押し上げら
れるので、3個のブロック110a〜110cが同時に押し上げられる。そして、外側のブロック110aの一部(図の矢印で示す面)が吸着駒102の周辺部と接触することによって、ブロック110a〜110cの上昇が停止する。このとき、剥離の対象となるチップ1の大部分の領域は、3個のブロック110a〜110cの上面によって支えられており、ブロック110aの上面の外周(角部)よりも外側の領域において、チップ1とダイシングテープ4との界面での剥離が効率的に進行する。
【0128】
3個のブロック110a〜110cを同時に上方に突き上げる際は、ばね力が弱い圧縮コイルばね111aが収縮しないような弱い力でプッシャ112がブロック110cを押し上げる。このようにすると、外側のブロック110aの一部が吸着駒102の周辺部と接触するまでは、中間のブロック110bと内側のブロック110cがさらに上方に突き上ることはない。
【0129】
また、圧縮コイルばね111aは、少なくともダイシングテープ4の張力に抗してブロック110aを持ち上げることができる程度のばね力を備えている必要がある。圧縮コイルばね111aのばね力がダイシングテープ4の張力よりも小さい場合は、プッシャ112を押し上げても外側のブロック110aが持ち上がらないので、外側のブロック110aの上面によってチップ1を支えることができなくなる。この場合は、チップ1とダイシングテープ4との剥離起点に十分な応力を集中させることができないので、剥離速度の低下を招いたり、チップ1に過大な曲げ応力が加わってチップ1が割れてしまうといった問題を引き起こす可能性がある。
【0130】
次に、図17に示すように、中間のブロック110bと内側のブロック110cとを同時に上方に突き上げてダイシングテープ4を押し上げる。これにより、チップ1を支えるブロック110bの上面の外周(角部)の位置が、ブロック110aによって支えられていた状態に比較して、より内側に移るため、チップ1とダイシングテープ4との剥離がブロック110bの上面の外周より外側の領域からチップ1の中心方向へと進行する。図18は、このときの吸着駒102の上面近傍を示す拡大斜視図である(チップ1とダイシングテープ4の図示は省略)。
【0131】
2個のブロック110b、110cを同時に上方に突き上げるには、図19に示すように、プッシャ112を押し上げることによって、プッシャ112に連結されたブロック110cをさらに押し上げる。このとき、圧縮コイルばね111bのばね力によって中間のブロック110bが押し上げられるので、2個のブロック110b、110cが同時に押し上げられる。そして、中間のブロック110bの一部(図の矢印で示す面)が外側のブロック110aと接触した時点でブロック110b、110cの上昇が停止する。また、プッシャ112がブロック110cを押し上げる力は、ばね力が弱い圧縮コイルばね111aは収縮するが、ばね力が強い圧縮コイルばね111bは収縮しない大きさとする。これにより、中間のブロック110bの一部が外側のブロック110aと接触するまでは、内側のブロック110cがさらに上方に突き上ることはない。
【0132】
2個のブロック110b、110cを上方に突き上げる際には、チップ1とダイシングテープ4との剥離を促進させるために、ブロック110a〜110cの隙間(S)の内部を減圧することによって、チップ1と接触しているダイシングテープ4を下方に吸引する。また、溝104の内部を減圧し、吸着駒102の上面周辺部に接するダイシングテープ4を吸着駒102の上面に密着させる(図17)。
【0133】
次に、図20に示すように、内側のブロック110cをさらに上方に突き上げてダイシングテープ4の裏面を押し上げ、ブロック110cの上面でチップ1の裏面を支える。図21は、このときの吸着駒102の上面近傍を示す拡大斜視図である(チップ1とダイシングテープ4の図示は省略)。内側のブロック110cを上方に突き上げるには、図22に示すように、圧縮コイルばね111bが収縮するような強い力でブロック110cを押し上げる。これにより、ダイシングテープ4と接触しているブロック110cの上面の外周(角部)よりも外側の領域において、チップ1とダイシングテープ4との剥離が進行する。
【0134】
続いて、図23に示すように、ブロック110cを下方に引き下げると共に、吸着コレット105を上方に引き上げることにより、チップ1をダイシングテープ4から剥がす作業が完了する。
【0135】
上記ブロック110cの上面は、ブロック110cを上方に突き上げた際、吸着コレット105の吸引力だけでチップ1がダイシングテープ4から剥がれる程度に面積を小さくしておく必要がある。ブロック110cの上面の面積が大きいと、チップ1とダイシングテープ4との接触面積が大きくなり、両者の粘着力も大きくなるので、吸着コレット105がチップ1を吸引する力だけではチップ1をダイシングテープ4から剥がせない。
【0136】
一方、ブロック110cの上面の面積を小さくした場合は、ブロック110cがダイシングテープ4の裏面を押し上げる際、チップ1の狭い領域(中央部分)に強い荷重が集中的に加わるので、極端な場合にはチップ1が割れる恐れがある。そこで、ブロック110cを突き上げる際は、突き上げ速度を遅くしたり、ブロック110cの上面がダイシングテープ4と接触している時間を短くしたり、ブロック110cの突き上げ量(ストローク)を少なく(例えば0.2mm〜0.4mm程度)したりすることによって、チップ1の狭い領域に強い荷重が加わらないようにすることが望ましい。
【0137】
また、吸着コレット105の吸引力を大きくする一つの方法として、吸着コレット105の引き上げ速度を遅くすることが有効である。チップ1の一部がダイシングテープ4に密着した状態で吸着コレット105を急速に引き上げると、吸着コレット105の底面とチップ1の上面とに隙間が生じ、吸着コレット105の内部の真空度が低下するので、チップ1を吸引する力が低下してしまう。他方、吸着コレット105の引き上げ速度を遅くした場合は、チップ1をダイシングテープ4から剥がすのに要する時間が長くなる。そこで吸着コレット105の引き上げ速度を可変にし、引き上げ開始時には引き上げ速度を遅くして吸引力を充分確保し、チップ1とダイシングテープ4との接触面積がある程度まで小さくなったら引き上げ速度を速くして剥離時間の遅延を防ぐようにするとよい。また、吸着コレット105の底面の面積をブロック110cの上面の面積より大きくすることも、吸着コレット105の吸引力を大きくする有効な方法である。
【0138】
このように、吸着コレット105の吸引力を大きくすることにより、チップ1とダイシングテープ4との接触面積が比較的大きい場合であっても、吸着コレット105の吸引力だけでチップ1をダイシングテープ4から剥がすことが可能となるので、剥離時間を短縮することができると共に、ブロック110cの上面の面積を小さくした場合に生じる上記の問題を回避することができる。
【0139】
また、チップ1が吸着コレット105によって下方に押さえ付けられた状態でブロック110cを下方に引き下げると、吸着コレット105も下方に移動するために、チップ1がブロック110cに当たって割れる恐れがある。従って、ブロック110cを下方に引き下げる際は、その直前に吸着コレット105を引き上げるか、少なくとも吸着コレット105が下方に移動しないように、その位置を固定しておくことが望ましい。
【0140】
このようにして、ダイシングテープ4から剥離されたチップ1は、吸着コレット105に吸着、保持されて次工程(ペレット付け工程)に搬送される(一般に同一の装置のピックアップステージからダイボンディングステージ132またはダイボンディング部300へ搬送される)。そして、チップ1を次工程に搬送した吸着コレット105がチップ剥離装置100(チップ剥離部)に戻ってくると、前記図12〜図23に示した手順に従って、次のチップ1がダイシングテープ4から剥がされる。以後、同様の手順に従ってチップ1が1個ずつダイシングテープ4から剥がされる。
【0141】
次にペレット付け工程(ダイボンディング工程)を説明する。図24に示すように、ペレット付け工程に搬送されたチップ1は、接着剤または接着部材層10(通常、ウエハをチップに分割前、例えばダイシングテープを張る時、またはその前にウエハの裏面にDAFすなわち「ダイ・アタッチ・フィルム」と呼ばれるダイ・ボンディング用両面粘着シートまたはダイ・ボンディング用接着剤層を貼り付けておくか、ダイボンディング直前に液状の接着剤を配線基板に塗布または滴下する(すなわち、ダイボンディングのときにチップと配線基板の間に接着部材層が介在するようにする)。DAFは一般にウエハの裏面とダイシングテープの間に挟まれる形で張られ、ダイシング等の際にチップとともに分割される。チップのピックアップの際はチップとともにピックアップされる。ダイ・アタッチ・フィルムをあらかじめ貼り付けておくとダイ・ボンディング時に改めて接着剤層を形成する必要がないので量産上有利である。)などを介して配線基板11上に実装される。すなわち、ダイシングテープ4から剥がされたチップ1は吸着コレット105に真空吸引がオフされた状態で物理吸着により吸着され、摂氏100度から150度程度(有機配線基板のガラス転移温度は一般に摂氏240度から330度程度であるから、基板加熱温度は摂氏100度から200度程度でも可能であるが、基板の変形を最小限に抑えるためには、摂氏100度から150度程度が望ましい。ただし、少なくとも、基板のガラス転移温度以下であることが必要である)に加熱されたダイボンディングステージ132上の配線基板11へ向けて降下する。
【0142】
図25に示すように、チップ1が配線基板11に着地したのを確認すると、コレット105は所定の圧力でチップ1を押し付けたまま、真空吸引をオフのままの状態で所定の時間(たとえば1秒から数秒)その位置で留まる。この間に熱圧着が進行する。
【0143】
その後、図26に示すように、真空吸引をオフしたまま、コレット105はチップ1から退避する。
【0144】
熱圧着が完了したチップ1は、図27に示すように、Auワイヤ12を介して配線基板11の電極13と電気的に接続される。このようにすることによって、真空吸引がオフされた状態で、着地が行われるので、薄膜チップに剥離吸着時に湾曲があっても、着地時には湾曲が解除されているので、ダイボンディング後のチップに湾曲や不所望な応力が残存することがない。
【0145】
次に、図28に示すように、配線基板11上に実装されたチップ1の上に接着剤10などを介して第2のチップ14が積層され、Auワイヤ15を介して配線基板11の電極16と電気的に接続される。第2のチップ14は、チップ1と異なる集積回路が形成されたシリコンチップであり、前述した方法でダイシングテープ4から剥がされた後、ペレット付け工程に搬送されてチップ1の上に積層される。
【0146】
その後、配線基板11をモールド工程に搬送し、図29に示すように、チップ1、14をモールド樹脂17で封止することによって、積層パッケージ18が完成する。
【0147】
なお、本実施の形態では、剥離の対象となるチップ1が外側のブロック110aよりも一回り大きい場合について説明したが、例えば図30(a)に示すように、剥離の対象となるチップ1が外側のブロック110aより小さく、中間のブロック110bより大きい場合には、図30(b)に示すように、まず中間のブロック110bを突き上げてチップ1の周縁部をダイシングテープ4から剥がし、次に、図30(c)に示すように、内側のブロック110cを突き上げてチップ1の中央部をダイシングテープ4から剥がすこともできる。この場合は、例えば吸着駒102と外側のブロック110aとの間にスペーサを挟んでおき、プッシャ112を押し上げても外側のブロック110aが持ち上がらないようにしておく。
【0148】
なお、本実施の形態では、3個のブロック(110a〜110c)を使ってチップを剥離する方法を説明したが、ブロックの数は3個に限定されるものではなく、剥離の対象となるチップ1のサイズが大きい場合には、4個以上のブロックを使ってもよい。また、剥離の対象となるチップ1のサイズが非常に小さい場合には、2個のブロックを使ってもよい。
【0149】
2.ピックアップ部周辺詳細説明(主に図31から38)
図31から38を用いて、剥離動作制御、コレット105の詳細構造、およびそれらと下部基体102(吸着駒)との関係を説明する。
【0150】
図31はピックアップ部およびその制御系を模式的に示した概念図(図31a)、タイムチャート(図31b)、および断面図(図31b)である。ピックアップ動作はダイシングテープ4上の目的とするチップ1が吸着駒102とコレット105に位置決めされるところから開始する。位置決めが完了すると吸着駒102の吸引孔103や間隙Sを介して真空引きすることによって、ダイシングテープ4が吸着駒102の上面に吸着される。その状態でピックアップ部制御系144の指令により真空吸引系107(たとえば吸引圧マイナス80から90キロパスカル程度、吸引流量7L/min.)のバルブ143(この三方バルブは真空吸着がオフのときは、真空供給源側が閉鎖され、コレット側が大気に開放されるようになっている)が開き工場真空供給源から真空供給パイプ141を介して真空が供給され、コレット105がチップ1のデバイス面に向けて真空引きしながら降下し、着地する。ここで、吸着駒102の主要部である突き上げブロック110が上昇すると、チップ1はコレット105と突き上げブロック110に挟まれたまま上昇するが、ダイシングテープ4の周辺部は吸着駒周辺部102aに真空吸着されたままなので、チップ1の周辺で張力が生じ、その結果、チップ周辺でダイシングテープ4が剥離されることになる。しかし、一方この時、チップ周辺は下側に応力を受け、湾曲することになる。そうするとコレット下面との間に隙間ができ、空気がコレット105の真空吸引系107に流入することになる。その結果、真空吸引系107に設けられたガス流量センサ21の吸引量出力が増加する。ここで、たとえば、ピックアップ部制御系144の指令により、突き上げブロック110の上昇を停止し待機状態を維持すると、ダイシングテープ4の剥離が進行して、チップ1の湾曲状態が緩和して許容範囲に戻る場合が多い。図31bに、このような過程でのガス流量センサ21の吸引量出力(デジタル出力信号およびアナログ出力信号)の推移を示す。コレット降下時には開放状態に対応して大きな吸引量を示す。t1で着地すると急速に流量が減少してt2でほぼ“0”になる。突き上げブロックが上昇開始してもしばらくは張力が小さいのでリークは発生しないが、t3までくるとチップの湾曲によるリークが始まる。ブロック110の上昇を停止し待機状態を維持するリークは解消して、t4で流量は再びほぼ“0”に戻る。なお、ガス流量センサ21はガス流量またはそれに対応した物理量が計測できるものであれば、何でもよい。言うまでもないことであるが、ラバーチップの形状・寸法は対象チップの形状・寸法とほぼ同一とする(チップが長方形なら長方形)のがチップ周辺でのクラック等を防止する観点から好適と考えられる(大きめにしたり、若干小さめにすることを排除するものではない)。これについては、突き上げブロックも同じで、本実施形態では周辺剥離の促進のためチップよりも若干小さめの例を示したが、それに限定されないのは言うまでもないく、チップと形状・寸法をほぼ同一にしてもよいし、若干大きめにしてもよい。
【0151】
図32から図38に吸着コレット105の詳細構造、特にその下端部すなわちラバーチップ125とそのバリエーションおよびそれらと下部基体102(吸着駒)の関係を説明する。図32aは図1から30の説明に対応する突き上げブロック110の上面図であって、突き上げブロック110とラバーチップ125との位置関係を示す。ラバーチップ125の形状はピックアップするチップとほぼ同一である。図32bはコレット本体105(またはラバーチップ・ホールダ)の下面図である。中央に真空吸引孔122(たとえば径4mm)があり、各軸方向と対角線方向に真空吸引溝121が設けられている。このラバーチップ125には真空吸引溝121と突き上げブロック110aから110cに対応して真空吸引孔106aから106iが設けられている(たとえば径0.8mm)。
【0152】
図33はラバーチップ125のバリエーションで内側の二つの突き上げブロック110b,110cがチップ1とほぼ同一の上面形状をしている。このようにすることで、チップのコーナ部での応力の集中を緩和することができる。図32または図33に示したラバーチップの構造は、剥離プロセスでは非常に重要である。特に中央部(中央近傍領域を含む)に真空吸引孔106aがあると、粘着テープの張力でチップが湾曲したとしても中央部の真空吸引孔106aでチップの保持状態を維持することができる。チップを10mm角(チップ厚25ミクロン、DAF厚さ25ミクロン)と仮定すると、1段目ブロック(セグメント)がたとえば8.6mm角、第2ブロックが6.3mm角、第3ブロックが4.0mm角となる。
【0153】
図34はコレット105が着地している状態の図32および図33のA−A断面の略断面図であり、図35は図32および図33のB−B断面の略断面図である。このときダイシングテープ4の下側は下部基体周辺部102aに設けられた吸引孔103および下部基体主要部110間等の間隙Sを通して吸着されている。また、このときダイシングテープ4の上側は真空吸引孔106を介して、真空吸引されている。
【0154】
図36は、ラバーチップ125の更に別のバリエーションで、より細かくリークを検出可能にされている。すなわち、突き上げブロック110の各サブブロックと吸着駒102aの最内側部に対応してラバーチップ125内に多数の真空吸引孔106aから106wが配置されている。この様な配置では、各突き上げブロックの個々のセグメント(加えて最外側セグメント外部)に対応して少なくとも一つまたは複数の吸着孔が設けられているので、リークにより剥離状況を検出する精度を高めることができる。また、比較的軟らかいエラストマーによるラバーチップとの組み合わせでは、吸着力をチップ全体に分散できるので、チップが湾曲しても、局所的に応力が集中することがない。
【0155】
図37はコレット105が着地している状態の図36のA−A断面の略断面図であり、図38は図36のB−B断面の略断面図である。
【0156】
なお、図31,32、および36における中心孔106aは、必ずしも必須のものではない。たとえば、図46に示すような、スライド式の剥離方法では、中心に吸着孔があることは特に重要ではない。また、図36のように吸引孔が多数あり場合には、特に中心になくとも中間孔群(106tなど)で代替可能である。
【0157】
3.各剥離プロセスの詳細(主に図39から47)
以下の剥離プロセスは、セクション1で説明した全体プロセスに適宜選択して単独でまたは複数組み合わせて適用することができる。
【0158】
3−1.突き上げブロック待機・後退プロセス(「剥離プロセス1」、図39から40)
図39は突き上げブロック110の各サブブロック110aから110cを順次突き上げてダイシングテープ4を剥離する際に、リーク検出を利用する方法について具体的処理ステップを示すプロセスフロー図である。図40はその要部断面フロー図である。これらに基づいて、具体的ステップの進行を説明する。以下の各例では、明確に説明できるように、各剥離素過程ごとに最初はリークして2度目はリークしない例をあげて例示している。
(1)ダイシングテープ4を下部基体102上面に真空吸着する(テープ吸着ステップ31)。
(2)コレット105が真空吸引しながらチップ1の上面(限定はされないが一般にデバイス面)に着地する(コレット着地ステップ32)。着地した状態を図40aに示す。
(3)突き上げブロック110が一括上昇する(1段目上昇ステップ33)。チップ1およびコレット105もそれに連れて押し上げられる。このとき下部基体周辺部102aは動かないのでチップ1の外周のダイシングテープ4を剥離する張力が働く。また、このステップで、リークのモニタが開始されている。
(4)リークありを検知する(リーク検知ステップ34;図40b参照)。なお、リークなしの場合は即ステップ(9)に進む。リーク133を検出したときの状態を図40bに示す。
(5)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(3)の上昇動作を減速(停止を含む)する(図40c参照)。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(7)へ進む。ただ、このステップは(4)から即次のステップ(6)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。なお、以下の例でも同じであるが、一般に粘着テープからの剥離は、レオロジー的な現象であり、高速では剥離困難でも、弱めの張力をかけながら時間を置くと簡単に剥離する場合が多い。従って、停止待機や減速待機は有効な場合が多い。
(6)ステップ(3)の開始前に戻る。または、リークモニタでリークがなくなるまで(3)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110を一括降下させる。すなわち、「後退ステップ」である。これは以下の例でも同じであるが、チップが湾曲することで、張力が緩和され、その結果、時間をかけても剥離が一向に進行しない場合に有効である。このようにもとの状態に戻ると粘着テープは再びチップの裏面に粘着することになるが、一般に再粘着時の粘着力は初期粘着の際の粘着力と比較して弱いと考えられる。また、UV硬化型テープでUV照射されたものは、特に再粘着時の粘着力は大幅に減少している。
(7)突き上げブロック110が一括再上昇する(1段目上昇)。
(8)リークなしを検知する。リークがなくなった状態を図40cに示す。なお、所定の回数繰り返しても「リークなし」とならないときは、設定により、そのチップをスキップするか、リークが出ないように初期上昇量を下げて再実行するか、アラームを表示して(またはアラーム信号をホストに送信)停止するいずれかまたはそのうちの複数を選択する。
(9)突き上げブロック110bおよび110cが一括上昇する(2段目上昇ステップ35)。このとき、突き上げブロック110aや下部基体周辺部102aは動かない。
(10)リークあり(リーク検知ステップ36)。なお、リークなしの場合は即ステップ(15)に進む。
(11)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(9)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(13)へ進む。ただ、このステップは(10)から即次のステップ(12)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(12)ステップ(9)の開始前に戻る。または、リークモニタでリークがなくなるまで(9)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110bおよび110cを一括降下させる。
(13)2段目を再上昇させる(2段目再上昇)。
(14)リークなし。なお、所定の回数繰り返しても「リークなし」とならないときは、設定により、そのチップをスキップするか、リークが出ないように初期上昇量を下げて再実行するか、アラームを表示して(またはアラーム信号をホストに送信)停止するいずれかまたはそのうちの複数を選択する。
(15)最終段すなわち突き上げブロック110cを単独上昇させる(最終段上昇ステップ37)。当然、チップ1とコレット105はそれに伴って上昇する。
(16)リークあり(リーク検知ステップ38)。なお、リークなしの場合は即ステップ(21)に進む。
(17)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(15)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(19)へ進む。ただ、このステップは(16)から即次のステップ(18)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(18)ステップ(15)の開始前に戻る。または、リークモニタでリークがなくなるまで(15)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110cを単独降下させる。当然、チップ1とコレット105はそれに伴って降下する。
(19)最終段を再上昇させる(最終段再上昇)。
(20)リークなし。なお、所定の回数繰り返しても「リークなし」とならないときは、設定により、そのチップをスキップするか、リークが出ないように初期上昇量を下げて再実行するか、アラームを表示して(またはアラーム信号をホストに送信)停止するいずれかまたはそのうちの複数を選択する。
(21)コレットが上昇して完全剥離する(完全剥離ステップ39)。
【0159】
なお、ステップ(1)、(2)以降ステップ(21)までは、コレット側、および下部基体側の吸着用真空は引いたままである。すなわち、ONのままである。
【0160】
この剥離プロセスのメリットは、どのような形状のチップでもその形状に対応した突き上げが可能出るところにある。
【0161】
3−2.コレット待機・後退プロセス(「剥離プロセス2」、図41から42)
図41は主にコレット105の上昇・下降を繰り返すことによってダイシングテープ4を剥離する際に、リーク検出を利用する方法について具体的処理ステップを示すプロセスフロー図である。図42はその要部断面フロー図である。これらに基づいて、具体的ステップの進行を説明する。
(1)ダイシングテープ4を下部基体102上面に真空吸着する(テープ吸着ステップ41)。
(2)コレット105が真空吸引しながらチップ1の上面(限定はされないが一般にデバイス面)に着地する(コレット着地ステップ42)。着地した状態を図42aに示す。
(3)突き上げブロック110が一括上昇する(1段目上昇ステップ43;図42b参照)。チップ1およびコレット105もそれに連れて押し上げられる。このとき下部基体周辺部102aは動かないのでチップ1の外周のダイシングテープ4を剥離する張力が働く。また、このステップで、リークのモニタが開始されている。
(4)リークありを検知する(リーク検知ステップ44)。なお、リークなしの場合は即ステップ(9)に進む。
(5)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(3)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(7)へ進む。ただ、このステップは(4)から即次のステップ(6)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(6)ステップ(3)の開始前に戻る。または、リークモニタでリークがなくなるまで(3)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110を一括降下させる。すなわち、「後退ステップ」である。
(7)突き上げブロック110が一括再上昇する(1段目再上昇)。
(8)リークなしを検知する。なお、所定の回数繰り返しても「リークなし」とならないときは、設定により、そのチップをスキップするか、リークが出ないように初期上昇量を下げて再実行するか、アラームを表示して(またはアラーム信号をホストに送信)停止するいずれかまたはそのうちの複数を選択する。
(9)チップ1を真空吸着した状態でコレット105を上昇させる(コレット単独上昇ステップ45;図42cおよびd参照)。
(10)リークありを検知する(リーク検知ステップ46)。なお、リークなしの場合はそのまま完全剥離する。
(11)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(9)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(13)へ進む。ただ、このステップは(10)から即次のステップ(12)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(12)ステップ(9)開始前の状態に戻る(コレット降下ステップ47;図42e参照)。または、リークモニタでリークがなくなるまで(9)の処理を後退させる。すなわち、コレット105を降下させる。すなわち、「後退ステップ」である。
(13)突き上げブロック110bおよび110cが一括上昇する(2段目上昇ステップ48)。このとき、突き上げブロック110aや下部基体周辺部102aは動かない。
(14)リークあり(リーク検知ステップ49)。なお、リークなしの場合は即ステップ(19)に進む。
(15)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(13)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(17)へ進む。ただ、このステップは(14)から即次のステップ(16)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(16)ステップ(13)の開始前に戻る。または、リークモニタでリークがなくなるまで(13)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110bおよび110cを一括降下させる。
(17)2段目を再上昇させる(2段目再上昇)。
(18)リークなし。なお、所定の回数繰り返しても「リークなし」とならないときは、設定により、そのチップをスキップするか、リークが出ないように初期上昇量を下げて再実行するか、アラームを表示して(またはアラーム信号をホストに送信)停止するいずれかまたはそのうちの複数を選択する。
(19)チップ1を真空吸着した状態でコレット105を上昇させる(コレット単独上昇ステップ50)。
(20)リークありを検知する(リーク検出ステップ51)。なお、リークなしの場合はそのまま完全剥離する。
(21)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(19)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(23)へ進む。ただ、このステップは(20)から即次のステップ(22)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(22)ステップ(19)開始前の状態に戻る(コレット降下ステップ52)。または、リークモニタでリークがなくなるまで(19)の処理を後退させる。すなわち、コレット105を降下させる。すなわち、「後退ステップ」である。
(23)最終段すなわち突き上げブロック110cを単独上昇させる(最終段上昇ステップ53)。当然、チップ1とコレット105はそれに伴って上昇する。
(24)リークあり(リーク検知ステップ54)。なお、リークなしの場合は即ステップ(29)に進む。
(25)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(23)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(27)へ進む。ただ、このステップは(24)から即次のステップ(26)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(26)ステップ(23)の開始前に戻る。または、リークモニタでリークがなくなるまで(23)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110cを単独降下させる。当然、チップ1とコレット105はそれに伴って降下する。
(27)最終段を再上昇させる(最終段再上昇)。
(28)リークなし。なお、所定の回数繰り返しても「リークなし」とならないときは、設定により、そのチップをスキップするか、リークが出ないように初期上昇量を下げて再実行するか、アラームを表示して(またはアラーム信号をホストに送信)停止するいずれかまたはそのうちの複数を選択する。
(29)コレットが上昇して完全剥離する(完全剥離ステップ55)。
【0162】
なお、ステップ(1)、(2)以降ステップ(29)までは、コレット側、および下部基体側の吸着用真空は引いたままである。すなわち、ONのままである。
【0163】
この剥離プロセスのメリットは容易に剥離できる場合には、主にコレットの動きのみで比較的簡単に剥離が実行できるところにある。
【0164】
3−3.突き上げブロックのみ降下剥離プロセス(「剥離プロセス3」、図43から44)
図43は、突き上げブロック110が一旦上昇し、コレット105がチップ1を吸着した状態で、突き上げブロック110のみが降下することによって、剥離を進行させるプロセスを示す。図44はその要部断面フロー図である。これらに基づいて、具体的ステップの進行を説明する。
(1)ダイシングテープ4を下部基体102上面に真空吸着する(テープ吸着ステップ61)。
(2)コレット105が真空吸引しながらチップ1の上面(限定はされないが一般にデバイス面)に着地する(コレット着地ステップ62)。着地した状態を図44aに示す。
(3)突き上げブロック110が一括上昇する(1段目上昇ステップ63;図44b参照)。チップ1およびコレット105もそれに連れて押し上げられる。このとき下部基体周辺部102aは動かないのでチップ1の外周のダイシングテープ4を剥離する張力が働く。また、このステップで、リークのモニタが開始されている。
(4)リークありを検知する(リーク検知ステップ64)。なお、リークなしの場合は即ステップ(9)に進む。
(5)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(3)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(7)へ進む。ただ、このステップは(4)から即次のステップ(6)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(6)ステップ(3)の開始前に戻る。または、リークモニタでリークがなくなるまで(3)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110を一括降下させる。すなわち、「後退ステップ」である。
(7)突き上げブロック110が一括再上昇する(1段目再上昇)。
(8)リークなしを検知する。なお、所定の回数繰り返しても「リークなし」とならないときは、設定により、そのチップをスキップするか、リークが出ないように初期上昇量を下げて再実行するか、アラームを表示して(またはアラーム信号をホストに送信)停止するいずれかまたはそのうちの複数を選択する。
(9)コレット105がチップ1を真空吸着した状態で、突き上げブロック110のみを降下させる(突き上げブロック一括単独降下ステップ65;図44c参照)。
(10)リークありを検知する(リーク検知ステップ46)。なお、リークなしの場合はそのまま(13)に進む。
(11)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(9)の降下動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(13)へ進む。ただ、このステップは(10)から即次のステップ(12)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(12)ステップ(9)開始前の状態に戻る(突き上げブロック再上昇ステップ67;図44d参照)。または、リークモニタでリークがなくなるまで(9)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110のみを降下させる。すなわち、「後退ステップ」である。
(13)突き上げブロック110bおよび110cが一括上昇する(2段目上昇ステップ68)。このとき、突き上げブロック110aや下部基体周辺部102aは動かない。
(14)リークあり(リーク検知ステップ69)。なお、リークなしの場合は即ステップ(19)に進む。
(15)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(13)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(17)へ進む。ただ、このステップは(14)から即次のステップ(16)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(16)ステップ(13)の開始前に戻る。または、リークモニタでリークがなくなるまで(13)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110bおよび110cを一括降下させる。
(17)コレット105がチップ1を真空吸着した状態で、突き上げブロック110bおよび110cのみを降下させる(突き上げブロック一括単独降下ステップ70)。
(18)リークありを検知する(リーク検知ステップ71)。なお、リークなしの場合はそのまま(21)に進む。
(19)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(17)の降下動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(21)へ進む。ただ、このステップは(18)から即次のステップ(20)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(20)ステップ(17)開始前の状態に戻る(突き上げブロック再上昇ステップ72)。または、リークモニタでリークがなくなるまで(17)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110bおよび110cのみを降下させる。すなわち、「後退ステップ」である。
(21)最終段すなわち突き上げブロック110cを単独上昇させる(最終段上昇ステップ73)。当然、チップ1とコレット105はそれに伴って上昇する。
(22)リークあり(リーク検知ステップ74)。なお、リークなしの場合は即ステップ(27)に進む。
(23)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(21)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(27)へ進む。ただ、このステップは(22)から即次のステップ(24)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(24)ステップ(21)の開始前に戻る。または、リークモニタでリークがなくなるまで(21)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110cを他のブロックとともに降下させる。当然、チップ1とコレット105はそれに伴って降下する。
(25)最終段を再上昇させる(最終段再上昇)。
(26)リークなし。なお、所定の回数繰り返しても「リークなし」とならないときは、設定により、そのチップをスキップするか、リークが出ないように初期上昇量を下げて再実行するか、アラームを表示して(またはアラーム信号をホストに送信)停止するいずれかまたはそのうちの複数を選択する。
(27)コレットが上昇して完全剥離する(完全剥離ステップ75)。
【0165】
なお、ステップ(1)、(2)以降ステップ(27)までは、コレット側、および下部基体側の吸着用真空は引いたままである。すなわち、ONのままである。
【0166】
この剥離プロセスのメリットは、突き上げブロックのトータル・ストロークを短くできるところにある。
【0167】
3−4.スライド剥離プロセス(「剥離プロセス4」、図45から47)
先のセクションまでの剥離装置では、チップ1の下部には突き上げブロック110があったが、他の装置では、図46bに示すように、その代わりにスライド板183が水平方向にスライドすることによって、剥離を進行させるものがある。同図において、構造を説明する。図46aは対象とするチップ1側から見た上面図である。吸着駒102にはスライド板183を収容するためのリセス部181が設けられており、リセス部181の底面には真空吸引孔182があり、他の装置同様にリセス部181外部周辺の吸着駒102には真空吸引孔103が設けられている。図45はこの装置によってダイシングテープ4を剥離する際に、リーク検出を利用する方法について具体的処理ステップを示すプロセスフロー図である。図47はその要部断面フロー図である。図45から47に基づいて、具体的ステップの進行を説明する。
(1)ダイシングテープ4を下部基体102上面に真空吸着する(テープ吸着ステップ81)。
(2)コレット105が真空吸引しながらチップ1の上面(限定はされないが一般にデバイス面)に着地する(コレット着地ステップ82)。着地した状態を図47aに示す。
(3)コレットリークありを検出する(リーク検出ステップ83;図47b)。
(4)待機する(流量設定値到達待ちステップ84;図47c)。リーク量が許容範囲になったら次のステップに進む。
(5)スライド板183をチップ1とのオーバーラップが減少する方向にスライド開始する(スライド・ステップ85;図47d)。コレットリークありを検出するまでそのままスライドする。
(6)リークありを検出する。
(7)スライド速度をリークが許容範囲となるまで減速する(または、停止して、待つ)。すなわち、待機ステップ86である。
(8)リークなし検出。
(9)スライド再開し、スライド・ストローク・エンドに到達し、コレットが上昇を開始する(スライド・エンド&コレット上昇ステップ87)。
(10)リークありを検出する(リーク検出ステップ88)。
(11)コレット上昇速度をリークが許容範囲となるまで減速する(または、停止して、待つ)。すなわち、待機ステップ89である。
(12)リークなしを検出。
(13)コレットが上昇して完全剥離する(完全剥離ステップ90)
この剥離プロセスのメリットは比較的簡単なステップ構成で実行できるところにある。
【0168】
4.各剥離ティーチング・プロセスの詳細(主に図48から50および図31)
以下のティーチング・プロセスはセクション3で説明した各種の剥離プロセス、セクション2で説明した各種のコレット構造、およびセクション1で説明した全体プロセスに適宜選択して単独でまたは複数組み合わせて適用することができる。
【0169】
なお、以下のティーチングは、良品製品チップ、不良品製品チップ、または非製品チップ(上は周辺の製品と同一形状のチップでパターンが完全には形成されていないもの)のいずれかを用いて実行可能である。また、製品チップで擬似ピックアップ(完全には剥離しないピックアップ)しても、完全剥離をしなければ元の状態にもどるので、製品信頼性等の一定のリスクはあるが大きな問題はない。
【0170】
4−1.突き上げブロック動作ティーチング(「ティーチング方法1」、図48から49および図31)
図48は、リーク検出とそれを用いたプロセスパラメータの自動取得すなわちティーチング・プロセスの原理を説明するための説明図である。図48a、b、およびcはその要部断面フロー図であり、図48dは図31に説明したリーク検出の原理との関係を示すタイミングチャートである。これらに基づいて、具体的ステップの進行を説明する。
(1)目的とするチップ1が吸着駒(下部基体)102と吸着コレット105の中心に来るように位置あわせする。ここで流量検出がオンになる(検出動作開始ステップすなわちティーチング開始ステップ151)。
(2)ダイシングテープ4を下部基体102上面に真空吸着する(テープ吸着ステップ152)。
(3)コレット105が真空吸引しながらチップ1の上面(限定はされないが一般にデバイス面)に着地する(コレット着地ステップ153)。着地した状態を図48aに示す。
(4)十分に遅い速度(初期速度)で突き上げブロック(突き上げ治具)全体が上面をそろえて上昇する(突き上げブロック上昇ステップ154)。
(5)リークありを検出する(リーク検出ステップ157)。その突き上げ高さ(「リーク検出開始高さ」)を記憶する。
(6)十分に遅い速度(初期速度)で突き上げブロック全体が上面をそろえてリークが許容範囲になるまで降下する。その高さ(「リーク検出終了高さ」)を記憶する。すなわち、これを「暫定第1段目上昇高さ」として記憶する(突き上げたかさ記憶ステップ158)。
(7)十分に遅い速度(初期速度)で突き上げブロックの内、突き上げブロック(突き上げ治具)110bおよび110cのみが上面をそろえて上昇する(2段目突き上げブロック上昇ステップ)。
(8)リークありを検出する(リーク検出ステップ159)。その突き上げ高さ(「リーク検出開始高さ」)を記憶する。
(9)十分に遅い速度(初期速度)で突き上げブロックの内、突き上げブロック(突き上げ治具)110bおよび110cのみが上面をそろえてリークが許容範囲になるまで降下する。その高さ(「リーク検出終了高さ」)を記憶する。すなわち、これを「暫定第2段目上昇高さ」として記憶する(突き上げたかさ記憶ステップ160)。
(10)十分に遅い速度(初期速度)で突き上げブロックの内、突き上げブロック(突き上げ治具)110cのみが上昇する(3段目突き上げブロック上昇ステップ)。
(11)リークありを検出する。その突き上げ高さ(「リーク検出開始高さ」)を記憶する。
(12)十分に遅い速度(初期速度)で突き上げブロックの内、突き上げブロック(突き上げ治具)110cのみが上面をそろえてリークが許容範囲になるまで降下する。その高さ(「リーク検出終了高さ」)を記憶する。すなわち、これを「暫定第3段目上昇高さ」として記憶する。
(13)ここで、「暫定第3段目上昇高さ」でリークなし(リーク検出ステップ161)となっているかを突き上げブロック(突き上げ治具)110cのみを追加上昇(追加上昇162)させて確認する。
(14)これにより、最終的にリークなしとなる「設定暫定第3段目上昇高さ」すなわち、「上死点」(3段目上昇高さ設定値)を記憶する(上死点設定ステップ155)。
(15)「暫定第1段目上昇高さ」、「暫定第2段目上昇高さ」および「設定暫定第3段目上昇高さ」を停止高さとして設定する(停止高さ設定ステップ156)。
(16)次に、(15)で設定した停止高さで対応するセクション3のいずれかのピックアップを実行する。そして、各回ごとに上昇速度を徐々に上げて、または下げて最適速度を記憶し、それに変更する。これは、非製品チップでも可能であるが、製品チップのピックアップを実行しながら行うことが効率的である。
【0171】
4−2.スライド動作ティーチング(「ティーチング方法2」、図46から47および図50)
ここでは、セクション3−4に説明した装置構成でのスライド速度のティーチング方法を説明する。図50はそのプロセスフロー図である。図46から47および図50に基づいて具体的ステップの進行を説明する。
(1)目的とするチップ1が吸着駒(下部基体)102と吸着コレット105の中心に来るように位置あわせする。ここで流量検出がオンになる(検出動作開始ステップすなわちティーチング開始ステップ171)。
(2)ダイシングテープ4を下部基体102上面に真空吸着する(テープ吸着ステップ172)。
(3)コレット105が真空吸引しながらチップ1の上面(限定はされないが一般にデバイス面)に着地する(コレット着地ステップ173)。
(4)十分に遅い速度(初期速度)で第1のチップに対してスライド動作を開始する(スライド開始ステップ174)。リークなければストロークエンドまでスライドする(ストロークエンド・ステップ176)。製品チップの場合は剥離完了まで進む。そのスライド速度を記憶する。
(5)もう少し早い速度で第2のチップに対してスライド動作を開始する。リークなければストロークエンドまでスライドする。製品チップの場合は剥離完了まで進む。そのスライド速度を記憶する。
(6)これを繰り返して、n番目のチップでリークありを検出する(リーク検出ステップ175)。
(7)そのn番目のチップに対するスライド速度を記憶する。
(8)リークが許容範囲になるまで待機してその待機時間を記憶する。
(9)スライド動作を再開し、リークありを検出すると(8)に戻り、リークなしであれば次に進む。
(10)ストロークエンドまでスライドする。ここで、(7)またはそれ以前に記憶した速度から最適速度を所定のルールに従って選択または算出する場合は以後のステップは不要となる。
(11)必要に応じて、更に速度を上げて(6)かた(10)を繰り返し、そこで得られたデータから最適速度を設定し記憶する(最適速度記憶ステップ177)。
【0172】
5.各剥離プロセスの好適な組み合わせおよびその特徴
セクション3の各剥離プロセスは、典型的な例についてその類型に分類して説明したが、実際には適宜取捨選択して、または適宜相互に組み合わせて実行するとピックアップ効率が向上したり、製品信頼性が向上することが期待できる。たとえば、セクション3−2のコレット上昇セグメント(図41ステップ45から47または50から52)すなわち、ステップの集合は剥離プロセス3のステップ67の後や剥離プロセス4の適切なステップとパラレルに適用するとピックアップ時間短縮に有効である。
【0173】
6.チップ搬送、物理吸着着地およびダイボンディング・プロセスの説明(主に図51から60を参照)
一般にチップ剥離から配線基板への着地完了までの処理は、チップを吸着コレットに真空吸着したまま実行される。しかしこれでは、薄膜チップの場合(特に100マイクロメータ以下のチップ厚のもの)は、真空吸着によってチップが局部的に変形したまま(真空吸着によるチップのひずみは図54から図56を参照するとよい)着地して、基板に接着・固定されることになるので、ボンディング後にボイドやひずみが残りやすい。この傾向は、あらかじめチップの裏面に接着剤層(DAFを使用する方式)を形成しておく方式では、特に強い。また、デバイス面、すなわち、チップの主にトランジスタ等の主要部や多層配線が形成される面(裏面の反対側の主面)が上向きで吸着される場合(いわゆるフェースアップ品)には、デバイスの信頼性の面でも、ボイド、ひずみ、または変形を残さずにボンディングすることは重要である。また、一般に周辺のボイドは、モールド工程において一部解消されるが、中央付近のものは解消されない。
【0174】
このセクションでは、これらの問題を解決するために、他のセクションで説明されるボンディングプロセスの配線基板への着地部分またはその周辺に、早期に真空吸着をオフする方法を適用する場合について説明する。以下の実施態様では、真空吸着をオフするとは、特にそれ以外であることを明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、真空吸着を完全にオフして、物理吸着のみで(図31のピックアップ部制御系144の指示に従って三方切り替えバルブ143が切り替わることによって、吸着コレットの真空吸引系が真空供給源から切り離され、大気開放された状態で)チップを吸着していることを示す。なお、他のセクションについても同様であるが、本セクションの着地技法は他のセクションで説明したプロセスの当該部分の代替プロセスまたは詳細プロセスであり、他のセクションで説明したプロセスに関して、必須のものではないことは言うまでもない。
【0175】
ここで、チップ剥離後からダイボンディングに至るプロセスの詳細なフローを主に図51から図60を用いて説明する。先に説明したように図51において、まず、ピックアップ部においてピックアップ動作が開始される(図51のピックアップ動作開始ステップ201、以下同じ図51による)。まず、ダイシングテープ4が下部基体102に吸着される(DCテープ吸着ステップ202)。図52の時間t11でコレット105が目的とするチップ1上に来ると降下を開始する。時間t12で低速の降下に切り替わる。そして、時間t13でコレット105の真空引きが開始される。時間t14で真空吸引しながらコレット105が降下してきて、チップ1上に着地する(コレット吸着開始ステップ203)。図53にこのときの断面の概要を示す。直後、時間t15で突き上げ動作とコレット105の上昇が開始される。時間t16で突き上げ動作は終了して時間t17で突き上げブロックは元に戻るが(t15-t17間たとえば100ミリ秒)、問題がなければコレット105はそのまま上昇を続けて剥離を完了させる。完全剥離後、時間t18でコレット105は上昇速度を上げて、時間t19で所定の平行移動高度に達する。すなわち、コレット105はラバーチップ125で真空吸着により保持したまま上昇する(ピックアップステップ204)。このときの断面の概要を示したものが図54である。所定の高さまで上昇した後、コレット105はダイボンディング位置上方すなわちボンディングステージ132上の配線基板11上方へ移動する(ボンド位置上方へ移動するステップ205)。このときの断面の概要を示したものが図55である。時間t20からコレット105はラバーチップ125で真空吸着により保持したままで降下を開始する。このときの断面の概要を示したものが図56である。時間t21で低速降下に切り替わる。ここで最終着地体勢に入ったことになる。時間t22でコレットの真空引きがオフされ(吸着オフステップ206)、チップ1はラバーチップ125に実質的に分子間力(物理吸着)のみで保持されながら降下する。このときの断面の概要を示したものが図57である(図54から図56と図57を比較すると図57ではチップの真空吸引による歪が解消していることがわかる。)。時間t23でチップ1は配線基板11上に着地する(着地ステップ207;t21-t23間たとえば速度20mm/sec;時間約30ミリ秒)。なお、図52でefgのような経路(fg間の時間はたとえば速度2mm/sec;時間約40ミリ秒)で降下する場合は、その方式での最終着地体勢に入った時点すなわち"f"点の直後に真空吸引をオフするようにするとよい(その他のタイミングでオフしてもよい)。時間t24で着地が確認されると、ボンディング荷重(たとえば5N)がコレット105に付与される(ボンディング・ステップ208)。このときの断面の概要を示したものが図58である。時間t25にボンディングが完了する(t23-t25間の時間はたとえば1秒程度)と、コレットは上昇を開始する。このときの断面の概要を示したものが図59である。そして、時間t26で所定の平行移動高度に達する。このときの断面の概要を示したものが図60である。その後、コレット105は再び次のチップの剥離のため、ピックアップ部へ移動する。
【0176】
ここで、本プロセスでは、図52において経路abcをとるので、すなわち着地前に真空吸着をオフとしているので(平行移動時と比較して微弱にすることを含む)、図52において経路adcをとる場合と比較して、着地時にチップ1に吸着による変形や応力が存在しないので、ボンディング特性が良好となる。また、着地時にチップ1に吸着による不要な力がかかっていないので、配線基板のボンディングされるべき面にスムースに習う結果、ボイドや不所望な歪が残存しない。このような効果は、ダイ・ボンディング時のチップ変形が問題となりやすいDAF(ウエハ裏面に貼り付けるタイプおよびダイシングテープにあらかじめ張っておくタイプを含む)を使用するプロセスに特に有効である。
【0177】
なお、必ずしも必須ではないが、高速降下から低速降下(最終着地速度)に切り替わった後に真空引きをオフしているので、切り替わりの衝撃力でチップ1が落下することがない(ただし、十分な物理吸着が確保される条件では、速度切り替え前に真空吸着をオフしてもよい。また、速度を切り替えない方がよい場合もある)。すなわち、チップの質量は比較的小さいので物理吸着力は一般に重力と比較して強いと考えられるが、衝撃力は一般に物理吸着力と同程度になりうると考えられる。
【0178】
なお、真空引きをオン、オフといっても完全にオフする(大気開放)ことは必ずしも必要でなく、たとえば、オンのときの吸引圧をたとえばマイナス80から90キロ・パスカルとすると、オフのときの圧力はこれと比べて十分に絶対値の低いもの、たとえば数%以下程度であればよい(ただし、真空吸着を使用しない完全なオフ状態すなわち実効的に物理吸着のみとした方が、薄膜チップのダイ・ボンディング特性の改善、すなわちボイドの減少には有効である。これを圧力で示すと、たとえば絶対値で0.05から0.0005キロ・パスカル程度又はそれ以下である。また、真空吸着を完全にオフとする方が制御も簡単であり、圧力応答の速さからも有利である。)。また、完全なオフにせず、強弱で切り替えるようにしてもよい。すなわち、オン時の30%以下、望ましくは15%以下の吸引強度にすることも有効である。安定なチップの保持を考慮すると、完全にオフしない場合も、マイナス圧力すなわち(弱い排出ではなく)弱い吸引状態が望ましい。
【0179】
本セクションに説明した着地方法は、次セクションに説明する低弾性ラバーチップを有するコレットによるダイ・ボンディング方法との組み合わせにおいて、特に有効である。これは、低弾性ラバーチップに真空吸着される場合は、チップにかかる応力をラバーチップが広い範囲で分散させるので、真空吸着をオフしたときに、速やかにチップ変形が回復するからである。また、少なくとも熱圧着進行時に真空吸着をオフしていると、低弾性ラバーチップを介してボンディング加圧が十分に分散するので、チップの局所変形やボイドの解消に特に有効である。
【0180】
また、本セクションに説明した着地方法は、薄膜チップ(150マイクロメータ以下、または100マイクロメータ以下、更には50マイクロメータ以下のチップ厚のチップ)に対するラバーチップを有するコレットによるダイ・ボンディング方法との組み合わせにおいて、特に有効である。これは、薄膜チップは局所的な変形が発生しやすく、そのまま着地すると、配線基板面との間で、容易に閉鎖空間を形成するので、ボイドの原因になりやすいからである。
【0181】
また、本セクションに説明した着地方法は、セクション3に説明したラバーチップを有するコレットによる各剥離&ダイ・ボンディング方法との組み合わせにおいて、特に有効である。これは、チップが湾曲・回復を繰り返しながら剥離される場合は、特にひずみを残したまま吸着されている場合が多いからである。
【0182】
7.低弾性ラバーチップ材料の説明(主に図61参照)
ラバーチップの材料としては、硬度の低いものが選択しやすい点から、熱硬化性エラストマーのうちから選択することが第1に有効である。たとえば、ジェルテック(Geltec)社のアルファ・ゲル(ジェルテック社の登録商標)すなわち、シリコーンを主要な成分とするシリコーン系ゲル状エラストマーがチップの汚染防止等の観点からも好適な候補として挙げられる。また、そのシリーズの中でもシータ・ゲル(ジェルテック社の登録商標)、シータ5(硬度約56)、シータ6(硬度約14)、シータ8(硬度約28)が更に好適である。更に、シータ・ゲルの中でもシータ8(硬度約28)等が特に好適である。
【0183】
その他の材料としては、フッ素ゴム、耐熱ニトリル・ラバー、天然ゴム、イソプレンラバー、スチレン-ブタジエン-ラバー、ネオプレンラバー等の熱硬化性エラストマーから選択することができる。
【0184】
更に、リサイクルを考慮すると、熱可塑性樹脂としてのポリイミド系の熱可塑性エラストマー等の選択肢もある。
【0185】
硬度範囲は10以上70未満までが、弾性を利用する上で好適である。その範囲の中で、硬度15以上55未満は弾性を利用する上で特に好適である。また、硬度20以上40未満の範囲は薄膜チップを取り扱う上で特に好適である。ただし、それ以外の範囲を排除するものではない。本願の実施形態の中には従来の高度80程度のエラストマーや金属、セラミックス等の硬質のコレットまたはラバーチップが適した応用分野もある。また、物理吸着の例、リークによるチップ湾曲の検出の例などは、特にこの範囲に限られないことは言うまでもない。
【0186】
このように低弾性のラバーチップを用いると、凹凸に倣い易いので(チップ上面は必ずしも平坦ではないので)、剥離においてリークしにくくなり、剥離効果を高めることができる。
【0187】
また、このように低弾性のラバーチップを用いると、剥離工程において、チップが一時的に湾曲しても、それに倣ってラバーチップも相当程度変形するので、応力が分散され、チップの損傷、応力の残存が防止できる。
【0188】
更に、このように低弾性のラバーチップを用いると、ダイ・ボンディングにおいて、着地時の衝撃を緩和することができる。従って、フェースアップ品等に特に有効である。
【0189】
更に、このように低弾性のラバーチップを用いると、ダイ・ボンディングにおいて、圧着時のひずみの残存を低減することができる。従って、DAF等を用いたプロセスに特に有効である。
【0190】
また、このように低弾性のラバーチップを用いると、ダイ・ボンディングにおいて、着地前に真空吸引をオフしても、チップ表面との密着面積が大きいので、十分な物理吸着力を確保することができる。
【0191】
また、このように低弾性のラバーチップを用いると、ダイ・ボンディングにおいて、着地前に真空吸引をオフする又はオフしないにかかわらず、圧着時のチップへのダメージを低減することができる。
【0192】
一般に物理吸着力は、ファン・デル・ワールス力に起因するが、その到達距離は0.2nmから10nmの範囲である。半導体チップ上面とラバーチップ間の物理吸着力は、ファン・デル・ワールス力の内、ロンドン力(誘起2重極間の引力)に起因し、比較的弱い部類に属する。したがって、できるだけ多くの面積が到達距離内になるようにする必要がある。そのためには、倣い性にすぐれた部材を用意する必要がある。また、衝撃は落下の原因になりやすいので、極力衝撃吸収性の高い材料が好適である。
【0193】
なお、ラバーチップは比較的熱伝導が悪いので、一般にラバーチップを用いたコレットによるダイ・ボンディングでは加熱は配線基板側すなわちボンディングステージ側から行う。
【0194】
8.2段ダイボンディング・プロセスの説明(主に図62から65を参照)
以上の説明では、一つのボンディングツール(コレット105)で熱圧着を完了する方式を示したが、第1のボンディングツール(コレット105)で複数のチップ(たとえば5個)を仮付けし、その後、その複数のチップを第2のボンディングツールで本圧着するようにすれば、スループットを数倍にすることができる。また、セクション7で説明した低弾性ラバーチップと組み合わせた仮圧着では、高速で動作させてもチップへのダメージが少ないので、高速の仮圧着を実行することができる。以下に詳細に説明する。
【0195】
図62に、上面図で剥離・ダイボンディング一貫装置400の構成を示す。同図左に先に説明したチップ剥離部100(ピックアップ部)があり、右側にはダイボンディング部300があり、その中に仮ボンディング部300aと本圧着部300bがある。仮ボンディング部300aには仮ボンディング・ステージ132aが設けられている。一方、本圧着部300bには縦長の本圧着ステージ132bが設けられている。
【0196】
図62のAA断面を図63から65に示し、2段ダイボンディング・プロセスを説明する。図63に示すように、剥離されたチップ1jはコレット105で仮ボンディングステージ132a上の配線基板11a上方に移送される。次に図64に示すようにコレット105が降下して短時間(加圧時間たとえば0.1秒程度)で仮の圧着(接着部材層により位置が固定される程度の圧着状態)が行われる。このときタイミングが合えば、本圧着ボンディング・ツール305によって、チップ1aヵら1eの基板11bへの本圧着が行われる。本圧着は仮圧着よりも多くの時間(たとえば加圧時間4秒程度)を要するので、その間にコレット105は数回ピックアップ部100と仮ボンディング部300aの間を往復して、チップ1fから1jの仮圧着を完了することができる(図65参照)。完了するとコレット105は次のチップ1kの剥離のため、剥離ステージに移動する。
【0197】
また、先に説明したものと同様に、前記仮圧着ステージおよび本圧着ステージは、摂氏100度から150度程度(有機配線基板のガラス転移温度は一般に摂氏240度から330度程度であるから、基板加熱温度は摂氏100度から200度程度でも可能であるが、基板の変形を最小限に抑えるためには、摂氏100度から150度程度が望ましい。ただし、少なくとも、基板のガラス転移温度以下であることが必要である)に加温されている。また、本圧着ボンディング・ツール305も同様の温度、または摂氏50度程度高めの温度に加温されている。したがって、仮圧着コレットと異なり、本圧着ボンディング・ツール305の下端部は比較的に熱伝導の良好な部材で構成することができ、また、チップを構成するシリコン等は比較的熱伝導の良好な部材であり、効率的な加熱が行えるので、熱圧着の進行をスムースに行うことができる。
【0198】
9.コレット真空吸引系の変形例の説明(主に図66、67および52参照)
これまでに説明したコレット105の真空吸引系は完全閉鎖型(図31のバルブ143によって、オンの時は真空源に連結されており、オフ時は真空源とは切り離されて大気開放状態である)であったが、ここに説明するものは、図67に示すように、その改良型でコレット本体105のラバーチップに比較的近い領域にリーク孔221を設けたものである。こうすることで、吸着をオフしたときのコレット先端部の圧力応答が速くなる効果がある(勿論、これまでに説明したコレット105の真空吸引系でも、オフ時には真空源とは切り離されて大気開放状態となるが、一般に真空源と大気開放の切り替えは、コレット先端部よりも真空源に近い位置に置かれた切り替えバルブ143で行われるので、若干の遅延は不可避である。実際、これまでは40から100ミリ秒ほど要していた。すなわち、コレット先端部にリーク路を常設しておくと、たとえリーク路が比較的細いとしても、切り替えバルブ143までの真空系流路のコンダクタンスの分だけ圧力応答が速くなる)。また、常にリーク路(たとえば、リーク路の孔径0.3mm程度、リーク路のみ開放したときの到達流量0.4L/分、同到達圧84KPaとする。ちなみに、孔径0.8mm程度のラバーチップの吸着孔を全部開放したときの到達流量は7.0L/分程度である。)があるので、チップによって真空吸引系が閉鎖されるときの衝撃によるチップへの影響を緩和することができる。すなわち、セクション7で説明したような比較的軟らかいエラストマーをラバーチップとして使用する場合、真空シール性が非常によく、チップが湾曲してリーク状態になった状態から湾曲が回復して真空吸引系を閉鎖するときの衝撃が比較的大きいと懸念される。しかし、この場合は常にリーク路が存在するので、真空吸引系が完全閉鎖されるわけではないので、チップに強い衝撃が加わるおそれが少ないと考えられる。また、リーク孔があると、応答が速いため、着地直前に真空吸着をオフにしても、着地時には十分にチップひずみのない状態にすることができる。また、低弾性部材のラバーチップを使用した場合は、この湾曲からの回復は低弾性部材の持つ回復力とあいまって、よりスムースに行われる。
【0199】
以下図52にしたがって詳細手順を説明する。先に説明したように図66において、まず、ピックアップ部においてピックアップ動作が開始される(図66のピックアップ動作開始ステップ211、以下同じ図66による)。まず、ダイシングテープ4が下部基体102に吸着される(DCテープ吸着ステップ212)。図52の時間t11でコレット105が目的とするチップ1上に来ると降下を開始する。時間t12で低速の降下に切り替わる。そして、時間t13でコレット105の真空引きが開始される。時間t14で真空吸引しながらコレット105が降下してきて、チップ1上に着地する(コレット吸着開始ステップ213)。直後、時間t15で突き上げ動作とコレット105の上昇が開始される。時間t16で突き上げ動作は終了して時間t17で突き上げブロックは元に戻るが、問題がなければコレット105はそのまま上昇を続けて剥離を完了させる。完全剥離後、時間t18でコレット105は上昇速度を上げて、時間t19で所定の平行移動高度に達する。すなわち、コレット105はラバーチップ125で真空吸着により保持したまま上昇する(ピックアップステップ214)。所定の高さまで上昇した後、コレット105はダイボンディング位置上方すなわちボンディングステージ132上の配線基板11上方へ移動する(ボンド位置上方へ移動するステップ215)。時間t20からコレット105はラバーチップ125で真空吸着により保持したままで降下を開始する。時間t21で低速降下に切り替わる。ここで最終着地体勢に入ったことになる。時間t22でコレットの真空引きがオフされ(吸着オフステップ216)、チップ1はラバーチップ125に実質的に分子間力(物理吸着)のみで保持されながら降下する。時間t23でチップ1は配線基板11上に着地する(着地ステップ217)。時間t24で着地が確認されると、ボンディング荷重がコレット105に付与される(ボンディング・ステップ218)。時間t25にボンディングが完了すると、コレットは上昇を開始する。そして、時間t26で所定の平行移動高度に達する。その後、コレット105は再び次のチップの剥離のため、ピックアップ部へ移動する。
【0200】
10.サマリ
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて正方形のシリコン・チップを例にとり具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0201】
例えば、本発明は長方形のチップ、その他の形状のチップ、GaAsチップ等のシリコン以外のチップ、およびその他のチップ上の電子部品のピックアップに同様に適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0202】
1 チップ
10 接着部材層
11 配線基板
100 チップ装置剥離(チップ処理装置)
105 吸着コレット
125 ラバーチップ
300 ダイ・ボンディング部
400 チップ処理装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置(または半導体装置)の製造方法におけるダイ・ボンディング技術またはチップ剥離技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本特開2005−322815号公報(特許文献1)には、凸状の弾性を有するコレットによってボンディングし、コレットの真空引きを解除して大気圧にし、チップに対する吸着力をなくした状態でコレットを上昇させるダイ・ボンディング技術が開示されている。
【0003】
日本特開平10−004258号公報(特許文献2)には、チップ等をマウントするコレットにおいて、コレットの一側面に貫通孔を形成し、マウント時の半田の吸い上がりを防止するチップマウント技術が開示されている。
【0004】
日本特開2006−165188号公報(特許文献3)には、薄膜チップにボイドを残留させないように弾性を有するコレット先端ラバー・チップ(硬度JIS-A60)の周辺のみに真空吸引孔を設けて、チップが下に凸の状態でダイ・ボンディングする技術が開示されている。
【0005】
日本特開2004−022995号公報(特許文献4)または日本特開2005−150311号公報(特許文献5)には、凸状の弾性を有するコレットが開示されている。
【0006】
日本特開2005−093838号公報(特許文献6)または米国特許公開2005−0061856号公報(特許文献7)には、仮圧着と本圧着を個別のステージで実行するダイ・ボンディング技術が開示されている。
【0007】
日本特開2005−9166号公報(特許文献8)または米国特許公開2005−0200142号公報(特許文献9)には、電子部品のマウンタ等の吸着ノズルに関して、部品が吸着されたか否かを空気流量センサの検出流量変化によって検出することが開示されている。
【0008】
日本特開2003−133791号公報(特許文献10)、日本特開2004−23027号公報(特許文献11)、または日本特開2007−103777号公報(特許文献12)には、電子部品のマウンタ等で吸着ノズルによって電子部品を吸着搬送する際、部品が正しく吸着されているか否かを空気流量センサの検出流量変化によって検出することが開示されている。
【0009】
日本特開2004−186352号公報(特許文献13)または米国特許公開2006−0252233号公報(特許文献14)には、ウエハ・ダイシング後の薄膜チップのピックアップに関して、ダイシングテープの下方から超音波振動を印加して、上方から吸着コレットによりチップを粘着シート(ダイシングテープ)から剥離する際に、吸着コレットの吸着流量を計測してチップがダイシングテープから完全に剥離して吸着コレットに吸着されているかを確認することが開示されている。
【0010】
日本特開2005−117019号公報(特許文献15)または米国特許7115482号公報(特許文献16)には、ウエハ・ダイシング後の薄膜チップのピックアップに関して、ダイシングテープの下方から多段の突き上げ機構でチップ下面を突き上げて、上方から吸着コレットによりチップを粘着シート(ダイシングテープ)から剥離することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−322815号公報
【特許文献2】特開平10−004258号公報
【特許文献3】特開2006−165188号公報
【特許文献4】特開2004−022995号公報
【特許文献5】特開2005−150311号公報
【特許文献6】特開2005−093838号公報
【特許文献7】米国特許公開2005−0061856号公報
【特許文献8】特開2005−9166号公報
【特許文献9】米国特許公開2005−0200142号公報
【特許文献10】特開2003−133791号公報
【特許文献11】特開2004−23027号公報
【特許文献12】特開2007−103777号公報
【特許文献13】特開2004−186352号公報
【特許文献14】米国特許公開2006−0252233号公報
【特許文献15】特開2005−117019号公報
【特許文献16】米国特許7115482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
半導体集積回路装置の製造工程のうちの組立工程におけるダイシング後のチップのピックアップ工程またはダイ・ボンディング工程では、急速なチップの薄膜化によって、ピックアップ不良またはダイ・ボンディング工程不良の低減が重要な課題となっている。特に、本願発明者が検討したところによると、剥離動作によるチップ周辺部の湾曲がチップの割れ、欠けを惹起する可能性が高く、また、ダイ・ボンディング時のコレットの真空吸着に起因するボイドの発生が無視できないことが明らかになった。本願発明はこれらの問題を解決するためになされたものである。
【0013】
本発明の目的は、信頼性の高い半導体集積回路装置の製造プロセスを提供することにある。
【0014】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0016】
すなわち、本願発明は、ダイシング・テープ(粘着テープ)等からチップを吸引コレットで真空吸着して剥離する場合またはチップをコレットで真空吸着してダイ・ボンディングする場合において、吸引コレットの真空吸着を早期に解除して、ダイ・ボンディング時のチップの真空吸着による湾曲状態に起因するボイド等の発生を回避するものである。
【発明の効果】
【0017】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0018】
すなわち、チップをコレットで真空吸着してダイ・ボンディングする場合において、吸引コレットの真空吸着を早期に解除し、大気圧状態で着地するようにしたため、ボイド発生の少ないダイ・ボンディング・プロセスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法に用いる半導体チップの斜視図である。
【図2】半導体ウエハの研削工程を示す側面図である。
【図3】半導体ウエハにダイシングテープを貼り付ける工程を示す側面図である。
【図4】半導体ウエハのダイシング工程を示す側面図である。
【図5】半導体ウエハおよびダイシングテープをウエハリングに固定し、その上方に押さえ板を配置すると共に、下方にエキスパンドリングを配置した状態を示す平面図である。
【図6】半導体ウエハおよびダイシングテープをウエハリングに固定し、その上方に押さえ板を配置すると共に、下方にエキスパンドリングを配置した状態を示す断面図である。
【図7】ダイシングテープをウエハリングを押さえ板とエキスパンドリングで挟むことによってダイシングテープの張力を与えた状態を示す断面図である。
【図8】ダイシングテープを貼り付けた半導体チップの剥離方法を説明するチップ剥離装置の要部断面図である。
【図9】チップ剥離装置の吸着駒を示す断面図である。
【図10】吸着駒の上面近傍の拡大断面図である。
【図11】吸着駒の上面近傍の拡大斜視図である。
【図12】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の上面近傍の拡大断面図である。
【図13】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の上面近傍の拡大断面図である。
【図14】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の上面近傍の拡大断面図である。
【図15】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の上面近傍の拡大斜視図である。
【図16】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の断面図である。
【図17】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の上面近傍の拡大断面図である。
【図18】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の上面近傍の拡大斜視図である。
【図19】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の断面図である。
【図20】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の上面近傍の拡大断面図である。
【図21】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の上面近傍の拡大斜視図である。
【図22】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の断面図である。
【図23】半導体チップの剥離方法を説明する吸着駒の上面近傍の拡大断面図である。
【図24】図23で剥離された半導体チップがダイボンディング部へ搬送される様子を示す断面図である。
【図25】図23で剥離された半導体チップがダイボンディング部へ搬送され、配線基板に着地したところを示す断面図である。
【図26】図23で剥離された半導体チップがダイボンディング部で配線基板にボンディングされたところを示す断面図である。
【図27】半導体チップのペレット付け工程を示す配線基板の断面図である。
【図28】半導体チップの積層およびワイヤボンディング工程を示す配線基板の断面図である。
【図29】半導体チップの樹脂封止工程を示す配線基板の断面図である。
【図30】(a)〜(c)は、半導体チップの剥離方法の他の例を説明する吸着駒の上面近傍の断面図である。
【図31】(a)および(b)は、半導体チップの剥離方法の原理を説明するための説明図である。
【図32】(a)および(b)は、ラバーチップ、突き上げブロックの各一例およびコレット本体の構造を示す平面図である。
【図33】a)および(b)は、ラバーチップ、突き上げブロックの各他の一例およびコレット本体の構造を示す平面図である。
【図34】図33または図34のA−A断面の状態を説明する断面図である。
【図35】図33または図34のB−B断面の状態を説明する断面図である。
【図36】a)および(b)は、ラバーチップ、突き上げブロックの各更に他の一例およびコレット本体の構造を示す平面図である。
【図37】図36のA−A断面の状態を説明する断面図である。
【図38】図36のB−B断面の状態を説明する断面図である。
【図39】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における剥離プロセス1を示す処理フロー図である。
【図40】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における剥離プロセス1を示す模式断面フロー図である。
【図41】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における剥離プロセス2を示す処理フロー図である。
【図42】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における剥離プロセス2を示す模式断面フロー図である。
【図43】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における剥離プロセス3を示す処理フロー図である。
【図44】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における剥離プロセス3を示す模式断面フロー図である。
【図45】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における剥離プロセス4を示す処理フロー図である。
【図46】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における剥離プロセス4に用いる剥離装置の構造を説明するための装置要部上面図である。
【図47】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における剥離プロセス4を示す模式断面フロー図である。
【図48】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における初期パラメータ自動設定方法1を示す模式断面フロー図である。
【図49】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における初期パラメータ自動設定方法1を示す処理フロー図である。
【図50】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法における初期パラメータ自動設定方法2を示す処理フロー図である。
【図51】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明するステップフロー図である。
【図52】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明するタイム・チャートである
【図53】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明する断面模式フロー図その1である。
【図54】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明する断面模式フロー図その2である。
【図55】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明する断面模式フロー図その3である。
【図56】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明する断面模式フロー図その4である。
【図57】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明する断面模式フロー図その5である。
【図58】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明する断面模式フロー図その6である。
【図59】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明する断面模式フロー図その7である。
【図60】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順を説明する断面模式フロー図その8である。
【図61】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディングに使用するラバー・チップの材料に関する各規格間の硬度比較図である。
【図62】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるステップ・ダイボンディング方法に使用するチップ剥離&ダイ・ボンディング一貫装置の構成を示す模式上面図である。
【図63】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるステップ・ダイボンディング方法のフローを示す断面ステップフロー図その1である。
【図64】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるステップ・ダイボンディング方法のフローを示す断面ステップフロー図その2である。
【図65】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるステップ・ダイボンディング方法のフローを示す断面ステップフロー図その3である。
【図66】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順の一変形例を説明するステップフロー図である。
【図67】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法におけるダイボンディング手順の一変形例に使用するコレットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔実施の形態の概要〕
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。
【0021】
1.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)複数のチップをチップ処理装置のチップ・ピックアップ部に供給する工程;
(b)前記チップ・ピックアップ部の前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着した状態で、前記第1のチップを、前記チップ処理装置のダイ・ボンディング部へ向けて移送する工程;
(c)前記工程(b)の後、主に、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面との間の物理吸着(または真空源を使用しない吸着、以下同じ)により保持した状態で、前記第1のチップの裏面側を、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部に置かれた配線基板の上面に着地させる工程;
(d)前記工程(c)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面で下方に加圧することにより、前記第1のチップを、前記第1のチップの前記裏面と前記配線基板の前記上面間の接着部材層を介して前記配線基板の前記上面に固定する工程。
【0022】
2.前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)から(d)においては、真空吸着はオフとされている(真空吸着を使用しない吸着、すなわち、真空源を使用しない吸着、以下同じ)。
【0023】
3.前記1または2項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ラバーチップは中央部に真空吸引孔を有する(必ずしも中央部に真空吸引孔を有する必要はない。リーク検出を利用しない場合は周辺一列だけでもよい。リークを検出する場合でも、少なくとも、中心からの距離が異なる複数群の真空吸引孔があればよい。以下同じ)。
【0024】
4.前記1から3項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は、以下の下位工程を含む:
(b1)前記第1のチップを、前記配線基板の前記上面へ向けて第1の速度で降下させる工程;
(b2)前記工程(b1)に引き続き、前記第1のチップを、前記第1の速度よりも遅い第2の速度で前記配線基板の前記上面へ向けて降下させる工程、
更に、前記工程(c)は、以下の下位工程を含む:
(c1)前記第1のチップを、着地するまで前記第2の速度で前記配線基板の前記上面へ向けて降下させる工程。
【0025】
5.前記1から4項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ラバーチップはエラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は10以上、70未満である。
【0026】
6.前記1から4項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ラバーチップはエラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は15以上、55未満である。
【0027】
7.前記1から4項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ラバーチップはエラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は20以上、40未満である。
【0028】
8.前記1から7項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーは熱硬化性エラストマーである。
【0029】
9.前記1から8項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーはシリコーン系エラストマーである。
【0030】
10.前記1から9項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記接着部材層はDAF部材層である。
【0031】
11.前記1から10項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を有する:
(e)前記工程(b)より前に、粘着テープにその裏面が固定された前記複数のチップの前記粘着テープ側からUV光を照射する工程。
【0032】
12.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ほぼ元のウエハの際の2次元的配置のままで、個々のチップ領域に分割された複数のチップを、それらの裏面を粘着テープに固定した状態でチップ処理装置に供給する工程;
(b)前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着し、且つ、前記第1のチップの前記裏面の前記粘着テープを下部基体の上面に真空吸着した状態で、前記粘着テープを前記第1のチップの前記裏面から剥離させる工程、
ここで、前記ラバーチップはエラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は15以上、55未満である。
【0033】
13.前記12項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記硬度は20以上、40未満である。
【0034】
14.前記12または13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーは熱硬化性エラストマーである。
【0035】
15.前記12から14項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーはシリコーン系エラストマーである。
【0036】
16.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)複数のチップをチップ処理装置のチップ・ピックアップ部に供給する工程;
(b)前記チップ・ピックアップ部の前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着した状態で、前記第1のチップを、前記チップ処理装置のダイ・ボンディング部へ向けて移送する工程;
(c)前記工程(b)の後、主に、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面に吸着した状態で、前記第1のチップの裏面側を、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部に置かれた配線基板の上面に着地させる工程;
(d)前記工程(c)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面で下方に加圧することにより、前記第1のチップを、前記第1のチップの前記裏面と前記配線基板の前記上面間の接着部材層を介して前記配線基板の前記上面に固定する工程、
ここで、前記ラバーチップはエラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は15以上、55未満である。
【0037】
17.前記16項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーのその硬度は20以上、40未満である。
【0038】
18.前記16または17項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーは熱硬化性エラストマーである。
【0039】
19.前記16から18項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーはシリコーン系エラストマーである。
【0040】
20.前記16から19項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記吸着コレット本体内の真空吸引系にはリーク孔が設けられ、そこを介してリークした状態で真空吸着が行われる。
【0041】
21.前記16から20項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記接着部材層はDAF部材層である。
【0042】
22.前記16から21項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を有する:
(e)前記工程(b)より前に、粘着テープにその裏面が固定された前記複数のチップの前記粘着テープ側からUV光を照射する工程。
【0043】
23.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ほぼ元のウエハの際の2次元的配置のままで、個々のチップ領域に分割された複数のチップを、それらの裏面を粘着テープに固定した状態でチップ処理装置のチップ・ピックアップ部に供給する工程;
(b)前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着し、且つ、前記第1のチップの前記裏面の前記粘着テープを下部基体の上面に真空吸着した状態で、前記粘着テープを前記第1のチップの前記裏面から剥離させる工程;
(c)前記工程(b)の後、前記第1のチップの前記表面を前記吸着コレットの前記ラバーチップの前記下面に吸着した状態で、前記第1のチップを、前記チップ処理装置のダイ・ボンディング部へ向けて移送する工程;
(d)前記工程(c)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面に吸着した状態で、前記第1のチップの裏面側を、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部に置かれた配線基板の上面に着地させる工程;
(e)前記工程(d)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面で下方に加圧することにより、前記第1のチップを、前記第1のチップの前記裏面と前記配線基板の前記上面間の接着部材層を介して前記配線基板の前記上面に固定する工程、
ここで、前記ラバーチップはエラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は15以上、55未満である。
【0044】
24.前記23項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記硬度は20以上、40未満である。
【0045】
25.前記23または24項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーは熱硬化性エラストマーである。
【0046】
26.前記23から25項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーはシリコーン系エラストマーである。
【0047】
27.前記23から26項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記吸着コレット本体内の真空吸引系にはリーク孔が設けられ、そこを介してリークした状態で真空吸着が行われる。
【0048】
28.前記23から27項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記接着部材層はDAF部材層である。
【0049】
29.前記23から28項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を有する:
(e)前記工程(b)より前に、粘着テープにその裏面が固定された前記複数のチップの前記粘着テープ側からUV光を照射する工程。
【0050】
30.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)複数のチップをチップ処理装置のチップ・ピックアップ部に供給する工程;
(b)前記チップ・ピックアップ部の前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着した状態で、前記第1のチップを、前記チップ処理装置のダイ・ボンディング部へ向けて移送する工程;
(c)前記工程(b)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面に吸着した状態で、前記第1のチップの裏面側を、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部に置かれた配線基板の上面に着地させる工程;
(d)前記工程(c)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面で下方に加圧することにより、前記第1のチップを、前記第1のチップの前記裏面と前記配線基板の前記上面間の接着部材層を介して前記配線基板の前記上面に固定する工程、
ここで、前記ラバーチップは中央部に真空吸着孔を有するとともに、エラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は10以上、70未満である。
【0051】
31.前記30項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーは熱硬化性エラストマーである。
【0052】
32.前記30または31項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーはシリコーン系エラストマーである。
【0053】
33.前記30から32項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記吸着コレット本体内の真空吸引系にはリーク孔が設けられ、そこを介してリークした状態で真空吸着が行われる。
【0054】
34.前記30から33項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記接着部材層はDAF部材層である。
【0055】
35.前記30から34項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を有する:
(e)前記工程(b)より前に、粘着テープにその裏面が固定された前記複数のチップの前記粘着テープ側からUV光を照射する工程。
【0056】
36.前記30から35項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)における前記ラバーチップの前記下面への吸着は、主に物理吸着によっている。
【0057】
37.前記30から36項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)から(d)においては、真空吸着はオフとされている。
【0058】
38.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)複数のチップをチップ処理装置のチップ・ピックアップ部に供給する工程;
(b)前記チップ・ピックアップ部の前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着した状態で、前記第1のチップを、前記チップ処理装置のダイ・ボンディング部へ向けて移送する工程;
(c)前記工程(b)の後、主に、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面に吸着した状態で、前記第1のチップの裏面側を、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部に置かれた配線基板の上面に着地させる工程;
(d)前記工程(c)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面で下方に加圧することにより、前記第1のチップを、前記第1のチップの前記裏面と前記配線基板の前記上面間の接着部材層を介して前記配線基板の前記上面に固定する工程、
ここで、前記吸着コレット本体内の真空吸引系にはリーク孔が設けられ、そこを介してリークした状態で真空吸着が行われる。
【0059】
39.前記38項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ラバーチップは中央部に真空吸着孔を有するとともに、エラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は10以上、70未満である。
【0060】
40.前記38または39項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記接着部材層はDAF部材層である。
【0061】
41.前記38から40項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を有する:
(e)前記工程(b)より前に、粘着テープにその裏面が固定された前記複数のチップの前記粘着テープ側からUV光を照射する工程。
【0062】
42.前記38から41項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)における前記ラバーチップの前記下面への吸着は、主に物理吸着によっている。
【0063】
43.前記38から42項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)から(d)においては、真空吸着はオフとされている。
【0064】
44.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)複数のチップをチップ処理装置のチップ・ピックアップ部に供給する工程;
(b)前記チップ・ピックアップ部の前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着した状態で、前記第1のチップを、前記チップ処理装置のダイ・ボンディング部へ向けて移送する工程;
(c)前記工程(b)の後、主に、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面との間の物理吸着により保持した状態で、前記第1のチップの裏面側を、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部に置かれた配線基板の上面に着地させる工程;
(d)前記工程(c)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面で下方に加圧することにより、前記第1のチップを、前記第1のチップの前記裏面と前記配線基板の前記上面間の接着部材層を介して前記配線基板の前記上面に固定する工程;
(e)前記チップ・ピックアップ部の前記複数のチップの内の第2のチップの表面を前記吸着コレットの前記ラバーチップの下面に真空吸着した状態で、前記第2のチップを、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部へ向けて移送する工程;
(f)前記工程(e)の後、主に、前記第2のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面との間の物理吸着により保持した状態で、前記第2のチップの裏面側を、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部に置かれた前記配線基板の前記上面に着地させる工程;
(g)前記工程(f)の後、前記第2のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面で下方に加圧することにより、前記第2のチップを、前記第1のチップの前記裏面と前記配線基板の前記上面間の前記接着部材層を介して前記配線基板の前記上面に固定する工程;
(h)前記工程(g)の後、前記第1および第2のチップの前記表面側を一括して前記コレットと異なる部材により加圧することにより、前記配線基板の前記上面との熱圧着を進行させる工程。
【0065】
45.前記44項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ラバーチップは中央部に真空吸着孔を有するとともに、エラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は10以上、70未満である。
【0066】
46.前記44または45項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記接着部材層はDAF部材層である。
【0067】
47.前記44から46項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を有する:
(e)前記工程(b)より前に、粘着テープにその裏面が固定された前記複数のチップの前記粘着テープ側からUV光を照射する工程。
【0068】
48.前記44から47項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)および(f)における前記ラバーチップの前記下面への吸着は、主に物理吸着によっている。
【0069】
49.前記44から48項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)から(d)、および(f)から(g)においては、真空吸着はオフとされている。
【0070】
50.前記44および46から49項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記ラバーチップは、エラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は10以上、70未満である。
【0071】
次に、本願において開示される発明のその他の実施の形態について概要を説明する。
【0072】
51.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ほぼ元のウエハの際の2次元的配置のままで、個々のチップ領域に分割された複数のチップを、それらの裏面を粘着テープに固定した状態でチップ処理装置に供給する工程;
(b)前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着し、且つ、前記第1のチップの前記裏面の前記粘着テープを下部基体の上面に真空吸着した状態で、前記粘着テープを前記第1のチップの前記裏面から剥離させる工程、
ここで、前記工程(b)は以下の下位工程を含む:
(b1)前記第1のチップが前記粘着テープから完全に剥離する以前の前記第1のチップの湾曲状態を、前記吸着コレットの真空吸着系の流量を計測することによってモニタする工程、
更に、ここで、前記ラバーチップは、エラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は10以上、70未満である。
【0073】
52.前記51項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b2)前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を継続または中断させる工程;
(b3)前記剥離動作を中断させている場合において、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を再開する工程。
【0074】
53.前記51または52項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b4)前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を継続または減速させる工程;
(b5)前記剥離動作を減速させている場合において、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を再加速させる工程。
【0075】
54.前記51から53項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b6)前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を継続させ、または前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲内になるまで前記剥離動作を後退させる工程。
【0076】
55.前記51から54項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b7)前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を継続させ、または前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲内になるまで前記剥離動作を減速させる工程。
【0077】
56.前記51から55項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b8)前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、前記吸着コレットを上昇させる工程;
(b9)前記下位工程(b8)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記吸着コレットの上昇を継続するか、または前記吸着コレットを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで降下させる工程。
【0078】
57.前記51から56項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b10)前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、前記吸着コレットを上昇させる工程;
(b11)前記下位工程(b10)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記吸着コレットの上昇を継続するか、または前記吸着コレットを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで待機させる工程。
【0079】
58.前記51から57項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b12)前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、前記吸着コレットを上昇させる工程;
(b13)前記下位工程(b12)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記吸着コレットの上昇を継続するか、または前記吸着コレットを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで減速させる工程。
【0080】
59.前記51から58項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b14)前記下部基体の主要部を成す突き上げブロックを、前記吸着コレットとともに、上昇させる工程;
(b15)前記工程(b14)の後、前記突き上げブロックおよび前記吸着コレットの内、前記突き上げブロックのみを、前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、降下させる工程;
(b16)前記下位工程(b15)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記突き上げブロックの降下を継続するか、または前記突き上げブロックを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで上昇させる工程。
【0081】
60.前記51から59項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b17)前記下部基体の主要部を成す突き上げブロックを、前記吸着コレットとともに、上昇させる工程;
(b18)前記工程(b17)の後、前記突き上げブロックおよび前記吸着コレットの内、前記突き上げブロックのみを、前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、降下させる工程;
(b19)前記下位工程(b18)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記突き上げブロックの降下を継続するか、または前記突き上げブロックを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで待機させる工程。
【0082】
61.前記51から60項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b20)前記下部基体の主要部を成す突き上げブロックを、前記吸着コレットとともに、上昇させる工程;
(b21)前記工程(b20)の後、前記突き上げブロックおよび前記吸着コレットの内、前記突き上げブロックのみを、前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、降下させる工程;
(b22)前記下位工程(b21)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記突き上げブロックの降下を継続するか、または前記突き上げブロックの降下を前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで減速させる工程。
【0083】
62.前記61から61項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b23)前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、前記下部基体の主要部を成すスライド板を前記第1のチップとのオーバラップが減少するようにスライドさせる工程;
(b24)前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記スライド板を前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで待機させる工程。
【0084】
63.前記61から62項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b25)前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を継続または中断させる工程;
(b26)前記剥離動作を中断させている場合において、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を再開させるか、または前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで前記剥離動作を後退させる工程。
【0085】
64.前記61から63項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b27)前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を継続または減速させる工程;
(b28)前記剥離動作を減速させている場合において、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記剥離動作を再加速させるか、または前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲内になるまで前記剥離動作を後退させる工程。
【0086】
65.前記61から64項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b29)前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、前記吸着コレットを上昇させる工程;
(b30)前記下位工程(b29)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記吸着コレットの上昇を継続するか、または前記吸着コレットを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで待機させる工程;
(b31)前記吸着コレットを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで待機させている場合において、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記吸着コレットの上昇を再開するか、または前記吸着コレットを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで降下させる工程。
【0087】
66.前記61から65項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b32)前記下部基体の主要部を成す突き上げブロックを、前記吸着コレットとともに、上昇させる工程;
(b33)前記工程(b32)の後、前記突き上げブロックおよび前記吸着コレットの内、前記突き上げブロックのみを、前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、降下させる工程;
(b34)前記下位工程(b33)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記突き上げブロックの降下を継続するか、または前記突き上げブロックを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで待機させる工程;
(b35)前記突き上げブロックを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで待機させている場合において、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記突き上げブロックの降下を再開させるか、または前記突き上げブロックを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで上昇させる工程。
【0088】
67.前記61から66項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b36)前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、前記吸着コレットを上昇させる工程;
(b37)前記下位工程(b36)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記吸着コレットの上昇を継続するか、または前記吸着コレットを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで減速させる工程;
(b38)前記吸着コレットを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで減速させている場合において、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記吸着コレットの上昇を再開するか、または前記吸着コレットを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで降下させる工程。
【0089】
68.前記61から67項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(b)は更に以下の下位工程を含む:
(b39)前記下部基体の主要部を成す突き上げブロックを、前記吸着コレットとともに、上昇させる工程;
(b40)前記工程(b39)の後、前記突き上げブロックおよび前記吸着コレットの内、前記突き上げブロックのみを、前記第1のチップの前記湾曲状態が許容範囲を超えるまで、降下させる工程;
(b41)前記下位工程(b40)の後、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記突き上げブロックの降下を継続するか、または前記突き上げブロックの降下を前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで減速させる工程;
(b42)前記突き上げブロックを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで待機させている場合において、前記下位工程(b1)のモニタ情報に基づいて、前記突き上げブロックの降下を再開させるか、または前記突き上げブロックを前記第1のチップの前記湾曲状態が前記許容範囲内になるまで上昇させる工程。
【0090】
69.前記61から68項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1のチップの前記裏面にはあらかじめダイ・ボンディング用接着剤層が形成されている。
【0091】
70.前記51から69項ののいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーのその硬度は15以上、55未満である。
【0092】
71.前記51から69項ののいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーのその硬度は20以上、40未満である。
【0093】
〔本願における記載形式・基本的用語・用法の説明〕
1.本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数の部分に分けて記載する場合もあるが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しを省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0094】
2.同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を主要な構成要素のひとつとするものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。
【0095】
3.同様に、図形、位置、属性等に関して、好適な例示をするが、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、厳密にそれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0096】
4.さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0097】
5.「ウエハ」というときは、通常は半導体集積回路装置(半導体装置、電子装置も同じ)をその上に形成する単結晶シリコンウエハを指すが、エピタキシャルウエハ、絶縁基板と半導体層等の複合ウエハ等も含むことは言うまでもない。
【0098】
6.「チップ」または「ダイ」というときは、一般的にはウエハ分割工程(ブレードダイシング、レーザダイシングその他のペレタイズ工程)後の完全分離したものを指すが、本願では便宜上、分離前のチップ領域も同じ用語で示す。たとえば、いわゆるDBG(Dicing before Grinding)プロセスでは、ハーフカット・ダイシング後にグラインディングして最終的にチップに分離して、その状態でチップ裏面を保持用の粘着テープに貼り付けた後、剥離工程に進む。このような場合を含めて、たとえば「ウエハ」は分離されれば厳密にはすでにウエハではなく、チップ等も分離される前はチップ領域であってチップではないが、いつ分離されるかは個々のプロセスに依存するので、分離の前後を問わず、これらを包括して「ウエハ」、「チップ」または「ダイ」という。
【0099】
7.「配線基板」というときは、一般的には有機配線基板、セラミック配線基板、リードフレーム等の外、他のチップ、ウエハその他の薄膜状集積回路装置を指す。すなわち、近年、チップ上に数十枚のチップを接着剤で積層する積層技術が広く用いられており、本願に開示された発明は、それらを含めて広い範囲に適用される。
【0100】
8.「下部基体」は、一般に「吸着駒」とも言うが、「チップ処理装置」のチップ剥離機構の中心をなし、粘着シートに固定されたウエハ(ほぼ元のウエハの際の2次元的配置のままで粘着シートに固定されたチップ群)を粘着シートを真空吸着することにより位置固定するものである。また、その中央部は、ある装置では「突き上げブロック」であり、他の装置では「スライド板」である。「下部基体」は前記中央部と周辺部からなり、周辺部はピックアップ対象チップの周辺のチップおよび粘着テープを吸着固定する働きがある。中央部と周辺部ともに吸着孔や間隙を通して真空吸引される構造となっており、位置合わせ以外では、ほとんど常に吸引状態である。
【0101】
9.「吸着コレット」は、従来はメタル(ステンレスなど)、セラミック、ポリマー等の一体もので構成されていたが、本願が主に扱う薄膜ウエハまたは薄膜チップ(主に厚さが150マイクロメータ以下、特に100マイクロメータ以下)用では、チップにクラック等が入らないように、チップに直接触れるエラストマー等のポリマーを主要な構成要素とするラバー・チップとそれを保持する吸着コレット本体またはラバー・チップ・ホールダから構成されるようになっている。ラバー・チップは、一般にフッ素ゴム、二トリル・ラバー、シリコーン・ラバー等の熱硬化性エラストマー、または熱可塑性エラストマー等の弾性ポリマー材料を主要な構成要素としている。なお、具体的説明では、コレットや突き上げブロックの上下の動きを、下部基体周辺部(これが動かないものと仮定して)を基準として進めているが、これは、原理的には相対的な運動と考えられる。
【0102】
10.ラバーチップの硬度は、国際標準化機構ISO規格7619デュロメーター・タイプA(米国規格ショアA;JIS K 6253)に準じて表示する。
【0103】
〔実施の形態の詳細〕
実施の形態について更に詳述する。各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0104】
なお、コレットの真空系の流量をモニタして剥離動作を制御する技術については、本願発明者らの日本特許出願番号第2007−160922号(出願日:2007.6.19)に詳しく説明されている。
【0105】
(実施の形態1)
1.全体プロセス・装置説明(主に図1から30)
本実施の形態は、配線基板上にチップを実装する半導体パッケージの製造に適用したものであり、その製造方法を図1〜図29を用いて工程順に説明する。
【0106】
なお、本願発明者らによる関連する技術分野の代表的先行出願としては、日本特許出願第2006−143277号(出願日:2006年5月23日)およびその対応米国出願第11/735741号(出願日:2007年4月12日)がある。
【0107】
まず、図1に示すような単結晶シリコンからなるウエハ1Aの主面に周知の製造プロセスに従って集積回路を形成した後、格子状のスクライブラインによって区画された複数のチップ形成領域1A’のそれぞれに形成された集積回路の電気試験を行い、その良否を判定する。本実施の形態で使用するウエハ1Aのチップ形成領域1A’は、縦と横の長さが等しい正方形の平面形状を有している。本実施の形態では、作図上の都合から正方形のチップを例に取り説明するが、より一般的な長方形のチップでもまったく同様に処理できることは言うまでもない。長方形の場合は、図33または図36に示されたブロック、コレット等の平面形状を長方形にしたものがより適合している。
【0108】
次に、図2に示すように、ウエハ1Aの集積回路形成面(図の下面側)に集積回路保護用のバックグラインドテープ3を貼り付る。そして、この状態でウエハ1Aの裏面(図の上面側)をグラインダで研削し、続いて、この研削によって生じた裏面のダメージ層を、ウエットエッチング、ドライポリッシング、プラズマエッチングなどの方法によって除去することにより、ウエハ1Aの厚さを100μm以下、例えば90μm〜15μm程度まで薄くする。前記ウエットエッチング、ドライポリッシング、プラズマエッチングなどの
処理方法は、ウエハの厚さ方向に進行する処理速度が、グラインダによる研削の速度に比べて遅い反面、ウエハ内部に与えるダメージがグラインダによる研削に比較して小さいだけでなく、グラインダによる研削で発生したウエハ内部のダメージ層を除去することができ、ウエハ1Aおよびチップが割れにくくなるという効果がある。
【0109】
次に、バックグラインドテープ3を除去した後、図3に示すように、ウエハ1Aの裏面(集積回路形成面の反対側の面)にダイシングテープ4を貼り付け、この状態でダイシングテープ4の周辺部をウエハリング5に固定する。ダイシングテープ4は、ポリオレフィン(PO)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などからなるテープ基材の表面に感圧粘着剤を塗布して粘着性(tackness)を持たせた感圧型粘着テープやUV硬化型粘着テープを円形に裁断したものである。
【0110】
次に、図4に示すように、周知のダイシングブレード6を使ってウエハ1Aをダイシングすることにより、前記複数のチップ形成領域1A’のそれぞれを正方形のチップ1に分割する。このとき、分割されたそれぞれのチップ1を円形のダイシングテープ4上に残しておく必要があるので、ダイシングテープ4は、その厚さ方向の半分程度だけ切断する。なお、ダイシングテープ4としてUV硬化型粘着テープを使用した場合は、以下で説明するチップ1の剥離工程に先立ってダイシングテープ4に紫外線を照射し、感圧粘着剤の粘着力を低下させておく。
【0111】
次に、図5(平面図)および図6(断面図)に示すように、ウエハリング5に固定したダイシングテープ4の上方に押さえ板7を配置すると共に、下方にエキスパンドリング8を配置する。そして、図7に示すように、ウエハリング5の上面に押さえ板7を押し付けることにより、ダイシングテープ4の裏面の周辺部をエキスパンドリング8に押し付ける。このようにすると、ダイシングテープ4は、その中心部から周辺部に向かう強い張力を受けるので、水平方向に弛みなく引き伸ばされる。
【0112】
次に、この状態でエキスパンドリング8を図8に示すチップ剥離装置100のステージ101上に位置決めし、水平に保持する。このステージ101の中央には、図示しない駆動機構によって水平方向および上下方向に移動する吸着駒102が配置されている。ダイシングテープ4は、その裏面が吸着駒102の上面と対向するように保持される。
【0113】
図9は、吸着駒102の断面図、図10は、吸着駒102の上面近傍の拡大断面図、図11は、吸着駒102の上面近傍の拡大斜視図である。
【0114】
吸着駒102の上面の周辺部には、複数の吸引口103と、同心円状に形成された複数の溝104とが設けられている場合と複数の吸引孔のみの場合がある。吸引口103および溝104のそれぞれの内部は、吸着駒102を上昇させてその上面をダイシングテープ4の裏面に接触させる際、図示しない吸引機構によって減圧される。このとき、ダイシングテープ4の裏面が下方に吸引され、吸着駒102の上面と密着する。
【0115】
なお、ダイシングテープ4を下方に吸引する際、上記溝104の幅や深さが大きいと、剥離の対象となるチップ1に隣接するチップ1の下方のダイシングテープ4が溝104に吸引された際、隣接するチップ1とその下方のダイシングテープ4との界面が溝104の上部領域で剥離することがある。特に、比較的粘着力が弱い感圧粘着剤を使用したダイシングテープ4では、このような剥離が生じ易い。このような現象が発生すると、剥離の対象となるチップ1をダイシングテープ4から剥がしている作業中に、隣接するチップ1がダイシングテープ4から脱落してしまうことがあるので、好ましくない。そこで、このような現象が発生するのを防ぐには、上記溝104の幅や深さをできるだけ小さくし、隣接するチップ1の下方のダイシングテープ4と吸着駒102の上面との間にできるだけ隙間が生じないようにすることが有効であり、吸引孔を多くし溝を設けないことも有効である。
【0116】
吸着駒102の中心部には、ダイシングテープ4を上方に突き上げる3個のブロック110a〜110cが組み込まれている。3個のブロック110a〜110cは、外形が最も大きい第1のブロック110aの内側に、それよりも外形の小さい第2のブロック110bが配置され、さらにその内側に最も外形の小さい第3のブロック110cが配置されている。後述するように、3個のブロック110a〜110cは、外側のブロック110aと中間のブロック110bとの間に介在する第1の圧縮コイルばね111a、中間のブロック110bと内側のブロック110cとの間に介在し、上記第1の圧縮コイルばね111aよりもばね定数の大きい第2の圧縮コイルばね111b、および内側ブロック110cに連結され、図示しない駆動機構によって上下動するプッシャ112と連動して上下動するようになっている。
【0117】
上記3個のブロック110a〜110cのうち、最も外形の大きい外側のブロック110aは、剥離の対象となるチップ1よりも一回り(例えば約0.5mm〜3mm程度)外形の小さいものを使用するとよい。例えば、チップ1が正方形である場合には、それよりも一回り小さい正方形とすることが望ましい。また、後述する他の実施の形態で説明するように、チップ1が長方形である場合には、それよりも一回り小さい長方形とすることが望ましい。これにより、ブロック110aの上面の外周となる角部がチップ1の外縁よりもわずかに内側に位置するようになるので、チップ1とダイシングテープ4とが剥離する際の起点となる箇所(チップ1の最外周部)に両者を剥離させる力を集中させることができる。
【0118】
また、ブロック110aの上面は、ダイシングテープ4との接触面積を確保するために、平坦な面または大きな局率半径を有する面にすることが望ましい。ブロック110aの上面とダイシングテープ4との接触面積が小さい場合は、ブロック110aの上面によって下から支えられるチップ1の周辺部に大きな曲げ応力が集中するので、チップ1の周辺部が割れる恐れがある。
【0119】
上記ブロック110aの内側に配置された中間のブロック110bは、ブロック110aよりも1mm〜3mm程度小さい外形を有している。また、このブロック110bよりもさらに内側に配置された最も外形の小さいブロック110cは、中間のブロック110bよりもさらに1mm〜3mm程度小さい外形を有している。本実施の形態では、加工の容易さなどを考慮して、中間のブロック110bおよび内側のブロック110cのそれぞれの形状を円柱状にしたが、外側のブロック110aと同じく四角柱状あるいはそれに近い形状にしてもよい。3個のブロック110a〜110cのそれぞれの上面の高さは、初期状態(ブロック110a〜110cの非動作時)においては互いに等しく、また吸着駒102の上面周辺部の高さとも等しくなっている。
【0120】
図10に拡大して示すように、吸着駒102の周辺部と外側のブロック110aとの間、および3個のブロック110a〜110cの間には、隙間(S)が設けられている。これらの隙間(S)の内部は、図示しない吸引機構によって減圧されるようになっており、吸着駒102の上面にダイシングテープ4の裏面が接触すると、ダイシングテープ4が下方に吸引され、ブロック110a〜110cの上面と密着するようになっている。
【0121】
上記のような吸着駒102を備えたチップ剥離装置100を使ってチップ1をダイシングテープ4から剥離するには、まず、図12に示すように、剥離の対象となる1個のチップ1(同図の中央部に位置するチップ1)の真下に吸着駒102の中心部(ブロック110a〜110c)を移動させると共に、このチップ1の上方に吸着コレット105を移動させる。図示しない移動機構に支持された吸着コレット105の底面の中央部には、内部が減圧される吸着口106が設けられており、剥離の対象となる1個のチップ1のみを選
択的に吸着、保持できるようになっている。図12から図31においては、簡潔性を確保するためにコレット105の詳細構造を省略して示している。この詳細構造は、図32以降で詳しく説明する。
【0122】
次に、図13に示すように、吸着駒102を上昇させてその上面をダイシングテープ4の裏面に接触させると共に、前述した吸引口103、溝104および隙間(S)の内部を減圧する。これにより、剥離の対象となるチップ1と接触しているダイシングテープ4がブロック110a〜110cの上面に密着する。また、このチップ1に隣接する他のチップ1と接触しているダイシングテープ4が吸着駒102の上面周辺部に密着する。なお、このとき、吸着駒102を僅かに(例えば400μm程度)突き上げると、前述した押さ
え板7とエキスパンドリング8によって水平方向の張力が加えられているダイシングテープ4に対して、さらに張力を加えることができるので、吸着駒102とダイシングテープ4をより確実に密着させることができる。
【0123】
また、吸着駒102の上昇とほぼ同時に吸着コレット105を下降させ、吸着コレット105の底面を剥離の対象となるチップ1の上面に接触させてチップ1を吸着すると共に、チップ1を下方に軽く押さえ付ける。このように、吸着駒102を使ってダイシングテープ4を下方に吸引する際、吸着コレット105を使ってチップ1を上方に吸引すると、ブロック110a〜110cの突き上げによるダイシングテープ4とチップ1の剥離を促進させることができる。
【0124】
次に、図14に示すように、3個のブロック110a〜110cを同時に上方に突き上げてダイシングテープ4の裏面に上向きの荷重を加え、チップ1とダイシングテープ4とを押し上げる。また、この際、チップ1の裏面を、ダイシングテープ4を介してブロック110a〜110cの上面(接触面)で支え、チップ1にかかる曲げ応力を軽減するとともに、ブロック110aの上面の外周(角部)を、チップ1の外周よりも内側に配置することにより、チップ1とダイシングテープ4の剥離起点となっている界面に剥離する応力を集中し、チップ1の周縁部をダイシングテープ4から効率的に剥離する。このとき、剥離の対象となるチップ1に隣接する他のチップ1の下方のダイシングテープ4を下方に吸引し、吸着駒102の上面周辺部に密着させておくことにより、チップ1の周縁部におけるダイシングテープ4の剥離を促進させることができる。図15は、このときの吸着駒102の上面近傍を示す拡大斜視図である(チップ1とダイシングテープ4の図示は省略)。
【0125】
上記ブロック110a〜110cの突き上げ量(ストローク)は、例えば0.2mmから0.4mm程度であるが、チップ1のサイズに応じて増減することが望ましい。すなわち、チップ1のサイズが大きい場合は、チップ1とダイシングテープ4との接触面積が大きく、従って両者の粘着力も大きいので、突き上げ量を増やす必要がある。他方、チップ1のサイズが小さい場合は、チップ1とダイシングテープ4との接触面積が小さく、従って両者の粘着力も小さいので、突き上げ量を少なくしても容易に剥離する。なお、ダイシングテープ4に塗布されている感圧粘着剤は、製造元や品種によって粘着力に差がある。従って、チップ1のサイズが同じ場合でも、粘着力の大きい感圧粘着剤を使用している場合には、突き上げ量を増やす必要がある。
【0126】
また、ブロック110a〜110cを上方に突き上げてチップ1の裏面に荷重を加える際は、チップ1の最外周部において、チップの外周と直交する方向への曲げ応力を、チップの外周と平行な方向への曲げ応力より小さくすることが望ましい。チップ1の最外周部は、前述したダイシングブレード6を使ってウエハ1Aをダイシングした際に生じた微細なクラックが残留している。そのため、ブロック110a〜110cを上方に突き上げた際にチップ1の最外周部に、チップ1の外周と直交する方向に沿った強い曲げ応力が加わると、クラックが成長してチップ1が割れる恐れがある。本実施の形態では、チップ1のサイズより一回り小さい上面を有するブロック110aを使って、チップ1の最外周部より僅かに内側に均等な荷重を加えるので、上記のような問題を回避しつつ、チップ1の周縁部全体をダイシングテープ4から均等に剥離することができる。
【0127】
3個のブロック110a〜110cを同時に上方に突き上げるには、図16に示すように、プッシャ112を上方に押し上げることによって、プッシャ112に連結された内側のブロック110cを押し上げる。これにより、内側ブロック110cと中間のブロック110bとの間に介在する圧縮コイルばね111bのばね力によって中間のブロック110bが押し上げられ、さらに外側のブロック110aと中間のブロック110bとの間に介在する圧縮コイルばね111aのばね力によって外側のブロック110aが押し上げら
れるので、3個のブロック110a〜110cが同時に押し上げられる。そして、外側のブロック110aの一部(図の矢印で示す面)が吸着駒102の周辺部と接触することによって、ブロック110a〜110cの上昇が停止する。このとき、剥離の対象となるチップ1の大部分の領域は、3個のブロック110a〜110cの上面によって支えられており、ブロック110aの上面の外周(角部)よりも外側の領域において、チップ1とダイシングテープ4との界面での剥離が効率的に進行する。
【0128】
3個のブロック110a〜110cを同時に上方に突き上げる際は、ばね力が弱い圧縮コイルばね111aが収縮しないような弱い力でプッシャ112がブロック110cを押し上げる。このようにすると、外側のブロック110aの一部が吸着駒102の周辺部と接触するまでは、中間のブロック110bと内側のブロック110cがさらに上方に突き上ることはない。
【0129】
また、圧縮コイルばね111aは、少なくともダイシングテープ4の張力に抗してブロック110aを持ち上げることができる程度のばね力を備えている必要がある。圧縮コイルばね111aのばね力がダイシングテープ4の張力よりも小さい場合は、プッシャ112を押し上げても外側のブロック110aが持ち上がらないので、外側のブロック110aの上面によってチップ1を支えることができなくなる。この場合は、チップ1とダイシングテープ4との剥離起点に十分な応力を集中させることができないので、剥離速度の低下を招いたり、チップ1に過大な曲げ応力が加わってチップ1が割れてしまうといった問題を引き起こす可能性がある。
【0130】
次に、図17に示すように、中間のブロック110bと内側のブロック110cとを同時に上方に突き上げてダイシングテープ4を押し上げる。これにより、チップ1を支えるブロック110bの上面の外周(角部)の位置が、ブロック110aによって支えられていた状態に比較して、より内側に移るため、チップ1とダイシングテープ4との剥離がブロック110bの上面の外周より外側の領域からチップ1の中心方向へと進行する。図18は、このときの吸着駒102の上面近傍を示す拡大斜視図である(チップ1とダイシングテープ4の図示は省略)。
【0131】
2個のブロック110b、110cを同時に上方に突き上げるには、図19に示すように、プッシャ112を押し上げることによって、プッシャ112に連結されたブロック110cをさらに押し上げる。このとき、圧縮コイルばね111bのばね力によって中間のブロック110bが押し上げられるので、2個のブロック110b、110cが同時に押し上げられる。そして、中間のブロック110bの一部(図の矢印で示す面)が外側のブロック110aと接触した時点でブロック110b、110cの上昇が停止する。また、プッシャ112がブロック110cを押し上げる力は、ばね力が弱い圧縮コイルばね111aは収縮するが、ばね力が強い圧縮コイルばね111bは収縮しない大きさとする。これにより、中間のブロック110bの一部が外側のブロック110aと接触するまでは、内側のブロック110cがさらに上方に突き上ることはない。
【0132】
2個のブロック110b、110cを上方に突き上げる際には、チップ1とダイシングテープ4との剥離を促進させるために、ブロック110a〜110cの隙間(S)の内部を減圧することによって、チップ1と接触しているダイシングテープ4を下方に吸引する。また、溝104の内部を減圧し、吸着駒102の上面周辺部に接するダイシングテープ4を吸着駒102の上面に密着させる(図17)。
【0133】
次に、図20に示すように、内側のブロック110cをさらに上方に突き上げてダイシングテープ4の裏面を押し上げ、ブロック110cの上面でチップ1の裏面を支える。図21は、このときの吸着駒102の上面近傍を示す拡大斜視図である(チップ1とダイシングテープ4の図示は省略)。内側のブロック110cを上方に突き上げるには、図22に示すように、圧縮コイルばね111bが収縮するような強い力でブロック110cを押し上げる。これにより、ダイシングテープ4と接触しているブロック110cの上面の外周(角部)よりも外側の領域において、チップ1とダイシングテープ4との剥離が進行する。
【0134】
続いて、図23に示すように、ブロック110cを下方に引き下げると共に、吸着コレット105を上方に引き上げることにより、チップ1をダイシングテープ4から剥がす作業が完了する。
【0135】
上記ブロック110cの上面は、ブロック110cを上方に突き上げた際、吸着コレット105の吸引力だけでチップ1がダイシングテープ4から剥がれる程度に面積を小さくしておく必要がある。ブロック110cの上面の面積が大きいと、チップ1とダイシングテープ4との接触面積が大きくなり、両者の粘着力も大きくなるので、吸着コレット105がチップ1を吸引する力だけではチップ1をダイシングテープ4から剥がせない。
【0136】
一方、ブロック110cの上面の面積を小さくした場合は、ブロック110cがダイシングテープ4の裏面を押し上げる際、チップ1の狭い領域(中央部分)に強い荷重が集中的に加わるので、極端な場合にはチップ1が割れる恐れがある。そこで、ブロック110cを突き上げる際は、突き上げ速度を遅くしたり、ブロック110cの上面がダイシングテープ4と接触している時間を短くしたり、ブロック110cの突き上げ量(ストローク)を少なく(例えば0.2mm〜0.4mm程度)したりすることによって、チップ1の狭い領域に強い荷重が加わらないようにすることが望ましい。
【0137】
また、吸着コレット105の吸引力を大きくする一つの方法として、吸着コレット105の引き上げ速度を遅くすることが有効である。チップ1の一部がダイシングテープ4に密着した状態で吸着コレット105を急速に引き上げると、吸着コレット105の底面とチップ1の上面とに隙間が生じ、吸着コレット105の内部の真空度が低下するので、チップ1を吸引する力が低下してしまう。他方、吸着コレット105の引き上げ速度を遅くした場合は、チップ1をダイシングテープ4から剥がすのに要する時間が長くなる。そこで吸着コレット105の引き上げ速度を可変にし、引き上げ開始時には引き上げ速度を遅くして吸引力を充分確保し、チップ1とダイシングテープ4との接触面積がある程度まで小さくなったら引き上げ速度を速くして剥離時間の遅延を防ぐようにするとよい。また、吸着コレット105の底面の面積をブロック110cの上面の面積より大きくすることも、吸着コレット105の吸引力を大きくする有効な方法である。
【0138】
このように、吸着コレット105の吸引力を大きくすることにより、チップ1とダイシングテープ4との接触面積が比較的大きい場合であっても、吸着コレット105の吸引力だけでチップ1をダイシングテープ4から剥がすことが可能となるので、剥離時間を短縮することができると共に、ブロック110cの上面の面積を小さくした場合に生じる上記の問題を回避することができる。
【0139】
また、チップ1が吸着コレット105によって下方に押さえ付けられた状態でブロック110cを下方に引き下げると、吸着コレット105も下方に移動するために、チップ1がブロック110cに当たって割れる恐れがある。従って、ブロック110cを下方に引き下げる際は、その直前に吸着コレット105を引き上げるか、少なくとも吸着コレット105が下方に移動しないように、その位置を固定しておくことが望ましい。
【0140】
このようにして、ダイシングテープ4から剥離されたチップ1は、吸着コレット105に吸着、保持されて次工程(ペレット付け工程)に搬送される(一般に同一の装置のピックアップステージからダイボンディングステージ132またはダイボンディング部300へ搬送される)。そして、チップ1を次工程に搬送した吸着コレット105がチップ剥離装置100(チップ剥離部)に戻ってくると、前記図12〜図23に示した手順に従って、次のチップ1がダイシングテープ4から剥がされる。以後、同様の手順に従ってチップ1が1個ずつダイシングテープ4から剥がされる。
【0141】
次にペレット付け工程(ダイボンディング工程)を説明する。図24に示すように、ペレット付け工程に搬送されたチップ1は、接着剤または接着部材層10(通常、ウエハをチップに分割前、例えばダイシングテープを張る時、またはその前にウエハの裏面にDAFすなわち「ダイ・アタッチ・フィルム」と呼ばれるダイ・ボンディング用両面粘着シートまたはダイ・ボンディング用接着剤層を貼り付けておくか、ダイボンディング直前に液状の接着剤を配線基板に塗布または滴下する(すなわち、ダイボンディングのときにチップと配線基板の間に接着部材層が介在するようにする)。DAFは一般にウエハの裏面とダイシングテープの間に挟まれる形で張られ、ダイシング等の際にチップとともに分割される。チップのピックアップの際はチップとともにピックアップされる。ダイ・アタッチ・フィルムをあらかじめ貼り付けておくとダイ・ボンディング時に改めて接着剤層を形成する必要がないので量産上有利である。)などを介して配線基板11上に実装される。すなわち、ダイシングテープ4から剥がされたチップ1は吸着コレット105に真空吸引がオフされた状態で物理吸着により吸着され、摂氏100度から150度程度(有機配線基板のガラス転移温度は一般に摂氏240度から330度程度であるから、基板加熱温度は摂氏100度から200度程度でも可能であるが、基板の変形を最小限に抑えるためには、摂氏100度から150度程度が望ましい。ただし、少なくとも、基板のガラス転移温度以下であることが必要である)に加熱されたダイボンディングステージ132上の配線基板11へ向けて降下する。
【0142】
図25に示すように、チップ1が配線基板11に着地したのを確認すると、コレット105は所定の圧力でチップ1を押し付けたまま、真空吸引をオフのままの状態で所定の時間(たとえば1秒から数秒)その位置で留まる。この間に熱圧着が進行する。
【0143】
その後、図26に示すように、真空吸引をオフしたまま、コレット105はチップ1から退避する。
【0144】
熱圧着が完了したチップ1は、図27に示すように、Auワイヤ12を介して配線基板11の電極13と電気的に接続される。このようにすることによって、真空吸引がオフされた状態で、着地が行われるので、薄膜チップに剥離吸着時に湾曲があっても、着地時には湾曲が解除されているので、ダイボンディング後のチップに湾曲や不所望な応力が残存することがない。
【0145】
次に、図28に示すように、配線基板11上に実装されたチップ1の上に接着剤10などを介して第2のチップ14が積層され、Auワイヤ15を介して配線基板11の電極16と電気的に接続される。第2のチップ14は、チップ1と異なる集積回路が形成されたシリコンチップであり、前述した方法でダイシングテープ4から剥がされた後、ペレット付け工程に搬送されてチップ1の上に積層される。
【0146】
その後、配線基板11をモールド工程に搬送し、図29に示すように、チップ1、14をモールド樹脂17で封止することによって、積層パッケージ18が完成する。
【0147】
なお、本実施の形態では、剥離の対象となるチップ1が外側のブロック110aよりも一回り大きい場合について説明したが、例えば図30(a)に示すように、剥離の対象となるチップ1が外側のブロック110aより小さく、中間のブロック110bより大きい場合には、図30(b)に示すように、まず中間のブロック110bを突き上げてチップ1の周縁部をダイシングテープ4から剥がし、次に、図30(c)に示すように、内側のブロック110cを突き上げてチップ1の中央部をダイシングテープ4から剥がすこともできる。この場合は、例えば吸着駒102と外側のブロック110aとの間にスペーサを挟んでおき、プッシャ112を押し上げても外側のブロック110aが持ち上がらないようにしておく。
【0148】
なお、本実施の形態では、3個のブロック(110a〜110c)を使ってチップを剥離する方法を説明したが、ブロックの数は3個に限定されるものではなく、剥離の対象となるチップ1のサイズが大きい場合には、4個以上のブロックを使ってもよい。また、剥離の対象となるチップ1のサイズが非常に小さい場合には、2個のブロックを使ってもよい。
【0149】
2.ピックアップ部周辺詳細説明(主に図31から38)
図31から38を用いて、剥離動作制御、コレット105の詳細構造、およびそれらと下部基体102(吸着駒)との関係を説明する。
【0150】
図31はピックアップ部およびその制御系を模式的に示した概念図(図31a)、タイムチャート(図31b)、および断面図(図31b)である。ピックアップ動作はダイシングテープ4上の目的とするチップ1が吸着駒102とコレット105に位置決めされるところから開始する。位置決めが完了すると吸着駒102の吸引孔103や間隙Sを介して真空引きすることによって、ダイシングテープ4が吸着駒102の上面に吸着される。その状態でピックアップ部制御系144の指令により真空吸引系107(たとえば吸引圧マイナス80から90キロパスカル程度、吸引流量7L/min.)のバルブ143(この三方バルブは真空吸着がオフのときは、真空供給源側が閉鎖され、コレット側が大気に開放されるようになっている)が開き工場真空供給源から真空供給パイプ141を介して真空が供給され、コレット105がチップ1のデバイス面に向けて真空引きしながら降下し、着地する。ここで、吸着駒102の主要部である突き上げブロック110が上昇すると、チップ1はコレット105と突き上げブロック110に挟まれたまま上昇するが、ダイシングテープ4の周辺部は吸着駒周辺部102aに真空吸着されたままなので、チップ1の周辺で張力が生じ、その結果、チップ周辺でダイシングテープ4が剥離されることになる。しかし、一方この時、チップ周辺は下側に応力を受け、湾曲することになる。そうするとコレット下面との間に隙間ができ、空気がコレット105の真空吸引系107に流入することになる。その結果、真空吸引系107に設けられたガス流量センサ21の吸引量出力が増加する。ここで、たとえば、ピックアップ部制御系144の指令により、突き上げブロック110の上昇を停止し待機状態を維持すると、ダイシングテープ4の剥離が進行して、チップ1の湾曲状態が緩和して許容範囲に戻る場合が多い。図31bに、このような過程でのガス流量センサ21の吸引量出力(デジタル出力信号およびアナログ出力信号)の推移を示す。コレット降下時には開放状態に対応して大きな吸引量を示す。t1で着地すると急速に流量が減少してt2でほぼ“0”になる。突き上げブロックが上昇開始してもしばらくは張力が小さいのでリークは発生しないが、t3までくるとチップの湾曲によるリークが始まる。ブロック110の上昇を停止し待機状態を維持するリークは解消して、t4で流量は再びほぼ“0”に戻る。なお、ガス流量センサ21はガス流量またはそれに対応した物理量が計測できるものであれば、何でもよい。言うまでもないことであるが、ラバーチップの形状・寸法は対象チップの形状・寸法とほぼ同一とする(チップが長方形なら長方形)のがチップ周辺でのクラック等を防止する観点から好適と考えられる(大きめにしたり、若干小さめにすることを排除するものではない)。これについては、突き上げブロックも同じで、本実施形態では周辺剥離の促進のためチップよりも若干小さめの例を示したが、それに限定されないのは言うまでもないく、チップと形状・寸法をほぼ同一にしてもよいし、若干大きめにしてもよい。
【0151】
図32から図38に吸着コレット105の詳細構造、特にその下端部すなわちラバーチップ125とそのバリエーションおよびそれらと下部基体102(吸着駒)の関係を説明する。図32aは図1から30の説明に対応する突き上げブロック110の上面図であって、突き上げブロック110とラバーチップ125との位置関係を示す。ラバーチップ125の形状はピックアップするチップとほぼ同一である。図32bはコレット本体105(またはラバーチップ・ホールダ)の下面図である。中央に真空吸引孔122(たとえば径4mm)があり、各軸方向と対角線方向に真空吸引溝121が設けられている。このラバーチップ125には真空吸引溝121と突き上げブロック110aから110cに対応して真空吸引孔106aから106iが設けられている(たとえば径0.8mm)。
【0152】
図33はラバーチップ125のバリエーションで内側の二つの突き上げブロック110b,110cがチップ1とほぼ同一の上面形状をしている。このようにすることで、チップのコーナ部での応力の集中を緩和することができる。図32または図33に示したラバーチップの構造は、剥離プロセスでは非常に重要である。特に中央部(中央近傍領域を含む)に真空吸引孔106aがあると、粘着テープの張力でチップが湾曲したとしても中央部の真空吸引孔106aでチップの保持状態を維持することができる。チップを10mm角(チップ厚25ミクロン、DAF厚さ25ミクロン)と仮定すると、1段目ブロック(セグメント)がたとえば8.6mm角、第2ブロックが6.3mm角、第3ブロックが4.0mm角となる。
【0153】
図34はコレット105が着地している状態の図32および図33のA−A断面の略断面図であり、図35は図32および図33のB−B断面の略断面図である。このときダイシングテープ4の下側は下部基体周辺部102aに設けられた吸引孔103および下部基体主要部110間等の間隙Sを通して吸着されている。また、このときダイシングテープ4の上側は真空吸引孔106を介して、真空吸引されている。
【0154】
図36は、ラバーチップ125の更に別のバリエーションで、より細かくリークを検出可能にされている。すなわち、突き上げブロック110の各サブブロックと吸着駒102aの最内側部に対応してラバーチップ125内に多数の真空吸引孔106aから106wが配置されている。この様な配置では、各突き上げブロックの個々のセグメント(加えて最外側セグメント外部)に対応して少なくとも一つまたは複数の吸着孔が設けられているので、リークにより剥離状況を検出する精度を高めることができる。また、比較的軟らかいエラストマーによるラバーチップとの組み合わせでは、吸着力をチップ全体に分散できるので、チップが湾曲しても、局所的に応力が集中することがない。
【0155】
図37はコレット105が着地している状態の図36のA−A断面の略断面図であり、図38は図36のB−B断面の略断面図である。
【0156】
なお、図31,32、および36における中心孔106aは、必ずしも必須のものではない。たとえば、図46に示すような、スライド式の剥離方法では、中心に吸着孔があることは特に重要ではない。また、図36のように吸引孔が多数あり場合には、特に中心になくとも中間孔群(106tなど)で代替可能である。
【0157】
3.各剥離プロセスの詳細(主に図39から47)
以下の剥離プロセスは、セクション1で説明した全体プロセスに適宜選択して単独でまたは複数組み合わせて適用することができる。
【0158】
3−1.突き上げブロック待機・後退プロセス(「剥離プロセス1」、図39から40)
図39は突き上げブロック110の各サブブロック110aから110cを順次突き上げてダイシングテープ4を剥離する際に、リーク検出を利用する方法について具体的処理ステップを示すプロセスフロー図である。図40はその要部断面フロー図である。これらに基づいて、具体的ステップの進行を説明する。以下の各例では、明確に説明できるように、各剥離素過程ごとに最初はリークして2度目はリークしない例をあげて例示している。
(1)ダイシングテープ4を下部基体102上面に真空吸着する(テープ吸着ステップ31)。
(2)コレット105が真空吸引しながらチップ1の上面(限定はされないが一般にデバイス面)に着地する(コレット着地ステップ32)。着地した状態を図40aに示す。
(3)突き上げブロック110が一括上昇する(1段目上昇ステップ33)。チップ1およびコレット105もそれに連れて押し上げられる。このとき下部基体周辺部102aは動かないのでチップ1の外周のダイシングテープ4を剥離する張力が働く。また、このステップで、リークのモニタが開始されている。
(4)リークありを検知する(リーク検知ステップ34;図40b参照)。なお、リークなしの場合は即ステップ(9)に進む。リーク133を検出したときの状態を図40bに示す。
(5)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(3)の上昇動作を減速(停止を含む)する(図40c参照)。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(7)へ進む。ただ、このステップは(4)から即次のステップ(6)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。なお、以下の例でも同じであるが、一般に粘着テープからの剥離は、レオロジー的な現象であり、高速では剥離困難でも、弱めの張力をかけながら時間を置くと簡単に剥離する場合が多い。従って、停止待機や減速待機は有効な場合が多い。
(6)ステップ(3)の開始前に戻る。または、リークモニタでリークがなくなるまで(3)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110を一括降下させる。すなわち、「後退ステップ」である。これは以下の例でも同じであるが、チップが湾曲することで、張力が緩和され、その結果、時間をかけても剥離が一向に進行しない場合に有効である。このようにもとの状態に戻ると粘着テープは再びチップの裏面に粘着することになるが、一般に再粘着時の粘着力は初期粘着の際の粘着力と比較して弱いと考えられる。また、UV硬化型テープでUV照射されたものは、特に再粘着時の粘着力は大幅に減少している。
(7)突き上げブロック110が一括再上昇する(1段目上昇)。
(8)リークなしを検知する。リークがなくなった状態を図40cに示す。なお、所定の回数繰り返しても「リークなし」とならないときは、設定により、そのチップをスキップするか、リークが出ないように初期上昇量を下げて再実行するか、アラームを表示して(またはアラーム信号をホストに送信)停止するいずれかまたはそのうちの複数を選択する。
(9)突き上げブロック110bおよび110cが一括上昇する(2段目上昇ステップ35)。このとき、突き上げブロック110aや下部基体周辺部102aは動かない。
(10)リークあり(リーク検知ステップ36)。なお、リークなしの場合は即ステップ(15)に進む。
(11)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(9)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(13)へ進む。ただ、このステップは(10)から即次のステップ(12)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(12)ステップ(9)の開始前に戻る。または、リークモニタでリークがなくなるまで(9)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110bおよび110cを一括降下させる。
(13)2段目を再上昇させる(2段目再上昇)。
(14)リークなし。なお、所定の回数繰り返しても「リークなし」とならないときは、設定により、そのチップをスキップするか、リークが出ないように初期上昇量を下げて再実行するか、アラームを表示して(またはアラーム信号をホストに送信)停止するいずれかまたはそのうちの複数を選択する。
(15)最終段すなわち突き上げブロック110cを単独上昇させる(最終段上昇ステップ37)。当然、チップ1とコレット105はそれに伴って上昇する。
(16)リークあり(リーク検知ステップ38)。なお、リークなしの場合は即ステップ(21)に進む。
(17)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(15)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(19)へ進む。ただ、このステップは(16)から即次のステップ(18)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(18)ステップ(15)の開始前に戻る。または、リークモニタでリークがなくなるまで(15)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110cを単独降下させる。当然、チップ1とコレット105はそれに伴って降下する。
(19)最終段を再上昇させる(最終段再上昇)。
(20)リークなし。なお、所定の回数繰り返しても「リークなし」とならないときは、設定により、そのチップをスキップするか、リークが出ないように初期上昇量を下げて再実行するか、アラームを表示して(またはアラーム信号をホストに送信)停止するいずれかまたはそのうちの複数を選択する。
(21)コレットが上昇して完全剥離する(完全剥離ステップ39)。
【0159】
なお、ステップ(1)、(2)以降ステップ(21)までは、コレット側、および下部基体側の吸着用真空は引いたままである。すなわち、ONのままである。
【0160】
この剥離プロセスのメリットは、どのような形状のチップでもその形状に対応した突き上げが可能出るところにある。
【0161】
3−2.コレット待機・後退プロセス(「剥離プロセス2」、図41から42)
図41は主にコレット105の上昇・下降を繰り返すことによってダイシングテープ4を剥離する際に、リーク検出を利用する方法について具体的処理ステップを示すプロセスフロー図である。図42はその要部断面フロー図である。これらに基づいて、具体的ステップの進行を説明する。
(1)ダイシングテープ4を下部基体102上面に真空吸着する(テープ吸着ステップ41)。
(2)コレット105が真空吸引しながらチップ1の上面(限定はされないが一般にデバイス面)に着地する(コレット着地ステップ42)。着地した状態を図42aに示す。
(3)突き上げブロック110が一括上昇する(1段目上昇ステップ43;図42b参照)。チップ1およびコレット105もそれに連れて押し上げられる。このとき下部基体周辺部102aは動かないのでチップ1の外周のダイシングテープ4を剥離する張力が働く。また、このステップで、リークのモニタが開始されている。
(4)リークありを検知する(リーク検知ステップ44)。なお、リークなしの場合は即ステップ(9)に進む。
(5)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(3)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(7)へ進む。ただ、このステップは(4)から即次のステップ(6)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(6)ステップ(3)の開始前に戻る。または、リークモニタでリークがなくなるまで(3)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110を一括降下させる。すなわち、「後退ステップ」である。
(7)突き上げブロック110が一括再上昇する(1段目再上昇)。
(8)リークなしを検知する。なお、所定の回数繰り返しても「リークなし」とならないときは、設定により、そのチップをスキップするか、リークが出ないように初期上昇量を下げて再実行するか、アラームを表示して(またはアラーム信号をホストに送信)停止するいずれかまたはそのうちの複数を選択する。
(9)チップ1を真空吸着した状態でコレット105を上昇させる(コレット単独上昇ステップ45;図42cおよびd参照)。
(10)リークありを検知する(リーク検知ステップ46)。なお、リークなしの場合はそのまま完全剥離する。
(11)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(9)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(13)へ進む。ただ、このステップは(10)から即次のステップ(12)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(12)ステップ(9)開始前の状態に戻る(コレット降下ステップ47;図42e参照)。または、リークモニタでリークがなくなるまで(9)の処理を後退させる。すなわち、コレット105を降下させる。すなわち、「後退ステップ」である。
(13)突き上げブロック110bおよび110cが一括上昇する(2段目上昇ステップ48)。このとき、突き上げブロック110aや下部基体周辺部102aは動かない。
(14)リークあり(リーク検知ステップ49)。なお、リークなしの場合は即ステップ(19)に進む。
(15)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(13)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(17)へ進む。ただ、このステップは(14)から即次のステップ(16)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(16)ステップ(13)の開始前に戻る。または、リークモニタでリークがなくなるまで(13)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110bおよび110cを一括降下させる。
(17)2段目を再上昇させる(2段目再上昇)。
(18)リークなし。なお、所定の回数繰り返しても「リークなし」とならないときは、設定により、そのチップをスキップするか、リークが出ないように初期上昇量を下げて再実行するか、アラームを表示して(またはアラーム信号をホストに送信)停止するいずれかまたはそのうちの複数を選択する。
(19)チップ1を真空吸着した状態でコレット105を上昇させる(コレット単独上昇ステップ50)。
(20)リークありを検知する(リーク検出ステップ51)。なお、リークなしの場合はそのまま完全剥離する。
(21)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(19)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(23)へ進む。ただ、このステップは(20)から即次のステップ(22)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(22)ステップ(19)開始前の状態に戻る(コレット降下ステップ52)。または、リークモニタでリークがなくなるまで(19)の処理を後退させる。すなわち、コレット105を降下させる。すなわち、「後退ステップ」である。
(23)最終段すなわち突き上げブロック110cを単独上昇させる(最終段上昇ステップ53)。当然、チップ1とコレット105はそれに伴って上昇する。
(24)リークあり(リーク検知ステップ54)。なお、リークなしの場合は即ステップ(29)に進む。
(25)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(23)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(27)へ進む。ただ、このステップは(24)から即次のステップ(26)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(26)ステップ(23)の開始前に戻る。または、リークモニタでリークがなくなるまで(23)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110cを単独降下させる。当然、チップ1とコレット105はそれに伴って降下する。
(27)最終段を再上昇させる(最終段再上昇)。
(28)リークなし。なお、所定の回数繰り返しても「リークなし」とならないときは、設定により、そのチップをスキップするか、リークが出ないように初期上昇量を下げて再実行するか、アラームを表示して(またはアラーム信号をホストに送信)停止するいずれかまたはそのうちの複数を選択する。
(29)コレットが上昇して完全剥離する(完全剥離ステップ55)。
【0162】
なお、ステップ(1)、(2)以降ステップ(29)までは、コレット側、および下部基体側の吸着用真空は引いたままである。すなわち、ONのままである。
【0163】
この剥離プロセスのメリットは容易に剥離できる場合には、主にコレットの動きのみで比較的簡単に剥離が実行できるところにある。
【0164】
3−3.突き上げブロックのみ降下剥離プロセス(「剥離プロセス3」、図43から44)
図43は、突き上げブロック110が一旦上昇し、コレット105がチップ1を吸着した状態で、突き上げブロック110のみが降下することによって、剥離を進行させるプロセスを示す。図44はその要部断面フロー図である。これらに基づいて、具体的ステップの進行を説明する。
(1)ダイシングテープ4を下部基体102上面に真空吸着する(テープ吸着ステップ61)。
(2)コレット105が真空吸引しながらチップ1の上面(限定はされないが一般にデバイス面)に着地する(コレット着地ステップ62)。着地した状態を図44aに示す。
(3)突き上げブロック110が一括上昇する(1段目上昇ステップ63;図44b参照)。チップ1およびコレット105もそれに連れて押し上げられる。このとき下部基体周辺部102aは動かないのでチップ1の外周のダイシングテープ4を剥離する張力が働く。また、このステップで、リークのモニタが開始されている。
(4)リークありを検知する(リーク検知ステップ64)。なお、リークなしの場合は即ステップ(9)に進む。
(5)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(3)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(7)へ進む。ただ、このステップは(4)から即次のステップ(6)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(6)ステップ(3)の開始前に戻る。または、リークモニタでリークがなくなるまで(3)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110を一括降下させる。すなわち、「後退ステップ」である。
(7)突き上げブロック110が一括再上昇する(1段目再上昇)。
(8)リークなしを検知する。なお、所定の回数繰り返しても「リークなし」とならないときは、設定により、そのチップをスキップするか、リークが出ないように初期上昇量を下げて再実行するか、アラームを表示して(またはアラーム信号をホストに送信)停止するいずれかまたはそのうちの複数を選択する。
(9)コレット105がチップ1を真空吸着した状態で、突き上げブロック110のみを降下させる(突き上げブロック一括単独降下ステップ65;図44c参照)。
(10)リークありを検知する(リーク検知ステップ46)。なお、リークなしの場合はそのまま(13)に進む。
(11)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(9)の降下動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(13)へ進む。ただ、このステップは(10)から即次のステップ(12)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(12)ステップ(9)開始前の状態に戻る(突き上げブロック再上昇ステップ67;図44d参照)。または、リークモニタでリークがなくなるまで(9)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110のみを降下させる。すなわち、「後退ステップ」である。
(13)突き上げブロック110bおよび110cが一括上昇する(2段目上昇ステップ68)。このとき、突き上げブロック110aや下部基体周辺部102aは動かない。
(14)リークあり(リーク検知ステップ69)。なお、リークなしの場合は即ステップ(19)に進む。
(15)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(13)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(17)へ進む。ただ、このステップは(14)から即次のステップ(16)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(16)ステップ(13)の開始前に戻る。または、リークモニタでリークがなくなるまで(13)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110bおよび110cを一括降下させる。
(17)コレット105がチップ1を真空吸着した状態で、突き上げブロック110bおよび110cのみを降下させる(突き上げブロック一括単独降下ステップ70)。
(18)リークありを検知する(リーク検知ステップ71)。なお、リークなしの場合はそのまま(21)に進む。
(19)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(17)の降下動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(21)へ進む。ただ、このステップは(18)から即次のステップ(20)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(20)ステップ(17)開始前の状態に戻る(突き上げブロック再上昇ステップ72)。または、リークモニタでリークがなくなるまで(17)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110bおよび110cのみを降下させる。すなわち、「後退ステップ」である。
(21)最終段すなわち突き上げブロック110cを単独上昇させる(最終段上昇ステップ73)。当然、チップ1とコレット105はそれに伴って上昇する。
(22)リークあり(リーク検知ステップ74)。なお、リークなしの場合は即ステップ(27)に進む。
(23)所定の時間だけ、またはリークがなくなるまで(21)の上昇動作を減速(停止を含む)する。すなわち、「待機ステップ」である。この間も、リークのモニタが連続的または断続的に実行されている。なお、リークがなくなればステップ(27)へ進む。ただ、このステップは(22)から即次のステップ(24)に移行する場合には省略可能である。その方が処理時間が短くなる場合もある。
(24)ステップ(21)の開始前に戻る。または、リークモニタでリークがなくなるまで(21)の処理を後退させる。すなわち、突き上げブロック110cを他のブロックとともに降下させる。当然、チップ1とコレット105はそれに伴って降下する。
(25)最終段を再上昇させる(最終段再上昇)。
(26)リークなし。なお、所定の回数繰り返しても「リークなし」とならないときは、設定により、そのチップをスキップするか、リークが出ないように初期上昇量を下げて再実行するか、アラームを表示して(またはアラーム信号をホストに送信)停止するいずれかまたはそのうちの複数を選択する。
(27)コレットが上昇して完全剥離する(完全剥離ステップ75)。
【0165】
なお、ステップ(1)、(2)以降ステップ(27)までは、コレット側、および下部基体側の吸着用真空は引いたままである。すなわち、ONのままである。
【0166】
この剥離プロセスのメリットは、突き上げブロックのトータル・ストロークを短くできるところにある。
【0167】
3−4.スライド剥離プロセス(「剥離プロセス4」、図45から47)
先のセクションまでの剥離装置では、チップ1の下部には突き上げブロック110があったが、他の装置では、図46bに示すように、その代わりにスライド板183が水平方向にスライドすることによって、剥離を進行させるものがある。同図において、構造を説明する。図46aは対象とするチップ1側から見た上面図である。吸着駒102にはスライド板183を収容するためのリセス部181が設けられており、リセス部181の底面には真空吸引孔182があり、他の装置同様にリセス部181外部周辺の吸着駒102には真空吸引孔103が設けられている。図45はこの装置によってダイシングテープ4を剥離する際に、リーク検出を利用する方法について具体的処理ステップを示すプロセスフロー図である。図47はその要部断面フロー図である。図45から47に基づいて、具体的ステップの進行を説明する。
(1)ダイシングテープ4を下部基体102上面に真空吸着する(テープ吸着ステップ81)。
(2)コレット105が真空吸引しながらチップ1の上面(限定はされないが一般にデバイス面)に着地する(コレット着地ステップ82)。着地した状態を図47aに示す。
(3)コレットリークありを検出する(リーク検出ステップ83;図47b)。
(4)待機する(流量設定値到達待ちステップ84;図47c)。リーク量が許容範囲になったら次のステップに進む。
(5)スライド板183をチップ1とのオーバーラップが減少する方向にスライド開始する(スライド・ステップ85;図47d)。コレットリークありを検出するまでそのままスライドする。
(6)リークありを検出する。
(7)スライド速度をリークが許容範囲となるまで減速する(または、停止して、待つ)。すなわち、待機ステップ86である。
(8)リークなし検出。
(9)スライド再開し、スライド・ストローク・エンドに到達し、コレットが上昇を開始する(スライド・エンド&コレット上昇ステップ87)。
(10)リークありを検出する(リーク検出ステップ88)。
(11)コレット上昇速度をリークが許容範囲となるまで減速する(または、停止して、待つ)。すなわち、待機ステップ89である。
(12)リークなしを検出。
(13)コレットが上昇して完全剥離する(完全剥離ステップ90)
この剥離プロセスのメリットは比較的簡単なステップ構成で実行できるところにある。
【0168】
4.各剥離ティーチング・プロセスの詳細(主に図48から50および図31)
以下のティーチング・プロセスはセクション3で説明した各種の剥離プロセス、セクション2で説明した各種のコレット構造、およびセクション1で説明した全体プロセスに適宜選択して単独でまたは複数組み合わせて適用することができる。
【0169】
なお、以下のティーチングは、良品製品チップ、不良品製品チップ、または非製品チップ(上は周辺の製品と同一形状のチップでパターンが完全には形成されていないもの)のいずれかを用いて実行可能である。また、製品チップで擬似ピックアップ(完全には剥離しないピックアップ)しても、完全剥離をしなければ元の状態にもどるので、製品信頼性等の一定のリスクはあるが大きな問題はない。
【0170】
4−1.突き上げブロック動作ティーチング(「ティーチング方法1」、図48から49および図31)
図48は、リーク検出とそれを用いたプロセスパラメータの自動取得すなわちティーチング・プロセスの原理を説明するための説明図である。図48a、b、およびcはその要部断面フロー図であり、図48dは図31に説明したリーク検出の原理との関係を示すタイミングチャートである。これらに基づいて、具体的ステップの進行を説明する。
(1)目的とするチップ1が吸着駒(下部基体)102と吸着コレット105の中心に来るように位置あわせする。ここで流量検出がオンになる(検出動作開始ステップすなわちティーチング開始ステップ151)。
(2)ダイシングテープ4を下部基体102上面に真空吸着する(テープ吸着ステップ152)。
(3)コレット105が真空吸引しながらチップ1の上面(限定はされないが一般にデバイス面)に着地する(コレット着地ステップ153)。着地した状態を図48aに示す。
(4)十分に遅い速度(初期速度)で突き上げブロック(突き上げ治具)全体が上面をそろえて上昇する(突き上げブロック上昇ステップ154)。
(5)リークありを検出する(リーク検出ステップ157)。その突き上げ高さ(「リーク検出開始高さ」)を記憶する。
(6)十分に遅い速度(初期速度)で突き上げブロック全体が上面をそろえてリークが許容範囲になるまで降下する。その高さ(「リーク検出終了高さ」)を記憶する。すなわち、これを「暫定第1段目上昇高さ」として記憶する(突き上げたかさ記憶ステップ158)。
(7)十分に遅い速度(初期速度)で突き上げブロックの内、突き上げブロック(突き上げ治具)110bおよび110cのみが上面をそろえて上昇する(2段目突き上げブロック上昇ステップ)。
(8)リークありを検出する(リーク検出ステップ159)。その突き上げ高さ(「リーク検出開始高さ」)を記憶する。
(9)十分に遅い速度(初期速度)で突き上げブロックの内、突き上げブロック(突き上げ治具)110bおよび110cのみが上面をそろえてリークが許容範囲になるまで降下する。その高さ(「リーク検出終了高さ」)を記憶する。すなわち、これを「暫定第2段目上昇高さ」として記憶する(突き上げたかさ記憶ステップ160)。
(10)十分に遅い速度(初期速度)で突き上げブロックの内、突き上げブロック(突き上げ治具)110cのみが上昇する(3段目突き上げブロック上昇ステップ)。
(11)リークありを検出する。その突き上げ高さ(「リーク検出開始高さ」)を記憶する。
(12)十分に遅い速度(初期速度)で突き上げブロックの内、突き上げブロック(突き上げ治具)110cのみが上面をそろえてリークが許容範囲になるまで降下する。その高さ(「リーク検出終了高さ」)を記憶する。すなわち、これを「暫定第3段目上昇高さ」として記憶する。
(13)ここで、「暫定第3段目上昇高さ」でリークなし(リーク検出ステップ161)となっているかを突き上げブロック(突き上げ治具)110cのみを追加上昇(追加上昇162)させて確認する。
(14)これにより、最終的にリークなしとなる「設定暫定第3段目上昇高さ」すなわち、「上死点」(3段目上昇高さ設定値)を記憶する(上死点設定ステップ155)。
(15)「暫定第1段目上昇高さ」、「暫定第2段目上昇高さ」および「設定暫定第3段目上昇高さ」を停止高さとして設定する(停止高さ設定ステップ156)。
(16)次に、(15)で設定した停止高さで対応するセクション3のいずれかのピックアップを実行する。そして、各回ごとに上昇速度を徐々に上げて、または下げて最適速度を記憶し、それに変更する。これは、非製品チップでも可能であるが、製品チップのピックアップを実行しながら行うことが効率的である。
【0171】
4−2.スライド動作ティーチング(「ティーチング方法2」、図46から47および図50)
ここでは、セクション3−4に説明した装置構成でのスライド速度のティーチング方法を説明する。図50はそのプロセスフロー図である。図46から47および図50に基づいて具体的ステップの進行を説明する。
(1)目的とするチップ1が吸着駒(下部基体)102と吸着コレット105の中心に来るように位置あわせする。ここで流量検出がオンになる(検出動作開始ステップすなわちティーチング開始ステップ171)。
(2)ダイシングテープ4を下部基体102上面に真空吸着する(テープ吸着ステップ172)。
(3)コレット105が真空吸引しながらチップ1の上面(限定はされないが一般にデバイス面)に着地する(コレット着地ステップ173)。
(4)十分に遅い速度(初期速度)で第1のチップに対してスライド動作を開始する(スライド開始ステップ174)。リークなければストロークエンドまでスライドする(ストロークエンド・ステップ176)。製品チップの場合は剥離完了まで進む。そのスライド速度を記憶する。
(5)もう少し早い速度で第2のチップに対してスライド動作を開始する。リークなければストロークエンドまでスライドする。製品チップの場合は剥離完了まで進む。そのスライド速度を記憶する。
(6)これを繰り返して、n番目のチップでリークありを検出する(リーク検出ステップ175)。
(7)そのn番目のチップに対するスライド速度を記憶する。
(8)リークが許容範囲になるまで待機してその待機時間を記憶する。
(9)スライド動作を再開し、リークありを検出すると(8)に戻り、リークなしであれば次に進む。
(10)ストロークエンドまでスライドする。ここで、(7)またはそれ以前に記憶した速度から最適速度を所定のルールに従って選択または算出する場合は以後のステップは不要となる。
(11)必要に応じて、更に速度を上げて(6)かた(10)を繰り返し、そこで得られたデータから最適速度を設定し記憶する(最適速度記憶ステップ177)。
【0172】
5.各剥離プロセスの好適な組み合わせおよびその特徴
セクション3の各剥離プロセスは、典型的な例についてその類型に分類して説明したが、実際には適宜取捨選択して、または適宜相互に組み合わせて実行するとピックアップ効率が向上したり、製品信頼性が向上することが期待できる。たとえば、セクション3−2のコレット上昇セグメント(図41ステップ45から47または50から52)すなわち、ステップの集合は剥離プロセス3のステップ67の後や剥離プロセス4の適切なステップとパラレルに適用するとピックアップ時間短縮に有効である。
【0173】
6.チップ搬送、物理吸着着地およびダイボンディング・プロセスの説明(主に図51から60を参照)
一般にチップ剥離から配線基板への着地完了までの処理は、チップを吸着コレットに真空吸着したまま実行される。しかしこれでは、薄膜チップの場合(特に100マイクロメータ以下のチップ厚のもの)は、真空吸着によってチップが局部的に変形したまま(真空吸着によるチップのひずみは図54から図56を参照するとよい)着地して、基板に接着・固定されることになるので、ボンディング後にボイドやひずみが残りやすい。この傾向は、あらかじめチップの裏面に接着剤層(DAFを使用する方式)を形成しておく方式では、特に強い。また、デバイス面、すなわち、チップの主にトランジスタ等の主要部や多層配線が形成される面(裏面の反対側の主面)が上向きで吸着される場合(いわゆるフェースアップ品)には、デバイスの信頼性の面でも、ボイド、ひずみ、または変形を残さずにボンディングすることは重要である。また、一般に周辺のボイドは、モールド工程において一部解消されるが、中央付近のものは解消されない。
【0174】
このセクションでは、これらの問題を解決するために、他のセクションで説明されるボンディングプロセスの配線基板への着地部分またはその周辺に、早期に真空吸着をオフする方法を適用する場合について説明する。以下の実施態様では、真空吸着をオフするとは、特にそれ以外であることを明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、真空吸着を完全にオフして、物理吸着のみで(図31のピックアップ部制御系144の指示に従って三方切り替えバルブ143が切り替わることによって、吸着コレットの真空吸引系が真空供給源から切り離され、大気開放された状態で)チップを吸着していることを示す。なお、他のセクションについても同様であるが、本セクションの着地技法は他のセクションで説明したプロセスの当該部分の代替プロセスまたは詳細プロセスであり、他のセクションで説明したプロセスに関して、必須のものではないことは言うまでもない。
【0175】
ここで、チップ剥離後からダイボンディングに至るプロセスの詳細なフローを主に図51から図60を用いて説明する。先に説明したように図51において、まず、ピックアップ部においてピックアップ動作が開始される(図51のピックアップ動作開始ステップ201、以下同じ図51による)。まず、ダイシングテープ4が下部基体102に吸着される(DCテープ吸着ステップ202)。図52の時間t11でコレット105が目的とするチップ1上に来ると降下を開始する。時間t12で低速の降下に切り替わる。そして、時間t13でコレット105の真空引きが開始される。時間t14で真空吸引しながらコレット105が降下してきて、チップ1上に着地する(コレット吸着開始ステップ203)。図53にこのときの断面の概要を示す。直後、時間t15で突き上げ動作とコレット105の上昇が開始される。時間t16で突き上げ動作は終了して時間t17で突き上げブロックは元に戻るが(t15-t17間たとえば100ミリ秒)、問題がなければコレット105はそのまま上昇を続けて剥離を完了させる。完全剥離後、時間t18でコレット105は上昇速度を上げて、時間t19で所定の平行移動高度に達する。すなわち、コレット105はラバーチップ125で真空吸着により保持したまま上昇する(ピックアップステップ204)。このときの断面の概要を示したものが図54である。所定の高さまで上昇した後、コレット105はダイボンディング位置上方すなわちボンディングステージ132上の配線基板11上方へ移動する(ボンド位置上方へ移動するステップ205)。このときの断面の概要を示したものが図55である。時間t20からコレット105はラバーチップ125で真空吸着により保持したままで降下を開始する。このときの断面の概要を示したものが図56である。時間t21で低速降下に切り替わる。ここで最終着地体勢に入ったことになる。時間t22でコレットの真空引きがオフされ(吸着オフステップ206)、チップ1はラバーチップ125に実質的に分子間力(物理吸着)のみで保持されながら降下する。このときの断面の概要を示したものが図57である(図54から図56と図57を比較すると図57ではチップの真空吸引による歪が解消していることがわかる。)。時間t23でチップ1は配線基板11上に着地する(着地ステップ207;t21-t23間たとえば速度20mm/sec;時間約30ミリ秒)。なお、図52でefgのような経路(fg間の時間はたとえば速度2mm/sec;時間約40ミリ秒)で降下する場合は、その方式での最終着地体勢に入った時点すなわち"f"点の直後に真空吸引をオフするようにするとよい(その他のタイミングでオフしてもよい)。時間t24で着地が確認されると、ボンディング荷重(たとえば5N)がコレット105に付与される(ボンディング・ステップ208)。このときの断面の概要を示したものが図58である。時間t25にボンディングが完了する(t23-t25間の時間はたとえば1秒程度)と、コレットは上昇を開始する。このときの断面の概要を示したものが図59である。そして、時間t26で所定の平行移動高度に達する。このときの断面の概要を示したものが図60である。その後、コレット105は再び次のチップの剥離のため、ピックアップ部へ移動する。
【0176】
ここで、本プロセスでは、図52において経路abcをとるので、すなわち着地前に真空吸着をオフとしているので(平行移動時と比較して微弱にすることを含む)、図52において経路adcをとる場合と比較して、着地時にチップ1に吸着による変形や応力が存在しないので、ボンディング特性が良好となる。また、着地時にチップ1に吸着による不要な力がかかっていないので、配線基板のボンディングされるべき面にスムースに習う結果、ボイドや不所望な歪が残存しない。このような効果は、ダイ・ボンディング時のチップ変形が問題となりやすいDAF(ウエハ裏面に貼り付けるタイプおよびダイシングテープにあらかじめ張っておくタイプを含む)を使用するプロセスに特に有効である。
【0177】
なお、必ずしも必須ではないが、高速降下から低速降下(最終着地速度)に切り替わった後に真空引きをオフしているので、切り替わりの衝撃力でチップ1が落下することがない(ただし、十分な物理吸着が確保される条件では、速度切り替え前に真空吸着をオフしてもよい。また、速度を切り替えない方がよい場合もある)。すなわち、チップの質量は比較的小さいので物理吸着力は一般に重力と比較して強いと考えられるが、衝撃力は一般に物理吸着力と同程度になりうると考えられる。
【0178】
なお、真空引きをオン、オフといっても完全にオフする(大気開放)ことは必ずしも必要でなく、たとえば、オンのときの吸引圧をたとえばマイナス80から90キロ・パスカルとすると、オフのときの圧力はこれと比べて十分に絶対値の低いもの、たとえば数%以下程度であればよい(ただし、真空吸着を使用しない完全なオフ状態すなわち実効的に物理吸着のみとした方が、薄膜チップのダイ・ボンディング特性の改善、すなわちボイドの減少には有効である。これを圧力で示すと、たとえば絶対値で0.05から0.0005キロ・パスカル程度又はそれ以下である。また、真空吸着を完全にオフとする方が制御も簡単であり、圧力応答の速さからも有利である。)。また、完全なオフにせず、強弱で切り替えるようにしてもよい。すなわち、オン時の30%以下、望ましくは15%以下の吸引強度にすることも有効である。安定なチップの保持を考慮すると、完全にオフしない場合も、マイナス圧力すなわち(弱い排出ではなく)弱い吸引状態が望ましい。
【0179】
本セクションに説明した着地方法は、次セクションに説明する低弾性ラバーチップを有するコレットによるダイ・ボンディング方法との組み合わせにおいて、特に有効である。これは、低弾性ラバーチップに真空吸着される場合は、チップにかかる応力をラバーチップが広い範囲で分散させるので、真空吸着をオフしたときに、速やかにチップ変形が回復するからである。また、少なくとも熱圧着進行時に真空吸着をオフしていると、低弾性ラバーチップを介してボンディング加圧が十分に分散するので、チップの局所変形やボイドの解消に特に有効である。
【0180】
また、本セクションに説明した着地方法は、薄膜チップ(150マイクロメータ以下、または100マイクロメータ以下、更には50マイクロメータ以下のチップ厚のチップ)に対するラバーチップを有するコレットによるダイ・ボンディング方法との組み合わせにおいて、特に有効である。これは、薄膜チップは局所的な変形が発生しやすく、そのまま着地すると、配線基板面との間で、容易に閉鎖空間を形成するので、ボイドの原因になりやすいからである。
【0181】
また、本セクションに説明した着地方法は、セクション3に説明したラバーチップを有するコレットによる各剥離&ダイ・ボンディング方法との組み合わせにおいて、特に有効である。これは、チップが湾曲・回復を繰り返しながら剥離される場合は、特にひずみを残したまま吸着されている場合が多いからである。
【0182】
7.低弾性ラバーチップ材料の説明(主に図61参照)
ラバーチップの材料としては、硬度の低いものが選択しやすい点から、熱硬化性エラストマーのうちから選択することが第1に有効である。たとえば、ジェルテック(Geltec)社のアルファ・ゲル(ジェルテック社の登録商標)すなわち、シリコーンを主要な成分とするシリコーン系ゲル状エラストマーがチップの汚染防止等の観点からも好適な候補として挙げられる。また、そのシリーズの中でもシータ・ゲル(ジェルテック社の登録商標)、シータ5(硬度約56)、シータ6(硬度約14)、シータ8(硬度約28)が更に好適である。更に、シータ・ゲルの中でもシータ8(硬度約28)等が特に好適である。
【0183】
その他の材料としては、フッ素ゴム、耐熱ニトリル・ラバー、天然ゴム、イソプレンラバー、スチレン-ブタジエン-ラバー、ネオプレンラバー等の熱硬化性エラストマーから選択することができる。
【0184】
更に、リサイクルを考慮すると、熱可塑性樹脂としてのポリイミド系の熱可塑性エラストマー等の選択肢もある。
【0185】
硬度範囲は10以上70未満までが、弾性を利用する上で好適である。その範囲の中で、硬度15以上55未満は弾性を利用する上で特に好適である。また、硬度20以上40未満の範囲は薄膜チップを取り扱う上で特に好適である。ただし、それ以外の範囲を排除するものではない。本願の実施形態の中には従来の高度80程度のエラストマーや金属、セラミックス等の硬質のコレットまたはラバーチップが適した応用分野もある。また、物理吸着の例、リークによるチップ湾曲の検出の例などは、特にこの範囲に限られないことは言うまでもない。
【0186】
このように低弾性のラバーチップを用いると、凹凸に倣い易いので(チップ上面は必ずしも平坦ではないので)、剥離においてリークしにくくなり、剥離効果を高めることができる。
【0187】
また、このように低弾性のラバーチップを用いると、剥離工程において、チップが一時的に湾曲しても、それに倣ってラバーチップも相当程度変形するので、応力が分散され、チップの損傷、応力の残存が防止できる。
【0188】
更に、このように低弾性のラバーチップを用いると、ダイ・ボンディングにおいて、着地時の衝撃を緩和することができる。従って、フェースアップ品等に特に有効である。
【0189】
更に、このように低弾性のラバーチップを用いると、ダイ・ボンディングにおいて、圧着時のひずみの残存を低減することができる。従って、DAF等を用いたプロセスに特に有効である。
【0190】
また、このように低弾性のラバーチップを用いると、ダイ・ボンディングにおいて、着地前に真空吸引をオフしても、チップ表面との密着面積が大きいので、十分な物理吸着力を確保することができる。
【0191】
また、このように低弾性のラバーチップを用いると、ダイ・ボンディングにおいて、着地前に真空吸引をオフする又はオフしないにかかわらず、圧着時のチップへのダメージを低減することができる。
【0192】
一般に物理吸着力は、ファン・デル・ワールス力に起因するが、その到達距離は0.2nmから10nmの範囲である。半導体チップ上面とラバーチップ間の物理吸着力は、ファン・デル・ワールス力の内、ロンドン力(誘起2重極間の引力)に起因し、比較的弱い部類に属する。したがって、できるだけ多くの面積が到達距離内になるようにする必要がある。そのためには、倣い性にすぐれた部材を用意する必要がある。また、衝撃は落下の原因になりやすいので、極力衝撃吸収性の高い材料が好適である。
【0193】
なお、ラバーチップは比較的熱伝導が悪いので、一般にラバーチップを用いたコレットによるダイ・ボンディングでは加熱は配線基板側すなわちボンディングステージ側から行う。
【0194】
8.2段ダイボンディング・プロセスの説明(主に図62から65を参照)
以上の説明では、一つのボンディングツール(コレット105)で熱圧着を完了する方式を示したが、第1のボンディングツール(コレット105)で複数のチップ(たとえば5個)を仮付けし、その後、その複数のチップを第2のボンディングツールで本圧着するようにすれば、スループットを数倍にすることができる。また、セクション7で説明した低弾性ラバーチップと組み合わせた仮圧着では、高速で動作させてもチップへのダメージが少ないので、高速の仮圧着を実行することができる。以下に詳細に説明する。
【0195】
図62に、上面図で剥離・ダイボンディング一貫装置400の構成を示す。同図左に先に説明したチップ剥離部100(ピックアップ部)があり、右側にはダイボンディング部300があり、その中に仮ボンディング部300aと本圧着部300bがある。仮ボンディング部300aには仮ボンディング・ステージ132aが設けられている。一方、本圧着部300bには縦長の本圧着ステージ132bが設けられている。
【0196】
図62のAA断面を図63から65に示し、2段ダイボンディング・プロセスを説明する。図63に示すように、剥離されたチップ1jはコレット105で仮ボンディングステージ132a上の配線基板11a上方に移送される。次に図64に示すようにコレット105が降下して短時間(加圧時間たとえば0.1秒程度)で仮の圧着(接着部材層により位置が固定される程度の圧着状態)が行われる。このときタイミングが合えば、本圧着ボンディング・ツール305によって、チップ1aヵら1eの基板11bへの本圧着が行われる。本圧着は仮圧着よりも多くの時間(たとえば加圧時間4秒程度)を要するので、その間にコレット105は数回ピックアップ部100と仮ボンディング部300aの間を往復して、チップ1fから1jの仮圧着を完了することができる(図65参照)。完了するとコレット105は次のチップ1kの剥離のため、剥離ステージに移動する。
【0197】
また、先に説明したものと同様に、前記仮圧着ステージおよび本圧着ステージは、摂氏100度から150度程度(有機配線基板のガラス転移温度は一般に摂氏240度から330度程度であるから、基板加熱温度は摂氏100度から200度程度でも可能であるが、基板の変形を最小限に抑えるためには、摂氏100度から150度程度が望ましい。ただし、少なくとも、基板のガラス転移温度以下であることが必要である)に加温されている。また、本圧着ボンディング・ツール305も同様の温度、または摂氏50度程度高めの温度に加温されている。したがって、仮圧着コレットと異なり、本圧着ボンディング・ツール305の下端部は比較的に熱伝導の良好な部材で構成することができ、また、チップを構成するシリコン等は比較的熱伝導の良好な部材であり、効率的な加熱が行えるので、熱圧着の進行をスムースに行うことができる。
【0198】
9.コレット真空吸引系の変形例の説明(主に図66、67および52参照)
これまでに説明したコレット105の真空吸引系は完全閉鎖型(図31のバルブ143によって、オンの時は真空源に連結されており、オフ時は真空源とは切り離されて大気開放状態である)であったが、ここに説明するものは、図67に示すように、その改良型でコレット本体105のラバーチップに比較的近い領域にリーク孔221を設けたものである。こうすることで、吸着をオフしたときのコレット先端部の圧力応答が速くなる効果がある(勿論、これまでに説明したコレット105の真空吸引系でも、オフ時には真空源とは切り離されて大気開放状態となるが、一般に真空源と大気開放の切り替えは、コレット先端部よりも真空源に近い位置に置かれた切り替えバルブ143で行われるので、若干の遅延は不可避である。実際、これまでは40から100ミリ秒ほど要していた。すなわち、コレット先端部にリーク路を常設しておくと、たとえリーク路が比較的細いとしても、切り替えバルブ143までの真空系流路のコンダクタンスの分だけ圧力応答が速くなる)。また、常にリーク路(たとえば、リーク路の孔径0.3mm程度、リーク路のみ開放したときの到達流量0.4L/分、同到達圧84KPaとする。ちなみに、孔径0.8mm程度のラバーチップの吸着孔を全部開放したときの到達流量は7.0L/分程度である。)があるので、チップによって真空吸引系が閉鎖されるときの衝撃によるチップへの影響を緩和することができる。すなわち、セクション7で説明したような比較的軟らかいエラストマーをラバーチップとして使用する場合、真空シール性が非常によく、チップが湾曲してリーク状態になった状態から湾曲が回復して真空吸引系を閉鎖するときの衝撃が比較的大きいと懸念される。しかし、この場合は常にリーク路が存在するので、真空吸引系が完全閉鎖されるわけではないので、チップに強い衝撃が加わるおそれが少ないと考えられる。また、リーク孔があると、応答が速いため、着地直前に真空吸着をオフにしても、着地時には十分にチップひずみのない状態にすることができる。また、低弾性部材のラバーチップを使用した場合は、この湾曲からの回復は低弾性部材の持つ回復力とあいまって、よりスムースに行われる。
【0199】
以下図52にしたがって詳細手順を説明する。先に説明したように図66において、まず、ピックアップ部においてピックアップ動作が開始される(図66のピックアップ動作開始ステップ211、以下同じ図66による)。まず、ダイシングテープ4が下部基体102に吸着される(DCテープ吸着ステップ212)。図52の時間t11でコレット105が目的とするチップ1上に来ると降下を開始する。時間t12で低速の降下に切り替わる。そして、時間t13でコレット105の真空引きが開始される。時間t14で真空吸引しながらコレット105が降下してきて、チップ1上に着地する(コレット吸着開始ステップ213)。直後、時間t15で突き上げ動作とコレット105の上昇が開始される。時間t16で突き上げ動作は終了して時間t17で突き上げブロックは元に戻るが、問題がなければコレット105はそのまま上昇を続けて剥離を完了させる。完全剥離後、時間t18でコレット105は上昇速度を上げて、時間t19で所定の平行移動高度に達する。すなわち、コレット105はラバーチップ125で真空吸着により保持したまま上昇する(ピックアップステップ214)。所定の高さまで上昇した後、コレット105はダイボンディング位置上方すなわちボンディングステージ132上の配線基板11上方へ移動する(ボンド位置上方へ移動するステップ215)。時間t20からコレット105はラバーチップ125で真空吸着により保持したままで降下を開始する。時間t21で低速降下に切り替わる。ここで最終着地体勢に入ったことになる。時間t22でコレットの真空引きがオフされ(吸着オフステップ216)、チップ1はラバーチップ125に実質的に分子間力(物理吸着)のみで保持されながら降下する。時間t23でチップ1は配線基板11上に着地する(着地ステップ217)。時間t24で着地が確認されると、ボンディング荷重がコレット105に付与される(ボンディング・ステップ218)。時間t25にボンディングが完了すると、コレットは上昇を開始する。そして、時間t26で所定の平行移動高度に達する。その後、コレット105は再び次のチップの剥離のため、ピックアップ部へ移動する。
【0200】
10.サマリ
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて正方形のシリコン・チップを例にとり具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0201】
例えば、本発明は長方形のチップ、その他の形状のチップ、GaAsチップ等のシリコン以外のチップ、およびその他のチップ上の電子部品のピックアップに同様に適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0202】
1 チップ
10 接着部材層
11 配線基板
100 チップ装置剥離(チップ処理装置)
105 吸着コレット
125 ラバーチップ
300 ダイ・ボンディング部
400 チップ処理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ほぼ元のウエハの際の2次元的配置のままで、個々のチップ領域に分割された複数のチップを、それらの裏面を粘着テープに固定した状態でチップ処理装置のチップ・ピックアップ部に供給する工程;
(b)前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着し、且つ、前記第1のチップの前記裏面の前記粘着テープを下部基体の上面に真空吸着した状態で、前記粘着テープを前記第1のチップの前記裏面から剥離させる工程;
(c)前記工程(b)の後、前記第1のチップの前記表面を前記吸着コレットの前記ラバーチップの前記下面に吸着した状態で、前記第1のチップを、前記チップ処理装置のダイ・ボンディング部へ向けて移送する工程;
(d)前記工程(c)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面に吸着した状態で、前記第1のチップの裏面側を、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部に置かれた配線基板の上面に着地させる工程;
(e)前記工程(d)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面で下方に加圧することにより、前記第1のチップを、前記第1のチップの前記裏面と前記配線基板の前記上面間の接着部材層を介して前記配線基板の前記上面に固定する工程、
ここで、前記ラバーチップはエラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は15以上、55未満である。
【請求項2】
前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記硬度は20以上、40未満である。
【請求項3】
前記1または2項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーは熱硬化性エラストマーである。
【請求項4】
前記1から3項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーはシリコーン系エラストマーである。
【請求項5】
前記1から4項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記吸着コレット本体内の真空吸引系にはリーク孔が設けられ、そこを介してリークした状態で真空吸着が行われる。
【請求項6】
前記1から5項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記接着部材層はDAF部材層である。
【請求項7】
前記1から6項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を有する:
(e)前記工程(b)より前に、粘着テープにその裏面が固定された前記複数のチップの
前記粘着テープ側からUV光を照射する工程。
【請求項8】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)複数のチップをチップ処理装置のチップ・ピックアップ部に供給する工程;
(b)前記チップ・ピックアップ部の前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着した状態で、前記第1のチップを、前記チップ処理装置のダイ・ボンディング部へ向けて移送する工程;
(c)前記工程(b)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面に吸着した状態で、前記第1のチップの裏面側を、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部に置かれた配線基板の上面に着地させる工程;
(d)前記工程(c)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面で下方に加圧することにより、前記第1のチップを、前記第1のチップの前記裏面と前記配線基板の前記上面間の接着部材層を介して前記配線基板の前記上面に固定する工程、
ここで、前記ラバーチップは中央部に真空吸着孔を有するとともに、エラストマーを主
要な構成要素とし、その硬度は10以上、70未満である。
【請求項9】
前記8項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーは熱硬化性エラストマーである。
【請求項10】
前記8または9項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーはシリコーン系エラストマーである。
【請求項11】
前記8から10項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記吸着コレット本体内の真空吸引系にはリーク孔が設けられ、そこを介してリークした状態で真空吸着が行われる。
【請求項12】
前記8から11項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記接着部材層はDAF部材層である。
【請求項13】
前記8から12項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を有する:
(e)前記工程(b)より前に、粘着テープにその裏面が固定された前記複数のチップの前記粘着テープ側からUV光を照射する工程。
【請求項14】
前記8から13項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)における前記ラバーチップの前記下面への吸着は、主に物理吸着によっている。
【請求項15】
前記8から14項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)から(d)においては、真空吸着はオフとされている。
【請求項1】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ほぼ元のウエハの際の2次元的配置のままで、個々のチップ領域に分割された複数のチップを、それらの裏面を粘着テープに固定した状態でチップ処理装置のチップ・ピックアップ部に供給する工程;
(b)前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着し、且つ、前記第1のチップの前記裏面の前記粘着テープを下部基体の上面に真空吸着した状態で、前記粘着テープを前記第1のチップの前記裏面から剥離させる工程;
(c)前記工程(b)の後、前記第1のチップの前記表面を前記吸着コレットの前記ラバーチップの前記下面に吸着した状態で、前記第1のチップを、前記チップ処理装置のダイ・ボンディング部へ向けて移送する工程;
(d)前記工程(c)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面に吸着した状態で、前記第1のチップの裏面側を、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部に置かれた配線基板の上面に着地させる工程;
(e)前記工程(d)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面で下方に加圧することにより、前記第1のチップを、前記第1のチップの前記裏面と前記配線基板の前記上面間の接着部材層を介して前記配線基板の前記上面に固定する工程、
ここで、前記ラバーチップはエラストマーを主要な構成要素とし、その硬度は15以上、55未満である。
【請求項2】
前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記硬度は20以上、40未満である。
【請求項3】
前記1または2項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーは熱硬化性エラストマーである。
【請求項4】
前記1から3項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーはシリコーン系エラストマーである。
【請求項5】
前記1から4項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記吸着コレット本体内の真空吸引系にはリーク孔が設けられ、そこを介してリークした状態で真空吸着が行われる。
【請求項6】
前記1から5項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記接着部材層はDAF部材層である。
【請求項7】
前記1から6項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を有する:
(e)前記工程(b)より前に、粘着テープにその裏面が固定された前記複数のチップの
前記粘着テープ側からUV光を照射する工程。
【請求項8】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)複数のチップをチップ処理装置のチップ・ピックアップ部に供給する工程;
(b)前記チップ・ピックアップ部の前記複数のチップの内の第1のチップの表面を吸着コレットのラバーチップの下面に真空吸着した状態で、前記第1のチップを、前記チップ処理装置のダイ・ボンディング部へ向けて移送する工程;
(c)前記工程(b)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面に吸着した状態で、前記第1のチップの裏面側を、前記チップ処理装置の前記ダイ・ボンディング部に置かれた配線基板の上面に着地させる工程;
(d)前記工程(c)の後、前記第1のチップの前記表面を前記ラバーチップの前記下面で下方に加圧することにより、前記第1のチップを、前記第1のチップの前記裏面と前記配線基板の前記上面間の接着部材層を介して前記配線基板の前記上面に固定する工程、
ここで、前記ラバーチップは中央部に真空吸着孔を有するとともに、エラストマーを主
要な構成要素とし、その硬度は10以上、70未満である。
【請求項9】
前記8項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーは熱硬化性エラストマーである。
【請求項10】
前記8または9項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記エラストマーはシリコーン系エラストマーである。
【請求項11】
前記8から10項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記吸着コレット本体内の真空吸引系にはリーク孔が設けられ、そこを介してリークした状態で真空吸着が行われる。
【請求項12】
前記8から11項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記接着部材層はDAF部材層である。
【請求項13】
前記8から12項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に以下の工程を有する:
(e)前記工程(b)より前に、粘着テープにその裏面が固定された前記複数のチップの前記粘着テープ側からUV光を照射する工程。
【請求項14】
前記8から13項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)における前記ラバーチップの前記下面への吸着は、主に物理吸着によっている。
【請求項15】
前記8から14項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)から(d)においては、真空吸着はオフとされている。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
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【図67】
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【図21】
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【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【公開番号】特開2012−156517(P2012−156517A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−47743(P2012−47743)
【出願日】平成24年3月5日(2012.3.5)
【分割の表示】特願2007−164820(P2007−164820)の分割
【原出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月5日(2012.3.5)
【分割の表示】特願2007−164820(P2007−164820)の分割
【原出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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