説明

半導体集積回路

【課題】動作モードによって周波数変調を行うか行わないかを選択することによって受信側の負荷を低減することができる半導体集積回路を提供すること。
【解決手段】半導体集積回路1は、2以上の内部回路(ビデオデコーダ11、CPU12など)と、所定の周波数のクロックを発生するPLL31と、周波数を変調させたクロックを発生するSSCG PLL32と、内部回路にPLL31からのクロックか、SSCG PLL32からのクロックのいずれかを選択して内部回路に入力するセレクタ21とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数変調機能付きクロック発生回路(SSCG:Spectrum Spread Clock Generator)を有する半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の移動体通信機は、ロジック回路で使用する動作クロックあるいはその基準クロックの高周波成分が受信周波数の帯域内に発生すると、その高調波成分が妨害となって当該チャネルにおける受信感度が劣化するなどの問題が生じる。
【0003】
このような問題点に対し、特許文献1記載の従来の携帯電話機によれば、動作周波数に規格が設けられている周辺回路と規格のない周辺回路とにわけ、規格のない周辺回路に対してのみSSCGを適用する。このことにより、相互間ノイズを防止する。
【0004】
また、SSCG処理された信号をCPUに入力してもCPU内部のPLLの定数によっては、そのPLLの出力において変調成分が予想外に大きくなって、それが原因で誤動作を起こしたりする。このような問題点に対し、PLLに入力される信号の変調成分を検出して、その検出結果によりPLL周辺回路を切り替えるようにした電子装置が特許文献2に開示されている。この特許文献2に記載の電子機器は、断続的なクロック信号を入力する手段と、そのクロックの周波数変調成分を検出する手段と、その検出量を基準値と比較してその結果を出力する手段と、入力されたクロック信号を入力としたPLL回路と、比較した結果を出力の状態に応じて入力されたクロック信号を選択するか、PLL回路の出力を選択するかを切り替える手段を有する。
【特許文献1】特開2005−217593号公報
【特許文献2】特開2004−320466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、同一チップ内に複数の内部回路を有する場合であって、一の内部回路の動作周波数が他の内部回路の動作周波数の2倍等であると、例えば画像処理を行うチップの場合であると、ビートノイズが発生する等の問題が生じる。これを抑制するためにSSCGによるクロックを使用することが考えられるが、当該チップの出力データを受けるレシーバで不具合が生じる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる半導体集積回路は、2以上の内部回路と、所定の周波数のクロックを発生するクロック発生回路と、周波数を変調させたクロックを発生する周波数変調機能付きクロック発生回路と、前記内部回路に前記クロック発生回路からのクロックか、前記周波数変調機能付きクロック発生回路からのクロックのいずれかを選択して前記内部回路に入力する選択回路とを有するものである。
【0007】
本発明においては、クロック発生回路からのクロックと、周波数変調機能付きクロック発生回路からの変調周波数を有するクロックのいずれかを選択回路により選択することができ、内部回路が相互干渉ノイズを発生するような場合は、変調クロックを使用し、ノイズの発生がないような、すなわち変調周波数を使用する必要がない場合は通常のクロックを使用することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、動作モードによって周波数変調を行うか行わないかを選択することによって受信側の負荷を低減することができる半導体集積回路を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態は、本発明を、SOCチップ内ノイズ干渉を低減するSSCG PLLを搭載した半導体集積回路に適用したものである。
【0010】
図1は、本実施の形態にかかる半導体集積回路を示す図である。本実施の形態にかかる半導体集積回路(SOC:Silicon On Chip)1は、ビデオデコーダ11、CPU12、DDR2メモリ(Double-Data-Rate2 Synchronous Dynamic Random Access Memory)13、イメージプロセッサ14、イメージプロセッサ14からの信号をフリップフロップ(FF)15を介して受け取るパラレルシリアル(P/S)変換器16などの内部回路を有する。P/S変換器16の信号は差動変換器17により差動変換され外部のレシーバ44に出力される。
【0011】
さらに、所定の周波数のクロックを発生するクロック発生回路(PLL)31と、周波数を変調させたクロックを発生する周波数変調機能付きクロック発生回路SSCG PLL32とを有する。さらに、上述の内部回路に対してPLL31からのクロックか、SSCG PLL32からのクロックのいずれかを選択して内部回路に入力するセレクタ21と、内部回路とセレクタ21との間に、セレクタ21から入力されるクロックを分周又は逓倍する周波数制御回路22を有する。周波数制御回路は、本実施の形態においては、周波数をN1〜N5倍に逓倍するか、N1'分の1〜N5'分の1に分周するものである。
【0012】
さらに、セレクタ21及びFF28、29及びデコード回路27を有する。デコード回路27からの値をFF28、29に設定し、各セレクタ21、周波数制御回路22は、FF28、FF29より自身の回路に対応するビットからのデータを受け取る。すなわち、例えば、周波数制御回路22には、その分周比を選択するための制御値として4ビットのデータが入力される場合、ビデオデコーダ11に接続する周波数制御回路22には、FF29からのデータのうち上位4ビットが入力され、CPU12に接続している周波数制御回路22には上位5ビット目から8ビット目までのデータが入力される。
【0013】
ここで、セレクタ21に入力される、PLL31又はSSCG PLL32のいずれか一方を選択する信号は、1ビットでよい。このため、各FF28には1ビットの値が格納される。本実施の形態においては、内部回路は5つであるので、デコード回路27は、全てのセレクタ21に制御値を入力するため5ビットの制御データを外部のCPU41から受け取る。
【0014】
半導体集積回路1は、内部バス51、外部バス52を介してCPU41及びテーブル43と接続されている。また、DDR2メモリ13は、外部のDDR2メモリ42と接続されており、半導体集積回路1が処理すべきデータを入力する。
【0015】
ここで、上述したように、内部回路を構成する各ブロックにおいて、例えばビデオデコーダ11がCPU12の2倍の動作周波数で動作する場合、ビデオデコーダ11とCPU12との間で相互干渉ノイズが発生する場合がある。この場合、一方のブロックのクロックをSSCG PLL32からのクロックとすることで、ブロック相互の干渉を抑制することができる。ただし、クロック周波数を常に変調することは、外部回路の例えばレシーバ44にとって負荷になる。P/S変換器16は、入力されるシリアルデータをパラレルデータに変換し、さらに差動変換器17により差動信号に変換する。レシーバ44は、これを受信するため、本例によると、イメージプロセッサ14が扱うデータより高速なデータを扱うことになる。激しい動きのある動画など、非常に負荷が大きいデータを扱っている場合、P/S変換器16に入力するクロックを変調すると、レシーバ44における負荷が大きくなってしまう。そこで、本実施の形態においては、このような場合には、セレクタ21でPLL31からのクロックを選択する。これにより、レシーバ44の負荷を低減することができる。
【0016】
このように、内部回路の各ブロックに相互干渉ノイズがある場合各ブロック毎にPLL又はSSCG PLLいずれかをセレクタ21で選択することにより、相互干渉ノイズを極力防ぐことが可能である。
【0017】
また、当該半導体集積回路1は、例えばレシーバ44の代わりにテスタに接続してチップ特性テストが行われる。このようなチップ特性テスト時に、外部テストボード上又はテスタに接続する場合に、本実施の形態においては、SSCG PLL32を有するため、内部回路のクロックを本来の動作周波数から若干変調したものとすることができる。すなわち、Dithering/ Modulation frequencyを変動することにより、各内部回路の特性を測定することが可能となり、LSIを選別することができる。
【0018】
本実施の形態においては、外部のCPU41によりFF28、29に設定する値を供給する。外部CPU41は、DDR2メモリ42に入力される処理データに応じ、内部回路の動作モードを判断し、必要に応じてSSCG PLL32からのクロックが各内部回路に供給されるように制御する。この場合、全ての内部回路にSSCG PLL32からのクロックを供給する必要はなく、例えば、ビデオデコーダ11にのみDDCG PLL32からのクロックを供給するようにしてもよい。
【0019】
また、このようにFF28、FF29を使用してセレクタ21及び周波数制御回路22を制御するのは、外部CPU41に限られない。半導体集積回路1は、通常多数のCPUを搭載しており、例えば、これらのうちの一のCPUにより、入力データに基づき動作モードを判定させ、制御信号を生成するようにしてもよい。
【0020】
その他、テーブル44は、CPU41に直接接続するようにしてもよい。また、PLL22は複数であってもよいし、上述したように、逓倍する回路であっても分周する回路であってもよい。内部ブロックに合わせて構成することができる。
【0021】
本実施の形態においては、従来と比較して以下の効果がある。先ず、チップ上の各ブロック相互のノイズ干渉をできるだけ低減することが可能となる。例えば、ユニット内部で使用する(動作させる)周波数を、使用する動作モード条件や消費電力制御等により変更させる必要があるが、この際にも相互間ノイズ干渉を防ぐ面で有効である。
【0022】
つまり、半導体集積回路1では、アナログ信号を処理するビデオデコーダ等が存在する場合に、他のブロック(DDR2やCPU等)との相互干渉ノイズが見られ影響することがある。こういった場合に、半導体集積回路1内部で動作させる周波数は、動作モードや消費電力制御により動的に変更させる必要がある場合にも、SSCGを選択することにより、ユニット相互間ノイズを極力低減することができる。
【0023】
さらに、チップ外への特性を伴う特性を外部に繋いだテスタにより測定が可能となる。例えば、LVDS(Low voltage differential signaling)等の出力部分特性をテスタ等によりLSI選別する際に、SSCGモードでDithering/Modulation frequencyを変動することにより、各内部回路の特性チェックをすることができ、半導体集積回路の選別が可能になる。すなわち、動作周波数近傍で周波数を変調することにより、例えば外部回路と接続されるP/S変換器16の動作確認を行うことができ、当該ブロックの性能(実力)を調べることができる。
【0024】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態にかかる半導体集積回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0026】
1 半導体集積回路
11 ビデオデコーダ
12 CPU
13、42 DDR2メモリ
14 イメージプロセッサ
16 P/S変換器
17 差動変換器
18、43、45 テーブル
21 セレクタ
22 周波数制御回路
23〜26 FF
27 デコード回路
43 テーブル
44 レシーバ
51、52、53 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の内部回路と、
所定の周波数のクロックを発生するクロック発生回路と、
周波数を変調させたクロックを発生する周波数変調機能付きクロック発生回路と、
前記内部回路に前記クロック発生回路からのクロックか、前記周波数変調機能付きクロック発生回路からのクロックのいずれかを選択して前記内部回路に入力する選択回路とを有する半導体集積回路。
【請求項2】
入力データに応じて前記選択回路を制御する制御部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記制御回路は前記内部回路である
ことを特徴とする請求項2記載の半導体集積回路。
【請求項4】
外部の制御回路により、入力データに応じて前記選択回路を制御する
ことを特徴とする請求項2記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記内部回路の1つはビデオデコーダであり、他はCPUである
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の半導体集積回路。
【請求項6】
前記内部回路と前記選択回路との間に、前記選択回路から入力されるクロックを分周又は逓倍する周波数制御回路を更に有する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の半導体集積回路。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−200917(P2009−200917A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41472(P2008−41472)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】