説明

半導体集積回路

【課題】半導体集積回路の製造プロセスがばらつきを持っても所望の周波数特性を有するPLLを提供する。
【解決手段】PLLと制御ユニット9を具備し、PLLは位相周波数比較器1、ループフィルタ3、電圧制御発振器(VCO)8、分周器6を含み、VCO(8)は電圧電流変換器(VIC)とリング発振器を含む。制御電圧Vcに応答してVICは、リング発振器の動作電流を設定する制御電流を生成する。制御ユニット9は、PLLをオープンループのキャリブレーション動作期間とクローズドループの通常動作期間に切り換える。通常動作期間でVCOに所定の制御電圧Vcが供給され、VCOの周波数は所定の周波数とされる。キャリブレーション動作期間で制御電圧Vcと略等しいレベルの基準電圧VREFが供給された状態のVCOの周波数計測の間にVCOの周波数が所定の周波数と略等しくなるように、制御ユニット9はVIC81の動作パラメータTの値を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PLLを内蔵する半導体集積回路に関するもので、特に半導体集積回路の製造プロセスが多少のばらつきを持ったとしても、所望の周波数特性を有することが可能なPLLを提供するのに有益な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
フェーズ・ロックッド・ループ(PLL:Phase Locked Loop)は、良く知られているように、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)と位相比較器とループフィルタと分周器とを含むものである。位相比較器の出力がループフィルタを介して電圧制御発振器(VCO)の発振制御入力端子に供給され、位相比較器の一方の入力端子に安定な基準信号が供給される一方、位相比較器の他方の入力端子には分周器を介して電圧制御発振器(VCO)の出力信号が負帰還される。従って、温度変化や経時変化や電源変動等に対して、電圧制御発振器(VCO)の出力周波数を安定化することが可能となり、VCOの出力信号は半導体集積回路の安定なクロック信号等として使用されることができる。
【0003】
例えば、ハードディスク(HDD)やコンパクトディスク(CD)やデジタルビデオディスク(DVD)やブルーレイディスク(BD:Blue-ray Disk)等の記録媒体をアクセスするディスク記録再生装置に搭載される半導体集積回路に内蔵されるPLLは、記録媒体のアクセス速度を決定するクロック信号を生成する一方、パーソナルコンピュータ等のホスト機器と半導体集積回路とのインターフェースでのデータ転送レートを決定するクロック信号を生成するものである。
【0004】
従って、半導体集積回路に内蔵されるPLLが所望の特性を満足するように、半導体集積回路の出荷時または通常動作の直前のキャリブレーション動作期間等にPLLの特性を調整するキャリブレーション機能が必要となる。
【0005】
特に、アナログ・デジタル混載信号処理LSI(以後、アナデジ混載LSIと称する)等の半導体集積回路においては、アナログ回路である電圧制御発振器(VCO)は高周波数の出力信号を生成するとともに周波数ジッタを低減するために周波数制御感度を比較的低く抑制することが求められる。
【0006】
さらに、汎用アナデジ混載LSIは、量産製造工程で生産されるために、製造プロセスのばらつきを抑制する必要がある。例えば、アナデジ混載LSIには、論理回路の動作クロックを生成する目的や、送信信号クロックを生成する目的で、PLLが搭載される。このPLLに含まれる電圧制御発振器(VCO)等のアナログ回路は、製造プロセスのばらつきでその特性が大きく変化する。特に微細化プロセス等の製造プロセスのばらつきが大きい場合や、自動車搭載部品として使用される場合等の温度変化が大きい動作環境を想定する場合には、PLLに含まれる電圧制御発振器(VCO)等が所望の特性を満足することができない場合がある。従って、従来からPLLの電圧制御発振器(VCO)を所望の特性とするための種々の提案が、行われている。
【0007】
まず、下記特許文献1には、電圧制御発振器(VCO)の発振周波数を制御する制御電圧をリング発振器の動作電流に変換する動作電流制御部の電圧電流変換器の変換MOSトランジスタのゲートに供給して、変換MOSトランジスタのドレイン電流をカレントミラーの入力端子に供給して、カレントミラーの出力端子の電流によってリング発振器の動作電流を決定することが記載されている。変換MOSトランジスタのソースと接地電位との間の変換抵抗が、低抵抗と高抵抗とに選択可能とされている。変換抵抗として低抵抗を選択した場合には、所定の制御電圧に応答してリング発振器の動作電流が大きな値となり、高周波数の発振信号を生成することができる。それに対して変換抵抗として高抵抗を選択した場合には、所定の制御電圧に応答してリング発振器の動作電流が小さな値となって、低周波数の発振信号を生成することができる。更に下記特許文献1には、制御電圧がゼロボルトであってもリング発振器の動作電流が微小値となって、極めて低い周波数で発振するような他の抵抗を、電圧電流変換器のカレントミラーの入力端子と接地電位との間に接続することも記載されている。
【0008】
また、下記特許文献2でも、電圧電流変換器の変換MOSトランジスタのゲートに制御電圧を供給してこのトランジスタのドレイン電流をカレントミラーの入力端子に供給して、カレントミラーの出力端子からの電流によって電圧制御発振器(VCO)のリング発振器の動作電流を決定している。更に、下記特許文献2には、微細製造プロセスによるMOSトランジスタの低耐圧化によってリング発振器の動作電流を生成する電圧電流変換器の変換MOSトランジスタでの発振周波数対制御電圧の周波数制御感度が高くなってジッタ特性が劣化すると言う問題を解決することが記載されている。この問題を解決するために、下記特許文献2でも、制御電圧がゼロボルトであってもリング発振器の動作電流が微小値となって極めて低い周波数で発振するような他の電流ミラー回路を電圧電流変換器のカレントミラーの入力端子と接地電位との間に接続することも記載されている。
【0009】
更に、下記特許文献3にも、下記特許文献2と同様に、電圧制御発振器(VCO)で制御電圧がゼロボルトであってもリング発振器の動作電流が微小値となって極めて低い周波数で発振するようなオフセット電流付加回路を電圧電流変換器のカレントミラーの入力端子と接地電位との間に接続することも記載されている。ただし、下記特許文献3に記載の電圧電流変換器は差動型電圧電流変換器となっており、下記特許文献2に記載の電圧電流変換器より大きな素子数となっている。
【0010】
【特許文献1】特開2003−152507号 公報
【特許文献2】特開2007−129501号 公報
【特許文献3】特開2003−229764号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者等は本発明に先立って、ディスク記録再生装置に搭載される半導体集積回路に内蔵されるPLLの研究・開発に従事した。
【0012】
図26は、本発明に先立って本発明者等により検討されたPLLに含まれる電圧制御発振器(VCO)を示す図である。
【0013】
図26に示す電圧制御発振器(VCO)5は、電圧電流変換器(VIC)51と電流制御発振器(CCO:Current Controlled Oscillator)52とを含んでいる。リング発振器として構成された電流制御発振器(CCO)52は、奇数段の遅延回路521、522、523を含んでいる。
【0014】
最終段の遅延回路523の反転出力信号Fvcobと非反転出力信号Fvcoは、初段の遅延回路521の非反転入力端子と反転入力端子にそれぞれ供給される。初段の遅延回路521の反転出力信号と非反転出力信号は、次段の遅延回路522の非反転入力端子と反転入力端子にそれぞれ供給される。次段の遅延回路522の反転出力信号と非反転出力信号は、最終段の遅延回路523の非反転入力端子と反転入力端子にそれぞれ供給される。
【0015】
電圧制御発振器(VCO)5の発振周波数を制御するための制御電圧(Vc)が電圧電流変換器(VIC)51の入力端子に供給されると変換器(VIC)51は電圧電流変換を実行して、変換器(VIC)51内部で変換電流が生成され、この変換電流は出力電圧(Vp)に変換される。電圧電流変換器(VIC)51の出力端子から生成される出力電圧(Vp)は電流制御発振器(CCO)52の遅延回路521、522、523にバイアス電圧として供給されて、遅延回路521、522、523の各動作電流と各遅延時間とが設定されるので、電圧制御発振器(VCO)5の発振周波数が決定される。
【0016】
図20は、図26に示す電圧制御発振器(VCO)5の電流制御発振器(CCO)52の各遅延回路521、522、523の構成を示す図である。
【0017】
図20に示す遅延回路521(522、523)は非反転入力端子と反転入力端子としてそれぞれ機能する第1入力端子i1と第2入力端子i2とを含む一方、反転出力端子と非反転端子としてそれぞれ機能する第1出力端子o1と第2出力端子o2とを含んでいる。
【0018】
第1入力端子i1にはPチャンネルMOSトランジスタ5212のゲートとNチャンネルMOSトランジスタ5216のゲートが接続され、第1出力端子o1にはPチャンネルMOSトランジスタ5212のドレインとNチャンネルMOSトランジスタ5216のドレインとPチャンネルMOSトランジスタ5213のドレインとPチャンネルMOSトランジスタ5214のゲートが接続されている。
【0019】
第2入力端子i2にはPチャンネルMOSトランジスタ5215のゲートとNチャンネルMOSトランジスタ5217のゲートが接続され、第2出力端子o2にはPチャンネルMOSトランジスタ5215のドレインとNチャンネルMOSトランジスタ5217のドレインとPチャンネルMOSトランジスタ5214のドレインとPチャンネルMOSトランジスタ5213のゲートが接続されている。
【0020】
2個のNチャンネルMOSトランジスタ5216、5217のソースは接地電位GNDに接続され、4個のPチャンネルMOSトランジスタ5212、5213、5214、5215のソースはバイアス用PチャンネルMOSトランジスタ5211のドレイン・ソース経路を介して電源電圧VDDに接続されている。また、バイアス用PチャンネルMOSトランジスタ5211のゲートには、図26に示した電圧制御発振器(VCO)5の電圧電流変換器(VIC)51の出力端子から生成される出力電圧(Vp)が供給される。従って、図26に示す電圧制御発振器(VCO)5の電流制御発振器(CCO)52を構成する遅延回路521、522、523の各動作電流と各遅延時間とが設定されるので、電圧制御発振器(VCO)5の発振周波数が決定される。
【0021】
図27は、図26に示す電圧制御発振器(VCO)5の電圧電流変換器(VIC)51の構成を示す図である。
【0022】
図27に示す電圧電流変換器(VIC)51は、電圧電流変換素子として機能するNチャンネルMOSトランジスタ511と電流電圧変換素子として機能するPチャンネルMOSトランジスタ512とを含んでいる。ソースが接地電圧GNDに接続されたNチャンネルMOSトランジスタ511のゲートに供給される制御電圧(Vc)に応答して、ドレインから変換電流(Ip)が生成されてPチャンネルMOSトランジスタ512に供給される。ソースが電源電圧VDDに接続されたPチャンネルMOSトランジスタ512のゲートとドレインとが接続されているので、PチャンネルMOSトランジスタ512はダイオードとして動作する。従って、NチャンネルMOSトランジスタ511のドレインからの変換電流(Ip)は、ダイオードとしてのPチャンネルMOSトランジスタ512によって出力電圧(Vp)に変換されるものである。
【0023】
図27に示す電圧電流変換器(VIC)51のPチャンネルMOSトランジスタ512の両端に生成される出力電圧(Vp)が図20に示す遅延回路521(522、523)内部のバイアス用PチャンネルMOSトランジスタ5211のソース・ゲート間に供給される。従って、図26に示す電圧制御発振器(VCO)5の電流制御発振器(CCO)52を構成する遅延回路521、522、523の各動作電流と各遅延時間とが設定されるので、電圧制御発振器(VCO)5の発振周波数が決定される。
【0024】
図28は、本発明に先立って本発明者等により検討された図26に示す電圧制御発振器(VCO)5の発振周波数対制御電圧の周波数制御感度の特性を示す図である。図28の縦軸は発振出力信号FVCOの周波数を示し、図28の横軸は電圧電流変換器(VIC)51に供給される制御電圧Vcのレベルを示している。
【0025】
また、図28には、図26に示す電圧制御発振器(VCO)5を最小線幅が0.18μmの非微細化CMOS製造プロセスで製造した場合の特性と、図26に示す電圧制御発振器(VCO)5を最小線幅が45nmの微細化CMOS製造プロセスで製造した場合の特性とが示されている。
【0026】
例えば0.18μm非微細化CMOS製造プロセスでは、電源電圧VDDが1.8ボルトであり、図27に示す電圧電流変換器(VIC)51の電圧電流変換素子であるNチャンネルMOSトランジスタ511のしきい値電圧が比較的大きな値Vth180とする。すると、PLLの出力周波数(Fo)とPLLのロック状態での制御電圧Vcの電圧が設定されると、発振周波数対制御電圧の周波数制御感度Kv180が決定される。図28に示す例では、ロック状態での制御電圧Vcが例えば1.3ボルトとすると、周波数制御感度(Kv180)はKv=Fo/(1.3V−Vth180)と比較的小さな値なる。
【0027】
一方、最小線幅が45nmの微細化CMOS製造プロセスでは、電源電圧VDDが例えば1.0ボルトで、図27に示す電圧電流変換器(VIC)51の電圧電流変換素子であるNチャンネルMOSトランジスタ511のしきい値電圧が比較的小さな値Vth45とする。PLLのロック状態での制御電圧Vcの電圧が、例えば0.7ボルトとすると、周波数制御感度(Kv45)はKv=Fo/(0.7−Vth45)と比較的大きな値なる。
【0028】
このように、微細化CMOS製造プロセスによる低しきい値電圧と低電源電圧とによって周波数制御感度Kvが大きくなる傾向がある。しかし周波数制御感度Kvの値が高すぎる場合には、制御電圧Vcに含まれるノイズによって電圧制御発振器(VCO)の発振出力周波数が大きく変動するので良好なジッタ特性が得られないと言う問題を生じるものである。
【0029】
また、微細化CMOS製造プロセスによって周波数制御感度Kvが大きくなると、それによってPLLの周波数帯域も広帯域化される。しかし、電子機器の種々の規格等で規定される雑音スペクトラムやその他の特性を満足するためにはPLLの周波数帯域をある程度の範囲で制限される必要性があるが、微細化CMOS製造プロセスによるPLLの広帯域化よって種々の規格を遵守することが困難となる傾向となっている。
【0030】
更に、半導体集積回路の微細化MOSトランジスタのしきい値電圧が小さくなることによりしきい値電圧の相対的なばらつきが大きくなることによって、周波数制御感度Kv等のPLLの周波数特性のばらつきも大きくなると言う問題も明らかとされた。
【0031】
一方、PLLでは、位相周波数比較器の出力はチャージポンプの入力に供給され、電圧制御発振器(VCO)の発振周波数を制御する制御電圧Vcを生成するループフィルタがチャージポンプの出力の充放電によって駆動される。しかし、このチャージポンプの特性も、微細化CMOS製造プロセスの影響を受けることも、本発明者等の検討によって明らかとされた。
【0032】
図29は、本発明に先立って本発明者等によって検討されたチャージポンプの構成を示す図である。
【0033】
図29に示すチャージポンプ2は、充電電流を生成する電流源25と位相周波数比較器のアップ出力UPにより駆動されるPチャンネルMOSトランジスタ26と、位相周波数比較器のダウン出力DNにより駆動されるNチャンネルMOSトランジスタ27と放電電流を生成する電流源28とを含んでいる。
【0034】
充電電流源25と放電電流源28の定電流をIcpとして、充電電流源25のPチャンネルMOSトランジスタのオン抵抗としきい値電圧とをそれぞれRonpとVthpとして、放電電流源28のNチャンネルMOSトランジスタのオン抵抗としきい値電圧とをそれぞれRonnとVthnとする。
【0035】
チャージポンプ2のPチャンネルMOSトランジスタ26のドレインとNチャンネルMOSトランジスタ27のドレインとが接続された出力端子から、電圧制御発振器(VCO)の発振周波数を制御するループフィルタの制御電圧Vcが生成されるものである。しかし、このチャージポンプ2の充電電流源25と放電電流源28とが所定の定電流Icpを流すことが可能な動作範囲は、下記のように限定されるものである。
【0036】
図30は、図29に示すチャージポンプ2において充電電流源25、放電電流源28に流れる電流Icpとチャージポンプ2の出力端子の制御電圧Vcとの関係を示す図である。
【0037】
図30の略中央部分では制御電圧Vcの値は電源電圧VDDの略半分であり、充電電流源25のPチャンネルMOSトランジスタと放電電流源28のNチャンネルMOSトランジスタはそれぞれ飽和領域で動作する。従って、図30の略中央部分では、充電電流源25のPチャンネルMOSトランジスタと放電電流源28のNチャンネルMOSトランジスタは、それぞれ所定の定電流Icpを流すことができる。
【0038】
しかし、チャージポンプ2の出力端子の制御電圧Vcが低下して、制御電圧VcがVthn+Icp*Ronnのレベルよりも低くなると、放電電流源28のNチャンネルMOSトランジスタは線形領域にて動作するようになる。従って、放電電流源28のNチャンネルMOSトランジスタのドレイン電流は低いドレイン・ソース電圧に比例して低下するので、放電電流源28のNチャンネルMOSトランジスタの充電電流は所定の定電流Icpよりも小さな値となる。
【0039】
一方、チャージポンプ2の出力端子の制御電圧Vcが上昇して、制御電圧VcがVDD−Vthp−Icp*Ronpのレベルよりも高くなると、充電電流源25のPチャンネルMOSトランジスタは線形領域にて動作するようになる。従って、充電電流源25のPチャンネルMOSトランジスタのドレイン電流は低いソース・ドレイン電圧に比例して低下するので、充電電流源25のPチャンネルMOSトランジスタの放電電流は所定の定電流Icpよりも小さな値となる。
【0040】
従って、図30の左右の部分でチャージポンプ2の出力端子の制御電圧Vcが変化する場合の電圧制御発振器(VCO)の周波数制御感度と比較すると、図30の略中央部分で制御電圧Vcが変化する場合の電圧制御発振器(VCO)の周波数制御感度の値は高くなるものである。
【0041】
従って、図28に示した微細化CMOS製造プロセスによる周波数制御感度Kvの増大と図30の略中央部分に示したチャージポンプ2の出力の制御電圧Vcが比較的高い領域での周波数制御感度Kvの増大とを考慮して、PLLの電圧制御発振器(VCO)のジッタ特性を考慮する必要があることが本発明者等の検討によって検討により明らかとされた。
【0042】
本発明は、以上のような本発明に先立った本発明者等の検討の結果、なされたものである。
【0043】
従って、本発明の目的とするところは、半導体集積回路の製造プロセスが多少のばらつきを持ったとしても所望の周波数特性を有することが可能なPLLを提供することにある。
【0044】
更に、本発明の他の目的とするところは、PLLの電圧制御発振器の周波数制御感度を所望の特性に設定することにある。
【0045】
また本発明の更に他の目的とするところは、PLLの電圧制御発振器のジッタ特性を改善することにある。
【0046】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0047】
本願において開示される発明のうちの代表的なものについて簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0048】
すなわち、本発明の代表的な半導体集積回路は、フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)と制御ユニット(9)とを具備する。
【0049】
前記フェーズ・ロックッド・ループは、位相周波数比較器(1)とループフィルタ(3)と電圧制御発振器(8)と分周器(6)とを含む。
【0050】
前記電圧制御発振器(8)は、電圧電流変換器(81)とリング発振器(52)とを含む(図2参照)。
【0051】
前記リング発振器(52)は、奇数段の遅延回路(521、522、523)を有する(図2参照)。
【0052】
前記電圧電流変換器(81)は前記制御電圧(Vc)に応答して制御電流(Ip)を生成して(図3参照)、前記制御電流(Ip)によって前記リング発振器(52)の前記奇数段の遅延回路の各動作電流が設定される(図2参照)。
【0053】
前記制御ユニット(9)は、前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)をキャリブレーション動作期間と通常動作期間とに切り換える。
【0054】
前記通常動作期間では前記制御ユニット(9)により前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)はクローズドループに制御される一方、前記キャリブレーション動作期間では前記制御ユニット(9)により前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)はオープンループに制御される。
【0055】
前記通常動作期間では、前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の前記周波数は前記基準信号(Fref)の周波数と前記分周器(6)の分周数とにより決定される所定の周波数(B)とされるものである。
【0056】
前記キャリブレーション動作期間では、前記所定のレベルの前記制御電圧(Vc)と略等しいレベルの基準電圧(VREF)が前記電圧制御発振器(8)の前記制御入力に供給された状態の前記電圧制御発振器(8)の前記発振出力信号(Fvco)の前記周波数の計測を、前記制御ユニット(9)が実行する(図5、図7参照)。
【0057】
前記周波数の前記計測の実行の間に前記基準電圧が前記電圧制御発振器に供給された状態の前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の前記周波数が前記所定の周波数(B)と略等しくなるように、前記制御ユニット(9)は前記電圧制御発振器(8)の前記電圧電流変換器(81)の第1動作パラメータ(T)の値を設定することを特徴とする(図5のステップ56〜ステップ59参照)。
【発明の効果】
【0058】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0059】
すなわち、半導体集積回路の製造プロセスが多少のばらつきを持ったとしても、所望の周波数特性を有することが可能なPLLを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
《代表的な実施の形態》
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0061】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態による半導体集積回路は、フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)と制御ユニット(9)とを具備する。
【0062】
前記フェーズ・ロックッド・ループは、位相周波数比較器(1)とループフィルタ(3)と電圧制御発振器(8)と分周器(6)とを含む。
【0063】
前記位相周波数比較器(1)の一方の入力端子と他方の入力端子には、基準信号(Fref)と前記分周器(6)の出力からの帰還信号(Fb)がそれぞれ供給可能である。
【0064】
前記位相周波数比較器(1)の出力は前記ループフィルタ(3)を介して前記電圧制御発振器(8)の制御入力に供給され、前記電圧制御発振器(8)の出力の発振出力信号(Fvco)が前記分周器(6)の入力に供給され、前記電圧制御発振器(8)の前記発振出力信号(Fvco)の周波数は前記制御入力に供給される制御電圧(Vc)に応答して制御可能である(図1参照)。
【0065】
前記電圧制御発振器(8)は、電圧電流変換器(81)とリング発振器(52)とを含むものである(図2参照)。
【0066】
前記リング発振器(52)は、奇数段の遅延回路(521、522、523)を有するものである(図2参照)。
【0067】
前記電圧電流変換器(81)は前記制御電圧(Vc)に応答して制御電流(Ip)を生成して(図3参照)、前記制御電流(Ip)によって前記リング発振器(52)の前記奇数段の遅延回路の各動作電流が設定されるものである(図2参照)。
【0068】
前記制御ユニット(9)は、前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)をキャリブレーション動作期間と通常動作期間とに切り換えることが可能とされたものである。
【0069】
前記通常動作期間では前記制御ユニット(9)により前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)はクローズドループに制御される一方、前記キャリブレーション動作期間では前記制御ユニット(9)により前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)はオープンループに制御されるものである。
【0070】
前記通常動作期間では、前記クローズドループの前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)において前記位相周波数比較器(1)の前記出力が前記ループフィルタ(3)を介して前記電圧制御発振器(8)の前記制御入力に所定のレベルの前記制御電圧(Vc)として供給されることによって、前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の前記周波数は前記基準信号(Fref)の周波数と前記分周器(6)の分周数とにより決定される所定の周波数(B)とされるものである。
【0071】
前記キャリブレーション動作期間では、前記オープンループの前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)において前記所定のレベルの前記制御電圧(Vc)と略等しいレベルの基準電圧(VREF)が前記電圧制御発振器(8)の前記制御入力に供給された状態の前記電圧制御発振器(8)の前記発振出力信号(Fvco)の前記周波数の計測を、前記制御ユニット(9)が実行するものである(図5、図7参照)。
【0072】
前記周波数の前記計測の実行の間に前記基準電圧が前記電圧制御発振器に供給された状態の前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の前記周波数が前記所定の周波数(B)と略等しくなるように、前記制御ユニット(9)は前記電圧制御発振器(8)の前記電圧電流変換器(81)の第1動作パラメータ(T)の値を設定することを特徴とする(図5のステップ56〜ステップ59参照)。
【0073】
前記実施の形態によれば、PLLの通常動作期間にて電圧制御発振器から所定の周波数の発振出力信号が生成される所定のレベルの制御電圧と略等しいレベルの基準電圧がキャリブレーション動作期間に電圧制御発振器に供給される。このキャリブレーション動作期間の電圧制御発振器の発振出力信号の周波数の計測の間に、基準電圧が供給された電圧制御発振器の発振出力信号の周波数が所定の周波数と略等しくなるように、制御ユニットは電圧制御発振器の電圧電流変換器の第1動作パラメータの値を設定するものである。
【0074】
従って、前記実施の形態によれば、半導体集積回路の製造プロセスが多少のばらつきを持ったとしても、所望の周波数特性を有することが可能なPLLを提供することができる。
【0075】
好適な実施の形態による半導体集積回路では、前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)は、前記制御ユニット(9)によって制御されるセレクタ(7)を更に含むものである。
【0076】
前記セレクタ(7)は、前記通常動作期間に前記所定のレベルの前記制御電圧(Vc)を選択する一方、前記キャリブレーション動作期間に前記基準電圧(VREF)を選択して、選択された電圧を前記電圧制御発振器(8)の前記制御入力に供給することを特徴とする(図1参照)。
【0077】
他の好適な実施の形態では、前記キャリブレーション動作期間で、前記電圧電流変換器(81)の前記第1動作パラメータ(T)の値が設定されるのに先立って、接地電位(GND)のレベルの前記制御電圧(Vc)が前記オープンループの前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)の前記電圧制御発振器(8)の前記制御入力に供給された状態の前記電圧制御発振器(8)の前記発振出力信号(Fvco)の前記周波数の計測を、前記制御ユニット(9)が実行するものである(図5、図7参照)。
【0078】
前記キャリブレーション動作期間で、前記計測の実行の間に前記接地電位(GND)のレベルの前記制御電圧(Vc)が前記電圧制御発振器に供給された状態の前記発振出力信号の前記周波数が所定のオフセット周波数(A)と略等しくなるように、前記電圧電流変換器(81)の前記第1動作パラメータ(T)の値が設定されるのに先立って前記制御ユニット(9)は前記電圧制御発振器(8)の前記電圧電流変換器(81)の第2動作パラメータ(O)の値を設定することを特徴とする(図5のステップ52〜ステップ54参照)。
【0079】
更に他の好適な実施の形態では、前記キャリブレーション動作期間で、前記電圧電流変換器(81)の前記第1動作パラメータ(T)の値が設定されるのに先立って、前記セレクタ(7)は前記接地電位(GND)のレベルの前記制御電圧(Vc)が前記オープンループの前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)の前記電圧制御発振器(8)の前記制御入力に供給することを特徴とする(図1参照)。
【0080】
より好適な実施の形態では、前記キャリブレーション動作期間で前記電圧制御発振器(8)の前記電圧電流変換器(81)の前記第2動作パラメータ(O)の値が設定された後に、前記接地電位(GND)のレベルより高く前記所定のレベルの前記制御電圧(Vc)よりも低いレベルの他の基準電圧(VREF1)が前記オープンループの前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)の前記電圧制御発振器(8)の前記制御入力に供給された状態の前記電圧制御発振器(8)の前記発振出力信号(Fvco)の前記周波数の他の計測(図9:ステップ94〜95)を、前記制御ユニット(9)が更に実行するものである(図8、図9、図10、図11参照)。
【0081】
前記キャリブレーション動作期間で、前記他の計測の実行の間に前記他の基準電圧(VREF1)が前記電圧制御発振器に供給された状態の前記発振出力信号の前記周波数が前記所定の周波数(B)よりも低い他の所定の周波数(B−C)と略等しくなるように、前記制御ユニット(9)は前記電圧制御発振器(8)の前記電圧電流変換器(81)の前記第1動作パラメータ(T)の値を設定することを特徴とする(図9のステップ95〜ステップ99参照)。
【0082】
更により好適な実施の形態では、前記キャリブレーション動作期間で前記第2動作パラメータ(O)の値が設定された後に、前記セレクタ(7)は前記他の基準電圧(VREF1)を前記オープンループの前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)の前記電圧制御発振器(8)の前記制御入力に供給することを特徴とする(図8参照)。
【0083】
具体的な一つの実施の形態による半導体集積回路では、前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)は、前記位相周波数比較器(1)の前記出力に応答して前記ループフィルタ(3)の充放電を行うチャージポンプ(2)を更に含むことを特徴とする(図1参照)。
【0084】
より具体的な一つの実施の形態では、前記チャージポンプは第1チャージポンプ(2a)と第2チャージポンプ(2b)とから構成されている。
【0085】
前記第1チャージポンプ(2a)と前記第2チャージポンプ(2b)は前記位相周波数比較器(1)の前記出力としてのアップ出力信号(UP)とダウン出力信号(DN)とに応答して相互に逆相に駆動され、前記第1チャージポンプ(2a)の第1充放電電流(i1)と前記第2チャージポンプ(2b)の第2充放電電流(i2)とは所定の比率(β)に設定されている。
【0086】
前記ループフィルタ(3)は零点周波数(f1)を決定する抵抗(R1)と容量(C1)とを含み、前記抵抗(R1)の一端は前記ループフィルタ(3)の入力端子に接続され、前記抵抗(R1)の他端は前記容量(C1)を介して接地電位(GND)に接続される。
【0087】
前記ループフィルタ(3)の前記抵抗(R1)の前記一端と前記他端は、前記第1チャージポンプ(2a)の前記第1充放電電流(i1)と前記第2チャージポンプ(2b)の前記第2充放電電流(i2)とによってそれぞれ駆動される。
【0088】
前記ループフィルタ(3)の前記抵抗(R1)と前記容量(C1)とは、半導体チップに内蔵されたことを特徴とする(図31参照)。
【0089】
更により具体的な一つの実施の形態による半導体集積回路は、ディスク記録再生装置の記憶メディアとしてのディスクのデータ読み出しとデータ書き込みとを行うピックアップとホスト・コンピュータの間に接続可能とされたものである。
【0090】
前記半導体集積回路は、前記ホスト・コンピュータに読み出しデータを供給する一方、前記ホスト・コンピュータからの書き込みデータが供給されるホスト・インターフェース(2411、2511)を含む。
【0091】
前記半導体集積回路は、前記ピックアップからの読み出し信号の信号処理を行う一方、前記ピックアップへの書き込み信号の信号処理を行う信号処理ユニット(2412、2512)を含む(図24、図25参照)。
【0092】
前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)は、前記ホスト・インターフェースと前記信号処理ユニットとの少なくともいずれか一方で使用されるクロック信号を生成することを特徴とする。
【0093】
最も具体的な一つの実施の形態では、前記ホスト・インターフェース(2411、2511)はATAインターフェースであることを特徴とする。
【0094】
〔2〕本発明の別の観点の代表的な実施の形態による半導体集積回路は、フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)と制御ユニット(9)とを具備する。
【0095】
前記フェーズ・ロックッド・ループは、位相周波数比較器(1)とループフィルタ(3)と電圧制御発振器(8)と分周器(6)とを含む。
【0096】
前記位相周波数比較器(1)の一方の入力端子と他方の入力端子には、基準信号(Fref)と前記分周器(6)の出力からの帰還信号(Fb)がそれぞれ供給可能である。
【0097】
前記位相周波数比較器(1)の出力は前記ループフィルタ(3)を介して前記電圧制御発振器(8)の制御入力に供給され、前記電圧制御発振器(8)の出力の発振出力信号(Fvco)が前記分周器(6)の入力に供給され、前記電圧制御発振器(8)の前記発振出力信号(Fvco)の周波数は前記制御入力に供給される制御電圧(Vc)に応答して制御可能である(図12参照)。
【0098】
前記電圧制御発振器(8)は、電圧電流変換器(81)とリング発振器(52)とを含むものである(図13参照)。
【0099】
前記リング発振器(52)は、奇数段の遅延回路(521、522、523)を有するものである(図13参照)。
【0100】
前記電圧電流変換器(81)は前記制御電圧(Vc)に応答して制御電流(Ip)を生成して(図14参照)、前記制御電流(Ip)によって前記リング発振器(52)の前記奇数段の遅延回路の各動作電流が設定されるものである(図13参照)。
【0101】
前記制御ユニット(9)は、前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)をキャリブレーション動作期間と通常動作期間とに切り換えることが可能とされたものである。
【0102】
前記通常動作期間では前記制御ユニット(9)により前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)はクローズドループに制御される一方、前記キャリブレーション動作期間では前記制御ユニット(9)により前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)はオープンループに制御されるものである。
【0103】
前記通常動作期間では、前記クローズドループの前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)において前記位相周波数比較器(1)の前記出力が前記ループフィルタ(3)を介して前記電圧制御発振器(8)の前記制御入力に所定のレベルの前記制御電圧(Vc)として供給されることによって、前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の前記周波数は前記基準信号(Fref)の周波数と前記分周器(6)の分周数とにより決定される所定の周波数(B)とされるものである。
【0104】
前記キャリブレーション動作期間では、前記オープンループの前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)において接地電位(GND)よりも高く比較的低いレベルの第1基準電圧(VREF1)が前記電圧制御発振器(8)の前記制御入力に供給された状態の前記電圧制御発振器(8)の前記発振出力信号(Fvco)の前記周波数の第1の計測を、前記制御ユニット(9)が実行するものである(図15、図16参照)。
【0105】
前記周波数の前記第1の計測の実行の間に前記第1基準電圧(VREF1)が前記電圧制御発振器に供給された状態の前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の前記周波数が前記第1の所定の周波数(A)と略等しくなるように、前記制御ユニット(9)は前記電圧制御発振器(8)の前記電圧電流変換器(81)の第1動作パラメータ(T、L)の値を設定するものである(図15のステップ150〜ステップ158参照)。
【0106】
前記キャリブレーション動作期間で、前記電圧電流変換器(81)の前記第1動作パラメータ(T、L)の値の設定の後に、前記第1基準電圧(VREF1)よりも高いレベルであり前記所定のレベルの前記制御電圧(Vc)と略等しいレベルの第2基準電圧(VREF2)が前記電圧制御発振器(8)の前記制御入力に供給された状態の前記電圧制御発振器(8)の前記発振出力信号(Fvco)の前記周波数の第2の計測を、前記制御ユニット(9)が実行するものである(図15、図17参照)。
【0107】
前記周波数の前記第2の計測の実行の間に前記第2基準電圧(VREF2)が前記電圧制御発振器に供給された状態の前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の前記周波数が前記第1の所定の周波数(A)よりも高い第2の所定の周波数(B)と略等しくなるように、前記制御ユニット(9)は前記電圧制御発振器(8)の前記電圧電流変換器(81)の前記第2動作パラメータ(G)の値を設定することを特徴とする(図15のステップ159〜ステップ1513参照)。
【0108】
従って、前記実施の形態によれば、半導体集積回路の製造プロセスが多少のばらつきを持ったとしても、所望の周波数特性を有することが可能なPLLを提供することができる。
【0109】
好適な実施の形態による半導体集積回路では、前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)は、前記制御ユニット(9)によって制御されるセレクタ(7)を更に含むものである。
【0110】
前記セレクタ(7)は、前記通常動作期間に前記所定のレベルの前記制御電圧(Vc)を選択する一方、前記キャリブレーション動作期間に前記第1基準電圧(VREF1)と前記第2基準電圧(VREF2)とのいずれかを選択して、選択された電圧を前記電圧制御発振器(8)の前記制御入力に供給することを特徴とする(図12参照)。
【0111】
他の好適な実施の形態による半導体集積回路では、前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)は、前記位相周波数比較器(1)の前記出力に応答して前記ループフィルタ(3)の充放電を行うチャージポンプ(2)を更に含むことを特徴とする(図12参照)。
【0112】
更に他の好適な実施の形態では、前記チャージポンプは第1チャージポンプ(2a)と第2チャージポンプ(2b)とから構成されている。
【0113】
前記第1チャージポンプ(2a)と前記第2チャージポンプ(2b)は前記位相周波数比較器(1)の前記出力としてのアップ出力信号(UP)とダウン出力信号(DN)とに応答して相互に逆相に駆動され、前記第1チャージポンプ(2a)の第1充放電電流(i1)と前記第2チャージポンプ(2b)の第2充放電電流(i2)とは所定の比率(β)に設定されている。
【0114】
前記ループフィルタ(3)は零点周波数(f1)を決定する抵抗(R1)と容量(C1)とを含み、前記抵抗(R1)の一端は前記ループフィルタ(3)の入力端子に接続され、前記抵抗(R1)の他端は前記容量(C1)を介して接地電位(GND)に接続される。
【0115】
前記ループフィルタ(3)の前記抵抗(R1)の前記一端と前記他端は、前記第1チャージポンプ(2a)の前記第1充放電電流(i1)と前記第2チャージポンプ(2b)の前記第2充放電電流(i2)とによってそれぞれ駆動される。
【0116】
前記ループフィルタ(3)の前記抵抗(R1)と前記容量(C1)とは、半導体チップに内蔵されたことを特徴とする(図31参照)。
【0117】
より好適な実施の形態による半導体集積回路は、ディスク記録再生装置の記憶メディアとしてのディスクのデータ読み出しとデータ書き込みとを行うピックアップとホスト・コンピュータの間に接続可能とされたものである。
【0118】
前記半導体集積回路は、前記ホスト・コンピュータに読み出しデータを供給する一方、前記ホスト・コンピュータからの書き込みデータが供給されるホスト・インターフェース(2411、2511)を含む。
【0119】
前記半導体集積回路は、前記ピックアップからの読み出し信号の信号処理を行う一方、前記ピックアップへの書き込み信号の信号処理を行う信号処理ユニット(2412、2512)を含む(図24、図25参照)。
【0120】
前記フェーズ・ロックッド・ループ(PLL)は、前記ホスト・インターフェースと前記信号処理ユニットとの少なくともいずれか一方で使用されるクロック信号を生成することを特徴とする。
【0121】
更により好適な実施の形態では、前記ホスト・インターフェース(2411、2511)はATAインターフェースであることを特徴とする。
【0122】
《実施の形態の説明》
次に、実施の形態について更に詳述する。尚、発明を実施するための最良の形態を説明するための全図において、前記の図と同一の機能を有する部品には同一の符号を付して、その繰り返しの説明は省略する。
【0123】
[実施の形態1]
《PLLの全体の構成》
図1は、本発明の実施の形態1による半導体集積回路に内蔵されたPLLの全体の構成を説明するための図である。
【0124】
この実施の形態1のPLLは、位相周波数比較器(PFD)1、チャージポンプ(CP)2、ループフィルタ(LP)3、セレクタ(SEL)7、電圧制御発振器(VCO)8、分周器(DIV)6、キャリブレーション調整ユニット9を具備している。
【0125】
位相周波数比較器(PFD)1の一方の入力端子と他方の入力端子に基準信号Frefと分周器(DIV)6からの帰還信号Fbがそれぞれ供給されることによって、その出力から位相比較信号が生成される。チャージポンプ(CP)2に位相周波数比較器1の位相比較信号が供給されることによって、その出力から充放電制御信号が生成される。ループフィルタ(LP)3にチャージポンプ2の充放電制御信号が供給されることによって、その出力からフィルタ出力信号が生成される。
【0126】
セレクタ(SEL)7にループフィルタ(LP)3からのフィルタ出力信号と接地電位GNDと参照電圧VREFと選択信号Sとが供給されることによって、その出力から制御電圧Vcが生成される。すなわち、セレクタ(SEL)7では、選択信号Sによってフィルタ出力信号と接地電位GNDと参照電圧VREFのいずかが選択されて、制御電圧Vcが出力から生成される。尚、この実施の形態1ではセレクタ(SEL)7はループフィルタ(LP)3と電圧制御発振器(VCO)8との間に接続されているが、セレクタ(SEL)7をチャージポンプ2とループフィルタ(LP)3との間に接続することも可能である。
【0127】
電圧制御発振器(VCO)8にセレクタ(SEL)7から出力された制御電圧Vcが供給されることによって、その出力の発振出力信号FVCOの周波数が制御される。電圧制御発振器8から出力された発振出力信号FVCOが分周器(DIV)6に供給されることによって、分周器6の出力から帰還信号Fbが生成される。更に、分周器6は電圧制御発振器8からの発振出力信号FVCOに応答して、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9に分周信号を供給する。尚、この分周信号の周波数は、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9の内部の論理回路が動作可能な周波数に設定されている。
【0128】
キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9には基準信号Frefと分周器6からの分周信号が供給される一方、選択信号Sと周波数制御感度調整信号Tとオフセット周波数調整信号Oと制御信号Rとを生成する。この選択信号Sと周波数制御感度調整信号Tとオフセット周波数調整信号Oと制御信号Rとは、キャリブレーション動作時の調整用信号として利用されるものである。尚、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9は、具体的な一例として、半導体集積回路に内蔵された中央処理ユニット(CPU)とこのCPU上で動作して所定の論理演算処理を実行する動作プログラムとによって構成されることができる。この動作プログラムは半導体集積回路の内蔵不揮発性メモリに格納される一方、論理演算処理に必要な情報や演算結果のデータ等はRAM等の半導体集積回路の内蔵メモリに格納されることができる。
【0129】
尚、本実施の形態1では、分周器(DIV)6とキャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9とは分離して説明されている。ただし、分周器(DIV)とキャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9とは一体化された論理ハードウェアで実現されることもできる。
【0130】
≪電圧制御発振器≫
図2は、図1に示した本発明の実施の形態1によるPLLに含まれた電圧制御発振器(VCO)8の構成を示す図である。
【0131】
図2に示す電圧制御発振器(VCO)8も、図26に示した電圧制御発振器(VCO)5と同様に電圧電流変換器(VIC)81と電流制御発振器(CCO)52とを含んでいる。リング発振器として構成された電流制御発振器(CCO)52は奇数段の遅延回路521、522、523を含んでいる。尚、図2では、電流制御発振器8は3段の遅延回路の構成となっているが、3段以外の奇数段の遅延回路の構成でも良いことは言うまでもない。
【0132】
最終段の遅延回路523の反転出力信号Fvcobと非反転出力信号Fvcoは、初段の遅延回路521の非反転入力端子と反転入力端子にそれぞれ供給される。初段の遅延回路521の反転出力信号と非反転出力信号は、次段の遅延回路522の非反転入力端子と反転入力端子にそれぞれ供給される。次段の遅延回路522の反転出力信号と非反転出力信号は、最終段の遅延回路523の非反転入力端子と反転入力端子にそれぞれ供給される。尚、図20は、図2に示す電圧制御発振器(VCO)8の電流制御発振器(CCO)52の遅延回路521、522、523の構成を示す図である。
【0133】
図2に示す電圧制御発振器(VCO)8の発振周波数を制御するための制御電圧(Vc)が電圧電流変換器(VIC)81の入力端子に供給されると、変換器(VIC)81は電圧電流変換を実行して、変換器(VIC)81内部で変換電流が生成されて、この変換電流は出力電圧(Vp)に変換される。電圧電流変換器(VIC)81の出力端子から生成される出力電圧(Vp)は電流制御発振器(CCO)52の遅延回路521、522、523にバイアス電圧として供給されて、遅延回路521、522、523の各動作電流と各遅延時間とが設定されるので、電圧制御発振器(VCO)5の発振周波数が決定される。
【0134】
キャリブレーション動作時においては、図8に示す電圧制御発振器(VCO)8の電圧電流変換器(VIC)81に基準電圧VLIMとセレクタ(SEL)7からの制御電圧Vcとキャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9からの周波数制御感度調整信号Tおよびオフセット周波数調整信号Oとが供給される。
【0135】
≪電圧電流変換器の構成≫
図3は、図2に示した電圧制御発振器(VCO)8に含まれた電圧電流変換器(VIC)81の構成を示す図である。
【0136】
図3に示した電圧電流変換器(VIC)81は、PチャンネルMOSトランジスタ811と周波数制御感度トリミングNチャンネルMOSトランジスタ812と基準電流NチャンネルMOSトランジスタ813とオフセット周波数トリミングNチャンネルMOSトランジスタ814と抵抗Rとを含んでいる。
【0137】
周波数制御感度トリミングNチャンネルMOSトランジスタ812のゲートに制御電圧Vcが供給され、周波数制御感度調整信号Tによってゲインとドレイン電流Icが調整可能とされている。ゲートとドレインとが接続されることによってダイオード接続された基準電流NチャンネルMOSトランジスタ813には、基準電圧VLIMから抵抗Rによって電流値が設定された基準電流Ilimが供給される。ダイオード接続された基準電流NチャンネルMOSトランジスタ813とカレントミラーを構成するオフセット周波数トリミングNチャンネルMOSトランジスタ814のゲートとソースの間には、ダイオード接続の基準電流NチャンネルMOSトランジスタ813の両端子間の電圧が供給される。またオフセット周波数トリミングNチャンネルMOSトランジスタ814のゲインとドレインオフセット電流Irとは、オフセット周波数調整信号Oによって調整可能とされている。従って、ゲートとドレインとが接続されることによってダイオード接続されたPチャンネルMOSトランジスタ811に流れる制御電流Ipは、トランジスタ812のドレイン電流Icとトランジスタ814のドレインオフセット電流Irの合計の電流Ic+Irとなる。この合計電流Ic+Irはダイオード接続のPチャンネルMOSトランジスタ811によって出力電圧Vpに変換され、この出力電圧Vpは電圧制御発振器(VCO)8の電流制御発振器(CCO)52の遅延回路521、522、523にバイアス電圧として供給されて、遅延回路521、522、523の各動作電流と各遅延時間とが設定されるので、電圧制御発振器(VCO)8の発振周波数が決定される。
【0138】
≪トリミングトランジスタ≫
図4は、図3に示した電圧電流変換器(VIC)81に含まれる周波数制御感度トリミングNチャンネルMOSトランジスタ812の構成を示す図である。
【0139】
このトリミングNチャンネルMOSトランジスタ812は、ドレイン・ソース電流経路が並列接続された複数のNチャンネルMOSトランジスタ8121、8122、8123と複数のセレクタ8124、8125とから構成されている。1番目のNチャンネルMOSトランジスタ8121のゲートには図1のPLLのセレクタ(SEL)7からの制御電圧Vcが供給され、2番目のNチャンネルMOSトランジスタ8121のゲートと3番目のNチャンネルMOSトランジスタ8121のゲートには1番目のセレクタ8124の出力信号と2番目のセレクタ8125の出力信号とがそれぞれ供給される。1番目のセレクタ8124の第1入力端子と2番目のセレクタ8125の第1入力端子とにセレクタ(SEL)7の制御電圧Vcが供給され、1番目のセレクタ8124の第2入力端子と2番目のセレクタ8125の第2入力端子とに接地電位GNDが供給される。更に1番目のセレクタ8124の入力選択端子と2番目のセレクタ8125の入力選択端子とに、周波数制御感度調整信号Tの第1ビットと第2ビットとが供給される。周波数制御感度調整信号Tの第1ビットと第2ビットとに応答して、1番目のセレクタ8124と2番目のセレクタ8125とはセレクタ(SEL)7の制御電圧Vcと接地電位GNDとのいずれかを選択して出力に伝達する。従って、周波数制御感度調整信号Tに従って、周波数制御感度トリミングNチャンネルMOSトランジスタ812のゲインとドレイン電流Icが調整可能とされる。
【0140】
一方、図3に示した電圧電流変換器(VIC)81に含まれるオフセット周波数トリミングNチャンネルMOSトランジスタ814も、周波数制御感度トリミングNチャンネルMOSトランジスタ812と同様に、図4に示した回路接続によって構成されることができる。図4に示した回路接続をオフセット周波数トリミングNチャンネルMOSトランジスタ814として使用する場合には、周波数制御感度調整信号Tの代わりにオフセット周波数調整信号Oを供給して、セレクタ(SEL)7からの制御電圧Vcの代わりに図3の電圧電流変換器(VIC)81のダイオード接続された基準電流NチャンネルMOSトランジスタ813のゲート・ソース電圧Vgsを供給する。すると、オフセット周波数調整信号Oに従って、オフセット周波数トリミングNチャンネルMOSトランジスタ814のゲインとドレイン電流Irとが調整可能とされる。
【0141】
≪トリミングトランジスタ内部のセレクタ≫
図19は、図4に示す周波数制御感度トリミングNチャンネルMOSトランジスタ812に含まれるセレクタ8124、8125の構成を示す図である。
【0142】
図19に示すセレクタ8124(8125)は、CMOSインバータ81244と、NチャンネルMOSトランジスタ81241、81243と、PチャンネルMOSトランジスタ81242とから構成されている。
【0143】
周波数制御感度調整信号Tがハイレベルの時には、NチャンネルMOSトランジスタ81241はオンとなり、CMOSインバータ81244の出力はローレベルとなり、PチャンネルMOSトランジスタ81242はオンとなり、NチャンネルMOSトランジスタ81243はオフとなる。従って、この時には制御電圧Vcが、NチャンネルMOSトランジスタ81241とPチャンネルMOSトランジスタ81242とを介して出力Outに伝達される。周波数制御感度調整信号Tがローレベルの時には、NチャンネルMOSトランジスタ81241はオフとなり、CMOSインバータ81244の出力はハイレベルとなって、PチャンネルMOSトランジスタ81242はオフになり、NチャンネルMOSトランジスタ81243はオンとなる。従って、この時には、出力Outはオン状態のNチャンネルMOSトランジスタ81243によって接地電位GNDとされる。
【0144】
≪電圧電流変換器の動作≫
次に、図3に示した電圧電流変換器(VIC)81の動作を説明する。
【0145】
セレクタ(SEL)7の制御電圧Vcがゼロボルトの時には、周波数制御感度トリミングNチャンネルMOSトランジスタ812はオフ状態であるので、ドレイン電流Icはゼロである。
【0146】
一方、基準電圧VLIMは例えばバンドギャップリファレンス(BGR)等の基準電圧生成回路から生成される基準電圧であるので、抵抗Rによって設定される基準電流Ilimの電流値は制御電圧Vcに依存せずに一定の値となる。従って、基準電流NチャンネルMOSトランジスタ813とオフセット周波数トリミングNチャンネルMOSトランジスタ814とのカレントミラー比を1:Nだとすると、オフセット周波数トリミングNチャンネルMOSトランジスタ814のドレインオフセット電流Irは、Ir=N*Ilimとなる。ここで、基準電流NチャンネルMOSトランジスタ813とオフセット周波数トリミングNチャンネルMOSトランジスタ814とのカレントミラー比Nは、オフセット周波数調整信号Oに応答して調整可能とされている。従って、オフセット周波数調整信号Oの値が増加すると、ドレインオフセット電流Irの値も増加する。更に、Ip=Ic+Irの関係で与えられる制御電流Ipの値も増加する。
【0147】
図32は、図3に示した電圧電流変換器(VIC)81の動作を説明する図である。
【0148】
図32に示すように、オフセット周波数調整信号Oの値が0から3までの範囲で増加した時にはドレインオフセット電流Irも増加するので、制御電圧Vc=0の時の制御電流Ipの値は増加する。
【0149】
制御電圧(Vc)が周波数制御感度トリミングNチャンネルMOSトランジスタ812のしきい値電圧Vthnよりも増加すると、MOSトランジスタ812のドレイン電流Icはゼロから増大する。制御電流IpはIp=Ic+Irの関係で与えられるので、制御電圧VcがMOSトランジスタ812のしきい値電圧Vthnよりも増加すると、制御電流Ipの値も増加する。
【0150】
すなわち、周波数制御感度トリミングNチャンネルMOSトランジスタ812のコンダクタンスをgmとすると、MOSトランジスタ812のドレイン電流IcはIc=gm*Vcの関係で与えられる。従って、図32に示すように、制御電圧VcがMOSトランジスタ812のしきい値電圧Vthnよりも高い領域では、制御電圧Vcが増加すると、制御電流Ipの値も増加する。
【0151】
また、周波数制御感度トリミングNチャンネルMOSトランジスタ812のコンダクタンスgmは、周波数制御感度調整信号Tの値によって調整可能とされている。すなわち、図4に示したようにMOSトランジスタ812の内部の複数のNチャンネルMOSトランジスタ8121、8122、8123の活性化率が、周波数制御感度調整信号Tの値によって調整可能とされている。周波数制御感度調整信号Tの値が増加すると、活性化率とトランジスタ812のコンダクタンスgmとドレイン電流Icとが増大する。
【0152】
図33は、図3に示した電圧電流変換器(VIC)81の動作を説明する図である。
【0153】
図33に示すように、制御電圧VcがMOSトランジスタ812のしきい値電圧Vthnよりも高い領域では、周波数制御感度調整信号Tの値が増加するとトランジスタ812のコンダクタンスgmとドレイン電流Icとが増加するので、Ip=Ic+Irの関係式で与えられる制御電流Ipの値も増加する。
【0154】
以上説明した図1の実施の形態1のPLLは、キャリブレーション動作期間と通常動作期間とを含むものである。最初のキャリブレーション動作期間では、PLLはオープンループとされて、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9によって電圧制御発振器(VCO)8の周波数特性が所望の特性に調整される。このキャリブレーション動作の後、通常動作期間では、PLLはクローズドループとされて、PLLの電圧制御発振器(VCO)8の出力信号に応答する分周器(DIV)6の出力信号の位相および周波数は位相比較器(PFD)1に供給される基準信号の位相および周波数と一致して、PLLのロック動作が可能となるものである。
【0155】
≪キャリブレーション動作≫
次に、キャリブレーション動作について、詳細に説明する。
【0156】
以下に説明するキャリブレーション動作は、例えば、図1に示す本発明の実施の形態1によってPLLを内蔵した半導体集積回路に動作電源電圧の供給が開始された時点で、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9によって自動的に開始される。このキャリブレーション動作によって、内蔵PLLを所望の特性に設定する調整値が獲得されて、獲得された調整値はRAM等の半導体集積回路の内蔵メモリに格納される。このようにしてキャリブレーション動作が完了すると、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9はPLL内蔵の半導体集積回路の動作を通常動作に自動的に切り換えるものである。
【0157】
キャリブレーション動作の期間では、図1の本発明の実施の形態1によるPLLはオープンループとされて、電圧制御発振器(VCO)8の周波数特性が所望の特性となるまで周波数制御感度調整信号Tおよびオフセット周波数調整信号Oが更新される。オープンループのPLLの電圧制御発振器(VCO)8の周波数特性が監視され、周波数特性が所望の特性となると更新は停止されて、キャリブレーション動作が完了する。
【0158】
図5は、図1に示した本発明の実施の形態1によるPLLのキャリブレーション動作を説明する図である。
【0159】
図1に示すPLLのキャリブレーション動作が開始されると、ステップ51にて選択信号SがS=“1”となるので、図1のPLLのセレクタ(SEL)7は、出力の制御電圧Vcとして入力の接地電位GNDを選択する。この時に、ハイレベルの制御信号Rによって位相周波数比較器(PFD)1とチャージポンプ(CP)2とはスタンバイ状態に制御されるので、PLLはオープンループに制御される。またこの時に、周波数制御感度調整信号Tとオフセット周波数調整信号Oとは、それぞれT=“0”、O=“0”に設定される。この初期状態で、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9はステップ52にて電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の分周器(DIV)6による分周信号のカウントを開始する。
【0160】
キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9は、ステップ53にて出力信号(Fvco)のカウント結果N1と目標値Aとを比較するものである。尚、この目標値Aは、電圧制御発振器(VCO)8の目標の周波数特性の1つであるオフセット周波数に対応するものである。キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9がN1<Aの関係であると判定すると、ステップ54にてオフセット周波数調整信号OをO=O+1に更新する。
【0161】
セレクタ(SEL)7によって選択された接地電位GNDの制御電圧Vcと更新されたオフセット周波数調整信号Oとに応答して、電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の周波数が増加する。最初は、出力信号(Fvco)の周波数の増加が不十分でステップ53でN1<Aの関係の判定が連続する可能性があり、ステップ54でのオフセット周波数調整信号Oの更新が連続する可能性がある。しかし、次第に出力信号(Fvco)の周波数の増加が十分となって、ステップ53でN1>Aの関係が判定されるようになる。
【0162】
図6は、図1に示した本発明の実施の形態1によるPLLのキャリブレーション動作においてオフセット周波数調整信号Oの更新に応答して、電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)のオフセット周波数が増加する様子を示す図である。
【0163】
図6の例では、オフセット周波数調整信号Oの更新値が“2”の時に目標とするN1>Aの関係が最初に判定されているので、オフセット周波数調整信号Oの最終更新値を“2”に設定する。すなわち、ステップ55にて、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9はオフセット周波数調整信号Oを最終更新値“2”に設定する一方(O=O@N1>A hold)、選択信号SをS=“1”からS=“2”へ変更する。
【0164】
このようにして、電圧制御発振器(VCO)8のオフセット周波数調整信号Oのキャリブレーションが完了すると、キャリブレーション動作は周波数制御感度調整信号Tのキャリブレーションに移行する。
【0165】
まず、図1のPLLのセレクタ(SEL)7は、選択信号SのS=“1”からS=“2”へ変更に応答して、出力の制御電圧Vcとして入力の接地電位GNDから基準電圧VREFに切り換える。この時に、周波数制御感度調整信号TはT=“0”に初期設定される。また、図1のPLLのセレクタ(SEL)7から電圧制御発振器(VCO)8に供給される制御電圧Vcが接地電位GNDから基準電圧VREFに変更されたことに応答して、電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の周波数が若干増加する。
【0166】
この初期状態で、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9はステップ56にて電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の分周器(DIV)6による分周信号のカウントを開始する。キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9は、ステップ57にて出力信号(Fvco)のカウント結果N2と目標値Bとを比較するものである。尚、この目標値Bは、電圧制御発振器(VCO)8の目標の周波数特性の他の1つである周波数制御感度に対応するものである。ステップ57でキャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9がN2<Bの関係であると判定すると、ステップ58にて周波数制御感度調整信号TをT=T+1に更新する。
【0167】
周波数制御感度調整信号Tの増加更新に応答して、電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の周波数が増加する。最初は、周波数の増加が不十分でステップ57でのN2<Bの関係の判定が連続する可能性があり、ステップ58での周波数制御感度調整信号Tの更新が連続する可能性がある。しかし、次第に周波数の増加が十分となって、ステップ57でN2>Bの関係が判定されるようになる。
【0168】
図7は、図1に示した本発明の実施の形態1によるPLLのキャリブレーション動作において周波数制御感度調整信号Tの更新に応答して、電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の周波数が増加する様子を示す図である。
【0169】
図7の例では、周波数制御感度調整信号Tの更新値が“2”の時に目標とするN2>Bの関係が最初に判定されているので、周波数制御感度調整信号Tの最終更新値を“2”に設定する。すなわち、ステップ59にて、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9は周波数制御感度調整信号Tを最終更新値“2”に設定する一方(T=T@N2>B hold)、選択信号SをS=“2”からS=“0”へ復帰する。この時に、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9は制御信号Rをハイレベルからローレベルに復帰するので、ローレベルの制御信号Rに応答して位相周波数比較器(PFD)1とチャージポンプ(CP)2はアクティブ状態に制御されるので、PLLはクローズドループに制御される。選択信号S=“0”に応答して、セレクタ(SEL)7は出力の制御電圧Vcとして入力の基準電圧VREFからループフィルタ(LP)3の出力信号に切り換える。従って、PLLはクローズドループの通常動作期間となって、PLLの電圧制御発振器(VCO)8の出力信号に応答する分周器(DIV)6の出力信号の位相および周波数は基準信号Frefの位相および周波数と一致して、PLLのロック動作が可能となるものである。
【0170】
このようにして、図5に示したキャリブレーション動作によって、PLLの電圧制御発振器(VCO)8のオフセット周波数調整信号Oのキャリブレーションと周波数制御感度調整信号Tのキャリブレーションとを実行することができる。尚、基準電圧VREFの値は、PLLの通常動作期間期間中にループフィルタ(LP)3からPLLロック動作のために電圧制御発振器8へ供給される制御電圧Vcの値に極めて近く設定されたものである。すなわち、図1に示した本発明の実施の形態1によるPLLの通常動作期間での電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の周波数fvcoは、分周器(DIV)6の分周数をNとして、基準信号Frefの周波数をfrefとすると、fvco=N*frefの関係式で与えられる。従って、この関係式で与えられる周波数fvcoの発振出力信号(Fvco)が得られるような制御電圧Vcの値に極めて近く設定された基準電圧VREFが、キャリブレーション動作の期間に電圧制御発振器8へ供給されるものである。
【0171】
図34は、図27の電圧電流変換器(VIC)51を含み図26に示した本発明者等によって本発明に先立って検討された電圧制御発振器(VCO)5の周波数特性L1と図1乃至図7と図32および図33とで説明した本発明の実施の形態1による電圧制御発振器(VCO)8の周波数特性L2とを示す図である。
【0172】
両方の電圧制御発振器(VCO)5、8の目標の発振周波数Fvcoを生成するための制御電圧VREFがVCOに供給され、図3と図27に示した電圧電流変換器(VIC)81、51で制御電圧Vcが供給されるNチャンネルMOSトランジスタ812、511のしきい値電圧をVthnとする。また更に、本発明の実施の形態1によるキャリブレーション動作によって調整された電圧制御発振器(VCO)8のオフセット周波数をFofとする。尚、制御電圧VREFの値は、PLLの通常動作期間期間中にループフィルタ(LP)3からPLLロック動作のために電圧制御発振器へ供給される制御電圧Vcの値に極めて近く設定されたものである。
【0173】
図34の周波数特性L1に示すように、本発明者等によって本発明に先立って検討された電圧制御発振器(VCO)5の周波数制御感度KvはKv=Fvco/(VREF−Vthn)の関係式で与えられて、極めて高い周波数制御感度Kvであった。その結果、制御電圧Vcに含まれるノイズによってVCOの発振出力周波数が大きく変動するので、良好なジッタ特性が得られないと言う問題を有するものであった。
【0174】
それに対して図34の周波数特性L2に示すように、本発明の実施の形態1による電圧制御発振器(VCO)8の周波数制御感度KvはKv=(Fvco−Fof)/(VREF−Vthn)の関係式で与えられて、比較的低い周波数制御感度Kvとなる。従って、制御電圧Vcに含まれるノイズによってVCOの発振出力周波数が大きく変動することはないので、良好なジッタ特性を得ることができる。更に、PLLの不所望な広帯域化を、軽減することもできる。
【0175】
このように、本発明の実施の形態1によれば、微細化製造プロセスの採用による低しきい値電圧と低電源電圧とによって周波数制御感度Kvが大きくなると言う問題を軽減することができる。また、本発明の実施の形態1によるキャリブレーション動作によって、周波数制御感度Kvが過度に低い値に設定されるのではなく、目標値に高精度に設定することが可能となる。
【0176】
[実施の形態2]
図8は、本発明の実施の形態2による半導体集積回路に内蔵されたPLL回路の構成を示す図である。
【0177】
尚、図8に示す本発明の実施の形態2は、上述した本発明の実施の形態1の変形実施形態に対応するものである。図8に示すPLLが図1に示したPLLと相違するのは、選択信号S=“0”、“1”、“2”とに応答してセレクタ(SEL)7が出力の制御電圧Vcとしてループフィルタ(LP)3の出力信号と接地電位GNDと第1基準電圧VREF1とをそれぞれ選択する機能に、選択信号S=“3”に応答してセレクタ(SEL)7が第2基準電圧VREF2を選択する機能が追加されたことである。
【0178】
次に、キャリブレーション動作について、詳細に説明する。
【0179】
キャリブレーション動作の期間では、図8の本発明の実施の形態2によるPLLは実施の形態1と同様にオープンループとされて、電圧制御発振器(VCO)8の周波数特性が所望の特性となるまで周波数制御感度調整信号Tおよびオフセット周波数調整信号Oが更新される。オープンループのPLLの電圧制御発振器(VCO)8の周波数特性が監視され、周波数特性が所望の特性となると更新は停止されて、キャリブレーション動作が完了する。
【0180】
図9は、図8に示した本発明の実施の形態2によるPLLのキャリブレーション動作を説明する図である。
【0181】
図8に示すPLLのキャリブレーション動作が開始されると、ステップ90にて選択信号SがS=“1”となるので、図8のPLLのセレクタ(SEL)7は、出力の制御電圧Vcとして入力の接地電位GNDを選択する。この時に、ハイレベルの制御信号Rによって位相周波数比較器(PFD)1とチャージポンプ(CP)2とはスタンバイ状態に制御されるので、PLLはオープンループに制御される。またこの時に、周波数制御感度調整信号Tとオフセット周波数調整信号Oとは、それぞれT=“0”、O=“0”に設定される。この初期状態で、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9はステップ91にて電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の分周器(DIV)6による分周信号のカウントを開始する。
【0182】
次に、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9は、ステップ92にて出力信号(Fvco)のカウント結果N1と目標値Aとを比較するものである。尚、この目標値Aは、電圧制御発振器(VCO)8の目標の周波数特性の1つであるオフセット周波数に対応するものである。キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9がN1<Aの関係であると判定すると、ステップ93にて、オフセット周波数調整信号OをO=O+1に更新する。
【0183】
セレクタ(SEL)7によって選択された接地電位GNDの制御電圧Vcと更新されたオフセット周波数調整信号Oとに応答して、電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の周波数が増加する。最初は、出力信号(Fvco)の周波数の増加が不十分でステップ92でN1<Aの関係の判定が連続する可能性があり、ステップ93でのオフセット周波数調整信号Oの更新が連続する可能性がある。しかし、次第に出力信号(Fvco)の周波数の増加が十分となって、ステップ92でN1>Aの関係が判定されるようになる。
【0184】
図10は、図8に示した本発明の実施の形態2によるPLLのキャリブレーション動作においてオフセット周波数調整信号Oの更新に応答して、電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)のオフセット周波数が増加する様子を示す図である。
【0185】
図10の例でもオフセット周波数調整信号Oの更新値が“2”の時に目標とするN1>Aの関係が最初に判定されているので、オフセット周波数調整信号Oの最終更新値を“2”に設定する。すなわち、ステップ94にて、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9はオフセット周波数調整信号Oを最終更新値“2”に設定する一方(O=O@N1>A hold)、選択信号SをS=“1”からS=“2”へ変更する。
【0186】
このようにして、電圧制御発振器(VCO)8のオフセット周波数調整信号Oのキャリブレーションが完了すると、キャリブレーション動作は周波数制御感度調整信号Tのキャリブレーションに移行する。
【0187】
まず、図8のPLLのセレクタ(SEL)7は、選択信号SのS=“1”からS=“2”へ変更に応答して、出力の制御電圧Vcとして入力の接地電位GNDから第1基準電圧VREF1に切り換える。この時には、周波数制御感度調整信号TはT=“0”に初期設定される。また、図8のPLLのセレクタ(SEL)7から電圧制御発振器(VCO)8に供給される制御電圧Vcが接地電位GNDから第1基準電圧VREF1に変更されたことに応答して、電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の周波数が若干増加する。この状態で、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9はステップ95にて電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の分周器(DIV)6による分周信号のカウントを開始して、カウント結果N2を半導体集積回路の内蔵メモリに格納する。
【0188】
次に、ステップ96にてキャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9は、選択信号SをS=“2”からS=“3”へ変更する。すると、図8のPLLのセレクタ(SEL)7は選択信号SのS=“2”からS=“3”へ変更に応答して、出力の制御電圧Vcとして入力の第1基準電圧VREF1から若干高レベルの第2基準電圧VREF2に切り換える。電圧制御発振器(VCO)8に供給される制御電圧Vcが第1基準電圧VREF1から若干高レベルの第2基準電圧VREF2に変更されたことに応答して、電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の周波数が若干増加する。この状態で、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9はステップ96にて電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の分周器(DIV)6の分周信号のカウントを開始して、カウント結果N3を半導体集積回路の内蔵メモリに格納する。
【0189】
次に、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9は、ステップ97にて出力信号(Fvco)のカウント結果N3と目標値Bとを比較して更にカウント結果N3とカウント結果N2との差分N3−N2と目標値Cとをする。尚、目標値Bと目標値Cは、電圧制御発振器(VCO)8の目標の周波数特性であるVCO発振周波数とAC周波数制御感度にそれぞれ対応するものである。VCO発振周波数は制御電圧Vcが所定の値に設定された場合の電圧制御発振器(VCO)8の発振周波数を示すのに対して、AC周波数制御感度は制御電圧Vcが所定の範囲で変化する際に電圧制御発振器(VCO)8の発振周波数の変化幅の制御感度を示すものである。ステップ97において、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9がN3<Bの関係またはN3−N2<Cの関係であると判定すると、ステップ98にて周波数制御感度調整信号TをT=T+1に更新する。
【0190】
周波数制御感度調整信号Tの増加更新に応答して、電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の周波数が増加する。最初は、周波数の増加が不十分でステップ97でのN3<Bの関係の判定またはN3−N2<Cの関係が連続する可能性があり、ステップ98での周波数制御感度調整信号Tの更新が連続する可能性がある。しかし、次第に周波数の増加が十分となり、ステップ97でN3>Bの関係とN3−N2>Cの関係が判定されるようになる。
【0191】
図11は、図8と図9とに示した本発明の実施の形態2によるPLLのキャリブレーション動作において周波数制御感度調整信号Tの更新に応答して、電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の周波数が増加する様子を示す図である。
【0192】
図11の例では、周波数制御感度調整信号Tの更新値が“2”の時に目標とするN3>Bの関係とN3−N2>Cの関係とが最初に判定されているので、周波数制御感度調整信号Tの最終更新値を“2”に設定する。すなわち、ステップ99にて、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9は周波数制御感度調整信号Tを最終更新値“2”に設定する一方(T=T@N3>B and N3−N2>C hold)、選択信号SをS=“2”からS=“0”へ復帰する。この時に、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9は制御信号Rをハイレベルからローレベルに復帰するので、ローレベルの制御信号Rに応答して位相周波数比較器(PFD)1とチャージポンプ(CP)2はアクティブ状態に制御されるので、PLLはクローズドループに制御される。選択信号S=“0”に応答して、セレクタ(SEL)7は出力の制御電圧Vcとして入力の基準電圧VREFからループフィルタ(LP)3の出力信号に切り換える。従って、PLLはクローズドループの通常動作期間となって、PLLの電圧制御発振器(VCO)8の出力信号に応答する分周器(DIV)6の出力信号の位相および周波数は基準信号Frefの位相および周波数と一致して、PLLのロック動作が可能となるものである。
【0193】
このようにして、図9に示したキャリブレーション動作によって、図8に示したPLLの電圧制御発振器(VCO)8のオフセット周波数調整信号Oのキャリブレーションと周波数制御感度調整信号Tのキャリブレーションとを実行することができる。尚、第1基準電圧VREF1の値と第2基準電圧VREF2の値とは、PLLの通常動作期間期間中にループフィルタ(LP)3からPLLロック動作のために電圧制御発振器へ供給される制御電圧Vcの値に極めて近く設定されたものである。すなわち、図8に示した本発明の実施の形態2によるPLLの通常動作期間での電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の周波数fvcoは、分周器(DIV)6の分周数をNとし、基準信号Frefの周波数をfrefとすると、fvco=N*frefの関係式で与えられる。従って、この関係式で与えられる周波数fvcoの発振出力信号(Fvco)が得られるような制御電圧Vcの値に極めて近く設定された第1基準電圧VREF1と第2基準電圧VREF2が、キャリブレーション動作の期間に電圧制御発振器8へ供給されるものである。
【0194】
図11から理解されるように、本発明の実施の形態2によるPLLのキャリブレーション動作は、PLLの通常動作期間期間中に供給される制御電圧Vcの値に極めて近く設定された第1基準電圧VREF1と第2基準電圧VREF2との間で電圧制御発振器(VCO)8の周波数制御感度を正確に調整する方法である。
【0195】
それに対して、本発明の実施の形態1によるPLLのキャリブレーション動作は比較的簡単ではあるが、図7から理解されるように、図3の電圧電流変換器(VIC)81で制御電圧Vcが供給されるNチャンネルMOSトランジスタ812のしきい値電圧VthnのばらつきによるAC周波数制御感度のばらつきを補償することができない。
【0196】
一方、本発明の実施の形態2によるPLLのキャリブレーション動作では図11に示すように第1基準電圧VREF1と第2基準電圧VREF2との間でN3−N2>Cの関係が維持されるので、AC周波数制御感度のばらつきを補償することができる。すなわち、第1基準電圧VREF1と第2基準電圧VREF2との間で、AC周波数制御感度がKv=C/(VREF2―VREF1)の値を持つこと補償することができる。
【0197】
[実施の形態3]
図12は、本発明の実施の形態3による半導体集積回路に内蔵されたPLL回路の構成を示す図である。
【0198】
図12に示すPLLが図1に示したPLLと相違するのは、選択信号S=“1”、“2”に応答してセレクタ(SEL)7が出力の制御電圧Vcとして、接地電位GNDと基準電圧VREFとを選択するのではなく、第1基準電圧VREF1と第2基準電圧VREF2とをそれぞれ選択するようにセレクタ(SEL)7の選択機能が変更されたことである。
【0199】
更に図12に示すPLLでは、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9から電圧制御発振器(VCO)8に、図1に示したPLLのように周波数制御感度調整信号Tとオフセット周波数調整信号Oが供給されるのではなく、3つの調整信号T、L、Gが供給されるものである。また、これに対応して、図12のPLLの電圧制御発振器(VCO)8の構成も変更されている。
【0200】
図13は、図12に示した本発明の実施の形態3によるPLLに含まれた電圧制御発振器(VCO)8の構成を示す図である。
【0201】
図13に示す電圧制御発振器(VCO)8も、図2に示した電圧制御発振器(VCO)5と同様に電圧電流変換器(VIC)81と電流制御発振器(CCO)52とを含んでいる。リング発振器として構成された電流制御発振器(CCO)52は、図2の電流制御発振器(CCO)52と同一の構成の奇数段の遅延回路521、522、523を含んでいる。
【0202】
図13に示す電圧制御発振器(VCO)8の発振周波数を制御するための制御電圧(Vc)が電圧電流変換器(VIC)81の入力端子に供給される変換器(VIC)81には、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9から調整信号T、調整信号L、調整信号Gが供給可能とされている。
【0203】
図14は、図13に示した電圧制御発振器(VCO)8に含まれる電圧電流変換器(VIC)81の構成を示す図である。図14に示した電圧電流変換器(VIC)81の構成は、図3に示した電圧電流変換器(VIC)81の構成から著しく変更されたものとなっている。
【0204】
すなわち、図14に示した電圧電流変換器(VIC)81は、5個のPチャンネルMOSトランジスタ81p1〜81p5と6個のNチャンネルMOSトランジスタ81n1〜81n6とを含んでいる。制御電圧Vcは2個のNチャンネルMOSトランジスタ81n1、81n6のゲートに並列に供給され、2個のNチャンネルMOSトランジスタ81n1、81n6のゲインとドレイン電流Icとが調整信号Tによって調整可能とされている。
【0205】
ゲートとドレインとが接続されることによってダイオード接続されたNチャンネルMOSトランジスタ81n2には、基準電圧VLIMから抵抗Rによって電流値が設定された基準電流Ilimが供給される。ダイオード接続されたトランジスタ81n2とカレントミラーを構成するように、NチャンネルMOSトランジスタ81n3のゲートがトランジスタ81n2のゲートとドレインとに接続されている。このトランジスタ81n3のゲインとドレイン電流とは調整信号Lによって調整可能とされており、このトランジスタ81n3のドレインには2個のPチャンネルMOSトランジスタ81p1、81p2により構成されたカレントミラーを介してNチャンネルMOSトランジスタ81n1のドレイン電流Icが供給される。
【0206】
トランジスタ81n3のドレインにはゲート・ドレイン接続によってダイオード接続されたNチャンネルMOSトランジスタ81n4が接続され、このダイオード接続されたNチャンネルMOSトランジスタ81n4にはPチャンネルMOSトランジスタ81p2のドレイン電流とトランジスタ81n3のドレイン電流との差電流が流入する。ダイオード接続されたトランジスタ81n4とカレントミラーを構成するように、NチャンネルMOSトランジスタ81n5のゲートがトランジスタ81n4のゲートとドレインとに接続されている。
【0207】
NチャンネルMOSトランジスタ81n5のドレイン電流は、2個のPチャンネルMOSトランジスタ81p3、81p4によって構成されたカレントミラーを介してNチャンネルMOSトランジスタ81n6のドレインに供給される。また、このPチャンネルMOSトランジスタ81p4のゲインとドレイン電流とは、調整信号Gによって調整可能とされている。また、NチャンネルMOSトランジスタ81n6のドレインと電源電圧VDDとの間には、ゲート・ドレイン接続によってダイオード接続されたPチャンネルMOSトランジスタ81p5が接続されている。このダイオード接続されたPチャンネルMOSトランジスタ81p5に流れる制御電流Ipは、PチャンネルMOSトランジスタ81p4のドレイン電流とNチャンネルMOSトランジスタ81n6のドレイン電流との差電流となる。この差電流はダイオード接続されたPチャンネルMOSトランジスタ81p5によって出力電圧Vpに変換され、この出力電圧Vpは電圧制御発振器(VCO)8の電流制御発振器(CCO)52の遅延回路521、522、523にバイアス電圧として供給されて、遅延回路521、522、523の各動作電流と各遅延時間とが設定されるので、電圧制御発振器(VCO)8の発振周波数が決定される。
【0208】
次に、図14に示した電圧電流変換器(VIC)81の動作を説明する。
【0209】
ゲートに制御電圧Vcが供給されたNチャンネルMOSトランジスタ81n1のドレイン電流Icは、2個のPチャンネルMOSトランジスタ81p1、81p2により構成されカレントミラー比1:1のカレントミラーを介してNチャンネルMOSトランジスタ81n3のドレインに供給される。一方、NチャンネルMOSトランジスタ81n2、81n3のカレントミラー比は1:NLに設定されているので、NチャンネルMOSトランジスタ81n3のドレイン電流はNL*Ilimとなる。従って、PチャンネルMOSトランジスタ81p2のドレイン電流IcとNチャンネルMOSトランジスタ81n3のドレイン電流NL*Ilimとの差電流Ic−NL*Ilimが、ダイオード接続のNチャンネルMOSトランジスタ81n4に流入する。
【0210】
NチャンネルMOSトランジスタ81n4、81n5のカレントミラー比は1:1に設定されているので、NチャンネルMOSトランジスタ81n5のドレイン電流はIc−NL*Ilimとなる。一方、PチャンネルMOSトランジスタ81p3、81p4のカレントミラー比は1:NGに設定されているので、PチャンネルMOSトランジスタ81p4のドレイン電流はNG*(Ic−NL*Ilim)となる。また、ゲートに制御電圧Vcが供給されたNチャンネルMOSトランジスタ81n6には、ドレイン電流Icが流れている。従って、ダイオード接続されたPチャンネルMOSトランジスタ81p5に流れる制御電流Ipは、PチャンネルMOSトランジスタ81p4のドレイン電流NG*(Ic−NL*Ilim)とNチャンネルMOSトランジスタ81n6のドレイン電流Icとの差電流(NG−1)*Ic−NL*Ilimとなる。
【0211】
図35は、図14に示す電圧電流変換器(VIC)81における制御電圧Vcに対するPチャンネルMOSトランジスタ81p5に流れる制御電流Ipの依存性を示す図である。
【0212】
ゲートに制御電圧Vcが供給される2個のNチャンネルMOSトランジスタ81n1、81n6のしきい値電圧Vthnよりも制御電圧Vcが低レベルの時には、2個のNチャンネルMOSトランジスタ81n1、81n6はオフであるので、そのドレイン電流Icはゼロとなっている。一方、NチャンネルMOSトランジスタ81n3のドレイン電流NL*IlimによってカレントミラーのNチャンネルMOSトランジスタ81n4、81n5のゲートは接地電位GNDにプルダウンされているので、NチャンネルMOSトランジスタ81n5のドレイン電流もゼロとなる。従って、カレントミラーのPチャンネルMOSトランジスタ81p3、81p4のドレイン電流もゼロとなっているので、ダイオード接続されたPチャンネルMOSトランジスタ81p5に流れる制御電流Ipもゼロとなっている。
【0213】
NチャンネルMOSトランジスタ81n1、81n6のしきい値電圧Vthnと制御電圧Vcが等しくなると、NチャンネルMOSトランジスタ81n1、81n6はオンとなり、そのドレイン電流Icは微小な値となる。従って、カレントミラーのPチャンネルMOSトランジスタ81p1、81p2のドレイン電流Icも微小な値となっているので、PチャンネルMOSトランジスタ81p2の微小なドレイン電流IcよりもNチャンネルMOSトランジスタ81n3のドレイン電流NL*Ilimが大きな値となる。その結果、カレントミラーのNチャンネルMOSトランジスタ81n4、81n5のゲートは接地電位GNDにプルダウンされ、NチャンネルMOSトランジスタ81n5のドレイン電流もゼロとなる。従って、カレントミラーのPチャンネルMOSトランジスタ81p3、81p4のドレイン電流もゼロとなっているので、ダイオード接続されたPチャンネルMOSトランジスタ81p5に流れる制御電流IpはNチャンネルMOSトランジスタ81n6の微小なドレイン電流Icによって決定される。この場合の制御電圧Vcに対するNチャンネルMOSトランジスタ81n6のドレイン電流IcとPチャンネルMOSトランジスタ81p5に流れる制御電流Ipとの依存性は、調整信号Tの値によって調整可能である。この調整信号Tの値が大きくなるとNチャンネルMOSトランジスタ81n1、81n6のコンダクタンスgmも大きくなるので、NチャンネルMOSトランジスタ81n6のドレイン電流IcとPチャンネルMOSトランジスタ81p5に流れる制御電流Ipの値も増加する。
【0214】
制御電圧VcがNチャンネルMOSトランジスタ81n1、81n6のしきい値電圧Vthnの値よりも増加すると、NチャンネルMOSトランジスタ81n1、81n6の導通度が増加して、そのドレイン電流Icも増加するものとなる。従って、カレントミラーのPチャンネルMOSトランジスタ81p1、81p2のドレイン電流Icも増加して、NチャンネルMOSトランジスタ81n3のドレイン電流NL*IlimよりもPチャンネルMOSトランジスタ81p2のドレイン電流Icが増加する。その結果、PチャンネルMOS81p2のドレイン電流IcとNチャンネルMOSトランジスタ81n3のドレイン電流NL*Ilimとの差電流Ic−NL*Ilimが、カレントミラーのNチャンネルMOSトランジスタ81n4、81n5に流れる。
【0215】
カレントミラー比が1:NGに設定されたPチャンネルMOSトランジスタ81p3、81p4のMOSトランジスタ81p4からNG*(Ic−NL*Ilim)のドレイン電流とNチャンネルMOSトランジスタ81n6のレイン電流Icの差電流(NG−1)*Ic−NL*Ilimによって、ダイオード接続PチャンネルMOSトランジスタ81p5に流れる制御電流Ipが設定される。
【0216】
図14に示す電圧電流変換器(VIC)81のPチャンネルMOSトランジスタ81p3、81p4のカレントミラー比1:NGの値NGは、調整信号Gによって設定可能である。調整信号Gの値が増加するとNGの値も増加して、ダイオード接続のPチャンネルMOSトランジスタ81p5に流れる制御電流Ipも増加する。調整信号Gと値NGとが等しいとすると、値NGの値が1の場合には、制御電圧Vcの増加によって制御電流Ipが増加することはなく、制御電圧Vcの増加に対して制御電流Ipの値は一定となる。調整信号Gと値NGとの値が2以上の場合には、制御電圧Vcの増加によって制御電流Ipが増加するものとなる。
【0217】
図14に示す電圧電流変換器(VIC)81のNチャンネルMOSトランジスタ81n2、81n3のカレントミラー比1:NLの値NGは、調整信号Lによって設定可能である。調整信号Lと値NLとが等しいとすると、調整信号Lの値が増加するとNLの値も増加してNチャンネルMOSトランジスタ81n3のドレイン電流NL*Ilimの値も増加する。すると、差電流(NG−1)*Ic−NL*Ilimにより決定されるダイオード接続PチャンネルMOSトランジスタ81p5に流れる制御電流Ipの電流レベルも、調整信号Lと値NLの値の増加によって低下するものとなる。
【0218】
図15は、図12乃至図14に示した本発明の実施の形態3によるPLLのキャリブレーション動作を説明する図である。
【0219】
図15に示すPLLのキャリブレーション動作が開始されると、ステップ150にて選択信号SがS=“1”となるので、図12のPLLのセレクタ(SEL)7は、出力の制御電圧Vcとして入力の第1基準電圧VREF1を選択する。この時に、ハイレベルの制御信号Rによって位相周波数比較器(PFD)1とチャージポンプ(CP)2とはスタンバイ状態に制御されるので、PLLはオープンループに制御される。この時に、調整信号Tと調整信号LとはそれぞれT=“0”、L=最大値“MAX”に設定され、調整信号Gと値NGとの値は“1”に設定される。この初期状態で、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9はステップ151で電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の分周器(DIV)6による分周信号のカウントを開始する。
【0220】
次に、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9は、ステップ152で出力信号(Fvco)のカウント結果N1と目標値Aとを比較するものである。尚、この目標値Aは、電圧制御発振器(VCO)8の目標の周波数特性の1つである最低発振周波数に対応する。キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9がN1<Aの関係であると判定すると、ステップ153で調整信号Tが最大値“MAX”であるか否かが判定される。ステップ153で調整信号Tが最大値“MAX”でないと判定されると、ステップ154で調整信号TをT=T+1に更新する。ステップ153にて調整信号Tが最大値MAXであると判定されると、ステップ155で調整信号Lが最小値“MINI”であるか否かが判定される。ステップ155で調整信号Lが最小値“MINI”でないと判定されると、ステップ156で調整信号LをL=L−1と更新して調整信号Tを初期値“0”に更新する。ステップ155で調整信号Lが最小値“MINI”であると判定されると、ステップ157でエラーステートを表示して、キャリブレーション動作を終了する。
【0221】
セレクタ(SEL)7によって選択された第1基準電圧VREF1の制御電圧Vcと更新された調整信号Tと調整信号Lとに応答して、電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の周波数が増加する。最初は、出力信号(Fvco)の周波数の増加が不十分でステップ152でN1<Aの関係の判定が連続する可能性があり、ステップ153での調整信号Tが最大値MAXではないとの判定とステップ154での調整信号Tの更新とステップ156での調整信号Lが連続する可能性がある。しかし、次第に出力信号(Fvco)の周波数の増加が十分となって、ステップ153でN1>Aの関係が判定されるようになる。
【0222】
図16は、図12乃至図15に示した本発明の実施の形態3によるPLLのキャリブレーション動作にて調整信号T、調整信号Lの更新と調整信号T、調整信号Lの更新とに応答して、電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の発振周波数が増加する様子を示す図である。
【0223】
図16の例では、調整信号Lが“1”で調整信号Tが“0”の時に目標とするN1>Aの関係が最初に判定されているので、調整信号Lの最終更新値を“1” に設定して、調整信号Tの最終更新値を“0”に設定する。すなわち、ステップ158において、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9は調整信号Lを最終更新値“1”に設定する一方(L=L@N1>A hold)、調整信号Tを最終更新値“0”に設定する(T=T@N1>A hold)。
【0224】
この状態で、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9はステップ159にて電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の分周器(DIV)6による分周信号のカウントを開始して、カウント結果N2を半導体集積回路の内蔵メモリに格納する。
【0225】
次に、ステップ1510においてキャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9は、選択信号SをS=“1”からS=“2”へ変更する。すると、図12のPLLのセレクタ(SEL)7は選択信号SのS=“1”からS=“2”へ変更に応答して、出力の制御電圧Vcとして入力の第1基準電圧VREF1から若干高レベルの第2基準電圧VREF2に切り換える。電圧制御発振器(VCO)8に供給される制御電圧Vcが第1基準電圧VREF1から若干高レベルの第2基準電圧VREF2に変更されたことに応答して、電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の周波数が若干増加する。この状態で、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9はステップ1510にて電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の分周器(DIV)6の分周信号のカウントを開始して、カウント結果N3を半導体集積回路の内蔵メモリに格納する。
【0226】
次に、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9は、ステップ1511にて出力信号(Fvco)のカウント結果N3と目標値Bとを比較して更にカウント結果N3とカウント結果N2との差分N3−N2と目標値Cとをする。尚、目標値Bと目標値Cは、電圧制御発振器(VCO)8の目標の周波数特性であるVCO発振周波数とAC周波数制御感度にそれぞれ対応するものである。VCO発振周波数は制御電圧Vcが所定の値に設定された場合の電圧制御発振器(VCO)8の発振周波数を示すのに対して、AC周波数制御感度は制御電圧Vcが所定の範囲で変化する際に電圧制御発振器(VCO)8の発振周波数の変化幅の制御感度を示すものである。ステップ1511において、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9がN3<Bの関係またはN3−N2<Cの関係であると判定すると、ステップ1512にて調整信号GをG=G+1に更新する。
【0227】
調整信号Gの増加更新に応答して、電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の周波数が増加する。最初は、周波数の増加が不十分でステップ1511でのN3<Bの関係の判定またはN3−N2<Cの関係が連続する可能性があり、ステップ1512での調整信号Gの更新が連続する可能性がある。しかし、次第に周波数の増加が十分となり、ステップ1511でN3>Bの関係とN3−N2>Cの関係が判定されるようになる。
【0228】
図17は、図12乃至図16に示した本発明の実施の形態3によるPLLのキャリブレーション動作において調整信号Gの更新に応答して、電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の周波数が増加する様子を示す図である。
【0229】
図17の例では、調整信号Gの更新値が“2”の時に目標とするN3>Bの関係とN3−N2>Cの関係とが最初に判定されているので、調整信号Gの最終更新値を“2”に設定する。すなわち、ステップ1513にて、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9は調整信号Gを最終更新値“2”に設定する一方(G=G@N3>B and N3−N2>C hold)、選択信号SをS=“2”からS=“0”へ復帰する。この時に、キャリブレーション調整ユニット(LOGIC)9は制御信号Rをハイレベルからローレベルに復帰するので、ローレベルの制御信号Rに応答して位相周波数比較器(PFD)1とチャージポンプ(CP)2はアクティブ状態に制御されるので、PLLはクローズドループに制御される。選択信号S=“0”に応答して、セレクタ(SEL)7は出力の制御電圧Vcとして入力の第2基準電圧VREF1からループフィルタ(LP)3の出力信号に切り換える。従って、PLLはクローズドループの通常動作期間となって、PLLの電圧制御発振器(VCO)8の出力信号に応答する分周器(DIV)6の出力信号の位相および周波数は基準信号Frefの位相および周波数と一致して、PLLのロック動作が可能となるものである。
【0230】
このようにして、図15に示したキャリブレーション動作によって、図12に示したPLLの電圧制御発振器(VCO)8の調整信号T、調整信号Lおよび調整信号Gのキャリブレーションを実行することができる。尚、第1基準電圧VREF1の値と第2基準電圧VREF2の値とは、PLLの通常動作期間期間中にループフィルタ(LP)3からPLLロック動作のために電圧制御発振器へ供給される制御電圧Vcの値に極めて近く設定されたものである。すなわち、図12に示した本発明の実施の形態3によるPLLの通常動作期間での電圧制御発振器(VCO)8の出力信号(Fvco)の周波数fvcoは、分周器(DIV)6の分周数をNとしと、基準信号Frefの周波数をfrefとすると、fvco=N*frefの関係式で与えられる。従って、この関係式で与えられる周波数fvcoの発振出力信号(Fvco)が得られるような制御電圧Vcの値に極めて近く設定された第1基準電圧VREF1と第2基準電圧VREF2が、キャリブレーション動作の期間に電圧制御発振器8へ供給されるものである。
【0231】
また、本発明の実施の形態3によるPLLのキャリブレーション動作でも第1基準電圧VREF1と第2基準電圧VREF2の間でN3−N2>Cの関係が維持され、第1基準電圧VREF1と第2基準電圧VREF2の間でAC周波数制御感度Kv=C/(VREF2―VREF1)の値を補償することができる。
【0232】
図18は、図13に示した電圧制御発振器(VCO)8に含まれる電圧電流変換器(VIC)81の他の構成を示す図である。
【0233】
すなわち、図18に示した電圧電流変換器(VIC)81は、4個のPチャンネルMOSトランジスタ81p1〜81p4と7個のNチャンネルMOSトランジスタ81n1〜81n7とを含んでいる。制御電圧VcはNチャンネルMOSトランジスタ81n1のゲートに供給され、NチャンネルMOSトランジスタ81n1のゲインとドレイン電流Icとが調整信号Tによって調整可能とされている。
【0234】
ゲートとドレインとが接続されることによってダイオード接続されたNチャンネルMOSトランジスタ81n2には、基準電圧VLIMから抵抗Rによって電流値が設定された基準電流Ilimが供給される。ダイオード接続されたトランジスタ81n2とカレントミラーを構成するように、NチャンネルMOSトランジスタ81n3のゲートがトランジスタ81n2のゲートとドレインとに接続されている。このトランジスタ81n3のゲインとドレイン電流とは調整信号Lによって調整可能とされており、このトランジスタ81n3のドレインにはカレントミラーの2個のPチャンネルMOSトランジスタ81p1、81p2を介してNチャンネルMOSトランジスタ81n1のドレイン電流Icが供給される。更に、このトランジスタ81n3のドレインには2個のNチャンネルMOSトランジスタ81n4、81n5により構成されたカレントミラーが接続されており、このトランジスタ81n5のゲインとドレイン電流とは調整信号Gによって調整可能とされている。
【0235】
トランジスタ81n5のドレインにはカレントミラーの2個のPチャンネルMOSトランジスタ81p1、81p3を介してNチャンネルMOSトランジスタ81n1のドレイン電流Icが供給され、更にこのトランジスタ81n5のドレインには2個のNチャンネルMOSトランジスタ81n6、81n7によって構成されたカレントミラーが接続され、NチャンネルMOSトランジスタ81n7のドレインと電源電圧VDDとの間にはゲート・ドレイン接続によってダイオード接続されたPチャンネルMOSトランジスタ81p4が接続されている。
【0236】
ダイオード接続されたNチャンネルMOSトランジスタ81n6とダイオード接続されたPチャンネルMOSトランジスタ81p4に流れる制御電流Ipは、PチャンネルMOSトランジスタ81p3のドレイン電流とNチャンネルMOSトランジスタ81n5のドレイン電流との差電流となる。この差電流は、ダイオード接続されたPチャンネルMOSトランジスタ81p4によって出力電圧Vpに変換される。この出力電圧Vpは図13の電圧制御発振器(VCO)8の電流制御発振器(CCO)52の遅延回路521、522、523にバイアス電圧として供給されて、遅延回路521、522、523の各動作電流と各遅延時間とが設定されるので、電圧制御発振器(VCO)8の発振周波数が決定される。
【0237】
次に、図18に示した電圧電流変換器(VIC)81の動作を説明する。
【0238】
ゲートに制御電圧Vcが供給されたNチャンネルMOSトランジスタ81n1のドレイン電流Icは、2個のPチャンネルMOSトランジスタ81p1、81p2により構成されカレントミラー比1:1のカレントミラーを介してNチャンネルMOSトランジスタ81n3のドレインに供給される。一方、NチャンネルMOSトランジスタ81n2、81n3のカレントミラー比は1:NLに設定されているので、NチャンネルMOSトランジスタ81n3のドレイン電流はNL*Ilimとなる。従って、PチャンネルMOSトランジスタ81p2のドレイン電流IcとNチャンネルMOSトランジスタ81n3のドレイン電流NL*Ilimとの差電流Ic−NL*Ilimが、ダイオード接続のNチャンネルMOSトランジスタ81n4に流入する。
【0239】
NチャンネルMOSトランジスタ81n4、81n5のカレントミラー比は1:NGに設定されているので、NチャンネルMOSトランジスタ81n5のドレイン電流はNG(Ic−NL*Ilim)となる。
【0240】
一方、PチャンネルMOSトランジスタ81p3にはドレイン電流Icが流れているので、ダイオード接続のNチャンネルMOSトランジスタ81n4に流入する差電流の値は(1−NG)*Ic+NL*Ilimとなり、この差電流の値がダイオード接続されたPチャンネルMOSトランジスタ81p4に流れる制御電流Ipとなる。
【0241】
図18に示した電圧電流変換器(VIC)81に対応して図15に示した本発明の実施の形態3によるPLLのキャリブレーション動作は、下記のように修正される。
【0242】
まず、ステップ150では、調整信号Tと調整信号LとはそれぞれT=“0”、L=“0”に設定され、調整信号Gと値NGとの値は“0”に設定される。また、ステップ155で調整信号Lが最小値“MINI”であるか否かが判定され、ステップ156で調整信号LはL=L−1と更新され、ステップ1512で調整信号GはG=G−1と更新される。尚、カレントミラーのトランジスタ81n4、81n5では、調整信号Gの値の増加によってトランジスタ81n5のゲインとドレイン電流とが減少するため、値NGは負の値となる。また、カレントミラーのトランジスタ81n2、81n3では、調整信号Lの値の増加によってトランジスタ81n3のゲインとドレイン電流とが減少するため、値NLも負の値となる。
【0243】
[実施の形態4]
図21は、本発明の実施の形態4による半導体集積回路に内蔵されたPLL回路の構成を示す図である。
【0244】
図21に示すPLLが図1に示した本発明の実施の形態1によるPLLと相違するのは、図1のPLLに含まれたキャリブレーション調整ユニット9が図21に示すPLLではレジスタ(Reg)10に置換されていることである。
【0245】
また図21に示すPLLも、図1乃至図7と図19と図32乃至図33にて説明した本発明の実施の形態1によるPLLと同様に、キャリブレーション動作によって電圧制御発振器(VCO)8の周波数特性が所望の特性となるように調整される。
【0246】
図21に示す半導体集積回路には、図示されてはいないが、本発明の実施の形態1と同一のキャリブレーション動作を実行する中央処理ユニット(CPU)が含まれている。この中央処理ユニット(CPU)は、図21のPLLに含まれた電圧制御発振器(VCO)8の周波数特性が所望の特性となるように、周波数制御感度調整信号T、オフセット周波数調整信号O、選択信号S、制御信号Rをレジスタ(Reg)10からPLLに供給する。従って、レジスタ(Reg)10は周波数制御感度調整信号T、オフセット周波数調整信号O、選択信号S、制御信号Rの各制御データを格納する複数の制御レジスタを含み、中央処理ユニット(CPU)は実施の形態1と同一のキャリブレーション動作の制御ステップに従ってレジスタ(Reg)10の制御データを更新するものである。
【0247】
[実施の形態5]
図22は、本発明の実施の形態5による半導体集積回路に内蔵されたPLL回路の構成を示す図である。
【0248】
図22に示すPLLが図8に示した本発明の実施の形態2によるPLLと相違するのは、図8のPLLに含まれたキャリブレーション調整ユニット9が図22に示すPLLではレジスタ(Reg)10に置換されていることである。
【0249】
また図22に示すPLLも、図8乃至図11にて説明した本発明の実施の形態2によるPLLと同様に、キャリブレーション動作によって電圧制御発振器(VCO)8の周波数特性が所望の特性となるように調整される。
【0250】
図22に示す半導体集積回路には、図示されてはいないが、本発明の実施の形態1と同一のキャリブレーション動作を実行する中央処理ユニット(CPU)が含まれている。この中央処理ユニット(CPU)は、図22のPLLに含まれた電圧制御発振器(VCO)8の周波数特性が所望の特性となるように、周波数制御感度調整信号T、オフセット周波数調整信号O、選択信号S、制御信号Rをレジスタ(Reg)10からPLLに供給する。従って、レジスタ(Reg)10は周波数制御感度調整信号T、オフセット周波数調整信号O、選択信号S、制御信号Rの各制御データを格納する複数の制御レジスタを含み、中央処理ユニット(CPU)は実施の形態1と同一のキャリブレーション動作の制御ステップに従ってレジスタ(Reg)10の制御データを更新するものである。
【0251】
[実施の形態6]
図23は、本発明の実施の形態6による半導体集積回路に内蔵されたPLL回路の構成を示す図である。
【0252】
図23に示すPLLが図12に示した本発明の実施の形態3によるPLLと相違するのは、図12のPLLに含まれたキャリブレーション調整ユニット9が図23に示すPLLではレジスタ(Reg)10に置換されていることである。
【0253】
また図23に示すPLLも、図12乃至図18にて説明した本発明の実施の形態3によるPLLと同様に、キャリブレーション動作によって電圧制御発振器(VCO)8の周波数特性が所望の特性となるように調整される。
【0254】
図23に示す半導体集積回路には、図示されてはいないが、本発明の実施の形態1と同一のキャリブレーション動作を実行する中央処理ユニット(CPU)が含まれている。この中央処理ユニット(CPU)は、図233のPLLに含まれた電圧制御発振器(VCO)8の周波数特性が所望の特性となるように、調整信号T、調整信号L、調整信号G、選択信号S、制御信号Rをレジスタ(Reg)10からPLLに供給する。従って、レジスタ(Reg)10は調整信号T、調整信号L、調整信号G、選択信号S、制御信号Rの各制御データを格納する複数の制御レジスタを含み、中央処理ユニット(CPU)は実施の形態1と同一のキャリブレーション動作の制御ステップに従ってレジスタ(Reg)10の制御データを更新するものである。
【0255】
[実施の形態7]
図31は、本発明の実施の形態7による半導体集積回路に内蔵されたPLL回路の構成を示す図である。
【0256】
図31に示すPLLが図1に示した本発明の実施の形態1によるPLLと相違するのは、図1のPLLに含まれたチャージポンプ(CP)2が第1チャージポンプ(CPM)2aと第2チャージポンプ(CPS)2bとに置換されていることである。図31に示すPLLのループフィルタ(LP)3は、零点周波数f1を決定する抵抗R1と容量C1とを含み、極周波数f2は抵抗R1と容量C1と容量C2とで主として決定される。尚、ループフィルタ(LP)3は、抵抗R2と容量C4とからなるローパスフィルタを含んでいる。
【0257】
図31に示すPLLでは、第1チャージポンプ(CPM)2aの充電制御入力端子と第2チャージポンプ(CPS)2bの放電制御入力端子とに位相周波数比較器(PFD)1のアップ出力信号UPが供給され、第1チャージポンプ(CPM)2aの放電制御入力端子と第2チャージポンプ(CPS)2bの充電制御入力端子とに位相周波数比較器(PFD)1のダウン出力信号DNが供給される。従って、第1チャージポンプ(CPM)2aと第2チャージポンプ(CPS)2bとは、位相周波数比較器(PFD)1のアップ出力信号UPおよびダウン出力信号DNに応答して相互に逆相に駆動されている。
【0258】
更に、第1チャージポンプ(CPM)2aの充放電電流i1と第2チャージポンプ(CPS)2bの充放電電流i2との比率β(i2/i1)は、例えば、0.9等の所定の値に設定されている。ループフィルタ(LP)3の抵抗R1と容量C1とによって零点周波数f1が設定される際に、時定数C1R1を比率βで割算する関係式によって零点周波数f1が設定される。
【0259】
従って、同一の値の零点周波数f1を設定する際に、小さな容量値の容量C1を使用できるので、ループフィルタ(LP)3を容易に半導体集積回路の半導体チップに内蔵することができる。尚、第1と第2のチャージポンプを含みループフィルタの半導体集積回路への内蔵化を容易としたPLLは、特開2005−184771号公報に記載されているので、参照されたい。
【0260】
また、図31に示すPLLの第1チャージポンプ(CPM)2aと第2チャージポンプ(CPS)2bは、冒頭で説明したようにそれぞれ図30に示すような特性を持つものである。従って、図31に示すPLLの電圧制御発振器(VCO)のジッタ特性は、図28に示した微細化CMOS製造プロセスによる周波数制御感度Kvの増大と図30の略中央部分に示したチャージポンプ2の特性での周波数制御感度Kvの増大とから、考慮されなければならない。
【0261】
従って、図31に示すPLLも、図1乃至図7と図19と図32乃至図33にて説明した本発明の実施の形態1によるPLLと同様に、キャリブレーション動作によって電圧制御発振器(VCO)8の周波数特性が所望の特性となるように調整されるものである。
【0262】
更に、図31に示すPLLは、分周比Nと異なる分周比N+1とに定期的に変更されることによって平均分周比が少数以下の値となるΣΔ変調器を分周器6として使用することによりフラクショナルPLLとして動作するものである。このフラクショナルPLLでは、分周器6としてのΣΔ変調器の量子化雑音がPLLの帯域を通過するので、PLLの雑音スペクトラムが増加する。
【0263】
このように、図31に示すPLLがフラクショナルPLLとして構成される場合にも、上述した本発明の実施の形態1と同様に、キャリブレーション動作によって電圧制御発振器(VCO)8の周波数制御感度Kvが所望の特性となるように調整されるものである。それによって、分周器6としてのΣΔ変調器の量子化雑音によるフラクショナルPLLの雑音スペクトラムの劣化を軽減することが可能となる。
【0264】
[実施の形態8]
図24は、本発明の実施の形態8による半導体集積回路を搭載した光ディスク装置の構成を示す図である。
【0265】
図24に示す実施の形態8による半導体集積回路241は、上述した本発明の実施の形態1乃至実施の形態7によるPLLを内蔵して、このPLLは半導体集積回路241に内蔵されたシリアルパラレル変換器やパラレルシリアル変換器等の内部回路に供給されるクロック信号を生成するものである。
【0266】
光ディスク装置やハードディスク装置等の記憶メディアをパーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)等のホスト・コンピュータに接続するためのインターフェースとして、標準規格のATA(Advanced Technology Attachment)が一般的である。ATA規格を使用することによって、各種の記憶メディアが同一のコマンドと制御ソフトウェアによっホスト・てコンピュータに接続されることが可能となる。この実施の形態8では、記憶メディアとして光ディスク記録再生装置が採用され、この光ディスク記録再生装置がホスト・コンピュータとATA(ATAPI:Advanced Technology Attachment Packet Interface)によって接続される。
【0267】
図24に示す実施の形態8による光ディスク記録再生装置に搭載された半導体集積回路241は、ホスト・コンピュータ242と接続されたATAインターフェース(ATAPI)2411を含んでいる。
【0268】
光ディスク記録再生装置の記憶メディアとしての光ディスク243に光ビームを照射してデータの読み出しとデータの書き込みとを行う光ピックアップ244には、半導体集積回路241の信号処理ユニット(READWRITE)2412が接続されている。この信号処理ユニット2412には、基準電圧生成器(BGR)2413と水晶発振子245とが接続されている。
【0269】
信号処理ユニット2412から光ディスク243の読み出しパラレルデータはシリアライザ24114に供給され、シリアライザ24114内部のパラレルシリアル変換器はPLL24115から生成されるクロックCLKに同期した読み出しシリアルデータRXをホスト・コンピュータ242に供給する。
【0270】
一方、クロックデータリカバリユニット(CDR)24112にはホスト・コンピュータ242からの書き込みシリアルデータTXは供給され、クロックデータリカバリユニット(CDR)24112はPLL24113を利用して書き込みシリアルデータTXに含まれたクロックデータCLKとシリアルデータを抽出してデシリアライザ(DES)24111に供給する。デシリアライザ(DES)24111は、供給されたクロックデータCLKに同期した書き込みパラレルデータを信号処理ユニット2412に供給する。
【0271】
図24に示す実施の形態8による半導体集積回路241に内蔵されたデータ読み出しのためのPLL24115とデータ書き込みのためのPLL24113とに上述した本発明の実施の形態1乃至実施の形態7によるPLLを採用するものである。それによって、光ディスク243からの安定したデータ読み出し動作と光ディスク243への安定したデータ書き込み動作とを可能とする光ディスク装置を構成することが可能となるものである。
【0272】
[実施の形態9]
図25は、本発明の実施の形態9による半導体集積回路を搭載した光ディスク装置の構成を示す図である。
【0273】
図25に示す実施の形態9による半導体集積回路251の信号処理ユニット(READWRITE)2512は、上述した本発明の実施の形態1乃至実施の形態7によるPLLを内蔵するものである。
【0274】
図25に示す実施の形態9による光ディスク記録再生装置に搭載された半導体集積回路251も、ホスト・コンピュータ252と接続されたATAインターフェース(ATAPI)2511を含むものである。このATAインターフェース(ATAPI)2511は、図24に示す実施の形態8の半導体集積回路241のATAインターフェース(ATAPI)2411と同一の内部構成を採用することが可能である。
【0275】
光ディスク記録再生装置の記憶メディアとしての光ディスク253に光ビームを照射してデータの読み出しとデータの書き込みとを行う光ピックアップ254には、半導体集積回路251の信号処理ユニット(READWRITE)2512が接続されている。この信号処理ユニット2512には、基準電圧生成器(BGR)2513と水晶発振子255とが接続されている。
【0276】
光ピックアップ254からの読み出しデータは信号処理ユニット2512の読み出し論理回路25123とPRML方式の読み出し信号処理回路25124とに供給され、PRML方式の読み出し信号処理回路25124の内部のPLLにより光ピックアップ254からの読み出しデータに含まれたクロック信号が再生される。尚、PRMLはPartial Response Mostly Likelihoodの略である。このPRML方式の読み出し信号処理回路25124によって再生されたクロック信号を使用して読み出し論理回路25123は光ピックアップ254からの読み出しデータをデータ処理して、読み出し論理回路25123の処理データはATAインターフェース(ATAPI)2511に供給される。
【0277】
ATAインターフェース(ATAPI)2411からの書き込みデータは信号処理ユニット2512の書き込み論理回路25121に供給される。この書き込み論理回路25121はPLL25122から供給されるクロック信号に同期して、ATAインターフェース(ATAPI)2411からの書き込みデータを処理して光ピックアップ254に供給する。
【0278】
図25に示す実施の形態9による半導体集積回路251の信号処理ユニット2512に内蔵されたPRML方式の読み出し信号処理回路25124の内部のPLLとデータ書き込み用のPLL25122とに上述した本発明の実施の形態1乃至実施の形態7によるPLLを採用するものである。それによって、光ディスク243からの安定したデータ読み出し動作と光ディスク243への安定したデータ書き込み動作とを可能とする光ディスク装置を構成することが可能となるものである。
【0279】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0280】
例えば、図31の本発明の実施の形態7によるPLLのセレクタ(SEL)7を、図8に示す本発明の実施の形態2によるPLLのセレクタ(SEL)7の形式に置換することが可能である。この場合には、図8乃至図11にて説明した本発明の実施の形態2によるPLLと同様なキャリブレーション動作によって、電圧制御発振器(VCO)8の周波数特性が所望の特性となるように調整されることが可能である。
【0281】
また更に、図31の本発明の実施の形態7によるPLLのセレクタ(SEL)7を、図12に示す本発明の実施の形態2によるPLLのセレクタ(SEL)7の形式に置換することが可能である。この場合には、図12乃至図18にて説明した本発明の実施の形態3によるPLLと同様なキャリブレーション動作によって、電圧制御発振器(VCO)8の周波数特性が所望の特性となるように調整されることが可能である。
【0282】
更に、図3や図14や図18に示した電圧電流変換器(VIC)81において調整信号T、O、L、Gの値による電流Ic、Ir、NLIlim等の制御感度は、図4に示すようにMOSトランジスタ8122、8123のゲートに接続されたセレクタ8124、8125の調整信号による設定により調整していた。しかし、それ以外の方法としては、前記特許文献1に記載されたように、電圧電流変換器の変換MOSトランジスタのソースと接地電位との間の変換抵抗の抵抗値を調整信号の値によって設定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0283】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1による半導体集積回路に内蔵されたPLLの全体の構成を説明するための図である。
【図2】図2は、図1に示した本発明の実施の形態1によるPLLに含まれた電圧制御発振器の構成を示す図である。
【図3】図3は、図2に示した電圧制御発振器に含まれた電圧電流変換器の構成を示す図である。
【図4】図4は、図3に示した電圧電流変換器に含まれる周波数制御感度トリミングNチャンネルMOSトランジスタの構成を示す図である。
【図5】図5は、図1に示した本発明の実施の形態1によるPLLのキャリブレーション動作を説明する図である。
【図6】図6は、図1に示した本発明の実施の形態1によるPLLのキャリブレーション動作においてオフセット周波数調整信号の更新に応答して、電圧制御発振器の出力信号のオフセット周波数が増加する様子を示す図である。
【図7】図7は、図1に示した本発明の実施の形態1によるPLLのキャリブレーション動作において周波数制御感度調整信号の更新に応答して、電圧制御発振器の出力信号の周波数が増加する様子を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態2による半導体集積回路に内蔵されたPLL回路の構成を示す図である。
【図9】図9は、図8に示した本発明の実施の形態2によるPLLのキャリブレーション動作を説明する図である。
【図10】図10は、図8に示した本発明の実施の形態2によるPLLのキャリブレーション動作においてオフセット周波数調整信号の更新に応答して、電圧制御発振器の出力信号のオフセット周波数が増加する様子を示す図である。
【図11】図11は、図8と図9とに示した本発明の実施の形態2によるPLLのキャリブレーション動作において周波数制御感度調整信号の更新に応答して、電圧制御発振器の出力信号の周波数が増加する様子を示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態3による半導体集積回路に内蔵されたPLL回路の構成を示す図である。
【図13】図13は、図12に示した本発明の実施の形態3によるPLLに含まれた電圧制御発振器の構成を示す図である。
【図14】図14は、図13に示した電圧制御発振器に含まれる電圧電流変換器の構成を示す図である。
【図15】図15は、図12乃至図14に示した本発明の実施の形態3によるPLLのキャリブレーション動作を説明する図である。
【図16】図16は、図12乃至図15に示した本発明の実施の形態3によるPLLのキャリブレーション動作にて調整信号T、調整信号Lの更新と調整信号T、調整信号Lの更新とに応答して、電圧制御発振器の出力信号の発振周波数が増加する様子を示す図である。
【図17】図17は、図12乃至図16に示した本発明の実施の形態3によるPLLのキャリブレーション動作において調整信号Gの更新に応答して、電圧制御発振器の出力信号の周波数が増加する様子を示す図である。
【図18】図18は、図13に示した電圧制御発振器に含まれる電圧電流変換器の他の構成を示す図である。
【図19】図19は、図4に示す周波数制御感度トリミングNチャンネルMOSトランジスタに含まれるセレクタの構成を示す図である。
【図20】図20は、図2と図26とに示す電圧制御発振器の電流制御発振器の各遅延回路の構成を示す図である。
【図21】図21は、本発明の実施の形態4による半導体集積回路に内蔵されたPLL回路の構成を示す図である。
【図22】図22は、本発明の実施の形態5による半導体集積回路に内蔵されたPLL回路の構成を示す図である。
【図23】図23は、本発明の実施の形態6による半導体集積回路に内蔵されたPLL回路の構成を示す図である。
【図24】図24は、本発明の実施の形態8による半導体集積回路を搭載した光ディスク装置の構成を示す図である。
【図25】図25は、本発明の実施の形態9による半導体集積回路を搭載した光ディスク装置の構成を示す図である。
【図26】図26は、本発明に先立って本発明者等により検討されたPLLに含まれる電圧制御発振器を示す図である。
【図27】図27は、図26に示す電圧制御発振器の電圧電流変換器の構成を示す図である。
【図28】図28は、本発明に先立って本発明者等により検討された図26に示す電圧制御発振器の発振周波数対制御電圧の周波数制御感度の特性を示す図である。
【図29】図29は、本発明に先立って本発明者等によって検討されたチャージポンプの構成を示す図である。
【図30】図30は、図29に示すチャージポンプにおいて充電電流源、放電電流源に流れる電流とチャージポンプの出力端子の制御電圧との関係を示す図である。
【図31】図31は、本発明の実施の形態7による半導体集積回路に内蔵されたPLL回路の構成を示す図である。
【図32】図32は、図3に示した電圧電流変換器の動作を説明する図である。
【図33】図33は、図3に示した電圧電流変換器の動作を説明する図である。
【図34】図34は、図27の電圧電流変換器を含み図26に示した本発明者等によって本発明に先立って検討された電圧制御発振器の周波数特性L1と図1乃至図7と図32および図33とで説明した本発明の実施の形態1による電圧制御発振器の周波数特性L2とを示す図である。
【図35】図35は、図14に示す電圧電流変換器における制御電圧Vcに対するPチャンネルMOSトランジスタ81p5に流れる制御電流Ipの依存性を示す図である。
【符号の説明】
【0284】
1 位相周波数比較器
2 チャージポンプ
3 ループフィルタ
6 分周器
7 セレクタ
8 電圧制御発振器
9 キャリブレーション調整ユニット
10 レジスタ
Fref 基準信号
Fb 帰還信号
Fvco 発振出力信号
GND 接地電位
REF 参照電圧
REF1 第1基準電圧
REF2 第2基準電圧
S 選択信号
R 制御信号
81 電圧電流変換器
52 電流制御発振器(リング発振器)
521、522、523 遅延回路
5211〜5215 PチャンネルMOSトランジスタ
5216、5217 NチャンネルMOSトランジスタ
Vc 制御電圧
T 周波数制御感度調整信号
O オフセット周波数調整信号
T、L、G 調整信号
LIM 基準電圧
DD 電源電圧
Ic ドレイン電流
Ir ドレインオフセット電流
Ip 制御電流
Vp 出力電圧
811 PチャンネルMOSトランジスタ
812、813、814 NチャンネルMOSトランジスタ
8121、8122、8123 NチャンネルMOSトランジスタ
8124、8125 セレクタ
81244 CMOSインバータ
81241、81243 NチャンネルMOSトランジスタ
81242 PチャンネルMOSトランジスタ
81p1〜81p5 PチャンネルMOSトランジスタ
81n1〜81n7 NチャンネルMOSトランジスタ
243、253 ディスク
244、254 ピックアップ
245、255 水晶発振子
241、251 半導体集積回路
242、252 ホスト・コンピュータ
2411、2511 ATAインターフェース
2412、2512 信号処理ユニット
2413、2513 基準電圧発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェーズ・ロックッド・ループと制御ユニットとを具備して、
前記フェーズ・ロックッド・ループは、位相周波数比較器とループフィルタと電圧制御発振器と分周器とを含み、
前記位相周波数比較器の一方の入力端子と他方の入力端子には、基準信号と前記分周器の出力からの帰還信号がそれぞれ供給可能であり、
前記位相周波数比較器の出力は前記ループフィルタを介して前記電圧制御発振器の制御入力に供給され、前記電圧制御発振器の出力の発振出力信号が前記分周器の入力に供給され、前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の周波数は前記制御入力に供給される制御電圧に応答して制御可能であり、
前記電圧制御発振器は、電圧電流変換器とリング発振器とを含むものであり、
前記リング発振器は、奇数段の遅延回路を有するものであり、
前記電圧電流変換器は前記制御電圧に応答して制御電流を生成して、前記制御電流によって前記リング発振器の前記奇数段の遅延回路の各動作電流が設定されるものであり、
前記制御ユニットは、前記フェーズ・ロックッド・ループをキャリブレーション動作期間と通常動作期間とに切り換えることが可能とされたものであり、
前記通常動作期間では前記制御ユニットにより前記フェーズ・ロックッド・ループはクローズドループに制御される一方、前記キャリブレーション動作期間では前記制御ユニットにより前記フェーズ・ロックッド・ループはオープンループに制御されるものであり、
前記通常動作期間では、前記クローズドループの前記フェーズ・ロックッド・ループにおいて前記位相周波数比較器の前記出力が前記ループフィルタを介して前記電圧制御発振器の前記制御入力に所定のレベルの前記制御電圧として供給されることによって、前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の前記周波数は前記基準信号の周波数と前記分周器の分周数とにより決定される所定の周波数とされるものであり、
前記キャリブレーション動作期間では、前記オープンループの前記フェーズ・ロックッド・ループにおいて前記所定のレベルの前記制御電圧と略等しいレベルの基準電圧が前記電圧制御発振器の前記制御入力に供給された状態の前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の前記周波数の計測を、前記制御ユニットが実行するものであり、
前記周波数の前記計測の実行の間に前記基準電圧が前記電圧制御発振器に供給された状態の前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の前記周波数が前記所定の周波数と略等しくなるように、前記制御ユニットは前記電圧制御発振器の前記電圧電流変換器の第1動作パラメータの値を設定する
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記フェーズ・ロックッド・ループは、前記制御ユニットによって制御されるセレクタを更に含むものであり、
前記セレクタは、前記通常動作期間に前記所定のレベルの前記制御電圧を選択する一方、前記キャリブレーション動作期間に前記基準電圧を選択して、選択された電圧を前記電圧制御発振器の前記制御入力に供給する
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項3】
請求項2において、
前記キャリブレーション動作期間で、前記電圧電流変換器の前記第1動作パラメータの値が設定されるのに先立って、接地電位のレベルの前記制御電圧が前記オープンループの前記フェーズ・ロックッド・ループの前記電圧制御発振器の前記制御入力に供給された状態の前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の前記周波数の計測を、前記制御ユニットが実行するものであり、
前記キャリブレーション動作期間で、前記計測の実行の間に前記接地電位のレベルの前記制御電圧が前記電圧制御発振器に供給された状態の前記発振出力信号の前記周波数が所定のオフセット周波数と略等しくなるように、前記電圧電流変換器の前記第1動作パラメータの値が設定されるのに先立って前記制御ユニットは前記電圧制御発振器の前記電圧電流変換器の第2動作パラメータの値を設定する
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項4】
請求項3において、
前記キャリブレーション動作期間で、前記電圧電流変換器の前記第1動作パラメータの値が設定されるのに先立って、前記セレクタは前記接地電位のレベルの前記制御電圧が前記オープンループの前記フェーズ・ロックッド・ループの前記電圧制御発振器の前記制御入力に供給する
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項5】
請求項4において、
前記キャリブレーション動作期間で前記電圧制御発振器の前記電圧電流変換器の前記第2動作パラメータの値が設定された後に、前記接地電位のレベルより高く前記所定のレベルの前記制御電圧よりも低いレベルの他の基準電圧が前記オープンループの前記フェーズ・ロックッド・ループの前記電圧制御発振器の前記制御入力に供給された状態の前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の前記周波数の他の計測を、前記制御ユニットが更に実行するものであり、
前記キャリブレーション動作期間で、前記他の計測の実行の間に前記他の基準電圧が前記電圧制御発振器に供給された状態の前記発振出力信号の前記周波数が前記所定の周波数よりも低い他の所定の周波数と略等しくなるように、前記制御ユニットは前記電圧制御発振器の前記電圧電流変換器の前記第1動作パラメータの値を設定する
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項6】
請求項5において、
前記キャリブレーション動作期間で前記第2動作パラメータの値が設定された後に、前記セレクタは前記他の基準電圧を前記オープンループの前記フェーズ・ロックッド・ループの前記電圧制御発振器の前記制御入力に供給する
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項7】
請求項6において、
前記フェーズ・ロックッド・ループは、前記位相周波数比較器の前記出力に応答して前記ループフィルタの充放電を行うチャージポンプを更に含む
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項8】
請求項7において、
前記チャージポンプは、第1チャージポンプと第2チャージポンプとから構成されており、
前記第1チャージポンプと前記第2チャージポンプは前記位相周波数比較器の前記出力としてのアップ出力信号とダウン出力信号とに応答して相互に逆相に駆動され、前記第1チャージポンプの第1充放電電流と前記第2チャージポンプの第2充放電電流とは所定の比率に設定されており、
前記ループフィルタは零点周波数を決定する抵抗と容量とを含み、前記抵抗の一端は前記ループフィルタの入力端子に接続され、前記抵抗の他端は前記容量を介して接地電位に接続され、
前記ループフィルタの前記抵抗の前記一端と前記他端は、前記第1チャージポンプの前記第1充放電電流と前記第2チャージポンプの前記第2充放電電流とによってそれぞれ駆動され、
前記ループフィルタの前記抵抗と前記容量とは、半導体チップに内蔵された
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項9】
請求項8において、
前記半導体集積回路は、ディスク記録再生装置の記憶メディアとしてのディスクのデータ読み出しとデータ書き込みとを行うピックアップとホスト・コンピュータの間に接続可能とされたものであり、
前記半導体集積回路は、前記ホスト・コンピュータに読み出しデータを供給する一方、前記ホスト・コンピュータからの書き込みデータが供給されるホスト・インターフェースを含み、
前記半導体集積回路は、前記ピックアップからの読み出し信号の信号処理を行う一方、前記ピックアップへの書き込み信号の信号処理を行う信号処理ユニットを含み、
前記フェーズ・ロックッド・ループは、前記ホスト・インターフェースと前記信号処理ユニットとの少なくともいずれか一方で使用されるクロック信号を生成する
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項10】
請求項9において、
前記ホスト・インターフェースはATAインターフェースである
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項11】
フェーズ・ロックッド・ループと制御ユニットとを具備して、
前記フェーズ・ロックッド・ループは、位相周波数比較器とループフィルタと電圧制御発振器と分周器とを含み、
前記位相周波数比較器の一方の入力端子と他方の入力端子には、基準信号と前記分周器の出力からの帰還信号がそれぞれ供給可能であり、
前記位相周波数比較器の出力は前記ループフィルタを介して前記電圧制御発振器の制御入力に供給され、前記電圧制御発振器の出力の発振出力信号が前記分周器の入力に供給され、前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の周波数は前記制御入力に供給される制御電圧に応答して制御可能であり、
前記電圧制御発振器は、電圧電流変換器とリング発振器とを含むものであり、
前記リング発振器は、奇数段の遅延回路を有するものであり、
前記電圧電流変換器は前記制御電圧に応答して制御電流を生成して、前記制御電流によって前記リング発振器の前記奇数段の遅延回路の各動作電流が設定されるものであり、
前記制御ユニットは、前記フェーズ・ロックッド・ループをキャリブレーション動作期間と通常動作期間とに切り換えることが可能とされたものであり、
前記通常動作期間では前記制御ユニットにより前記フェーズ・ロックッド・ループはクローズドループに制御される一方、前記キャリブレーション動作期間では前記制御ユニットにより前記フェーズ・ロックッド・ループはオープンループに制御されるものであり、
前記通常動作期間では、前記クローズドループの前記フェーズ・ロックッド・ループにおいて前記位相周波数比較器の前記出力が前記ループフィルタを介して前記電圧制御発振器の前記制御入力に所定のレベルの前記制御電圧として供給されることによって、前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の前記周波数は前記基準信号の周波数と前記分周器の分周数とにより決定される所定の周波数とされるものであり、
前記キャリブレーション動作期間では、前記オープンループの前記フェーズ・ロックッド・ループにおいて接地電位よりも高く比較的低いレベルの第1基準電圧が前記電圧制御発振器の前記制御入力に供給された状態の前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の前記周波数の第1の計測を、前記制御ユニットが実行するものであり、
前記周波数の前記第1の計測の実行の間に前記第1基準電圧が前記電圧制御発振器に供給された状態の前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の前記周波数が前記第1の所定の周波数と略等しくなるように、前記制御ユニットは前記電圧制御発振器の前記電圧電流変換器の第1動作パラメータの値を設定するものであり、
前記キャリブレーション動作期間で、前記電圧電流変換器の前記第1動作パラメータの値の設定の後に、前記第1基準電圧よりも高いレベルであり前記所定のレベルの前記制御電圧と略等しいレベルの第2基準電圧が前記電圧制御発振器の前記制御入力に供給された状態の前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の前記周波数の第2の計測を、前記制御ユニットが実行するものであり、
前記周波数の前記第2の計測の実行の間に前記第2基準電圧が前記電圧制御発振器に供給された状態の前記電圧制御発振器の前記発振出力信号の前記周波数が前記第1の所定の周波数よりも高い第2の所定の周波数と略等しくなるように、前記制御ユニットは前記電圧制御発振器の前記電圧電流変換器の前記第2動作パラメータの値を設定する
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項12】
請求項11において、
前記フェーズ・ロックッド・ループは、前記制御ユニットによって制御されるセレクタを更に含むものであり、
前記セレクタは、前記通常動作期間に前記所定のレベルの前記制御電圧を選択する一方、前記キャリブレーション動作期間に前記第1基準電圧と前記第2基準電圧とのいずれかを選択して、選択された電圧を前記電圧制御発振器の前記制御入力に供給する
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項13】
請求項12において、
前記フェーズ・ロックッド・ループは、前記位相周波数比較器の前記出力に応答して前記ループフィルタの充放電を行うチャージポンプを更に含む
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項14】
請求項13において、
前記チャージポンプは第1チャージポンプと第2チャージポンプとから構成されており、
前記第1チャージポンプと前記第2チャージポンプは前記位相周波数比較器の前記出力としてのアップ出力信号とダウン出力信号とに応答して相互に逆相に駆動され、前記第1チャージポンプの第1充放電電流と前記第2チャージポンプの第2充放電電流とは所定の比率に設定されており、
前記ループフィルタは零点周波数を決定する抵抗と容量とを含み、前記抵抗の一端は前記ループフィルタの入力端子に接続され、前記抵抗の他端は前記容量を介して接地電位に接続され、
前記ループフィルタの前記抵抗の前記一端と前記他端は、前記第1チャージポンプの前記第1充放電電流と前記第2チャージポンプの前記第2充放電電流とによってそれぞれ駆動され、
前記ループフィルタの前記抵抗と前記容量とは、半導体チップに内蔵される
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項15】
請求項14において、
前記半導体集積回路は、ディスク記録再生装置の記憶メディアとしてのディスクのデータ読み出しとデータ書き込みとを行うピックアップとホスト・コンピュータの間に接続可能とされたものであり、
前記半導体集積回路は、前記ホスト・コンピュータに読み出しデータを供給する一方、前記ホスト・コンピュータからの書き込みデータが供給されるホスト・インターフェースを含み、
前記半導体集積回路は、前記ピックアップからの読み出し信号の信号処理を行う一方、前記ピックアップへの書き込み信号の信号処理を行う信号処理ユニットを含み、
前記フェーズ・ロックッド・ループは、前記ホスト・インターフェースと前記信号処理ユニットとの少なくともいずれか一方で使用されるクロック信号を生成する
ことを特徴とする半導体集積回路。
【請求項16】
請求項15において、
前記ホスト・インターフェースはATAインターフェースである
ことを特徴とする半導体集積回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate


【公開番号】特開2010−130412(P2010−130412A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303616(P2008−303616)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】