説明

印刷機システム

【課題】 原稿の読み取り時間を短縮し生産性を上げ、後処理機の有無にて、例えば、ソータがセットされたときには読み取り順序を変え、ユーザがセット方向を確実に認識することができる両面対応時の機能を確保する両面対応の印刷機システムにおける自動原稿送り装置を提供する。
【解決手段】 印刷機システムにおける自動原稿送り装置において、印刷機31の後処理機38の有無に応じて、原稿1のセット方向および給紙順序を変更する機能を有する印刷機システムにおける自動原稿送り装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PPC、ファクシミリ、周辺機等を含む印刷機システムにおいて画像読み取り部に原稿を供給するために装備される自動原稿送り装置(以下、ADF)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
両面対応の印刷機システムにおけるADFにおいて、シートのスキューを最適に補正する技術は従来から提案されている(例えば特許文献1および2参照)。
特許文献1および2においては、主として原稿の斜行補正を目的としてそれなりの効果を呈する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平08−245018号公報
【特許文献2】特開2002−60095公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、原稿の表裏両面を印刷する両面対応の印刷機システムにおけるADFにおいては、印刷機システムに後処理機を含む場合に、その原稿読み取り動作は常時後処理有りを想定した動作で行われ、後処理機を含まない場合でも同じ処理動作が行われる。このため原稿の処理時間が長く掛かるという問題がある。
本発明の目的は、上述した実情を考慮して、原稿の読み取り時間を短縮し生産性を上げ、後処理機の有無にて、例えば、ソータがセットされたときには読み取り順序を変え、ユーザがセット方向を確実に認識することができる両面対応時の機能を確保する両面対応の印刷機システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、印刷機とADFと後処理機を備えた印刷機システムにおいて、ADFを用いた印刷機による印刷時に後処理機を使用するか否かの違いに応じて、原稿のセット方向および給紙順序を変更する機能を有することを特徴とする。
請求項2の発明は、印刷機とADFと後処理機を備えた印刷機システムにおいて、ADFを用いた印刷機による印刷時に後処理機を使用するか否かの違いに応じて、原稿のセット方向を認識できるように印刷機本体の表示部に、セット面および方向が分かるように表示する表示機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、原稿の読み取り時間を短縮し生産性を上げ、後処理機の有無にて、例えば、ソータがセットされたときには読み取り順序を変えることができるので、両面対応時の機能を確保する印刷機用の両面対応のADFを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は両面原稿読み取りタイプのADFを示す概略図である。原稿テーブル2上に第1画像面を上向きにセットされた原稿1は、下方に位置する本体31の制御部からの信号により最上位の原稿から1枚ずつ順に給送される。
以下に原稿の1枚ずつの給送の動作手順を説明する。原稿1の先端は、給紙ガイド板3に突き当たることにより位置決めされる。底板4は、図示していないソレノイド(SOL)により支点4aを中心に矢印A方向へ上昇し原稿1を下から呼び出しローラ5に加圧する。
呼び出しローラ5によって加圧された原稿1は最上位から順に分離ベルト6、分離ローラ7および外装を兼ねたガイド部材32からなる分離部へ給送され1枚ずつ分離される(給紙)。
分離された原稿1はプルアウトローラ8とプルアウト従動ローラ9とを有する第1搬送経路を通り読み取り部10へ搬送される。読み取り部10はコンタクトガラス33、ガイド板11からなり、原稿1はガイド板11とコンタクトガラス33の間を通り読み取られる(読み取り)。
第1画像面のみの読み取り(片面モード)の場合は、原稿1は読み取り部10にて画像情報を読み取られた後、補助ローラ14、補助従動ローラ15、排紙ローラ16および排紙下従動ローラ17を有する第2搬送経路を通り排紙部20へ排出される(排紙)。
【0007】
図2は両面読み取りモードにおいて説明するADFの概略図である。図3は切り換え爪の異なる位置を説明する図2のADFの概略図である。
第1画像面および第2画像面読み取り(両面モード)の場合には、原稿1は、図2のように、第1画像面読み取り後、第2搬送経路を通る。原稿1の先端が排紙センサ24に到達したのを検知して切り換え爪19が図示していないSOLによりB′の位置に下降する。
そこで原稿1は反転ローラ21と反転従動ローラ22とを有するスイッチバックパスである第3搬送経路を通り中間トレイ23上に搬送される。切り換え爪19は原稿1の後端が排紙センサ24を通過し一定時間(原稿後端が排紙ローラ16を通過し切り換え爪19上に達するまでの時間)経過した後、図示していないSOLが解除されることにより図3のBの位置に復帰する。
切り換え爪19のB位置への復帰後、反転ローラ21が逆回転し、図3に示すように、排紙ローラ16、排紙上従動ローラ18とを有する第4搬送経路に進入する(反転)。
原稿1の先端は排紙ローラ16と排紙上従動ローラ18とのニップ部に進入するが、このとき排紙ローラ16は停止しており、いわゆるスキューの突き当て補正を行う。突き当て補正終了後、原稿1は第4搬送経路および第1搬送経路を通り、読み取り部10にて第2画像面の画像情報を読み取られる。
図4はADFの搬送経路を説明する概略図である。図5は図4のADFの搬送経路を通る原稿の排出説明する概略図である。第2画像面読み取り後このままの状態で排紙部20へ排出すると、第2画像面が下向きでスタックされ原稿のページ順狂いが生じる。
第1画像面が下向きでスタックされるように、原稿1は第2搬送経路を通り切り換え爪19がB′の位置に下降するので、第3搬送経路を通り中間トレイ23上に搬送された後、切り換え爪19がBの位置(図3)に復帰する。
この切り換え爪19のB位置への復帰によって、原稿1は第4搬送経路、第1搬送経路、および第2搬送経路を通って排紙部20へ排出される(図4〜図5)。
【0008】
図6は後処理周辺機が搭載されていないときの本発明の印刷機システムを示す概略図である。図6において、印刷機システムは印刷機31+ADF36からなっている。
ADFの動作としては、前述した動作内容と変わらず、原稿セット部に原稿1を表面を上にしてセットする。給紙動作は、原稿1の1頁目より読み取りを行う。印刷機31は1頁目の原稿を読み取り、複数枚1頁目を印刷しスタック部35へスタックする。
図7は本発明による印刷機システムの動作フローを説明するフローチャートである。本発明の印刷機システムは、図示しない制御手段によって制御される。
本印刷機システムにおいては、1頁目の印刷が終了後、ADFは2ページ目を読み取り印刷機も2ページ目を複数枚印刷する。この動作を、原稿のN枚数目まで繰り返し行う。
上述した動作は、図7において、原稿が片面のときの動作で、ソータ無しの制御となる。すなわち、ステップ(S1)でソータ無しであれば、原稿表面をセットする(S2)。次に片面か両面かを判断し(S3)、片面印刷ならば、給紙(S4)、読み取り(S5)、排紙(S6)を順次行なう。
ステップ(S3)で両面印刷ならば、給紙(S7)、読み取り(S8)後、原稿1を反転し(S9)、次いで読み取り(S10)、その後、さらに反転し(S11)、排紙(S12)を順次行なう。
このときのスタック部35の印刷されたページの順序は、下から1ページX部数〜NページX部数となる。ページの順序の切り換え、原稿のセット方向の切り換えおよび給紙順序の変更等の機能を指示する制御部は図示してないが印刷機本体に内蔵されているものとする。
【0009】
図8は後処理周辺機が搭載されているときの本発明の印刷機システムを示す概略図である。図8において、印刷機システムは印刷機31+後処理機+ADF36からなっている。
後処理装置(ソータ)が搭載された場合、印刷の順序としてソートされた印刷束をページ順に並べるためには、原稿の最終紙から複数枚印刷する必要がある。
したがって、図8に示すようにADFの原稿セット部に原稿を裏面セット(N枚目が一番上)する(S13)。
図7のステップS14で片面原稿の場合、ADFは、片面の制御となり、給紙を行い(S15)一度読み取り面を経由して反転部分へ搬送し(S16)、反転後Nページ目の読み取りを行い(S17)、再度反転し(S18)、排紙される(S19)。
Nページ目を読み取り後、印刷機はNページ目を複数枚印刷しソートスタック部37のトレイ毎に1枚ずつスタックされる。次に、ADFはN−1ページ目を給紙しNページ目と同じ動作によりN−1ページ目を読み取る。
印刷機本体も、N−1ページ目を複数枚印刷し、ソートスタック部37のトレイ毎にNページ目の上に1枚ずつスタックされる。同様の動作を、1ページ目まで続けて行い動作を終了する。
このときのソートスタック部37の各トレイ内の印刷されたページの順序は、下からNページ〜1ページとなる。原稿が、両面原稿の場合はフローチャートのソータ有りと同様な両面原稿の制御にて動作する。両面原稿時には両面の制御となる。
上記のように、本発明では後処理機の有無にしたがってADFの原稿読み取り順序の制御を変更する。
【0010】
図9は印刷機本体の表示パネル上の原稿のセット方向を示す表記手段の実施の形態を示す概略図である。図9において、表記例は原稿面表面セット時の表記例である。
後処理周辺機が装着されたときには、図9の表示部42の外枠40が消え、枠41が表示される。後処理周辺機の有無によって、原稿の給紙順序を変更することにより後処理無しの場合は処理に要する時間を短縮できる。
後処理有りの場合は、スタックされた印刷束のページ順を保つことが可能となる。本発明を使用しない場合は、ADFの動作としては常時フローチャートの後処理有りの動作で行うため原稿の処理時間が長く掛かる。
後処理の有無にて、原稿の給紙方向が変わっても、この変更の有無が印刷機本体の表示パネル上の表示部分に表示されているため、ユーザが使うときには、間違いなく使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】両面原稿読み取りタイプのADFを示す概略図。
【図2】両面読み取りモードにおいて説明するADFの概略図。
【図3】切り換え爪の異なる位置を説明する図2のADFの概略図。
【図4】ADFの搬送経路を説明する概略図。
【図5】図4のADFの搬送経路を通る原稿の排出説明する概略図。
【図6】後処理周辺機が搭載されていないときの本発明の印刷機システムを示す概略図。
【図7】本発明による印刷機システムの動作フローを説明するフローチャート。
【図8】後処理周辺機が搭載されているときの本発明の印刷機システムを示す概略図。
【図9】印刷機本体の表示パネル上の原稿のセット方向を示す表示手段の実施の形態を示す概略図。
【符号の説明】
【0012】
1 原稿、19 切り換え爪、31 印刷機、36 ADF、38 後処理機(ソータ)、42 表示部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機と自動原稿送り装置と後処理機を備えた印刷機システムにおいて、自動原稿送り装置を用いた印刷機による印刷時に後処理機を使用するか否かの違いに応じて、原稿のセット方向および給紙順序を変更する機能を有することを特徴とする印刷機システム。
【請求項2】
印刷機と自動原稿送り装置と後処理機を備えた印刷機システムにおいて、自動原稿送り装置を用いた印刷機による印刷時に後処理機を使用するか否かの違いに応じて、原稿のセット方向を認識できるように印刷機本体の表示部に、セット面および方向が分かるように表示する表示機能を有することを特徴とする印刷機システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−33276(P2006−33276A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207536(P2004−207536)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】