印刷機
【課題】専用紙受けトレイを残存用紙と誤認しても、支障なく次の印刷を開始できる印刷機を提供する。
【解決手段】給紙部2と、印刷部6と、排紙部10と、紙受け部3と、制御部14と、操作パネル5と、を備え、紙受け部3には、専用紙受けトレイ55が載置可能となっている。紙受け部3は、紙受け台50と、用紙の排出方向の先端位置を規制するストッパー51と、排出される用紙の排出幅方向の両側縁位置を規制する一対の側縁ガイド52と、紙受け台50上の用紙の有無を検出する用紙有無センサー70と、を備え、制御部14は、用紙を検出している時には印刷処理を禁止し、用紙有無センサー70が紙受け台50上に載置された専用紙受けトレイ55を検出している時であっても、操作パネル5から、あるいは専用紙受けトレイ有無センサーから、専用紙受けトレイ設置信号が入力されている場合には、印刷処理を許可する。
【解決手段】給紙部2と、印刷部6と、排紙部10と、紙受け部3と、制御部14と、操作パネル5と、を備え、紙受け部3には、専用紙受けトレイ55が載置可能となっている。紙受け部3は、紙受け台50と、用紙の排出方向の先端位置を規制するストッパー51と、排出される用紙の排出幅方向の両側縁位置を規制する一対の側縁ガイド52と、紙受け台50上の用紙の有無を検出する用紙有無センサー70と、を備え、制御部14は、用紙を検出している時には印刷処理を禁止し、用紙有無センサー70が紙受け台50上に載置された専用紙受けトレイ55を検出している時であっても、操作パネル5から、あるいは専用紙受けトレイ有無センサーから、専用紙受けトレイ設置信号が入力されている場合には、印刷処理を許可する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機に関し、特に、印刷された用紙が積載される紙受け部に、印刷する用紙サイズに対応する収納寸法の専用紙受けトレイが載置可能となっている、印刷機に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば孔版印刷機は、一般に、用紙を一枚ずつ供給する給紙部と、該給紙部から供給された用紙を印刷する印刷部と、印刷された用紙を排出する排紙部と、該排紙部から排出された印刷済みの用紙を積載する紙受け部と、前記各部の駆動を制御する制御部と、該制御部に各種印刷情報並びに前記各部の駆動及び停止信号を入力する操作部と、を備えている。
【0003】
上記孔版印刷機において、印刷済みの用紙を、きれいに揃えて積載した状態で紙受け部から取り出し、移動し、保管あるいは別の処理ができるようにするために、紙受け部上に、印刷する用紙に対応する収納寸法の専用紙受けトレイを載置可能とし、この専用紙受けトレイ毎、積載用紙を移動できるようにした孔版印刷機が開発されている(特許文献1)。
【0004】
従来、紙受け部に設置されているストッパー及び側縁ガイドは、用紙サイズがA3乃至B5程度の用紙に対しては、それらの寸法に対応する位置に自動的にあるいは手動により簡単に調節できるが、封書や葉書等、寸法の小さい印刷物(用紙)の場合には、位置調節が困難な構造となっていることが多い。そのような場合に、上記のような専用紙受けトレイを使用することにより、綺麗に揃った状態に積載でき、かつ、専用紙受けトレイと共に簡単に別の場所に移すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−63026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、孔版印刷機の紙受け部には、前回の印刷時に取り忘れた用紙と、今回印刷する用紙とが混ざり合わないように、紙受け部上に残っている印刷済み用紙の有無を検出する用紙有無センサーが設けられているものがあり、上記用紙有無センサーにより、紙受け部上の残存用紙を検出した時には、たとえ操作部において印刷開始を指令しても、次の印刷処理が禁止されるようになっている。
【0007】
ところが、紙受け部に用紙が残存していない場合であっても、前記専用紙受けトレイを載置すると、用紙有無センサーは用紙が残存していると誤認し、その検出結果に基づいて、印刷が開始できないことがある。
【0008】
本発明は、紙受け部に前回の印刷用紙が残存した状態で、次の用紙の印刷が開始されるのを防ぐことができると共に、専用紙受けトレイを設置した場合に、たとえ用紙有無センサーが専用紙受けトレイを残存用紙と誤認しても、支障なく次の印刷を開始できる印刷機を提供することを、目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、用紙を一枚ずつ供給する給紙部と、該給紙部から供給された用紙を印刷する印刷部と、印刷された用紙を排出する排紙部と、該排紙部から排出された印刷済みの用紙を積載する紙受け部と、前記各部の駆動を制御する制御部と、該制御部に各種印刷情報並びに前記各部の駆動及び停止信号を入力する操作部と、を備え、前記紙受け部に、印刷する用紙に対応する収納寸法の専用紙受けトレイが載置可能となっている、印刷機において、前記紙受け部は、排出される用紙が積載される紙受け台と、排出される用紙の排出方向の先端位置を規制すると共に用紙排出方向の位置が変更可能なストッパーと、排出される用紙の排出幅方向の両側縁位置を規制すると共に排出幅方向の位置が変更可能な一対の側縁ガイドと、前記紙受け台上の用紙の有無を検出する用紙有無センサーと、を備え、前記制御部は、前記用紙有無センサーが前記紙受け部内の用紙を検出している時には印刷処理を禁止し、一方、前記用紙有無センサーが前記紙受け台上に載置された前記専用紙受けトレイを検出している時であっても、前記操作部から、あるいは前記紙受け部に設置された専用紙受けトレイ有無センサーから、専用紙受けトレイ設置信号が入力されている場合には、印刷処理を許可する。
【0010】
本発明は上記印刷機において、好ましくは、次の構成を備える。
(a)前記制御部は、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、前記側縁ガイド及び前記ストッパーを、前記専用紙受けトレイの載置領域から外れた所定位置に位置させる。好ましくは、前記側縁ガイド及びストッパーの所定位置は、載置される専用紙受けトレイの用紙排出幅方向の外側面及び排出側の先端面に当接する位置又はその近傍位置である。
【0011】
(b)前記制御部は、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、印刷作業中、前記ストッパーの排出方向のジョガー動作を停止する。
【0012】
(c)前記紙受け部は、前記紙受け台の上面より上方に突出して用紙をU字状に支持する支持位置と、前記紙受け台の上面より下方に退いた退避位置と、の間で昇降可能な用紙支持部材を備え、前記制御部は、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、前記用紙支持部材を前記退避位置に位置させる。
【0013】
(d)単一の印刷部と、前記印刷部により用紙の表面が印刷された後に前記紙受け部に排出され積載された用紙を、裏面が印刷されるように前記印刷部に反転供給する反転再給紙部と、を備えた両面印刷機において、前記用紙の表面の印刷前に、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、前記表面が印刷されて前記専用紙受けトレイに排出され積載された時点で、印刷処理を停止する。
【0014】
(e)用紙の表裏両面が印刷可能な印刷機において、単一の前記印刷部と、前記印刷部により用紙の表面が印刷された後に前記紙受け部に排出され積載された用紙を、裏面が印刷されるように前記印刷部に反転供給する反転再給紙部と、を備えており、前記制御部は、前記用紙の表面の印刷後、前記紙受け部に排出され積載された用紙が前記反転再給紙部に移送され、再給紙される前に、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、印刷処理を継続する。
【0015】
(f)紙受け部には、紙受け台上に積載される用紙を所定枚数毎に区分けテープを挿入して区分けする区分け装置が設けられており、前記制御部は、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、前記区分け装置による区分け作業を無効にするようなっている。この場合、前記制御部は、さらに、前記操作部の操作により、前記区分け装置による区分け作業の無効化を解除することができる。
【発明の効果】
【0016】
(1)本発明によると、紙受け部に専用紙受けトレイを設置した場合に、たとえ用紙有無センサーが専用紙受けトレイを残存用紙と誤認して検出しても、操作部から、あるいは専用紙受けトレイ有無センサーからの専用紙受けトレイ設置信号により、前記用紙有無センサーによる用紙検出が無効にされ、印刷処理が可能な状態に維持されるので、専用紙受けトレイを設置しても、支障なく、速やかに印刷作業を開始できる。
【0017】
(2)構成(a)によると、専用紙受けトレイが設置された場合に、前記側縁ガイド及びストッパーは、専用紙受けトレイの載置領域から外れた所定位置に位置させられるので、側縁ガイド及びストッパーが専用紙受けトレイの設置の邪魔になることがない。特に、所定位置を、専用紙受けトレイの外周側面に当接する位置またはその近傍位置に設定すると、印刷作業中、装置の振動あるいは排出用紙の衝突による専用紙受けトレイの位置ずれを防止でき、排出される用紙を円滑に専用紙受けトレイ内に収納することができる。
【0018】
(3)構成(b)によると、専用紙受けトレイが設置されている場合に、ストッパーのジョガー動作を停止するようにしているので、無駄な動作及びエネルギーの浪費を避けることができる。
【0019】
(4)構成(c)によると、専用紙受けトレイが設置されている場合に、用紙をU字状に支持する用紙支持部材は、紙受け台の上面よりも下方に退避しているので、用紙支持部材が専用紙受けトレイの設置の邪魔になることがなく、専用紙受けトレイを安定した状態で紙受け台上に載置できる。
【0020】
(5)構成(d)によると、単一の前記印刷部と、反転再給紙部と、を備えた両面印刷機において、用紙の表面印刷前に、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合に、表面印刷済みの用紙が紙受け部に積載された時点で印刷処理を停止するので、紙受け部からストッパーにより反転再給紙部に積載用紙を移載する時に、専用紙受けトレイが積載用紙と共にストッパーにより押し込まれるというような事態を未然に防止できる。
【0021】
(6)構成(e)によると、単一の前記印刷部と、反転再給紙部と、を備えた両面印刷機において、用紙の表面印刷後に、専用紙受けトレイを設置した場合に、印刷処理が滞ることなく、スムーズに裏面も印刷することができる。
【0022】
(7)専用紙受けトレイを設置した場合に、区分けテープで区分けすると、専用紙受けトレイの上端縁に区分けテープが引っ掛かり、区分け作業が困難になる可能性があると共に、その後に排出される用紙が先に引っ掛かったテープに邪魔されて、専用紙受けトレイに上手く積載されず、積載不良となる恐れがあるが、構成(f)によると、前記区分け作業を無効化することにより、上記不都合を解消することができる。また、専用紙受けトレイの寸法自体が、テープによる区分け作業に支障の無いものであると確認した場合には、操作部の操作により、区分け作業の無効化を解除し、区分けテープによる区分け作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る孔版印刷機の側面略図である。
【図2】図1の孔版印刷機の制御系を示すブロック図である。
【図3】図1の孔版印刷機の専用紙受けトレイの斜視図である。
【図4】図1の孔版印刷機の紙受け部の斜視図である。
【図5】図4の紙受け部のストッパーの駆動系を示す斜視図である。
【図6】図4の紙受け部の側縁ガイドの駆動系を示す斜視図である。
【図7】図4の紙受け部のU字形成用の用紙支持部材の斜視図である。
【図8】操作パネルの表示画面の一例を示す図である。
【図9】専用紙受けトレイを使用しない両面印刷作業の表面印刷前の状態を示す孔版印刷機の側面略図である。
【図10】図9の状態の後、表面印刷を終了した状態を示す孔版印刷機の側面略図である。
【図11】図10の状態の後、用紙を反転再給紙部へ移載した状態を示す孔版印刷機の側面略図である。
【図12】専用紙受けトレイを使用する印刷作業の印刷前の状態を示す孔版印刷機の側面略図である。
【図13】図12の状態の後、印刷作業を行っている状態を示す孔版印刷機の側面略図である。
【図14】専用紙受けトレイを使用する場合の専用紙受けトレイと、ストッパー及び側縁ガイドとの位置関係の一例を示す平面図である。
【図15】本発明の別の実施の形態であり、専用紙受けトレイ有無センサーを備えた紙受け台及び専用紙受けトレイの斜視図である。
【図16】同一の孔版原紙により、用紙の表裏を共に印刷する場合における用紙の印刷状態を示す図である。
【図17】印刷用紙が印刷イメージの設定範囲より大きい場合に、印刷イメージを180度回転させて印刷する工程を示す平面図である。
【図18】印刷用紙が印刷イメージの設定範囲より小さい場合に、印刷イメージを180度回転させて印刷する工程を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1乃至図14は本発明の一実施の形態を示しており、これらの図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
[孔版印刷機の全体構成]
図1は本発明に係る孔版印刷機の側面略図であり、印刷機本体1の用紙搬送方向の両端部に、給紙部2と紙受け部3とを備えており、説明の都合上、給紙部2を配置してある側(図面の左側)を孔版印刷機の「後」と称し、紙受け部3を配置してある側(図面の右側)を孔版印刷機の「前」として、以下説明する。
【0026】
印刷機本体1の上側には画像読取装置4が設けられており、該画像読取装置4により製版用の原稿を読み取ることができる。印刷機本体1の上端部の操作側には、操作パネル(操作部)5が設けられており、該操作パネル5では、キー操作により、印刷開始、印刷停止及び各種印刷条件の設定等の入力を行うことができる。上記操作パネル5に隣接して、あるいは操作パネル5と一体的に、孔版印刷機の各部を制御するための制御部14が設けられている。
【0027】
印刷機本体1内には、前後方向の概ね中間部に印刷部6が設けられ、該印刷部6の後上方に製版部7が設けられ、印刷部6の前上方に排版部8が設けられ、印刷部6と紙受け部3との間に排紙部10が設けられ、印刷部6及び排紙部10の下方に反転再給紙部11が設けられている。また、給紙部2と印刷部6との間にタイミングローラ13が設けられている。
【0028】
印刷部6は、インク供給ローラ(図示せず)が内接すると共に矢印R方向に回転駆動する印刷用版胴20と、該印刷用版胴20に下方から当接自在に対向する上下方向移動可能な押圧ローラ21と、を備え、印刷用版胴20と押圧ローラ21との間で印刷用紙Pを挟持し、搬送することにより、印刷用紙Pの上面に印刷するようになっている。
【0029】
給紙部2は、印刷用紙Pを積載する給紙台23と、給紙ローラ24と、捌き台25等を備えており、給紙台23上に積載されている印刷用紙Pを、給紙ローラ24及び捌き部材25により、上から一枚ずつタイミングローラ13へ供給する。タイミングローラ13は、用紙Pの所定位置に印刷できるように、印刷用版胴20の回転と同期タイミングで作動し、印刷用紙Pを印刷部6へ送り込む。
【0030】
排紙部10は、エア吸引式ベルト搬送機構を備えており、印刷用紙Pを排紙ベルト26上に吸着し、前方の紙受け部3へ排出する。
【0031】
製版部7は、孔版原紙ロール30と、サーマルヘッド31と、該サーマルヘッド31に当接するプラテンローラ32と、を備えており、画像読取装置4で読み取られた画像のデータに基づき、孔版原紙ロール30をサーマルヘッド31で製版し、製版後の孔版原紙Nを印刷部6の印刷用版胴20の外周面に装着する。
【0032】
排版部8は、ハウジング35内に、上下一対の引き込みローラ36と原紙収納ロール37とを備えている。引き込みローラ36は、印刷用版胴20の前上端部に対応する位置に位置しており、印刷用版胴20の外周面に装着されている印刷使用後の孔版原紙Nの先端部を挟持し、ハウジング35内に引き込み、原紙収納ロール37に印刷使用後の孔版原紙Nを巻き付ける。
【0033】
反転再給紙部11は、表面印刷済み用紙Pが積載される昇降可能な再給紙トレイ40と、該再給紙トレイ40上の用紙Pを最上位から1枚ずつ取り出し搬送する再給紙ローラ42及び捌き部材43と、再給紙ローラ42から搬送された用紙Pを、表裏反転状態にしてタイミングローラ13に送り込む複数対の中間搬送ローラ44と、を備えている。すなわち、再給紙トレイ40上の用紙Pを、再給紙ローラ42、捌き部材43及び中間搬送ローラ44によって、最上位から1枚ずつ、タイミングローラ13へ送り込む。
【0034】
紙受け部3は、印刷済み用紙Pが積載される紙受け台50と、排紙部10から排出される用紙Pの先端(前端)を受け止めるストッパー51と、用紙幅に略等しい間隔で用紙Pの左右両側縁を規制する左右一対の側縁ガイド(手前側の側縁ガイドは省略)52と、紙受け台50上に積載される用紙PをU字状に維持する用紙支持部材54とを備えると共に、各印刷用紙Pに対応した寸法を有する箱状の専用紙受けトレイ55が、紙受け台50上に取り替え自在に載置できるようになっている。また、紙受け台50の後端には、印刷機本体1の前端との間に昇降可能な堰き止め板79が配置され、さらに、紙受け部3の後端部の一側方には、紙受け台50上に積載される用紙Pを、所定の枚数毎に区分けするテープ式区分け装置56が配置されている。該テープ式区分け装置56は、テープ出口56aから所定タイミングでテープTを繰り出すことにより、所定枚数毎にテープTを用紙間に挟み込むようになっている。
【0035】
[紙受け部3の詳細]
図3乃至図7は紙受け部3の詳細を示しており、図3は専用紙受けトレイ55の斜視図、図4は紙受け部3の全体を後上方から見た斜視図、図5はストッパー51及びその駆動系を示す斜視図、図6は側縁ガイド52及びその駆動系を示す斜視図、図7はU字形成用の用紙支持部材54及びその駆動系を示す斜視図である。
【0036】
図3において、専用紙受けトレイ55は、所定寸法の用紙(たとえば葉書や封筒)Pのサイズに略相当するサイズに製作されており、前壁55aと、左右側壁55bと、後壁55cとを有し、後壁55cは前壁55aよりも低く形成され、これにより後方から用紙Pを投入し易くなっている。専用紙受けトレイ55は、たとえば厚紙あるいはプラスチックでできている。このような専用紙受けトレイ55は、葉書や手紙用の寸法のものだけでなく、A6乃至A3等の寸法のものも各種用意されており、紙受け台50上に取り替え自在に載置できる。
【0037】
図4において、左右一対の側縁ガイド52は紙受け台50の上面に対して略垂直姿勢に立設されており、各側縁ガイド52の排出幅方向(左右方向)の内面には、排出幅方向の内方に突出する筋状突起52aが形成されている。各筋状突起52aは側縁ガイド52の略上端から下端まで上下方向に延びると共に、前後方向に所定間隔を置いて複数枚形成されている。
【0038】
U字形成用の用紙支持部材54は、用紙排出幅方向に間隔を置いて2列に配列されており、紙受け台50の上面から突出して用紙をU字状に支持する支持位置(図の位置)と、前記紙受け台50の上面より下方に退いた退避位置と、の間で昇降可能となっている。上記支持位置の用紙支持部材54の上端縁は、用紙排出幅方向の中央側が低くなるように傾斜しており、これにより、紙受け台50上の用紙をU字状に支持するようになっている。
【0039】
ストッパー51は、紙受け台50の用紙排出幅方向の中央部に配置され、用紙搬出方向(前後方向)に位置調節自在、かつ、ジョガー動作可能なように、前後に揺動可能となっている。
【0040】
図5において、ストッパー51の駆動系は、用紙排出方向(前後方向)に延びる左右一対のガイド軸60と、用紙排出方向に沿って敷設された駆動ベルト61と、前後一対のプーリ又はギヤ62と、モータ63等とを備えており、ストッパー51の下端部は、前記ガイド軸60に前後方向移動自在に支持されると共に駆動ベルト61に連結されている。従って、モータ63の回転により、プーリ62及び駆動ベルト61を介してストッパー51を前後方向に移動させることができる。
【0041】
図6において、側縁ガイド52の駆動系は、左右一対のモータ65と、各モータ65に減速機構66を介して連動連結された左右の駆動ベルト67と、を備えており、各モータ65の回転により、減速機構66及び駆動ベルト67を介して、左右の側縁ガイド52を左右幅の中心線に対して対称に移動するようになっている。
【0042】
図7はU字形成用の用紙支持部材54の駆動系を示しており、各用紙支持部材54は、左右幅の中央側の端部が、前後方向に延びる回動軸69に固定されており、該回動軸69を回動することにより、前記支持位置と退避位置との間で位置変更されるようになっている。
【0043】
[制御系]
図1において、紙受け台50内には、紙受け台50上の用紙Pの有無を検出する光式の用紙有無センサー70が配置されており、排紙部10の前端部近傍には、排紙部10から排出される用紙Pの前端を検出する光式の用紙端縁センサー71が配置されている。また、上記センサーの他に、図示しないが、給紙部及び印刷機本体1内には、同様の用紙紙有無センサーが配置されている。
【0044】
図2は、制御系のブロック図であり、紙受け部3の用紙有無センサー70、排紙部10の用紙端縁センサー71及び操作パネル5が、制御部14の入力部に電気的に接続されている。また、制御部14の入力部には、外部のコンピュータ72及び外部メモリ73も接続可能となっている。制御部14の出力部には、製版部7、排版部8、給紙部2、印刷部6、排紙部10及び紙受け部3の各駆動系が電気的に接続されている。特に紙受け部3では、側縁ガイド52、ストッパー51、用紙支持部材54及びテープ式区分け装置56の駆動系がそれぞれ電気的に接続されている。
【0045】
操作パネル5には、各種印刷情報の表示と共に、製版開始の操作キー、印刷開始及び印刷停止の操作キー、両面印刷及び片面印刷の選択キー、並びに用紙の寸法及び紙質等の各種印刷条件を設定するキー等が表示され、あるいは設けられている。
【0046】
紙受け部3の用紙有無センサー70は、孔版印刷機を立ち上げた時、あるいは操作パネル5の操作により印刷開始指令が出された時に、紙受け部3内に用紙Pが残存しているか否かを検出光により確認し、残存用紙を検出した場合には、操作パネル5にエラーメッセージを表示すると共に、印刷を禁止するようになっている。上記エラーメッセージの一例として、「「紙受け台に用紙がある場合、用紙を取り除いて下さい。」と言うメッセージと、「側縁ガイドが折り畳まれている場合、側縁ガイドを起ててセットして下さい。」というメッセージとが、交互に表示される。
【0047】
そして該実施の形態では、専用紙受けトレイ55の設置が可能となっている孔版印刷機において、前記紙受け部3上に専用紙受けトレイ55が設置されていることを知らせる専用紙受けトレイ設置信号が、操作パネル5の操作により入力される構成となっている。すなわち、孔版印刷機を立ち上げた時、あるいは印刷開始指令を出した時に、図8に示すように、専用紙受けトレイ55を使用するか否かを選択する画面が表示されるようになっており、これに対し、作業者は、専用紙受けトレイ55を使用するか否かを選択する。
【0048】
たとえば、図8の表示画面において、「専用紙受けトレイ」を「使用しない」を選択した場合には、紙受け部3の用紙有無センサー70は通常通り作動する。すなわち、孔版印刷機の立ち上げ時、又は印刷開始あるいは製版開始指令時に、紙受け台3上に用紙が残存していることを検出した場合には、印刷処理を禁止するようになっており、用紙が残存していることを検出しない場合には、印刷処理を許可するようになっている。印刷処理の禁止としては、給紙部2、印刷部6、排紙部10、反転再給紙部11及び紙受け部3を停止状態に維持し、印刷処理の許可としては、前記各部の印刷処理動作を行う、あるいは可能にする。
【0049】
一方、図8の表示画面において、「専用紙受けトレイ」を「使用する」を、選択した場合には、前記用紙有無センサー70の検出を無効とする。すなわち、紙受け台50上に専用紙受けトレイ56を設置することにより、用紙有無センサー70が残存用紙有りと誤認しても、印刷作業が開始できるようになっている。
【0050】
また、操作パネル5において、所望の用紙サイズを設定した場合には、その設定サイズに応じ、紙受け部3の側縁ガイド52及びストッパー51の位置が自動で調節されるようになっている。
【0051】
(専用紙受けトレイ55を使用しない場合の両面印刷作業)
(1)図9に示すように、孔版印刷機を立ち上げ、給紙台23上に所定サイズの用紙Pを積載し、操作パネル5により、各種印刷条件を設定する。たとえば、用紙の寸法及び印刷枚数等を入力すると共に、両面印刷及び片面印刷の選択画面において、両面印刷を選択する。さらに、操作パネル5には、図8のような専用紙受けトレイ55の選択画面が表示されるので、「専用紙受けトレイ」を「使用しない」を選択する。これにより、用紙有無センサー70は有効に作動する状態に維持される。すなわち、紙受け部3に用紙Pが残存している場合には、操作パネル5に、「紙受け台に用紙がある場合、用紙を取り除いて下さい。」と言う表示と、「側縁ガイドが折り畳まれている場合、側縁ガイドを起ててセットして下さい」という表示が、交互に表示される。このエラーメッセージが出た場合には、作業者は、紙受け台50上の残存用紙Pを寄り除くか、あるいは側縁ガイド52を所定位置に立てる。
【0052】
(2)新たに製版を行う場合には、製版キーを操作することにより、図1の製版部7において表面印刷用の孔版原紙Nが製版される。すなわち、製版部7は、画像読取装置4で読み取られた画像(表面画像)のデータに基づき、孔版原紙ロール30をサーマルヘッド31で製版し、製版後の孔版原紙Nを印刷部6の印刷用版胴20の外周面に装着する。
【0053】
次に、操作パネル5の印刷開始キーを操作することにより、実質的に印刷処理が開始される。すなわち、給紙台23に積載された用紙Pは、最上位から1枚ずつ取り出され、タイミングローラ13により、所定タイミングで印刷部6へ送り込まれる。
【0054】
印刷部6では、印刷用版胴20と押圧ローラ21との間で用紙Pが挟持され、該用紙Pは、前方に搬送されつつ、印刷用版胴20内から供給されるインクにより、孔版原紙Nの表面画像が用紙Pの上面(表面)に転写される。
【0055】
印刷部6で表面が印刷された用紙Pは、排紙部10により前方に排出され、紙受け部3の紙受け台50上に積載される。この場合、用紙有無センサー70は自動的に無効状態となっており、紙受け台50上に用紙Pが排出されたとしても、印刷が停止することはない。また、ストッパー51のジョガー動作を設定している場合には、用紙Pが紙受け部3に排出される毎に、用紙端縁センサー71により用紙Pの排出位置を検知し、該検知時点から所定時間の間隔を置いて、ストッパー51が前後に振動し、ジョガー動作を行う。これにより、用紙Pの前端が綺麗に揃えられてゆく。所定枚数の表面印刷が終了すると、図10のように、それら総ては、一旦、紙受け台50に積載された状態になる。
【0056】
表面印刷終了後は、排版部8において、引き込みローラ36が印刷用版胴20の表面印刷使用後の孔版原紙Nを引き込み、原紙収納ロール37に表面印刷使用後の孔版原紙Nを巻き付ける。
【0057】
印刷用版胴20から表面印刷使用後の孔版原紙Nが取り除かれると共に、製版部7では、画像読取装置4で読み取られた裏面印刷用の画像(裏面画像)のデータに基づき、孔版原紙ロール30をサーマルヘッド31で製版し、製版後の孔版原紙Nを印刷部6の印刷用版胴20の外周面に装着する。
【0058】
裏面の製版及び印刷用版胴20への装着が終了すると、紙受け部3において、後端の堰き止め板79が上昇すると共に、ストッパー51が後方に移動し、図11に示すように、紙受け台50上の積載用紙Pを、再給紙トレイ40上に移載する。
【0059】
再給紙トレイ40上に移載された後は、自動的、あるいは操作パネル5による裏面印刷開始キーにより、裏面印刷が開始される。すなわち、再給紙トレイ40が上昇し、再給紙トレイ40上の積載用紙Pは、再給紙ローラ42及び捌き部材43により、最上位から1枚ずつ取り出され、中間搬送ローラ44により、印刷済み表面が下面になるように表裏反転した状態で、タイミングローラ13に供給され、タイミングローラ13から印刷部6に供給され、裏面が印刷される。
【0060】
印刷部6で裏面が印刷された用紙Pは、排紙部10により、再度紙受け部3に排出され、紙受け台50上に積載される。
【0061】
(専用紙受けトレイ55を使用する場合の片面印刷作業)
(1)葉書等の片面印刷において、専用紙受けトレイ55を使用する場合には、孔版印刷機を立ち上げた後、印刷指令を行う前に、図8に示す専用紙受けトレイ55の選択画面において、「専用紙受けトレイ」を「使用する」を選択する。これにより、用紙有無センサー70の検出は無効となる。すなわち、図12のように紙受け台50上の所定位置に専用排紙トレイ55を載置しても、前述のような用紙残存のエラーメッセージが表示されることはなく、印刷処理が可能な状態に維持される。
【0062】
(2)また、上記のように、「専用紙受けトレイ」を「使用する」を選択した場合には、用紙支持部材54は退避位置に下降し、紙受け台50の上面が、専用紙受けトレイ55を安定して載置できる状態になり、また、ストッパー51のジョガー動作並びにテープ式区分け装置56の作動も禁止状態になる。なお、操作部5の操作により、テープ式区分け装置56による区分け作業の無効化を解除することはできる。
【0063】
(3)さらに、専用紙受けトレイ55の使用の設定と共に、印刷条件において、葉書を設定することにより、紙受け部3の側縁ガイド52及びストッパー51は、図14に示すように、専用紙受けトレイ55の左右側壁55b及び前壁55aに接触あるいは略接触する位置まで移動し、専用紙受けトレイ55の移動を規制する。なお、専用紙受けトレイ55の後壁55cは堰き止め板79に接触あるいは略接触している。
【0064】
(4)製版工程及び印刷工程は、前記専用紙受けトレイを使用しない場合と同様である。すなわち、図12において、製版工程では、製版部7において、前記同様に孔版原紙Nが製版され、印刷部6の印刷用版胴20の外周面に装着される。そして、印刷工程では、図13のように、給紙台23に積載された用紙(葉書)Pは、最上位から1枚ずつ取り出され、タイミングローラ13により、所定タイミングで印刷部6へ送り込まれ、印刷部6において、印刷用版胴20と押圧ローラ21との間で挟持され、搬送されつつ、印刷される。
【0065】
(5)そして、印刷済みの用紙Pは排紙部10から前方に排出され、紙受け台50上の専用紙受けトレイ55内に順次投入され、積載される。印刷された所定枚数の用紙(葉書)は、総て専用紙受けトレイ55内に収納されているので、作業者は、専用紙受けトレイ55と一緒に、紙受け台50上から積載用紙Pを取り出し、運搬することができる。
【0066】
このように、印刷前に「専用紙受けトレイ」を「使用する」を選択しておくことにより、専用紙受けトレイ55を紙受け台50に設置しても、用紙有無センサー70が無効となっているので、支障なく、速やかに印刷作業を行うことができる。
【0067】
(専用紙受けトレイ55を使用する両面印刷作業)
両面印刷において、表裏両面を印刷した後の印刷用紙Pを最終的に専用紙受けトレイ55に収納する作業を行う場合には、表面印刷時には、専用紙受けトレイ55を載置せず、表面印刷後、紙受け台50から反転再給紙部11に表面印刷済みの用紙を移動した後、紙受け台50上に専用紙受けトレイ55を載置して、裏面を印刷し、最終的に表裏両面が印刷された用紙を、専用紙受けトレイ55に収納することになる。
【0068】
ところが、作業者が、表面印刷前に専用紙受けトレイ55を載置した場合には、表面印刷後、紙受け台50から再給紙トレイ40に積載用紙Pを移載する時に、専用紙受けトレイ55も一緒にストッパー51で後方へ押すことになり、移載が出来ず、専用紙受けトレイ55が潰れてしまうという事態が発生する恐れがある。
【0069】
そこで、表面印刷前に、両面印刷に設定し、かつ、「専用紙受けトレイ」を「使用する」を選択した場合には、一例として、専用紙受けトレイ55を載置せずに表面印刷し、印刷用紙Pが紙受け部3に積載されるまでの間は、専用排紙トレイ設置信号を無効として、用紙有無センサー70を有効状態に維持し、反転再給紙部11に表面印刷済みの用紙Pを移載した時点で一旦印刷処理を停止し、かつ、用紙有無センサー70が無効状態となるように制御する。
【0070】
そして、反転再給紙部11に表面印刷済みの用紙Pが積載され、停止した状態の時に、紙受け台50上に専用紙受けトレイ55を設置するが、操作パネル5において、裏面印刷継続のキーを操作することにより、裏面の印刷作業を再開し、専用紙受けトレイ55に収納させる。
【0071】
上記両面印刷作業の制御は、該実施の形態の孔版印刷機における一例であり、他の制御として、「専用紙受けトレイ」を「使用する」を設定した場合には、両面印刷を選択できないように構成することも可能である。この場合は、たとえば、片面印刷により、葉書の表面を印刷し、続いて、紙受け台50上の葉書を、上下逆にして給紙台23上に戻し、再度、片面印刷により、裏面を印刷することもできる。
【0072】
「その他の実施の形態」
(1)上記実施の形態では、操作パネル5のキー操作により、専用紙受けトレイ設置信号を入力する構成としているが、図15に示すように、紙受け台50に、専用紙受けトレイ55の設置の有無を検出する光式の専用紙受けトレイ有無センサー80を設置し、該専用紙受けトレイ有無センサー80が専用紙受けトレイ55を検出した時に、専用紙受けトレイ設置信号を制御部14に入力するように構成することもできる。専用紙受けトレイ有無センサー80は、たとえば、紙受け台50の上面より低い位置に、用紙排出幅方向に検出光を発する発光部80aと、該発光部80aに対して用紙排出幅方向に対向する受光部80bとを備え、一方、専用紙受けトレイ55の底壁には、下方に突出する遮光板81を形成し、専用紙受けトレイ55を紙受け台50の所定位置に載置した時に、遮光板81で検出光を遮断することにより、専用紙受けトレイ55が載置されたことを検出し、専用紙受けトレイ載置信号を、制御部14に入力するのである。
【0073】
図15のような専用紙受けトレイ有無センサー80を設置し、該専用紙受けトレイ有無センサー80により専用紙受けトレイ設置信号を入力する形態において、印刷条件として両面印刷を設定し、かつ、専用紙受けトレイ55を表面印刷開始前に紙受け台50に載置した場合には、所定数の表面印刷済みの用紙が紙受け台50に積載された時点で、孔版印刷機の作動を停止させる。これにより、紙受け台50上の専用紙受けトレイ55が、ストッパー51により後方に押されて、潰されるという事態が発生するのを防止できる。
【0074】
一方、表面印刷後、紙受け台50から積載用紙Pが再給紙トレイ40に移載された時点で、紙受け台50上に専用紙受けトレイ55を載置した場合には、継続して裏面印刷処理が行われるように制御される。
【0075】
(2)前記実施の形態では、「専用紙受けトレイ」を「使用する」を選択した場合には、図14のように、専用紙受けトレイ55の後壁55cが堰き止め板79に略接触し、側縁ガイド52及びストッパー51が、専用紙受けトレイ55の側壁55b及び前壁55aに接触する程度の位置に移動させられるが、側縁ガイド52を左右に最も離れた位置に移動し、かつ、ストッパー51を最前端位置まで移動して、専用紙受けトレイ55の設置の邪魔にならないようにすることもできる。
【0076】
(3)両面印刷可能な孔版印刷機としては、前記実施の形態の他に、表面印刷用と裏面印刷用の2個の印刷用版胴を備え、1回の搬送行程により、表裏両面を順次印刷できる孔版印刷機や、印刷領域を前後に分割した一枚の孔版原紙を使用して、反転再給紙することにより、1回の搬送行程により表裏両面を印刷する孔版印刷機等があり、本発明はそのような両面孔版印刷機にも適用可能である。特に、そのような両面孔版版印刷機では、給紙した用紙は、1度の搬送の中で表裏に印刷が施された後に紙受け部3に排紙されるため、表面印刷前に専用紙受けトレイ55を載置しておいても、専用紙受けトレイ55がストッパー51により潰されることは発生せず、そのまま両面印刷が可能である。
【0077】
[制御の参考例]
上記各制御に加え、本件実施の形態あるいは一般的な印刷機において、次のような制御を設定することも可能である。
【0078】
(1)区分け制御
両面印刷モードにおいて、区分け設定がなされた場合、たとえば全150枚を所定の50枚ずつ3組に区分けする等の設定がなされた場合には、表面印刷時には区分けを行わず、再給紙により裏面が印刷された後、最終的に紙受け部に排出される時に、区分け作業が行われる。上記区分けの態様は、紙受け台上での排出用紙の積載位置を、所定枚数毎に用紙排出方向あるいは用紙排出幅方向にずらしたり、所定枚数毎に、一時的に印刷を中断することにより、用紙を取り出す時間、あるいは用紙間に付せん紙を貼る時間を確保したりする。用紙の位置をずらす作業は、紙受け部及び印刷機本体側の各ストッパーの用紙排出方向(前後方向)の位置を変更したり、紙受け台の用紙排出幅方向の位置を変更することにより、行うことができる。このように、両面印刷モードにおいて、表裏両面の印刷が完了した後のみ、区分け作業を行うことにより、表面印刷時における無駄な区分け作業を省き、両面印刷作業の能率を上げることができる。
【0079】
(2)インターバル制御
両面印刷モードの時に、インターバル設定がなされ、かつ、インターバルを一枚ずつ行うモードが選択されている場合には、表面印刷時及び裏面印刷時のいずれにおいても、一枚ずつ任意の時間を開けて印刷を行うように制御する。
【0080】
インターバル設定とは、給紙作業において給紙を一時的に停止することにより、給紙間隔を調整するものであり、給紙部を一時的に停止する(たとえば10秒間)が、印刷用版胴は空転状態に維持される。このようなインターバル印刷は、はがき等の印刷の場合に、裏写りを防止するため、インク乾燥時間並びにインク遮断用の吸湿紙を挟み込む時間等を確保することを目的としている。
【0081】
一方、両面印刷モードの時に、インターバル設定がなされ、かつ、インターバルを、前記区分けに対応する所定枚数毎に行うモードが選択されている場合には、表面印刷時には通常通り、インターバルのない印刷を行い、再給紙部により再度給紙され、裏面が印刷される時に、区分けタイミングで、任意の時間を開けてインターバル印刷を行う。
【0082】
(3)テープ式区分け装置による区分け制御
前記実施の形態でも説明しているが、テープ式区分け装置56を使用する区分け設定がされた場合には、表面印刷時には通常通りの印刷(区分けをしない印刷)が行われ、反転再給紙部により再度給紙され、裏面が印刷される時に、区分けタイミングでテープ式区分け装置から供出されるテープを用紙間に差し挟むことになる。この場合、テープを挿入する時間を確保するために、必要な時間、インターバル制御を行うことができる。
【0083】
(4)重送検知制御
用紙の重送を光透過率等で検出する重送センサーを備え、重送を検知した場合に、前記テープ式区分け装置を利用して、重送箇所にテープを挿入する制御を行うことが可能であるが、両面印刷モードにおいて、表面印刷時に重送を検知した場合には、一旦印刷を停止すると共に操作パネルに重送エラーを表示し、一方、裏面印刷時に重送を検知した場合には、重送用紙を紙受け装置に排出する直前又は直後に、テープを挿入するように制御する。
【0084】
なお、テープ式区分け装置を備えていない印刷機で両面印刷する場合には、表面印刷時及び裏面印刷時にかかわらず、重送を検出した時に、その都度印刷を停止すると共に操作パネルに重送エラーを表示する。
【0085】
(5)片面印刷モード及び両面印刷モードの自動切り替え制御
外部のコンピュータ又は外部メモリから受信し又は読み出した印刷データには、通常、両面印刷/片面印刷等の印刷動作指定データが含まれているが、上記のように受信し又は読み出した印刷動作指定データと、印刷機で現在指定されている印刷動作モードとが一致していない場合には、印刷機側の印刷動作モードを、前記受信し又は読み取った印刷動作指定データに合う印刷動作モードに自動的に切り換える。
【0086】
たとえば、前回の印刷作業が片面印刷モードで行われ、印刷機が片面印刷モードに維持されている場合に、今回、外部コンピュータ等から受信した印刷データが両面印刷モードを指定している場合には、印刷機を両面印刷モードに切り換えるのである。反対に、前回の印刷作業が両面印刷モードで行われ、印刷機が両面印刷モードに維持されている場合に、今回、外部コンピュータ等から受信した印刷データが片面印刷モードを指定している場合には、印刷機を片面印刷モードに切り換える。
【0087】
ただし、印刷データが両面印刷モードであっても、片面1頁しかない場合や、複数頁データであっても最終頁且つ奇数ページデータを印刷する場合には、片面印刷モードに切り換える。たとえば、印刷データとして、全7ページであって、かつ、両面印刷をしている場合、1頁乃至6頁までは両面印刷を実行し、7頁は、片面しか印刷しないので、この頁を印刷する時には、片面印刷に切りかわる。
【0088】
さらに、両面印刷であっても、表面と裏面とを同一の版(画像)で印刷するモードが指定されている場合には、片面1頁しかない場合や、複数頁データであっても最終頁且つ奇数ページデータを印刷する場合には、両面印刷モードに切り換える。
【0089】
たとえば、図16の(a)(b)のように、イメージA及びBを印刷した表裏用の2枚のA4原稿を、一枚のA3原紙に製版し、図16の(c)(d)のように、同一のA3原紙により、A3用紙の表裏両面を印刷する。そして、図16の(e)のように、両面印刷後のA3用紙を二つにカットすることにより、同様なA4の印刷済み用紙が2枚できる。また、ノートや便箋など罫線付きのものにも適用できる。これらの場合、孔版原紙は表裏印刷時に取り替える必要はない。
【0090】
外部メモリ等から読み出した印刷データに従って印刷機の印刷動作モードが切り換わった場合でも、製版が行われるまでは、ユーザーが任意の印刷動作モードに切換設定できる。たとえば、印刷用紙として裏紙を使用する場合には、未印刷面のみに片面印刷することしか出来ないので、ユーザーは任意に片面印刷に切り換える。
【0091】
(6)再製版時の画像の180度回転
印刷機の制御部の記憶部に記憶されている印刷データを用いて再製版する場合や、外部コンピュータから出力される印刷データや外部メモリ(USBメモリ)に保存された印刷データを受信し、又は読み出して製版する場合において、ユーザーが操作パネルを操作することにより、画像を、180度回転させて製版できるようにする。すなわち、ユーザーの判断により、孔版原紙の印刷先端と印刷終端とが逆に製版できるようする。
【0092】
画像の印刷先端側に黒ベタ画像部分が存在する場合、その印刷方向の状態で製版し、印刷を行うと、印刷用紙の搬送先端部に黒ベタが印刷されることになるが、黒ベタ部分にはインクが一面に付着しているため、印刷ドラムから剥がれず、いわゆる巻き上がりジャムが生じることがある。これに対し、黒ベタ部分が印刷用紙の搬送終端部に形成されるように、製版方向を180度変更することにより、巻き上がりジャムを防止できる。
【0093】
また、両面印刷時に、裏面を製版する前に用紙の綴じ方向(短辺綴じ又は長辺綴じ)の設定が変更された場合や、裏面印刷した結果を見て綴じ方向の間違いに気付いて、両面印刷を中断して綴じ方向の設定を変更した場合には、その綴じ方向に応じて裏面イメージを製版方向又は製版方向と直交する方向に180度回転させて製版し、裏面印刷する。
【0094】
受信し、または読み取った印刷データには、イメージの回転設定情報(0度回転、90度回転、180度回転又は270度回転)が含まれており、そのうち、180度回転するデータが受信され、又は読み取られた場合には、180度回転したイメージを製版する。また、180度回転設定情報を含む印刷データに対し、印刷機側で180度回転設定を解除して、すなわち0度回転させたイメージで製版することも可能である。
【0095】
図17のように、印刷機側で設定されている用紙Pのサイズが、孔版原紙側の原稿イメージMより大きい場合であって、イメージMの180度回転設定をした際には、用紙Pの搬送方向終端Pbに原稿イメージMの先端が位置するよう製版し、印刷を行う。
【0096】
逆に、図18のように、印刷機側で設定されている用紙Pのサイズが、孔版原紙側の原稿イメージMより小さい場合であって、イメージMの180度回転設定をした際には、用紙Pの搬送方向終端Pbに原稿イメージMの先端が位置するよう製版すると共に、用紙Pからはみ出るイメージ部分については、製版せず、印刷を行う。
【0097】
(7)用紙サイズの一致確認
印刷機で設定されている用紙サイズの搬送方向長さと、実際に印刷中に搬送される用紙から検出される搬送方向長さを比較し、一致しない場合、印刷処理を一時停止させ、用紙サイズが異なる旨と、印刷処理を継続するか否かの選択とを、操作パネルに表示する。たとえば、「用紙サイズが異なりますが、このまま印刷を続行してよろしいでしょうか?」「はい、いいえ」等の内容を表示する。これに対し、ユーザーが印刷継続を選択すると、そのまま印刷処理を再開する。一方、ユーザーが印刷継続しないことを選択すると、操作パネルにおいて、用紙サイズ選択画面を表示し、ユーザーに用紙サイズの変更を設定させる。これによると、用紙サイズが異なっていた場合に生じ易い用紙ジャム等を防止でき、また、ユーザーが意図して異なる用紙を使用している場合には、そのまま印刷を続行することが可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 印刷機本体
2 給紙部
3 紙受け部
5 操作パネル(操作部)
6 印刷部
7 製版部
8 排版部
10 排紙部
11 反転再給紙部
14 制御部
51 ストッパー
52 側縁ガイド
54 U字形成用の用紙支持部材
55 専用紙受けトレイ
56 テープ式区分け装置
70 用紙有無センサー
71 専用紙受けトレイ有無センサー
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機に関し、特に、印刷された用紙が積載される紙受け部に、印刷する用紙サイズに対応する収納寸法の専用紙受けトレイが載置可能となっている、印刷機に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば孔版印刷機は、一般に、用紙を一枚ずつ供給する給紙部と、該給紙部から供給された用紙を印刷する印刷部と、印刷された用紙を排出する排紙部と、該排紙部から排出された印刷済みの用紙を積載する紙受け部と、前記各部の駆動を制御する制御部と、該制御部に各種印刷情報並びに前記各部の駆動及び停止信号を入力する操作部と、を備えている。
【0003】
上記孔版印刷機において、印刷済みの用紙を、きれいに揃えて積載した状態で紙受け部から取り出し、移動し、保管あるいは別の処理ができるようにするために、紙受け部上に、印刷する用紙に対応する収納寸法の専用紙受けトレイを載置可能とし、この専用紙受けトレイ毎、積載用紙を移動できるようにした孔版印刷機が開発されている(特許文献1)。
【0004】
従来、紙受け部に設置されているストッパー及び側縁ガイドは、用紙サイズがA3乃至B5程度の用紙に対しては、それらの寸法に対応する位置に自動的にあるいは手動により簡単に調節できるが、封書や葉書等、寸法の小さい印刷物(用紙)の場合には、位置調節が困難な構造となっていることが多い。そのような場合に、上記のような専用紙受けトレイを使用することにより、綺麗に揃った状態に積載でき、かつ、専用紙受けトレイと共に簡単に別の場所に移すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−63026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、孔版印刷機の紙受け部には、前回の印刷時に取り忘れた用紙と、今回印刷する用紙とが混ざり合わないように、紙受け部上に残っている印刷済み用紙の有無を検出する用紙有無センサーが設けられているものがあり、上記用紙有無センサーにより、紙受け部上の残存用紙を検出した時には、たとえ操作部において印刷開始を指令しても、次の印刷処理が禁止されるようになっている。
【0007】
ところが、紙受け部に用紙が残存していない場合であっても、前記専用紙受けトレイを載置すると、用紙有無センサーは用紙が残存していると誤認し、その検出結果に基づいて、印刷が開始できないことがある。
【0008】
本発明は、紙受け部に前回の印刷用紙が残存した状態で、次の用紙の印刷が開始されるのを防ぐことができると共に、専用紙受けトレイを設置した場合に、たとえ用紙有無センサーが専用紙受けトレイを残存用紙と誤認しても、支障なく次の印刷を開始できる印刷機を提供することを、目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、用紙を一枚ずつ供給する給紙部と、該給紙部から供給された用紙を印刷する印刷部と、印刷された用紙を排出する排紙部と、該排紙部から排出された印刷済みの用紙を積載する紙受け部と、前記各部の駆動を制御する制御部と、該制御部に各種印刷情報並びに前記各部の駆動及び停止信号を入力する操作部と、を備え、前記紙受け部に、印刷する用紙に対応する収納寸法の専用紙受けトレイが載置可能となっている、印刷機において、前記紙受け部は、排出される用紙が積載される紙受け台と、排出される用紙の排出方向の先端位置を規制すると共に用紙排出方向の位置が変更可能なストッパーと、排出される用紙の排出幅方向の両側縁位置を規制すると共に排出幅方向の位置が変更可能な一対の側縁ガイドと、前記紙受け台上の用紙の有無を検出する用紙有無センサーと、を備え、前記制御部は、前記用紙有無センサーが前記紙受け部内の用紙を検出している時には印刷処理を禁止し、一方、前記用紙有無センサーが前記紙受け台上に載置された前記専用紙受けトレイを検出している時であっても、前記操作部から、あるいは前記紙受け部に設置された専用紙受けトレイ有無センサーから、専用紙受けトレイ設置信号が入力されている場合には、印刷処理を許可する。
【0010】
本発明は上記印刷機において、好ましくは、次の構成を備える。
(a)前記制御部は、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、前記側縁ガイド及び前記ストッパーを、前記専用紙受けトレイの載置領域から外れた所定位置に位置させる。好ましくは、前記側縁ガイド及びストッパーの所定位置は、載置される専用紙受けトレイの用紙排出幅方向の外側面及び排出側の先端面に当接する位置又はその近傍位置である。
【0011】
(b)前記制御部は、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、印刷作業中、前記ストッパーの排出方向のジョガー動作を停止する。
【0012】
(c)前記紙受け部は、前記紙受け台の上面より上方に突出して用紙をU字状に支持する支持位置と、前記紙受け台の上面より下方に退いた退避位置と、の間で昇降可能な用紙支持部材を備え、前記制御部は、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、前記用紙支持部材を前記退避位置に位置させる。
【0013】
(d)単一の印刷部と、前記印刷部により用紙の表面が印刷された後に前記紙受け部に排出され積載された用紙を、裏面が印刷されるように前記印刷部に反転供給する反転再給紙部と、を備えた両面印刷機において、前記用紙の表面の印刷前に、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、前記表面が印刷されて前記専用紙受けトレイに排出され積載された時点で、印刷処理を停止する。
【0014】
(e)用紙の表裏両面が印刷可能な印刷機において、単一の前記印刷部と、前記印刷部により用紙の表面が印刷された後に前記紙受け部に排出され積載された用紙を、裏面が印刷されるように前記印刷部に反転供給する反転再給紙部と、を備えており、前記制御部は、前記用紙の表面の印刷後、前記紙受け部に排出され積載された用紙が前記反転再給紙部に移送され、再給紙される前に、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、印刷処理を継続する。
【0015】
(f)紙受け部には、紙受け台上に積載される用紙を所定枚数毎に区分けテープを挿入して区分けする区分け装置が設けられており、前記制御部は、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、前記区分け装置による区分け作業を無効にするようなっている。この場合、前記制御部は、さらに、前記操作部の操作により、前記区分け装置による区分け作業の無効化を解除することができる。
【発明の効果】
【0016】
(1)本発明によると、紙受け部に専用紙受けトレイを設置した場合に、たとえ用紙有無センサーが専用紙受けトレイを残存用紙と誤認して検出しても、操作部から、あるいは専用紙受けトレイ有無センサーからの専用紙受けトレイ設置信号により、前記用紙有無センサーによる用紙検出が無効にされ、印刷処理が可能な状態に維持されるので、専用紙受けトレイを設置しても、支障なく、速やかに印刷作業を開始できる。
【0017】
(2)構成(a)によると、専用紙受けトレイが設置された場合に、前記側縁ガイド及びストッパーは、専用紙受けトレイの載置領域から外れた所定位置に位置させられるので、側縁ガイド及びストッパーが専用紙受けトレイの設置の邪魔になることがない。特に、所定位置を、専用紙受けトレイの外周側面に当接する位置またはその近傍位置に設定すると、印刷作業中、装置の振動あるいは排出用紙の衝突による専用紙受けトレイの位置ずれを防止でき、排出される用紙を円滑に専用紙受けトレイ内に収納することができる。
【0018】
(3)構成(b)によると、専用紙受けトレイが設置されている場合に、ストッパーのジョガー動作を停止するようにしているので、無駄な動作及びエネルギーの浪費を避けることができる。
【0019】
(4)構成(c)によると、専用紙受けトレイが設置されている場合に、用紙をU字状に支持する用紙支持部材は、紙受け台の上面よりも下方に退避しているので、用紙支持部材が専用紙受けトレイの設置の邪魔になることがなく、専用紙受けトレイを安定した状態で紙受け台上に載置できる。
【0020】
(5)構成(d)によると、単一の前記印刷部と、反転再給紙部と、を備えた両面印刷機において、用紙の表面印刷前に、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合に、表面印刷済みの用紙が紙受け部に積載された時点で印刷処理を停止するので、紙受け部からストッパーにより反転再給紙部に積載用紙を移載する時に、専用紙受けトレイが積載用紙と共にストッパーにより押し込まれるというような事態を未然に防止できる。
【0021】
(6)構成(e)によると、単一の前記印刷部と、反転再給紙部と、を備えた両面印刷機において、用紙の表面印刷後に、専用紙受けトレイを設置した場合に、印刷処理が滞ることなく、スムーズに裏面も印刷することができる。
【0022】
(7)専用紙受けトレイを設置した場合に、区分けテープで区分けすると、専用紙受けトレイの上端縁に区分けテープが引っ掛かり、区分け作業が困難になる可能性があると共に、その後に排出される用紙が先に引っ掛かったテープに邪魔されて、専用紙受けトレイに上手く積載されず、積載不良となる恐れがあるが、構成(f)によると、前記区分け作業を無効化することにより、上記不都合を解消することができる。また、専用紙受けトレイの寸法自体が、テープによる区分け作業に支障の無いものであると確認した場合には、操作部の操作により、区分け作業の無効化を解除し、区分けテープによる区分け作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る孔版印刷機の側面略図である。
【図2】図1の孔版印刷機の制御系を示すブロック図である。
【図3】図1の孔版印刷機の専用紙受けトレイの斜視図である。
【図4】図1の孔版印刷機の紙受け部の斜視図である。
【図5】図4の紙受け部のストッパーの駆動系を示す斜視図である。
【図6】図4の紙受け部の側縁ガイドの駆動系を示す斜視図である。
【図7】図4の紙受け部のU字形成用の用紙支持部材の斜視図である。
【図8】操作パネルの表示画面の一例を示す図である。
【図9】専用紙受けトレイを使用しない両面印刷作業の表面印刷前の状態を示す孔版印刷機の側面略図である。
【図10】図9の状態の後、表面印刷を終了した状態を示す孔版印刷機の側面略図である。
【図11】図10の状態の後、用紙を反転再給紙部へ移載した状態を示す孔版印刷機の側面略図である。
【図12】専用紙受けトレイを使用する印刷作業の印刷前の状態を示す孔版印刷機の側面略図である。
【図13】図12の状態の後、印刷作業を行っている状態を示す孔版印刷機の側面略図である。
【図14】専用紙受けトレイを使用する場合の専用紙受けトレイと、ストッパー及び側縁ガイドとの位置関係の一例を示す平面図である。
【図15】本発明の別の実施の形態であり、専用紙受けトレイ有無センサーを備えた紙受け台及び専用紙受けトレイの斜視図である。
【図16】同一の孔版原紙により、用紙の表裏を共に印刷する場合における用紙の印刷状態を示す図である。
【図17】印刷用紙が印刷イメージの設定範囲より大きい場合に、印刷イメージを180度回転させて印刷する工程を示す平面図である。
【図18】印刷用紙が印刷イメージの設定範囲より小さい場合に、印刷イメージを180度回転させて印刷する工程を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1乃至図14は本発明の一実施の形態を示しており、これらの図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
[孔版印刷機の全体構成]
図1は本発明に係る孔版印刷機の側面略図であり、印刷機本体1の用紙搬送方向の両端部に、給紙部2と紙受け部3とを備えており、説明の都合上、給紙部2を配置してある側(図面の左側)を孔版印刷機の「後」と称し、紙受け部3を配置してある側(図面の右側)を孔版印刷機の「前」として、以下説明する。
【0026】
印刷機本体1の上側には画像読取装置4が設けられており、該画像読取装置4により製版用の原稿を読み取ることができる。印刷機本体1の上端部の操作側には、操作パネル(操作部)5が設けられており、該操作パネル5では、キー操作により、印刷開始、印刷停止及び各種印刷条件の設定等の入力を行うことができる。上記操作パネル5に隣接して、あるいは操作パネル5と一体的に、孔版印刷機の各部を制御するための制御部14が設けられている。
【0027】
印刷機本体1内には、前後方向の概ね中間部に印刷部6が設けられ、該印刷部6の後上方に製版部7が設けられ、印刷部6の前上方に排版部8が設けられ、印刷部6と紙受け部3との間に排紙部10が設けられ、印刷部6及び排紙部10の下方に反転再給紙部11が設けられている。また、給紙部2と印刷部6との間にタイミングローラ13が設けられている。
【0028】
印刷部6は、インク供給ローラ(図示せず)が内接すると共に矢印R方向に回転駆動する印刷用版胴20と、該印刷用版胴20に下方から当接自在に対向する上下方向移動可能な押圧ローラ21と、を備え、印刷用版胴20と押圧ローラ21との間で印刷用紙Pを挟持し、搬送することにより、印刷用紙Pの上面に印刷するようになっている。
【0029】
給紙部2は、印刷用紙Pを積載する給紙台23と、給紙ローラ24と、捌き台25等を備えており、給紙台23上に積載されている印刷用紙Pを、給紙ローラ24及び捌き部材25により、上から一枚ずつタイミングローラ13へ供給する。タイミングローラ13は、用紙Pの所定位置に印刷できるように、印刷用版胴20の回転と同期タイミングで作動し、印刷用紙Pを印刷部6へ送り込む。
【0030】
排紙部10は、エア吸引式ベルト搬送機構を備えており、印刷用紙Pを排紙ベルト26上に吸着し、前方の紙受け部3へ排出する。
【0031】
製版部7は、孔版原紙ロール30と、サーマルヘッド31と、該サーマルヘッド31に当接するプラテンローラ32と、を備えており、画像読取装置4で読み取られた画像のデータに基づき、孔版原紙ロール30をサーマルヘッド31で製版し、製版後の孔版原紙Nを印刷部6の印刷用版胴20の外周面に装着する。
【0032】
排版部8は、ハウジング35内に、上下一対の引き込みローラ36と原紙収納ロール37とを備えている。引き込みローラ36は、印刷用版胴20の前上端部に対応する位置に位置しており、印刷用版胴20の外周面に装着されている印刷使用後の孔版原紙Nの先端部を挟持し、ハウジング35内に引き込み、原紙収納ロール37に印刷使用後の孔版原紙Nを巻き付ける。
【0033】
反転再給紙部11は、表面印刷済み用紙Pが積載される昇降可能な再給紙トレイ40と、該再給紙トレイ40上の用紙Pを最上位から1枚ずつ取り出し搬送する再給紙ローラ42及び捌き部材43と、再給紙ローラ42から搬送された用紙Pを、表裏反転状態にしてタイミングローラ13に送り込む複数対の中間搬送ローラ44と、を備えている。すなわち、再給紙トレイ40上の用紙Pを、再給紙ローラ42、捌き部材43及び中間搬送ローラ44によって、最上位から1枚ずつ、タイミングローラ13へ送り込む。
【0034】
紙受け部3は、印刷済み用紙Pが積載される紙受け台50と、排紙部10から排出される用紙Pの先端(前端)を受け止めるストッパー51と、用紙幅に略等しい間隔で用紙Pの左右両側縁を規制する左右一対の側縁ガイド(手前側の側縁ガイドは省略)52と、紙受け台50上に積載される用紙PをU字状に維持する用紙支持部材54とを備えると共に、各印刷用紙Pに対応した寸法を有する箱状の専用紙受けトレイ55が、紙受け台50上に取り替え自在に載置できるようになっている。また、紙受け台50の後端には、印刷機本体1の前端との間に昇降可能な堰き止め板79が配置され、さらに、紙受け部3の後端部の一側方には、紙受け台50上に積載される用紙Pを、所定の枚数毎に区分けするテープ式区分け装置56が配置されている。該テープ式区分け装置56は、テープ出口56aから所定タイミングでテープTを繰り出すことにより、所定枚数毎にテープTを用紙間に挟み込むようになっている。
【0035】
[紙受け部3の詳細]
図3乃至図7は紙受け部3の詳細を示しており、図3は専用紙受けトレイ55の斜視図、図4は紙受け部3の全体を後上方から見た斜視図、図5はストッパー51及びその駆動系を示す斜視図、図6は側縁ガイド52及びその駆動系を示す斜視図、図7はU字形成用の用紙支持部材54及びその駆動系を示す斜視図である。
【0036】
図3において、専用紙受けトレイ55は、所定寸法の用紙(たとえば葉書や封筒)Pのサイズに略相当するサイズに製作されており、前壁55aと、左右側壁55bと、後壁55cとを有し、後壁55cは前壁55aよりも低く形成され、これにより後方から用紙Pを投入し易くなっている。専用紙受けトレイ55は、たとえば厚紙あるいはプラスチックでできている。このような専用紙受けトレイ55は、葉書や手紙用の寸法のものだけでなく、A6乃至A3等の寸法のものも各種用意されており、紙受け台50上に取り替え自在に載置できる。
【0037】
図4において、左右一対の側縁ガイド52は紙受け台50の上面に対して略垂直姿勢に立設されており、各側縁ガイド52の排出幅方向(左右方向)の内面には、排出幅方向の内方に突出する筋状突起52aが形成されている。各筋状突起52aは側縁ガイド52の略上端から下端まで上下方向に延びると共に、前後方向に所定間隔を置いて複数枚形成されている。
【0038】
U字形成用の用紙支持部材54は、用紙排出幅方向に間隔を置いて2列に配列されており、紙受け台50の上面から突出して用紙をU字状に支持する支持位置(図の位置)と、前記紙受け台50の上面より下方に退いた退避位置と、の間で昇降可能となっている。上記支持位置の用紙支持部材54の上端縁は、用紙排出幅方向の中央側が低くなるように傾斜しており、これにより、紙受け台50上の用紙をU字状に支持するようになっている。
【0039】
ストッパー51は、紙受け台50の用紙排出幅方向の中央部に配置され、用紙搬出方向(前後方向)に位置調節自在、かつ、ジョガー動作可能なように、前後に揺動可能となっている。
【0040】
図5において、ストッパー51の駆動系は、用紙排出方向(前後方向)に延びる左右一対のガイド軸60と、用紙排出方向に沿って敷設された駆動ベルト61と、前後一対のプーリ又はギヤ62と、モータ63等とを備えており、ストッパー51の下端部は、前記ガイド軸60に前後方向移動自在に支持されると共に駆動ベルト61に連結されている。従って、モータ63の回転により、プーリ62及び駆動ベルト61を介してストッパー51を前後方向に移動させることができる。
【0041】
図6において、側縁ガイド52の駆動系は、左右一対のモータ65と、各モータ65に減速機構66を介して連動連結された左右の駆動ベルト67と、を備えており、各モータ65の回転により、減速機構66及び駆動ベルト67を介して、左右の側縁ガイド52を左右幅の中心線に対して対称に移動するようになっている。
【0042】
図7はU字形成用の用紙支持部材54の駆動系を示しており、各用紙支持部材54は、左右幅の中央側の端部が、前後方向に延びる回動軸69に固定されており、該回動軸69を回動することにより、前記支持位置と退避位置との間で位置変更されるようになっている。
【0043】
[制御系]
図1において、紙受け台50内には、紙受け台50上の用紙Pの有無を検出する光式の用紙有無センサー70が配置されており、排紙部10の前端部近傍には、排紙部10から排出される用紙Pの前端を検出する光式の用紙端縁センサー71が配置されている。また、上記センサーの他に、図示しないが、給紙部及び印刷機本体1内には、同様の用紙紙有無センサーが配置されている。
【0044】
図2は、制御系のブロック図であり、紙受け部3の用紙有無センサー70、排紙部10の用紙端縁センサー71及び操作パネル5が、制御部14の入力部に電気的に接続されている。また、制御部14の入力部には、外部のコンピュータ72及び外部メモリ73も接続可能となっている。制御部14の出力部には、製版部7、排版部8、給紙部2、印刷部6、排紙部10及び紙受け部3の各駆動系が電気的に接続されている。特に紙受け部3では、側縁ガイド52、ストッパー51、用紙支持部材54及びテープ式区分け装置56の駆動系がそれぞれ電気的に接続されている。
【0045】
操作パネル5には、各種印刷情報の表示と共に、製版開始の操作キー、印刷開始及び印刷停止の操作キー、両面印刷及び片面印刷の選択キー、並びに用紙の寸法及び紙質等の各種印刷条件を設定するキー等が表示され、あるいは設けられている。
【0046】
紙受け部3の用紙有無センサー70は、孔版印刷機を立ち上げた時、あるいは操作パネル5の操作により印刷開始指令が出された時に、紙受け部3内に用紙Pが残存しているか否かを検出光により確認し、残存用紙を検出した場合には、操作パネル5にエラーメッセージを表示すると共に、印刷を禁止するようになっている。上記エラーメッセージの一例として、「「紙受け台に用紙がある場合、用紙を取り除いて下さい。」と言うメッセージと、「側縁ガイドが折り畳まれている場合、側縁ガイドを起ててセットして下さい。」というメッセージとが、交互に表示される。
【0047】
そして該実施の形態では、専用紙受けトレイ55の設置が可能となっている孔版印刷機において、前記紙受け部3上に専用紙受けトレイ55が設置されていることを知らせる専用紙受けトレイ設置信号が、操作パネル5の操作により入力される構成となっている。すなわち、孔版印刷機を立ち上げた時、あるいは印刷開始指令を出した時に、図8に示すように、専用紙受けトレイ55を使用するか否かを選択する画面が表示されるようになっており、これに対し、作業者は、専用紙受けトレイ55を使用するか否かを選択する。
【0048】
たとえば、図8の表示画面において、「専用紙受けトレイ」を「使用しない」を選択した場合には、紙受け部3の用紙有無センサー70は通常通り作動する。すなわち、孔版印刷機の立ち上げ時、又は印刷開始あるいは製版開始指令時に、紙受け台3上に用紙が残存していることを検出した場合には、印刷処理を禁止するようになっており、用紙が残存していることを検出しない場合には、印刷処理を許可するようになっている。印刷処理の禁止としては、給紙部2、印刷部6、排紙部10、反転再給紙部11及び紙受け部3を停止状態に維持し、印刷処理の許可としては、前記各部の印刷処理動作を行う、あるいは可能にする。
【0049】
一方、図8の表示画面において、「専用紙受けトレイ」を「使用する」を、選択した場合には、前記用紙有無センサー70の検出を無効とする。すなわち、紙受け台50上に専用紙受けトレイ56を設置することにより、用紙有無センサー70が残存用紙有りと誤認しても、印刷作業が開始できるようになっている。
【0050】
また、操作パネル5において、所望の用紙サイズを設定した場合には、その設定サイズに応じ、紙受け部3の側縁ガイド52及びストッパー51の位置が自動で調節されるようになっている。
【0051】
(専用紙受けトレイ55を使用しない場合の両面印刷作業)
(1)図9に示すように、孔版印刷機を立ち上げ、給紙台23上に所定サイズの用紙Pを積載し、操作パネル5により、各種印刷条件を設定する。たとえば、用紙の寸法及び印刷枚数等を入力すると共に、両面印刷及び片面印刷の選択画面において、両面印刷を選択する。さらに、操作パネル5には、図8のような専用紙受けトレイ55の選択画面が表示されるので、「専用紙受けトレイ」を「使用しない」を選択する。これにより、用紙有無センサー70は有効に作動する状態に維持される。すなわち、紙受け部3に用紙Pが残存している場合には、操作パネル5に、「紙受け台に用紙がある場合、用紙を取り除いて下さい。」と言う表示と、「側縁ガイドが折り畳まれている場合、側縁ガイドを起ててセットして下さい」という表示が、交互に表示される。このエラーメッセージが出た場合には、作業者は、紙受け台50上の残存用紙Pを寄り除くか、あるいは側縁ガイド52を所定位置に立てる。
【0052】
(2)新たに製版を行う場合には、製版キーを操作することにより、図1の製版部7において表面印刷用の孔版原紙Nが製版される。すなわち、製版部7は、画像読取装置4で読み取られた画像(表面画像)のデータに基づき、孔版原紙ロール30をサーマルヘッド31で製版し、製版後の孔版原紙Nを印刷部6の印刷用版胴20の外周面に装着する。
【0053】
次に、操作パネル5の印刷開始キーを操作することにより、実質的に印刷処理が開始される。すなわち、給紙台23に積載された用紙Pは、最上位から1枚ずつ取り出され、タイミングローラ13により、所定タイミングで印刷部6へ送り込まれる。
【0054】
印刷部6では、印刷用版胴20と押圧ローラ21との間で用紙Pが挟持され、該用紙Pは、前方に搬送されつつ、印刷用版胴20内から供給されるインクにより、孔版原紙Nの表面画像が用紙Pの上面(表面)に転写される。
【0055】
印刷部6で表面が印刷された用紙Pは、排紙部10により前方に排出され、紙受け部3の紙受け台50上に積載される。この場合、用紙有無センサー70は自動的に無効状態となっており、紙受け台50上に用紙Pが排出されたとしても、印刷が停止することはない。また、ストッパー51のジョガー動作を設定している場合には、用紙Pが紙受け部3に排出される毎に、用紙端縁センサー71により用紙Pの排出位置を検知し、該検知時点から所定時間の間隔を置いて、ストッパー51が前後に振動し、ジョガー動作を行う。これにより、用紙Pの前端が綺麗に揃えられてゆく。所定枚数の表面印刷が終了すると、図10のように、それら総ては、一旦、紙受け台50に積載された状態になる。
【0056】
表面印刷終了後は、排版部8において、引き込みローラ36が印刷用版胴20の表面印刷使用後の孔版原紙Nを引き込み、原紙収納ロール37に表面印刷使用後の孔版原紙Nを巻き付ける。
【0057】
印刷用版胴20から表面印刷使用後の孔版原紙Nが取り除かれると共に、製版部7では、画像読取装置4で読み取られた裏面印刷用の画像(裏面画像)のデータに基づき、孔版原紙ロール30をサーマルヘッド31で製版し、製版後の孔版原紙Nを印刷部6の印刷用版胴20の外周面に装着する。
【0058】
裏面の製版及び印刷用版胴20への装着が終了すると、紙受け部3において、後端の堰き止め板79が上昇すると共に、ストッパー51が後方に移動し、図11に示すように、紙受け台50上の積載用紙Pを、再給紙トレイ40上に移載する。
【0059】
再給紙トレイ40上に移載された後は、自動的、あるいは操作パネル5による裏面印刷開始キーにより、裏面印刷が開始される。すなわち、再給紙トレイ40が上昇し、再給紙トレイ40上の積載用紙Pは、再給紙ローラ42及び捌き部材43により、最上位から1枚ずつ取り出され、中間搬送ローラ44により、印刷済み表面が下面になるように表裏反転した状態で、タイミングローラ13に供給され、タイミングローラ13から印刷部6に供給され、裏面が印刷される。
【0060】
印刷部6で裏面が印刷された用紙Pは、排紙部10により、再度紙受け部3に排出され、紙受け台50上に積載される。
【0061】
(専用紙受けトレイ55を使用する場合の片面印刷作業)
(1)葉書等の片面印刷において、専用紙受けトレイ55を使用する場合には、孔版印刷機を立ち上げた後、印刷指令を行う前に、図8に示す専用紙受けトレイ55の選択画面において、「専用紙受けトレイ」を「使用する」を選択する。これにより、用紙有無センサー70の検出は無効となる。すなわち、図12のように紙受け台50上の所定位置に専用排紙トレイ55を載置しても、前述のような用紙残存のエラーメッセージが表示されることはなく、印刷処理が可能な状態に維持される。
【0062】
(2)また、上記のように、「専用紙受けトレイ」を「使用する」を選択した場合には、用紙支持部材54は退避位置に下降し、紙受け台50の上面が、専用紙受けトレイ55を安定して載置できる状態になり、また、ストッパー51のジョガー動作並びにテープ式区分け装置56の作動も禁止状態になる。なお、操作部5の操作により、テープ式区分け装置56による区分け作業の無効化を解除することはできる。
【0063】
(3)さらに、専用紙受けトレイ55の使用の設定と共に、印刷条件において、葉書を設定することにより、紙受け部3の側縁ガイド52及びストッパー51は、図14に示すように、専用紙受けトレイ55の左右側壁55b及び前壁55aに接触あるいは略接触する位置まで移動し、専用紙受けトレイ55の移動を規制する。なお、専用紙受けトレイ55の後壁55cは堰き止め板79に接触あるいは略接触している。
【0064】
(4)製版工程及び印刷工程は、前記専用紙受けトレイを使用しない場合と同様である。すなわち、図12において、製版工程では、製版部7において、前記同様に孔版原紙Nが製版され、印刷部6の印刷用版胴20の外周面に装着される。そして、印刷工程では、図13のように、給紙台23に積載された用紙(葉書)Pは、最上位から1枚ずつ取り出され、タイミングローラ13により、所定タイミングで印刷部6へ送り込まれ、印刷部6において、印刷用版胴20と押圧ローラ21との間で挟持され、搬送されつつ、印刷される。
【0065】
(5)そして、印刷済みの用紙Pは排紙部10から前方に排出され、紙受け台50上の専用紙受けトレイ55内に順次投入され、積載される。印刷された所定枚数の用紙(葉書)は、総て専用紙受けトレイ55内に収納されているので、作業者は、専用紙受けトレイ55と一緒に、紙受け台50上から積載用紙Pを取り出し、運搬することができる。
【0066】
このように、印刷前に「専用紙受けトレイ」を「使用する」を選択しておくことにより、専用紙受けトレイ55を紙受け台50に設置しても、用紙有無センサー70が無効となっているので、支障なく、速やかに印刷作業を行うことができる。
【0067】
(専用紙受けトレイ55を使用する両面印刷作業)
両面印刷において、表裏両面を印刷した後の印刷用紙Pを最終的に専用紙受けトレイ55に収納する作業を行う場合には、表面印刷時には、専用紙受けトレイ55を載置せず、表面印刷後、紙受け台50から反転再給紙部11に表面印刷済みの用紙を移動した後、紙受け台50上に専用紙受けトレイ55を載置して、裏面を印刷し、最終的に表裏両面が印刷された用紙を、専用紙受けトレイ55に収納することになる。
【0068】
ところが、作業者が、表面印刷前に専用紙受けトレイ55を載置した場合には、表面印刷後、紙受け台50から再給紙トレイ40に積載用紙Pを移載する時に、専用紙受けトレイ55も一緒にストッパー51で後方へ押すことになり、移載が出来ず、専用紙受けトレイ55が潰れてしまうという事態が発生する恐れがある。
【0069】
そこで、表面印刷前に、両面印刷に設定し、かつ、「専用紙受けトレイ」を「使用する」を選択した場合には、一例として、専用紙受けトレイ55を載置せずに表面印刷し、印刷用紙Pが紙受け部3に積載されるまでの間は、専用排紙トレイ設置信号を無効として、用紙有無センサー70を有効状態に維持し、反転再給紙部11に表面印刷済みの用紙Pを移載した時点で一旦印刷処理を停止し、かつ、用紙有無センサー70が無効状態となるように制御する。
【0070】
そして、反転再給紙部11に表面印刷済みの用紙Pが積載され、停止した状態の時に、紙受け台50上に専用紙受けトレイ55を設置するが、操作パネル5において、裏面印刷継続のキーを操作することにより、裏面の印刷作業を再開し、専用紙受けトレイ55に収納させる。
【0071】
上記両面印刷作業の制御は、該実施の形態の孔版印刷機における一例であり、他の制御として、「専用紙受けトレイ」を「使用する」を設定した場合には、両面印刷を選択できないように構成することも可能である。この場合は、たとえば、片面印刷により、葉書の表面を印刷し、続いて、紙受け台50上の葉書を、上下逆にして給紙台23上に戻し、再度、片面印刷により、裏面を印刷することもできる。
【0072】
「その他の実施の形態」
(1)上記実施の形態では、操作パネル5のキー操作により、専用紙受けトレイ設置信号を入力する構成としているが、図15に示すように、紙受け台50に、専用紙受けトレイ55の設置の有無を検出する光式の専用紙受けトレイ有無センサー80を設置し、該専用紙受けトレイ有無センサー80が専用紙受けトレイ55を検出した時に、専用紙受けトレイ設置信号を制御部14に入力するように構成することもできる。専用紙受けトレイ有無センサー80は、たとえば、紙受け台50の上面より低い位置に、用紙排出幅方向に検出光を発する発光部80aと、該発光部80aに対して用紙排出幅方向に対向する受光部80bとを備え、一方、専用紙受けトレイ55の底壁には、下方に突出する遮光板81を形成し、専用紙受けトレイ55を紙受け台50の所定位置に載置した時に、遮光板81で検出光を遮断することにより、専用紙受けトレイ55が載置されたことを検出し、専用紙受けトレイ載置信号を、制御部14に入力するのである。
【0073】
図15のような専用紙受けトレイ有無センサー80を設置し、該専用紙受けトレイ有無センサー80により専用紙受けトレイ設置信号を入力する形態において、印刷条件として両面印刷を設定し、かつ、専用紙受けトレイ55を表面印刷開始前に紙受け台50に載置した場合には、所定数の表面印刷済みの用紙が紙受け台50に積載された時点で、孔版印刷機の作動を停止させる。これにより、紙受け台50上の専用紙受けトレイ55が、ストッパー51により後方に押されて、潰されるという事態が発生するのを防止できる。
【0074】
一方、表面印刷後、紙受け台50から積載用紙Pが再給紙トレイ40に移載された時点で、紙受け台50上に専用紙受けトレイ55を載置した場合には、継続して裏面印刷処理が行われるように制御される。
【0075】
(2)前記実施の形態では、「専用紙受けトレイ」を「使用する」を選択した場合には、図14のように、専用紙受けトレイ55の後壁55cが堰き止め板79に略接触し、側縁ガイド52及びストッパー51が、専用紙受けトレイ55の側壁55b及び前壁55aに接触する程度の位置に移動させられるが、側縁ガイド52を左右に最も離れた位置に移動し、かつ、ストッパー51を最前端位置まで移動して、専用紙受けトレイ55の設置の邪魔にならないようにすることもできる。
【0076】
(3)両面印刷可能な孔版印刷機としては、前記実施の形態の他に、表面印刷用と裏面印刷用の2個の印刷用版胴を備え、1回の搬送行程により、表裏両面を順次印刷できる孔版印刷機や、印刷領域を前後に分割した一枚の孔版原紙を使用して、反転再給紙することにより、1回の搬送行程により表裏両面を印刷する孔版印刷機等があり、本発明はそのような両面孔版印刷機にも適用可能である。特に、そのような両面孔版版印刷機では、給紙した用紙は、1度の搬送の中で表裏に印刷が施された後に紙受け部3に排紙されるため、表面印刷前に専用紙受けトレイ55を載置しておいても、専用紙受けトレイ55がストッパー51により潰されることは発生せず、そのまま両面印刷が可能である。
【0077】
[制御の参考例]
上記各制御に加え、本件実施の形態あるいは一般的な印刷機において、次のような制御を設定することも可能である。
【0078】
(1)区分け制御
両面印刷モードにおいて、区分け設定がなされた場合、たとえば全150枚を所定の50枚ずつ3組に区分けする等の設定がなされた場合には、表面印刷時には区分けを行わず、再給紙により裏面が印刷された後、最終的に紙受け部に排出される時に、区分け作業が行われる。上記区分けの態様は、紙受け台上での排出用紙の積載位置を、所定枚数毎に用紙排出方向あるいは用紙排出幅方向にずらしたり、所定枚数毎に、一時的に印刷を中断することにより、用紙を取り出す時間、あるいは用紙間に付せん紙を貼る時間を確保したりする。用紙の位置をずらす作業は、紙受け部及び印刷機本体側の各ストッパーの用紙排出方向(前後方向)の位置を変更したり、紙受け台の用紙排出幅方向の位置を変更することにより、行うことができる。このように、両面印刷モードにおいて、表裏両面の印刷が完了した後のみ、区分け作業を行うことにより、表面印刷時における無駄な区分け作業を省き、両面印刷作業の能率を上げることができる。
【0079】
(2)インターバル制御
両面印刷モードの時に、インターバル設定がなされ、かつ、インターバルを一枚ずつ行うモードが選択されている場合には、表面印刷時及び裏面印刷時のいずれにおいても、一枚ずつ任意の時間を開けて印刷を行うように制御する。
【0080】
インターバル設定とは、給紙作業において給紙を一時的に停止することにより、給紙間隔を調整するものであり、給紙部を一時的に停止する(たとえば10秒間)が、印刷用版胴は空転状態に維持される。このようなインターバル印刷は、はがき等の印刷の場合に、裏写りを防止するため、インク乾燥時間並びにインク遮断用の吸湿紙を挟み込む時間等を確保することを目的としている。
【0081】
一方、両面印刷モードの時に、インターバル設定がなされ、かつ、インターバルを、前記区分けに対応する所定枚数毎に行うモードが選択されている場合には、表面印刷時には通常通り、インターバルのない印刷を行い、再給紙部により再度給紙され、裏面が印刷される時に、区分けタイミングで、任意の時間を開けてインターバル印刷を行う。
【0082】
(3)テープ式区分け装置による区分け制御
前記実施の形態でも説明しているが、テープ式区分け装置56を使用する区分け設定がされた場合には、表面印刷時には通常通りの印刷(区分けをしない印刷)が行われ、反転再給紙部により再度給紙され、裏面が印刷される時に、区分けタイミングでテープ式区分け装置から供出されるテープを用紙間に差し挟むことになる。この場合、テープを挿入する時間を確保するために、必要な時間、インターバル制御を行うことができる。
【0083】
(4)重送検知制御
用紙の重送を光透過率等で検出する重送センサーを備え、重送を検知した場合に、前記テープ式区分け装置を利用して、重送箇所にテープを挿入する制御を行うことが可能であるが、両面印刷モードにおいて、表面印刷時に重送を検知した場合には、一旦印刷を停止すると共に操作パネルに重送エラーを表示し、一方、裏面印刷時に重送を検知した場合には、重送用紙を紙受け装置に排出する直前又は直後に、テープを挿入するように制御する。
【0084】
なお、テープ式区分け装置を備えていない印刷機で両面印刷する場合には、表面印刷時及び裏面印刷時にかかわらず、重送を検出した時に、その都度印刷を停止すると共に操作パネルに重送エラーを表示する。
【0085】
(5)片面印刷モード及び両面印刷モードの自動切り替え制御
外部のコンピュータ又は外部メモリから受信し又は読み出した印刷データには、通常、両面印刷/片面印刷等の印刷動作指定データが含まれているが、上記のように受信し又は読み出した印刷動作指定データと、印刷機で現在指定されている印刷動作モードとが一致していない場合には、印刷機側の印刷動作モードを、前記受信し又は読み取った印刷動作指定データに合う印刷動作モードに自動的に切り換える。
【0086】
たとえば、前回の印刷作業が片面印刷モードで行われ、印刷機が片面印刷モードに維持されている場合に、今回、外部コンピュータ等から受信した印刷データが両面印刷モードを指定している場合には、印刷機を両面印刷モードに切り換えるのである。反対に、前回の印刷作業が両面印刷モードで行われ、印刷機が両面印刷モードに維持されている場合に、今回、外部コンピュータ等から受信した印刷データが片面印刷モードを指定している場合には、印刷機を片面印刷モードに切り換える。
【0087】
ただし、印刷データが両面印刷モードであっても、片面1頁しかない場合や、複数頁データであっても最終頁且つ奇数ページデータを印刷する場合には、片面印刷モードに切り換える。たとえば、印刷データとして、全7ページであって、かつ、両面印刷をしている場合、1頁乃至6頁までは両面印刷を実行し、7頁は、片面しか印刷しないので、この頁を印刷する時には、片面印刷に切りかわる。
【0088】
さらに、両面印刷であっても、表面と裏面とを同一の版(画像)で印刷するモードが指定されている場合には、片面1頁しかない場合や、複数頁データであっても最終頁且つ奇数ページデータを印刷する場合には、両面印刷モードに切り換える。
【0089】
たとえば、図16の(a)(b)のように、イメージA及びBを印刷した表裏用の2枚のA4原稿を、一枚のA3原紙に製版し、図16の(c)(d)のように、同一のA3原紙により、A3用紙の表裏両面を印刷する。そして、図16の(e)のように、両面印刷後のA3用紙を二つにカットすることにより、同様なA4の印刷済み用紙が2枚できる。また、ノートや便箋など罫線付きのものにも適用できる。これらの場合、孔版原紙は表裏印刷時に取り替える必要はない。
【0090】
外部メモリ等から読み出した印刷データに従って印刷機の印刷動作モードが切り換わった場合でも、製版が行われるまでは、ユーザーが任意の印刷動作モードに切換設定できる。たとえば、印刷用紙として裏紙を使用する場合には、未印刷面のみに片面印刷することしか出来ないので、ユーザーは任意に片面印刷に切り換える。
【0091】
(6)再製版時の画像の180度回転
印刷機の制御部の記憶部に記憶されている印刷データを用いて再製版する場合や、外部コンピュータから出力される印刷データや外部メモリ(USBメモリ)に保存された印刷データを受信し、又は読み出して製版する場合において、ユーザーが操作パネルを操作することにより、画像を、180度回転させて製版できるようにする。すなわち、ユーザーの判断により、孔版原紙の印刷先端と印刷終端とが逆に製版できるようする。
【0092】
画像の印刷先端側に黒ベタ画像部分が存在する場合、その印刷方向の状態で製版し、印刷を行うと、印刷用紙の搬送先端部に黒ベタが印刷されることになるが、黒ベタ部分にはインクが一面に付着しているため、印刷ドラムから剥がれず、いわゆる巻き上がりジャムが生じることがある。これに対し、黒ベタ部分が印刷用紙の搬送終端部に形成されるように、製版方向を180度変更することにより、巻き上がりジャムを防止できる。
【0093】
また、両面印刷時に、裏面を製版する前に用紙の綴じ方向(短辺綴じ又は長辺綴じ)の設定が変更された場合や、裏面印刷した結果を見て綴じ方向の間違いに気付いて、両面印刷を中断して綴じ方向の設定を変更した場合には、その綴じ方向に応じて裏面イメージを製版方向又は製版方向と直交する方向に180度回転させて製版し、裏面印刷する。
【0094】
受信し、または読み取った印刷データには、イメージの回転設定情報(0度回転、90度回転、180度回転又は270度回転)が含まれており、そのうち、180度回転するデータが受信され、又は読み取られた場合には、180度回転したイメージを製版する。また、180度回転設定情報を含む印刷データに対し、印刷機側で180度回転設定を解除して、すなわち0度回転させたイメージで製版することも可能である。
【0095】
図17のように、印刷機側で設定されている用紙Pのサイズが、孔版原紙側の原稿イメージMより大きい場合であって、イメージMの180度回転設定をした際には、用紙Pの搬送方向終端Pbに原稿イメージMの先端が位置するよう製版し、印刷を行う。
【0096】
逆に、図18のように、印刷機側で設定されている用紙Pのサイズが、孔版原紙側の原稿イメージMより小さい場合であって、イメージMの180度回転設定をした際には、用紙Pの搬送方向終端Pbに原稿イメージMの先端が位置するよう製版すると共に、用紙Pからはみ出るイメージ部分については、製版せず、印刷を行う。
【0097】
(7)用紙サイズの一致確認
印刷機で設定されている用紙サイズの搬送方向長さと、実際に印刷中に搬送される用紙から検出される搬送方向長さを比較し、一致しない場合、印刷処理を一時停止させ、用紙サイズが異なる旨と、印刷処理を継続するか否かの選択とを、操作パネルに表示する。たとえば、「用紙サイズが異なりますが、このまま印刷を続行してよろしいでしょうか?」「はい、いいえ」等の内容を表示する。これに対し、ユーザーが印刷継続を選択すると、そのまま印刷処理を再開する。一方、ユーザーが印刷継続しないことを選択すると、操作パネルにおいて、用紙サイズ選択画面を表示し、ユーザーに用紙サイズの変更を設定させる。これによると、用紙サイズが異なっていた場合に生じ易い用紙ジャム等を防止でき、また、ユーザーが意図して異なる用紙を使用している場合には、そのまま印刷を続行することが可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 印刷機本体
2 給紙部
3 紙受け部
5 操作パネル(操作部)
6 印刷部
7 製版部
8 排版部
10 排紙部
11 反転再給紙部
14 制御部
51 ストッパー
52 側縁ガイド
54 U字形成用の用紙支持部材
55 専用紙受けトレイ
56 テープ式区分け装置
70 用紙有無センサー
71 専用紙受けトレイ有無センサー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を一枚ずつ供給する給紙部と、該給紙部から供給された用紙を印刷する印刷部と、印刷された用紙を排出する排紙部と、該排紙部から排出された印刷済みの用紙を積載する紙受け部と、前記各部の駆動を制御する制御部と、該制御部に各種印刷情報並びに前記各部の駆動及び停止信号を入力する操作部と、を備え、前記紙受け部には、印刷する用紙に対応する収納寸法の専用紙受けトレイが載置可能となっている、印刷機において、
前記紙受け部は、排出される用紙が積載される紙受け台と、排出される用紙の排出方向の先端位置を規制すると共に用紙排出方向の位置が変更可能なストッパーと、排出される用紙の排出幅方向の両側縁位置を規制すると共に排出幅方向の位置が変更可能な一対の側縁ガイドと、前記紙受け台上の用紙の有無を検出する用紙有無センサーと、を備え、
前記制御部は、前記用紙有無センサーが前記紙受け部内の用紙を検出している時には印刷処理を禁止し、一方、前記用紙有無センサーが前記紙受け台上に載置された前記専用紙受けトレイを検出している時であっても、前記操作部から、あるいは前記紙受け部に設置された専用紙受けトレイ有無センサーから、専用紙受けトレイ設置信号が入力されている場合には、印刷処理を許可する、ことを特徴とする印刷機。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷機において、
前記制御部は、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、前記側縁ガイド及び前記ストッパーを、前記専用紙受けトレイの載置領域から外れた所定位置に位置させる、印刷機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の印刷機において、
前記制御部は、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、印刷作業中、前記ストッパーの排出方向のジョガー動作を停止する、印刷機。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の印刷機において、
前記紙受け部は、前記紙受け台の上面より上方に突出して用紙をU字状に支持する支持位置と、前記紙受け台の上面より下方に退いた退避位置と、の間で昇降可能な用紙支持部材を備え、
前記制御部は、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、前記用紙支持部材を前記退避位置に位置させる、印刷機。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の印刷機において、
前記用紙の表裏両面が印刷可能な両面印刷機能を有する印刷機。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷機において、
単一の前記印刷部と、
前記印刷部により用紙の表面が印刷された後、前記紙受け部に排出され積載された用紙を、裏面が印刷されるように前記印刷部に反転供給する反転再給紙部と、を備えており、
前記制御部は、前記用紙の表面の印刷前に、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、前記表面が印刷されて前記専用紙受けトレイに排出され積載された時点で、印刷処理を停止する、印刷機。
【請求項7】
請求項5に記載の印刷機において、
単一の前記印刷部と、
前記印刷部により用紙の表面が印刷された後に前記紙受け部に排出され積載された用紙を、裏面が印刷されるように前記印刷部に反転供給する反転再給紙部と、を備えており、
前記制御部は、前記用紙の表面の印刷後、紙受け部に排出され積載された用紙が前記反転再給紙部に移送され、再給紙される前に、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、印刷処理を継続するようになっている、印刷機。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一つに記載の印刷機において、
紙受け部には、前記紙受け台上に積載される用紙に対し、所定枚数毎に区分けテープを挿入するテープ式区分け装置が設けられており、
前記制御部は、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、前記区分け装置による区分け作業を無効にする、印刷機。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷機において、
前記制御部は、前記操作部の操作により、前記区分け装置による区分け作業の無効化を解除する、印刷機。
【請求項10】
請求項2に記載の印刷機において、
前記側縁ガイドの所定位置は、載置される専用紙受けトレイの排出幅方向の外側面に当接する位置又はその近傍位置である、印刷機。
【請求項1】
用紙を一枚ずつ供給する給紙部と、該給紙部から供給された用紙を印刷する印刷部と、印刷された用紙を排出する排紙部と、該排紙部から排出された印刷済みの用紙を積載する紙受け部と、前記各部の駆動を制御する制御部と、該制御部に各種印刷情報並びに前記各部の駆動及び停止信号を入力する操作部と、を備え、前記紙受け部には、印刷する用紙に対応する収納寸法の専用紙受けトレイが載置可能となっている、印刷機において、
前記紙受け部は、排出される用紙が積載される紙受け台と、排出される用紙の排出方向の先端位置を規制すると共に用紙排出方向の位置が変更可能なストッパーと、排出される用紙の排出幅方向の両側縁位置を規制すると共に排出幅方向の位置が変更可能な一対の側縁ガイドと、前記紙受け台上の用紙の有無を検出する用紙有無センサーと、を備え、
前記制御部は、前記用紙有無センサーが前記紙受け部内の用紙を検出している時には印刷処理を禁止し、一方、前記用紙有無センサーが前記紙受け台上に載置された前記専用紙受けトレイを検出している時であっても、前記操作部から、あるいは前記紙受け部に設置された専用紙受けトレイ有無センサーから、専用紙受けトレイ設置信号が入力されている場合には、印刷処理を許可する、ことを特徴とする印刷機。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷機において、
前記制御部は、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、前記側縁ガイド及び前記ストッパーを、前記専用紙受けトレイの載置領域から外れた所定位置に位置させる、印刷機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の印刷機において、
前記制御部は、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、印刷作業中、前記ストッパーの排出方向のジョガー動作を停止する、印刷機。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の印刷機において、
前記紙受け部は、前記紙受け台の上面より上方に突出して用紙をU字状に支持する支持位置と、前記紙受け台の上面より下方に退いた退避位置と、の間で昇降可能な用紙支持部材を備え、
前記制御部は、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、前記用紙支持部材を前記退避位置に位置させる、印刷機。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の印刷機において、
前記用紙の表裏両面が印刷可能な両面印刷機能を有する印刷機。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷機において、
単一の前記印刷部と、
前記印刷部により用紙の表面が印刷された後、前記紙受け部に排出され積載された用紙を、裏面が印刷されるように前記印刷部に反転供給する反転再給紙部と、を備えており、
前記制御部は、前記用紙の表面の印刷前に、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、前記表面が印刷されて前記専用紙受けトレイに排出され積載された時点で、印刷処理を停止する、印刷機。
【請求項7】
請求項5に記載の印刷機において、
単一の前記印刷部と、
前記印刷部により用紙の表面が印刷された後に前記紙受け部に排出され積載された用紙を、裏面が印刷されるように前記印刷部に反転供給する反転再給紙部と、を備えており、
前記制御部は、前記用紙の表面の印刷後、紙受け部に排出され積載された用紙が前記反転再給紙部に移送され、再給紙される前に、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、印刷処理を継続するようになっている、印刷機。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一つに記載の印刷機において、
紙受け部には、前記紙受け台上に積載される用紙に対し、所定枚数毎に区分けテープを挿入するテープ式区分け装置が設けられており、
前記制御部は、前記専用紙受けトレイ設置信号が入力された場合には、前記区分け装置による区分け作業を無効にする、印刷機。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷機において、
前記制御部は、前記操作部の操作により、前記区分け装置による区分け作業の無効化を解除する、印刷機。
【請求項10】
請求項2に記載の印刷機において、
前記側縁ガイドの所定位置は、載置される専用紙受けトレイの排出幅方向の外側面に当接する位置又はその近傍位置である、印刷機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−28017(P2013−28017A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164435(P2011−164435)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】
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