説明

印刷物検査装置及び印刷物検査方法

【課題】印刷物とセンサヘッドとの微小距離を維持しながら容易かつ正確に印刷物検査を行う。
【解決手段】台盤に載置された印刷物の磁気特性を計測する磁気センサ及び光学特性を計測する光学センサの少なくともいずれか一つのセンサ、及び当該センサが配置された検知面から台盤又は台盤に載置された印刷物までの距離を非接触で計測する距離センサを有するヘッドユニットと、当該ヘッドユニット又は台盤を移動させることによりヘッドユニットと台盤との間の距離を調整する位置調整部と、距離センサによる距離計測結果に基づいてヘッドユニットの検知面から台盤又は台盤に載置された印刷物までの距離を所定距離に保つように位置調整部を制御する制御部とにより印刷物検査装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷物の印刷状態を検査する印刷物検査装置及び印刷物検査方法に関し、特に、余白部を挟んで複数の印刷原画を規則的に並べて印刷した大判印刷物の印刷状態を表面の磁気特性及び光学特性に基づいて検査する印刷物検査装置及び印刷物検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大量の印刷物を印刷する方法として、原画となる一つの印刷対象物を一枚ずつ印刷するのではなく、同一の印刷対象物を規則的に並べた大判原画を大判用紙に印刷して、得られた大判印刷物から各印刷対象物を切り出して印刷物を作成する方法が知られている。このような大判印刷物の検査を行う装置として、例えば、特許文献1では、インクが未乾燥の大判印刷物からインクが有する磁気特性を検出する印刷物検査装置が開示されている。
【0003】
大判印刷物の磁気特性に係る検査は、印刷物検査装置の備える台盤上に載置された大判印刷物の表面を、磁気ヘッドにより走査することによって行われる。走査時には、磁気ヘッドと大判印刷物表面との間を微小距離に保ちつつ、大判印刷物を汚さないように磁気ヘッドが大判印刷物に接触することを防止する必要がある。このため、特許文献1の印刷物検査装置では、磁気ヘッドを備えるヘッドユニットに複数のローラを設けて、大判印刷物上でローラを走行させながらヘッドユニットを移動させることにより、磁気ヘッドと大判印刷物との間を所定の微小距離に保っている。ヘッドユニットにより大判印刷物を走査するときは、ローラが大判印刷物上の余白部分を走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4228038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の印刷物検査装置では、大判印刷物とヘッドユニットとの間の距離を所定距離とするための煩雑な調整作業が必要となることや、ローラによって印刷物表面を汚す場合がある等の問題があった。以下に、かかる従来技術の問題点を具体的に記載する。
【0006】
印刷物検査を行うヘッドユニットには、印刷物の磁気特性を計測するための磁気センサに加えて光学特性を計測するためのラインセンサ等が設けられる場合がある。センサの数が増えて大型化したヘッドユニットを支持しながら大判印刷物との間の微小距離を保ちつつ安定した状態で走査するためには、複数のローラが必要となる。例えば特許文献1の印刷物検査装置では、ヘッドユニットに片側3個ずつ合計6個のローラが設けられている。ヘッドユニットと大判印刷物との間の距離はこれらのローラの取付位置によって調整されるので、全てのローラの取付位置をμm単位で調整する作業が必要になる。
【0007】
これらのローラは、大判印刷物の余白部上を走行するように取り付けられている。ところが大判印刷物上で各印刷対象物が印刷される位置にバラツキがあると、ローラが、印刷対象物が印刷されたインクの上を走行してしまう場合がある。大判印刷物は、未乾燥の状態で検査される場合があるため、ローラがインクの上を走行すると印刷された部分が汚れて印刷対象物を利用できなくなることがある。
【0008】
また、ローラは、余白部分を走行するように間隔を調整してヘッドユニットに取り付けられているが、その間隔は固定されている。検査対象が変更されて、印刷対象物のサイズが大きくなると、間隔が固定されたローラが、印刷対象物が印刷されたインクの上を走行することになるので印刷された部分が汚れてしまう。このため検査対象となる印刷対象物のサイズが変更されると、これに伴ってローラの間隔も調整する必要がある。
【0009】
また、ローラが、台盤上に載置された大判印刷物の端部に達して大判印刷物と台盤との段差を通過する際に振動が生じ、正確な計測を行えない場合がある。様々なインクを利用した印刷物に対応するため、ヘッドユニットが、異なる波長で光学特性を計測する複数のラインセンサを備える場合がある。このような場合には、ヘッドユニットがさらに大型化して重量も増加するので、大判印刷物の端部の段差を通過する際の振動の影響も無視できないものになっている。
【0010】
また、ヘッドユニットの重量を支えながら回転するローラによって大判印刷物が引っ張られ、台盤上にセットされた大判印刷物の位置がずれて正確な計測ができなくなったり、大判印刷物の一部が波打ってセンサヘッドに接触し、印刷された部分が汚れてしまう場合がある。特に、ヘッドユニットの重量が増加すると、このようなずれや波打ちが起こりやすくなる。
【0011】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、大判印刷物とセンサヘッドとの間の微小距離を維持しながら、容易かつ正確に印刷物検査を行うことができる印刷物検査装置及び印刷物検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、略平坦な計測面を有する非磁性体からなる台盤と台盤の計測面に載置された印刷物との間の微小間隔を保持しつつ印刷物を走査することにより磁気特性を計測する磁気センサ又は光学特性を計測する光学センサの少なくともいずれか一つを有するとともに磁気センサ及び/又は光学センサが配置された検知面から計測面又は計測面に載置された印刷物までの距離を非接触で計測する距離センサを有するヘッドユニットと、ヘッドユニット又は台盤を移動させることによりヘッドユニットと台盤との間の距離を調整する調整部と、距離センサによる距離計測結果に基づいて台盤の計測面又は計測面に載置された印刷物からヘッドユニットの検知面までの高さを所定距離に保つように位置調整部を制御する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、距離センサによって予め計測された台盤の計測面の三次元形状を台盤形状データとして記憶する記憶部をさらに備え、制御部は記憶部に記憶された台盤形状データに基づいて位置調整部を制御してヘッドユニットの高さを制御することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、制御部は距離センサによる距離計測結果に基づいて位置調整部を制御してヘッドユニットの高さをリアルタイムに制御することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、ヘッドユニットは検知面に複数のエアー噴出口をさらに有し、制御部はエアー噴出口から台盤の計測面に載置された印刷物に向けてエアーを吹き付けるとともに印刷物端縁近傍の所定領域ではエアー噴出口からのエアーの吹き付けを停止するよう制御することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、爪部を有し、台盤に載置された印刷物より爪部が上方にある開放位置と、この開放位置から下降して爪部により印刷物を固定する固定位置との間で移動可能に設けられ、爪部の上面が台盤の計測面と略同一平面上又は当該略同一平面より下方となる固定位置では爪部により印刷物端縁近傍の一部を湾曲させて固定するクランプをさらに備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、距離センサはレーザ光を利用した非接触距離計であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、磁気センサ及び光学センサの少なくともいずれか一つのセンサが配置されたヘッドユニットの検知面から台盤又は台盤の計測面に載置された印刷物までの距離を非接触で計測する距離計測工程と、距離計測工程により計測された距離に基づいてヘッドユニット又は台盤を移動させて台盤の計測面又は計測面に載置された印刷物からヘッドユニットの検知面までの高さを所定距離に調整する高さ調整工程と、高さ調整工程により調整された所定高さで磁気センサによる台盤に載置された印刷物の磁気特性の検査と光学センサによる印刷物の光学特性の検査との少なくともいずれか一つを行う検査工程を含んだことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記発明において、台盤の計測面全面を走査して非接触で計測した台盤形状データを保存するデータ保存工程をさらに含み、高さ調整工程は、データ保存工程で保存された台盤形状データに基づいてヘッドユニット又は台盤を移動させて、ヘッドユニットと台盤との間の距離を所定距離に調整することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上記発明において、高さ調整工程が、距離計測工程の実行時にリアルタイムに実行されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、非接触式の距離センサによりヘッドユニットと台盤上の印刷物との間の距離を計測し、ヘッドユニット位置調整部によりヘッドユニットと印刷物との間が所定距離を維持するように調整することにより、従来装置のようにヘッドユニットを支持するローラを不要としたので、ローラの取付け位置調整等の煩雑な作業が不要となり、印刷物と台盤計測面との段差による振動等の影響もなく、ローラによって印刷物を汚すこともない。また非接触で高さを調整しながらヘッドユニットを移動させることができるので、ヘッドユニットと印刷物との間を所定距離に保ちつつ容易かつ正確に印刷物検査を行うことができる。
【0022】
また、本発明によれば、予め台盤形状を計測した台盤形状データを記憶部に保存しておき、印刷物検査時には台盤形状データに基づいてヘッドユニットの位置を制御するので、台盤形状による影響を受けることなく容易かつ正確に印刷物検査を行うことができる。
【0023】
また、本発明によれば、距離センサによって計測した距離に基づいてヘッドユニットの位置をリアルタイムに制御するので、台盤形状の計測等を事前に行わずとも、容易かつ正確に印刷物検査を行うことができる。
【0024】
また、本発明によれば、ヘッドユニットの検知面に設けられたエアー噴出口から台盤の計測面に載置された印刷物へ吹き付けるエアーを、印刷物の端縁部を含む所定領域で停止するよう制御するので、吹き付けられたエアーによって印刷物が浮き上がってヘッドユニットと接触して印刷物が汚れることがなく、容易かつ正確に印刷物検査を行うことができる。
【0025】
また、本発明によれば、ヘッドユニットが通過する位置に設けられたクランプの上面が、固定位置において印刷物検査時に台盤と略同一平面を形成するか又は略同一平面より低い位置となるので、印刷物との間で微小距離を維持しながら移動するヘッドユニットがクランプの位置に移動してきた際にも、ヘッドユニットとクランプが接触することを回避して、容易かつ正確に印刷物検査を行うことができる。
【0026】
また、本発明によれば、非接触距離センサとしてレーザ距離計を利用するので、高分解能で高速にヘッドユニットとクランプとの間の距離を計測して、容易かつ正確に印刷物検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、印刷物検査方法の概要を示す図である。
【図2】図2は、印刷物検査装置の外観図である。
【図3】図3は、印刷物のクランプ機構を説明する図である。
【図4】図4は、印刷物検査装置の構成概略を示すブロック図である。
【図5】図5は、ヘッドユニットの高さ調整を行う第1方法を示すフローチャートである。
【図6】図6は、ヘッドユニットの高さ調整を行う第2方法を示すフローチャートである。
【図7】図7は、大判印刷物の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る印刷物検査装置及び印刷物検査方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では本発明に係る印刷物検査装置が、大判印刷物を検査対象とする場合について説明するが、検査対象は大判印刷物に限らず印刷物全般とすることができる。
【0029】
また、以下では、本実施例に係る印刷物検査方法の概要について図1及び図7を用いて説明した後に、本発明に係る印刷物検査方法を適用した印刷物検査装置について図2から図6を用いて説明することとする。
【0030】
まず、本実施例に係る印刷物検査方法の概要について説明する。図1は、本発明に係る印刷物検査方法の概要を示す図である。なお、同図には、本発明に係る印刷物検査方法を適用した印刷物検査装置10の一部のみを示している。また、同図の(A)には、印刷物検査装置10の俯瞰図を、同図の(B)には、ヘッドユニット11を大判印刷物100側からみた図を、同図の(C)には、ヘッドユニット11をY軸正方向及びX軸正方向から見た断面の模式図を、それぞれ示している。
【0031】
図1に示したように、本実施例に係る印刷物検査方法は、レーザ距離計11a、複数の磁気センサ11b、及び複数のラインセンサ11cを有するヘッドユニット11を用いて計測した磁気特性及び表面光学特性に基づいて、大判印刷物100の印刷物検査を行うものである。
【0032】
ヘッドユニット11は、X軸用駆動モータ1a、Y軸用駆動モータ1b及びZ軸用駆動モータ1cによって構成されるヘッドユニット位置調整部15によって、その位置を制御される。ヘッドユニット位置調整部15については後述する。
【0033】
ヘッドユニット11は、Z軸用駆動モータ1cによって方向5c(Z軸正方向及び負方向)に移動可能なZ軸用可動部2c経由で、X軸用可動部3aに接続されている。X軸用可動部3aは、X軸用ガイド2a上を、X軸用駆動モータ1aによって方向5a(X軸正方向及び負方向)へ移動制御される。また、X軸用ガイド2aは、Y軸用可動部3bに接続されており、Y軸用可動部3bは、Y軸用ガイド2b上を、Y軸用駆動モータ1bによって方向5b(Y軸正方向及び負方向)へ移動制御される。
【0034】
すなわち、ヘッドユニット11は、図1に示したX軸、Y軸及びZ軸の各々に沿って移動自在に設けられている。例えば、同図に示した走査方向200へ、大判印刷物100を走査する場合には、Y座標を固定したうえで、X座標の走査開始位置でヘッドユニット11と大判印刷物100との間が所定距離となる位置までヘッドユニット11を下降させる。このときヘッドユニット11と大判印刷物100との間の距離はヘッドユニット11に備えられたレーザ距離計11aによって計測して調整される。そして、X座標を変化させることでヘッドユニット11を走査方向200へ移動させる。
【0035】
つづいて、X座標の走査終了位置に達したら、ヘッドユニット11を上昇させ、ヘッドユニット11のY座標を変更しつつX座標を走査開始位置まで戻し、ヘッドユニット11を再び所定高さまで下降させて次の走査を開始する。
【0036】
ここで、検査対象となる大判印刷物100について図7を用いて説明する。図7は、大判印刷物100の一例を示す図である。同図には、X方向にA〜Cまでの3列、Y方向に1〜3までの3行の計9(3×3)枚の印刷対象物101が印刷された大判印刷物100を示している。なお、大判印刷物100の外周部分及び各印刷対象物101間には、インクによる印刷がなされない余白部が、それぞれ設けられている。
【0037】
そして、上述したように、X方向の走査を行う場合には、例えば、図7における第1行の左端でヘッドユニット11を下降させて第1行の走査を開始し、第1行の右端までの走査が終了したならば、ヘッドユニット11を上昇させる。なお、例えばヘッドユニット11内に磁気センサ11bのY方向の位置をずらす機構を設けることとすれば、磁気センサ11bをずらして走査する手順を繰り返すことで、第1行の走査を複数回にわたって行うことも可能である。そして、第1行のすべての走査が完了したならば、ヘッドユニット11を上昇させた状態で第2行の左端でヘッドユニット11を下降させ、第2行の走査を開始することになる。
【0038】
図1(B)に示したように、ヘッドユニット11を大判印刷物100側からみると、左側からX軸方向に2つのラインセンサ11cが配置されている。赤外線及び紫外線の2種類の検査光を利用して、各検査光による光学特性を計測するためのセンサである。また複数の磁気センサ11bがY軸方向に並ぶように配置されている。磁気センサ11bは、大判印刷物100上の磁気特性を計測するためのセンサである。またヘッドユニット11の移動方向200(X軸正方向)先端、すなわち大判印刷物100を検査する際に、ヘッドユニット11の先頭となる位置に、複数のレーザ距離計11aがY軸方向に並ぶように配置されている。レーザ距離計11aは、ヘッドユニット位置調整部15によってヘッドユニットの高さ方向(Z軸方向)の位置を調整する際に、磁気センサ11b及びラインセンサ11cと、大判印刷物100との間の距離を計測するために利用される。
【0039】
図1(B)に示すように、各磁気センサ11bには6個の穴が設けられている。また磁気センサ11bとラインセンサ11cとの間、2つのラインセンサ11cの間、及びヘッドユニット11の移動方向200後端の各位置にも、Y軸方向に並ぶ6個の穴が配置されている。これらの穴は、大判印刷物100へ空気を吹き付けるためのエアー噴出口14a〜14eである。
【0040】
図1(C)は、Y軸正方向から見た場合とX軸正方向から見た場合のヘッドユニット11断面の模式図を示している。同図から分かるように、Y軸方向に並んで配置された各エアー噴出口はヘッドユニット11内でY軸方向に連結されており、かつ、X軸方向に並ぶ各エアー噴出口14a〜14eは互いに独立して設けられている。すなわち、Y軸方向に並ぶ6個のエアー噴出口を1列として、X軸方向に6列のエアー噴出口14a〜14eが設けられ、各列毎にエアー噴出の開始及び停止を制御できるようになっている。
【0041】
各列のエアー噴出口14a〜14eから大判印刷物100に対して吹き付けられるエアーはエアーコンプレッサ14から供給される圧縮エアーである。図1(C)に示したように各エアー噴出口14a〜14eから方向300へ向けてエアーが吹き付けられることで、大判印刷物100の波打ちやしわが矯正される。これにより、磁気センサ11b及びラインセンサ11cと大判印刷物100との間隔を適正に保つことができる。エアーは、チューブやパイプ等の図示しない流路を経由して、ヘッドユニット11のY軸負方向側の側面から導かれて各エアー噴出口14a〜14eから噴出される。
【0042】
このように、本発明に係る印刷物検査方法では、複数の磁気センサ11bと複数のラインセンサ11cとをヘッドユニット11に対して設け、かかるヘッドユニット11を用いて大判印刷物100を走査することにより印刷物の検査を行う。
【0043】
したがって、1回の走査で、広い範囲の磁気特性及び光学特性を計測することができる。本実施形態では、方向300への1回の走査で、ラインセンサ11cによって1枚の印刷対象物101の全体の画像を生成し、かつ、磁気センサ11bによって磁気特性を計測することができる。このため、走査回数を減らすことが可能となり、大判印刷物100全体に要する検査時間を短縮することができる。
【0044】
次に、本実施例に係る印刷物検査装置10の外観について図2を用いて説明する。同図に示すように、印刷物検査装置10には、大判印刷物100を載置するための台盤21が設けられている。
【0045】
また、台盤21の上方には、図1で説明したヘッドユニット11が設けられている。なお、表示・操作部28は、ディスプレイ等の表示部と、キーボード等の操作部とを備えており、印刷物検査装置10に対する指示を入力したり、印刷物検査装置10による検査結果を表示したりするために利用される。表示・操作部28として例えばコンピュータ装置を利用することができる。
【0046】
台盤21は、上面が平坦となるように加工されたガラス等の非磁性体から構成されている。そして、台盤21には、台盤21上に載置される大判印刷物100の位置決めをするための基準となるストッパ24及び27と、ストッパ24及び27によって位置決めされた大判印刷物100を固定するためのクランプ機構22及び23とが設けられている。
【0047】
図3(A)は、台盤21上に大判印刷物100を載置した際の様子を上方(Z軸正方向)から見た模式図である。印刷物検査装置10の台盤21手前側(Y軸正方向)及び奥側(Y軸負方向)には、検査を行うために台盤21上に載置された大判印刷物100を、上方から押さえるための複数のクランプ爪25a及び25bが設けられている。手前側のクランプ爪25a及び奥側のクランプ爪25bは、クランプ機構23によって連動するようになっている。具体的には、クランプ機構23のハンドルを操作することによって、図3(B)に示すように、手前側のクランプ爪25a及び奥側のクランプ爪25bが同時に上下動する。また台盤21の左側方(X軸負方向)にも、同様に大判印刷物100を押さえるための複数のクランプ爪26が設けられ、クランプ機構22のハンドルを操作することによって、図3(C)に示すように上下動するようになっている。すなわち各クランプ爪25及び26は、台盤21上に載置された大判印刷物100が移動可能な台盤21上方(Z軸正方向)の開放位置と、この開放位置から下方へ移動して台盤21上に載置された大判印刷物100を固定する固定位置との間で上下動可能に設けられている。
【0048】
また、図3(A)に示すように、台盤21手前側、クランプ爪25aの間の位置には、台盤21に載置された大判印刷物100のY軸方向の位置を位置決めするための2つのストッパ24が設けられている。また同様に、台盤21左側方、クランプ爪26の手前側(Y軸正方向)には、大判印刷物100のX軸方向の位置を位置決めするためのストッパ27が設けられている。
【0049】
クランプ機構22及び23を操作して各クランプ爪25及び26を開放位置に移動させた状態で、台盤21上に載置した大判印刷物100を手前左側へ引くことにより、手前側ではストッパ24に突き当て、左側方側ではストッパ27に突き当てて、大判印刷物100の位置決めができるようになっている。
【0050】
このとき、手前側のストッパ24に突き当たった大判印刷物100が、図3(B)に示すようにクランプ爪25によって固定されるよう、ストッパ24の位置に合わせてクランプ爪25が設けられている。また同様に、左側方のストッパ27に突き当たった大判印刷物100が、図3(C)に示すようにクランプ爪26によって固定されるよう、ストッパ27の位置に合わせてクランプ爪26が設けられている。
【0051】
手前側のクランプ爪25a及び奥側のクランプ爪25bは、開放位置でストッパ24及び27を利用して位置決めされた大判印刷物100を、固定位置で図3(B)に示すように上方から台盤21の上面へ押しつけて固定する。全てのクランプ爪25a及び25bは、クランプ機構23のハンドル操作により連動して開放位置から固定位置へ向けて下降する。
【0052】
左側方のクランプ爪26は、同様に開放位置で大判印刷物100が位置決めされた状態でクランプ機構22のハンドルを操作することにより固定位置へ移動して、図3(C)に示すように、上方から大判印刷物100の端縁部を下方へ湾曲させるようにして固定する。固定した大判印刷物100が折り曲げられて、折り目や皺ができることがないように、固定位置でもクランプ爪26と台盤21側面との間に隙間ができるようになっている。また、このとき同図に示すように、大判印刷物100を固定した状態でクランプ爪26の上面と、台盤21上に載置された大判印刷物100の表面とが略同一平面をなすようになっている。
【0053】
なお、クランプ爪26の固定位置がこれに限定されるものではなく、クランプ爪26の上面が、台盤21上に載置された大判印刷物100と略同一平面をなす位置より低い位置にあってもよい。大判印刷物100の台盤21への固定方法の違いから、手前側及び奥側のクランプ爪25は略L字型の断面形状を有しているのに対し、左側方側のクランプ爪26は略コの字型の断面形状を有している。
【0054】
台盤21の右側方にはクランプ爪は設けられていない。これは大判印刷物100と、その手前左側を基準として固定するため、大判印刷物100の大きさによって、大判印刷物100の右側端部の位置が一定とならないことを理由とする。例えば大判印刷物100のサイズが小さい場合には、ストッパ24及び27に突き当てて固定した大判印刷物100の奥側端縁部が奥側のクランプ爪25bに届かない場合がある。この場合には、大判印刷物100は、手前側のクランプ爪25a及び左側側方のクランプ爪26のみによって固定される。
【0055】
図1に示した磁気センサ11bによって、図7に示した1列目の(1,A)の印刷対象物101の検査を開始する際には、ラインセンサ11cの位置は、図3(A)に示す左側方のクランプ爪26上となる。またヘッドユニット11が大判印刷物100との間で微小距離を保ちつつ移動する検査時には、ヘッドユニット11の一部又は全部が、クランプ爪26上を通過する場合もある。しかし、検査時には、クランプ爪26の上面は、大判印刷物100表面と略同一平面をなす位置、又はそれよりも下方の固定位置に下降した状態にある。このためヘッドユニット11は、クランプ爪26に接触することなく、その上方を移動することができる。
【0056】
次に、印刷物検査装置10の内部構成について図4を用いて説明する。図4は、本実施例に係る印刷物検査装置10の構成概略を示すブロック図である。同図に示すように、印刷物検査装置10は、ヘッドユニット11と、制御部12と、記憶部13と、エアーコンプレッサ14と、ヘッドユニット位置調整部15とを備えている。
【0057】
また、ヘッドユニット11は、複数のレーザ距離計11aと、複数の磁気センサ11bと、複数のラインセンサ11cと、複数のエアー制御弁16とを備えており、制御部12は、ヘッドユニット移動制御部12aと、ヘッドユニット高さ判定部12bと、磁気検査部12cと、光学検査部12dと、エアー制御部12eとを備えている。そして、記憶部13は、台盤形状データ13aと、磁気検査用データ13bと、光学検査用データ13cとを記憶している。
【0058】
なお、エアーコンプレッサ14から送り出された圧縮エアーは、チューブやパイプといった図示しない流路を経由してヘッドユニット11へ導かれ(同図の破線矢印参照)、エアー噴出口14a〜14eから噴出される。エアーの噴出は、各エアー噴出口14a〜14eの流路に設けられたエアー制御弁16の開閉によって制御される。
【0059】
ヘッドユニット11は、レーザ距離計11a及び複数の検査用センサ(11b及び11c)を保持するユニットであり、制御部12のヘッドユニット移動制御部12aからの指示に基づいて動作するヘッドユニット位置調整部15によって、検査対象である大判印刷物100に対する相対位置を、図1に示したX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向について変化させる。またヘッドユニット11の大判印刷100側の面には、複数のエアー噴出口14c〜14eが設けられている。
【0060】
レーザ距離計11aは、大判印刷物100へ向けてレーザ光を投光して、ヘッドユニット11と大判印刷物100の間の距離を計測する機能を有する。レーザ距離計11a及び検査用センサ(11b及び11c)は、ヘッドユニット11に対して所定の位置関係で設けられているので、レーザ距離計11aによる距離計測結果に基づき、大判印刷物100と検査用センサ(11b及び11c)との間の距離を算出することができる。レーザ距離計11aとしては、例えば分光干渉型のレーザセンサ等を利用することができるが、これに限定されるものではなく、ヘッドユニット11内に内蔵できる大きさで、かつ、μm単位の精度で距離を計測することができれば他の形式のセンサであってもよい。またヘッドユニット11に設けられるレーザ距離計11aの位置は、後述する高さ制御を行うために印刷物検査時に走査する進行方向前方に設けることが望ましいが、これに限定されず他の位置に設けられてもよい。またヘッドユニット11に設けられるレーザ距離計11aの数も特に限定されない。
【0061】
磁気センサ11bは、大判印刷物100の磁気特性を計測するための交流バイアス式の磁気検知ヘッドであり、検知面、すなわち、大判印刷物100側に設けられた検知ヘッドと、この検知ヘッドに隣接しつつ大判印刷物100から隔てられたキャンセルヘッドとから構成される。磁気センサ11bの検知面には、上述した通りエアー噴出口14a及び14bが設けられている。
【0062】
ラインセンサ11cは、大判印刷物100の光学特性を計測するための、CCD(Charge Coupled Device)等の受光素子を利用したセンサである。CCDに並設されたLEDアレイ或いは半導体を用いた光源等で構成された光源ユニットにより光が照射され、大判印刷物100の表面で反射された反射光を、受光素子を利用して計測する機能を有する。また台盤21の下方にある投光素子から投光され、台盤21及び大判印刷物100を透過した透過光を計測することもできる。
【0063】
制御部12は、ヘッドユニット11と大判印刷物100の間の距離の算出、ヘッドユニット11の移動制御、磁気特性に基づく印刷物検査、光学特性に基づく印刷物検査及びヘッドユニット11から噴出するエアー制御を行う機能を有する処理部である。なお、制御部12は、例えば、CPU、当該CPUにより実行されるソフトウェアプログラム及び当該ソフトウェアプログラムを実行するCPUによって制御される各種ハードウェア等によって構成されている。各部の動作に必要なソフトウェアプログラムやデータの保存にはRAMやROM等のメモリやハードディスク等から構成される記憶部13が利用される。
【0064】
ヘッドユニット移動制御部12aは、ヘッドユニット位置調整部15を駆動して、ヘッドユニット11の移動制御を行う処理部である。またヘッドユニット位置調整部15は、上述した通り、台盤21上に載置された大判印刷物100上の任意の位置へ移動させるためのX軸用駆動モータ1a、Y軸用駆動モータ1b及びZ軸用駆動モータ1cによって構成される。ヘッドユニット移動制御部12aは、各モータ(1a、1b及び1c)又はこれと連動して回転する回転体に取り付けられたロータリーエンコーダ等の出力信号に基づいて、ヘッドユニット11の位置を認識することができるように構成されている。
【0065】
ヘッドユニット移動制御部12aは、大判印刷物100の検査を行う際に、大判印刷物100の第n行にヘッドユニット11を位置付ける。つづいて、ヘッドユニット移動制御部12aは、ヘッドユニット11をX軸方向(例えばX軸正方向)へ移動させる。このとき、ヘッドユニット11では、磁気センサ11b及びラインセンサ11cによって大判印刷物100上で走査した領域の磁気特性及び光学特性が計測される。そして1行分の計測を終えると、ヘッドユニット移動制御部12aは、ヘッドユニット11を次の行へ移動させて、その行で再びヘッドユニット11をX軸方向へ移動させる。このときヘッドユニット11では同様に磁気センサ11b及び11cによって磁気特性及び光学特性が計測される。大判印刷物100上を走査して磁気特性及び光学特性を計測する際には、ヘッドユニット11の高さ方向(Z軸方向)の位置も制御されるが、これについては後述する。
【0066】
ヘッドユニット高さ判定部12bは、ヘッドユニット11の備えるレーザ距離計11aから出力されるヘッドユニット11から台盤21又は台盤21上の大判印刷物100までの距離情報を利用して、ヘッドユニット11の高さが適正であるか否かを判定する機能を有する。ここで判定された結果は、ヘッドユニット制御部12aに入力される。そしてヘッドユニット制御部12aは入力された情報に基づいてヘッドユニット位置調整部15を制御してヘッドユニット11の高さを調整する。この処理の詳細については後述する。
【0067】
磁気検査部12cは、ヘッドユニット11で大判印刷物100上を走査して計測された磁気特性データを、記憶部13内に磁気検査用データ13bとして記録する機能を有する。また磁気検査部12cは、計測された磁気特性データと磁気検査基準データとを比較して磁気特性に係る検査を行う機能も有している。磁気検査基準データは、計測対象となる大判印刷物100で計測される磁気特性の検査基準となるデータであり、磁気検査用データ13bの一部として記憶部13に記憶されている。磁気検査部12cは、正常な大判印刷物100で計測されるべき磁気検査基準データに対して、実際に計測された磁気特性データが所定の許容範囲以内にあれば正常に印刷されているものと判定し、所定許容範囲を逸脱している場合には正常に印刷されていないと判定する。この判定結果が、大判印刷物100の印刷物検査に係る磁気特性の検査結果となる。
【0068】
光学検査部12dは、ヘッドユニット11が大判印刷物100上を走査して計測された光学特性データを、記憶部13内に光学検査用データ13cとして記録する機能を有する。また光学検査部12dは、計測された光学特性データと光学検査基準データとを比較して光学特性に係る検査を行う機能も有している。光学検査基準データは、計測対象となる大判印刷物100で計測される光学特性の検査基準となるデータであり、光学検査用データ13bの一部として記憶部13に記憶されている。光学検査部12dは、正常な大判印刷物100で計測されるべき光学検査基準データに対して、実際に計測された光学特性データが所定の許容範囲以内にあれば正常に印刷されているものと判定し、所定許容範囲を逸脱している場合には正常に印刷されていないと判定する。この判定結果が、大判印刷物100の印刷物検査に係る光学特性の検査結果となる。
【0069】
エアー制御部12eは、印刷物検査を行う際に、エアー噴出口14a〜14eから大判印刷物100へ向けて吹き付けられるエアーを制御する機能を有する。具体的には、圧縮空気を送出するエアーコンプレッサ14の送出口と各エアー噴出口14a〜14eとを接続する各流路にエアー制御弁16が設けられており、各エアー制御弁16の開閉を制御することによって、各エアー噴出口14a〜14eからの圧縮空気の噴出が制御される。ただし制御方法がこれに限定されるものではない。例えば、エアーコンプレッサ14に独立した複数の送出口を設けて、各送出口と各エアー噴出口14a〜14eとを接続し、各送出口からの圧縮空気の送出の開始及び停止を制御することによって、エアーの噴出を制御するものであってもよい。
【0070】
このように、大判印刷物100の計測を行う際に、大判印刷物100と対向するヘッドユニット11から大判印刷物100へ向けてエアーを吹き付けることで、計測時に大判印刷物100の波打ちやしわを矯正して正確な計測を行うことができる。また大判印刷物100との距離を微少距離に保ったまま大判印刷物100の走査を行う磁気センサ11b及びラインセンサ11cが、未乾燥の大判印刷物100に接触することを防止することができる。
【0071】
ヘッドユニット11は、図7に示すA列、B列というように、大判印刷物100上の印刷対象物101を順に走査しながらX軸正方向に移動して、最後にC列を計測する。このときC列の、例えば(1,C)のX軸正方向側の端部を、図1(B)に示す進行方向200後方側(X軸負方向)にあるラインセンサ11cによって計測するときには、先にこの位置を通過した先頭側(X軸正方向)にあるエアー噴出口14a〜14cが、大判印刷物100のX軸正方向の端縁部近傍、又は大判印刷物100外の位置に至っている場合がある。またヘッドユニット11が、大判印刷物100のX軸正方向側の端縁部を抜けるように、その移動を制御される場合には、各エアー噴出口14a〜14eが、14a、14b、14cと順に大判印刷物100の外側の位置へ至ることになる。
【0072】
大判印刷物100は、図3(A)を参照しながら説明した通り、X軸正方向側ではクランプ爪による固定がなされていない。そのため大判印刷物100のX軸正方向側端縁部の近傍でエアーを吹き付けると、大判印刷物100が波打ったりばたついたりして端縁部が上方(Z軸正方向)へ浮き上がる場合がある。大判印刷物100の端縁部が浮き上がるとヘッドユニット11と接触して印刷物が汚れたり、磁気特性及び光学特性を正確に計測できない可能性がある。このためエアー制御部12eは、各エアー噴出口14a〜14eの位置を認識して、この位置が、大判印刷物100の端縁部近傍、すなわち大判印刷物100と台盤21との境界を含む所定領域内にあるときは、エアーの噴出を停止するよう制御する。
【0073】
具体的には、例えば、ヘッドユニット移動制御部12aからヘッドユニット11の位置情報を取得し、磁気検査部12c又は光学検査部12dから計測中の検査対象である大判印刷物100に係る情報を取得する。磁気検査部12c及び光学検査部12dは、大判印刷物100に印刷された印刷対象物の種類に応じて検査を行うが、記憶部13内の磁気検査用データ13b及び光学検査用データ13cには、台盤21上でストッパ(24及び27)に突き当てて大判印刷物100を固定したときの、大判印刷物100の各印刷対象物及び余白部に係る位置情報も含まれている。この大判印刷物100に係る位置情報と、ヘッドユニット11に係る位置情報とに基づいて、エアー制御部12eは、各エアー噴出口14a〜14eからのエアーの吹き出しを停止するタイミングを算出し、この算出結果に基づいてヘッドユニット11内に設けられたエアー制御弁16を制御してエアーの噴出を停止する。これにより、例えば、ヘッドユニット11がX軸正方向に移動して大判印刷物100のX軸正方向端縁部に至るときは、その手前の所定位置において、エアー噴出口14aからのエアーの噴出が停止され、次にエアー噴出口14bからのエアーの噴出が停止されるというように順次エアーの噴出が停止される。そしてヘッドユニット11が移動して、計測を再開する際には、エアー制御部12eは、ヘッドユニット11が計測を開始するまでの所定タイミングで、各エアー噴出口14a〜14eからのエアーの噴出を再開する。ただし、エアー噴出の制御がこれに限定されるものではなく、測定の全期間エアーを出し続けてもよい。
【0074】
記憶部13は、ハードディスクドライブや不揮発性メモリといった記憶デバイスで構成されている。記憶部13は、上述した磁気検査用データ13b及び光学検査用データ13cに加えて、台盤形状データ13aを記憶している。また、記憶部13は、制御部12を含む各部の機能及び動作を実現するために必要な各種のプログラムやデータを記憶するために利用される。台盤形状データ13aの詳細については後述する。
【0075】
次に、レーザ距離計11a、ヘッドユニット高さ判定部12b、ヘッドユニット移動制御部12a、及びヘッドユニット位置調整部15によって、大判印刷物100の検査を行う際にヘッドユニット11の高さ方向(Z軸方向)の位置を制御する方法の詳細について説明する。
【0076】
印刷物検査装置10では、印刷物検査を行う際に、ヘッドユニット11と大判印刷物100との間を所定の微小距離に保つ必要がある。このため、印刷物検査装置10では、2つの方法でヘッドユニット11と大判印刷物100との間の距離、すなわちヘッドユニットの高さを制御することができる。以下、図5及び図6を参照しながら、各制御方法の詳細を説明する。
【0077】
図5は、ヘッドユニット11の高さを制御する第1の方法を示すフローチャートである。この方法では、印刷物検査を行う前に、予め、台盤21の大判印刷物100が載置される面(以下「計測面」と記載する)とヘッドユニット11検知面との間の距離を計測することにより計測面の3次元形状を示す台盤形状データ13aを生成して記憶部13に保存し、検査時には記憶部13内に記憶されたこの台盤形状データ13aに基づいてヘッドユニット11の高さを制御する。すなわち、予め記憶部13に記憶された台盤計測面の形状データを利用して、台盤計測面の形状に合わせてヘッドユニット11の高さを移動させる。印刷物は、台盤計測面に密着した状態で磁気特性及び光学特性を計測されるので、ヘッドユニット11の高さを台盤計測面の形状に合わせて制御することにより、ヘッドユニット11と印刷物との間の距離を所定距離に保持することができる。
【0078】
まず、ヘッドユニット移動制御部12aが、ヘッドユニット位置調整部15を制御して所定高さに固定したヘッドユニット11により台盤計測面を全体に渡って走査させて、レーザ距離計11aにより台盤21の三次元形状を計測する(ステップS1)。台盤21の計測面全体の形状をXYZ空間の3次元座標で表した台盤形状データ13aは、記憶部13に保存される。台盤形状データ13aの生成は、印刷物検査装置10の電源が投入された際、又は予め設定された所定タイミングで行われ、その後の大判印刷物100の検査に利用される。具体的には、大判印刷物100が台盤21上に固定された後、ヘッドユニット移動制御部12aによってヘッドユニット位置調整部15が制御され、ヘッドユニット11が印刷物検査を開始するための走査開始位置(X,Y,ZS00)にセットされる。ここでZS00は、台盤21の計測面全面をヘッドユニット11により走査する際に、ヘッドユニット11が台盤計測面に接触しない所定高さとされる。
【0079】
走査開始位置(X,Y)でヘッドユニット11の高さがZS00に調整された後、つづいて、ヘッドユニット高さ判定部12bは、高さを維持しながら台盤全域を走査して、各走査位置でのヘッドユニット11の位置情報(X、Y,ZSij)を取得する。具体的には、まず、走査開始位置(X,Y)で、レーザ距離計11aによりヘッドユニット11と大判印刷物100との間の距離がZS00となっていることが計測された後、引き続いてその高さを維持した状態で台盤計測面の全面を走査することにより、各走査位置での台盤計測面とヘッドユニット11の間の距離Zsijが計測される。
【0080】
そして走査開始位置に対する各走査位置での高さの調整値が、相対変化寸法ΔZsij=Zsij―ZS00として算出され、算出された調整値ΔZsijは、台盤形状データ13aとして、位置座標と関連付けて記憶部3に保存される(ステップS2)。また台盤形状データ13aには、走査開始位置(X,Y)、最右端及び最下端の座標位置等の情報も記憶される。
【0081】
次に、検査を開始する際に、初期位置(X,Y)で、レーザ距離計11aによって台盤計測面に対するヘッドユニット11の高さを実測しながら、ヘッドユニット11を所定高さZ00にセットする(ステップS3)。
【0082】
また、ヘッドユニット高さ判定部12bは、初期位置における高さデータZ00を記憶部13に記憶する(ステップS4)。そして、これ以降の処理では、高さデータZ00と、先にステップS2で記憶済みの相対変化寸法ΔZSijとを利用してヘッドユニット11の高さ調整を行う。
【0083】
このように、検査時の初期位置の高さを基準高さとして設定し、その後はヘッドユニット11の移動に伴い、その座標位置(X,Y)における相対変化寸法ΔZsijを用いてヘッドユニット位置調整部15による位置制御を行って、逐次紙面からヘッドユニット11の高さを測定して所定間隔を保つように都度調整をするという手順を実行しないので、印刷物検査を高速に行うことができる。
【0084】
走査開始位置(X,Y)からX軸正方向への走査が開始されると、ヘッドユニット高さ判定部12bは、ヘッドユニット移動制御部12aから、次の計測位置におけるヘッドユニット11の位置情報を取得する(ステップS5)。
【0085】
次に、ヘッドユニット高さ判定部12bは、次の計測位置(X,Y)に基づいて、記憶部13内の台盤形状データ13aを参照し、台盤計測面の形状情報を取得する(ステップS6)。このとき得られた台盤形状データ13aが、(X,Y,ΔZSij)であるものとして以下の説明を続ける。
【0086】
ヘッドユニット高さ判定部12bは、記憶部13から取得した台盤21形状情報(X,Y,ΔZSij)に基づいて、次の計測位置(X,Y)において必要となるヘッドユニット11の高さ調整量をΔZSijとする。すなわちΔZSijは、走査時に設定された初期位置(X,Y)と計測位置(X,Y)との台盤計測面の相対高低差を表している。
【0087】
つづいて、ヘッドユニット高さ判定部12bは、高さ調整量ΔZSijと、記憶部13に記憶した初期位置におけるヘッドユニット11のZ座標(Z00)とに基づいて、次の計測位置でヘッドユニット11を座標(X,Y,Z00+ΔZSij)にセットする様に高さ方向の移動量を計算する(ステップS7)。そして、これをヘッドユニット移動制御部12aへ入力する。
【0088】
具体的には、例えば、Z軸方向の移動にステッピングモータが使われる場合には、直前に計測を終えた計測位置の高さ(Z00+ΔZSi-1、j)から、次の計測位置の高さ(Z00+ΔZSi、j)の差分(ΔZSij−ΔZSi-1、j)に相当する数のパルスを出力することになる。この差分がマイナスの値である場合はヘッドユニット11と印刷物との間隔を縮める方向に、また、プラスの値である場合には広げる方向にヘッドユニット11を上下させる。
【0089】
ヘッドユニット移動制御部12aは、入力された移動量に基づいてヘッドユニット位置調整部15を制御してヘッドユニット11の位置を調整し、その位置を座標(X,Y,Z00+ΔZSij)へセットする(ステップS8)。
【0090】
こうしてヘッドユニット11の位置が印刷物検査を行うための所定高さ(Z+ΔZSij)にされた後、ヘッドユニット11の備える磁気センサ11b及びラインセンサ11cによって、磁気特性及び光学特性が計測される(ステップS9)。
【0091】
大判印刷物100上で印刷対象物101の走査が行われる間(ステップS11;No)、ヘッドユニット11の位置を変えながら(ステップS10)、ステップS5〜S10の処理が繰り返され、移動するヘッドユニット11の各位置において、ヘッドユニット11の位置情報と台盤計測面の台盤形状データ13aとに基づいて、ヘッドユニット11の高さが制御される。すなわちヘッドユニット11のX座標及びY座標の変化に伴って、台盤計測面の形状をなぞるようにヘッドユニット11のZ座標が制御される。これにより台盤計測面に対するヘッドユニット11の高さを、常に、所定高さに保つことができる。
【0092】
大判印刷物100上での走査を終了すると(ステップS11;Yes)、ヘッドユニット11の高さ制御に係る処理を終了する。
【0093】
このように、予め台盤計測面の三次元形状を計測して、この形状情報を記憶部13に保存しておくことにより、印刷物検査を行う際に、台盤21の計測面形状に合わせてヘッドユニット11の高さを調整し、ヘッドユニット11と大判印刷物100との間の距離を、所定距離に保つことができる。検査時にヘッドユニット11の位置を逐次測定する作業が不要であるため、高速に印刷物検査を行うことができる。またヘッドユニット11は、常に、大判印刷物100との間で所定距離を保ち、大判印刷物100に接触することがないので、未乾燥の大判印刷物100を検査する場合でも、大判印刷物100を汚すことがない。またヘッドユニット11と大判印刷物100との間の距離を、印刷物に接触するローラ等を用いずレーザを利用して非接触で計測するので、大判印刷物100と台盤21の計測面との段差等の影響を受けることもなく、印刷物検査に必要な磁気特性や光学特性を正確に計測することができる。
【0094】
次に、図6を参照しながら第2の方法について説明する。図6は、ヘッドユニット11の高さを制御する第2の方法を示すフローチャートである。この方法では、記憶部13に記憶済みの台盤計測面の形状情報等を利用するのではなく、レーザ距離計11aで計測した距離計測結果に基づいてリアルタイムにヘッドユニット11の高さを調整する。いわゆるフィードバック制御を行うものである。
【0095】
大判印刷物100が台盤21上に固定され、印刷物検査が開始されると、まず、ヘッドユニット移動制御部12aによってヘッドユニット位置調整部15が制御され、ヘッドユニット11が印刷物検査を開始するための走査開始位置(X,Y)に移動される(ステップS21)。
【0096】
次に、ヘッドユニット高さ判定部12aは、走査開始位置で、レーザ距離計11aによって計測されたヘッドユニット11と大判印刷物100との間の距離計測結果(Zij)を取得する(ステップS22)。そして、ヘッドユニット高さ判定部12bは、取得した距離計測結果に基づいて、印刷物検査を行うために、ヘッドユニット11の高さ調整が必要であるか否か、すなわち距離計測結果(Zij)が印刷物検査を行うヘッドユニット11の所定高さ(Z00)と等しいか否かを判定する(ステップS23)。
【0097】
ヘッドユニット高さ判定部12bが、高さ調整が必要である、すなわちZijとZ00とが一致しないと判定した場合には(ステップS23;Yes)、ヘッドユニット移動制御部12aが、ヘッドユニット位置調整部15を制御してヘッドユニット11の高さが所定高さ(Z00)となるように調整する(ステップS24)。
【0098】
具体的には、例えば、Z軸方向の移動にステッピングモータが使われる場合には、高さの差分(Zij−Z00)に相当する数のパルスを出力することになる。この差分がプラスの値である場合はヘッドユニット11と印刷物の間隔を縮める方向に、またマイナスの場合には広げる方向にヘッドユニット11を上下させる。
【0099】
こうしてヘッドユニット11の位置が、印刷物検査を行うための所定高さに調整された後、ヘッドユニット11の備える磁気センサ11b及びラインセンサ11cによって、磁気特性及び光学特性が計測される(ステップS25)。
【0100】
一方、ヘッドユニット高さ判定部12bが、高さ調整が不要である、すなわちZijとZ00とが一致すると判定した場合には(ステップS23;No)、ヘッドユニット11の高さ調整(ステップS24)を行わず、その位置で、ヘッドユニット11の備える磁気センサ11b及びラインセンサ11cによる磁気特性及び光学特性の計測が行われる(ステップS25)。
【0101】
ヘッドユニット11による磁気特性及び光学特性の計測後、大判印刷物100上でヘッドユニット11によって走査すべき領域が残っている場合には(ステップS27;No)、ヘッドユニット11の位置が変更される(ステップS26)。ヘッドユニット11の走査に係る処理は、図5を参照しながら説明した内容と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0102】
大判印刷物100上での印刷対象物101の走査が行われる間(ステップS27;No)、ステップS22〜S26の処理が繰り返される。そして移動するヘッドユニット11の各位置において、磁気特性及び光学特性を計測する前に、レーザ距離計11aによって計測した距離計測結果に基づいてヘッドユニット11の高さがリアルタイムに制御される。これにより台盤計測面に対するヘッドユニット11の高さを、常に、所定高さに保つことができる。
【0103】
大判印刷物100上の所定領域の走査が終了すると(ステップS27;Yes)、ヘッドユニット11の高さ制御に係る処理を終了する。
【0104】
このように、ヘッドユニット11の高さを、印刷物検査を行う際に計測した高さに基づいてリアルタイムに調整すれば、予め台盤21の計測面形状を計測する必要が無い。またヘッドユニット位置調整部15を構成するモータ等の各部に誤差が生じた場合もその影響を受けないので、計測前に校正作業等を行う必要がない。またヘッドユニット11と大判印刷物100との間の距離が常に所定距離に保たれ、ヘッドユニット11が大判印刷物100に接触することがないので、未乾燥の大判印刷物100を検査する場合でも、大判印刷物100が汚れることがない。またヘッドユニット11と大判印刷物100との間の距離の確保を、ローラを使うこと無くレーザを利用して非接触で行うので、大判印刷物100と台盤21の計測面との段差等の影響を受けることもなく、印刷物検査に必要な磁気特性や光学特性を容易にかつ正確に計測することができる。
【0105】
なお、ヘッドユニット11の高さ調整に関し、ヘッドユニット位置調整部15によってヘッドユニット11を移動させて高さ調整を行う方法を示したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、ヘッドユニット11内に、各センサ11b及び11cの高さを個別に調整可能な駆動部を設けて、この駆動部を上述したように制御して高さ調整を行ってもよい。またヘッドユニット11はXY平面上でのみ移動させ、高さ方向の調整は、ヘッドユニット11ではなく台盤21を上下に駆動する駆動部を設けて、この駆動部を上述したように制御して高さ調整を行ってもよい。
【0106】
印刷物検査装置10は、検査対象である大判印刷物100を非接触で検査することができるため、大判印刷物100に関する各物理量の計測方法に係る自由度が高いという特徴がある。このため例えば大判印刷物100が、台盤21上で、X軸に対して傾いた状態で載置されていたり、大判印刷物100はX軸に平行にセットされているにも拘わらず印刷ズレ等により印刷対象物101がX軸に対して傾いているような場合でも、各部を制御して、正確な検査を行うことが可能である。具体的には、ラインセンサ11cによって撮像した画像から、検査対象となる印刷対象物101がX軸に対して傾いていることを検知するとともに、検知した傾きからヘッドユニット11が移動すべき方向を算出して、この算出結果に基づいてヘッドユニット11の移動を制御すれば、正確に印刷物検査を行うことができる。このときヘッドユニット11をZ軸回りに回転制御する駆動部を設けて、ラインセンサ11cの移動方向に対して適切な角度となるようにヘッドユニット11を回転させれば、さらに正確な印刷物検査を行うことが可能となる。
【0107】
このようにヘッドユニット11の高さに加えて、ヘッドユニット11の移動方向、及びZ軸回りの回転角度を制御すれば、大判印刷物100又は大判印刷物100上の印刷対象物101がX軸に対して傾いている場合でも、容易かつ正確に印刷物検査を行うことができる。また大判印刷物100が傾いている場合でも正確な印刷物検査を行うことができれば、大判印刷物100を台盤21へ載置する作業が容易なものとなり、作業負担が軽減される。
【0108】
上述してきたように、本実施例では、ヘッドユニット11が検査対象である大判印刷物100に接触するローラ等の構成部材を有さず、非接触で検査を行うことができるので、未乾燥の大判印刷物100を検査する際にも大判印刷物100の表面を汚すことがない。また、大判印刷物100が載置される台盤21と、大判印刷物100表面との段差による影響を受けることもない。また、幅が固定されたローラが不要であるため、検査対象となる大判印刷物100上の印刷対象物101のサイズによらず、全ての印刷対象物101を検査することができる。また、ヘッドユニット11の高さを、台盤計測面の形状情報やレーザ距離計11aによる距離計測結果を利用して調整することができるので、ローラを利用する場合のように高さ調整に係る煩雑な作業を不要としながら、センサと印刷物の間を所定の微小距離に保って磁気特性や光学特性を正確に計測し、印刷物検査を行うことができる。よって大判印刷物100に係る印刷物検査を容易かつ正確に行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上のように、本発明に係る印刷物検査装置は、所定の微小距離を保ちながら印刷物上を走査して磁気特性や光学特性等の物理特性を計測することにより行う印刷物検査に有用である。
【符号の説明】
【0110】
1a X軸用駆動モータ
1b Y軸用駆動モータ
1c Z軸用駆動モータ
10 印刷物検査装置
11 ヘッドユニット
11a レーザ距離計
11b 磁気センサ
11c ラインセンサ
12 制御部
12a ヘッドユニット移動制御部
12b ヘッドユニット高さ判定部
12c 磁気検査部
12d 光学検査部
12e エアー制御部
13 記憶部
13a 台盤形状データ
13b 磁気検査用データ
13c 光学検査用データ
14a〜14e エアー噴出口
14 エアーコンプレッサ
15 ヘッドユニット位置調整部
16 エアー制御弁
21 台盤
22、23 クランプ機構
24、27 ストッパ
25、26 クランプ爪
28 表示・操作部
100 大判印刷物
101 印刷対象物



【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平坦な計測面を有する非磁性体からなる台盤と、
前記台盤の計測面に載置された印刷物との間の微小間隔を保持しつつ前記印刷物を走査することにより、磁気特性を計測する磁気センサ又は光学特性を計測する光学センサの少なくともいずれか一つのセンサを有するとともに、前記磁気センサ及び/又は前記光学センサが配置された検知面から前記計測面又は前記計測面に載置された前記印刷物までの距離を非接触で計測する距離センサを有するヘッドユニットと、
前記ヘッドユニット又は前記台盤を相対的に移動させることにより前記ヘッドユニットと前記台盤との間の距離を調整する調整部と、
前記距離センサによる距離計測結果に基づいて、前記台盤の計測面又は前記計測面に載置された前記印刷物から前記ヘッドユニットの検知面までの高さを所定距離に保つように前記位置調整部を制御する制御部と
を備えたことを特徴とする印刷物検査装置。
【請求項2】
前記距離センサによって予め計測された前記台盤の計測面の三次元形状を台盤形状データとして記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶した前記台盤形状データに基づいて前記位置調整部を制御して前記ヘッドユニットの高さを制御することを特徴とする請求項1に記載の印刷物検査装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記距離センサによる距離計測結果に基づいて前記位置調整部を制御して前記ヘッドユニットの高さをリアルタイムに制御することを特徴とする請求項1に記載の印刷物検査装置。
【請求項4】
前記ヘッドユニットは前記検知面に複数のエアー噴出口をさらに有し、
前記制御部は、前記エアー噴出口から前記台盤の計測面に載置された前記印刷物に向けてエアーを吹き付けるとともに、前記印刷物端縁近傍の所定領域では前記エアー噴出口からのエアーの吹き付けを停止するよう制御することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の印刷物検査装置。
【請求項5】
爪部を有し、前記台盤の計測面に載置された前記印刷物より前記爪部が上方にある開放位置と、前記開放位置から下降して前記爪部により前記印刷物を固定する固定位置との間で移動可能に設けられ、前記爪部の上面が前記台盤の計測面と略同一平面上又は当該略同一平面より下方となる固定位置では前記爪部により前記印刷物端縁近傍の一部を湾曲させて固定するクランプをさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の印刷物検査装置。
【請求項6】
前記距離センサはレーザ光を利用した非接触距離計であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の印刷物検査装置。
【請求項7】
磁気センサ及び光学センサの少なくともいずれか一つのセンサが配置されたヘッドユニットの検知面から台盤又は前記台盤の計測面に載置された前記印刷物までの距離を非接触で計測する距離計測工程と、
前記距離計測工程により計測された距離に基づいて、前記ヘッドユニット又は前記台盤を移動させて、前記台盤の計測面又は前記計測面に載置された前記印刷物から前記ヘッドユニットの検知面までの高さを所定距離に調整する高さ調整工程と、
前記高さ調整工程により調整された所定高さで、前記磁気センサによる前記台盤に載置された前記印刷物の磁気特性の検査と、前記光学センサによる前記印刷物の光学特性の検査との少なくともいずれか一つを行う検査工程と
を含んだことを特徴とする印刷物検査方法。
【請求項8】
前記台盤の計測面全面を走査して非接触で計測した台盤形状データを保存するデータ保存工程をさらに含み、
前記高さ調整工程は、前記データ保存工程により保存された前記台盤形状データに基づいて前記ヘッドユニット又は前記台盤を移動させて、前記ヘッドユニットと前記台盤との間の距離を所定距離に調整することを特徴とする請求項7に記載の印刷物検査方法。
【請求項9】
前記高さ調整工程が、前記距離計測工程の実行時にリアルタイムに実行されることを特徴とする請求項7又は8に記載の印刷物検査方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−247265(P2012−247265A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118259(P2011−118259)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】