説明

印刷用マスク及びこれを備えた印刷装置

【課題】弾性復元力を有する分離部材を備えることによって、印刷が行われる間、マスクと印刷回路基板とを自動的に分離することができる印刷用マスク及びこれを備えた印刷装置を提供すること。
【解決手段】多数の開口部が設けられた第1の領域100a及び該第1の領域100aの周辺に配設された第2の領域100bを備えるマスク本体100と、該第2の領域100bに対応する該マスク本体100の一部に配設され、印刷の終了した領域におけるマスクから印刷回路基板を自動的に分離するための弾性復元力付き分離部材104とを含む印刷用マスク及びこれを備えた印刷装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関するものであって、特に、印刷用マスクに分離部材を備えることによって、印刷が行われる間、マスクと印刷回路基板とを自動に分離することができる印刷用マスク及びこれを備えた印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷回路基板は、家電製品をはじめ、先端通信機器へ至るまで全ての電子製品において広範囲に使われている部品である。このような印刷回路基板はいくつかの電子部品、例えば半導体チップ、電気抵抗チップなどを互いに電気的に接続する役割を果たす。
【0003】
印刷回路基板は、多数の電子部品を互いに電気的に接続するための回路パターンを含んでおり、該回路パターンと電気的に接続されているバンプも含む。前記電子部品は前記バンプと電気的に接続され、前記印刷回路基板に実装される。これによって、前記電子部品と前記回路パターンとは互いに電気的に接続される。
【0004】
前記バンプは、平板印刷手法によって設けられる。平板印刷手法によるバンプの形成方法とは、まず印刷回路基板上に数十μmの薄いメタルマスクをアラインし、その後、導電性のソルダーペーストを該メタルマスクの上面に配設する。続いて、スキージが前記メタルマスクの上部を圧着移動するに伴い、前記ソルダーペーストが該メタルマスクの開口部に満たされることによって、前記印刷回路基板上にバンプを設けることができる。
【0005】
前記バンプを設けた後、前記印刷回路基板から前記メタルマスクを分離する。これによって、前記バンプは平板印刷手法によって容易に製造されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記ソルダーペーストの粘性力によって、前記メタルマスクが前記印刷回路基板に凝着してしまうことがある。そのため、前記印刷回路基板から前記メタルマスクを分離するとき、前記メタルマスクが下部方向、即ち前記印刷回路基板に向けて落ちるようになって、該印刷回路基板上に設けられたバンプが破損することがある。
【0007】
前記バンプの破損によって、前記バンプの高さのバラツキを引き起こし、製品不良をひきおこすと共に、これを採用した電気製品の信頼性を低下させてしまう。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであって、その目的は、弾性復元力を有する分離部材を備えることによって、印刷が進行する間、マスクと印刷回路基板とを自動的に分離することができる印刷用マスク及びこれを備えた印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の好適な一実施の形態による印刷用マスクは、多数の開口部が設けられた第1の領域及び該第1の領域の周辺に配設された第2の領域を備えるマスク本体と、前記第2の領域に対応する前記マスク本体の一部に配設され、印刷の終了した領域におけるマスクから印刷回路基板を自動に分離するための弾性復元力付き分離部材とを含む。
【0010】
ここで、前記分離部材は、前記マスク本体の下面の一部から突出した形態を有することができる。また、前記分離部材の断面は、楕円形、円形、三角形、四角形及び多角形のうちのいずれか一つの形態を有することができる。
【0011】
前記分離部材は、ストライプ形態または多数配列のドット形態を有することができる。また、前記マスク本体は、前記分離部材の一部が挿入固定される固定溝を備えることができる。さらに、前記分離部材と前記マスク本体との間に介設された接着部材を含むことができる。また、さらに前記分離部材を覆う保護部材を含むことができる。
【0012】
また、前記分離部材は、第1の分離部材と前記第1の分離部材の幅より大きい幅を有する第2の分離部材とを含むことができる。
【0013】
また、前記分離部材は、ブタジエンスチレン系ゴム、ブチル系ゴム、ニトリル系ゴム、クロロプレン系ゴム、ウレタン系ゴム、シリコン系ゴム及びフルオロ系ゴムのうち、単一系のゴムまたはこれらの少なくとも二つ以上が混合された混合系ゴムによって設けられることができる。
【0014】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の他の好適な実施の形態による印刷用マスクを備えた印刷装置は、多数の開口部が設けられた第1の領域及び該第1の領域の周辺に配設された第2の領域を備えるマスク本体と、前記第2の領域に対応する前記マスク本体の一部に配設され、印刷の終了した領域におけるマスクから印刷回路基板を自動的に分離するための弾性復元力付き分離部材とを含む印刷用マスクと、前記印刷用マスクの下部に配設され、印刷回路基板が取り付けられるテーブルと、前記印刷用マスクの上部を圧縮移動し、前記印刷回路基板上に前記印刷用マスクの開口部と対応したパターンを印刷するスキージ部とを含むことができる。
【0015】
また、前記分離部材は、印刷前及び印刷後に前記マスクと前記印刷回路基板との間隔を一定に保持させ、印刷中に前記マスクと前記印刷回路基板とを互いに密着させることができる。
【0016】
前記分離部材は、前記スキージ部の移動方向と平行な長さを有するストライプ形態を有することができる。また、前記分離部材は、前記スキージ部の移動方向と平行な方向に配列されたドット形態を有することができる。
【発明の効果】
【0017】
従って、本発明の印刷用マスク及び印刷装置によれば、マスクの下部に弾性復元力付き分離部材を備えることによって、印刷が進行する間、マスクと印刷回路基板とを自動的に分離させ、既に基板上に印刷されたソルダーペーストが該マスク上に凝着することを防止することができ、該マスクから印刷回路基板の分離する際に該マスクが欠落するのを防止することができる。
【0018】
また、分離部材がマスクを支持する役割を果たすようにすることによって、該マスクを支持する別途の支持部材を備えなくてもよい。
【0019】
また、マスクの落ちを防止することによって、該マスクの落ちによるバンプの崩れを防止することができ、ファインピッチ及び信頼性を有する印刷回路基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態による印刷用マスクの平面図である。
【図2】図2は、図1中のI−I’線に沿って切り取った断面図である。
【図3】図3は、本発明の第2の実施の形態による印刷用マスクの平面図である。
【図4】図4は、図3中のII−II’線に沿って切り取った断面図である。
【図5】図5は、本発明の第3の実施の形態による印刷用マスクの断面図である。
【図6】図6は、本発明の第4の実施の形態による印刷用マスクの断面図である。
【図7】図7は、本発明の第5の実施の形態による印刷用マスクの断面図である。
【図8】図8は、本発明の第6の実施の形態による印刷回路基板用印刷装置の断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態による印刷装置の側面図である。
【図10】図10は、図9の領域Aの断面図である。
【図11】図11は、図9の領域Bの断面図である。
【図12】図12は、図9の領域Cの断面図である。
【図13】図13は、従来印刷装置を用いて印刷されたバンプの写真である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態による印刷装置を用いて印刷されたバンプの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態による印刷用マスク及びこれを備えた印刷装置について説明する。示される本発明の実施の形態は、当業者において本発明の思想が十分に伝達されるようにするために例として提供されるものである。従って、本発明は以下に示す実施の形態に限定されることなく、他の形態で具体的に表現することができる。また、図面においては、装置の大きさ、厚さなどが便宜上誇張して表現されることもある。明細書全般に亘って、同一の参照符号は同一の構成要素を示すものである。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施の形態による印刷用マスクの平面図である。図2は、図1中のI−I’線に沿って切り取った断面図である。図1及び図2を参照すると、印刷用マスクMは、第1の領域100a及び該第1の領域100aの周辺に配設された第2の領域100bを備えるマスク本体100と、第2の領域100bのマスク本体100の下部に配設された分離部材104とを含む。
【0023】
第1の領域100aは、マスク本体100に複数配列されることができる。ここで、第1の領域100aは単品の印刷回路基板と対応することができる。即ち、マスクMを通じて多数の印刷回路基板上に一括して印刷作業を行った後、該多数の印刷回路基板を個別に分離し、単品の印刷回路基板を製造することができる。
【0024】
第1の領域100aは、マスク本体100を貫通する多数の開口部101と、該各開口部101の周辺に配設された遮断部102とを備えることができる。ここで、マスクMを用いて基板上に印刷作業を行う場合、開口部101と対応した位置の前記基板上に一定のパターンを設けることができる。
【0025】
第2の領域100bには、遮断部102から延びた支持部103が配設されている。該支持部103は、多数の第1の領域100aを接続する役割を行う。即ち、支持部103はマスク本体100を支持する役割をする。
【0026】
マスク本体100の材料としては、単一金属、合金及び補強材入りポリマー等が挙げられる。ここで、金属の例としては、ニッケルであってもよく、補強材はガラス繊維及びポリマー等であってもよい。しかしながら、これによってマスク本体100の材料に対して特に限定するものではない。
【0027】
分離部材104は、第2の領域100bに対応するマスク本体100部分、即ち支持部103に配設され、印刷の終了した領域におけるマスクMから印刷回路基板を自動に分離させる役割をする。このため、分離部材104は弾性復元力を有する材料によって設けられる。ここで、分離部材104は、合成系ゴム、天然系ゴム及びこれらの混合物のうちのいずれか一つであってもよい。分離部材104の材料の具体的な例としては、ブタジエンスチレン系ゴム、ブチル系ゴム、ニトリル系ゴム、クロロプレン系ゴム、ウレタン系ゴム、シリコン系ゴム及びフルオロ系ゴムのうち、単一系のゴムまたはこれらの少なくとも二つ以上が混合された混合系ゴムであってもよい。
【0028】
また、分離部材104は、支持部103の一部から突出した形態を有する。これによって、印刷作業を行う前、基板上にマスクMをアラインした時、第1の領域100aのマスク本体100と基板とは一定間隔を保持するようになる。これに対して、印刷作業中は、分離部材104にプレスがかけられ、分離部材104が収縮し、マスクMと基板とは互いに密着することができる。また、印刷作業が完了した領域には、前記プレスが除去され、分離部材104は弾性復元力によって再び元の状態に戻り、マスクMと前記基板とは互いに一定間隔を保持するようになる。即ち、マスクMと前記基板とは、印刷中は分離部材104が収縮されて互いに密着するが、印刷が完了すると、分離部材104の弾性復元力によってすぐにマスクMと前記基板とが分離した状態になる。
【0029】
分離部材104は、いくつかの形状を有することができる。例えば、分離部材104の断面は、楕円形、円形、三角形、四角形及び多角形のうちのいずれか一つの形状を有することができる。
【0030】
また、分離部材104は、平面的に見るとマスク本体100を横切るストライプ形態を有するか、または多数配列されたドット形態を有することができる。
【0031】
さらに、マスク本体100は固定溝をさらに備えることができる。分離部材104が固定溝に挿入され、マスク本体100に固定されることができる。
【0032】
また、マスクMは、マスク本体100を支持するマスク枠120と、マスク本体100をマスク枠120に固定するための固定部材110とをさらに含むことができる。これによって、マスクMの支持力を向上させることができ、印刷作業をより容易に行うことができる。
【0033】
従って、本発明の実施の形態による印刷用マスクは、分離部材を備えることによって、印刷が行われた際に、マスクと印刷回路基板とを自動的に分離することができる。これによって、前記基板上に印刷された印刷物が前記マスクに凝着することを防止することができ、前記マスクからの基板の分離時に前記マスクの凝着によって前記マスクが落下することを防止することができる。
【0034】
また、前記分離部材が前記マスクを支持する役割もすることによって、マスクを支持する支持部材を別途に備えなくてもよい。
【0035】
また、前記マスクの落ちを防止することができ、前記マスクの落ちによるバンプの崩れを防止することができるため、ファインピッチ及び信頼性を有する印刷回路基板を製造することができる。
【0036】
以下、図3及び図4を参照して、第2の実施の形態による印刷用マスクを説明する。本発明の第2の実施の形態においては、分離部材を除き、先に説明した第1の実施の形態と同一の構成を有する。従って、ここでは、第1の実施の形態と繰り返す説明は省略し、同一の構成要素に対しては同一の参照符号を付している。
【0037】
図3は、本発明の第2の実施の形態による印刷用マスクの平面図である。図4は、図3中のII−II’線に沿う断面図である。
【0038】
図3及び図4を参照すると、印刷用マスクMには、マスク本体100と、該マスク本体100の下部に配設された分離部材104が含まれる。マスク本体100は、第1の領域100aと第2の領域100bとを含むことができる。ここで、第1の領域100aには、多数の開口部101と各開口部101の周辺に配設された遮断部102とが配設されている。また、第2の領域100bには、遮断部102から延びた支持部103が配設されている。
【0039】
分離部材104は、第2の領域100bに対応するマスク本体100、即ち支持部103の一部領域上に配設される。
【0040】
また、分離部材104は、印刷が終了した領域におけるマスクMから印刷回路基板を自動的に分離するために弾性復元力を有することができる。例えば、分離部材104を設ける材料の例としては、合成系ゴム、天然系ゴム及びこれらの混合物のうちのいずれか一つであってもよい。具体的な分離部材104を設ける材料の例としては、ブタジエンスチレン系ゴム、ブチル系ゴム、ニトリル系ゴム、クロロプレン系ゴム、ウレタン系ゴム、シリコン系ゴム及びフルオロ系ゴムのうち、単一系のゴムまたはこれらの少なくとも二つ以上が混合された混合系ゴムであってもよい。
【0041】
マスク本体100の一部は、マスク本体100自体の荷重によって下方に落ちることがある。特に、マスクMが大型化するほど、マスク本体100の荷重による落ちはより起こりやすくなる。ここで、マスク本体100の中央部は、エッジに比べて大きい荷重を受けるため、エッジより多くの落ちが生じてしまう。これによって、マスク本体100の下部に分離部材104が備えられても、マスク本体100の荷重によって分離部材104が収縮し、印刷前に既にマスク本体100の一部と前記印刷回路基板との間隔を保持することができなくなり、互いに密着することがある。そのため、印刷終了後にも分離部材104はマスク本体100の荷重によって弾性が復元されず、マスク本体100を前記印刷回路基板から分離されない領域も生じることがある。
【0042】
これを考えて、分離部材104を、マスク本体100の中央部の荷重に耐えることができるように幅大に設けることができるが、この時むしろエッジ領域では、印刷作業途中に分離部材104が収縮されなく、マスク本体100と前記印刷回路基板とが互いに密着しない領域が生じることがあり、印刷物が所望の領域に所望の形態に設けられることができなくなる。
【0043】
これを改善するため、分離部材104は異なる幅を有する第1の分離部材104a及び第2の分離部材104bを備えることができる。この時、第2の分離部材104bは、第1の分離部材104aに比べて幅大になる。ここで、第2の分離部材104bは、マスク本体100において多くの荷重を受ける領域、即ち中央部分に配設させる。即ち、第2の分離部材104bは、マスク本体100から前記印刷回路基板を自動的に分離すると共に、マスク本体100を支持することによって、マスク本体100が落ちることを防止することができる。
【0044】
本発明の実施の形態において、第2の分離部材104bはマスク本体100の中央部に配設されることとして示したが、これに限定されるものではない。例えば、該第2の分離部材104はマスク本体100に均一に多数配設されてもよい。
【0045】
従って、本発明の実施の形態において、分離部材104はマスク本体100が受ける荷重によって領域別に異なる幅を有するように配置されることによって、荷重によりマスク本体100が印刷回路基板に向けて落ちることを防止すると共に、印刷後マスクMから印刷回路基板をより効率的に分離させることができる。
【0046】
また、分離部材104は、マスクMが大型化されたとしても、荷重によって落ちることを防止することができ、マスクMを支持する支持部材を別途備えなくてもよい。
【0047】
以下、図5を参照して、第3の実施の形態による印刷用マスクを説明する。本発明の第3の実施の形態においては、保護部材を除いては、前述の第2の実施の形態と同一の構成を有する。従って、ここでは、第2の実施の形態と同様の説明を省略し、同一の構成要素に対しては同一の参照符号を付すこととする。
【0048】
図5は、本発明の第3の実施の形態による印刷用マスクの断面図である。図5を参照すると、印刷用マスクMは、多数の開口部101が設けられた第1の領域100a及びその第1の領域100aの周辺に配設された第2の領域100bを備えるマスク本体100と、第2の領域100bに対応するマスク本体100部分、即ち支持部103の一部領域に配設された分離部材104とを含む。ここで、分離部材104は異なる幅を有する第1の分離部材104a及び第2の分離部材104bを含むことができる。図に示した例では、該第2の分離部材104bは、第1の分離部材104aに比べて幅が大きい。
【0049】
マスクMは、分離部材104を覆う保護部材106をさらに備えることができる。保護部材106は、印刷作業時及びマスクMの洗浄工程の間に、有機溶媒などの薬品や外部機器等によって分離部材104が損傷するのを防止する役割をすることができる。加えて、保護部材106は分離部材104をマスク本体100に固定する役割をすることができる。
【0050】
そのため、保護部材106は、耐化学性及び耐久性に優れた材料からなることが望ましい。保護部材106の材料の例としては、テフロン(登録商標)系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、エステル系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。
【0051】
保護部材106は、分離部材104上にテープ形態で付着してもよい。あるいは、保護部材106は、蒸着やコーティングによって設けられた薄膜形態からなってもよい。
【0052】
本実施の形態において、分離部材は前記マスク本体に設けられた固定溝に挿入され固定されることとして説明したが、これに限定されるものではない。
【0053】
以下、本発明の第4及び第5の実施の形態について、図6及び図7を参照して、分離部材を設ける他の方法で製造された印刷用マスクを説明する。
【0054】
本発明の第4及び第5の実施の形態においては、分離部材を除いて、先に説明した第1の実施の形態と同一の構成を有する。従って、ここでは、第1の実施の形態と同様の説明は省略し、同一の構成要素に対しては同一の参照符号を付す。
【0055】
図6は、本発明の第4の実施の形態による印刷用マスクの断面図である。図6を参照すると、印刷用マスクMは、多数の開口部が設けられた第1の領域100a及びその第1の領域100aの周辺に配設された第2の領域100bを備えるマスク本体100と、第2の領域100bに対応するマスク本体100部分、即ち支持部103の一部領域に配設された分離部材104とを含む。ここで、分離部材104は、マスク本体100にゴム材料をコーティングした後、露光及び現像工程を経て設けられる。
【0056】
図7は、本発明の第5の実施の形態による印刷用マスクの断面図である。図7を参照すると、印刷用マスクMは、多数の開口部が設けられた第1の領域100a及びその第1の領域100aの周辺に配設された第2の領域100bを備えるマスク本体100と、第2の領域に対応するマスク本体100部分、即ち支持部103の一部領域上に配設された分離部材104とを含む。この時、マスク本体100と分離部材104との間に備えられた接着部材107により、分離部材104はマスク本体100に固定されることができる。
【0057】
これによって、第4及び第5の実施の形態において、分離部材104を印刷用マスク100に固定するため、マスク本体100に別に固定溝を備えなくてもよいので、マスクをより容易に製造することができる。
【0058】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態にかかる印刷用マスクを備えた印刷装置を詳細に説明する。
【0059】
図8は、本発明の第6の実施の形態による印刷回路基板用印刷装置の断面図である。図8を参照すると、印刷回路基板用印刷装置は印刷用マスクMと、印刷用マスクMの下部に配設され、印刷回路基板300が取り付けられるテーブル200と、マスクMの上部を圧縮移動し、印刷回路基板300上にマスクMの開口部101と対応したパターンを印刷するスキージ部400とを含むことができる。ここで、マスクMは、マスク本体100と分離部材104とを含む。
【0060】
マスク本体100は、第1の領域100aとその第1の領域100aの周辺に配設された第2の領域100bとを含む。第1の領域100aは、多数の開口部101と各開口部101の周辺に配設された遮断部102とが配設されている。第1の領域100aは、マスク本体100に多数配設される。ここで、第1の領域100aは単品の印刷回路基板と対応することができ、マスク本体100から多数の印刷回路基板上に一括して印刷作業を行うことができる。第2の領域100bは、遮断部102から延びた支持部103が配設されている。
【0061】
分離部材104は、第2の領域100bに対応するマスク本体、即ち支持部103の一部領域上に配設されている。分離部材104は、印刷が終了した領域におけるマスク本体100から印刷回路基板を自動的に分離するために弾性復元力を有する材料からなることができる。
【0062】
分離部材104は、後述するスキージ部400の移動方向と平行な長さを有するストライプ形態を有するか、またはスキージ部400の移動方向と平行な方向に配列されたドット状に配列された形態を有することができる。これによって、マスクMが一方に傾くことなく印刷を行うことができ、前記印刷回路基板に印刷される印刷物、即ちバンプの均一性を向上することができる。
【0063】
分離部材104が多数個配設される場合、マスク本体100に加えられる荷重によって異なる幅を有してもよい。例えば、マスク本体100の中央部に配設された分離部材104は、マスク本体100のエッジ領域に配設された分離部材104より大きい幅を有してもよい。
【0064】
これに加えて、マスクMは、マスク本体100を支持するマスク枠120と、マスク本体100をマスク枠120に固定するための固定部材110とをさらに含むことができる。これによって、マスクMの支持力を向上させることができ、印刷作業をより容易に行うことができる。
【0065】
また、示されていないが、マスクMは分離部材104を覆う保護部材をさらに含むことができる。また、マスクMは分離部材104を固定するための固定溝をさらに備えることができる。
【0066】
テーブル200は、マスクMの下部に配設されてもよい。該テーブル200は印刷作業の間、印刷回路基板300を取り付けて固定する役割をする。また、示されていないが、前記印刷装置はテーブル200を移動させるための移動部材を備えることができる。これによって、テーブル200は印刷回路基板300を移動させ、マスクMにアラインさせることができる。
【0067】
スキージ部400は、マスクMの上部を圧縮移動し、印刷回路基板300上にパターンを設ける。即ち、スキージ部400はマスクM上に配設される。スキージ部140はマスクMの上部を圧縮移動し、マスクM上に配設された印刷組成物、例えばソルダーペーストをマスクMの開口部101に満たすことによって、印刷回路基板300上にバンプを印刷することができる。
【0068】
従って、本発明の実施の形態による印刷回路基板用印刷装置は、印刷時にマスクの下部に分離部材を備えることによって、印刷終了後、印刷回路基板からマスクを分離する工程を別に行なわなくてもよいので、分離過程に生じるマスクの落ちを引き起こさないだけでなく、工程をより単純化させることができる。また、マスクの落ちを引き起こさないのでバンプの崩れを防止することができ、ファインピッチ及び信頼性を有する印刷回路基板を製造することができる。
【0069】
以下、図9〜図12を参照して、本発明の実施の形態による印刷装置の印刷過程をより詳細に説明する。図9は、本発明の実施の形態による印刷装置の側面図である。図10は、図9の領域Aの断面図である。図11は、図9の領域Bの断面図である。図12は、図9の領域Cの断面図である。
【0070】
図9及び図10を参照して、印刷装置のテーブル200上に印刷回路基板300が取り付けられている。ここで、印刷回路基板300は単面印刷回路基板、両面印刷回路基板、多層印刷回路基板など多様な形態を採ることができ、本実施の形態では限定されない。また、図に示されていないが、印刷回路基板300は回路層と電気的に接続されたパッド部を備える。
【0071】
その後、印刷回路基板300上に分離部材104を備えたマスクMをアラインする。ここで、マスクMの本体は該分離部材104によって印刷回路基板300と一定間隔を置いて離間されている。
【0072】
図9及び図10を参照して説明する。マスクM上にソルダーペースト302を塗布した後、該マスクM上でスキージ部400を圧縮移動する。ここで、ソルダーペースト302を印刷する過程において、スキージ部400は、マスクMと共に分離部材104の上部を圧縮移動するものである。
【0073】
ここで、スキージ部400がマスクM上を圧縮移動する場合、分離部材104はスキージ部400のプレスによって収縮し、マスクMと印刷回路基板300とは接触する。同時に、マスクMの開口部にソルダーペースト302が満たされ、印刷回路基板300のパッド部上にバンプ301が設けられる。
【0074】
図9及び図11を参照して説明する。スキージ部400が圧縮移動した後、分離部材104は弾性力によって元の状態に復元し、マスクMと印刷回路基板300とは自動的に分離される。
【0075】
ここで、マスクMと印刷回路基板300とは、バンプ301が設けられると同時に部分的に分離されることによって、マスクMはソルダーペースト302の粘性力に対する影響を少なく受けるようになり、マスクMが落ちることなく印刷回路基板300からマスクMを分離することができる。
【0076】
また、印刷過程において印刷回路基板300からマスクMが自動的に分離されることによって、印刷落ちの改善のための因子、例えばソルダーペーストの粘度、印刷速度及び印刷プレス等の因子について考慮しなくてもよいので、印刷品質の均一性を確保できると共に生産性を向上させることができる。
【0077】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態による印刷用マスクの効果を詳細に説明する。図13は、従来の印刷装置を用いて印刷されたバンプの写真である。図14は、本発明の実施の形態による印刷装置を用いて印刷されたバンプの写真である。
【0078】
図13に示されたように、従来の印刷装置の場合、印刷終了後にマスクから印刷回路基板を分離する過程において、印刷済みのバンプが崩れているのが認められた。
【0079】
これに対して、図14に示した本発明による印刷装置を用いた場合は、印刷の間にマスクから印刷回路基板を自動的に分離した場合、印刷済みのバンプが崩れていないことが認められた。
【0080】
従って、本発明の実施の形態のように、印刷の間に、自動的に印刷回路基板から分離されるための分離部材を備えることによって、従来のように印刷回路基板からマスクを分離する過程において生じるマスクの落ちが発生せず、バンプの損傷を最小化することができると共に、印刷回路基板の製造工程をより単純化させることができた。
【0081】
また、マスクの落ちが発生しないので、バンプの崩れを防止することができ、ファインピッチを有して信頼性を確保することができる印刷回路基板を製造することができた。
【0082】
今回開示された実施の形態は例示に過ぎず、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内におけるすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
100 マスク本体
100a 第1の領域
100b 第2の領域
101 開口部
102 遮断部
103 支持部
104 分離部材
106 保護部材
110 固定部材
120 マスク枠
200 テーブル
300 印刷回路基板
400 スキージ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の開口部が設けられた第1の領域及び該第1の領域の周辺に配設された第2の領域を備えるマスク本体と、
前記第2の領域に対応するマスク本体の一部に配設され、印刷の終了した領域におけるマスクから印刷回路基板を自動的に分離するための弾性復元力付き分離部材と、
を含むことを特徴とする印刷用マスク。
【請求項2】
前記分離部材が、前記マスク本体の下面の一部から突出した形態を有して設けられることを特徴とする請求項1に記載の印刷用マスク。
【請求項3】
前記分離部材の断面が、楕円形、円形、三角形、四角形及び多角形のうちのいずれか一つの形態を有することを特徴とする請求項1に記載の印刷用マスク。
【請求項4】
前記分離部材が、ストライプ形態または多数配列のドット形態を有することを特徴とする請求項1に記載の印刷用マスク。
【請求項5】
前記マスク本体が、前記分離部材の一部が挿入固定される固定溝を備えることを特徴とする請求項1に記載の印刷用マスク。
【請求項6】
前記分離部材と前記マスク本体との間に介在する接着部材が、さらに含まれることを特徴とする請求項1に記載の印刷用マスク。
【請求項7】
前記分離部材を覆う保護部材が、さらに含まれることを特徴とする請求項1に記載の印刷用マスク。
【請求項8】
前記分離部材が、第1の分離部材と、該第1の分離部材の幅より大きい幅を有する第2の分離部材とを含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷用マスク。
【請求項9】
前記分離部材が、ブタジエンスチレン系ゴム、ブチル系ゴム、ニトリル系ゴム、クロロプレン系ゴム、ウレタン系ゴム、シリコン系ゴム及びフルオロ系ゴムのうち、単一系のゴムまたはこれらの少なくとも二つ以上が混合された混合系ゴムによって設けられたことを特徴とする請求項1に記載の印刷用マスク。
【請求項10】
多数の開口部が設けられた第1の領域及び該第1の領域の周辺に配設された第2の領域を備えるマスク本体と、前記第2の領域に対応する前記マスク本体の一部に配設され、印刷の終了した領域におけるマスクから印刷回路基板を自動的に分離するための弾性復元力付き分離部材とを含む印刷用マスクと、
前記印刷用マスクの下部に配設され、印刷回路基板が取り付けられるテーブルと、
前記印刷用マスクの上部を圧縮移動し、前記印刷回路基板上に前記印刷用マスクの開口部に対応したパターンを印刷するスキージ部と、
を含むことを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
前記分離部材が、印刷前及び印刷後において、前記マスクと前記印刷回路基板との間隔を一定に保持させ、印刷中に前記マスクと前記印刷回路基板とを互いに密着させることを特徴とする請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記分離部材が、前記スキージ部の移動方向と平行な長さを有するストライプ形態を有することを特徴とする請求項10に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記分離部材が、前記スキージ部の移動方向と平行な方向に配列されたドット形態を有することを特徴とする請求項10に記載の印刷装置。
【請求項14】
前記第1の領域が、一つの印刷回路基板と対応することを特徴とする請求項10に記載の印刷装置。
【請求項15】
前記分離部材が、第1の分離部材と該第1の分離部材の幅より大きい幅を有する第2の分離部材とを含むことを特徴とする請求項10に記載の印刷装置。
【請求項16】
前記分離部材を覆う保護部材を、さらに含むことを特徴とする請求項10に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−125852(P2010−125852A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8887(P2009−8887)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】