説明

印刷装置、及び印刷方法、並びに印刷方法を実行するプログラム

【課題】エンジン毎にコントローラを装備しているため、画像データ形成中コントローラ2台分の電力が消費され、画像データによっては特色の画像データが無いページが含まれる場合に効率の良い省電力制御が行われていなかった。
【解決手段】第1のエンジンの排紙部と第2のエンジンの給紙部を接続した印刷装置で、第1のコントローラは印刷対象である複数のページを有する印刷データを解析して第2のエンジンで処理すべきデータが含まれるページの有無を示す情報を生成して第2のコントローラに送信する。そして第2のコントローラがN−1ページ目を印刷する為画像処理を行う前に第2のコントローラにNページ目についての情報を取得させるよう制御する。第2のコントローラは、第2のエンジンで処理すべきデータに対して画像処理を行い、前記情報が第2のエンジンで処理すべきデータを含んでいない際には画像処理のための電力を制御して消費電力を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷装置を用いて、1枚の用紙に第1のトナーと第2のトナーを用いて画像を形成する印刷装置及び印刷方法並びに印刷方法を実行するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特殊記録剤であるであるクリアトナーを用いた印刷装置が提案されている。クリアトナーとは透過性がある画像を付加する特徴を有する透明記録剤である。このクリアトナーを用いることで、様々な表現ができるようになり、出力物の付加価値が向上する。CMYK等の有色トナーの他にクリアトナーを付加する仕組みを印刷装置に組み込むことで1台の装置でクリアトナーを使った出力物の作成を可能にしている。
【0003】
しかし、このような装置において、クリアトナーのような特殊記録剤を用いて印刷をする際に、従来の4色トナーでの印刷と比較して、印刷に使用される総トナー量が大幅に増えてしまうという点が挙げられる。
【0004】
特に電子写真方式のカラー印刷に適応した場合、従来のC、M、Y、Kの4色トナー像に加え、特殊記録剤像が中間転写体上に形成され、それをさらに用紙上に転写する必要がある。
【0005】
各々の電子写真プロセスにおいて印刷のために必要なトナーの量であるトナー載り量が増えることにより、各々のプロセスに負荷が大きくかかることになる。
【0006】
それを解消するため例えば特許文献1において、特殊記録剤により記録可能な載り量をC、M、Y、Kの4色トナーの載り量から算出する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1で示された方法のように特殊記録剤の載り量を算出すると、特殊記録剤の載り量が0になってしまう場合がある。例えば、4色トナーの合計の載り量が、印刷装置の許容する良好に用紙上に定着可能な総載り量を上回る場合である。
【0007】
このような場合、ユーザが特殊記録剤を用いた印刷を指示しても、ユーザ指示に従った特殊記録剤を用いた印刷ができないため、特殊記録剤による視覚的な効果を得ることができない。この課題に対して、特許文献2では、1回の定着により上記のユーザの指示に従った特殊記録剤を用いた印刷ができないと判断すると、特殊記録剤像の形成方法を変更する。
【0008】
まず、特殊記録剤以外のトナーを用いて印刷、定着して用紙を出力する。そして、トナーを用いて印刷された用紙上に、特殊記録剤を用いて印刷、再び定着をする。この2回定着を行う印刷を2パス印刷と呼ぶ。2パス印刷を用いると、印刷装置が許容する総載り量を考慮した上で決まった特殊記録剤の量以上の特殊記録剤を用いて印刷することが可能になる。このため、ユーザが所望する特殊記録剤による視覚的効果を有した出力物を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−011028号公報
【特許文献2】特開2008−139589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このようにクリアトナーに対応した仕組みを導入することでトナー量の制限などの問題を解消することが可能となる。しかし、クリアトナーを使用しないユーザに対してはクリアトナーに特化した仕組みはコストや機能等の観点で無駄である。
【0011】
そこで有色トナーを使う印刷装置と特殊記録剤を使う印刷装置を別体とし、有色トナーを使う印刷装置の排紙部と特殊記録剤を使う印刷装置の給紙部を接続し特殊記録剤を使った出力物の作成が一括で行えるシステムを構築する。そして、例えば、特殊記録剤を用いた印刷を行うユーザに対しては有色トナーを使う印刷装置と特殊記録剤を使う印刷装置を接続したシステムを提供する。特殊記録剤を使用しないユーザに対しては有色トナーを使う印刷装置のみ提供する。このように2つの印刷装置を接続する仕組みを作ることで、ユーザの要望に応じたシステムの構築が可能となる。
【0012】
しかしながら、2つの印刷装置を接続して使用する構造は、エンジン毎にコントローラを装備しているため、画像データ形成中はコントローラ2台分の電力が常に消費されることになる。このような制御だと、複数ページ分のデータで構成される1ジョブ中の画像データによっては有色トナーCMYKの4色のみを有し特色の画像データが無いページが含まれる場合もあるにも関わらず、2台分のコントローラの制御電力が必要となる。このように、従来はコントローラの効率の良い省電力制御が行われていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明は、第1のエンジンの排紙部と前記第1のエンジンが、印刷を行う際に用いる第1の色材とは異なる第2の色材を用いて印刷を行う第2のエンジンの給紙部とを接続した印刷装置であって、前記第1のエンジンを制御する第1のコントローラであって、複数のページを印刷対象とする印刷データを取得する取得手段と、前記取得した印刷データを解析して、前記第2のエンジンで処理すべきデータが含まれるページの有無を示す情報を少なくとも含む第2のエンジン用情報を生成する生成手段と、前記生成した第2のエンジン用情報を前記第2のエンジンの第2のコントローラに送信する送信手段と、前記第2のコントローラが前記第2の色材を用いてN−1ページ目(ここで、Nは2以上の整数である)の印刷を行うために前記第2のエンジンで処理すべきデータに対して画像処理を行う前に前記第2のコントローラにNページ目についての第2のエンジン用情報を取得させるように、前記第1のエンジンを制御する制御手段とを有する第1のコントローラと、前記第2のエンジンを制御する第2のコントローラであって、
前記第2のエンジンで処理すべきデータに対して画像処理を行う画像処理手段と、前記送信された第2のエンジン用情報が、前記第2のエンジンで処理すべきデータを含んでいないことを示す際には、前記画像処理手段の電力制御を行い、消費電力を抑制する電力制御手段とを有する第2のコントローラを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、後続のページに含まれる画像データの有無に応じて各コントローラ内の電力を動的に制御することにより、効率的に省電力化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態におけるシステムの構成図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるクリアジョブを含むプリント処理の流れを示した図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるクリアジョブを含むコピー処理の流れを示した図である。
【図4】本発明の一実施形態におけるジョブのページ数を判断して処理を変える流れを示した図である。
【図5】本発明の一実施形態におけるインタプリタが解析したフラグ情報を付加したデータ構成を示した図である。
【図6】従来の印字処理の流れを示した図である。
【図7】従来の処理の電力制御を示した図である。
【図8】本発明の一実施形態における印字処理の流れを示した図である。
【図9】本発明の一実施形態の処理による電力制御を示した図である。
【図10】本発明の一実施形態の処理による電力削減を示した図である。
【図11】本発明の他の実施形態の印字処理の流れを示した図である。
【図12】従来の他の処理による電力制御を示した図である。
【図13】本発明の他の実施形態の処理による電力制御を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を説明する前に、消費電力を削減することの意義について、一般的な事項としてさらに説明する。近年は競争激化のため、製品開発のサイクルを短くし、同一プラットフォームで複数のMulti Function Printer(以下MFPと記す)エンジンを流用することで、多品種の製品をタイムリーに市場へ投入することが求められている。このような状況において、MFP毎に異なる色再現性の特性に対してマッチングを行うため、画像処理部についてはハードウエアロジックを書き換え可能なFPGAを採用するケースが増加しつつある。さらに、画像品位の高画質化、印刷速度の高速化も求められている。これらを実現するためには回路規模を増大させる必要性と外付けされているメモリとの間の画像データ転送の帯域レートを向上させる必要性とが生じている。このように、動作周波数も従来より高速化され、それに伴い消費電力も増大する傾向になっている。従って、システム全体の電力の消費量を効率よく削減することが必要となる。
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0018】
実施例では、特殊記録剤としてクリアトナーを用いるが、用いる記録剤はこれに限らない。例えば、クリアトナーの他にも淡トナーやレッドやグリーン等の特色トナー、透明インク等の他の透明記録剤を用いてもよい。また、クリアトナーとは、透過性がある画像を付加する特徴を有する透明記録剤である。このクリアトナーを用いて印刷が行われた領域は見えにくい。また、クリアトナーを用いると、有色トナーのみ用いて行われた印刷とは異なった光沢感やつや感を表現することができる。
【0019】
印刷装置としては、コピー、プリンタ、FAXなどの複数の機能を1台で実現するマルチファンクション複合機(以下、MFPという)を例に説明するが、これに限らず入力された印刷データを印刷出力できる装置であればよい。
【0020】
<実施形態1>
本実施形態では色材として有色トナーを使うMFPとクリアトナーを使うMFPとが連結される構成である画像形成システムを使って説明する。なお、2つのMFPが連結したものを1つの印刷装置として捉えることもできる。
【0021】
図1は本実施例におけるシステムの構成図の例である。第1のMFP101は、シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック等の第1の色材である有色トナーを用いて第1の印刷データの印刷をする。第2のMFP121は、第2の色材を用いて第2の印刷データの印刷をする。この2台がネットワーク120を介して接続されている。第1のMFP101が使用するトナーは有色トナーに限定されず、モノクロトナー等であってもよい。同様に第2のMFP121が使用するトナーはクリアトナーに限定されず、特色トナー等であってもよい。すなわち、各MFPで使用する各トナーは、同一のMFPで使用した場合に定着処理に影響を及ぼす可能性のある組み合わせにおける各トナーであればよい。
【0022】
第1のMFP101の排紙部114と第2のMFP121の給紙部126とは接続部136を介して接続されており、第1のMFP101から排紙された紙が自動的に第2のMFP121で給紙可能である。ここでMFPとはコピー、プリンタ、FAXなどの複数の機能を1台で実現する装置を示す。
【0023】
もし、第1のMFP101によって印刷が終了した用紙が、印刷終了後、順に接続部136に積載されると、第2のMFP121が、接続部136に複数積載された用紙から給紙を行う際に、積載された用紙の一番下に排紙された用紙を抜き取らなくてはならない。この場合、給紙が上手くいかず、ジャムが発生したり、印刷順の整合が取れなくなる恐れがある。
【0024】
よって、接続部136では以下のように、排紙と給紙のタイミングを制御する。第1のMFP101のプリンタ112による印刷が終了し、有色トナーによって印刷された1枚の用紙が排紙部114に排紙され、そのまま接続部136に搬送される。すると、第1のMFP101のプリンタ112による印刷が終了し新たに印刷された用紙が排紙部114に排紙される前に、第2のMFP121は接続部136上に置かれた用紙を給紙する。これにより、接続部136上には用紙が複数積載することがない。このように、第1のMFP101から第2のMFP121に用紙が搬送される。
【0025】
またPC138はネットワーク137を介して第1のMFP101と接続されている。PC138内のドライバ139は第1のMFP101と第2のMFP121を有色トナーとクリアトナーを使う1つのシステムとして認識して印刷データを送信する。この印刷データには、後述する中間言語データを生成するために必要なデータと、これらの中間言語データを印刷後、印刷物に対してどのような後処理(フィニッシング処理等)を行うか示したデータが含まれる。
【0026】
図1に示すシステムでは有色トナーとクリアトナーをPC138からの1度の指示で印字することができる。クリアトナーを用紙全面に印字することが可能だが、プリント処理またはコピー処理時に特定の色データやオブジェクトに限定してクリアトナーを印字することも可能である。
【0027】
有色トナーを用いる第1のMFP101について詳細に説明する。ネットワークI/F119ではPC138からの印刷データ等の受信や、第2のMFP121に対して後述するラスター画像や制御データ等の送信を行う。コントローラ102はCPU103やハードレンダラ109、画像処理部111で構成される。CPU103のインタプリタ104は受信した印刷データのPDL部分を解釈し、中間言語データ(カラー)105を生成する。ハードレンダラ109は生成した中間言語データ(カラー)105からラスター画像110を生成する。本明細書においては中間言語データやラスター画像のことを画像データと称する場合がある。画像処理部111はラスター画像110やスキャナ116で読み込んだ画像に対して画像処理(例えばスクリーン処理など)を行う。プリンタエンジン制御部150は後述するプリンタ112からのステータスを受信して起動、用紙搬送などのコマンドを発行する。電力制御部153は本実施例で適用される省電力モード時において各種ユニットの電源をOFF/ON制御するものである。電源のOFF/ON制御は、各種ユニットのSleepモード/Activeモードの状態切り替えを行うことを含む。
【0028】
コントローラ102と接続されたプリンタ112はシアン・マゼンタ・イエロー・ブラック等の有色トナーを用いて紙上に印刷をするプリンタである。本実施例では4色機として説明するが、ブラック単色機や4色以上を備えていても構わない。プリンタ112は紙の給紙を行う給紙部113と印刷した紙を排紙する排紙部114を持つ。表示装置115はユーザへの指示や第1のMFP101の状態を示すUIを表示する。スキャナ116はオートドキュメントフィーダーを含むスキャナである。スキャナ116は束状のあるいは一枚の原稿画像を図示しない光源で照射し、原稿反射像をレンズでCCDセンサ等の固体撮像素子上に結像し、固体撮像素子からラスター状の画像読み取り信号を印刷用の画像データ(印刷データ)として得る。入力装置117はユーザからの入力を受け付けるためのインタフェースである。記憶装置118はコントローラ102で処理されたデータ等を展開するためのwork領域として使用するDRAMや、文書ファイルを保存するためのハードディスク装置である。
【0029】
インタプリタ104は受信した印刷データ中にクリアジョブが含まれた場合、中間言語データ(カラー)105の他に中間言語データ(クリア)106を生成する。クリアジョブとは、クリアトナーを用いて印刷データに対して印刷処理を行うことである。印刷データ中にクリアトナーを用いて印刷する指示(クリアジョブ)が含まれている場合、中間言語データ(カラー)105の他に中間言語データ(クリア)106を生成する。この中間言語データのデータ形式の例として、ある指定部分に対してクリアトナーを用いた印刷を指示するために用いる「名前付きプロファイル」を使用する。このデータ形式を用いた処理について説明する。アプリケーションを用いて、ある入力色に対して特定の文字列を対応させると、その文字列に対応した名前付きプロファイルが選択される。よって、PC138のドライバ139にて、特定の文字列をクリアトナーと対応させると、対応した名前付きプロファイルが選択され、クリアトナーを用いた印刷を望む部分に対して、クリアトナーの選択指示が可能となる。インタプリタ104はクリア指定された部分のみを抽出してレイヤーを作成することで、中間言語データ(クリア)106を作成する。そしてソフトレンダラ107は中間言語データ(クリア)106をラスター画像(クリア)108に変換する。以上のようにして生成したラスター画像(クリア)108を第1のMFP101はネットワーク120を介して第2のMFP121へ送信する。クリアトナーを用いた印刷を望む部分に対して指示する方法として名前付きプロファイルを挙げたが、クリアトナーを用いた印刷を指示するラスター画像108(クリア)が生成できればどのようなものであってもよい。
【0030】
また、第1のMFP101はネットワーク120を介して制御データ140を第2のMFP121へ送信する。ここで制御データ140はユーザからドライバ139を介して設定された枚数や用紙サイズ、メディア種類、フィニッシャ設定などの情報である。また、制御データ(第2のエンジン用情報)には、どのページが第2のMFP121でプリンタ出力を行う対象かを示す情報が含まれても良い。具体的には後述する図5で示すようなフラグの有無を示す情報が含まれても良い。なお、図1の例では、カラー用の中間言語データ105をハードレンダラ109で処理し、クリア用の中間言語データ106をソフトレンダラ107で処理しているが、いずれもハードレンダラで処理してもよいし、ソフトレンダラで処理してもよい。以下では、特に両者を特に区別せずに単にレンダラと称する場合がある。
【0031】
次にクリアトナーを用いる第2のMFP121について詳細に説明する。ネットワークI/F135はネットワーク120を介してネットワークI/F119と接続されており、第1のMFP101と第2のMFP121間でデータの送受信を行う。コントローラ122はCPU123、画像処理部124、ハードレンダラ151、プリンタエンジン制御部152、電力制御部154で構成される。コントローラ122と接続されたプリンタ125はクリアトナーを用いて紙上に出力データを形成するプリンタである。プリンタ125は紙の給紙を行う給紙部126と出力データを形成した紙を排紙する排紙部127を持つ。給紙部126は接続部136を介して第1のMFP101の排紙部114と接続されており、第1のMFP101から排紙された紙を自動的に給紙する。自動的に給紙するとは、例えば給紙部126がセンサ(図示せず)を備え、第1のMFP101の排紙部114から排紙された紙が給紙トレイの先端に給送されたことをセンサが検知したことに応じて、給紙部126がその紙を給紙することを意味する。フィニッシャ128はソートやステイプル等の機能を持つ。プリンタ125の排紙部127とフィニッシャ128の給紙部129は接続されており、ソートやステイプル等のユーザから指定された処理を行った後に処理された紙を排紙部130を用いて出力する。表示装置131、スキャナ132、入力装置133、記憶装置134については第1のMFP101内のものと同様なので説明を省略する。
【0032】
第2のMFP121は第1のMFP101からクリア用のラスター画像108と制御データ140を受け取り、ラスター画像108については画像処理部124を用いて処理を行い、制御データ140を用いてプリンタ125やフィニッシャ128の制御を行う。
【0033】
次に本実施形態のシステムにおいてPC138からドライバ139を用いてプリント処理を実行する際の流れについて図2を用いて説明する。なお、図2で説明する以下の処理は、図1で説明したシステム全体の処理の流れを示している。省電力のための制御処理については、別途説明することにする。ステップS201からステップS213までの処理は第1のMFP101が行う。ステップS214からステップS218までの処理は第2のMFP121が行う。なお、以下で説明する処理は、記憶装置118に格納されるプログラムをCPU103が読み出して実行することによって行われる。第2のMFP121においても同様である。
【0034】
まず、第1のMFP101は、ステップS201で、PC138から送られた印刷データをネットワークI/F119を介して取得する。前述の通り、PC138は印刷データを送る際に名前付きプロファイルに関連付けることで特定の色やオブジェクト(文字列)に対してクリアジョブの指示が可能である。なお、印刷データには単数ページを印刷対象とするデータもあれば、複数ページを印刷対象とするデータもある。本実施形態は、後述するように印刷データが複数ページある場合について主に説明する。したがって、ステップS201においては、印刷データを取得し、その中のページ毎のデータに対してクリア指示が含まれるか否かなどの以下で説明する処理を行う。
【0035】
次に、印刷データ中の名前付きプロファイル等を参照してステップS202にてクリアジョブであるか否か否かを判定する。クリアジョブではない場合は、ステップS203にてインタプリタ104が中間言語データ(カラー)105を作成する。さらにステップS204にてレンダラ109がレンダリングを行い、ラスター画像110を作成する。そしてステップS205にて画像処理部111が画像処理を実行し、ステップS206にてプリンタ112がCMYKの有色トナーを用いて画像データを紙上に出力する。次にステップS207にてCPU103は第2のMFP121へ制御データ140を送信する。
【0036】
ステップS202にてクリアジョブと判定された場合はステップS208にてインタプリタ104は中間言語データ(カラー)105と中間言語データ(クリア)106を生成する。そしてステップS209にてレンダラ109は中間言語データ(カラー)105をレンダリングしてラスター画像110を生成する。次にステップS210にて画像処理部111が画像処理を行い、ステップS211にてプリンタ112がCMYKの有色トナーを用いて画像データを紙上に出力する。次にステップS212にてCPU103は第2のMFP121へ制御データ140を送信する。一方、ステップS213にてソフトレンダラ107は中間言語データ(クリア)106をレンダリングしてラスター画像108を生成し、第2のMFP121へ送信する。ステップS215にて第2のMFP121は制御データ140を参照して給紙を行う。ここで給紙される紙は第1のMFP101でCMYKの有色トナーを用いてプリンタ出力された紙である。一方、ステップS218にて画像処理部124はラスター画像108に対して画像処理を行う。そしてステップS216にてプリンタ125は給紙された紙上にクリアトナーを用いて画像データを出力する。最後にステップS217にて制御データ140に基づいてフィニッシャ128にて給紙及び出力を行う。以上のように第1のMFP101と第2のMFP121を1つの印刷装置として用いることでドライバ139から1回の指示でCMYKの有色トナーとクリアトナーを紙上に出力することが可能となる。ここで、第1のMFP101はCMYKの有色トナーを用いたが、どのようなトナーを用いてもよい。同様に第2のMFP121ではクリアトナーを用いたが、どのようなトナーを用いてもよい。
【0037】
次に本実施形態のシステムにおいてコピー処理を実行した際の流れについて図3を用いて説明する。なお、図3の例では、後述するようにスキャナ116で取得した画像のうち、文字部分についてクリアトナーを付加する処理を行うものとする。ステップS301からステップS312までの処理は第1のMFP101が行う。ステップS313からステップS317までの処理は第2のMFP121が行う。ステップS301にてコントローラ102はスキャナ116で取得した画像(印刷データ)を受信してRGB画像302を得る。そして、例えば第1のMFP101の表示装置115にて画像中の特定オブジェクト上にクリアトナーを印字するか指示するコピーボタンを表示する。そして、ユーザからコピー指示されたコピー対象の画像にクリアトナーを付加するクリアコピージョブであるかをステップS303で判定する。クリアトナーを付加しないデータであると判定された場合は、ステップS304にて画像処理部111が画像処理を行い、CMYK画像(2値)305を印刷する。
【0038】
一方、ステップS303の判定処理でクリアコピージョブであると判定された場合は、まずステップS308にて画像処理部111が画像処理を行い、CMYK画像(2値)309を出力する。また、ステップS308における画像処理実行時に文字部分の判定を行い、文字判定データ312を取得する。原稿中の文字部分の判定については公知の技術であるため説明を省略する。文字判定データ312を使うことで原稿中の文字部分のみクリアトナーを付加することが可能となる。本実施形態では特定のオブジェクトに対してクリアトナーを付加するための画像データとして文字判定データを用いたが、例えば特定の色相のデータのみ抽出して画像データを作成するなどどのような画像データであってもよい。
【0039】
文字判定データ312をクリアトナー用のラスター画像データとして第2のMFP121へ送信する。ステップS306〜S307はステップS206〜S207と同様であるため説明を省略する。また、ステップS310〜S311は図2のステップS211〜S212と同様であるため説明を省略する。さらに、ステップS313〜S317はステップS214〜S218と同様であるため説明を省略する。
【0040】
なお、上記の図2および図3で示した例では、第1のMFP101がクリア用のラスター画像108を第2のMFP121に送信し、第2のMFP121では、このラスター画像108を用いて画像処理を行う例を説明した。しかしながら、第1のMFP101から第2のMFPにクリア用の中間言語データ106が送信され、第2のMFP121のハードレンダラ151によってクリア用のラスター画像が生成される処理を行っても良い。
【0041】
次に、本実施形態の特徴部分である、総枚数がN pageあるジョブを処理するときに、画像データの内容に応じて省電力化を行う場合のコントローラ消費電力の制御について説明を行う。
【0042】
図4は本実施例に係る省電力制御が適用されるか否かを判断するフローである。以下順を追って説明する。S401で第1のMFP101が受け付けたジョブ(印刷データ)について、第1のMFP101のCPU103がS402でその総ページ数をカウントする。2ページ以上有る場合には、本実施例で説明する省電力の制御が適用される対象となる。従って、S403で図1のインタプリタ104が2ページ先までクリアエンジンのコントローラ122が処理する画像データが有るか否かを判断する。一方、S402で2ページ未満、つまり単ページのジョブと判断された場合には、十分な省電力制御ができないために本実施形態の省電力制御は行わない。そして、図2で説明したフローの従って中間データを生成した後(S203、S208)、S404において図2、3で示した第1、第2のコントローラの描画処理がスタートする。S404以降の処理については、前述の図2、図3で説明したフローに従って処理を行う。S403において、2ページ先で第2のMFP121のクリアトナー出力処理を必要とする画像データの有無に応じて、省電力制御を行う点が本実施形態の特徴である。詳細については後述する。
【0043】
図5は本実施例で使用される、ページ毎のハードレンダラが処理すべき画像データの有無を示すフラグ情報を表す図である。このフラグ情報は図1のインタプリタ104が解析することによって生成される。図5において、ページ毎にCMYK画像データ及びクリアなどの特色の画像データの有無を示すフラグと、これらの画像データを処理する各コントローラの電力状態の関係とを示している。例として1ページ目はCMYK及び特色のデータが共に含まれるため、有無のフラグは“1”となる。2ページ目はCMYKについてはデータがあるためフラグは“1”であるが、特色についてはデータが無いのでフラグが“0”となる。図1中の第2のコントローラ122内にある特色コントローラの画像処理部124はこのフラグが”0”ということを受けて、sleep状態へ一時的に移行する。また、第2のコントローラ122内のハードレンダラ151や記憶装置134を併せてSleep状態に一時的に移行することができる。なお、第1のMFP101からソフトレンダラ107によってレンダリングされたラスター画像が送られる場合には、第2のコントローラ内のハードレンダラ151は、最初からSleep状態に移行していてもよい。なお、第2のMFP121のCPU123は、第1のMFP101から図5で示すフラグ情報を制御データ(第2のエンジン用情報)として受信し、この受信したフラグ情報に基づいてどのページに特色画像が含まれているかを知ることができる。5ページ目はCMYK及び特色共に画像データが無いため、両方のフラグは“0”となり、図1中の第1のコントローラ102及び第2のコントローラ122は共にsleep状態に移行する。
【0044】
なお、図5で示すフラグ情報は、第1のMFP101のコントローラ102と、第2のMFP121のコントローラ122とでそれぞれ共通の情報を使用することが可能である。しかしながら、例えば第2のMFP121のコントローラ122は、少なくとも特色の画像データの有無を示すフラグだけがあれば十分である。したがって、第1のMFP101のコントローラ102からはCMYK用のフラグを除いた情報を第2のMFP121のコントローラ122に送信してもよい。また、図5の例で示されるページ数は、原稿のページ数と異なっていても良い。例えば、面付けされて2in1のようなページ出力がされる場合には、図5で示されるページ数は原稿のページ数とは異なることになる。また、図5で示すフラグの有無は、各ページの解析の終了する毎に順次第2のコントローラ122に送信されてもよい。また、第1のコントローラのソフトレンダラ107で生成したラスター画像108を第2のコントローラ122に送信する際に、フラグの有無を示す情報を関連付けて送信してもよい。
【0045】
次に本実施例の省電力化の効果を説明するために、まず従来の電力制御の流れを図6と図7を用いて説明する。図6は図1で示した2つのMFPのコントローラが本実施形態の省電力制御を行うことなく、中間データ(中間言語データ)を生成するタイミングと、実際のプリント動作が開始する時間との関係を示した図である。601、602はそれぞれ図1のインタプリタ104が解析して生成する中間データをページの処理順番と図5のフラグ情報を示したものである。601、602の中間データの中で、flag“0”と記載のあるページはその該当色の画像データが無いことを示している。603、604は図1の2つのMFPプリンタコントローラ内にあるハードレンダラ109、151の処理の流れを示したものである。
【0046】
まず時間t0で図1のインタプリタ104の処理がスタートする。通常インタプリタの解析がプリンタエンジンの起動よりも先行するので、1ページ目の画像データの中で1band分のデータ解析が終了した時点t1で第1のコントローラ102が図1の第1エンジンのハードレンダラ109に起動をかける。第1のコントローラ102はさらに、プリンタエンジン(プリンタ112)の起動をかける。時間t1になると、図1のMFP101のプリンタエンジン制御部150がプリンタ112の給紙を開始し、それに同期して画像処理部111が1ページ目のCMYKデータの送出を開始する。そして、1ページ目の用紙が排紙部114から排紙されると、時間t2で図1の第2エンジンであるMFP121の給紙部126へ用紙が搬送され、図1のプリンタエンジン制御部152がプリンタ125の給紙を開始する。それに同期して124画像処理部が1ページ目のクリア画像データを送出する。
【0047】
図7は図6で示すタイミングで処理を行っているときの、図1のMFPコントローラ122の消費電力(W)と時間の経過の関係を示した図である。図7において、P1は次ページのRIP処理のために、前記のハードレンダラ109、151がsleep状態から起動がかかるタイミング、すなわちActive状態に遷移するタイミングを示す。また、P2は該当するページ内にある画像有無を示すフラグを判断するタイミングを示す。P2でフラグが“1”であることを確認すると、P1でactive状態に遷移している図1のMFPコントローラ122は引き続きactive状態を保持する。一方P2でフラグが“0”と確認された時点で、図1の電力制御部154はハードレンダラ151、記憶装置134、画像処理部124をsleep状態へ移行させる。図7で示す従来の電力制御は、例えば第2のコントローラは、ページ2ではP2でフラグ“0”を認識したため、第2のハードレンダラをactive状態からsleep状態へ移行させている。また、第2のコントローラは、第2のハードレンダラをページ5の手前で一旦はactive状態に戻したものの、フラグ“0”を認識したため再びsleep状態へ移行させている。
【0048】
次に、本実施形態における省電力制御について、図8と図9を基に説明する。図8と図9は本実施例が適用される場合の消費電力の状態を示したものである。
【0049】
図8は図1で示した2つのMFPコントローラが中間データを生成するタイミングと、実際のプリント動作が開始する時間との関係を示した図である。各ページのフラグの有無については図6で示したものと同じである。図6との差異は、801及び802のインタプリタの処理が1ページ分終了したt1の時点で、図1で示した第1のCMYKエンジン(プリンタ)112に相当する803の起動を開始している点である。t1の時点では801及び802で示すインタプリタの2ページ目に対する処理も併せて行われる。t2では図1で示した第2のクリアエンジン(プリンタ)125に相当する804の起動を開始する。t2はCMYKエンジンから排紙された1ページ目の紙がクリアエンジンに給紙される。注目すべきはこのt2の時点では、既にインタプリタ104は2ページ目の解析を終了していることである。従って、第2のMFPコントローラ122は2ページ先までの画像有り無しフラグ情報を受け取ることが可能であり、予め次の動作を予測して省電力制御を行うことが可能となる。このように、図8の例では、第1のMFPのコントローラ102が第1のエンジン(CMYKエンジン)を起動するタイミングを遅らせることによって、2ページ先の情報を第2のMFPのコントローラ122が取得することを可能にしている。
【0050】
なお、図8では例えばt2のタイミングで各コントローラと各エンジンとが同期して処理が行われるように見えるが、必ずしも同期して処理が行われなくてよい。すなわち、第2のエンジン(クリアエンジン)で処理する前に、2ページ先の中間データが生成されて第2のMFPのコントローラ122が取得できていればよい。従って、例えば第1のエンジン(CMYKエンジン)を図6の例と同じタイミングで起動させ、1ページ目の用紙を排紙するタイミングを遅らせるように第1のエンジンを制御してもよい。この場合でも、第2のMFPのコントローラ122が2ページ先の中間データを取得するレイテンシを設けることができる。換言すれば、これらの処理は第2のコントローラがN−1ページ目(ここで、Nは2以上の整数である)の画像処理を行う前に第2のコントローラにNページ目についての第2のエンジン用情報を取得させるように、第1のエンジンを制御する処理である。
【0051】
図9は図8で示すタイミングで処理を行っているときにおける、図1のMFPコントローラ122の消費電力(W)と時間の経過の関係を示した図である。同図において、P1は次ページのRIP処理のために、図1の電力制御部154がハードレンダラ151、記憶装置134、画像処理部124をsleep状態からactive状態へ遷移させるため起動をかけるタイミングである。P3は2ページ先の画像有無を示すフラグを先取りして判断するタイミングを示す。P3の時点でフラグが“1”であることを確認すると、P1でactive状態になっている図1のMFPコントローラ122は現在の処理ページが終了した時点でも引き続きactive状態を保持する。一方、P3フラグが“0”であることを確認すると、現在のページ処理が終了した時点で電力制御部154がハードレンダラ151、記憶装置134、画像処理部124を直ちにsleep状態へ移行させる。従来例の図7と比較して、第2のコントローラがページ2とページ4の給紙が開始する時点で直ちにsleep状態へ移行可能となっていること、また、ページ4とページ5の間で一度active状態へ復帰する必要が無くなっている点で電力削減の効果が見られる。
【0052】
実際の消費電力量としては、図1の画像処理部111及び124にFPGAを使用した場合、その消費電力はMFPコントローラ102及び122の約3分の1から約4分の1までを占める程になる。
【0053】
図10は1ジョブに占める前記のクリア画像データ有無の比率CL(%)と図1のMFPコントローラ102及び122の消費電力P(Wh)とを示すフラグの比率との関係を示した図である。同図において、P_CONT1とP_CONT2とはそれぞれコントローラ102及び122の消費電力量であり、次式で示される各モジュールの電力量(Wh)の合計である。
【0054】
P_CONT1
= P_(CPU103)+P_(ハードレンダラ109)+P_(画像処理部111)+P_(プリンタエンジン制御部150) 式(1)
【0055】
P_CONT2
= P_(CPU123)+P_(ハードレンダラ151)+P_(画像処理部124)+P_(プリンタエンジン制御部152) 式(2)
【0056】
なお、上記記載において、例えばP_(CPU103)は、CPU103で使用される消費電力を示している。他のモジュールについての記載も同様である。
【0057】
P_CMYKはP_CONT1からCPU103を除いたCMYKの描画処理に関わるモジュールの消費電力であり、次式で示される。
【0058】
P_CMYK
= P_CONT1 − P_(CPU103)
=P_(ハードレンダラ109)+P_(画像処理部111)+P_(プリンタエンジン制御部150) 式(3)
【0059】
同様にして、P_CLはクリアの描画処理に関わるモジュールの消費電力であり、次式で示される。
【0060】
P_CL
= P_CONT2 − P_(CPU123)
= P_(ハードレンダラ151)+P_(画像処理部124)+P_(プリンタエンジン制御部152) 式(4)
【0061】
P_maxとは前記2つのMFPコントローラが消費する電力の最大値であり、1ジョブ中の全ページにクリアジョブが含まれている場合の最大電力量に相当する。前記P_CLはCL(%)の比率の増加に比例して減少する。例として1ジョブNページ内にクリア画像が含まれないページの割合を10%とした場合、従来と比較して10(%)の省電力化が可能である。
【0062】
以上説明したように、本実施形態による発明を適用したことによるパフォーマンスの低下は先頭数ページ分の描画処理に要する時間の遅延の発生のみであり、影響を最小限に押さえることが可能である。本実施例は従来からあるPDLの解析、描画処理とエンジンへのデータ転送が同時に並行して行われるモード、および、全てのページの描画処理をハードディスク(HDD)へ展開した後にエンジンへデータを転送するモードとの中間に位置付けられる。つまり、少なくとも2ページ先の描画データを解析する時間は要するが、全ページ分の描画データを準備するまでの遅延を発生させない範囲で実現することができる。このように、ごく微量な遅延は生じるものの、消費電力を効果的に抑制することができる。
【0063】
なお、上記の実施形態においては、第2のMFP121は、第1のMFP101からクリア用のラスター画像データを受信し、これを用いてクリアトナーの出力処理を行っている例に基づいて説明した。しかしながら、第2のMFP121は第1のMFP101から中間言語データ(クリア)106を受信し、このデータ106をハードレンダラ151を用いてレンダリングした結果得られるラスター画像をクリアトナーの出力処理に用いても良い。あるいは、第2のMFPにもインタプリタを設け、第2のMFP121において中間言語データ(クリア)の生成を行い、これを用いて本実施形態の処理を行っても良い。
【0064】
<実施形態2>
実施形態1では1ジョブが2ページ以上の場合について述べたが、少量ページが複数連続するような場合にも本実施例の技術を適用可能である。
【0065】
実施形態1の手法では2ページ未満のジョブについては即印字処理をスタートさせるため、省電力の効果が得られないというデメリットが生じる。そこで、本実施形態では少量枚数の場合には複数ジョブを受け付けてから、まとめて印字して省電力制御を行うという手段を設ける。複数ジョブをまとめて処理するため、先着のジョブの処理が待たされることになる。このため、先着ジョブの待機を許容できるかをユーザに委ねるために、あらかじめ省電力を優先する省電力モードを選択する手段を設ける。
【0066】
図11は実施形態2の処理の流れを示した図である。まずS1101でSCANまたはPDLジョブを受け付けて、S1102で省電力モードを選択しているか否かの判断を行う。省電力モードを選択されているか否かについては図1の電力制御部153、154が管理を行っている。
【0067】
既に省電力モードを選択している場合にはS1103でインタプリタ104による解析を行い、図5で示したようなフラグ情報を生成する。S1104で複数ジョブのページ数の合計がXページを超えるまでS1103の処理を繰り返す。なお、Xは2以上の任意の整数である。Xページを超えた場合にはS1105で図1の電力制御部154が省電力制御のスケジューリングを行う。省電力制御のスケジューリングとは、印刷処理を実行する時期や、図8で説明したように各エンジンの起動タイミングの調整などのことである。その後、S1106で第1、第2のコントローラのRIPをスタートさせる。
【0068】
これ以降の処理については、図8、図9と同様であるので説明を省略する。なお、S1104ではXページ以上の印刷ジョブの蓄積を待って省電力制御を含む印刷処理を行う例を説明した。しかしながら、Xページに満たない場合であっても、所定の時間が経過した場合にはその時点で蓄積されている印刷ジョブの印刷処理を開始する処理を行ってもよい。
【0069】
図12は少量ページのジョブを間欠的に処理したときの第1、第2のコントローラの消費電力(W)と時間の経過の関係を示した図である。すなわち、図12は前述した図11のフローを適用していない従来の例である。図12において、ジョブ2の1ページ、ジョブ3、ジョブ4の2ページはクリアデータを含まないものとする。従って、図12において、ジョブ2の1ページ、ジョブ3、ジョブ4の2ページの処理を行うとき第2のコントローラはsleep状態となっている。しかしながら、各ジョブの印字処理の間が空いているため、ジョブ2の1ページ手前とジョブ3の1ページ手前で一度active状態に復帰してからsleep状態に戻るという無駄な電力を消費している。
【0070】
図13は図11のフローを適用した場合、すなわち本実施形態における第1、第2のコントローラの消費電力(W)と時間の経過の関係を示した図である。各ジョブのページ中のフラグの有無については図12と同様である。ここでは、ジョブ1からジョブ4までの計7ページをまとめて処理している。後続のジョブについてもクリアデータの有無を判別しているため、先行のジョブが終了した時点で直ちにsleep状態へ以降可能であるので、ジョブ2とジョブ3の処理中における無駄な電力消費を押さえることが可能となっている。
【0071】
本実施形態においては、ある程度の時間に送られるジョブをまとめて処理することによって、実施形態1と同様に画像データのクリア指示の有無に応じて省電力制御を効果的に行うことが可能となる。
【0072】
なお、上記の各実施形態の説明においては、第2のMFP121がクリアトナーを使用する構成について説明したが、第2のMFP121が有色カラーとクリアトナーの両方を使用可能に搭載している構成であってもよい。この場合においては、第2のMFP121がクリアトナーのみを使用する設定の場合に、上記の各実施形態で説明した省電力制御が行われる。
【0073】
<その他の実施例>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0074】
101 第1のMFP
102 第1のMFPのコントローラ
103 第1のMFPのCPU
104 第1のMFPのインタプリタ
107 第1のMFPのソフトレンダラ
109 第1のMFPのハードレンダラ
111 第1のMFPの画像処理部
150 第1のMFPのプリンタエンジン制御部
151 第2のMFPのハードレンダラ
124 第2のMFPの画像処理部
152 第2のMFPのプリンタエンジン制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のエンジンの排紙部と前記第1のエンジンが、印刷を行う際に用いる第1の色材とは異なる第2の色材を用いて印刷を行う第2のエンジンの給紙部とを接続した印刷装置であって、
前記第1のエンジンを制御する第1のコントローラであって、
複数のページを印刷対象とする印刷データを取得する取得手段と、
前記取得した印刷データを解析して、前記第2のエンジンで処理すべきデータが含まれるページの有無を示す情報を少なくとも含む第2のエンジン用情報を生成する生成手段と、
前記生成した第2のエンジン用情報を前記第2のエンジンの第2のコントローラに送信する送信手段と、
前記第2のコントローラが前記第2の色材を用いてN−1ページ目(ここで、Nは2以上の整数である)の印刷を行うために前記第2のエンジンで処理すべきデータに対して画像処理を行う前に前記第2のコントローラにNページ目についての第2のエンジン用情報を取得させるように、前記第1のエンジンを制御する制御手段と、
を有する第1のコントローラと、
前記第2のエンジンを制御する第2のコントローラであって、
前記第2のエンジンで処理すべきデータに対して画像処理を行う画像処理手段と、
前記送信された第2のエンジン用情報が、前記第2のエンジンで処理すべきデータを含んでいないことを示す際には、前記画像処理手段の電力制御を行い、消費電力を抑制する電力制御手段と
を有する第2のコントローラと
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記第1のコントローラの制御手段は、
前記生成手段において少なくとも印刷対象の1ページ目の印刷データの解析が終了するまで前記第1のエンジンの起動を遅延させる制御をすることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第2のコントローラの電力制御手段は、
前記送信された第2のエンジン用情報を用いて前記印刷データを構成するページに対する省電力制御のスケジューリングを行い、該スケジューリングにおいて、前記第2のエンジンで処理すべきデータが含まれていないページを処理する際には、前記画像処理手段の電力制御を行い、消費電力を制御することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第1のコントローラの生成手段は、
取得した印刷データを解析して、前記第1のエンジンが扱う前記第1の色材を用いて印刷を行う画像データと前記第2のエンジンが扱う第2の色材の色材を用いて印刷を行う画像データとを生成し、当該生成した第2のエンジンが扱う画像データを前記第2のエンジン用情報に含めて生成することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第1のコントローラは、
前記取得した印刷データに対して省電力制御を行う省電力モードかを選択する選択手段をさらに有し、
前記省電力モードが選択されている場合には、所定の枚数のページ数になるまで印刷データを受け付け、前記所定の枚数に達したときに前記第2のエンジン用情報を第2のエンジンに送信するとともに、前記第1のエンジンの起動を開始することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項6】
入力された印刷データから第1の印刷データと第2の印刷データを生成する生成手段、
前記生成手段によって生成された第1の印刷データを用紙に印刷する印刷手段、
前記生成手段で生成された第2の印刷データを、別の印刷装置へ送信する送信手段、
前記印刷手段によって第1の印刷データが印刷された用紙に前記第2の印刷データを印刷するため、排紙部から該排紙部に接続された前記別の印刷装置の給紙部へ搬送する搬送手段を有し、
前記送信手段は、前記別の印刷装置の電力消費を抑制させるべく、該別の印刷装置が印刷を行うページの少なくとも2ページ先の印刷データについての情報を送信することを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
第1のエンジンの排紙部と前記第1のエンジンが、印刷を行う際に用いる第1の色材とは異なる第2の色材を用いて印刷を行う第2のエンジンの給紙部とを接続した印刷装置を用いた印刷方法であって、
前記第1のエンジンを制御する第1のコントローラにおいて、
複数のページを印刷対象とする印刷データを取得する取得ステップと、
前記取得した印刷データを解析して、前記第2のエンジンで処理すべきデータが含まれるページの有無を示す情報を少なくとも含む第2のエンジン用情報を生成する生成ステップと、
前記生成した第2のエンジン用情報を前記第2のエンジンの第2のコントローラに送信する送信ステップと、
前記第2のコントローラが前記第2の色材を用いてN−1ページ目(ここで、Nは2以上の整数である)の印刷を行うために前記第2のエンジンで処理すべきデータに対して画像処理を行う前に前記第2のコントローラにNページ目についての第2のエンジン用情報を取得させるように、前記第1のエンジンを制御する制御ステップと、
を実行し、
前記第2のエンジンを制御する第2のコントローラにおいて、
前記第2のエンジンで処理すべきデータに対して画像処理を行う画像処理ステップと、
前記送信された第2のエンジン用情報が、前記第2のエンジンで処理すべきデータを含んでいないことを示す際には、前記画像処理ステップの電力制御を行い、消費電力を抑制する電力制御ステップと
を実行することを特徴とする印刷方法。
【請求項8】
入力された印刷データから第1の印刷データと第2の印刷データを生成する生成ステップ、前記生成ステップによって生成された第1の印刷データを用紙に印刷する印刷ステップ、前記生成ステップで作成された第2の印刷データを、別の印刷装置へ送信する送信ステップ、前記印刷ステップによって第1の印刷データが印刷された用紙に前記第2の印刷データを印刷するため、排紙部から該排紙部に接続された前記別の印刷装置の給紙部へ搬送する搬送ステップを有し、
前記送信ステップは、前記別の印刷装置の電力消費を抑制させるべく、該別の印刷装置が印刷を行うページの少なくとも2ページ先の印刷データについての情報を送信することを特徴とする印刷装置を用いた印刷方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の印刷方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−140186(P2011−140186A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2814(P2010−2814)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】