説明

印刷装置内部での電子回路構成部品の適用方法

【課題】被印刷物の表面に、印刷的手法によって導電性構造を形成するための方法を提供する。
【解決手段】被印刷物の裏面上で少なくとも一つの導電性構造がフォイル移送法によって移行され、少なくとも一つの印刷ユニット内で被印刷物に接着剤が塗布され、それに続き被印刷物の裏面に移送フォイルが給送される。接着剤が被印刷物の裏面に移行された箇所で、移送フォイルから被印刷物へ導電性の層が移送される。被印刷物は、紙、厚紙、あるいはフォイルなどである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項のプリアンブル(前提部分)に記載した方法に関する。
【0002】
本発明は、両面印刷法における印刷装置内部の電子回路又はその構成部品の印刷方法を記載し、導電性構造が被印刷物の表面印刷側に印刷され、枚葉紙がそれに続き折り返され、本来の装飾的印刷モチーフで作業通過中の裏面印刷側に印刷される。両面印刷法に対する別法として、多色印刷用の印刷ユニットに被印刷物の裏面に印刷するための印刷ユニットが前置され、それによって該印刷ユニットが通過する印刷枚葉紙に対して下方から向けられる回路としてよい。さらに本発明は被印刷物へのチップの投与方法を記載する。
【背景技術】
【0003】
導電性材料はしばしばスクリーン印刷で塗布される。たとえば銀、アルミニウム、又は導電性カーボンブラックを含有してよい導電性のペーストは、基板上に導電性の導体路を作るために基板上に塗布される。またリソグラフィー印刷法において類似の導電性の印刷方法が被印刷物に塗布される適用が知られている。
【特許文献1】独国特許公開第 3419762号明細書
【特許文献2】独国特許公開第 3717093号明細書
【特許文献3】独国特許公開第 4036253号明細書
【特許文献4】独国特許公開第29914812号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の応用の可能性の一つは、いわゆる無線周波数識別タグ(radio frequency identification(RFID)tag)である。このRFIDタグは製品情報を格納する可能性を有する。この格納される情報は、たとえば商品の流れを制御し、在庫管理を簡素にすることに利用できる。周知のバーコード符号化に比べてデータメモリ容量が明らかに高いために、RFIDタグについて任意の別の適用分野が考えられる。
【0005】
RFIDタグは、アンテナと、必要な場合は別の電子素子と、一般的にいわゆるボンディング法によって投与されるチップとから構成される。RFIDタグのアンテナは、今日オフセット印刷、スクリーン印刷、又はフレキソ印刷によって問題なく塗布することができ、他方、RFIDタグに必要なチップは一般的にアンテナのコンタクト箇所に接着又はろう付けされている。しかし将来的には、電子回路一式が被印刷製品に印刷されることも想定できる。アンテナはそれぞれ適用される周波数帯に応じてコイル又はダイポールアンテナとして形成することができる。
【0006】
しかし、印刷されたアンテナは、良好な導電性の達成に必要である導電性の印刷インクの色調と相対的に高い層厚のために、印刷されたパッケージの所望のデザインによって妨害される。またパッケージに印刷されるRFIDタグの外部から容易に破壊もしくは除去されることもあり得る。もう一つの問題点は、後から別の作業工程でチップがアンテナのコンタクト箇所に接着又はろう付けされる場合にも発生する。接着工程又はろう付け工程において、しばしば接着箇所に被印刷物の変色、又は最悪の場合は被印刷物上の燃焼箇所を生ぜしめる温度が発生する。この変色又は燃焼箇所は、すでにそれだけでパッケージの装飾的印象を妨げるために望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題点は、本発明に従って、回路の部分がパッケージの内側(両面印刷(S&W)法による被印刷物の表面印刷側又は枚葉紙裏側)に印刷され、それに続き枚葉紙が必要な場合に乾燥され、次いで裏返し装置により折り返され、一つの作業工程で被印刷物の裏面印刷側にグラフィックの装飾的モチーフが印刷されることによって解決される。この方法は、外部の外観像が、塗布されたアンテナによっても、あるいはチップの接着およびろう付けの際に発生する燃焼箇所によっても阻害されない利点を有する。導電性構造を塗布する前にプライマー又は印刷インクが前印刷され、それによってしばしば粗になる被印刷物の裏面がプライマー又は印刷インク塗布によって密になり、導電性の印刷インクが被印刷物の中で強く打ち払われすぎないことが有意義である。
【0008】
裏返し装置の手前の塗布は、一つ又は複数のフレキソ印刷ユニットによって、あるいは一つ又は複数のオフセット印刷ユニットによって行うことができる。装飾的モチーフの印刷と導電性構造の印刷の組合せが同様に考えられる。導電性印刷インクの直接的印刷に対する別法として、フォイル移送方法を使用することができる。つまり導電性構造のモチーフは接着剤で前印刷される。モチーフ箇所に接着剤を具備する被印刷物の裏面は、次に別の作業ステップでその移送層が導電性材料からなる移送フォイルと接触させられる。接着剤を具備している被印刷物の裏面の箇所で、この導電性移送層が接着剤を具備するモチーフ箇所に移行する。フォイル移送方法には適用される2つの異なる方法がある。これらの方法は使用する接着剤型で区別される。一方は物理的に乾燥する接着剤を使用でき、あるいは別法として紫外線(UV)作用下に硬化する接着剤を使用できる。
【0009】
表面印刷および両面印刷法における多色印刷の製造用の大量生産方式で対応して形成される複数の印刷ユニットを備える枚葉紙オフセット印刷装置は、独国特許公開第3419762号明細書および独国特許公開第3717093号明細書から知られている。独国特許公開第4036253号明細書に、前置した仕上ユニットの後に裏返し装置を有する印刷装置が開示されている。従って対応する裏返し装置はすでに多様な特性で知られている。
【0010】
また、下方から配置された枚葉紙の裏面を折返し・裏返し工程なしに印刷する、いわゆる裏刷ユニットが知られている。このような装置は、たとえば独国特許公開第29914812号明細書に開示されている。両面印刷法および裏面印刷法は本発明の意味において利用することができる。
【0011】
被印刷物の裏面に導電性構造を印刷するもう一つの利点は、導電性構造が連続印刷ユニットを通る通過中に版胴によってくせ取りされ、もしくはカレンダー仕上げされることにある。実験は、このカレンダー仕上及び/又はくせ取りによって導電性構造の導電性を明らかに向上できることを示している。この導電性のさらなる向上は、印刷される導電性構造を含めて枚葉紙の裏面と接触させられる版胴が容易に温度調節されることによって達成できる。最適な熱移行は印刷と密接な接触とによって与えられている。35°以上に温度上昇すると、印刷後の導電性の上昇がより速くなる。
【0012】
もう一つの挑戦は、被印刷物の裏面へのアンテナ又はその他の導電性構造のコンタクト箇所へのチップのボンディング/接着/ろう付けである。熱はチップの固定プロセス中の被印刷物の裏面から印刷された被印刷物の表面へ絶縁破壊させ、その箇所で印刷像の変色を引き起こし得る。この変色は、印刷された被印刷物表面がチップの固定プロセス中に冷却される場合に阻止することができる。冷却はチップの固定プロセス中に空気によって、印刷された被印刷物の表面が冷却板に対して押圧され、あるいは別の形式の冷却プロセスによって行うことができる。このような冷却は、導電性構造/アンテナが装飾的印刷モチーフを有する枚葉紙表面に印刷される場合、明らかにより高い費用で実現されるであろう。その場合は燃焼および変色が予想されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷物の裏面上で少なくとも一つの導電性構造がフォイル移送法によって移行され、少なくとも一つの印刷ユニット内で被印刷物に接着剤が塗布され、それに続き被印刷物の裏面に移送フォイルが給送されることを特徴とする印刷方法であって、接着剤が被印刷物の裏面に移行された箇所で、移送フォイルから被印刷物へ導電性の層が移送される印刷方法。
【請求項2】
被印刷物が紙であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
被印刷物が厚紙であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
被印刷物がフォイルであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
チップの投与工程中に印刷モチーフを具備する被印刷物の表面が冷却されることを特徴とする、印刷された導電性構造へのチップの投与方法。
【請求項6】
印刷された被印刷物の表面の冷却が、該被印刷物の表面が投与工程中に冷却板に対して押圧されることによって達成されることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
印刷された被印刷物の表面の冷却が空気作用により達成されることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項8】
被印刷物が紙であることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項9】
被印刷物がフォイルであることを特徴とする請求項2記載の方法。

【公開番号】特開2008−277840(P2008−277840A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138594(P2008−138594)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【分割の表示】特願2005−134635(P2005−134635)の分割
【原出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【出願人】(599011584)マンローラント・アーゲー (257)
【Fターム(参考)】