印刷装置及びその印刷方法、並びに制御プログラム
【課題】印刷物に部番号を印字する機能を実現する際に、操作者の部番号管理の負担を解消することができ、印刷物に対するセキュリティの向上を可能にする印刷装置を提供する。
【解決手段】ドキュメントを部番印字機能を用いて印刷する際、印刷時に指定した部数分の印刷が終了したら、その印刷ジョブをパスワード付きジョブとして印刷装置のメモリ部27に保存する。このとき、部番号が何番まで使用されたかを示す印刷済み部数情報もジョブの属性としてメモリ部27に格納する。その後、同ドキュメントの追加印刷を行う際は、メモリ部27に保存したジョブを呼び出し、認証を行って印刷を行う。このときの印刷には、メモリ部27に保存された前記印刷済み部数情報を参照して、部番号が連続するように続きの部番号から部番印字を実行する。
【解決手段】ドキュメントを部番印字機能を用いて印刷する際、印刷時に指定した部数分の印刷が終了したら、その印刷ジョブをパスワード付きジョブとして印刷装置のメモリ部27に保存する。このとき、部番号が何番まで使用されたかを示す印刷済み部数情報もジョブの属性としてメモリ部27に格納する。その後、同ドキュメントの追加印刷を行う際は、メモリ部27に保存したジョブを呼び出し、認証を行って印刷を行う。このときの印刷には、メモリ部27に保存された前記印刷済み部数情報を参照して、部番号が連続するように続きの部番号から部番印字を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物に部番号を印字する機能を備えた印刷装置及びその印刷方法、並びに前記印刷方法を実行するための制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
機密性の高いドキュメントの印刷を行う画像形成装置において、情報の漏洩防止機能を設けることでセキュリティの向上を図ることは、従来より行われている。例えば、特許文献1に記載された画像形成装置では、装置内に格納された機密性の高いドキュメントデータが不正に印刷されることがないように、情報の漏洩防止機能を備えている。しかし、機密ドキュメントが不正に印刷されないようにするだけではなく、印刷物として出力した後のセキュリティ問題も重要性を増している。
【0003】
例えば、オフィス等において、印刷装置を使用して機密性の高いドキュメントを印刷物として出力し、会議等の参加者に配布するケースが多々ある。このような場合は、情報の漏洩を防ぐため、会議等が終わった後、印刷したドキュメントを回収するのが一般的である。そして、このとき使用する印刷装置には、出力するドキュメントに部数単位でシリアル番号を透かし印刷する“部番印字機能”を備えたものがある。このシリアル番号には、通常、その印刷物が何部目かを示す部番号が用いられる(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
この部番印字機能により、印刷物の配布者は、ドキュメントの印刷・配布を行う前に、印刷した部数や配布した数などをメモなどに記録しておく必要がなくなる。また、印刷物の回収の際も、回収した印刷物に印字された通し番号を確認するだけで、回収漏れの有無を容易に確認することができる。したがって、部数を確認し、印刷・配布を行った部数と比較し、確実に回収できたかどうかを確認するという作業が不要となる。さらには、印字された部番号と配布者の関係を把握しておくことにより、印刷物が外部へ漏洩した際も、出所をトレースすることができる。このように、上記部番印字機能は、セキュリティが重要視される近年の印刷市場において、重要な機能となっている。
【特許文献1】特開2006−5442号公報
【特許文献2】特開2005−305671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の印刷装置の部番印字機能は、セキュリティ面で効果的な機能であるものの、印字する部番号を維持しつつ追加印刷を行うのに手間がかかり、操作者に多大な負担を強いるという問題があった。
【0006】
例えば、操作者が部番印字機能を使用状態にして機密ドキュメントを10部印刷し、その結果、「1」から「10」までの部番号が印字された印刷物を得たとする。その後において追加印刷を行う際は、操作者は、部番号の開始番号を「10」の次の「11」に設定して印刷を実行する必要があるが、このとき部番号の設定ミス等により同一ドキュメントに対して同じ部番号が印字される可能性がある。同じ部番号が印字された場合、回収の確認が容易でなくなるばかりか、印刷物が外部へ漏洩した際に、出所をトレースすることができなくなり、セキュリティ面で重大な障害になる。このような事態を避けるために、操作者は印字される部番号に対する意識を常に持ち続けなくてはならなかった。
【0007】
また、ドキュメントを複数名で共有している場合は、そのドキュメントの現在までの部番号を共有者全員が意識する必要があるため、部番号の管理が一層煩雑になり、操作者側にとって大きな負担となっていた。
【0008】
本発明は上記従来の問題点に鑑み、印刷物に部番号を印字する機能を実現する際に、操作者の部番号管理の負担を解消することができ、印刷物に対するセキュリティの向上を可能にする印刷装置及びその印刷方法、並びに制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するため、印刷データに基づいて印刷を行うと共に、部単位で設定される部番号を前記印刷による印刷物に印字する部番号印字印刷手段を備えた印刷装置において、前記印刷データの印刷済み部数に対応した情報である印刷済み部数情報を、当該印刷データに関連づけて保存する保存手段を設け、前記部番印字印刷手段は、前記保存手段に保存された印刷データの印刷時に、該印刷データに関連づけられた前記印刷済み部数情報に基づいて当該印刷物に部番号を印字することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、印刷データに基づいて印刷を行うと共に、部単位で設定される部番号を前記印刷による印刷物に印字する機能を有する印刷装置の印刷方法であって、前記印刷データの印刷済み部数に対応した情報である印刷済み部数情報を、当該印刷データに関連づけて保存手段に保存する工程と、前記保存手段に保存された印刷データの印刷時に、該印刷データの前記印刷済み部数情報に基づいて当該印刷物に部番号を印字する工程とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、印刷データに基づいて印刷を行うと共に、部単位で設定される部番号を前記印刷による印刷物に印字する機能を有する印刷装置の印刷方法を実行するための、コンピュータで読み取り可能な制御プログラムであって、前記印刷データの印刷済み部数に対応した情報である印刷済み部数情報を当該印刷データに関連づけて保存手段に保存するステップと、前記保存手段に保存された印刷データの印刷時に、該印刷データの前記印刷済み部数情報に基づいて当該印刷物に部番号を印字するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、印刷物に部番号を印字する機能を実現する際に、操作者の部番号管理の負担を解消することができ、印刷物に対するセキュリティの向上が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
<構成>
図1は、本発明の印刷装置を含む印刷システムの一構成例を示すブロック図であり、図2は、本発明の印刷装置の一例であるMFPの構成ブロック図である。
【0015】
本実施の形態のシステムは、図1に示すように、本発明の印刷装置の一構成例であるデジタル複合機(MFP)11と、クライアントPC12とで構成され、それぞれがネットワーク10により接続されている。
【0016】
そして、MFP11は、入力画像処理部21、NIC/RIP部22、操作部23、MFP制御部24、出力画像処理部25、プリンタ部26、及びメモリ部27から構成されている。入力画像処理部21は、紙原稿から読み取られた画像データを処理し、NIC/RIP部22は、ネットワークとの接続処理、及びネットワークを介して受信した印刷データのRIP処理を行う。操作部23は、ユーザに対してユーザインターフェースを提供し、MFP制御部24は、各モジュールの動作を制御する中心となる。出力画像処理部25は出力画像の形成やフィルタリングの処理を行い、プリンタ部26は、実際に印刷を行う。メモリ部27は、印刷ジョブや後述する印刷済み部数情報などを保存する。
【0017】
<本実施の形態の動作>
次に、図3〜図8を参照して本実施の形態の動作を説明する。
【0018】
図3は、第1実施の形態に係る印刷システムの印刷ジョブ投入時の印刷処理を示すフローチャートである。また、図4は、クライアントPC12上に表示される部番印字機能のオン/オフ設定画面を示す画面表示図であり、図5は、クライアントPC12上に表示されるボックス/パスワード入力画面を示す画面表示図である。
【0019】
ユーザは、機密性の高いドキュメントの部番印字を行うため、クライアントPC12から印刷ジョブをMFP11に対して投入する。このとき、クライアントPC12のプリンタドライバは図4のような画面を操作部23のパネルに表示し、ユーザは画面上のラジオボタン51、52により部番印字機能を使用するかしないかを選択する(S11)。ここで、「部番印字しない」のラジオボタン51を選択した場合は、ドキュメントは部番印字がなされずに、指定部数分だけ通常の印刷が行われる。また、「部番印字する」のラジオボタン52を選択すると、図5のような「Box番号」の入力エリア53と「Password」の入力エリア54の画面表示となり、ボックス番号とパスワードの入力をユーザへ促す(S12、S13)。
【0020】
「部番印字する」を選択した場合において、S13でボックス番号とパスワードを入力して印刷を開始すると、指定した部数分だけ、部番号の印字を伴う印刷ジョブの印刷(部番印字印刷)が実行される(S14、S15)。そして、指定した部数分の印刷が終了すると、該印刷ジョブがメモリ部27にパスワード付きのジョブ(印刷実行には認証が必要なジョブ)として格納される(S16)。このとき、当該印刷ジョブの属性として、印刷済み部数を示す情報(印刷済み部数情報)を保存する。このメモリ部27への保存は、例えば、MFP11のボックス機能を使ったHDDへの保存や、印刷キューへ待機状態で投入することによる保存などを指す。
【0021】
次に、前記ドキュメントの追加印刷を行う場合の処理について説明する。
【0022】
図6は、第1の実施の形態に係るMFP11の追加印刷時の処理を示すフローチャートである。また、図7は、第1の実施の形態に係るMFP11の操作部23に表示される書類選択画面を示す画面表示図であり、図8は、パスワード要求画面を示す画面表示図である。
【0023】
前記所定ドキュメントの追加印刷を行う場合、操作者は、MFP11の操作部23から、メモリ部27に保存された印刷ジョブを選択して実行する。操作者は、まず保存された印刷ジョブを選択するために、操作部23の表示パネルに図7に示すような書類選択画面を表示する(S21)。この書類選択画面の表示エリア70には、保存ドキュメントの文書名等が表示されている。
【0024】
この図7の画面において、印刷したいドキュメントを選択し、「プリント」を実行する。すると、図8のようなパスワード要求画面が表示され、パスワードを入力するように促される(S23)。ここでのパスワードは、図3のS13において設定したものである。パスワードを入力すると印刷が開始される。この印刷は、図3のS16で保存した印刷済み部数情報を参照し、その続きの部番号の印字を伴う印刷ジョブの印刷(部番印字印刷)である。そして、追加印刷で指定した部数分の印刷が終了すると、また前記S16と同じように、当該印刷ジョブはメモリ部27にパスワード付きジョブとして格納される(S24)。またこの時、前記S16で保存した印刷済み部数に、今回追加印刷した分の部数が足し合わされた印刷済み部数情報更新値が当該印刷ジョブの属性として保存される。
【0025】
なお、図5の画面表示例は、メモリ部27としてMFP11のハードディスクを用いた場合を例示しており、印刷キューにパスワード付きの待機ジョブとして投入する場合は、多少異なったユーザインターフェースになる。また、図5のようにボックス番号(Box番号)を明示的に指定せず、MFP11の操作部23から設定する形式としてもよい。
【0026】
<本実施の形態の利点>
本実施の形態では、機密性の高いドキュメントを部番印字機能を用いて印刷する際、印刷時に指定した部数分の印刷が終了したら、その印刷ジョブをパスワード付きジョブ(印刷実行には認証が必要なジョブ)として印刷装置のメモリ部27に保存する。このとき、そのドキュメントが何部印刷されたか、つまり部番号が何番まで使用されたかを示す印刷済み部数情報もジョブの属性としてメモリ部27に格納する(図3のS16)。その後、同ドキュメントの追加印刷を行う際は、メモリ部27に保存したジョブを呼び出し、認証を行って印刷を行う。このときの印刷には、メモリ部27に保存された前記印刷済み部数情報を参照して、部番号が連続するように続きの部番号から部番印字を実行する(図6のS23)。
【0027】
これにより、部番印字機能を使用して印刷するに際し、同一ドキュメントに対して同じ部番号が印字されるような不具合を確実に回避することが可能になる。したがって、操作者は、現在何番まで部番号が使用されたかを意識せずとも、唯一の部番号が印字された印刷を行うことができる。また、複数名で共有しているドキュメントの印刷においても、共有者各自は当該ドキュメントの現在までの部番号を意識することなく、唯一の部番号が印字された印刷を行うことができる。
【0028】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、上記第1の実施の形態の構成において、あるドキュメントについて部番印字機能を使用して印刷を行う際、予め印刷許可部数を設定しておき、印刷部数が印刷許可部数を超えたら“パスワード付きジョブ”として印刷装置に保存する。
【0029】
<本実施の形態の動作>
図9は、第2の実施の形態に係る印刷システムの印刷ジョブ投入時の印刷処理を示すフローチャートであり、図3と共通の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。図10は、第2の実施の形態に係る印刷システムにおけるクライアントPC12上に表示されるボックス/パスワード入力画面を示す画面表示図である。
【0030】
前述した図3のS11、S12と同様の処理を経て「部番印字する」を選択すると、図10のような表示となり、前述したボックス番号及びパスワードの入力に加え、入力エリア55によって印刷許可部数の入力を操作者に促す(S33)。操作者が、ボックス番号、パスワード及び印刷許可部数を入力し印刷を開始すると、指定した部数分だけ、部番号の印字を伴う印刷ジョブの印刷が実行される(S34、S35)。
【0031】
そして、指定した部数分の印刷が終了すると、印刷済み部数が前記設定した印刷許可部数以上かどうかを判定する(S36)。印刷済み部数が前記印刷許可部数以上ならば、当該印刷ジョブはパスワード付きのジョブとしてメモリ部27に格納される(S37)。印刷済み部数が前記印刷許可部数未満ならば、当該印刷ジョブはパスワード無しのジョブ(印刷実行に認証が必要ないジョブ)としてメモリ部27に格納される(S38)。さらに、S37及びS38の処理では、当該印刷ジョブの属性として、印刷済み部数を示す情報(印刷済み部数情報)を該印刷ジョブに関連づけて保存する。
【0032】
次に、追加印刷を行う場合について説明する。
【0033】
図11は、第2の実施の形態に係るMFP11の追加印刷時の処理を示すフローチャートである。また、図12は、第2の実施の形態に係るMFP11の操作部23に表示される書類選択画面を示す画面表示図である。
【0034】
前記所定ドキュメントの追加印刷を行う場合、操作者は、MFP11の操作部23から、メモリ部27に保存された印刷ジョブを選択して実行する。操作者は、まず保存された印刷ジョブを選択するために、操作部23の表示パネルに図12に示すような書類選択画面を表示する(S41)。この書類選択画面の表示エリア70には、保存ドキュメントの文書名に対応して、印刷済み部数と印刷許可部数のエリア71が表示されている。
【0035】
この図12の画面において、印刷したいドキュメントのジョブを選択し、「プリント」を実行する。すると、そのドキュメントの印刷済み部数が、図10のS33で設定した印刷許可部数以上であるならば(S42)、図8のようなパスワード要求画面が表示され、パスワードを入力するように促される(S43)。
【0036】
パスワードを入力すると印刷が開始される。この時、図9のS37で保存した印刷済み部数情報を参照し、その印刷済み部数の続きから部番号を印字しながら当該印刷ジョブの印刷(部番印字印刷)が実行される(S43)。また、当該印刷ジョブは、前記図9のS37と同じように、メモリ部27にパスワード付きのジョブとして格納される。この時、S37で保存した印刷済み部数に、今回追加印刷した分の部数が足し合わされた印刷済み部数情報更新値が当該印刷ジョブの属性として保存される。
【0037】
一方、ドキュメントの印刷済み部数が、設定した印刷許可部数未満であるならば(S42)、前記S43の処理をスキップして部番印字印刷が開始される(S44)。なお、この部番印字印刷でも、印刷済み部数が前記設定した印刷許可部数を超えるまでは、パスワード無しのジョブとしてメモリ部27に格納される。そして印刷済み部数が印刷許可部数を超えるとメモリ部27にパスワード付きのジョブとして格納される。この時、前記S37の処理で保存した印刷済み部数情報に、今回追加印刷した分の部数が足し合わされた印刷済み部数情報更新値が当該印刷ジョブの属性として保存される。
【0038】
<本実施の形態の利点>
第2の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態の構成において、あるドキュメントについて部番印字機能を使用して印刷を行うに際し、そのドキュメントのオーナーが印刷許可部数を設定し、印刷ジョブを印刷装置のメモリ部27に保存する。そして、印刷ジョブが呼び出されて印刷が行われる度に部番号を印字した印刷を行い、更に印刷部数をカウントアップする。印刷部数が印刷許可部数を超えたらパスワード付きジョブ(印刷実行には認証が必要なジョブ)へと変更するようにした(S36、S37)。これにより、上記第1の実施の形態に比べてセキュリティ管理の自由度が増大する。
【0039】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、図1及び図2の構成において、部番印字機能を使用する設定でドキュメントをMFP11に投入した際に、そのドキュメントが既に印刷ジョブとしてMFP11に投入されていた場合でも、好適に部番印字印刷を行えるようにしたものである。
【0040】
<本実施の形態の動作>
図13は、第3の実施の形態に係る印刷システムの印刷ジョブ投入時の印刷処理を示すフローチャートである。図14(a),(b)は、第3の実施の形態に係る印刷システムにおけるクライアントPC12上に表示される警告画面を示す画面表示図である。
【0041】
まず、クライアントPC12のプリンタドライバは、前述した第1の実施の形態における図3のS11、S12の処理と同様の処理を行う(S51、S52)。図4の画面で「部番印字しない」のラジオボタン51を選択した場合は、MFP11のメモリ部27内に、操作者がこれから印刷をしようとしているドキュメントと一致するドキュメントが既にあるかどうかを判断する(S53)。一致するものがなければ、MFP11は、当該ドキュメントについて部番印字印刷を行わずに、指定部数分だけの通常印刷を行う(S56)。一致するドキュメントがあった場合、そのドキュメントに部番印字の設定がなされているかを判断する(S54)。部番印字の設定がなされていない場合は、MFP11は、当該ドキュメントについて、部番印字印刷を行わずに指定部数分だけの通常印刷を行う(S56)。
【0042】
部番印字の設定がなされている場合は、クライアントPC12は、図14(a)の画面を表示し、部番印字の設定がなされたドキュメントが既にMFP11のボックス内に保存されている旨を通知する。さらに、印刷のためにはパスワードが必要であることも同時に伝え、印刷のためのパスワードを要求する(S55)。操作者が図14(a)の画面中の入力エリア81にパスワードを入力しOKボタン82を押下すると、入力されたパスワードが正しければ(S57)、S58以降へ進んで、MFP11は、ボックス内に保存されたドキュメントの印刷ジョブを使って印刷を行う。パスワード入力の時点でキャンセルボタン83を選んだ場合は、印刷は行われない。ここで、S55で要求されるパスワードは、前述の図3のフローに従って予めボックス内に印刷ジョブが保存される際にS13で設定されたパスワードである。
【0043】
印刷が開始されると、MFP11は、指定した部数分だけ、部番号の印字を伴う印刷ジョブの印刷(部番印字印刷)を実行する(S58、S59)。そして、指定した部数分の印刷が終了すると、該印刷ジョブをメモリ部27にパスワード付きのジョブとして再度格納する(S60)。またこの時、前記S16で保存した印刷済み部数に、今回追加印刷した分の部数が足し合わされた印刷済み部数情報更新値を、当該印刷ジョブの属性として保存する。
【0044】
一方、S52において「部番印字する」のラジオボタン52を選択した場合は、クライアントPC12は、図5のようなドライバ画面を表示し、ボックス番号とパスワードの入力を操作者に促す(S61)。次にMFP11のメモリ部27に、操作者がこれから印刷をしようとしているドキュメントと一致するドキュメントの印刷ジョブが既にあるかどうかを判断する(S62)。
【0045】
一致するものがなければ、S58以降のフローと同様となる。一致するドキュメントの印刷ジョブがある場合は、その一致したボックス内のドキュメントに「部番印字=オン(部番印字する)」の設定がなされているかを判断する(S63)。「部番印字=オン」の設定がなされている場合は、図14(a)に示すような警告画面を表示し、「部番印字=オン」の設定がなされたドキュメントの印刷ジョブが既にMFP11のボックス内に保存されている旨を通知する。そして、印刷のためにはパスワードが必要であることも同時に伝え、印刷のためのパスワードを要求する(S55)。
【0046】
S55以後のフローは前述したものと同様である。またS63で、「部番印字=オン」の設定がなされていない場合は、図14(b)の警告画面を表示し、「部番印字=オン」の設定がなされていないドキュメントの印刷ジョブが既にMFP11のボックス内に保存されている旨を通知する。また同時に、ボックス内に保存されている該当ドキュメントの部番印字設定をオンに変更する旨を通知する。図14(b)の画面においてOKボタン84を選択して印刷を継続する場合はS58以降のフローと同様となり、キャンセルボタン85を選択したの場合には印刷は行われない(S65)。
【0047】
<本実施の形態の利点>
第3の実施の形態によれば、部番印字機能を使用する設定でドキュメントを印刷装置に投入する場合に、そのドキュメントが既に印刷ジョブとして印刷装置に投入されていたときは、ドキュメントの照合を行う。そして、一致するドキュメントの印刷ジョブが印刷装置のメモリ部27に存在する場合には、その旨を警告メッセージとして操作者へ表示する。このとき、さらに続きの部番から印字を行うかを操作者に尋ね、続きの部番から印字を行う場合は、メモリ部27に保存された該当ジョブと印刷済み部数情報を参照して、部番号が連続するように続きの部番号から部番印字を行い印刷する。
【0048】
このように、部番印字機能を使用する設定でドキュメントを印刷装置に投入する場合に、そのドキュメントが既に印刷ジョブとして印刷装置に投入されていたときでも、同一ドキュメントに対して同じ部番号が印字されるような不具合を確実に回避することができる。
【0049】
なお、本発明の目的は、前述した各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体をシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが前記プログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。
【0050】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した各実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0051】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば次のようなものが挙げられる。即ち、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CDROM、CDR、CDRW、DVDROM、DVDRAM、DVDRW、DVD+RW等の光ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0052】
また、本発明は、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した各実施の形態の機能が実現されるだけではない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】印刷システムの一構成例を示すブロック図である。
【図2】MFPの構成ブロック図である。
【図3】第1実施の形態に係る印刷システムの印刷ジョブ投入時の印刷処理を示すフローチャートである。
【図4】クライアントPC上に表示される部番印字機能のオン/オフ設定画面を示す画面表示図である。
【図5】クライアントPC上に表示されるボックス/パスワード入力画面を示す画面表示図である。
【図6】第1の実施の形態に係るMFPの追加印刷時の処理を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態に係るMFPの操作部に表示される書類選択画面を示す画面表示図である。
【図8】パスワード要求画面を示す画面表示図である。
【図9】第2の実施の形態に係る印刷システムの印刷ジョブ投入時の印刷処理を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態に係る印刷システムにおけるクライアントPC上に表示されるボックス/パスワード入力画面を示す画面表示図である。
【図11】第2の実施の形態に係るMFPの追加印刷時の処理を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施の形態に係るMFPの操作部に表示される書類選択画面を示す画面表示図である。
【図13】第3の実施の形態に係る印刷システムの印刷ジョブ投入時の印刷処理を示すフローチャートである。
【図14】第3の実施の形態に係る印刷システムにおけるクライアントPC上に表示される警告画面を示す画面表示図である。
【符号の説明】
【0054】
11 デジタル複合機(MFP)
12 クライアントPC
23 操作部
24 MFP制御部
26 プリンタ部
27 メモリ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物に部番号を印字する機能を備えた印刷装置及びその印刷方法、並びに前記印刷方法を実行するための制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
機密性の高いドキュメントの印刷を行う画像形成装置において、情報の漏洩防止機能を設けることでセキュリティの向上を図ることは、従来より行われている。例えば、特許文献1に記載された画像形成装置では、装置内に格納された機密性の高いドキュメントデータが不正に印刷されることがないように、情報の漏洩防止機能を備えている。しかし、機密ドキュメントが不正に印刷されないようにするだけではなく、印刷物として出力した後のセキュリティ問題も重要性を増している。
【0003】
例えば、オフィス等において、印刷装置を使用して機密性の高いドキュメントを印刷物として出力し、会議等の参加者に配布するケースが多々ある。このような場合は、情報の漏洩を防ぐため、会議等が終わった後、印刷したドキュメントを回収するのが一般的である。そして、このとき使用する印刷装置には、出力するドキュメントに部数単位でシリアル番号を透かし印刷する“部番印字機能”を備えたものがある。このシリアル番号には、通常、その印刷物が何部目かを示す部番号が用いられる(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
この部番印字機能により、印刷物の配布者は、ドキュメントの印刷・配布を行う前に、印刷した部数や配布した数などをメモなどに記録しておく必要がなくなる。また、印刷物の回収の際も、回収した印刷物に印字された通し番号を確認するだけで、回収漏れの有無を容易に確認することができる。したがって、部数を確認し、印刷・配布を行った部数と比較し、確実に回収できたかどうかを確認するという作業が不要となる。さらには、印字された部番号と配布者の関係を把握しておくことにより、印刷物が外部へ漏洩した際も、出所をトレースすることができる。このように、上記部番印字機能は、セキュリティが重要視される近年の印刷市場において、重要な機能となっている。
【特許文献1】特開2006−5442号公報
【特許文献2】特開2005−305671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の印刷装置の部番印字機能は、セキュリティ面で効果的な機能であるものの、印字する部番号を維持しつつ追加印刷を行うのに手間がかかり、操作者に多大な負担を強いるという問題があった。
【0006】
例えば、操作者が部番印字機能を使用状態にして機密ドキュメントを10部印刷し、その結果、「1」から「10」までの部番号が印字された印刷物を得たとする。その後において追加印刷を行う際は、操作者は、部番号の開始番号を「10」の次の「11」に設定して印刷を実行する必要があるが、このとき部番号の設定ミス等により同一ドキュメントに対して同じ部番号が印字される可能性がある。同じ部番号が印字された場合、回収の確認が容易でなくなるばかりか、印刷物が外部へ漏洩した際に、出所をトレースすることができなくなり、セキュリティ面で重大な障害になる。このような事態を避けるために、操作者は印字される部番号に対する意識を常に持ち続けなくてはならなかった。
【0007】
また、ドキュメントを複数名で共有している場合は、そのドキュメントの現在までの部番号を共有者全員が意識する必要があるため、部番号の管理が一層煩雑になり、操作者側にとって大きな負担となっていた。
【0008】
本発明は上記従来の問題点に鑑み、印刷物に部番号を印字する機能を実現する際に、操作者の部番号管理の負担を解消することができ、印刷物に対するセキュリティの向上を可能にする印刷装置及びその印刷方法、並びに制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するため、印刷データに基づいて印刷を行うと共に、部単位で設定される部番号を前記印刷による印刷物に印字する部番号印字印刷手段を備えた印刷装置において、前記印刷データの印刷済み部数に対応した情報である印刷済み部数情報を、当該印刷データに関連づけて保存する保存手段を設け、前記部番印字印刷手段は、前記保存手段に保存された印刷データの印刷時に、該印刷データに関連づけられた前記印刷済み部数情報に基づいて当該印刷物に部番号を印字することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、印刷データに基づいて印刷を行うと共に、部単位で設定される部番号を前記印刷による印刷物に印字する機能を有する印刷装置の印刷方法であって、前記印刷データの印刷済み部数に対応した情報である印刷済み部数情報を、当該印刷データに関連づけて保存手段に保存する工程と、前記保存手段に保存された印刷データの印刷時に、該印刷データの前記印刷済み部数情報に基づいて当該印刷物に部番号を印字する工程とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、印刷データに基づいて印刷を行うと共に、部単位で設定される部番号を前記印刷による印刷物に印字する機能を有する印刷装置の印刷方法を実行するための、コンピュータで読み取り可能な制御プログラムであって、前記印刷データの印刷済み部数に対応した情報である印刷済み部数情報を当該印刷データに関連づけて保存手段に保存するステップと、前記保存手段に保存された印刷データの印刷時に、該印刷データの前記印刷済み部数情報に基づいて当該印刷物に部番号を印字するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、印刷物に部番号を印字する機能を実現する際に、操作者の部番号管理の負担を解消することができ、印刷物に対するセキュリティの向上が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
<構成>
図1は、本発明の印刷装置を含む印刷システムの一構成例を示すブロック図であり、図2は、本発明の印刷装置の一例であるMFPの構成ブロック図である。
【0015】
本実施の形態のシステムは、図1に示すように、本発明の印刷装置の一構成例であるデジタル複合機(MFP)11と、クライアントPC12とで構成され、それぞれがネットワーク10により接続されている。
【0016】
そして、MFP11は、入力画像処理部21、NIC/RIP部22、操作部23、MFP制御部24、出力画像処理部25、プリンタ部26、及びメモリ部27から構成されている。入力画像処理部21は、紙原稿から読み取られた画像データを処理し、NIC/RIP部22は、ネットワークとの接続処理、及びネットワークを介して受信した印刷データのRIP処理を行う。操作部23は、ユーザに対してユーザインターフェースを提供し、MFP制御部24は、各モジュールの動作を制御する中心となる。出力画像処理部25は出力画像の形成やフィルタリングの処理を行い、プリンタ部26は、実際に印刷を行う。メモリ部27は、印刷ジョブや後述する印刷済み部数情報などを保存する。
【0017】
<本実施の形態の動作>
次に、図3〜図8を参照して本実施の形態の動作を説明する。
【0018】
図3は、第1実施の形態に係る印刷システムの印刷ジョブ投入時の印刷処理を示すフローチャートである。また、図4は、クライアントPC12上に表示される部番印字機能のオン/オフ設定画面を示す画面表示図であり、図5は、クライアントPC12上に表示されるボックス/パスワード入力画面を示す画面表示図である。
【0019】
ユーザは、機密性の高いドキュメントの部番印字を行うため、クライアントPC12から印刷ジョブをMFP11に対して投入する。このとき、クライアントPC12のプリンタドライバは図4のような画面を操作部23のパネルに表示し、ユーザは画面上のラジオボタン51、52により部番印字機能を使用するかしないかを選択する(S11)。ここで、「部番印字しない」のラジオボタン51を選択した場合は、ドキュメントは部番印字がなされずに、指定部数分だけ通常の印刷が行われる。また、「部番印字する」のラジオボタン52を選択すると、図5のような「Box番号」の入力エリア53と「Password」の入力エリア54の画面表示となり、ボックス番号とパスワードの入力をユーザへ促す(S12、S13)。
【0020】
「部番印字する」を選択した場合において、S13でボックス番号とパスワードを入力して印刷を開始すると、指定した部数分だけ、部番号の印字を伴う印刷ジョブの印刷(部番印字印刷)が実行される(S14、S15)。そして、指定した部数分の印刷が終了すると、該印刷ジョブがメモリ部27にパスワード付きのジョブ(印刷実行には認証が必要なジョブ)として格納される(S16)。このとき、当該印刷ジョブの属性として、印刷済み部数を示す情報(印刷済み部数情報)を保存する。このメモリ部27への保存は、例えば、MFP11のボックス機能を使ったHDDへの保存や、印刷キューへ待機状態で投入することによる保存などを指す。
【0021】
次に、前記ドキュメントの追加印刷を行う場合の処理について説明する。
【0022】
図6は、第1の実施の形態に係るMFP11の追加印刷時の処理を示すフローチャートである。また、図7は、第1の実施の形態に係るMFP11の操作部23に表示される書類選択画面を示す画面表示図であり、図8は、パスワード要求画面を示す画面表示図である。
【0023】
前記所定ドキュメントの追加印刷を行う場合、操作者は、MFP11の操作部23から、メモリ部27に保存された印刷ジョブを選択して実行する。操作者は、まず保存された印刷ジョブを選択するために、操作部23の表示パネルに図7に示すような書類選択画面を表示する(S21)。この書類選択画面の表示エリア70には、保存ドキュメントの文書名等が表示されている。
【0024】
この図7の画面において、印刷したいドキュメントを選択し、「プリント」を実行する。すると、図8のようなパスワード要求画面が表示され、パスワードを入力するように促される(S23)。ここでのパスワードは、図3のS13において設定したものである。パスワードを入力すると印刷が開始される。この印刷は、図3のS16で保存した印刷済み部数情報を参照し、その続きの部番号の印字を伴う印刷ジョブの印刷(部番印字印刷)である。そして、追加印刷で指定した部数分の印刷が終了すると、また前記S16と同じように、当該印刷ジョブはメモリ部27にパスワード付きジョブとして格納される(S24)。またこの時、前記S16で保存した印刷済み部数に、今回追加印刷した分の部数が足し合わされた印刷済み部数情報更新値が当該印刷ジョブの属性として保存される。
【0025】
なお、図5の画面表示例は、メモリ部27としてMFP11のハードディスクを用いた場合を例示しており、印刷キューにパスワード付きの待機ジョブとして投入する場合は、多少異なったユーザインターフェースになる。また、図5のようにボックス番号(Box番号)を明示的に指定せず、MFP11の操作部23から設定する形式としてもよい。
【0026】
<本実施の形態の利点>
本実施の形態では、機密性の高いドキュメントを部番印字機能を用いて印刷する際、印刷時に指定した部数分の印刷が終了したら、その印刷ジョブをパスワード付きジョブ(印刷実行には認証が必要なジョブ)として印刷装置のメモリ部27に保存する。このとき、そのドキュメントが何部印刷されたか、つまり部番号が何番まで使用されたかを示す印刷済み部数情報もジョブの属性としてメモリ部27に格納する(図3のS16)。その後、同ドキュメントの追加印刷を行う際は、メモリ部27に保存したジョブを呼び出し、認証を行って印刷を行う。このときの印刷には、メモリ部27に保存された前記印刷済み部数情報を参照して、部番号が連続するように続きの部番号から部番印字を実行する(図6のS23)。
【0027】
これにより、部番印字機能を使用して印刷するに際し、同一ドキュメントに対して同じ部番号が印字されるような不具合を確実に回避することが可能になる。したがって、操作者は、現在何番まで部番号が使用されたかを意識せずとも、唯一の部番号が印字された印刷を行うことができる。また、複数名で共有しているドキュメントの印刷においても、共有者各自は当該ドキュメントの現在までの部番号を意識することなく、唯一の部番号が印字された印刷を行うことができる。
【0028】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、上記第1の実施の形態の構成において、あるドキュメントについて部番印字機能を使用して印刷を行う際、予め印刷許可部数を設定しておき、印刷部数が印刷許可部数を超えたら“パスワード付きジョブ”として印刷装置に保存する。
【0029】
<本実施の形態の動作>
図9は、第2の実施の形態に係る印刷システムの印刷ジョブ投入時の印刷処理を示すフローチャートであり、図3と共通の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。図10は、第2の実施の形態に係る印刷システムにおけるクライアントPC12上に表示されるボックス/パスワード入力画面を示す画面表示図である。
【0030】
前述した図3のS11、S12と同様の処理を経て「部番印字する」を選択すると、図10のような表示となり、前述したボックス番号及びパスワードの入力に加え、入力エリア55によって印刷許可部数の入力を操作者に促す(S33)。操作者が、ボックス番号、パスワード及び印刷許可部数を入力し印刷を開始すると、指定した部数分だけ、部番号の印字を伴う印刷ジョブの印刷が実行される(S34、S35)。
【0031】
そして、指定した部数分の印刷が終了すると、印刷済み部数が前記設定した印刷許可部数以上かどうかを判定する(S36)。印刷済み部数が前記印刷許可部数以上ならば、当該印刷ジョブはパスワード付きのジョブとしてメモリ部27に格納される(S37)。印刷済み部数が前記印刷許可部数未満ならば、当該印刷ジョブはパスワード無しのジョブ(印刷実行に認証が必要ないジョブ)としてメモリ部27に格納される(S38)。さらに、S37及びS38の処理では、当該印刷ジョブの属性として、印刷済み部数を示す情報(印刷済み部数情報)を該印刷ジョブに関連づけて保存する。
【0032】
次に、追加印刷を行う場合について説明する。
【0033】
図11は、第2の実施の形態に係るMFP11の追加印刷時の処理を示すフローチャートである。また、図12は、第2の実施の形態に係るMFP11の操作部23に表示される書類選択画面を示す画面表示図である。
【0034】
前記所定ドキュメントの追加印刷を行う場合、操作者は、MFP11の操作部23から、メモリ部27に保存された印刷ジョブを選択して実行する。操作者は、まず保存された印刷ジョブを選択するために、操作部23の表示パネルに図12に示すような書類選択画面を表示する(S41)。この書類選択画面の表示エリア70には、保存ドキュメントの文書名に対応して、印刷済み部数と印刷許可部数のエリア71が表示されている。
【0035】
この図12の画面において、印刷したいドキュメントのジョブを選択し、「プリント」を実行する。すると、そのドキュメントの印刷済み部数が、図10のS33で設定した印刷許可部数以上であるならば(S42)、図8のようなパスワード要求画面が表示され、パスワードを入力するように促される(S43)。
【0036】
パスワードを入力すると印刷が開始される。この時、図9のS37で保存した印刷済み部数情報を参照し、その印刷済み部数の続きから部番号を印字しながら当該印刷ジョブの印刷(部番印字印刷)が実行される(S43)。また、当該印刷ジョブは、前記図9のS37と同じように、メモリ部27にパスワード付きのジョブとして格納される。この時、S37で保存した印刷済み部数に、今回追加印刷した分の部数が足し合わされた印刷済み部数情報更新値が当該印刷ジョブの属性として保存される。
【0037】
一方、ドキュメントの印刷済み部数が、設定した印刷許可部数未満であるならば(S42)、前記S43の処理をスキップして部番印字印刷が開始される(S44)。なお、この部番印字印刷でも、印刷済み部数が前記設定した印刷許可部数を超えるまでは、パスワード無しのジョブとしてメモリ部27に格納される。そして印刷済み部数が印刷許可部数を超えるとメモリ部27にパスワード付きのジョブとして格納される。この時、前記S37の処理で保存した印刷済み部数情報に、今回追加印刷した分の部数が足し合わされた印刷済み部数情報更新値が当該印刷ジョブの属性として保存される。
【0038】
<本実施の形態の利点>
第2の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態の構成において、あるドキュメントについて部番印字機能を使用して印刷を行うに際し、そのドキュメントのオーナーが印刷許可部数を設定し、印刷ジョブを印刷装置のメモリ部27に保存する。そして、印刷ジョブが呼び出されて印刷が行われる度に部番号を印字した印刷を行い、更に印刷部数をカウントアップする。印刷部数が印刷許可部数を超えたらパスワード付きジョブ(印刷実行には認証が必要なジョブ)へと変更するようにした(S36、S37)。これにより、上記第1の実施の形態に比べてセキュリティ管理の自由度が増大する。
【0039】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、図1及び図2の構成において、部番印字機能を使用する設定でドキュメントをMFP11に投入した際に、そのドキュメントが既に印刷ジョブとしてMFP11に投入されていた場合でも、好適に部番印字印刷を行えるようにしたものである。
【0040】
<本実施の形態の動作>
図13は、第3の実施の形態に係る印刷システムの印刷ジョブ投入時の印刷処理を示すフローチャートである。図14(a),(b)は、第3の実施の形態に係る印刷システムにおけるクライアントPC12上に表示される警告画面を示す画面表示図である。
【0041】
まず、クライアントPC12のプリンタドライバは、前述した第1の実施の形態における図3のS11、S12の処理と同様の処理を行う(S51、S52)。図4の画面で「部番印字しない」のラジオボタン51を選択した場合は、MFP11のメモリ部27内に、操作者がこれから印刷をしようとしているドキュメントと一致するドキュメントが既にあるかどうかを判断する(S53)。一致するものがなければ、MFP11は、当該ドキュメントについて部番印字印刷を行わずに、指定部数分だけの通常印刷を行う(S56)。一致するドキュメントがあった場合、そのドキュメントに部番印字の設定がなされているかを判断する(S54)。部番印字の設定がなされていない場合は、MFP11は、当該ドキュメントについて、部番印字印刷を行わずに指定部数分だけの通常印刷を行う(S56)。
【0042】
部番印字の設定がなされている場合は、クライアントPC12は、図14(a)の画面を表示し、部番印字の設定がなされたドキュメントが既にMFP11のボックス内に保存されている旨を通知する。さらに、印刷のためにはパスワードが必要であることも同時に伝え、印刷のためのパスワードを要求する(S55)。操作者が図14(a)の画面中の入力エリア81にパスワードを入力しOKボタン82を押下すると、入力されたパスワードが正しければ(S57)、S58以降へ進んで、MFP11は、ボックス内に保存されたドキュメントの印刷ジョブを使って印刷を行う。パスワード入力の時点でキャンセルボタン83を選んだ場合は、印刷は行われない。ここで、S55で要求されるパスワードは、前述の図3のフローに従って予めボックス内に印刷ジョブが保存される際にS13で設定されたパスワードである。
【0043】
印刷が開始されると、MFP11は、指定した部数分だけ、部番号の印字を伴う印刷ジョブの印刷(部番印字印刷)を実行する(S58、S59)。そして、指定した部数分の印刷が終了すると、該印刷ジョブをメモリ部27にパスワード付きのジョブとして再度格納する(S60)。またこの時、前記S16で保存した印刷済み部数に、今回追加印刷した分の部数が足し合わされた印刷済み部数情報更新値を、当該印刷ジョブの属性として保存する。
【0044】
一方、S52において「部番印字する」のラジオボタン52を選択した場合は、クライアントPC12は、図5のようなドライバ画面を表示し、ボックス番号とパスワードの入力を操作者に促す(S61)。次にMFP11のメモリ部27に、操作者がこれから印刷をしようとしているドキュメントと一致するドキュメントの印刷ジョブが既にあるかどうかを判断する(S62)。
【0045】
一致するものがなければ、S58以降のフローと同様となる。一致するドキュメントの印刷ジョブがある場合は、その一致したボックス内のドキュメントに「部番印字=オン(部番印字する)」の設定がなされているかを判断する(S63)。「部番印字=オン」の設定がなされている場合は、図14(a)に示すような警告画面を表示し、「部番印字=オン」の設定がなされたドキュメントの印刷ジョブが既にMFP11のボックス内に保存されている旨を通知する。そして、印刷のためにはパスワードが必要であることも同時に伝え、印刷のためのパスワードを要求する(S55)。
【0046】
S55以後のフローは前述したものと同様である。またS63で、「部番印字=オン」の設定がなされていない場合は、図14(b)の警告画面を表示し、「部番印字=オン」の設定がなされていないドキュメントの印刷ジョブが既にMFP11のボックス内に保存されている旨を通知する。また同時に、ボックス内に保存されている該当ドキュメントの部番印字設定をオンに変更する旨を通知する。図14(b)の画面においてOKボタン84を選択して印刷を継続する場合はS58以降のフローと同様となり、キャンセルボタン85を選択したの場合には印刷は行われない(S65)。
【0047】
<本実施の形態の利点>
第3の実施の形態によれば、部番印字機能を使用する設定でドキュメントを印刷装置に投入する場合に、そのドキュメントが既に印刷ジョブとして印刷装置に投入されていたときは、ドキュメントの照合を行う。そして、一致するドキュメントの印刷ジョブが印刷装置のメモリ部27に存在する場合には、その旨を警告メッセージとして操作者へ表示する。このとき、さらに続きの部番から印字を行うかを操作者に尋ね、続きの部番から印字を行う場合は、メモリ部27に保存された該当ジョブと印刷済み部数情報を参照して、部番号が連続するように続きの部番号から部番印字を行い印刷する。
【0048】
このように、部番印字機能を使用する設定でドキュメントを印刷装置に投入する場合に、そのドキュメントが既に印刷ジョブとして印刷装置に投入されていたときでも、同一ドキュメントに対して同じ部番号が印字されるような不具合を確実に回避することができる。
【0049】
なお、本発明の目的は、前述した各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体をシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが前記プログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。
【0050】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した各実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0051】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば次のようなものが挙げられる。即ち、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CDROM、CDR、CDRW、DVDROM、DVDRAM、DVDRW、DVD+RW等の光ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0052】
また、本発明は、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した各実施の形態の機能が実現されるだけではない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】印刷システムの一構成例を示すブロック図である。
【図2】MFPの構成ブロック図である。
【図3】第1実施の形態に係る印刷システムの印刷ジョブ投入時の印刷処理を示すフローチャートである。
【図4】クライアントPC上に表示される部番印字機能のオン/オフ設定画面を示す画面表示図である。
【図5】クライアントPC上に表示されるボックス/パスワード入力画面を示す画面表示図である。
【図6】第1の実施の形態に係るMFPの追加印刷時の処理を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態に係るMFPの操作部に表示される書類選択画面を示す画面表示図である。
【図8】パスワード要求画面を示す画面表示図である。
【図9】第2の実施の形態に係る印刷システムの印刷ジョブ投入時の印刷処理を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態に係る印刷システムにおけるクライアントPC上に表示されるボックス/パスワード入力画面を示す画面表示図である。
【図11】第2の実施の形態に係るMFPの追加印刷時の処理を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施の形態に係るMFPの操作部に表示される書類選択画面を示す画面表示図である。
【図13】第3の実施の形態に係る印刷システムの印刷ジョブ投入時の印刷処理を示すフローチャートである。
【図14】第3の実施の形態に係る印刷システムにおけるクライアントPC上に表示される警告画面を示す画面表示図である。
【符号の説明】
【0054】
11 デジタル複合機(MFP)
12 クライアントPC
23 操作部
24 MFP制御部
26 プリンタ部
27 メモリ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに基づいて印刷を行うと共に、部単位で設定される部番号を前記印刷による印刷物に印字する部番号印字印刷手段を備えた印刷装置において、
前記印刷データの印刷済み部数に対応した情報である印刷済み部数情報を、当該印刷データに関連づけて保存する保存手段を設け、
前記部番印字印刷手段は、
前記保存手段に保存された印刷データの印刷時に、該印刷データに関連づけられた前記印刷済み部数情報に基づいて当該印刷物に部番号を印字することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記保存手段は、前記部番印字印刷手段による所定部数分の印刷実行後に、当該印刷データを、印刷実行時に認証を要する印刷データに設定して前記印刷済み部数情報と共に保存することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記保存手段は、前記部番印字印刷手段による所定部数分の印刷実行後、印刷済み部数が予め設定された印刷許可部数以上になったときに、当該印刷データを、印刷実行時に認証を要する印刷データに設定して前記印刷済み部数情報と共に保存することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記部番印字印刷手段は、印刷対象の印刷データとして、前記保存手段に既に保存されている印刷データを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項5】
印刷データに基づいて印刷を行うと共に、部単位で設定される部番号を前記印刷による印刷物に印字する機能を有する印刷装置の印刷方法であって、
前記印刷データの印刷済み部数に対応した情報である印刷済み部数情報を、当該印刷データに関連づけて保存手段に保存する工程と、
前記保存手段に保存された印刷データの印刷時に、該印刷データの前記印刷済み部数情報に基づいて当該印刷物に部番号を印字する工程とを有することを特徴とする印刷装置の印刷方法。
【請求項6】
印刷データに基づいて印刷を行うと共に、部単位で設定される部番号を前記印刷による印刷物に印字する機能を有する印刷装置の印刷方法を実行するための、コンピュータで読み取り可能な制御プログラムであって、
前記印刷データの印刷済み部数に対応した情報である印刷済み部数情報を当該印刷データに関連づけて保存手段に保存するステップと、
前記保存手段に保存された印刷データの印刷時に、該印刷データの前記印刷済み部数情報に基づいて当該印刷物に部番号を印字するステップとを有することを特徴とする制御プログラム。
【請求項1】
印刷データに基づいて印刷を行うと共に、部単位で設定される部番号を前記印刷による印刷物に印字する部番号印字印刷手段を備えた印刷装置において、
前記印刷データの印刷済み部数に対応した情報である印刷済み部数情報を、当該印刷データに関連づけて保存する保存手段を設け、
前記部番印字印刷手段は、
前記保存手段に保存された印刷データの印刷時に、該印刷データに関連づけられた前記印刷済み部数情報に基づいて当該印刷物に部番号を印字することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記保存手段は、前記部番印字印刷手段による所定部数分の印刷実行後に、当該印刷データを、印刷実行時に認証を要する印刷データに設定して前記印刷済み部数情報と共に保存することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記保存手段は、前記部番印字印刷手段による所定部数分の印刷実行後、印刷済み部数が予め設定された印刷許可部数以上になったときに、当該印刷データを、印刷実行時に認証を要する印刷データに設定して前記印刷済み部数情報と共に保存することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記部番印字印刷手段は、印刷対象の印刷データとして、前記保存手段に既に保存されている印刷データを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項5】
印刷データに基づいて印刷を行うと共に、部単位で設定される部番号を前記印刷による印刷物に印字する機能を有する印刷装置の印刷方法であって、
前記印刷データの印刷済み部数に対応した情報である印刷済み部数情報を、当該印刷データに関連づけて保存手段に保存する工程と、
前記保存手段に保存された印刷データの印刷時に、該印刷データの前記印刷済み部数情報に基づいて当該印刷物に部番号を印字する工程とを有することを特徴とする印刷装置の印刷方法。
【請求項6】
印刷データに基づいて印刷を行うと共に、部単位で設定される部番号を前記印刷による印刷物に印字する機能を有する印刷装置の印刷方法を実行するための、コンピュータで読み取り可能な制御プログラムであって、
前記印刷データの印刷済み部数に対応した情報である印刷済み部数情報を当該印刷データに関連づけて保存手段に保存するステップと、
前記保存手段に保存された印刷データの印刷時に、該印刷データの前記印刷済み部数情報に基づいて当該印刷物に部番号を印字するステップとを有することを特徴とする制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−237591(P2007−237591A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−64050(P2006−64050)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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