説明

印刷装置

【課題】 印刷データから現像剤の色を判断し、使用する色の現像剤を備える画像形成ユニットに応じて、印刷媒体の搬送の停止を制御して、ファーストプリントタイムを短縮する印刷装置を提供する。
【解決手段】 受信部401が印刷データから使用する現像剤の色を判断する。使用する色の現像剤を有する画像形成ユニットの感光体の外周表面電位が所定レベルのとなるように、媒体印刷管理部403で管理された回転量に基づいて、駆動部は感光体を回転駆動させる。媒体搬送制御部405は、感光体の表面電位が所定レベルに達するための回転量回転した後に印刷媒体を使用する色の現像剤を有する画像形成ユニットに達するように搬送してファーストプリントタイムを短縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体の搬送方向に複数の画像形成ユニットを並設する印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の印刷装置は、複数の画像形成ユニットの各感光体ドラムに対して、帯電、露光、現像といったプロセスを経て、感光体ドラムに形成された現像剤としてのトナーによるトナー画像を印刷媒体に転写させて印刷物を作成する(例えば、特許文献1参照)。このプロセスにおいて、露光を開始する前に複数の感光体ドラム全ての表面電位を所定レベルにするために一定の安定化時間が必要となる。印刷媒体は、この安定化時間の経過後に画像形成ユニットに搬送されてトナー画像が転写される。
【0003】
【特許文献1】特開2002−311656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1をはじめとする従来の印刷装置では、印刷を開始する前に、全ての感光体ドラムの表面電位を所定レベルにするため、一定の安定化時間が必要であり、印刷装置が印刷データを受信してから1枚目の印刷媒体に印刷するための時間(以下、ファーストプリントタイム)が長くなるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、印刷データから印刷に使用する現像剤の色を判断し、使用する色の現像剤を備える画像形成ユニットに応じて、印刷媒体の搬送の停止を制御して、ファーストプリントタイムを短縮する印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の印刷装置は、印刷媒体の搬送方向に並べた複数の画像形成ユニットにより印刷データに基づく現像剤画像を前記印刷媒体に付着させて印刷する印刷装置において、前記画像形成ユニット各々に配置される感光体と、前記感光体の各々の外周表面に印加する電位を制御する電位制御部と、各前記感光体の外周表面の電位が前記現像剤画像の形成可能な電位となるために必要な回転量を管理する回転量管理部と、前記画像形成ユニットの各々の前記感光体を回転駆動させる駆動部と、前記印刷媒体の搬送を制御する媒体搬送制御部と、前記印刷データに基づいて印刷に使用する前記現像剤の色を判断する印刷色判断部とを有し、前記媒体搬送制御部は、前記回転量管理部で管理される前記印刷色判断部で判断された印刷に使用する色の前記画像形成ユニットの前記感光体に必要な前記回転量に基づき、前記感光体が前記回転量回転した後に、印刷に使用する色の前記画像形成ユニットに前記印刷媒体を搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の印刷装置によれば、印刷色判断部が印刷データから印刷に使用する現像剤の色を判断する。そして、使用する色の現像剤を有する画像形成ユニットの感光体の外周表面が所定レベルの表面電位となるように、回転量管理部で管理された回転量に基づいて、駆動部は感光体を回転駆動させる。このとき、媒体搬送制御部は、感光体の表面電位が所定レベルに達するための回転量回転した後に印刷媒体を使用する色の現像剤を有する画像形成ユニットに達するように搬送する。これにより使用する色の現像剤を備える画像形成ユニットに応じて、印刷媒体の搬送の停止を制御して、ファーストプリントタイムを短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の印刷装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の印刷装置は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。
【0009】
[実施の形態1]
図1は、本発明の印刷装置の構成を示す図である。本発明の印刷装置の装置本体210は、トレイ221と、マルチパーパストレイ222と、給紙センサ223、224と、媒体位置判断部としての搬送センサ225と、搬送ベルト232と、画像形成ユニット226、227、228、229と、定着ユニット230と、排出センサ231と、インタフェースコネクタ236とにより構成される。
【0010】
トレイ221は、印刷媒体としての用紙233を装置本体210内に所定量備え、装置本体210に用紙233を給紙する。マルチパーパストレイ222は、用紙233を装置本体210外から用紙233を給紙する。給紙センサ223は、トレイ221から給紙された用紙233を検出し、給紙センサ224は、マルチパーパストレイ222から給紙された用紙233を検出する。そして、搬送センサ225は、トレイ221又はマルチパーパストレイ222から給紙され、搬送路235に沿って搬送された用紙233の搬送状態を検出する。このトレイ221、及び、マルチパーパストレイ222から給紙される用紙233は、分離部材などで1枚ずつ分離され、給紙センサ223、又は、給紙センサ224によって検出されるとともに、搬送センサ225によって検出され、搬送ベルト232に給紙される。搬送ベルト232に給紙された用紙233は、この搬送ベルト232を介して、画像形成ユニット226、227、228、229の順に搬送される。
【0011】
ブラックのトナーを備え、ブラックのトナー画像を形成する画像形成ユニット226、 イエローのトナーを備え、イエローのトナー画像を形成する画像形成ユニット227、マゼンタのトナーを備え、マゼンタのトナー画像を形成する画像形成ユニット228、シアンのトナーを備え、シアンのトナー画像を形成する画像形成ユニット229は、用紙233の挿入側から排出側に向かって順に並べて配設される。この画像形成ユニット226を一例に挙げて説明すると、画像形成ユニット226は、図2のように、感光体ドラム300と、帯電ローラ301と、LEDヘッド302と、現像ローラ303と、転写部としての転写ローラ304と、トナー供給ローラ305と、トナーカートリッジ306とからなる。感光体ドラム300は、矢印方向に回転し、所定の電位が印加される帯電ローラ301は、感光体ドラム300に接触し、感光体ドラム300の表面に一様な電位を有するように帯電させる。LEDヘッド302は、所定レベルの一様な電位を有する感光体ドラム300の表面を印刷データに従って露光し、静電潜像を形成する。現像ローラ303は、感光体ドラム300と接触し、トナー供給ローラ305を介して、トナーカートリッジ306内から供給されたトナーによって静電潜像を現像して、感光体ドラム300上にトナー画像を形成させる。画像形成ユニット226は、搬送ベルト232と感光体ドラム300との間に用紙233が搬送されてくると、搬送ベルト232の背面に配設した転写ローラ304に転写バイアスが印加され、感光体ドラム300上のトナー画像を用紙233に転写する。この画像形成ユニット226は、図示しない個別の駆動モータにより駆動される。画像形成ユニット227、228、229は、トナーの色が異なるだけで、画像形成ユニット226と同じ機構である。用紙233は、この搬送ベルト232を介して、画像形成ユニット227、228、229に搬送され、用紙233が搬送されるタイミングに合わせて、画像形成ユニット226と同様に、トナー画像を順次用紙233に重ねて転写する。
【0012】
定着ユニット230では、搬送ベルト232で搬送された用紙233を定着ローラと加圧ローラとの間に挟圧して加熱し、加圧することで各色のトナーを用紙233に定着させる。そして、定着ユニット230によってトナー画像が定着した用紙233は、排出センサ231によって排出状態が検出され、搬送路235に沿って装置本体210の用紙233の排出側にある排出トレイの方向に搬送され、装置本体210の外部に排出される。
【0013】
図3は、本発明の印刷装置の内部構成を示す制御ブロック図である。本発明の印刷装置は、図3のように、印刷色判断部を有する受信部401と、駆動部としてのコントローラ部402と、回転量管理部としての媒体印刷管理部403と、給紙制御部404と、媒体搬送制御部405と、電位制御部としての画像形成制御部406と、排出制御部407とを有している。
【0014】
本発明の印刷装置は、LAN(Local Area Network)、USB(Universal Serial Bus)等のインタフェースコネクタ236を介してホストコンピュータに接続され、ホストコンピュータで作成された印刷データを受信し、印刷データに基づいて用紙233に印刷を行う。
【0015】
受信部401は、ホストコンピュータで作成された印刷データを受信する。そして、受信部401は、受信した印刷データを解析する。この受信部401は、印刷データを解析することで、受信した印刷データに基づく印刷において使用するトナーの色を判断する。受信部401は、その判断したトナーの色の情報をコントローラ部402に渡す。
【0016】
コントローラ部402は、受信部401で受信、解析された印刷データに基づく印刷を開始するように、媒体印刷管理部403、給紙制御部404、媒体搬送制御部405、画像形成制御部406、及び、排出制御部407に指示を出し、印刷装置全体をコントロールする。また、コントローラ部402は、受信部401から印刷に使用するトナーの色の情報を受け取り、媒体印刷管理部403に渡す。
【0017】
媒体印刷管理部403は、コントローラ部402から、印刷に使用するトナーの色の情報を受け取る。また、媒体印刷管理部403は、感光体ドラム300の回転量をカウントする。感光体ドラム300は、その表面にトナー画像を形成可能とするために表面電位を所定レベルの一様な電位となるように安定化する必要がある。そのためには、感光体ドラム300を所定の回転量回転させる必要がある。媒体印刷管理部403は、必要な回転量を管理する。そして、媒体印刷管理部403は、表面電位が安定化するのに要する所定の回転量に相当する感光体ドラム300表面の移動距離と、用紙233が給紙されてから、印刷に使用されるトナーの色に基づいて使用する画像形成ユニットのうち、用紙233の最も搬送方向上流側にある画像形成ユニットまでの搬送距離とを比較する。そして、媒体印刷管理部403は、比較した結果をコントローラ部402に渡し、コントローラ部402は、その結果に基づいて各部材に指示を出す。そして、媒体印刷管理部403は、移動距離と搬送距離との比較の結果に応じて、印刷を禁止する印刷禁止カウンタと印刷を許可する印刷許可フラグとを備えている。
【0018】
給紙制御部404は、トレイ221及びマルチパーパストレイ222から用紙233を給紙させるように制御する。この給紙制御部404は、受信部401が受信し、解析した印刷データに基づき、印刷で必要とされる枚数の用紙233を、1枚ずつ給紙させる。また、給紙制御部404は、給紙した用紙233が給紙センサ223、224で検出されることを受けて、給紙が完了したことを認識する。
【0019】
媒体搬送制御部405は、搬送ベルト232の用紙233の搬送方向上流側に備えられる搬送センサ225で、印刷に使用するトナーの色と、用紙233の搬送状況の検出を受けて、搬送ベルト232を停止させたり、駆動させたり制御する。この搬送センサ225が備えられる位置が媒体待機位置である。本発明では、この搬送センサ225が備えられる位置から、受信した印刷データに基づく印刷で使用される画像形成ユニットの感光体ドラム300と搬送ベルト232とが接触する位置までの距離を用紙233が搬送される搬送距離とする。この媒体搬送制御部405は、印刷データに基づいて画像形成ユニット226、227、228、229で形成されるトナー画像の転写のタイミングに合わせて、給紙された用紙233を、各画像形成ユニット226、227、228、229に搬送するように搬送ベルト232を駆動させる。
【0020】
画像形成制御部406は、上述のように、各画像形成ユニット226、227、228、229で、印刷データに基づいた感光体ドラム300上にトナー画像を形成し、搬送ベルト232で搬送されてくる用紙233にそのトナー画像を用紙233の所定の位置に転写できるように、画像形成ユニット内の部材を駆動させたり、所定の電位を印加させたりするように制御する。画像形成制御部406は、各画像形成ユニット226、227、228、229の感光体ドラム300の表面電位が安定化するように、感光体ドラム300を所定の回転量だけ回転させる。
【0021】
排出制御部407は、用紙233に転写されたトナー画像を加熱、加圧によって定着させるために、定着ユニット230を制御する。そして、排出制御部407は、トナー画像が定着した用紙233の排出センサ231での排出状況の検出を受けて、用紙233を搬送路235に沿って装置本体210の外部に排出させる。
【0022】
図4は、本発明の印刷装置の感光体ドラム表面上のトナーの帯電状態を示した図である。各画像形成ユニット226、227、228、229のそれぞれの感光体ドラム300は、その表面に、帯電ローラ301により一様に電位を有するように帯電される。印刷装置がホストコンピュータから印刷データを受け取り、コントローラ部402のコントロールの基、画像形成制御部406の制御によって感光体ドラム300への帯電が開始された直後、すなわち、感光体ドラム300の回転が開始された直後では、図4のように、トナー帯電が少なく、感光体ドラム300の表面電位が安定しない。トナー帯電、すなわち、感光体ドラム300の表面電位の安定化の度合いは、感光体ドラム300の回転量、すなわち、感光体ドラム300表面の移動距離に依存する。
【0023】
図4のように、トナー帯電が少ない領域501において、搬送ベルト232によって、用紙233を感光体ドラム300と転写ローラ304との間に通紙するように搬送すると、転写バイアスを印加しなくても用紙233にトナーが付着し、用紙233が汚れてしまう。したがって、この領域501では、用紙233を感光体ドラム300と転写ローラ304との間への通紙を不可とし、この領域501に対応する感光体ドラム300の回転量を媒体通紙不可距離504とする。
【0024】
トナー帯電が比較的多い領域502では、用紙233を感光体ドラム300と転写ローラ304との間に通紙するように搬送しても、転写バイアスを印加しなくても用紙233にトナーは付着しない。この領域501では、感光体ドラム300と転写ローラ304との間への通紙を可能とし、この領域502に対応する感光体ドラム300の回転量を媒体通紙可能距離505とする。
【0025】
そして、トナー帯電が多く、一定となる領域503では、転写バイアスを印加することで、通紙した用紙233に良好な転写を行うことができる。トナー画像の用紙233への転写は、所定の回転量、感光体ドラム300を回転させて、トナー帯電がこの領域503になるまで行わない。すなわち、感光体ドラム300は、領域503に達するまで回転させる必要があり、この領域502と領域503との境界に対応する感光体ドラム300の回転量が、感光体ドラム300の表面電位を安定化させるのに必要な所定の回転量である。そして、この所定の回転量回転させることで、感光体ドラム300表面の任意の箇所の移動する距離が、所定の回転量に相当する感光体ドラム表面の移動距離である。本発明の印刷装置は、印刷に使用するトナーの色を有する画像形成ユニットの感光体ドラム300が所定の回転量回転して、領域503となった後、印刷に使用するトナーの色を有する画像形成ユニットに媒体搬送制御部405で用紙233を搬送する。すなわち、媒体搬送制御部405は、印刷開始から、印刷に使用するトナーの色を有する画像形成ユニットの感光体ドラム300が所定の回転量回転するために必要な時間が経過した後、その画像形成ユニットに用紙233を搬送する。これにより、ファーストプリントタイムを短縮することができる。
【0026】
本発明では、図2のように、媒体通紙不可距離504は、感光体ドラム300と現像ローラ303との接触位置から、感光体ドラム300と転写ローラ304との接触位置までの感光体ドラム300表面の箇所が移動した距離で、例えば31mmとする。そして、媒体通紙可能距離505は、トナーが付着しないようになってから感光体ドラム300の表面電位が安定化するまで感光体ドラム300表面の任意の箇所が移動した距離で、例えば感光体ドラム300の2回転分に相当する188mmとする。すなわち、感光体ドラム300の表面電位が安定化するのに必要な所定の回転量に相当する感光体ドラム表面の移動距離は31mm+188mm=219mmである。以下、これらの距離を使用して説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0027】
コントローラ部402は、上述したトナー帯電の各領域に対応する感光体ドラム300の回転量に基づいて、媒体搬送制御部405による用紙233の搬送の制御と、画像形成制御部406の転写ローラ304への転写バイアスの印加とを管理する。媒体通紙不可距離504では、用紙233を搬送センサ225の備えられる媒体待機位置に待機させ、感光体ドラム300と転写ローラ304との間を通紙しないように、媒体搬送制御部405で搬送ベルト232を制御する。また、媒体通紙可能距離505では、画像形成制御部406で転写バイアスを転写ローラ304に印加させずに、感光体ドラム300と転写ローラ304との間を通紙するように、媒体搬送制御部405で搬送ベルト232を制御する。
【0028】
本発明の印刷装置は、印刷データを受信部401で受信し、この受信部401で印刷データを解析によって、この印刷に使用する色のトナー及び画像形成ユニット226、227、228、229が判断される。そして、印刷装置は、媒体印刷管理部403で、受信部401で判断された印刷に使用されるトナーの色に基づいて、使用する画像形成ユニットのうち、用紙233の搬送方向の最も上流側にある画像形成ユニットに達するまでの用紙233が搬送される搬送距離を求める。
【0029】
図1のように、各画像形成ユニット226、227、228、229間の距離が80mmで、搬送距離の始点である搬送センサ225からブラックのトナーを有する画像形成ユニット226までの距離が70mmである。このとき、使用する画像形成ユニットのうち、最も上流側にある画像形成ユニットがブラックのトナーを有する画像形成ユニット226である場合の搬送距離は70mmで、イエローのトナーを有する画像形成ユニット227である場合の搬送距離は150mmで、マゼンタのトナーを有する画像形成ユニット228である場合の搬送距離は230mmで、シアンのトナーを有する画像形成ユニット229である場合の搬送距離は310mmである。以下、これらの搬送距離を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
そして、媒体印刷管理部403は、この搬送距離と、感光体ドラム300の表面電位が安定化するのに要する所定の回転量に相当する感光体ドラム300の表面の任意の箇所が移動する距離である移動距離とを比較する。感光体ドラム300の表面電位が安定化するまでに必要な感光体ドラム300の移動距離は、上述のように219mmであるため、この移動距離と、上述の搬送距離とが比較される。
【0031】
媒体印刷管理部403は、上述の移動距離と搬送距離とから、移動距離と搬送距離との差を算出する。例えば、使用する画像形成ユニットのうち、画像形成ユニット226が最も上流にある場合、移動距離と搬送距離との差は、219mm−70mm=149mmとなり、移動距離の方が長くなる。使用する画像形成ユニットのうち、画像形成ユニット227が最も上流にある場合、移動距離と搬送距離との差は、219mm−150mm=69mmとなり、移動距離の方が長くなる。使用する画像形成ユニットのうち、画像形成ユニット228が最も上流にある場合、移動距離と搬送距離との差は、219mm−230mm=−11mmとなり、搬送距離の方が長くなる。使用する画像形成ユニットのうち、画像形成ユニット229が最も上流にある場合、移動距離と搬送距離との差は、219mm−310mm=―91mmとなり、搬送距離の方が長くなる。
【0032】
媒体印刷管理部403は、移動距離よりも搬送距離が短い場合、感光体ドラム300の移動距離が感光体ドラム300の表面電位が安定化するまで、用紙233を停止させるようにコントローラ部402に通知する。感光体ドラム300の表面電位を安定化させるためには、例えば219mm回転させる必要があるため、上述した移動距離と搬送距離との差の分だけを回転させる必要がある。媒体印刷管理部403は、これを印刷禁止カウンタでカウントする。そして、この印刷禁止カウンタが、感光体ドラム300表面の任意の箇所が移動距離と搬送距離との差である149mm移動したことを認識すると、印刷許可フラグがオンとなる。媒体印刷管理部403は、印刷許可フラグがオンになると、その旨をコントローラ部402に伝達し、用紙233の搬送を開始して、印刷を開始するように通知する。
【0033】
また、媒体印刷管理部403は、移動距離よりも搬送距離が長い場合、用紙233を搬送している間に、感光体ドラム300の表面電位が安定化するため、用紙233を停止させる必要がない。したがって、印刷禁止カウンタによるカウントを行うことなく、印刷許可フラグがオンとなる。媒体印刷管理部403は、印刷許可フラグがオンになると、その旨をコントローラ部402に伝達し、用紙233の搬送を開始して、印刷を開始するように通知する。このとき、使用しない画像形成ユニットの転写ローラ304には、転写バイアスが印加されない。
【0034】
図5及び図6は、本発明の印刷装置で、用紙に印刷したときのタイムチャートである。図5は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の全4色のトナーを使用して印刷を行う印刷データを印刷装置が受信した際のタイムチャートで、図6は、マゼンタ(M)、シアン(C)の2色のトナーを使用して印刷を印刷データを受信した際のタイムチャートである。
【0035】
例えば、4色のトナーを使用して印刷を行う印刷データを受信した場合、図1のように、用紙233の搬送方向最も上流側にある画像形成ユニットは、ブラック(K)のトナーでトナー画像を形成する画像形成ユニット226である。4色のトナーを使用して印刷を行う印刷データを受信した場合、図5のように、給紙制御部404による給紙動作と、媒体搬送制御部405による搬送動作とにより、用紙233が搬送センサ225まで搬送させる。このとき、感光体ドラム300を回転させる駆動モータが駆動し、感光体ドラム300への帯電が開始される。
【0036】
この印刷データでは、4色のトナーを備えた画像形成ユニット226、227、228、229を使用するため、搬送距離は70mmである。よって、媒体印刷管理部403は、搬送距離と移動距離とを比較すると移動距離の方が長いと判断する。このとき、印刷禁止カウンタで感光体ドラム300の回転量がカウントされる。そして、媒体印刷管理部403は、印刷禁止カウンタで感光体ドラム300の表面が149mm移動することを認識するまで、媒体搬送制御部405によって搬送センサ225で用紙233を停止させるようにコントローラ部402に指示を出す。このとき、図5中の領域W1のように、印刷禁止カウンタで感光体ドラム300が149mm移動することを認識するまでの待ち時間が発生する。
【0037】
そして、印刷禁止カウンタで感光体ドラム300が149mm移動することを認識すると、印刷許可フラグがオンとなり、用紙233の搬送を再開し、印刷を開始するようにコントローラ部402に指示する。その指示を受けたコントローラ部402は、各制御部を制御する。媒体搬送制御部405は、再び用紙233の搬送を開始する。そして、画像形成制御部406は、用紙233の搬送のタイミングに合わせて、各画像形成ユニットの転写バイアスが転写ローラ304に印加し、4色のトナー画像を用紙233に転写する。この4色のトナーを使用して印刷を行う印刷データの場合、駆動モータが回転し、感光体ドラム300への帯電が開始されてから、全ての画像形成ユニットの転写ローラ304への転写バイアスの印加が停止されるまでの時間を時間T1とする。
【0038】
また、例えば、2色のトナーを使用して印刷を行う印刷データを受信した場合、図1のように、用紙233の搬送方向最も上流側にある画像形成ユニットは、ブラック(M)のトナーでトナー画像を形成する画像形成ユニット228である。2色のトナーを使用して印刷を行う印刷データを受信した場合、図6のように、給紙制御部404による給紙動作と、媒体搬送制御部405による搬送動作とにより、用紙233が搬送センサ225まで搬送させる。このとき、感光体ドラム300を回転させる駆動モータが駆動し、感光体ドラム300への帯電が開始される。
【0039】
この印刷データでは、2色のトナーを備えた画像形成ユニット228、229を使用するため、搬送距離は230mmである。よって、媒体印刷管理部403は、搬送距離と移動距離とを比較すると搬送距離の方が短いと判断する。このとき、印刷禁止カウンタで感光体ドラム300の回転量がカウントされず、印刷許可フラグがオンとなる。このとき、図6中の領域W2ように、印刷禁止カウンタで感光体ドラム300の表面電位が安定化するまでの待ち時間が存在しない。
【0040】
そして、印刷許可フラグがオンであるため、用紙233を搬送し、印刷を開始するようにコントローラ部402に指示する。その指示を受けたコントローラ部402は、各制御部を制御する。画像形成制御部406は、使用する画像形成ユニットの中で、最も上流側にある画像形成ユニット228よりも上流側にある使用しない画像形成ユニット226、227の転写ローラ304には、転写バイアスを印加しない。そして、画像形成制御部406は、画像形成制御部406にて用紙233の搬送のタイミングに合わせて、使用する画像形成ユニット228、229の転写バイアスが転写ローラ304に印加し、2色のトナー画像が用紙233に転写する。この2色のトナーを使用して印刷を行う印刷データの場合、駆動モータが回転し、感光体ドラム300への帯電が開始されてから、全ての画像形成ユニットの転写ローラ304への転写バイアスの印加が停止されるまでの時間を時間T2とする。これにより、使用しない画像形成ユニット226、227の感光体ドラム300に付着したトナーを用紙233に付着させることなく、2色のトナー画像を形成することができる。また、4色のトナーを使用した印刷よりも、ファーストプリントタイムが短縮する。
【0041】
ここで、本発明の印刷装置を使って印刷を行う際の動作について図7を使用して説明する。本発明の印刷装置の受信部401は、ステップS001において、にインタフェースコネクタ236を介して接続されているホストコンピュータから印刷データが送信されるまで、待機している。ホストコンピュータから印刷データを受信すると、受信部401は、受信した印刷データを解析し、印刷装置の画像形成ユニット226、227、228、229でトナー画像が形成可能なデータに変換するとともに、使用するトナーの色を判断する。そして、受信部401は、変換したデータと、この印刷に使用するトナーの色の情報とをコントローラ部402に渡す。
【0042】
コントローラ部402は、受信部401から受信したデータと使用するトナーの色の情報とを受け取ると、給紙制御部404に用紙233の給紙を開始するように指示を出す。指示を受けた給紙制御部404は、ステップS002において、トレイ221からの用紙233の給紙を開始する。そして、給紙制御部404は、給紙センサ223による用紙233の検出を認識すると、給紙が完了したと認識し、給紙完了の通知をコントローラ部402に通知する。
【0043】
コントローラ部402は、ステップS003において、印刷準備が完了するまで待機する。コントローラ部402は、給紙制御部404から給紙完了の通知を受けると、印刷の準備が完了したと判断する。そして、コントローラ部402は、印刷の準備が完了したと判断した後、画像形成制御部406に印刷データから変換したデータを渡す。このとき、コントローラ部402は、媒体印刷管理部403に、この印刷に使用するトナーの色の情報を渡す。
【0044】
画像形成制御部406は、ステップS004において、現在の画像形成ユニット226、227、228、229の動作状態を確認し、1枚目の印刷であるか否かを確認する。
【0045】
1枚目の印刷でない場合、すなわち、動作状態であった場合、ステップS011に移行し、印刷を開始する。
【0046】
1枚目の印刷である場合、すなわち、非動作状態であった場合、画像形成制御部406は、ステップS005において、各画像形成ユニット226、227、228、229の図示しない駆動モータを駆動させ、その駆動モータの駆動に合わせて、各部材に所定の電圧を印加するように、バイアス制御を開始する。
【0047】
そして、媒体印刷管理部403は、ステップS006において、この印刷で使用するトナーの色から使用する画像形成ユニットを認識し、使用する画像形成ユニットの中から、用紙233の搬送方向に対して最も上流側にある画像形成ユニットを認識する。そして、上述のように、搬送距離と移動距離とを比較する。
【0048】
ステップS006において、移動距離よりも搬送距離が長い場合、媒体印刷管理部403は、印刷許可フラグをオンにして、ステップS011に移行し、媒体印刷管理部403は、印刷を開始するようにコントローラ部402に指示を出す。
【0049】
ステップS006において、移動距離よりも搬送距離が短い場合、媒体印刷管理部403は、ステップS007において、印刷禁止カウンタで感光体ドラム300の回転量をカウントする。そして、媒体印刷管理部403は、搬送センサ225が備えられている媒体待機位置で、用紙233の搬送を停止するようにコントローラ部402に指示を出す。この指示を受けたコントローラ部402は、媒体搬送制御部405に指示を出す。
【0050】
その後、媒体搬送制御部405は、ステップS008において、搬送センサ225に用紙233が搬送されるまで待機する。用紙233が搬送センサ225にまで搬送されると、媒体印刷管理部403は、ステップS009において、用紙233の搬送を停止するようにコントローラ部402に指示を出し、媒体搬送制御部405で制御する。
【0051】
そして、媒体印刷管理部403は、ステップS010において、感光体ドラム300の表面電位が安定化するまで待機する。すなわち、上述のように、印刷禁止カウンタによりカウントされている感光体ドラム300の表面の任意の箇所の移動距離(回転量)が、搬送距離と移動距離との差によって示される距離に達するまで待機し、印刷許可フラグをオンにして、ステップS011に移行し、媒体印刷管理部403は、印刷を開始するようにコントローラ部402に指示を出す。
【0052】
印刷の指示を受けると、コントローラ部402は、媒体搬送制御部405、画像形成制御部406、排出制御部407に指示を出し、印刷を開始する。ステップS011において、コントローラ部402より指示を受けた媒体搬送制御部405は、画像形成ユニット226、227、228、229に用紙233を搬送する。そして、コントローラ部402から受け取っていた印刷データを変換したデータを基に、画像形成制御部406は、印刷に使用するトナーの色の画像形成ユニットを使用して、各色のトナー画像を形成する。
【0053】
そして、画像形成制御部406は、ステップS012において、使用する画像形成ユニットの転写ローラ304のみに転写バイアスを印加し、搬送されてくる用紙233にトナー画像を転写する。排出制御部407は、トナー画像が転写した用紙233を定着ユニット230に搬送し、トナー画像を定着させて、印刷装置の装置本体210の外部に排出する。
【0054】
本発明の印刷装置は、使用するトナーの色を判断し、その色のトナーを有する画像形成ユニットのうち、最も上流側にある画像形成ユニットに達するまでの用紙233が搬送される搬送距離と、画像形成ユニットの感光体ドラム300に印加される表面電位が安定化するのに要する所定の回転量に相当する感光体ドラム300表面の移動距離とを比較する。そして、移動距離よりも搬送距離が長い場合、用紙233を搬送している間に感光体ドラム300の表面電位が安定化するため、用紙233を搬送路駐の媒体待機位置で停止させない。これにより、無駄な用紙233の搬送待ち時間が無くなり、ファーストプリントタイムを短縮することができる。
【0055】
[実施の形態2]
実施の形態2で説明する印刷装置は、図8のように、実施の形態1の媒体印刷管理部403に代えて、余白判断部を有する印刷開始位置判断部408を備えた構成を有するものである。以下、実施の形態2の印刷装置について説明するが、実施の形態1と同様の部材については、同じ番号を付して説明を省略する。
【0056】
図9は、印刷媒体における印刷開始位置と先端余白の長さを示した図である。印刷データに基づいて印刷された用紙233は、図9のように、余白が存在する。この余白は、例えばページの先端から印刷されるような印刷データに基づいて印刷を行う場合、ページ先端余白長さ601のように、最小値となる。一方、ページの途中から印刷されるような印刷データに基づいて印刷を行う場合、ページ先端余白長さ602のように大きくなる。なお、本発明において、ページの先端とは、用紙233が印刷装置内で搬送される方向の先頭側の一端を示すものとする。
【0057】
印刷データは、実施の形態1と同様に、受信部401で受信されると、解析される。このとき、実施の形態2では、使用するトナーの色を判断し、各色のページ先頭の余白長さを計測するように解析される。受信部401は、使用するトナーの色の情報と、この各色のページ先頭の余白長さの情報とをコントローラ部402に渡し、コントローラ部402は、この各色のページ先頭の余白長さの情報を印刷開始位置判断部408に渡す。
【0058】
印刷開始位置判断部408は、実施の形態1で説明した媒体印刷管理部403と同様の機能を有しているとともに、余白判断部としても機能する。そして、コントローラ部402から、使用するトナーの色の情報と、各色のページ先頭の余白長さの情報とを受け取る。そして、印刷開始位置判断部408は、表面電位が安定化するのに要する所定の回転量に相当する感光体ドラム300表面の移動距離と、用紙233が給紙されてから、印刷に使用されるトナーの色に基づいて使用する画像形成ユニットのうち、最も用紙233の搬送方向上流側にある画像形成ユニットまでの搬送距離に、各色のページ先頭の余白の長さを加えた距離とを比較する。そして、印刷開始位置判断部408は、比較した結果をコントローラ部402に渡し、コントローラ部402は、その結果に基づいて各部材に指示を出す。実施の形態2で説明する印刷装置は、印刷に使用するトナーの色を有する画像形成ユニットの感光体ドラム300が所定の回転量から、印刷開始位置判断部408で判断された余白長さを差し引いた回転量回転させた後、印刷に使用するトナーの色を有する画像形成ユニットに媒体搬送制御部405で用紙233を搬送する。すなわち、媒体搬送制御部405は、印刷開始から、印刷に使用するトナーの色を有する画像形成ユニットの感光体ドラム300が所定の回転量回転するために必要な時間から余白長さ分を搬送するために必要とする時間を差し引いた時間が経過した後、その画像形成ユニットに用紙233を搬送する。これにより、ファーストプリントタイムを短縮することができる。
【0059】
ここで、各色の余白長さ0mmと、各色の余白長さが100mmの場合を例に挙げ、移動距離と比較される距離について説明する。用紙233が搬送される距離は、実施の形態1と同様に、搬送センサ225から各画像形成ユニット226、227、228、229までの距離であり、図1のように、ブラックのトナーを有する画像形成ユニット226まで用紙233を搬送する距離は70mmで、イエローのトナーを有する画像形成ユニット227まで用紙233を搬送する距離は150mmで、マゼンタのトナーを有する画像形成ユニット228まで用紙233を搬送する距離は230mmで、シアンのトナーを有する画像形成ユニット229まで用紙233を搬送する距離は310mmである。
【0060】
この距離に、各色の余白長さを加える。例えば、余白長さが0mmである場合、上述の距離と同じである。一方、余白長さが100mmである場合、上述の距離に100mmが加わることになる。これが、移動距離と比較される距離であり、用紙233への印刷が開始される位置までの距離である。移動距離は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0061】
印刷開始位置判断部408は、移動距離と用紙233が搬送される距離に余白長さを加えた距離とが比較され、その差が算出される。例えば、用紙233が給紙されてから、印刷に使用されるトナーの色に基づいて使用する画像形成ユニットのうち、用紙233の搬送方向最も上流側にある画像形成ユニットがブラックのトナーを有する画像形成ユニット226である場合、余白長さが100mmであれば、この差は、ブラックのトナーを有する画像形成ユニット226で219mm−70mm−100mm=49mmとなり、移動距離の方が長くなる。イエローのトナーを有する画像形成ユニット227で219mm−150mm−100mm=−31mmとなり、移動距離の方が短くなる。マゼンタのトナーを有する画像形成ユニット228で219mm−230mm−100mm=−111mmとなり、移動距離の方が短くなる。シアンのトナーを有する画像形成ユニット229で219mm−310mm−100mm=−191mmとなり、移動距離の方が短くなる。
【0062】
印刷開始位置判断部408は、移動距離よりも搬送距離に余白長さを加えた距離が短い場合、感光体ドラム300の移動距離が感光体ドラム300の表面電位が安定化するまで、用紙233を停止させるようにコントローラ部402に通知する。感光体ドラム300の表面電位を安定化させるためには、例えば219mm回転させる必要があるため、上述した移動距離と搬送距離に余白長さを加えた距離との差の分だけを回転させる必要がある。印刷開始位置判断部408は、これを印刷禁止カウンタでカウントする。そして、この印刷禁止カウンタが、感光体ドラム300表面の任意の箇所が移動距離と搬送距離に余白長さを加えた距離との差である49mm移動したことを認識すると、印刷許可フラグがオンとなる。印刷開始位置判断部408は、印刷許可フラグがオンになると、その旨をコントローラ部402に伝達し、用紙233の搬送を開始して、印刷を開始するように通知する。
【0063】
また、印刷開始位置判断部408は、移動距離よりも搬送距離に余白長さを加えた距離が長い場合、用紙233を搬送している間に、感光体ドラム300の表面電位が安定化するため、用紙233を停止させる必要がない。したがって、印刷禁止カウンタによるカウントを行うことなく、印刷許可フラグがオンとなる。印刷開始位置判断部408は、印刷許可フラグがオンになると、その旨をコントローラ部402に伝達し、用紙233の搬送を開始して、印刷を開始するように通知する。このとき、使用しない画像形成ユニットの転写ローラ304には、転写バイアスが印加されない。
【0064】
図10及び図11は、本発明の印刷装置で、用紙に印刷したときのタイムチャートである。図10は、各色の余白長さが0mmである印刷データを印刷装置が受信した際のタイムチャートで、図11は、各色の余白長さが100mmである印刷データを受信した際のタイムチャートである。
【0065】
例えば、各色の余白長さが0mmである印刷データを印刷装置が受信した場合、図10のように、給紙制御部404による給紙動作と、媒体搬送制御部405による搬送動作とにより、用紙233が搬送センサ225まで搬送させる。このとき、感光体ドラム300を回転させる駆動モータが駆動し、感光体ドラム300への帯電が開始される。
【0066】
この印刷データでは、余白長さが0mmであるため、搬送距離に余白長さを加えた距離は、ブラックのトナーを使用する画像形成ユニット226までの搬送距離70mmである。よって、印刷開始位置判断部408は、移動距離と搬送距離に余白長さを加えた距離とを比較すると移動距離の方が長いと判断する。このとき、印刷禁止カウンタで感光体ドラム300の回転量がカウントされる。そして、印刷開始位置判断部408は、印刷禁止カウンタで感光体ドラム300の表面が149mm移動することを認識するまで、媒体搬送制御部405によって搬送センサ225で用紙233を停止させるようにコントローラ部402に指示を出す。このとき、図10中の領域W3のように、印刷禁止カウンタで感光体ドラム300が149mm移動することを認識するまでの待ち時間が発生する。
【0067】
そして、印刷禁止カウンタで感光体ドラム300が149mm移動することを認識すると、印刷許可フラグがオンとなり、用紙233の搬送を再開し、印刷を開始するようにコントローラ部402に指示する。その指示を受けたコントローラ部402は、各制御部を制御する。媒体搬送制御部405は、再び用紙233の搬送を開始する。そして、画像形成制御部406は、用紙233の搬送のタイミングに合わせて、各画像形成ユニットの転写バイアスが転写ローラ304に印加し、4色のトナー画像を用紙233に転写する。余白長さ0mmである印刷データの場合、駆動モータが回転し、感光体ドラム300への帯電が開始されてから、全ての画像形成ユニットの転写ローラ304への転写バイアスの印加が停止されるまでの時間を時間T4とする。
【0068】
また、例えば、余白の長さが100mmである印刷データを受信した場合、図11のように、給紙制御部404による給紙動作と、媒体搬送制御部405による搬送動作とにより、用紙233が搬送センサ225まで搬送させる。このとき、感光体ドラム300を回転させる駆動モータが駆動し、感光体ドラム300への帯電が開始される。
【0069】
この印刷データでは、余白長さが100mmであるため、搬送距離に余白長さを加えた距離は、ブラックのトナーを使用する画像形成ユニット226までの搬送距離70mmに余白長さの100mmを加えた170mmである。よって、印刷開始位置判断部408は、移動距離と搬送距離に余分長さを加えた距離とを比較すると移動距離の方が長いと判断する。このとき、印刷禁止カウンタで感光体ドラム300の回転量がカウントされる。そして、印刷開始位置判断部408は、印刷禁止カウンタで感光体ドラム300の表面が49mm移動することを認識するまで、媒体搬送制御部405によって搬送センサ225で用紙233を停止させるようにコントローラ部402に指示を出す。このとき、図11中の領域W4のように、印刷禁止カウンタで感光体ドラム300が49mm移動することを認識するまでの待ち時間が発生する。
【0070】
そして、印刷禁止カウンタで感光体ドラム300が49mm移動することを認識すると、印刷許可フラグがオンとなり、用紙233の搬送を再開し、印刷を開始するようにコントローラ部402に指示する。その指示を受けたコントローラ部402は、各制御部を制御する。媒体搬送制御部405は、再び用紙233の搬送を開始する。そして、画像形成制御部406は、用紙233の搬送のタイミングに合わせて、各画像形成ユニットの転写バイアスが転写ローラ304に印加し、4色のトナー画像を用紙233に転写する。このとき、画像形成制御部406は、図11のように、転写ローラ304の用紙233の余白に対応する部分に転写バイアスを印加しないように制御する。余白長さが100mmである印刷データの場合、駆動モータが回転し、感光体ドラム300への帯電が開始されてから、全ての画像形成ユニットの転写ローラ304への転写バイアスの印加が停止されるまでの時間を時間T5とする。図10及び図11を比較すると、余白長さが100mmである印刷データを印刷することで、余白のない印刷データを印刷する場合よりもファーストプリントタイムが短縮する。
【0071】
ここで、本発明の印刷装置を使って印刷を行う際の動作について図12を使用して説明する。本発明の印刷装置の受信部401は、ステップS101において、にインタフェースコネクタ236を介して接続されているホストコンピュータから印刷データが送信されるまで、待機している。ホストコンピュータから印刷データを受信すると、受信部401は、受信した印刷データを解析し、印刷装置の画像形成ユニット226、227、228、229でトナー画像が形成可能なデータに変換するとともに、使用するトナーの色を判断し、各色の余白長さを計測する。そして、受信部401は、変換したデータと、各色の余白長さの情報とをコントローラ部402に渡す。
【0072】
コントローラ部402は、受信部401から受信したデータと使用するトナーの色の情報と使用する各色の余白長さの情報とを受け取ると、給紙制御部404に用紙233の給紙を開始するように指示を出す。指示を受けた給紙制御部404は、ステップS102において、トレイ221からの用紙233の給紙を開始する。そして、給紙制御部404は、給紙センサ223による用紙233の検出を認識すると、給紙が完了したと認識し、給紙完了の通知をコントローラ部402に通知する。
【0073】
コントローラ部402は、ステップS103において、印刷準備が完了するまで待機する。コントローラ部402は、給紙制御部404から給紙完了の通知を受けると、印刷の準備が完了したと判断する。そして、コントローラ部402は、印刷の準備が完了したと判断した後、画像形成制御部406に印刷データから変換したデータを渡す。このとき、コントローラ部402は、印刷開始位置判断部408に、使用するトナーの色の情報と各色の余白長さの情報とを渡す。
【0074】
画像形成制御部406は、ステップS104において、現在の画像形成ユニット226、227、228、229の動作状態を確認し、1枚目の印刷であるか否かを確認する。
【0075】
1枚目の印刷でない場合、すなわち、動作状態であった場合、ステップS111に移行し、印刷を開始する。
【0076】
1枚目の印刷である場合、すなわち、非動作状態であった場合、画像形成制御部406は、ステップS105において、各画像形成ユニット226、227、228、229の図示しない駆動モータを駆動させ、その駆動モータの駆動に合わせて、各部材に所定の電圧を印加するように、バイアス制御を開始する。
【0077】
そして、印刷開始位置判断部408は、ステップS106において、この印刷で使用するトナーの色から使用する画像形成ユニットを認識し、使用する画像形成ユニットの中から、用紙233の搬送方向に対して最も上流側にある画像形成ユニットを認識する。そして、上述のように、搬送距離に余白長さを加えた距離と移動距離とを比較する。
【0078】
ステップS106において、移動距離よりも搬送距離に余白長さを加えた距離が長い場合、印刷開始位置判断部408は、印刷許可フラグをオンにして、ステップS111に移行し、印刷開始位置判断部408は、印刷を開始するようにコントローラ部402に指示を出す。
【0079】
ステップS106において、移動距離よりも搬送距離に余白長さを加えた距離が短い場合、印刷開始位置判断部408は、ステップS107において、印刷禁止カウンタで感光体ドラム300の回転量をカウントする。そして、印刷開始位置判断部408は、搬送センサ225が備えられている媒体待機位置で、用紙233の搬送を停止するようにコントローラ部402に指示を出す。この指示を受けたコントローラ部402は、媒体搬送制御部405に指示を出す。
【0080】
その後、媒体搬送制御部405は、ステップS108において、搬送センサ225に用紙233が搬送されるまで待機する。用紙233が搬送センサ225にまで搬送されると、印刷開始位置判断部408は、ステップS109において、用紙233の搬送を停止するようにコントローラ部402に指示を出し、媒体搬送制御部405で制御する。
【0081】
そして、印刷開始位置判断部408は、ステップS110において、感光体ドラム300の表面電位が安定化するまで待機する。すなわち、上述のように、印刷禁止カウンタによりカウントされている感光体ドラム300の表面の任意の箇所の移動距離(回転量)が、搬送距離に余白長さを加えた距離と移動距離との差によって示される距離に達するまで待機し、印刷許可フラグをオンにして、ステップS111に移行し、印刷開始位置判断部408は、印刷を開始するようにコントローラ部402に指示を出す。
【0082】
印刷の指示を受けると、コントローラ部402は、媒体搬送制御部405、画像形成制御部406、排出制御部407に指示を出し、印刷を開始する。ステップS111において、コントローラ部402より指示を受けた媒体搬送制御部405は、画像形成ユニット226、227、228、229に用紙233を搬送する。そして、コントローラ部402から受け取っていた印刷データを変換したデータを基に、画像形成制御部406は、印刷に使用するトナーの色の画像形成ユニットを使用して、各色のトナー画像を形成する。
【0083】
そして、画像形成制御部406は、ステップS112において、使用する画像形成ユニットの転写ローラ304のみに転写バイアスを印加し、搬送されてくる用紙233にトナー画像を転写する。排出制御部407は、トナー画像が転写した用紙233を定着ユニット230に搬送し、トナー画像を定着させて、印刷装置の装置本体210の外部に排出する。
【0084】
本発明の印刷装置は、ページの各色の余白の長さを計測し、使用する画像形成ユニットのうち、最も上流側にある画像形成ユニットに達するまでの用紙233が搬送される搬送距離に余白長さを加えた距離と、画像形成ユニットの感光体ドラム300に印加される表面電位が安定化するのに要する所定の回転量に相当する感光体ドラム300表面の移動距離とを比較する。そして、移動距離よりも搬送距離に余白長さを加えた距離が長い場合、用紙233を搬送している間に感光体ドラム300の表面電位が安定化するため、用紙233を搬送路駐の媒体待機位置で停止させない。これにより、無駄な用紙233の搬送待ち時間が無くなり、ファーストプリントタイムを短縮することができる。また、移動距離よりも搬送距離に余白長さを加えた距離が短い場合であっても、余白長さの分だけ、用紙233の搬送待ち時間を短くすることができる。
【0085】
実施の形態1及び実施の形態2のでは、トレイ221から用紙233を給紙する例を挙げて説明しているが、例えばマルチパーパストレイ222等の全ての給紙トレイから用紙233を給紙する場合も、同様の制御が可能である。また、2枚目移行の用紙233を給紙した状態で待機させて、感光体ドラム300も一時停止するような制御を行う場合であっても、感光体ドラム300を再起動する時に同様の制御が可能である。この場合、トレイ221に限らず、両面印刷装置からの給紙でも同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】実施の形態1で説明する本発明の印刷装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1で説明する本発明の印刷装置の画像形成ユニットの構成を示す図である。
【図3】実施の形態1で説明する本発明の印刷装置の制御ブロック図である。
【図4】実施の形態1で説明する本発明の印刷装置の感光体ドラム表面上のトナーの帯電状態を示す図である。
【図5】実施の形態1で説明する本発明の印刷装置において、4色のトナーを使用して印刷を行う印刷データを受信した場合のタイムチャートである。
【図6】実施の形態1で説明する本発明の印刷装置において、2色のトナーを使用して印刷を行う印刷データを受信した場合のタイムチャートである。
【図7】実施の形態1で説明する本発明の印刷装置の動作を示すフロー図である。
【図8】実施の形態2で説明する本発明の印刷装置の制御ブロック図である。
【図9】実施の形態2で説明する本発明の印刷装置に使用する用紙の余白について説明する図である。
【図10】実施の形態2で説明する本発明の印刷装置において、余白長さが0mmの印刷データを受信した場合のタイムチャートである。
【図11】実施の形態2で説明する本発明の印刷装置において、余白長さが100mmの印刷データを受信した場合のタイムチャートである。
【図12】実施の形態2で説明する本発明の印刷装置の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0087】
210 装置本体
221 トレイ
222 マルチパーパストレイ
223、224 給紙センサ
224 給紙センサ
225 搬送センサ
226、227、228、229 画像形成ユニット
230 定着ユニット
231 排出センサ
232 搬送ベルト
233 用紙
235 搬送路
236 インタフェースコネクタ
300 感光体ドラム
301 帯電ローラ
302 ヘッド
303 現像ローラ
304 転写ローラ
305 トナー供給ローラ
306 トナーカートリッジ
401 受信部
402 コントローラ部
403 媒体印刷管理部
404 給紙制御部
405 媒体搬送制御部
406 画像形成制御部
407 排出制御部
408 印刷開始位置判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体の搬送方向に並べた複数の画像形成ユニットにより印刷データに基づく現像剤画像を前記印刷媒体に付着させて印刷する印刷装置において、
前記画像形成ユニット各々に配置される感光体と、
前記感光体の各々の外周表面に印加する電位を制御する電位制御部と、
各前記感光体の外周表面の電位が前記現像剤画像の形成可能な電位となるために必要な回転量を管理する回転量管理部と、
前記画像形成ユニットの各々の前記感光体を回転駆動させる駆動部と、
前記印刷媒体の搬送を制御する媒体搬送制御部と、
前記印刷データに基づいて印刷に使用する前記現像剤の色を判断する印刷色判断部とを有し、
前記媒体搬送制御部は、前記回転量管理部で管理される前記印刷色判断部で判断された印刷に使用する色の前記画像形成ユニットの前記感光体に必要な前記回転量に基づき、前記感光体が前記回転量回転した後に、印刷に使用する色の前記画像形成ユニットに前記印刷媒体を搬送することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷媒体の搬送路上の前記印刷媒体の位置を判断する媒体位置判断部をさらに有し、
前記媒体搬送制御部は、前記媒体位置判断部で判断された前記印刷媒体の位置から前記印刷色判断部で判断された印刷に使用する色の前記画像形成ユニットまでの距離が、前記回転量に相当する前記感光体の外周表面の移動距離よりも短い場合、前記印刷媒体の搬送速度を遅くすることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷データに基づいて、前記印刷媒体の搬送方向先頭から印刷が行われない余白の範囲を判断する余白判断部をさらに有し、
前記媒体搬送制御部は、前記回転量管理部で管理される前記印刷色判断部で判断された印刷に使用する色の前記画像形成ユニットの前記感光体に必要な前記回転量に基づき、前記印刷媒体の前記余白の範囲に相当する分を差し引いた回転量回転した後に、印刷に使用する色の前記画像形成ユニットに前記印刷媒体を搬送することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷媒体の搬送路上の前記印刷媒体の位置を判断する媒体位置判断部をさらに有し、
前記媒体搬送制御部は、前記媒体位置判断部で判断された前記印刷媒体の位置から前記印刷色判断部で判断された印刷に使用する色の前記画像形成ユニットまでの距離が、前記回転量に相当する前記感光体の外周表面の移動距離から前記印刷媒体の前記余白の範囲に相当する長さを差し引いた距離よりも短い場合、前記印刷媒体の搬送速度を遅くすることを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−89647(P2008−89647A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267200(P2006−267200)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】