説明

印刷装置

【課題】再印刷用データと未印刷データとをユーザにとって適切な印刷順で印刷できる印刷装置を提供する。
【解決手段】色剤カートリッジの消耗度合が、印刷品質が低下し始める消耗度合として設定されている第1の消耗度合以上であり且つ色剤カートリッジの使用限界として設定されている第2の消耗度合未満である第2状態にあるときに記憶部15に記憶された再印刷用データと、取得部によって取得されて未だ印刷が行われていない未印刷データとを、予め決められている印刷順で印刷部に印刷させる印刷装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーボックス中のトナーの量が第1所定量未満で第2所定量以上である少トナー状態で画像データを受信した場合に、その画像データを記録材に記録するとともに、その画像データを画像メモリに記憶させるファクシミリ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このファクシミリ装置では、トナーの量が第1所定量以上である通常状態にあることが検出されているときに再記録指示が受け付けられたことに応じて、少トナー状態で画像メモリに記憶された画像データ(再印刷用データ)が表す画像の記録材への記録を行っている。
【0004】
また、このファクシミリ装置では、トナーの量が第2所定量未満であるトナー欠状態で画像データを受信した場合には、その画像データを記録材に記憶させず、その画像データ(未印刷データ)を画像メモリに記憶させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−341242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のファクシミリ装置によると、トナー欠状態で受信して画像メモリに記憶させた画像データ(未印刷データ)の印刷については考慮されていなかった。
また、従来のファクシミリ装置によると、再印刷用データの記録中に画像データを受信した場合に、その画像データ(未印刷データ)と再印刷用データとをどのような印刷順で印刷するかについて考慮されていなかった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、再印刷用データと未印刷データとをユーザにとって適切な印刷順で印刷できる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、印刷装置であって、画像データを取得する取得部と、着脱可能に装着されている色剤カートリッジを用いて被記録媒体に前記画像データを印刷する印刷部と、消耗度合が第1の消耗度合未満である前記色剤カートリッジに交換されたことを検知する検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記色剤カートリッジの消耗度合が前記第1の消耗度合未満である第1状態にあるか、前記第1の消耗度合以上であり且つ第2の消耗度合(第1の消耗度合<第2の消耗度合)未満である第2状態にあるかを判断する判断処理と、前記第1状態にあるときに前記取得部によって取得された画像データを前記印刷部に印刷させる第1の制御処理と、前記第2状態にあるときに前記取得部によって取得された画像データを前記印刷部に印刷させるとともに、再印刷用データとして記憶部に記憶させる第2の制御処理と、前記第1の消耗度合未満である前記色剤カートリッジに交換されたことが前記検知部によって検知されると、前記記憶部に記憶されている前記再印刷用データと、前記取得部によって取得されて未だ印刷が行われていない未印刷データとを、予め決められている印刷順で前記印刷部に印刷させる第3の制御処理と、を実行する。
【0008】
この発明によると、再印刷用データと未印刷データとを予め決められている印刷順で印刷するので、ユーザにとって適切な印刷順を予め設定しておくことにより、再印刷用データと未印刷データとをユーザにとって適切な印刷順で印刷できる。
【0009】
ここで、一つの画像データは、1枚の被記録媒体に印刷される1ページ分の画像を表すデータであってもよいし、複数枚の被記録媒体に印刷される複数ページ分の画像を表すデータであってもよい。
なお、制御部は検知部によって第1の消耗度合未満である色剤カートリッジに交換されたことが検知された場合に必ず第3の制御処理を実行するものに限られない。例えば、第1の消耗度合未満である色剤カートリッジに交換されたことが検知されてもユーザが再印刷用データを印刷しないという選択をした場合には第3の制御処理を実行せず、再印刷用データを印刷するという選択をした場合に第3の制御処理を実行してもよい。
【0010】
第2の発明は、第1の発明の印刷装置であって、前記制御部は、前記判断処理において、前記色剤カートリッジの消耗度合が前記第2の消耗度合以上である第3状態にあるかを更に判断し、前記第3状態にあるときに前記取得部によって取得された画像データを前記印刷部に印刷させず、前記未印刷データとして前記記憶部に記憶させる第4の制御処理を実行する。
この発明によると、第3状態にあるときに取得された画像データを色剤カートリッジの交換後に印刷することができる。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明の印刷装置であって、前記制御部は、前記第3の制御処理において、前記未印刷データを前記再印刷用データより先に印刷させる。
再印刷用データは既に一度は印刷されているのに対し、未印刷データは未だ一度も印刷が行われていないのでユーザはその内容を把握できていない。
この発明によると、一度印刷が行われている再印刷用データよりも、未だ一度も印刷が行われていない未印刷データを先に印刷させるので、ユーザは未印刷データの内容を速やかに把握することができる。
【0012】
第4の発明は、第1又は第2の発明の印刷装置であって、前記制御部は、前記第3の制御処理において、前記再印刷用データを前記未印刷データより先に印刷させる。
この発明によると、再印刷用データを未印刷データより先に印刷させるという印刷順がユーザにとって適切な印刷順である場合に、再印刷用データと未印刷データとをユーザにとって適切な印刷順で印刷できる。
【0013】
第5の発明は、第1又は第2の発明の印刷装置であって、前記再印刷用データと前記未印刷データとの印刷順をユーザに設定させる設定部を備え、前記制御部は、前記第3の制御処理において、前記設定部によって設定された印刷順で印刷させる。
この発明によると、ユーザが印刷順を設定できるので、再印刷用データと未印刷データとをユーザにとって適切な印刷順で印刷できる。
【0014】
第6の発明は、第3又は第5の発明の印刷装置であって、前記制御部は、前記第3の制御処理において前記未印刷データを前記再印刷用データより先に印刷させる場合に、前記再印刷用データの印刷中に前記取得部によって画像データが取得された場合は、当該取得された画像データを前記未印刷データとして、未だ印刷が開始されていない前記再印刷用データより先に印刷させる。
再印刷用データは既に一度は印刷されているのに対し、再印刷用データの印刷中に取得された画像データは未だ一度も印刷が行われていないのでユーザはその画像データの内容を把握できていない。
この発明によると、再印刷用データの印刷中に取得部によって画像データが取得された場合は、当該取得された画像データ(未印刷データ)を、未だ印刷が開始されていない再印刷用データより先に印刷させるので、ユーザは当該画像データの内容を速やかに把握することができる。
【0015】
第7の発明は、第3、第5、又は第6の発明の印刷装置であって、前記制御部は、前記第3の制御処理において前記未印刷データを前記再印刷用データより先に印刷させる場合に、前記記憶部に記憶されている未だ印刷が開始されていない全ての前記再印刷用データと前記取得部により取得されていて未だ印刷が開始されていない全ての前記未印刷データとを印刷した後の前記色剤カートリッジの消耗度合が前記第1の消耗度合より大きいか否かを判断し、前記第1の消耗度合より大きいと判断した場合は、前記再印刷用データを前記未印刷データより先に印刷させる。
【0016】
未印刷データを再印刷用データより先に印刷させる場合、途中で色剤カートリッジの状態が第2状態となり、同じ再印刷用データがまたかすれて印刷されてしまう虞がある。
この発明によると、記憶部に記憶されている未だ印刷が開始されていない全ての再印刷用データと現時点で取得されていて未だ印刷が開始されていない全ての未印刷データとを印刷した後の色剤カートリッジの消耗度合が第1の消耗度合以上になる場合には再印刷用データを未印刷データより先に印刷させるので、同じ再印刷用データがまたかすれて印刷されてしまうことを低減できる。
【0017】
第8の発明は、第4又は第5の発明の印刷装置であって、前記制御部は、前記第3の制御処理において前記再印刷用データを前記未印刷データより先に印刷させる場合に、前記再印刷用データの印刷中に前記取得部によって画像データが取得された場合は、当該画像データを未印刷データとして、全ての前記再印刷用データを印刷させた後に印刷させる。
この発明によると、未印刷データより先に再印刷用データを印刷させる場合に、再印刷用データの印刷中に取得された未印刷データが再印刷データより先に印刷されてしまわないようにすることができる。
【0018】
第9の発明は、第1又は第2の発明の印刷装置であって、前記未印刷データは、予め前記再印刷用データに対する相対的な優先度が設定されており、前記制御部は、前記第3の制御処理において、前記再印刷用データより高い優先度が設定されている前記未印刷データを前記再印刷用データより先に印刷させ、前記再印刷用データより低い優先度が設定されている前記未印刷データを前記再印刷用データより後に印刷させる。
この発明によると、未印刷データに設定されている優先度に応じた印刷順で印刷するので、ユーザにとって適切な印刷順で印刷されるように優先度を設定することにより、再印刷用データと未印刷データとをユーザにとってより適切な印刷順で印刷できる。
なお、再印刷用データに対する相対的な優先度は、第3の制御処理を開始する前に設定されていれば良く、工場出荷時に固定で設定されている場合に限定されない。
【0019】
第10の発明は、第1又は第2の発明の印刷装置であって、前記取得部は複数の方法で前記画像データを取得可能であり、前記制御部は、前記第3の制御処理において、前記色剤カートリッジの消耗度合が特定の状態にあるときに特定の前記方法で取得された前記未印刷データを前記再印刷用データより先に印刷させ、それ以外の前記未印刷データを前記再印刷用データより後に印刷させる。
【0020】
ユーザは、色剤カートリッジの消耗度合が特定の状態にあるときに特定の方法で取得された未印刷データを再印刷用データより先に印刷させ、それ以外の未印刷データを再印刷用データより後に印刷させたい場合もある。
この発明によると、そのような場合にユーザにとって適切な印刷順で印刷できる。
【0021】
尚、本発明に備わる各部の機能は、構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、又はそれらの組み合わせにより実現される。また、これら各部の機能は、各々が物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1に係る複合機の電気的構成を示すブロック図。
【図2】トナーカートリッジの断面図。
【図3】FAX受信機能における制御部の状態遷移を示す状態遷移図。
【図4】一括印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図5】実施形態2に係る一括印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図6】再印刷用データ優先印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図7】未印刷データ優先印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図8】実施形態3に係る一括印刷処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4によって説明する。
(1)複合機の構成
図1は、実施形態1に係る複合機1(印刷装置の一例)の電気的構成を示すブロック図である。複合機1は、制御部10、ファクシミリ(FAX)部11(取得部の一例)、スキャナ部12(取得部の一例)、プリンタ部13(印刷部の一例)、操作部14(設定部の一例)、記憶部15、USBインタフェース(USB I/F)16(取得部の一例)、ネットワークインタフェース(NW I/F)17(取得部の一例)などを備えて構成されている。
【0024】
制御部10は、CPU、ROM、RAMなどで構成されている。CPUはROMに記憶されている各種のプログラムを実行することによって複合機1の各部を制御する。ROMはCPUが実行するための各種のプログラムやデータなどを記憶している。RAMはCPUが各種の処理を実行するための主記憶装置として用いられる。
【0025】
FAX部11は、NCU(Network Control Unit)、モデム、これらを制御するASICなどを備えて構成されており、公衆交換電話網を介して外部のFAX装置との間で画像データをFAX送受信する。
スキャナ部12は、原稿を照射する光源、リニアイメージセンサ、光源によって照射された原稿の光学像をリニアイメージセンサに結像させる光学系、原稿とリニアイメージセンサとを相対移動させる搬送機構などを備えて構成されており、原稿を読み取って画像データを生成する。
【0026】
プリンタ部13は、画像データが表す画像を紙などの被記憶媒体に電子写真方式で印刷する。
プリンタ部13には黒色のトナー(色剤の一例)が収容されているトナーカートリッジ56(図2参照、色剤カートリッジの一例)が着脱可能に装着され、プリンタ部13はトナーカートリッジ56に収容されているトナーを用いて被記録媒体に画像を印刷する(以下「画像データを印刷する」という)。なお、本実施形態ではトナーの色は黒色であるとするが、トナーの色は黒色に限られるものではない。
【0027】
操作部14は、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置、表示装置の表示面を覆う略透明なタッチパネル、各種の操作ボタンなどを備えて構成されている。ユーザは操作部14を操作することによって複合機1の機能の選択や各種の設定などを行うことができる。
記憶部15は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体を用いて各種のデータを記憶する装置である。なお、例えば外部のファイルサーバを記憶部15として用いてもよい。
【0028】
USB(Universal Serial Bus)インタフェース16は、USBホストコントローラ、USBポートなどを備えて構成されており、USBメモリやUSBハードディスクなどのUSBマスストレージデバイスが接続される。
ネットワークインタフェース17は、LANやインターネットなどの通信ネットワークを介して外部のコンピュータと通信可能に接続されている。
【0029】
(2)複合機の機能
複合機1は、FAX受信機能、プリント機能、ダイレクトプリント機能、及び、コピー機能を実行可能に構成されている。
FAX受信機能は、FAX部11によって外部のFAX装置から画像データをFAX受信し(画像データを取得する方法の一例)、FAX受信した画像データをプリンタ部13によって印刷する機能である。
プリント機能は、ネットワークインタフェース17によって外部のコンピュータから画像データを受信し(画像データを取得する方法の一例)、受信した画像データをプリンタ部13によって印刷する機能である。
【0030】
ダイレクトプリント機能は、USBインタフェース16に接続されているUSBマスストレージデバイスから画像データを読み込み(画像データを取得する方法の一例)、読み込んだ画像データをプリンタ部13によって印刷する機能である。
コピー機能は、スキャナ部12によって原稿を読み取って画像データを生成し(画像データを取得する方法の一例)、生成した画像データをプリンタ部13によって印刷する機能である。
【0031】
上述した各機能において、画像データ(例えばFAX受信した画像データや外部のコンピュータから受信した画像データなど)は一旦RAMに記憶され、印刷後にRAMから削除される。
【0032】
(3)トナーカートリッジ
次に、プリンタ部13に着脱可能に装着されるトナーカートリッジについて説明する。
(3−1)トナーカートリッジの構成
図2は、トナーカートリッジの断面図である。トナーカートリッジ56は、トナー収容室46、アジテータ57、供給ローラ47、現像ローラ48、層厚規制ブレード51などを備えて構成されている。
トナー収容室46には、正帯電性の非磁性のトナー(色剤の一例)が収容されている。アジテータ57によって撹拌されたトナーは供給ローラ47に供給され、供給ローラ47の回転によって現像ローラ48に供給される。
現像ローラ48に供給されたトナーは現像ローラ48の回転に伴って層厚規制ブレード51と現像ローラ48との間に進入し、一定の厚さの薄層として現像ローラ48上に担持される。
現像ローラ48に担持されたトナーは、複合機1に設けられている感光体ドラム、あるいは複合機1に着脱可能に装着されるドラムユニットに設けられている感光体ドラムの表面に形成されている静電潜像に供給され、それによって感光体ドラムの表面にトナー像が形成される。
【0033】
(3−2)トナーカートリッジの新品検知
トナーカートリッジ56の新品検知は種々の方法で行うことができる。
例えば、一方向にのみ移動可能な可動部材をトナーカートリッジ56に設け、トナーカートリッジ56を装着する際に当該可動部材が複合機1の内部(あるいはドラムユニット)に設けられている固定部材に押されて当該一方向に移動するように構成し、複合機1側に設けた機械的、あるいは光学的なセンサ(検知部の一例)によってこの移動を検出してもよい。これにより、制御部10(検知部の一例)は新品(消耗度合が第1の消耗度合未満)のトナーカートリッジ56に交換されたことを検知することができる。この場合、一度装着したトナーカートリッジ56を外して再装着する際には可動部材が移動しないので、新品とは検知されないことになる。
【0034】
なお、トナーカートリッジ56のトナー残量をセンサによって定期的に検出し、前回検出したときからトナー残量が増加しており、且つそのトナー残量がある一定量以上であれば新品と検知してもよい。
また、トナーカートリッジ56を新品に交換したときにユーザが操作部14でその旨を設定することで新品と検知してもよい。
【0035】
(3−3)トナーカートリッジの消耗度合
トナーは印刷が行われる毎に使用され、ある一定量以上使用されるとトナーが不足して印刷がかすれ始め、それにより印刷品質が低下し始める。
また、現像ローラ48も回転が繰り返されることによって徐々に摩耗し、ある一定回転数以上回転すると担持できるトナーの量が少なくなって印刷がかすれ始め、それにより印刷品質が低下し始める。
そこで、制御部10は、トナーカートリッジ56が新品に交換されてからのトナー使用量と現像ローラ48の回転数とからトナーカートリッジ56の消耗度合を判断する。
【0036】
トナーカートリッジ56が新品に交換されてからのトナー使用量は種々の方法で判断することができる。
例えば、被記録媒体1枚当たりの平均的なトナー使用量を予め実験によって求めておき、トナーカートリッジ56が新品に交換されたときからの印刷枚数とその平均的なトナー使用量との積からトナー使用量を判断してもよい。
【0037】
あるいは、被記録媒体に形成するドットの数をカウントし、カウントしたドットの数と1ドット当たりのトナー量との積からその被記録媒体への印刷に用いるトナー量を算出し、被記録媒体毎に算出したトナー量を合計することによってトナー使用量を判断してもよい。
【0038】
あるいは、トナー収容室46内のトナー残量を検出するセンサを設け、新品時の全トナー量から現在のトナー残量を減じることによってトナー使用量を判断してもよい。
【0039】
トナーカートリッジ56が新品に交換されてからの現像ローラ48の回転数も種々の方法で判断することができる。
例えば、現像ローラ48を回転駆動する図示しない駆動モータの回転数を検出することによって現像ローラ48の回転数を判断してもよい。
あるいは、被記録媒体1枚当たりの平均的な現像ローラ48の回転数を予め実験によって求めておき、トナーカートリッジ56が新品に交換されたときからの印刷枚数と被記録媒体1枚当たりの平均的な現像ローラ48の回転数との積から現像ローラ48の回転数を判断してもよい。
【0040】
本実施形態では、トナーカートリッジ56が新品に交換されたときからの印刷枚数によってトナー使用量、及び現像ローラ48の回転数を判断する場合を例に説明する。
【0041】
印刷がかすれ始めるトナー使用量に達する印刷枚数、及び、印刷がかすれ始める回転数に達する印刷枚数は予め実験によって求められており、複合機1にはそれらのうちいずれか少ない方の枚数が第1の枚数(第1の消耗度合の一例)として設定されている。第1の枚数は印刷される画像データのサイズや内容などによって変化し得るが、本実施形態では1200〜1700枚の範囲で設定される。
【0042】
また、トナー使用量が使用限界(トナー残量が0)に達する印刷枚数、及び、現像ローラ48が使用限界(内容を把握できなくなる程度に印刷がかすれる回転数)に達する印刷枚数も予め実験によって求められており、複合機1にはそれらのうちいずれか少ない方の枚数が第2の枚数(第2の消耗度合の一例)として設定されている。第2の枚数も印刷される画像データのサイズや内容などによって変化し得るが、本実施形態では4000枚とする。
【0043】
制御部10は、印刷枚数をカウントし、印刷枚数が第1の枚数未満のときはトナーカートリッジ56の消耗度合が第1状態にあると判断し、第1の枚数以上で且つ第2の枚数未満のときは第2状態にあると判断し、第2の枚数以上のときは第3状態にあると判断する(判断処理の一例)。
【0044】
(4)FAX受信機能における制御部の状態遷移
図3は、FAX受信機能における制御部10の状態遷移を示す状態遷移図である。ここではトナーカートリッジ56の消耗度合の状態も併せて示している。なお、図3は制御部10の状態遷移を簡略化して示しており、制御部10の状態は図3に示す遷移の経路とは異なる経路で他の状態に遷移することもあり得る。
【0045】
「Ready」状態81は、新品のトナーカートリッジ56に交換されてから未だ印刷枚数が第1の枚数に達していない状態である。
制御部10は、新品のトナーカートリッジ56に交換されると、印刷枚数をカウントするカウンタ変数nを0に初期化し、1枚の被記録媒体に画像を印刷する毎にカウンタ変数nに1を加算する。このカウントは、FAX受信機能、プリント機能、ダイレクトプリント機能、及びコピー機能のいずれによって印刷が行われた場合も対象となる。制御部10は、カウンタ変数nの値が第1の枚数未満であれば「Ready」状態81であると判断する。
【0046】
制御部10は、「Ready」状態81のときに画像データをFAX受信すると、その画像データをプリンタ部13に印刷させる(第1の制御処理の一例)。
「Ready」状態81で印刷を繰り返してカウンタ変数nの値が所定枚数(<第1の枚数)に達すると、制御部10の状態は「Toner Low」状態82に遷移する。
【0047】
「Toner Low」状態82は、カウンタ変数nの値が所定の枚数(例えば1000枚)以上で且つ第1の枚数未満の範囲にある状態である。
制御部10は、「Toner Low」状態82のときに画像データをFAX受信すると、その画像データをプリンタ部13に印刷させる(第1の制御処理の一例)。
【0048】
「Toner Low」状態82で印刷を繰り返してカウンタ変数nの値が第1の枚数に達すると、制御部10の状態は「Replace Toner(再印刷用データ無)」状態83に遷移する。
【0049】
「Replace Toner(再印刷用データ無)」状態83は、新品のトナーカートリッジ56に交換されてからの印刷枚数が第1の枚数以上〜第2の枚数未満の範囲にある状態である。
「Replace Toner(再印刷用データ無)」状態83に遷移すると、制御部10は先ず「停止」モード又は「継続」モードを選択させるための図示しないモード選択画面を操作部14に表示してユーザに何れか一方のモードを選択させる。
【0050】
ユーザが「停止」モードを選択した場合は、制御部10は操作部14にトナーカートリッジ56の交換を促すメッセージを表示する。そして、トナーカートリッジ56が交換されるまでFAX受信を拒否する。または、FAX受信した画像データを印刷させずに記憶部15に記憶させてもよい。
一方、ユーザが「継続」モードを選択した場合は、その後にFAX受信されると、制御部10の状態は「FAX Printing」状態84に遷移する。
【0051】
「停止」モード及び「継続」モードのいずれが選択された場合も、「Replace Toner(再印刷用データ無)」状態83でトナーカートリッジ56が新品に交換されると、制御部10の状態は「Ready」状態81に戻る。
【0052】
「FAX Printing」状態84は、FAX受信した画像データを印刷している状態である(第2の制御処理の一例)。
画像データの印刷が終了すると、制御部10は操作部14に品質確認画面71を表示し、印刷した画像データの印刷品質に問題があるか否かをユーザに選択させる。ユーザは、印刷がかすれていて読み難いなどのように印刷品質に問題があると判断した場合は品質確認画面71で「NG」を選択し、一方、印刷品質に問題がないと判断した場合は「OK」を選択する。
【0053】
ユーザが「NG」を選択すると、制御部10は、FAX受信した画像データを再印刷用データとして記憶部15に記憶する(第2の制御処理の一例)。記憶部15に再印刷用データが記憶されると、制御部10の状態は「Replace Toner(再印刷用データ有)」状態85」に遷移する。
一方、ユーザが「OK」を選択すると、制御部10は操作部14に削除確認画面72を表示し、印刷した画像データを削除するか否かをユーザに指定させる。ユーザはその画像データを複合機1から削除してもよい場合は「削除」を選択し、その画像データを複合機1に残しておきたい場合は「削除しない」を選択する。
【0054】
ユーザが「削除」を選択すると、制御部10は、記憶部15に記憶されている全ての再印刷用データを削除する。全ての再印刷用データを削除すると、制御部10の状態は「Replace Toner(再印刷用データ無)」状態83に戻る。
一方、削除確認画面72でユーザが「削除しない」を選択すると、制御部10は、FAX受信した画像データを再印刷用データとして記憶部15に記憶する(第2の制御処理の一例)。記憶部15に再印刷用データが記憶されると、制御部10の状態は「Replace Toner(再印刷用データ有)」状態85に遷移する。
削除確認画面72でユーザが一定時間以内に選択を行わなかった場合には、「Timeout」として品質確認画面71に戻る。
【0055】
なお、品質確認画面71や削除確認画面72を表示させず、トナーカートリッジ56の消耗度合の状態が第2状態にあるときは無条件に画像データを記憶部15に記憶させてもよい。
【0056】
「Replace Toner(再印刷用データ有)」状態85は、「Replace Toner(再印刷用データ無)」状態83と同様にカウンタ変数nの値が第1の枚数以上で且つ第2の枚数未満の範囲にある状態であるが、少なくとも一つの再印刷用データが記憶部15に記憶されている点で「Replace Toner(再印刷用データ無)」状態83と異なる。
【0057】
制御部10の状態が「Replace Toner(再印刷用データ有)」状態85に遷移すると、制御部10は先ず記憶部15に記憶されている再印刷用データの数が、記憶部15に記憶可能な再印刷用データの上限件数である1000件に達しているか否かを判定する。記憶部15に記憶されている再印刷用データの数が上限件数に達している場合は、制御部10の状態は「Memory Full」状態86に遷移する。
【0058】
「Memory Full」状態86は、記憶部15に記憶されている再印刷用データの数が上限件数に達している状態である。「Memory Full」状態86のときは、制御部10は画像データのFAX受信を拒否する。
【0059】
一方、再印刷用データの数が上限件数に達していない場合はそのまま「Replace Toner(再印刷用データ有)」状態85となる。
「Replace Toner(再印刷用データ有)」状態85で画像データをFAX受信すると、制御部10の状態は「FAX Printing」状態84に戻る。
【0060】
また、「Replace Toner(再印刷用データ有)」状態85で印刷を繰り返してカウンタ変数nの値が第2の枚数に達すると、制御部10の状態は「Toner Ended」状態88に遷移する。
また、「Replace Toner(再印刷用データ有)」状態85でトナーカートリッジ56が新品に交換されると、制御部10は操作部14に印刷/削除選択画面73を表示し、記憶部15に記憶されている全ての再印刷用データを一括印刷するか又は一括削除するかをユーザに選択させる。ユーザは、再印刷用データを一括印刷する場合は「印刷」を選択し、一括削除する場合は「削除」を選択する。
【0061】
印刷/削除選択画面73でユーザが「印刷」を選択すると、制御部10の状態は「再印刷用データPrinting」状態87に遷移する。
一方、ユーザが「削除」を選択すると、制御部10は記憶部15に記憶されている全ての再印刷用データを一括して削除する。記憶部15に記憶されている再印刷用データが全て削除されると、制御部10の状態は「Ready」状態81に戻る。
なお、印刷/削除選択画面73を表示させず、無条件に再印刷用データを印刷させてもよい。
【0062】
なお、「Memory Full」状態86でトナーカートリッジ56が新品に交換されたときの制御部10の処理は、「Replace Toner(再印刷用データ有)」状態85でトナーカートリッジ56が新品に交換された場合と同じである。
【0063】
「再印刷用データPrinting」状態87は、記憶部15に記憶されている再印刷用データと、取得部によって取得されて未だ印刷が行われていない未印刷データとを、予め決められている印刷順でプリンタ部13に印刷させる「一括印刷処理」を実行している状態である(第3の制御処理の一例)。「一括印刷処理」の詳細については後述する。「一括印刷処理」が終了すると、制御部10の状態は「Ready」状態81に戻る。
【0064】
「Toner Ended」状態88は、カウンタ変数nの値が第2の枚数以上の状態である。
【0065】
「Toner Ended」状態88で画像をFAX受信すると、制御部10の状態は「代行受信」状態89に遷移する。「代行受信」状態89のときは、複合機1はFAX受信した画像データの印刷は行わずに、画像データを記憶部15に記憶させる。
また、「Toner Ended」状態88で新品のトナーカートリッジ56に交換されると、制御部10は印刷確認画面74を操作部14に表示し、記憶部15に記憶されている全ての再印刷用データを一括印刷することをユーザに確認する。
【0066】
印刷確認画面74では、ユーザは「OK」を選択することしかできない。つまり、ユーザは再印刷用データの一括削除を選択することはできない。その理由は、「Toner Ended」状態88になる直前に受信した画像データは内容を把握できない程度にかすれて印刷されている可能性があるので、一括削除してしまうとそのような画像データの内容を把握できなくなる虞があるからである。
印刷確認画面74でユーザが「OK」を選択すると、制御部10の状態は「再印刷用データPrinting」状態87に遷移する。
【0067】
「代行受信」状態89は、「Toner Ended」状態88でFAX受信した画像データを未印刷データとして記憶部15に記憶する状態である(第4の制御処理の一例)。
【0068】
(5)一括印刷処理
図4は、「再印刷用データPrinting」状態87で実行される一括印刷処理の流れを示すフローチャートである。本処理は制御部10の状態が「再印刷用データPrinting」状態87に遷移すると開始される。
ここではトナーカートリッジ56が特定の状態にあるときに特定の方法で取得された未印刷データ(以下に示す(a)〜(d))を再印刷用データより先に印刷させ、それ以外の未印刷データ(以下に示す(e))を再印刷用データより後に印刷させる場合を例に説明する。
【0069】
S101では、制御部10は未印刷データが有るか否かを判定し、未印刷データが有る場合はS102に進み、ない場合はS104に進む。
ここでいう未印刷データとは、次の(a)〜(d)の画像データのことをいう。
(a)「Toner Ended」状態88(第3状態)でFAX部11によってFAX受信され、「代行受信」状態89で未印刷データとして記憶部15に記憶された画像データ。
(b)トナーカートリッジ56が新品に交換された後(第1状態)にスキャナ部12によって生成され、未だ印刷されていない画像データ。
(c)トナーカートリッジ56が新品に交換された後(第1状態)にネットワークインタフェース17によって受信され、未だ印刷されていない画像データ。
(d)トナーカートリッジ56が新品に交換された後(第1状態)にUSBインタフェース16によって読み込まれ、未だ印刷されていない画像データ。
【0070】
ところで、次に示す(e)の画像データも未印刷データの一つである。しかしながら、本実施形態では(e)の画像データについては例外的に再印刷用データの後に印刷し、S101での判定の対象には含めないものとする。
(e)トナーカートリッジ56が新品に交換された後にFAX受信されてRAMに記憶され、未だ印刷されていない画像データ。
【0071】
S102では、制御部10は未印刷データ(トナーカートリッジ56が新品に交換された後にFAX受信した画像データを除く)を一つ読み出し、読み出した未印刷データをプリンタ部13に印刷させる。印刷後、制御部10はその未印刷データを削除する。
【0072】
S103では、制御部10は未だ印刷していない未印刷データ又は再印刷用データが有るか否かを判定し、有る場合はS101に戻って処理を繰り返し、ない場合は本処理を終了する。
S104では、制御部10は記憶部15に再印刷用データが記憶されているか否か(有るか否か)を判定し、記憶されている場合はS105に進み、記憶されていない場合はS106に進む。
【0073】
S105では、制御部10は再印刷用データを一つ選択し、選択した再印刷用データをプリンタ部13に印刷させる。印刷後、制御部10はその再印刷用データを記憶部15から削除する。
S106では、制御部10は未印刷データ(トナーカートリッジ56が新品に交換された後にFAX受信された画像データ)が有るか否かを判定し、有る場合はS107に進み、ない場合は本処理を終了する。
【0074】
S107では、制御部10は未印刷データ(トナーカートリッジ56が新品に交換された後にFAX受信した画像データ)を一つ読み出し、読み出した未印刷データをプリンタ部13に印刷させる。印刷後、制御部10はその未印刷データを削除する。
【0075】
(6)実施形態の効果
以上説明した本発明の実施形態1に係る複合機1によると、再印刷用データと未印刷データとを予め決められている印刷順で印刷するので、ユーザにとって適切な印刷順を予め設定しておくことにより、再印刷用データと未印刷データとをユーザにとって適切な印刷順で印刷できる。
【0076】
更に、複合機1によると、トナーカートリッジ56の状態が第3状態(使用限界に達している状態)にあるときにFAX部11によってFAX受信した画像データをプリンタ部13に印刷させず、未印刷データとして記憶部15に記憶させるので、第3状態にあるときにFAX受信した画像データをトナーカートリッジ56の交換後に印刷することができる。
【0077】
更に、複合機1によると、未印刷データ(トナーカートリッジ56が新品に交換された後にFAX受信した画像データを除く)を再印刷用データより先に印刷させる。
再印刷用データは既に一度は印刷されているのに対し、未印刷データは未だ一度も印刷が行われていないのでユーザはその内容を把握できていない。
複合機1によると、一度印刷が行われている再印刷用データよりも、未だ一度も印刷が行われていない未印刷データを先に印刷させるので、ユーザは未印刷データの内容を速やかに把握することができる。
【0078】
更に、複合機1によると、未印刷データ(トナーカートリッジ56が新品に交換された後にFAX受信した画像データを除く)を再印刷用データより先に印刷させる場合に、再印刷用データの印刷中に取得部(FAX部11を除く)によって画像データが取得された場合は、当該取得された画像データを未印刷データとして、未だ印刷が開始されていない再印刷用データより先に印刷させる。
再印刷用データは既に一度は印刷されているのに対し、再印刷用データの印刷中に取得された画像データは未だ一度も印刷が行われていないのでユーザはその画像データの内容を把握できていない。
複合機1によると、再印刷用データの印刷中に取得部(FAX部11を除く)によって画像データが取得された場合は、当該取得された画像データ(未印刷データ)を、未だ印刷が開始されていない再印刷用データより先に印刷させるので、ユーザは当該画像データの内容を速やかに把握することができる。
【0079】
更に、複合機1によると、取得部は複数の方法で画像データを取得可能であり、制御部10はトナーカートリッジ56が特定の状態にあるときに特定の方法で取得された未印刷データを再印刷用データより先に印刷させ、それ以外の未印刷データを再印刷用データより後に印刷させる。
ユーザは、トナーカートリッジ56が特定の状態にあるときに特定の方法で取得された未印刷データを再印刷用データより先に印刷させ、それ以外の未印刷データを再印刷用データより後に印刷させたい場合もある。
複合機1によると、そのような場合にユーザにとって適切な印刷順で印刷できる。
【0080】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図5ないし図7によって説明する。
実施形態2では、再印刷用データと未印刷データとの印刷順をユーザに設定させる。
図5は、実施形態2に係る一括印刷処理の流れを示すフローチャートである。ここでは実施形態1と実質的に同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
S201では、制御部10は印刷順選択画面を操作部14に表示し、再印刷用データと未印刷データとの印刷順をユーザに選択させる。
【0081】
S202では、制御部10は再印刷用データを先に印刷する印刷順が選択されたか、又は未印刷データを先に印刷する印刷順が選択されたかを判定し、再印刷用データを先に印刷する印刷順が選択された場合はS203に進み、未印刷データを先に印刷する印刷順が選択された場合はS204に進む。
S203では、制御部10は再印刷用データを先に印刷する「再印刷用データ優先印刷処理」を実行する。
S204では、制御部10は未印刷データを先に印刷する「未印刷データ優先印刷処理」を実行する。
【0082】
図6は、再印刷用データ優先印刷処理の流れを示すフローチャートである。ここでは実施形態1と実質的に同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。なお、本処理ではS104、S105,S103を繰り替えし実行中に取得された画像データ(スキャナ部12、ネットワークインタフェース17、USBインタフェース16、及びFAX部11により取得(受信)された画像データ)は、一旦記憶部15に記憶される。
S205では、制御部10は記憶部15に未印刷データ(トナーカートリッジ56が新品に交換された後にFAX受信した画像データを含む全ての未印刷データ)が有るか否かを判定し、有る場合はS206に進み、ない場合は本処理を終了する。
【0083】
S206では、制御部10は未印刷データを一つ読み出し、読み出した未印刷データをプリンタ部13に印刷させる。印刷後、制御部10はその未印刷データを削除する。
【0084】
図7は、未印刷データ優先印刷処理の流れを示すフローチャートである。ここでは実施形態1と実質的に同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
S207では、制御部10は記憶部15に記憶されている未だ印刷が開始されていない全ての再印刷用データ及び現時点で取得されている全ての未印刷データを印刷するために必要な被記録媒体の枚数である残存印刷枚数を算出する。
【0085】
S208では、制御部10は「Replace Toner(再印刷用データ無)」状態83になるまでに印刷可能な枚数である印刷可能枚数(=第1の枚数−カウンタ変数n)を算出する。
【0086】
S209では、制御部10は残存印刷枚数(残存枚数)が印刷可能枚数(可能枚数)より多いか否かを判断し、印刷可能枚数以下である場合は、S210に進む。一方、印刷可能枚数が残存印刷枚数より多い場合は、制御部10は「未印刷データ優先印刷処理」を抜けて「再印刷用データ優先印刷処理」(S203,図5)を実行する。
【0087】
S210では、制御部10は記憶部15に未印刷データ(トナーカートリッジ56が新品に交換された後にFAX受信した画像データを含む全ての未印刷データ)が有るか否かを判定し、有る場合はS206に進み、ない場合は本処理を終了する。
【0088】
S211では、制御部10は未印刷データを一つ読み出し、読み出した未印刷データをプリンタ部13に印刷させる。印刷後、制御部10はその未印刷データを削除する。
【0089】
以上説明した本発明の実施形態2に係る複合機によると、再印刷用データと未印刷データとの印刷順をユーザが設定できるので、再印刷用データと未印刷データとをユーザにとって適切な印刷順で印刷できる。
【0090】
更に、この複合機によると、未印刷データを再印刷用データより先に印刷させる場合に、記憶部15に記憶されている未だ印刷が開始されていない全ての再印刷用データと現時点で取得されていて未だ印刷が開始されていない全ての未印刷データとを印刷した後のトナーカートリッジ56の消耗度合をそれらの印刷前に判断し、判断した消耗度合が第1の消耗度合より大きい場合には再印刷用データを未印刷データより先に印刷させるので、同じ再印刷用データがまたかすれて印刷されてしまうことを低減できる。
【0091】
更に、この複合機によると、制御部10は、再印刷用データを未印刷データより先に印刷させる場合に、再印刷用データの印刷中に取得部によって画像データが取得された場合は、当該画像データを未印刷データとして、全ての再印刷用データを印刷させた後に印刷させる。これにより、再印刷用データの印刷中に取得された未印刷データが再印刷データより先に印刷されてしまわないようにすることができる。
【0092】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図8によって説明する。
実施形態3では、未印刷データに予め再印刷用データに対する相対的な優先度を設定し、再印刷用データより相対的に高い優先度が設定されている未印刷データを再印刷用データより先に印刷させ、再印刷用データより低い優先度が設定されている未印刷データを再印刷用データより後に印刷させる。
【0093】
未印刷データへの優先度の設定は、例えばコピー機能やダイレクトプリント機能の場合はユーザが操作部14を操作して設定してもよい。
また、プリント機能の場合には、コンピュータで実行される複合機用のプリンタドライバによって表示される印刷設定画面でユーザが優先度を設定してもよい。
【0094】
また、FAX受信機能の場合には、FAX受信した画像データの優先度を予め複合機の管理者が設定しておいて、第3状態でFAX受信した画像データ(未印刷データ)、あるいは新品のトナーカートリッジ56に交換された後、再印刷用データの印刷前又は印刷実行中にFAX受信した画像データ(未印刷データ)に、一律にその優先度を設定してもよい。
あるいは、機能毎に予め優先順位が固定で設定されていてもよい。
【0095】
図8は、実施形態3に係る一括印刷処理の流れを示すフローチャートである。ここでは実施形態1と実質的に同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
S301では、制御部10は再印刷用データより相対的に高い優先度が設定されている未印刷データが有るか否かを判定し、有る場合はS302に進み、ない場合はS106に進む。
【0096】
S302では、制御部10は相対的に高い優先度が設定されている未印刷データを一つ選択し、選択した未印刷データをプリンタ部13に印刷させる。印刷後、制御部10は選択した未印刷データを削除する。
S303では、制御部10は再印刷用データより相対的に低い優先度が設定されている未印刷データが有るか否かを判定し、有る場合はS304に進み、ない場合は本処理を終了する。
【0097】
S304では、制御部10は相対的に低い優先度が設定されている未印刷データを一つ選択し、選択した未印刷データをプリンタ部13に印刷させる。印刷後、制御部10は選択した未印刷データを削除する。
【0098】
以上説明した本発明の実施形態3に係る複合機によると、未印刷データに設定されている優先度に応じた印刷順で印刷するので、ユーザにとって適切な印刷順で印刷されるように優先度を設定することにより、再印刷用データと未印刷データとをユーザにとってより適切な印刷順で印刷できる。
【0099】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0100】
(1)上記実施形態ではトナーを用いて印刷するプリンタ部13を例に説明したが、プリンタ部13は、着脱可能に装着されているインクカートリッジ(色剤カートリッジの一例)に収容されているインク(色剤の一例)を用いて被記録媒体にインクジェット方式で画像を印刷するものであってもよい。
【0101】
(2)上記実施形態では黒色のトナーを用いて印刷するプリンタ部13を例に説明したが、例えばCMYK4色のトナーを用いてカラー印刷するものであってもよい。その場合は、例えばいずれかのトナーカートリッジ56が第1の消耗度合に達した時点で第1状態と判断してもよいし、黒色のトナーを収容するトナーカートリッジ56の消耗度合のみで判断してもよい。第2状態及び第3状態についても同様である。
【0102】
(3)上記実施形態では第2状態にあるときにFAX受信した画像データのみを再印刷用データとして記憶しているが、第2状態にあるときにスキャナ部12、ネットワークインタフェース17、及び/又は、USBインタフェース16によって取得された画像データを再印刷用データとして記憶部15に記憶してもよい。
【0103】
(4)上記実施形態では第3状態にあるときにFAX受信した画像データのみを未印刷データとして記憶部15に記憶する場合を例に説明したが、第3状態にあるときにスキャナ部12、ネットワークインタフェース17、及び/又は、USBインタフェース16によって取得された画像データを未印刷データとして記憶部15に記憶してもよい。
【0104】
(5)上記実施形態では「Toner Ended」状態88でFAX受信した画像データを未印刷データとして記憶部15に記憶させているが、「Toner Ended」状態88ではFAX受信を拒否してもよい。その場合、未印刷データは前述した(a)〜(d)の画像データのみとなる。
逆に、「Toner Ended」状態88でFAX受信した画像データのみを未印刷データとしてもよい。
【0105】
(6)上記実施形態1では未印刷データを再印刷用データより先に印刷させる場合を例に説明したが、再印刷用データを未印刷データより先に印刷させてもよい。これにより、再印刷用データを未印刷データより先に印刷させるという印刷順がユーザにとって適切な印刷順である場合に、再印刷用データと未印刷データとをユーザにとって適切な印刷順で印刷できる。
【0106】
(7)上記実施形態3ではユーザや管理者が未印刷データに優先度を設定する場合を例に説明したが、例えばユーザに応じて優先度を設定してもよい。
具体的には例えば、ユーザID毎に優先度を予め設定しておき、外部のコンピュータから受信した画像データに、その画像データを送信したユーザのユーザIDに設定されている優先度を設定してもよい。
コピー機能やダイレクトプリント機能の場合には、ユーザが操作部14でユーザIDを入力し、入力されたユーザIDに設定されている優先度を設定してもよい。
【0107】
(8)上記実施形態ではトナーカートリッジ56の消耗度合をトナー使用量と現像ローラ48の回転数とから判断する場合を例に説明したが、現像ローラ48の寿命(使用限界に達するまでの回転数)が充分に長い場合はトナー使用量のみで消耗度合を判断してもよい。
【0108】
(9)上記実施形態では印刷装置として複合機を例に説明したが、印刷装置は単機能のFAX装置、プリンタ、あるいはコピー機(複写機)であってもよい。
【符号の説明】
【0109】
1・・・複合機
3・・・被記録媒体
10・・・制御部
11・・・ファクシミリ(FAX)部
12・・・スキャナ部
13・・・プリンタ部
14・・・操作部
15・・・記憶部
16・・・USBインタフェース
17・・・ネットワークインタフェース
48・・・現像ローラ
56・・・トナーカートリッジ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを取得する取得部と、
着脱可能に装着されている色剤カートリッジを用いて被記録媒体に前記画像データを印刷する印刷部と、
消耗度合が第1の消耗度合未満である前記色剤カートリッジに交換されたことを検知する検知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記色剤カートリッジの消耗度合が前記第1の消耗度合未満である第1状態にあるか、前記第1の消耗度合以上であり且つ第2の消耗度合(第1の消耗度合<第2の消耗度合)未満である第2状態にあるかを判断する判断処理と、
前記第1状態にあるときに前記取得部によって取得された画像データを前記印刷部に印刷させる第1の制御処理と、
前記第2状態にあるときに前記取得部によって取得された画像データを前記印刷部に印刷させるとともに、再印刷用データとして記憶部に記憶させる第2の制御処理と、
前記第1の消耗度合未満である前記色剤カートリッジに交換されたことが前記検知部によって検知されると、前記記憶部に記憶されている前記再印刷用データと、前記取得部によって取得されて未だ印刷が行われていない未印刷データとを、予め決められている印刷順で前記印刷部に印刷させる第3の制御処理と、
を実行する、印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、
前記判断処理において、前記色剤カートリッジの消耗度合が前記第2の消耗度合以上である第3状態にあるかを更に判断し、
前記第3状態にあるときに前記取得部によって取得された画像データを前記印刷部に印刷させず、前記未印刷データとして前記記憶部に記憶させる第4の制御処理を実行する、印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記第3の制御処理において、前記未印刷データを前記再印刷用データより先に印刷させる、印刷装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記第3の制御処理において、前記再印刷用データを前記未印刷データより先に印刷させる、印刷装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の印刷装置であって、
前記再印刷用データと前記未印刷データとの印刷順をユーザに設定させる設定部を備え、
前記制御部は、前記第3の制御処理において、前記設定部によって設定された印刷順で印刷させる、印刷装置。
【請求項6】
請求項3又は請求項5に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記第3の制御処理において前記未印刷データを前記再印刷用データより先に印刷させる場合に、前記再印刷用データの印刷中に前記取得部によって画像データが取得された場合は、当該取得された画像データを前記未印刷データとして、未だ印刷が開始されていない前記再印刷用データより先に印刷させる、印刷装置。
【請求項7】
請求項3、請求項5又は請求項6に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記第3の制御処理において前記未印刷データを前記再印刷用データより先に印刷させる場合に、前記記憶部に記憶されている未だ印刷が開始されていない全ての前記再印刷用データと前記取得部により取得されていて未だ印刷が開始されていない全ての前記未印刷データとを印刷した後の前記色剤カートリッジの消耗度合が前記第1の消耗度合より大きいか否かを判断し、前記第1の消耗度合より大きいと判断した場合は、前記再印刷用データを前記未印刷データより先に印刷させる、印刷装置。
【請求項8】
請求項4又は請求項5に記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記第3の制御処理において前記再印刷用データを前記未印刷データより先に印刷させる場合に、前記再印刷用データの印刷中に前記取得部によって画像データが取得された場合は、当該画像データを未印刷データとして、全ての前記再印刷用データを印刷させた後に印刷させる、印刷装置。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載の印刷装置であって、
前記未印刷データは、予め前記再印刷用データに対する相対的な優先度が設定されており、
前記制御部は、
前記第3の制御処理において、前記再印刷用データより高い優先度が設定されている前記未印刷データを前記再印刷用データより先に印刷させ、前記再印刷用データより低い優先度が設定されている前記未印刷データを前記再印刷用データより後に印刷させる、印刷装置。
【請求項10】
請求項1又は請求項2に記載の印刷装置であって、
前記取得部は複数の方法で前記画像データを取得可能であり、
前記制御部は、前記第3の制御処理において、前記色剤カートリッジの消耗度合が特定の状態にあるときに特定の前記方法で取得された前記未印刷データを前記再印刷用データより先に印刷させ、それ以外の前記未印刷データを前記再印刷用データより後に印刷させる、印刷装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−53290(P2012−53290A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195993(P2010−195993)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】